説明

パワーモジュール

【課題】電力用半導体素子用の入出力端子機能を有するとともに、配置の自由度が高く、さらにデバイス全体の小型化が可能なパワーモジュールを提供する。
【解決手段】パワー回路11を収納したケース1内に第1樹脂が注入されて形成されるパワーモジュール101であって、導体フレームを上記第1樹脂とは異なる第2樹脂にて予めモールドして互いに電気的に絶縁しながら機械的に連結しかつ電気的回路を形成した成型部品206をケース内に備え、上記導体フレームは、当該パワーモジュールの外部端子、及びパワー回路との電気的接続端子を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電及び送電から効率的なエネルギーの利用及び再生まであらゆる場面で利用されるパワーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
輸送機器から家電や情報端末まであらゆる製品にパワーモジュールが普及しつつあり、コンパクトで低コストかつ生産性の高いパワーモジュールのパッケージ構造及びその製造方法の開発が急務となっている。特に欧州市場では、プレスフィット端子やスプリング端子といった、ユーザがはんだを用いずにアセンブリ可能な、パワーモジュールのパッケージ形態が普及しつつあり、このような製品を早急にラインアップする必要がある。
また、動作温度が高く、効率に優れている点で、今後の主流となる可能性の高いSiC半導体に適用できるパッケージ形態であることも同時に求められている。
【0003】
上述のようなパッケージ形態の一例として、コネクタ部分や電線部分等を形成した金属板に樹脂製で枠状のハウジングを一体成形し、コンデンサ等の電子機器を上記金属板に差し込み搭載する形態がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、電力用半導体素子等を搭載したリードフレームをヒートシンク上に載置し、これらを樹脂にて封止して、電力端子等をパッケージ上面から導出したパッケージ形態もある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらにまた、パワー半導体素子を実装した複数のリードフレームを積層して配置し、これらのリードフレームを一括してトランスファモールドして形成されたパッケージ形態もある(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
さらに、セラミック基板に実装したパワー半導体素子上に、パワー半導体素子制御用の制御素子を実装した制御基板がリードフレームを介して電気的に接続されたパッケージ形態もある(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−120838号公報
【特許文献2】特開2008−27993号公報
【特許文献3】特開2010−192807号公報
【特許文献4】特開2006−303006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
金属板のバスバーをケース内にインサートモールドする場合には、金属板バスバーの配置自由度が低くその位置決めに問題があり、コスト高になる問題もある。また、インサートモールド用樹脂は、封止ゲルやポッティング樹脂などに比べると絶縁性能が低いため、大電流端子間の距離を大きく確保する必要があり、モジュールの小型化の障害となっていた。
【0009】
これに対し、上記特許文献1に開示される制御ユニットでは、コネクタ部分や電線部分等を形成した金属板全体をモールドするのではなく、金属板の周縁部分に対して枠状のハウジングを成型するが、電気的に絶縁されていない状態の金属板を用いるため、回路機能を持たせるには自由度が不足している。また、組み立て後に、金属板のダイバー部分をドリルで切削除去することから、この際に発生する金属くずによる絶縁破壊の懸念もある。また、上記特許文献2に開示される半導体装置でも、リードフレームはケースとは別にモールドされるが、リードフレーム自体の位置決めの自由度は依然として低いままである。
【0010】
