説明

ビニルエーテル架橋剤を用いた反射防止膜

【課題】新規な湿式現像性反射防止膜組成物およびこれらの組成物の使用方法を提供する。
【解決手段】酸官能基を有し、架橋剤および光酸発生剤と共に溶媒系に可溶なポリマーおよび/またはオリゴマーを含み、酸官能基はカルボン酸であり、架橋剤はビニルエーテル架橋剤である。これらの組成物は基盤に適用され、熱で架橋され、露光すると、硬化した(cured)組成物は脱架橋され、典型的なフォトレジスト現像溶液(例えばアルカリ現像液)に可溶となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府後援の研究開発プログラム
本発明は米国陸軍宇宙ミサイル防衛軍団により与えられた契約番号DASG60‐01‐C‐0047の契約に基づき、政府の支持を受け成し遂げられた。米国政府は本発明について、一定の権利を有する。
【0002】
発明の背景
関連した出願
本願は、2004年4月29日に出願されたシリアルナンバー60/566,329、ビニルエーテル架橋剤を用いた反射防止膜という名称の仮出願の優先権を主張し、引用することで本明細書の一部となす。
【0003】
発明の技術分野
本発明は、新規な湿式現像性反射防止膜組成物およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
従来技術の背景
特徴的大きさを110nm以下に収縮するため、半導体産業により掲げられる目標を達成する新たなより進歩した材料が必要とされる。高解像度のリソグラフ印刷標的を達成するためにフォトレジストおよび基板の反射防止皮膜の両方の改良が必要とされる。例えば、新たなレジストは古い世代の材料よりもさらに薄いため、基底の反射防止膜および基盤エッチング工程に起こるレジストの厚みの損失が決定的な問題となる。レジストの厚さが減少する一方で、基底の反射防止膜の厚さが同じ比率で減少することは予期されておらず、このことはレジストの損失という問題をいっそう複雑にする。この問題への解決策は、湿式現像性基底反射防止膜によって、基底反射膜形成のエッチング工程を取り除くことである。
【0005】
湿式現像性基底反射防止膜が、典型的にポリマー結合剤としてアルカリ性溶媒中に可溶なポリアミド酸を用い、レジストが現像されるときに基底の反射防止膜が除去されるようにしている。アミド酸をイミドに変換する熱工程を有利に用いることにより、この伝統的な湿式現像性基底反射防止膜が、レジスト溶媒に不溶になる。この工程はよく機能するが、ふたつの制限がある。(1)基底反射防止膜が有機溶媒に不溶で、アルカリ性現像液に可溶である焼成温度範囲が狭い(10℃以下);(2)湿式現像過程が等方性、すなわち基底反射防止膜が、水平方向と垂直方向に同様の割合で除去され、これによってレジストのラインの下方カッティングがおこる。これは、より大きな構造(0.2ミクロン以上)では問題とならないが、より小さな境界サイズでは、ラインの持ち上げおよびラインの崩壊が容易に起こる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、マイクロエレクトロニクス装置の製造において有用である新規な湿式現像性組成物を提供することによって従来技術の湿式現像性反射防止膜の問題を解決する。
【0007】
さらに詳細には、発明の組成物は、溶媒系に溶解または分散されたポリマー、オリゴマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む。化合物は、組成物中の全ての材料の総重量100重量%に基づいて、好ましくは約0.5−10重量%から、より好ましくは約0.5−5重量%から、さらにより好ましくは約1−4重量%のレベルで組成物中に存在する。
【0008】
もし、化合物がポリマーであれば、平均分子量は約1,000−100,000ダルトンから、より好ましくは約1,000−25,000ダルトンからであることが好ましい。好ましいポリマーは、脂肪族ポリマー、アクリレート、メタアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ノボラック、ポリアミド酸およびそれらの混合物を含む群から選択されたポリマーである。
【0009】
もし、化合物がオリゴマーであれば、分子量は約500−3,000ダルトンから、より好ましくは約500−1,500ダルトンからであることが好ましい。好ましいオリゴマーは、置換された、または置換されていないアクリレート、メタアクリレート、ノボラック、イソシアヌル酸塩、グリシジルエーテルおよびそれらの混合物を含む。
【0010】
化合物がオリゴマー、またはポリマーであるかにかかわらず、また、ポリマーバックボーン、またはオリゴマーコアの構造であるかにかかわらず、化合物は酸官能基を含有することが好ましい。酸性基は、化合物の総重量を100重量%として、好ましくは約5重量%以上のレベルで化合物中に存在し、好ましくは約5−90重量%から、さらにより好ましくは約5−50重量%からである。好ましい酸性基は、フェノール基を除く、カルボン酸(‐COOH)のような官能基である。
【0011】
従来技術の組成物と異なり、酸性基は、好ましくは保護基によって保護されていない。すなわち、酸性基の約95%以上、好ましくは約98%以上、さらに好ましくは約100%が保護されていない。保護基とは、酸が反応性となることを防止する官能基である。
【0012】
保護基は本発明に必須ではないため、化合物が酸反応性でないことが好ましい。酸反応性ポリマーまたはオリゴマーは、酸の存在下で除去され分解され、または変換される保護基を含むポリマーまたはオリゴマーである。
【0013】
他の態様では、保護された酸官能基および保護されていない酸官能基の組み合わせを用いることができる。これらの態様では、保護された酸官能基と保護されていない酸官能基とのモル比は、約1:3から約3:1、より好ましくは約1:2から約1:1である。
【0014】
本発明の組成物は発色団(光減衰化合物または光減衰部分)を含むことも好ましい。発色団は、化合物(化合物上の官能基、またはポリマーバックボーンもしくはオリゴマーコアに直接のいずれかの方法で)に結合していてもよく、また、発色団が単純に、物理的に化合物中に混合されていてもよい。発色団は、化合物の総重量を100重量%として、約5−50重量%から、好ましくは20−40重量%からのレベルで組成物中に存在することが好ましい。発色団は、組成物が処理される(be processed)波長に基づいて選択される。例えば、波長248nmにおいて、好ましい発色団は、ナフタレン(例:ナフトエ酸メタクリレート、3,7‐ジヒドロキシナフトエ酸)、ヘテロ環状発色団、カルバゾール、アントラセン、(例:9‐アントラセンメチルメタクリレート、9‐アントラセンカルボン酸)、および前述の機能的な部分を含む。193nmの波長では、好ましい発色団は、置換および非置換フェニル類、ヘテロ環状発色団(例:フラン環、チオフェン環)、および前述の機能的な部分を含む。本発明の好ましい組成物は、好ましくは架橋剤も含む。
【0015】
好ましい架橋剤は、ビニルエーテル架橋剤である。ビニルエーテル架橋剤は、多官能性、並びにより好ましくは三、および四官能性である。
【0016】
好ましいビニルエーテル架橋剤は、化学式
R-(X-O-CH=CH2)n
で表され、Rはアリール基(好ましくはC‐C12)およびアルキル基(好ましくはC‐C18、およびより好ましくはC‐C10)から選択され、Xはそれぞれ、アルキル基(好ましくはC‐C18、およびより好ましくはC‐C10);アルコキシル基(好ましくはC‐C18、およびより好ましくはC‐C10);カルボキシル基;および前述の2またはそれ以上の組合せからなる群から選択され、nは2−6である。もっとも好ましいビニルエーテル架橋剤は、エチレングリコールビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、1、4‐シクロヘキサン ジメタノール ジビニル エーテル、およびそれらの組合せからなる群から選択される。もうひとつの好ましいビニルエーテル架橋剤は、
【0017】
【化1】

