説明

ビタミンD受容体モジュレーター

本発明は、新規な、非セコステロイド性の式Iのフェニルナフタレン化合物、その調製、医薬組成物、及び使用方法に関する。


[式中、R、R1、RP、ZP、LP1、LP2、LNP、RP3、RN、及びZNPは、本願明細書において定義される。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年12月21日に出願された仮出願第60/637,930号の米国法典第35編第119条(e)項における優先権の利益を請求し、本願明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
ビタミンD受容体(VDR)は、核内ホルモン受容体のスーパーファミリーに属するリガンド依存性転写因子である。VDRタンパク質は、約50kDaの分子量を有する427アミノ酸である。VDRリガンド、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3(ビタミンDのホルモン活性形状)には、ビタミンD受容体(「VDR」)として知られる核内受容体との相互作用によって媒介される作用がある。VDRリガンド、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3(1α,25(OH)23)は、カルシウム及びリン酸ホメオスタシスの双方に関連する又は関連しない多種多様な組織及び細胞に作用する。
【0003】
種々の系の1α,25−ジヒドロキシビタミンD3の活性は、様々な臨床応用を示唆している。しかしながら従来のVDRリガンドの使用は、その関連する毒性、すなわち高カルシウム血症(高い血清カルシウム)によって阻止される。現在、Rocaltrol(登録商標)薬剤(Hoffmann−La Rocheの製品)として販売されている1α,25(OH)23は、低カルシウム血症、及びそれによって発症する代謝性骨疾患を治療するために慢性的な腎臓透析を受けている腎不全患者に投与される。Calcipotriol(登録商標)(1α,25(OH)23の合成類似体)のような他の治療薬は、高カルシウム血性活性からVDRに対する結合親和力分離の増加を示す。
【0004】
1α,25(OH)23の化学修飾によって、カルシウム動員効果が弱まる類似体が得られた(R.Bouillonら,Endocrine Rev.1995,16,200−257)。この類似体にはDovonex(登録商標)薬剤(Bristol−Meyers Squibb Co.の製品)があり、軽度から中等度の乾癬症の局所治療用にヨーロッパ及び合衆国で現在使用されている(K.Kragballeら,Br.J.Dermatol.1988,119,223−230)。
【0005】
他のビタミンD3類似体は、Vitamin D Analogs:Mechanism of Action of Therapeutic Applications,by Nagpal,S.;Lu,J.;Boehm,M.F.,Curr.Med.Chem.2001,8,1661−1679という出版物に記載されている。
【0006】
有益な作用とカルシウム上昇(カルシウム血症)効果が、このVDRリガンドによってある程度分離されるが、現在、骨粗鬆症、癌、白血病、及び重度の乾癬症のような病気の治療のために経口投与できるまで不十分に分離されていない。
【0007】
高カルシウム血症でない場合、VDRが媒介する生物学的効果から利益を受ける主な障害群の例には骨粗鬆症がある。骨粗鬆症は、骨の脆弱性、並びに腰部、脊椎及び手首の骨折のしやすさを増大させる骨質量減少及び骨組織の微細構造の劣化を特徴とする全身性障害である(世界保健機関1994年)。骨粗鬆症は、合衆国、ヨーロッパ、及び日本において推定7500万人を襲っている。
【0008】
過去数年以内に、数種の吸収阻害治療が導入されてきた。この治療には、ビスホスホネート、ホルモン補充療法(HRT)、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、及びカルシトニンが含まれる。この治療は、骨吸収、骨形成を減少させ、かつ骨密度を増加させる。しかしながら、この治療によって、真の骨体積は増加せず、欠損した骨構造は修復できない。
【0009】
VDR媒介の生物学的活性の利益がある別の主な障害は、乾癬症である。乾癬症は、最も一般的な皮膚病の1種であって、紅斑性であり境界の極めて明瞭である丘疹及び銀色の雲母性鱗屑で覆われた円形斑を特徴とする慢性炎症性の皮膚状態である。
【0010】
カルシウム血症の潜在性が減少した合成VDRリガンドが、合成された。例えば、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3類似体であると提示しているビスフェニル化合物のクラスが、米国特許第6,218,430号明細書と、Marcus F.Boehm,ら,Chemistry & Biology 1999,Vol 6,No.5,pgs.265−275による論文「新規な非セコステロイド性ビタミンD模倣体によって、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3よりカルシウム流動が少ないVDRの調節活性が得られる」という記事に記載されている。
【0011】
アリールチオフェン核を有する合成VDRリガンドが、2002年5月29日に出願された米国仮特許出願第60/384,151号明細書(国際公開第03/101,978号パンフレット)に記載されており、フェニル−ベンゾキサゾール核を有する合成VDRリガンドが、2004年12月21日に出願された米国仮特許出願第60/638,029号明細書に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
骨形成を刺激し、骨質を修復し、かつ高カルシウム血症の不利益を伴わずに他の疾患を治療するためには、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3模倣体の代用又は改良された薬剤を使用する改良された治療の必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
式PNのフェニル−ナフタレン核を有する新規な化合物が、ビタミンD受容体(VDRM)モジュレーターとして有効であることがわかった。
【0014】
【化1】

【0015】
VDRの調節活性を有する本発明の化合物を式(I)に示す。
【0016】
【化2】



[式中、変数R、R’、RP、RP3、LP1、LP2、ZP、RN、LNP、及びZNPは、本願明細書の以下に定義するとおりである。]
【0017】
別の態様において、本発明の目的は、医薬的に許容できる担体及び/又は補助剤と共に、医薬的に効果的な量の化学式Iの化合物、又はその医薬的に許容できる塩若しくはプロドラッグを単独又は組み合わせて含む医薬組成物である。
【0018】
本発明の別の態様は、骨粗鬆症の治療又は予防用医薬製剤であって、医薬的有効量の式(I)のビタミンD受容体モジュレーター化合物を単独、又は医薬的有効量の従来から使用されている医薬的に許容できる骨粗鬆症の治療用の共剤と組み合わせて含む医薬製剤である。
【0019】
本発明の別の態様は、乾癬症の治療又は予防用医薬製剤であって、医薬的有効量の式(I)のビタミンD受容体モジュレーター化合物を単独、又は医薬的有効量の従来から使用されている医薬的に許容できる乾癬症の治療用の共剤と組み合わせて含む医薬製剤である。
【0020】
本発明の別の態様は、前立腺癌の治療又は予防用医薬製剤であって、医薬的有効量の式(I)のビタミンD受容体モジュレーター化合物を単独、又は医薬的有効量の従来から使用されている医薬的に許容できる前立腺癌の治療用の共剤と組み合わせて含む医薬製剤である。
【0021】
本発明の別の態様は、ビタミンD受容体リガンドに対する応答を示す症状を治療するための式Iの化合物の使用である。
【0022】
本発明の別の態様は、座瘡、紫外線角化症、脱毛症、アルツハイマー病、自己免疫誘導糖尿病、良性前立腺肥大症、膀胱癌、骨折治癒、乳癌、クローン病、前立腺癌、大腸癌、I型糖尿病、宿主−移植片拒絶、高カルシウム血症、II型糖尿病、白血病、多発性硬化症、皮脂分泌不足、骨軟化症、骨粗鬆症、皮膚硬度不足、皮膚水分補給不足、脊髄形成異常性症候群、乾癬性関節炎、乾癬症、腎性骨ジストロフィー、リウマチ様関節炎、強皮症、脂漏性皮膚炎、皮膚癌、全身性紅斑性狼瘡、マスタード糜爛による皮膚細胞損傷、潰瘍性大腸炎及びしわの予防及び治療であって、医薬的有効量の式Iの化合物を必要とする哺乳動物に投与することによる予防及び治療である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
定義:
「膿瘍」は、被包性細菌リンパ球、マクロファージ等から宿主が膿瘍形成しやすくなる外科手術、外傷、又は疾患によく関連する有害合併症を意味する。
【0024】
「癒着」という用語は、通常、炎症過程の結果として生じる新たな線維組織の形成によって分離される表面の有害かつ異常結合を意味する。
【0025】
「本発明の化合物」という用語は、式Iで表されるか、或いは本願明細書に記載される実施例又は合成スキームの生成物として示される化合物を意味する。
【0026】
「活性成分」という用語は、本発明の化合物を意味する。
【0027】
「マスタード」という用語は、サルファマスタード及びナイトロジェンマスタードの両方、いずれか単独、又は組み合わせを含む。このような化合物の例には、糜爛剤;ビス(2−クロロエチル)スルフィド(化学薬品記号HD)、Cl(CH22S(CH22Cl 1,2−ビス(2−クロロエチルチオ)エタン(化学薬品記号Q)、Cl(CH22S(CH22S(CH22Cl;ビス(2−クロロエチルチオエチル)エーテル、Cl(CH22S(CH2)O(CH22S(CH22Cl(化学薬品記号T);トリス(2−クロロエチル)アミン(化学薬品記号HN3)N(CH2CH2Cl)3;N−メチル−2,2’−ジクロロジエチルアミン(化学薬品記号NH2);及び2,2’−ジクロロトリエチルアミン、CH3CH2N(CH2CH2Cl)2(化学薬品記号NH1)が含まれる。
【0028】
本願明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、以下で例示されるヘテロアリールを意味する。
【0029】
【化3】


【0030】
【化4】


【0031】
【化5】


実線記号に交差する点線は、遊離基の原子と他の分子との間の付加結合を示す。
【0032】
「(酸性基)」という用語は、水素結合能を有するプロトン供与体を担う有機基を意味する。(酸性基)の例は、カルボン酸、アシルスルホンアミド、テトラゾリル、酸性の水素、すなわち水酸基で置換されるヘテロアリールから選択される群である。
【0033】
「哺乳類」という用語は、人間を含む。
【0034】
「ハロ」という用語は、フッ素塩素、臭素、及びヨウ素を意味する。本発明の好ましいハロゲンはフッ素を含む。
【0035】
化学用語は、本願明細書において特定されない限り、当業者に理解される慣習的な用法で用いられる。
【0036】
「C1-3アルキル」という用語は、メチル、Et、n−プロピル、及びイソプロピルから選択されるアルキル基に言及する。略語「Me」は、メチルを意味し、「Et」は、エチルを意味し、「iPr」又は「i−Pr」は、1−メチルエチルを意味し、「tBu」又は「t−Bu」は、1,1−ジメチルエチルを意味する。
【0037】
「分枝C3−C5アルキル」という用語は、1−メチルEt、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルEt、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、又は2,2−ジメチルプロピルから選択されるアルキル基である。好ましい分枝C3−C5アルキル基は、2−メチルプロピル、及び1,1−ジメチルエチル基であり、1,1−ジメチルエチル基が最も好ましい。
【0038】
「アルケニル」という用語は、付加位置が炭素−炭素二重結合、ビニル、1−プロペニル、及び1−シクロヘキセニル基等の脂肪族基を意味する。アルケニル基は、直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せであってよく、任意に置換されてもよい。アルケニル基は、1個以上の二重結合を含むことができることが理解されよう。更に、アルケニル基は、二重結合を有する位置異性体、すなわちトランス(Z)又はシス(E)異性体を含むことができる。適切なアルケニル基は、2〜20個の炭素原子を有する。本発明の化合物が2種類以上の互変異性型で存在できることは、当業者に理解される。このような互変異性型は全て、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0039】
「C1−C5アルキル」という用語は、直鎖、分岐鎖、環式、及びそれらの組み合わせを含む飽和脂肪族基を意味する。C1−C5アルキル基の例には、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、n−アミルl、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、及び2,2−ジメチルプロピルが含まれる。
【0040】
「シクロアルキル」という用語には、3〜8個の炭素原子を有する環員の有機ラジカルが含まれる。例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが含まれる。置換される場合、置換基は、ハロ、ヒドロキシル、−CN、C1−C3アルキル、−SH、−OC1−C3アルキル、及び−SC1−C3アルキルから選択されてもよい。
【0041】
「シクロアルキル」という用語には、3〜8個の炭素原子を有する環員の有機ラジカルが含まれ、非限定的な例として、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、及びシクロヘキセニエルが含まれる。
【0042】
「C1−C5ハロアルキル」という用語は、1個以上のハロゲン原子を含むアルキル基である。用語「C1−C5フルオロアルキル」は、フッ素を含むアルキル基であり、−CF3、−CHF2、−CH2F、−CF2CF3、−CHFCF3、−CH2CF3、−CH2CHF2、及び−CH2CH2F等の有機ラジカルを含み、−CF3を有するものが好ましい。
【0043】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、少なくとも1個の水酸基を有するアルキル基を意味する。非限定的な例として、3−メチル−3−ヒドロキシペンチル、3−メチル−3−ヒドロキシペンテニル、3−メチル−3−ヒドロキシペンチニル、3−エチル−3−ヒドロキシペンチル、3−エチル−3−ヒドロキシペンテニル、3−エチル−3−ヒドロキシペンチニル、3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンチル、3−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチルペンテニル、3−エチル−3−ヒドロキシ−4−methylpentynyl、3−プロピル−3−ヒドロキシペンチル、3−プロピル−3−ヒドロキシペンテニル、3−プロピル−3−ヒドロキシペンチニル、1−ヒドロキシ−2−メチル−1−(メチルエチル)プロピル、2−メチル−3−ヒドロキシ−4,4−ジメチルペンチル、2−メチル−3−ヒドロキシ−3−エチルペンチル、2−エチル−3−ヒドロキシ−3−エチルペンチル、2−エチル−3−ヒドロキシ−4,4−ジメチルペンチル、1−ヒドロキシシクロアルケニル、及び1−ヒドロキシシクロアルキルが含まれる。
【0044】
用語「ヒドロキシシクロアルキル」は、一般の構造式を有する基に言及し、
【0045】
【化6】



wが1〜6の整数であり、水酸基は、任意の環炭素原子にも置換される。例として、2−ヒドロキシシクロヘキシルメチル、3−メチル−2−ヒドロキシシクロヘキシルオキシ、3−メチル−2−ヒドロキシシクロヘキシルメチル、及び3,3−ジメチル−2−ヒドロキシシクロヘキシルオキシが含まれる。
【0046】
用語「1−ヒドロキシシクロアルキル」は、以下の一般的な構造式を有する基に言及する。
【0047】
【化7】