また、上記特許文献3に開示される半導体装置、及び上記特許文献4に開示されるパワーモジュールは、共に、制御回路とパワー回路とを重ねて配置することでデバイスの小型化を図っている。しかしながら、特許文献3の半導体装置では、複数のリードフレームをトランスファモールドするのが困難であり、特許文献4のパワーモジュールでは、基板間接続が困難であり、パワー回路が発生する大きな誘導起電力がドライブ回路に与えるノイズの影響について無視できない可能性があった。
【0011】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、電力用半導体素子用の入出力端子機能を有するとともに、配置の自由度が高く、さらにデバイス全体の小型化が可能な、パワーモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様におけるパワーモジュールは、電力用半導体素子を有するパワー回路を収納したケース内に封止樹脂である第1樹脂が注入されて形成されるパワーモジュールであって、複数の導体フレームを上記第1樹脂とは異なる第2樹脂にて予めモールドして互いに電気的に絶縁しながら機械的に連結しかつ電気的回路を形成した成型部品を上記ケース内に備え、上記導体フレームは、当該パワーモジュールの外部端子、及び上記パワー回路との電気的接続端子を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様におけるパワーモジュールによれば、導体フレームを第2樹脂でモールドした成型部品を用いることで、プリント基板に比較して導体の断面積が格段に増大し、大電流への対応が可能である。また、成型部品を一つの回路部品として扱うことができ、回路機能を有しながら、さらに成型部品の導体フレームを3次元的に加工でき、パワー回路との入出力や外部入出力端子として機能させることができる。よって、導体フレームを含めて成型部品における配置の自由度を従来に比べて向上させることができる。また、このような端子部分は、最終的にゲルやポッティング樹脂等の第1樹脂で封止され電気的に絶縁されることから、大電流の入出力端子間の距離を小さくすることができ、当該パワーモジュールの小型化を実現することもできる。また、このように成型部品は、プリント基板よりも電磁遮蔽効果が大きいためパワー回路からのノイズの遮断も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】本発明の実施の形態1におけるパワーモジュールの斜視図である。
【図1B】図1Aに示すパワーモジュールの上面図である。
【図2A】本発明の実施の形態2におけるパワーモジュールの断面図である。
【図2B】図2Aに示すパワーモジュールの上面図である。
【図2C】図2Aに示すパワーモジュールの製造過程における初期段階の状態を示す斜視図である。
【図2D】図2Aに示すパワーモジュールの製造過程において成型部品の装填段階の状態を示す斜視図である。
【図2E】図2Aに示すパワーモジュールの製造過程において最終段階の状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態3におけるパワーモジュールの断面図である。
【図4】各実施の形態のパワーモジュールに備わる成形部品における電極間の絶縁を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態であるパワーモジュールについて、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
【0016】
実施の形態1.
図1A及び図1Bは、本発明の実施の形態1によるパワーモジュール101を示している。このパワーモジュール101は、電力用半導体素子に相当するパワーチップ4を有するパワー回路11をケース1内に収納し、このケース1内に、ゲル又はポッティング樹脂のような封止樹脂である第1樹脂を注入して形成されるモジュールである。このようなパワーモジュール101は、ケース1、パワー回路11、及び第1樹脂の他に、基本的構成部分として、成型部品106を備える。以下には、これらの構成部品について詳しく説明する。
【0017】
ケース1は、樹脂製で枠状に成形され、ケース1の一方の開口部には金属製の放熱基板2が底板としてケース1と一体的に取り付けられている。ケース1の内側において放熱基板2には導体層3が形成され、パワーチップ4がはんだダイボンドによって導体層3に搭載され、パワーチップ4と共にパワー回路11が形成されている。さらに、ケース1の内側で放熱基板2上には、パワー回路11を取り囲む成型部品106が配置される。
