説明

ヒンジユニット

【課題】ヒンジユニットのトルク発生機構への水の侵入を防ぎ、グリスの漏出を防ぐ。
【解決手段】中央に貫通孔573を有する底部が内部に設けられ、両端部が開口された筒体57と、先端が貫通孔573に挿入され、基部に一方の開口571を封止する蓋部531が設けられた回転軸53と、貫通孔573よりも大きく、貫通孔573に挿通された状態の回転軸53の先端に設けられた脱落防止材58と、筒体57内の底部と蓋部531との間に軸方向に移動可能に設けられたスライド体56と、スライド体56と係合する係合部を有しスライド体56に対して周方向に回転可能に設けられた回転部と、スライド体56を回転部側に付勢する付勢材55と、を備え、蓋部531の外周には筒体57の内壁面との隙間を封止する第1の封止材54が設けられ、他方の開口572は第2の封止材593により閉塞されるヒンジユニットである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話機には、キー操作部を有する本体に対してヒンジ部が回転可能とされるとともに、表示画面を有する蓋体がヒンジ部に対して回転可能とされ、本体に対して蓋体の表示画面側または背面側のいずれかを重ね合わせることができる折り畳み式携帯電話機がある。このような携帯電話機では、本体と蓋体との開閉に用いる開閉軸と、開閉軸の軸線方向と直角な軸線方向の回転軸とを備えるヒンジユニットが採用されている。
【0003】
このようなヒンジユニットには、軸方向にスライドするスライド体と、スライド体に対して周方向に回転する回転部と、スライド体と回転部とが接触するように付勢するバネを内蔵したトルク発生機構を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。上記トルク発生機構では、スライド体と回転部との対向する面の一方に設けられた凸部と、他方に設けられた凹部とが所定の角度で係合する。バネによりスライド体と回転部とが接触するように付勢されているため、回転時にはバネの弾性力により係合状態になるように誘導される。一方、係合状態から脱するように回転させるときには、バネの弾性力に抗して係合を解除するためにトルクが必要となる。このため、ユーザは所定の回転角度において回転に必要なトルクの変化(クリック感)を感じる。
【特許文献1】特開2005−188641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ヒンジユニットでは上記トルク発生機構の内部への水の侵入を防ぐとともに、スライド体や回転部の磨耗を防ぐために充填されたグリスの漏出を防ぐ必要がある。しかし、従来は電気部品の防水に重点が置かれ、ヒンジユニット自体の防水が充分ではなく、またグリスの漏出防止対策もとられていなかった。
【0005】
本発明の課題は、ヒンジユニットのトルク発生機構への水の侵入を防ぐとともに、グリスの漏出を防ぐことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、中央に貫通孔を有する底部が内部に設けられ、両端部が開口された筒体と、先端が前記貫通孔に挿入され、基部に前記一方の開口を封止する蓋部が設けられた回転軸と、前記貫通孔よりも大きく、前記貫通孔に挿通された状態の前記回転軸の先端に設けられた脱落防止材と、前記筒体内の底部と蓋部との間に軸方向に移動可能に設けられたスライド体と、前記スライド体と係合する係合部を有し前記スライド体に対して周方向に回転可能に前記筒体内の底部と蓋部との間に設けられた回転部と、前記スライド体を前記回転部側に付勢する付勢材と、を備え、前記蓋部の外周には前記筒体の内壁面との隙間を封止する第1の封止材が設けられ、前記他方の開口は第2の封止材により閉塞されることを特徴とするヒンジユニットである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、中央に貫通孔を有する底部が一方の端部に設けられ、他方の端部が開口された筒体と、先端が前記貫通孔に挿入され、基部に前記開口を封止する蓋部が設けられた回転軸と、前記貫通孔よりも大きく、前記貫通孔に挿通された状態の前記回転軸の先端に設けられた脱落防止材と、前記筒体内に軸方向に移動可能に設けられたスライド体と、前記スライド体と係合する係合部を有し前記スライド体に対して周方向に回転可能に前記筒体内に設けられた回転部と、前記スライド体を前記回転部側に付勢する付勢材と、を備え、