説明

パワードア

【課題】駆動スピンドルが小型で、コストダウンが図れるパワードアを提供することを課題とする。
【解決手段】バックドア11と、駆動源が設けられ、本体部23、スピンドル25がボデー13に回転可能に取り付けられ、スピンドル25の先端部がドア11の一方の側部に回転可能に取り付けられた駆動スピンドル21と、スピンドル125を付勢する第2スプリング137が設けられ、本体部123がボデー13に回転可能に取り付けられ、スピンドル125の先端部がドア11の他方の側部に回転可能に取り付けられたアシストスプリング121とを有し、アシストスプリング121のスピンドル125のストロークは、駆動スピンドル21のスピンドル25のストロークより長く、アシストスプリング121のドア11の取り付け位置のドア11の回転中心軸からの距離は、駆動スピンドル21のドア11の取り付け位置のドア11の回転中心軸からの距離より長い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボデーに対して上下方向に回転可能に設けられたパワードアに関する。
【背景技術】
【0002】
図5に示すように、車両のボデー1に対して、上下方向に回転可能に設けられたバックドア3を駆動スピンドル5と、駆動スピンドル5と同一構造の駆動スピンドル7とで開閉するパワードアがある。
【0003】
駆動スピンドル5は、一方の端部がボデー1に回転可能に取り付けられ、他方の端部がバックドア3の一方の側部に回転可能に取り付けられている。駆動スピンドル7は、一方の端部がボデー1に回転可能に取り付けられ、他方の端部がバックドア3の他方の側部に回転可能に取り付けられている。
【0004】
駆動スピンドル5、駆動スピンドル7は、図示しないモータ(駆動源)が設けられた本体部5a、本体部7a、と、本体部5a、本体部7aに対して進退可能に設けられ、モータにより駆動されるスピンドル5b、スピンドル7bと、スピンドル5b、スピンドル7bの先端部を本体部5a、本体部7aから離れる方向に付勢する図示しないスプリングからなっている。
【0005】
次に、上記構成の作動を説明する。駆動スピンドル5、駆動スピンドル7のモータを駆動すると、スピンドル5b、スピンドル7bが本体部5a、本体部7aに対して進退し、バックドア3は開閉する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,648,189号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、図5に示す構造のパワーバックドアは、以下のような問題点がある。
【0008】
(1) 駆動スピンドル5の本体部5a、駆動スピンドル7の本体部7aは駆動源が設けられているので、スピンドル5b、スピンドル7bのストローク長を十分長くできない。よって、駆動スピンドル5、駆動スピンドル7のバックドア3の取り付け位置(バックドア3に力が作用する点)と、バックドア3の回転中心軸との距離(トルクアーム長)を十分に長くできない。更に、スプリング長も十分長くできないので、スプリングの付勢力も十分大きくできない。よって、スプリングの付勢力によるバックドア3を回転させるトルクが小さくなる。
【0009】
一方、駆動スピンドル5、駆動スピンドル7を駆動していない状態では、スピンドル5a、スピンドル7aを駆動する機構の抵抗と、スプリングの付勢力とによりバックドア3の全開状態を保持することとなっている。
【0010】
しかし、スプリングの付勢力によるバックドア3の全閉状態を保持するトルクが小さいので、バックドア3の全開状態を保持するには、駆動スピンドル5、駆動スピンドル7内のスプリングの付勢力を大きくしなければならず、駆動スピンドル5、駆動スピンドル7が大型化する問題点がある。
【0011】
(2) モータを有した駆動スピンドルが2本必要なので、コストが高くなる。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、駆動スピンドルが小型で、コストダウンが図れるパワードアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する本願発明は、ボデーに対して上下方向に回転可能に設けられたドアと、駆動源が設けられた本体部、該本体部に対して進退可能に設けられ、前記駆動源により駆動されるスピンドル,該スピンドルの先端部を前記本体部から離れる方向に付勢する第1スプリングからなり、前記本体部、前記スピンドルの先端部のうちのどちらか一方が前記ボデーに回転可能に取り付けられ、前記本体部、前記スピンドルの先端部のうちの他方が前記ドアの一方の側部に回転可能に取り付けられた駆動スピンドルと、本体部,該本体部に対して進退可能に設けられたスピンドル,該スピンドルの先端部を前記本体部から離れる方向に付勢する第2スプリングからなり、前記本体部、前記スピンドルの先端部のうちのどちらか一方が前記ボデーに回転可能に取り付けられ、前記本体部、前記スピンドルの先端部のうちの他方が前記ドアの他方の側部に回転可能に取り付けられたアシストスプリングと、を有し、前記アシストスプリングのスピンドルのストロークは、前記駆動スピンドルのスピンドルのストロークより長く、前記アシストスプリングの前記ドアの取り付け位置の前記ドアの回転中心軸からの距離は、前記駆動スピンドルの前記ドアの取り付け位置の前記ドアの回転中心軸からの距離より長いことを特徴とするパワードアである。
