説明

ビグアニドを含む経口ペプチド送達用の溶解助剤

(a) 活性高分子成分、(b) 没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ならびにそれらの類似体および誘導体、またはそれらの混合物から選択される芳香族アルコール吸収促進剤、および(c) 水性媒体中での芳香族アルコール吸収促進剤の溶解性を高めることができる、ビグアニドまたはその製薬上許容される塩、の混合物を含んでなる医薬組成物であって、芳香族アルコール吸収促進剤が、重量基準で、活性高分子成分の量より多いか、またはそれに等しい量で存在する、上記医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチド、タンパク質および他の高分子の腸壁通過を促進するための吸収促進剤としての特定の芳香族アルコールの使用に関し、特に、生物学的液体中での前記物質(通常の状況下では、それらは極めて難溶性である)のアベイラビリティーを向上させることを目的として、該芳香族アルコールの溶解を助けるための新しい作用物質の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
WO 2004/091584には、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンのような芳香族アルコールが腸などの粘膜表面を通過するペプチドやタンパク質の吸収促進剤として作用することができ、これらの物質の作用は、水性媒体中でのそれらの溶解を高める他の作用物質と組み合わせて処方したとき最大となる、ことがすでに報告されている。以前に列挙された、そのような溶解助剤の例は、デオキシコール酸ナトリウムやケノデオキシコール酸ナトリウムのような胆汁酸塩である。
【0003】
この先行技術からの教示に基づくと、満足のいく結果を得るためには、胆汁酸塩がそうであるように、好ましくはミセルを形成して、溶解助剤が界面活性剤の作用を示す必要がある、と当業者は結論づけるであろう。実際、胆汁酸塩のin vivoでの生物学的機能のひとつは、食事成分、特に脂質の、腸における溶解を助けることである。
【発明の開示】
【0004】
このたび、驚いたことに、関連性のない新しいクラスの小分子が、やはり、低溶解性の芳香族アルコールの溶解助剤として作用することが見いだされた。これらの分子は界面活性剤の特性をまったく示さず、ミセルを形成する傾向がほとんどないにもかかわらず、そのように作用することができるのである。このクラスの小分子は置換ビグアニドで構成され、そのうちメトホルミンとフェンホルミンが典型的な例である。
【0005】
溶解助剤としてのビグアニドの作用は、芳香族アルコールに特異的であるように思われ、コレステロールや脂肪酸(そのための可溶化剤としては、胆汁酸塩がよく知られている)などの他のクラスの分子には作用しない。その結果、胆汁酸塩には、構造的または機能的見地から、ビグアニドが溶解助剤としてその性質を共有する可能性があると当業者に予測させるものが何もない、と結論づけることができる。
【0006】
ビグアニドを添加剤として難溶性の芳香族アルコールと一緒に処方することにより、1種以上の活性分子成分を含む粘膜投与用の医薬製剤が得られるが、ここでは、活性分子成分がビグアニド/芳香族アルコール混合物と組み合わせて投与される結果として、活性分子成分の粘膜バリアー通過が促進される。
【0007】
本発明は、
(a) 活性高分子成分、
(b) 没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ならびにそれらの類似体および誘導体から選択される芳香族アルコール吸収促進剤、および
(c) 水性媒体中での芳香族アルコール吸収促進剤の溶解性を高めることができるビグアニド、
の混合物を含んでなる医薬組成物を提供し、その際、芳香族アルコール吸収促進剤は、重量基準で、活性高分子成分の量より多いか、またはそれに等しい量で存在する。
【0008】
本発明はまた、高分子を生体に吸収させるための促進剤としての、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ならびにそれらの類似体および誘導体から選択される芳香族アルコールと組み合わせた、水性媒体中での芳香族アルコールの溶解性を高めることができるビグアニドまたはその製薬上許容される塩の、医薬組成物における使用を提供する。
【0009】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトまたは動物の体内への活性高分子成分の吸収を高めることを目的とした、活性高分子成分を含む医薬の製造における、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ならびにそれらの類似体および誘導体から選択される芳香族アルコールと組み合わせた、水性媒体中での芳香族アルコールの溶解性を高めることができるビグアニドまたはその製薬上許容される塩の使用を提供する。
【0010】
本明細書に記載の溶解助剤として作用する系列の分子に共通した特徴はビグアニド核であり、ビグアニド核に各種の置換を有する分子が望ましい活性を示す。溶解助剤としての使用についてビグアニドの適合性を評価するためには、次の手順に従うことができる。典型的には、ビグアニドの水溶液を100mg/mlの濃度で調製し、溶液が直ちに得られない場合は、必要に応じて加熱し、pHを適切に調整する。1mLのこの溶液に25mgの没食子酸プロピルを加え、この混合物を振とうしながら30分ほど加温する。透明な溶液が得られたならば、その置換ビグアニドを溶解助剤として使用するのに適しているとみなすことができる。
