説明

ビート音の除去方法、および受信機

【課題】中間周波数を持つスーパーヘテロダイン方式の受信機において、目的受信周波数と第1中間周波数とがほぼ等しくなる条件の信号を受信する場合に発生するビート音の発生を抑制もしくは防ぐこと。
【解決手段】受信した目的受信周波数を、第1周波数変換部で第1中間周波数に変換し、第1中間周波部のフィルタを通過させて処理するように構成されたスーパーヘテロダイン方式の受信機において、目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差が所定の差以下になったときに、前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更し、
前記第1中間周波部のフィルタは、周波数変換された第1中間周波数を通過し得るように構成することによって、目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差が所定の差以下になってもビート音の発生を抑制もしくは防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間周波数を持つスーパーヘテロダイン方式(ダブルスーパーヘテロダイン方式を含む。)の受信機において、目的受信周波数と第1中間周波数とがほぼ等しくなる条件の信号を受信する場合に発生するビート音の発生を防ぐこともしくは抑制する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中間周波数を持つスーパーヘテロダイン方式の広帯域受信機においては、目的受信周波数と第1中間周波数とがほぼ等しくなる条件の信号を受信する場合がある。その場合には、復調音に前記目的受信周波数と第1中間周波数とのビート音が発生する。
中間周波数を持つスーパーヘテロダイン方式の受信機を使用したとき、第1ミキサ回路から出力される信号としては第1中間周波数を求めるが、実際には、その他の周波数(ここでは目的受信周波数)も第1ミキサ回路を漏れて通過し、第1ミキサ回路からの出力信号に含まれる。このようにして漏れ出てくる信号に、目的受信周波数の信号と、第1ミキサ回路で生成された第1中間周波数の信号とが共に含まれ、両信号が、可聴周波数範囲程度の周波数差で存在した場合には、両信号の周波数差の低周波音が、耳に聞こえるビート音として発生する可能性がある。
【0003】
なお、ミキサから漏れ出てくる、目的受信周波数の信号レベルが、ミキサ回路で生成された第1中間周波数の信号レベルよりはるかに小さい場合、ビート音としては聞こえないことがある。しかし、目的受信周波数の信号が強く、ミキサ回路の出力から漏れ出てくる信号レベルが大きくなってくると、ビート音が聞こえるようになってくる。このように、目的受信周波数の信号レベルが大きい(強力な信号を受信した)場合には、特にビート音として聞こえやすいという問題が顕著になる。
【0004】
このような目的受信周波数と第1中間周波数との差に基づいたビート音は、可聴周波数帯域内の低周波信号音として耳に聞こえることが問題であるので、かかるビート音を除去もしくは抑制するために低周波信号用のフィルタを用いることが考えられる。
たしかに、復調した信号を再生するための低周波信号用のフィルタで、前記ビート音を除去すれば耳に聞こえなくすることができるが、そのためには、可聴周波数帯域内の必要な成分まで除去することになり望ましくない。かかる理由により、低周波信号用のフィルタでビート音を除去することは現実的に有効な手段とはなり得ない。
【0005】
受信周波数範囲を複数の周波数範囲に分割し、第1中間周波数、第1局部発振周波数、第2中間周波数、第2局部発振周波数等の組み合わせをそれぞれ選定し、受信周波数帯に応じてこれらを切り換える方法が提案されている。(特許文献1参照)
しかしながら、特許文献1記載の技術は、不要な妨害を排除するために、第1(または第2)局部発振周波数などを通常の周波数からシフトさせるものであり、目的受信周波数と第1中間周波数とがほぼ等しくなる条件の信号を受信する場合のビート音の排除を課題とするものではない。
【0006】
また、不要な妨害信号を排除するために、第1(または第2)局部発振周波数などを通常の周波数からシフトさせて、前記不要な妨害信号を、第1(または第2)中間周波段のフィルタの通過帯域外に押しやって排除するする技術、いわゆる「IFシフト」と称される技術があるが、IFシフトでは、第1(または第2)中間周波段のフィルタの通過帯域は固定されたものであり、目的受信周波数に近い周波数で元々存在している信号を排除してしまうものであり、元々存在していなかったビート音を排除するという本願の目的とは異なるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−22855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、中間周波数を持つスーパーヘテロダイン方式(ダブルスーパーヘテロダイン方式を含む。)の広帯域受信機において、目的受信周波数と第1中間周波数とがほぼ等しくなる条件の信号を受信する場合に発生するビート音が、可聴周波数帯域内に存在しないように構成することにより、目的受信周波数の近くに元々存在していないビート音を排除することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係るビート音の除去方法は、
