説明

パワーモジュール用基板の製造装置および製造方法

【課題】セラミックス基板と金属層とを短時間で接合することができるパワーモジュール用基板の製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】セラミックス基板2に金属層6,7を接合材を介して積層した積層体30を、高温下で加圧することにより接合してパワーモジュール用基板3を製造するための装置であって、積層体30の両面に配置されるクッションシート40と、加熱時の熱膨張に伴う積層体30及びクッションシート40の積層高さの増大を拘束する固定手段110とを具備するとともに、クッションシート40は、グラファイト層41の両面にカーボン層42が形成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大電流、高電圧を制御する半導体装置に用いられるパワーモジュール用基板の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパワーモジュールとして、セラミックス基板の一方の面に、回路層となる金属層が積層され、この回路層の上に半導体チップ等の電子部品がはんだ付けされるとともに、セラミックス基板の他方の面に放熱層となる金属層が形成され、この放熱層にヒートシンクが接合された構成のものが知られている。
また、特許文献1には、放熱層となる金属層を設けず、セラミックス基板に直接アルミニウム製のヒートシンクが接合されたヒートシンク付パワーモジュール用基板が提案されている。
【0003】
セラミックス基板に回路層又は放熱層となる金属層を積層状態に接合する場合、特許文献2に示されるように、セラミックス基板にろう材を介して金属層を積層した積層体とクッションシートとをその厚さ方向に交互に重ねて、ばね等の付勢力を加えて加圧しながら加熱することにより、セラミックス基板と金属層とをろう付けする方法が知られている。
クッションシートは、セラミックス基板と金属層との接合面に圧力を均等に作用させるために用いられ、グラファイト製クッション層の両面にカーボン製緻密層が形成されている。
また、このパワーモジュール用基板の製造装置においては、ベース板の四隅にガイドポストが垂直に固定されるとともに、これらガイドポストにベース板と平行な押圧板(加圧板)が上下移動自在に支持されており、押圧板とガイドポストの上端部に固定された固定板との間に、重ねられた積層体とクッションシートとを加圧するための複数のばねが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−205372号公報
【特許文献2】特開2008−192823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のパワーモジュール用基板の製造装置においては、重ねて配置された積層体とクッションシートとを加圧するために、ベース板や押圧板の他に複数のばねや固定板を用いており、これらがパワーモジュール用基板の全面をカバーし得る大きさとなるため、装置全体の熱容量が大きくなっている。そのため、この製造装置を含めて、全ての積層体を均一に加熱状態とするまでに時間を要するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、セラミックス基板と金属層とを短時間で接合することができるパワーモジュール用基板の製造装置および製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパワーモジュール用基板の製造装置は、セラミックス基板に金属層を接合材を介して積層した積層体を高温下で加圧することにより接合してパワーモジュール用基板を製造するための装置であって、前記積層体の両面に配置されるクッションシートと、加熱時の熱膨張に伴う前記積層体及び前記クッションシートの積層高さの増大を拘束する固定手段とを具備するとともに、前記クッションシートは、グラファイト層の両面にカーボン層が形成されてなることを特徴とする。
【0008】