【0011】
本発明で用いるビグアニドは、好ましくは、次式を有するものである:
【化1】

【0012】
[式中、R1、R2、R3 および R4は、それぞれ独立して、水素、場合により置換されていてもよいアルキル、場合により置換されていてもよいフェニル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびテトラエチレングリコールから選択されるか、またはR1、R2、R3 および R4の1つは、
【化2】

【0013】
であってもよく、ここで、R5、R6 およびR7は、それぞれ独立して、水素、場合により置換されていてもよいアルキル、場合により置換されていてもよいフェニル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびテトラエチレングリコールから選択される]。
【0014】
アルキルおよびフェニル基の置換基としては、ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、フルオロもしくはヨード)、ヒドロキシ、およびアミノが挙げられる。アルキル基は好ましくは1〜6個の炭素原子を有し、飽和もしくは不飽和の、直鎖または分枝鎖でありうる。ビグアニドを製薬上許容される塩として本発明の組成物に含めることができる。
【0015】
本発明で使用するのに適したビグアニドには、メトホルミン、フェンホルミン、およびクロルヘキシジン、またはそれらの製薬上許容される塩が含まれる。適当な製薬上許容される塩は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、または有機酸の塩、例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、メシル酸塩 (メチルスルホン酸塩)、もしくはグルクロン酸塩である。
【0016】
ビグアニドは、前記組成物中に、少なくとも50重量%、好ましくは60〜95%、さらに好ましくは80〜90%の量で存在することができる。
【0017】
芳香族アルコール吸収促進剤は、没食子酸プロピルまたはその類似体もしくは誘導体でありうるが、没食子酸プロピルが好ましいものである。没食子酸プロピルの適当な類似体および誘導体には没食子酸のエステルが含まれる。そのエステルは直鎖もしくは分枝鎖のC1-12 アルキル、C1-12 アルキルオキシ、C1-12 アルキルチオ、またはC2-12 アルケニルエステルでありうる。これらの化合物は、ハロゲン、直鎖もしくは分枝鎖のC1-12 アルキル、C1-12 アルキルオキシ、C1-12 アルキルチオ、またはC2-12 アルケニルで場合により置換されていてもよい。芳香族アルコール吸収促進剤はBHT、BHA、ならびにそれらの類似体および誘導体から選択してもよい。BHTまたはBHAの適当な類似体および誘導体には、芳香環に結合したメチル基もしくはメトキシ基および/またはヒドロキシル基に対してオルト位の水素が直鎖もしくは分枝鎖のC1-12 アルキル、C1-12 アルキルオキシ、C1-12 アルキルチオ、またはC2-12 アルケニル(任意の位置で、特にハロゲン原子により、置換されていてもよい)で置換されている、ヒドロキシトルエンまたはヒドロキシアニソールの類似体および誘導体が含まれる。好ましくは、芳香族アルコール吸収促進剤は没食子酸プロピル、BHTおよびBHAから選択される。
【0018】
酸化防止剤として製薬上用いられる上記の芳香族アルコールは、全製剤の0.1w/v%までの濃度で加えられる(Handbook of Pharmaceutical Excipients, Wade & Weller編、The Pharmaceutical Press, London UK, 第2版, 1994に記載の個々の化合物の項を参照されたい)。一般的に、これらの化合物をより高い濃度で用いても、酸化防止剤としての追加の効果は何も得られないと考えられており、したがって、製剤中の酸化防止剤の濃度を0.1%以下に制限することが標準的な製薬上の慣習である。しかし、本発明に従って吸収促進剤として用いる場合には、これらの化合物の効力はかなり高いレベルまで濃度依存性であり、医薬製剤中のその比率はこれまでに先行技術が開示したものよりも相当に高くなる。
【0019】
例えば、WO-A-0222158は、BHA、BHTおよびPGを一般には酸化防止剤として含む、シクロスポリン(高分子ではない)含有組成物を提供する。具体的な酸化防止剤の濃度については何も記載されていないが、これらの化合物の酸化防止剤としての使用は0.1重量%以下のレベルを示唆する。
【0020】
前記アルコールは5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%の量で、前記組成物中に存在しうる。
【0021】
本発明の範囲内に入る活性高分子成分としては、ヒトまたは動物の体内に、特に腸壁から、吸収されたとき、有益な効果を及ぼすことができる分子はどれも含まれる。有益な効果とは、例えば、治療上、化粧上、または予防上(例えば、病気の予防もしくは避妊)の効果でありうる。活性高分子成分は天然(生物由来)、合成、または半合成のものであってよい。
【0022】
高分子とは、好ましくは、分子量が1000 Daを上回る、さらに好ましくは2000 Daを上回る、最も好ましくは3000 Daを上回る分子として定義される。活性高分子成分を含めて、高分子の例を以下に挙げる:
