説明

ビデオゲームプログラム、ビデオゲーム装置及びビデオゲーム制御方法

【課題】加速度センサが内蔵されたコントローラの移動に連動して画像表示部に表示されたオブジェクトを移動させるビデオゲーム。
【解決手段】時間間隔データ認識手段50において、操作入力部5に入力される加速度データの時間間隔が、時間間隔データとして認識される。加速度データ認識手段51においては、操作入力部5に入力される加速度データの時間間隔で加速度データが認識される。速度データ算出手段52においては、認識された加速度データおよび時間間隔データに基づいて速度データが算出される。オブジェクト移動速度データ算出手段53においては、速度データに基づいてオブジェクトの移動速度データが、算出される。オブジェクト移動状態表示手段54においては、オブジェクトが移動速度データにより規定された速度で移動する状態が、オブジェクトに対応する画像データを用いてモニタ20に連続的に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオゲームプログラム、特に、画像表示部にオブジェクトを表示し、コントローラに内蔵された加速度センサが検知した加速度データに基づいてコントローラの移動に連動してオブジェクトを移動させるビデオゲームをコンピュータに実現させるためのビデオゲームプログラムに関する。また、このビデオゲームプログラムにより実現されるビデオゲームを実行可能なビデオゲーム装置、およびこのビデオゲームプログラムにより実現されるビデオゲームを制御可能なゲーム制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々なビデオゲームが提案されている。これらビデオゲームは、ゲーム装置において実行されるようになっている。たとえば、一般的なゲーム装置は、モニタと、モニタとは別体のゲーム機本体と、ゲーム機本体とは別体の入力部たとえばコントローラとを有している。コントローラには、入力部たとえば複数の入力釦が配置されている。このようなゲーム装置においては、入力釦を操作することにより、モニタに表示されたオブジェクトを動作させることができるようになっている。
【0003】
このようなゲーム装置において、対戦ゲームたとえば野球ゲームが実行される場合を考える。野球ゲームでは、入力釦を操作することにより、モニタに表示されたオブジェクトたとえば打者キャラクタのバットを動作させることができる(非特許文献1を参照)。この場合、まず、十字釦の上下左右の釦を押すと、ミートカーソルは上下左右に移動する。次に、投手キャラクタから投球されたボールがヒッティング面の通過位置に到達したときにバットでボールを捉えることができるようにX釦を押すと、打者キャラクタはバットスイングを開始する。すると、モニタに表示されたバットが一定速度で移動を開始する。そして、投球されたボールがヒッティング面に到達したタイミングと、バットがヒッティング面に到達したタイミングとが所定の時間範囲内において一致すると、投球されたボールはバットにより打ち返される。
【非特許文献1】実況パワフルプロ野球9 決定版、コナミ株式会社、PS2版
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の野球ゲームでは、投手キャラクタから投球されたボールがヒッティングポイントに到達するときにバットでボールを捉えることができるようにX釦を押すと、打者キャラクタはバットスイングを開始し、モニタに表示されたバットが一定速度で移動するようになっていた。このため、投球されたボールがヒッティングポイントに到達するタイミングをプレイヤが覚えてしまえば、投球されたボールを比較的容易に捉えることができてしまい、プレイヤが打者キャラクタを操作するときの興趣が欠けていた。このようなプレイヤが打者キャラクタを操作するときの興趣の欠如を解決するために、投球ごとにスイング速度を変化させようとしても、従来のゲームプログラム、ゲーム装置、およびゲーム制御方法では実現することが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、コントローラの移動に連動して画像表示部に表示されたオブジェクトを移動させるビデオゲームを実現可能なビデオゲームプログラムを提供することにある。また、このビデオゲームプログラムにより実現されるビデオゲームを実行可能なビデオゲーム装置、およびこのビデオゲームプログラムにより実現されるビデオゲームを制御可能なビデオゲーム制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係るビデオゲームプログラムは、画像表示部にオブジェクトを表示し、コントローラに内蔵された加速度センサが検知した加速度データに基づいてコントローラの移動に連動してオブジェクトを移動させるビデオゲームを実現可能なコンピュータに、以下の機能を実現させるためのプログラムである。
(1)入力部に連続的に入力される加速度データの時間間隔を時間間隔データとして制御部に認識させる時間間隔データ認識機能。
(2)入力部に連続的に入力される加速度データの時間間隔で入力部に連続的に入力される加速度データを制御部に認識させる加速度データ認識機能。
(3)制御部に認識された加速度データおよび時間間隔データに基づいて速度データを制御部に算出させる速度データ算出機能。
(4)速度データに基づいてオブジェクトの移動速度データを制御部に算出させるオブジェクト移動速度データ算出機能。
(5)オブジェクトが移動速度データにより規定された速度で移動する状態を、オブジェクトに対応する画像データを用いて画像表示部に連続的に表示するオブジェクト移動状態表示機能。
【0007】
このプログラムによって実現されるゲームでは、時間間隔データ認識機能において、入力部に連続的に入力される加速度データの時間間隔が、時間間隔データとして制御部により認識される。加速度データ認識機能においては、入力部に連続的に入力される加速度データの時間間隔で入力部に連続的に入力される加速度データが、制御部により認識される。速度データ算出機能においては、制御部に認識された加速度データおよび時間間隔データに基づいて速度データが制御部により算出される。オブジェクト移動速度データ算出機能においては、速度データに基づいてオブジェクトの移動速度データが、制御部により算出される。オブジェクト移動状態表示機能においては、オブジェクトが移動速度データにより規定された速度で移動する状態が、オブジェクトに対応する画像データを用いて画像表示部に連続的に表示される。
【0008】
このゲームプログラムによって実現される野球ゲームを例にすると、まず、コントローラから入力部に連続的に入力される加速度データの時間間隔が、時間間隔データとしてCPUにより認識される。そして、コントローラから入力部に連続的に入力される加速度データの時間間隔で入力部に入力される加速度データが、CPUにより認識される。次に、CPUに認識された加速度データおよび時間間隔データに基づいて、速度データがCPUにより算出される。そして、この速度データに基づいてバットの移動速度データが、CPUにより算出される。最後に、バットが移動速度データにより規定された速度で移動する状態が、バットに対応する画像データを用いてモニタに連続的に表示される。より具体的には、バットが移動速度データにより規定された速度で移動する状態を、バットをスイングする打者キャラクタとともにモニタに連続的に表示することができる。
