説明

ヒスタミンH3受容体アンタゴニストとしてのピロリジン誘導体

本発明は、ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト又はインバースアンタゴニスト活性を有する式Iに示される新規化合物又はその医薬的に許容される塩、及びかかる化合物の調製方法を開示する。別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物を含有する医薬組成物、並びにその医薬組成物を使用して、肥満症、認知障害、睡眠発作、及びヒスタミンH3受容体に関連する他の疾患の治療方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2005年3月17日に出願された米国特許仮出願第60/662,686号の優先権を主張する。本発明は、新規な置換されたフェニル−メタノン−ピロリジニル−メチル−ピロリジニル化合物及び医薬組成物としてのこれらの化合物の使用、該化合物を含む医薬組成物、これらの化合物及び組成物を使用した治療方法、並びにこれらの化合物を生成するための中間体及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒスタミンH3受容体は、比較的にニューロン特異的であり、ヒスタミンを含む多数のモノアミンの放出を阻害する。ヒスタミンH3受容体は、中枢及び抹消神経系の双方に位置するシナプス前自己受容体及びヘテロ受容体である。ヒスタミンH3受容体は、ヒスタミン並びに例えばセロトニン及びアセチルコリンのような他の神経伝達物質の放出を制御する。ヒスタミンH3受容体により媒介される応答の例が存在する。最近の研究結果から、H3受容体は、インビトロ及びインビボにて、固有の、構成的な活性を示す(即ち、アゴニストの不在下で活性である)ことが示唆されている。この活性は、インバースアゴニストとして作用する化合物により阻害することができる。従って、ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニストは、脳内でH3受容体により制御される神経伝達物質の放出を増大させることが期待できる。それに対して、ヒスタミンH3受容体アゴニストは、ヒスタミン生合成の阻害、並びにヒスタミン及び例えばセロトニン及びアセチルコリン等の他の神経伝達物質の放出の阻害を招く。これらの発見は、ヒスタミンH3受容体アゴニスト、インバースアゴニスト、及びアンタゴニストが、ニューロンの活性、及びヒスタミンH3受容体を発現し得る他の細胞の活性の重要なメディエータであることを示唆している。ヒスタミンH3受容体の逆作動又は選択的拮抗は、脳内のヒスタミン及び他のモノアミンの濃度を上昇させ、例えば食物消費のような活動を阻害すると共に、非特異的な抹消作用を最小限にする。この機構により、ヒスタミンH3受容体の逆作動又は選択的拮抗は、覚醒の延長、認知機能の改善、食物摂取の低下、及び前庭反射の正常化が促進される。従って、ヒスタミンH3受容体は、アルツハイマー病、気分及び注意力の調整、認知欠損、肥満症、めまい、統合失調症、てんかん、睡眠障害、睡眠発作及び動揺病の新規な治療法のための重要なターゲットである。
【0003】
ヒスタミンは、4種の受容体サブタイプ、H1R、H2R、H3R、及びGPRv53と指定された新規に同定された受容体[(OdaT.等、J.Biol.Chem.275(47):36781−6(2000)]でその活性を媒介し、GPRv53受容体の別名はPORT3又はH4Rである。H1R、H2R及びH3Rに関しては比較的選択的なリガンドが開発されているが、H3RとGPRv53を識別できる特異的リガンドの開発は殆どされていない。GPRv53は、人の白血球中に高濃度で存在する、広く分布した受容体である。H3R受容体の拮抗をターゲットとした場合、GPRv53受容体の活性化又は阻害により望ましくない副作用が生じる場合がある。H4R受容体の同定は、ヒスタミンに関する学説を根本的に変化させており、この問題はヒスタミンH3受容体アンタゴニストの開発において考慮する必要がある。
【0004】
数種のヒスタミンH3受容体アンタゴニストが開発されており、これらは概ね4(5)位が置換されたイミダゾール環を有する点で、ヒスタミンと類似している(Ganellin等,Ars Pharmaceutica,1995,36:3,455−468)。このような構造を有するアンタゴニスト及びアゴニストに関する様々な特許及び特許出願には、欧州特許第197840号明細書、欧州特許第494010号明細書、国際公開第97/29092号パンフレット、国際公開第96/38141号パンフレット、及び国際公開第96/38142号パンフレットがある。これらのイミダゾール含有化合物は、血液脳関門の通過が乏しく、チトクロムP−450タンパクと相互作用し、また肝臓毒性及び眼毒性を有するという欠点がある。最近、ヒスタミンH3受容体の他のイミダゾール系リガンド及び非イミダゾール系リガンドが、例えば国際公開2002/2076925号パンフレットで開示されている。本発明の化合物は、当該技術分野にて開示されている化合物とは異なる構造を有する。
【0005】
ヒスタミンH3受容体アゴニスト、インバースアゴニスト又はアンタゴニストとして作用してH3受容体の活性を調節し、H3受容体の調節により利益を受け得る疾病を治療する代替的な又は改良された医薬を使用した、改良された治療法が今もなお必要とされている。本発明は、ヒスタミンH3受容体との親和性、選択性が高く、強力な活性を有する、新規な種類の置換されたフェニル−メタノン−ピロリジニル−メチル−ピロリジニル化合物の発見に基づき、当該技術分野に貢献するものである。本発明はその構造及び活性において独自性を有するものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【化1】

(I)
式中、Yは、独立して炭素又は窒素を表し、R1は独立して−H、(但し、R1が水素であり、Yが炭素であり、R5が−Hである場合、R4は、フェニル環の親分子の−OR1置換基に隣接する位置で結合したフッ素ではなく、更にR1が水素であり、Yが炭素であり、R4が−Hである場合、R5は、フェニル環の親分子の−OR1置換基に隣接する位置で結合したフッ素ではない)、−(C−C)アルキル(1個から4個のハロゲンによって置換される、或いは、R1が−CHである場合、1個から3個のハロゲンによって置換される)、(但し、Yが炭素である場合、R1は、−(CH−Clではない)、−(C−C)シクロアルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)、−(C−C)アルキル−O−R3、−(C−C)アルキル−S(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−C(O)−O−R3、−(C−C)アルキル−S(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキル−S−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキルフェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル、−(C−C)シクロアルケニル、−(C−C)アルケニル−O−R3、−(C−C)アルケニル−S(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニル−C(O)−O−R3、−(C−C)アルケニル−S(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル−S−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルケニル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル−フェニル(R2)(R3)(R4)又はR2で任意に一置換又は二置換され、R3で独立して任意に一置換又は二置換されたフェニルであり、R2は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)、−C(O)R7、−C(O)OR7、−C(O)(C−C)シクロアルキル、−OCF、−OR7、−SR7、−SOR7、−SOCF又はS(O)R7であり、R3は、各々独立して、−H又は(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)であり、R4及びR5は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C−C)(1個から3個のハロゲンによって任意に置換されるアルキル)又は−OR3であり、但し、Yが窒素である場合、R4又はR5はYと結合せず、R6は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−CF、−(C−C)アルキル(1個から3個つのハロゲンによって任意に置換される)又は−OR3であり、R7は、各々独立して、−H、−(C−C)アルキル又は(C−C)アルケニル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)である。
【0007】
本発明は、ヒスタミンH3受容体と選択的かつ高い親和性で結合し、従ってヒスタミンH3受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニストとして有用な化合物を提供する。別の態様において、本発明はヒスタミンH3受容体の選択的アンタゴニスト又はインバースアゴニストとして有用であるが、GPRv53に対しては殆ど又は全く結合親和性がない化合物を提供する。更に、本発明は、神経系疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に対して、有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。本発明は更に、肥満症又は認知障害を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に対して、有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。また更に別の一態様では、本発明は、ヒスタミンH3受容体のアンタゴニスト又はインバースアゴニストを含有する医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
一実施形態において、本発明は、上記にて詳細に説明したような式Iの化合物を提供する。本発明の全化合物が有用であるが、具体的にはある特定の化合物が興味深く、また好ましい。以下に好ましい化合物のいくつかのグループを列挙する。
【0009】
好ましい実施形態において、本発明は、式Iによって構造的に示される化合物又はその医薬的に許容される塩を提供する。式中、Yは、独立して炭素を表し、R1は、独立して−H、(但し、R1が水素であり、Yが炭素であり、R5が、−Hである場合、R4は、フェニル環の親分子の−OR1置換基に隣接する位置で結合したフッ素ではなく、更にR1が水素であり、Yが炭素であり、R4が−Hである場合、R5は、フェニル環の親分子の−OR1置換基に隣接する位置で結合したフッ素ではない)、−(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)(但しR1は−(CH−Cl、−(C−C)シクロアルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)ではない)、−(C−C)アルキル−O−R3、−(C−C)アルキル−S(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−C(O)−O−R3、−(C−C)アルキル−S(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキル−S−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキルフェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル、−(C−C)シクロアルケニル、−(C−C)アルケニル−O−R3、−(C−C)アルケニル−S(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニル−C(O)−O−R3、−(C−C)アルケニル−S(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル−S−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルケニル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル−フェニル(R2)(R3)(R4)又はR2で任意に一置換又は二置換され、R3で独立して任意に一置換又は二置換されたフェニルであり、R2は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)、−C(O)R7、−C(O)OR7、−C(O)(C−C)シクロアルキル、−OCF、−OR7、−SR7、−SOR7、−SOCF又はS(O)R7であり、R3は、各々独立して、−H又は(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)であり、R4及びR5は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C−C)(1個から3個のハロゲンによって任意に置換されるアルキル)又は−OR3であり、R6は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−CF、−(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)又は−OR3であり、R7は、各々独立して、−H−(C−C)アルキル又は(C−C)アルケニルである。別の好ましい実施形態において、本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその医薬的に許容される塩を提供する。式中、Yは、独立して窒素を表し、R1は独立して、−H、−(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)(但し、Yが炭素である場合、R1は、−(CH−Cl(−(C−C)シクロアルキル(1個から3個のハロゲンによって置換される)ではない)、−(C−C)アルキル−O−R3、−(C−C)アルキル−S(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−C(O)−O−R3、−(C−C)アルキル−S(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキル−S−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキルフェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル、−(C−C)シクロアルケニル、−(C−C)アルケニル−O−R3、−(C−C)アルケニル−S(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニル−C(O)−O−R3、−(C−C)アルケニル−S(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル−S−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルケニル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル−フェニル(R2)(R3)(R4)、又はR2で任意に一置換又は二置換され、R3で独立して任意に一置換又は二置換されたフェニルであり、R2は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)、−C(O)R7、−C(O)OR7、−C(O)(C−C)シクロアルキル、−OCF、−OR7、−SR7、−SOR7、−SOCF又はS(O)R7であり、R3は、各々独立して、−H又は(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)であり、R4及びR5は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C−C)(1個から3個のハロゲンによって任意に置換されるアルキル)又は−OR3であり(但し、Yが窒素である場合、R4又はR5はYと結合しない)、R6は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−CF、−(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)又は−OR3であり、R7は、各々独立して、−H、−(C−C)アルキル又は(C−C)アルケニルである。別の好ましい実施形態において、本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその医薬的に許容される塩を提供する。式中、Yは、独立して炭素又は窒素を表し、R1は、独立して−(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)(但し、Yが炭素である場合、R1は−(CH−Clではない)、−(C−C)シクロアルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)、−(C−C)アルキル−O−R3、−(C−C)アルキル−S(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−C(O)−O−R3、−(C−C)アルキル−S(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキル−S−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキルフェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル、−(C−C)シクロアルケニル、−(C−C)アルケニル−O−R3、−(C−C)アルケニル−S(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニル−C(O)−O−R3、−(C−C)アルケニル−S(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル−S−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルケニル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル−フェニル(R2)(R3)(R4)、又はR2で任意に一置換又は二置換され、R3で独立して任意に一置換又は二置換された−フェニルであり、R2は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって置換される)、−C(O)R7、−C(O)OR7、−C(O)(C−C)シクロアルキル、−OCF、−OR7、−SR7、−SOR7、−SOCF又はS(O)R7であり、R3は、各々独立して、−H又は(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)であり、R4及びR5は、各々独立して、−H又は−ハロゲンであり(但し、Yが窒素である場合、R4又はR5はYと結合しない)、R6は、各々独立して、−H又は−CHであり、R7は、各々独立して、−H、−(C−C)アルキル又は(C−C)アルケニルである。別の好ましい実施形態において、本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその医薬的に許容される塩を提供する。式中、Yは、独立して炭素又は窒素を表し、R1は、独立して、−(C−C)シクロアルキル(1個から3個のハロゲンによって置換される)、−(C−C)アルキル−O−R3、−(C−C)アルキル−S(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−C(O)−O−R3、−(C−C)アルキル−S(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキル−S−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C
−C)アルキルフェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル、−(C−C)シクロアルケニル、−(C−C)アルケニル−O−R3、−(C−C)アルケニル−S(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニル−C(O)−O−R3、−(C−C)アルケニル−S(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル−S−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルケニル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル−フェニル(R2)(R3)(R4)、又はR2で任意に一置換又は二置換され、R3で独立して任意に一置換又は二置換された−フェニルであり、R2は、各々独立して、−H、−ハロゲン−(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)、−C(O)R7、−C(O)OR7、−C(O)(C−C)シクロアルキル、−OCF、−OR7、−SR7、−SOR7、−SOCF又はS(O)R7であり、R3は、各々独立して、−H又は(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって置換される)であり、R4及びR5は、各々独立して、−H又は−ハロゲンであり(但し、Yが窒素である場合、R4又はR5はYと結合しない)、R6は、各々独立して、−H、又は−CHであり、R7は、各々独立して、−H、−(C−C)アルキル又は(C−C)アルケニルである。別の実施形態において、本発明は、式(II)の化合物を含む医薬組成物又はその医薬的に許容される塩及び医薬的に許容される担体を提供する。
【化2】