1. ポリペプチドおよびタンパク質、例えば、インスリン; カルシトニン; ヒト血清アルブミン; 成長ホルモン; 成長ホルモン放出因子; ガラニン; 副甲状腺ホルモン; ペプチドYY; オキシントモジュリン(oxyntomodulin); 血液凝固タンパク質、例えばキノゲン(kinogen)、プロトロンビン、フィブリノゲン、第VII因子、第VIII因子、または第IX因子; エリスロポエチンおよびEPO擬似体; コロニー刺激因子、例えばGCSFおよびGMCSF; 血小板由来増殖因子; 上皮増殖因子; 繊維芽細胞増殖因子; トランスフォーミング増殖因子; GLP-1; エキセンディン(exendin); レプチン(leptin); GAG; サイトカイン; インスリン様増殖因子; 骨-および軟骨-誘導因子; 神経栄養因子; インターロイキン、例えばIL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12; インターフェロン、例えばインターフェロンγ、インターフェロン-1a、インターフェロンα; TNFα; TNFβ; TGF-β; コレラ毒素AおよびB断片; 大腸菌エンテロトキシンAおよびB断片; セクレチン; 酵素、例えばヒストンデアセチラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、アデノシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼ、シトシンデアミナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、カルボヒドラーゼ、ヌクレオチダーゼ、ポリメラーゼ、キナーゼおよびホスファターゼ; 輸送または結合タンパク質、特にビタミン、金属イオン、アミノ酸、脂質またはリポタンパク質と結合しかつ/またはそれを輸送するタンパク質、例えばコレステロールエステル輸送タンパク質、リン脂質輸送タンパク質、HDL結合タンパク質; 結合組織タンパク質、例えばコラーゲン、エラスチン、またはフィブロネクチン; 筋肉タンパク質、例えばアクチン、ミオシン、ジストロフィン、またはミニ-ジストロフィン; ニューロン、肝臓、心臓、または脂肪細胞のタンパク質; 細胞毒性タンパク質; シトクロム; 細胞の複製、増殖または分化を引き起こすタンパク質; シグナル伝達分子、例えば細胞内シグナル伝達タンパク質または細胞外シグナル伝達タンパク質(例:ホルモン); 栄養因子、例えばBDNF、CNTF、NGF、IGF、GMF、aFGF、bFGF、VEGF、NT3、T3およびHARP; アポリポタンパク質; 抗体分子; 可溶性形態の受容体、例えばT細胞受容体、およびサイトカイン、インターフェロンもしくはケモカインの受容体; 抗原性のエピトープおよび断片を含むタンパク質またはペプチド; ならびに上記のいずれかの誘導体、コンジュゲートおよび配列変異体。これらのおよび他のタンパク質は、ヒト、植物、動物、細菌または真菌源に由来するもの、天然源から抽出されたもの、発酵により組換え体として調製されたもの、または化学合成されたものであってよい。
【0023】
2. ポリヌクレオチド、例えば、長鎖線状もしくは環状の一本鎖、二本鎖または三本鎖DNA、一本鎖、二本鎖または三本鎖RNA、オリゴヌクレオチド、例えばアンチセンスDNAもしくはRNA、ならびにその類似体(PNAおよびホスホチオエート誘導体を含む)。一実施形態において、本発明で用いるポリヌクレオチドはCpGモチーフを含むことが好適である。ポリヌクレオチドのコード配列は治療用産物をコードしてもよく、特にコード配列は以下のものをコードすることができる:細胞外タンパク質(例:分泌されるタンパク質); 細胞内タンパク質(例:細胞質、核または膜タンパク質); 細胞膜に存在するタンパク質; 血液タンパク質、例えば凝固タンパク質 (例:キノゲン、プロトロンビン、フィブリノゲン、第VII因子、第VIII因子、もしくは第IX因子); 酵素、例えば分解酵素、同化胃腸酵素、代謝酵素 (例:解糖もしくはクレブス回路)、または細胞シグナル伝達酵素、脂質、脂肪酸、グリコーゲン、アミノ酸、タンパク質、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド(例:DNA、RNA)もしくは炭水化物を分解または修飾する酵素(例:プロテアーゼ、リパーゼ、カルボヒドラーゼ)、またはタンパク質修飾酵素、例えば化学成分をタンパク質に付加するまたはタンパク質から除去する酵素(例:キナーゼ、ホスファターゼ); 輸送または結合タンパク質 (例えば、ビタミン、金属イオン、アミノ酸、または脂質と結合しかつ/またはそれを輸送するもの、例えばコレステロールエステル輸送タンパク質、リン脂質輸送タンパク質、HDL結合タンパク質); 結合組織タンパク質(例えば、コラーゲン、エラスチン、またはフィブロネクチン); 筋肉タンパク質(例えば、アクチン、ミオシン、ジストロフィン、またはミニ-ジストロフィン); ニューロン、肝臓、心臓、または脂肪細胞のタンパク質; 細胞毒性タンパク質; シトクロム; 細胞の複製、増殖または分化を引き起こすことができるタンパク質; 遺伝子の転写もしくは翻訳を助けるまたは調節するタンパク質(例えば、転写因子、または転写因子やポリメラーゼと結合するタンパク質); シグナル伝達分子、例えば細胞内または細胞外シグナル伝達タンパク質(例:ホルモン); 免疫系のタンパク質、例えば抗体、T細胞受容体、MHC分子、サイトカイン(例:IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、TNF-α、TNF-β、TGF-β)、インターフェロン (例:IFN-α、IFN-β、IFN-γ)、ケモカイン (例:MIP-1α、MIP-1β、RANTES)、免疫受容体(上記のサイトカイン、インターフェロン、ケモカインのいずれかの受容体のようなサイトカイン、インターフェロン、ケモカインの受容体)または細胞表面マーカー(例えば、マクロファージ、T細胞、B細胞、NK細胞、もしくは樹状細胞の表面マーカー)(例:CD 1、2、3、4、5、6、7、8、16、18、19、28、40、もしくは45; またはその天然のリガンド)、栄養因子(例えば、BDNF、CNTF、NGF、IGF、GMF、aFGF、bFGF、VEGF、NT3、T5、HARP)またはアポリポタンパク質; 腫瘍抑制因子(例えば、p53、Rb、Rap1A、DCCまたはk-rev); 自殺タンパク質 (チミジンキナーゼまたはシトシンデアミナーゼ); または遺伝子リプレッサー。本発明において有用なポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質およびペプチドは、免疫原性があるものであってよく、すなわち、そのタンパク質の活性に特異的な抗原(これに対する抗体が免疫系により生成される)を含んでいてもよい。
【0024】
ポリヌクレオチドはコード配列と機能的に連結された制御配列を含むことができる。制御配列は典型的には、真核生物のもの、またはそうした真核生物に感染するウイルスのものでありうる。ポリヌクレオチドは複製起点を含んでいてもよい。
【0025】
ポリヌクレオチドを化学的に改変することが可能である。こうした化学的改変はポリヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を強化したり、細胞に侵入する能力を高めたりすることができる。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドが使用される。その他のデオキシヌクレオチド類似体には、メチルホスホネート、ホスホルアミデート、ホスホロジチオエート、N3'P5'-ホスホルアミデートおよびオリゴリボヌクレオチドホスホロチオエートおよびそれらの2'-O-アルキル類似体および2'-O-メチルリボヌクレオチドメチルホスホネートが含まれる。あるいはまた、混合バックボーンオリゴヌクレオチド(MBO)も用いられる。MBOは、ホスホチオエートオリゴデオキシヌクレオチドのセグメントと、適切に配置された改変オリゴデオキシ-またはオリゴリボヌクレオチドのセグメントを含む。MBOは、ホスホロチオエート結合のセグメントと、他の改変オリゴヌクレオチド(例えば、非イオン性で、非常にヌクレアーゼ耐性のメチルホスホネート、または2'-O-アルキルオリゴリボヌクレオチド)の他のセグメントとを有する。
【0026】
本発明で用いるのに適したポリヌクレオチドは、好ましくは、細胞、または細胞性の、原核性の、真核性の、核、クロマチン、ヒストンもしくはタンパク質物質を実質的に含まない形態またはそれらと会合していない形態である。それは実質的に単離された形態または実質的に精製された形態をしており、その場合には、それは一般に調製物中に90%以上、例えば少なくとも95%、98%、または99%のポリヌクレオチドまたは乾燥質量を含むであろう。こうして、ポリヌクレオチドは「裸のDNA」の形でありうる。
【0027】
3. 多糖類、例えばヘパリン、低分子量ヘパリン、ポリマンノース、シクロデキストリン、およびリポ多糖。
【0028】
4. 個別の、または互いに組み合わせた(例えば、ヘテロコンジュゲートの形をした)、または追加の物質を含む、上記の活性成分のいずれかまたは全部。
【0029】
本発明の好適な実施形態において、吸収される活性高分子成分はカルシトニン、インスリン、低分子量ヘパリン、エリスロポエチン、コロニー刺激因子(顆粒球コロニー刺激因子 (GCSF)および顆粒球単球コロニー刺激因子 (GMCSF)を含む)、インターフェロン、C-ペプチド、グルカゴン様タンパク質1 (GLP-1)、ヒト成長ホルモンおよび副甲状腺ホルモン、ならびにそれらの類似体および断片から選択される。
【0030】
本発明の組成物では、芳香族アルコール吸収促進剤が、重量基準で、活性高分子成分の量より多いか、またはそれに等しい量で存在する。これにより、腸細胞バリアー層(腸壁)において芳香族アルコール吸収促進剤の有効濃度が得られ、適量の活性高分子成分(吸収されると、通常の有効な作用を発揮する)の共存下で増大した吸収が生じる。芳香族アルコール吸収促進剤と活性高分子成分の量は、関係する活性高分子成分の治療効力に必要な量(例えば、血中濃度)に基づいて、容易に選択される。カプセルに含まれる混合物中の芳香族アルコール吸収促進剤と活性高分子成分の重量比は、適切には少なくとも1:1、好ましくは少なくとも5:1、例えば1:1〜100:1、好ましくは3:1〜50:1、最も好ましくは5:1〜20:1である。
【0031】
ビグアニドと芳香族アルコール吸収促進剤の比は、適切には重量基準で少なくとも2:1、好ましくは2:1〜10:1、最も好ましくは2:1〜5:1である。
【0032】
活性高分子成分の絶対量は、用いる投薬レジメンおよび関係する患者に対して通常の有効な作用を奏するのに要する該物質の投与量に基づいて選択されるだろう。こうした量の決定は本発明の実施者の裁量の範囲内である。
【0033】
経口投与用の組成物において、カプセルの内容物は、活性高分子成分の標準的な治療効果を達成するのに十分な量の該活性成分を含むことが好適である。例えば、カプセル内容物(カプセル自体は含まれない)の重量に基づいて、組成物は0.05〜50重量%、好ましくは0.1〜25%、さらに好ましくは0.1〜10%の活性高分子成分を含むことができる。