クッションシートの内部には、熱膨張係数の大きいグラファイト層が設けられていることから、積層体の両面にクッションシートを積層した状態で保持したまま加熱すると、グラファイト層が熱膨張しようとするのに対し、その積層体及びクッションシートの積層高さは固定手段により拘束されているので、その熱膨張力により、積層体はその積層方向に加圧される。したがって、積層体を加圧状態で加熱することができ、強固に接合することができる。しかも、グラファイト層は比較的軟質でありクッション性を有しているので、セラミックス基板の局所的な厚みムラや表面凹凸に追従して積層体を均一に加圧することができる。
このように、ばね等の加圧手段を設けることなく、積層体及びクッションシートの熱膨張を固定手段で拘束するという構成であるから、例えば、ボルトとナット等を用いた簡易な構成とすることができる。このため、装置全体の熱容量を小さくして、接合に要する加熱時間を短縮することができ、セラミックス基板と金属層とを短時間で接合することができる。
なお、積層体に接触する表面はカーボン層により比較的硬質な表面とされており、積層体からの離脱を容易に行うことができる。
【0009】
また、本発明のパワーモジュール用基板の製造装置において、前記固定手段は、前記積層体及び前記クッションシートが載置されるベース板と、前記ベース板の上面に上下方向に沿って取り付けた複数のガイドポストと、前記ベース板上に積み重ねられた前記積層体及び前記クッションシートの上に配置される押圧板と、前記ガイドポストの上端部に取り付けられて前記押圧板の上方への移動を規制するストッパとにより構成されているとよい。
【0010】
さらに、本発明のパワーモジュール用基板の製造装置において、前記ガイドポストの上端部には雄ねじ部が形成されており、前記ストッパは、前記ガイドポストの雄ねじ部に螺合するナットにより構成されているとよい。
【0011】
そして、本発明のパワーモジュール用基板の製造方法は、接合材を介在させてセラミックス基板と金属層とを積層した積層体と、グラファイト層の両面にカーボン層が形成されたクッションシートとを積層し、これらの積層高さの増大を拘束した状態で加熱することにより、前記セラミックス基板と前記金属層とを接合してパワーモジュール用基板を製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製造装置全体としての熱容量を小さくすることができ、セラミックス基板と金属層との積層体を均一に加圧するとともに、速やかに加熱することができるので、セラミックス基板と金属層とを短時間で接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】パワーモジュール用基板を用いたパワーモジュールを示す縦断面図である。
【図2】本発明のパワーモジュール用基板の製造装置を示す側面図である。
【図3】クッションシートを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明により製造されるパワーモジュール用基板3を適用したパワーモジュール1を示している。この図1のパワーモジュール1は、セラミックス基板2を有するパワーモジュール用基板3と、パワーモジュール用基板3の表面に搭載された半導体チップ等の電子部品4と、パワーモジュール用基板3の裏面に接合されたヒートシンク5とから構成される。
【0015】
パワーモジュール用基板3は、セラミックス基板2の両面に金属層6,7が積層されており、その一方の金属層6が回路層となり、その表面に電子部品4が接合される。また、他方の金属層7は放熱層とされ、その表面にヒートシンク5が取り付けられる。
【0016】
セラミックス基板2は、例えば、AlN(窒化アルミニウム)、Si(窒化珪素)等の窒化物系セラミックス、もしくはAl(アルミナ)等の酸化物系セラミックスにより形成され、その厚さは例えば0.635mmとされる。
金属層6,7は、いずれも純度99.90質量%以上のアルミニウムが用いられ、JIS規格では、1N90(純度99.90質量%以上:いわゆる3Nアルミニウム)又は1N99(純度99.99質量%以上:いわゆる4Nアルミニウム)を用いることができる。
このパワーモジュール用基板3は、放熱層となる金属層7に緩衝機能を持たせたるため、回路層となる金属層6よりも肉厚に形成されたものを用いている。
【0017】
本実施形態のパワーモジュール用基板3においては、例えば、回路層となる金属層6の厚さは0.6mmとされ、放熱層となる金属層7の厚さが1.5mmとされている。
これら金属層6,7は、プレス加工により所望の外形に打ち抜いたものをセラミックス基板2に接合するか、あるいは、平板状のものをセラミックス基板2に接合した後に、エッチング加工により所望の外形に形成するか、いずれの方法も採用することができる。