(II)
式中、Yは、独立して炭素又は窒素を表し、R1は、独立して、−H、−(C−C)アルキル、−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−O−R3、−(C−C)アルキル−S(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−C(O)−O−R3、−(C−C)アルキル−S(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキル−S−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキルフェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル、−(C−C)シクロアルケニル、−(C−C)アルケニル−O−R3、−(C−C)アルケニル−S(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニル−C(O)−O−R3、−(C−C)アルケニル−S(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル−S−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルケニル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル−フェニル(R2)(R3)(R4)又はR2で任意に一置換され、R3で独立して任意に一置換又は二置換された−フェニルであり、R2は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C−C)アルキル、−C(O)R7、−C(O)OR7、−C(O)(C−C)シクロアルキル、−OCF、−OR7、−SR7、−SOR7、−SOCF又はS(O)R7であり、R3は、各々独立して、−H又は(C−C)アルキルであり、R4及びR5は、各々独立して、−H、−ハロゲン−(C−C)アルキル又はOR3であり(但し、Yが窒素である場合、R4又はR5はYと結合しない)、R6は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−CF、−(C−C)アルキル又は−OR3であり、R7は、各々独立して、−H、−(C−C)アルキル又は(C−C)アルケニルである。
【0010】
本発明の他の実施形態は、以下の好ましい実施形態に記載されるように、上記に記載される各実施形態を更に限定したものである。特に、以下に記載される好ましい実施形態の各々は、上記の実施形態の各々と独立して組み合わせられ、特定の組み合わせは、その好ましい実施形態で示している変数をその好ましい実施形態に従って限定した別の実施形態を提供する。更に、本発明は、下記の限定した好ましい実施形態と上記実施形態との組み合わせ、及び医薬的に許容される担体によって生成される新規な実施形態の化合物を含む医薬組成物を提供する。好ましくは、Yは炭素である。好ましくは、Yは窒素である。
【0011】
好ましくは、R1は−Hである(但し、R1がHであり、Yが炭素であり、R5が−Hである場合、R4は、フェニル環の親分子の−OR1置換基に隣接する位置で結合したフッ素ではなく、R1がHであり、Yが炭素であり、R4が−Hである場合、R5は、フェニル環の親分子の−OR1置換基に隣接する位置で結合したフッ素ではない)。好ましくは、R1は、−(C−C)アルキル(1個から4個のハロゲンによって任意に置換される、或いは、R1が−CHである場合、1個から3個までのハロゲンと任意に置換される)である(但し、Yが炭素である場合、R1は−(CH−Clではない)。好ましくは、R1は、−(C−C)シクロアルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)、−(C−C)アルキル−O−R3、(C−C)アルキルS(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキルC(O)−O−R3、−(C−C)アルキルS(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキルS−(C−C)アルキル、又は(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキルである。好ましくは、R1は、−(C−C)アルキル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニルS(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニルフェニル(R2)(R3)(R4)、R2で任意に一置換又は二置換され、R3で独立して任意に一置換又は二置換されたフェニル、又は(C−C)アルキルフェニル(R2)(R3)(R4)である。好ましくは、R1は−(C−C)アルケニル、−(C−C)シクロアルケニル、−(C−C)アルケニル−O−R3、−(C−C)アルケニルS(O)−(C−C)アルキル、(C−C)アルケニルC(O)−O−R3、−(C−C)アルケニルS−(C−C)アルキル、又は(C−C)アルケニル−(C−C)シクロアルキルである。
【0012】
好ましくは、R2は、各々独立して−Hである。好ましくは、R2は、各々独立して、−H、又は−ハロゲンである。好ましくは、R2は、各々独立して、ハロゲン、−(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)、C(O)R7、C(O)OR7、−C(O)(C−C)シクロアルキル、−OCF、−OR7、−SR7、−SOR7、−SOCF又はS(O)R7である。
【0013】
好ましくは、R3は、各々独立して−Hである。好ましくは、R3は、各々独立して、−(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)である。
【0014】
好ましくは、R4及びR5は、各々独立して−Hである。好ましくは、R4及びR5は、各々独立して−H又は−ハロゲンである。好ましくは、R4及びR5は、各々独立して、−ハロゲン又は(C−C)(1個から3個のハロゲンによって任意に置換されるアルキル)である。好ましくは、R4は、水素であり、R5は、−水素である。
【0015】
好ましくは、R6は、各々独立して−Hである。好ましくは、R6は、各々独立して、−H又は(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)である。好ましくは、R6は、各々独立して、−H又は−CH(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)である。好ましくは、R6のうち一方は−Hであり、他方は−CH(1個から3個のハロゲンで任意に置換される)である。R6のうち一方は−Hであり、他方は独立して−CHである。
【0016】
R7は、各々独立して−Hである。好ましくは、R7は、各々独立して−(C−C)アルキルである。好ましくは、R7は、各々独立して−(C−C)アルケニルである。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその医薬的に許容される塩を提供する。式中、Yは、独立して、炭素又は窒素を表し、R1は、独立して、−H(但し、R1が水素であり、Yが炭素であり、R5が−Hである場合、R4は、フェニル環の親分子の−OR1置換基に隣接する位置で結合したフッ素ではなく、R1が水素であり、Yが炭素であり、R4が−Hである場合、R5は、フェニル環の親分子の−OR1置換基に隣接する位置で結合したフッ素ではない)、−(C−C)アルキル(但しYが炭素である場合、R1は−(CH−Cl−(C−C)シクロアルキルではない)、−(C−C)アルキル−O−R3、−(C−C)アルキルS(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキルC(O)−O−R3、−(C−C)アルキルS(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキルS−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキルフェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル、−(C−C)シクロアルケニル、−(C−C)アルケニル−O−R3、−(C−C)アルケニルS(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニル−C(O)−O−R3、−(C−C)アルケニルS(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニルS−(C−C)アルキル−(C−C)アルケニル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルケニル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニルフェニル(R2)(R3)(R4)又はR2で任意に一置換又は二置換され、R3で独立して任意に一置換又は二置換された−フェニルであり、R2は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C−C)アルキル、−C(O)R7、−C(O)OR7、−C(O)(C−C)シクロアルキル、−OCF、−OR7、−SR7、−SOR7、−SOCF又は−S(O)R7であり、R3は、各々独立して、−H又は(C−C)アルキルであり、R4及びR5は、各々独立して、−ハロゲン、−(C−C)アルキル又はOR3であり(但し、Yが窒素である場合、R4又はR5はYと結合しない)、R6は、各々独立して、−ハロゲン、−CF、−(C−C)アルキル又は−OR3であり、R7は、各々独立して、−H、−(C−C)アルキル又は(C−C)アルケニルである。
【0018】
以下に好ましい化合物のいくつかのグループを列挙する。列挙された各々とその他の列挙されたものとを組み合わせて、好ましい実施形態の更なる群を生成し得ることが理解されよう。他の実施態様において、1.Yは炭素であり、2.Yは窒素であり、3.R1は−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−O−R3、−(C−C)アルキルS(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキルC(O)−O−R3、−(C−C)アルキルS−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル、又は(C−C)アルキルであり(但し、Yが炭素である場合、R1は−(CH−Clではない)、4.R1は−(C−C)アルキル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキルフェニル(R2)(R3)(R4)、又は(C−C)アルキルS(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)であり、5.R1は−(C−C)アルケニル、−(C−C)シクロアルケニル、−(C−C)アルケニル−O−R3、−(C−C)アルケニルS(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニルC(O)−O−R3、−(C−C)アルケニルS−(C−C)アルキル、又は(C−C)アルケニル−(C−C)シクロアルキルであり、6.R1は−(C−C)アルケニル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニルフェニル(R2)(R3)(R4)、又は(C−C)アルケニルS(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)であり、7.R1は、R2で任意に一置換又は二置換され、R3で独立して任意に一置換又は二置換されたフェニルであり、8.R1は、R2で任意に一置換、R3で二置換されたフェニルであり、9.R2は、−H、−ハロゲン、−(C−C)アルキル、−C(O)R7、−C(O)OR7、−C(O)(C−C)シクロアルキル、−OCF、−OR7、−SR7、−SOR7、−SOCF又は−S(O)R7であり、10.R2は、−ハロゲン、−(C−C)アルキル、−C(O)R7、−C(O)OR7、−OCF、−OR7、−SR7、−SOR7、−SOCF又は−S(O)R7であり、11.R2は、−SOR7、−SOCF又は−S(O)R7であり、12.R3は、−H又は(C−C)アルキルであり、13.R3は、−(C−C)アルキルであり、14.R4はハロゲンであり、15.R4はハロゲンであり、R5はハロゲンであり、16.R6のうち一方は−(C−C)アルキルであり、17.R6のうち一方は−CHであり、18.式(II)の化合物を含む医薬組成物又はその医薬的に許容される塩及び医薬的に許容される担体である。
【化3】