【0009】
このゲームプログラムでは、加速度センサが内蔵されたコントローラを用いることによって、コントローラからの加速度データに基づいてオブジェクト画像たとえばバット画像がモニタ上で移動する速度を変化させることができる。これにより、プレイヤが打者キャラクタを操作するときの興趣性を向上することができる。
【0010】
請求項2に係るビデオゲームプログラムは、請求項1に記載のゲームプログラムにおいて、以下の機能を実現させる。このゲームプログラムでは、速度データ算出機能において、入力部に連続的に入力される加速度データを時間間隔データを用いて制御部に積分計算させることにより、速度の大きさデータが制御部により算出される。また、オブジェクト移動速度データ算出機能において、速度の大きさデータに対応するオブジェクトの移動速度データが制御部により算出される。さらに、オブジェクト移動状態表示機能において、オブジェクトが移動速度データにより規定された速度で移動する状態が、オブジェクトに対応する画像データを用いて画像表示部に連続的に表示される。
【0011】
この場合、加速度データを時間間隔データを用いて積分計算することにより速度の大きさデータが算出され、この速度の大きさデータに対応するオブジェクトの移動速度データが算出される。このオブジェクトの移動速度データを用いることにより、オブジェクトたとえばバットが移動速度データにより規定された速度で移動する状態を、バットに対応する画像データを用いてモニタに連続的に表示することができる。たとえば、バットが移動速度データにより規定された速度で移動する状態が、バットをスイングする打者キャラクタとともにモニタ上に連続的に表示される。これにより、オブジェクト画像たとえばバット画像がモニタ上で移動する速度をコントローラの移動速度に連動して変化させることができ、プレイヤが打者キャラクタを操作するときの興趣性を向上することができる。
【0012】
請求項3に係るビデオゲームプログラムは、請求項2に記載のゲームプログラムにおいて、以下の機能を実現させる。このゲームプログラムでは、速度データ算出機能において、入力部に連続的に入力される加速度データを時間間隔データを用いて制御部に積分計算させることにより、速度の大きさデータが制御部により算出される。そして、速度の大きさデータを時間間隔データを用いて制御部に積分計算させることにより、コントローラの位置データが制御部により算出される。また、オブジェクト移動速度データ算出機能において、速度の大きさデータに対応するオブジェクトの移動速度データが制御部により算出される。さらに、オブジェクト移動状態表示機能において、コントローラの位置データを画像表示部の位置データに変換する計算が制御部により実行される。そして、変換された画像表示部の位置データを用いて、オブジェクト表示用方向データが制御部により算出される。そして、オブジェクトが移動速度データにより規定された速度でオブジェクト表示用方向データにより規定された方向に移動する状態が、オブジェクトに対応する画像データを用いて画像表示部に連続的に表示される。
【0013】
この場合、時間間隔データを用いて加速度データ・速度の大きさデータの順に積分計算することにより、コントローラの位置データが算出される。そして、速度の大きさデータに対応するオブジェクトの移動速度データが制御部により算出され、コントローラの位置データを画像表示部の位置データに変換される。そして、変換された画像表示部の位置データを用いて、オブジェクト表示用方向データが算出される。これらオブジェクトの移動速度データおよびオブジェクト表示用方向データを用いることにより、オブジェクトたとえばバットが移動速度データにより規定された速度でオブジェクト表示用方向データにより規定された方向に移動する状態を、バットに対応する画像データを用いてモニタに連続的に表示することができる。たとえば、バットが移動速度データにより規定された速度でオブジェクト表示用方向データにより規定された方向に移動する状態が、バットをスイングする打者キャラクタとともにモニタに連続的に表示される。これにより、オブジェクト画像たとえばバット画像がモニタ上で移動する速度をコントローラの移動速度に連動して変化させることができるとともに、バット画像がモニタ上で移動する方向をコントローラの移動方向に連動して変化させることができる。
【0014】
請求項4に係るビデオゲームプログラムは、請求項1から3のいずれかに記載のゲームプログラムにおいて、以下の機能を実現させる。このゲームプログラムでは、加速度データ認識機能において、制御部に認識された加速度データの値が所定の値以上であるか否かが制御部により判断される。そして、制御部に認識された加速度データの値が所定の値以上であると制御部により判断された場合に、加速度データが制御部により認識される。
【0015】
この場合、制御部に認識された加速度データが所定の値以上であると制御部により判断された場合に、加速度データが制御部により認識されるようになっているので、プレイヤがコントローラを微妙に移動させてしまったとしても、コントローラの移動に連動してオブジェクトたとえばバットが移動することがないようにすることができる。すなわち、プレイヤが思わずコントローラを移動させてしまったときの誤操作を防止することができる。
【0016】
請求項5に係るビデオゲームプログラムは、請求項2から4のいずれかに記載のゲームプログラムにおいて、以下の機能を実現させる。このゲームプログラムでは、オブジェクト移動速度データ算出機能において、速度の大きさデータに画像表示用の修正係数を乗じることにより、オブジェクトの移動速度データが制御部により算出される。
【0017】
この場合、コントローラの速度の大きさデータに画像表示用の修正係数を乗じることにより、オブジェクトの移動速度データが制御部により算出されるようになっているので、オブジェクトたとえばバットを、モニタにおいて実行されるゲームに応じた移動速度で移動させることができる。すなわち、コントローラの移動速度を、対象ゲームたとえば野球ゲームにおいてバットを移動させるのに最適な速度に修正することができる。
【0018】
請求項6に係るビデオゲームプログラムは、請求項2から4のいずれかに記載のゲームプログラムにおいて、以下の機能を実現させる。このゲームプログラムでは、オブジェクト移動速度データ算出機能において、速度の大きさデータと画像表示部におけるオブジェクトの移動速度との対応テーブルに基づいて、速度の大きさデータに対応するオブジェクトの移動速度データが制御部により算出される。
【0019】
この場合、速度の大きさデータと画像表示部におけるオブジェクトの移動速度との対応テーブルに基づいて、速度の大きさデータに対応するオブジェクトの移動速度データが制御部により算出されるようになっているので、オブジェクトたとえばバットを、モニタにおいて実行されるゲームに応じた移動速度で移動させることができる。すなわち、コントローラの移動速度を、対象ゲームたとえば野球ゲームにおいてバットを移動させるのに最適な速度に修正することができる。
