説明

ヒューズ端子金具およびこれを含んだヒューズ回路構成ユニット

【課題】歩留りがよく、汎用性をもってヒューズ回路を構成することのできるヒューズ端子金具を提供すること。また、そのようなヒューズ端子金具を用い、自由度の高い回路構成が可能な汎用性のあるヒューズ回路構成ユニットを提供すること。
【解決手段】底板部18と、該底板部18の両側端縁部から立ち上がり、先端側に開口するヒューズ圧接刃22、22が形成された一対の縦板部20、20とを備え、該一対の縦板部20,20の少なくとも一方に、基端側に開口して前記底板部18にまで延びるバスバー接続用の嵌着スリット26を備えたヒューズ端子金具14を形成した。そして、該ヒューズ端子金具14とバスバー16を含んで、ヒューズ回路構成ユニット10を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズに接続されるヒューズ圧接刃を備えたヒューズ端子金具に関する。また、本発明は、そのようなヒューズ端子金具を含んで構成されるヒューズ回路構成ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の配線等に使用される電気接続箱には、多数のヒューズが接続されるヒューズ回路が収容されている。そして、バッテリーからの電力が、それらのヒューズを介して分岐されて各種電装品へ供給されるようになっている。
【0003】
このようなヒューズ回路は、例えば特開2006−42586号公報(特許文献1)に示されているとおり、銅合金等による条材をプレス打ち抜き加工することで、バスバーに電源用タブ部とヒューズ端子が一体形成されたものを用いて構成されている。そして、バスバーに一体形成されたヒューズ端子と、プリント基板に接続された基板ヒュ−ズ端子が対となってヒューズ装着部を構成し、それらに対して一つのヒューズが装着されるようになっている。これにより、バスバーの電源用タブ部に接続される電線から供給された電力が、バスバーのヒューズ端子からヒューズを介して基板ヒューズ端子が接続されたプリント基板回路に供給されて、分岐されることとなる。
【0004】
ところで、このような従来構造のヒューズ回路では、バスバーに複数のヒューズ端子やタブ端子が一体形成されていることから、プレス打ち抜き加工に伴う金属材料の歩留りが悪く、コスト高を招いていた。しかも、ヒューズやコネクタが接続されるヒューズ端子やタブ端子には、高い剛性が求められることから、バスバー全体を銅合金等の剛性の高い金属材料で形成する必要があり、製造コストを更に引き上げる結果となっていた。
【0005】
しかも、特定のヒューズ回路構成に併せてバスバーとヒューズ端子等がプレス加工されていることから、汎用性がなく、回路構成毎にプレス金型の変更が必要となり、製造効率も悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−42586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、歩留りがよく、汎用性をもってヒューズ回路を構成することのできるヒューズ端子金具を提供することにある。また、本発明はそのようなヒューズ端子金具を用い、自由度の高い回路構成が可能な汎用性のあるヒューズ回路構成ユニットを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ヒューズ端子金具に関する本発明の第一の態様は、底板部と、該底板部において対向する両側端縁部から平行に立ち上がる一対の縦板部とを備えており、該一対の縦板部には、それぞれ先端側に開口するヒューズ圧接刃が形成されている一方、前記一対の縦板部の少なくとも一方には、基端側に開口して前記底板部にまで延びるバスバー接続用の嵌着スリットが形成されていることを、特徴とする。
【0009】
本発明に従う構造とされたヒューズ端子金具によれば、嵌着スリットにバスバーを嵌め入れることによって、一対の縦板部のヒューズ圧接刃によって、二つの電源用ヒューズ端子を構成することが出来る。即ち、二つのヒューズ圧接刃を備えたヒューズ端子金具がバスバーと別体形成されていることから、必要な数のヒューズ端子金具をバスバーに嵌合するのみで、要求されるヒューズ回路を構成することが出来る。これにより、従来の如きヒューズ端子をバスバーに一体形成する場合に比して、より優れた汎用性をもって電源用ヒューズ端子を構成する部品を提供することが可能となる。また、ヒューズ端子金具をバスバーと別体形成しつつ、バスバーと接続可能としたことによって、電源用のヒューズ端子を歩留りよく製造することが出来る。
【0010】
ヒューズ端子金具に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記嵌着スリットが前記一対の縦板部のそれぞれに形成されており、それら一対の縦板部における嵌着スリットが前記底板部において互いに接続されているものである。
【0011】
このようにすれば、一対の縦板部の何れにもバスバーを接続することが可能であり、一対の縦板部の何れか一方に択一的にバスバーを接続したり、一対のバスバーを一対の縦板部のそれぞれに接続することが出来る。しかも、底板部において両嵌着スリットが接続されていることから、一つのバスバーを一対の縦板部間に亘って配設することも可能とされる。これにより、バスバーの形状に対応した、一対の縦板部における片側嵌着と両側嵌着の何れをも実現することが可能であり、汎用性の更なる向上を図ることが出来る。
【0012】
ヒューズ回路構成ユニットに関する本発明の第一の態様は、プリント基板に装着されてヒューズ回路を構成するヒューズ回路構成ユニットであって、前記ヒューズ端子金具に関する本発明の第一又は第二の態様に記載のヒューズ端子金具と、前記ヒューズ端子金具の前記嵌着スリットに嵌め入れられて接続されるバスバーと、前記プリント基板上に載置されて前記ヒューズ端子金具と前記バスバーを支持する絶縁板と、前記プリント基板の導電路に接続されて、前記ヒューズ端子金具の前記縦板部と対向位置せしめられることにより該縦板部と協働してヒューズ装着部を構成する固定端子とを、含むことを特徴とする。
【0013】
このような構造とされたヒューズ回路構成ユニットによれば、本発明のヒューズ端子金具を用いることによって、電源用ヒューズ端子をバスバーと別体形成することが可能となる。これにより、バスバーに電源用ヒューズ端子を形成することが不要とされて、バスバーを導電路のみの形状とすることが可能となり、バスバーを単純な形状で歩留り良く成形することが出来る。
【0014】
そして、このような単純形状のバスバーに対して必要な数のヒューズ端子金具を取り付けたものを、絶縁板を介してプリント基板上に載置して、プリント基板上に突設された一対の固定端子間に配設することにより、ヒューズ端子金具のヒューズ圧接刃と固定端子とを対向させてヒューズ装着部を構成することが可能であり、所望のヒューズ回路を構成することが可能となる。
【0015】
また、ヒューズ端子金具とバスバーを互いに別体形成することから、ヒューズが直接に接続されることのないバスバーは、ヒューズ端子として要求される高い剛性が不要とされる。これにより、バスバーとして黄銅等の安価な材料を選択することも可能となり、製造コストの低減を図ることが出来る。