式中、wは、上記で定義されるとおりである。1−ヒドロキシシクロアルキル基の例には、1−ヒドロキシシクロプロピル、1−ヒドロキシシクロブチル、1−ヒドロキシシクロペンチル、1−ヒドロキシシクロヘキシル、1−ヒドロキシシクロヘプチル、及び1−ヒドロキシシクロオクチルである。
【0048】
「オキソシクロアルキル」という用語は、一般の構造式を有する遊離基をいう。
【0049】
【化8】



wは、上記で定義されるとおりである。言及される分子へのオキソシクロアルキルの付加結合は、カルボニル炭素に隣接する炭素に制限される必要はないが、環を形成している炭素原子のいずれかを介して結合することができる。オキソシクロアルキル基の非限定的な例には、2−オキソシクロヘキシルオキシ、2−オキソシクロヘキシルメチル、3−メチル−2−オキソシクロヘキシルオキシ、3−メチル−2−オキソシクロヘキシルメチル、3,3−ジメチル−2−オキソシクロヘキシルオキシ、3,3−ジメチル−2−オキソシクロヘキシルメチル、及び2−ヒドロキシシクロヘキシルオキシが含まれる。
【0050】
本発明の特定の化合物は、キラル中心、すなわち、ジアステレオマー及び鏡像異性体を有する異性体構造中に存在する。互変異性型の化合物の各々は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。各種異性体の各々を、1種類の異性体として調製でき、及び/又は当業者に周知の技術によって、1種類の異性体に分離することができる。従って、本発明の化合物を、1種類の異性体又は異性体形として、或いは、本発明の化合物は、異性体の混合物として用いることができる。以下に例示される「ギザギザの」結合は、結合する炭素が、すなわちR又はSのいずれの構造として存在できることを表すのに用いられる。
【0051】
【化9】



本発明の化合物が2種類以上の互変異性型で存在できることは、当業者に理解される。このような互変異性型は全て、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0052】
本発明の化合物:
ビタミンD受容体モジュレーター(VRDM)活性を有する本発明の化合物は、式(I)で表される化合物又はその医薬的に許容できる塩若しくはプロドラッグ誘導体、或いはその医薬的に許容できる塩、溶媒和物、プロドラッグ、鏡像異性体、ラセミ化合物、ジアステレオマー、若しくはジアステレオマーの混合物である。
【0053】
【化10】



式中、R及びR’は、独立してC1−C5アルキル、C1−C5ハロアルキルであるか、或いは、R及びR’は、3〜8個の炭素原子を有する置換又は非置換の、飽和又は不飽和のシクロアルキル環を共に形成し、
RP3及びRNは、水素、ハロ、C1−C5アルキル、C1−C5ハロアルキル、−O−C1−C5アルキル、−S−C1−C5アルキル、−O−C1−C5ハロアルキル、−CN、−NO2、アセチル、−S−C1−C5ハロアルキル、C2−C5アルケニル、C3−C5シクロアルキル、及びC3−C5シクロアルケニルからなる群から独立して選択され、
RPは、水素、ハロ、C1−C5アルキル、C1−C5ハロアルキル、−O−C1−C5アルキル、−S−C1−C5アルキル、−O−C1−C5ハロアルキル、−CN、−NO2、アセチル、−S−C1−C5ハロアルキル、C2−C5アルケニル、C3−C5シクロアルキル、及びC3−C5シクロアルケニルから選択され、
(LP1)、(LP2)、及び(LNP)は、結合、−(CH2m−C(OH)−、−(CH2m−O−、−(CH2m−S−、−(CH2m−S(O)−、−(CH2m−S(O)2−、−(CH2m−N(R40)−、−(CH2m−C(R40)(R41)−、−(CH2m−C(O)−、−N(R40)−C(O)−、−(CH2m−CH=CH−、及び−(CH2m−C≡C−からなる群から独立して選択される二価の結合基であり、
mが、0〜5であり、
R40及びR41の各々が、水素、C1−C5アルキル、C1−C5ヒドロキシアルキル、C1−C5ハロアルキル、C2−C5アルケニル、C3−C5シクロアルキル、C3−C5シクロアルケニルから独立して選択され、
Pは、分枝鎖状のC3−C5アルキル、C3−C10ヒドロキシアルキル、C3−C10ヒドロキシアルケニル、C3−C10ヒドロキシアルキニル、C3−C10ヒドロキシシクロアルキル、C4−C10ヒドロキシシクロアルケニル、及びオキソシクロアルキルから選択され、
NPは、C1−C5アルキル、C2−C5アルケニル、C3−C5シクロアルキル、C3−C5シクロアルケニル、C1−C5ヒドロキシアルキル、C1−C5ハロアルキル、C1−C5アルキルアリール、C1−C5ヒドロキシアルキルアリール、C0−C5アルキル−CO2H、C0−C3アルキル−シクロアルキル−CO2H、C0−C5アルキル−N(R40)(R41)、−X−(C1−C5アルキル)、−X−(C1−C5アルケニル)、−X−(C3−C5シクロアルキル)、−X−(C3−C5シクロアルケニル)、−X−(C1−C5ハロアルキル)、−X−(C1−C5ヒドロキシアルキル)、−X−(C1−C5アルキルアリール)、−X(OC1−C5アルキル)、−XN(R40)(R41)、−XN(R40)アリール、−N(CH3)(OCH3)、−N(OH)(CH3)、−N(R42)−(C1−C5アルキル)CO2H、−N(R42)−(C1−C5アルキル)C(O)(C1−C5アルキル)、−N(R42)−(C1−C5アルキル)C(O)(OC1−C5アルキル)、−N(R42)−SO2−(C1−C5アルキル)、−NR(42)−S(O)−(C1−C5アルキル)、−P(O)−(OC1−C5アルキル)2、ヘテロアリール、及びN=C(R40)N(R40)(R41)から選択され、
R42が、H、C1−C3アルキル、及びC1−C3ハロアルキルから選択され、
Xが、O、C(O)、C(S)、S(O)、及びSO2から選択され、
但し、−(LNP)−ZNPが、ナフタレン環の12又は13位のいずれかで置換される。
【0054】
二価のリンカー((LP1)(LP2)及び、(LNP))の本願明細書に列挙される個々の基が、ベンゾキサゾール核の両端で結合できることは、当業者によく理解されている。例えば、リンカー−N(R40)−C(O)−に対して、窒素はナフタリン核に結合でき、カルボニル炭素はナフタリン核に結合できる。
【0055】
好ましい実施形態において、本発明の化合物は、好ましい置換基を有する式Iの化合物を含む。
式中、R及びR’が、それぞれ独立してメチル又はエチルであり、
RPが、水素又はメチルであり、
RP3及びRNが、独立して水素、メチル、エチル、−O−メチル、又はシクロプロピルであり、
(LP1)が、結合であり、
(LP2)が、結合、−CH2−、−CH(OH)−、又は−C(Me)OHであり、
(LNP)が、結合、−C(O)−、−C(O)NH−、又は−C(O)N(Me)−であり、
Pが、1,1−ジメチルエチル、1−ヒドロキシシクロペンチル、1−ヒドロキシシクロヘキシル、3−エチル−3−ヒドロキシペンチル、3−エチル−3−ヒドロキシペンテニル、又は3−エチル−3−ヒドロキシペンチニルであり、
NPが、−CO2H、−CO2(R40)、−N(R40)(R41)、−NH−C(Me)(OH)−C(O)OH、−C(O)NMe−CH2−C(O)OH、−C(O)NMe−CH2−C(O)OMe、−C(O)NMe−CH2−C(O)OEt、−C(O)NMe−CH2−C(O)OiPr、−C(O)NMe−CH2−C(O)tBu、−シクロプロピル−C(O)OH、−シクロブチル−C(O)OH、−C(O)NMe−C(Me)2−C(O)OH、−C(O)N(R40)S(O)(R42)、−C(O)N(R40)SO2R42、−C(O)−N(R40)−5−テトラゾリル、−C(O)N(R40)−(C1−C5アルキル)−S(O)R42、−C(O)N(R40)−(C1−C5アルキル)−S(O)2R42、C0−C3アルキル(シクロアルキル)C(O)NHSO2Me、C0−C3アルキル−(シクロアルキル)−C(O)OH、C0−C3アルキル−(シクロアルキル)−C(O)NH−ヘテロアリール、C0−C3アルキル−(シクロアルキル)−NHSO2(C1−C5アルキル)、及び−CH2CO2Hである。
【0056】
本発明の好ましい化合物、塩、及びプロドラッグ誘導体は、以下の構造式C1〜C8で表される。
C1)
【0057】
【化11】



C2)
【0058】
【化12】



C3)
【0059】
【化13】



C4)
【0060】
【化14】



C5)
【0061】
【化15】


C6)
【0062】
【化16】


C7)
【0063】
【化17】


C8)
【0064】
【化18】


R1は、H、Me、又はEtであり、R2は、H又はMeであり、R3は、H、Me、又はEtであり、R4は、H又はMeである。特に好ましい化合物は、式C1−C8で表される化合物を含み、R1が、Me又はEtであり、R2及びR3が、個々にH又はMeである。
【実施例】
【0065】
一般的な実験条件:
明記されない限り、出発原料/中間体は、直前の実験からの化合物である。
【0066】
明記されない限り、全ての反応は、窒素/アルゴン雰囲気下において、撹拌反応器中かつ室温で行われる。
【0067】
特に明記しない限り、「有機層はMgSO4/Na2SO4で乾燥される」「MgSO4/Na2SO4で乾燥される」は、乾燥剤(MgSO4及び/又はNa2SO4)5−15mで撹拌し、次いで乾燥剤を濾過して除去し、無水の濾液を得ることを定義する。
【0068】
類似の多段階反応手順において、収率は、示される最終段階又は全体的な多段階に対して得られる。
【0069】
溶液は、減圧(0.05〜1mm)下で、25〜75℃の範囲で「濃縮」される。
【0070】
明記されない限り、「残渣をクロマトグラフにかける」は、中程度の窒素圧力で残渣のシリカゲルクロマトグラフィー(フラッシュクロマトグラフィー)、或いはシリカゲル対粗生成物の比、約10〜100を用いる中圧クロマトグラフィーシステムと定義される。
【0071】
HPLCにおいて、列挙された条件は、専ら分析追跡用である。分取HPLCにおいて、溶離液は、分析HPLC溶離液に類似である。
【0072】
薄層クロマトグラフィーは、UV及び/又は適切な染色溶液で、シリカゲルプレートを用いて行われる。
【0073】
NMRスペクトルは、300又は400mHz分光計によって得られる。NMRスペクトルデータの表記は、スペクトルがアサインされた構造と一致することを意味する。データのない「NMR」の表記は、スペクトルがアサインされた構造と一致することを意味する。
【0074】
HRMS−高分解能質量スペクトル
ES−MS−エレクトロスプレー質量スペクトル
略語:
Aq−水溶液
d−日
eq−当量
h−時
m−分
satd−飽和
disp−分散
quant−定量
rt−保持時間(RTとの混同を最小限にするため両方とも小文字で)
RT−室温
【0075】
化学用語
【0076】
【表1】


一般手順
スキーム1
【0077】
【化19】

【0078】
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を、酸触媒(HCl、硫酸、又はトルエンスルホン酸)とアルカノール中で室温〜混合物の還流温度でエステル化してエステル1を得る。エステル1を、例えば、ハロゲン化ベンジル及び塩基で保護し、保護されたエステル2を得る。エステル2を、ジエチルエーテル又はTHF中で、過剰量のアルキルグリニャール試薬(2〜5当量)と0℃〜室温で反応させ、tert−カルビノール3を得る。カルビノール3を、触媒、例えばパラジウム−炭素で水素化して、脱保護されたカルビノール4を得る。カルビノール4を無水トリフリック酸と反応させてトリフレートを生成し、脱水させてZ/Eオレフィン5へと処理する。トリフレート5を、一酸化炭素(1〜100psi)及びDMFを用い、アルカノール中のパラジウム触媒(0.1〜10%)と、室温〜150℃で8〜48時間反応させ、エステル6を得る。エステル6により三フッ化ホウ素エーテル錯体等のLewis酸(0.01〜5当量)の存在下でオルト‐置換フェノールを室温でアルキル化してジアリールメタン7を得る。様々なオルト‐置換フェノールは、市販であるか又は当業者によって容易に調製が可能である。ジアリールメタン7の遊離のヒドロキシルを、α−ハロケトン(z−C(O)CH2ハロ、zがアルキル基又は置換アルキル基である)でアルキル化して、ケトエステル8を得る。ケトエステル8を、アルカノール中で水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムを用いて室温〜混合物の還流温度で鹸化してケト酸9を得る。ケト酸9を、アルカノール中で水素化ホウ素リチウム又は水素化ホウ素ナトリウム、若しくはシアノホウ化水素リチウム又はシアノホウ化水素ナトリウムを用いて室温でカルビノール10に還元する。
スキームII
【0079】
【化20】