(II)
式中、Yは、独立して炭素又は窒素を表し、R1は、独立して、−H、−(C−C)アルキル、−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−O−R3、−(C−C)アルキルS(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキルC(O)−O−R3、−(C−C)アルキルS、(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキルS−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキルフェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル、−(C−C)シクロアルケニル、−(C−C)アルケニル−O−R3、−(C−C)アルケニルS(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニルC(O)−O−R3、−(C−C)アルケニルS(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニルS−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルケニル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニルフェニル(R2)(R3)(R4)又はR2で任意に一置換され、R3で独立して任意に一置換又は二置換されたフェニルであり、R2は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C−C)アルキル、−C(O)R7、−C(O)OR7、−C(O)(C−C)シクロアルキル、−OCF、−OR7、−SR7、−SOR7、−SOCF又は−S(O)R7であり、R3は、各々独立して−H又は(C−C)アルキルであり、R4及びR5は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C−C)アルキル又はOR3であり(但し、Yが窒素である場合、R4又はR5はYと結合しない)、R6は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−CF、−(C−C)アルキル又は−OR3であり、R7は、各々独立して、−H、−(C−C)アルキル又は(C−C)アルケニルである。
【0019】
本願明細書の化合物、組成物、及び方法の説明に使用する一般的な用語は、通常の意味を有する。本願明細書全体を通して、以下の用語はそこで定義された意味を有する。用語「GPRv53」は、Odaら(前出)に記載されているような最近同定された新規なヒスタミン受容体を意味する。この受容体の別名は、PORT3又はH4Rである。
【0020】
用語「H3R」は、ヒスタミンなどの多数のモノアミンの放出を阻害するヒスタミンH3受容体を意味する。用語「H1R」は、ヒスタミンH1受容体サブタイプを意味する。用語「H2R」は、ヒスタミンH2受容体サブタイプを意味する。用語「H3Rアンタゴニスト」は、アゴニストR−(−)αメチルヒスタミンに応答したホルスコリン刺激によるcAMP産生を遮断する能力を有する化合物として定義する。用語「H3Rインバースアゴニスト」は、H3Rの構成的活性を阻害する能力を有する本発明の化合物として定義する。用語「選択的H3Rアンタゴニスト又はインバースアゴニスト」は、GPRv53ヒスタミン受容体との親和性と比較しH3ヒスタミン受容体との親和性が高い本発明の化合物を意味する。
【0021】
本願明細書の一般式において、一般的な化学用語はそれらの通常の意味を有する。例えば、用語「(C−C)アルキル」、「(C−C)アルキル」及び「(C−C)アルキル」は、示された炭素原子数の炭化水素鎖(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル等)、及びその分岐体又は異性体を意味し、本願明細書で定義するように、4個以下のハロゲンで任意に置換できる。
【0022】
「(C−C)シクロアルキル」は、示された炭素原子数の(3個から8個の炭素原子を有する)環(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル、シクロヘプチル等)を意味し、本願明細書で定義するように、4個以下のハロゲンで任意に置換できる。
【0023】
「(C−C)アルケニル」は、示された炭素原子数の炭化水素鎖であって、直鎖又は分岐鎖構造のいずれかであり、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合をいずれかの炭素鎖上に有するもの(例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ビニル、アルキル、2−ブテニル等)を意味し、4個以下のハロゲンと任意に置換できる。
【0024】
用語「(C−C)シクロアルケニル」は、3個から8個までの炭素原子の環を1個以上含む、部分的に飽和した炭素環式化合物を指し、4個以下のハロゲンで任意に置換できる。
【0025】
「Boc」又は「BOC」は、t−ブチルカルバメートを指す。「HOBt」は、1−ヒドロベンゾトリアゾールである。「PS−トリスアミン」は、トリス−(2−アミノエチル)アミンポリスチレンである。「PS−カルボジイミド」又は「PS−CDI」は、N−シクロヘキシルカルボジイミド−N’−プロピルオキシメチルポリスチレンである。「PS−カルボジイミド」又は「PS−CDI」は、N−シクロヘキシルカルボジイミド−N’−プロピルオキシメチルポリスチレンである。「PS−DMAP」は、N−(メチルポリスチレン)−4−(メチルアミノ)ピリジンである。
【0026】
「ハロゲン」又は「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。
【0027】
「組成物」は医薬組成物を意味し、式Iの活性成分(1種類以上)と、担体を構成する不活性成分(1種類以上)とを含有する医薬製品を包含することを意図する。従って、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物及び医薬的に許容される担体を混合して生成された全ての組成物が包含される。
【0028】
用語「単位剤形」は、ヒト被験者及び非ヒト動物のための単位用量に適した、物理的に分離された単位を意味し、各単位は適切な医薬担体と組み合わされた形で、所望の治療効果をが得られるように計算された所定量の活性物質を含有する。
【0029】
本願明細書の用語「治療」「処置」及び「治療する」は、それらの一般的な意味、即ち本願明細書に記載する病状の進行又は重篤な状態を予防、制止、阻害、緩和、改善、遅延、停止、又は逆行するように患者を管理又は治療することであり、症状又は合併症の緩和又は軽減、或いは、疾患、障害、症状の治療又は除去が含まれる。
【0030】
ヒスタミンH3受容体との相互作用ゆえに、本発明の化合物はヒスタミンH3受容体との相互作用が有益である幅広い症状及び疾患の治療に有用である。また、本発明は、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬的に許容される塩、及び薬剤的に許容できる担体、希釈剤、又は賦形剤を含有する医薬組成物を提供する。本発明は、更に、ヒスタミン受容体GPRv53に対する結合親和性を殆ど又は全く有さないことを特徴とする式I若しくは式IIのアンタゴニスト又はインバースアゴニストを提供する。本発明は更に、ヒスタミンH1R、H2R、又はH4R受容体に対する親和性と比較して、ヒスタミンH3受容体との親和性がより高いことを特徴とする式I若しくは式IIのアンタゴニスト又はインバースアゴニストを提供する。本発明の使用及び方法には、式I若しくは式IIの化合物又はその医薬的に許容される塩を含有する医薬組成物の予防的及び治療的の投与が含まれる。更に、本発明の実施形態には、本願明細書に記載されている方法により命名され、並びにヒスタミンH3受容体に結合してPET撮像に有用なポジトロン断層撮影法(PET)のリガンドを生成するために当該技術分野にて周知の方法で補充される化合物例の合成が含まれる。
【0031】
従って、本発明は、例えば、中枢神経系、末梢神経系、心血管系、肺システム、胃腸系及び内分泌システム等の疾患又は症状の予防、治療及び/又は緩和のために用いられ、同時に進行中の治療と関連する1種以上の望ましくない副作用を軽減又は除去するための、式Iの化合物若しくはその医薬的に許容される塩、並びに式I若しくは式IIの化合物又はその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。これらの疾病又は症状には、例えば肥満症、認知障害、注意力欠如障害、記憶障害、例えばアルツハイマー病及び注意欠陥多動性障害のような痴呆症及び認知障害、双極性障害、認知能力の向上、精神疾患における認知欠損、記憶欠損、学習障害、痴呆症、軽度認知機能障害、偏頭痛、気分及び注意力の変化、動揺病、睡眠発作、神経原性炎症、強迫性障害、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、てんかん、及び発作又はてんかん性発作、例えば睡眠発作のような睡眠障害、例えばメニエール病のような前庭機能障害、偏頭痛、動揺病、疼痛、薬物乱用、鬱病、てんかん、時差ぼけ、覚醒、トゥーレット症候群、めまい等を含むがこれらに限定されない神経系疾患、並びに例えば急性心筋梗塞のような心血管疾患、例えば皮膚癌、甲状腺髄様癌及び黒色腫のような癌、例えば喘息のような呼吸器疾患、胃腸疾患、炎症、及び感染性ショック、糖尿病、2型糖尿病、インシュリン抵抗性症候群、メタボリック症候群、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群等の、ヒスタミンH3受容体の調節に反応するものが含まれる。更に、式Iの化合物若しくはその医薬的に許容される塩、又は式I若しくは式IIの化合物又はその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、ヒスタミンH3レセプタ活性の調節が有益な効果を奏する障害又は疾患の治療又は防止に有用である。また別の態様において、本発明は、ヒスタミンH3受容体に関連する神経系疾患及び他の疾患の治療に有用な化合物、医薬組成物、及び方法を提供する。
【0032】
更に、本発明は、ヒスタミンH3レセプタを阻害するため、哺乳類の細胞反応を媒介とするヒスタミンH3レセプタを阻害するため、H3レセプタで調整される哺乳類の神経伝達物質の放出量解放の増大のため、ヒスタミンH3受容体の過剰な活性から生じる疾患を治療するために用いられる、式Iの化合物若しくはその医薬的に許容される塩、又は式I若しくは式IIの化合物又はその医薬的に許容される塩、並びに医薬的に許容される担体、希釈剤若しくは賦形剤を有する医薬組成物を提供する。
【0033】
本発明は更に、ヒスタミンH3受容体の阻害、哺乳類においてヒスタミンH3受容体により媒介される細胞応答の阻害、哺乳類の脳内においてH3受容体により調節される神経伝達物質の放出の増大、ヒスタミンH3受容体の過剰活性化から生じる疾病の治療、哺乳類における認知障害の治療、並びに肥満症、認知障害、注意力欠如障害、記憶障害、例えばアルツハイマー病及び注意欠陥多動性障害のような痴呆症及び認知障害、双極性障害、認知能力の向上、精神疾患における認知欠損、記憶欠損、学習障害、痴呆症、軽度認知機能障害、偏頭痛、気分及び注意力の変化、動揺病、睡眠発作、神経原性炎症、強迫性障害、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、てんかん、及び発作又はてんかん性発作、例えば睡眠発作のような睡眠障害、例えばメニエール病のような前庭機能障害、偏頭痛、動揺病、疼痛、薬物乱用、鬱病、てんかん、時差ぼけ、覚醒、トゥーレット症候群、及びめまいを含むがこれらに限定されない哺乳類の神経系疾患の治療のための医薬品の製造における式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬的に許容される塩、又は式I若しくはIIの化合物又はその医薬的に許容される塩、並びに医薬的に許容される担体、希釈剤若しくは賦形剤を含有する医薬組成物の使用に関する。
【0034】
更に、本発明は、哺乳類のヒスタミンH3受容体の過剰な活性化より生じる症状を治療する方法、哺乳類のヒスタミンH3受容体の活性を阻害する方法、哺乳類のヒスタミンH3受容体により媒介される細胞応答を阻害する方法、哺乳類の脳内においてH3受容体により調節される神経伝達物質の放出を増大させる方法、哺乳類の認知障害を治療する方法、肥満症、認知障害、注意力欠如障害、記憶障害、学習、痴呆症、アルツハイマー病、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、てんかん、及び発作又はてんかん性発作を含むがこれらに限定されない哺乳類の神経系疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする哺乳類に対して、ヒスタミンH3受容体阻害量の式Iの化合物、又はその医薬的に許容される塩、又は式I若しくは式IIの化合物若しくはその医薬的に許容される塩、並びに医薬的に許容される担体、希釈剤若しくは賦形剤を含有する医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0035】
本発明は、ヒスタミンH3受容体のアンタゴニスト若しくはインバースアゴニスト、式Iの化合物であるアンタゴニスト若しくはインバースアゴニスト、又は式I若しくはIIの化合物又はその医薬的に許容される塩、並びに医薬的に許容される担体、希釈剤若しくは賦形剤を含む医薬組成物と細胞を接触させることによって、細胞中のヒスタミンレベルを選択的に上昇させるか、若しくは細胞によって放出されるヒスタミンを選択的に増加させる方法を提供する。本発明は更に、哺乳類のヒスタミンH3受容体の過剰な活性化より生じる症状を治療する方法であって、かかる治療を必要とする哺乳類に対して、ヒスタミンH3受容体を阻害するのに必要な量の式I若しくは式IIの化合物又はその医薬的に許容される塩、及び医薬的に許容される担体、希釈剤若しくは賦形剤を含有する医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。また、式Iの化合物、式I若しくは式IIの化合物を含む医薬組成物、又はその医薬的に許容される塩は、ヒスタミンH3受容体の活性の調節が有利な効果を奏する疾患又は疾病の治療又は予防に有用である。
【0036】
本発明には、本発明の化合物の互変異性体、エナンチオマー、及び他の立体異性体も含まれる。すなわち、当業者に周知のように、特定のアリールは互変異性体形態で存在し得る。ゆえにこのような変形は、本発明の範囲に含まれるものとする。本願明細書で使用されるように、式I若しくは式IIの化合物には、その医薬的に許容される塩、そのエナンチオマー及びラセミ混合物も含まれることを意味するものと理解されたい。
【0037】
本願明細書における用語「立体異性体」は、同一の結合で結合された同一の原子から構成されているが、相互に置換できない異なる三次元構造を有する化合物を指す。三次元構造は、立体配置と称される。本願明細書で使用されるように、用語「エナンチオマー」は、分子を互いに重ね合わせることができない鏡像体である2個の立体異性体を指す。用語「キラル中心」は、異なる4個の基が結合した炭素原子を指す。本願明細書における用語「ジアステレオマー」は、エナンチオマーではない立体異性体を指す。また、1個のキラル中心においてのみ異なる立体配置を有する2個のジアステレオマーは、本願明細書にて「エピマー」と称する。用語「ラセミ体(racemate)、」「ラセミ混合物」又は「ラセミ体(racemic modification)」は、同じ割合のエナンチオマーからなる混合物を指す。
【0038】
本願明細書で使用される用語「エナンチオマー濃縮」は、一方のエナンチオマーの量を他方と比較して増加させることを意味する。達成されたエナンチオマー濃縮を表現する便利な方法は「エナンチオマー過剰率」又は「ee」の概念であり、下記の方程式で表される。ee=(E−E)X100/(E+E)式中、Eは、第1のエナンチオマーの量であり、Eは第2のエナンチオマーの量である。従って、例えばラセミ混合物中に存在する2種のエナンチオマーの最初の比が50:50から最終の比が70:30をとなるのに十分なエナンチオマー濃縮を行なった場合、第1のエナンチオマーに関するeeは40%となる。しかしながら、最終の比が90:10である場合、第1のエナンチオマーに関するeeは80%である。90%を越えるeeが好ましく、95%を越えるeeが最も好ましく、また99%を越えるeeが特に最も好ましい。エナンチオマー濃縮は、例えばキラルカラムを用いたガス又は高速液体クロマトグラフィーのような標準的な手順を用いて、当業者により容易に測定される。エナンチオマー対の分離に必須である適切なキラルカラム、溶離液、及び条件の選択は、当業者の知識の範囲内にある。更に、式I若しくは式IIの化合物の特定の立体異性体及びエナンチオマーは、例えばJ.Jacques等、「Enantiomers、Racemates、andResolutions」JohnWileyandSons、Inc.,1981、並びにE.L.Eliel及びS.H.Wilen、「StereochemistryofOrganicCompounds」(Wiley−Interscience1994)、及び1998年4月29日に発行された欧州特許出願公開第838448号明細書に開示されている、当業者にとって周知の技術及び工程を用いて製造することができる。分離法の例には、再結晶法やキラルクロマトグラフィーが含まれる。
【0039】
本発明の化合物のいくつかは1個以上のキラル中心を有し、多様な立体異性体として存在し得る。これらキラル中心を原因として、本発明の化合物はラセミ体、エナンチオマーの混合物、及び個々のエナンチオマーとして、またジアステレオマー及びジアステレオマーの混合物としても存在する。これらラセミ体、エナンチオマー、及びジアステレオマーの全部は本発明の範囲内に含まれる。
【0040】
本願明細書では用語「R」及び「S」は、有機化学にて通常使用されているように、キラル中心の特定の立体配置を示すものとして使用する。用語「R」(rectus)は、最も優先度の低い基に向かう結合に沿って見た場合、基の優先度が時計回り(優先度の最も高いものから、2番目に低いものへ)であるキラル中心の立体配置を指す。用語「S」(sinister)は、最も優先度の低い基に向かう結合に沿って見た場合、基の優先度が反時計回り(優先度の最も高いものから、2番目に低いものへ)であるキラル中心の立体配置を指す。基の優先度は、その原子番号に基づく(原子番号が減少する順)。優先度の部分的な一覧、及び立体化学についての説明は、「NomenclatureofOrganicCompounds:PrinciplesandPractice」、(J.H.Fletcher等、eds.,1974)、103〜120ページに収録されている。
【0041】
記号「
【化4】

