説明

パワーユニットの減速室のブリーザ構造

【課題】簡単な構造で減速室から延出するブリーザパイプを位置決めし、ブリーザパイプの取付作業が容易にできるパワーユニットの減速室のブリーザ構造を供する。
【解決手段】減速装置110を覆うように減速装置カバー25が伝動ケース23の後部に被せられて減速室110Cを構成するパワーユニット20において、減速室110Cから上方に向け外部に延出したブリーザパイプ171が、伝動ケース23側に屈曲して同伝動ケース23の上面および伝動ケースカバー24の上面に沿って延び、その先端開口が伝動ケースカバー24のさらに外側面を覆うサイドカバー27の内面に設けられた開口支持部27pに臨み、伝動ケース23の上面に前後方向に指向して突条23Tが突出形成され、突条23Tに形成された切欠き23vにブリーザパイプ171が嵌合して位置決めされるパワーユニットの減速室のブリーザ構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車に揺動自在に設けられるパワーユニットの減速室のブリーザ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車に揺動自在に設けられるスイング式のパワーユニットは、伝動機構でパワーユニット後部に伝達された動力が、減速機構を介して後輪に伝達される。
パワーユニットの後部は、伝動機構を収容する伝動室と仕切って該減速機構を収容する減速室が形成されている。
【0003】
この減速室のブリーザ構造については、種々提案されているが、いずれも減速室から延出したブリーザパイプが伝動室内を延びて外部と連通するに適した箇所に設けられた孔に先端開口を位置させている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−355424号公報
【0005】
同特許文献1に開示されたパワーユニットでは、減速室から伝動室内に延出したブリーザパイプは、伝動ケースの内面に形成されたガイド溝に案内されて伝動ケースの左側カバー(内カバー)に向かい同左側カバーに穿設された円孔に先端開口を臨ませている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、ブリーザパイプを、伝動ケースの内面に沿って配管しなければならず、かつ左側カバーを伝動ケースに組み付けるに際して伝動ケースの内側から突出するブリーザパイプの先端開口を左側カバーに穿設された円孔に臨ませるようにしなければならないので、ブリーザパイプの取付作業が容易でなく面倒である。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、簡単な構造で減速室から延出するブリーザパイプを位置決めし、ブリーザパイプの取付作業が容易にできるパワーユニットの減速室のブリーザ構造を供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、自動二輪車に揺動自在に設けられるパワーユニットであって、内燃機関のクランク軸を回転自在に軸支するクランクケースを兼ねる伝動ケースの一側方にベルト式無段変速機が設けられ、同ベルト式無段変速機を覆うように伝動ケースカバーが一側方から前記伝動ケースに被せられて変速室を構成するとともに、伝動ケースの後部の他側方に減速装置が設けられ、同減速装置を覆うように減速装置カバーが他側方から伝動ケースの後部に被せられて減速室を構成するパワーユニットにおいて、前記減速室から上方に向け外部に延出したブリーザパイプが、前記伝動ケース側に屈曲して同伝動ケースの上面および前記伝動ケースカバーの上面に沿って延び、その先端開口が前記伝動ケースカバーのさらに外側面を覆うサイドカバーの内面に設けられた開口支持部に臨み、前記伝動ケースの上面に前後方向に指向して突条が突出形成され、前記突条に形成された切欠きに前記ブリーザパイプが嵌合して位置決めされるパワーユニットの減速室のブリーザ構造とした。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のパワーユニットの減速室のブリーザ構造において、前記減速装置カバーの側方から上方にかけて覆う防護カバーが、前記ブリーザパイプの屈曲部を覆い、前記サイドカバーの前記伝動ケースカバーの上面を覆う上壁が、前記伝動ケース側に延出して前記ブリーザパイプを上方から覆うことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載のパワーユニットの減速室のブリーザ構造において、前記伝動ケースの上面の前記突条は、前方のクランクケース相当部まで延びており、前記伝動ケースに取り付けられた補機類の配線が前記突条によって支持されることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項記載のパワーユニットの減速室のブリーザ構造において、前記伝動ケースに取り付けられた補機類の配線が、前記サイドカバーの内面に設けられ前記ブリーザパイプを支持する開口支持部と前記伝動ケースカバーの間に挟まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のパワーユニットの減速室のブリーザ構造によれば、ブリーザパイプは減速室から上方に向け外部に延出するので、ブリーザパイプの取り扱いが容易であり、伝動ケースの上面に前後方向に指向して突出形成された突条の切欠きにブリーザパイプを嵌合して位置決めすることも簡単にできるとともに、サイドカバーの組み付けに際してサイドカバーの内面に設けられた開口支持部にブリーザパイプの先端開口を臨ませることも簡単にできるため、ブリーザパイプの取付作業が容易にできる。
【0013】
請求項2記載のパワーユニットの減速室のブリーザ構造によれば、減速装置カバーの側方から上方にかけて覆う防護カバーが、ブリーザパイプの屈曲部を覆うので、ブリーザパイプの屈曲部を押えて固定することで、サイドカバーの組み付けに際してブリーザパイプが押されて変形するようなことを防止できるとともに、防護カバーによりブリーザパイプの屈曲部を保護することができる。
そして、サイドカバーの伝動ケースカバーの上面を覆う上壁が、伝動ケース側に延出してブリーザパイプを上方から覆うので、ブリーザパイプは前記防護カバーとサイドカバーにより全体が覆われ保護されるとともに、ブリーザパイプは外から見えず外観を良好に保つことができる。
【0014】
請求項3記載のパワーユニットの減速室のブリーザ構造によれば、伝動ケースの上面の前記突条は、前方のクランクケース相当部まで延びているので、この長尺の突条により伝動ケースカバーとサイドカバーとの間に水や泥その他の異物等が侵入するのを防止することができる。
伝動ケースに取り付けられた補機の配線が前記突条によって支持されるので、突条は異物の侵入防止、ブリーザパイプの位置決め、さらに補機の配線の支持の3種の機能を兼ね備えており、部品点数の削減と構造の簡素化を図ることができる。
ここに補機類には各種検出センサなども含む。
【0015】
請求項4記載のパワーユニットの減速室のブリーザ構造によれば、伝動ケースに取り付けられた補機の配線が、サイドカバーの内面に設けられ前記ブリーザパイプを支持する開口支持部と伝動ケースカバーの間に挟まれるので、サイドカバーの内面の開口支持部を補機の配線の位置決めに利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図22に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した一実施の形態に係るパワーユニット20を搭載したスクータ型自動二輪車1の側面図である。