スキームII
【0080】
2,7−ジヒドロキシナフタレンを無水トリフリック酸(0.9〜1.3の当量)と反応させてモノトリフレート11を生成する。トリフレート11は、アルカノール及びパラジウム触媒を用いてDMF中の一酸化炭素(1〜100psi)と室温〜150℃で、8から48時間反応させてエステル12を得る。エステル12を、例えば、ハロゲン化ベンジル及び塩基で保護し、保護されたエステル13を得る。エステル13を、過剰量のアルキルグリニャール試薬(2〜5当量)で反応させてtert−カルビノール14を生成する。14の保護基を、例えば、パラジウム触媒を用いてアルカノールを水素化して除去し、未保護のtert−カルビノール15を得る。カルビノール15を、トリフレート16に無水トリフリック酸及び塩基で変換する。上記のとおり、トリフレート16を、パラジウム触媒、例えば酢酸パラジウム及びDPPBの存在下で、DMF/アルカノール中の一酸化炭素でエステル17及び塩基に変換する。エステル17により三フッ化ホウ素エーテル錯体等のLewis酸(0.01〜5当量)の存在下でオルト‐置換フェノールを室温でアルキル化して、ジアリールメタン18を得る。ジアリールメタン18の遊離のヒドロキシルを、α−ハロケトン(z−C(O)CH2ハロ、zがアルキル基又は置換アルキル基である)でアルキル化して、ケトエステル19を得る。ケトエステル19を、アルカノール中で水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムを用いて室温〜混合物の還流温度で鹸化して、ケト酸20を得る。ケト酸20を、アルカノール中で水素化ホウ素リチウム又は水素化ホウ素ナトリウム、若しくはシアノホウ化水素リチウム又はシアノホウ化水素ナトリウムを用いて室温でカルビノールに還元する。
【0081】
スキーム(9、10、及び20)の各々において生成される遊離酸の各々を、当業者に周知の反応を用いてエステル及びカルボキサミドに変換する。
スキームIII
【0082】
【化21】


スキームIII
【0083】
アルコール17を、BF3−OEt2及びオルトクレゾール(又は他のオルト置換フェノール)と反応させてフェノール21を得る。フェノール21を、α−ハロケトン(z−C(O)CH2ハロ、zがアルキル基又は置換アルキル基である)及び塩基でアルキル化してケトン22を得る。ケトン22を、ヒンダード塩基(LDA又はNaHMDS)及びハロゲン化メチル又はハロゲン化エチル(又は他のハロゲン化アルキル)のいずれかで処理する。ケトン23を、水酸化アルカリと反応させて酸24を得る。EDCI/HOBT/NMM(N−メチルモルホリン)を用い、酸24を置換アミノ酸エステルでアミド−エステル26にカップリングさせる。環式アミノ酸エステルと酸24のカップリングによって、対応する環状アミド−エステル26を得る。アミドーエステル26を、水酸化アルカリと反応させて酸27を得る。
スキームIV
【0084】
【化22】


スキームIV
【0085】
ケトン−酸24をNaBH4/MeOHと反応させて、アルコール酸28を得る。アルコール酸28を、EDCI/DMAPを用い、置換スルホンアミドと結合させてアシルスルホンアミド29を得る。アルコール酸28を、EDCI/5−アミノテトラゾール/DMAPと反応させてアシルアミノテトラゾール30を得る。(必要であれば、5−アミノテトラゾールを、他のヘテロシクロ基又はヘテロアリール基で置換することができる。)アルコール酸28を、100℃でホルムアミド及びNaOMeと反応させてアミド31を生成する。アミド31を、Et3N、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム六フッ化リン酸、及びTFAと反応させてニトリル32を得る。ニトリル32を、80℃でBu3SnN3と反応させてテトラゾール33を得る。
【0086】
実施例1.6−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボン酸の調製
【0087】
【化23】


A.6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0088】
【化24】

【0089】
2,2−ジメトキシプロパン(235mL)中の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(4.45g,23.6mmol)の混合物を、濃塩酸(24mL)、次いでMeOH(60mL)で処理する。反応物を室温で16時間、次いで55℃で16時間撹拌する。反応混合物をEtOAc(250mL)に注ぎ、ブライン(3×100mL)で洗浄する。Na2SO4で有機層を乾燥させ、濾液を濃縮し、濃縮された濾液をクロマトグラフ(0.5kgシリカゲル、5:95〜15:85EtOAc:hex)にかけて標記化合物(4.77g,定量)を得る。MS (ES) m/e 203 (M+1)
【0090】
B.6−ベンジルオキシナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0091】
【化25】


DMF(22mL)中の6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(4.77g,23.6mmol)及び臭化ベンジル(3.3mL,28.3mmol)を炭酸セシウム(15.3g,47.2mmol)で処理する。混合物を室温で22時間撹拌し、濃縮する。濃縮物をEtOAc(300mL)及び水(100mL)で希釈する。ブライン(3×100mL)で有機層を洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過する。濾液を濃縮する。生成物を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(515:85〜50:50EtOAc:hex)を用いて精製し、白色固体の標記化合物(5.75g,83%)を得る。MS (ES) m/e 293 (M+1)
【0092】
C.3−(6−ベンジルオキシナフタレン−2−イル)ペンタン−3−オール
【0093】
【化26】


THF(115mL)中の6−ベンジロキシナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(5.75g,19.67mmol)を約0℃まで冷却し、臭化エチルマグネシウム(23.0mL,69.0mmol,エーテル中3.0M)で滴下処理する。反応物を室温に温め、3時間撹拌する。水でクエンチし、濃縮する。CH2CL2(200mL)に粗残渣を溶解し、ブラインで二回洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過する。濾液を濃縮して黄色固体の標記化合物(6.0g,95%)を得る。MS (ES) m/e 321 (M+1)
【0094】
D.6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)ナフタレン−2−オール
【0095】
【化27】


エタノール(750mL)中の3−(6−ベンジロキシナフタレン−2−イル)ペンタン−3−オール(1.5g,4.68mmol)及び5%Pd/Al2CO3(0.90g)の混合物を、水素で室温において60psiで8時間処理する。反応混合物から触媒を濾過し、濾液を濃縮して黄色固体の標記化合物(0.94g,87%)を得る。MS (ES) m/e 229 (M−1)
【0096】
E. トリフルオロメタンスルホン酸6−(1−エチルプロペニル)ナフタレン−2−イルエステル
【0097】
【化28】


6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)ナフタレン−2−オール(0.94g,4.08mmol)の溶液及びCH2CL2(30mL)のピリジン(1.3mL,16.3mmol)を氷浴で冷却して、無水トリフルオロメタンスルホン酸(1.0mL,6.1mmol)で滴下処理する。冷浴を除去し、混合物を室温で1時間撹拌する。氷水で反応混合物をクエンチする。CH2CL2(80mL)に混合物を希釈し、ブラインで2回洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過する。濾液を濃縮し、シリカゲルラジアルクロマトグラフィー(CH2CL2)で精製して黄色油状の標記化合物(0.93g,66%)を得る。MS (ES) m/e 361 (M+NH4)
【0098】
F.6−(1−エチルプロペニル)ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0099】
【化29】


MeOH(10mL)及びDMSO(15mL)中のトリフルオロメタンスルホン酸6−(1−エチルプロペニル)ナフタレン−2−イルエステル(0.92g,2.67mmol)、Pd(OAc)2(0.020mg,0.09mmol)、ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.046g,0.083mmol)、Et3N(0.67mL,4.81mmol)を含有する混合物を、一酸化炭素を用い、80℃において100psiで4時間処理する。反応混合物をエーテル(100mL)に注ぎ、ブライン(4×50mL)で混合物を洗浄する。EtOAc(100mL)で有機層を希釈し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過する。濾液を濃縮してオフホワイト色の固体の標記化合物(0.67g,定量)を得る。MS (ES) m/e 255 (M+1)
【0100】
G.6−[1−エチル−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピル]ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0101】
【化30】


78℃に6−(1−エチル−プロペニル)ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(0.74g,2.75mmol)の溶液及びCH2CL2(20mL)中のオルトクレゾール(2.0mL,19.4mmol)を冷却し、BF3−OEt2(1.22mL,9.6mmol)を滴下する。冷浴を除去し、反応物を室温で16時間撹拌する。氷水で反応物をクエンチし、次いでEtOAc(200mL)で希釈する。ブラインで得られた混合物2回を洗浄して、Na2SO4で乾燥させ、濾液を濾過し、濃縮する。生成物を用いている中圧シリカゲルクロマトグラフィー(100%hex〜25:75EtOAc:hex)を用い、白色固体の標記化合物(0.87g,87%)を得る。MS (ES) m/e 363 (M+1)
【0102】
H.6−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0103】
【化31】


アセトン(15mL)中の6−[1−エチル−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピル]ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(0.87g,2.40mmol)、1−ブロモピナコロン(0.64g,3.60mmol)、及び炭酸カリウム(1.0g,7.2mmol)を含有する混合物を室温で16時間撹拌する。反応混合物を濃縮し、EtOAc(100mL)及び水(50mL)で残渣を希釈する。1N HClを用いて、混合物のpHを1に調節する。水層を除去し、ブラインで有機層を洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、次いで濾過する。濾液を濃縮し、シリカゲルラジアルクロマトグラフィー(5:95EtOAc:hex〜15:85EtOAc:hex)で精製してオフホワイト色固体の標記化合物(0.53g,48%)を得る。MS (ES) m/e 461 (M+1)
【0104】
I.6−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボン酸
【0105】
【化32】


2N NaOH(2.9mL,5.8mmol)でTHF(8mL)及びMeOH(16mL)中の6−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(0.53g,1.15mmol)の溶液を処理し、55℃で16時間加熱する。反応混合物を濃縮する。残渣をEtOAc(50mL)及び水(25mL)で希釈して、1N HClを用いて得られた混合物をpH 1に酸性化する。水層を除去し、ブラインで有機層を洗浄し、Na2SO4で有機層を乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮して黄色固体の標記化合物(0.45g,87%)を得る。MS (ES) m/e 447 (M+1)
【0106】
実施例2.6−{1−エチル−1−[4−(2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−ナフタレン−2−カルボン酸の調製
【0107】
【化33】

【0108】
THF(6mL)中の6−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボン酸(0.15g,0.34mmol)の溶液をNaBH4(0.025g,0.67mmol)で処理して、反応混合物を室温で1時間撹拌する。水(5mL)次いで1N HCl(2mL)で最初に反応物をクエンチする。真空下でTHFを除去する。EtOAc(50mL)で混合物を希釈し、ブライン洗浄し(2×)、NaSO4で乾燥させ、濾過する。濾液を濃縮して標記化合物(0.15g)を得る。MS (ES) m/e 447 (M−1)
【0109】
実施例2A及び2B.6−{1−エチル−1−[4−(2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−ナフタレン−2−カルボン酸の鏡像異性体の調製
【0110】
【化34】

【0111】
ラセミ6−{1−エチル−1−[4−(2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−ナフタレン−2−カルボン酸(2.93g)を、Chiralpak AD−Hカラムでクロマトグラフにかけ、鏡像異性体1、実施例2A(1.42g,48%)及び鏡像異性体2、実施例2B(1.38g,47)を得る。
【0112】
エナンチオマー1、実施例2
AHPLC:ChiralPak ADH(4.6x150);60%ヘプタン/40%IPA/0.1%TFA;0.6mL/m(流速);uv:250nm
rt = 10 m
エナンチオマー2、実施例2B
HPLC:ChiralPak ADH(4.6x150);60%ヘプタン/40%IPA/0.1%TFA;0.60mL/m(流速);uv: 250 nm
rt = 16 m
【0113】
実施例3.[(6−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソ−ブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボニル)アミノ]酢酸の調製
【0114】
【化35】

【0115】
CH2CL2(1.0mL)中の6−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボン酸(0.11g,0.246mmol)の溶液を塩化オキサリル(0.13mL,1.48mmol)で滴下処理する。溶液を室温で1時間撹拌し、濃縮し、6−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボニルクロリド(「塩酸塩」)を得る。CH2CL2(3mL)中のメチルグリシンHCl(0.031g,0.25mmol)及びEt3N(0.51mL,0.37mmol)の混合物をCH2CL2(1mL)中の酸塩化物(0.057g,0.123mmol)の溶液で処理する。反応物を室温で16時間撹拌し、濃縮する。THF(0.5mL)及びMeOH(1.0mL)に残渣を溶解し、2N NaOH(0.24mL,0.48mmol)で処理する。溶液を50℃で16時間加熱し、濃縮し、CH2CL2及び水(各10mL)で希釈する。5N HClを用い、得られた混合物をpH 1に酸性化する。ブラインで有機層を洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過する。濾液を濃縮し、シリカゲルラジアルクロマトグラフィー(10:90MeOH:CH2CL2)で精製して白色固体の標記化合物(0.021g,34%)を得る。MS (ES) m/e 504 (M+1)
【0116】
実施例4.6−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボン酸ジメチルアミドの調製
【0117】
【化36】


ジメチルアミン(0.12mL,0.25mmol)の溶液(THF中2.0M)及びCH2CL2(3mL)中のEt3N(0.034mL,0.25mmol)をCH2CL2(1mL)中の6−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボニルクロリド(0.057g,0.123mmol)で処理する。室温で混合物を16時間撹拌し、CH2CL2及び水で希釈する。5N HClを用い、得られた混合物をpH 1に酸性化する。有機層を水層から分離する。ブラインで有機層を洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過する。濾液を濃縮して黄色固体の標記化合物(0.033g,57%)を得る。MS (ES) m/e 474 (M+1)
【0118】
実施例5.[(6−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボニル)メチルアミノ]酢酸の調製
【0119】
【化37】


A.[(6−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボニル)メチルアミノ]酢酸エチルエステル
【0120】
【化38】