【0018】
成型部品106は、複数の導体フレーム5を上記第1樹脂とは異なる第2樹脂つまりインサートモールド樹脂(PPS)161にて予めモールドして互いに電気的に絶縁しながら機械的に連結しかつ電気的回路を形成した部品、いわゆるインサートモールド部品である。成型部品106に備わる上記導体フレーム5の一部は、当該パワーモジュール101の外部端子50A、及びパワー回路11との電気的接続端子50Bを有する。詳しく説明すると、本実施形態1では、各導体フレーム5は、0.3mmの厚さを有するCuリードフレームを打ち抜いて作製され、さらに、導体フレーム5の一部には、外部端子50Aに相当する外部ネジ止め電極51、外部バネ電極53、及びプレスフィット電極54、並びに、電気的接続端子50Bに相当するワイヤボンド電極55が形成されている。
【0019】
このような成型部品106は、図示するように、ケース1の内でパワー回路11を取り囲む枠状の形状を有し、ケース1内に位置決め、固定される。また、外部ネジ止め電極51、外部バネ電極53、及びプレスフィット電極54は、当該パワーモジュール101の外側に向けて配置され、外部ネジ止め電極51の一端は、ケース1の所定の位置に対して固定され、パワーチップ4間は、外部ネジ止め電極51の一部によって電気的に接合される。また、別の外部ネジ止め電極51及び外部バネ電極53は、放熱基板2の導体層3に接合される。
【0020】
また、パワーチップ4の信号回路は、成型部品106におけるワイヤボンドステー部61に形成したワイヤボンド電極55に対してAlワイヤボンド8で電気的に接続され、それぞれの信号は、外部バネ電極53やプレスフィット電極54に供給される。
さらに、上述の各外部端子50Aが外側に露出するようにして、封止用ゲルやポッティング樹脂の第1樹脂をケース1内部に充填してパワーモジュール101が完成する。
【0021】
以上のように構成されたパワーモジュール101によれば、金属板にてなる導体フレーム5を第2樹脂でモールドした成型部品106を用いることで、プリント基板における構成に比較して導体の断面積を格段に増大させることができる。よって、一部の導体フレーム5には、大きな電流が流れるパワー回路との入出力や外部入出力端子としての機能をもたせることが可能である。また、このような端子部分を含む成型部品106も最終的に第1樹脂で封止され電気的に絶縁されることから、大電流の入出力端子間の距離を小さくすることができ、当該パワーモジュールの小型化を実現することができる。また、成型部品106において、プリント基板と同様の回路機能を初めから持たせることが可能となり、プリント基板よりも電磁遮蔽効果が大きいためパワー回路11からのノイズの遮断が可能である。
【0022】
上述のパワーモジュール101では、導体フレーム5として0.3mm厚のCuを用いたが、電気及び熱を導通する部材であれば金属に限らず、その材質及び厚さは限定されない。また、本実施形態では打ち抜きによって導体フレーム5を形成したが、エッチングやレーザ加工、ペースト焼成などの方法によっても同様の導体フレーム5を形成することができる。
また、成型部品106における各導体フレーム5は、インサートモールド手法によって連結しているが、トランスファモールドやカスタマヘッダ(樹脂への金属部材挿入)など他の手法によって形成しても同様の効果が得られる。
また、成型部品106のインサートモールド樹脂161としてPPS(ポリフェニレンスルファイド)を用いたが、LCP(液晶ポリマー)など他の樹脂を用いても同様の効果が得られる。
【0023】
また、各電極とパワーチップ4や放熱基板2の導体層3との接合については、ここでははんだ付けを用いたが、バネ力を用いた押圧、導電性接着剤による接着、あるいは超音波圧接などによっても同様の効果が得られる。
また、信号回路については、ワイヤボンドステー部61に形成したワイヤボンド電極55に対するAlワイヤボンド8を用いたが、AuワイヤやCuワイヤなど他の金属ワイヤやリボンを用いても同様の効果が得られ、ワイヤボンドステー部61を省略して空中に延長されたワイヤボンド電極に対してはんだ付けや導電性接着剤接着やバネ圧着などによって電気的接続を行うことも可能である。
また、ここでは外部端子50Aとして外部ネジ止め電極51や外部バネ電極53などを用いたが、ピン電極を用いたソケット実装やはんだ付けなども適用可能である。
【0024】
実施の形態2.