受信した目的受信周波数を、第1周波数変換部で第1中間周波数に変換し、第1中間周波部のフィルタを通過させて処理するように構成されたスーパーヘテロダイン方式の受信機において、目的受信周波数が第1中間周波数に近いときに発生するビート音を除去するビート音の除去方法であって、
第1中間周波数に近い周波数の目的受信周波数を受信するときには、
前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更することによって、第1中間周波数の方を前記目的受信周波数から離れた周波数に変更するとともに、
前記第1中間周波部のフィルタの通過帯域を、周波数変換された第1中間周波数を通過し得るように変更することを特徴としている。
請求項2に係るビート音の除去方法は、
少なくとも2つの周波数変換部と前記周波数変換部で変換された中間周波数を通過させるフィルタを備え、受信した目的受信周波数を、前記周波数変換部で中間周波数に周波数変換した後、前記フィルタを通過させ、前記少なくとも2つの周波数変換部と前記フィルタの全てを通して処理するように構成されたヘテロダイン方式の受信機において、目的受信周波数が第1中間周波数に近いときに発生するビート音を除去するビート音の除去方法であって、
第1中間周波数に近い周波数の目的受信周波数を受信するときには、
第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更することによって、第1中間周波数の方を前記目的受信周波数から離れた周波数に変更するとともに、
第1中間周波部のフィルタの通過帯域を、周波数変換された第1中間周波数を通過し得るように変更し、
第2周波数変換部以降の何れか1つの周波数変換部の局部発振周波数の変更量、または、何れか複数の周波数変換部の局部発振周波数の変更量の合計が、前記所定の変更量と同じになるように変更することによって、第2中間周波数以降の何れかの中間周波数が通常時の周波数から変更されないように構成したことを特徴としている。
請求項3に係る受信機は、
受信した目的受信周波数を、第1周波数変換部で第1中間周波数に変換し、第1中間周波部のフィルタを通過させて処理するように構成されたスーパーヘテロダイン方式の受信機において、
目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差が所定の差以下になったときに、前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更し得るように構成するとともに、
前記第1中間周波部のフィルタは、周波数変換された第1中間周波数を通過し得るように構成することによって、
目的受信周波数が第1中間周波数に近いときに発生するビート音を除去するように構成したことを特徴としている。
請求項4の受信機は、
少なくとも2つの周波数変換部と前記周波数変換部で変換された中間周波数を通過させるフィルタを備え、受信した目的受信周波数を、前記周波数変換部で中間周波数に周波数変換した後、前記フィルタを通過させ、前記少なくとも2つの周波数変換部と前記フィルタの全てを通して処理するように構成されたヘテロダイン方式の受信機において、
目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差が所定の差以下になったときに、前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更し得るように構成し、
前記第1中間周波部のフィルタは、周波数変換された第1中間周波数を通過し得るように構成し、
第2周波数変換部以降の何れか1つの周波数変換部の局部発振周波数の変更量、または、何れか複数の周波数変換部の局部発振周波数の変更量の合計が、前記所定の変更量と同じになるように変更し得るように構成することによって、
目的受信周波数が第1中間周波数に近いときに発生するビート音を除去するように構成したことを特徴としている。
請求項5の受信機は、
前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を、所定の周波数差の少なくとも2つの高い方の局部発振周波数と低い方の局部発振周波数の何れか一方に切り換えることによって、第1局部発振周波数の周波数を所定の変更量だけ変更し得るように構成したことを特徴としている。
請求項6の受信機は、