からなる群から選択される。
【0018】
組成物は、好ましくは触媒も含む。好ましい触媒は、酸発生剤、および特に光酸発生剤(“PAG”、両イオン性、および/または非イオン性)である。光の存在下、酸を生成するいずれのPAGも適切である。好ましいPAGは、オニウム塩(例:トリフェニルスルフォニウムノナフラートおよびトリフェニルスルフォニウムトリフラートのようなトリフェニルスルフォニウムパーフルオロスルホン酸エステル)、オキシムスルホン酸(例:CIBA製CGIの商品名で販売)、およびトリアジン(例:ミドリカガクカンパニー製TAZ108)を含む。
【0019】
組成物は、組成物中の固体ポリマーおよびオリゴマーの総重量を100重量%として、好ましくは触媒を約0.1−10重量%、より好ましくは約1−5重量%含む。
【0020】
多数の他の任意選択的材料が、同様に組成物中に含まれることが推奨される。典型的な選択的材料には、界面活性剤、アミン塩基(amine bases)、粘着性促進剤が含まれる。
【0021】
態様に関わらず、十分に均一な分散状態を形成するために、ポリマー、オリゴマー、またはそれらの混合物を適切な溶媒系で、好ましくは環境条件下で十分な時間をかけて、単純に分散、または溶解させることによって、反射防止組成物が形成される。他の材料(例:架橋剤、PAG)は、好ましくは化合物に適した溶媒系で分散、または溶解される。
【0022】
好ましい溶媒系は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME),プロピレングリコール n‐プロピルエーテル(PnP)、乳酸エチル、およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒を含む。好ましくは、溶媒系は約50−250℃から、より好ましくは約100−175℃からの沸点を持つ。溶媒系は、組成物の総重量を100重量%として、約80−99重量%から、好ましくは95−99重量%からのレベルで使用されるべきである。
【0023】
組成物を基盤(例えばマイクロエレクトロニクス基盤のような)に塗布するための方法は、公知の塗布方法(スピンコーティングを含む)を用い、ここで述べた組成物を一定量基盤表面に塗布することを含む。基盤は、いかなる慣用的な巡回(circuit)基盤でもよく、好ましい基盤は平面でもよく、またトポグラフィー(topography)(例:コンタクトまたはビアホール、トレンチ)を含んでもよい。模範的な基盤はシリコン、アルミニウム、タングステン、ケイ化タングステン、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、窒化タンタル、SiGe、低誘電率(low-k)誘電層、誘電層(例:酸化シリコン)、およびイオン注入(implant)層を含む。
【0024】
望ましいコーティングが達成された後は、層に化合物の架橋を誘導するために、形成された層は約100−250℃、好ましくは約120−200℃の温度に加熱される。ポリマーおよびオリゴマーが、カルボン酸基を含み、架橋がビニルエーテル架橋である態様において、架橋ポリマー、またはオリゴマーは、以下の化学式を有するアセタール架橋を含む。
【0025】
【化2】

