説明

パーソナルケア組成物

パーソナルケア組成物であって、約0.1%〜約15%の乳化性シリコーンエラストマー、約0.1%〜約40%の少なくとも1つの固化剤、約1%〜約75%の水相、約0.1%〜約74%の水を含み、その組成物は、油中水型エマルションの形態であり、第一の温度21℃において約2g〜約45gの第一の硬さを有し、第二の温度33℃において第一の硬さの65%以下である第二の硬さを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より高い温度で硬さ及び安定性の増加を示すパーソナルケア組成物及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者は、スキンケアの利点を提供し、望ましくないと思われる多くの「皮膚の老化兆候」、例えば、細かい線、しわ及び起伏のある皮膚のきめ、に対抗するための種々の製品を入手可能である。最も効果的であるために、一部の製品は定期的及び長期間適用しなければならない。繁用を促すには、製品は望ましい外観及び適用した際に気持ちよく感じられることが大切である。より多くの利点及び/又は保護性を望む消費者は、より濃厚な製品を希望することが多い。例えば、クリーム製品はローションよりも大きな抗加齢効果を提供すると考える傾向がある。しかし、クリームはもたれ感を与える傾向があり、日中のメークアップ下地に、又は暖かい及び/又は湿度の高い気候条件での使用に望ましくない可能性がある。従って、適用した際に、より多くの利点を十分提供する厚さにおいて、使用感が軽く、ローションの稠度を有し、定期的な使用を促すようなパーソナルケア組成物の提供を求めるニーズがある。
【0003】
ずり減粘効果、即ち皮膚に使用したときに粘度を減少する効果を生じる種々の組成物が存在する。しかし、既存の製品には、高レベルの効果を与える組成物であって、希望する粘度及びクリーミーな質感を一般的に有するものがない。例えば、そのような製品は皮膚に適用した際に、固体のままでとどまり、皮膚の中への吸収がうまく行かない増粘剤(例えば、ワックス)を主に含んでいる。結果として、このものはザラザラしたり、粘ついたり、ないしはその他の不快感をもたらす。同様に、ワックスは日常の使用及び保管で一般的に見られる温度を含む、高めの温度て不安定性を示す傾向がある。融解すると、製品は本来意図した目的に合わないようになってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、より高い温度で安定であり、通常の身体温度で適用した際に気持ちよい感じにさせ、より多くのスキンケア効果を与える組成物の提供を求めるニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、より高温(少なくとも40度で)において安定であり、そして皮膚に適用したときに気持ちよく感じられるワックス及び非ワックス増粘剤を選択することを含む、パーソナルケア組成物を提供することによって前述のニーズに答える。その組成物は、皮膚に適用する前はワックス又はクリームの硬さを有し、通常の体温において硬さを減少し、ローションと同等な稠度をもたらす。その組成物は比較的高いパーセントの水相を有してよく、言い換えると高いパーセントの水溶性スキンケア活性物質を含んでよく、増加した抗加齢性及びその他のスキンケア効果を付与する。
【0006】
以下のものは、本発明のいくつかの非限定的実施形態を表している。
本発明の第一の実施形態によると、パーソルケア製品は、約0.1%〜約15%の乳化性シリコーンエラストマー、約0.1%〜約40%の少なくとも一種の固化剤、約1%〜75%の水相、及び約0.1%〜約74%の水を含んで提供される。その組成物は油中水型エマルションの形態であり、第一の温度21℃で約2g〜約45gの第一の硬さを有し、第二の温度33℃で第一の硬さの65%以下の第二の硬さを有する。
【0007】
本発明の別の実施形態によると、哺乳類の角質組織に必要とされる効果をもたらす方法が提供され、その方法は第一の実施形態の組成物を角質組織に適用する処置を含む。
【0008】
本発明の別の実施形態によると、第一の実施形態による組成物を含むキットが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の組成物は、スキンケア、化粧品、及びヘアケア製品に使用することができ、その非限定的な用途としては、保湿剤、コンディショナー、抗加齢調合品、美白調合品、及びそれらの組み合わせに使用できる。一実施形態では、組成物は顔、首、手、腕、及びその他一般的に露出される身体部位に適用される。或いは、組成物は損傷を受けた角質組織の領域に適用される。
【0010】
本発明の全ての実施形態において、特に記載のない限り、全ての百分率は総組成物の重量による。特に記載のない限り、全ての比は重量比である。全ての範囲は、包括的であり及び結合可能である。有効数字の数は、表示されている量を限定するものでもなく、測定値の精度を限定するものでもない。特に別段の指示がない限り、全ての数量は、「約」という単語によって修飾されるものと解釈される。全ての測定は、25℃及び周囲条件で行うものと解釈され、ここで「周囲条件」とは、約1気圧及び相対湿度約50%での条件を意味する。列挙する成分に関連するこのような全ての重量は、活性レベルに基づき、かつ特に指定のない限り、市販の物質に含まれている場合があるキャリアや副生成物は含まない。
【0011】
本明細書で、「パーソナルケア組成物」とは、哺乳類の角質組織上に局所適用するのに好適な組成物を意味する。本発明のパーソナルケア組成物には、防臭剤及び/又は制汗剤は含まれないと解釈される。本明細書で使用するとき、「スキンケア活性物質」又は「活性物質」とは、皮膚に適用したとき皮膚に効果又は改善をもたらす化合物を意味する。スキンケア活性物質は、皮膚ばかりではなく、毛髪、爪及びその他の哺乳類ケラチン組織に適用しても有用であると理解される。
【0012】
本明細書で使用するとき、「安定」及び「安定性」は、組成物が約1℃〜約40℃にある際に、化学的状態、物理的均質性及び/又は色において実質的に不変であることを意味する。
【0013】
本明細書で使用するとき、「ケラチン組織」とは、皮膚、毛髪、爪、角皮等を含むが、これらに限定されない哺乳類の最も外側の保護カバーとして配置されるケラチン含有層を指す。
【0014】
「硬さ」とは、本明細書で使用するとき、テクスチュア・エキスパート・ソフトウエア(Texture Expert Exceed software)(2.64版)を備えたテクスチュアアナライザー(Texture Analyzer)TA−XT2iを使用して、直径2mmを有する測定子が0.1mm/秒の速度で組成物中に0.3mmの距離に侵入するのに要するg表示の力の量を意味する。硬さの測定前に、組成物を本明細書に指示される第一温度又は第二温度と平衡化するようにする。温度が指示されない場合には、組成物の温度は25℃である。全ての温度は±1℃であると解釈される。
【0015】
本明細書で使用するとき、「広がり性」とは組成物が薄層に広げられる性能を指し、例えば、擦るような剪断力を印加することによって組成物を皮膚の上に広げるときのものである。広がり性は、当業者で理解される次の方法によって測定できる。組成物及びTA−425TTC広がり性試験機備品、即ち25mmの高さを有するアクリル製の90度オス型コーン及びメス型コーン(テクスチェアテクノロジーズ(Texture Technologies)社)を任意選択的な温度と平衡化させる。ある量の組成物をコーン中に、製品の上端レベルがメス型コーンのトップとエアポケット無しに同一平面になるように配置する。メス型コーンとオス型コーンの下部との間の距離が約1mmになるまで、メス型コーンから製品を3mm/秒の速度で排出させるときの、メス型コーン中の製品を移動させるためにオス型コーンに必要とされる力をgで測定する。
【0016】
本明細書において、「引き伸ばされた」とは、組成物が不透明チャート(その上半分が黒であり及び下半分が白である、フォーム2A、レネタ(Leneta)社、ニュージャージー州マンウォー(Manwah))、又はその同等品)上に適用され、そしてフィルムアプリケータ(例えば、メリーランド州コロンビアのBYKガードナー(BYK Gardner)、若しくはその同等品)を用いて、約0.038mm(0.0015インチ)の厚さを有するフィルムに広げられたことを意味する。彩度は、フィルムを22℃±2℃、1気圧で4時間乾燥させた後、不透明チャートの黒色部分の上で測定させ、クロマメーター(例えば、ニュージャージー州ラムジー(Ramsey)のミノルタカメラ社から市販される、ミノルタCR−200クロマメーター、d65光源、0度の観察角度、及びクロマメーターのマニュアル、1988年3.0版に記載されたこと、それらは参照として本明細書に組み入れる、又はそれらの同等品)を使用して実施できる。
【0017】