【0016】
ヒューズ回路構成ユニットに関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記バスバーが嵌着されて接続される接続スリットと、外部電源からの給電路が接続される電源用タブ端子とを備えた給電用端子金具を、更に含んでいるものである。
【0017】
このような給電用端子金具を用いれば、バスバー上の任意の位置に電源用タブ端子を設けることが出来る。そして、電源用タブ端子がバスバーと別体成形されることにより、バスバーの更なる簡素化、製造効率化を図ることが出来る。
【0018】
ヒューズ回路構成ユニットに関する本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記絶縁板上に載置される平板部を備えていると共に、該平板部の端縁部から立ち上がるタブ部が複数形成されており、前記タブ部の少なくとも一つがヒュージブルリンクの接続用タブ部とされていると共に、前記タブ部の少なくとも一つがバスバーへの接続用タブ部とされている一方、前記平板部の端縁部から前記タブ部と反対側に突出して前記プリント基板のスルーホールに挿通されて半田付けされるリード部が形成されている、ヒュ−ジブルリンク用端子金具を、更に含んでいるものである。
【0019】
このようなヒュージブルリンク用端子金具を用いれば、バスバー上の任意の位置にヒュージブルリンク用のタブ端子を設けることが出来る。これにより、ヒュージブルリンクを組み合わせた複雑な構造のヒューズ回路も、簡単な構造の部品の組合せにより実現することが出来る。また、リード部を介して、バスバーをプリント基板上のプリント配線と電気的に接続することも出来る。
【0020】
ヒューズ回路構成ユニットに関する本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記バスバーを複数有すると共に、互いに異なるバスバーが嵌着されて接続される複数の連結スリットが形成されたジョイント金具を、更に含んでいるものである。
【0021】
このようなジョイント金具を用いれば、複数のバスバー回路を分岐接続することが可能となり、より複雑な回路構成を実現することが出来る。
【発明の効果】
【0022】
ヒューズ端子金具に関する本発明によれば、ヒューズ端子金具をバスバーと別体形成した。これにより、必要な数のヒューズ端子金具をバスバーに接続するだけで、要求されるヒューズ回路を構成することが出来、汎用性の向上が図られる。また、ヒューズ回路構成ユニットに関する本発明によれば、バスバーにヒューズ接続端子形状を形成することが不要とされることから、バスバーを単純な形状で歩留り良く形成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのヒューズ回路構成ユニットが設けられたプリント基板の斜視図。
【図2】図1に示したヒューズ回路構成ユニットに含まれる、本発明の一実施形態としてのヒューズ端子金具の斜視図。
【図3】図1に示したヒューズ回路構成ユニットに含まれるバスバーの斜視図。
【図4】図1に示したヒューズ回路構成ユニットに含まれる給電用端子金具の斜視図。
【図5】図1に示したヒューズ回路構成ユニットに含まれるヒュージブルリンク用端子金具の斜視図。
【図6】図1に示したヒューズ回路構成ユニットに含まれる絶縁板の斜視図。
【図7】図1に示したヒューズ回路構成ユニットに含まれる固定端子の斜視図。
【図8】図1に示したプリント基板のアッパケースへの組付状態を示す斜視図。
【図9】本発明の異なる態様としてのヒューズ回路構成ユニットが設けられたプリント基板の斜視図。
【図10】本発明の第二の実施形態としてのヒューズ回路構成ユニットの斜視図。
【図11】図10に示したヒューズ回路構成ユニットに含まれるバスバーの斜視図。
【図12】本発明の第三の実施形態としてのヒューズ回路構成ユニットが設けられたプリント基板の斜視図。
【図13】図12に示したプリント基板の側面図。
【図14】図12に示したヒューズ回路構成ユニットに含まれるジョイント金具の斜視図。
【図15】給電用端子金具の異なる態様を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
先ず、図1に、ヒューズ回路構成ユニットに関する本発明の第一の実施形態としてのヒューズ回路構成ユニット10が装着されたプリント基板12を示す。ヒューズ回路構成ユニット10は、ヒューズ端子金具に関する本発明の一実施形態としての複数のヒューズ端子金具14が接続されたバスバー16を含んで構成されている。
【0026】
図2に、ヒューズ端子金具14を示す。ヒューズ端子金具14は、銅や鉄などの導電性金属板が展開形状で打ち抜かれて屈曲された一体成形品とされている。ヒューズ端子金具14は、全体としてコの字形状を有しており、平板状の底板部18と、底板部18において対向する両端縁部から、互いに平行に立ち上がる一対の縦板部20,20が一体形成されている。
【0027】
一対の縦板部20,20は互いに同様の形状とされている。縦板部20において底板部18からの突出先端部には、ヒューズ圧接刃22が形成されている。ヒューズ圧接刃22は、図示しないヒューズの接続端子を挟んで圧接する従来公知の所謂音叉形状とされており、一対の押圧片24,24が基端部で互いに接続されて、それぞれ縦板部20における底板部18からの突出方向に延び出されることによって、縦板部20における底板部18からの突出先端側に開口する形状を有している。
【0028】
また、一対の縦板部20,20のそれぞれには、ヒューズ圧接刃22と反対側の突出基端部に、嵌着スリット26,26が形成されている。嵌着スリット26は、縦板部20を厚さ方向に貫通すると共に縦板部20の突出方向で底板部18にまで延び出されて、縦板部20の突出基端側に開口するスリット形状とされている。特に本実施形態においては、嵌着スリット26の開口部28が、縦板部20の突出基端側に行くに連れて拡幅されており、後述するバスバー16の挿入が容易とされている。また、嵌着スリット26において開口部28と反対側の端縁部30は円形状をもって縦板部20の厚さ方向に貫通されており、後述するバスバー16の嵌合に際する縦板部20のばね性が高められている。なお、嵌着スリット26の幅寸法(縦板部20の厚さ方向に直交する方向の寸法)は、最も小さい所で、バスバー16の厚さ寸法と略同じか僅かに小さくされている。
【0029】
さらに、特に本実施形態においては、一対の縦板部20,20に形成された嵌着スリット26,26の開口部28,28が、底板部18において一対の縦板部20,20の対向方向に延び出されて互いに接続されている。これにより、一対の嵌着スリット26,26が、縦板部20,20の対向方向に延びる直線上に位置されて互いに接続されている。
【0030】
このような構造とされたヒューズ端子金具14の複数が、図3に示すバスバー16に嵌着されている。バスバー16は、銅や鉄などの導電性金属板が展開形状で打ち抜かれて屈曲された一体成形品とされている。後述するように、本実施形態においては、バスバー16として、銅よりも安価な黄銅等を採用することが可能である。
【0031】