前記蓋部の外周には前記筒体の内壁面との隙間を封止する第1の封止材が設けられ、前記底部と前記脱落防止材との間には、前記回転軸と前記筒体との隙間を封止する第2の封止材が設けられることを特徴とするヒンジユニットである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のヒンジユニットにおいて、前記回転部は前記底部または前記蓋部であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のヒンジユニットにおいて、前記筒体内の前記第1の封止材と前記第2の封止材との間にはグリスが充填されることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のヒンジユニットにおいて、前記回転軸の軸線方向と直角な軸線方向の第2の回転軸を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スライド体、回転部を収容する筒体内が第1の封止材及び第2の封止材により封止されるので、トルク発生機構への水の侵入を防ぐことができる。また、この中に充填したグリスの漏出を防ぐことである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明を適用した携帯電話機1を示す斜視図である。携帯電話機1は、図1に示すように、前面に表示画面27が設けられた蓋体2と、前面にキー操作部33が設けられた本体3と、蓋体2と本体3とを接続するヒンジ部4とからなる。なお、ヒンジ部4には、後述するヒンジユニット40及びフレキシブルプリント基板(FPC41)が設けられている。
【0013】
図2は携帯電話機1の筐体の分解斜視図である。
図2に示すように、蓋体2の筐体は、前ケース21と、後ケース22と、ディスプレイパネル23と、ネジカバー24と、ヒンジカバー25等から概略構成される。
【0014】
前ケース21は四隅にネジ孔211を有し、後ケース22にネジ止めされ、内部に図示しない表示装置(LCDディスプレイ等)、図示しない回路基板等が収納される。上部のネジ孔211はネジカバー24により覆われる。
また、前ケース21には透明なディスプレイパネルにより塞がれる大きな開口212が設けられており、蓋体2の内部に収納される表示装置が見えるようになっている。
【0015】
前ケース21の下端部には、ヒンジユニット40のブラケット59がネジ44,44により止められている。また、前ケース21の下端部には、FPC41を挿通させ、FPC41に設けられたキャップ411(図4参照)により閉塞される挿通孔213が設けられている。ブラケット59やキャップ411により閉塞される挿通孔213は下部のネジ孔211とともにヒンジカバー25により覆われる。
【0016】
本体3の筐体は、前ケース31と、中ケース32と、後ケース33と、等から概略構成され、内部にキーパッド34や図示しないキー基板、図示しないメイン基板等が収納される。
前ケース31の上端には、ヒンジユニット40の左右両端部を覆うヒンジカバー311,311が設けられている。また、前ケース31には、キーパッド34を露出させるためのキー孔312が設けられている。
【0017】
中ケース32の前面には、開口321が設けられている。この開口321の部分に配置されるキー基板(図示せず)の前面にキーパッド34が配置される。開口321は前ケース31により覆われる。
中ケース32の上端部には、ヒンジユニット40のブラケット67,73がネジ45,45により止められている。ブラケット67,73はヒンジカバー311,311により覆われる。
また、中ケース32の上端面には、FPC41を挿通させ、FPC41に設けられたキャップ412(図4参照)により閉塞される挿通孔(図示せず)が設けられている。
後ケース33は内部に中ケース32が嵌入され、中ケース32の上端面、下端面、左右側面及び後部を覆う。
【0018】
FPC41は、図4に示すように、キャップ411,412を有し、両端部に設けられた接続部413,414と、回転巻き部415と、開閉巻き部416とからなる。接続部413は蓋体2に収納される回路基板に接続される。接続部414は本体3に収納される回路基板に接続される。回転巻き部415はヒンジユニット40のケース57に巻きつけられる。開閉巻き部416はヒンジユニット40のケース72に巻きつけられる。
【0019】
次に、本発明に係るヒンジユニット40について詳細に説明する。