車体前部2と車体後部3とが、低いフロア部4を介して連結されており、車体の骨格をなす車体フレームは、概ねダウンチューブ6とメインパイプ7とからなる。
【0017】
すなわち車体前部2のヘッドパイプ5からダウンチューブ6が下方へ延出し、同ダウンチューブ6は下端で水平に屈曲してフロア部4の下方を後方へ延び、その後端において左右一対のメインパイプ7が連結され、メインパイプ7は該連結部から斜め後方に立ち上がって所定高さで水平に屈曲して後方に延びている。
【0018】
同メインパイプ7により燃料タンクや収納ボックスが支持され、その上方にシート8が配置されている。
一方車体前部2においては、ヘッドパイプ5に軸支されて上方にハンドル11が設けられ、下方にフロントフォーク12が延びてその下端に前輪13が軸支されている。
【0019】
メインパイプ7の斜め傾斜部の中央付近にブラケット15が突設され、同ブラケット15に軸支されたリンク部材16を介してパワーユニット20が揺動自在に連結支持されている。
【0020】
パワーユニット20は、ユニットケース21の前部に内燃機関30が構成され、内燃機関30から後方にかけてベルト式無段変速機50が配設され、その後部に減速ギヤ機構110を一体に備えたもので、減速ギヤ機構110の出力軸が後車軸114で後輪17が取り付けられる(図2参照)。
【0021】
該パワーユニット20は、ユニットケース21の前部において前面上部に左右一対のパワーユニットハンガ21h,21hが前方に突出しており、前記リンク部材16の下端にピボット軸19を介してパワーユニットハンガ21h,21hが連結され、他方で揺動自在の後部においてユニットケース21(伝動ケース23)の後端のブラケット29と前記メインパイプ7との間にリヤクッション18が介装されている(図1参照)。
【0022】
内燃機関30は、単気筒の4ストロークサイクル内燃機関で、ユニットケース21の前面からシリンダブロック31、シリンダヘッド32およびシリンダヘッドカバー33が重ねられて略水平に近い状態にまで大きく前傾した姿勢で突出している。
【0023】
シリンダヘッド32における上側の吸気ポートから上方に延出し後方へ屈曲した吸気管34aにスロットルボディ34bが接続され、同スロットルボディ34bより後方へ延出した連結管34cがユニットケース21の後半部に後輪17の左側に沿って配置されたエアクリーナ34dに接続されている。
また、シリンダヘッド32における下側の排気ポートから下方に延出し後方へ屈曲した排気管35が右寄りに偏って後方へ延びて後輪17の右側のマフラー(図示せず)に接続される。
【0024】
車体前部2は、フロントカバー9aとリヤカバー9bにより前後から、フロントロアカバー9cにより左右側方から覆われ、ハンドル11の中央部はハンドルカバー9dによって覆われる。
フロア部4はサイドカバー9eにより覆われ、また車体後部3は左右側方からボディカバー10aおよびテールサイドカバー10bによって覆われる。
【0025】
図2はパワーユニット20の外観左側面図であり、図3は該パワーユニット20の左側外装カバーとなる前側サイドカバー26と後側サイドカバー27を外した左側面図であり、図4は該パワーユニット20のさらに伝動ケースカバー24を外した左側面図であり、図5は、該パワーユニット20の一部省略し減速ギヤカバー25を外した右側面図である。
そして、図6は、図2のVI−VI線に沿って切断し展開した断面図であり、図7は、図6の部分拡大図である。
【0026】
主として図6を参照して、ユニットケース21は、左右割りで、右ユニットケース22に対して左ユニットケースは後方に延出して伝動ケース23を構成している。
伝動ケース23は、前部右側に形成される左クランクケース部23aと前部から後部に亘って左側に形成される伝動ケース部23bと後部右側に形成される減速ギヤ部23cとからなり、前部の左クランクケース部23aが右ユニットケース22と合わされてクランク軸40を収容するクランク室40Cを構成し、伝動ケース部23bが左側から伝動ケースカバー24に覆われてベルト式無段変速機50を収容する変速室50Cを構成し、後部の減速ギヤ部23cが減速ギヤカバー25に覆われて減速ギヤ機構110を収容する減速ギヤ室110Cを構成する。
【0027】
クランク室40Cには、シリンダブロック31内に形成されたシリンダスリーブ31sがクランク室40C内に突出しており、同シリンダスリーブ31s内に摺動自在に嵌合されたピストン36の往復動がコンロッド37を介して、ユニットケース21に左右水平方向を指向して回転自在に支持されたクランク軸40に伝達され、クランク軸40が回転される。
【0028】
水平近くまで前傾したシリンダヘッド32に設けられる動弁機構38のカムシャフト38aには吸気ロッカアーム38biと排気ロッカアーム38beが揺動自在に接し、吸気ロッカアーム38biと排気ロッカアーム38beにより図示しない吸気バルブと排気バルブが開閉駆動される。 カムシャフト38aの右端部に嵌着された従動スプロケット38cとクランク軸40に嵌着された駆動スプロケット38dとに掛け渡されたタイミングチェーン38eによりクランク軸40の1/2の減速比でカムシャフト38aは回転される。
また、シリンダヘッド32にはピストン36の頂面が対向する天井面により画成される燃焼室39に電極を露出させて点火プラグ39pが取り付けられる。
【0029】
クランク室40Cには、クランク軸40がユニットケース21の左右の軸受円孔に主ベアリング41,41を介して回転自在に支持されて左右一対のクランクウエブ40w,40wが収容され、左右水平方向に延びた延出部のうち右延出部にはACジェネレータ42が設けられ、左延出部には変速駆動機構60とともにベルト式無段変速機50のドライブプーリ51が設けられている。
ACジェネレータ43には右側からジェネレータカバー28により覆われる。
【0030】
図7を参照して、クランク軸40の左端は、カラー54を介して伝動ケースカバー24の環状軸受部24Faにベアリング43を介して軸支されている。
ドライブプーリ51は、固定プーリ半体51sと可動プーリ半体51dとからなる。
【0031】
クランク軸40の小径に縮径する段部40aから左延出部には右からベアリング52、ガイドスリーブ53、固定プーリ半体51s、そして前記カラー54の順に嵌合されて、クランク軸40の左端面に座金55を介してボルト56により締結することによりベアリング52の内輪、ガイドスリーブ53、固定プーリ半体51sの基部、カラー54を締め付け、クランク軸40と一体とする。
【0032】
したがって、固定プーリ半体51sは、ガイドスリーブ53とカラー54とに挟まれてクランク軸40と一体に固定され、クランク軸40とともに一体に回転する。
なお、同固定プーリ半体51sの背面(左側面)に冷却ファン51Fが突出形成されている。
【0033】
一方、固定プーリ半体51sに右側で対向する可動プーリ半体51dは、その基部である円筒状の可動プーリハブ51dhがガイドスリーブ53に部分的にスプライン嵌合してクランク軸40とともに回転すると同時に軸方向に摺動自在としている。
【0034】
このように左側の固定プーリ半体51sに対向する右側の可動プーリ半体51dは、クランク軸40とともに回転し、かつ軸方向に摺動して固定プーリ半体51sに接近・離反することができ、この両プーリ半体51s,51dの対向するテーパ面間にVベルト58が挟まれて巻き掛けられる。
【0035】
