説明

ヒューズを含むプリント回路基板

基板、複数の電子部品、及び該電子部品を接続する上記基板上の金属トラックのパターンを有するプリント回路基板であって、典型的には銅である上記金属トラックは、典型的にはソルダレジスト層である保護層に被覆される。上記プリント回路基板はヒューズを更に有し、該ヒューズは狭くされた金属トラックをパターン内に有し、上記狭くされた金属トラックは空気に晒されるよう被覆されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板、複数の電子部品、及び該電子部品を接続する上記基板上の、典型的には銅トラックである金属トラックのパターンを有するプリント回路基板に係る。上記金属トラックは、典型的にはソルダレジスト層である保護層に被覆される。上記プリント回路基板はヒューズを更に有し、該ヒューズは狭くされた金属トラックをパターン内に有する。
【背景技術】
【0002】
かかるプリント回路基板は、欧州特許A 0 626 714号明細書(特許文献1)に記載される。ヒューズは、過電流が起こると、プリント回路基板の過熱に対し安価な保護をもたらす。この場合、狭い金属トラックが昇温して溶けることにより、電流を遮断する。この解決法の難点は、金属を溶かすのに必要な熱によって、なおプリント回路基板が焼ける可能性があることだ。保護用非導電層が熱の散逸を基板内に促すことによって、基板が激しく破損する。ヒューズが防ごうと意図する発火の危険さえも、排除されない。したがって、既知の解決法は当てにならないと考えなければならない。
【特許文献1】欧州特許A 0 626 714号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、安価で確かな方法で火及び破損からプリント回路基板を保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、上記狭くされた金属トラックは空気に晒されるよう被覆されない。金属トラックが被覆されないことにより、溶解する金属の熱を空気中に散逸させることができ、発火を防ぐ。更にソルダレジストがないことによって、狭くされた金属トラックの熱伝導性が低下し、狭くされた金属トラックがより早く溶ける。ソルダレジスト自体が発火する可能性も、この結果低下する。
【0005】
更に望ましくは、上記狭くされた金属トラックから広がる少なくとも0.5mm、望ましくは少なくとも1mmの領域が被覆されないことにより、更に基板の熱散逸を高める。
【0006】
更に望ましくは、狭くされた金属トラックの両端部から伸びる幅の広い金属トラックの端部の少なくとも1.5mm、望ましくは少なくとも2mmの距離が被覆されない。その結果、幅の広い金属トラックの大部分が、更なる熱散逸手段の機能を果たす。また、幅の広い銅トラックの端部が、ソルダレジストがないことではんだ工程中にはんだ集め(solder thieves)としての機能を果たし、狭くされた銅トラックははんだに過負荷がかからないよう、狭くされた銅トラック上に滑らかで薄いはんだ層を形成する。
【0007】
狭くされた金属トラックの幅は望ましくは0.3mm未満、より望ましくは0.2mm未満である。
【0008】
本発明の他の面によれば、狭くされた金属トラックの両側に、該狭くされた金属トラックの略全長に沿って基板にスロットを設ける。その結果、狭くされた金属トラックの熱伝導性は更に低下する。ここでの別の重要な利点は、狭くされたトラック近傍のプリント回路基板の焦げ付きが拡大する可能性が、上記スロットにより阻止されることである。この特徴は、独立した1つの発明と考えることができる。上記スロットは、狭くされた金属トラックから望ましくは2mm未満、より望ましくは1.5mm未満離れて配置する。狭くされた金属トラックとスロットとの間の領域は、望ましくは実質的に被覆されない。スロットの幅は望ましくは少なくとも0.5mmであり、より望ましくは少なくとも1mmである。
【0009】
本発明は、プリント回路基板を含むガス放電ランプ用電子安定器にも係る。
【0010】
本発明は更に、基板、複数の電子部品、及び該電子部品を接続する上記基板上の金属トラックのパターンを有するプリント回路基板を生成する方法に係る。上記金属トラックは保護層に被覆される。上記プリント回路基板は、狭くされた金属トラックをパターン内に設けることによりヒューズを更に備え、上記狭くされた金属トラックは、引き続き空気に晒されるよう保護層に被覆されない。
【0011】
本発明は、図面とともに以下記載の実施形態により示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1によれば、プリント回路基板が、該プリント回路基板上に電子部品(図示せず)を接続する銅トラック1の回路を有するキャリアボード又は基板を含む。銅トラック1の幅は典型的には約1mmである。電子部品のコネクタはボードにある穴を通って伸び、且つはんだ滴2によりそこに固定される。その目的のために銅トラック1を含むがはんだ滴が適用された位置を除くボードの表面に、ソルダレジスト保護コーティングが設けられる。
