説明

ヒドロゲル組成物

本発明は、ヒドロゲルマトリックスを含む組成物に関し、マトリックスは、ポリ(エチレングリコール)ジメチアクリレート(PEGDMA)、メタクリル酸(MAA)およびメチルメタクリレート(MMA)のようなアクリレート、ならびに2−ヒドロキシ−2メチルプロピオフェノン(HMPP)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年4月20日に出願されおよび参照によって組み込まれる米国仮出願第60/913,261号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ヒドロゲルマトリックスを含む組成物に関し、そこで、マトリックスは、ポリ(エチレングリコール)ジメチアクリレート(PEGDMA)、メタクリル酸(MAA)およびメチルメタクリレート(MMA)のようなアクリレート、ならびに2−ヒドロキシ−2メチルプロピオフェノン(HMPP)を含む。
【背景技術】
【0003】
バイオセンサー開発のうち急速に進展している分野は、生物学的試料中の非分析物、例えばグルコースの濃度を正確に測定するための、ペリプラズム結合タンパク質(PBP)の使用である。特に、グルコース−ガラクトース結合タンパク質(GGBP)は、産業的および薬理学的、生理学的な環境において、非分析物の量を測定するためのバイオセンサーとして採用されている。PBPは、「無試薬」であると考えられており、および糖尿病の観察におけるグルコースの測定、ヒスチダーゼ欠損のような他の代謝性疾患におけるアミノ酸の測定、ならびにトウモロコシからのエタノール生産の間のアラビノーズの測定を含む様々な環境において使用されることができる。野生型GGBPは、しかしながら、様々な理由で、非分析物の濃度を測定または決定するための最も理想的な候補ではないかもしれない。GGBPを含むバイオセンサーは、好ましくは、グルコース結合に関する定量化可能な信号を発生するための使用の状況下で、物理的に安定である。使用目的が糖尿病患者における生体内(インビボ)グルコースの濃度を観察することである場合、タンパク質は、好ましくは、生理学的温度で安定である。加えて、GGBPは、好ましくは、センサーの製造、輸送および保管の間中、改良された安定性を有し、これは、タンパク質およびセンサー材料が周囲温度で組み立てられることを可能にする。この製造プロセスは、臨床環境における使用のための高温殺菌手順を含むことができる。高温への曝露は、しかしながら、タンパク質を変性させ、GGBPを意図される目的のために役立たなくさせる可能性がある。
【0004】
移植可能なバイオセンサーは、糖尿病のような医学的状態を有する被験体の生理学的状態を絶えず観察するために使用し得る。リガンドまたは目的の非分析物のレベルを観察するための理想的なバイオセンサーは、バイオセンサーが免疫応答を引き起こさずまたはバイオファウリングを受けないように、生体適合性である必要がある。非分析物結合分子、特に結合タンパク質を用いるバイオセンサーを開発するために、結合分子は、非分析物に誘発される結合分子の立体構造変化を可能にするような方法で、バイオセンサーのヒドロゲル内に物理的または化学的に固定化されなければならない。加えて、結合分子の減少を防止し、および関心がある非分析物の変化する濃度に対して安定的、連続的かつ可逆性のバイオセンサー応答を提供する、化学的付着の方法が必要とされる。ヒドロゲルマトリックスは、非分析物に対して透過性であり、他の生体分子からの干渉を防止し、および生体適合性および生体安定性(biostable)である必要がある。
【0005】
予め、結合タンパク質は、アルギネートのようないくつかの天然および合成ポリマーのヒドロゲルに対して成功裏に結合(conjugated)されており、マルチアームのPEG−NH2およびポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)を架橋し、および可逆性グルコース結合を示している。これらの材料を製品開発へ進出することから妨げるような様々な性能の欠点がある。これらの欠点は、重合および膨潤の速度のコントロールの低減、力学的安定性の悪さ、生物反応性(bioreactivity)の増大等を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第11/738,442号明細書(付与前公開第2008/0044856号明細書)
【特許文献2】米国特許第6,855,556号明細書
【特許文献3】米国特許出願第10/776,643号明細書(付与前公開第2005/0014290号明細書)
【特許文献4】米国特許出願第10/686,529号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0118681号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0113657号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2005/0113658号明細書
【特許文献8】米国特許出願第60/913,258号明細書
【特許文献9】米国特許出願第11−738,442(付与前公開第2008/0044856号明細書)
【特許文献10】米国特許第6,855,556号明細書
【特許文献11】米国特許出願第10−776,643(付与前公開第2005/0014290号明細書)
【特許文献12】米国特許出願公開第2006−0280652号明細書
【特許文献13】国際公開第2006/025887号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「Biosensors Fundamentals and Applications」、A. D. F. Turner, I. Karube および G. S. Wilson編;Oxford University Press出版(1988)
【非特許文献2】Ghandehari H.ら、J. Macromol. Chem. Phys. 197:965 (1996)
【非特許文献3】Ishihara K.ら、Polymer J., 16:625 (1984)
【非特許文献4】Dwyer M. A.およびHellinga, H.W.、Curr. Opin, Struct, Biol. 14:495-504 (2004)
【非特許文献5】Quiocho, F. A.および Ledvina, P. S.、Mol. Microbiol. 20:17-25 (1996)
【非特許文献6】Quinn, C. P.;Pathak, C. P.;Heller, A.;Hubbell, J. A. Biomaterials、16(5)、389-396(1995)
【非特許文献7】Quinn, C. A. P.;Connor, R. E.;Heller, A. Biomaterials、18(24)、1665-1670(1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
PEGは、生体材料(biomaterials)、バイオテクノロジーおよび医薬において広く使用される、よく知られた生体適合性、無毒性、非免疫原生の水溶性ポリマーである。PEGは、他のモノマーまたは複合(conjugating)生体分子と架橋するために有用な種々の官能基を用いて修飾されることができる。バイオセンサー用途における使用のためにPEGおよびその誘導体をヒドロゲル中に架橋させる様々な方法がある。PEGまたはPEGベースの誘導体の不適切な架橋は、しかしながら、バイオセンサーとしての使用のために望ましい特性に満たない特性を有するヒドロゲルポリマーを生成する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ヒドロゲルマトリックスを含む組成物に関し、ここで、マトリックスは、ポリ(エチレングリコール)ジメチアクリレート(PEGDMA)、メタクリル酸(MAA)およびメチルメタクリレート(MMA)のようなアクリレート、ならびに2−ヒドロキシ−2メチルプロピオフェノン(HMPP)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】PEGDMA−MAAヒドロゲルの架橋およびタンパク質付着の化学スキームを描く図である。