図4および図6を参照して、伝動ケース23は、前部右側に形成される左クランクケース部23aに対して左側に形成される伝動ケース部23bにおけるパワーユニットハンガ21hより後方部位が上方に大きく膨出しており、この膨出部23eの上部に変速駆動機構60の駆動源である変速用電動モータ61が右側から取り付けられる。
【0036】
伝動ケース23の膨出部23eに対して部分的にギヤカバー部材(図示せず)が左側から取り付けられ、このギヤカバー部材と伝動ケース23の壁面との間に第1減速ギヤ軸63sと第2減速ギヤ軸65sが回転自在に軸支されており、前記変速用電動モータ61の駆動軸61sに形成された駆動ギヤ61aが第1減速ギヤ軸63sの大径ギヤ63aと噛合し、第1減速ギヤ軸63sの小径ギヤ63bが第2減速ギヤ軸65sの大径ギヤ65aと噛合している(図4参照)。
【0037】
一方、前記クランク軸40に嵌着されたベアリング52の外輪に基端部を支持された円板ボス部材66に雌ねじ部材67がボルト68により固着されており、雌ねじ部材67のフランジ部に大径ギヤ67aが形成されていて、同大径ギヤ67aが前記第2減速ギヤ軸65sの小径ギヤ65bと噛合する。
この雌ねじ部材67の円筒部67sの内周面に雌ねじ(スクリューねじ)が形成されている。
【0038】
前記可動プーリ半体51dを支持して軸方向に摺動自在の可動プーリハブ51dhの外周に嵌合されたベアリング69を介して雄ねじ部材70が支持され、同雄ねじ部材70の円筒部70sが、雌ねじ部材67の円筒部67sの内側にあって、円筒部67sの内周面の雌ねじに円筒部70sの外周面に形成された雄ねじが螺合している。
雄ねじ部材70は、円筒部70sの左端が雌ねじ部材67の円筒部67sの左開口端より左方に露出しており、同左端からフランジ部70aが可動プーリ半体51dの背面に沿って遠心方向に延出している。
【0039】
雄ねじ部材70のフランジ部70aの外周部に環状部材71が固着され、同環状部材71の後部が、後方に延びて雌ねじ部材67の大径ギヤ67aの外側に回り込むように軸方向右方に延出しており、その延出部71aを伝動ケース23の変速室50C内に突出した上下一対のガイド片72,72が、挟むようにして延出部71aの回転を規制するとともに、軸方向の移動を案内するように構成されている(図7参照)。
【0040】
したがって、可動プーリ半体51dと一体の可動プーリハブ51dhにベアリング69を介して支持された雄ねじ部材70は、ガイド片72,72に回転が規制されて軸方向にのみ摺動することができる。
【0041】
変速駆動機構60は、以上のように構成されており、変速用電動モータ61が駆動して駆動軸61sに形成された駆動ギヤ61aが回転すると、駆動ギヤ61aと噛合する第1減速ギヤ軸63sの大径ギヤ63aが小径ギヤ63bとともに減速回転し、この小径ギヤ63bと噛合する第2減速ギヤ軸65sの大径ギヤ65aが小径ギヤ65bとともにさらに減速回転し、この小径ギヤ65bと噛合する雌ねじ部材67の大径ギヤ67aがまたさらに減速回転し、雌ねじ部材67が回転する。
【0042】
雌ねじ部材67が回転すると、これと螺合した雄ねじ部材70が回転を規制されているので、ねじ機構により軸方向に移動する。
雄ねじ部材70の軸方向の移動は、ベアリング69を介して可動プーリハブ51dhを可動プーリ半体51dと一体に軸方向に移動し、可動プーリ半体51dを固定プーリ半体51sに接近・離反させることができる。
【0043】
なお、可動プーリ半体51dは、これを一体に支持する可動プーリハブ51dhがクランク軸40と一体のガイドスリーブ53にスプライン嵌合しているので、クランク軸40とともに回転しながら軸方向に移動することになる。
【0044】
このように変速用電動モータ61の正逆転駆動により可動プーリ半体51dが固定プーリ半体51sに対して接近・離反することで、両プーリ半体51s,51dの対向するテーパ面間に巻き掛けられるVベルト58の巻掛け径が変更されて無段変速が行われる。
【0045】
伝動ケース部23bの膨出部23eに右側から取り付けられる変速用電動モータ61の後方で斜め下にスタータモータ75が、右クランクケース22に取り付けられて配設されている。
スタータモータ75は、変速用電動モータ61と同様に駆動軸75sを左右方向に平行にした姿勢で、右クランクケース22の右側の幾らか後方に膨出した膨出部22eの左側面に左側から取り付けられる(図5参照)。
【0046】
右側面視である図5を参照して、スタータモータ75の駆動軸75sとクランク軸40との間に減速ギヤ軸76sが回転自在に軸支され、同減速ギヤ軸76sと一体の大径ギヤ76aが、駆動軸75sに形成された駆動ギヤ75aと噛合している。
一方、クランク軸40の右端に設けられたACジェネレータ42に隣接して従動ギヤ77がクランク軸40に回転自在に軸支された回転ボス78に嵌着支持されており(図6参照)、同従動ギヤ77が、前記減速ギヤ軸76sと一体の小径ギヤ76bと噛合している。
【0047】
なお、ACジェネレータ42のクランク軸40と一体のアウタロータ42rと回転ボス78との間に一方向クラッチ79が介装されている。
したがって、スタータモータ75が駆動して駆動軸75sに形成された駆動ギヤ75aが回転すると、駆動ギヤ75aと噛合する減速ギヤ軸76sの大径ギヤ76aが小径ギヤ76bとともに減速回転し、この小径ギヤ76bと噛合する従動ギヤ77が回転ボス78とともにさらに減速回転し、この回転ボス78の回転が一方向クラッチ79を介してACジェネレータ42のアウタロータ42rをクランク軸40とともに回転し、内燃機関30の始動を行うことができる。
【0048】
また、図5を参照して、クランク軸40の上方に、左右のクランクウエブ40w,40w間をバランサウエイト105wが回転するようにバランサ軸105が軸支され、バランサ軸105に嵌着されたバランサ従動ギヤ104がクランク軸40に嵌着されたバランサ駆動ギヤ103と噛合している。
したがって、クランク軸40の回転により同期して回転するバランサウエイト105wにより、内燃機関30の稼動に伴う振動を抑制している。
【0049】
次に、パワーユニット20の後部の構造について説明する。
図6を参照して、ベルト式無段変速機50のドライブプーリ51に対応するドリブンプーリ81は、固定プーリ半体81sと可動プーリ半体81dとからなり、互いに対向して、ともに従動軸82に支持されている。
従動軸82は、伝動ケース23と伝動ケースカバー24と減速ギヤカバー25の3箇所にそれぞれベアリング83,84,85を介して回転自在に軸支されている。
【0050】
図6を参照して、従動軸82の左側部分は段部から外径が若干縮径した小径部82aが形成されていて、同小径部82aにベアリング86、支持スリーブ87、カラー88の順に嵌合されて端部にナット89が螺着されて一体に締結されている。
【0051】
伝動ケースカバー24の環状軸受部24Raとカラー88との間に前記ベアリング84が介装されている。
支持スリーブ87には遠心式クラッチ90の椀状をしたクラッチアウタ91の基部が固着されて従動軸82と一体に回転するようになっている。
【0052】
従動軸82のクラッチアウタ91より右側の伝動ケースカバー24に覆われる部分の外周には、固定プーリ半体81sを支持する円筒状をした固定プーリハブ95が前記ベアリング86とベアリング96の介装により従動軸82と相対回転自在に軸支されている。
【0053】
この固定プーリハブ95の左端に遠心式クラッチ90のクラッチインナ92である支持プレート92aがナット97により固定されている。
支持プレート92aには枢軸92bによりアーム92cが基端部を軸支されており、同アーム92cの先端にクラッチシュー92dが固着されている。