【0121】
CH2CL2(2mL)に、6−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボン酸(0.10g,0.222mmol)、サルコシンエチルエステルHCl(0.069g,0.45mmol)、DMAP(0.108g,0.89mmol)、及びEEDC(0.086g,0.45mmol)を溶解する。混合物を室温で16時間撹拌する。CH2CL2及び水で反応混合物を希釈する。1N HClを用いてpH 1に酸性化する。分離し、水層を除去する。ブラインで有機層を洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過する。濾液を濃縮し、シリカゲルラジアルクロマトグラフィー(25:75EtOAc:hex〜50:50EtOAc:hex)で精製して白色固体の標記化合物(0.093g,78%)を得る。MS (ES) m/e 546 (M+1)
【0122】
B.[(6−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボニル)メチルアミノ]酢酸
2N NaOH(0.80mL,1.6mmol)でTHF(1.25mL)及びEtOH(2.5mL)中の[(6−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボニル)メチルアミノ]酢酸エチルエステル(0.090g,0.16mmol)の溶液を処理する。混合物を50℃で16時間加熱する。1N HClを用い、反応混合物をpH 1に酸性化する。得られた混合物を濃縮する。残渣をEtOAc及び水(各25mL)で希釈する。分離し、水層を除去する。ブラインで有機層を洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過する。濾液を濃縮して白色固体の標記化合物(0.070g,85%)を得る。MS (ES) m/e 518 (M+1)
【0123】
実施例6.7−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボン酸の調製
【0124】
【化39】


A. トリフルオロメタンスルホン酸7−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)ナフタレン−2−イルエステル
【0125】
【化40】

【0126】
2,7−ジヒドロキシナフタレン(2.7g,31.2mmol)の溶液及び氷浴のCH2CL2(100mL)中のピリジン(4.53mL,56.0mmol)を冷却し、冷却された溶液を無水トリフルオロメタンスルホン酸(6.62mL,39.3mmol)で処理する。冷浴を除去し、混合物を室温で2.5時間撹拌する。氷水で反応物をクエンチし、CH2CL2(200mL)で希釈する。水(2×100mL)で残渣を洗浄し、次いで1N HClを用いてpH 3に酸性化する。Na2SO4で有機層を乾燥させ、濾液を濾過し、濃縮する。生成物を用いている中圧シリカゲルクロマトグラフィー(10:90EtOAc:hex〜25:75EtOAc:hex)を用い、黄色固体の標記化合物(4.1g,45%)を得る。MS (ES) m/e 291 (M+1)
B. 7−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0127】
【化41】


MeOH(12mL)及びDMSO(18mL)中のトリフルオロメタンスルホン酸 7−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)ナフタレン−2−イルエステル(0.41g,14.1mmol)、Pd(OAc)2(0.30g,1.38mmol)、ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.705g,1.27mmol)、Et3N(10.2mL,73.2mmol)を含有する混合物を、一酸化炭素で、80℃において100psiで4時間処理する。反応混合物をエーテル(300mL)に注ぎ、ブライン(5×100mL)で洗浄する。EtOAc(250mL)を加え、ブラインで有機層を洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過する。濾液を濃縮して褐色固体の標記化合物(2.84g,定量)を得る。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ3.98 (s, 3H), 7.23−7.29 (m, 2H), 7.78 (t, J= 8.3 Hz, 2H), 7.88−7.90 (m, 1H), 8.43 (d, J= 0.88 Hz, 1H)
【0128】
C. 7−ベンジルオキシナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0129】
【化42】


DMF(14mL)中の7−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(2.84g,14.0mmol)及び臭化ベンジル(1.84mL,15.5mmol)を炭酸セシウム(9.10g,27.9mmol)で処理する。混合物を2時間撹拌し、濃縮する。EtOAc(150mL)及び1N HCl(50mL)に粗残渣を溶解する。ブライン(3×100mL)で有機層を洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過する。濾液を濃縮し、中圧シリカゲルラジアルクロマトグラフィー(10:90EtOAc:hex)で精製して白色固体の標記化合物(1.47g,36%)を得る。MS (ES) m/e 293 (M+1)
【0130】
D. 3−(7−ベンジルオキシナフタレン−2−イル)ペンタン−3−オール
【0131】
【化43】


7−ベンジロキシナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(1.47g,5.03mmol)の氷浴のTHF(30mL)溶液を冷却して、冷却された溶液を臭化エチルマグネシウム(5.9mL,17.6mmol,エーテル中3.0M)で滴下処理する。氷浴を除去し、反応物を3時間撹拌する。氷水で反応物をクエンチし、1N HClで処理し、濃縮して粗生成物を提供する。EtOAc(100mL)に粗生成物を溶解する。ブラインで有機層を2回洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過する。濾液を濃縮し、ラジアルシリカゲルクロマトグラフィー(15:95〜15:85EtOAc:hex)を用いて精製し、黄色固体(01.46g,90%)を得る。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.787 (t, J= 7.5 Hz, 6H), 1.67 (br s, 1H), 1.82−2.02 (m, 4H), 5.19 (s, 2H), 7.19−7.44 (m, 6H), 7.50 (d, J= 6.6 Hz, 2H), 7.73 (d, J= 8.8 Hz, 2H), 7.77 (d, J= 1.8 Hz, 1H)
【0132】
E. 7−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)ナフタレン−2−オール
【0133】
【化44】


EtOH(725mL)中の3−(7−ベンジルオキシナフタレン−2−イル)ペンタン−3−オール(1.45g,4.53mmol)及び5%Pd/Al2CO3 (0.044g)及び5%Pd/Al2CO3(0.044g)の混合物を、水素を用い、室温において60psiで8時間処理する。濾過して触媒を除去し、濾液を濃縮して黄色油状の標記化合物(0.98g,94%)を得る。MS (ES) m/e 229 (M−1)
【0134】
F.トリフルオロメタンスルホン酸7−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)ナフタレン−2−イルエステル
【0135】
【化45】

【0136】
7−(1−エチル−11−ヒドロキシプロピル)ナフタレン−2−オール(0.97g,4.2mmol)及びピリジン(1.3mL,16.3mmol)のCH2CL2(30mL)溶液を氷浴で冷却する。冷却された溶液を無水トリフルオロメタンスルホン酸(1.0mL,6.1mmol)で滴下処理する。冷浴を除去し、混合物を室温で1.5時間撹拌する。氷水で反応物をクエンチする。反応混合物をEtOAc及び水(各100mL)で希釈して、0.1N HClを用いてpH 1に酸性化する。Na2SO4で有機層を乾燥させ、濾液を濾過し、濃縮する。ラジアルシリカゲル(2:98〜10:90EtOAc:hex)で精製して無色油状物の標記化合物(1.46g,66%)を得る。MS (ES) m/e 377 (M−NH4)
【0137】
G.7−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0138】
【化46】


MeOH(10mL)及びDMSO(15mL)中のトリフルオロメタンスルホン酸 7−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)ナフタレン−2−イルエステル(1.0g,2.76mmol)、Pd(OAc)2(0.062g,0.27mmol)、ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.14g,0.25mmol)、Et3N(2.0mL,14.3mmol)を含有する混合物を、一酸化炭素を用い、80℃において100psiで4時間処理する。反応混合物をエーテル(100mL)に注ぎ、ブライン(4×50mL)で得られた混合物を洗浄する。EtOAc(100mL)を加え、ブラインで有機層を洗浄する。Na2SO4で有機層を乾燥させ、濾液を濾過し、濃縮する。シリカゲルラジアルクロマトグラフィー(5:95〜15:85EtOAc:hex)で精製して黄色油状の標記化合物(0.71g,94%)を得る。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.792 (t, J= 7.5 Hz, 6H), 1.80−2.04 (m, 4H), 4.00 (s, 3H), 7.58 (dd, J= 8.8, 1.4 Hz, 1H), 7.80−7.87 (m, 2H), 7.99 (d, J= 1.3 Hz, 1H), 8.02 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 8.05 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 8.61 (d, J= 1.0 Hz, 1H)
【0139】
H.7−[1−エチル−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピル]ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0140】
【化47】


7−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(0.73g,2.68mmol)及びオルトクレゾール(1.54mL,15.0mmol)のCH2CL2(20mL)溶液を−78℃に冷却し、次いでBF3−OEt2(0.76mL,6.0mmol)を滴下する。反応混合物を室温に温め、1時間撹拌する。氷水で反応物をクエンチする。得られた混合物をEtOAc(200mL)で希釈する。ブラインで混合物を洗浄し、Na2SO4で有機層を乾燥させ、濾過し、濃縮する。シリカゲルラジアルクロマトグラフィー(5:95〜35:65EtOAc:hex)で精製して黄色油状の標記化合物(0.93g,86%)を得る。MS (ES) m/e 363 (M+1)
【0141】
I.7−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0142】
【化48】


アセトン(20mL)中の7−[1−エチル−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピル]ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(0.87g,2.40mmol)、1−ブロモピナコロン(1.54g,8.68mmol)、及び炭酸カリウム(2.4g,17.4mmol)を含有する混合物を室温で4時間撹拌する。反応混合物を濃縮し、EtOAc(100mL)及び水(50mL)で残渣を希釈する。1N HClを用いて、混合物のpHを1に調節する。水層を除去する。ブラインで有機層を洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過する。濾液を濃縮し、シリカゲルラジアルクロマトグラフィー(5:95EtOAc:hex〜15:85EtOAc:hex)で精製して白色固体の標記化合物(1.1g,82%)を得る。MS (ES) m/e 461 (M+1)
【0143】
J.7−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボン酸
【0144】
【化49】


2N NaOH(6.0mL,12.0mmol)でTHF(15mL)及びMeOH(30mL)中の7−{1−[4−(3,3−ジメチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(1.1g,2.4mmol)の溶液を処理し、55℃で16時間加熱する。次いで反応混合物を濃縮し、CH2CL2及び水(各50mL)で残渣を希釈する。1N HClを用い、混合物をpH 1に酸性化する。水層を除去し、ブラインで有機層を洗浄する。Na2SO4で有機層を乾燥させ、濾液を濾過し、濃縮する。シリカゲルラジアルクロマトグラフィー(2:98MeOH:CH2CL2〜10:90MeOH:CH2CL2)で精製して黄色固体の標記化合物(0.96g,90%)を得る。MS (ES) m/e 447 (M+1)
【0145】
実施例7.2−[6−{1−エチル−1−[4−(1−エチル−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−ナフタレン−2−カルボニルアミノ]酢酸のジアステレオマー異性体対1の調製
【0146】
【化50】

【0147】
A.4−ブロモ−2、2−ジメチルヘキサン−3−オン
臭素(10.87ml、212.15mmol)をエーテル(200ml)中の2,2−ジメチルヘキサン−3−オン(27.20g,212.15mmol)にゆっくり加えて、反応物を14時間撹拌する。得られた混合物を水(200mL)と混合させ、分離する。Na2SO4で有機層を乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮して黄色油状の標記化合物(48.2g,定量)を得る。1NMR (400MHz, CDCl3) δ ppm: 1.01 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 1.27 (s, 9H), 2.03 (m, 2H), 4.58 (t, J = 7.2 Hz, 1H)
高解像 ES−MS: 207.0348; C815BrO+H換算値: 207.0384
【0148】
B.6−{1−[4−(3,3−ジメチル−1−エチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0149】
【化51】

【0150】
4−ブロモ−2,2−ジメチルヘキサン−3−オン(660mg,3.187mmol)をDMF(10ml)中の6−[1−エチル−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピル]ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(1.1g,3.035mmol)及びK2CO3(629mg,4.55mmol)の混合物に加える。反応混合物を45℃で14時間維持する。62時間撹拌しながら、4−ブロモ−2,2−ジメチルヘキサン−3−オン(314mg,1.52mmol)を更に加え、混合物を60℃で維持する。反応混合物を冷却し、CH2Cl2で希釈し、濾過し、真空濃縮する。得られた残渣(CH2Cl2〜1%EtOAc/CH2Cl2)をクロマトグラフィーにかけ、無色のビスカスオイルの標記化合物(1.299g,88%)を得る。1NMR (400MHz, CDCl3) δ ppm: 0.62 (t, J = 7.2 Hz, 6H), 1.01 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 1.16 (s, 9H), 1.88 (m, 2H), 2.16 (m, 4H), 2.19 (s, 3H), 3.97 (s, 3H), 4.86 (dd, J = 5.2, 1.6 Hz, 1H), 6.53 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.88 (m, 2H), 7.14 (dd, J = 7.2, 1.6 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.82 (s, 1H), 7.85 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.04 (dd, J = 6.4, 2.0 Hz, 1H), 8.52 (s, 1H)
高解像 ES−MS: 511.2824; C32404+Na換算値:511.2825
【0151】
C.6−{1−エチル−1−[4−(1−エチル−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステルのジアステレオマー異性体対1及び2の調製
【0152】
【化52】


実施例2に記載される手順に従い、6−{1−[4−(3,3−ジメチル−1−エチル−2−オキソブトキシ)−3−メチルフェニル]−1−エチルプロピル}ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステルをTHF中のNaBH4を用いて0℃で処理する。残渣(CH2Cl2〜2%EtOAc/CH2Cl2)をクロマトグラフィーにかけて、ガラス状気泡体の標記化合物のジアステレオマー異性体対1(1.004g,77%)及びガラス状気泡体の標記化合物のジアステレオマー異性体対2(102mg,8%)を得る。ジアステレオマー異性体対1:1NMR (400MHz, CDCl3) δ ppm: 0.64 (t, J = 7.6 Hz, 6H), 0.93 (t, J = 8.0 Hz, 3H), 0.93 (s, 9H), 1.70 (m, 1H), 1.81 (m, 1H), 2.12 (s, 3H), 2.17 (m, 4H), 2.61 (bs, 1H), 3.27 (s, 1H), 3.97 (s, 3H), 4.27 (dd, J = 5.6, 3.6 Hz, 1H), 6.63 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.90 (s, 1H), 6.93 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.83 (s, 1H), 7.86 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.04 (dd, J = 7.2, 1.2 Hz, 1H), 8.52 (s, 1H)
高解像 ES−MS: 513.2914; C32424+Na換算値:513.2981 C32424の解析値; 計算値: C, 78.33; H, 8.63; N, 0.00, 実測値: C, 78.21; H, 8.75; N, 0.11
ジアステレオマー異性体対2:1NMR (400MHz, CDCl3) δ ppm: 0.64 (t, J = 7.2 Hz, 6H), 0.99 (t, J = 4.4 Hz, 3H), 0.99 (s, 9H), 1.81 (m, 2H), 2.12 (s, 3H), 2.16 (m, 4H), 3.59 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 3.97 (s, 3H), 4.35 (m, 1H), 6.67 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.91 (m, 2H), 7.18 (dd, J = 6.8, 2.0 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.83 (s, 1H), 7.86 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.05 (dd, J = 6.8, 2.2 Hz, 1H), 8.52 (s, 1H)
高解像 ES−MS: 513.2973; C32424+Na換算値:513.2981
【0153】
D.6−{1−エチル−1−[4−(1−エチル−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−ナフタレン−2−カルボン酸のジアステレオマー異性体対1
【0154】
【化53】