バスバー16は、一定の幅寸法をもって延びる導電性金属板が屈曲形成されてなり、その具体的形状は、所望する回路形状に応じて適宜に設定される。本実施形態におけるバスバー16には、相互に反対側に開口する複数のコの字形状が交互に連続して形成されることにより、互いに平行に延びる複数のヒューズ端子金具嵌着部32が、所定間隔を隔てて一直線上に配列して形成されている。また、バスバー16には、複数のヒューズ端子金具嵌着部32の配列方向の一方の端部に給電用端子金具嵌着部34が形成されていると共に、給電用端子金具嵌着部34から一直線状に延び出す連絡部36の延出端部に、ヒュージブルリンク用端子金具嵌着部38が形成されている。
【0032】
そして、バスバー16に形成された複数のヒューズ端子金具嵌着部32のそれぞれに対して、ヒューズ端子金具14が嵌着される。ヒューズ端子金具14の嵌着は、バスバー16におけるヒューズ端子金具嵌着部32を、嵌着スリット26の開口部28から嵌め入れて圧入することによって行なわれる。これにより、バスバー16には、各ヒューズ端子金具嵌着部32のそれぞれに、一対のヒューズ圧接刃22,22が突設される。
【0033】
また、バスバー16の給電用端子金具嵌着部34には、図4に示す給電用端子金具40が嵌着されるようになっており、本実施形態におけるヒューズ回路構成ユニット10は、給電用端子金具40を含んで構成されている。給電用端子金具40は、銅や鉄などの導電性金属板が展開形状で打ち抜かれて屈曲された一体成形品とされている。給電用端子金具40は、前記ヒューズ端子金具14と略同様に、底板部44の両端部から互いに平行に立ち上がる一対の縦板部46a,46bが形成されたコの字形状とされている。これら縦板部46a,46bには、前記ヒューズ端子金具14における嵌着スリット26と同形状を有する接続スリット48、48がそれぞれ形成されている。そして、一方の縦板部46aには、略一定の幅寸法をもって底板部44からの突出方向に延び出す電源用タブ端子50が一体形成されている。電源用タブ端子50には、図示しない外部電源からの給電路の末端に設けられたコネクタが接続可能とされている。このような給電用端子金具40は、接続スリット48,48にバスバー16の給電用端子金具嵌着部34が嵌め入れられて圧入されることによって、バスバー16に嵌着される。これにより、バスバー16には、給電用端子金具嵌着部34に、電源用タブ端子50が突設される。
【0034】
さらに、バスバー16のヒュージブルリンク用端子金具嵌着部38には、図5に示すヒュージブルリンク用端子金具42が嵌着されるようになっており、本実施形態におけるヒューズ回路構成ユニット10は、ヒュージブルリンク用端子金具42も含んで構成されている。ヒュージブルリンク用端子金具42は、銅や鉄などの導電性金属板が展開形状で打ち抜かれて屈曲された一体成形品とされている。
【0035】
ヒュージブルリンク用端子金具42には、略一定の幅寸法をもって延びる平板部52が形成されている。平板部52における適当な位置には、円形の位置決め穴53が貫設されている。そして、平板部52の幅方向の両端縁部には、平板部52から互いに平行に立ち上がる複数のタブ部54a,54bが一体形成されている。本実施形態においては、一対のタブ部54a,54aが平板部52の幅方向で対向された組の2組と、一対のタブ部54b、54bが平板部52の幅方向で対向された組の1組が、平板部52の長さ方向で適当な間隔を隔てて形成されている。
【0036】
これらタブ部54a、54bは、それぞれ、略一定の幅寸法をもって平板部52から突出する板形状とされている。タブ部54aには、図示しないヒュージブルリンクが接続可能とされており、タブ部54aが、ヒュージブルリンクの接続用タブ部とされている。一方、一対のタブ部54b、54bには、前記ヒューズ端子金具14における嵌着スリット26と同形状を有する接続スリット56,56がそれぞれ形成されている。即ち、タブ部54bが前記ヒューズ端子金具14における縦板部20に相当すると共に、平板部52が前記ヒューズ端子金具14における底板部18に相当し、ヒュージブルリンク用端子金具42には、前記ヒューズ端子金具14におけるバスバー16への嵌着部分と同様の形状が部分的に形成されている。なお、タブ部54b,54bに形成された接続スリット56,56は底板部18で互いに連結されている。これにより、タブ部54b,54bがバスバー16への接続用タブ部とされている。
【0037】
また、ヒュージブルリンク用端子金具42において、平板部52の長さ方向両端部には、幅方向の両端縁部からタブ部54a,54bの突出方向と反対方向に突出するリード部58が一体形成されている。リード部58は、プリント基板12のスルーホール59に挿通可能な大きさの略正方形断面をもって延びる略L字形状とされており、平板部52の幅方向端縁部から幅方向外方に所定の長さだけ突出して、突出端部がタブ部54a,54bの突出方向と反対方向に延び出された形状とされている。
【0038】
このようなヒュージブルリンク用端子金具42が、接続スリット56,56にバスバー16のヒュージブルリンク用端子金具嵌着部38が嵌め入れられて圧入されることによって、バスバー16に嵌着される。これにより、バスバー16には、ヒュージブルリンク用端子金具嵌着部38に、ヒュージブルリンクの接続用タブ部とされた複数のタブ部54aが接続される。
【0039】
そして、これらヒューズ端子金具14、給電用端子金具40、ヒュージブルリンク用端子金具42が嵌着されたバスバー16は、プリント基板12上に載置された絶縁板60で支持される。図6に、絶縁板60を示す。絶縁板60は、非導電性の合成樹脂から形成されている。絶縁板60の具体的な形状は、バスバー16の形状等を考慮して適宜に設定されるものであり、本実施形態においては、バスバー16の形状に略対応した平面形状を有する一体成形品とされているが、絶縁板60を、複数の部材で構成しても良い。
【0040】
本実施形態における絶縁板60は、バスバー16における複数のヒューズ端子金具嵌着部32と給電用端子金具嵌着部34が載置される、略長手板形状を有する第一載置部62と、バスバー16に接続されたヒュージブルリンク用端子金具42が載置される略長手板形状を有する第二載置部64が、バスバー16における連絡部36が載置される連結部66で互いに連結された、略コの字の平面形状を有している。絶縁板60におけるバスバー16の載置面68には、幅方向の両端縁部に周壁70、70が突出形成されており、バスバー16やヒュージブルリンク用端子金具42がこれら周壁70,70の間に嵌め入れられるようにして絶縁板60上に載置されるようになっている。
【0041】
第一載置部62における載置面68には、複数のヒューズ端子収容部72が一体形成されている。ヒューズ端子収容部72は、ヒューズ端子金具14を収容し得る開口寸法をもって、載置面68から突出する略矩形筒状の周壁とされている。そして、バスバー16の各ヒューズ端子金具嵌着部32と対応する位置にヒューズ端子収容部72がそれぞれ形成されることにより、第一載置部62には、長さ方向で一直線上に、複数のヒューズ端子収容部72が配列形成されている。更に、第一載置部62において、バスバー16の給電用端子金具嵌着部34と対応する位置には、給電用端子収容部74が形成されている。給電用端子収容部74は、給電用端子金具40を収容し得る開口寸法をもって載置面68から突出する略矩形筒形状とされている。