本明細書において、「彩度」は色及び色の強度を説明する。本発明の目的のためには、色は、知覚される色及び色の差を客観的に表すための様式を与えるために国際照明委員会(Commission Internationale de l'Eclairage)により定義される、XYZカラーシステム(CIEシステム)に基づく、CIELABカラーシステムにおける値に従って定義される。X、Y、及びZは種々の態様、又は「スケール」で表現でき、それらの1つがハンタースケール(the Hunter scale)である。ハンタースケール(The Hunter scale)は3つの変数、L、a、及びbを有し、これらは数学的にX、Y、及びZと相関し、及びロバートソン,A.R.(Robertson, A.R.)によって「CIE1976年色差の公式(The CIE 1976 Color Difference Formulas,)」(カラー・リサーチ・アプリケーションズ(Color Research Applications)、第2巻7〜11頁(1977年))に記載されている。本発明の組成物は、L、a、及びbの値を生じるミノルタ(MINORUTA)(登録商標)CR−200クロマメーターを用いて分析できる。「a」の値は赤−緑(水平)軸に沿った値と相関し、及び「b」の値は青−黄(垂直)軸に沿った値と相関する。例えば、青色のサンプルは、負のb値を有することになり、一方赤色のサンプルは正のa値を有することになる。より正の又はより負の値はより強い色を表す。「L]の値は明るさ及び/又は暗さの指標であり、及び水平軸及び垂直軸の両方と直角なz軸に沿った値と相関する。「彩度」は、赤−緑及び青−黄軸の中間部分にその起源を有し、CIELABカラーシステムの水平軸及び垂直軸によって画定される色空間へと外方に延長するベクトルによって測定される。ベクトルの長さが彩度を表し、及びベクトルの方向が色合い又は色相を表す。ベクトルが短いほど、組成物が着色されておらず、及び彩度が低い。本明細書において、バルクの組成物に関連して使用される「実質的に無色」とは、その組成物が約6.0以下の彩度を有することを意味し、本明細書では白色組成物を包含すると解釈される。
【0018】
本明細書において、「バルク」とは、広げられていない、又は「引き伸ばされて」いない、組成物の一定体積、例えば少なくとも1立方センチメートル(ccm)を意味する。
【0019】
本明細書において、「コントラスト比」とは、組成物を不透明チャート(フォーム2A、レネタ・カンパニー(Leneta Company)(ニュージャージー州マンウォー(Manwah))、又はその同等品)上に引き伸ばした後で、及びクロマメーター(例えば、ミノルタカメラ社(Minolta Camera Co.)(ニュージャージー州、ラムジー(Ramsey))から入手可能であり、クロマメーター・マニュアル・バージョン3.0;1988年に記載されているその関連部分を本明細書に参考として組み込むミノルタ(Minolta)CR−200クロマメーター(Chromameter)、d65光源、視角0度、及びその同等品)を用いて決定される組成物の不透明度、又は光の透過を減少させる若しくは防止する組成物の能力をいう。組成物は、上記のように、厚さ約0.38mm(0.0015インチ)を有するフィルムに引き伸ばされる。そのフィルムを22℃±1℃、1気圧で4時間乾燥させる。クロマメーターを使用してその製品フィルムのY三刺激値(即ち、フィルムのXYZ色空間)を測定し、記録する。Y三刺激値は、不透明チャートの黒色部分を覆う製品フィルムの3つの異なる領域において測定され、不透明チャートの白色部分を覆う製品フィルムの3つの異なる領域においても測定される。コントラスト比は黒色領域上の3つのY三刺激値の数学的平均値を白色領域上の3つのY三刺激値の数学的平均値で除して100倍したものとして計算される:
コントラスト比=[平均(3Y黒)/平均(3Y白)]×100
【0020】
本明細書において、「調節されたコントラスト比」とは、黒色不透明チャート、すなわちいずれの製品も適用していないチャート、のコントラスト比を引くことによって較正されたコントラスト比を意味する。
【0021】
「可視的に分離した」とは、本明細書で用いるとき、エマルション形態にある組成物が皮膚又はその他の角質組織に適用されたときに水相を放出する(即ち、「水放出する」)ことを意味する。組成物が可視的に分離したかどうかは、以下の方法の少なくとも一つで判定できる。第一の方法は、約1μ以下の水滴平均径を有する油中水型エマルションに、示差走査型コントラスト性能及び剪断ステージを備える標準的光学顕微鏡(リンカム(Linkam)科学機器社、英国、サリー(Surrey)州タドワース(Tadworth)ウオータフィールド(Waterfield)No.8)を使用して、一定の剪断速度を印加する。約1.5gの組成物を剪断ステージに付与し、ギャップ幅設定1mm及び16秒-1の一定剪断速度を有する定常モード試験に設定する。本明細書に規定された水放出性組成物を用いると、剪断力印加の約1分以内に、約10μ〜少なくとも75μの直径を有する無定形領域が500倍率で目視できるようになる。皮膚適用時に放出のない組成物では、このような条件にさらされても水性液滴直径に有意な変化を示さない。第二の方法では、AR2000レオメーター(Rheometer)(TAインスツルメント社、デラウェア州ニューカッスル(TA Instruments, New Castle, DE))を使用して、以下のパラメーターで評価される:ギャップ設定=1000μ、4cm平板、温度25℃、制御応力モード。得られる対数粘度をY軸に、対数剪断応力をX軸に対してプロットにすることによってレオロジープロファイルを作り出す。水−放出性組成物から得られたデータから作り出されたプロットには、極限剪断応力において粘度の急激な減少が示される。この粘度減少は、粘度がほぼ一定な高粘度と、ほぼ一定な低粘度との間の領域で、プロットの傾きとして測定することができる。水放出性製品は、本明細書では約−5〜少なくとも−100の傾きを有すると解釈される。
【0022】
本明細書で使用するとき、「適用された」又は「適用」は、1本以上の指を使用して及び/又は一つの連続的で一方向の動きを軽い圧力で、クリームを顔の皮膚に塗布する場合にするように実施して、ケラチン組織上に組成物を薄く塗ることを意味する。
【0023】
本明細書において、「供給促進機器」とは、機器を使用しないで供給される活性成分の量を基準として、皮膚に及び/又は皮膚内に適用される活性成分の量を増加させる全ての機器を意味する。
【0024】
本明細書において、「皮膚の状態を調整する」とは、例えば、より滑らかでより均一な外観及び/又は感触といった効果を提供することにより皮膚の外観及び/又は感触を改善することを意味する。ここで、「皮膚の状態を改善する」とは、視覚的に及び/又は触覚的に認知可能な好ましい変化を皮膚の外見及び感触において達成することを意味する。効果は長続きするものであり得、次の1つ以上が挙げられる:しわ及び粗く深い線、細かい線、割れ目、瘤、及び大きい毛穴の外見を減少させること;ケラチン組織を肥厚させること(例えば、皮膚、毛髪、又は爪萎縮を低減する、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下層及び必要に応じて爪及び毛幹のケラチン層の構築);真皮−表皮の境界の回旋(乳頭間隆起としても既知)を増加させること;例えば、機能的皮膚エラスチンの損失、損傷、及び/又は不活性化に起因する、弾力線維症、弛み、皮膚又は毛髪の変形からの反跳の損失のような状態をもたらす皮膚又は毛髪弾性の損失を防止すること;セルライトを減少させること;皮膚、毛髪、又は爪の着色、例えば目の下の周り、斑点(例えば、酒さに起因するむらのある赤色着色)、黄ばみ、毛色素沈着により引き起こされる変色等を変化させること。
【0025】
本明細書で使用するとき、「皮膚老化の徴候」としては、ケラチン性組織の老化による全ての外面的に目に見える及び触知できる知覚可能な症状、並びに任意のマクロ又はミクロ的症状が挙げられるが、これらに限定されない。これらの兆候は、しわ及び粗くて深いしわ、細い小じわ、皮膚の小じわ、クレバス、隆起、大きな毛穴、不均一又は粗さ;皮膚弾性の損失;しみ(目の下のくまを含む);しみだらけ;血色の悪さ;加齢しみ及びそばかす等の色素沈着皮膚領域;角化症;異常分化;超角質化;弾力線維症;コラーゲン破壊、並びに角質層、真皮、表皮、脈管系(例えば、毛細血管拡張症又はクモ状血管(spidervessels))及び皮下組織(例えば、脂質及び/又は筋肉)、特に皮膚に最も近いものの他の組織構造の変化等の組織的不連続の発現が挙げられるが、これらに限定されないプロセスから生じる可能性がある。
【0026】
本明細書において、「損傷を受けたケラチン組織」は、例えば物理的及び/又は化学的刺激に曝された後に、不快感、炎症、好ましくない又は不整な外観等を示すケラチン組織を意味する。損傷を受けたケラチン組織の非限定的な例には、日焼け及びその他の種類の火傷;おむつかぶれ、剃毛発疹及びアレルゲンに誘発される発疹などの発疹;漂白、シミ又は色素沈着などの変色;例えば、ヒゲ剃りによる切り傷及び傷口を有する皮膚;例えば風、寒さ、及び/又は低い湿度等に曝されたことによる乾燥肌、あかぎれ又は鮫肌が挙げられる。損傷の非限定的な例は、放射線、風、低い湿度、アレルゲン、汚染物質、化学的な及び自然の刺激、体液、体外排泄物、過度の湿度、細菌、菌類等を含む。
【0027】