【0155】
KOH(321mg,5.724mmol)を、6−{1−エチル−1−[4−(1−エチル−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステルのジアステレオマー異性体対1(702mg,1.431mmol)、THF(9ml)、MeOH(3ml)、及びH2O(1ml)の混合物に加える。60℃に反応混合物を加熱して、14時間撹拌する。反応混合物を冷却してEt2Oと1N HClとの間に分離する。MgSO4で有機層を乾燥させ、濾過し、フィルターを真空濃縮してガラス状固体の標記化合物(665mg,97%)を得る。1NMR (400MHz, CDCl3) δ ppm: 0.64 (t, J = 7.6 Hz, 6H), 0.93 (t, J = 8.4 Hz, 3H), 0.93 (s, 9H), 1.72 (m, 1H), 1.82 (m, 1H), 2.12 (s, 3H), 2.19 (q, 4H), 3.28 (s, 1H), 4.28 (dd, J = 6.0, 3.2 Hz, 1H), 6.65 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.94 (dd, J = 6.0, 2.4 Hz, 1H), 7.21 (dd, J = 7.2, 1.6 Hz, 1H), 7.78 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.89 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.09 (dd, J = 6.8, 1.6 Hz, 1H), 8.62 (s, 1H)
高解像 ES−MS: 499.2832; C31404+Na換算値:499.2825 C31404の解析; 計算値: C, 78.11; H, 8.46; N, 0.00, 実測値: C, 78.03; H, 8.59; N, 0.12
【0156】
E.6−{1−エチル−1−[4−(1−エチル−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−ナフタレン−2−カルボニルアミノ酢酸 メチルエステルのジアステレオマー異性体対1
【0157】
【化54】

【0158】
グリシンメチルエステル塩酸塩(95mg,0.755mmol)、HOBT(102mg,0.755mmol)、EDCI(206mg,1.08mmol)、及びEt3N(0.4ml、0.726mmol)を、6−{1−エチル−1−[4−(1−エチル−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−ナフタレン−2−カルボン酸のジアステレオマー異性体対1(343mg,0.72mmol)及びCH2Cl2(5ml)に加える。反応物を14時間撹拌する。反応混合物を真空濃縮し、得られた残渣(CH2Cl2〜15%EtOAc/CH2Cl2)をクロマトグラフィーにかけ、無色気泡体の標記化合物(373mg,95%)を得る。1NMR (400MHz, CDCl3) δ ppm: 0.64 (t, J = 7.6 Hz, 6H), 0.93 (t, J = 8.4 Hz, 3H), 0.93 (s, 9H), 1.68 (m, 1H), 1.81 (m, 1H), 2.12 (s, 3H), 2.18 (q, 4H), 2.60 (bs, 1H), 3.27 (s, 1H), 3.83 (s, 3H), 4.27 (dd, J = 5.6, 3.2 Hz, 1H), 4.31 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 6.63 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.75 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 6.89 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.93 (dd, J = 6.4, 2.0 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 6.8, 2.0 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.83 (d, J = 2.0, 1H), 7.86 (m, 2H), 8.26 (s, 1H)
高解像 ES−MS: 570.3116; C3445NO5+Na換算値: 570.3196
3445NO5の解析; 計算値: C, 74.56; H, 8.28; N, 2.56, 実測値: C, 74.28; H, 8.23; N, 2.68
【0159】
F.2−[6−{1−エチル−1−[4−(1−エチル−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−ナフタレン−2−カルボニルアミノ]酢酸のジアステレオマー異性体対1の調製
【0160】
【化55】


2.5M LiOH/H2O(0.82ml,2.04mmol))をTHF(3ml)、及びMeOH(1.5ml)中の2−[6−{1−エチル−1−[4−(1−エチル−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−ナフタレン−2−カルボニルアミノ]酢酸メチルエステル(373mg,0.681mmol)のジアステレオマー異性体対1の混合物に加える。反応物を14時間撹拌し、ついでEt2Oと1N HClとの間に反応混合物を分離する。MgSO4で有機層を乾燥させ、濃縮し、CH2Cl2/MeOH/ヘキサンで残渣を練和して白色固体の標記化合物(310mg,85%)を得る。1NMR (400MHz, CDCl3) δ ppm: 0.64 (t, J = 7.2 Hz, 6H), 0.93 (t, J = 8.0 Hz, 3H), 0.93 (s, 9H), 1.68 (m, 1H), 1.81 (m, 1H), 2.11 (s, 3H), 2.15 (q, 4H), 3.28 (s, 1H), 4.27 (dd, J = 5.2, 3.6 Hz, 1H), 4.35 (d, J = 4.8 Hz, 2H), 6.63 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.83 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 6.89 (s, 1H), 6.93 (dd, J = 6.4, 2.2 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 7.2, 1.6 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.88 (m, 3H), 8.27 (s, 1H)
高解像 ES−MS: 556.3046; C3343NO5+Na換算値: 556.3040
【0161】
実施例8.N−メチル−2−[6−{1−エチル−1−[4−(1−エチル−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−ナフタレン−2−カルボニル−アミノ]酢酸のジアステレオマー異性体対1の調製
【0162】
【化56】


A.N−メチル−2−[6−{1−エチル−1−[4−(1−エチル−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−ナフタレン−2−カルボニル−アミノ]酢酸エチルエステルのジアステレオマー異性体対1
【0163】
【化57】


実施例7Eに類似の手順に従い、N−メチルグリシンエチルエステル塩酸塩を用い、6−{1−エチル−1−[4−(1−エチル−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−ナフタレン−2−カルボン酸のジアステレオマー異性体対1をエステル化して白色気泡体の標題化合物(315mg,88%)を得る。1NMR (400MHz, CDCl3) δ ppm: 0.64 (t, J = 7.2 Hz, 6H), 0.93 (t, J = 8.4 Hz, 3H), 0.93 (s, 9H), 1.31 (m, 3H), 1.68 (m, 1H), 1.80 (m, 1H), 2.12 (s, 3H), 2.17 (q, 4H), 2.60 (bs, 1H), 3.11 (s, 2H), 3.16 (s, 1H), 3.27 (s, 1H), 4.05 (s, 0.73H), 4.27 (m, 3H), 4.32 (s, 1.27H), 6.63 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.90 (s, 1H), 6.93 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 7.49 (m, 1H), 7.55 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.68 (m, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.87 (m, 2H)
高解像 ES−MS: 598.3488; C3649NO5+Na換算値: 598.3509
3649NO5の解析; 計算値: C, 75.10; H, 8.58; N, 2.43, 実測値: C, 75.04; H, 8.58; N, 2.43
【0164】
B.N−メチル−2−[6−{1−エチル−1−[4−(1−エチル−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−ナフタレン−2−カルボニル−アミノ]酢酸エチルエステルのジアステレオマー異性体対1
【0165】
【化58】


実施例7Fに類似の手順に従い、THF及びEtOH中のN−メチル−2−[6−{1−エチル−1−[4−(1−エチル−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−プロピル}−ナフタレン−2−カルボニル−アミノ]酢酸エチルエステルのジアステレオマー異性体対1をエステル化して白色気泡体の標題化合物(300mg,定量)を得る。1NMR (400MHz, CDCl3) δ ppm: 0.64 (t, J = 7.2 Hz, 6H), 0.93 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 0.93 (s, 9H), 1.65 (m, 1H), 1.83 (m, 1H), 2.12 (s, 3H), 2.15 (q, 4H), 3.16 (s, 3H), 3.28 (s, 1H), 4.12 (bs, 0.5H), 4.26 (dd, J = 5.2, 3.6 Hz, 1H), 4.36 (s, 1.25H), 6.63 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.90 (s, 1H), 6.93 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.53 (m, 1H), 7.68 (m, 1H), 7.82 (s, 1H), 7.87 (m, 1H), 7.93(m, 1H)
高解像 ES−MS: 570.3140; C3445NO5+Na換算値: 570.3196
【0166】
実施例9.3’−[4−(2−ヒドロキシ−3,3−ジメチルブトキシ)−3−メチルフェニル]−3’−[12−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−ナフタリン]ペンタン
【0167】
【化59】

【0168】
CH2CL2中の3’−[4−(2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−ブトキシ)−3−メチル−フェニル]−3’[(12−カルボン酸)−ナフタレン]ペンタン(1当量)を、Et3N(1.1当量)(PhO)2PO(N3)(1.1当量)で処理し、反応物を1時間撹拌する。次いで反応混合物を濃縮し、濃縮溶液をt−BuOHの90℃溶液に加え、窒素を開放流させながら約1.75時間加熱する反応混合物を室温まで放冷し、最少量の1:1CH2Cl2:10%EtOAc/Hexに希釈し、クロマトグラフ(10%EtOAc/Hex)にかけて、ガラス状固体の標記化合物を得る。
【0169】
実施例10.3’−[4−(2−ヒドロキシ−3,3−ジメチルブトキシ)−3−メチルフェニル]−3’−[12−アミノ−ナフタリン]ペンタン
【0170】
【化60】

【0171】
CH2Cl2(5ml)中の3’−[4−(2−ヒドロキシ−3,3−ジメチルブトキシ)−3−メチルフェニル]−3’−[12−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−ナフタリン]ペンタン(1当量)、アニソール(約20当量)の混合物をTFA(過剰量)で処理する。反応物を約2時間撹拌し、濃縮し、EtOAc/飽和Na2CO3の間に反応混合物を分離する。ブラインで有機層を洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過する。濾液を濃縮して、残渣をクロマトグラフィー(50%CHCl3/Hex〜CHCl3)にかけて標記化合物を得る。
【0172】
本発明の化合物−塩、立体異性体及びプロドラッグ:
式Iで表される化合物の塩は、本発明の更なる態様である。また、式Iの化合物群として酸性及び塩基性のものが含まれ、本発明がその医薬的に許容できる塩を含むことは当業者に理解される。
【0173】
本発明の化合物が酸性官能基又は塩基性官能基を有する場合、親化合物よりも高い水溶性でかつ生理的に適した種々の塩が形成される。代表的な医薬的に許容できる塩には、限定されないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛等のようなアルカリ及びアルカリ土類塩が含まれる。ナトリウム及びカリウム塩が、特に好まれる。塩は、塩基を用いて溶液中の酸を処理して、又はイオン交換樹脂に酸を露出させて遊離酸から適宜調製される。例えば、式Iの化合物のカルボン酸置換基は、−CO2Hとして選択され、塩は、適切な塩基(例えば、NaOH、KOH)との反応によって形成され、対応するナトリウム及びカリウム塩を生じさせる。
【0174】
医薬的に許容できる塩の定義には、本発明の化合物の比較的毒性のない無機塩基性添加塩及び有機塩基性添加塩であり、例えば本発明の化合物によって塩を形成するために十分な塩基性度を有する窒素塩基から誘導されるアンモニウム、第4アンモニウム、及びアミンカチオンが含まれる(例えば、S.M.Bergeら「Pharmaceutical Salts」,J.Phar.Sci.,66:1−19(1977)を参照)。更に、本発明の化合物の塩基性基は、適切な有機酸又は無機酸と反応し、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、カンシラート、炭酸塩、塩化物、コリン、クラブラン酸塩、クエン酸塩、塩化物、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、二塩酸塩、二リン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、エチレンジアミン、フッ化物、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドロバミン、臭化物、塩化物、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マルセエート、マンデル酸塩、メグルミン、メシレート、メスビエート、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムケート、ナプシル酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモエート、パントテン酸塩、リン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、プロカイン、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシレート、トリフルオロ酢酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、及び吉草酸塩のような塩を形成する。
【0175】
本発明のある種の化合物は、1個以上のキラル中心を有してもよく、光学活性形状で存在できる。同様に、化合物がアルケニル又はアルケニレン基を含む場合、化合物のシス及びトランス異性体形状の可能性が存在する。本発明には、R及びS異性体、及びラセミ混合物と、シス及びトランス異性体の混合物とを含むその混合物が包含される。アルキル基のような置換基中に、不斉炭素原子を更に存在させることができる。このような異性体並びにその混合物の全てが本発明に含まれることが意図される。特定の立体異性体を必要とする場合、不斉中心を含み、既に分離された出発原料による立体特異的反応を用い、当該技術分野で周知の方法、或いは立体異性体の混合物及び公知の方法によって後に分離させる方法によって調製することができる。例えば、キラルカラムを用いてもよく、例としてキラルパック(CHIRALPAK)AD、キラルパック(CHIRALPAK)AS、キラルパック(CHIRALPAK)OD、キラルパック(CHIRALPAK)OJ、キラルパック(CHIRALPAK)OA、キラルパック(CHIRALPAK)OB、キラルパック(CHIRALPAK)OC、キラルパック(CHIRALPAK)OF、キラルパック(CHIRALPAK)OG、キラルパック(CHIRALPAK)OK、及びキラルパック(CHIRALPAK)CA−1という登録商標によって認識されるダイセル化学工業(DaicelChemicalIndustries)のものが挙げられる。
【0176】
他の従来の方法によって、ラセミ混合物を、他の化合物の単一の鏡像異性体と反応させることができる。つまり、ラセミ形状をジアステレオマー混合物に変換する。このジアステレオマーは、異なる融点、沸点及び溶解度を有するため、結晶化のような従来の手段によって分離することができる。
【0177】
プロドラッグは、化学的又は代謝的に開裂可能な基を有し、加溶媒分解、生理的な条件下においてインビボで医薬的に活性を有する本発明の化合物となる本発明の化合物の誘導体である。本発明の化合物の誘導体は、酸性及び塩基性の誘導体の形状の両方において活性を有するが、酸性の誘導体の形状では、溶解度、組織適合性、又は哺乳類生物の遅延放出において利点が得られる場合がある(Bundgard,H.,Design of Prodrugs,pp.7−9,21−24,Elsevier,Amsterdam 1985を参照)。プロドラッグには、例えば適切なアルコールとの親酸性化合物の反応によって調製されたエステル、又は適切なアミンとの親酸性化合物の反応によって調製されたアミドのような当業者に周知の酸性の誘導体が含まれる。本発明の化合物に付随する酸性基から誘導された単純な脂肪族又は芳香族エステルは、好ましいプロドラッグである。場合によって、(アシルオキシ)アルキルエステル又は((アルコキシカルボニル)オキシ)アルキルエステルのような二重エステル型のプロドラッグを調製することが望ましい。プロドラッグとして使用するために特に好ましいエステルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、nブチル、イソブチル、モルホリノエチル、及びN,Nジエチルグリコールアミドである。
【0178】
N,N−ジエチルグリコールアミドエステルのプロドラッグを、式(I)の化合物のナトリウム塩(ジメチルホルムアミド等の媒体中で)を2−クロロ−N,N−ジエチルアセトアミド(Aldrich Chemical社,Wisconsin USAから入手可能;品目番号25,099−6)と反応させて調製することができる。
【0179】
モルホリニルエチルエステルプロドラッグを、式(I)の化合物のナトリウム塩(媒質、例えばジメチルホルムアミド中)と4‐(2‐クロロエチル)モルホリン・塩酸(Aldrich Chemical社,Milwaukee,Wisconsin USAから入手可能、Item No.C5,220‐3)と反応させて製造することができる。例えば、該プロドラッグは、式Iの化合物のナトリウム塩、下式で表される化合物
【0180】
【化61】