【0013】
プリント回路基板は、ヒューズを更に含む。ヒューズは回路にある狭くされた銅トラック3により構成される。この狭くされた銅トラックに過電流が流れると、トラックの抵抗のため、銅トラックが昇温して溶ける。銅トラックが昇温して溶けることにより、電流を遮断し、プリント回路基板の過熱を防ぐ。典型的には狭くされた銅トラックの幅は0.3mm又は0.2mm未満である。
【0014】
銅トラックが溶けるとき周辺に熱散逸を促すよう、且つトラックの熱伝導性も低下させるよう、狭くされた銅トラック3及び銅トラック3の周りの領域4を、ソルダレジストで被覆しない。この領域は、狭くされた銅トラック3から両側に約1mm広がり、更にこの領域は、狭くされた銅トラック3の両端部で、幅の広い銅トラック1の端部6に沿って長手方向に約2mm広がる。幅の広い銅トラック1の被覆されない端部6が、はんだ工程中はんだ集めとしての役割を果たすことにより、薄くて滑らかなはんだの層を狭くされた銅トラック3上に形成し、銅トラック3上のはんだの固まりを防ぐ。
【0015】
図2は、図1に示すプリント回路基板の更なる改良を示す。狭くされた銅トラック3の両側にスロット5を設ける。たとえば、フライス加工によってスロットを設ける。スロット5を、狭くされた銅トラック3の全長に沿って約1mm離れて設ける。スロット5の幅は約1mmである。トラック3とスロット5との間の領域は、図1を参照して説明した通り、被覆されない。これらのスロットを通じてトラック3の熱伝導性は更に低下し、結果としてトラックがより早く溶け、したがって電流をより早く遮断する。
【0016】
本発明の範囲内で多くの変形が当業者によって発案され得ることが明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】プリント回路基板の第1の実施形態の詳細な平面図を示す図である。
【図2】プリント回路基板の第2の実施形態の詳細な平面図を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、複数の電子部品、及び該電子部品を接続する前記基板上の金属トラックのパターンを有するプリント回路基板であって、前記金属トラックは保護用非導電層に被覆され、前記プリント回路基板はヒューズを更に有し、該ヒューズは狭くされた金属トラックを前記パターン内に有し、前記狭くされた金属トラックが空気に晒されるよう被覆されない、ことを特徴とするプリント回路基板。
【請求項2】
前記狭くされた金属トラックから広がる少なくとも0.5mm、望ましくは少なくとも1mmの領域が更に被覆されない、
請求項1記載のプリント回路基板。
【請求項3】
前記狭くされた金属トラックの両端部から広がる幅の広い金属トラックの端部の少なくとも1.5mm、望ましくは少なくとも2mmの距離が更に被覆されない、
請求項1又は2記載のプリント回路基板。
【請求項4】
前記狭くされた金属トラックの幅は0.3mm未満、望ましくは0.2mm未満である、請求項1、2又は3記載のプリント回路基板。
【請求項5】
前記狭くされた金属トラックの両側に該狭くされた金属トラックの略全長に沿って基板にスロットが設けられる、
請求項1乃至4のうちいずれか一項記載のプリント回路基板。
【請求項6】
前記スロットは前記狭くされた金属トラックから2mm未満、望ましくは1.5mm未満離れて配置される、
請求項5記載のプリント回路基板。
【請求項7】
前記狭くされた金属トラックと前記スロットとの間の領域が実質的に被覆されない、
請求項5又は6記載のプリント回路基板。
【請求項8】
前記スロットの幅は少なくとも0.5mm、望ましくは少なくとも1mmである、
請求項5、6又は7記載のプリント回路基板。
【請求項9】
プリント回路基板を有する、
請求項1乃至8のうちいずれか一項記載のガス放電ランプ用電子安定器。
【請求項10】
基板、複数の電子部品、及び該電子部品を接続する前記基板上の金属トラックのパターンを有するプリント回路基板を生成する方法であって、前記金属トラックは保護用非導電層に被覆され、前記プリント回路基板は狭くされた金属トラックを前記パターン内に設けることによりヒューズを更に備え、前記狭くされた金属トラックは引き続き空気に晒されるよう保護用非導電層に被覆されない、ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−508706(P2007−508706A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534879(P2006−534879)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052022
【国際公開番号】WO2005/039256
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】