【0026】
架橋された層は十分に架橋されているため、慣例的なフォトレジスト溶媒に実質上不要となるだろう。従って、ストリッピング(stripping)試験を行うとき、本発明の皮膜層は、約5%以下、好ましくは約1%以下、より好ましくは約0%以下のストリッピング率を有する。ストリッピング試験は、始めに(5箇所の異なる場所における測定値の平均をとることによって)硬化した(cured)層の厚さを決定することを含む。これは、初期膜厚の平均値である。次に、溶媒(例えば乳酸エチル)が、約10秒間硬化した膜の上で攪錬され(puddled)、続いて溶媒を取り除くために約20−30秒間、約2,000−3,500rpmでスピン乾燥される。厚さは、偏光解析装置(ellipsometry)を用いてウエハ(wafer)上で5つの異なる点を再度測定され、これらの測定値の平均が決定される。これは、最終膜厚の平均値である。
【0027】
ストリッピングの量は、初期と最終の平均膜厚値の差である。このストリッピング率は下記式で表される。
【数1】

【0028】
架橋された層もまた、高い光吸収を持つ。使用する波長(例、157nm、193nm、248nm、365nm)において、この硬化した反射防止層または皮膜のn値は、約1.3以上、好ましくは約1.4−2.0で、一方、k値は約0.1以上、そして好ましくは約0.2−0.8である。使用する波長(例、157nm、193nm、248nm、365nm)において、硬化した層のODは、約5/μm以上、好ましくは約1−15/μm、そしてより好ましくは約10−15μmである。
【0029】
層が硬化した後は、特定の製作工程に必要なため、さらに進んだ工程が行われてもよい。例えば、フォトレジストは硬化した層へ塗布され、続いて適切な波長の光に露光することによってパターンを形成し、次に露光したフォトレジストの現像が行われてもよい。好都合なことに、フォトレジストが露光されるほど、本発明の皮膜も光にさらされる。光にさらされれば、酸がPAGから発生し、この酸が層中の化合物の脱架橋を起こす。すなわち、酸は熱架橋で化合物と架橋構造の間に形成された結合を切断する。カルボン酸がポリマーまたはオリゴマー上の酸性基であるとき、アルコールおよびアセチルアルデヒドだけでなく、組成物中にはじめに存在した同じポリマー、またはオリゴマーが形成される脱架橋が起こる。この反応を以下に図に示した(Rはポリマーバックボーンまたはオリゴマーコア、R’はビニルエーテル架橋の残渣を表す)。
【0030】
【化3】