【0014】
上記発明において、前記ドアが閉じた状態では、前記第1スプリングの付勢力と前記第2スプリングの付勢力とは同じであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本願発明によれば、駆動源が設けられた本体部、該本体部に対して進退可能に設けられ、前記駆動源により駆動されるスピンドル,該スピンドルの先端部を前記本体部から離れる方向に付勢する第1スプリングからなり、前記本体部、前記スピンドルの先端部のうちのどちらか一方が前記ボデーに回転可能に取り付けられ、前記本体部、前記スピンドルの先端部のうちの他方が前記ドアの一方の側部に回転可能に取り付けられた駆動スピンドルと、本体部,該本体部に対して進退可能に設けられたスピンドル,該スピンドルの先端部を前記本体部から離れる方向に付勢する第2スプリングからなり、前記本体部、前記スピンドルの先端部のうちのどちらか一方が前記ボデーに回転可能に取り付けられ、前記本体部、前記スピンドルの先端部のうちの他方が前記ドアの他方の側部に回転可能に取り付けられたアシストスプリングとを有したことにより、駆動源を有した駆動スピンドルは1つでよいので、コストダウンが図れる。
【0016】
また、前記アシストスプリングのスピンドルのストロークは、前記駆動スピンドルのスピンドルのストロークより長く、前記アシストスプリングの前記ドアの取り付け位置の前記ドアの回転中心軸からの距離は、前記駆動スピンドルの前記ドアの取り付け位置の前記ドアの回転中心軸からの距離より長いことにより、アシストスプリングのドアの取り付け位置と、ドアの回転中心軸との距離を長くできる。即ち、ドアの回転中心軸からドアを回転させる力が作用する点までの長さ(トルクアーム長)が長くなる。
【0017】
更に、アシストスプリングの本体には駆動源が設けられていないので、第2スプリングのスプリング長を長くきる。即ち、第2スプリングの付勢力が大きくなる。よって、アシストスプリングの第2スプリングによるトルクが大きくなる。
【0018】
一方、駆動スピンドルを駆動していない状態では、駆動スピンドルのスピンドルを駆動する機構の抵抗と、駆動スピンドルの第1スプリングの付勢力によるトルクと、アシストスプリングの第2スプリングの付勢力によるトルクとによりドアの全開状態を保持することとなる。
【0019】
第2スプリングの付勢力によるトルクを大きくすることができるので、駆動スピンドルのスプリングを小さくでき、駆動スピンドルを小型化できる。
【0020】
また、前記ドアが閉じた状態では、前記第1スプリングの付勢力と前記第2スプリングの付勢力とは同じであることにより、ドアを閉じた状態で、ドアが傾かない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一方の側から見た車両後部を説明する図である。
【図2】他方の方向から見た車両後部を説明する図である。
【図3】図1の駆動スピンドルを説明する断面図である。
【図4】図2のアシストスプリングを説明する図である。
【図5】従来のパワードアの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
本実施形態は、自動車のパワーバックドアに適用した例である。
【0024】
図1−図4を用いて説明する。図1は一方の側から見た車両後部を説明する図、図2は他方の方向から見た車両後部を説明する図、図3は図1の駆動スピンドルを説明する断面図、図4は図2のアシストスプリングを説明する図である。
【0025】
図1に示すように、バックドア11は、ボデー13に対して上下方向に回転可能に設けられている。そして、駆動スピンドル21がバックドア11の一方の側部と、ボデー13とに取り付けられている。
【0026】
また、図2に示すように、アシストスプリング121がバックドア11の他方の側部と、ボデー13とに取り付けられている。
【0027】
ここで、図3を用いて、駆動スピンドル21を説明する。駆動スピンドル21は、一方の端面が開放面となった有底円筒状の本体部23と、一方の端面が開放面となり、内径が本体部23の外径より大きな有底円筒状のスピンドル25とを有している。
【0028】
そして、本体部23の開放面と、スピンドル25の開放面とが対向するように、両者は嵌合し、スピンドル25は本体部23に対して進退可能となっている。