図3は図2のヒンジ部4の前カバー42,後カバー43を外した状態を示す分解斜視図であり、図4はヒンジユニット40及びFPC41を前ケース21、中ケース32から外した状態を示す分解斜視図である。また、図5はヒンジユニット40の分解斜視図であり、図6は図4のVI−VI矢視端面図である。
ヒンジユニット40は、3つの回転モジュール5,6,7からなる。
【0020】
回転モジュール5は、図5,図6に示すように、基部50と、Oリング54と、2つのディスクスプリング55,55と、カム56と、ケース57と、ワッシャー58と、ブラケット59とからなる。
【0021】
基部50は、左右に設けられたブラケット51,52と、中央に設けられたシャフト53とを有する。
ブラケット51の左端部には、回転モジュール6のシャフト61が挿入される挿入口511が設けられている。また、ブラケット51の外周部には、挿入口511に挿入されるシャフト61をブラケット51に固定するためにシャフト61に差し込まれるピン505を挿入する孔512が設けられている。
ブラケット52の右端部には回転モジュール7のシャフト71が挿入される挿入口521が設けられている。また、ブラケット52の外周部には、挿入口521に挿入されるシャフト61をブラケット51に固定するためにシャフト71に差し込まれるピン505を挿入する孔522が設けられている。
【0022】
シャフト53は基部側から順に、蓋部531と、カム係合部534と、ワッシャー固定部536とからなる。
蓋部531は外径がケース57の挿入口571の内径よりも若干小さい円筒形である。蓋部531には外周部に溝532が設けられており、溝532にOリング54が嵌合している。Oリング54は挿入口571の内壁面と密着し、蓋部531とケース57との隙間を水密に封止する。
カム係合部534は、2つのディスクスプリング55,55及びカム56に挿通される。また、カム係合部534には、左右に平坦な係合部535,535が設けられている。
ワッシャー固定部536の先端には、左右に切欠き537,537が設けられている。ワッシャー固定部536の先端は、ワッシャー58に挿通された状態で先端を潰される。
【0023】
ディスクスプリング55,55は環状であり、中央に設けられた孔551にシャフト53が挿通されている。ディスクスプリング55,55はカム56をケース57側へ付勢する。カム56は環状であり、中央に孔561が設けられている。孔561の形状はカム係合部534の断面形状とほぼ等しく、係合部535と係合する2箇所の平坦部562,562が設けられている。平坦部562,562が係合部535,535と係合することで、カム56のシャフト53に対する軸方向への移動を可能としながら、軸周りの回転が妨げられる。
カム56のケース57側の面には2箇所の凹部562,562が互いに180°反対側に設けられている。
【0024】
ケース57は円筒状であり、外周部にFPC41の回転巻き部415が配設される。
ケース57の下面には、シャフト53の蓋部531、ディスクスプリング55,55及びカム56が挿入される挿入口571が設けられている。なお、蓋部531、2つのディスクスプリング55,55及びカム56の外径はほぼ等しく、挿入口571の内径よりも若干小さく形成されている。
また、挿入口571の底部には、カム56の凹部562,562と係合する突起(図示せず)が設けられている。
【0025】
ケース57の上端面には、ワッシャー58やブラケット59のキャップ593が挿入される挿入口572が設けられている。挿入口572の内径はワッシャー58の外径よりも若干大きく形成されている。挿入口572の内壁はキャップ593と密着し、水密に封止される。
【0026】
挿入口571と挿入口572とは、底部に設けられた貫通孔573により貫通している。貫通孔573にはワッシャー固定部535が挿入される。
【0027】
なお、挿入口571、挿入口572、貫通孔573の内部は、Oリング54及びキャップ593により封止されており、内部にグリスが封入されている。グリスはシャフト53、カム56、ワッシャー58のケース57に対する回転を円滑にし、磨耗を防ぐ。ケース57がOリング54及びキャップ593により封止されているため、封入されたグリスがケース57の外へ漏出することはない。
【0028】
ケース57の上端には、ブラケット59に設けられた孔594に挿入される突起574が設けられている。
【0029】