アーム92cはクラッチシュー92dがクラッチアウタ91の内周面から離れる方向にばね92eにより付勢されている。
【0054】
このクラッチインナ92を支持する円筒状の固定プーリハブ95の外周には、可動プーリ半体81dを支持する円筒状をした可動プーリハブ98が、軸方向に摺動自在に設けられている。
すなわち、円筒状をした可動プーリハブ98に軸方向に長尺のガイド孔98aが形成されていて、固定プーリハブ95に突設されたガイドピン99が該ガイド孔98aに摺動自在に係合している。
【0055】
したがって、可動プーリハブ98は、ガイドピン99により固定プーリハブ95との相対回転を規制されるとともに、ガイド孔98aに案内されて固定プーリハブ95上を軸方向に摺動することができる。
固定プーリハブ95に一体に取り付けられた支持プレート92aと可動プーリハブ98との間にコイルばね100が介装されて、同コイルばね100により可動プーリハブ98は右方に付勢されている。
【0056】
以上のように構成されているため、可動プーリハブ98に支持される可動プーリ半体81dは、固定プーリハブ95に支持される固定プーリ半体81sと一緒に回転するとともに、軸方向に摺動自在であってコイルばね100により固定プーリ半体81sに接近する方向に付勢されている。
【0057】
かかる固定プーリ半体81sと可動プーリハブ98の対向するテーパ面間に前記Vベルト58が巻き掛けられ、ドライブプーリ51側の巻掛け径に連動してドリブンプーリ81の巻掛け径が反比例の関係で変動し無段変速が実行される。
【0058】
ドライブプーリ51の回転が所定回転数を超えると、遠心式クラッチ90のクラッチインナ92のクラッチシュー92dがクラッチアウタ91の内周面に接して一体に回転し、従動軸82に動力を伝達する。
【0059】
伝動ケース23の後部の右側には、減速ギヤカバー25に覆われて減速ギヤ機構110を収容する減速ギヤ室110Cを構成する。
図4に示すように、対向する伝動ケース23の後部と減速ギヤカバー25との間に、ベアリング111,111を介して減速ギヤ軸112sの両端が軸支されており、同減速ギヤ軸112sと一体の大径ギヤ112aが、前記従動軸82に形成された小径ギヤ82gと噛合している。
【0060】
同様に、伝動ケース23の後部と減速ギヤカバー25にベアリング113,113を介して後車軸114が回転自在に軸支されており、同後車軸114は右側のベアリング113から右方向に突出しており、同後車軸114と一体に嵌着された大径ギヤ114aが、前記減速ギヤ軸112sと一体の小径ギヤ112bと噛合している。
【0061】
後車軸114の減速ギヤカバー25より右方に突出した部分に後輪17が嵌着されている。
したがって、従動軸82の回転は、減速ギヤ機構110を介して減速されて後車軸114に伝達されて後輪17が回転される。
【0062】
以上のようなパワーユニット20の動力伝達構造において、ベルト式無段変速機50を冷却すべく伝動ケース23と伝動ケースカバー24により形成される変速室50Cに冷却風を導入する構成が伝動ケースカバー24の前部に設けられている。
【0063】
伝動ケースカバー24の左側面(外側面)図を図8に、同右側面(内側面)図を図9に、同断面図を図10に図示し、図8のXI−XI線断面図を図11に示す。
なお、パワーユニット20の略後半部を示す図18には、伝動ケース23とともに伝動ケースカバー24が斜視図で示されている。
【0064】
伝動ケースカバー24は、伝動ケース23との合せ面24sから前部が幾らか左側(外側)に略円形平板状に膨出して円形壁部24Fが形成され、後半部が大きくドーム状に膨出してドーム壁24Rが形成されている(図10,図18参照)
前側の円形壁部24Fが駆動プーリ51を覆い、後側のドーム壁24Rが遠心式クラッチ90を囲うように収容して覆う。
【0065】
なお、伝動ケースカバー24は、外側に膨出する円形壁部24Fとドーム壁24Rとの間に平坦な連結壁24C(図10,図18参照)が形成されるとともに、前部円形壁部24Fの上方には前記伝動ケース23の膨出部23eに対向して膨出部24eが形成されている。
【0066】
円形壁部24Fの中心部分にクランク軸40の左端をベアリング43を介して支持する前記環状軸受部24Faが形成され、ドーム壁24Rの頂点部分に従動軸82の左端をベアリング84を介して支持する前記環状軸受部24Raが形成されている。
【0067】
円形壁部24Fの中心部の環状軸受部24Faは、その内側の側壁が軸方向外側に膨出してクランク軸40の軸端を覆う小椀状の膨出壁24Fbを形成しており、同膨出壁24Fbの中央に小径の通気孔24Fcが穿孔されている。
同様に、ドーム壁24Rの中心部の環状軸受部24Raは、その内側の内側が軸方向外側に膨出してクランク軸40の軸端を覆う小椀状の膨出壁24Rbを形成しており、同膨出壁24Rbの中央に小径の通気孔24Rcが穿孔されている。
【0068】
前側の環状軸受部24Faの外周の円形壁部24Fには、放射状に6本形成される連結リブ24Fdを残して扇形の冷却風導入口24Feが6個穿設されている。
すなわち、6本の連結リブ24Fdにより環状軸受部24Faが支持されている。
この環状軸受部24Faの外周囲に形成される冷却風導入口24Feは、変速室50Cに冷却風を導入する開口である。
【0069】
6本の連結リブ24Fdのうち2本は、側面視で前後の通気孔24Fc,24Rcを結ぶ直線上にある。
すなわち、前後2本の連結リブ24Fdはベルト式無段変速機50の駆動軸であるクランク軸40と従動軸82とを含む平面S上に形成されている(図3参照)。
したがって、Vベルト58の回動により力を受ける伝動ケースカバー24の前後方向の剛性を確保することができ、振動を低減させることができる。
【0070】
6個の扇形の冷却風導入口24Feの外周縁と内周縁に沿って円環状の外環突部24Ffと内環突部24Fgが左方に若干突出している。
外環突部24Ffと内環突部24Fgは、膨出壁24Fbの外周囲にある。
外環突部24Ffの外周囲にフィルタホルダ121を取り付けるためのホルダ取付ボス24Fhが4個形成されている。
なお、円形壁部24Fの上方に前後2か所、下部に1か所の計3か所にカバー取付ボス24Fiが形成されている。
【0071】
他方、後側の環状軸受部24Raの外周のドーム壁24Rには、左側面(外側面)に中央の環状軸受部24Raから放射状に3本それぞれU字状にU字外側リブ24Rdが延びている。
すなわち、各U字外側リブ24Rdは、略平行な一対の側辺が環状軸受部24Raから遠心方向に延びて両先端が湾曲して連結されたU字状を形成している。
この3本のU字外側リブ24Rdは互いに等間隔であり、隣り合うU字外側リブ24Rdの基端部どうしが環状軸受部24Raのところで互いに連結している。
【0072】
そのうち1本のU字外側リブ24Rdは、環状軸受部24Raから前方に側面視で前後の通気孔24Fc,24Rcを結ぶ直線に平行に延び、伝動ケースカバー24の中央にまで至った先端湾曲部には伝動ケースカバー24を伝動ケース23に取り付けるためのカバー取付ボス24Rjが形成されている(図8参照)。
【0073】
この前方に延びるU字外側リブ24Rdの一対の各側辺は、図3に示す側面図において、ベルト式無段変速機50の駆動軸(クランク軸40)と従動軸82を含む平面Sに略平行で、かつ平面Sから略等距離に形成されている。
したがって、伝動ケースカバー24におけるドーム壁24Rの前後方向の剛性が特に高くなり、ベルト式無段変速機50のVベルト58の回動による前後方向の振動をより効果的に抑制することができる。