」は、ページの平面から前方へ突出する結合に関する。
記号「
【化5】

」は、ページの平面から後方へ突出する結合に関する。
記号「
【化6】

」は、立体化学が定められていない結合に関する。
【0042】
一般に、用語「薬理学的な」を形容詞として使用する場合、生体にとって実質的に無毒であることを意味する。例えば、本願明細書で使用される用語「医薬的に許容される塩」は、生体にとって実質的に無毒な式I若しくは式IIの化合物の塩を指す。例えばBerge、S.M、Bighley、L.D.,及びMonkhouse、D.C.,「PharmaceuticalSalts」J.Pharm.Sci.,66:1、1977を参照されたい。典型的な医薬的に許容される塩には、式I若しくは式IIの化合物を無機酸或いは有機酸又は無機塩基或いは有機塩基と反応させることにより製造される塩が含まれる。このような塩は各々、酸付加塩又は塩基付加塩として周知である。これら医薬的に許容される塩は、それらが誘導される元の化合物と比較して溶解性が高いため、液剤又は乳剤としての製剤化に適している場合が多い。
【0043】
用語「酸付加塩」は、式I若しくは式IIの化合物を無機酸又は有機酸と反応させることにより製造される式I若しくは式IIの化合物の塩を指す。薬理学的な酸付加塩の例としては、例えばBerge、S.M、Bighley、L.D.,及びMonkhouse、D.C.,J.Pharm.Sci.,66:1、1977を参照されたい。本発明の化合物は本来塩基性であり得るため、多数の無機酸及び有機酸のいずれとも反応して、薬理学的な酸付加塩を生成する。
【0044】
本発明の薬理学的な酸付加塩は、一般に、式I若しくは式IIの化合物を、等モル又は過剰量の酸と反応させることにより生成される。反応物質は、一般的に、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンゼン等の共溶媒中で混合される。塩は通常、約1時間〜約10日以内に溶液から析出され、濾過又は従来の他の方法により単離される。
【0045】
薬理学的な酸付加塩の生成に通常使用される酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸、並びに例えばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、酢酸等の有機酸である。従って、そのような医薬的に許容される塩の例には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩等が挙げられる。
【0046】
用語「塩基付加塩」は、式I又式IIの化合物を無機又は有機塩基と反応させることにより製造される、式I若しくは式IIの化合物の塩を指す。医薬的に許容される塩基付加塩の例としては、例えばBerge、S.M、Bighley、L.D.,及びMonkhouse、D.C.,J.Pharm.Sci.,66:1、1977を参照されたい。本発明には、式I若しくは式IIの化合物の医薬的に許容される塩基付加塩も包含される。当業者は、式I若しくは式IIの化合物のいくつかは本来酸性であるため、多数の無機及び有機塩基のいずれとも反応して医薬的に許容される塩基付加塩を生成することが理解されるであろう。医薬的に許容される塩基付加塩の例には、式I若しくは式IIの化合物のアンモニウム塩、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、メチルアミノ塩、ジエチルアミノ塩、エチレンジアミノ塩、シクロヘキシルアミノ塩、及びエタノールアミノ塩等がある。
【0047】
式I若しくは式IIの化合物は、ジアステレオマー混合物として存在する場合、例えばメタノール、酢酸エチル又はそれらの混合物等の適切な溶媒から分別再結晶することにより、エナンチオマーのジアステレオ異性体対に分離することができる。このように得られたエナンチオマー対は、例えば分割剤として光学活性酸を使用する従来の手段により、個々の立体異性体に分離される。或いは、式I若しくは式IIの化合物のいずれかのエナンチオマーは、周知の立体配置を有する光学的に純粋な出発物質又は試薬を使用する立体特異的な合成、又はエナンチオ選択的な合成によって得られる。
【0048】
当業者により様々な手順に従って、式I若しくは式IIの化合物を製造することができ、そのいくつかは以下に示す手順及びスキームにて説明する。式I若しくは式IIの化合物の製造に必要な工程の特定の順序は、合成される特定の化合物、出発化合物、及び置換された部分の相対的な障害性に依存する。試薬又は出発物質は当業者により容易に同定可能及び入手可能であり、商業的に入手が不可能なものについては、当該技術分野で通常使用されている標準的な手順、及び以下に示す手順及びスキームに従って、当業者によって容易に合成される。
【0049】
以下の製造及び実施例は、本発明の実施形態をより詳細に説明するために提供するものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。当業者にとって、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、様々な変更を為し得ることが認識されよう。本願明細書中に言及する全刊行物は、本発明が属する技術分野の当業者の水準を表すものである。
【0050】
本願明細書の製造及び実施例で使用されている用語及び略語は、明記しない限り、それらの通常の意味を有する。例えば、本願明細書において使用される用語及びその意味を以下に示す。「eq」は等量を指し、「N」は規定又は規定濃度を指し、「M」はモル又はモル濃度を指し、「g」はグラムを指し、「mg」はミリグラムを指し、「L」はリットルを指し、「mL」はミリリットルを指し、「μL」はマイクロリットルを指し、「mol」はモルを指し、「mmol」はミリモルを指し、「psi」は1平方インチ当たりのポンドを指し、「min」は分を指し、「h」又は「hr」は時間を指し、「C」は摂氏温度を指し、「TLC」は薄層クロマトグラフィーを指し、「HPLC」は、高速液体クロマトグラフィーを指し、「R」は保持因子を指し、「R」は保持時間を指し、「δ」はテトラメチルシランから低磁場側での百万分率を指し、「MS」は質量分析法を指し、実測値(質量)は明記しない限り(M+1)を示す。「MS(FD)」は、フィールドディソープション質量分析法を指し、「MS(IS)」はイオンスプレー質量分析法を指し、「MS(FIA)」はフローインジェクション分析質量分析法を指し、「MS(FAB)」は高速原子衝撃質量分析を指し、「MS(EI)」は質量分析計を指し、「MS(ES)」は電子スプレー質量分析法を指し、「UV」は、紫外線分光法を指し、「H NMR」は、プロトン核磁気共鳴分光法を指す。更に、「IR」は赤外分光法を指し、IRスペクトルについて列挙した吸収極大は、目的の吸収極大のみであり、観測された全吸収極大ではない。「RT」は、室温を指す。
一般的調製
スキームA
【化7】

【0051】
スキームAにおいて、R及びRa’は、限定されないがそれぞれ独立して、F、Cl、CF、アルキルであり、二基置換の化合物を含むことができ、Rは、水素又はその対応するカルボン酸塩類であり、R及びRc’は、それぞれ独立し、限定されないが、アルキル、ヒドロキシであり、Rdは、アルキル、分鎖アルキル基又はシクロアルキル基であり、スルホン、トリフロロメチル、ハロ、メトキシ、エステル、酸等の限定されない他の官能基と置換されている。スキームA、工程1において、アリールカルボン酸又はアリールカルボン酸のリチウム、ナトリウム又はカリウム塩(ここでRはH、Li、Na又はKであり得る)を文献にて周知の様々な方法を用いて、対応するアミドに変換する。これらの方法は、Klausner&Bodansky,Synthesis,1972,9,453−463によるペプチド合成におけるカップリング試薬についての概要の記載に見られる。
【0052】
例えば、4−ヒドロキシ安息香酸、又は対応するリチウム塩若しくはナトリウム塩を、適切な有機溶媒、例えばジクロロメタン、DMF又はそれらの混合物中に懸濁させる。適切なアミドカップリング剤(すなわちEDC、DCC、TBTU等)を添加し、次いで、HOBt、HATU等を室温で添加する。ジイソプロピルエチルアミン及び適切なアミン、この場合、(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジンを混合物に添加する。この混合物を室温で8〜48時間撹拌する。水を添加して反応をクエンチする。得られた混合物を、周知の技術によって抽出、濃縮及び精製してもよい。
【0053】
或いは、塩化チオニル又は塩化オキザリル及び数滴のDMFを用いて、対応する酸又はその塩から対応する酸塩化物を生成することができ、適切なアミンで処理して所望のアミドを得る。
【0054】
スキーム1、工程2において、例えばDMF、アセトン、THF又はCHClのような適切な溶媒中で、例えばCsCO、KCO又はトリエチルアミン等の適切な塩基と共に、アルキルブロミド、クロライド、ヨージド、メシラート、トシラート等を用いて、フェノールをアルキル化してエーテルに変換する。アルキル化は、室温又は加熱しながら実施できる。
【0055】
例えば、R、Ra’がH及びCsCOである(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノンを、DMF中で懸濁し、1−ブロモ−5−フルオロペンタンを添加する。混合物を室温で24〜48時間撹拌する。水性処理後、粗材料を周知の技術により精製できる。
【0056】
或いは、例えばTHF又はCHClのような適切な溶媒中で、光延反応又はその関連する反応により、アルキルアルコールと、例えばDEAD、DIAD等のカップリング試薬とをトリフェニルホスフィンと共に使用して、エーテルを生成してもよい。反応を水でクエンチして、得られた混合物を、当該技術分野にて周知の技術に従って抽出、濃縮、及び精製してもよい。
【0057】
例えば、R、Ra’がH及び4−(メチルチオ)−1−ブタノールである(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノンを、THF中のトリフェニルホスフィン及びDEADで処理する。混合物を室温で24〜48時間撹拌した。水性処理後、粗材料を当業者に周知の技術により精製できる。
スキームB
【化8】

【0058】
スキームBにおいて、R、Ra’、R、Rc’及びRは、上記で定義した通りである。Rは、Me、Et、Bz又はブチルエステルであり得る。スキームB(工程1)において、カルボン酸エステルを、スキームA(工程2)に記載した方法によりアルキル化する。
【0059】
例えば、4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、1−ブロモ−3−フルオロ−プロパン及びアセトン中のKCOを、18時間加熱還流する。混合物を室温に冷却し、濾過する。溶媒を除去してエーテルを得て、更に周知の技術により精製してもよく、又は場合により精製せずに使用してもよい。更に、例えばTHF又はCHClのような適切な溶媒中で、光延反応又はその関連する反応により、アルキルアルコールと、例えばDEAD、DIAD等のカップリング試薬とをトリフェニルホスフィンと共に使用して、ベンジルエーテルを生成してもよい。反応を水でクエンチして、得られた混合物を、当該技術分野にて周知の技術に従って抽出、濃縮、及び精製してもよい。
【0060】
例えば、THFのような適切な溶媒中の4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、5−クロロ−1−ペンタノール、及び、トリフェニルホスフィンの混合物にDIADを添加する。混合物を室温で3日間撹拌する。得られた混合物を、周知の技術によって抽出、濃縮及び精製してもよい。
【0061】
スキームB、工程2において、得られたエステルを標準的条件により鹸化して、対応するカルボン酸、又はリチウム、ナトリウム若しくはカリウムのカルボン酸塩(RはH、Li、Na又はKでもよい)を得ることができる。例えば、ジオキサン中の4−(3−フルオロ−プロポキシ)−安息香酸メチルの混合物を、水酸化リチウム一水和物のHO溶液に添加する。混合物を室温で24〜48時間撹拌する。溶媒を真空除去して粗リチウム塩を得て、これを更に精製することなく使用することができる。
【0062】
スキームB、工程3において、酸又は対応するリチウム塩、ナトリウム塩若しくはカリウム塩(R=H、Li、Na、K)を、スキームA(工程1)に記載した方法により、ピロリジニルメチルピロリジンアミドに変換する。
スキームC
【化9】

【0063】
スキームCにおいて、R、Ra’、Rc’及びRは、上記で定義した通りである。Rは、アルキル化、アシル化、酸化、還元、スルホニル化、鹸化等で更にRに変換できる任意の官能基を含む。スキームC(工程1)において(R=アミノ)、Rを周知のスルホニル化条件を使用して、スルホンアミドに変換できる。例えば、5−[4−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェノキシ]−ペンタン酸メチルエステルを、適切な溶剤(例えば、ジオキサン又は体積20〜50%の水と結合するそれらの混合物)に溶解する。反応混合物に、水酸化リチウム一水和物、外界温度で24〜48時間撹拌し、5−[4−(S)(+)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェノキシ]−ペンタン酸を含む混合物、リチウム塩を添加する。この反応物を当業者周知の方法により濃縮精製する。
スキームD
【化10】

【0064】
スキームDにおいて、R、Ra’、R及びRc’は、上記で定義した通りである。Rは芳香族基であり、Xはハロゲンである。スキームD(工程1)において、ハロゲン化物は、求核芳香族置換基又は遷移金属触媒反応のいずれかよって置換できる。例えば4−ブロモ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−イル)メタノンを、適切な溶剤(例えばDMF)に溶解する。反応混合物に、適切な塩基(例えば炭酸カリウム水和物及び還流して24〜48時間加熱して得た[4−(4−メタンスルフォニル−フェノキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン)を添加する。この反応物を当業者周知の方法により濃縮精製する。
スキームE
【化11】

【0065】
スキームDにおいて、R、Ra’、Rc’、、R及びXは、上記で定義した通りである。スキームD(工程1)において、ハロゲン化物は、求核芳香族置換基又は遷移金属触媒反応のいずれかによって置換できる。例えば、メチル−6−クロロニコチン酸塩及び2,4−ジフルオロフェノールを、適切な溶剤(例えばDMF)に溶解する。反応混合物に、適切な塩基(例えば炭酸カリウム一水和物及び還流して2から18時間加熱して得た[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−ニコチン酸メチルエステル)を添加する。この反応物を当業者周知の方法により濃縮精製する。スキームE、工程1において得られたこれらのエステルは更に、工程2及び3中の記載されている処置を用いて最終的な化合物を合成できる。
中間体1
4−(5−クロロ−ペンチルオキシ)−安息香酸メチルエステル
【化12】

【0066】
4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル(1.52g、10mmol)、5−クロロ−1−ペンタノール(1.22g、10mmol)及びトリフェニルホスフィン(2.62g、10mmol)を、乾燥THF(30mL)に溶解して、0℃まで冷却する。ジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)(1.74g、10mmol)を、0℃でこの混合物に滴下し、室温で3日間撹拌する。反応混合物をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過して、蒸発させる。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHClのみ〜MeOH=20:1中のCHCl:2M NH)を用いて精製し、所望の生成物(1.14g、45%)を得る。NMR(CDCl):δ7.98(d,2H,J=8.8Hz),6.89(d,2H,J=8.8Hz),4.02(t,2H,J=6.5Hz),3.88(s,3H),3.57(t,2H,J=6.7Hz),1.85(m,4H),1.64(m,2H).
中間体2
4−(5−クロロ−ペンチルオキシ)−安息香酸
【化13】

【0067】
4−(5−クロロペンチルオキシ)安息香酸メチルエステル(1.14g.4.44mmol)を、MeOH(15mL)に溶解して、5N NaOH(10mL)を添加する。その反応混合物を室温で一晩撹拌する。反応混合物を真空濃縮し、残渣を水に溶解し、pH=1.0の濃塩酸で酸性化する。この溶液をCHClで抽出し、Na2SO4上で乾燥し、濾過して、蒸発させる。得られた物質を、ヘキサン/CHClから再結晶化し、濾過し、乾燥して、829mg(77%)を得る。NMR(CDCl):δ8.05(d,2H,J=9Hz),6.93(d,2H,J=9Hz),4.05(t,2H,J=6Hz),3.57(t,2H,J=6Hz),4.85(m,4H),1.65(m,2H).
中間体3
4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−安息香酸メチルエステル
【化14】

【0068】
メチル4−ヒドロキシベンゾアート(1.52g、10mmol)、2‐クロロエタノール(960mg,12mmol)、ヨウ化カリウム(100mg、0.6mmol)及び炭酸セシウム(4.56g、14mmol)を、乾燥したTHF(50mL)と混合して、反応混合物を還流下で24時間撹拌する。クロルエタノール(960mg)、炭酸セシウム(4.56g)及びヨウ化カリウム(100mg)を、混合物に更に添加し、還流の下で、24時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、水及びCHClを添加する。分離したCHCl層をNaSO上で乾燥し、濾過して、蒸発させる。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=3:1)を用いて精製し、標記化合物(862mg、44%)を得る。NMR(CDCl):δ8.02(d,2H,J=9.0Hz),6.97(d,2H,J=9.0Hz),4.17(t,2H,J=5.0Hz),4.03(m,2H),3.92(s,3H).
中間体4
4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−安息香酸記号
【化15】