【0020】
請求項7に係るゲーム装置は、画像表示部にオブジェクトを表示し、コントローラに内蔵された加速度センサが検知した加速度データに基づいてコントローラの移動に連動してオブジェクトを移動させるビデオゲームを実行可能なビデオゲーム装置である。このビデオゲーム装置は、入力部に連続的に入力される加速度データの時間間隔を時間間隔データとして制御部に認識させる時間間隔データ認識手段と、入力部に連続的に入力される加速度データを制御部に認識させる加速度データ認識手段と、制御部に認識された加速度データおよび時間間隔データに基づいて速度データを制御部に算出させる速度データ算出手段と、速度データに基づいてオブジェクトの移動速度データを制御部に算出させるオブジェクト移動速度データ算出手段と、オブジェクトが移動速度データにより規定された速度で移動する状態を、オブジェクトに対応する画像データを用いて画像表示部に連続的に表示するオブジェクト移動状態表示手段と、を備えている。
【0021】
請求項8に係るビデオゲーム制御方法は、画像表示部にオブジェクトを表示し、コントローラに内蔵された加速度センサが検知した加速度データに基づいてコントローラの移動に連動してオブジェクトを移動させるビデオゲームをコンピュータにより制御可能なビデオゲーム制御方法である。このビデオゲーム制御方法は、入力部に連続的に入力される加速度データの時間間隔を時間間隔データとして制御部に認識させる時間間隔データ認識ステップと、時間間隔で入力部に連続的に入力される加速度データを制御部に認識させる加速度データ認識ステップと、制御部に認識された加速度データおよび時間間隔データに基づいて速度データを制御部に算出させる速度データ算出ステップと、速度データに基づいてオブジェクトの移動速度データを制御部に算出させるオブジェクト移動速度データ算出ステップと、オブジェクトが移動速度データにより規定された速度で移動する状態を、オブジェクトに対応する画像データを用いて画像表示部に連続的に表示するオブジェクト移動状態表示ステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、加速度センサが内蔵されたコントローラを用いることによって、加速度データに基づいてコントローラの移動に連動してオブジェクト画像を画像表示部で移動させることができる。これにより、プレイヤが打者キャラクタを操作するときの興趣性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔ゲーム装置の構成と動作〕
図1は、本発明の一実施形態によるゲーム装置の基本構成を示している。ここでは、ビデオゲーム装置の一例として、家庭用ビデオゲーム装置をとりあげて説明を行うこととする。家庭用ビデオゲーム装置は、家庭用ゲーム機本体および家庭用テレビジョンを備える。家庭用ゲーム機本体には、記録媒体10が装填可能となっており、記録媒体10からゲームデータが適宜読み出されてゲームが実行される。このようにして実行されるゲーム内容が家庭用テレビジョンに表示される。
【0024】
家庭用ビデオゲーム装置のゲームシステムは、制御部1と、記憶部2と、画像表示部3と、音声出力部4と、操作入力部5とからなっており、それぞれがバス6を介して接続される。このバス6は、アドレスバス、データバス、およびコントロールバスなどを含んでいる。ここで、制御部1、記憶部2、音声出力部4、操作入力部5、コントローラ25は、家庭用ビデオゲーム装置の家庭用ゲーム機本体に含まれており、画像表示部3は家庭用テレビジョンに含まれている。
【0025】
制御部1は、主に、ゲームプログラムに基づいてゲーム全体の進行を制御するために設けられている。制御部1は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)7と、信号処理プロセッサ8と、画像処理プロセッサ9とから構成されている。CPU7と信号処理プロセッサ8と画像処理プロセッサ9とは、それぞれがバス6を介して互いに接続されている。CPU7は、ゲームプログラムからの命令を解釈し、各種のデータ処理や制御を行う。たとえば、CPU7は、信号処理プロセッサ8に対して、画像データを画像処理プロセッサに供給するように命令する。信号処理プロセッサ8は、主に、3次元空間上における計算と、3次元空間上から擬似3次元空間上への位置変換計算と、光源計算処理と、画像および音声データの生成加工処理とを行っている。画像処理プロセッサ9は、主に、信号処理プロセッサ8の計算結果および処理結果に基づいて、描画すべき画像データをRAM12に書き込む処理を行っている。
【0026】
記憶部2は、主に、プログラムデータや、プログラムデータで使用される各種データなどを格納しておくために設けられている。記憶部2は、たとえば、記録媒体10と、インターフェース回路11と、RAM(Random Access Memory)12とから構成されている。記録媒体10には、インターフェース回路11が接続されている。そして、インターフェース回路11とRAM12とはバス6を介して接続されている。記録媒体10は、オペレーションシステムのプログラムデータや、画像データ、音声データ並びに各種プログラムデータからなるゲームデータなどを記録するためのものである。この記録媒体10は、たとえば、ROM(Read Only Memory)カセット、光ディスク、およびフレキシブルディスクなどであり、オペレーティングシステムのプログラムデータやゲームデータなどが記憶される。なお、記録媒体10にはカード型メモリも含まれており、このカード型メモリは、主に、ゲームを中断するときに中断時点での各種ゲームパラメータを保存するために用いられる。RAM12は、記録媒体10から読み出された各種データを一時的に格納したり、制御部1からの処理結果を一時的に記録したりするために用いられる。このRAM12には、各種データとともに、各種データの記憶位置を示すアドレスデータが格納されており、任意のアドレスを指定して読み書きすることが可能になっている。
【0027】
画像表示部3は、主に、画像処理プロセッサ9によってRAM12に書き込まれた画像データや、記録媒体10から読み出される画像データなどを画像として出力するために設けられている。この画像表示部3は、たとえば、テレビジョンモニタ20と、インターフェース回路21と、D/Aコンバータ(Digital-To-Analogコンバータ)22とから構成されている。テレビジョンモニタ20にはD/Aコンバータ22が接続されており、D/Aコンバータ22にはインターフェース回路21が接続されている。そして、インターフェース回路21にバス6が接続されている。ここでは、画像データが、インターフェース回路21を介してD/Aコンバータ22に供給され、ここでアナログ画像信号に変換される。そして、アナログ画像信号がテレビジョンモニタ20に画像として出力される。
【0028】