【0034】
本発明の組成物はさらに、1種以上の他の吸収促進剤化合物、例えば中鎖脂肪酸および中鎖モノグリセリドを含んでいてもよい。
【0035】
本発明の組成物は、場合により、医薬品の製造に用いられる慣用の添加剤をさらに含んでいてもよく、かかる添加剤として、例えば、酸化防止剤、抗菌剤、懸濁化剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、膨潤剤、粘度調整剤、可塑剤、酸性度調整剤(特に、腸環境をpH7〜pH7.5に調整するもの)、およびプロテアーゼ阻害剤、例えばアプロチニン、大豆トリプシン阻害剤またはメシル酸ガベキサートが挙げられる。
【0036】
本発明の組成物は、場合により、本組成物の望ましい作用を相乗的に増強しうる追加の活性成分をさらに含むことができる。例えば、活性高分子成分がインスリンである場合、組成物は吸収されたインスリンへの生体反応を高めることができるインスリン増感剤を含んでいてもよい。この様式で使用可能な増感剤の例は、トログリタゾン(troglitazone)、ピオグリタゾン(pioglitazone)、ロシグリタゾン(rosiglitazone)、およびグリタゾンクラスの分子の他のメンバーである。
【0037】
本発明の組成物において、芳香族アルコール吸収促進剤と活性高分子成分を含む混合物がカプセルまたは錠剤中に含まれる場合、その製剤は実質的に無水であることが好ましい。本発明のより好ましい実施形態では、全組成物が実質的に無水である。本発明との関連で「実質的に無水」とは、混合物の重量基準で、水が5%未満、好ましくは1%未満、さらに好ましくは0.5%未満であることを意味する。
【0038】
本発明の組成物は、そこで用いられる活性高分子成分に応じて、ヒトまたは動物体の様々な症状および疾患の治療処置に使用することができ、あるいはまた、ヒトまたは動物体の疾患および症状の診断に不可欠な高分子を導入するために使用することができる。好ましくは、本発明の組成物は医薬品または化粧品組成物である。
【0039】
本発明の医薬組成物は、該組成物がインスリン、C-ペプチド、GLP-1またはこれらの混合物を活性成分として含む場合には糖尿病の治療に特に有用であり、該組成物がカルシトニン、PTHまたはこれらの混合物を含む場合には骨粗鬆症の治療に有用であり、該組成物がカルシトニンを含む場合には変形性関節症の治療に有用であり、該組成物がペプチドYY、オキシントモジュリンまたはこれらの混合物を含む場合には肥満症の治療に有用であり、また、該組成物がエリスロポエチン、GCSF、GMCSFまたはこれらの混合物を含む場合には癌の治療に有用である。
【0040】
本発明の組成物において、カプセル内に含まれる混合物は液体、半固体、またはゲルであってよく、これらは溶液または微粒子分散体のいずれかの形態をしている。すなわち、吸収される活性高分子成分は溶液の形態で、または微粒子分散体として製剤中に組み込まれる。あるいはまた、前記組成物は固体の形態をしていてもよい。
【0041】
本発明の組成物を適切に製造するには、活性高分子成分と芳香族アルコール吸収促進剤の実質的に無水の混合物を調製し、その後場合により、コーティングを施してないカプセルに該混合物を充填し、場合により、それらを適当なポリマー混合物でコーティングして望ましい透過性とする。
【0042】
用いる追加の賦形剤の性質に応じて、本発明の医薬組成物は液体、固体、半固体、またはゲル体でありうる。本発明の医薬組成物は、頬側および舌下粘膜、鼻口蓋、肺、直腸、腸管(大腸と小腸を含む)、膣などの様々な粘膜組織に接近する任意の経路で投与するのに適している。液体、半固体、またはゲル製剤の場合には、これらは無水であっても水性であってもよい。
【0043】
本発明の組成物の意図した作用部位が腸である場合は、該組成物を腸溶性コーティングで被覆することが望ましい。腸溶性コーティングは胃に耐えることができ、その結果、製剤の諸成分はそれらが小腸または結腸の組織に到達するまで一緒に、未希釈のまま、密に会合した状態で存在する。そのような製剤は好ましくは無水であるだろう。液体形態の組成物は適切には腸溶カプセル剤として投与され、一方固体製剤は腸溶カプセル内に封入してまたは錠剤の形で投与される。
【0044】
腸溶性コーティングは、胃の自然条件に耐えるように、また、腸の所望の位置で透過性となるように、適切に選択される。これは好ましくは腸の長さに沿って変化するpH条件により決まる。作用部位が小腸である場合、腸溶性コーティングはpH3〜7、好ましくはpH5.5〜7、さらに好ましくはpH5.5〜6.5で透過性となって、その内容物を放出することが好適である。意図した作用部位が結腸である場合は、腸溶性コーティングがpH6.8以上で透過性となって、その内容物を放出することが好適である。
【0045】
適当な腸溶性コーティングは当技術分野でよく知られており、例えば、LおよびS系列のオイドラギット(Eudragit)、特にEudragit L12.5P、L12.5、L100、L100-55、L30 D-55、S12.5P、S12.5およびS100から選択されるような、ポリメタクリレートが含まれる。カプセル(好ましくはゼラチンカプセル)用の適切なコーティングの選択は、オイドラギット製品に関する入手可能な文献や情報に基づいて、当業者が容易に行うことができる。
【0046】
意図した作用部位が鼻粘膜である場合、製剤は水溶液または乾燥粉末の形態をとることができ、それらはスプレーとして投与される。
【0047】