【0069】
4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−安息香酸メチルエステル(400mg、2.04mmol)を、1N NaOH(3mL)及びMeOH(3mL)の混合物に混合して、混合物を80℃で1時間撹拌する。溶剤を蒸発し、得られた残渣を少量の水に溶解して、1N HClで酸性化する。結晶を集め、水で洗浄し、乾燥して、154mg(42%)の標記化合物を得る。NMR(DMSO−d6):δ12.64(br,1H),7.90(d,2H,J=8.2Hz),7.03(d,2H,J=8.2Hz),4.93(br,1H),4.07(t,2H,J=4.9Hz),3.75(m,2H).
中間体5
4−(3−フルオロ−プロポキシ)−安息香酸メチルエステル
【化16】

【0070】
手順A:4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル(2.1g、13.8mmol)、1−ブロモ−3−フルオロ−プロパン(2.9g、20.7mmol)及び炭酸カリウム(4.8g、34.5mmol)を、アセトン中で還流して18時間加熱する。反応物を冷却し、濾過し、溶剤を真空除去する。粗混合物を、酢酸エチルに溶解して、水(2×)及びブラインで抽出する。有機物層を、NaSOで乾燥して、真空濃縮する。生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(10%−25%の酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、2.9g(99%)の標記化合物を得る。
中間体6
4−(3−フルオロ−プロポキシ)−安息香酸リチウム塩
【化17】

【0071】
手順B:ジオキサン(40mL)及び水(20mL)の混合液中の4−(3−フルオロ−プロポキシ)−安息香酸メチルエステル(2.9g、13.7mmol)及び水酸化リチウム(0.36g、15mmol)の混合液を、室温で24時間撹拌する。溶媒を真空除去して、白色の固体として標記化合物を得て、更なる精製を行なわずに使用する。MS(ES−)197.1.
中間体7
4−(3−ブロモ−プロポキシ)−安息香酸メチルエステル
【化18】

【0072】
標記化合物を、4−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル及び1,3−ジブロモ−プロパンから出発して、手順Aに実質的に類似する方法で調製する。MS(ES+)272.9
中間体8
4−(3−メトキシ−プロポキシ)−安息香酸メチルエステル
【化19】

【0073】
手順C:4−(3−ブロモ−プロポキシ)−安息香酸メチルエステル(0.63g、2.3mmol)をジエチルエーテル(15mL)に溶解し、固体のNaOMe(0.38g、7.0mmol)を添加して、混合物を室温で一晩撹拌する。溶剤を真空除去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、水(2X)及びブライン(2X)で洗浄する。有機物層を、NaSO上で乾燥して、蒸発させる。粗物質を、フラッシュクロマトグラフィー(0−20%の酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、0.12g(24%)の標記化合物の0.12g(24%)を得る。MS(ES+)225.0.
中間体9
4−(3−メタンスルホニル−プロポキシ)−安息香酸メチルエステル
【化20】

【0074】
標記化合物は、4−(3−ブロモ−プロポキシ)−安息香酸メチルエステル及びDMFを溶剤として用いたメタンスルフィン酸ナトリウム塩から、手順Cと実質的に類似する方法で調整する。MS(ES+)273.1.
中間体10
(4−ブロモ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−イル)メタノン
【化21】

4−ブロモ安息香酸−2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステル(3.5g、11.7mmol、(CAS:80586−82−9))及び、(S)−(+)−1−、(2−ピロリジニルメチル)ピロリジンを、テトラヒドロフラン(0.15M)に溶解して、4時間撹拌しながら加熱還流する。反応物を室温に冷却し、水で希釈して、10%のイソプロパノール/ジクロロメタンで抽出する。有機部分を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空濃縮する。粗物質を、シリカカラム上で精製し、メタノール及びジクロロメタン(純度80%で収率93%)中の2M アンモニアで溶出する。MS(m/e):337.1(M+1)
中間体11
2−(R)−メチル−1−(2−(S)−ピロリジニルメチル)ピロリジン
【化22】

【0075】
(S)BOCプロリン(CAS15761−39−4)及び2−(R)−メチル−ピロリジンヒドロクロライド(CAS135324−85−5)を、手順Dに実質的に類似する方法で結合させ、2(S)−(2(R)−メチル−ピロリジン−1−カルボニル)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得る。この物質をトリフルオロ酢酸(10等量)に添加しながら、ジクロロメタン中で5〜10℃で撹拌して脱保護し、次いで室温で18時間撹拌する。反応物を濃縮し、HOに溶解して、KCOでpHを8−9に調整する。混合物を、CHClで数回抽出する。抽出物を結合させ、乾燥(NaSO)し、濾過し、真空濃縮し、(2(R)−メチル−ピロリジン−1−イル)−ピロリジン−2−イル−メタノンを得る。1M水素化リチウムアルミニウム/THF溶液(3等量)を等体積のTHFで希釈して、Nで(2(R)−メチル−ピロリジン−1−イル)−ピロリジン−2−イル−メタノンのTHF溶液を滴下しながら撹拌して、反応物を穏やかに発熱させる。反応混合物を40℃で45分、次いで室温で18時間撹拌する。混合物を氷浴内で冷却し、反応温度を15℃未満に保持しながらHO(3等量)、4N NaOH(3等量)、次いでHO(9等量)でクエンチする。混合物を一晩撹拌し、濾過し、沈殿をTHFで3回洗浄する。濾液と洗浄液を混合し、濃縮して2−(R)−メチル−1−(2−(S)−ピロリジニルメチル)ピロリジンを得る。MS(ES+)169.3(M+H)標題化合物をそのまま使用するか、又はSCXクロマトグラフィー若しくは蒸留により精製する。
中間体12
1−ブロモ−3−メタンスルホニル−ベンゼン
【化23】

【0076】
1−ブロモ−3−メチルスルファニル−ベンゼン(1.0mmol)及び3−クロロペルオキシ安息香酸(1.9mmol)を、0℃氷浴中のジクロロメタン(0.1M)中で混合する。氷浴は除去して、反応物を室温で1時間撹拌する。重炭酸ナトリウム飽和水溶液を添加して、反応物をジクロロメタンで抽出する。有機部分を真空濃縮し、得られた残渣をラジアルシリカクロマトグラフィーで精製して、酢酸エチル及びヘキサンで溶出する。
中間体13
4−(3−メタンスルホニル−フェノキシ)−安息香酸メチルエステル
【化24】

【0077】
1−ブロモ−3−メタンスルホニル−ベンゼン(1.0mmol)(中間体11参照)及び4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル(1.2mmol)を、トルエン(0.1M)に溶解する。パラジウム酢酸(0.02mmol)、ビフェニル−2−イル−ジである−tert−ブチル−ホスファン(0.03mmol)及びリン酸三カリウム(2.0mmol)を添加し、反応物を90℃で18時間加熱する。反応物を室温に冷却し、水でしばらく洗浄し、次いで、ジクロロメタンで水層を抽出する。有機部分を混合し、真空濃縮し、ラジカルシリカクロマトグラフィーによって精製して、酢酸エチル及びヘキサンで溶出する。
中間体14
4−(3−メタンスルホニル−フェノキシ)−安息香酸
【化25】

【0078】
1:1のメタノール/テトラヒドロフラン(0.15M)中の4−(3−メタンスルホニル−フェノキシ)−安息香酸メチルエステル(1.0mmol)(中間体12参照)の撹拌溶液を、2N水酸化ナトリウム(3.0mmol)で処理して、還流まで1時間加熱する。反応物を、真空濃縮する。1N塩酸及び水を添加して、混合物を10%のイソプロパノール/ジクロロメタンで抽出する。有機部分を、真空濃縮して、所望の生成物を得る。MS(m/e):291.0(M−1).
中間体15
6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−ニコチン酸メチルエステル
【化26】

【0079】
手順H:メチル−6−クロロニコチン酸塩(1.0mmol)の撹拌溶液及びN,N−ジメチルホルムアミド(0.20M)中の炭酸カリウム(3.0mmol)に、2,4−ジフルオロフェノール(1.5mmol)を添加し、100℃で2時間加熱する。室温に冷却し、水で反応物を希釈し、ジクロロメタンで抽出する。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濾過及び真空濃縮する。ラジアルクロマトグラフィーにおいて酢酸エチル及びヘキサンで溶離して精製する。MS(m/e):266.1(M+1)
中間体16
6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−ニコチン酸ソーダ塩
【化27】

【0080】
手順I:メタノール/テトラヒドロフラン(1:1)(0.15M)中の6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−ニコチン酸メチルエステル(中間体14参照)(1.0mmol)の撹拌溶液に、2N水酸化ナトリウム(1.02mmol)を添加し、還4時間加熱流する。次に、加熱をやめ、真空濃縮する。MS(m/e):252.0(M+1)
【実施例】
【0081】
実施例1
(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化28】

手順D:4−ヒドロキシ安息香酸(13.5g,97.9mmol)をジクロロメタン中に懸濁させた。1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−カルボジイミドヒドロクロリド(EDCI)(20.0g、104.3mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(14.1g、104.3mmol)を、室温で順に添加した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(28.4mL、163mmol)及び(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(10.0g、65.2mmol)を、混合物に添加した。その混合物を室温で一晩撹拌し、EtOAcと水に分離した。水は添加して、混合物を酢酸エチルで抽出した。生成物は水溶性であるため、多数回の有機抽出を必要とした。混合した有機層をNaSO上で乾燥し、濾過して、蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(傾斜:100%CHCl〜MeOH/CHCl中10%2M NH)により精製して、所望の生成物(52%)を得た。MS(ES+):275;HNMR(CDCl):δ7.29(bm,2H),6.76(d,2H),4.50(m,1H),3.52(m,2H),2.90(bm,1H),2.70(bm,4H),2.04(bm,1H),1.95(bm,2H),1.67(bm,6H).
【0082】
実施例2
S−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化29】

標記化合物を、3−フルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸及び(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジンから出発し、手順Dに実質的に類似する方法で調製した。MS(ES+)293.2
【0083】
実施例3
S−(4−ブトキシ−3−フルオロ−フェニル)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化30】

手順E:S−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン(0.193g、0.66mmol)をDMF(5mL)に溶解して、CsCO(0.43g、1.32mmol)及び1−ヨードブタン(0.083mL、0.73mmol)を連続して添加した。反応混合物を、90℃で12時間撹拌した。水溶性精密検査の後、粗物質を、クロマトグラフィー[SCX−MeOH洗浄、溶離液2M NH/MeOH、次いでVarian10g SiOカートリッジ、溶離液10%(25/5/1 CHCl/MeOH/NHOH)/90%(10% MeOH/CHCl)]によって精製して、黄色の油として60mg(26%)の標記化合物を得た。MS(ES+)349.3.
【0084】
実施例4
(4−プロポキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化31】

手順F:4−プロポキシ安息香酸(180mg、1.00mmol)を、2.0mLの塩化チオニルに溶解して、50℃で30分撹拌した。過剰量塩化チオニルを、真空除去した。残渣を、1.0mLのCHClに溶解した。(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(164mg、1.07mmol)及びトリエチルアミン(108mg、1.07mmol)を、3.0mLのCHClに溶解して、0℃に冷却した。酸塩化物溶液を、この混合物に添加し、室温で1時間撹拌した。反応混合物をCHClで希釈し、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過して、蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH中の2M NH=20:1)にかけて298mg(94%)の標記化合物を得た。実測値(質量) 317(M+1).
【0085】
実施例5
(4−ブトキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化32】

標記化合物を、手順Fと実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 331。
【0086】
実施例6
[4−(2−クロロ−エトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化33】

標記化合物を、手順Fと実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 337
【0087】
実施例7
[4−(3−クロロ−プロポキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化34】

標記化合物を、手順Fと実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 351
【0088】
実施例8
[4−(5−クロロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化35】

標記化合物を、4−(5−クロロ−ペンチルオキシ)−安息香酸から、手順Fと実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 379
【0089】
実施例9
(4−ブトキシ−フェニル)−(2−(R)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化36】

標記化合物を、(R)−(−)−1−(2−ピロリジニルメチル)−ピロリジン(CAS60419−23−0)から、手順Fと実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 331
【0090】
実施例10
[4−(3−クロロ−プロポキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化37】

標記化合物を、(R)−(−)−1−(2−ピロリジニルメチル)−ピロリジン(CAS60419−23−0)から、手順Fと実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 351
【0091】
実施例11
(S)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−[4−(1,1,2,2−テトラフルオロ−エトキシ)−フェニル]−メタノン
【化38】

標記化合物を、手順Fと実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 267
【0092】
実施例12
[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化39】

4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−安息香酸(152mg、0.84mmol)、(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(193mg、1.25mmol)及びトリエチルアミン(303mg、3.0mmol)を、ジクロロメタン(5.0mL)に溶解して、ベンゾトリアゾル−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェイト(PyBOP)(786mg、1.5mmol)を混合物に添加した。混合物を室温で3日間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過して、蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH中の2M NH=20:1)を用いて精製して、177mg(66%)の標記化合物を得た。実測値(質量) 319
【0093】
実施例13
[4−(3−フルオロ−プロポキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン塩酸塩
【化40】

4−(3−フルオロ−プロポキシ)−安息香酸、リチウム塩、及び(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジンから出発し、手順Dに実質的に類似する方法で標記化合物を調製した。標記化合物を、ジエチルエーテル中の1個のHCl等量の[4−(3−フルオロ−プロポキシ)−フェニル]−(2−ピロリジン1−イルメチル−ピロリジン1−イル)−メタノンを処理して生成した。MS(ES+)335.2
【0094】
実施例14
[4−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノントリフルオロ酢酸塩
【化41】