【0074】
他の2本のU字外側リブ24Rdは、前後方向に延びるU字外側リブ24Rdに対して環状軸受部24Raから斜め後方に上側と下側に略120度の角度方向に延び、各先端湾曲部にはカバー取付ボス24Reがそれぞれ形成されている。
したがって、ドーム壁24R全体の剛性を少ないリブにより効率的に高めることができる。
なお、連結壁24Cの下部に1か所カバー取付ボス24Riが形成されている。
【0075】
また、ドーム壁24Rの右側面(内側面)には、中央の環状軸受部24Raから放射状に6本の内側リブ24Rfが形成されている。
6本の内側リブ24Rfは、環状軸受部24Raの周囲に等間隔に形成されており、そのうち前後方向に延びる2本の内側リブ24Rfは側面視で前後の通気孔24Fc,24Rcを結ぶ直線上にある。
したがって、6本のうち3本の内側リブ24Rfは外側面の3本のU字外側リブ24Rdとそれぞれ略平行であり、図8に示す側面視で、その内側リブ24Rfは、U字外側リブ24RdのU字の側辺リブ間にあって、重なることはない。
【0076】
このように、伝動ケースカバー24の後側のドーム壁24Rは、外側面に3本のU字外側リブ24Rdが放射状に突出形成され、内側面に6本の内側リブ24Rfが放射状に突出形成されているので、U字外側リブ24Rdと内側リブ24Rfの相乗効果によりドーム壁24Rの剛性が格段に高く構成されているため、簡素で少ないリブによりドーム壁24Rの振動を抑制することができる。
【0077】
なお、伝動ケースカバー24のドーム壁24Rの前後方向中央の下部に冷却風導出路24yが形成されるとともに、後方斜め上部に冷却風導出路24zが形成されている。
【0078】
以上のような伝動ケースカバー24がベルト式無段変速機50を覆って伝動ケース23に被せられた状態が図3に示されている。
この伝動ケースカバー24の前側の円形壁部24Fにおける外環突部24Ffと内環突部24Fgとの間の6個の冷却風導入口24Feが穿設された環状部分に、中空円板状のフィルタエレメント120が嵌合され、フィルタホルダ121により外側から押さえつけられて冷却風導入口24Feにフィルタエレメント120が取り付けられる。
【0079】
フィルタホルダ121は、前記伝動ケースカバー24の外環突部24Ffと内環突部24Fgにそれぞれ嵌合する外環部121fと内環部121gおよび同内環部121gより放射状に延出して外環部121fに連結する6本の連結リブ121dから概ね形成され、外環部121fの4か所から放射方向に延出してボルトボス部121hが形成されている。
【0080】
フィルタホルダ121は、その6本の連結リブ121dが伝動ケースカバー24の6本の連結リブ24Fdに対向しており、したがって伝動ケースカバー24の6個の扇形の冷却風導入口24Feに対応して冷却風導入口121eが形成されている。
【0081】
フィルタホルダ121が、伝動ケースカバー24の外環突部24Ffと内環突部24Fgにそれぞれフィルタホルダ121の外環部121fと内環部121gを嵌合連結し、伝動ケースカバー24側の6本の連結リブ24Fdにフィルタホルダ121の6本の連結リブ24Fdが間にフィルタエレメント120を挟み付けるように押さえ、外周囲4か所のホルダ取付ボス24Fhにボルトボス部121hを重ねてボルト122により締結する。
【0082】
クランク軸40の軸端を覆うように伝動ケースカバー24の環状軸受部24Faから膨出した膨出壁24Fbの外周囲にフィルタホルダ121の6個の冷却風導入口121eとフィルタエレメント120が配置され、環状軸受部24Faの外周囲に伝動ケースカバー24の6個の冷却風導入口24Feが形成される構造であり、6個の冷却風導入口24Feは、クランク軸40に固定される固定プーリ半体51sの背面の冷却ファン51Fに対向する位置にある。
【0083】
したがって、クランク軸40と一体に回転する冷却ファン51Fによりフィルタホルダ121の外側から冷却風導入口121e,フィルタエレメント120,冷却風導入口24Feの順に冷却風が通過しろ過されて変速室50C内に導入される。
【0084】
伝動ケースカバー24におけるクランク軸40の端部をベアリング43を介して軸支する環状軸受部24Faの内側側壁が、軸方向外側に膨出してクランク軸40の軸端を覆う膨出壁24Fbを形成するので、吸入冷却風は膨出壁24Fbにより、その外周囲を整流されて環状軸受部24Faの外周囲の冷却風導入口24Feに円滑に導かれて変速室50Cに導入されるため、ベルト式無段変速機50への導入冷却風量を高めることができる。
変速室50Cに導入された冷却風は、ベルト式無段変速機50を冷却しながら後方に流れ、伝動ケースカバー24の後部の冷却風導出路24zから排出される。
【0085】
この伝動ケースカバー24の略前半部が側方から前側サイドカバー26により覆われ、略後半部が側方から後側サイドカバー27により覆われるので、上記冷却風導入口121e,24Feは、前側サイドカバー26により覆われる。
【0086】
前側サイドカバー26は、図12および図13に図示するように、伝動ケースカバー24の円形壁部24Fに対応する前側壁部26Fと、その上方に伝動ケースカバー24の膨出部24eに対応して膨出する膨出部26eを構成するとともに、前側壁部26Fより後方に上下幅を徐々に小さくして鋭角度に延出した延出部26Eが形成されている。
前側壁部26Fは、伝動ケースカバー24を前方から下方にかけて周壁26Cにより覆っている(図6および図7参照)。
【0087】
延出部26Eの鋭角度をなす上下側縁26Eeは、後端で交わり連結するまで内側(右側)に若干屈曲している。
この延出部26Eの内面(右側面)からは、前側カバーリブ26rが突出形成されている。 図13に示すように、前側カバーリブ26rは上下側縁26Eeに略平行に鋭角度をなして先細に形成されている。
先細に形成される上下の前側カバーリブ26rは、前方に延出して前側壁部26Fの内面に大きく円弧を描いて連結された円弧リブ部26rcを形成している。
【0088】
したがって、前側カバーリブ26rは、1つの閉じたループを形成しており、前側壁部26Fのリブ円弧部26rcは、伝動ケースカバー24の前側のフィルタエレメント120が嵌合される円環状の外環突部24Ffの外周を囲う位置に配置される。
【0089】
また、前側サイドカバー26の前側壁部26Fの内面には、リブ円弧部26rcをさらに外周から囲うように第2の前側カバーリブ26rrが突出形成されているとともに、リブ円弧部26rcの内側に水平より幾らか前方が上向きに5本の互いに平行な直線状の整流リブ26rlが突出形成されている。
なお、前側サイドカバー26には、前側壁部26Fの上部前後と下部の3か所に取付ボス部26bが形成されている。
【0090】
他方、伝動ケースカバー24の略後半部を覆う後側サイドカバー27は、図14、図15および図17(さらに図6)を参照して、伝動ケースカバー24の連結部24Cと後側のドーム壁24Rの側方を覆う後側壁部27Rおよび連結部24Cと後側のドーム壁24Rの上方から後方を周って下方までを覆う周壁27Cからなり、後側壁部27Rの前部の上下中央部分が伝動ケースカバー24の連結部24C側に凹む凹部27Dが形成されている。
【0091】
後側サイドカバー27の凹部27Dは、後側壁部27Rから凹む境目の屈曲縁27Deが前側サイドカバー26の後方に上下幅を徐々に小さくして鋭角度に延出した延出部26Eの上下側縁26Eeと重なるように同じ形状をしている。
したがって、後側サイドカバー27の凹部27Dは、その上下屈曲縁27Deが後方に上下幅を徐々に小さくして鋭角度に延びて両後端が交わり連結している。
