説明

ヒダントイン誘導体

【課題】本発明は、抗腫瘍効果等の薬理活性が期待される新規なサリドマイド類似体を提供することを目的とする。
【解決手段】L-グルタミン酸あるいはL-アスパラギン酸をジメチルエステルに変換した後、アミノ基を保護する。次に、アミノ基が保護されたジメチルエステルをイミドへと変換した後、保護基を除去することによって、3−アミノグルタルイミドの塩酸塩あるいは3−アミノスクシンイミドの塩酸塩を得る。次に、上述した手順で得られたイミドの塩酸塩と所望の天然アミノ酸を縮合させ、当該アミノ酸縮合化合物から保護基を除去した後、クロロギ酸4-ニトロフェニルを作用させることによって、ヒダントイン部を有するサリドマイド類似体が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒダントイン誘導体に関し、より詳細には、ヒダントイン部を有する新規なサリドマイド類似体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サリドマイド( N -α -フタルイミドグルタルイミド)が血管新生抑制作用を有することが報告された。この報告に基づき、化学治療の効果が低い骨髄腫等の悪性腫瘍の治療に適用すべく、サリドマイドをリード化合物とする新規な化合物の合成が種々検討されている。特表2007−505922号公報(特許文献1)は、腫瘍壊死因子α(TNF-α)活性および血管新生を調節するサリドマイド類似体を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−505922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、本発明は、抗腫瘍効果等の薬理活性が期待される新規なサリドマイド類似体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、サリドマイドと類似の生理活性が期待できる新規な化合物の合成につき、ミメティクスの観点から鋭意検討した結果、L-グルタミン酸またはL-アスパラギン酸を出発物質として、ヒダントイン部を有する新規なサリドマイド類似体の合成に成功し、本発明に至ったのである。
【0006】
すなわち、本発明によれば、下記一般式(1)〜(4)で表されるサリドマイド類似体としての新規なヒダントイン誘導体が提供される。但し、下記一般式(1)〜(4)中、Rは、天然アミノ酸の側鎖を表し、RおよびRは、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素原子、炭素原子数1〜10個の分岐または直鎖のアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、またはハロゲン原子からなる群から選択される置換基を示す。
【0007】
【化1】