【0018】
セラミックス基板2と回路層及び放熱層となる金属層6,7とは、Al−Si系、Al−Ge系、Al−Cu系、Al−Mg系またはAl−Mn系等のろう材によりろう付けされている。
【0019】
なお、金属層6と電子部品4との接合には、Sn−Ag−Cu系,Zn−Al系もしくはPb−Sn系等のはんだ材が用いられる。図中符号8がそのはんだ接合層を示す。また、電子部品4と金属層6の端子部との間は、アルミニウム等からなるボンディングワイヤ(図示略)により接続される。
【0020】
一方、ヒートシンク5は、その形状等は特に限定されないが、アルミニウム合金の押し出し成形によって形成され、その長さ方向に沿って冷却水を流通させるための多数の流路16が形成されている。
放熱層となる金属層7とヒートシンク5との間の接合法としては、Al−Si系、Al−Ge系、Al−Cu系、Al−Mg系またはAl−Mn系等の合金のろう材によるろう付け法や、Al−Si系のろう材にフラックスを用いたノコロックろう付け法、金属層およびヒートシンクにNiめっきを施し、Sn−Ag−Cu系、Zn−AlもしくはPb−Sn系等のはんだ材によりはんだ付けする方法が用いられ、あるいは、シリコングリースによって密着させた状態でねじによって機械的に固定される。図1では、ろう付けした例を示している。
【0021】
このパワーモジュール1に用いられているパワーモジュール用基板3の製造装置100について、本発明に係る実施形態を説明する。
図2に示すように、本実施形態のパワーモジュール用基板の製造装置100は、接合材であるろう材箔(図示略)を介してセラミックス基板2と金属層6,7とを積層してなる積層体30の両面に配置されるクッションシート40と、これら積層体30とクッションシート40とを積み重ねた状態で一定高さに保持するための固定手段110と、図示略の加熱炉とを備えた構成とされる。
【0022】
固定手段110は、ベース板111と、ベース板111の上面の四隅に上下方向に沿って取り付けたガイドポスト112と、これらガイドポスト112の上端部に上下移動自在に支持された押圧板113と、ガイドポスト112の上端部に設けられた雄ねじ部112aに螺合して押圧板113の上方への移動を規制するストッパであるナット114とを備えている。
押圧板113は、ベース板111に対して平行に配置されている。そして、積層体30およびクッションシート40は、ベース板111と押圧板113との間に交互に積層されて、その厚さ方向(積層方向)は、ナット114の位置によって所定の間隔をもって保持される。
【0023】
具体的には、ベース板111の上にセラミックス基板2と金属層6,7との積層体30を、クッションシート40を介して積み重ねた後、その上に押圧板113を配置して、押圧板113の上に突出するガイドポスト112の雄ねじ部112aにナット114を螺合し、そのナット114の下面が押圧板113の上面に当接した位置、あるいは、その当接位置よりわずかにナット114を締めた状態とする。
なお、ガイドポスト112は、熱膨張係数が極めて小さいカーボンファイバーを含んだ複合材によって形成されている。
【0024】
クッションシート40は、図3に示すように、グラファイト層41の両面にカーボン層42をろう付けにより積層した状態に形成される。
グラファイト層41は、鱗片状のグラファイト薄膜が複数枚雲母のように貼りついて構成されたものであり、天然黒鉛を酸処理した後にシート状に成形してロール圧延してなるものである。この場合、グラファイト層41の熱膨張係数は、その表面に平行な方向では、5×10−6/℃程度であるが、表面に直交する方向(積層方向)では、およそ2×10−4/℃と大きいものである。
また、カーボン層42は、薄膜のカーボン板によって構成されており、3000℃程度の高温で焼成したものである。
【0025】
つまり、クッションシート40は、未焼成のグラファイト層41の両面に、焼成してなるカーボン層42が配置された構成であり、内部のグラファイト層41はかさ密度が0.5Mg/m以上1.3Mg/m以下で軟質であるが、表面のカーボン層42はかさ密度が1.6Mg/m以上1.9Mg/m以下の比較的硬質で平滑な平面に形成される。
なお、グラファイト層41の厚みは0.5mm以上5.0mm以下とされ、両面のカーボン層42の厚みは0.5mm以上5.0mm以下とされる。