ワッシャー58は中央に孔581を有し、この孔581にシャフト53のワッシャー固定部535が挿通される。ワッシャー58の孔581の内壁面には、平坦部582が設けられている。平坦部582にワッシャー固定部535の切欠き535が係合することで、ワッシャー58の軸回りの回転が妨げられる。
切欠き535が平坦部582と係合した状態でワッシャー固定部536の先端が潰されることで、ワッシャー58はワッシャー固定部536の先端部に固定される。
【0030】
カム係合部534、ワッシャー固定部536がディスクスプリング55,55、カム56及びケース57に挿通された状態で、ワッシャー固定部536の先端にワッシャー58が固定されることで、ディスクスプリング55,55、カム56及びケース57は、蓋部531とワッシャー58との間に挟持される。
【0031】
ブラケット59は左右に前ケース21への固定部591、591を有する。また、ブラケット59は下面に突起592を有し、突起592にはキャップ593が被せられている。ここで、キャップ593は、ゴム等の弾性材からなり、挿入口572に挿入されて内壁面と密着し、水密に封止する。
また、突起592の周囲には、ケース57の上端の突起574が挿通される孔594が設けられている。孔594に突起574が挿通された状態で、突起574の先端を潰すことにより、ブラケット59がケース57に固定される。
【0032】
上記構造の回転モジュール5では、基部50、カム56、ワッシャー58に対して、ケース57及びブラケット59が円滑に回転可能となる。
【0033】
回転モジュール6は、図5,図6に示すように、シャフト61と、Oリング62と、カム63と、コイルスプリング64と、ケース65と、Oリング66と、ブラケット67と、ワッシャー68とからなる。
シャフト61は、ブラケット51に取り付けられる基部611と、蓋部613と、小径部615と、ワッシャー固定部616とからなる。
基部611には、ピン503が差し込まれるピン孔612が設けられている。シャフト61のピン孔612が設けられた端部が基部50の挿入口511に挿入された状態で、ピン孔512,612にピン503が差し込まれることで、シャフト61は基部50に固定される。このときシャフト61の軸線方向はシャフト53の軸線方向と直角方向となるように配置される。
【0034】
蓋部613は外径がケース65の挿入口651の内径よりも若干小さい円筒形である。蓋部613には、外周部に溝614が設けられており、溝614にOリング62が嵌合している。Oリング62はケース65の挿入口651の内壁面と密着し、水密に封止する。蓋部613の左側端面には、中央に小径部615が設けられており、外周部に凹部(図示せず)が設けられている。凹部にはカム63の突起633が係合する。
【0035】
小径部615は、カム63、コイルスプリング64,ケース65に挿通される。
ワッシャー固定部616の先端には、左右に切欠き617,617が設けられている。ワッシャー固定部616の先端は、ワッシャー68に挿通された状態で先端を潰される。
カム63には、中央に穴631が設けられており、穴631にはシャフト61の小径部615が挿通されている。また、カム63の外周部には、2箇所の突起部632,632が互いに180°反対側に設けられている。突起部632,632はケース65の挿入口651内に軸方向に設けられた溝652(図6参照)と係合する。
また、カム63の蓋部613と対向する面には、突起633が設けられている。突起633は蓋部613の対向面に設けられた凹部(図示せず)と係合する。
【0036】
コイルスプリング64は螺旋状であり、中央にシャフト61が挿通されている。コイルスプリング64はケース65内の縮径部653に保持され、カム63を蓋部613側へ付勢する。
ケース65は筒状であり、右側端面に挿入口651が設けられている。
挿入口651内には、軸方向に溝652,652が設けられている。溝652,652にはカム63の突起部632,632が係合する。
挿入口651の底部は、入口側よりも内径の小さい縮径部653となっている。縮径部653の内径はコイルスプリング64の外径よりも若干大きく、縮径部653は内部にコイルスプリング64を保持する。
【0037】
また、挿入口651の底部には、左側端面まで貫通する貫通孔654が設けられている。貫通孔654にはワッシャー固定部616が挿入される。