【図2】光ファイバを伝わるUV光によるファイバ先端上のPEGDMA−MAAマトリックスのUV重合の略図的説明を描く図である。
【図3】一般的なPEGDMA−MAAファイバセンサー組立プロセスを描く図である。
【図4】種々の分子サイズのデキストランのために制御可能な分子排除を有するPEGDMA−MAAセンサーを備えて組み立てられた光ファイバセンサーを描く図である。
【図5】メタクリレート化ヘパリンを含むUV硬化された第2層形成のためのヘパリン装填量の概要を描く図である。
【図6】UV硬化された第2層コーティング(メタクリレート化ヘパリンを含む)がヒドロゲル層を1つしか有さない対照センサーと比較して90%の最大グルコース応答に到達するために必要とされる付加的な30秒を描く図である。対照と比較して95%の最大グルコース応答に到達するためには、付加的な78秒が必要とされる。
【図7】2層ヒドロゲルを含むバイオセンサーを収容する25ゲージ針を用いた生体内グルコースのエクスカーションを描く図である。第1層はGGBPを取り込み、および第2層はヘパリン含有ヒドロゲルを含む。2つのヒドロゲル層を有するバイオセンサーに関する全体的な平均MPEは、15.9(n=37)で測定された。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、ヒドロゲルマトリックスを含む組成物に関し、ここで、マトリックスは、ポリ(エチレングリコール)ジメチアクリレート(PEGDMA)、メタクリル酸(MAA)およびメチルメタクリレート(MMA)のようなアクリレート、ならびに2−ヒドロキシ−2メチルプロピオフェノン(HMPP)を含む。
【0012】
用語「ヒドロゲル」は、不水溶性の水含有材料を示すために使用される。本発明において、数々のヒドロゲルを使用してもよい。ヒドロゲルは、例えば、アガロース、デキストラン、カラギーナン、アルギン酸、デンプン、セルロースのような多糖類、または、例えばカルボキシメチル誘導体のようなそれらの誘導体、または、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、スチレンおよび無水マレイン酸のコポリマー、ビニルエーテルおよび無水マレイン酸のコポリマーおよびそれらの誘導体のような水膨潤性の有機ポリマーであってもよい。共有結合的に架橋された網目構造を提供する誘導体が、本発明の1つの実施形態において、存在する。ポリペプチドを含むことに基づくヒドロゲルの合成および生物医学および薬学への応用は、多くの研究者たちによって説明されてきている(非特許文献1参照)。水溶性のUV架橋性ポリマー由来の例示的なヒドロゲルマトリックスは、ポリ(エチレングリコール) ジメチアクリレート(PEGDMA)を含む。
【0013】
本発明のヒドロゲル中に使用されるべきポリマーはいずれも、官能化されていてもよい。すなわち、ポリマーまたはポリマーを含むモノマーは、ヒドロゲルのようなポリマー材料が化学反応、例えば共有結合性の付着の影響を受けやすいように、反応基を有していてもよい。本明細書中いたる所に使用される際に、「反応基」は第2基と化学的に反応することができる化学基である。ポリマーまたはポリマーを含むモノマーの反応基は、それ自体が化学物質(chemical entity)全体であることができ、または化学物質全体の一部であることができ、単一原子またはイオンを含むがそれらに限定されない。さらに、反応基がそれと反応することができる第2基は、ポリマーまたはポリマーを含むモノマーの反応基と同一または相違することができる。反応基の例は、ハロゲン、アミン、アミド、アルデヒド、アクリレート、ビニル、ヒドロキシルおよびカルボキシルを含むが、それらに限定されない。1つの実施形態において、ヒドロゲルのポリマーまたはポリマーを含むモノマーは、カルボン酸、硫酸、ヒドロキシまたはアミン基で官能化されるべきである。本発明の別の実施形態において、ヒドロゲルのポリマーまたはポリマーを含むモノマーは、1つまたは複数のアクリレートで官能化される。1つの特定の実施形態において、アクリレート官能基は、末端基である。マトリックスのポリマーまたはポリマーを含むモノマーの反応基は、マトリックス内の別のポリマーまたはモノマー、タンパク質および添加物のような、しかしそれらに限定されない、本発明のデバイスのマトリックス部分の任意の成分と反応性であってもよい。
【0014】
一旦形成されると、本発明において使用されるヒドロゲルは、高分子ヒドロゲルを形成するためのポリマーを含むべきである。その用途に関わらず、本明細書中の用語「ポリマー」は、多数のモノマー単位で構成される分子を言及するために使用される。本発明において使用されてもよい適当なポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、加水分解されたポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリウレタンポリエチレンアミン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、セルロース、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ペクチン酸、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパリン硫酸、キトサン、カルボキシメチルキトサン、キチン、コラーゲン、プルラン、ジェラン、キサンタン、カルボキシメチルデキストラン、コンドロイチン硫酸、カチオン性グアー、カチオン性デンプン、ならびにそれらの塩およびエステルからなる群から選択される1つまたは複数のポリマーを含むが、それらに限定されない。また、ヒドロゲルのようなマトリックスのポリマーは、2以上の特徴的なモノマーのポリマーを含んでいてもよい。マトリックス中での使用のためのコポリマーを作り出すために使用されるモノマーは、アクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、メタクリル酸、アルキルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、アミノアルキルアクリレート、アミノアルキルメタクリレート、アミノアルキルアクリルアミドのアルキル第4級塩、アミノアルキルメタクリルアミドのアルキル第4級塩、およびそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。マトリックスのポリマー成分は、もちろん、他のポリマーのブレンドを含んでもよい。
【0015】
1つの実施形態において、ヒドロゲルは、PEGDMAから成る。PEGDMAは、様々な分子量で商業的に入手可能である。例えば、PEGDMAは、少なくともアルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.)(米国、ウィスコンシン州、ミルウォーキー)およびポリサイエンス社(Polysciences, Inc.)(米国、ペンシルベニア州、ウォリントン)から入手可能であり、および分子量の仕分けで合成されることができる。1つの実施形態において、本発明のヒドロゲル中に使用されるPEGDMAの分子量は、約400 から約4000である。より具体的な実施形態において、ヒドロゲル中のPEGDMAの分子量は、約1000である。
【0016】
別の実施形態において、ヒドロゲルは、PEGDMAおよび少なくとも1つのアクリレートを含む。本明細書中で使用される際に、用語アクリレートは、当分野でよく理解されている。特に、アクリレートは、アクリル基(H2C=CH−C(=O))を含むポリマーを含むがそれらに限定されない化合物である。アクリレートの例は、アクリル酸、エチルアクリレート、メタクリル酸、メチルメタクリル酸およびアクリルアミドを含むが、それらに限定されない。図1は、PEGDMAおよびMAAの両方の化学式を示し、これらは、1つの具体的な実施形態において一緒に使用することができる。別の具体的な実施形態において、ヒドロゲルは、1つを超えるアクリレートを含む。より具体的な実施形態において、ヒドロゲルは、メタクリレートおよびメチルメタクリレートの混合物を含む。
【0017】