【0031】
この脱架橋が起こった後、本発明のコーティングは湿式現像性となることがわかる。すなわち、露光され、硬化した組成物は、例えば水酸化テトラメチルアンモニウムおよびKOH現像液のような慣用的な水溶性現像液で十分に(そして好ましくは完全に)取り除くことができる。このような現像液にはPD523AD(JSR Microから入手)、MF−319(Shipley、Massachuettsから入手)およびMMD3(TOK、Japanから入手)という名前で商品化されているものもある。本発明の皮膜は、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび/またはKOH現像液のような基礎現像液(base developer)によって、約95%以上、好ましくは99%以上、さらに好ましくは100%が除去される。露光後、商業的に入手可能な現像液への高い溶解率は、製造工程を短縮し、コストを下げるという先行技術に対する重要な利点である。
【0032】
好ましい態様の詳細な記述
以下の例は、本発明による好ましい方法について述べる。しかし、これらの例は実例を示すためのものであり、その内容のいかなるものも発明全体の適用範囲を制約するものではない。
【0033】
材料と方法
1. 四官能ビニルエーテル架橋剤の所内(in house)製造
【化4】

【0034】
反応は、250ml、三つ首、丸底フラスコ中で、窒素条件下で行われた。鉱油を除去するため、使用前にNa片がヘキサンで洗浄され、秤量のためガラス瓶にすばやく入れられ、その後50mlTHFの入ったフラスコに移された。THF(20ml)中のアルコール溶液が(約15分間)滴下漏斗によって滴下され、その後、すべてのNaが溶解するまで(約30分間)加熱還流した。溶液は、明るい黄色で均一だった。THF(15ml)に溶解したテトラブロモジュレンは、(約30分間)反応フラスコ中に滴下され加えられ、一晩、還流された。添加する際、混合液は不均一となった(NaBr沈殿)。
【0035】
冷却後、塩はろ過されTHFで洗浄された。THFは、回転エバポレータで除去され、残留オイルはCHCl(25ml)に再溶解された。クロロホルム溶液は、水(2x25ml)、続いて食塩水(飽和NaCl、25ml)で洗浄された。有機層は、シリカゲルの層を通過させることによって乾燥された。溶媒が除去された。さらに乾燥するために生成物は真空下に放置された。
【0036】
2. 3置換ビニルエーテル架橋剤の所内(in house)製造
【化5】

【0037】
エチレングリコールビニルエーテル(6グラム)およびトリエチルアミン(7.5ml)がエーテル(40ml)中で混合され、トリメシン酸クロリド(6グラム)のエーテル溶液(40%)を滴下した。添加後、混合液は1.5時間、加熱還流した。残留塩は、ろ過によって除去され、エーテル溶液は10%NaOH(2x25ml)、水で洗浄され(25ml)、そして無水硫酸マグネシウムで乾燥された。減圧下、溶媒を除去後、明るい黄色のオイルが回収された(収量69%)。
【0038】
例1
酸反応性の基のないポリマー組成物
メタクリロイルオキシエチルフタラート(28.9mol、アルドリッチより入手)および2、2’‐アゾビスイソブチロニトリル(“AIBN”、0.58mmolラジカル開始剤、アルドリッチより入手)が窒素雰囲気下、50mlテトラヒドロフラン中で混合され(“THF”、アルドリッチより入手)、15時間加熱還流された。反応系は冷却され、約25mlに濃縮され、その後、200mlヘキサン中に沈殿された。ろ過、乾燥後、約8gの残留白色粉末が回収された。ホモポリマー分子量(“Mw”)がポリスチレン標準およびゲルパーミエーションクロマトグラフィー(“GPC”)を用いて測定され、68,400と決定された。
【0039】
193nmボトム反射防止膜が次のように調整された:乳酸エチル(“EL”、ジェネラルケミカルより入手)、上記のように調整されたポリマー、28重量%Vectomer5015(ビニルエーテル架橋剤、アルドリッチより入手)、および4重量%トリフェニルスルホニウムノナフレート(PAG、アルドリッチより入手)を含む3%固形分の製剤が調整され、0.1ミクロン終点のフィルターを通してろ過された。架橋剤およびPAGの量は、ポリマーの質量を基準とした。
【0040】
上記製剤は、シリコン基盤上で1,500rpmでスピンコーティングされ、160℃で焼かれた。レジスト溶媒への耐性を決定するために膜はELで洗浄され、2秒間露光され、露光後焼成(post‐exposure bake)(“PEB”)で130℃に加熱され、脱架橋し基底反射防止膜を除去するために、60秒間現像液(水酸化テトラメチルアンモニウム、すなわち“TMAH”、PD523ADの名称で販売される、JSRミクロより入手)に浸された。以下の表1は、基底反射防止膜が良好な溶媒耐性を有し、露光後はアルカリ性現像液によって除去されることを示す。本例は、酸反応性基を有するポリマーが、架橋/脱架橋の工程に対して不必要であることを示す。
【0041】
【表1】