本明細書で使用するとき、「非揮発性」とは、1気圧、25℃において約0.2mm以下の蒸気圧を示す材料を意味し、及び/又は1気圧における沸点が少なくとも約300℃である材料を指す。本明細書で使用するとき、「揮発性」は本明細書の定義による「非揮発性」でない全ての物質をいう。
【0028】
本明細書で使用するとき「無極性の」は物質の平均溶解度パラメーターが約6.5(cal/cm30.5を下回ることを意味し、ここで「cal」はカロリーを意味する。油を別の油と混合し、当該油混合物の溶解度パラメーターの重み付き平均が約6.5以下である場合、6.5を超える溶解度パラメーターを有する油を使用してもよい。本明細書では、「重み付き平均」とは、平均溶解度パラメーターを計算するときに、種々の油類の体積と溶解度パラメーターとが考慮されるということを意味する。本明細書で使用するとき「極性」は、本明細書の定義による、物質が非極性化合物より高い平均溶解度パラメーターを有することを意味する。溶解度パラメーターは、C.D.ボーガン(C. D. Vaughan)によって「溶解度パラメーター:それは何か?(The Solubility Parameter: What is it?)」、化粧品及びトイレタリー(Cosmetics & Toiletries)第106巻、1991年11月、69〜72頁、及びまたC.D.ボーガンによって「化粧品配合における溶解度パラメーターの使用(Using Solubility Parameters in Cosmetics Formulation)」、36化粧品化学者協会誌(36 J. Soc. Cosmetic Chemists)、319〜333頁、1988年9月/10月に広範に論じられている。
【0029】
I.組成物
本発明の組成物はエマルションの形状であり、非水相及び水相を含む。その組成物は、非水相を約25%〜約99%、或いは約30%〜約90%、或いは約35%〜約90%、及び或いは約40%〜約70%含んでよい。好適なタイプのエマルションには、水中油型、油中水型、及び油中水中油型が挙げられるが、それらに限定されない。油は、動物、植物、又は、石油由来であってよく、天然又は合成でもよく、油にはシリコーンオイルが含まれてもよい。一実施形態では、組成物は油中水型エマルョンの形態である。或いは、組成物はシリコーン中水型エマルションである。
【0030】
一実施形態では、組成物は水相を約1%〜約75%、或いは約10%〜約70%、或いは約10%〜約65%、及び或いは約30%〜約60%含んでよい。組成物は同様に、水以外の構成要素(非水成分)を重量で約1%〜約75%、或いは約5%〜約50%、及び或いは約10%〜約25%を含んでよく、それらには角質組織に増加された利益を付与する、水溶性保湿剤、コンディショニング剤、湿潤剤、及び/又はその他の水溶性スキンケア活性物質が挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態では、非水成分は、グリセリン、水溶性スキンケア活性物質、及びそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、前記非水成分がグリセリンである。
【0031】
本発明の組成物は、本明細書で記述のように第一の温度で測定される第一の硬さ、及び同様に第二の温度で測定される第二の硬さを有する。第一の硬さは、第一の温度21℃において、約2g〜約45g、或いは約2g〜約40g、或いは約5g〜約35g、或いは約5g〜約20g、或いは約5g〜約12gであってよい。第二の硬さは、第二の温度33℃において、第一の硬さの約65%以下、或いは約55%以下、或いは約45%以下、或いは約30%以下であってよい。或いは、第一の温度における組成物の第一の硬さは、第二の温度において、少なくとも35%まで、少なくとも45%まで、或いは少なくとも55%まで、或いは少なくとも70%まで低下する。或いは、第二の温度33℃において第二の硬さは、約0.1g〜約30g、或いは約0.1g〜約20g、及び約0.1g〜約10g、或いは約0.4g〜約5gである。
【0032】
本発明の組成物は、本明細書で記述されるように測定された広がり性を、温度21℃において1,000g〜約10,000g、温度33℃において約500g〜約2,500gを有してよい。一実施形態では、33℃における組成物の広がり性は、21℃における広がり性の約10%〜約50%、或いは約20%〜約35%である。
【0033】
本発明の組成物は、その組成物が約40度の温度である時に、本明細書で規定されたように安定である。一実施形態では、40℃を超える温度で不安定の兆候を示す組成物が記述され、そのものは本来約40℃以下の温度に冷やして使用することを意図して仕立てたものである。例えば、組成物が融解して、それを再度冷却した場合、その組成物は安定形態をほぼ回復し皮膚使用感及び外観のような希望する特性を保持し、本明細書に記述されるような用途に好適である。
【0034】
組成物は、より上昇した温度において、本明細書に記述のように硬さが減少する際にレオロジーを維持することができる。レオロジーの安定性は、組成物が45℃±1℃のほぼ均一な温度に平衡化させた後で、5rpmで回転するTバー・スピンドル(寸法C)を備えたブルックフィールド・ヘリパス・スタンド(Brookfield Helipath Stand)でブルックフィールド(商標)RVDV−II+を用いて測定できる。粘度は、そのスピンドルを予め撹乱しないようにした製品の中を通って下方に移動した1つ以上の点において測定することが可能である。組成物は、全て45℃において、約5,000センチポイズ(cps)〜約0.5Pa.s(500,000cps)、或いは約0.01Pa.s〜0.3Pa.s(10,000cps〜約300,000cps)、或いは約0.02Pa.s〜約0.2Pa.s(20,000cps〜約200,000cps)、或いは0.04Pa.s〜約0.14Pa.s(40,000cps〜約140,000cps)の粘度を有してよい。
【0035】
一実施形態では、剪断力、又は剪断応力を印加したときに、組成物の水相が油相から可視的に分離する可能性があり、その水相が合体して目視できる液滴を油相中に及び/又は油相の上に形成する可能性がある。典型的には、油相は皮膚の上にほぼ均一に分配される。水相は、適用後すぐに、或いは適用後約3秒以内に、或いは適用後約10秒以内に目に見える液滴を形成し得る。
【0036】
剪断力の例には、例えば塗る、擦り込む、そっとたたく、ぬぐう等により、指、手、道具及び/又は供給促進機器を用いて皮膚又はその他のケラチン組織に適用することが挙げられる。分れた水相は、生成物がケラチン組織に潤いを与えているという即時の兆候及び/又は適用の際の強化された心地よい(「絹のような」)感覚などであるがこれらに限定されない即時の効果を提供し得る。相の分離後、水相は例えば皮膚に擦り込まれてもよく、又は蒸発させてもよい。
【0037】
一実施形態では、本発明の組成物はフリーのエステル油を実質的に含まなく、実質的に含まないとは25℃で液体である油であり、少なくとも1つのエステル部分を含むもの、例えばモノエステルを含むと解釈される。エステル油の例は米国公開特許US 2006/0013792に開示される。「エステル油を実質的に含まない」とは、組成物がエステル油を1%未満、或いは5%未満で含むことを意味すると解釈される。
【0038】
一実施形態では、バルクの組成物は例えば、化粧品染料及び顔料のような着色剤が存在しない、実質的に無色であってよい。一実施形態では、本発明の組成物の彩度は、約0〜約22、或いは約0〜約12、或いは約0〜約9、及び或いは約0〜約6であってもよい。更に、又は或いは、本発明の組成物の彩度は黒色表面に引き伸ばした際に約0〜約9、或いは約0〜約6、及び或いは約0〜約3であってよい。更に又は或いは、本発明の組成物は、約0〜約35、或いは約0〜約20、或いは約0〜約12の調節されたコントラスト比を有してよい。
【0039】
1.エラストマー
本発明の組成物は、適用の際に組成物のべたつき感を減少させ、心地よい感触を提供するのに有用なシリコーンエラストマーを含む。有用なシリコーンエラストマーの一つの非限定的な例は、米国特許公開第2003/0049212A1号に記載のような架橋オルガノポリシロキサン(又はシロキサン)エラストマーである。エラストマーは乳化性及び非乳化性シリコーンエラストマーを含んでもよい。本明細書で使用するとき、「乳化性」は、ポリオキシアルキレン(例えば、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン)又はポリグリセリン部分の少なくとも1つを有する架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを意味し、「非乳化性」は、ポリオキシアルキレン又はポリグリセリン部分を本質的に有さない架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを意味する。
【0040】