マトリックス中に使用されるポリマーは、求核または求電子基を含有するように修飾されることができる。実際、本発明において使用されるポリマーは、繰り返しモノマー単位を含有しないが、しかし多官能性である、すなわち2つ以上の求核または求電子官能基を含有する多官能性小分子をさらに含んでいてもよい。これらの多官能基は、多数の共有結合性結合形成反応によって、慣用のポリマー中に容易に組み込まれてもいい。例えば、PEGは、1つまたは複数のアミノ基を含有するように修飾されて、求核基を提供することができる。1つまたは複数の求核基を含有する他のポリマーの例は、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、ビス−(2−アミノエチル)アミン、およびトリス−(2−アミノエチル)アミンのようなポリアミンを含むがそれらに限定されない。求電子基の例は、スクシンイミドエステル、エポキシド、ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、オキシカルボニルイミダゾール、ニトロフェニルカルボネート、トレシレート、メシレート、トシレート、カルボキシレート、およびイソシアネートを含むが、それらに限定されない。1つの実施形態において、組成物は、ビス−アミン−末端化ポリ(エチレングリコール)を含む。
【0018】
ポリマーは、物理的または化学的に架橋をしてヒドロゲルを形成することができるべきである。物理的架橋は、電子線、ガンマ線、X線、紫外線、アニオン性およびカチオン性処理のような放射線処理のような非化学的プロセスを含むが、それらに限定されない。また、ポリマーの架橋は、共有結合性の架橋のような化学的架橋を含んでもよい。例えば、化学的架橋系は、酵素の使用を含むがそれに限定されず、これは、当分野においてよく知られている。化学的な共有結合性の架橋の別の例は、過酸化物の使用を含む。化学的架橋は、架橋試薬がポリマーの少なくとも2つの部分と反応して三次元網目構造を作り出すときに発生してもよい。また、共有結合性の架橋は、多官能性のモノマーが架橋プロセスの間に使用されるときに発生してもよい。例えば、アクリレートモノマーは、二官能性のアクリレートモノマーと重合されて、架橋ポリマーを形成してもよい。架橋試薬が少なくとも部分的に水または有機溶媒中に溶解し、および架橋ポリマーを形成することができるという条件で、任意の架橋試薬が本発明のために適当である。例えば、ポリマーがアミン−末端化PEGであるならば、架橋試薬は、PEG−アミン基と反応することができ、および実質的に水溶性であるべきである。
【0019】
もし架橋されるべきポリマーがアミン(第1級、第2級および第3級)、チオール、チオエーテル、エステル、ニトリル等のような求核基で官能化されているならば、架橋試薬は、求電子基を含有する分子であることができる。求電子基の例は、本明細書中に記載されている。同様に、もし架橋されるべきポリマーが求電子基で官能化されているならば、架橋試薬は、求核基を含有する分子であることができる。当業者は、求核および求電子官能基を上述のように本実施形態の範囲から逸脱することなく交換することができるということは理解されよう。また、ヒドロゲル中にもし存在するならば、タンパク質は、必須の求核および求電子官能基を提供することができることは理解されよう。例えば、求核および求電子官能基は、タンパク質中に自然発生的なアミノ酸として存在してもよく、または、本明細書中に記載される化学的技術を使用してタンパク質に導入されてもよい。
【0020】
ポリマーを調製または架橋してヒドロゲルのようなマトリックスを形成するための他の一般的な方法は、当分野においてよく知られている。例えば、参照によって本明細書中に組み込まれる非特許文献2および3は、ヒドロゲルの形成を報告する(非特許文献2および3参照)。
【0021】
1つの実施形態において、マトリックスは、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(PEGDMA)およびメタクリル酸(MAA)および/またはメチルメタクリレート(MMA)のような 少なくとも1つのアクリレートを含む。PEGDMAのアクリレートに対する比は、具体的な実施形態によって多様であってもよい。1つの実施形態において、PEGDMA:アクリレートの割当量は、約10:90モル%から約90:10モル%に及ぶことができる。1つの具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレートの比は約20:80モル%である。別の具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレートの比は約21:79モル%である。別の具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレートの比は約23:77モル%である。別の具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレートの比は約25:75モル%である。別の具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレートの比は約27:73モル%である。別の具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレートの比は約29:71モル%である。別の具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレートの比は約30:70モル%である。別の具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレートの比は約35:65モル%である。別の具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレートの比は約40:60モル%である。別の具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレートの比は約42:58モル%である。別の具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレートの比は約44:56モル%である。別の具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレートの比は約46:54モル%である。別の具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレートの比は約48:52モル%である。別の具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレートの比は約50:50モル%である。上記実施形態において、アクリレートは、MAAまたはMMA単独、またはPEGDMA:全アクリレートの比が実施形態の範囲内であるような、それらの何らかの組み合わせであることができる。
【0022】
本発明のヒドロゲルマトリックスは、光開始剤のような、しかしそれに限定されない付加的な成分を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、2−ヒドロキシ−2メチルプロピオフェノン(HMPP)のような開始剤は、様々な濃度でヒドロゲル中に存在していてもよい。付加的な開始剤の例は、数例を挙げると、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、イソプロピルチオキサントン(2−/4−アイソマーの混合物)、イソプロピルチオキサントン2−アイソマー、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート(EPD)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1,2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンおよび4−メチルベンゾフェノンの混合物、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、2−メチル−ベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノンおよび4−メチルベンゾフェノンの混合物、TPO−ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンンジル)ホスフィンオキシドおよびエチル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネートを含むが、それらに限定されない。