【0092】
この凹部27Dの底壁27Dbの外面(左側面)からは、後側カバーリブ27rが突出形成されている。
図14に示すように、後側カバーリブ27rは上下屈曲縁27Deに略平行に鋭角度をなして先細に形成されている。
先細に形成される上下の後側カバーリブ27rは、後端が交わり連結し、前端は後側壁部27Rの前端より若干前方に開きながら突出している。
【0093】
上下の後側カバーリブ27rが交わる後端に後方から当接して直方体状の弾性体125が底壁27Dbに固着されて設けられている。
また、後側サイドカバー27の内面(右側面)には、上側の周壁27Cに沿った所要位置にブリーザパイプの先端開口部を支持する断面U字状をした開口支持部27pが、周壁27Cを天井面にして右方に開口し左方に延びて形成されている。
【0094】
なお、後側サイドカバー27には、後側壁部27Rの後部上下と前部の後側カバーリブ27rの下方と前部より若干前方に延出したブラケット27eの4か所に、取付ボス部27bが形成されている。
【0095】
この後側サイドカバー27が伝動ケースカバー24の略後半部側面に被せられ、後部上下と前下部の3か所の取付ボス部27bがボルト27Bにより伝動ケースカバー24のカバー取付ボス24Riに締結されて後側サイドカバー27が取付けられ、その後で前側サイドカバー26が、伝動ケースカバー24の略前半部側面に被せられると、伝動ケースカバー24の後方への延出部26Eが、後側サイドカバー27の凹部27Dに蓋をするように重なり、この状態で3か所の取付ボス部26bがボルト26Bにより伝動ケースカバー24のカバー取付ボス24Fiに締結されて前側サイドカバー26が取付けられる(図2参照)。
なお、前側サイドカバー26の上部後の取付ボス部26bは、後側サイドカバー27の上部前の取付ボス部27bと共通のボルト26Bにより伝動ケースカバー24のカバー取付ボス24Fiに共締めされる。
【0096】
前側サイドカバー26と後側サイドカバー27が、延出部26Eと凹部27Dにおいて重なり合った状態の側面図を図16に示し、その重なり合った要部の断面図を図17に図示する。
前側サイドカバー26の後方への延出部26Eと互いに重なり合う後側サイドカバー27の凹部27Dとの間に冷却風吸入路126が形成される。
【0097】
この冷却風吸入路126にあって、前側サイドカバー26の先細に形成される前側カバーリブ26rは、後側サイドカバー27の先細に形成される後側カバーリブ27rの外側を略平行に覆う位置関係にあり、よってリブ円弧部26rcとともに閉じたループをなす前側カバーリブ26rに囲まれて内側に後側カバーリブ27rがある(図16参照)。
【0098】
先細に形成される上下の前側カバーリブ26rの交叉する後端連結部は、後側サイドカバー27の凹部底壁27Dbに固着された弾性体125に当接して、前側カバーリブ26rが凹部底壁27Dbから所定距離離れて位置決めされ、同時に前側サイドカバー26の延出部26Eの上下側縁26Eeが、後側サイドカバー27の凹部27Dを構成する上下屈曲縁27Deとの間に冷却風吸入間隙127を存して位置決めされる(図17参照)。
同じく、後側カバーリブ27rは、前側サイドカバー26の延出部26Eから所定距離離れた位置にある(図17参照)。
【0099】
したがって、前側サイドカバー26の延出部26Eの後方に鋭角度をなして先細に延びる上下側縁26Eeに沿って冷却風吸入間隙127が長尺に形成され、図17で破線矢印で示すように、同冷却風吸入間隙127から冷却風が冷却風吸入路126に吸入される。
冷却風吸入路126には、前側カバーリブ26rと後側カバーリブ27rが突出していてラビリンスを構成しており、冷却風吸入間隙127から吸入された冷却風は前側カバーリブ26r、後側カバーリブ27rの順に案内されて円滑に冷却風吸入路126を通ることができる。
【0100】
こうして、冷却風吸入路126を前側カバーリブ26rと後側カバーリブ27rに案内されて吸入冷却風は、前側サイドカバー26内を整流リブ26rlに整流されて前方に流れ、伝動ケースカバー24の冷却風導入口24Feに配設されるフィルタエレメント120の側方に至るので、効率良くフィルタエレメント120を通って冷却風導入口24Feから変速室50Cに導入される。
変速室50Cに導入された冷却風は、ベルト式無段変速機50を冷却しながら後方へ流れ、伝動ケースカバー24の中央下部の冷却風導出路24yおよび後部の冷却風導出路24zから排出される。
【0101】
伝動ケースカバー24とともにベルト式無段変速機50を収容する本伝動ケース23は、その上壁の外表面には伝動ケースカバー24との合せ面23sより幾らか右方に偏移した位置に膨出部23eから後方へ前後方向に指向して帯状をした突条23Tが突出形成されている(図4,図18,図19参照)。
伝動ケースカバー24を側方から覆う後側サイドカバー27の周壁27Cは、図19に2点鎖線で示すように、伝動ケースカバー24を覆い、さらに伝動ケース23の突条23Tを覆って右方にまで延出している。
【0102】
突条23Tには、前後にそれぞれ係止孔23pが穿設されるとともに、後側の係止孔23pより若干前寄りの所定位置に切欠き23vが形成されている(図4参照)。
この伝動ケース23の後部の減速ギヤ部23cには、従動プーリ81の固定プーリ半体81sに対向して従動プーリ回転センサ150が取付けられている(図4参照)。
【0103】
同従動プーリ回転センサ150は、従動プーリ81の回転速度を検出して変速駆動機構60による変速制御等に供するものであり、同従動プーリ回転センサ150から延出する配線151が伝動ケース23の上壁の後部の合せ面に設けられた円弧状の切欠きに介装されたグロメット152を貫通して外部に延びている。
【0104】
図5を参照して、伝動ケース23の減速ギヤ部23cの上壁に形成された取付孔に、車速センサ155が貫通して保持されており、同車速センサ155は後車軸114と一体に嵌着された大径ギヤ114aに向けて貫通し、先端の検出部が大径ギヤ114aの歯に近接して大径ギヤ114a(後車軸114)の回転速度すなわち車速を検出する。
この車速センサ155から延出した配線156は、前記従動プーリ回転センサ150から延出した配線151と一緒に束ねられて集合配線157として伝動ケースカバー24の左側面に沿って前方に延びる(図3,図18,図21参照)。
【0105】
伝動ケースカバー24における前部膨出部である円形壁部24Fと後部膨出部であるドーム壁24Rの間の連結部24Cの平坦な左側面には、上部前後にそれぞれクランプ取付ボス158が略縦長の直方体状に膨出して形成されている(図8,図18参照)。
【0106】
クランプ取付ボス158は、略縦長の長方形状の突出面の中央に円孔158hが穿孔され、該長方形の4辺のうち長尺な前辺に沿って上下2か所に突起159,159が左方に突出形成されている。
突起159,159は、クランプ取付ボス158の突出面より若干突き出している。
【0107】
このクランプ取付ボス158にクランプ160が、円孔158hを利用して取り付けられる。
図20を参照して、クランプ160は、弾性を有する樹脂製で長方形板状のクランプ基部160bの表面から下部を湾曲させて上方に延出する保持部160hが形成され、クランプ基部160bの裏面からは係止突起160pが突出しており、同係止突起160pには傘状に抜止め片160qが形成されている。
【0108】
該クランプ160の係止突起160pをクランプ取付ボス158の円孔158hに貫通すると、図20に示すように、抜止め片160qが円孔158hを抜けたところで拡開して抜け止め状態としてクランプ160がクランプ取付ボス158に係止される。