本発明の組成物は、非乳化性架橋シロキサンエラストマーを約0.1%〜約15%、或いは約0.1%〜約5%、及び、或いは約0.1%〜約2%含んでもよい。表示されたパーセントは、例えば保管及び輸送に使用されるエラストマー及び溶媒の合計量とは対照的に、乾燥エラストマーの量を指すと解釈される。一実施形態において、非乳化性架橋シロキサンエラストマーはジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーであり、ダウ・コーニング(Dow Corning)(商標)(DC 9040及びDC 9041)、ゼネラル・エレクトリック(GeneralElectric)(商標)(SFE 839)、信越(Shin Etsu)(商標)(KSG−15、16、18[ジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマー])、及びグラント社(Grant Industries)(エラストマーのグランシル(GRANSIL)(商標)系列)などの様々な供給元から供給される。本発明で有用な架橋シロキサンエラストマー及びその製造方法については、サクタ(Sakuta)らに発行された米国特許第4,970,252号、キルゴール(Kilgour)らに発行された米国特許第5,760,116号、及び1997年8月5日にシュルツ・ジュニア(Schulz,Jr.)らに発行された米国特許第5,654,362号に更に記載されている。本発明で有用な追加の架橋オルガノポリシロキサンエラストマー類は、日本特許JP 61−18708(ポーラ化成工業(Pola Kasei Kogyo KK)に譲渡)に開示されている。更に、好適なオルガノポリシロキサンエラストマー粉末としては、KSP−100、KSP−101、KSP−102、KSP−103、KSP−104、KSP−105などのビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー(信越(Shin Etsu)(商標))、KSP−200などのフルオロアルキル基を含有するハイブリッドシリコーン粉末(信越(商標))、KSP−300(信越(商標))やDC−9506(ダウ・コーニング(Dow Corning)(商標))などのフェニル基含有ハイブリッドシリコーン粉末が挙げられる。
【0041】
本発明の組成物は、乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを約0.1%〜約15%、或いは約0.2%〜約5%、或いは約0.2%〜約2%含んでもよく、米国特許第5,412,004号、米国特許第5,837,793号、及び米国特許第5,811,487号に記載されている。表示されたパーセントは、例えば保管及び輸送に使用されるエラストマー及び溶媒の合計量とは対照的に、乾燥エラストマーの量を指すと解釈される。乳化性エラストマーの非限定的な例として、ジビニル化合物から形成されるポリオキシアルキレン修飾エラストマー、例えば、ポリシロキサン主鎖上でのSi−H連鎖と結合する、少なくとも2つの遊離ビニル基をもつシロキサンポリマーが挙げられる。一実施形態において、乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマーは、分子的に球状のMQ樹脂(R3SiO1/2SiO4/2)上のSi−H部位で架橋されたジメチルポリシロキサン、或いは信越からKSG−21として市販のジメチコンコポリオールクロスポリマー及びジメチコンである。
【0042】
2.エラストマー溶媒
本発明の組成物は、架橋したオルガノポリシロキサンエラストマーに対する好適な溶媒を、約1%〜約70%、或いは約4%〜約55%、或いは約5%〜約45%、或いは約0%〜約10%含んでよい。好適な溶媒の非限定的な例は、米国特許公開第2003/0049212A1号に記載されている。本発明の化粧品組成物における溶媒の濃度は、使用する溶媒及び架橋シロキサンエストラマーの種類及び量によって異なってもよく、本発明の架橋オルガノポリシロキサンエラストマー粒子と組み合わせる場合はエラストマー粒子を懸濁及び膨潤させて弾性でジェルのような網状組織又はマトリックスを提供する。架橋シロキサンエラストマーのためのキャリアは、周囲条件下で液体であり、一実施形態において、皮膚上での広がりが向上するように低い粘度を有する。
【0043】
溶媒には好ましくは、揮発性で非極性の油、不揮発性で極性の油、不揮発性で非極性の油、及び不揮発性のパラフィン系炭化水素の油が挙げられる。非極性で揮発性の油の非限定的な例は、米国特許第4,781,917号(ルエボ(Luebbe)らに発行)に開示されており、イソドデカン及びイソデカン(例えば、パーメチル(Permethyl)−99A、プレスパース(Presperse)(商標)社より入手可能))及びC7〜C15イソパラフィン(例えば、イソパー(Isopar)シリーズ、エクソン(Exxon)(商標)ケミカルズ社より入手可能);粘度を変化させるシクロメチコン、例えばダウ・コーニング(商標)200、ダウ・コーニング(商標)244、ダウ・コーニング(商標)245、ダウ・コーニング(商標)344、及びダウ・コーニング(商標)345、G.E.シリコーンズ(G.E.Silicones)から入手可能なシリコーン流体(例えば、SF−1204、SF−1202、GE 7207及びGE 7158);及びSWS−03314(SWSシリコーンズ(SWS Silicones)(商標)社から市販)を含む。
【0044】
本発明で有用な極性の不揮発性の油には、これらに限定されないが、シリコーン油類、炭化水素油類、脂肪族アルコール類、脂肪酸類、一塩基及び二塩基カルボン酸と一価及び多価アルコールとのエステル類、ポリオキシエチレン類、ポリオキシプロピレン類、脂肪族アルコールのポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンエーテルの混合物、並びにそれらの混合物が挙げられる。一実施形態において、極性の不揮発性の油は、プロポキシル化の程度が約50を下回るC14〜C18の脂肪族アルコールのプロポキシル化エーテル、C2〜C8のアルコール類とC12〜C26のカルボン酸とのエステル(例えば、エチルミリステート、パルミチン酸イソプロピル)、C12〜C26アルコール類と安息香酸とのエステル(例えば、ファインテックス(Finetex)(商標)から供給されるフィンソルブ(Finsolv)(商標)TN)、C2〜C8アルコール類とアジピン、セバシン酸及びフタル酸とのジエステル(例えば、ジイソプロピルセバケート、ジイソプロピルアジパート、ジ−n−ブチルフタレート)、C6〜C26のカルボン酸の多価アルコールエステル(例えば、プロピレングリコールジカプリル/カプリン酸、プロピレングリコールイソステアレート);及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0045】
好適な不揮発性の非極性の油の例には、これらに限定されないが、不揮発性ポリシロキサン、パラフィン系炭化水素油、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明で有用なポリシロキサンは、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー、及びこれらの混合物からなる群より選択される。有用な油の例には、ビスカシル(Viscasil)(商標)シリーズ(ゼネラル・エレクトリック(General Electric));ダウ・コーニング200シリーズ(ダウ・コーニング社);SF 1075メチルフェニル流体(ゼネラル・エレクトリック)及び556コスメチック・グレード流体(ダウ・コーニング社)が含まれる。
【0046】
本発明で有用な不揮発性のパラフィン系炭化水素が、米国特許第5,019,375号(タナー(Tanner)らに発行)及び2003/0049212A1に記載されており、鉱油及び分枝鎖炭化水素、例えばパーメチル(商標)102A、103A及び104A(パーメチル(Permethyl)社);及びエチルフロ(Ethylflo)(商標)364(エチル社(Ethyl Corp.))が挙げられる。本明細書で有用なさらなる好適な溶媒が、ガスキー(Guskey)らに発行された米国特許第5,750,096号に記載されている。
【0047】
3.乳化剤
本発明の組成物は、水相を油中水型エマルジョン中の油相に分散及び懸濁させるのに有用な追加の乳化剤を含有してもよい組成物は少なくとも1つの追加的な乳化剤を、約0.001%〜約5%、或いは約0.01%〜約5%、或いは約0.1%〜約3%、或いは約0.1%〜約2%、及び或いは約0.1%〜約1%含んでよい。
【0048】
シリコーン中水型エマルジョンを形成するために本明細書においては、種々の乳化剤を用いることが可能であり、米国特許第2003/0049212A1号に記載されている。一実施形態において、追加の乳化剤は、ジメチコンコポリオールなどの有機的に修飾されたオルガノポリシロキサン(シリコーン界面活性剤)を含むシリコーン乳化剤である。本明細書に有用な市販ジメチコンコポリオールは、ダウ・コーニング(Dow Corning)(登録商標)190、193、Q2−5220、2501ワックス、2−5324流体、及び3225C、アビル(ABIL)(商標)EM−90、アビル(商標)WE−09及びアビル(ABIL)(登録商標)WS−08(ゴールドシュミット(Goldschmidt))、KF−6028及びKF−6106(信越(Shin-Etsu(商標)))である。