実施の形態1におけるパワーモジュール101では、成型部品106に備わる導体フレームは、外部ネジ止め電極51等の外部端子50Aや、ワイヤボンド電極55に相当する電気的接続端子50Bを有するのみである。一方、本実施の形態2におけるパワーモジュールでは、成型部品に備わる導体フレームは、外部端子50A等に加えて、パワー回路の制御を行う制御回路を有する。
【0025】
例えば図2Aに示すように、本実施の形態2におけるパワーモジュール201は、ケース1内に、パワー回路11とパワー回路11の制御を行う制御回路210とを備え、各回路11、210は、ケース1内にて第1樹脂9にて封止される。図2Aから図2Eを参照して、より詳しく以下に説明する。尚、パワーモジュール201は、図2Cから図2Eの順で組み立てられる。
【0026】
図2Cに示すように、また、上述のパワーモジュール101と同様に、ケース1の底板を形成する放熱基板2に形成された導体層3には、はんだダイボンドつまりダイボンド部12によってパワーチップ4が搭載され、パワーチップ4と共にパワー回路11が形成されている。
パワーチップ4間は、バスバー13によって電気的に接合され、パワーチップ4は、放熱基板2の導体層3に対してAlワイヤボンドによって接続される。
【0027】
次に図2Dに示すように、ケース1の対向する2つの内面にそれぞれ一対ずつ成型された位置決め用の嵌合部214に対して成型部品206が嵌合され、位置決め及び固定される。よって図2Aに示すように、成型部品206は、放熱基板2上に形成されるパワー回路11に対して層状に重ねて配置される。
【0028】
成型部品206は、複数の板状の導体フレーム205を第1樹脂9とは異なる第2樹脂にてモールドして互いに電気的に絶縁しながら機械的に連結したインサートモールド部品である。ここで、導体フレーム205は、本実施の形態2では、0.3mmの厚さを有するCuリードフレームを打ち抜いて作製され、図2A等に示す例えばダイボンド電極56、外部ネジ止め電極51、内部バネ電極52、外部バネ電極53、プレスフィット電極54、及びワイヤボンド電極55が相当する。これらの導体フレーム205は、第2樹脂に相当するインサートモールド樹脂(PPS)216によって機械的に連結されている。
【0029】
また、このような成型部品206のダイボンド電極56には、制御回路210を構成する制御回路チップ207がダイボンドされ、Alワイヤボンド8によってワイヤボンド電極55や制御回路チップ207間が接続されている。また、パワーチップ4の信号回路も、ワイヤボンド電極55に対してAlワイヤボンドで電気的に接続される。
上述の成型部品106では、成型部品106を形成する導体フレーム5は外部端子50A等を有するのみであったが、このようにパワーモジュール201における成型部品206は、外部端子等に加えて制御回路210を有する。
【0030】
また、成型部品206における外部ネジ止め電極51は、放熱基板2の導体層3に接続されるとともに、ケース1の所定位置に固定される。また、内部バネ電極52は、放熱基板2の導体層3と接続され、パワー回路11と制御回路210とを電気的及び機械的に接続する。また、図2Eに示すように、成型部品206に備わる制御回路チップ207に対してワイヤボンドなどによって電気的に接続することも可能である。
【0031】
最後に、外部ネジ止め電極51、外部バネ電極53、及びプレスフィット電極54の外部端子50Aが当該パワーモジュール201から外側に露出するようにして、封止用ゲルやポッティング樹脂の第1樹脂9がケース1の内側に充填され、パワーモジュール201が完成する。
【0032】
以上のように構成される実施形態2のパワーモジュール201においても、実施形態1のパワーモジュール101と同様に、大電流の入出力が可能、パワーモジュールの小型化が可能、及びパワー回路からのノイズの遮断が可能、という効果を得ることができる。また、実施形態2のパワーモジュール201では、成型部品206は、制御回路210を有することから、回路として独立しており、制御回路210単体で電気的な試験、性能試験等を行うことが可能である。このとき、例えば制御回路チップ207がベアチップのまま露出状態であれば、パワー回路11との電気配線も容易である。
【0033】
また、実施の形態1で説明した構成上の変形例は、当該実施形態2のパワーモジュール201に対しても有効である。
また、パワーチップ4間の接続や、パワーチップ4と放熱基板2との接続に、バスバー13やAlワイヤボンド8を用いたが、成型部品206における導体フレーム205の一部を延長してそれらの接続に利用してもよい。
【0034】
また、本実施の形態2では、成型部品206は、嵌合部214によって、ケース1に対する位置決め及び固定を行ったが、成型部品206側に突起などを形成したり、あるいは成型部品206を構成する導体フレームの一部に位置決めや固定用の手段を形成しても、同様の効果が得られる。
【0035】
また、本実施の形態2では、制御回路チップ207は、成型部品206における上面、つまりパワー回路11とは反対向面側に配置しているが、成型部品206における裏面つまりパワー回路11との対向面側に配置しても良く、同様の効果を得ることができる。
また、成型部品206を、パワー回路11部分よりも先に、封止ゲルやポッティング樹脂つまり第1樹脂9で埋め込んでも良く、同様の効果が得られる。
【0036】
実施の形態3.