、及びヨウ化ナトリウムとの反応により製造し、下式のペンダント基を有するエステルプロドラッグを得ることができる。
【0181】
【化62】

【0182】
また、低級アルキル(すなわち、C1−C8)エステルのプロドラッグを、例えばナトリウム塩若しくはカリウム塩(本発明の任意の酸性化合物を生成、すなわちKOH等の塩基と−CO2H等の酸性基と反応させて誘導される)をヨウ化メチル、n−ヨウ化プロピル、ヨウ化イソプロピル等の任意のヨウ化アルキルと反応させる等の従来の手段によって調製してもよい。
【0183】
本発明の新規な化合物を含む医薬製剤
本発明の医薬製剤は、治療上有効量の本発明の化合物(式Iの化合物)を医薬的に許容できる担体又は希釈剤と組み合わせ(例えば、混合させ)て調製される。この医薬製剤は、周知かつ簡単に入手可能な成分を使用する公知の方法によって調製される。
【0184】
本発明の組成物を作製する際、通常、本発明の化合物を、担体と混合するか、或いは担体で希釈するか、若しくはカプセル、小袋、紙又は他の容器の形状でありうる担体中に封入する。担体が希釈剤を担う場合、ビヒクルとして作用する、或いは、例えば10重量%以下の化合物を含む、錠剤、丸薬、粉末、ロゼンジ、エリキシル剤、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ、エアロゾル(固体又は液体媒体中)、又は軟膏であってよく、固体、半固体、又は液体材料であってよい。本発明の化合物は、好ましくは投与前に配合される。
【0185】
本発明の化合物を、経皮パッチ中に含まれる適切な製剤によっても送達することができる。或いは、本発明の化合物を、舌下投与によって患者に送達することができる。
【0186】
医薬製剤には、当該技術分野で公知の担体を使用することができる。このような製剤において、担体は、固体、液体、又は固体と液体との混合物であってよい。固体形状製剤は、粉末、錠剤及び、カプセルを含む。固体担体は、香料添加剤、潤滑剤、可溶化剤、懸濁剤、結合剤、錠剤崩壊剤、及びカプセル化材料として作用する1種類以上の物質であってよい。
【0187】
経口投与用の錠剤は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムのような適切な賦形剤を、トウモロコシ、デンプン、又はアルギン酸のような崩壊剤、並びに/又は結合剤、例えばゼラチン又はアカシア、及びステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクのような潤滑剤と共に含むことができる。
【0188】
粉末において、担体は、微粉活性成分と混合した微粉固体である。錠剤において、本発明の化合物は、必要とする結合性を有する担体と適切な比率で混合され、かつ所望の形状及び寸法に圧縮される。粉末及び錠剤は、好ましくは、約1〜約99重量パーセントの本発明の化合物を含む。適切な固体担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、及びカカオ脂である。
【0189】
滅菌液体形状の製剤には、懸濁液、エマルジョン、シロップ及びエリキシル剤が含まれる。
【0190】
活性成分を、滅菌水、滅菌有機溶媒、又はそれらの混合物のような医薬的に許容できる担体に溶解又は懸濁することができる。化合物は、適切な有機溶媒、例えばプロピレングリコール水溶液に溶解される場合がある。他の組成物は、本発明の微粉化合物をデンプン水溶液又はカルボキシメチルセルロースナトリウム、若しくは適切な油中に分散させて作製することができる。
【0191】
本発明の化合物の使用法:
多くの病状は、化学式Iの化合物を用いた治療によって利益を受け、限定されないが、カルシウム異常調節、異常細胞増殖、異常細胞分化、異常免疫反応、皮膚の異常状態、神経変性状態、炎症、ビタミンD敏感症及び/又は過剰増殖異常を特徴とする病状である。
【0192】
式Iの1種類以上の化合物を用いた治療によって利益を受ける特定の疾患は、限定されないが、座瘡、日光性角化症、脱毛症、アルツハイマー病、前立腺肥大症、膀胱癌、無重力の骨維持、骨折治療、乳癌、癌の化学治療、クローン病、大腸癌、I形糖尿病、移植片対宿主病、高カルシウム血症、II型糖尿病、白血病、多発性硬化症、骨髄異形成症候群、脂分泌不全、骨軟化症骨粗鬆症、皮膚強度の不足、歯周疾患、皮膚水分不足、乾癬性関節炎、前立腺癌、乾癬症、腎性骨形成異常症、慢性関節リウマチ、強皮症、皮膚癌、全身性エリテマトーデス、マスタード糜爛、潰瘍性大腸炎、白斑、及び皺による皮膚細胞障害を含む。
【0193】
特に好ましくは、治療上有効量の式Iの化合物を哺乳類(ヒトを含む)に投与して、乾癬症及び/又は骨粗鬆症を治療する。「医薬的有効量」とは、ヒトを含む哺乳類の症状における有害作用を予防、除去、又は軽減させる式Iに対応する医薬品の量を意味する。
【0194】
治療又は予防的効果を得るために、本発明に従って投与される化合物の特定の用量は、例えば投与される化合物、投与経路、及び治療される状態を含む症例を取り囲む特定の状況によって必然的に決定される。一般的な1日量は、通常、体重の約0.0001mg/kg/日〜約50mg/kg/日の範囲の医薬的有効量の本発明の活性化合物を含む。好ましくは、本発明の化合物の用量は、体重に対して0.0001〜5mg/kg/日である。
【0195】
好ましくは、本発明の化合物又はこの化合物を含む医薬製剤は、哺乳動物への投与に適した単位剤形である。単位剤形は、カプセル又は錠剤自体、若しくは適当な数のいずれかであってよい。組成物の単位量の活性成分の量は、関与する特定の治療に応じて約0.0001から約1000ミリグラム以上に変更又は調節することができる。患者の年齢及び状態に応じて投薬量に定期的に変化させる必要性を認識することができる。投薬量は、投与経路にも依存する。本発明の化合物は、経口、エアロゾル、直腸、経皮、舌下、皮下、静脈、筋肉内、及び鼻腔内等を含む様々な経路によって投与されてもよい。本発明の化合物を含む軟膏製剤による乾癬症の治療が、特に好ましい。必要に応じて、軟膏製剤を通常、1日あたり1〜6回塗布することができる。
【0196】
好ましくは、乾癬症の治療は、治療上有効量の本発明の化合物を含むクリーム、油、エマルジョン、ペースト又は軟膏形状の製剤を局所塗布して行われる。局所治療用の製剤は、0.5〜0.00005重量パーセント、好ましくは.05〜0.0005重量パーセント、最も好ましくは0.025〜0.001の活性成分を含む。
【0197】
例えば、乾癬症の治療及び予防におけるVDRモジュレーターのビヒクルとして有用な2種類の半固体状の局所製剤の調合は、以下のとおりである。
ポリエチレングリコール軟膏USP(p.2495)
ポリエチレングリコール軟膏を以下のように調合する。
ポリエチレングリコール3350 400g
ポリエチレングリコール400 600g
合計 1000g
【0198】
2種類の成分を水浴で65℃に加熱する。放冷し、凝固するまで撹拌する。硬質の製剤を所望とする場合、100g以下のポリエチレングリコールを同量のポリエチレングリコール3350と置換する。
親水性軟膏USP(p.1216)
親水性軟膏を以下のように調合する。
メチルパラベン 0.25g
プロピルパラベン 0.15g
ラウリル硫酸ナトリウム 10g
プロピレングリコール 120g
ステアリルアルコール 250g
白色ワセリン 250g
精製水 370g
合計 約1000g
【0199】
ステアリルアルコール及び白色ワセリンを蒸気浴で融解し、約75℃で加熱する。予め水に溶解した他の成分を加え、75℃に加熱し、その混合物を凝固するまで撹拌する。
【0200】
上記の各製剤において、活性成分は、加熱工程中に添加され、全軟膏重量の0.5〜0.00005重量パーセント、好ましくは.05〜0.0005重量パーセント、最も好ましくは0.025〜0.001重量パーセントのUSPである(情報源:−United States Pharmacopoeia 24、United States Pharmacopeial Convention、1999)。
【0201】
従来の骨粗鬆症の治療法は、(i)エストロゲン、(ii)アンドロゲン、(iii)カルシウム補助剤、(iv)ビタミンD代謝物、(v)チアジド利尿薬、(vi)カルシトニン、(vii)二リン酸、(viii)SERM、(ix)フッ化物、及び(x)副甲状腺ホルモン(PTH)を含む(McGraw Hill Publ.によって出版された、ハリソンのPrinciples of Internal Medicine、13th Edition,1994,ISBN 0−07−032370−4,pgs.2172−77;参考文献の開示内容は本願明細書に参照して組み込まれる)。この従来の治療法の1種類又は組み合わせを、本願明細書に教示される式Iの化合物を用いる治療方法と組み合わせて使用することができる。例えば、骨粗鬆症の治療法において、本発明のビタミンD受容体モジュレーター化合物を、別個に又は従来の治療法と同時に投与することができる。或いは、ビタミンD受容体モジュレーター化合物は、下記に示すような骨粗鬆症治療用の製剤において、従来の治療薬と組み合わせることができる。
【0202】
骨粗鬆症を治療するための製剤は、
成分(A1):式Iで表されるビタミンD受容体モジュレーター、又はその医薬的に許容できる塩若しくはプロドラッグ誘導体と、
成分(B1):エストロゲン、アンドロゲン、カルシウム補助剤、ビタミンD代謝物、チアジド利尿薬、カルシトニン、二リン酸、SERM、フッ化物、及びPTH成分(C1)と、
任意に担体又は希釈剤と、を含む。一般的に有用な製剤は、(A1)対(B1)の重量比が、10:1〜1:1000、かつ好ましくは1:1〜1:100である。
【0203】
乾癬症の併用療法:
従来の乾癬症の治療法は、局所グルココルチコイド、サリチル酸、粗コールタール、紫外線、及びメトトレキセートを含む(McGraw Hill Publ.によって出版された、ハリソンのPrinciples of Internal Medicine、13th Edition,1994,ISBN0−07−032370−4,pgs.2172−77を参照)。従来の治療法のいずれか又は組み合わせを、本願明細書に教示される式Iの化合物を用いる治療方法と組み合わせて使用することが可能である。例えば、乾癬症の治療法において、(例えば式Iによって定義される)本発明のビタミンD受容体モジュレーター化合物を、別個に又は従来の治療法と同時に局所投与することができる。或いは、ビタミンD受容体モジュレーター化合物は、下記に示す乾癬症治療用の局所塗布用製剤において、従来の治療薬と組み合わせられる。
【0204】
乾癬症治療用製剤は、
成分(A2):式(I)で表されるビタミンD受容体モジュレーター、又はその医薬的に許容できる塩若しくはプロドラッグと、
成分(B2):局所グルココルチコイド、サリチル酸、又は粗コールタールからなる群から選択される乾癬症の治療用の従来の1種類以上の共剤と、
成分(C2):任意に担体又は希釈剤と、を含む。一般的に有用な製剤は、(A2)対(B2)の重量比が、1:10〜1:100000、好ましくは1:100〜1:10000である。
【0205】
実験結果:
表2 実験結果一覧
【0206】
【表2】