【0049】
一実施形態において、追加的乳化剤は非シリコーン乳化剤であり、その非限定的な例には、糖エステル及びポリエステル、アルコキシル化糖エステル及びポリエステル、C1〜C30脂肪族アルコールのC1〜C30脂肪酸エステル、C1〜C30脂肪族アルコールのC1〜C30脂肪酸エステルのアルコキシル化誘導体、C1〜C30脂肪族アルコールのアルコキシル化エーテル、C1〜C30脂肪酸のポリグリセリルエステル、ポリオールのC1〜C30エステル、ポリオールのC1〜C30エーテル、アルキルホスフェート、ポリオキシアルキレン脂肪族エーテルリン酸、脂肪酸アミド、アシルラクチレート、石鹸及びこれらの混合物などの非イオン性及び陰イオン性乳化剤が挙げられる。
【0050】
4.固化剤
本発明の組成物は、本明細書に記述のように、約40℃の温度で組成物に安定性を付与し好適な硬さを付与するのに好適な1つ以上の固化剤を含む。種々の好適な固化剤が使用でき、ヴァター(Vatter)らに発行された米国特許第6,696,049号に開示されたものが挙げられる。一実施形態では、固化剤はワックスである。組成物は、1つ以上の固化剤を約0.1%〜約40%、或いは約0.5%〜20%、或いは約1%〜5%、及び或いは約5%〜15%含んでよい。
【0051】
本明細書の使用に好適なワックスは、動物性、植物性、鉱物性、又はシリコーンワックスが挙げられるが、それらに限定されない。一般的にそのようなワックスの融点は約25℃〜125℃の範囲であり、或いは約30℃〜約100℃の範囲である。好適なワックスの非限定的例には、シリコーンワックス、脂肪エステル例えばセチル及び/又はステアリルエステル、アカシア、蜜蝋、セレシン、フラワーワックス、かんきつ類ワックス、カマウバ(camauba)ワックス、ホホバ(JOJOBA)ワックス、日本蝋、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、コメヌカ、ラノリンワックス、ミンク、モンタン、ヤマモモ、オウリキュリー(ouricury)、オゾケライト、パーム核ワックス、パラフィン、アボカドワックス、アップルワックス、セラック蝋、クラリー(clary)ワックス、スティムテクス(spent grain wax)、カンデリラ、グレープワックス、それらのポリアルキレングリコール誘導体(例えば、PEG6−20蜜蝋、又はPEG−12のカルナバワックス)及び前述したワックスのいずれかの混合物、が挙げられる。一実施形態では、ワックスはポリエチレンワックスであり、或いは120℃未満、或いは95℃未満、或いは85℃未満の融点を有するポリエチレンワックスである。
【0052】
好適なシリコーンワックスの非限定的例は、米国特許第5,413,781号、及び米国特許第5,725,845号に開示され、並びに更にアルキルメチルポリシロキサン、C10〜C60アルキルジメチコン、及びそれらの混合物が挙げられる。或いは、シリコーンワックスはC16〜C28アルキルジメチコーンワックスであってよい。その他の好適なシリコーンワックスには、ステアロキシジメチコン、ベヘノキシジメチコン、セテアリルジメチコン、セチルジメチコン、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0053】
5.微粒子材料
本発明の組成物は、粒子状物質を含んでよい。一実施形態では、組成物は微粒子材料を約0.001%〜約25%、或いは約0.01%〜約15%、或いは約0.01%〜約10%、或いは約0.1%〜約2%含んでよい。好適な微粒子物質の非限定的な例は、国際化粧品成分辞典及びハンドブック(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)(米国化粧品工業会、第10版、T.E.ゴットシャルク(Gottschalck, T.E.)、マクイウェン、Jr.(McEwen, Jr.)編、2004年、2728頁)に見ることができる。その他の好適な微粒子材料には、アーモンドミール(almond meal)、酸化アルミニウム、アプリコット種子粉末、オキシ塩化ビスマス、窒化ホウ素、セルロース及びセルロース誘導体、粘土、酸化カルシウム、無機塩例えば、炭酸塩、塩化物、酸化鉄、ホホバ種子粉末、ヘチマ、雲母、モモ種子粉末、ペカン殻粉末、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、ポリメチルスチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリハロゲン化オレフィン、軽石、米糖、絹雲母、絹、合成ヘクトライト、二酸化チタン、燐酸三カルシウム、及びそれらの混合物、が挙げられるが、それらに限定されない。更にまた、混合ポリマー類(例えば、コポリマー、ターポリマー等)から作られた粒子も有用であり、これらには、ポリエチレン/ポリプロピレンコポリマー、ポリエチレン/プロピレン/イソブチレンコポリマー、ポリエチレン/スチレンコポリマー、及びこれらの混合物がある。通常、ポリマー粒子及び混合ポリマー粒子は、例えば不純物を破壊するために酸化プロセスを介して処理される。ポリマー粒子及び混合ポリマー粒子はまた、任意選択的に、種々の一般的な架橋剤類で架橋することができ、非限定例としては、ブタジエン、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、スクロースのアリルエーテル類、ペンタエリスリトールのアリルエーテル類、及びこれらの混合物が挙げられる。有用な粒子の他の例としては、パラフィン類、カルナバ蝋(carnuba wax)、オゾケライト蝋(ozekerite wax)、キャンデリラ蝋(candellila wax)、及び尿素ホルムアルデヒド樹脂類のような蝋類及び樹脂類が挙げられる。かかる蝋類及び樹脂類を本明細書で使用する場合、これら材料は、周囲温度及び皮膚温度において固体であることが重要である。
【0054】
本発明において有用な粒子状物質の他の例としては、有色顔料及び無色顔料、干渉顔料、前述したもの以外の無機粉末及び有機粉末、複合粉末、蛍光増白剤粒子、並びにこれらの混合物が挙げられる。そのような微粒子の平均径は約0.1μ〜約100μであってよい。これらの微粒子は、例えば小板形、球形、細長い形状若しくは針形、又は不規則形状、表面コーティング有り若しくは無し、有孔若しくは無孔、荷電若しくは非荷電であってよく、及び本組成物に粉末として又は予め分散させて添加することができる。これらの粒子状物質は、天然及び/又は合成供給源から誘導され得る。
【0055】
好適な有機粉末粒子状物質としては、メチルシルセスキオキサン樹脂ミクロスフェアから選択される球状ポリマー粒子、例えば、トスパール(Tospearl)(商標)145A(東芝シリコーン(Toshiba Silicone));ポリメチルメタクリレートのミクロスフェア、例えば、マイクロパール(Micropearl)(商標)M100(セピック(Seppic));架橋ポリジメチルシロキサンの球状粒子、例えば、トレフィル(Trefil)(商標)E506C又はトレフィル(商標)E505C(ダウ・コーニング・東レ・シリコーン(Dow Corning Toray Silicone));ポリアミドの球状(sphericle)粒子、例えば、ナイロン−12、及びオルガソル(Orgasol)(商標)2002D Nat C05(アトケム(Atochem));ポリスチレンミクロスフェア、例えばダイノスフェア(Dynospheres)(商標)の名称で販売されるダイノ・パーティクル(Dyno Particles)、及びフロビーズ(FloBead)(商標)EA209(コボ(Kobo))の名称で販売されるエチレンアクリレートコポリマー;アルミニウムデンプンオクテニルサクシネート、例えばドライフロ(Dry Flo)(商標)(ナショナルスターチ(National Starch));ポリエチレンのミクロスフェア、例えばマイクロセン(Microthene)(商標)FN510−00(イクイスター(Equistar))、シリコーン樹脂、ポリメチルシルセスキオキサンシリコーンポリマー、L−ラウロイルリジンから製造される小板形状の粉末、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
本明細書では、干渉顔料も有用である。本明細書において、「干渉顔料」とは、厚みが制御された2つ以上の層を有する薄い板状の層状粒子を意味する。各層は、異なる屈折率を有し、板状粒子の異なる層からの典型的に2つ、しかし時折それ以上の光反射の干渉によって、特有の反射色を生じる。干渉顔料の最も一般的な例は、TiO2、Fe23、シリカ、酸化スズ、及び/又はCr23の約50〜300nmの膜と積層された雲母である。こうした顔料は、真珠光沢を有することが多い。顔料粒子が透明であり、雲母の小板と、例えば二酸化チタンコーティングとの屈折率の差が大きいために、真珠光沢顔料は、光を反射し、屈折し、透過する。干渉顔料は、多種多様な供給元、例えば、ロナ(Rona)(ティミロン(Timiron)(商標)及びディクロナ(Dichrona)(商標))、プレスパース(Presperse)(フローナック(Flonac)(商標))、エングルハード(Englehard)(デュオクローム(Duochrome)(商標))、コボ(Kobo)(SK−45−R及びSK−45−G)、BASF(シコパールズ(Sicopearls))、及びエッカート(Eckart)(プレスティージ(Prestige)(商標))から市販されている。一実施形態では、干渉顔料の個々の粒子の最長側の平均直径は、約75ミクロン未満、或いは約50ミクロン未満である。