【0042】
一方、ヒュージブルリンク用端子金具42が載置される第二載置部64における載置面68上には、ヒュージブルリンク用端子金具42のタブ部54b、54bとそれぞれ対応する位置に、タブ収容部76,76が形成されている。タブ収容部76,76は、第二載置部64に載置されるヒュージブルリンク用端子金具42のタブ部54b,54bの両外側に位置して、タブ部54b、54bの外側面とこれに接続する両側端面の3面を覆う略コの字形状の断面をもって載置面68から突出されている。
【0043】
なお、載置面68から突出された、周壁70、ヒューズ端子収容部72、給電用端子収容部74、およびタブ収容部76において、バスバー16と重なる位置には、これら周壁70やヒューズ端子収容部72等の突出方向に延びて突出先端側に開口する挿通スリット78が形成されており、バスバー16が挿通スリット78に挿通されることによって、バスバー16と絶縁板60との相互干渉が回避されている。
【0044】
また、絶縁板60には、プリント基板12に向けて突出して、プリント基板12に形成された図示しない貫通孔に差し込まれて絶縁板60を位置決めする1つ以上の差込部80や、載置面68からプリント基板12と反対側に向けて突出して、後述するアッパケース96と嵌合する1つ以上の嵌合突部82が、適宜の位置に一体形成されている。本実施形態においては、第一載置部62における長さ方向の両端部のそれぞれにおいて、差込部80と嵌合突部82が略同軸上で互いに反対方向に突出形成されている。更にまた、第二載置部64の載置面68において、ヒュージブルリンク用端子金具42の位置決め穴53と対応する位置には、位置決め穴53に挿入可能な略同形状を有する位置決め突部84が突出形成されている。
【0045】
このような構造とされた絶縁板60が、プリント基板12に載置されて、必要に応じて接着等で固定される。絶縁板60は、プリント基板12に向けて突出された差込部80が、プリント基板12において対応する位置に貫設された図示しない貫通孔に挿通されることによって、プリント基板12に対して位置決めされる。
【0046】
そして、プリント基板12に載置された絶縁板60の挿通スリット78に、バスバー16が差し入れられて、載置面68上に載置される。これにより、バスバー16が挿通スリット78で絶縁板60に対して位置決めされて、各ヒューズ端子金具嵌着部32が、絶縁板60のヒューズ端子収容部72内に配設されると共に、給電用端子金具嵌着部34が、絶縁板60の給電用端子収容部74内に配設される。また、バスバー16におけるヒュージブルリンク用端子金具嵌着部38が、絶縁板60の第二載置部64における一対のタブ収容部76,76の対向面間に配設される。
【0047】
そして、絶縁板60の各ヒューズ端子収容部72にヒューズ端子金具14が挿入されて位置決めされると共に、ヒューズ端子収容部72内に配設されたバスバー16の各ヒューズ端子金具嵌着部32に嵌着される。これにより、バスバー16の各ヒューズ端子金具嵌着部32に一対のヒューズ圧接刃22,22が突設されて、これらヒューズ圧接刃22,22がヒューズ端子収容部72から突出される。なお、ヒューズ端子金具14は、ヒューズ接続時の押圧力に対する抗力を有効に確保するために、底板部18が載置面68への接触状態で載置されることが好ましい。このようにして、複数のヒューズ端子金具14が、各ヒューズ端子金具14における一対のヒューズ圧接刃22,22の対向方向を互いに平行にして、絶縁板60の第一載置部62の長さ方向に延びる一直線上に配列される。
【0048】
また、絶縁板60の給電用端子収容部74に給電用端子金具40が挿入されて位置決めされると共に、給電用端子収容部74内に配設されたバスバー16の給電用端子金具嵌着部34に嵌着される。これにより、バスバー16の給電用端子金具嵌着部34に電源用タブ端子50が突設されて、該電源用タブ端子50が、給電用端子収容部74から突出される。なお、給電用端子金具40は、コネクタ接続時の押圧力に対する抗力を有効に確保するために、底板部44が載置面68への接触状態で載置されることが好ましい。
【0049】
さらに、ヒュージブルリンク用端子金具42のタブ部54b,54bが絶縁板60の第二載置部64におけるタブ収容部76,76の間に差し入れられて位置決めされると共に、タブ収容部76,76の間に配設されたバスバー16のヒュージブルリンク用端子金具嵌着部38に嵌着される。これにより、バスバー16のヒュージブルリンク用端子金具嵌着部38に複数のタブ部54aが電気的に接続されると共に、ヒュージブルリンク用端子金具42の平板部52が第二載置部64の載置面68上に載置されて、複数のタブ部54aが第二載置部64から突出される。なお、平板部52は、位置決め穴53に第二載置部64の位置決め突部84が挿入されることによって、第二載置部64上で位置決めされる。
【0050】
また、図1に示すように、平板部52は、第二載置部64への載置状態で、長さ方向の両端部が第二載置部64から突出されており、それら長さ方向の両端部に形成された各リード部58が、プリント基板12において対応する位置に貫設されたスルーホール59に挿通されて半田付けされるようになっている。これにより、各リード部58が、プリント基板12に形成された図示しないプリント回路と電気的に接続される。また、リード部58が絶縁板60を介することなくプリント基板12に直接に半田付けされることによって、ヒュージブルリンク用端子金具42延いてはバスバー16をプリント基板12に強固に固定することが出来る。
【0051】
このようにして、ヒューズ端子金具14、給電用端子金具40、ヒュージブルリンク用端子金具42、およびこれらが嵌着されたバスバー16が、絶縁板60の載置面68上に載置されて絶縁板60で支持される。勿論、これらヒューズ端子金具14、給電用端子金具40、ヒュージブルリンク用端子金具42、バスバー16、および絶縁板60の組付手順は限定されず、各端子金具14,40,42をそれぞれバスバー16に嵌着した後に、これら端子金具14,40,42が嵌着されたバスバー16を絶縁板60に載置して、バスバー16が載置された絶縁板60をプリント基板12に載置する等しても良い。
【0052】
さらに、プリント基板12には、バスバー16に突設された各ヒューズ圧接刃22のそれぞれと対向位置して、複数の固定端子86が突設されている。図7に、固定端子86を示す。固定端子86は、銅や鉄等の導電性金属板が展開形状で打ち抜かれて屈曲された一体成形品とされている。固定端子86の一方の端部には、ヒューズ端子金具14のヒューズ圧接刃22と同様の所謂音叉形状を有するヒューズ圧接刃88が形成されている。また、ヒューズ圧接刃88と反対側の端部には、略一定の略正方形断面をもって延びる線状のリード部90,90が互いに平行に突出形成されている。更に、本実施形態における固定端子86はクランク形状とされており、リード部90,90の突出基端部がクランク状屈曲部分の一方の屈曲部とされている。このような固定端子86のリード部90、90が、プリント基板12に貫設されたスルーホール59,59に挿通されて半田付けされることによって、固定端子86がプリント基板12に形成された図示しない導電路としてのプリント配線と電気的に接続される。そして、固定端子86のヒューズ圧接刃88がプリント基板12上に突設されて、バスバー16に突設された各ヒューズ圧接刃22に対して所定間隔を隔てて対向位置される。なお、固定端子86は、必ずしもクランク形状とされる必要は無く、クランク状屈曲部分を有さない平板形状であっても良い。