【0008】
【化2】

【0009】
【化3】

【0010】
【化4】



【0011】
さらに、本発明によれば、L-グルタミン酸をジメチルエステルに変換した後、アミノ基に保護基を導入する工程と、前記保護基が導入されたグルタミン酸ジメチルエステルをイミドへと変換する工程と、前記保護基を除去して3−アミノグルタルイミドの塩酸塩を得る工程と、前記3−アミノグルタルイミドの塩酸塩とアミノ基に保護基が導入された天然アミノ酸とを縮合させアミノ酸縮合化合物を得る工程と、前記アミノ酸縮合化合物から保護基を除去した後、クロロギ酸4-ニトロフェニルを作用させる工程とを含む、上記一般式(1)および(2)で表される新規なヒダントイン誘導体の製造方法が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、L-アスパラギン酸をジメチルエステルに変換した後、アミノ基に保護基を導入する工程と、前記保護基が導入されたアスパラギン酸ジメチルエステルをイミドへと変換する工程と、前記保護基を除去して3−アミノスクシンイミドの塩酸塩を得る工程と、前記3−アミノスクシンイミドの塩酸塩とアミノ基に保護基が導入された天然アミノ酸とを縮合させアミノ酸縮合化合物を得る工程と、前記アミノ酸縮合化合物から保護基を除去した後、クロロギ酸4-ニトロフェニルを作用させる工程とを含む、上記一般式(3)および(4)で表される新規なヒダントイン誘導体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
上述したように、本発明によれば、抗腫瘍効果等の薬理活性が期待される新規なサリドマイド類似体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のグルタルイミドイルヒダントイン誘導体およびグルタルスクシンイミドイルヒダントイン誘導体の合成工程を示す図。
【図2】アミノ基がBoc基で保護されたフェニルアラニンとL,D−グルタミン酸から誘導した3-アミノグルタルイミドを縮合した化合物のNMRデータを示す図。
【図3】本実施例のグルタルイミドイルヒダントイン誘導体の構造式を示す図。
【図4】誘導体(1)のNMRデータを示す図。
【図5】誘導体(2)のNMRデータを示す図。
【図6】誘導体(3)のNMRデータを示す図。
【図7】誘導体(4)のNMRデータを示す図。
【図8】誘導体(5)のNMRデータを示す図。
【図9】アミノ基がBoc基で保護されたフェニルアラニンとL,D−アスパラギン酸から誘導した3-アミノスクシンイミドを縮合した化合物のNMRデータを示す図。
【図10】本実施例のスクシンイミドイルヒダントイン誘導体の構造式を示す図。
【図11】誘導体(6)のNMRデータを示す図。
【図12】誘導体(7)のNMRデータを示す図。
【図13】誘導体(8)のNMRデータを示す図。
【図14】誘導体(9)のNMRデータを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図面に示した実施の形態をもって説明するが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明の新規サリドマイド類似体の合成工程を示す図である。以下、図1を参照しながら本発明のサリドマイド類似体の合成方法について説明する。
【0017】
本発明においては、まず、出発物質として市販のL-グルタミン酸あるいはL-アスパラギン酸を用意する。L-グルタミン酸を出発物質とした場合には(図1(1)においてn=2)、最終物質として本発明のグルタルイミドイルヒダントイン誘導体が合成され、L-アスパラギン酸を出発物質とした場合には(図1(1)においてn=1)、最終物質として本発明のスクシンイミドイルヒダントイン誘導体が合成される。すなわち、上記各誘導体の合成方法は、出発物質のみ異なり、その他の工程は全て共通する。以下、当該共通工程について説明する。
【0018】
L-グルタミン酸あるいはL-アスパラギン酸(以下、出発アミノ酸として参照する)をジメチルエステルに変換した後(工程a)、アミノ基にtert-ブトキシカルボニル基(Boc基)を導入して保護する(工程b)。なお、保護基として、ベンジルオキシカルボニル基(Z基)を導入してもよい。
【0019】
次に、アミノ基が保護された出発アミノ酸のジメチルエステル(2)をBirch還元条件下でイミドへと変換した後(工程c)、保護基を除去することによって、アミノグルタルイミドの塩酸塩あるいはアミノスクシンイミドの塩酸塩(3)を得る(工程d)。
【0020】
次に、上述した手順で得られたイミドの塩酸塩と所望のアミノ酸を縮合させる。具体的には、縮合させるアミノ酸のアミノ基をBoc基等で保護した後、適切な縮合剤を添加した溶液中で当該アミノ酸と上記イミドを縮合した後(工程e)、このアミノ酸縮合化合物から保護基を除去することによって、アミノ酸−イミドの縮合化合物(5)を得る。本発明においては、縮合させるアミノ酸を特に限定するものではなく、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、等の天然αアミノ酸を用いることができる。なお、アミノ酸−イミドの縮合化合物は、(5)に示すように、イミド部の立体配置が反転した立体異性体の混合物として得られる。
【0021】