【0057】
本発明において有用な他の顔料は、主に、可視光線の特定波長の選択的吸収によって色を提供でき、無機顔料、有機顔料、及びこれらの混合物が挙げられる。このような有用な無機顔料の例としては、酸化鉄、フェロシアン化第二鉄アンモニウム、マンガンバイオレット、群青、及び酸化クロムが挙げられる。有機顔料としては、天然着色剤、及び合成のモノマー及びポリマー着色剤を挙げることができる。一例は、フタロシアニン青色及び緑色顔料である。レーキ、主に食品、医薬品及び化粧品用、或いは医薬品及び化粧品用レーキ、並びにこれらのブレンドもまた有用である。カプセル化された可溶性又は不溶性染料及び他の着色剤も、同様に有用である。本発明において有用な無機の白色又は未着色顔料、例えばTiO2、ZnO、又はZrO2は、多くの供給元から市販されており、例えば、TRONOX TiO2シリーズ、SAT−T CR837、ルチルTiO2(USコスメティックス社)がある。米国特許第5,997,887号(ハ(Ha)らに発行)に開示されている二酸化チタンの荷電した分散物もまた好適である。
【0058】
6.着色剤
一実施形態では、コーティングされた微粒子以外の染料及び顔料を含む着色物を約0.0001%〜約2%、或いは約0.001%〜約1%、及び或いは約0.001%〜約0.25%を含んでよい。着色剤の非限定的例には、酸化鉄、フェロシアン化第二鉄アンモニウム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、及び酸化クロムのような無機酸化物が挙げられる。有機顔料は、天然着色剤及び合成モノマー性及びポリマー性着色剤、例えば、フタロシアニンブルー及びグリーン顔料を含んでよい。同様に、レーク、一級食品医薬品及び化粧品(primary FD&C)又は医薬品及び化粧品用レーク(D&C lakes)、並びにそれらのブレンド、カプセル封入された可溶性又は不溶性の染料及びその他の着色剤、並びに前述のものいずれかの混合物が有用である。代わりに、組成物は着色剤は実質的に着色剤がなくてもよく、この場合「実質的にない」は0.001%未満の着色剤を含むと解釈される。
【0059】
7.活性物質
本発明の組成物は、哺乳類の皮膚の状態を調製及び/又は改善させるのに有用な、少なくとも1つのスキンケア活性物質(「活性物質」)を含んでよい。活性物質は油又は水に可溶性であってよく、及び主として油相並びに/若しくは水相に存在してよい。水及び油への溶解度は当業者には知識の範囲内であり、既知の分析方法を用いて測定することが可能である。当業者は、溶解度が組成物中のその他の構成成分の種類及び濃度、並びにpH、イオン強度等などのその他の条件に影響を受け得ることを更に理解するであろう。多くのスキンケア活性物質が1つ以上の効果を提供することができ、又は作用の1つ以上のモードを介して機能することができる。したがって、本明細書における分類は便宜上のものであり、その特定の適用又は列挙された適用に活性物質を限定することを意図していない。
【0060】
ビタミン
本発明の組成物は、少なくとも1つのビタミンを約0.0001%〜約50%、或いは約0.001%〜約10%、或いは約0.01%〜約5%含んでよい。本明細書で、「ビタミン」とは、ビタミン、プロビタミン、並びにそれらの塩、異性体及び誘導体を意味する。好適なビタミン類の非限定的な実施例は次を含む:ビタミンB化合物(B1化合物、B2化合物、B3化合物、例えばナイアシンアミド、ナイアシンニコチン酸、トコフェリルニコチネート、C1〜C18ニコチン酸エステル、及びニコチニルアルコール;B5化合物、例えばパンテノール又はプロ−B5、パントテン酸、パントテニル;B6化合物、例えばピロキシジン、ピリドキサル、ピリドキサミン;カルニチン、チアミン、リボフラビン);レチノイド、レチノール、レチニルアセテート、レチニルパルミテート、レチノイン酸、レチンアルデヒド、レチニルプロピオネート、カロチノイド(プロ−ビタミンA)、及びビタミンAの生物活性を有するその他の化合物を含むビタミンA化合物及び全てのビタミンAの自然及び/又は合成類似体;ビタミンD化合物;ビタミンK化合物;ビタミンE化合物又はソルビン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロール及びトコフェリル化合物のその他エステルを含むトコフェロール;アスコルベート、脂肪酸のアスコルビルエステル、及びアスコルビン酸誘導体例えばリン酸マグネシウムアスコルビル及びリン酸アスコルビルナトリウムなどのリン酸アスコルビル、アスコルビルグルコシド、並びにアスコルビルソルベートを含むビタミンC化合物、及び飽和及び/又は不飽和脂肪酸などのビタミンF化合物。一実施形態では、本組成物は、ビタミンB化合物、ビタミンC化合物、ビタミンE化合物、又は、これらの混合物から成る群から選択されたビタミンを含む。或いは、ビタミンは、ナイアシンアミド、トコフェリルニコチネート、ピロキシジン、パンテノール、ビタミンE、ビタミンEアセテート、アスコルビルホスフェート、アスコルビルグルコシド、又は、これらの混合物から成る群から選択されている。
【0061】
ペプチド、又は、ペプチド誘導体
本発明の組成物は1つ以上のペプチドを含んでよい。本明細書において、「ペプチド」とは、10個以下のアミノ酸を含有するペプチド、それらの誘導体、異性体、及び金属イオン(例えば、銅、亜鉛、マンガン及びマグネシウム)のような他の種との錯体を指す。本明細書にて使用するとき、ペプチドとは、天然起源のペプチド及び合成ペプチドの両方を指す。一実施形態では、ペプチドは、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、及びヘキサ−ペプチド、それらの塩、異性体、誘導体、及びこれらの混合物である。有用なペプチド誘導体の例としては、大豆タンパク質由来のペプチド、カルノシン(β−アラニン−ヒスチジン)、パルミトイル−リジン−トレオニン(pal−KT)及びパルミトイル−リジン−トレオニン−トレオニン−リジン−セリン(pal−KTTKS、マトリキシル(MATRIXYL)(登録商標)として知られている組成物内で入手可能))、パルミトイル−グリシン−グルタミン−プロリン−アルギニン(pal−GQPR、リジン(RIGIN)(登録商標)として知られている組成物内で入手可能))、これら3つはセデルマ(Sederma)(フランス)から入手可能、アセチル−グルタメート−グルタメート−メチオニン−グルタミン−アルギニン−アルギニン(Ac−EEMQRR;アルジレリン(登録商標))、並びにCu−ヒスチジン−グリシン−グリシン(Cu−HGG、IAMIN(登録商標)としても知られている)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
前記組成物は、約1×10-7%〜約20%、或いは約1×10-6%〜約10%、或いは約1×10-5%〜約5%の前記ペプチドを含んでよい。
【0063】
糖アミン
本発明の組成物には、糖アミン(アミノ糖としても知られる)、又は、その塩、異性体、互変異性体、又は、誘導体が含まれてもよい。糖アミンは、合成又は天然由来であることができ、純粋化合物又は化合物の混合物(例えば、自然源からの抽出物又は合成物質の混合物)として用いることができる。例えば、グルコサミンは、一般に多くの甲殻類に見られ、真菌源由来であることもできる。本発明で有用な糖アミン化合物類としては、例えばN−アセチルグルコサミン、並びに国際公開特許WO 02/076423号及び米国特許第6,159,485号(ユ(Yu)らに発行)に記載されているものもまた挙げられる。一実施形態では、組成物は約0.01%〜約15%、或いは約0.1%〜約10%、及び或いは約0.5%〜約5%の糖アミンを含む。
【0064】
日焼け止め剤
本発明の組成物は、1つ以上の日焼け止め活性物質(日焼け止め剤)及び/又は紫外線吸収剤を含んでよい。本明細書において、「日焼け止め活性物質」とは、日焼け止め剤と物理的日焼け防止剤との両方を包含する。日焼け止め活性物質及び紫外線吸収剤は有機又は無機であってもよい。好適な日焼け止め用活性物質及び紫外線吸収剤の例は、国際化粧品成分辞典(International Cosmetic Ingredient Dictionary)(米国化粧品工業会、第10版、T.E.ゴットシャルク,(Gottschalck, T.E.)、マクイウェン,Jr.(McEwen, Jr.)編、2004年、2267頁及び2292〜93頁)に開示され、そして更にテレフタリリデンジカンフルスルホン酸(メギゾリル(Mexoryl)(商標)SX)が挙げられる。
【0065】