意図した作用部位が直腸である場合、適切な投与方法は、カプセル外殻内に保持された、または侵食性座薬のマトリックス中に配合された、無水の液体もしくは固体としてである。
【0048】
膣への適用の場合には、ゲル形態の製剤の投与も可能である。
【0049】
以下の実施例は本発明を説明するためのもので、本発明を制限するものと解釈されるべきでない。
【実施例】
【0050】
実施例1 メトホルミンと没食子酸プロピルを含む製剤の調製
1gのメトホルミンに1.83gの蒸留水を添加する。次にこの混合物を穏やかに振とうしながら約60℃まで加温し、全ての固体を溶解させる。透明な溶液に250mgの没食子酸プロピルを加える。その後この混合物を穏やかに振とうしながら約60℃まで加温し、全ての固体を溶解させる。約25μlの水酸化ナトリウムを添加してpHを5.5に調整する。均質な溶液が得られ、これは室温で透明なままである。
【0051】
実施例2 フェンホルミンと没食子酸プロピルを含む製剤の調製
メトホルミンをフェンホルミンで置き換えたこと以外は、実施例1に記載したようにしてフェンホルミン/没食子酸プロピル製剤を調製する。均質な溶液が得られ、これは室温で透明なままである。
【0052】
実施例3 グルクロン酸クロルヘキシジンと没食子酸プロピルを含む製剤の調製
200mg/mlのグルクロン酸クロルヘキシジン溶液を蒸留水で2倍に希釈して100mg/mlの溶液を得る。この溶液10mlに250mgの没食子酸プロピルを加える。その後この混合物を穏やかに振とうしながら約60℃まで加温し、全ての固体を溶解させる。約25μlの1M水酸化ナトリウムを添加してpHを5.5に調整する。均質な溶液が得られ、これは室温で透明なままである。
【0053】
実施例4 メトホルミンとブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含む製剤の調製
400mgのメトホルミンに4.0gの蒸留水を添加する。次にこの混合物を穏やかに振とうしながら約70℃まで加温し、全ての固体を溶解させる。透明な溶液に40mgのBHTを加える。その後この混合物を穏やかに振とうしながら約70℃まで加温し、全ての固体を溶解させる。均質な溶液が得られ、これは室温で透明なままである。
【0054】
実施例5 フェンホルミンとブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含む製剤の調製
400mgのフェンホルミンに4.0gの蒸留水を添加する。次にこの混合物を穏やかに振とうしながら約70℃まで加温し、全ての固体を溶解させる。透明な溶液に100mgのBHTを加える。その後この混合物を穏やかに振とうしながら約70℃まで加温し、全ての固体を溶解させる。均質な溶液が得られ、これは室温で透明なままである。
【0055】
実施例6 フェンホルミンとブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)を含む製剤の調製
BHTをBHAで置き換えたこと以外は、実施例5に記載したようにしてフェンホルミン/BHA製剤を調製する。均質な溶液が得られ、これは室温で透明なままである。
【0056】
実施例7 メトホルミン、没食子酸プロピルおよびインスリンを含む製剤の調製
メトホルミン/没食子酸プロピルの溶液を実施例1に記載したように調製する。次に、得られた溶液を37℃に冷却して28.1mgのインスリンを添加する。この混合物を、インスリンが完全に溶解するまで混合しながら37℃でインキュベートする。その後、溶液を-20℃で急速凍結させ、さらに-20℃で1時間インキュベートし、1ミリバールの真空に曝露することにより一晩かけて凍結乾燥させる。その後乾燥粉末ケークをふるいに通して微粉末を得る。
【0057】
実施例8 メトホルミン、没食子酸プロピルおよびインスリンを含む製剤の溶解
244mgのメトホルミン/PG/インスリン粉末を8mlバイアルに入れ、これを37℃の水浴に移す。1mLの人工腸液pH5.5を37℃に予め温めてからサンプルに導入し、次いで37℃でインキュベートする。この粉末は10分以内に溶解する。この溶液100μlをマイクロプレートのウェルに移し、吸光度を620nmと492nmで測定する。この溶液の光学密度は人工腸液のみの光学密度と類似しており、このことは、この溶液が透明で粒状物を含まず、散乱がまったく観察されないことを実証している。
【0058】

【0059】
実施例9 幼若ブタにおける塩酸メトホルミン/没食子酸プロピル/インスリン混合物のin vivo効力
実施例7で調製した製剤を膨潤剤および滑沢剤と混合し、この乾燥粉末をカプセルに充填する。各カプセルは以下に示す割合の成分を含む。メトホルミンの代わりにケノデオキシコール酸塩を含み、インスリンの代わりにサケ・カルシトニンを含む製剤を比較用に調製する。全ての製剤はカプセルあたり同量の没食子酸プロピルを含有する。
【0060】

【0061】
8匹の幼若ブタ(各ブタの体重約40kg)の空腸にストーマからカプセルを投与する。血中グルコース濃度を6時間にわたり間隔をおいて測定し、血漿グルコースの平均AUC変化をh.mmol/lで算出する。以下のデータからわかるように、メトホルミン/没食子酸プロピルの組合せを含む製剤は、ケノデオキシコール酸塩/没食子酸プロピルを含む製剤に等しいか、またはそれを上回る効力を示す。
【0062】

【0063】
実施例10 幼若ブタにおける塩酸メトホルミン/没食子酸プロピル/カルシトニン混合物のin vivo効力
