説明

ヒートシンク、放熱部材および電子機器

【課題】ヒートシンクのフィン部に溜まるほこり等の汚れを除去し易く、放熱効率及びフィン部とヒートシンク本体とのコンタクトの向上を図るヒートシンク等を提供すること。
【解決手段】ヒートシンクは、発熱部材に対して熱的に接続されるヒートシンク本体部と、ヒートシンク本体部と接合される勘合部分を有するベースに複数のフィンが配置される放熱部材とを有し、勘合部分は凹凸形状であり、放熱部材はヒートシンク本体部から脱着可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンクのほこり等を除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナル・コンピュータ等の電子機器内には、CPU(Central Processing Unit)等の発熱体が組み込まれており、発熱体が過度に発熱するとCPUの性能を十分に発揮することができないため、冷却が必要となる。ここで、発熱体を冷却する手法として、例えば、発熱体の熱を受ける受熱部と、放熱フィンとをヒートパイプで熱的に接続して放熱フィン側に熱を伝え、放熱フィンを冷却ファンで強制空冷する技術がある。
【0003】
この技術の仕組みは以下のようになっている。すなわち、複数枚の放熱フィンが並べて配置されたヒートシンクがあり、これに発熱部品の熱を電子部品材等からヒートパイプを介して送る。さらに、冷却ファン等で放熱フィンに対して冷却空気を送り、冷却空気にこの熱を移すことにより、冷却を行うものである。
【0004】
しかし、この技術には、外気から取り込まれる冷却空気に含まれるほこりなどの汚れが放熱フィンに付着することを完全に防止することができない為、時間の経過に伴いほこり等が付着し放熱効率が低下する等の問題を生ずる。
【0005】
その対策として、ヒートシンクのフィン部に溜まるほこり等のよごれを除去し易くするためのドアが用意される場合がある。
【0006】
また、関連技術として、押出成形の加工精度で十分な結合ができ、フィン材の熱交換総面積を大きく取り、ベース部材とフィン材の熱伝導率が良好な状態の結合が確実で、ベース部材にフィン材を単に強制的に挿入するだけで簡単に結合構造体とすることができるヒートシンク用フィン材及びそれを使用した結合構造体を提供するものがある。その結合構造体の構成は、フィン材嵌合のための挿入用溝を設けた箱形のベース部材の挿入用溝に、ベース部材の断面よりもわずかに大きい高さを有しかつ断面形状が曲線または折れ線で構成されたフィン材を、ベース部材及びフィン材の両者の嵌合面の酸化物がはぎ取られ、金属面同士が結合した状態になるように強制的に挿入したものである。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−24115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ヒートシンクのフィン部に溜まるほこり等の汚れは、フィンの間隔が狭いこと、フィンにこびりつくこと等から、ほこり等の汚れ除去用のドアが付いていても、取り除き難かった。
また、フィン部をヒートシンク本体から脱着可能な構成とした場合、着脱部分の熱伝導面積が小さいと放熱効率が低下する一方、着脱部分の熱伝導面における接合等によるフィン部とヒートシンク本体とのコンタクトを向上させることも必要であった。
【0009】
また、上述の関連技術では、フィンを構成する部品は取り外してブラシ等で掃除して再度装着することができなく、フィンの隙間からほこり等の汚れを取り除くのに困難を伴っていた。
【0010】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、ヒートシンクのフィン部に溜まるほこり等の汚れを除去し易く、かつ、放熱効率の向上が図られ、かつ、フィン部とヒートシンク本体とのコンタクトの向上が図られたヒートシンク、放熱部材および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のヒートシンクは、発熱部材に対して熱的に接続されるヒートシンク本体部と、前記ヒートシンク本体部と接合される勘合部分を有するベースに複数のフィンが配置される放熱部材とを有し、
前記勘合部分が凹凸形状であり、
前記放熱部材は、前記ヒートシンク本体部から脱着可能であることを特徴とする。
【0012】
本発明の放熱部材は、発熱部材に対して熱的に接続されるヒートシンク本体部と接合される勘合部分を有する放熱部材であって、
ベースに複数のフィンが配置され、
前記勘合部分が凹凸形状であり、
前記ヒートシンク本体部から脱着可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ヒートシンクのフィン部に溜まるほこり等の汚れを除去し易くなり、かつ、放熱効率の向上が図られ、かつ、フィン部とヒートシンク本体とのコンタクトの向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るノート型パーソナル・コンピュータの斜視図である。