油調整剤
本発明の組成物は、皮膚の油、又は、皮脂の生成を調整するのに有用であるとともに、油性皮膚の外観を改善するのに有用である1つ以上の化合物を含有することが可能である。適切な油調整剤の例としては、サリチル酸、デヒドロ酢酸、過酸化ベンゾイル、ビタミンB3化合物(例えばナイアシンアミド又はトコフェリルニコチネート)、それらの異性体、エステル、塩、又は、誘導体、又は、これらの混合物が挙げられる。前記組成物は、約0.0001%〜約15%、或いは約0.01%〜約10%、或いは約0.1%〜約5%、或いは約0.2%〜約2%のオイル制御剤を含んでもよい。
【0066】
その他のスキンケア活性物質
本発明の組成物は、非ビタミン酸化防止剤及びラジカルスカベンジャー、育毛調節剤、フラボノイド、鉱物、防腐剤、フィトステロール、及び/又は植物ホルモン、蛋白質分解酵素抑制剤、チロシナーゼ阻害物質、抗炎症剤並びにN−アシルアミノ酸化合物を更に含んでよい。
【0067】
好適な非ビタミン酸化防止剤及びラジカルスカベンジャーには、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、L−エルゴサイオネイン(チオタン(THIOTANE)(商標)として入手可能)、テトラヒドロクルクミン、塩化セチルピリジニウム、カルノシン、ジエチルヘキシルシリニリデンマロネート(オキシネックス(OXYNEX)(商標)として入手可能)、ヘキサデク−8−エン−1,16−ジカルボン酸(オクタデセンジオイック酸、アラトン(ARLATONE)(商標)ユニケマ(Uniqema)からのジオイックDCA)、ユビキノン(コエンザイムQ10)、緑茶抽出物を含む茶抽出物、酵母抽出物又は酵母培養液(例えば、ピテラ(Pitera)(登録商標))、並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0068】
好適な育毛調節剤には、ヘキサミジン化合物、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ヘキサンジオール、パンテノール及びパントテン酸誘導体、それらの異性体,塩及び誘導体、並びにそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0069】
好適なミネラルには、亜鉛、マンガン、マグネシウム、銅、鉄、セレン及びその他のミネラル補助食品が挙げられる。「ミネラル」は、種々の酸化状態のミネラル、無機複合体、塩、誘導体及びこれらの組み合わせであると解釈される。
【0070】
植物ステロール(フィトステロール)及び/又は植物ホルモンの好適な例には、シトステロール、スティグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール、キネチン、ゼアチン、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0071】
好適な蛋白質分解酵素抑制剤には、ヘキサミジン化合物、バニリンアセテート、メチルアントラニレート、大豆トリプシン阻害物質、ボーマン‐バーク・インヒビター(Bowman-Birk inhibitor)、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0072】
好適なチロシナーゼ阻害剤としては、シナブランカ(カラシナ種子抽出物)、テトラヒドロクルクミン、塩化セチルピリジニウム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
好適な抗炎症剤には、グリシルリチン酸(グリシルリチン、グリシルヒキシニック酸、及びグリシルリチン酸グルコシド)、グリシルヘテニック酸、その他のカンゾウ抽出物、並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0074】
好適なN−アシルアミノ酸化合物としては、N−アシルフェニルアラニン、N−アシルチロシン、それらの異性体(それらのD及びL異性体を包含する)、塩、誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適なN−アシルアミノ酸の例は、N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンであり、商標名セピホワイト(SEPIWHITE)(登録商標)として、セピック社(フランス)から市販されている。
【0075】
その他の有用なスキンケア活性物質には、グリセロール、ワセリン、カフェイン、及び尿素のような保湿性並びに/又はコンディショニング剤;酵母抽出物(例えば、ピテラ(Pitera)(商標));デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)とその類縁体及び誘導体;α−及びβ−ヒドロキシ酸、α−ケト酸、グリコール酸並びにオクタノイルサリチル酸を含む剥離剤;抗菌剤;ピロクトンオラミン、3,4,4’−トリクロロカルバニリド(トリクロサン)、トリクロカルバン及びジンクピリチオンのような抗ふけ剤;ジメチルアミノエタノール(DMAE);クレアチン;コウジ酸、くわ抽出物、ヒドロキノン、アルブチン、及びデオキシアルブチンのような美白剤;ジヒドロキシアセトン(DHA)のような(サンレス)タンニング剤;前述のものの異性体、塩及び誘導体;並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0076】
8.増粘剤
本発明の組成物は、約0.1%〜約5%、或いは約0.1%〜約4%、或いは約0.25%〜約3%の増粘剤を含んでもよい。増粘剤の非限定的な部類は、カルボン酸ポリマー類、架橋ポリアクリレートポリマー類、ポリアクリルアミドポリマー類、多糖類、ゴム類、及びこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。
【0077】
II.使用方法
本発明は哺乳類の皮膚の状態を調節、及び/又は改善させる方法を記述する。ケラチン組織に適用したときに水相が可視的に油相から分離する際には、その組成物は消費者に急速で即時的な効果及び水溶性のスキンケア活性物質がケラチン組織の中に浸透することの増加を示唆する。当該方法は、哺乳類の皮膚に本明細書に記載のパーソナルケア組成物を局所適用する処置を含む。或いは、当該方法は、本明細書に記載の組成物を損傷を受けたケラチン組織に適用してかかる組織の状態を調節する及び/又は改善する、及び/又は損傷の影響を緩和させる処置を含んでもよい。
【0078】
組成物は、1つ以上の効果が必要なケラチン組織を含む任意のケラチン組織に適用可能である。効果にはケラチン組織の調節及び/又は改善が含まれ、その非限定的な実施例には皺の外見を減少させること、深い線の外見を減少させること、細かい線の外見を減少させること、大きい毛穴の外見を減少させること、ケラチン組織の厚さを減少させること、真皮−表皮の境界の回旋を増加させること、弾力を増加させること、セルライトの外見を減少させること、変色の外見を減少させること、目の下のくまの外見を減少させること、黄ばみの外見を減少させること、及びこれらの組み合わせが挙げられる。或いは、前記効果はしわを低減し、深い線を低減し、細かい線を低減し、大きい毛穴を低減し、セルライトを低減し、色素沈着を低減し、目の下のくまを低減し、黄ばみを低減することを含んでもよい。
【0079】
組成物の適用は、手又は指で、擦り込む、ぬぐう、又はそっとたたく、或いは器具及び/又は供給促進機器を使用することを含む種々の手段によって行うことができる。器具の非限定的な実施例は、スポンジ又は先端がスポンジの塗布器、モップ(例えば、先端が綿のモップ)、任意で発泡体又はスポンジ塗布器を含むペン、ブラシ、化学ぞうきん及びこれらの組み合わせを含む。供給促進機器の非限定的な実施例は、機械的な、電気的な、超音波の及び/又はその他のエネルギー装置を含む。一実施形態において、組成物は皮膚上にやさしく広げられて油相から水相が分離するのを容易にする。水相が分離し及び目に見えて強化された液滴に融合したとき、組成物をケラチン組織上にそのまま放置してもよい。代わりに、その組成物をケラチン組織の中に擦り込む前に、皮膚の上に5秒、10秒、30秒、又は1分間留まらせることができる。
【0080】
適用される組成物の量、適用の頻度、及び使用期間は、所与の組成物の構成要素のレベル及び所望される調整のレベルに依存して広く変化するであろう。例えば、ケラチン組織のために、約0.1mg組成物/cm2〜約50mg組成物/cm2、或いは約2mg組成物/cm2を適用してもよい。一実施形態では、組成物は皮膚を紫外線照射に曝露する前に、或いは毎日少なくとも1回適用され、ここでは「毎日」並びに「日中」は24時間の期間を意味する。組成物は更に、治療計画の一環として、例えば、連続30日、或いは連続14日、或いは連続7日及び或いは連続2日で、1日1回適用されてよい。
【0081】
方法は、組成物を適用する処置と共に、同時又は順次に、組成物及び/又はケラチン組織に温度変化を誘発する処置を含んでよい。方法は、少なくとも1つの追加の組成物の適用、1つ以上の栄養補助食品の摂取、洗浄等を包含する、処置又は適用処方計画の一部を形成する追加の処置を更に含んでよい。