上述した実施の形態1、2のパワーモジュール101、201では、ケース1内に成型部品106、206を封止する形態である。これに対し本実施の形態3では、成型部品206を金型成型によるトランスファモールドする形態を採る。以下に詳しく説明する。
【0037】
図3は、本実施の形態3におけるパワーモジュール301を示している。このパワーモジュール301がパワーモジュール101、201と相違する点は、上述のように、ケース1を有しない点、及び放熱基板2に代えてパワー回路用フレーム315を用いる点である。
即ち、本実施形態ではCu製で、厚さ0.6mmのパワー回路用フレーム315に、パワーチップ4がはんだダイボンド(はんだダイボンド部12)によって搭載されている。このパワー回路用フレーム315を含めてパワーチップ4とともにパワー回路311を形成している。また、パワーチップ4間はバスバー13によって電気的に接合され、パワーチップ4の信号回路とパワー回路用フレーム315とはAlワイヤボンドによって接合される。
【0038】
制御回路210を有する成型部品206は、実施の形態2で説明したものである。つまり、成型部品206は、0.3mmの厚さを有するCu製のリードフレームを打ち抜くことによって、外部ネジ止め電極51、内部バネ電極52、プレスフィット電極54、ワイヤボンド電極55、ダイボンド電極56が形成され、これらは第2樹脂であるインサートモールド樹脂(PPS)216によって機械的に連結されている。
【0039】
成型部品206は、パワー回路用フレーム315上に位置決め、固定される。このとき、成型部品206における一部の導体フレーム205で形成された内部バネ電極52は、接続導体となって、パワー回路311を形成しているパワー回路用フレーム315と電気的に接続する。
【0040】
最後に、パワー回路311及び成型部品206は、トランスファモールド金型に収容され、第1樹脂に相当するトランスファモールド樹脂316を充填することでパワーモジュール301が完成する。
【0041】
以上のように構成される実施形態3のパワーモジュール301においても、実施形態1、2のパワーモジュール101、201と同様に、大電流の入出力が可能、パワーモジュールの小型化が可能、及びパワー回路からのノイズの遮断が可能であるとともに、成型部品206において制御回路210単体での試験が可能である。
【0042】
また、一般的にトランスファモールドは、金型成型によるものであることから、被モールド体からの電極の取り出し方向に制約が多い。しかしながら、本実施の形態3によるパワーモジュール301では、封止する成型部品206を別個に準備することから、電極の取り出し方向における自由度が増すという利点がある。
【0043】
実施の形態3では、上述したように、パワー回路用フレーム315として0.6mm厚のCuを用いたが、電気及び熱を導通する部材であれば材質は金属に限定するものではなく、その厚さも限定しない。また、成型部品206における導体フレーム205として、0.3mm厚のCuを用いたが、同様に、電気及び熱を導通する部材であれば材質は金属に限定するものではなく、その厚さも限定しない。
また、パワー回路用フレーム315、及び成型部品206における導体フレーム205は、打ち抜きによって形成したが、エッチングやレーザ加工、ペースト焼成などの方法によって形成してもよい。
また、成型部品206における導体フレーム205について、インサートモールド手法によって連結する手法を用いたが、トランスファモールドやカスタマヘッダ(樹脂への金属部材挿入)など他の手法によっても同様の効果が得られる。
【0044】
さらにまた、各電極とパワーチップ4やパワー回路用フレーム315との接合について、ここでははんだ付けを用いたが、バネ力を用いた押し付けや導電性接着剤による接着や超音波圧接などによっても同様の効果が得られる。
また、信号回路については、ワイヤボンドステー部に形成したワイヤボンド電極に対するAlワイヤボンドを用いたが、AuワイヤやCuワイヤなど他の金属ワイヤやリボンを用いても同様の効果が得られ、ワイヤボンドステーを省略して空中に延長されたワイヤボンド電極に対してはんだ付けや導電性接着剤接着やバネ圧着などによって電気的接続を行うことも可能である。