標記化合物は4−(3−メトキシ−プロポキシ)−安息香酸メチルエステル及び(S)(+)−1−(2−−ピロリジニルメチル)ピロリジンから出発し、手順Bと実質的に類似する方法で調製した。粗製物質を、逆相クロマトグラフィー(19×250mm シンメトリC18;20−70% CHCN/HO,0.1% TFA;20mL/min,ランタイム20分)によって精製して、トリフルオロ酢酸塩を得た。MS (ES+) 347.2.
【0095】
実施例15
[4−(3−メタンスルホニル−プロポキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化42】

4−(3−メタンスルホニル−プロポキシ)−安息香酸メチルエステル及び(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジンから出発し、手順B及びDに実質的に類似する方法で標記化合物を調製した。MS (ES+) 395.3.
【0096】
実施例16
[4−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化43】

4−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル及び3−ブロモ−プロパン−1−オールから出発し、手順A、B、及びDに実質的に類似する方法で標記化合物を調製した。MS(ES+)333.2.
【0097】
実施例17
4−[4−(S)(+)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェノキシ]−酪酸メチルエステル
【化44】

(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン(1.18g、4.3mmol)及びメチルブロモ酪酸塩(0.7mL、5.4mmol)をDMF(20mL)に溶解し、窒素下で室温で、炭酸セシウム(2.80g、8.6mmol)を添加しながら撹拌した。反応混合物を、一晩撹拌した。反応物をCHClで希釈し、濾過し、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過して、蒸発させた。粗生成物を、SCXカラム(MeOH洗浄、MeOH中の2M NHで溶出)によって部分的に精製した。更なる精製を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(傾斜:100%CHC2〜10%MeOH/CHCl中の2M NH)を用いて行い、1.1g(69%)の標記化合物生成物を得た。MS(ES+)375.2(M+H)
【0098】
実施例18
5−[4−(S)(+)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェノキシ]−ペンタン酸メチルエステル
【化45】

標記化合物を、(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン(2.06g、7.5mmol)及びメチルブロモ吉草酸エステル(1.76g、9mmol)から、実施例1に実質的に類似する方法で調製し、2.2g(75%)を得た。MS(ES+)389.3(M+H)
【0099】
実施例19
5−[4−(S)(+)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェノキシ]−ペンタン酸、リチウム塩
【化46】

ジオキサン(40mL)/5−[4−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェノキシ]−ペンタン酸メチルエステル(2.91g、7.5mmol)の水(20mL)溶液及び水酸化リチウム一水和物(349mg、8.3mmol)を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を、真空濃縮して、標記化合物(2.79g、98%)を得た。MS(ES+)375.3(M+H)
【0100】
実施例20
(6−ヒドロキシ−ピリジン−3−イル)−(S)(+)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化47】

PS−カルボジイミド(1.39mmol/g)、樹脂ビーズ(2.1g、3mmol)を、ニコチン酸(278mg、2mmol)の10mLのCHCl/BuOH/MeCN(5:1:1)混合物、(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(231mg、1.5mmol)、HOBt(300mg、2.2mmol)及びトリエチルアミン(0.30mL、2.2mmol)に添加した。混合物を、室温で3日間撹拌した。反応混合物を濾過し、ビードを交互にMeOH、次いでCHClで洗浄し、濾液を真空濃縮した。粗製物質生成物を、SCXカラム(MeOH洗浄、MeOH中で2M NHで溶出)によって部分的に精製した。更なる精製を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(傾斜:100%CHCl〜10%MeOH/CHCl中2M NH)により行い、標記化合物(200mg、73%)を得た。MS(ES+)276.1(M+H)
【0101】
実施例21
(6−ブトキシ−ピリジン−3−イル)−(S)(+)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化48】

(6−ヒドロキシ−ピリジン−3−イル)−(S)(+)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン(85mg、0.31mmol)の混合物、1−ブロモブタン(0.04mL、0.36mmol)、炭酸セシウム(195mg、0.60mmol)及びジオキサン(5mL)中の触媒KIを、窒素下において80℃から90℃で10時間撹拌した。反応物をCHClで希釈し、濾過して、ブラインで洗浄した。有機部分をNaSO上で乾燥し、蒸発させた。粗生成物を、SCXカラムで部分的に精製する(MeOH洗浄、MeOH中で2M NHで溶出した。更なる精製を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(傾斜:100%CHCl〜10%MeOH/CHCl中の2MNH)で精製して標記化合物(52mg,収率50%)を得た。MS(ES+)332.2(M+H)
【0102】
実施例22
(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−[4−(4,4,4−トリフルオロ−ブトキシ)−フェニル]−メタノン
【化49】

標記化合物を、手順Eと実質的に類似する方法で調製した。但し、反応混合物は、室温で(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)メタノン及び1−ブロモ−4,4,4−トリフルオロブタンから一晩撹拌した。MS(ES+)385.2.
【0103】
実施例23
[4−(5−フルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化50】

標記化合物を、手順Eと実質的に類似する方法で調製した。但し、反応混合物は室温で(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)メタノン及び1−ブロモ−5−フルオロペンタンから一晩撹拌した。MS(ES+)363.3
【0104】
実施例24
[4−(4−フルオロ−ブトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノントリフルオロ酢酸
【化51】

(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)メタノン及び1−ブロモ−4−フルオロブタンから出発し、反応混合物を室温で一晩撹拌することを除いて、手順Eと実質的に類似する方法で標記化合物を調製した。粗製物質を、逆相クロマトグラフィー(19x250mm シンメトリC18;20−70% CHCN/HO,0.1% TFA;20mL/min,ランタイム20分)で精製して、トリフルオロ酢酸塩を得た。MS(ES+)349.3
【0105】
実施例25
[4−(2−ベンゼンスルホニル−エトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノントリフルオロ酢酸
【化52】

(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン及び2−クロロエチルフェニルスルホン(ヨウ化カリウム(0.5等量)を添加し、反応混合物は60℃で過熱された)から出発し、実質的に手順Eに類似する方法で標題化合物を調製した。粗製物質を、逆相クロマトグラフィー(19x250mm シンメトリC18;20−70% CHCN/H,0.1% TFA;20mL/min,ランタイム20分)で精製して、トリフルオロ酢酸塩を得た。MS(ES+)443.4.
【0106】
実施例26
[4−(4−メチルスルファニル−ブトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノントリフルオロ酢酸
【化53】

(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)メタノン及び4−(メチルチオ)−1−ブタノールから出発し、中間体1と実質的に類似する方法で標記化合物を調製した。粗製物質を、逆相クロマトグラフィー(19x250mm シンメトリC18;20−70% CHCN/HO,0.1% TFA;20mL/min,ランタイム20分)で精製して、トリフルオロ酢酸塩を得た。MS(ES+)377.3.
【0107】
実施例27
(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−[4−(3,3,3−トリフルオロ−プロポキシ)−フェニル]−メタノントリフルオロ酢酸2217199 KM4−A03352−149
【化54】

(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)メタノン及び3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノールから出発し、実質的に中間体1に類似する方法で標記化合物を調製した。粗製物質を、逆相クロマトグラフィー(19x250mm シンメトリC18;20−70% CHCN/H0,0.1% TFA;20mL/min,ランタイム20分)で精製して、トリフルオロ酢酸塩を得た。MS (ES+) 371.3.
【0108】
実施例28(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化55】

2−フルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸[CAS65145−13−3]から手順Dに実質的に類似する方法で標記化合物を調製した。MS(ES+)293.1
【0109】
実施例29
(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
【化56】

2−フルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸及び2−(R)−メチル−1−(2−(S)−ピロリジニルメチル)ピロリジン(中間体11)から、手順Dに実質的に類似する方法で標記化合物を調製した。MS(ES+)307.3
【0110】
実施例30
(4−ペンチルオキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化57】

手順G:4−ペンチルオキシ安息香酸(67mg、0.32mmol)及びPS−カルボジイミド(484mg,0.64mmol,mmol/g=1.32)を、CHCl(5.0mL)中の5%のDMFで混合して、混合物を撹拌した。(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(50mL,0.32mmol)を添加し、室温で一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、樹脂をCHClで洗浄した。濾液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl中5%のCHCl中の2 M NH MeOH)を用いて精製して、28.9mg(26%)の標記化合物を得た。実測値(質量) 345(M+1)
【0111】
実施例31
5−メトキシ−2−メチレン−1−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−ペント−3−エン−1−オン
【化58】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 289
【0112】
実施例32
(4−イソブトキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化59】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 331
【0113】
実施例33
(4−イソプロポキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化60】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 317
【0114】
実施例34
(4−シクロヘキシルメトキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化61】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 371
【0115】
実施例35
(4−ヘプチルオキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化62】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 373
【0116】
実施例36
(4−ジフルオロメトキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化63】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 325
【0117】
実施例37
(4−エトキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化64】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 303
【0118】
実施例38
(4−ヘキシルオキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化65】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 359
【0119】
実施例39
(S)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−メタノン
【化66】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 343
【0120】
実施例40
[4−(2−ブトキシ−エトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化67】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 375
【0121】
実施例41
[4−(2−フェノキシ−エトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化68】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 395
【0122】
実施例42
(4−シクロペンチルオキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化69】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 343
【0123】
実施例43
[4−(3−メチル−ブトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化70】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 345
【0124】
実施例44
(4−ブト−3−エニルオキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化71】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 329
【0125】
実施例45
[4−(シクロヘキス−2−エニルオキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化72】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 355
【0126】
実施例46
[4−(3−フェニル−プロポキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化73】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 393
【0127】
実施例47
[4−(3−フェニル−プロポキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、塩酸塩
【化74】

標記化合物を、ジエチルエーテル中のHClの1等量の[4−(3−フェニルl−プロポキシ)−フェニル]−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノンを処理して生成した。実測値(質量) 393
【0128】
実施例48
(4−フェノキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化75】

標記化合物を、手順Gに実質的に類似する方法で調製した。実測値(質量) 351
【0129】
実施例49
[4−(4−フェノキシ−ブトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノントリフルオロ酢酸
【化76】

(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)メタノン及び4−フェノキシブチルブロミドから出発し、反応混合物を室温で一晩撹拌し、手順Eと実質的に類似する方法で標記化合物を調製した。粗製物質を、逆相クロマトグラフィー(19×250mm シンメトリC18;20−70% CHCN/HO,0.1% TFA;20mL/min,ランタイム20分)で精製して、トリフルオロ酢酸塩を得た。MS(ES+)。
【0130】
実施例50
[4−(3−フェノキシ−プロポキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノントリフルオロ酢酸
【化77】

(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン及び3−フェノキシプロピルブロミドから出発し、反応混合物を室温で一晩撹拌し、実質的に手順Eに類似する方法で標題化合物を調製した。粗製物質を、逆相クロマトグラフィー(19×250mm シンメトリC18;20−70% CHCN/HO,0.1% TFA;20mL/min,ランタイム20分)で精製して、トリフルオロ酢酸塩を得た。MS(ES+)409.4
【0131】
実施例51
{4−[3−(4−メトキシフェニル)−プロポキシ]−フェニル}−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノントリフルオロ酢酸
【化78】

(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン及び1−(3−クロロ−プロピル)−4−メトキシ−ベンゼン(ヨウ化カリウム(0.5等量)を添加し、反応混合物は室温で撹拌された)から出発し、実質的に手順Eに類似する方法で標題化合物を調製した。粗製物質を、逆相クロマトグラフィー(19×250mm シンメトリC18;20−70% CHCN/HO,0.1% TFA;20mL/min,ランタイム20分)で精製して、トリフルオロ酢酸塩を得た。MS(ES+)423.4.
【0132】
実施例52
[4−(3−メタンスルホニル−フェノキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノンヒドロクロリド
【化79】

4−(3−メタンスルホニル−フェノキシ)−安息香酸(1.0mmol)(中間体13参照)及び塩化オキサリル(2.0mmol)は、ジクロロメタン(0.10M)中で混合し、触媒としてジメチルホルムアミドを1滴添加した。溶液を室温で2時間撹拌した。反応液を真空濃縮した。得られた残渣を、ジクロロメタンに溶解し、をジクロロメタン(0.10M)中の(S)−(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(1.0mmol)及びN−メチルモルホリン(1.0mmol)の撹拌溶液に添加した。反応物を室温で18時間撹拌した。反応物を、重炭酸ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、10%のイソプロパノール/ジクロロメタンで水性部分を抽出した。油層を真空濃縮し、ラジアルクロマトグラフィーにおいてメタノール及びジクロロメタン中の2Mアンモニアで溶離して精製した。精製された遊離塩基を最少量のジクロロメタンに溶解して、エーテル中のわずかな過剰量の1MHClを添加し、次いでヘキサンを添加した。次いで、混合物を真空濃縮して、標記化合物を得た。MS(m/e):429.2(M+1)
【0133】
実施例53
[4−(4−メタンスルホニル−フェノキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノンヒドロクロリド
【化80】

(4−ブロモ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジニル)メタノン(中間体10参照)(1.35mmol)、4−メチルスルホニルフェノール(1.0mmol)、炭酸カリウム(1.65mmol)及びジメチルホルムアミド(0.4M)中の銅(0.022mmol)を混合し、還流温度で48時間加熱した。反応物を室温に冷却し、水で希釈して、10%のイソプロパノール/ジクロロメタンで抽出した。有機部分を真空濃縮した。得られた残渣をラジアルシリカクロマトグラフィーで精製し、メタノール及びジクロロメタン中の2Mアンモニアで溶出した。精製された遊離塩基を、最少量のジクロロメタンに溶解し、エーテル中のわずかな過剰量の1MHClを添加し、次いでヘキサンを添加した。物質を真空濃縮し、標記化合物を得た。MS(m/e):429.2(M+1)
【0134】
実施例54
(S)−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イル]−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン二塩酸塩
【化81】