【0082】
III.キット
更に本発明は、本明細書に記載された少なくとも1つの組成物を含むキットを提供する。キットは、外側包装単位を含んでよく、これが今度は1つ以上の内側包装単位を含んでよい。一実施形態では、組成物を消費者が目視できるように、全ての収納容器の少なくとも一部は透明又は半透明である。好適な外側容器の非限定的な実施例の1つは、指示される適用処方計画、例えば、1日1回で1ヶ月間の適用のために十分な数の内部包装単位を保持するのに適した箱又はトレイである。或いは、トレイは、指示される適用処方計画に相当するために組織化された個々の内側包装単位の配列を収容してよい。キットは、更に器具を含んでよく、これは、ケラチン組織の所望の領域への、組成物の標的とされた送達に好適であり得る。組成物は、器具とは別個に包装されてよく、又は器具内に含有されてよい。更にキットは、1以上の追加の組成物、1以上の経口摂取可能な栄養補助食品、追加の器具、追加の供給増進機器、温度変化要素、基材、好適な適用処方計画に従うための使用説明書、及びこれらの組み合わせを包含する複数個の構成要素を含んでよい。
【実施例】
【0083】
(実施例1〜8)
実施例1〜8は、本明細書に記述のパーソナルケア組成物の非限定的例を表し、本明細書に記述される方法に従ってケラチン組織に好適に適用される。
【0084】
【表1】

【0085】
(実施例9〜12)
比較例9〜12は本発明の請求項の意図した範囲から外れる組成物を表す。
【0086】
【表2】

1.シクロペンタシロキサン中に12.5%のジメチコンクロスポリマー。ダウ・コーニング(Dow Corning(商標)から入手可能。
2.例えば、トスパール(商標)145A又はトスパール2000。GE東芝シリコーン(GE Toshiba Silicone)(商標)から入手可能。
3.ジメチコン中に25%のジメチコンPEG−10/15クロスポリマー。信越(Shin-Etsu)(商標)から入手可能。
4.ジーンネイト(Jeenate)(商標)3H、ジーン(Jeen)(商標)社からのポリエチレンワックス、実施例1〜8に組み入れた。パフォーマレン(Performalene)(商標)400、ニュー・フエイズ・テクノロジー(New Phase Technologies)(商標)からのポリエチレンワックス、実施例11〜12に組み入れた。
5.ステアリルジメチコン。ダウ・コーニングから入手可能。
6.ステアリルベヘネート。ストラール・アンド・ピッチ(Strahl and Pitsch)社から入手可能(商標)。
7.ステアリルパルミテート。ストラール・アンド・ピッチ(Strahl and Pitsch)社から入手可能(商標)。
8.セテアリルオクタノエート及びイソプロピルミリステート。クローダ(Croda)社から入手可能(商標)。
9.水素化ホホバ油。パーセル・ホホバ・インターナショナル(Purcell Jojoba International)から入手可能(商標)。
10.セチルジメチコンコポリオール、ポリグリセリル−4−イソステアレート及びヘキシルラウリレート。ゴールドシュミット(Goldschmidt)化学から入手可能(商標)。
11.ヘキサミジンジイセチオネート、セロバイオロジック・ラボラトリーズ(Laboratoires Serobiologiques)より入手可能。
12.追加的に又は代替的に、本明細書において開示されているように、組成物は1つ以上のその他のスキンケア活性物質、それらの塩及び誘導体を、当業者が好適であると考える、これもまた本明細書において開示されている、量で含んでいてもよい。
13.不安定エマルション。33℃における硬さに対し一貫した値を得ることができない。
【0087】
実施例1〜10では、好適な容器中で相Aの成分を混合する。別個の好適な容器で、相Bの成分を混合する。各々の相を、好適な混合器(例えば、アンカーブレード、プロペラブレード、又はIKAT25)を使用して混合しながら73℃〜78℃で、各相がほぼ一定の所望の温度に到達し均一になるまで加熱する。相Aを混合し続けている間に、相Bを相Aに徐々に加える。バッチが均一になるまで混合を続ける。生成物を好適な容器に73〜78℃で流し込み、室温で貯蔵する。或いは、温度が下がる間混合物を攪拌し続け、結果として21℃及び33℃でより低い硬さが観察されるようにする。
【0088】
実施例11〜12では、好適な容器中で相Bの成分を混合し90℃に加熱する。別個の好適な容器中で相Aの成分を混合し約80〜85℃に成分が融解するまで加熱する。第三の容器中で相Cの成分を混合する。混合物の加熱及び攪拌を継続しながら、相Cを素早く相Aに添加する。相Bを相Aと相Cの混合物の中に流し込み攪拌する。熱いその生成物を室温の皿に流し込み、密閉具を取り付け室温まで冷却させる。
【0089】
本発明の「発明を実施するための形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0090】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、この発明の趣旨及び範囲を逸脱せずに種々の他の変更及び修正が可能であることが当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルケア組成物であって、
a) 0.1%〜15%の乳化性シリコーンエラストマーと、
b) 0.1%〜40%の少なくとも1つの固化剤と、
c) 1%〜75%の水相と、
d) 0.1%〜74%の水と、
e) 任意選択的に、0.1%〜15%の非乳化性シリコーン乳化剤と、
を含み、前記組成物が、油中水型エマルションの形態であり、第一の温度21℃において第一の硬さ2g〜45gを有し、第二の温度33℃において第二の硬さを有し、前記第二の硬さは前記第一の硬さの65%以下であり、好ましくは55%以下、より好ましくは45%以下である、組成物。
【請求項2】
前記固化剤がワックスであり、好ましくはシリコーンワックス、ポリエチレンワックス又はそれらの混合物を含み、より好ましくはC16〜C28のアルキルジメチコーンワックス、120℃未満の融点を有するポリエチレンワックス、又はそれらの混合物を含み、より好ましくは第一の融点21℃〜40℃を有する第一のワックスを0.1%〜20%、及び第二の融点40℃〜120℃を有する第二のワックスを0.1%〜20%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第一の温度21℃における第一の硬さが2g〜45gであり、且つ第二の温度33℃における第二の硬さが0.1g〜30gである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記水相が組成物中に1重量%〜70重量%の水を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記水相が1%〜25%の非水成分を含み、好ましくは該非水成分がグリセリンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記水相が、剪断力の印加によって非水相から可視的に分離する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、0.001%〜15%の微粒子材料を更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、少なくとも1つの追加的なスキンケア活性物質を更に含み、好ましくは、該スキンケア活性物質はビタミンB化合物、ビタミンC化合物、ビタミンE化合物、ペプチド、糖アミン、オイルコントロール剤、美白剤、ヘキサミジン化合物、それらの誘導体、又はそれらの混合物を含む、及びより好ましくは、該スキンケア活性物質はナイアシンアミド、パルミトイル−リジン−トレオニン、パルミトイル−リジン−トレオニン−トレオニン−リジン−セリン、N−アセチルーD−グルコサミン、サリチル酸、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、ヘキサミジンジイセチオネート、それらの誘導体又はそれらの混合物を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
哺乳類の角質組織に、好ましくは哺乳類の皮膚に、より好ましくは損傷を受けた哺乳類の皮膚に、前記組成物を局所適用する処置を含む、哺乳類の角質組織に効果をもたらす請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2010−500400(P2010−500400A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524276(P2009−524276)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際出願番号】PCT/IB2007/053173
【国際公開番号】WO2008/018045
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】