【0053】
そして、各ヒューズ端子金具14における一対のヒューズ圧接刃22、22が、絶縁板60における第一載置部62の長さ方向に直交する幅方向で対向位置されていることにより、ヒューズ圧接刃22,22と対向位置される固定端子86,86は第一載置部62の幅方向の両外側に配設される。これにより、各ヒューズ端子金具14のそれぞれに対応して固定端子86が設けられて、複数の固定端子86は、第一載置部62を挟む幅方向両外側で、第一載置部62の長さ方向に配列される。
【0054】
また、プリント基板12には、ヒュージブルリンク用端子金具42に形成されて、バスバー16に接続された各タブ部54aのそれぞれと対向位置して、複数の固定タブ端子94が突設されている。詳細な図示は省略するが、固定タブ端子94は、前記固定端子86と略同様のクランク形状とされており、プリント基板12からの突出先端部分が、ヒュージブルリンク用端子金具42のタブ部54aと同様の、略一定の扁平断面形状をもって突出方向に延びる平板形状とされたものである。
【0055】
このような固定タブ端子94は、前記固定端子86のリード部90,90と同様のリード部がプリント基板12のスルーホール59に挿通されて半田付けされることにより、プリント基板12に形成された図示しないプリント配線と電気的に接続される。そして、バスバー16に接続されたヒュージブルリンク用端子金具42の各タブ部54aに対して、所定間隔を隔てて対向位置される。前記固定端子86と同様、ヒュージブルリンク用端子金具42において複数のタブ部54aが、第二載置部64の幅方向で対向位置されていると共に、第二載置部64の長さ方向に配列されていることから、これらタブ部54aに対応する複数の固定タブ端子94は、第二載置部64を挟む幅方向両外側で、第二載置部64の長さ方向に配列される。
【0056】
以上のようにして、ヒューズ端子金具14、給電用端子金具40、ヒュージブルリンク用端子金具42が嵌着されたバスバー16が、プリント基板12上に載置された絶縁板60に支持されることにより、プリント基板12に装着される。更に、バスバー16に突設されたヒューズ圧接刃22およびタブ部54aに対して、プリント基板12に突設された固定端子86のヒューズ圧接刃88および固定タブ端子94が対向配置される。これにより、プリント基板12上にヒューズ回路が構成されるようになっており、本実施形態においては、これらヒューズ端子金具14、給電用端子金具40、ヒュージブルリンク用端子金具42、バスバー16、絶縁板60、固定端子86および固定タブ端子94を含んで、ヒューズ回路構成ユニット10が構成されている。
【0057】
このような構造とされたプリント基板12は、図8に示すアッパケース96と、図示しないロアケースが組み合わされて形成されるケースの収容空間内に収容される。アッパケース96は、非導電性の合成樹脂からなり、一方に開口する箱体形状とされている。アッパケース96には、プリント基板12に突設されて、互いに対向配置されたヒューズ圧接刃22,88の各組に対応する位置に、ケース外方に開口する凹状のヒューズ収容部98が形成されている。本実施形態においては、ヒューズ圧接刃22,88の組の配列態様に対応して、ヒューズ圧接刃22,88の組と同数のヒューズ収容部98が、2列に並んで形成されている。
【0058】
また、アッパケース96には、プリント基板12に突設された電源用タブ端子50と対応する位置に、ケース外方に開口する凹状のコネクタ収容部100が形成されている。更に、アッパケース96には、プリント基板12に突設されて、互いに対向配置されたヒュージブルリンク用端子金具42のタブ部54aと固定タブ端子94の各組に対応する位置に、ケース外方に開口する凹状のヒュージブルリンク収容部102が形成されている。本実施形態においては、タブ部54aと固定タブ端子94の組の配列態様に対応して、タブ部54aと固定タブ端子94の組と同数のヒュージブルリンク収容部102が、2列に並んで形成されている。また、詳細な図示は省略するが、これらヒューズ収容部98、コネクタ収容部100、ヒュージブルリンク収容部102の底面には、端子挿通孔が貫設されている。なお、アッパケース96には、必要に応じて、従来公知のコネクタ収容部104等が適宜に形成されて、プリント基板12に突設された図示しない接続端子が、コネクタ収容部104内に位置される。
【0059】
このような構造とされたアッパケース96が、ヒューズ圧接刃22,88、電源用タブ端子50、タブ部54a,固定タブ端子94が突設されたプリント基板12に重ね合わされる。図示は省略するが、アッパケース96には、プリント基板12に向けて突出する嵌合筒部が形成されており、該嵌合筒部と絶縁板60の嵌合突部82が互いに嵌合することによって、アッパケース96とプリント基板12が相互に位置決めされるようになっている。そして、ヒューズ圧接刃22,88が端子挿通孔を通じてヒューズ収容部98内に突設されて互いに対向位置されることにより、ヒューズ装着部106が構成される。また、電源用タブ端子50が端子挿通孔を通じてコネクタ収容部100内に突設されることにより、コネクタ装着部108が構成される。更に、タブ部54a,固定タブ端子94が端子挿通孔を通じてヒュージブルリンク収容部102内に突設されて互いに対向位置されることにより、ヒュージブルリンク装着部110が構成される。
【0060】
そして、ヒューズ装着部106のヒューズ収容部98に、図示しないヒューズが挿入されて、ヒューズ圧接刃22,88と接続可能とされる。また、コネクタ装着部108のコネクタ収容部100に、図示しない外部電源からの給電路の末端に設けられたコネクタが挿入されて、電源用タブ端子50と接続可能とされる。更に、ヒュージブルリンク装着部110のヒュージブルリンク収容部102に、図示しないヒュージブルリンクが挿入されて、タブ部54a,固定タブ端子94と接続可能とされる。その結果、電源用タブ端子50に接続されるコネクタから電力が供給されて、バスバー16によって、バスバー16に嵌着されたヒューズ端子金具14のヒューズ圧接刃22やヒュージブルリンク用端子金具42のタブ部54aに分配される。そして、ヒューズ圧接刃22やヒュージブルリンク用端子金具42のタブ部54aと接続されたヒューズやヒュージブルリンクを介して、プリント基板12のプリント配線に電力が供給されることとなる。
【0061】