また、ここではパワーチップ4間の接続や、パワーチップ4とパワー回路用フレーム315との接続にバスバー13やAlワイヤボンドを用いたが、成型部品206の導体フレーム205の一部を延長して、これらの接続に利用することも可能である。
【0045】
また、ここでは外部端子として外部ネジ止め電極や外部バネ電極などを用いたが、ピン電極を用いたソケット実装やはんだ付けなども適用可能である。
【0046】
また、成型部品206について、インサートモールド樹脂216自体は電気的絶縁性が低いことから、大電流回路においてインサートモールド樹脂216では各電極(導体フレーム)間の絶縁性の確保が難しい場合もある。この場合には、図4に示すように、電極57,58をくし歯状にインサートモールド樹脂216で連結し、封止ゲルやポッティング樹脂9、あるいはトランスファモールド樹脂316など絶縁性に優れた樹脂によって、各電極間を充填することによって、絶縁性を確保することが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1 ケース、4 パワーチップ、5 導体フレーム、9 ポッティング樹脂、
11 パワー回路、51外部ネジ止め電極、52 内部バネ電極、
53 外部バネ電極、54 プレスフィット電極、
55 ワイヤボンド電極、56 ダイボンド電極、
101 パワーモジュール、106 成型部品、161 第2樹脂、
201 パワーモジュール、205 導体フレーム、206 成型部品、
207 制御回路チップ、210 制御回路、214 嵌合部、
216 インサートモールド樹脂、
301 パワーモジュール、311 パワー回路、315 パワー回路用フレーム、
316 トランスファモールド樹脂。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力用半導体素子を有するパワー回路を収納したケース内に封止樹脂である第1樹脂が注入されて形成されるパワーモジュールであって、
複数の導体フレームを上記第1樹脂とは異なる第2樹脂にて予めモールドして互いに電気的に絶縁しながら機械的に連結しかつ電気的回路を形成した成型部品を上記ケース内に備え、上記導体フレームは、当該パワーモジュールの外部端子、及び上記パワー回路との電気的接続端子を有する、
ことを特徴とするパワーモジュール。
【請求項2】
電力用半導体素子を有するパワー回路及びその制御を行う制御回路を金型成型によって第1樹脂で封止成型されるパワーモジュールであって、
上記制御回路は、複数の板状の導体フレームを上記第1樹脂とは異なる第2樹脂にてモールドして互いに電気的に絶縁しながら機械的に連結した成型部品に形成され、
上記導体フレームは、上記パワー回路を形成するパワー回路用フレームとの接続端子を有する、
ことを特徴とするパワーモジュール。
【請求項3】
上記導体フレームは板状であり、上記成型部品は、この板状の導体フレームに実装されて上記電力用半導体素子を制御する半導体チップ及び受動素子を有し、及び、この半導体チップ及び受動素子と上記パワー回路とを電気的に接続する接続導体を有する、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
上記接続導体は、その一部が当該パワーモジュールの外部に露出する、請求項3に記載のパワーモジュール。
【請求項5】
パワー回路との上記電気的接続端子、及び上記外部端子は、はんだ接続不要な形状に機械的加工されている、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項6】
上記ケースは、上記成型部材と嵌合し当該ケース内に成型部材を位置決めする嵌合部を有する、請求項3に記載のパワーモジュール。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−33874(P2013−33874A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169727(P2011−169727)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】