【0207】
表3実験結果一覧
【0208】
【表3】


表2及び3中の上付き数字の説明:
1.試験化合物番号は、実施例番号に対応する生成物、すなわち本発明の範囲内の化合物を指す。
2.RXR−VDRヘテロ二量化(SaOS−2細胞)検定は、本願明細書の「アッセイ」で記載される。
3.VDR CTF(Caco−2細胞)検定は、本願明細書の「アッセイ」で記載される。
4.OCNプロモーター検定は、本願明細書の「アッセイ」で記載される。
5.マウスの高カルシウム血症検定は、本願明細書の「アッセイ」で記載される。
6.ケラチノサイト増殖アッセイは、本願明細書の「アッセイ」で詳細に記載される。
7.IL−10誘導アッセイは、本願明細書の「アッセイ」で詳細に記載される。
【0209】
アッセイ法
アッセイ法の使用:
骨粗鬆症及び他の関連疾患に関する本発明の新規な化合物は、複数の検定結果から評価される。(i)ビタミンD受容体に対する活性化が高く、(ii)高カルシウム血症を予防するという特性が組み合わされることにより、疾患の治療が効果的となることが好ましく、また、本発明の態様であることから複数のアッセイを用いることが有益となる。以下の検定のいくつかは、他の検定に関連すると考えられ、化合物の関連特性を測定する。従って、化合物が、上記検定の受入基準の全部でないにせよ、少なくとも1基準、好ましくは2基準以上を満たす場合に、本発明の実施において有用的であると考えることができる。
【0210】
乾癬症に関する本発明の新規な化合物の評価は、末梢血中単核細胞(PBMC)中のIL−2生成の阻害及びIL−10生成の刺激を測定する他のアッセイと組み合わせたケラチノサイト増殖アッセイを用いて行われる。
【0211】
アッセイ法の簡単な記載、有用性、及び受入基準:
1.RXR−VDRヘテロ二量化アッセイ:
このアッセイによって試験化合物のVDR活性が得られる。このアッセイの化合物のEC50値は低いことが求められる。化合物のEC50値が低いほど、VDRアゴニストとして活性が高くなる。望ましい検定結果は、EC50値が600nM以下である。好ましい検定結果は、250nM未満、最も好ましくは150nM未満である。
【0212】
(1)RXR−VDRヘテロ二量化アッセイトランスフェクションの材料及び方法:
試薬:FuGENE 6トランスフェクション試薬(Roche Cat # 1 814 443);D−MEM高グルコース(Gibco BRL Cat11054−020#)、10%熱不活性FBS(Gibco BRL Cat# 10092−147)、1%抗生物質−抗真菌剤(Ab−Am);(Gibco BRL Cat # 15240−062 )
【0213】
細胞:5−6×105細胞/mlで密度を維持する増殖培地中、T−152cm2培養フラスコ内でSaOs−2細胞を増殖させる。1週間に2回、1:3で細胞を継代する。トリプシンEDTA(Gibco BRL Cat#25300−020)を添加し、インキュベートする。プレート培地中の細胞を再懸濁し、増殖培地に移す。
【0214】
洗浄培地:フェノールレッド非含有HBSS低グルコース(Gibco BRL Cat#14175−095)、1%Ab−Am
プレート培地:フェノールレッド非含有D−MEM低グルコース(Gibco BRL Cat#11054−020)、1%Ab−Am;D−MEM;ストリップされたFBS(Hyclone Cat#SH30068.03 Lot#AHM9371)
【0215】
トランスフェクション/処理培地:フェノールレッド非含有D−MEM低グルコースのみ;Corning CoastarT−152cm2培養びん(Cat#430825)を使用して細胞を培養する。
【0216】
ルシフェラーゼアッセイ試薬:E2533検定基質、凍結乾燥産物、及びE2543検定緩衝液からなるプロメガ製Steady−Gloルシフェラーゼ試薬(カタログ番号E2550)を使用する。室温で解凍して保存する。
【0217】
細胞収集/計数:培養フラスコから培地を吸引し、HBSSで細胞をすすぎ、吸引する。トリプシンを添加してインキュベートする。細胞が分離した判断したら、増殖培地中で細胞を再懸濁する。細胞の継代のために、新鮮な増殖培地が入った新たなびんに移す。96プレートウェルプレート及び2個の予備プレートをプレート培養する。ピペットを使用して細胞懸濁液を混合する。血球計算器を使用して細胞を計算する。
【0218】
プレート播種:プレート培地10%ストリップされたFBS含むD−MEM低グルコース、フェノールレッド非含有、1%Ab−Amを使用する。14プレート@165μ/ウェルをプレート培養する。無菌のフラスコ中のプレート培地に細胞懸濁液を加え、混合する。細胞/ウェルを添加する。インキュベーター中に細胞を入れる。細胞は、トランスフェクション前に約75%コンフルエントにする。
【0219】
2日目:トランスフェクション:
工程1、DNA及び培地
単純なDMEM培地を試験管に加えてDNAを混合し、レポーター遺伝子pFR−LUCを添加し、Gal4−RXR−DEF及びVP16−VDR−LBDを添加する。
工程2、FuGENE及び培地:試験管中で純粋なDMEM媒体を調製してFuGENE及び媒体FuGENEを混合し、FuGENE6トランスフェクション試薬を添加し、インキュベートする。
工程3:FuGENE、DNA、及び媒体複合体
工程1のDNA媒体複合体に工程2のFuGENE媒体複合体を添加し、インキュベートする。
工程4:96ウェルプレートへFuGENE、DNA及び培地の複合体:各プレートに工程3のFuGENE−DNA−媒体複合体を添加する。インキュベートする。
【0220】
3日目:投薬:
処理製剤トランスフェクション時間を検討する。DMSO中で化合物の原液を作製し、全ての化合物が溶解するまでボルテックスする。D−MEM(低グルコース−フェノールレッド非含有)に更に希釈する。化合物を4回に分けて加えて最終量を求めてからインキュベートする。
【0221】
4日目:ルシフェラーゼアッセイ:
薬剤処理後にプレートを読み取る。全てのウェルから媒体の一部を除去し、残留物を残す。Steady−Gloルシフェラーゼ試薬混合物/ウェルを添加してインキュベートする。ルミネッセンスカウンター、PackardによるTop Count NXTを使用して各ウェルを計数し、好ましくは、プレート間の遅延を設定してバックグラウンドを減少させる。
【0222】
Caco‐2細胞同時トランスフェクションアッセイ:
Caco−2細胞アッセイは、高カルシウム血症の望ましくない状態の指標である。この同時トランスフェクションアッセイは、VDRリガンドのインビボカルシウム血性活性に関する代用アッセイである。このアッセイの試験化合物のEC50値は高いことが望ましい。化合物に関するEC50値が高いほど、インビボでカルシウム血性が低くなる。望ましい検定結果は、EC50が300nM以上である。好ましい検定結果は、1000nM超である。
【0223】
10%チャーコールストリップされたFCS(Hyclone、Logan、UT)を含むフェノールレッド非含有DMEM(Invitrogen、Carlsbad、CA)中で培養されたCaco−2細胞を、Fugene6試薬によってトランスフェクト(Roche Diagnostics,Indianapolis,IN)する。細胞(5000/ウェル)を、96ウェルプレート中のトランスフェクション前に、18時間プレート培養する。Fugene6試薬(0.2μl/ウェル)と共に、Gal4−応答性レポーターpFRLuc(150ng,Stratagene、La Jolla CA)及び受容体発現ベクターpGal4−VDR−LBD(10ng)で細胞をトランスフェクトする。混合物を室温で30分インキュベートしてDNA−Fugene複合体を生成する。細胞を3回に分けて5時間トランスフェクトし、トランスフェクション後18時間、種々のVDRリガンド濃度(0.01nM〜10000nM濃度範囲)で処理する。Steady−Glo試薬キット(Promega,Madison,WI)を使用し、製造元の説明に従ってルシフェラーゼ活性を定量する。
【0224】
OCN(オステオカルシン)プロモーターアッセイ
OCNプロモーターアッセイは、骨粗鬆症の指標及びマーカーである。望ましい検定結果は、EC50が325nM以下である。好ましい検定結果は、50nM未満である。
【0225】
DVRリガンドによるオステロカルシンの活性を、ルシフェラーゼレポーター遺伝子と融合させたラットオステロカルシンプロモーターを安定して発現するラット骨芽細胞様細胞系統RG−15(ROS17/2.8)において評価する。既に報告されているように、安定培養細胞株を確立させる。(オステオカルシン転写の活性化はプロテインキナーゼA及びプロテインキナーゼC依存型経路の相互作用を伴う(Bogslawski,G.,Hale.,L.V.,Yu,X.P.,Miles,R.R.,Onyia,J.E.,Santerre,R.F.,Chandrasekhar,S.J.,J.Biol.Chem.,275、999〜1006、2000)。37℃、5%CO2・95%大気雰囲気下で5%FBS、300μg/ml G418を含むDMEM/F−12培地(3:1)で維持されたコンフルエントなRG−15細胞を白色不透明の96ウェル細胞培養プレート(25000細胞/ウェル)に被覆する。24時間後、(DMEM/F−12媒体+2%FBS中の)細胞を、種々の濃度の化合物をDMSOに溶解して処理する。最終DMSO濃度は、0.01%(v/v)となる。48時間の処理後、培地を除去し、細胞は50μlの溶解緩衝液(ルシフェラーゼレポーター検定システム,Roche Diagnostics,Indianapolis,IN)を使用して溶解し、ベーリンガーマンハイムのルシフェラーゼレポーター遺伝子検定キットを使用し、製造元の説明に従ってルシフェラーゼ活性を検定する。
【0226】
マウスの高カルシウム血症アッセイ
マウスの高カルシウム血症アッセイは、毒性及び選択性に関する6日間の高カルシウム血症検定である。許容できる検定結果は、30μg/kg/日より高いレベルである。好ましい検定結果は、300μg/kg/日より高いレベルである。
【0227】
離乳した、ウイルス−抗体のない生後5から6週間の雌DBFマウス(Harlan,Indianapolis,IN)を全ての研究に使用する。動物を、2日間、現地の動物施設において環境順化させる。マウスには、食物(1.2%Ca及び0.9%Pを有するTD5001、Teklad、Madison、WI)及び水が随意に入手させ、22℃で12時間の昼/夜周期で維持させる。次に動物は、4〜5匹のマウスの群に分ける。10%エタノール及び90%ゴマ油、又はラウリル酸ナトリウムの懸濁水溶液で調製された様々な用量の試験化合物を、胃管栄養法によりマウスに6日間経口投与する。1α−25(OH)23を、正の対照として1群のマウスに0.5μg/kg/日で与えた。最後の投薬6時間後に、血清イオン化カルシウムを、Ciba−Corning Ca++/PH Analyzer(Model 634、Chiron Diagnostics Corp.East Walpole、MA)を用いてイソフルラン麻酔下で評価する。群ごとに異なる生データを、有意レベルがP<0.05であるフィッシャーの保護最小有意差(PLSD)を用いた分散分析(ANOVA)によって評価する。高カルシウム血症が発症しない最大投与量は、対照群の97.5%標準分布によって定義されるように「無効レベル」と考えられる。
【0228】
ケラチン生成細胞増殖検定:
このアッセイは、乾癬症治療の指標である。許容できる検定結果は、IC50値が300nM以下である。好ましい検定結果は、IC50値が100nM未満である。
【0229】
KERtr細胞(ATCCから得られ、レトロウイルスベクターによって変換されるヒト皮膚ケラチノサイト)を、EGFが欠失するウシ下垂体抽出物(Life Technologies、Rockville、MD)が添加された100μlケラチノサイト無血清媒体中において、96ウェル平底プレート(3000細胞/ウェル)でプレート培養し、37℃で2日間インキュベートする。種々のVDRリガンド濃度(10倍希釈を連続3回、10000nMから0.1nM)で細胞を処理し、EGFが欠失するウシ下垂体抽出物が添加された100μlケラチノサイト無血清媒体に溶解し、37℃で72時間インキュベートする。BrdU(5−ブロモ−2’−デオキシウリジン)摂取量を、DNA複製の測定(細胞増殖ELISAキット、Roche Diagnostics,Indianapolis,IN)として分析し、吸光度405nmにおいて測定する。効力値(IC50)値が最大半減応答となった化合物の濃度(nM)を求める。
【0230】
IL‐10誘導アッセイ
これは、乾癬症、膿瘍及び癒着に関するインビトロ効果アッセイである。乾癬症は、ケラチノサイト及び免疫細胞の両方に影響を及ぼす。IL−10は、抗炎性及び免疫抑制性により、唯一のサイトカインとなる。このアッセイによって、VDRMが、PBMC(一次血中単核細胞)中でアゴニストとして機能できるか否かが示される。EC値が低い化合物は、PBMC中の良好なアゴニストとなるため、EC50値が低いことがこのアッセイにおいて望ましい。許容できる検定結果は、EC50値が200nM以下である。好ましい検定結果は、EC50値が100nM未満である。
【0231】
末梢血中単核細胞(PBMC)の単離:
ヒト血液を50ml収集し、媒体RPMI−1640で希釈する。希釈された血液を試験管に入れる。試験管を遠心分離する。最上層を除去し、中間層から細胞を収集する。細胞を4本の試験管に分割し、培地を添加する。遠心分離する。培地を吸引し、細胞を再懸濁する。全ての細胞を収集する。1200rpmで10分遠心分離する。2%FBS含有RPMI−1640に再懸濁し、細胞を計数する
【0232】
PBMCの刺激:
DMSO中でTPAを調製する。水中にPHAを溶解する。ウェルプレートにおいてTPA/PHAで処理されたPBMCをプレート培養する。細胞をインキュベートする。
【0233】
処理:
プレーンなRPMI−1640倍地中で全ての化合物の希釈液を調製する。希釈された化合物全てを添加し、インキュベートする。
【0234】
サンプル収集及びアッセイ:
遠心分離で全ての細胞を除去し、製造者(Linco Research Inc.,St.Charles,MO)の説明に従い、抗ヒトIL−10抗体被覆ビードを使用し、イムノアッセイを用いてIL−10の上澄み液を分析する。他の化合物アッセイ基準骨粗鬆症の治療するための本発明の化合物の治療指数(骨の有効性対高カルシウム血症)の代用測定値は、以下のとおり計算される数値比である。
高カルシウム血症の誘導に必要な用量閾値を、骨の有効性に必要な用量閾値で除算する。
乾癬症を治療するための本発明の化合物の治療指数(インビボケラチノサイト増殖対高カルシウム血症)の他の測定値は、以下のとおり計算される数値比である。
高カルシウム血症の誘導に必要な用量閾値を、ケラチノサイト増殖の誘導に必要な用量閾値で除算する。
上記の比に対して、用量閾値を、用量反応曲線データから求める。
【0235】
CaT1(カルシウム輸送体1)アッセイ
CaT1アッセイは、高カルシウム血症の望ましくない状態の指標である。化合物のEC50値が高いほど、インビボでカルシウム血性が低くなる。望ましい検定結果は、EC50が500nM以上である。好ましい検定結果は、1000nM超である。
【0236】
10%FBS(Invitrogen,Carlsbad,CA)を添加されたDMEM(高グルコース、25mM Hepes緩衝液添加、Invitrogen,Carlsbad,CA)中に保持したヒト結腸ガン細胞株であるCaco−2細胞を、全体積100μl/ウェルで96ウェルプレート中に1ウェルあたり5500細胞でプレーティングする。細胞を、カルシウム輸送体、CaT1を発現する小腸細胞とそれらを区別するために、96ウェルプレート中に6日間保持する。プレート培養後、3日目に、古い媒体は除去され、新鮮な媒体(150μl/ウェル)に置換する。6日目に古い培地を除去し、(低グルコース、フェノールレッド非含有;Invitrogen、Carlsbad、CA)DMEM中に10%チャーコールストリップされたFBS(Hyclone、Logan、UT)を含む、処理培地(180μl/ウェル)中に細胞を保持し、新鮮な媒体に置換する。細胞を、処理培地(20μl/ウェル)中で調製された種々のVDRリガンド濃度(0.01nMから10000nMの濃度範囲)で処理する。処理20時間後、全RNAを、製造元(Qiagen,Valencia,CA)の説明に従ってRNeasy96方法を用いて調製する。そのRNAを、逆転写し、製造者(Applied Biosystems,Forster city,CA)の使用説明書に従って、ABI PRISM 7900HT 配列検出システムを使用した定量的RT−PCRで、ヒトCaT1とGAPDH(対照)のメッセージ対して増幅する。ヒトCaT1及びGAPDH遺伝子の最適化されたプライマー対及びプローブは、市販されている(Applied Biosystems,Foster City,CA)。384ウェルのTaqman PCRプレート中の各20μlの定量RT−PCR反応液は、フォワード及びリバースプライマー(900nM)、Taqmanプローブ(200nM)、全RNA(96ウェル培養プレートの各ウェルから4μl)、及び10μl Taqman Universal PCR Master Mix(Roche Diagnostics,Indianapolis,IN)からなる。反応液を、30分48℃で、その後95℃で10分インキュベートし、PCR(15秒95℃、その後1分60℃)を40サイクルさせる。GAPDHを内部対照として使用し、そのプライマー及びプローブセットは、市販されている(Applied Biosystems,Foster City,CA)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物、又はその医薬的に許容できる塩若しくはプロドラッグ誘導体、或いはその医薬的に許容できる塩、溶媒和物、プロドラッグ、鏡像異性体、ラセミ化合物、ジアステレオマー、若しくはジアステレオマーの混合物:
【化1】