【0042】
例2
発色団、酸、および溶解性増加剤(Dissolution Enhancer)含有基底反射防止膜
メタクリル酸(“MAA”、31.2mmol、アルドリッチより入手)、tert‐ブチルメタクリレート(“tBMA”、26.0mmol、アルドリッチより入手)、9‐アントラセンメチルメタクリレート(“9‐AMMA”、14.5mmol、St‐Jean Photochemicals Inc.より入手)、およびAIBN(1.4mmol)が窒素雰囲気下で、60mlTHF中に混合され、19時間加熱還流された。反応系は冷却され、約35mlに濃縮され、それから150mlヘキサン中へ沈殿された。ろ過、乾燥後、10gの明るい黄色の粉末が回収された。ポリスチレン標準およびGPCを用いて、ポリマーMwが測定され、23,800と決定された。
【0043】
ポリマーを含有する3%固体製剤、PGME(ジェネラルケミカルより入手)、PGMEA(ジェネラルケミカルより入手)、上記所内で調整された10%四官能性ビニルエーテル架橋剤および4%トリフェニルスルホニウムトリフラート(aPAG アルドリッチより入手)が調整され、0.1ミクロン終点のフィルターを通してろ過された。架橋剤およびPAGの含量はポリマー重量を基準とした。上記の製剤は、シリコン基盤上に1,500rpmでスピンコーティングし、その後160℃で焼成した。248nmにおける光学定数は、可変角分光エリプソメーター(“VASE”)を用いて測定され、k=0.42およびn=1.4589と決定された。膜は、レジスト溶媒に対する耐性を試験するためにELで洗浄(rinse)された。洗浄およびスピンドライサイクル後、膜厚における変化はなかった。硬化された膜は、0.26N TMAH溶液に浸漬され、膜厚は変化しなかった。しかし、膜が水銀‐キセノンランプからの光に2秒間露光され、その後130℃で90秒間の露光後焼成された後は、膜は現像液に可溶となった。
【0044】
例3
ポリマー組成物による光学特性の制御
いくつかのポリマーは、溶解特性を保持しながら基底反射防止膜の光学特性の制御を例示するために、例2の工程およびさまざまな量の発色団(9‐AMMA)を使って調整された。PGME,PGMEA、上記所内で製造された10%四官能性ビニルエーテル架橋剤、および4%トリフェニルスルホニウムトリフラートPAGを含有する3%固体調剤が調整され、0.1ミクロン終点のフィルターを通してろ過された。
【0045】
表2は、ポリマーにおける発色団の搭載が増加することによって、光学濃度、および基盤反射率が制御されることを示す。
【0046】
【表2】