【図2】本発明の形態に係る冷却ユニットの一例について説明する図である。
【図3】図2のa−a断面図である。
【図4】本発明の形態に係るヒートシンクの構成図である。
【図5】本発明の形態に係るヒートシンクの構成図である。
【図6】本発明の形態に係る勘合部分の形状例を示す図である。
【図7】本発明の形態に係る加圧方向の例を示す図である。
【図8】本発明の形態に係るコンタクト向上材料の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第一の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1に示す本実施の形態における電子機器としてのノート型パーソナル・コンピュータ1は、本体部や表示部など既知の構成からなる。
本実施の形態におけるノート型パーソナル・コンピュータ1の概略を説明すると、本体部は、偏平な略箱状の本体部筐体11を有し、その上面側にキーボード、ポインティングデバイス等の操作部が設けられる。なお、本体部筐体11の下面側の一部は欠けており、その部分を埋めるカバー12が設けられることであってよい(図3参照)。
また、本体部には、上記の操作部および表示デバイス等を制御する発熱体としてのCPU13(図2参照)を組み込んだ図示しないプリント回路板が設けられ、CPU13等を冷却するための冷却ユニット2(図2参照)が備えられている。なお、冷却ユニット2が冷却する対象としての発熱体はCPU13に限られない。
また、LCD等の表示デバイスの表示画面を備える表示部を有している。
【0016】
次に、図2を参照して冷却ユニット2の一例について説明する。なお、冷却ユニット2の構成は水冷に限らず種々のものが用いられて良い。図2は、ノート型パーソナル・コンピュータ1を本体部の下面側から見た斜視図である。
【0017】
冷却ユニット2は、受熱部21と、ヒートパイプ22と、ヒートシンク3(ヒートシンク本体部31およびフィン部32から構成される)と、ファンユニット4とから構成されている。
【0018】
受熱部21は、例えば、銅やアルミニウムなどの熱伝導率が高い扁平の部材である。受熱部21は、例えば、グリス等の熱伝導部材を介してCPU13と熱的に接続している。受熱部21は、CPU13が発した熱を受けてヒートパイプ22に伝える役割を有している。
【0019】
ヒートパイプ22は、棒状の形状を有しており、受熱部21が受けたCPU13の熱を一方の端部から他方の端部へ伝える役割を有している。ヒートパイプ22は水が封入された中空管になっていおり、一方の端部で受けた熱により水が水蒸気となり、他方の端部までこの熱を運び、他方の端部側が冷却されることで再び水となり一方の端部まで循環することで熱を運ぶ仕組みである。
【0020】
ヒートシンク3(ヒートシンク本体部31およびフィン部32から構成される)は、図4も併せて参照すると、ヒートシンク本体部31と接合される勘合部分を有するベースに複数のフィンが配置される放熱部材としてのフィン部32を有し、熱拡散の面積を確保することで、ヒートパイプ22から受けた熱を外部に放出する。ヒートシンク3のヒートシンク本体部31側にはヒートパイプ22がロウ金属23によりロウ付けされている。ヒートシンク3は、例えば、銅やアルミニウムなどの熱伝導率が高い部材である熱拡散金属板から構成されていてよい。なお、ヒートパイプ22がヒートシンク本体部31側に貫通しているようにヒートシンク本体部31とヒートパイプ22とが一体化した形状であってもよい。なお、図2は、本体部筐体11の上面側を無いものとした内部構成の外観図を示すものであるが、ヒートシンク3については、その他の構成部分との位置関係等を把握しやすくするために単純化して示している。
【0021】
ファンユニット4は、吸気孔及び排気孔を有するケーシングと、このケーシングの中に実装されているファンとから構成されている。ファンユニット4は、ファンが回転することで、吸気孔から吸い込んだ空気を排気孔から排気する。ヒートシンク3(ヒートシンク本体部31およびフィン部32から構成される)のフィン部32とファンユニット4の排気孔とはおよそ対向する位置に設けられ、ファンユニット4から排気された空気(排気風)は、ヒートシンク3に向けて吹き付けられて、ヒートシンク3の熱拡散を促すとともに、排気風は、カバー12あるいは本体部筐体11の側面等に設けられた排気孔から外部に放出される。なお、図2のa−a断面図である図3にその概略模式図(本体部筐体11、カバー12、ヒートシンク3、ファンユニット4のみ)を示す。
【0022】
次に、本実施の形態におけるノート型パーソナル・コンピュータ1のヒートシンク3(ヒートシンク本体部31およびフィン部32から構成される)について詳細に説明する。