【0026】
そして、これらグラファイト層41とカーボン層42とのろう付けには、積層体30のろう付け時には溶融しない、積層体30のろう材箔よりも高融点のろう材が用いられる。このようなろう材としては、例えば融点が1273〜1373KのCu−Ni−Mn系ろう材、Cu−Ni−M(Si、Cr、Mg、Co)−Mn系ろう材などが例示される。M(Si、Cr、Mg、Co)は、Si、Cr、Mg、Coのうちの少なくとも一種を含むことを意味する。
【0027】
このように形成されたクッションシート40と積層体30とを交互に積層し、これらを厚さ方向に保持する固定手段110ごと加熱炉に入れて所定のろう付け温度で加熱することにより、各積層体30のセラミックス基板2と金属層6,7とをろう付けして、パワーモジュール用基板3を製造することができる。
【0028】
この際、クッションシート40の内部には、熱膨張係数の大きいグラファイト層41が設けられていることから、積層体30の両面にクッションシート40を積層した状態で保持したまま加熱すると、グラファイト層41が熱膨張しようとするのに対し、積層体30及びクッションシート40の積層高さはナット114により拘束されているので、その熱膨張力により、積層体30はその積層方向に加圧されることとなる。したがって、積層体30を加圧状態で加熱することができ、強固に接合することができる。
また、グラファイト層41は、比較的軟質でありクッション性を有しているので、セラミックス基板2の局所的な厚みムラや表面凹凸に追従して積層体を均一に加圧することができる。
【0029】
このように、ばね等の加圧手段を設けることなく、積層体30及びクッションシート440の熱膨張をナット114で拘束するという簡易な構成とすることができるので、装置全体の熱容量を小さくして、接合に要する加熱時間を短縮することができ、セラミックス基板2と金属層6,7とを短時間で接合することができる。
また、積層体30に接触するクッションシート40の表面はカーボン層42により比較的硬質な表面とされており、積層体30からの離脱を容易に行うことができる。
【0030】
本発明の効果確認のために、上述実施形態の構成を用いてパワーモジュール用基板を製造した。また、比較例として、特許文献1に提案されるようなばねによる付勢構造が設けられた製造装置を用いてパワーモジュール用基板を製造し、評価を行った。
比較例の製造装置においては、ベース板、ガイドポスト、押圧板の他に、ばねによる付勢構造として、ばねとばねの背部を支持する固定板とが備えられ、実施例の製造装置には、ばねと固定板による付勢構造に代えてナット114が設けられる。
【0031】
積層体は、板厚0.635mmの窒化アルミニウムからなる一辺が30mmの正方形のセラミックス基板の両側に、Al−Si合金のろう材箔を介して28mm角のアルミニウム金属層(回路層の厚み0.6mm、放熱層の厚み1.5mm)を配置したものとした。また、クッションシートとしては、厚さ1mmのグラファイト層の両面に、厚さ1mmのカーボン層をろう付けした35mm角のものを用いた。そして、各積層体の両面にクッションシートを積層してベース板と押圧板との間に配置して加熱処理を施し、それぞれ15ユニットのパワーモジュール用基板を製造した。
なお、実施例の製造装置においては、常温時において積層体及びクッションシートが加圧されない程度にナットを締めつけて製造した。また、比較例の製造装置においては、ばねによる付勢力を作用させており、そのばねによる積層方向の押圧力は、0.5×10Pa〜5×10Paとなるものを用いた。
【0032】
その結果、比較例の製造装置では、適切に使用し得るパワーモジュール用基板の接合力を得るまで5〜6時間の加熱時間を要したところを、実施例の製造装置でパワーモジュール用基板を製造した場合には4時間程度に短縮できることがわかった。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記の実施形態においては、クッションシートは、板材のカーボン層をグラファイト層にろう付けして構成されていたが、グラファイト層の熱膨張を拘束せずに構成できるものであればよく、グラファイト層の表面にカーボン層をコーティングして構成しても良いし、その他の方法により構成してもよい。