手順J:0℃の氷浴内にて撹拌している6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−ニコチンナトリウム塩(1.0mmol)及びN−メチルモルホリン(1.0mmol)のジクロロメタン(0.10M)溶液に、2−クロロ−4、6−ジメトキシ1,3,5−トリアジン(1.0mmol)を添加した。氷浴を除去し、45分間撹拌した。(S)−(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(1.0mmol)を添加し、室温で18時間撹拌した。反応物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄すると共に、10%イソプロパノール/ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、真空濃縮した。メタノール中2Mアンモニア及びジクロロメタンで溶解するクロマトグラフィーで精製した。最少量のジクロロメタン中の精製された遊離塩基を溶解して、エーテル中のわずかな過剰量の1MHClを添加し、次いで、ヘキサンを添加した。真空濃縮して標記化合物を得た。MS(m/e):388.2(M+1)
【0135】
実施例55
(S)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−[6−(4−トリフルオロメトキシ−フェノキシ)−ピリジン−3−イル]−メタノン二塩酸塩
【化82】

メチル−6−クロロニコチン酸塩及び4−トリフルオロメトキシ−フェノールから出発し、実質的に手順H、I、Jに類似する方法で標記化合物を調製した。MS(m/e):436.2(M+1)本発明の更なる実施形態には、式X1〜X52の化合物が含まれる。本発明の更なる実施態様は、式I若しくは式II、又はX1〜X52のヒスタミンH3受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニストの製造に有用な、本願明細書に記載される全ての新規な中間体の調製物である。
【0136】
表1
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

本発明の医薬的に許容される塩は、一般に式I若しくは式IIの化合物を、等モル又は過剰量の酸又は塩基と反応させて生成される。反応物質は一般に、共溶媒(例えば、酸付加塩の場合、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンゼン等、塩基付加塩の場合、水、アルコール、又はジクロロメタンのようなクロロ化溶媒)中で混合される。塩は通常、約1時間〜約10日以内に溶液から析出され、濾過又は従来の他の方法により単離される。
【0137】
薬理学的な酸付加塩の生成に通常使用される酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸、並びにp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、酢酸等の有機酸である。好ましい薬理学的な酸付加塩は、例えば塩酸、臭化水素酸及び硫酸のような鉱酸と共に生成された塩、並びに例えばマレイン酸、酒石酸、及びメタンスルホン酸のような有機酸と共に生成された塩である。
【0138】
医薬的に許容される塩基付加塩の生成に通常使用される塩基は、例えばアンモニウム又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等の無機塩基である。従って、本発明の塩の製造に有用な塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。カリウム塩及びナトリウム塩の形態が特に好ましい。
【0139】
スキーム、製造及び手順の反応を実施する最適時間は、従来のクロマトグラフ技術により反応の進行を監視することで決定される。更に、本発明の反応は、例えばアルゴン、又は特に窒素のような不活性雰囲気下で実施することが好ましい。溶媒の選択は、その溶媒が進行中の反応に対して不活性であり、反応物を十分に溶解して所望の反応を達成させる限り、一般的に重要ではない。化合物は、次の反応に使用する前に単離及び精製することが好ましい。数種の化合物は、その生成中に反応溶液から結晶化する場合があり、その後濾過により収集するか、又は反応溶媒を抽出、蒸発若しくはデカンテーションにより除去する。式I若しくは又は式IIの中間体及び最終生成物は、所望であれば、例えば再結晶化、又は例えばシリカゲル若しくはアルミナ等の固体支持体上のクロマトグラフィーのような通常の技術を用いて、更に精製してもよい。
【0140】
当業者は全ての置換基が全ての反応条件に適合するものではないことを理解するであろう。これらの化合物は、合成中、都合のよい時点で周知の方法により保護又は修飾される。
【0141】
式I若しくは式IIの化合物は、投与前に単位剤形に製剤化されることが好ましい。従って、本発明の更なる別の実施形態は、式I若しくは式IIの化合物と、1種以上の医薬的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤とを含有する医薬組成物である。
【0142】
本発明の医薬組成物は、周知かつ容易に入手可能な成分を使用して、周知の手順により製造される。本発明の製剤を製造する際、活性成分(式I若しくは式IIの化合物)は通常、担体と共に混合され、若しくは担体により希釈され、又はカプセル、小袋、紙若しくは他の容器の形態であり得る担体内に封入されるであろう。担体が希釈剤の役割を果たす場合、該担体はビヒクル、賦形剤、又は活性成分の媒体として作用する固体、半固体又は液体材料であり得る。従って、組成物は錠剤、ピル、散剤、ロゼンジ、小袋、カシェ、エリキシル、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ、エアゾル(固体又は液体媒体として)、軟及び硬カプセル、坐薬、無菌注射液、並びに無菌包装散剤の形態であり得る。
【0143】
適切な担体、賦形剤、及び希釈剤のいくつかの例には、乳糖、右旋糖、蔗糖、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギナート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチル及びプロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム及び鉱油が挙げられる。製剤は更に、滑沢剤、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、保存剤、甘味剤又は矯味矯臭剤を含有してもよい。本発明の組成物は、患者に投与された後に活性成分を迅速、持続又は遅延放出するように処方することができる。
【0144】
本発明の組成物は、持続放出形態で処方され、任意の一種又は二種以上の成分又は活性成分の速度放出制御により治療的効果、即ち抗ヒスタミン活性及び同様の活性を最適化してもよい。持続放出に適した剤形には、様々な崩壊速度を有する層を含む多層錠、又は活性成分を含浸し、錠剤形に生成された放出制御ポリマーマトリクス、又はそのような含浸若しく封入した多孔質ポリマーマトリクスを有するカプセルが挙げられる。
【0145】
液体形態の製剤には、液剤、懸濁剤及び乳剤が挙げられる。例として、非経口注入用には水若しくはプロピレングリコール水溶液、又は経口用の液剤、懸濁剤及び乳剤には甘味剤及び乳白剤をこれに更に追加したものが挙げられる。液体形態の製剤には、鼻腔内投与用の液剤も挙げられる。
【0146】
吸入に適したエアゾル製剤には、溶液、及び粉末形態の固体が含まれることができ、これらは例えば不活性圧縮気体、例えば窒素のような医薬的に許容される担体と混合され得る。
【0147】
坐薬を製造する際、最初に低融点ワックス、例えばココアバターのような脂肪酸グリセリドの混合物等を融解し、撹拌又は同様物の混合により活性成分を内部に均質に分散させる。次いで、溶融した均質混合物を都合のよい寸法の鋳型に注ぎ、冷却して固化させる。
【0148】
経口又は非経口投与のいずれかのために、使用直前に液体形態に変換されることを意図した固体形態の製剤も、固体形態の製剤に含まれる。その液体形態には液剤、懸濁剤及び乳剤が含まれる。
【0149】
本発明の化合物は、経皮的に送達することもできる。経皮組成物はクリーム、ローション、エアゾル及び/又は乳液の形態をとり得、この目的のための当該技術分野にて慣習的なマトリクス又はリザーバ型の経皮パッチに含ませることができる。
【0150】
化合物は、経口投与されることが好ましい。
【0151】
医薬製剤は、単位剤形であることが好ましい。この形態にて、製剤は、適量、例えば所望の目的を達成する有効量の活性成分を含有する、適量の単位用量に更に分割される。
【0152】
一般に、製剤の単位用量中に含まれる本発明の活性組成物の量は、特定の用途に従って、約0.01mg〜約1,000mg、好ましくは約0.01〜約950mg、より好ましくは約0.01〜約500mg、一般には約1〜約250mgの間で変化又は調整される。使用される実際の用量は、患者の年齢、性別、体重及び治療する症状の重症度に応じて変更することができる。そのような技術は、当業者に周知である。一般的には、活性成分を含有するヒト用の経口剤形は、一日に1回又は2回投与される。
【0153】
式I若しくは式IIの化合物は、ヒスタミンH3受容体のアンタゴニスト又はインバースアゴニストとして有効であり、従ってH3受容体の活性を阻害する。より詳細には、これら化合物は、ヒスタミンH3受容体の選択的アンタゴニスト又はインバースアゴニストである。選択的アンタゴニスト又はインバースアゴニストとして、式I若しくは式IIの化合物は、限定されないが、肥満症及び他の摂食に関連する疾患、並びに認知障害を含み、ヒスタミンH3受容体の不活性化に応答する疾病、疾患、又は症状の治療に有用である。H3Rの選択的アンタゴニスト又はインバースアゴニストは、脳のヒスタミンレベル及びおそらく他のモノアミンのレベルを上昇さ得ることによって、食物消費を阻害すると共に抹消作用を最小限にすると理解される。多数のH3Rアンタゴニストが公知であるが、肥満症又は認知障害の満足できる薬として証明されているものは全く存在しない。ヒスタミンがエネルギー恒常性に重要な役割を果たしているとの証拠が益々増大している。ヒスタミンは、多数の細胞型で見られるほぼ普遍的なアミンであり、Gタンパク共役受容体(GPCR)のファミリーと共役する。した。このファミリーは、それによりヒスタミンが受容体の分布に基づいて異なる細胞応答を誘導することができる機構を提供する。H1R及びH2Rの両方は幅広く分布している。H3Rは、主として脳内、特に視床及び尾状核内に発現する。H3Rは、脳の摂食中枢内にて高密度で発現することが発見された。最近、新規なヒスタミン受容体GPRv53が確認されている。GPRv53は、末梢白血球中に高いレベルで見出されているが、ある研究者は脳内の低いレベルでのみ確認されているが、他の研究者は確認することができない。しかしながら、H3R周辺で開始された薬物発見のいずれの取り組みにおいても、GPRv53及び他のサブタイプを考慮する必要がある。
【0154】
本発明の化合物は、[3H]αメチルヒスタミンをリガンドとして使用するH3R結合アッセイに基づいた、競合的阻害シンチレーション近接アッセイ(SPA)を用いて容易に評価できる。限定されないがHEKを含む安定な細胞株を、H3RをコードするcDNAでトランスフェクトして、結合アッセイに使用する膜を調製できる。このヒスタミン受容体サブタイプに関する技術を、以下(ヒスタミン受容体サブタイプ膜の調製)に説明する。
【0155】
「ヒスタミン受容体サブタイプ膜の調製」に説明されているように単離された膜を、[35S]GTPχS機能アッセイに使用する。[35S]GTPχSの膜に対する結合は、アゴニスト活性を示す。式I若しくは式IIの本発明の化合物について、アゴニストの存在下で結合阻害能を試験する。また、同一のトランスフェクト細胞株を、H3Rアゴニストがホルスコリン−活性化cAMP合成を阻害するcAMPアッセイにおいて使用する。式I若しくは式IIの化合物について、アゴニストの存在下でホルスコリン刺激cAMP合成を行なう能力を試験する。
ヒスタミン受容体サブタイプ膜の調製
A.H1R膜の調製
【0156】
ヒトヒスタミン1受容体(H1R)のcDNAを、CMVプロモーター(pcDNA3.1(+)、Invitogen)を含む哺乳類の発現ベクター内にクローン化し、FuGENEトランスフェクション試薬(Roche Diagnostics社)を使用してHEK293細胞内にトランスフェクトした。G418(500μ/ml)を使用してトランスフェクト細胞を選択した。選択に耐えたコロニーを増殖させ、放射性リガンド結合アッセイに基づくシンチレーション近接アッセイ(SPA)を用いて、96−ウェル皿内で増殖した細胞に対するヒスタミン結合アッセイを試験した。即ち、個々の選択されたクローンを発現している細胞を、ウェルに25,000細胞にて播種し、48時間増殖させることにより(37℃、5%CO)、96−ウェル皿(クリアボトムプレート(Costar)、#3632)内でコンフルエントな単層として増殖させた。培養基を除去し、ウェルをPBS(−Ca2+又はMg2+)で2度すすぐ。全結合のために、50mMトリス−HCL(アッセイバッファ)、pH7.6、1mg小麦胚芽レクチンSPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech、#RPNQ0001)、及び0.8nMH−ピリラミン(Net−594、NEN)を含有するSPA反応内(1ウェル当たり総体積=200μl)で細胞を分析した。アステミゾール(10μM、Sigma#A6424)を適切なウェルに添加して、非特異的結合を測定した。プレートをFasCalでカバーし、室温で120分間インキュベートした。インキュベートの後、プレートを1,000rpm(800g以下)にて室温で10分間、遠心分離した。プレートをWallac Trilux 1450マイクロベータシンチレーションカウンター内で計数した。結合が陽性の数個のクローンを選択し、単一のクローン(H1R40)を用いて、結合試験用の膜を調製した。約10gの細胞ペレットを30mlアッセイバッファに再懸濁させ、ボルテックスにより混合し、(4℃で40,000g)10分間遠心分離した。ペレットの再懸濁、ボルテックス、及び遠心分離は、更に2回繰り返す。最終的な細胞ペレットを30mlに再懸濁し、ポリトロン組織ホモジナイザーでホモジナイズした。Coomassie Plusプロテインアッセイ試薬(Pierce)を用いてタンパク質を決定した。SPA受容体−結合アッセイにて、1ウェルにつき5μgのタンパク質を使用した。
B.H2R膜の調製
【0157】
上述したようにヒトヒスタミン2受容体のcDNAをクローン化、発現及びHEK293細胞内にトランスフェクトした。細胞に結合しているヒスタミンを、上述したSPAにより分析した。全結合のために、50mMトリス−HCl(アッセイバッファ)、pH7.6、1mg小麦胚芽レクチンSPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech、#RPNQ0001)、及び6.2nMH−チオチジン(Net−688、NEN)を含有するSPA反応内(1ウェル当たり総容量=200μl)で細胞を分析した。シメチジン(10μM、Sigma#C4522)を適切なウェルに添加して、非特異的結合を測定した。
【0158】
結合が陽性のいくつかのクローンを選択し、単一のクローン(H2R10)を用いて、結合試験用の膜を調製した。SPA受容体−結合アッセイにて、1ウェルにつき5μgのタンパク質を使用した。
C.H3R膜の調製
【0159】
ヒトヒスタミン3受容体のcDNAを、上記の(A.H1R膜の調製)に説明したようにクローン化、及び発現させた。G418(500μ/mL)を使用してトランスフェクト細胞を選択し、増殖させ、上述したSPAによりヒスタミン結合を試験した。全結合のために、50mMトリス−HCL(アッセイバッファ)、pH7.6、1mg小麦胚芽レクチンSPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech、#RPNQ0001)、及び1nM(H)−n−α−メチルヒスタミン(NEN、NET1027)を含有する、上述したSPA反応内(ウェル当たり総容量=200μl)で細胞を分析した。チオペリミドを添加して、非特異的結合を測定した。結合が陽性の数個のクローンを選択し、単一のクローン(H3R8)を用いて、上述した結合試験用の膜を調製した。SPA受容体−結合アッセイにて、1ウェルにつき5μgのタンパク質を使用した。
【0160】
実施例に記載した全化合物は、1μMを越えるH3受容体に対する親和性を示した。本発明の好ましい化合物は、H3受容体に対して200nMを越える親和性を示した。本発明の最も好ましい化合物は、H3受容体に対して20nMを越える親和性を示した。
D.GPRv53膜の調製
【0161】
ヒトGPRv53受容体のためのcDNAを、上記の(A.H1R膜の調製)に説明したようにクローン化し発現させた。トランスフェクト細胞を選択し、ヒスタミン結合を試験し、選択した。HEK293 GPRv5350細胞を、5%FBS及び500ug/mlG418を添加したDMEM/F12(Gibco)内でコンフルエントまで増殖させ、DelbeccoのPBS(Gibco)で洗浄し、スクレーピングにより回収した。全細胞をポリトロン組織ホモジナイザーより結合バッファ、50mMトリスpH7.5中でホモジナイズした。細胞溶解物50ugを、96ウェル皿内において、結合バッファ中で3nM(3H)ヒスタミン及び化合物と共に室温で2時間インキュベートした。Atomtecセルハーベスターを用いて、グラスファイバーフィルター(Perkin Elmer)で溶解物を濾過した。融解するシンチレーターシート(Perkin Elmer)を用いて、フィルターをWallac Trilux1450マイクロベータシンチレーションカウンターにおいて5分間計数した。
cAMP ELISAの薬理学的な結果
【0162】
上述したように調製したHEK293 H3R8細胞を50,000細胞/ウェルの密度にて播種し、5%FBS及び500ug/ml G418を添加したDMEM/F12(Gibco)中で一晩増殖させた。翌日、組織培地を除去し、4mM 3−イソブチル1−メチルキサンチン(Sigma)を含有する50μl細胞培地で交換して、室温で20分間インキュベートした。50μlの細胞培地にアンタゴニストを添加して、室温で20分間インキュベートした。次に、1×10−10〜1×10−5Mの用量応答におけるR(−)αメチルヒスタミン(RBI)を50μl細胞培地中にてウェルに添加し、室温で5分間インキュベートした。次いで、20μMホルスコリン(Sigma)を含有する50μlの細胞培地を各ウェルに添加し、室温で20分間インキュベートした。組織培地を除去し、細胞を0.1MHClに溶解し、cAMPをELISA(Assay Designs、Inc.)により測定した。
[35S]GTPγ[S]結合アッセイ
【0163】
アゴニスト存在下でのH3R膜に対する[35S]GTPγ[S]結合の阻害に関して、選択された化合物のアンタゴニスト活性を試験した。96−ウェルのプレート(Costar)内で、200ulの最終体積の20mMのHEPES、100mMのNaCl、5mMのMgCl及び10uMのGDP、pH7.4中にて室温で分析を実施した。H3R8を発現しているHEK293細胞株(20ug/ウェル)から単離した膜及びGDPを、50μl体積のアッセイバッファ中にて各ウェルに添加した。次いで、アンタゴニストを50μl体積のアッセイバッファ中にてウェルへ添加し、室温で15分間インキュベートした。次いで、用量応答1×0−10〜1×10−5M又は100nMの固定濃度のいずれかのアゴニストR(−)αメチルヒスタミン(RBI)を50μl体積のアッセイバッファ中にてウェルに添加し、室温で5分間インキュベートした。200pMの最終濃度のGTPγ[35S]を50μl体積のアッセイバッファ中にて各ウェルに添加した後、20mg/ml WGAを被覆したSPAビーズ(Amersham)50μlを添加した。プレートをWallac Trilux1450マイクロベータシンチレーションカウンター内で1分間計数した。放射性リガンドの受容体に対する特異的結合を50%より大きく阻害した化合物を連続的に希釈してK[i](nM)を決定した。指定した化合物についての結果を以下に示す。
【0164】
表2
【表9】