ケース65の左側端面には、Oリング66を保持する環状突起655が設けられている。また、環状突起655の外周部には、ブラケット67の凹部673と係合する係合突起656が設けられている。
Oリング66はケース65とブラケット67との間に挟持され、小径部615の外周面と密着し、環状突起655と小径部615との隙間を水密に封止する。
【0038】
なお、挿入口651、貫通孔654の内部は、Oリング62,66により封止されており、内部にグリスが封入されている。グリスはシャフト61のケース65に対する回転、カム63及びコイルスプリング64の軸方向への移動を円滑にし、磨耗を防ぐ。ケース65がOリング62,66により封止されているため、封入されたグリスがケース65の外へ漏出することはない。
【0039】
ブラケット67は、中ケース32への固定部671を有する。また、ブラケット67のケース65と対向する面には、ケース65の環状突起655の外周部に配置される円弧状の突起672,672が設けられ、突起672,672の間が係合突起656と係合する凹部673となっている。
また、ブラケット67はワッシャー68が固定されたシャフト61を挿通させる挿通孔674を有する。
【0040】
ワッシャー68は中央に孔681を有し、この孔681にシャフト61のワッシャー固定部616が挿通される。ワッシャー68の孔681の内壁面には、平坦部682が設けられている。平坦部682にワッシャー固定部616の切欠き617が係合することで、ワッシャー68の軸回りの回転が妨げられる。
切欠き617が平坦部682と係合した状態でワッシャー固定部616の先端が潰されることで、ワッシャー68はワッシャー固定部616の先端部に固定される。
【0041】
小径部615、ワッシャー固定部616がカム63、コイルスプリング64、ケース65,Oリング66、ブラケット67及びワッシャー68に挿通された状態で、ワッシャー固定部616の先端にワッシャー68が固定されることで、カム63、コイルスプリング64、ケース65,Oリング66、ブラケット67は、蓋部613とワッシャー68との間に挟持される。
【0042】
上記構造の回転モジュール6では、シャフト61、ワッシャー68に対して、カム63、コイルスプリング64、ケース65、Oリング66、ブラケット67が回転可能となる。
【0043】
回転モジュール7は、図6に示すように、シャフト71と、ケース72と、ブラケット73と、ワッシャー74とからなる。
シャフト71の一端には、ピン505が差し込まれるピン孔711が設けられている。シャフト71のピン孔711が設けられた端部が基部50の挿入口521に挿入された状態で、ピン孔522,711にピン505が差し込まれることで、シャフト71は基部50に固定される。このときシャフト71の軸線はシャフト61の軸線と一致するように配置される。
【0044】
また、シャフト71の他端には、ワッシャー74に挿通されるワッシャー固定部712が設けられている。ワッシャー固定部712はワッシャー固定部616と同様に、ワッシャー74の孔の内壁面に設けられた平坦部742と係合する切欠きが設けられている。
ケース72は筒状であり、内部にシャフト71が挿入される。また、ケース72の外周部には、溝721が周方向に設けられている。溝721にはFPC41の開閉巻き部416が配設される。
ブラケット73は中ケース32への固定部731を有する。また、ブラケット73はワッシャー74が固定されたシャフト71を挿通させる挿通孔732を有する。
【0045】
ワッシャー74は中央に孔を有し、この孔にシャフト71のワッシャー固定部712が挿通される。ワッシャー74の孔の内壁面には、平坦部742が設けられている。平坦部742がワッシャー固定部712に設けられた切欠きと係合することで、ワッシャー74の軸回りの回転が妨げられる。ワッシャー固定部712の先端部がワッシャー74に挿通された状態で潰されることで、ワッシャー74はシャフト71の端部に固定される。
【0046】
ワッシャー固定部712の先端にワッシャー74が固定されたシャフト71がブラケット73、ケース72に挿通された状態で、シャフト71のピン孔711が設けられた端部を基部50の挿入口521に挿入し、ピン孔522,711にピン505を差し込むことで、ブラケット73、ケース72は、基部50とワッシャー74との間に挟持される。
【0047】
上記構造の回転モジュール7では、基部50、シャフト71、ワッシャー74に対して、ケース72、ブラケット73が回転可能となる。
【0048】