長方形板状のクランプ基部160bの前辺は、上下の突起159,159に接することで、クランプ160の回動が阻止され、突起159,159はクランプ160の回り止めの機能を果たす。
【0109】
こうしてクランプ取付ボス158に、突起159,159により回り止めされて取り付けられたクランプ160は、保持部160hが前記集合配線157を前後方向に指向させて保持することができる姿勢に維持される。
クランプ160は、クランプ基部160bと保持部160hが略U字状を形成し、上方に開口した開口部は爪が突出して幅が狭くなっており、この開口に集合配線157を押圧することで、保持部160hが弾性変形して開口を拡げ集合配線157を保持部160hの湾曲底部に嵌め入れることができ、クランプ基部160bと保持部160hが挟むようにして集合配線157を保持する。
【0110】
なお、集合配線157には、クランプ160の保持部160hに接する両側部分に位置決めリング157rが嵌着されており、集合配線157はクランプ160に保持されると両側の位置決めリング157rにより前後方向にも移動しない。
【0111】
以上のように、伝動ケース23の後部に配設された従動プーリ回転センサ150および車速センサ155から延出し集合された集合配線157は、伝動ケースカバー24の前後の膨出部である円形壁部24Fとドーム壁24Rの間の谷間となる連結部24Cの平坦な左側面に取り付けられた前後2つのクランプ160,160により保持されて同左側面に沿って前方に配設されるので、複数の配線が集合して配線の径が大きくなり、クランプ160が多少大型のものとなっても、左方に膨出したドーム壁24Rより以上に左方に突出することはない。
【0112】
伝動ケース23の後部の減速ギヤ部23cに減速ギヤ機構110を収容して右方から取付けられる減速ギヤカバー25には、図21に示すように、後車軸114が貫通突出する開口25hの上方にABS用車輪速センサ165がブラケット164を介して取り付けられている。
ABS用車輪速センサ165は、その検出部165aが後輪17のハブに取り付けられた環状プレートに近接して設けられ、後輪17の車輪速を検出してアンチロックブレーキシステムABSの制御に供するものである。
【0113】
このABS用車輪速センサ165から上方に延出した配線166は、図21に示すように、伝動ケース23の上方を左方に延びて、伝動ケース23の上壁に前後方向に指向して形成された突条23Tの後端を前方に向けて曲がり、同突条23Tの左側面に沿って前方に向かって配設されている。
突条23Tの前後に穿孔された各係止孔23pには、前記クランプ160と略同様の抜止め片を備えたクランプ167がそれぞれ係止され、同前後のクランプに配線166が保持される。
【0114】
伝動ケース23の減速ギヤ部23cと減速ギヤカバー25により減速ギヤ機構110を収容する減速ギヤ室110Cが構成されるが、減速ギヤ部23cの上壁を貫通して減速ギヤ室110Cに連通する通気接続管170が上壁を貫通して支持され、この通気接続管170の外部に突出した部分にブリーザパイプ171の一端が嵌着されている(図5参照)。
したがって、ブリーザパイプ171は、減速ギヤ室110Cに連通して通気接続管170を介して上方に延出する。
【0115】
減速ギヤ室110Cから上方に延出するブリーザパイプ171は、図21に示すように、左方に屈曲して伝動ケース23の上面に沿って延び、伝動ケース23の上壁に前後方向に指向して形成された突条23Tの前記切欠き23vに嵌合位置決めされて貫通し、伝動ケースカバー24の上面に沿ってさらに左方に延びている。
左右方向に指向して延びたブリーザパイプ171は、突条23Tに沿って前後方向に指向して配設された前記配線166の下を潜り、やはり前後方向に指向して配設された前記集合配線157の上を通る。
【0116】
前記車速センサ155やABS用車輪速センサ165を覆うように、減速ギヤカバー25の側方から上方さらに減速ギヤ部23cの上方にかけて防護カバー180が取り付けられる。
図21を参照して、防護カバー180は、概ね側壁180aの上端から後端にかけて左方に屈曲して上壁180bと後壁180cが形成されており、側壁180aと上壁180bの前端から円弧状に湾曲した突出部180dが前方へ突出形成されている。
【0117】
側壁180aは、中央部分が右方に膨出しており、同膨出部の下部に前記ABS用車輪速センサ165の検出部165aが臨む円孔180hが穿設されている。
なお、側壁180aには取付孔180eが3個形成されている。
この防護カバー180の3個の取付孔180eに対応して伝動ケース23および減速ギヤカバー25に取付ボス181eが形成されている。
【0118】
該防護カバー180が減速ギヤカバー25に側方から被せられ、取付ボス181eに取付孔180eを固定して取り付けられると、車速センサ155とABS用車輪速センサ165および両センサ155,165から延出する配線156,166の一部が防護カバー180により覆われて保護され、ABS用車輪速センサ165の検出部165aが円孔180hに臨み若干突出する。
【0119】
そして、該防護カバー180の前方へ突出した円弧状の突出部180dは、減速ギヤ室110Cから延出したブリーザパイプ171の左方への屈曲部を斜め側方から押さえ左右方向の位置決めをすることができる(図22参照)。
このブリーザパイプ171の先端開口部171aは、図22に図示するように、後側サイドカバー27が伝動ケースカバー24に被せられるときに、後側サイドカバー27の内面(右側面)に形成された開口支持部27p(図15も参照)に、挿入され支持される。
【0120】
ブリーザパイプ171は、防護カバー180の突出部180dにより左右方向の位置決めがなされ、突条23Tの切欠き23vにより前後方向の位置決めがなされているので、伝動ケースカバー24に対するブリーザパイプ171の先端開口部171aが所定位置に維持され、後側サイドカバー27を取り付ける際に、開口支持部27pにブリーザパイプ171の先端開口部171aを容易に挿入することができるため、サイドカバー27の取付作業が容易である。
【0121】
図22に示すように、集合配線157は、伝動ケースカバー24のドーム壁24Rが膨出する段部24yにあって、後側サイドカバー27の開口支持部27pにより伝動ケースカバー24との間に挟まれて位置決めされている。
【0122】
図19および図22を参照して、後側サイドカバー27の周壁27Cのうち上側部分は、伝動ケースカバー24および伝動ケース23の突条23Tを覆い、さらに同突条23Tより右方に防護カバー180の上壁180bおよび突出部180dの上方にまで延出しているので、同後側サイドカバー27と前記防護カバー180により配線151,156,166および集合配線157が全て覆われる。
【0123】
また、後側サイドカバー27の周壁27Cのうち上側部分と伝動ケース23の上面との間には間隙があって外部に開口しているが、その開口の内側に外部と後側サイドカバー27の内部との連通を断つように突条23Tが前後方向に敷設されている。
ABS用車輪速センサ165から延出した配線166は、この突条23Tの開口と反対側の左側面に沿って配設されている
【0124】
この配線166と伝動ケースカバー24の外側面に沿って配設される集合配線157は、伝動ケースカバー24の前側上部の膨出部24eの外側面に沿って上方に延びており、一方、図3を参照して、伝動ケース23の前側クランクケースの下部に設けられた油圧センサ190から延出した配線191が、その前方のオイルフィルタ195を下方から巻くようにして上方に配設され、これらの配線166,157,191が膨出部24eの側面に突設されたクランプ192によりまとめて保持されている。