例えば、光開始剤は、約0.10%から約5%の全容積の濃度で存在してもよい。 1つの実施形態において、光開始剤はHMPPであり、および約0.1%から約1%の濃度で存在する。具体的な実施形態において、光開始剤は少なくとも約0.20%の全容積で存在する。具体的な実施形態において、光開始剤は少なくとも約0.25%の全容積で存在する。具体的な実施形態において、光開始剤は少なくとも約0.27%の全容積で存在する。具体的な実施形態において、光開始剤は少なくとも約0.29%の全容積で存在する。具体的な実施形態において、光開始剤は少なくとも約0.30%の全容積で存在する。具体的な実施形態において、光開始剤は少なくとも約0.31%の全容積で存在する。具体的な実施形態において、光開始剤は少なくとも約0.33%の全容積で存在する。具体的な実施形態において、光開始剤は少なくとも約0.35%の全容積で存在する。具体的な実施形態において、光開始剤は少なくとも約0.37%の全容積で存在する。具体的な実施形態において、光開始剤は少なくとも約0.39%の全容積で存在する。具体的な実施形態において、光開始剤は少なくとも約0.40%の全容積で存在する。具体的な実施形態において、光開始剤は少なくとも約0.41%の全容積で存在する。具体的な実施形態において、光開始剤は少なくとも約0.45%の全容積で存在する。具体的な実施形態において、光開始剤は少なくとも約0.49%の全容積で存在する。
【0023】
本発明のヒドロゲルマトリックスは、タンパク質がヒドロゲルマトリックスでコーティングされまたはヒドロゲルマトリックス内に取り込まれるように、タンパク質をさらに含んでもよい。任意のタンパク質またはポリペプチドを、ヒドロゲルマトリックスでコーティングまたは取り込むことができる。1つの実施形態において、タンパク質は、ペリプラズム結合タンパク質であり、これは、細菌のペリプラズム空間を通る化合物の輸送に関与するよく知られているクラスの細菌タンパク質である。1つの具体的な実施形態において、ペリプラズム結合タンパク質はグルコース−ガラクトース結合タンパク質(GGBP)である。本発明の目的のために、グルコース−ガラクトース結合タンパク質(GGBP)は、本明細書中に記載されるこれらの構造的特性を有し、および特にグルコースおよび/またはガラクトースに結合することができる、任意のタンパク質を含む。また、図1は、架橋ヒドロゲルの部分に共有結合的に付着したGGBPを描く。
【0024】
グルコース−ガラクトース結合タンパク質は、よく知られているクラスのペリプラズム結合タンパク質のメンバーであり、そこで、これらのタンパク質は、タンパク質のアミノ酸配列(一次構造)よりむしろ、それらの三次元配置(三次構造)によって特徴付けられる。クラスの各メンバーは、特徴的なローブ−ヒンジ−ローブモチーフを有する。参照によって本明細書に組み込まれる非特許文献4参照のこと。PBPは、通常は、非分析物を特にPBPのローブ間の分裂領域中に結合する。さらに、非分析物を分裂領域中に結合することは、次いで、非分析物の検出を可能にする立体構造変化をPBPにもたらす。一般に、特定の非分析物結合の際のPBPに対する立体構造変化は、ヒンジ領域の周りでおよびヒンジ領域を通って互いに向かって屈曲する2つのローブ領域によって特徴付けられる。参照によって組み込まれる非特許文献5参照のこと。PBPの例は、グルコース−ガラクトース結合タンパク質(GGBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、リボース結合タンパク質(RBP)、アラビノース結合タンパク質(ABP)、ジペプチド結合タンパク質(DPBP)、グルタメート結合タンパク質(GluBP)、鉄結合タンパク質(FeBP)、ヒスチジン結合タンパク質(HBP)、ホスフェート結合タンパク質(PhosBP)、グルタミン結合タンパク質(QBP)、ロイシン結合タンパク質(LBP)、ロイシン−イソロイシン−バリン−結合タンパク質(LIVBP)、オリゴペプチド結合タンパク質(OppA)、またはそれらの誘導体、ならびにペリプラズム結合タンパク質様I(PBP様I)およびペリプラズム結合タンパク質様II(PBP様II)として知られるタンパク質のファミリーに属する他のタンパク質を含むが、それらに限定されない。
【0025】
特に、本発明のヒドロゲルはGGBPの修飾物を含んでもよい。「修飾タンパク質」は、参照タンパク質またはポリペプチドの一次構造(アミノ酸配列)中の1つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失または置換によって作り出され得るタンパク質を意味するために使用される。用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、本明細書中で交換可能に使用される。参照タンパク質は野生型タンパク質である必要はないが、しかし、熱安定性を増大させる目的のための修飾を目標とする任意のタンパク質であることができる。このように、参照タンパク質は、その配列が野生型タンパク質に関して予め修飾されたタンパク質であってもよい。もちろん、参照タンパク質は、特定の有機体(organism)からの野生型タンパク質であってもよく、なくてもよい。さらに、用語「野生型タンパク質」は、「リーダー配列」を有するまたは有しない野生型タンパク質を含む。本発明のマトリックスにおいて使用することのできるGGBPの例は、参照によって組み込まれる特許文献1に記載されるそれらGGBPを含むがそれらに限定されない(特許文献1参照)。本発明において有用である可能性のある修飾GGBPの1つの特定の例は、特許文献1に記載されており、「SM4」と称されるGGBPであり、第125段落および第1表の例4に記載されている。本発明において使用するためのGGBPの他の例は、参照によってその全てが組み込まれる特許文献2、3に記載されているものを含むがそれらに限定されない(特許文献2および3参照)。本発明において使用することができる付加的なGGBPの他の例は、2003年10月16日に出願されおよび特許文献5として発行された特許文献4に記載されるものを含む(特許文献4および5参照)。本発明において有用である可能性のある修飾GGBPの1つの特定の例は、特許文献5に記載されており、単一のW183C変異を有するE.coliの野生型GGBPである、 「W183C」と称されるGGBPである。
【0026】
タンパク質は、ヒドロゲルマトリックスに対して共有結合的に付着し、またはヒドロゲルマトリックス内に非共有結合的に取り込まれまたは封入されることができる。ヒドロゲルに対するタンパク質の共有結合的付着は、標的リガンドに対するタンパク質の結合を妨げるべきではない。 さらに、ヒドロゲルに対するタンパク質の共有結合性の付着は、分解に耐性であるべきである。タンパク質のヒドロゲルに対するカップリングは、いくつもの方法で成し遂げることができる。例えば、ヒドロゲルおよびタンパク質間のカップリング反応は、ジアゾニウムカップリング、イソチオシアノカップリング、ヒドラジドカップリング、アミド形成、ジスルフィドカップリング、無水マレイン酸カップリング、チオラクトンカップリング、およびジクロトリアジンカップリングを含むが、それらに限定されない。2つの官能基間のこれらのカップリング反応は、十分に文書化されており、および当業者にとって十分に知られていると考えられる。例えば、結合分子中のアミノ官能基は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)またはジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のようなカップリング剤を使用して、ヒドロゲルの1つまたは複数の成分のカルボキシル官能基に対して共有結合的にカップリングすることができる。上述のように、結合分子のアミノおよびカルボキシル官能基、およびヒドロゲルの1つまたは複数の成分は、実施形態の範囲から逸脱することなく置き換えることができることは理解されよう。1つの具体的な実施形態において、グルコース−ガラクトース結合タンパク質は、N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩/N−ヒドロキシスクシンイミド(EDC/NHS)ケミストリーを使用して、PEGDMA−MAAヒドロゲルに対して共有結合的に付着されることができる。結果として得られる組成物は、他のヒドロゲル材料を使用して構成された組成物と比較して、大いに改善された生体内安定性を示す。