ここで、画像データには、たとえば、ポリゴンデータやテクスチャデータなどがある。ポリゴンデータはポリゴンを構成する頂点の座標データのことである。テクスチャデータは、ポリゴンにテクスチャを設定するためのものであり、テクスチャ指示データとテクスチャカラーデータとからなっている。テクスチャ指示データはポリゴンとテクスチャとを対応づけるためのデータであり、テクスチャカラーデータはテクスチャの色を指定するためのデータである。ここで、ポリゴンデータとテクスチャデータとには、各データの記憶位置を示すポリゴンアドレスデータとテクスチャアドレスデータとが対応づけられている。このような画像データでは、信号処理プロセッサ8により、ポリゴンアドレスデータの示す3次元空間上のポリゴンデータ(3次元ポリゴンデータ)が、画面自体(視点)の移動量データおよび回転量データに基づいて座標変換および透視投影変換されて、2次元空間上のポリゴンデータ(2次元ポリゴンデータ)に置換される。そして、複数の2次元ポリゴンデータでポリゴン外形を構成して、ポリゴンの内部領域にテクスチャアドレスデータが示すテクスチャデータを書き込む。このようにして、各ポリゴンにテクスチャが貼り付けられた物体つまり各種キャラクタを表現することができる。
【0029】
音声出力部4は、主に、記録媒体10から読み出される音声データを音声として出力するために設けられている。音声出力部4は、たとえば、スピーカー13と、増幅回路14と、D/Aコンバータ15と、インターフェース回路16とから構成されている。スピーカー13には増幅回路14が接続されており、増幅回路14にはD/Aコンバータ15が接続されており、D/Aコンバータ15にはインターフェース回路16が接続されている。そして、インターフェース回路16にバス6が接続されている。ここでは、音声データが、インターフェース回路16を介してD/Aコンバータ15に供給され、ここでアナログ音声信号に変換される。このアナログ音声信号が増幅回路14によって増幅され、スピーカー13から音声として出力される。音声データには、たとえば、ADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)データやPCM(Pulse Code Modulation)データなどがある。ADPCMデータの場合、上述と同様の処理方法で音声をスピーカー13から出力することができる。PCMデータの場合、RAM12においてPCMデータをADPCMデータに変換しておくことで、上述と同様の処理方法で音声をスピーカー13から出力することができる。
【0030】
操作入力部5は、主に、操作情報インターフェース回路18と、インターフェース回路19とから構成されている。操作情報インターフェース回路18には、コントローラ25が接続されており、操作情報インターフェース回路18にはインターフェース回路19が接続されている。そして、インターフェース回路19にバス6が接続されている。
【0031】
コントローラ25は、プレイヤが種々の操作命令を入力するために使用する操作装置であり、プレイヤの操作に応じた操作信号をCPU7に送出する。コントローラ25には、加速度センサ24が内蔵されている。加速度センサ24には、たとえば、ピエゾ抵抗型、静電容量型、および磁気センサ型等がある。このような加速度センサ24は、コントローラ25が移動したときに、コントローラ25の移動に応じて加速度の大きさが測定され出力される。ここで用いられている加速度センサ24は、3軸加速度センサであり、コントローラ25の移動に応じて3軸方向の加速度の大きさが測定され出力される。すなわち、コントローラ25が移動すると、加速度センサ24から3軸方向の加速度の大きさが加速度データとして、コントローラ25から操作入力部5へと出力される。この加速度データを制御部1に認識・処理させることにより、3次元空間におけるコントローラ25の動きを制御部1に認識させることができる。
【0032】
また、コントローラ25には、たとえば、上方向キー17U、下方向キー17D、左方向キー17L、右方向キー17Rからなる十字方向キーが設けられている。上方向キー17U、下方向キー17D、左方向キー17L及び右方向キー17Rでは、例えば、キャラクタ、オブジェクト、およびカーソルをテレビジョンモニタ20の画面上で上下左右に移動させることができる。上方向キー17U、下方向キー17D、左方向キー17L及び右方向キー17Rが操作されると、各キーに対応する操作信号がコントローラ25から操作入力部5へと出力され、この操作信号に対応したコマンドが制御部1に認識される。
【0033】
なお、コントローラ25の各ボタン及び各キーは、外部からの押圧力によって中立位置から押圧されるとオンになり、押圧力が解除されると中立位置に復帰してオフになるオンオフスイッチになっている。
【0034】
以上のような構成からなる家庭用ビデオゲーム装置の概略動作を、以下に説明する。電源スイッチ(図示省略)がオンにされゲームシステム1に電源が投入されると、CPU7が、記録媒体10に記憶されているオペレーティングシステムに基づいて、記録媒体10から画像データ、音声データ、およびプログラムデータを読み出す。読み出された画像データ、音声データ、およびプログラムデータの一部若しくは全部は、RAM12に格納される。そして、CPU7が、RAM12に格納されたプログラムデータに基づいて、RAM12に格納された画像データや音声データにコマンドを発行する。
【0035】
画像データの場合、CPU7からのコマンドに基づいて、まず、信号処理プロセッサ8が、3次元空間上におけるキャラクタの位置計算および光源計算などを行う。次に、画像処理プロセッサ9が、信号処理プロセッサ8の計算結果に基づいて、描画すべき画像データのRAM12への書き込み処理などを行う。そして、RAM12に書き込まれた画像データが、インターフェース回路13を介してD/Aコンバータ17に供給される。ここで、画像データがD/Aコンバータ17でアナログ映像信号に変換される。そして、画像データはテレビジョンモニタ20に供給され画像として表示される。
【0036】
音声データの場合、まず、信号処理プロセッサ8が、CPU7からのコマンドに基づいて音声データの生成および加工処理を行う。ここでは、音声データに対して、たとえば、ピッチの変換、ノイズの付加、エンベロープの設定、レベルの設定及びリバーブの付加などの処理が施される。次に、音声データは、信号処理プロセッサ8から出力されて、インターフェース回路16を介してD/Aコンバータ15に供給される。ここで、音声データがアナログ音声信号に変換される。そして、音声データは増幅回路14を介してスピーカー13から音声として出力される。
【0037】
〔ゲーム装置における各種処理概要〕
本ゲーム機1において実行されるゲームは、たとえば野球ゲームである。本ゲーム機1は、画像表示部3のテレビジョンモニタ20にオブジェクトを表示し、コントローラ25に内蔵された加速度センサ24が検知した加速度データに基づいてコントローラ25の移動に連動して前記オブジェクトを移動させるビデオゲームを実現可能になっている。図2は、本発明で主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図である。
【0038】
時間間隔データ認識手段50は、操作入力部5に連続的に入力される加速度データの時間間隔を時間間隔データとして制御部1に認識させる機能を備えている。
【0039】
時間間隔データ認識手段50では、操作入力部5に連続的に入力される加速度データの時間間隔が、時間間隔データとして制御部1により認識される。
【0040】