【0029】
本体部23には駆動源としてのモータ27が設けられている。また、このモータ27の出力軸27aには、カップリング29を介して、ねじ棒31が取り付けられている。
【0030】
ねじ棒31は、周面におねじが形成されたねじ棒本体部31aとねじ棒本体部31aのモータ27側に形成され、ねじ棒本体部31aより径が小さい基部31bとからなっている。基部31bは、本体部23の内部に設けられた軸受33に回転可能に支持されている。そして、ねじ棒31の基部31bは、カップリング29を介してモータ27の出力軸27aに接続されている。
【0031】
スピンドル25の底部の内面には、内面にめねじが形成された円筒状のナット部材35が設けられている。そして、ナット部材35のめねじが、ねじ棒31のねじ棒本体部31aにおねじに螺合している
本体部23の底部の外面には、ボデー13への取り付け用の球状の連結部23aが形成されている。スピンドル25の底部の外面には、バックドア11への取り付け用の球状の連結部25aが形成されている。
【0032】
そして、一端部がスピンドル25の底部内面に押接し、他端部が本体部23の内周面に形成されたつば部23bに押接する第1スプリング37が設けられている。この第1スプリング37の付勢力により、スピンドル25の底部(先端部)は本体部23から離れる方向に付勢されている。
【0033】
ここで、上記構成の駆動スピンドル21の作動を説明する。連結部23a、連結部25aがバックドア11またはボデー13への取り付けられると、バックドア11の開閉に応じて、連結部23a、連結部25aはバックドア11,ボデー13に対して回転するが、本体部23、スピンドル25のねじ棒31を中心軸とする回転は禁止される。
【0034】
モータ27が駆動されると、ねじ棒31が回転する。スピンドル25の自転は禁止されているので、ねじ棒31に螺合するナット部材35を有するスピンドル25は、本体部23bに対して進退する。
【0035】
次に、図4を用いてアシストスプリング121の説明を行う。アシストスプリング121は、一方の端面が開放面となった有底円筒状の本体部123と、一方の端面が開放面となり、内径が本体部123の外径より大きな有底円筒状のスピンドル125とを有している。
【0036】
本体部123の開放面と、スピンドル125の開放面とが対向するように、両者は嵌合し、スピンドル125は本体部123に対して進退可能となっている。
【0037】
本体部123の底部の外面には、ボデー13への取り付け用の球状の連結部123aが形成されている。スピンドル125の底部の外面には、バックドア11への取り付け用の球状の連結部125aが形成されている。連結部123a、連結部125aがバックドア11またはボデー13への取り付けられると、バックドア11の開閉に応じて、連結部123a、連結部125aはバックドア11,ボデー13に対して回転する。
【0038】
一端部がスピンドル125の底部内面に押接し、他端部が本体部23の底部内面に押接する第2スプリング137が設けられている。この第2スプリング137の付勢力により、スピンドル125の底部(先端部)は本体部123から離れる方向に付勢されている。
【0039】
そして、アシストスプリング121のスピンドル125のストロークは、駆動スピンドル21のスピンドル25のストロークより長くなるように設定されている。
【0040】
また、アシストスプリング121のバックドア11の取り付け位置のバックドアの回転中心軸からの距離は、駆動スピンドル21のバックドア11の取り付け位置のバックドアの回転中心軸からの距離より長くなるように設定されている。
【0041】
更に、バックドア11が閉じた状態では、第1スプリング37の付勢力と第2スプリング137の付勢力とは同じとなるように設定されている。
【0042】
次に、本実施形態の駆動スピンドル21、アシストスプリング121の取り付けを説明する。
【0043】
図1に示すように、駆動スピンドル21のスピンドル25の連結部25aは、バックドア11の回転中心軸Oからx1だけ離れた箇所に取り付けられている。また、図1において、二点鎖線示した駆動スピンドル21は、バックドア11の全閉時の状態を示している。全閉時の駆動スピンドル21の長さはy1、全開時の駆動スピンドル21の長さはy2であるので、駆動スピンドル21のスピンドル25のストロークy2-y1である。
【0044】
図2に示すように、アシストスプリング121のスピンドル125の連結部125aは、バックドア11の回転中心軸Oからx2(x2>x1)だけ離れた箇所に取り付けられている。また、図1において、二点鎖線示したアシストスプリング121は、バックドア11の全閉時の状態を示している。全閉時のアシストスプリング121の長さはy3(y3<y1)、全開時のアシストスプリング121の長さはy4(y4>y2)であるので、アシストスプリング121のスピンドル125のストロークy4-y3((y4ーy3)>(y2-y1))である。