【0027】
本発明のヒドロゲルマトリックスは、ヘパリンのような、しかしそれに限定されない付加的な成分をさらに含んでいてもよい。1つの特定の例において、本発明において使用されるモノマーは、ヘパリンを組み込むように修飾されることができる。例えば、ヒドロゲルコーティング処方中へのヘパリンの組み入れは、ヘパリンナトリウム塩の化学的修飾を伴う可能性がある。エポキシドグリシジルメタクリレート(GMA)の開環反応は、H2O中K2CO3(pH=10.5)を用いて、40℃で、16時間かけて、25倍過剰のGMAを用いて行った。未加工の反応生成物を25×エタノール中に沈降させて、任意の非反応性GMAを除去し、ろ過し、diH2O中に再懸濁させ、および次いで凍結乾燥した。ヘパリンのRNH2による直接求核付加(SN2アタック)は、メタクリレート化ヘパリンを産生する最も少なく置換されたエポキシド炭素で生じる。合成されたヘパリン−メタクリレート(HP−MA)モノマーは、次いで、ヒドロゲルマトリックス処方の一部として使用されて、「ヘパリン含有ヒドロゲルマトリックス」を生成することができる。
【0028】
本発明のヘパリン含有ヒドロゲルマトリックスは、例えば、非ヘパリン含有ヒドロゲル層上の付加的なヒドロゲル層として使用されることができる。あるいはまた、本発明のヘパリン含有ヒドロゲルマトリックスは、 単独で使用されることができ、およびグルコース−ガラクトース結合タンパク質のようなタンパク質を含むこともできる。
【0029】
一般に、本発明のヒドロゲル処方において使用されるHP−MAの量は、調合液中のPEGDMAの量を置き換えまたは代替する。上述のように、非ヘパリン含有ヒドロゲルの1つの実施形態において、PEGDMA:アクリレートの比は、約10:90モル%から約90:10モル%に及ぶことができる。ヘパリン含有ヒドロゲルにおいて、PEGDMA対アクリレート対HP−MAの比は、約20:25:55モル%から約60:25:15に及ぶことができる。他の実施形態において、しかしながら、アクリレートの比も、変動することができる。1つの具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレート:HP−MAの比は、約60:25:15モル%である。別の具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレート:HP−MAの比は、約30:25:45モル%である。別の具体的な実施形態において、PEGDMA:アクリレート:HP−MAの比は、約50:25:25モル%である。また、本発明のヘパリン含有ヒドロゲルマトリックスは、光開始剤を含むがしかしそれに限定されない本明細書中に示される任意の他の成分を含んでいてもよい。
【0030】
上記のように、タンパク質は、ヒドロゲルマトリックス中に取り込まれてもよく、これは、次いで移植可能なデバイスとして使用されてもよい。本明細書中で使用される際に、用語「取り込む」およびその変形は、「封入する」と交換可能に使用され、およびタンパク質がマトリックスの構成要素内または上に固定化されることを意味するために使用される。マトリックスは、それが非分析物に対する透過性を可能にするとの条件で、円盤、円柱、斑点、ナノ粒子、ミクロスフェア、多孔質ポリマー、開放気泡フォーム、およびそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を含む任意の所望の構造または形状中に存在することができる。また、マトリックスは、タンパク質の浸出を防止してもよい。
【0031】
マトリックスは、生体適合性の材料から調製されてもよく、また、体との有害反応を最小限にすることができる材料を組み込んでもよい。移植に関する有害反応は、炎症、タンパク質ファウリング、組織壊死、免疫反応および有毒材料の浸出を含む。そのような材料または処理は、例えば非特許文献6および7によって教示されるように、当分野においてよく知られおよび実施されている。
【0032】
本発明のヒドロゲルマトリックスは、コーティングとしてデバイスに対して適用されることができる。また、ヒドロゲルマトリックスは、タンパク質をコーティングまたは取り込むことができ、およびタンパク質/ヒドロゲル組成物は、デバイスに対して適用することができる。1つの実施形態において、デバイスは、針先またはカニューレを含む。1つの具体的な実施形態において、ヒドロゲルマトリックスは、タンパク質の付加に先立って、針またはカニューレ上にコーティングされる。別の具体的な実施形態において、タンパク質は、マトリックスが針またはカニューレ上にコーティングされる前またはそれと同時に、ヒドロゲルマトリックスに添加される。そのためには、本発明のデバイスに対してヒドロゲルをコーティングする方法の1つの例は、デバイスに対して本発明の組成物を適用する工程、および続いて、Hgランプ下で>360nmの波長を用いて約15秒間にわたって組成物を硬化させる工程を含む。
【0033】
ヒドロゲルは、内側からコーティングされて、光ファイバを伝わるUV光を送ることによってヒドロゲルを内側から外側に硬化させることができる。ヒドロゲルを硬化させる別の方法は、ヒドロゲルの外表面をUV光に対して曝露して、ヒドロゲルを外側から内側に硬化することである。 このように、1つの実施形態において、ヒドロゲルは、例えば、ファイバまたは針先の先端に適用された後に、適切な位置で硬化される。別の実施形態において、ヒドロゲルは、任意のタンパク質の適用または付加の前に、硬化される。硬化されたヒドロゲルに対するタンパク質の適用の方法は、参照によって組み込まれる特許文献6および7に記載される(特許文献6および7参照)。
【0034】
ヒドロゲルマトリックス、タンパク質および針またはカニューレを含むそのようなデバイスの1つの例は、非分析物に応答して検出可能な信号を発生させることができるバイオセンサーである。本発明のヒドロゲルマトリックスは、とりわけ、デバイスが哺乳類、ヒトまたはヒト以外の霊長類等のような被験体において移植可能であるように、デバイスの生体適合性を増大させるためのコーティングとしての機能を果たす。マトリックスは、光源または任意の他のインタロゲート光からまたはレポーター基からの光がバイオセンサーを通過することを可能にする。生体内用途において使用される場合、バイオセンサーは、非分析物の実質的に生理学的な範囲に曝露され、および非分析物の濃度の変化の決定または検出が所望され、一方、決定または検出は、連続的な、プログラム化された、および一時的な検出手段を含む。このように、本発明の1つの実施形態において、想定される生体内バイオセンサーは、タンパク質が様々な非分析物濃度に曝露される場合にタンパク質が検出可能および可逆性の信号を提供するように、非分析物透過性の取り込み性または封入性ヒドロゲルマトリックス中に少なくとも1つのタンパク質を含む。検出可能および可逆性の信号は、非分析物の濃度と関連付けることができる。本発明のヒドロゲルを含むデバイスの略図的説明は、図2に示される。
【0035】
バイオセンサーは、それらが被験体中に移植されている間全体にわたって、グルコースの連続的な観察を提供することができる。1つの実施形態において、本発明は、少なくともまたは最大2、4、6、8、10、12、14、16、18、20または22時間にわたって被験体中に移植されたままであるバイオセンサーに関し、および移植されたバイオセンサーは、連続的な血糖の観察を提供する。1つの実施形態において、本発明は、少なくともまたは最大1日(24時間)にわたって被験体中に移植されたままであるバイオセンサーに関し、移植されたバイオセンサーは、連続的な血糖の観察を提供する。別の実施形態において、バイオセンサーは、少なくともまたは最大2日(48時間)にわたって被験体中に移植されたままであり、および移植されたバイオセンサーは、連続的な血糖の観察を提供する。別の実施形態において、バイオセンサーは、少なくともまたは最大3日(72時間)にわたって被験体中に移植されたままであり、および移植されたバイオセンサーは、連続的な血糖の観察を提供する。別の実施形態において、バイオセンサーは、少なくともまたは最大4日(96時間)にわたって被験体中に移植されたままであり、および移植されたバイオセンサーは、連続的な血糖の観察を提供する。別の実施形態において、バイオセンサーは、少なくともまたは最大5日(120時間)にわたって被験体中に移植されたままであり、および移植されたバイオセンサーは、連続的な血糖の観察を提供する。別の実施形態において、バイオセンサーは、少なくともまたは最大6日(144時間)にわたって被験体中に移植されたままであり、および移植されたバイオセンサーは、連続的な血糖の観察を提供する。別の実施形態において、バイオセンサーは、少なくともまたは最大7日(168時間)にわたって被験体中に移植されたままであり、および移植されたバイオセンサーは、連続的な血糖の観察を提供する。別の実施形態において、バイオセンサーは、少なくともまたは最大11日(264時間)にわたって被験体中に移植されたままであり、および移植されたバイオセンサーは、連続的な血糖の観察を提供する。