加速度データ認識手段51は、時間間隔データにより規定される時間間隔で操作入力部5に連続的に入力される加速度データを制御部1に認識させる機能を備えている。
【0041】
加速度データ認識手段51では、制御部1に認識された加速度データが制御部1により認識される。詳細には、加速度データ認識手段51では、制御部1に認識された加速度データの値が所定の値以上であるか否かが制御部1により判断される。そして、制御部1に認識された加速度データが所定の値以上であると制御部1に判断された場合に、加速度データが制御部1により認識される。
【0042】
速度データ算出手段52は、制御部1に認識された加速度データおよび時間間隔データに基づいて速度データを制御部1に算出させる機能を備えている。
【0043】
速度データ算出手段52では、制御部1に認識された加速度データおよび時間間隔データに基づいて速度データが制御部1により算出される。詳細には、速度データ算出手段52では、操作入力部5に連続的に入力される加速度データが時間間隔データを用いて制御部1に積分計算されることにより、速度の大きさデータが制御部1により算出される。より詳細には、速度データ算出手段52では、操作入力部5に連続的に入力される加速度データが時間間隔データを用いて制御部1により積分計算されることにより、速度の大きさデータが制御部1により算出される。そして、速度の大きさデータが時間間隔データを用いて制御部1により積分計算されることにより、コントローラ25の位置データが制御部1により算出される。
【0044】
オブジェクト移動速度データ算出手段53は、速度データに基づいてオブジェクトの移動速度データを制御部1に算出させる機能を備えている。
【0045】
オブジェクト移動速度データ算出手段53では、速度データに基づいてオブジェクトの移動速度データが制御部1により算出される。詳細には、オブジェクト移動速度データ算出手段53では、速度の大きさデータに対応するオブジェクトの移動速度データが制御部1により算出される。より詳細には、オブジェクト移動速度データ算出手段53では、速度の大きさデータに画像表示用の修正係数を乗じる計算が制御部1により実行されることにより、オブジェクトの移動速度データが制御部1により算出される。なお、本実施形態では、速度の大きさデータに画像表示用の修正係数を乗じることによりオブジェクトの移動速度データが算出される場合の例を示すが、速度の大きさと画像表示部3のテレビジョンモニタ20におけるオブジェクトの移動速度(速度の大きさに修正係数を乗じた速度)との対応テーブルをゲームプログラムにおいて規定しておき、ゲームプログラムのロード時に記録媒体10から記憶部2に供給される対応テーブルに基づいて、速度の大きさデータに対応するオブジェクトの移動速度データが制御部1により選択されるようにしても良い。
【0046】
オブジェクト移動状態表示手段54は、オブジェクトが移動速度データにより規定された速度で移動する状態を、オブジェクトに対応する画像データを用いて画像表示部3のテレビジョンモニタ20に連続的に表示する機能を備えている。
【0047】
オブジェクト移動状態表示手段54では、オブジェクトが移動速度データにより規定された速度で移動する状態が、オブジェクトに対応する画像データを用いて画像表示部3のテレビジョンモニタ20に連続的に表示される。詳細には、オブジェクト移動状態表示手段54では、コントローラ25の位置データをテレビジョンモニタ20用の位置データに変換する計算が制御部1により実行される。そして、変換されたテレビジョンモニタ20用の位置データを用いて、オブジェクト表示用方向データが制御部1により算出される。そして、オブジェクトが移動速度データにより規定された速度でオブジェクト表示用方向データにより規定された方向に移動する状態が、オブジェクトに対応する画像データを用いて画像表示部3のテレビジョンモニタ20に連続的に表示される。このオブジェクト移動状態表示手段54では、オブジェクトに対応する画像データを、移動速度データに対応する描画時間間隔データにより規定される描画時間間隔たとえば0.02秒(1秒間に50フレーム)で画像表示部3のテレビジョンモニタ20に連続的に表示することにより、オブジェクトが移動速度データにより規定された速度で移動する状態が画像表示部3のテレビジョンモニタ20に表示される。
【0048】
〔野球ゲームにおけるバットのスイング速度変更システムの概要と各種処理フロー〕
ここでは、野球ゲームにおけるバットのスイング速度変更システムの概要について説明する。また、図9に示したバットのスイング速度変更システムのフローについても同時に説明する。
【0049】
本野球ゲームにおいて、プレイヤが打者キャラクタを操作する場合、図3に示すように、投手キャラクタ71と、バットを有する打者キャラクタ72とが、テレビジョンモニタ20に表示される(S1)。このとき、投手キャラクタ71を動作させるためのコマンドがゲームプログラムに基づいて制御部1から発行されると、投手キャラクタ71が投球動作する状態が、打者キャラクタ72に対応する画像データたとえばポリゴンデータを連続的に移動させることにより、テレビジョンモニタ20に表示される(S2)。そして、投手キャラクタ71の所定の投球動作が終了すると、投手キャラクタ71からボールをリリースさせるためのコマンドが制御部1から発行される。すると、投手キャラクタ71からリリースされたボールキャラクタ74が投手キャラクタ71から打者キャラクタ72へと移動する状態が、テレビジョンモニタ20に表示される(S3)。この状態は、ボールキャラクタ74に対応する画像データを投手キャラクタ71から打者キャラクタ72に向けて移動させることにより実現され、このときのボールキャラクタ74の移動は制御部1により制御される。
【0050】
図4に示すように、投手キャラクタ71からリリースされたボールキャラクタ74が投手キャラクタ71から打者キャラクタ72へと移動する状態がテレビジョンモニタ20に表示されているときに、プレイヤがコントローラ25を移動させると(たとえば、プレイヤがコントローラ25を持った状態でプレイヤがコントローラ25とともに腕をスイングすると:S4)、コントローラ25に内蔵された加速度センサ24が検知した加速度データが、コントローラ25から操作入力部5に連続的に出力され操作入力部5に連続的に入力される(S5)。
【0051】
すると、制御部1に認識された加速度データの絶対値が所定の値以上であるか否かが制御部1により判断され(S6)、加速度データの絶対値が所定の値以上であると制御部1に判断された場合(S6でYes)、加速度データが制御部1により認識される(S7)。すると、バットが打者キャラクタ72とともに移動を開始する状態すなわち打者キャラクタ72がバットスイングを開始する状態が、画像データたとえばポリゴンデータを連続的に移動させることにより、テレビジョンモニタ20に表示される(S8)。ここで、操作入力部5に入力された加速度データの絶対値が所定の値未満であると制御部1に判断された場合(S6でNo)、加速度データが制御部1により認識されない(S9)。すなわち、バットは打者キャラクタ72とともに移動を開始しない(打者キャラクタ72はバットスイングを開始しない。)