【0023】
図4および図5を参照すると、本実施の形態におけるヒートシンク3は、ヒートシンク本体部31からフィン部32が脱着可能に構成されている。
ヒートシンク本体部31とフィン部32との勘合部分(着脱部分)の形状はギザギザ形状となっているが、これにより勘合部分(着脱部分)の熱伝導面積が増大し、放熱効率が向上する。すなわち、勘合部分(着脱部分)の形状が平面に近いものであれば熱伝導面積が小さく限定されてしまい放熱効率が減少してしまうことを回避している。
【0024】
また、ヒートシンク本体部31とフィン部32との勘合部分(着脱部分)の形状により、正しく装着しないと勘合が完了できないこととなり、当該形状は、フィン部32の位置決め機能も有し、ヒートシンク本体部31とフィン部32とのコンタクトを向上する。すなわち、勘合部分(着脱部分)の形状が平面に近いものであればフィン部32の位置もずれたりし易くなり当該弊害を回避している。
【0025】
なお、上記の勘合部分(着脱部分)の形状は、例えば、図6に示すような凹凸を有する形状等であってもよい。
【0026】
さらにヒートシンク本体部31とフィン部32とのコンタクトを向上する手法を以下で説明する。
【0027】
まず、図7に示すように、締結部である勘合部分(着脱部分)へ圧力を加える手法がある。上下方向の圧力や左右方向の圧力が、ネジ留め、バネ留め、磁石留め等により加えられてよい。
【0028】
次に、図8に示すように、締結部である勘合部分(着脱部分)へコンタクト向上材料24を付加する手法がある。伝導グリスを塗布したり、伝導シールを挟んだり、また、金属箔を挟んだりすること等がなされてよい。
【0029】
なお、図1についての説明で述べた、本体部筐体11の下面側の一部は欠けており、その部分を埋めるカバー12が設けられ、そのカバー12が取り外されてその開口よりフィン部32がヒートシンク本体部31から脱着されるものであるが、カバー12の位置・形状等は任意であり、カバー12自体を設けないことであってもよい。
【0030】
上記の本実施の形態によれば、従来、一体であったフィンを構成する部品をヒートシンク本体部31とフィン部32とに分割し、かつ、大きい開口を設けることで取り外されたフィン部32のフィンの隙間からほこり等の汚れをブラシ等を用いて取り易くすることができる。
【0031】
また、電子機器・装置の安定性の向上や、熱損の防止が図られ、さらに、メンテナンスの必要性をユーザにアピールすることもできる。
【0032】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。また、本発明は、ヒートシンクが必要なすべての装置・機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 ノート型パーソナル・コンピュータ
11 本体部筐体
12 カバー
13 CPU
2 冷却ユニット
21 受熱部
22 ヒートパイプ
23 ロウ金属
24 コンタクト向上材料
3 ヒートシンク
31 ヒートシンク本体部
32 フィン部
4 ファンユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部材に対して熱的に接続されるヒートシンク本体部と、前記ヒートシンク本体部と接合される勘合部分を有するベースに複数のフィンが配置される放熱部材とを有し、
前記勘合部分が凹凸形状であり、
前記放熱部材は、前記ヒートシンク本体部から脱着可能であることを特徴とするヒートシンク。
【請求項2】
前記ヒートシンク本体部と前記放熱部材とが加圧手段により加圧されて勘合されることを特徴とする請求項1記載のヒートシンク。
【請求項3】
前記ヒートシンク本体部と前記放熱部材との間に部材が設けられることを特徴とする請求項1または2記載のヒートシンク。
【請求項4】
発熱部材に対して熱的に接続されるヒートシンク本体部と接合される勘合部分を有する放熱部材であって、
ベースに複数のフィンが配置され、
前記勘合部分が凹凸形状であり、
前記ヒートシンク本体部から脱着可能であることを特徴とする放熱部材。
【請求項5】
加圧手段により加圧されて前記ヒートシンク本体部と勘合されることを特徴とする請求項4記載の放熱部材。
【請求項6】
前記ヒートシンク本体部との間に部材が設けられることを特徴とする請求項4または5記載の放熱部材。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載のヒートシンクを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−222564(P2011−222564A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86458(P2010−86458)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】