最後に、上記アミノ酸−イミドの縮合化合物(5)を乾燥アセトニトリル中、過剰の炭酸水素ナトリウム存在下、クロロギ酸4-ニトロフェニルを作用させることによって(工程g)、目的のヒダントイン誘導体(6)を得ることができる。なお、本発明のヒダントイン誘導体は、(6)に示すように、イミド部の立体配置が反転したジアステレオマーの混合物として得られる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の新規サリドマイド類似体について、実施例を用いてより具体的に説明を行なうが、本発明は、後述する実施例に限定されるものではない。
【0023】
(グルタルイミドイルヒダントイン誘導体の合成)
L-グルタミン酸をメタノール中に溶解した溶液に、蒸留された塩化チオニルを、0℃で30分以上、滴下ろうとを用いて加えた後、反応混合物を室温で12時間、激しく攪拌した。その後、溶媒を減圧下で蒸発させ、炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥させて、グルタミン酸ジメチルエステル(L-1,5-ジメチル-2-アミノペンタンジオアート)を得た。
【0024】
上記手順で得られたグルタミン酸のジメチルエステルのクロロホルム溶液中にジ-tert-ブチル二炭酸を、トリエチルアミン存在下、室温で、連続して12時間攪拌した。10%−クエン酸水溶液で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥させて、上記グルタミン酸ジメチルエステルのアミノ基に保護基としてtert-ブトキシカルボニル基(Boc基)を導入した。
【0025】
ナトリウム・アミドの攪拌溶液に、アミノ基がBoc保護されたグルタミン酸ジメチルエステルの無水THF溶液を加え、2時間攪拌した後、塩化アンモニウムを加え、室温でアンモニアを蒸発させた。残留物に水を加えてクロロホルムで抽出した後、硫酸ナトリウムで乾燥させた。その後、Boc基の20〜30当量に相当する4M塩酸/ジオキサン溶液を加え、室温で0.5〜1時間撹拌し、そのまま減圧濃縮して、Boc基を除去し、3-アミノグルタルイミドの塩酸塩を得た。
【0026】
次に、アミノ基がBoc基で保護された5種類の天然アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン)のDMF溶液を用意した。各DMF溶液に上述した手順で取得したアミノグルタルイミドの塩酸塩を加え、これに、ラセミ化防止剤として1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)一水和物を、縮合剤として1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(WSC・HCl)を添加し、室温で一晩撹拌した。減圧下でDMFを留去後、酢酸エチルで有機物を抽出し10%クエン酸溶液、続いて飽和食塩水で有機層を洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、有機層を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(適当なクロロホルム、メタノール混合溶媒を溶出液とした)により精製した。
【0027】
ここで、アミノ基がBoc基で保護されたフェニルアラニンとL−グルタミン酸から誘導した3-アミノグルタルイミドを縮合した化合物(L−G)のプロトンのNMRスペクトルを図2(a)に、アミノ基がBoc基で保護されたフェニルアラニンとD−グルタミン酸から誘導した3-アミノグルタルイミドを縮合した化合物(D−G)のプロトンのNMRスペクトルを図2(b)にそれぞれ示す。両者のスペクトルデータを比較した結果、1)3.0ppm付近に観測される二重線二重線のシグナル、2)4.6ppm付近に観測されるメチンプロトンのシグナル、3)6.9および8.3ppm付近に観測されるNHプロトンのシグナルが示すように、L−Gのスペクトルデータは、D−Gに観測されるシグナルを含んでいることが示された。上記観測結果から、L−グルタミン酸から誘導した化合物のスペクトルは、D−体から誘導した化合物を含み、グルタルイミド部のアミノ基がラセミ化していることが判明した。以下の化合物はジアステレオマー混合物として合成を進めた。
【0028】
上記精製物に対してBoc基の20〜30当量に相当する4M塩酸/ジオキサン溶液を加え、室温で0.5〜1時間撹拌してBoc基を除去し、5種類のアミノ酸−グルタルイミドの縮合化合物(あるいは、その塩酸塩)を得た。
【0029】
上記各縮合化合物を乾燥アセトニトリルにけん濁後、3-5当量の炭酸水素ナトリウム存在下、等量のクロロギ酸4-ニトロフェニルを室温で3時間作用させた。原料の消失を確認後、適当量水を加え、さらに室温で3時間撹拌した。アセトニトリルを減圧留去し、沈殿を生じた場合は、これを吸引ろ過で沈殿を採取した。沈殿が生じない場合は、水溶液に食塩を飽和させた後、酢酸エチルで数回抽出した。上記採取物あるいは抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、グルタルイミドイルヒダントイン誘導体を得た。得られた5種類のグルタルイミドイルヒダントイン誘導体の構造式を、図3に示す。図3は、上から順番に、天然アミノ酸として、バリン(1)、ロイシン(2)、イソロイシン(3)、フェニルアラニン(4)、トリプトファン(5)を使用した場合に得られた誘導体を示す。また、誘導体(1)のNMRデータを図4に、誘導体(2)のNMRデータを図5に、誘導体(3)のNMRデータを図6に、誘導体(4)のNMRデータを図7に、誘導体(5)のNMRデータを図8に、それぞれ示す。
【0030】
(スクシンイミドイルヒダントイン誘導体の合成)
