説明

ヒートシンク構造

【課題】ヒートシンク構造及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
第1板体11及び第2板体12を有する本体1からなり、該第1、第2板体を相対応して被さり合うように重合して両者間にチャンバ14を構成すると共に共通する開口領域13を形成し、前記チャンバは、毛細構造17と、支持構造16と、充填された作動流体と、を有し、前記開口領域は、該第1、第2板体及び該チャンバを貫通して設けられ、ヒートシンクを基板上の発熱源に配置するとき、これに隣接する他の電子部品を該開口領域を配置することにより、これらの電子部品の邪魔になることなくヒートシンクを配置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部材の放熱構造及びその製造方法に関し、特に、放熱する対象となる発熱源周囲に位置する他の電子部材の邪魔になることなくこれを回避して近接した位置に配置することができ、別途熱遮断効果を達成するヒートシンク構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現行の電子設備が徐々に軽く薄くすることを要求されるようになるに伴い、各部材は、何れもその寸法の縮小を必要としているが、電子設備の寸法の縮小に伴い、発生する熱が電子設備及びシステムの性能改善の主要な障害となっている。電子部材を形成する半導体の寸法が絶え間なく縮小されているが、依然として性能の向上が持続的に要求されている。
【0003】
ヒートシンクは、比較的大きな範囲の面と面の熱伝導の応用であり、それは、ヒートパイプの点対点の熱伝導方式と異なり、空間が比較的狭い箇所での使用に適用される。
【0004】
ヒートシンクの接触導熱面積は、比較的大きいので、発熱面積が比較的大きいか複数の距離が近い発熱源に適合する。
【0005】
しかしながら、基板の電子回路の構造は、放熱が必要な各電子部材を同一ブロックに近接配置するように構成することはできず、各電子部材の高さが異なるので、従来のヒートシンクは、基板上の各放熱すべき電子部品に近接する電子部品を回避して配置することができない。
【0006】
更に、各電子部材の出力は異なり、発生する熱量も異なり、電子部材が相互間で発生する熱量の差が比較的大きい場合、1つのヒートシンクで2者に対し同時に熱量の伝導の作業を行うことに適しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−119182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、上記従来技術の欠陥を解決する為、本発明は、使用条件に柔軟に対応して配置可能なヒートシンク構造を提供する。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、使用条件に柔軟に対応して配置可能なヒートシンク構造の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成する為、本発明が提供するヒートシンク構造は、第1板体及び第2板体を有する本体からなり、該第1、第2板体が相対応して被さり合って重合されて開口領域及びチャンバを構成し、前記チャンバは、少なくとも1つの毛細構造と、支持構造と、作動流体と、を有し、前記開口領域は、該第1、第2板体及び該チャンバを貫通して形成される。
【0011】
上記の目的を達成する為、本発明が提供するヒートシンク構造の製造方法は、以下のステップを含む:
第1板体及び第2板体を準備する;
機械加工を介して該第1、第2板体上にそれぞれ少なくとも1つの孔を相対応して開設する;
前記第1、第2板体の対応して被さり合う一方の側に毛細構造及び少なくとも1つの支持構造を設置する;
前記第1、第2板体を相対応して被せ合わせて重合し、該第1、第2板体の辺縁及び前記孔周囲箇所を接合して密封、最後に真空吸引及び作動流体の充填を行う。
【発明の効果】
【0012】
上記のヒートシンク構造及びその製造方法をにより、比較的高さのある電子部材を効果的に回避してヒートシンクを配置し、ヒートシンクの使用条件に柔軟に対応して配置可能とし、さらに開口領域の設置により回避した電子部品に対する熱の隔離の効果を達成する。
【0013】
従って、本発明は、以下の利点を有する:
1.
高さのある電子部材を効果的に回避する。
2.
使用条件に柔軟に対応可能とする
3.