【0047】
例4
フェノール性ポリマーでの比較例
比較例は、フェノール樹脂とのビニルエーテル架橋がフォトレジスト溶媒によるストリッピングを防ぐために十分な架橋度を提供しないことを例証するために行われた。
【0048】
この過程において、0.5gのポリヒドロキシスチレン(“PHS”、デュポンより入手)、0.02gのトリアジンPAG(TAZ107、ミドリカガクカンパニーより入手)、8.5gのEL、および所内製造されたさまざまな量のトリスカルボキシフェニルトリビニルエーテルが混合され、0.1ミクロン終点のフィルターを通してろ過された。二つの追加の調剤も調整され、ここには9‐アントラセンカルボン酸(“9‐ACA”、発色団 アルドリッチより入手)が248‐nmリソグラフィーのための基底反射防止膜を形成するために添加された。膜は、シリコン基盤上にスピンコーティングされ、その後、205℃までのさまざまな温度で焼成された。表3は、得られた結果を示す。全ての場合で、ELで洗浄されたときに、基底反射防止膜が完全にストリッピングされた。
【0049】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ電子デバイスを形成するのに有効な組成物において、前記組成物は:
ポリマー、オリゴマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含み、前記化合物は、フェノール性基以外の酸性基を含み;
ビニルエーテル架橋剤を含み;並びに
溶媒系を含み、前記化合物および架橋剤は前記溶媒系に溶解、または分散しており、
前記組成物は湿式現像性であることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記化合物が酸発生剤を含む請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記酸発生剤が、光酸発生剤である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、酸反応性でない請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記酸性基が、保護基を持たない請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記化合物が、保護された酸性基および保護されていない酸性基を含み、保護された酸性基と保護されていない酸性基とのモル比が、約1:3から約3:1である請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、さらに発色団を含む請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記発色団が、前記化合物に結合している請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記発色団が、化合物の総重量を100重量%として、約5−50重量%のレベルで存在する請求項7記載の組成物。
【請求項10】
前記ビニルエーテル架橋剤が、式R-(X-O-CH=CH2)nをもち、そこではRはアリールおよびアルキルからなる群から選択され、それぞれXはアルキル、アルコキシ、カルボキシ、および二つかそれ以上のそれらの組合せからなる群から個別に選択され、nが2−6である請求項1記載の組成物。
【請求項11】
前記ビニルエーテル架橋剤が、エチレングリコールビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、1,4‐シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、
【化1】

およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項10記載の組成物。
【請求項12】
前記酸性基が、カルボン酸である請求項1記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリマーが、脂肪族ポリマー、アクリル酸ポリエステル、メタクリル酸ポリエステル、ポリカーボネート、ノボラック、ポリアミド酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項14】
マイクロエレクトロニクス構造を形成する方法において、前記方法が:
表面を有する基盤を用意し;
前記表面に組成物を塗布し、前記組成物がポリマー、オリゴマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含み、前記化合物がフェノール性基以外の酸性基、ビニルエーテル架橋剤、および溶媒系を含み、前記化合物および架橋剤は、前記溶媒系に溶解または分散し;
前記組成物中の化合物を架橋し;
前記組成物の露光部を生成するために前記組成物を露光し;並びに
前記表面から前記露光部を取り除くために前記組成物を現像液に浸漬する工程を含む方法。
【請求項15】
前記架橋する工程が、前記化合物を熱架橋することを含む請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記架橋する工程が、フォトレジスト溶媒に実質的に溶解しない組成物の層を生成する請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記架橋する工程が、以下の式を有する連鎖(linkages)を含む架橋化合物を生成する請求項16記載の方法。
【化2】

【請求項18】
前記露光工程が、フォトレジスト現像液に実質的に溶解する組成物の層を生成する請求項14記載の方法。
【請求項19】
前記露光工程が以下の式を有する連鎖の結合()を切断する結果となる請求項17記載の方法。
【化3】