本実施形態におけるヒューズ回路構成ユニット10によれば、ヒューズ圧接刃22を備えたヒューズ端子金具14を、バスバー16と別体形成したことから、要求される回路配索形状に応じてバスバー16を任意に屈曲形成すると共に、ヒューズ端子金具14を嵌着することによって、バスバー16上の任意の場所にヒューズ圧接刃22を突設することが出来る。これにより、要求されるヒューズ回路を高い汎用性をもって形成することが出来る。その結果、バスバーにヒューズ圧接刃が一体成形される場合のように、回路配索形状に応じて各別にバスバー成形用のプレス金型を用意することも不要とされると共に、バスバー16とヒューズ端子金具14を各別に成形することによって、ヒューズ回路を歩留り良く形成することが出来る。更に、バスバー16に対するヒューズやヒュージブルリンクの直接の接触が回避されることから、バスバー16を、より安価な黄銅等で形成することも可能となる。
【0062】
そして、本実施形態におけるヒューズ端子金具14によれば、一対のヒューズ圧接刃22、22を有することから、1つのヒューズ端子金具14をバスバー16に嵌着することによって、2つのヒューズ装着部106,106の電源側ヒューズ端子を形成することが可能とされている。これにより、優れたスペース効率と組付効率を得ることが出来る。更に、一対の縦板部20,20の両方に嵌着スリット26,26が形成されていることから、バスバー16の形状に応じて、一対の嵌着スリット26、26の何れか一方、或いは両方に選択的にバスバー16を嵌着することが可能であり、より自由度の高い回路配索が可能とされている。特に本実施形態においては、一対の嵌着スリット26,26の開口部28,28が底板部18で互いに接続されていることから、バスバー16のヒューズ端子金具嵌着部32を、一対の縦板部20,20に亘って配設することが可能であり、ヒューズ端子金具14を、バスバー16の長さ方向の中間部分に容易に嵌着することが出来る。そして、バスバー16が一対の嵌着スリット26,26の両方に圧入されることから、より強固な嵌着力を得ることも出来る。
【0063】
さらに、本実施形態においては、バスバー16と別体形成された給電用端子金具40およびヒュージブルリンク用端子金具42がバスバー16に嵌着可能とされていることから、ヒューズ回路に対して、給電用の電源用タブ端子50やヒュージブルリンク接続用のタブ部54aを設けることが出来る。これにより、より優れた汎用性を得ることが出来ると共に、バスバー16の形状をより簡素化することが出来る。
【0064】
また、バスバー16が、絶縁板60を介してプリント基板12上に載置されることから、絶縁性が確保されると共に、挿通スリット78によってバスバー16が絶縁板60上で位置決めされることから、絶縁板60を差込部80でプリント基板12に位置決めすることによって、バスバー16をプリント基板12に対して容易に位置決めすることが出来る。
【0065】
なお、バスバー16の配索形状や、ヒューズ端子金具14、給電用端子金具40、ヒュージブルリンク用端子金具42のバスバー16における嵌着位置、絶縁板60の具体的形状等は、要求される回路配索形状等に応じて適宜に設定されるものであり、例えば、図9に示す本発明の異なる態様としてのヒューズ回路構成ユニット120の如き配索形状等も採用可能である。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と実質的に同様とされた部材および部位には、図中に前記第一の実施形態と同一の符号を付することにより、その説明を適宜に省略する。
【0066】
本態様におけるヒューズ回路構成ユニット120のバスバー16は、前記第一の実施形態と略同様の形状とされており、長さ方向一方の端部に、給電用端子金具嵌着部34が設けられていると共に、連結部66を挟んで給電用端子金具嵌着部34と反対側に、ヒュージブルリンク用端子金具嵌着部38が設けられている。そして、バスバー16における複数のヒューズ端子金具嵌着部32にヒューズ端子金具14がそれぞれ嵌着されると共に、給電用端子金具嵌着部34に、給電用端子金具40が嵌着される。また、ヒュージブルリンク用端子金具嵌着部38に、ヒュージブルリンク用端子金具42が嵌着される。なお、本態様におけるヒュージブルリンク用端子金具42には、前記実施形態におけるリード部58が形成されていない。これにより、本態様においては、複数のヒューズ端子金具14の配列直線上にヒュージブルリンク用端子金具42が配設されて、ヒューズ圧接刃22とタブ部54aが、複数のヒューズ端子金具14の配列直線と同一直線上に配列される。また、絶縁板60は、ヒュージブルリンク用端子金具42を含むバスバー16の平面形状に対応した略T字形状とされている。このようにすれば、複数のヒューズ装着部と複数のヒュージブルリンク装着部を、一直線上にスペース効率良く配設することが出来る。
【0067】
次に、図10に、ヒューズ回路構成ユニットに関する本発明の第二の実施形態としてのヒューズ回路構成ユニット130を示す。本実施形態における絶縁板132は、前記第一の実施形態における絶縁板60(図6参照)の第一載置部62と略同様の形状とされている。
【0068】
そして、本実施形態においては、絶縁板132において、一直線上に配列された複数のヒューズ端子収容部72および給電用端子収容部74と両側の周壁70,70との間に、これら端子収容部72,74の配列方向に延びる一対のバスバー134a,134bがそれぞれ配設されている。これらバスバー134a,134bは互いに略同様の構造とされていることから、図11に示すバスバー134aについて説明する。バスバー134aは、展開形状で打ち抜かれた導電性金属板が、長さ方向に延びる屈曲部136で折り返された略U字状断面を有している。更に、バスバー134aにおいて絶縁板60のヒューズ端子収容部72と対向する一方の側面138には、各ヒューズ端子収容部72の挿通スリット78とそれぞれ対応する位置に、矩形板状のヒューズ端子金具嵌着部32が切り起こされて形成されていると共に、給電用端子収容部74の挿通スリット78と対応する位置に、矩形板状の給電用端子金具嵌着部34が切り起こされて形成されている。
【0069】
このような構造とされたバスバー134a,134bが、ヒューズ端子収容部72と周壁70,70の間に嵌め入れられるようにして、載置面68上に載置される。載置面68への載置状態において、各バスバー134a,134bは、ヒューズ端子収容部72を挟む両側に位置して複数のヒューズ端子収容部72の配列方向に延びるように配設される。また、各ヒューズ端子金具嵌着部32が挿通スリット78を通じて各ヒューズ端子収容部72内に突設されると共に、給電用端子金具嵌着部34が挿通スリット78を通じて給電用端子収容部74内に突設される。
【0070】
そして、各ヒューズ端子収容部72にヒューズ端子金具14が挿入されることにより、一対の縦板部20の一方がバスバー134aのヒューズ端子金具嵌着部32に嵌着される一方、他方がバスバー134bのヒューズ端子金具嵌着部32に嵌着される。また、給電用端子収容部74に給電用端子金具40が挿入されることにより、一対の縦板部46a,46bの一方(図10においては、縦板部46a)がバスバー134aの給電用端子金具嵌着部34に嵌着される一方、他方(図10においては、縦板部46b)がバスバー134bの給電用端子金具嵌着部34に嵌着される。
【0071】