実施例9で調製した製剤(6000iuのサケ・カルシトニン、133mgの塩酸メトホルミン、および33mgの没食子酸プロピル、または6000iuのサケ・カルシトニンおよび塩酸メトホルミンのみを含む)をカプセルに封入した乾燥粉末として8匹の幼若ブタ(各ブタの体重約40kg)の空腸にストーマから投与する。各カプセルの内容物の組成を以下の表に示す。比較のためにケノデオキシコール酸塩を含む製剤を加えてある。
【0064】

【0065】
血中カルシウム濃度を6時間にわたり間隔をおいて測定し、血漿カルシウムの平均AUC変化をh.mmol/lで算出する。以下のデータからわかるように、腸から血流へのカルシトニンの導入の結果としてカルシウム濃度がベースラインより下に低下する。メトホルミン/PGの組合せが最も効果的であり、PGの不在下でのメトホルミンよりもかなり効果的である。このことは、吸収促進作用がメトホルミンそれ自体によるのではなく、没食子酸プロピルの作用の結果であり、腸の水性媒体への没食子酸プロピルの溶解がメトホルミンの存在によってもたらされることを示している。製剤にプロテアーゼ阻害剤を含めることによって活性をさらに増強させることができる。
【0066】

【0067】
実施例11 幼若ブタにおける塩酸メトホルミン/没食子酸プロピル/カルシトニン混合物のin vivo効力
実施例9で調製した製剤(各カプセルは、4mgの副甲状腺ホルモン(PTH)、133.4mgの塩酸メトホルミン、33.35mgの没食子酸プロピル、15.15mgのデンプングリコール酸ナトリウム、1.65mgのフュームドシリカ、および10.00mgの大豆トリプシン阻害剤を含む)を8匹の幼若ブタ(各ブタの体重約40kg)の空腸にストーマから投与する。血中カルシウム濃度を6時間にわたり間隔をおいて測定する。以下のデータからわかるように、カルシウム濃度は、腸から血流へのPTHの導入の結果として基底値から変化する。
【0068】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 活性高分子成分、
(b) 没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ならびにそれらの類似体および誘導体、またはそれらの混合物から選択される芳香族アルコール吸収促進剤、および
(c) 水性媒体中での芳香族アルコール吸収促進剤の溶解性を高めることができる、ビグアニドまたはその製薬上許容される塩、
の混合物を含んでなる医薬組成物であって、芳香族アルコール吸収促進剤が、重量基準で、活性高分子成分の量より多いか、またはそれに等しい量で存在する、上記医薬組成物。
【請求項2】
5重量%未満の水を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物がpH3〜7で透過性になる腸溶性コーティングを施されている、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記混合物が5〜30重量%の芳香族アルコール吸収促進剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ビグアニドがメトホルミン、フェンホルミン、およびクロルヘキシジン、ならびにそれらの製薬上許容される塩から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ビグアニドがメトホルミン、フェンホルミン、クロルヘキシジン、およびそれらの製薬上許容される塩から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記混合物が溶液または微粒子分散体の形態である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記混合物が固体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
活性高分子成分がポリペプチドもしくはタンパク質、ポリヌクレオチド、多糖、またはそれらの混合物である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
活性高分子成分がカルシトニン、インスリン、低分子量ヘパリン、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、インターフェロン、C-ペプチド、GLP-1、ヒト成長ホルモン、および副甲状腺ホルモン、またはそれらの類似体もしくは断片から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
活性高分子成分がインスリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、またはその類似体もしくは誘導体である、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
活性高分子成分がインスリンまたはその類似体もしくは誘導体である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
ヒトまたは動物体の治療または診断に用いるための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
高分子を腸壁から吸収させるための促進剤としての没食子酸プロピル、BHT、BHA、ならびにそれらの類似体および誘導体から選択される芳香族アルコールと組み合わせた、水性媒体中での芳香族アルコールの溶解性を高めることができるビグアニドまたはその製薬上許容される塩の、医薬組成物における使用。
【請求項15】