【請求項20】
前記基盤がマイクロエレクトロニクス基盤である請求項14記載の方法。
【請求項21】
前記基盤がシリコン、アルミニウム、タングステン、ケイ化タングステン、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、亜硝酸タンタル、SiGe、イオン注入層、低誘電率(low-k)誘電層、および誘電層からなる群から選択される請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記基盤がさらに、空孔(hole)を画する構造を含み、前記構造がサイドウォール(sidewalls)およびボトムウォール(bottom wall)を有し;並びに
前記塗布工程が、前記空孔サイドウォールおよびボトムウォールの少なくとも一部に組成物を塗布することを含む請求項14記載の方法。
【請求項23】
前記基盤がイオン注入層を含み、前記塗布工程が前記イオン注入層に隣接する前記組成物の層を形成することを含む請求項14記載の方法。
【請求項24】
さらに、前記露光工程に先行してフォトレジスト層を塗布する工程を含む、請求項14記載の方法。
【請求項25】
マイクロエレクトロニクス構造を形成する方法において、前記方法が:
表面を有する基盤を用意し;
前記表面に組成物を塗布し、前記組成物が溶媒系に溶解、または分散した化合物を含み、前記化合物がポリマー、オリゴマー、およびそれらの混合物からなる群から選択され、前記化合物がカルボン酸基を含み;
前記組成物中の化合物を架橋し;並びに
前記化合物を脱架橋するように前記組成物を露光する工程を含む方法。
【請求項26】
前記架橋工程が、前記化合物を熱的に架橋することを含む請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記架橋工程が、フォトレジスト溶媒に実質的に不溶である組成物の層を生成する請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記架橋工程が、以下の式を有する連鎖を含む架橋化合物を生成する請求項25記載の方法。
【化4】

【請求項29】
前記露光工程が、フォトレジスト現像液に実質的に溶解する組成物の層を生成する請求項25記載の方法。
【請求項30】
前記露光工程が、以下の式を有する連鎖の結合()の切断をもたらす請求項28記載の方法。
【化5】

【請求項31】
前記基盤がマイクロエレクトロニクス基盤である請求項25記載の方法。
【請求項32】
前記基盤が、シリコン、アルミニウム、タングステン、ケイ化タングステン、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、亜硝酸タンタル、SiGe、イオン注入層、低誘電率(low-k)誘電層、および誘電層からなる群から選択される請求項31記載の方法。
【請求項33】
さらに、前記基盤が空孔を画する構造を含み、前記構造がサイドウォールおよびボトムウォールを含み;並びに
前記塗布工程が組成物を前記空孔サイドウォールおよびボトムウォールの少なくとも一部に塗布することを含む請求項25記載の方法。
【請求項34】
前記基盤がイオン注入層を含み、および前記塗布工程が前記イオン注入層に隣接する前記組成物の層を形成することを含む請求項25記載の方法。
【請求項35】
さらに、前記露光工程に先行してフォトレジスト層を塗布する工程を含む請求項25記載の方法。
【請求項36】
基盤;および
前記基盤に隣接した層の組み合わせであって、前記層が、以下の式を有する連鎖を含む架橋された化合物を含むことを特徴とする、組合せ。
【化6】

【請求項37】
前記基盤がマイクロエレクトロニクス基盤である請求項36記載の組合せ。
【請求項38】
前記基盤が、シリコン、アルミニウム、タングステン、ケイ化タングステン、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、亜硝酸タンタル、SiGe、イオン注入層、低誘電率(low-k)誘電層、および誘電層からなる群から選択される請求項37記載の組合せ。
【請求項39】
前記層が実質的にフォトレジスト溶媒に不溶である請求項36記載の組合せ。
【請求項40】
さらに、前記層に隣接したフォトレジストを含む請求項36記載の組合せ。
【請求項41】
基盤;および
前記基盤に隣接した層の組み合わせであって、前記層がポリマー、オリゴマー、およびそれらの混合体からなる群から選択される化合物を含み、前記化合物が酸性基、アルコールおよびアセチルアルデヒドを含む層であることを特徴とする、組合せ。
【請求項42】
前記基盤がマイクロエレクトロニクス基盤である請求項41記載の組合せ。
【請求項43】
前記基盤が、シリコン、アルミニウム、タングステン、ケイ化タングステン、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、亜硝酸タンタル、SiGe、イオン注入層、低誘電率(low-k)誘電層、および誘電層からなる群から選択される請求項42記載の組合せ。
【請求項44】
前記層が実質的にフォトレジスト現像液に溶解する請求項41記載の組合せ。
【請求項45】
さらに、前記層に隣接したフォトレジストを含む請求項41記載の組合せ。
【請求項46】
以下の式を有する化合物。
【化7】


【公開番号】特開2012−188671(P2012−188671A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−106641(P2012−106641)
【出願日】平成24年5月8日(2012.5.8)
【分割の表示】特願2007−510782(P2007−510782)の分割
【原出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(500499508)ブルーワー サイエンス アイ エヌ シー. (45)
【Fターム(参考)】