【0036】
従って、本発明はまた、本発明のヒドロゲルおよびデバイスを製造する方法に関する。1つの具体的な実施形態において、ヒドロゲルは、少量の範囲内でおよび重合の制御および特定のヒドロゲル特性の提供を可能にするファイバ先端のような限定空間で調製される。本発明の1つの具体的な実施形態において、〜1000の分子量を有するPEGDMA は、MAAと、光ファイバの先端上で、ファイバを通じて実施されるUV光を用いて、光共重合化される。結果として得られる共重合は、極めて速く、および数秒以内に、硬化されおよび官能性のヒドロゲルを提供する。また、本発明によって調製されるヒドロゲルは、改善された機械的強度、および生理学的バッファー溶液中でほとんど測定できない膨潤を示す。
【0037】
本発明のコーティングされたデバイスは、産業プロセスのような様々な方法および用途において、および試料中の非分析物の量を検出、観察または測定するためのバイオセンサーの成分として有用である。このように、本発明はまた、本明細書中に記載されるヒドロゲルマトリックスおよびデバイスの使用方法に関する。バイオセンサーは、変換(検出)要素と組み合わされるGGBPまたは修飾GGBPのような生物学的認識要素を使用して、特定の定量的または半定量的な分析的情報を提供することができるデバイスである。非分析物の例は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類および多糖類のような炭水化物、タンパク質、オリゴペプチド、ポリペプチドおよび成熟タンパク質を含むがそれらに限定されないペプチドおよびアミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂質、脂肪酸、リポタンパク質、プロテオグリカン、糖タンパク質、有機化合物、無機化合物、イオン、および合成および天然ポリマーを含むが、それらに限定されない。1つの実施形態において、非分析物は、炭水化物である。特に、炭水化物の非分析物は、グルコース、ガラクトースまたはリボースのような糖であってもよい。より具体的には、非分析物はグルコースであってもよい。
【0038】
非分析物は、試料中で測定される。本明細書中で使用される際に、試料は、測定されるべき非分析物を含有しているとされる可能性のある任意の環境であることができる。このように、試料は、溶液、細胞、体液、組織またはその一部、および器官またはその一部を含むが、それらに限定されない。試料が細胞を含む場合、細胞は、原核または真核細胞、例えば動物細胞であることができる。動物細胞の例は、昆虫、鳥類、および、例えばウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ヒトおよびヒト以外の霊長類のような哺乳類動物を含むがそれらに限定されない。本発明の範囲は、分析される細胞の種類によって限定されるべきではない。分析されるべき生物学的液体の例は、血液、尿、唾液、滑液、間質液、脳脊髄液、リンパ液、胆汁および羊水を含むが、それらに限定されない。本発明の方法の範囲は、分析される体液の種類によって限定されるべきではない。用語「被験体」およぎ「患者」は、本明細書中で交換可能に使用され、および動物、特に哺乳類、さらに特に、ヒトまたはヒト以外の霊長類を意味するために使用される。
【0039】
試料は、それらの天然環境から取り出されていてもよく、またはされていなくてもよい。このように、分析される試料の一部は、試料の残りまたは試料を含有する可能性のある被験体から分離または取り出される必要はない。例えば、被験体の血液は、患者から何ら血液を取り出さずに、グルコースの測定のために分析されてもよい。例えば、移植可能な バイオセンサーは、いくつかの実施形態において、哺乳類の表皮−真皮接合部の皮膚中または皮膚の下に移植されて、間質液、組織、または他の生物学的液体と相互作用してもよい。本発明において使用されてもよいバイオセンサーの例は、特許文献8(出願日は2008年4月21日であり、優先日は2008年4月20日であり、「BIOSENSORS FOR MEASURING ANALYTE S IN THE INTERSTITIAL FULID 」(代理人整理番号P−7553)との表題を付けられ、参照によって組み込まれる)に対する優先権を主張する米国非仮出願に記載されるそれらのデバイスを含む。1つの具体的な実施形態において、バイオセンサーは、任意の深さで皮膚に移植される。別の具体的な実施形態において、バイオセンサーは、約2mm未満の深さで皮膚に移植される。より具体的な実施形態において、バイオセンサーは、約1mm未満の深さで皮膚に移植される。さらにより具体的な実施形態において、バイオセンサーは、約0.8mm未満の深さで皮膚に移植される。移植物から患者への情報は、 前述のように、例えば、遠隔測定、視覚、聴覚、または当分野において知られている他の手段によって提供されてもよい。
【0040】
もちろん、試料はまた、その天然環境から取り出されてもよい。さらに、試料は、分析される前に処理されてもよい。例えば、試料は、希釈または濃縮されてもよく;試料は、精製されてもよく、および/または内部標準のような少なくとも1つの化合物が試料に添加されてもよい。また、試料は、本発明に先立ってまたは本発明と同時に、物理的に変更されてもよく(例えば、遠心分離、アフィニティー分離)または化学的に変更されてもよい(例えば、酸、塩基またはバッファーの添加、加熱)。また、プロセスは、分析に先立つ試料の凍結および/または保存を含む。
【0041】
本発明のデバイスは、一般に、(i)近位端および遠位端を有する光管路、および(ii)光学近接から光管路の遠位端におけるセンサー要素を含んでいてもよい。センサー要素は、タンパク質および少なくとも1つのレポーター基を含む。タンパク質および/または 標識は、本発明のヒドロゲルマトリックス内に取り込まれてもよい。本発明のタンパク質に付着されるレポーター基の例は、よく知られており、および、少なくとも、それらのすべてが参照によって組み込まれる特許文献9、10および11に記載される(特許文献9から11参照)。付加的なレポーター基は、参照によって組み込まれる2006年12月14日に発行された特許文献11および特許文献12に記載されるそれらの化合物を含むが、しかしそれらに限定されない(特許文献11および12参照)。
【0042】
およそ0.1cmから5メーターの長さに及んでもよい光管路は、光学系へのまたは光学系からの、およびセンサー要素へのおよびセンサー要素からの光を連結させる。例えば、光管路は、レンズ、反射チャンネル、針、または光ファイバであってもよい。光ファイバは、光ファイバ(単一または多モード)の単一ストランドまたは1を超えるファイバの束のどちらかであってもよい。1つの実施形態において、ファイバの束は、分岐している。ファイバは、患者の皮膚に浸透できるように、先細りされていてもいなくてもよい。
【0043】
光学系は、光管路の近位端に結合されていてもよい。光学系は、1つまたは複数の励振源および1つまたは複数の検出器の組み合わせから構成される。それは、フィルター、二色性の要素、電力供給装置、および信号検出および調節のための電子機器から構成されていてもよい。光学系は、任意選択的に、マイクロプロセッサを含んでいてもよい。
【0044】