【0125】
以上のパワーユニット20において減速ギヤ室110Cのブリーザ構造によれば、ブリーザパイプ171は減速ギヤ室110Cから上方に向け外部に延出するので、ブリーザパイプ171の取り扱いが容易である。
すなわち、伝動ケース23の上面に前後方向に指向して突出形成された突条23Tの切欠き23vにブリーザパイプ171を嵌合して簡単に位置決めすることができるとともに、後側サイドカバー27の組み付けに際して後側サイドカバー27の内面に設けられた開口支持部27pにブリーザパイプ171の先端開口171aを臨ませることも簡単にできるため、ブリーザパイプ171の取付作業が極めて容易にできる。
【0126】
減速ギヤカバー25の側方から上方にかけて覆う防護カバー180が、ブリーザパイプ171の屈曲部を覆うので、ブリーザパイプ171の屈曲部を押えて固定し位置決めすることで、後側サイドカバー27の組み付けに際してブリーザパイプ171が押されて変形するようなことを防止できるとともに、防護カバー180によりブリーザパイプ171の屈曲部を保護することができる。
【0127】
そして、後側サイドカバー27の伝動ケースカバー24の上面を覆う上壁27Cが、伝動ケース23側に延出してブリーザパイプ171を上方から覆うので、ブリーザパイプ171は前記防護カバー180と後側サイドカバー27により全体が覆われ保護されるとともに、ブリーザパイプ171は外から見えず外観を良好に保つことができる。
【0128】
伝動ケース23の上面の前記突条23Tは、前方のクランクケース相当部まで延びているので、この長尺の突条23Tにより伝動ケースカバー24と後側サイドカバー27との間に水や泥その他の異物等が侵入するのを防止することができる。
【0129】
伝動ケース23に取り付けられたABS用車輪速センサ165の配線166が突条23Tによって支持されるので、突条23Tは異物の侵入防止、ブリーザパイプ171の位置決め、さらにABS用車輪速センサ165の配線166の支持の3種の機能を兼ね備えており、部品点数の削減と構造の簡素化を図ることができる。
【0130】
伝動ケース23に取り付けられた従動プーリ回転センサ150や車速センサ155等の補機の集合配線157が、後側サイドカバー27の内面に設けられた開口支持部27pと伝動ケースカバー24の間に挟まれるので、後側サイドカバー27の内面の開口支持部27pを補機の集合配線157の位置決めに利用することができ、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の一実施の形態に係るパワーユニットをスクータ型自動二輪車の側面図である。
【図2】パワーユニットの外観左側面図である。
【図3】同パワーユニットの左側外装カバーとなる前側サイドカバーと後側サイドカバーを外した左側面図である。
【図4】同パワーユニットのさらに伝動ケースカバーを外した左側面図である。
【図5】同パワーユニットの一部省略し減速ギヤカバーを外した右側面図である。
【図6】図2のVI−VI線に沿って切断し展開した断面図である。
【図7】図6の部分拡大図である。
【図8】伝動ケースカバー24の左側面図である。
【図9】同右側面図である。
【図10】図8のX−X線断面図である。
【図11】図8のXI−XI線断面図である。
【図12】前側サイドカバーの左側面図である。
【図13】同右側面図である。
【図14】後側サイドカバーの左側面図である。
【図15】同右側面図である。
【図16】前側サイドカバーと後側サイドカバーを延出部26Eと凹部27Dにおいて重なり合わせた状態の左側面図である。
【図17】図16のXVII−XVII線断面図である。
【図18】パワーユニットの略後半部の斜視図である。
【図19】同上面図である。
【図20】図3におけるXX−XX線断面図である。
【図21】同パワーユニットの後部の防護カバーを分解した状態の斜視図である。
【図22】同パワーユニットの概ねブリーザパイプに沿って切断した断面図である。
【符号の説明】
【0132】
20…パワーユニット、21…ユニットケース、22…右ユニットケース、23…伝動ケース、23c…減速ギヤ部、23T…突条、23v…切欠き、
24…伝動ケースカバー、24R…ドーム壁、25…減速ギヤカバー、26…前側サイドカバー、27…後側サイドカバー、27C…上壁、27p…開口支持部、
30…内燃機関、40…クランク軸、50…ベルト式無段変速機、110…減速ギヤ機構、110C…減速ギヤ室、114…後車軸、
150…従動プーリ回転センサ、151…配線、155…車速センサ、156…配線、157…集合配線、158…クランプ取付ボス、159…突起、160…クランプ、165…ABS用車輪速センサ、166…配線、167…クランプ、170…通気接続管、171…ブリーザパイプ、180…防護カバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車に揺動自在に設けられるパワーユニットであって、内燃機関のクランク軸を回転自在に軸支するクランクケースを兼ねる伝動ケースの一側方にベルト式無段変速機が設けられ、同ベルト式無段変速機を覆うように伝動ケースカバーが一側方から前記伝動ケースに被せられて変速室を構成するとともに、伝動ケースの後部の他側方に減速装置が設けられ、同減速装置を覆うように減速装置カバーが他側方から伝動ケースの後部に被せられて減速室を構成するパワーユニットにおいて、
前記減速室から上方に向け外部に延出したブリーザパイプが、前記伝動ケース側に屈曲して同伝動ケースの上面および前記伝動ケースカバーの上面に沿って延び、その先端開口が前記伝動ケースカバーのさらに外側面を覆うサイドカバーの内面に設けられた開口支持部に臨み、
前記伝動ケースの上面に前後方向に指向して突条が突出形成され、
前記突条に形成された切欠きに前記ブリーザパイプが嵌合して位置決めされることを特徴とするパワーユニットの減速室のブリーザ構造。
【請求項2】
前記減速装置カバーの側方から上方にかけて覆う防護カバーが、前記ブリーザパイプの屈曲部を覆い、
前記サイドカバーの前記伝動ケースカバーの上面を覆う上壁が、前記伝動ケース側に延出して前記ブリーザパイプを上方から覆うことを特徴とする請求項1記載のパワーユニットの減速室のブリーザ構造。
【請求項3】
前記伝動ケースの上面の前記突条は、前方のクランクケース相当部まで延びており、
前記伝動ケースに取り付けられた補機類の配線が前記突条によって支持されることを特徴とする請求項1または請求項2記載のパワーユニットの減速室のブリーザ構造。
【請求項4】
前記伝動ケースに取り付けられた補機類の配線が、前記サイドカバーの内面に設けられ前記ブリーザパイプを支持する開口支持部と前記伝動ケースカバーの間に挟まれることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載のパワーユニットの減速室のブリーザ構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2009−29253(P2009−29253A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194966(P2007−194966)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】