[式中、R及びR’は、独立してC1−C5アルキル、C1−C5ハロアルキルであるか、或いは、R及びR’は一緒になって、3〜8個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和のシクロアルキル環を形成し、
RP3及びRNは、水素、ハロ、C1−C5アルキル、C1−C5ハロアルキル、−O−C1−C5アルキル、−S−C1−C5アルキル、−O−C1−C5ハロアルキル、−CN、−NO2、アセチル、−S−C1−C5ハロアルキル、C2−C5アルケニル、C3−C5シクロアルキル、及びC3−C5シクロアルケニルからなる群から独立して選択され、
RPは、水素、ハロ、C1−C5アルキル、C1−C5ハロアルキル、−O−C1−C5アルキル、−S−C1−C5アルキル、−O−C1−C5ハロアルキル、−CN、−NO2、アセチル、−S−C1−C5ハロアルキル、C2−C5アルケニル、C3−C5シクロアルキル、及びC3−C5シクロアルケニルからなる群から選択され、
(LP1)、(LP2)、及び(LNP)は、結合、−(CH2m−C(OH)−、−(CH2m−O−、−(CH2m−S−、−(CH2m−S(O)−、−(CH2m−S(O)2−、−(CH2m−N(R40)−、−(CH2m−C(R40)(R41)−、−(CH2m−C(O)−、−N(R40)−C(O)−、−(CH2m−CH=CH−、及び−(CH2m−C≡C−からなる群から独立して選択される二価の結合基であり、
mが、0〜5であり、
R40及びR41の各々が、水素、C1−C5アルキル、C1−C5ヒドロキシアルキル、C1−C5ハロアルキル、C2−C5アルケニル、C3−C5シクロアルキル、C3−C5シクロアルケニルからなる群から独立して選択され、
Pは、分枝鎖状のC3−C5アルキル、C3−C10ヒドロキシアルキル、C3−C10ヒドロキシアルケニル、C3−C10ヒドロキシアルキニル、C3−C10ヒドロキシシクロアルキル、C4−C10ヒドロキシシクロアルケニル、及びオキソシクロアルキルからなる群から選択され、
NPは、C1−C5アルキル、C2−C5アルケニル、C3−C5シクロアルキル、C3−C5シクロアルケニル、C1−C5ヒドロキシアルキル、C1−C5ハロアルキル、C1−C5アルキルアリール、C1−C5ヒドロキシアルキルアリール、C0−C5アルキル−CO2H、C0−C3アルキル−シクロアルキル−CO2H、C0−C5アルキル−N(R40)(R41)、−X−(C1−C5アルキル)、−X−(C1−C5アルケニル)、−X−(C3−C5シクロアルキル)、−X−(C3−C5シクロアルケニル)、−X−(C1−C5ハロアルキル)、−X−(C1−C5ヒドロキシアルキル)、−X−(C1−C5アルキルアリール)、−X(OC1−C5アルキル)、−XN(R40)(R41)、−XN(R40)アリール、−N(CH3)(OCH3)、−N(OH)(CH3)、−N(R42)−(C1−C5アルキル)CO2H、−N(R42)−(C1−C5アルキル)C(O)(C1−C5アルキル)、−N(R42)−(C1−C5アルキル)C(O)(OC1−C5アルキル)、−N(R42)−SO2−(C1−C5アルキル)、−NR(42)−S(O)−(C1−C5アルキル)、−P(O)−(OC1−C5アルキル)2、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、及び−N=C(R40)N(R40)(R41)からなる群から選択され、
R42が、H、C1−C3アルキル、及びC1−C3ハロアルキルからなる群から選択され、
Xが、O、C(O)、C(S)、S(O)、及びSO2からなる群から選択され、但し、−(LNP)−ZNPが、ナフタレン環の12又は13位のいずれかで置換される]。
【請求項2】
R及びR’が、独立してメチル又はエチルであり、
RPが、水素又はメチルであり、
RP3及びRNが、独立して水素、メチル、エチル、−O−メチル、又はシクロプロピルであり、
(LP1)が、結合であり、
(LP2)が、結合、−CH2−、−CH(OH)−、又は−C(Me)OHであり、
(LNP)が、結合、−C(O)−、−C(O)NH−、又は−C(O)N(Me)−であり、
Pが、1,1−ジメチルエチル、1−ヒドロキシシクロペンチル、1−ヒドロキシシクロヘキシル、3−エチル−3−ヒドロキシペンチル、3−エチル−3−ヒドロキシペンテニル、及び3−エチル−3−ヒドロキシペンチニルからなる群から選択され、
NPが、−CO2H、−CO2(R40)、−N(R40)(R41)、−NH−C(Me)(OH)−C(O)OH、−C(O)NMe−CH2−C(O)OH、−C(O)NMe−CH2−C(O)OMe、−C(O)NMe−CH2−C(O)OEt、−C(O)NMe−CH2−C(O)OiPr、−C(O)NMe−CH2−C(O)tBu、−シクロプロピル−C(O)OH、−シクロブチル−C(O)OH、−C(O)NMe−C(Me)2−C(O)OH、−C(O)N(R40)S(O)(R42)、−C(O)N(R40)SO2R42、−C(O)−N(R40)−5−テトラゾリル、−C(O)N(R40)−(C1−C5アルキル)−S(O)R42、−C(O)N(R40)−(C1−C5アルキル)−S(O)2R42、及び−CH2CO2Hである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(C1)〜(C8)で表される化合物、又はその医薬的に許容できる塩若しくはプロドラッグ誘導体:
C1)
【化2】


C2)
【化3】


C3)
【化4】


C4)
【化5】


C5)
【化6】


C6)
【化7】


C7)
【化8】


C8)
【化9】


[式中、R1は、H、メチル、又はエチルであり、R2は、H又はメチルであり、R3は、H、メチル、又はエチルであり、R4は、H又はメチルである]。
【請求項4】
R1が、H、メチル又はエチルであり、R2が、H又はメチルである、式(C1)〜(C10)で表される請求項3に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩又はプロドラッグ誘導体。
【請求項5】
構造式(C2)で表される請求項3に記載の化合物又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項6】
構造式(C1)で表される化合物又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項7】
前記プロドラッグが、メチルエステル、エチルエステル、N,N−ジエチルグリコールアミドエステル、又はモルホリニルエチルエステルである、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物のプロドラッグ誘導体。
【請求項8】
前記塩が、ナトリウム又はカリウムである、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の塩誘導体。
【請求項9】
医薬的に許容できる担体又は希釈剤とともに、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物を含む医薬製剤。
【請求項10】
骨粗鬆症を治療するための製剤であって、請求項1〜8のいずれかに記載の式Iの化合物と、エストロゲン、アンドロゲン、カルシウム補助剤、ビタミンD代謝物、チアジド利尿薬、カルシトニン、ビスホスホネート、SERMS、フッ化物からなる群から選択される1種類以上の共剤と、任意に担体又は希釈剤とを含む製剤。
【請求項11】
式Iの化合物及び前記1種類以上の共剤の重量比が、10:1〜1:1000である、請求項9に記載の製剤。
【請求項12】
乾癬症を治療するための製剤であって、請求項1〜8のいずれかに記載の式Iの化合物と、局所グルココルチコイド、サリチル酸、粗コールタールとからなる群から選択される1種類以上の共剤と、任意に担体又は希釈剤とを含む製剤。
【請求項13】
式I及び前記1種類以上の共剤の重量比が、1:10〜1:100000である、請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
骨多孔症の治療用医薬の製造における請求項1〜8のいずれかに記載の式1の化合物の使用。
【請求項15】
骨多孔症を治療するための請求項1〜8のいずれか記載の式1の化合物を含む医薬組成物。
【請求項16】
哺乳類を治療して、座瘡、紫外線角膜炎、脱毛症、アルツハイマー病、無重力状態での骨維持、骨折治癒、乳癌、癌の化学的予防、クローン病、大腸癌、I型糖尿病、宿主−移植片拒絶、高カルシウム血症、II型糖尿病、白血病、多発性硬化症、骨髄異形成症候群、脂分泌不足、骨軟化症、骨粗鬆症、皮膚硬度不足、皮膚加湿不足、乾癬性関節炎、前立腺癌、乾癬症、腎性骨ジストロフィー、関節リウマチ、強皮症、皮膚癌、全身性エリテマトーデス、マスタード糜爛による皮膚細胞損傷、潰瘍性大腸炎、白斑、又は皺の病理学的効果を予防又は改善する方法であって、医薬的有効量の少なくとも1種類の請求項1〜8のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項17】
前記乾癬症を治療する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記骨粗鬆症を治療する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
哺乳類を治療して、マスタード糜爛による皮膚細胞損傷を予防又は改善する、請求項16記載の方法。
【請求項20】
哺乳類を治療して、前立腺肥大症又は膀胱癌の病理学的効果を予防又は改善する方法であって、医薬的有効量の少なくとも1種類の請求項1〜8のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項21】
ビタミンD受容体が媒介する疾患状態を治療又は予防する方法であって、それを必要とする哺乳類に、医薬的有効量の請求項1〜8のいずれかに記載の化合物を投与する方法。
【請求項22】
座瘡、紫外線角膜炎、脱毛症、アルツハイマー病、無重力状態での骨維持、骨折治癒、乳癌、癌の化学的予防、クローン病、大腸癌、I型糖尿病、宿主−移植片拒絶、高カルシウム血症、II型糖尿病、白血病、多発性硬化症、骨髄異形成症候群、脂分泌不足、骨軟化症、骨粗鬆症、皮膚硬度不足、皮膚加湿不足、乾癬性関節炎、前立腺癌、乾癬症、腎性骨ジストロフィー、関節リウマチ、強皮症、皮膚癌、全身性エリテマトーデス、マスタード糜爛による皮膚細胞損傷、潰瘍性大腸炎、白斑、又は皺の病理学的効果を予防又は改善するための哺乳類の治療において使用するための請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項23】
ビタミンD受容体が媒介する疾患状態の治療又は予防に使用するための請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項24】
哺乳類を治療して、前立腺肥大症又は膀胱癌の病理学的効果を予防又は改善するために使用するための請求項1〜8のいずれか記載の化合物。
【請求項25】
実施例のいずれかを参照して本願明細書に実質的に記載される、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項26】
実施例のいずれかを参照して本願明細書に実質的に記載される、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物を調製する方法。
【請求項27】
ビタミンD受容体を媒介するための、アッセイ及び表のいずれかを参照して本願明細書に実質的に記載される、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−524259(P2008−524259A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547044(P2007−547044)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/046360
【国際公開番号】WO2006/069153
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】