加速度データが制御部1により認識されると、操作入力部5に連続的に入力される加速度データの時間間隔が、時間間隔データとして制御部1により認識される(S10)。すると、操作入力部5に連続的に入力された加速度データが時間間隔データを用いて制御部1により積分計算され、速度の大きさデータが制御部1により算出される(S11)。また、この速度の大きさデータが時間間隔データを用いて制御部1により積分計算され、コントローラ25の位置データが制御部1により算出される(S12)。さらに、速度の大きさデータに画像表示用の修正係数を乗じる計算が制御部1により実行され、バットの移動速度データが制御部1により算出される(S13)。
【0052】
すると、コントローラ25の位置データをテレビジョンモニタ20用の位置データに変換する計算が制御部1により実行され(S14)、このテレビジョンモニタ20用の位置データを用いてバット用方向データが制御部1により算出される(S15)。すると、バットが移動速度データにより規定された速度でバット用方向データにより規定された方向に移動する状態すなわちコントローラ25の移動に連動して打者キャラクタ72がバットをスイングする状態が、画像データたとえばポリゴンデータを連続的に移動させることにより、テレビジョンモニタ20に表示される(S16)。この状態は、バットが移動速度データにより規定された速度でバット用方向データにより規定された方向に移動するように、バットを持った打者キャラクタ72の画像データたとえばポリゴンデータが、描画時間間隔データにより規定される描画時間間隔でテレビジョンモニタ20に連続的に移動させることにより実現される。この描画時間間隔データは、速度の大きさデータに応じて制御部1により調整される。たとえば、ゲームにおけるバットの基準移動速度と基準描画時間間隔とをゲームプログラムにおいて規定しておくことにより、ポリゴンデータがテレビジョンモニタ20に表示される。この基準状態を基準にすると、バットの移動速度が基準移動速度より速い場合は、0.02秒間隔よりも小さい時間間隔で、ポリゴンデータがテレビジョンモニタ20に表示される。一方で、バットの移動速度が基準移動速度より遅い場合は、0.02秒間隔よりも大きい時間間隔で、ポリゴンデータがテレビジョンモニタ20に表示される。このときの描画時間間隔は、基準移動速度に対する、算出されたバットの移動速度の割合(比率)を基準時間間隔(ここでは0.02秒)に乗じることにより算出される。
【0053】
そして、バットキャラクタ73がボールキャラクタ74を打ち返せる範囲内に位置しているか否かが制御部1により判断される(S17)。そして、バットキャラクタ73がボールキャラクタ74を打ち返せる範囲内に位置していると制御部1により判断された場合(S17でYes)、図5に示すように、ボールとバットとが衝突した位置Aを規定する衝突位置データが制御部1により算出される(S18)。この位置データにより規定される衝突位置Aの座標に応じて、バットに衝突したボールの打ち返される方向データが制御部1により算出される(S19)。このときに、バットの移動速度データにより規定される速度Vに応じて、ボールの移動速度データが制御部1により算出される(S20)。そして、ボールの移動速度データにより規定された速度VBでボールの打ち返される方向データにより規定された方向Hにボールキャラクタ74が移動する状態が、ボールキャラクタ74に対応する画像データを用いて、テレビジョンモニタ20に連続的に表示される(S21)。
【0054】
なお、ボールとバットとが衝突した衝突位置データは、バットにボールが当たったタイミングを判断するためのデータである。この衝突位置データにより規定される衝突位置Aが投手側であればあるほど、バットにボールが当たったタイミングが早いことになる(図5(b)を参照)。また、衝突位置データにより規定される衝突位置が捕手側であればあるほど、バットにボールが当たったタイミングが遅いことになる(図5(c)を参照)。これら一連の処理により、バットにボールが当たったタイミングに応じてバットにより打ち返されるボールの方向を変化させることができ、バットの移動速度に応じてバットにより打ち返されるボールの移動速度を変化させることができる。
【0055】
たとえば、打者キャラクタが右打者である場合、バットがボールに当たったタイミングが所定のタイミングの範囲内であった場合(衝突位置データにより規定される衝突位置がホームベース上の所定の範囲内にあった場合)、ボールの移動方向はセンターの方向になる(図5(a)を参照)。そして、バットがボールに当たるタイミングが早かった場合には、ボールの移動方向はレフトの方向になり、バットがボールに当たるタイミングが遅かった場合には、ボールの移動方向はライトの方向になる(図5(b)および図5(c)を参照)。
【0056】
また、図6に示すように、バットの移動速度Vが大きい状態でボールが打ち返された場合には、バットにより打ち返されるボールの移動速度VBは大きくなり、バットの移動速度Vが小さい状態でボールが打ち返された場合には、バットにより打ち返されるボールの移動速度VBは小さくなる。このときのバットにより打ち返されるボールの移動速度の大小は、従来の一定速度でバットがスイングされたときにバットにより打ち返されるボールの移動速度V0を基準にして制御部1により算出される。
【0057】
たとえば、従来の一定速度V0でバットがスイングされたときにバットにより打ち返されるボールの基準移動速度がVB0であるとすると、バットの移動速度Vが一定速度V0より大きい状態(V>V0)でボールが打ち返された場合には、速度(V−V0)の大きさに応じて、バットにより打ち返される基準移動速度VB0が制御部1により補正され、ボールの移動速度VB(β・VB0:β>1.0)が算出される。また、バットの移動速度Vが一定速度V0より小さい状態(V<V0)でボールが打ち返された場合には、速度(V0−V)の大きさに応じて、バットにより打ち返される基準移動速度VB0が制御部1により補正され、ボールの移動速度VB(β・VB0:β<1.0)が算出される。
ここでの|V−V0|と補正係数βとの関係は、ゲームプログラムにおいて予め規定されており、ゲームプログラムのロード時に記録媒体10から記憶部2に供給される対応テーブルに基づいて、|V−V0|に対応する補正係数βが制御部1により選択される。
【0058】
〔バットのスイング速度変更システムの各手段における処理内容および補足説明〕
ここでは、バットのスイング速度変更システムの各種処理内容の詳細について説明する。
・加速度データ認識手段
加速度センサ24は、3軸方向の加速度の大きさを検知可能であり、たとえば加速度の値G(gx,gy,gz)を−3.0g≦(gx,gy,gz)≦3.0gの範囲で検知する。この加速度センサ24がコントローラ25に内蔵されている場合、コントローラ25が静止状態から移動したときに、コントローラ25から操作入力部5に入力された加速度データの絶対値が、たとえばG≧|0.2|gであるか否かが制御部1により判断される。このとき、操作入力部5に入力された加速度データの絶対値が、G≧|0.2|gであると制御部1により判断されると、加速度データが制御部1により認識される。一方で、操作入力部5に入力された加速度データの絶対値が、G<|0.2|gであると制御部1により判断されると、加速度データが制御部1により認識されない。