前記の説明から、当業者は、本発明の基本的特性を確認することができ、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な使用及び条件に適合するように、本発明の様々な改変及び修正をすることができる。このように、別の実施形態も請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで構造的に表される化合物又はその医薬的に許容される塩:
【化1】

(I)
[式中、Yは、独立して炭素又は窒素を表し、R1は、独立して−H、(但し、R1が水素であり、Yが炭素であり、R5が−Hである場合、R4は、フェニル環の親分子の−OR1置換基に隣接する位置で結合したフッ素ではなく、R1が水素であり、Yが炭素であり、R4が−Hである場合、R5は、フェニル環の親分子の−OR1置換基に隣接する位置で結合したフッ素ではない)、−(C−C)アルキル(1個から4個のハロゲンによって任意に置換される、又はR1がCHである場合、1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)、(但し、Yが炭素である場合、R1は、−(CH−Clではない)、−(C−C)アルキル−O−R3、−(C−C)アルキルS(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキルC(O)−O−R3、−(C−C)アルキルS(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキルS−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキルフェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル、−(C−C)シクロアルケニル、−(C−C)アルケニル−O−R3、−(C−C)アルケニルS(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニルC(O)−O−R3、−(C−C)アルケニルS(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニルS−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルケニル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニルフェニル(R2)(R3)(R4)又はR2で任意に一置換又は二置換され、R3で独立して任意に一置換又は二置換されたフェニル基であり、R2は、各々独立して−H、−ハロゲン、−(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)、−C(O)R7、−C(O)OR7、−C(O)(C−C)シクロアルキル、−OCF、−OR7、−SR7、−SOR7、−SOCF、又はS(O)R7であり、R3は、各々独立して、−H又は(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)、R4及びR5は各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C−C)(1個から3個のハロゲンによって任意に置換されたアルキル)又は−OR3であり(但し、Yが窒素である場合、R4又はR5はYと結合しない)、R6は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−CF、−(C−C)アルキル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)又は−OR3であり、R7は、各々独立して、−H、−(C−C)アルキル又は(C−C)アルケニル(1個から3個のハロゲンによって任意に置換される)である。]。
【請求項2】
式(II)の化合物又はその医薬的に許容される塩と、医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物:
【化2】

(II)
[式中、Yは、独立して炭素又は窒素を表し、R1は、独立して、−H、−(C−C)アルキル、−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−O−R3、−(C−C)アルキルS(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキルC(O)−O−R3、−(C−C)アルキルS(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキルS−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキルフェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニル、−(C−C)シクロアルケニル、−(C−C)アルケニル−O−R3、−(C−C)アルケニルS(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニルC(O)−O−R3、−(C−C)アルケニルS(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニルS−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニル−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルケニル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニルフェニル(R2)(R3)(R4)、又はR2で任意に一置換され、R3で独立して任意に一置換又は二置換されたフェニル基であり、R2は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C−C)アルキル、−C(O)R7、−C(O)OR7、−C(O)(C−C)シクロアルキル、−OCF、−OR7、−SR7、−SOR7、−SOCF又はS(O)R7であり、R3は、各々独立して、−H又は(C−C)アルキルであり、R4及びR5は、各々独立して−H、−ハロゲン、−(C−C)アルキル、又はOR3であり(但し、Yが窒素である場合、R4又はR5はYと結合しない)、R6は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−CF、−(C−C)アルキル又は−OR3であり、R7は、各々独立して、−H、−(C−C)アルキル又は(C−C)アルケニルである。]。
【請求項3】
Yが炭素である、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Yが窒素である、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
R1が−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−O−R3、−(C−C)アルキルS(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキルC(O)−O−R3、−(C−C)アルキルS−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル、又は(C−C)アルキルであり、但し、Yが炭素である場合、R1が−(CH−Clではない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
R1が−(C−C)アルキル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルキルフェニル(R2)(R3)(R4)又は(C−C)アルキル−S(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
R1が−(C−C)アルケニル、−(C−C)シクロアルケニル、−(C−C)アルケニル−O−R3、−(C−C)アルケニルS(O)−(C−C)アルキル、−(C−C)アルケニルC(O)−O−R3、−(C−C)アルケニルS−(C−C)アルキル、又は(C−C)アルケニル−(C−C)シクロアルキルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
R1は−(C−C)アルケニル−O−フェニル(R2)(R3)(R4)、−(C−C)アルケニルフェニル(R2)(R3)(R4)又は(C−C)アルケニルS(O)−フェニル(R2)(R3)(R4)である、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
R1が、R2で任意に一置換又は二置換され、R3で独立して任意に一置換又は二置換された−フェニルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
R4がハロゲンである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
R6のうち一方は−CHであり、他方は独立して−Hである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
式X1〜式X52からなる群より選択される請求項1記載の化合物又はその医薬的に許容される塩:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】


【請求項13】
以下からなる群から選ばれる請求項1記載の化合物またはその医薬的に許容される塩:
(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
S−(4−ブトキシ−3−フルオロ−フェニル)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
(4−プロポキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
(4−ブトキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[4−(2−クロロ−エトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[4−(5−クロロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
(4−ブトキシ−フェニル)−(2−(R)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
(S)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−[4−(1,1,2,2−テトラフルオロ−エトキシ)−フェニル]−メタノン、
[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[4−(3−フルオロ−プロポキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン塩酸塩、
[4−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノントリフルオロ酢酸塩、
[4−(3−メタンスルホニル−プロポキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[4−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
4−[4−(S)(+)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェノキシ]−酪酸メチルエステル、
5−[4−(S)(+)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェノキシ]−ペンタン酸メチルエステル、 5−[4−(S)(+)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェノキシ]−ペンタン酸、リチウム塩、
(6−ヒドロキシ−ピリジン−3−イル)−(S)(+)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
(6−ブトキシ−ピリジン−3−イル)−(S)(+)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−[4−(4,4,4−トリフルオロ−ブトキシ)−フェニル]−メタノン、
[4−(5−フルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[4−(4−フルオロ−ブトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノントリフルオロ酢酸、
[4−(2−ベンゼンスルホニル−エトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノントリフルオロ酢酸、
[4−(4−メチルスルファニル−ブトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノントリフルオロ酢酸、
(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−[4−(3,3,3−トリフルオロ−プロポキシ)−フェニル]−メタノントリフルオロ酢酸、
(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、
(4−ペンチルオキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
5−メトキシ−2−メチレン−1−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)ペント−3−エン−1−オン、
(4−イソブトキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
(4−イソプロポキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
(4−シクロヘキシルメトキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
(4−ヘプチルオキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
(4−ジフルオロメトキシフェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
(4−エトキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
(4−ヘキシルオキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
(S)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−メタノン、
[4−(2−ブトキシ−エトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[4−(2−フェノキシ−エトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
(4−シクロペンチルオキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[4−(3−メチル−ブトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
(4−ブト−3−エニルオキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[4−(シクロヘキス−2−エニルオキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[4−(3−フェニル−プロポキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[4−(3−フェニル−プロポキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、塩酸塩、
(4−フェノキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[4−(4−フェノキシ−ブトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノントリフルオロ酢酸、
{4−[3−(4−メトキシフェニル)−プロポキシ]−フェニル}−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノントリフルオロ酢酸、
[4−(3−メタンスルホニル−フェノキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノンヒドロクロリド、
[4−(4−メタンスルホニル−フェノキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノンヒドロクロリド、
(S)−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イル]−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン二塩酸塩、及び、
(S)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−[6−(4−トリフルオロメトキシ−フェノキシ)−ピリジン−3−イル]−メタノン二塩酸塩。
【請求項14】
請求項2〜13のいずれか1項に記載の化合物と、医薬的に許容される塩とを含む医薬組成物。
【請求項15】
哺乳類のヒスタミンH3受容体を阻害する方法であって、その必要がある哺乳類に、ヒスタミンH3受容体を阻害する量の請求項1記載の式Iの化合物又はその塩を投与することを含む方法。
【請求項16】
神経系障害を治療又は予防する方法であって、有効量の請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物を、かかる治療又は予防の必要がある哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項17】
アンタゴニスト又はインバースアゴニストが請求項14記載の医薬組成物である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
肥満症を治療又は予防する方法であって、有効量の請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物を、かかる治療又は予防の必要がある哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項19】
アンタゴニストが請求項14記載の医薬組成物である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
ヒスタミンH3受容体の阻害によって有利な効果を奏する障害又は疾病を治療又は予防する方法であって、有効量の請求項1〜13いずれか1項に記載の化合物を、かかる治療又は予防の必要がある哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項21】
神経系障害の治療に用いられる請求項1〜13いずれか1項に記載の式Iの化合物又はその塩。
【請求項22】
神経系障害の治療用医薬の製造のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物又はその塩。

【公表番号】特表2008−533150(P2008−533150A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501942(P2008−501942)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/008943
【国際公開番号】WO2006/101808
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】