本実施形態によれば、バスバー134a,134bが、金属板が折り返されたU字状断面を有していることから、通電断面積をより大きく確保することが出来ると共に、表面積をより大きく確保して、より優れた放熱効果を得ることが出来る。そして、ヒューズ端子金具14における一対の縦板部20,20の両方に嵌着スリット26,26が形成されていることから、各縦板部20、20に、互いに別体とされたバスバー134a,134bをそれぞれ嵌着することが出来る。これにより、各ヒューズ端子金具14の縦板部20、20への電力供給をより安定的に行なうことが出来る。
【0072】
次に、図12および図13に、本発明の第三の実施形態としてのヒューズ回路構成ユニット150を示す。なお、図12および図13においては、理解を容易とするために、絶縁板を省略して示す。図13において後述するジョイント金具156等がプリント基板12から離隔しているのは、絶縁板を省略しているためである。
【0073】
本実施形態においては、バスバー152に嵌着された複数のヒューズ端子金具14のヒューズ圧接刃22が、プリント基板12の側方に向けて突出される。バスバー152には、前記第一の実施形態におけるバスバー16と略同様にして、複数のヒューズ端子金具嵌着部32が一直線上に並んで形成されている。そして、これらヒューズ端子金具嵌着部32が、ヒューズ端子金具14の嵌着方向がプリント基板12と平行となる向きでプリント基板12から離隔位置して図示しない絶縁板に支持される。更に、バスバー152における長さ方向一方の端部には、プリント基板12への組付状態でプリント基板12に向けて延びる連結部154が形成されている。
【0074】
このような構造とされたバスバー152は、ジョイント金具156によって、他のバスバー158と互いに電気的に接続されており、本実施形態におけるヒューズ回路構成ユニット150は、ジョイント金具156を含んで構成されている。図14に、ジョイント金具156を示す。ジョイント金具156は、銅や鉄などの導電性金属板が展開形状で打ち抜かれて屈曲された一体成形品とされている。ジョイント金具156には、底板部160と、底板部160において対向する両端縁部から互いに平行に突出する一対の縦板部162,162が一体形成されている。縦板部162,162は略矩形板形状とされており、これら縦板部162、162のそれぞれに、ヒューズ端子金具14の嵌着スリット26と同様の形状を有する一対の連結スリット164a,164bが形成されている。連結スリット164aと連結スリット164bは、縦板部162の突出方向で互いに反対方向に開口されており、連結スリット164aが縦板部162の突出先端側に開口されている一方、連結スリット164bが縦板部162の突出基端側に開口されている。そして、一対の縦板部162,162のそれぞれに形成された連結スリット164a,164aと、連結スリット164b,164bが、縦板部162,162の対向方向で同一直線上に形成されている。また、縦板部162の突出基端部に開口する連結スリット164b、164bは底板部160で互いに接続されている。
【0075】
このような構造とされたジョイント金具156は、プリント基板12上に配設されたバスバー158を連結スリット164b,164bに圧入することによって、バスバー158に嵌着される。ジョイント金具156は、プリント基板12上に載置された図示しない絶縁板に底板部160を重ね合わせて支持されて、プリント基板12に対する直交方向で、連結スリット164bをプリント基板12側に、連結スリット164aをプリント基板12と反対側に開口した向きで配設される。なお、バスバー158には、給電用端子金具40およびヒュージブルリンク用端子金具42が嵌着されている。そして、ジョイント金具156における他方の連結スリット164a,164aに、プリント基板12に対して直交する方向で、プリント基板12に向けて延び出されたバスバー152の連結部154が圧入されることにより、バスバー152がジョイント金具156に嵌着される。これにより、バスバー152とバスバー158が、ジョイント金具156を介して互いに電気的に接続される。
【0076】
さらに、プリント基板12には、複数の固定端子166a,166bが突設されており、本実施形態におけるヒューズ回路構成ユニット150は、これら固定端子166a,166bを含んで構成されている。固定端子166a,166bは互いに略同様の構造とされていることから、固定端子166aについて説明する。固定端子166aは、導電性金属板が展開形状で打ち抜かれて屈曲形成された一体成形品とされており、略一定の幅寸法をもって延びると共に、長さ方向の中間部分において略直角に屈曲された屈曲部167を有するL字形状とされている。固定端子166aの長さ方向の一方の端部には、ヒューズ端子金具14のヒューズ圧接刃22と同様の所謂音叉形状を有するヒューズ圧接刃168が形成されている。また、屈曲部167を挟んでヒューズ圧接刃168と反対側の部分が、ヒューズ圧接刃168の開口方向に対して直交して延びる突出部170とされている。固定端子166aと固定端子166bは、突出部170の長さが異ならされたものであり、固定端子166aの突出部170は、固定端子166bの突出部170に比して長さ寸法が大きくされている。そして、突出部170において屈曲部168と反対側の端縁部には、略一定の略正方形断面をもって突出部170の延出方向と同方向に突出する線状のリード部172が形成されている。
【0077】
このような構造とされた固定端子166a,166bは、リード部172がスルーホール59に挿通されて半田付けされることによって、プリント基板12に固定されると共に、プリント基板12に形成された図示しないプリント配線と電気的に接続される。バスバー16に嵌着された各ヒューズ端子金具14のそれぞれに対して、一対の固定端子166a,166bが、プリント基板12に対して直交する方向でヒューズ端子金具14を挟むように配設されている。
【0078】
これにより、固定端子166aのヒューズ圧接刃168が、ヒューズ端子金具14においてプリント基板12に遠位のヒューズ圧接刃22に対して所定距離を隔てて対向位置されて、ヒューズ圧接刃22と同様に、プリント基板12の側方に突出される。また、固定端子166bのヒューズ圧接刃168が、ヒューズ端子金具14においてプリント基板12に近位のヒューズ圧接刃22に対して、所定距離を隔てて対向位置されて、ヒューズ圧接刃22と同方向に突出される。
【0079】
このようなヒューズ回路構成ユニット150が設けられたプリント基板12は、図示しないケース内に収容される。該ケースの側方には、図8に示したヒューズ収容部98と同様の複数のヒューズ収容部が形成されている。そして、固定端子166aのヒューズ圧接刃168と、ヒューズ端子金具14においてプリント基板12に遠位のヒューズ圧接刃22がヒューズ収容部内に配設されることによって1つのヒューズ装着部174が構成される。また、固定端子166bのヒューズ圧接刃168と、ヒューズ端子金具14においてプリント基板12に近位のヒューズ圧接刃22がヒューズ収容部内に配設されることよって1つのヒューズ装着部174が構成される。これにより、ケースの側方に開口する複数のヒューズ装着部174が、2列に並んで形成されることとなる。
【0080】