光学系は、光の1つまたは複数のインタロゲート波長を光管路へ連結させることによって、連続的または断続的のいずれかで、試料をインタロゲートする。1つまたは複数のインタロゲート波長は、次いで、光管路を通り、およびセンサー要素を照らす。非分析物の濃度の変化は、波長、強度、寿命、エネルギー変換効率、および/またはセンサー要素の一部であるレポーター基の発光の偏光の変化をもたらす可能性がある。結果として得られる変化した発光信号は、 それが検出され、解釈され、および保存され、および/また表示される光管路を通って、光学系に戻る。ある実施形態において、光学系は、多数の励振源を含む。これらの源の1つまたは複数は、調節されて、検出された信号の動的信号処理を可能にし、それによって、信号対ノイズおよび検出感度を強化させてもよい。また、調節は、光退色のような望ましくない現象を最小化することによって、デバイスの電力消費を低減させまたはセンサー要素の寿命を増大させるために使用されてもよい。また、光学系は、レポーター基および任意選択的な参照基からの発光信号を検出するためならびに内部基準化および/または較正のために使用されることができる、1つまたは複数の電磁エネルギー検出器を含むことができる。光学系の全体的な電力消費は、少量に保たれて、バッテリー電力を使用して作動されるデバイスを可能にする。
【0045】
以下の実施例は、例示的であり、および本明細書中に記載される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0046】
(実施例1)PEGDMA−MAAセンサーの生体内での性能
【0047】
本実施例において、特許文献5に記載されるように、「W183C」と呼ばれる修飾GGBPを使用した(特許文献5参照)。アクリロダン−W183C−GBPを含有する典型的なPEGDMA−MAAファイバセンサーを、図3に描かれるプロセスを用いて組み立てた。PEGDMA、MAAおよび光開始剤HMPP(2−ヒドロキシ−2メチルプロピオフェノン)を、適切なモル比で混合し、および光ファイバ先端上に堆積させた。全ての試薬が溶解されおよび完全に混合された後で最後に添加されるHMPPと共にヒドロゲルを形成する反応溶媒として、PBSを使用した。まず、5N硫酸洗浄およびそれに続くアクリロプロピルトリメトシラン(AcPTMS)45分処理によって、ファイバを処理する。ヒドロゲルを、(>360nmの波長)を有するHgランプ下で15秒間にわたって(〜50−65mW/cm2をジャンパーの末端まで供給するためのジャンパーセットアップ)完全に硬化させ、続いて0.01MのMES pH=6.5中に即時に保存した。
【0048】
第1表および第2表は、PEG4およびPEG5と名づけられているヒドロゲル処方の構成要素を示す。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
次いで、当分野においてよく知られている2段階EDC/NHS活性化法を用いて、GBPタンパク質をヒドロゲルマトリックスに結合させた。手短に言えば、センサーをーEDC/NHS溶液中に約70分にわたって浸漬させて、カルボキシ基(−COOH)を活性化させた。次に、変異GBP(W183C)をセンサーマトリックス中に18時間にわたって注入し、タンパク質のヒドロゲルマトリックスへの結合を可能にした。PEGDMA−MAAヒドロゲルマトリックスは、種々の分子サイズのデキストラン分子に対して制御可能な透過性を有し(図4)、これは、酵素および他のタンパク質のような大きな生体分子がセンサーマトリックスに侵入しおよびセンサーケミストリーを劣化させるのを排除するために有益である可能性がある。
【0052】
動物実験において、全ての組み立てられたセンサーは、PEG3のセンサーと呼ばれ、ブタにおける52時間の移植後のグルコース変化を追跡した。52時間後の生体内におけるセンサー信号強度の平均減少は、体外(インビトロ)対照に関する強度の35%の減少に対して、57%であった。強度におけるこの減少は、アルギネートセンサーにおける強度減少と比べて有意に小さかった。他の動物実験において、全15のPEG3の組み立てられたセンサーのうち13は、ブタにおける72時間を越える移植後のグルコース変化を追跡した。生体内におけるセンサー信号強度の平均減少は、体外対照に関する強度の35%減少に対して、65%であった。
【0053】
(実施例2)改善されたPEGDMA−MAAセンサーの生体内における性能
【0054】
実施例1に記載される光重合およびタンパク質の固定化手順を、さらに最適化した。結合プロセスの間のタンパク質結合活性のよりよい保護のために、UV光フィルターを除去することによりUV出力を4倍増大させ、およびタンパク質の固定化を30mMのグルコースの存在下で行った。また、重合後洗い流しおよびタンパク質注入のバッファーのpHを、タンパク質にとって好ましいpHに最適化した。最適化されたプロセスを用いて組み立てられたPEGDMA−MAAセンサーは、改善されたセンサー信号(F0)、ダイナミックレンジ(QR)を有し、および本明細書でPEG4(44:56モル%のPEGDMA:MAA比)センサーと呼ばれる。
【0055】
動物実験において、全15のPEG4センサーのうち14は、ブタにおける移植後72時間のグルコース変化を追跡した。平均72時間の生体内におけるセンサー信号の強度の減少は、体外対照における23%に対して、53%であった。
【0056】
SM4(特許文献1参照)変異GGBPまたはW183C変異GGBPのいずれかを用いて同様の実験を実施し、それらの両方を、PEG5ヒドロゲル処方を用いて封入した。第3表は、移植されたセンサーの大多数は、移植後7日までおよびそれを超えてグルコースを追跡することができたことを示す。
【0057】
【表3】

【0058】
(実施例3)メタクリレート化ヘパリンを含むヒドロゲルを有するバイオセンサーの製造
【0059】
ヒドロゲル中へのヘパリンの組み込みを、ヘパリンナトリウム塩を化学的に修飾することによって成し遂げた。エポキシドグリシジルメタクリレート(GMA)の開環反応を、H2O中K2CO3(pH=10.5)を用いて、40℃で、16時間にわたって、25倍過剰のGMAを用いて行った。未加工の反応生成物を、25×エタノール中に沈降させて、任意の非反応性GMAを除去し、次いでろ過し、diH2O中に再懸濁させ、および続いて凍結乾燥させた。次いで、合成されたヘパリン−メタクリレート(HP−MA)モノマーを、ポリマー骨格中に組み込まれる自由ビニルプロトンを用いて、針上の第1ヒドロゲルコーティングの上部の第2層処方として使用した。
【0060】
プレコーティングを、まず、1〜5秒の「浸漬」、好ましくは3秒の浸漬を使用して、高度にぬれ性の表面に適用する。5〜10秒の紫外線曝露、好ましくは、6秒の曝露は、コーティングを重合させ、コーティングをデバイス表面および第1層ヒドロゲル表面(GGBPが存在する)の両方に対して急速に接着させる。定性的なタイプのトルイジンブルー分析に基づき、UVコーティング第2層処方のカニューレに対する接着は、さらなる実験のために適切であった。また、トルイジンブルー分析は、UVコーティング第2層処方のヒドロゲルに対する接着がさらなる実験のために適切であったことを示す。結果として得られるコーティングは、均一であり、およびデバイスおよび第1層ヒドロゲル上の良好な被覆を提供した。
【0061】
(実施例4)メタクリレート化ヘパリンを含むヒドロゲルを有するバイオセンサーの体外におけるグルコース応答
【0062】
発色物質を利用するヘパリン活性分析を使用して、ヒドロゲルへのヘパリンの組み込みを、0.0176μgのヘパリン装填量に相当する251.03mU/cm2で測定した。このレベルの活性は、コーティングプロセス後の1日目に観察され、および適用後最低でも21日目まで持続した。ヘパリン活性は、室温および37℃で保管されたセンサーで測定され、一貫性があることが示された(図5および第4表)。
【0063】
【表4】

【0064】
センサーのグルコース応答時間は、外側のコーティングの適用によって、劇的には影響を受けなかった。第2ヒドロゲルコーティングを有さないPEG5で修飾されたGGBP(SM4と呼ばれる)センサー(「コーティングされていないセンサー」)において観察される90%の最大グルコース応答に到達するために必要とされる時間は、5.5分で測定された。「PEG5」と呼ぶ組成物は、23:77モル%のPEGDMA:MAAの比を有する。ヘパリンを含む付加的な第2ヒドロゲル層でコーティングされたセンサー(「コーティングされたセンサー」)が、観察される90%の最大グルコース応答に到達するために必要とされる時間は、6.0分で測定された。コーティングされていないPEG5−SM4センサーにおいて観察される95%の最大グルコース応答に到達するために必要とされる時間は、8.1分で測定された。ヘパリンを含む付加的なヒドロゲル層でコーティングされたUVセンサーが95%の最大グルコース応答に到達するために必要とされる時間は、9.3分で測定された(図6)。