ヒトまたは動物の体内への活性高分子成分の吸収を高めることを目的とした、活性高分子成分を含む医薬の製造における、没食子酸プロピル、BHT、BHA、ならびにそれらの類似体および誘導体から選択される芳香族アルコールと組み合わせた、水性媒体中での芳香族アルコールの溶解性を高めることができるビグアニドまたはその製薬上許容される塩の使用。
【請求項16】
吸収される分子/活性高分子成分がポリペプチドもしくはタンパク質、ポリヌクレオチド、多糖、またはそれらの混合物である、請求項14または15に記載の使用。
【請求項17】
吸収される分子/活性高分子成分がカルシトニン、インスリン、低分子量ヘパリン、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、インターフェロン、C-ペプチド、GLP-1、ヒト成長ホルモン、および副甲状腺ホルモン、またはそれらの類似体もしくは断片から選択される、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
吸収される分子/活性高分子成分がインスリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、またはその類似体もしくは断片である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
吸収される分子/活性高分子成分がインスリンまたはその類似体もしくは断片である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記組成物が5重量%未満の水を含む、請求項14〜19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
吸収される活性高分子成分を芳香族アルコールに溶液の形態で、微粒子分散体として、または固体として組み入れることを含む、請求項14〜19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
患者における活性高分子成分の吸収を促進する方法であって、該患者に、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含んでなる、上記方法。
【請求項23】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物を投与することにより治療可能な症状または疾患を有する患者の治療方法。
【請求項24】
インスリン、C-ペプチド、GLP-1、またはそれらの混合物から選択される活性高分子成分;没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、それらの類似体および誘導体、またはそれらの混合物から選択される芳香族アルコール吸収促進剤;ならびに水性媒体中での芳香族アルコール吸収促進剤の溶解性を高めることができるビグアニドまたはその製薬上許容される塩の、糖尿病治療用の医薬の製造における使用。
【請求項25】
カルシトニンおよびPTHから選択される活性高分子成分;没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、それらの類似体および誘導体、またはそれらの混合物から選択される芳香族アルコール吸収促進剤;ならびに水性媒体中での芳香族アルコール吸収促進剤の溶解性を高めることができるビグアニドまたはその製薬上許容される塩の、骨粗鬆症治療用の医薬の製造における使用。
【請求項26】
カルシトニン;没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、それらの類似体および誘導体、またはそれらの混合物から選択される芳香族アルコール吸収促進剤;ならびに水性媒体中での芳香族アルコール吸収促進剤の溶解性を高めることができるビグアニドまたはその製薬上許容される塩の、変形性関節症治療用の医薬の製造における使用。
【請求項27】
ペプチドYY、オキシントモジュリン、およびそれらの混合物から選択される活性高分子成分;没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、それらの類似体および誘導体、またはそれらの混合物から選択される芳香族アルコール吸収促進剤;ならびに水性媒体中での芳香族アルコール吸収促進剤の溶解性を高めることができるビグアニドまたはその製薬上許容される塩の、肥満症治療用の医薬の製造における使用。
【請求項28】
エリスロポエチン、GCST、GMCSF、およびそれらの混合物から選択される活性高分子成分;没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、それらの類似体および誘導体、またはそれらの混合物から選択される芳香族アルコール吸収促進剤;ならびに水性媒体中での芳香族アルコール吸収促進剤の溶解性を高めることができるビグアニドまたはその製薬上許容される塩の、癌治療用の医薬の製造における使用。

【公表番号】特表2009−526827(P2009−526827A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554845(P2008−554845)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【国際出願番号】PCT/GB2007/000539
【国際公開番号】WO2007/093806
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(505385996)アクセス リミテッド (3)
【Fターム(参考)】