本実施形態に従う構造とされたヒューズ回路構成ユニット150によれば、ケースの側方に開口するヒューズ装着部174を形成することが出来、ケースの側方からヒューズを接続することが可能とされる。そして、本実施形態から明らかなように、バスバー16は、必ずしもプリント基板12の平面上に沿って配設されるものに限定されず、プリント基板12上で立体的に配策することも可能である。
【0081】
また、本実施形態においては、ジョイント金具156を用いることによって、互いに別体とされたバスバー152とバスバー154を互いに接続することが可能とされている。これにより、より複雑な配策形状を有するヒューズ回路を構成することが可能とされている。
【0082】
そして、以上から明らかなように、前記第一の実施形態としてのヒューズ回路構成ユニット10およびこれと異なる態様のヒューズ回路構成ユニット120、第二の実施形態としてのヒューズ回路構成ユニット130、第三の実施形態としてのヒューズ回路構成ユニット150の何れにおいても、ヒューズ端子金具14は同一のものが用いられている。このように、本発明に従う構造とされたヒューズ端子金具14は、各実施形態におけるバスバー16,134a,134b,152の何れにも共通して用いることが可能とされている。これにより、ヒューズ端子金具14のプレス金型を各実施形態において共通化することが可能となり、優れた汎用性と製造コスト効率を得ることが出来る。更に、前記第一の実施形態としてのヒューズ回路構成ユニット10およびこれと異なる態様のヒューズ回路構成ユニット120と、第三の実施形態としてのヒューズ回路構成ユニット150においては、バスバー16,152は金属板の屈曲態様が異ならされているのみであることから、何れも同一のプレス金型を用いることが可能であり、更なる汎用性の向上と製造コスト効率の向上を図ることが出来る。
【0083】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記ヒューズ端子金具14には一対の縦板部20,20の両方に嵌着スリット26,26が形成されていたが、何れか一方の縦板部20のみに嵌着スリット26を形成しても良く、給電用端子金具40やヒュージブルリンク用端子金具42についても同様である。また、ジョイント金具における連結スリットの数および開口方向も任意に設定可能であり、例えば、互いに同方向に開口する3つ以上の連結スリットを形成する等しても良い。
【0084】
また、ヒューズ端子金具や給電用端子金具などの具体的形状は、前記実施形態のものに限定されない。例えば、ヒューズ端子金具に、前記ヒュージブルリンク用端子金具42に設けられていたリード部58を設ける等しても良い。このようにすれば、ヒューズ端子金具をより安定的にプリント基板に装着出来ると共に、プリント配線との接続も可能となる。更にまた、例えば前記ヒューズ端子金具14におけるヒューズ圧接刃22,22の形成部分をタブ状に形成して、ヒュージブルリンクを接続可能な端子金具を形成するなどしても良い。また、ヒューズ端子金具14における一対のヒューズ圧接刃22,22の形成部分の何れか一方のみをタブ状に形成することによって、一方の縦板部20にヒューズを接続し、他方の縦板部20にヒュージブルリンクを接続することの出来る端子金具を形成することも可能である。
【0085】
加えて、給電用端子金具の異なる態様として、例えば図15に示す給電用端子金具180を採用することも可能である。給電用端子金具180は、前記給電用端子金具40における一方の縦板部46aの先端部が屈曲されることによって、縦板部46aに対して立ち上がる電源用タブ端子182が形成されている。このような給電用端子金具180を用いれば、プリント基板12に対して直交して延びるバスバー16に対して、電源用タブ端子182を設けることが出来る。
【符号の説明】
【0086】
10,120,130,150:ヒューズ回路構成ユニット、12:プリント基板、14:ヒューズ端子金具、16,134a,134b,152,158:バスバー、18:底板部、20:縦板部、22:ヒューズ圧接刃、26:嵌着スリット、40,180:給電用端子金具、42:ヒュージブルリンク用端子金具、48:接続スリット、50,182:電源用タブ端子、52:平板部、54a:タブ部(ヒュージブルリンクの接続用タブ部)、54b:タブ部(バスバーへの接続用タブ部)、58:リード部、59:スルーホール、60,132:絶縁板、68:載置面、86,166a,166b:固定端子、106,174:ヒューズ装着部、156:ジョイント金具、164a,b:連結スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部と、該底板部において対向する両側端縁部から平行に立ち上がる一対の縦板部とを備えており、該一対の縦板部には、それぞれ先端側に開口するヒューズ圧接刃が形成されている一方、前記一対の縦板部の少なくとも一方には、基端側に開口して前記底板部にまで延びるバスバー接続用の嵌着スリットが形成されていることを特徴とするヒューズ端子金具。
【請求項2】
前記嵌着スリットが前記一対の縦板部のそれぞれに形成されており、それら一対の縦板部における嵌着スリットが前記底板部において互いに接続されている請求項1に記載のヒューズ端子金具。
【請求項3】
プリント基板に装着されてヒューズ回路を構成するヒューズ回路構成ユニットであって、
請求項1又は2に記載のヒューズ端子金具と、
前記ヒューズ端子金具の前記嵌着スリットに嵌め入れられて接続されるバスバーと、
前記プリント基板上に載置されて前記ヒューズ端子金具と前記バスバーを支持する絶縁板と、
前記プリント基板の導電路に接続されて、前記ヒューズ端子金具の前記縦板部と対向位置せしめられることにより該縦板部と協働してヒューズ装着部を構成する固定端子と
を、含むことを特徴とするヒューズ回路構成ユニット。
【請求項4】
前記バスバーが嵌着されて接続される接続スリットと、外部電源からの給電路が接続される電源用タブ端子とを備えた給電用端子金具を、更に含んでいる請求項3に記載のヒューズ回路構成ユニット。
【請求項5】
前記絶縁板上に載置される平板部を備えていると共に、該平板部の端縁部から立ち上がるタブ部が複数形成されており、前記タブ部の少なくとも一つがヒュージブルリンクの接続用タブ部とされていると共に、前記タブ部の少なくとも一つがバスバーへの接続用タブ部とされている一方、前記平板部の端縁部から前記タブ部と反対側に突出して前記プリント基板のスルーホールに挿通されて半田付けされるリード部が形成されている、ヒュ−ジブルリンク用端子金具を、更に含んでいる請求項3又は4に記載のヒューズ回路構成ユニット。
【請求項6】
前記バスバーを複数有すると共に、互いに異なるバスバーが嵌着されて接続される複数の連結スリットが形成されたジョイント金具を、更に含んでいる請求項3〜5の何れか1項に記載のヒューズ回路構成ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−125205(P2011−125205A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283439(P2009−283439)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】