隣接する電子部品に対する熱隔離効果を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のヒートシンク構造の第1実施例の立体分解図である。
【図2】本発明のヒートシンク構造の第1実施例の立体組み合わせ図である。
【図3】本発明のヒートシンク構造の第1実施例のA−A断面図である。
【図4】本発明のヒートシンク構造の第2実施例の立体分解図である。
【図5】本発明のヒートシンク構造の第2実施例の立体組み合わせ図である。
【図6】本発明のヒートシンク構造の第2実施例のB−B断面図である。
【図7】本発明のヒートシンク構造の応用実施例の立体分解説明図である。
【図8】本発明のヒートシンク構造の応用実施例の立体組み合わせ説明図である。
【図9】本発明のヒートシンク構造の製造方法ステップフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の上記目的及びその構造及び機能上の特性について、図面に基づく実施例を挙げ以下に説明する。
【0016】
図1、図2、図3を参照する。それぞれ本発明のヒートシンク構造の第1実施例の立体分解図及び立体組み合わせ図及びA−A断面図であり、前記ヒートシンク構造は、本体1を有する。
【0017】
前記本体1は、第1板体11及び第2板体12を有し、該第1、第2板体11,12は、相対して重合されて少なくとも1つの開口領域13及びチャンバ14を構成し、前記チャンバ14は、内部に少なくとも1つの毛細構造15と、支持構造16と、作動流体17と、を有し、前記開口領域13は、該第1、第2板体11,12及び該チャンバ14を相対応して貫通し、前記チャンバ14は、該第1、第2板体11,12の間に形成され、及び該開口領域13に対して独立して密閉される。
【0018】
前記第1板体11は、第1孔111を有し、該第1孔111は、該第1板体11を貫通して形成され、該第1孔111周囲にはこれを囲む第1凸縁部1111を形成し、前記第2板体12は、第2孔口121を有し、前記第1、第2板体11,12が対応して被さり合うように重合し、該第1板体11の該第1凸縁部1111の端縁はこれに相対する該第2板体12の第2孔121に突き合わせられて接合され、前記開口領域13を構成する。
【0019】
前記毛細構造15は、焼結粉末体及びメッシュ体及び溝のうちの何れかであり、本実施例は、焼結粉末により実施例を説明するが、これに限定するものではなく、前記支持体16は、銅柱、焼結粉末柱体及び環状柱体のうちのいずれかであり、本実施例では、銅柱により実施例を説明するが、これに限定するものではない。
【0020】
図4、図5、図6を参照する。それぞれ本発明のヒートシンク構造の第2実施例の立体分解図、立体組み合わせ図及びB−B断面図であり、図に示すように、本実施例の部分構造は、前記実施例と同一であるので、ここでは再度記載しない。
本実施例と前記第1実施例の異なる箇所は、前記第1板体11は、第1孔111を有し、該第1孔111が該第1板体11を貫通し、該第1孔111周囲に第1凸縁部1111を形成し、前記第2板体12は、第2孔121を有し、該第2孔121は、該第2板体12を貫通し、該第2孔121周囲に第2凸縁部1211を形成し、前記第1、第2板体11,12が対応して被さり合うようにして重合し、該第1板体11の該第1凸縁部1111の該第2板体12の前記第2凸縁部1211との相対する端縁が突き合わせられて接合され、前記開口領域13を構成する。
【0021】
図7、図8を参照する。それぞれ本発明のヒートシンク構造の応用実施例の立体分解説明図及び立体組み合わせ説明図であり、図に示すように、本応用実施例は、前記本体1は、基板2上に設置され、該基板2は、少なくとも1つの発熱源21及び複数の電子部材22を有し、該電子部材22は、該発熱源21周囲に設置され、該本体1は、該発熱源21と貼合して熱量を伝導し、予め設けられた開口領域13に電子部材22を位置させることによって効果的に前記電子部材22の位置を回避してこれらの電子部材22に重ならないようにし、チャンバ14(図3参照)により独立密閉し、開口領域13によりその残りの電子部材22と隔てて、更にこれらに対する熱の隔離の効果を達成する。
【0022】
図9を参照する。本発明のヒートシンク構造の製造方法のステップフロー図であり、図1〜図6を併せて参照し、図に示すように、本発明のヒートシンク構造の製造方法は、以下のステップからなる:
S1:第1板体及び第2板体を用意する;
これは、第1板体11及び第2板体12を用意し、前記第1、第2板体11,12は、熱伝導性が良好な材質、例えば、銅材質、アルミ材質、ステンレス及びセラミックのうちのいずれかであり、本実施例は、銅材質により説明するが、これに限定するものではない。
S2:機械加工により該第1、第2板体上にそれぞれ少なくとも1つの孔を対応して開設する;
機械加工により、前記第1、第2板体11,12、の開口領域13を設けたい部位に孔(図3の第1孔111及び第2孔121参照)を開設する。前記機械加工は、スタンピング加工、プレス加工及び、切削加工のうちのいずれかであり、本実施例は、スタンピング加工により説明するが、これに限定するものではなく、該第1、第2板体に対応して孔を開設する時(図3の第1孔111及び第2孔121参照)、スタンピング加工により該第1板体11に該孔(第1孔111)を開設し、緩やかに該孔周囲に凸縁部を延伸突出し(図3の第1孔111及び第1凸縁部1111参照)、第2板体12の該第1板体11にこれと対応する同一の部位に孔を開設する(図3の第2孔121参照)。
他の成型の方式は、スタンピング加工を介し、該第1板体11に該孔(第1孔111)を開設し、緩やかに該孔周囲に凸縁部を延伸突出し(図6の第1孔111及び第1凸縁部1111参照)、第2板体12の該第1板体11に対応する同一部位に孔を開設し(図6の第2孔121参照)、緩やかに該孔周囲に凸縁部を延伸突出する(図6の第2孔121及び第2凸縁部1211)。