また、クッションシートは、上記実施形態のように、グラファイト層の両面にそれぞれカーボン層を設けた三層構造のものだけではなく、さらに複数のグラファイト層とカーボン層とを交互に積層して、例えば五層構造等で構成してもよい。また、クッションシートを複数重ねる場合に、全てのクッションシートを同一構成のものとしなくてもよく、グラファイト層の厚いクッションシートや、グラファイト層の薄いクッションシート等が混在していてもよい。
また、固定手段として、ガイドポストの雄ねじ部にナットを締結する構造としたが、ナットに代えて、ガイドポストの任意の位置に固定可能なクランプ等を用いてもよい。
また、上記実施形態では、金属層に純度99.90%以上のアルミニウムを用いたが、純度99%以上のアルミニウム又はアルミニウム合金を用いてもよい。また、回路層及び放熱層となる金属層に同じ材質のものを用いたが、両金属層はこれに限定されるものではなく、回路層及び放熱層を別々の材質としてもよい。例えば、放熱層にアルミニウムを用い、回路層に銅を用いる構成とすることができる。
さらに、上記の実施形態においては、セラミックス基板の両面に回路層及び放熱層となる金属層を積層してパワーモジュール用基板を構成し、その放熱層にヒートシンクを取り付ける構成としていたが、放熱層を設けずにセラミックス基板の裏面に直接ヒートシンクをろう付け等により接合してパワーモジュール用基板を構成してもよい。
【0034】
さらに、セラミックス基板と金属層とは、拡散接合(Transient Liquid Phase Diffusion Bonding)によって接合してもよい。その接合方法について簡単に説明すると、金属層にスパッタリングによってAgを含有する固着層を形成した後、その固着層をセラミックス基板に接触させた状態で積層し、この積層体を加圧、加熱することにより、Agが金属層に拡散して金属層の固着層近傍の融点を低下させ、セラミックス基板と金属層との界面に溶融金属層を形成する。さらに、拡散が進むと、溶融金属層のAg濃度が低下して融点が上昇することにより凝固して、セラミックス基板と金属層とが接合される。
【符号の説明】
【0035】
1 パワーモジュール
2 セラミックス基板
3 パワーモジュール用基板
4 電子部品
5 ヒートシンク
6,7 金属層(アルミニウム金属層)
8 はんだ接合層
16 流路
30 積層体
40 クッションシート
41 グラファイト層
42 カーボン層
100 パワーモジュール用基板の製造装置
110 固定手段
111 ベース板
112 ガイドポスト
112a 雄ねじ部
113 押圧板
114 ナット(ストッパ)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス基板に金属層を接合材を介して積層した積層体を高温下で加圧することにより接合してパワーモジュール用基板を製造するための装置であって、前記積層体の両面に配置されるクッションシートと、加熱時の熱膨張に伴う前記積層体及び前記クッションシートの積層高さの増大を拘束する固定手段とを具備するとともに、前記クッションシートは、グラファイト層の両面にカーボン層が形成されてなることを特徴とするパワーモジュール用基板の製造装置。
【請求項2】
前記固定手段は、前記積層体及び前記クッションシートが載置されるベース板と、前記ベース板の上面に上下方向に沿って取り付けた複数のガイドポストと、前記ベース板上に積み重ねられた前記積層体及び前記クッションシートの上に配置される押圧板と、前記ガイドポストの上端部に取り付けられて前記押圧板の上方への移動を規制するストッパとにより構成されていることを特徴とする請求項1記載のパワーモジュール用基板の製造装置。
【請求項3】
前記ガイドポストの上端部に雄ねじ部が形成されており、前記ストッパは、前記ガイドポストの雄ねじ部に螺合するナットにより構成されていることを特徴とする請求項2に記載のパワーモジュール用基板の製造装置。
【請求項4】
接合材を介在させてセラミックス基板と金属層とを積層した積層体と、グラファイト層の両面にカーボン層が形成されたクッションシートとを積層し、これらの積層高さの増大を拘束した状態で加熱することにより、前記セラミックス基板と前記金属層とを接合してパワーモジュール用基板を製造することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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