・速度データ算出手段
3軸方向の加速度の大きさからなる加速度データGが制御部1により認識されると、操作入力部5に連続的に入力される加速度データG(gx,gy,gz,t)の時間間隔が、時間間隔データdtとして制御部1により認識される(S10)。すると、操作入力部5に連続的に入力された加速度データGが時間間隔データdtを用いて制御部1により積分計算され、3軸方向の速度の大きさデータV(vx,vy,vz,t)が制御部1により算出される(図7を参照)。たとえば、まず時刻t1に制御部1に加速度データG1(gx1,gy1,gz1,t1)が認識され、次に時刻t2に制御部1に加速度データG2(gx2,gy2,gz2,t2)が認識された場合、∫[G2(gx2,gy2,gz2,t2)−G1(gx1,gy1,gz1,t1)]・dtという計算を時刻t2と時刻t1の間で制御部1に実行させることにより、速度の大きさデータV1(vx1,vy1,vz1,t1)が制御部1により算出される。同様に、時刻t2に続く時刻t3に制御部1に加速度データG3(gx3,gy3,gz3,t3)が認識された場合、∫[G3(gx3,gy3,gz3,t3)−G2(gx2,gy2,gz2,t2)]・dtという計算を時刻t3と時刻t2との間で制御部1に実行させることにより、速度の大きさデータV2(vx2,vy2,vz2,t2)が制御部1により算出される。また、時刻t3に続く時刻t4に制御部1に加速度データG4(gx4,gy4,gz4,t4)が認識された場合、∫[G4(gx4,gy4,gz4,t4)−G3(gx3,gy3,gz3,t3)]・dtという計算を時刻t4と時刻t3の間で制御部1に実行させることにより、速度の大きさデータV3(vx3,vy3,vz3,t3)が制御部1により算出される。
【0059】
このように算出された速度の大きさデータVが時間間隔データdtを用いて制御部1によりさらに積分計算されると、コントローラ25の位置データXが制御部1により算出される。たとえば、∫[V2(vx2,vy2,vz2,t2)−V1(vx1,vy1,vz1,t1)]・dtという計算を時刻t2と時刻t1との間で制御部1に実行させることにより、コントローラ25の位置データX1(x1,y1,z1,t1)が制御部1により算出される。同様に、∫[V3(vx3,vy3,vz3,t3)−V2(vx2,vy2,vz2,t2)]・dtという計算を時刻t3と時刻t2との間で制御部1に実行させることにより、コントローラ25の位置データX2(x2,y2,z2,t2)が制御部1により算出される。
【0060】
加速度データGが制御部1に認識されたときに、上記のような一連の計算を制御部1に実行させることにより、各時刻の速度の大きさデータおよび位置データを算出することができる。
・オブジェクト移動速度データ算出手段
バットの移動速度データは、速度の大きさデータVに画像表示用の修正係数αを乗じる計算を制御部1に実行させることにより算出される。この処理は、実際に移動させたコントローラ25の加速度データに基づいて算出された速度の大きさデータを、ゲームにおいて用いられるバットの移動速度へと修正するために行われる処理である。たとえば、上記のように算出されたコントローラ25の速度の大きさデータV1,V2に修正係数α(定数)又はコントローラ25の速度の大きさデータV1,V2に応じた修正係数α(V)を乗じる計算を制御部1に実行させることにより、バットの移動速度データが制御部1により算出される。
・オブジェクト移動状態表示手段
上記のように算出されたコントローラ25の位置データX1,X2は、図8に示すように、テレビジョンモニタ20用の位置データX’1,X’2へと変換される。コントローラ25の位置データX1,X2は3次元実空間(プレイヤがコントローラ25とともに腕をスイング空間)における座標であるため、ここでは、コントローラ25の位置データX1,X2を、3次元ゲーム空間におけるテレビジョンモニタ20用の位置データX’1,X’2に変換する。この変換は、3次元実空間から3次元ゲーム空間への写像変換を制御部1に実行させることにより行われる。たとえば、この変換は、ゲームプログラムにおいて予め決定された写像関数fを用いて、X’(x’,y’,z’)=f・X(x,y,z)という計算を制御部1に実行させることにより行われる。この写像変換によって、3次元ゲーム空間における位置データX’1,X’2が制御部1により算出されると、3次元ゲーム空間における位置データX’2と位置データX’1との差を制御部1に計算させることにより、バットを移動させる方向を規定するベクトルデータたとえばバット用方向データが制御部1により算出される。すると、バットキャラクタ73がバット用方向データの方向に移動する状態が、テレビジョンモニタ20に表示される。
【0061】
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、ゲームプログラムを適用しうるコンピュータの一例としての家庭用ビデオゲーム装置を用いた場合の例を示したが、ゲーム装置は、前記実施形態に限定されず、モニタが別体に構成されたゲーム装置、モニタが一体に構成されたゲーム装置、ゲームプログラムを実行することによってゲーム装置として機能するパーソナルコンピュータやワークステーションなどにも同様に適用することができる。
【0062】
(b) 本発明には、前述したようなゲームを実行するプログラムおよびこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も含まれる。この記録媒体としては、カートリッジ以外に、たとえば、コンピュータ読み取り可能なフレキシブルディスク、半導体メモリ、CD−ROM、DVD、MO、ROMカセット、その他のものが挙げられる。
【0063】
(c) 前記実施形態では、各瞬間の速度の大きさデータVに画像表示用の修正係数αを乗じることにより、各瞬間のバットの移動速度データが算出される場合の例を示したが、バットの移動速度データの算出手段は前記実施形態に限定されず、最初の加速度データが制御部1に認識された時刻tsから最後に加速度データが制御部1に認識された時刻teまでの範囲(図7を参照)における各瞬間の速度の大きさデータVを平均する計算を制御部1に実行させ、平均化された速度の大きさデータVに画像表示用の修正係数αを乗じることにより、バットの移動速度データを算出するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態によるビデオゲーム装置の基本構成図。
【図2】前記ビデオゲーム装置の一例としての機能ブロック図。
【図3】テレビジョンモニタに表示されるキャラクタを説明するための図。
【図4】コントローラの移動状態とバットの移動状態の対応を説明するための図。
【図5】バットに当たったボールが打ち返される方向を説明するための図。
【図6】バットにより打ち返されるボールの移動速度を説明するための図。
【図7】加速度データと速度データとの関係を説明するための図。
【図8】コントローラの位置データをテレビジョンモニタ用の位置データへと変換するときの写像関係を説明するための図。