【0065】
(実施例5)メタクリレート化ヘパリンを含むヒドロゲルを有するバイオセンサーの生体内グルコースの追跡
【0066】
グルコースの追跡に関連する生体内における性能は、血液を含有する環境におけるコーティングされていないセンサーと同等であった。第2コーティングを、PEG5−SM4センサー(25ゲージ針中)に対して適用し、および健康な雄のヨークシャー種のブタの静脈内に約6時間配置した。グルコースのエクスカーションを、5%のグルコース溶液を静脈内に投与することによって実施した。全部で37のUVコーティングされた第2層センサーを、生体内で、15.9の平均中間パーセント誤差(MPE)(標準誤差=1.74)を用いて試験した。センサー先端上にフィブリンシースは観察されず、およびマトリックス面上に血塊形成の証拠はなかった。MPEが低いことに加えて、初期平衡は低かった。図7は、バックグラウンドの更新ならびに得られるMPEを使用する、試料のグルコースエクスカーションの追跡を含む。センサーは、ブタからの取り出しの際に、フィブリンシース形成の兆候を示さず、および血液凝固の証拠を示さなかった(図示せず)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコーティングを含むコーティングされたデバイスであって、コーティングは、ヒドロゲルマトリックスを含む組成物を含み、前記マトリックスは、ポリ(エチレングリコール)ジメチアクリレート(PEGDMA)、2−ヒドロキシ−2メチルプロピオフェノン(HMPP)および少なくとも1つのアクリレートを含み、アクリレートは、メタクリル酸(MAA)およびメチルメタクリレート(MMA)からなる群から選択され、PEGDMA:アクリレートの比は、約10:90モル%から約70:30モル%であり、および前記HMPPは、約0.2%から約0.6%の総重量の濃度であり、組成物は、デバイス上に対して硬化されており、およびコーティングされたデバイスは被験体内に移植可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
PEGDMA対アクリレートの比が、約20:80モル%から約25:75モル%であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
PEGDMA対アクリレートの比が、約21:79モル%から約24:76モル%であることを特徴とする請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
PEGDMA対アクリレートの比が、約22:78モル%から約23:77モル%であることを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記HMPPが、約0.3%から約0.5%の総重量の濃度であることを特徴とする請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記HMPPが、約0.3%から約0.5%の総重量の濃度であることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記HMPPが、約0.3%から約0.4%の総重量の濃度であることを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
1つのみのアクリレートが存在し、および前記アクリレートがMAAであることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
MMAおよびMAAの両方が存在することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
タンパク質をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記タンパク質が、グルコース−ガラクトース結合タンパク質であることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
デバイスが、針またはカニューレを含むことを特徴とする請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第1コーティングをコーティングする少なくとも第2コーティングをさらに含み、前記第2コーティングは、ヒドロゲルマトリックスを含み、前記マトリックスは、ポリ(エチレングリコール)ジメチアクリレート(PEGDMA)、2−ヒドロキシ−2メチルプロピオフェノン(HMPP)、メタクリレート化ヘパリン(HP−MA)および少なくとも1つのアクリレートを含み、アクリレートは、メタクリル酸(MAA)およびメチルメタクリレート(MMA)からなる群から選択され、PEGDMA対アクリレート対HP−MAの比は、約20:25:55モル%から約70:15:15モル%であり、および前記HMPPは、約0.2%から約0.6%の総重量の濃度であることを特徴とする請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
第2コーティングにおいて、PEGDMA対アクリレート対HP−MAの比が、約55:20:25モル%から約30:25:45モル%であることを特徴とする請求項13に記載のコーティングされたデバイス。
【請求項15】
第2コーティングにおいて、PEGDMA対アクリレート対HP−MAの比が、約50:25:25モル%であることを特徴とする請求項14に記載のコーティングされたデバイス。
【請求項16】
ヒドロゲルマトリックスを含む組成物であって、前記マトリックスは、ポリ(エチレングリコール)ジメチアクリレート(PEGDMA)、2−ヒドロキシ−2メチルプロピオフェノン(HMPP)、メタクリレート化ヘパリン(HP−MA)およびアクリレートを含み、アクリレートは、メタクリル酸(MAA)およびメチルメタクリレート(MMA)からなる群から選択され、PEGDMA対アクリレート対HP−MAの比は、約20:25:55モル%から約60:25:15モル%であり、および前記HMPPは、約0.2%から約0.6%の総重量の濃度であることを特徴とする組成物。
【請求項17】
PEGDMA対アクリレート対HP−MAの比が、約60:25:15モル%から約30:25:45モル%であることを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
PEGDMA対アクリレート対HP−MAの比が、約50:25:25モル%であることを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
タンパク質をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
前記タンパク質が、グルコース−ガラクトース結合タンパク質であることを特徴とする請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも1つのコーティングを含むコーティングされたデバイスであって、コーティングは、請求項16に記載の組成物を含み、組成物は、デバイス上に対して硬化されており、およびコーティングされたデバイスは、被験体内に移植可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項22】
デバイスが、針またはカニューレを含むことを特徴とする請求項21に記載のコーティングされたデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−524594(P2010−524594A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504312(P2010−504312)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/061062
【国際公開番号】WO2008/131360
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】