S3:前記第1、第2板体の相対応して被さり合う一方の側に毛細構造及び少なくとも1つの支持構造を設ける;
該第1、第2板体11,12の対応して被さり合う一方の側に毛細構造15及び支持構造16を設置する。前記毛細構造15は、焼結粉末体、メッシュ体及び溝のうちの何れかであり、本実施例では、焼結粉末体により焼結の方式で前記第1、第2板体11,12が対応して被さり合う一方の側に形成することをもって説明するが、これに限定するものではなく、前記支持構造16は、銅柱、焼結粉末柱体及び環状柱体のうちの何れかであり、本実施例は、銅柱により説明するが、これに限定するものではない。
S4:前記第1、第2板体を相対応して被せ合わせ、該第1、第2板体の辺縁及び前記孔周囲箇所を密封接合し、最後に真空吸引及び作動流体の充填を行う。
前記第1、第2板体11,12を被せ合わせ、該第1、第2板体11,12が接触する部位、例えば、辺縁及び孔周囲を密封接合し、前記密封接合は、溶接、拡散接合及び超音波溶接の何れかの方式による。本実施例では、拡散接合により実施例を説明するが、これに限定するものではなく、最後に、該本体1に対し、真空吸引及び作動流体の充填等のステップを行った後、該本体の完全な密封を完成する。
【符号の説明】
【0023】
1 本体
11 第1板体
111 第1孔111
1111 第1凸縁部
12 第2板体
121 第2孔
1211 第2凸縁部
13 開口領域
14 チャンバ
15 毛細構造
16 支持構造
17 作動流体
2 基板
21 発熱源
22 電子部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1板体及び第2板体を有する本体からなり、該第1、第2板体が相対して重合して、両者に共通する開口領域を設けると共に両者の間にチャンバを構成し、前記チャンバは、内部に毛細構造と、支持構造と、充填された作動流体とを有し、
前記開口領域は、該第1、第2板体及び該チャンバを共に貫通して形成され、基板上に配置された他の電子部品を回避する箇所としたヒートシンク構造。
【請求項2】
前記チャンバは、該第1、第2板体の間に形成されると共に該開口領域に対して独立して密閉されたことを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク構造。
【請求項3】
前記第1板体は、第1孔を設け、該第1孔は、該第1板体を貫通すると共に該第1孔周囲を囲む第1凸縁部を形成し、前記第2板体は、第2孔を設け、該第2孔は、該第2板体を貫通すると共に該第2孔周囲を囲む第2凸縁部を形成し、前記第1、第2板体を相対応して被さり合うように重合して該第1板体の該第1凸縁部とこれに相対する前記該第2板体の第2凸縁部の端縁を突き合わせて接合して、前記開口領域を構成したことを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク構造。
【請求項4】
前記第1板体は、第1孔を設け、該第1孔は、該第1板体を貫通すると共に該第1孔周囲を囲む第1凸縁部を形成し、前記第2板体は、第2孔を設けて前記第1、第2板体を相対応して被さり合うように重合して該第1板体の該第1凸縁部の端縁を前記第2板体の第2孔周縁とを突き合わせて接合して、前記開口領域を構成したことを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク構造。
【請求項5】
前記毛細構造は、焼結粉末体、メッシュ体及び溝のうちの何れかであることを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク構造。
【請求項6】
前記支持構造は、銅柱、焼結粉末柱体及び環状柱体のうちの何れかであることを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク構造。
【請求項7】
以下のステップ:
第1板体及び第2板体を準備し、
機械加工により、該第1、第2板体にそれぞれ少なくとも1つの孔を相対応して開設し、
前記第1、第2板体の相対応して被さり合う一方の側に毛細構造及び少なくとも1つの支持構造を設置し、
前記第1、第2板体を相対応して被せ合わせて該第1、第2板体の辺縁及び前記孔周囲縁辺箇所を接合して密封し、最後に真空吸引及び作動流体の充填を行うことを特徴とするヒートシンク構造の製造方法。
【請求項8】
前記第1、第2板体の密封接合は、溶接、拡散接合及び超音波溶接の何れかであることを特徴とする請求項7に記載のヒートシンク構造の製造方法。
【請求項9】
前記毛細構造は、焼結粉末体、メッシュ体及び溝のうちの何れかであるであることを特徴とする請求項7に記載のヒートシンク構造の製造方法。
【請求項10】
前記毛細構造が焼結粉末体であり、焼結方式によって、前記第1、第2板体の相対応して被さり合う一方の側に形成されることを特徴とする請求項7に記載のヒートシンク構造の製造方法。
【請求項11】
前記機械加工は、スタンピング、プレス加工及び切削加工のうちの何れかであることを特徴とする請求項7に記載のヒートシンク構造の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−84673(P2013−84673A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222038(P2011−222038)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(504115301)奇▲こう▼科技股▲ふん▼有限公司 (82)
【Fターム(参考)】