上記ヒンジユニット40の固定部591,591を前ケース21に、固定部671,731を中ケース32に取り付けると、前ケース21はシャフト53に対して回転可能となり、中ケース32はシャフト61,71に対して回転可能となる。
【0049】
なお、以上の実施形態においては、トルク発生機構として、カム56をケース57に係合させたが、例えば、カム56と係合する突起を有しケース57とともに回転する回転体をカム56とケース57の底部との間に別途設けてもよい。同様に、カム63をシャフト61に係合させたが、カム63と係合する凹部を有しシャフト61とともに回転する回転体をカム63と蓋部613との間に別途設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明を適用した携帯電話機1を示す斜視図である。
【図2】図1の携帯電話機1の筐体の分解斜視図である。
【図3】図2のヒンジ部4の前カバー42,後カバー43を外した状態を示す分解斜視図である。
【図4】図3のヒンジユニット40及びFPC41を前ケース21、中ケース32から外した状態を示す分解斜視図である。
【図5】図4のヒンジユニット40の分解斜視図である。
【図6】図4のVI−VI矢視端面図である。
【符号の説明】
【0051】
5,6,7 回転モジュール(ヒンジユニット)
50 基部
53,61 シャフト(回転軸)
54,62,66 Oリング(封止材)
55 ディスクスプリング(付勢材)
56,63 カム(スライド体)
57,65 ケース(筒体)
58,68 ワッシャー(脱落防止材)
593 キャップ(封止材)
64 コイルスプリング(付勢材)
67 ブラケット(脱落防止材)
531,613 蓋部
571,572,651 挿入口(開口)
573,654 貫通孔
593 キャップ(封止材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に貫通孔を有する底部が内部に設けられ、両端部が開口された筒体と、
先端が前記貫通孔に挿入され、基部に前記一方の開口を封止する蓋部が設けられた回転軸と、
前記貫通孔よりも大きく、前記貫通孔に挿通された状態の前記回転軸の先端に設けられた脱落防止材と、
前記筒体内の底部と蓋部との間に軸方向に移動可能に設けられたスライド体と、
前記スライド体と係合する係合部を有し前記スライド体に対して周方向に回転可能に設けられた回転部と、
前記スライド体を前記回転部側に付勢する付勢材と、を備え、
前記蓋部の外周には前記筒体の内壁面との隙間を封止する第1の封止材が設けられ、
前記他方の開口は第2の封止材により閉塞されることを特徴とするヒンジユニット。
【請求項2】
中央に貫通孔を有する底部が一方の端部に設けられ、他方の端部が開口された筒体と、
先端が前記貫通孔に挿入され、基部に前記開口を封止する蓋部が設けられた回転軸と、
前記貫通孔よりも大きく、前記貫通孔に挿通された状態の前記回転軸の先端に設けられた脱落防止材と、
前記筒体内に軸方向に移動可能に設けられたスライド体と、
前記スライド体と係合する係合部を有し前記スライド体に対して周方向に回転可能に設けられた回転部と、
前記スライド体を前記回転部側に付勢する付勢材と、を備え、
前記蓋部の外周には前記筒体の内壁面との隙間を封止する第1の封止材が設けられ、前記底部と前記脱落防止材との間には、前記回転軸と前記筒体との隙間を封止する第2の封止材が設けられることを特徴とするヒンジユニット。
【請求項3】
前記回転部は前記底部または前記蓋部であることを特徴とする請求項1または2に記載のヒンジユニット。
【請求項4】
前記筒体内の前記第1の封止材と前記第2の封止材との間にはグリスが充填されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のヒンジユニット。
【請求項5】
前記回転軸の軸線方向と直角な軸線方向の第2の回転軸を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のヒンジユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−271061(P2007−271061A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100721(P2006−100721)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】