L-アスパラギン酸をメタノール中に溶解した溶液に、蒸留された塩化チオニルを、0℃で30分以上、滴下ろうとを用いて加えた後、反応混合物を室温で12時間、激しく攪拌した。その後、溶媒を減圧下で蒸発させ、炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥させて、アスパラギン酸ジメチルエステル(L-1,5-ジメチル-2-アミノブタンジオアート)を得た。
【0031】
上記手順で得られたアスパラギン酸ジメチルエステルクロロホルム溶液中にジ-tert-ブチル二炭酸を、トリエチルアミン存在下、室温で、連続して12時間攪拌した。10%−クエン酸水溶液で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥させて、上記アスパラギン酸ジメチルエステルのアミノ基に保護基としてtert-ブトキシカルボニル基(Boc基)を導入した。
【0032】
ナトリウム・アミドの攪拌溶液に、アミノ基がBoc保護されたアスパラギン酸ジメチルエステルの無水THF溶液を加え、2時間攪拌した後、塩化アンモニウムを加え、アンモニアを蒸発させた。残留物に水を加えてクロロホルムで抽出した後、硫酸ナトリウムで乾燥させた。その後、Boc基の20〜30当量に相当する4M塩酸/ジオキサン溶液を加え、室温で0.5〜1時間撹拌し、そのまま減圧濃縮して、Boc基を除去し、3-アミノスクシンイミドの塩酸塩を得た。
【0033】
次に、アミノ基がBoc基で保護された4種類の天然アミノ酸(バリン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン)のDMF溶液を用意した。各DMF溶液に上述した手順で取得した3-アミノスクシンイミドの塩酸塩を加え、これに、ラセミ化防止剤として1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)一水和物を、縮合剤として1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(WSC・HCl)を添加し、室温で一晩撹拌した。減圧下でDMFを留去後、酢酸エチルで有機物を抽出し10%クエン酸溶液、続いて飽和食塩水で有機層を洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、有機層を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(適当なクロロホルム、メタノール混合溶媒を溶出液とした)により精製した。
【0034】
ここで、アミノ基がBoc基で保護されたフェニルアラニンとL−アスパラギン酸から誘導した3-アミノスクシンイミドを縮合した化合物(L−S)のプロトンのNMRスペクトルを図9(a)に、アミノ基がBoc基で保護されたフェニルアラニンとD−アスパラギン酸から誘導した3-アミノスクシンイミドをそれぞれ縮合した化合物(D−S)のプロトンのNMRスペクトルを図9(b)にそれぞれ示す。両者のスペクトルデータを比較した結果、1)3.0ppm付近に観測される二重線二重線のシグナル、2)4.6ppm付近に観測されるメチンプロトンのシグナル、3)6.9および8.3ppm付近に観測されるNHプロトンのシグナルが示すように、L−アスパラギン酸から誘導した化合物のスペクトルは、D−Sに観測されるシグナルを含んでいることが示された。上記観測結果から、L−アスパラギン酸から誘導した化合物のスペクトルは、D−体から誘導した化合物を含み、スクシンイミド部のアミノ基がラセミ化していることが判明した。以下の化合物はジアステレオマーの混合物として合成を進めた。
【0035】
上記精製物に対してBoc基の20〜30当量に相当する4M塩酸/ジオキサン溶液を加え、室温で0.5〜1時間撹拌してBoc基を除去し、4種類のアミノ酸−スクシンイミドの縮合化合物(あるいは、その塩酸塩)を得た。
【0036】
上記各縮合化合物を乾燥アセトニトリルにけん濁後、3-5当量の炭酸水素ナトリウム存在下、等量のクロロギ酸4-ニトロフェニルを室温で3時間作用させた。原料の消失を確認後、適当量水を加え、さらに室温で3時間撹拌した。アセトニトリルを減圧留去し、沈殿を生じた場合は、これを吸引ろ過で沈殿を採取した。沈殿が生じない場合は、水溶液に食塩を飽和させた後、酢酸エチルで数回抽出した。上記採取物あるいは抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、スクシンイミドイルヒダントイン誘導体を得た。得られた4種類のスクシンイミドイルヒダントイン誘導体の構造式を、図10に示す。図10は、上から順番に、天然アミノ酸として、バリン(6)、ロイシン(7)、フェニルアラニン(8)、トリプトファン(9)を使用した場合に得られた誘導体を示す。また、誘導体(6)のNMRデータを図11に、誘導体(7)のNMRデータを図12に、誘導体(8)のNMRデータを図13に、誘導体(9)のNMRデータを図14に、それぞれ示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(上記一般式(1)中、Rは、天然アミノ酸の側鎖を表し、RおよびRは、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素原子、炭素原子数1〜10個の分岐または直鎖のアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、またはハロゲン原子からなる群から選択される置換基を示す。)で表されるヒダントイン誘導体。
【請求項2】
一般式(2)
【化2】