【0045】
このような構成によれば、以下のような効果が得られる。
【0046】
(1) 駆動源を有した駆動スピンドルは1つでよいので、コストダウンが図れる。
【0047】
(2) アシストスプリング121のスピンドル125のストローク(y4-y3)は、駆動スピンドル21のスピンドル25のストローク(y2-y1)より長くなるように設定されている。
【0048】
また、アシストスプリング121のバックドア11の取り付け位置のバックドアの回転中心軸からの距離(x2)は、駆動スピンドル21のバックドア11の取り付け位置のバックドアの回転中心軸からの距離(x1)より長くなるように設定されている。
【0049】
よって、アシストスプリング121のバックドア11の取り付け位置と、バックドア11の回転中心軸との距離を長くできる。即ち、バックドア11の回転中心軸からバックドア11を回転させる力が作用する点までの長さ(トルクアーム長)が長くなる。
【0050】
更に、アシストスプリング121の本体には駆動源が設けられていないので、第2スプリング137のスプリング長を長くしたり、線径を太くしたりできる。即ち、第2スプリング137の付勢力を大きくできる。よって、アシストスプリング121の第2スプリング137によるトルクが大きくなる。
【0051】
一方、駆動スピンドル21を駆動していない状態では、駆動スピンドル21のスピンドル25を駆動する機構の抵抗と、駆動スピンドル21の第1スプリング37の付勢力によるトルクと、アシストスプリング121の第2スプリング137の付勢力によるトルクとにより、バックドア11の全開状態を保持することとなる。
【0052】
第2スプリング137の付勢力によるトルクを大きくすることができるので、駆動スピンドル21の第1スプリング37を小さくでき、駆動スピンドル21を小型化できる。
【0053】
(3) バックドア11が閉じた状態では、第1スプリング37の付勢力と第2スプリング137の付勢力とは同じとなるように設定されていることにより、バックドアを閉じた状態で、ドアが傾かない。
【0054】
本発明は、上記実施形態に限定するものではない。上記実施形態例では、駆動スピンドル21のスピンドル25をバックドア11に取り付け、本体部23をボデー13に取り付けたが、逆でもよい。同様に、アシストスプリング121のスピンドル125をバックドア11に取り付け、本体部123をボデー13に取り付けたが、逆でもよい。
【0055】
更に、上記実施形態例はバックドアに適用した例であったが、上下方向に回転するドアならばどんなドアにも適用できる。
【符号の説明】
【0056】
11 バックドア
13 ボデー
21 駆動アクチュエータ
23、123 本体部
25、125 アクチュエータ
37 第1スプリング
121 アシストスプリング
137 第2スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボデーに対して上下方向に回転可能に設けられたドアと、
駆動源が設けられた本体部、該本体部に対して進退可能に設けられ、前記駆動源により駆動されるスピンドル,該スピンドルの先端部を前記本体部から離れる方向に付勢する第1スプリングからなり、前記本体部、前記スピンドルの先端部のうちのどちらか一方が前記ボデーに回転可能に取り付けられ、前記本体部、前記スピンドルの先端部のうちの他方が前記ドアに回転可能に取り付けられた駆動スピンドルと、
本体部,該本体部に対して進退可能に設けられた移動体,該移動体の先端部を前記本体部から離れる方向に付勢する第2スプリングからなり、前記本体部、前記移動体の先端部のうちのどちらか一方が前記ボデーに回転可能に取り付けられ、前記本体部、前記移動体の先端部のうちの他方が前記ドアに回転可能に取り付けられたアシストスプリングと、
を有し、
前記アシストスプリングのスピンドルのストロークは、前記駆動スピンドルのスピンドルのストロークより長く、
前記アシストスプリングの前記ドアの取り付け位置の前記ドアの回転中心軸からの距離は、前記駆動スピンドルの前記ドアの取り付け位置の前記ドアの回転中心軸からの距離より長い
ことを特徴とするパワードア。
【請求項2】
前記ドアが閉じた状態では、
前記第1スプリングの付勢力と前記第2スプリングの付勢力とは同じであることを特徴とする請求項1記載のパワードア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−104229(P2013−104229A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248998(P2011−248998)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【Fターム(参考)】