【図9A】バットのスイング速度変更システムを説明するためのフローチャート。
【図9B】バットのスイング速度変更システムを説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0065】
1 制御部
5 操作入力部
20 テレビジョンモニタ
24 加速度センサ
25 コントローラ
50 時間間隔データ認識手段
51 加速度データ認識手段
52 速度データ算出手段
53 オブジェクト移動速度データ算出手段
54 オブジェクト移動状態表示手段
71 投手キャラクタ
72 打者キャラクタ
73 バットキャラクタ
74 ボールキャラクタ
A バットにボールが当たった位置
dt 時間間隔
f 写像関数
G 加速度データ
VB ボールの移動速度
V 速度の大きさデータ
α 修正係数
β 補正係数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示部にオブジェクトを表示し、前記コントローラに内蔵された加速度センサが検知した加速度データに基づいてコントローラの移動に連動して前記オブジェクトを移動させるビデオゲームを実現可能なコンピュータに、
入力部に連続的に入力される前記加速度データの時間間隔を時間間隔データとして制御部に認識させる時間間隔データ認識機能と、
前記時間間隔で入力部に連続的に入力される前記加速度データを制御部に認識させる加速度データ認識機能と、
制御部に認識された前記加速度データおよび前記時間間隔データに基づいて速度データを制御部に算出させる速度データ算出機能と、
前記速度データに基づいて前記オブジェクトの移動速度データを制御部に算出させるオブジェクト移動速度データ算出機能と、
前記オブジェクトが前記移動速度データにより規定された速度で移動する状態を、前記オブジェクトに対応する画像データを用いて前記画像表示部に連続的に表示するオブジェクト移動状態表示機能と、
を実現させるためのビデオゲームプログラム。
【請求項2】
前記速度データ算出機能では、入力部に連続的に入力される前記加速度データを前記時間間隔データを用いて制御部に積分計算させることにより速度の大きさデータを制御部に算出させ、
前記オブジェクト移動速度データ算出機能では、前記速度の大きさデータに対応する前記オブジェクトの移動速度データを制御部に算出させ、
前記オブジェクト移動状態表示機能では、前記オブジェクトが前記移動速度データにより規定された速度で移動する状態を、前記オブジェクトに対応する画像データを用いて前記画像表示部に連続的に表示する、
請求項1に記載のビデオゲームプログラム。
【請求項3】
前記速度データ算出機能では、入力部に連続的に入力される前記加速度データを前記時間間隔データを用いて制御部に積分計算させることにより速度の大きさデータを制御部に算出させ、前記速度の大きさデータを前記時間間隔データを用いて制御部に積分計算させることによりコントローラの位置データを制御部に算出させ、
前記オブジェクト移動速度データ算出機能では、前記速度の大きさデータに対応する前記オブジェクトの移動速度データを制御部に算出させ、
前記オブジェクト移動状態表示機能では、前記コントローラの位置データを前記画像表示部の位置データに変換する計算を制御部に実行させ、変換された前記画像表示部の位置データを用いて前記オブジェクト表示用方向データを制御部に算出させ、前記オブジェクトが前記移動速度データにより規定された速度で前記オブジェクト表示用方向データにより規定された方向に移動する状態を、前記オブジェクトに対応する画像データを用いて前記画像表示部に連続的に表示する、
請求項2に記載のビデオゲームプログラム。
【請求項4】
前記加速度データ認識機能では、前記時間間隔で入力部に連続的に入力される前記加速度データの値が所定の値以上であるか否かを制御部に判断させ、前記時間間隔で入力部に連続的に入力される前記加速度データが所定の値以上であると制御部に判断された場合に、前記加速度データを制御部に認識させる、
請求項1から3のいずれかに記載のビデオゲームプログラム。
【請求項5】
前記オブジェクト移動速度データ算出機能では、前記速度の大きさデータに画像表示用の修正係数を乗じることにより前記オブジェクトの移動速度データを制御部に算出させる、
請求項2から4のいずれかに記載のビデオゲームプログラム。
【請求項6】
前記オブジェクト移動速度データ算出機能では、前記速度の大きさデータと前記画像表示部における前記オブジェクトの移動速度との対応テーブルに基づいて、前記速度の大きさデータに対応する前記オブジェクトの移動速度データを制御部に算出させる、
請求項2から4のいずれかに記載のビデオゲームプログラム。
【請求項7】
画像表示部にオブジェクトを表示し、前記コントローラに内蔵された加速度センサが検知した加速度データに基づいてコントローラの移動に連動して前記オブジェクトを移動させるビデオゲームを実行可能なビデオゲーム装置であって、
入力部に連続的に入力される前記加速度データの時間間隔を時間間隔データとして制御部に認識させる時間間隔データ認識手段と、
前記時間間隔で入力部に連続的に入力される前記加速度データを制御部に認識させる加速度データ認識手段と、
制御部に認識された前記加速度データおよび前記時間間隔データに基づいて速度データを制御部に算出させる速度データ算出手段と、
前記速度データに基づいて前記オブジェクトの移動速度データを制御部に算出させるオブジェクト移動速度データ算出手段と、
前記オブジェクトが前記移動速度データにより規定された速度で移動する状態を、前記オブジェクトに対応する画像データを用いて前記画像表示部に連続的に表示するオブジェクト移動状態表示手段と、
を備えるビデオゲーム装置。
【請求項8】
画像表示部にオブジェクトを表示し、前記コントローラに内蔵された加速度センサが検知した加速度データに基づいてコントローラの移動に連動して前記オブジェクトを移動させるビデオゲームをコンピュータにより制御可能なビデオゲーム制御方法であって、
入力部に連続的に入力される前記加速度データの時間間隔を時間間隔データとして制御部に認識させる時間間隔データ認識ステップと、
前記時間間隔で入力部に連続的に入力される前記加速度データを制御部に認識させる加速度データ認識ステップと、
制御部に認識された前記加速度データおよび前記時間間隔データに基づいて速度データを制御部に算出させる速度データ算出ステップと、
前記速度データに基づいて前記オブジェクトの移動速度データを制御部に算出させるオブジェクト移動速度データ算出ステップと、
前記オブジェクトが前記移動速度データにより規定された速度で移動する状態を、前記オブジェクトに対応する画像データを用いて前記画像表示部に連続的に表示するオブジェクト移動状態表示ステップと、
を備えるビデオゲーム制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate


【公開番号】特開2007−167530(P2007−167530A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372070(P2005−372070)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】