(上記一般式(2)中、Rは、天然アミノ酸の側鎖を表し、RおよびRは、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素原子、炭素原子数1〜10個の分岐または直鎖のアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、またはハロゲン原子からなる群から選択される置換基を示す。)で表されるヒダントイン誘導体。
【請求項3】
一般式(3)
【化3】

(上記一般式(3)中、Rは、天然アミノ酸の側鎖を表し、RおよびRは、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素原子、炭素原子数1〜10個の分岐または直鎖のアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、またはハロゲン原子からなる群から選択される置換基を示す。)で表されるヒダントイン誘導体。
【請求項4】
一般式(4)
【化4】

(上記一般式(4)中、Rは、天然アミノ酸の側鎖を表し、RおよびRは、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素原子、炭素原子数1〜10個の分岐または直鎖のアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、またはハロゲン原子からなる群から選択される置換基を示す。)で表されるヒダントイン誘導体。
【請求項5】
L-グルタミン酸をジメチルエステルに変換した後、アミノ基に保護基を導入する工程と、
前記保護基が導入されたグルタミン酸ジメチルエステルをイミドへと変換する工程と、
前記保護基を除去して3−アミノグルタルイミドの塩酸塩を得る工程と、
前記3−アミノグルタルイミドの塩酸塩とアミノ基に保護基が導入された天然アミノ酸とを縮合させアミノ酸縮合化合物を得る工程と、
前記アミノ酸縮合化合物から保護基を除去した後、クロロギ酸4-ニトロフェニルを作用させる工程と、
を含む、請求項1または2に記載のヒダントイン誘導体の製造方法。
【請求項6】
L-アスパラギン酸をジメチルエステルに変換した後、アミノ基に保護基を導入する工程と、
前記保護基が導入されたアスパラギン酸ジメチルエステルをイミドへと変換する工程と、
前記保護基を除去して3−アミノスクシンイミドの塩酸塩を得る工程と、
前記3−アミノスクシンイミドの塩酸塩とアミノ基に保護基が導入された天然アミノ酸とを縮合させアミノ酸縮合化合物を得る工程と、
前記アミノ酸縮合化合物から保護基を除去した後、クロロギ酸4-ニトロフェニルを作用させる工程と、
を含む、請求項3または4に記載のヒダントイン誘導体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−275229(P2010−275229A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128995(P2009−128995)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年度 応用化学科卒業研究発表会にて発表、主催者は神奈川工科大学、開催日は平成21年2月21日
【出願人】(391022614)学校法人幾徳学園 (19)
【Fターム(参考)】