前記第1中間周波部のフィルタの通過帯域は、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されないときの第1中間周波数も、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されたときの第1中間周波数も、
通過させ得る通過帯域を有していることを特徴としている。
請求項7の受信機は、
前記第1中間周波部のフィルタの通過帯域は、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されないときの第1中間周波数を通過させる通過帯域と、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されたときの第1中間周波数を通過させる通過帯域と、
の何れか一方に切り換え可能に構成されていることを特徴としている。
請求項8の受信機は、
前記第1中間周波部のフィルタは、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されないときの第1中間周波数を通過させる通過帯域を有する通常時フィルタと、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されたときの第1中間周波数を通過させる通過帯域を有する変更時フィルタの2つのフィルタで構成され、
前記2つのフィルタは切り換え可能に構成されていることを特徴としている。
請求項9の受信機は、
目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差が所定の差以下になったことを検出して、前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更する制御手段を備えている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係るビート音の除去方法は、
受信した目的受信周波数を、第1周波数変換部で第1中間周波数に変換し、第1中間周波部のフィルタを通過させて処理するように構成されたスーパーヘテロダイン方式の受信機において、目的受信周波数が第1中間周波数に近いときに発生するビート音を除去するビート音の除去方法であって、
第1中間周波数に近い周波数の目的受信周波数を受信するときには、前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更することによって、第1中間周波数の方を前記目的受信周波数から離れた周波数に変更するので、ビート音は除去される。なお、前記第1中間周波部のフィルタの通過帯域を、周波数変換された第1中間周波数を通過し得るように変更するので、前記変更された第1中間周波数は第1中間周波部のフィルタによって選択されて処理される。
請求項2に係るビート音の除去方法では、
少なくとも2つの周波数変換部と前記周波数変換部で変換された中間周波数を通過させるフィルタを備えたダブルスーパーヘテロダイン方式、トリプルスーパーヘテロダイン方式などように複数の周波数変換部を備えたヘテロダイン方式の受信機の場合に、第1局部発振周波数と第1中間周波数の変更と同時に、第2周波数変換部以降の何れか1つの周波数変換部の局部発振周波数の変更量、または、何れか複数の周波数変換部の局部発振周波数の変更量の合計が、前記所定の変更量と同じになるように変更して、第2中間周波数以降の何れかの中間周波数が通常時の周波数から変更されないようにすることによって、復調処理を問題なく行える。
請求項3の受信機では、
目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差が所定の差以下になったときに、
前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更し、
前記第1中間周波部のフィルタは、周波数変換された第1中間周波数を通過し得るように構成したので、ビート音の発生を防止もしくは抑制することができる。
請求項4に係る受信機では、
少なくとも2つの周波数変換部と前記周波数変換部で変換された中間周波数を通過させるフィルタを備えたダブルスーパーヘテロダイン方式、トリプルスーパーヘテロダイン方式などのように複数の周波数変換部を備えたヘテロダイン方式の受信機の場合に、第1局部発振周波数と第1中間周波数の変更と同時に、第2周波数変換部以降の何れか1つの周波数変換部の局部発振周波数の変更量、または、何れか複数の周波数変換部の局部発振周波数の変更量の合計が、前記所定の変更量と同じになるように変更して、第2中間周波数以降の何れかの中間周波数が通常時の周波数から変更されないようにすることによって、復調処理を問題なく行える。
請求項5では、
前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を、所定の周波数差の少なくとも2つの高い方の局部発振周波数と低い方の局部発振周波数の何れか一方に切り換えることによって、第1局部発振周波数の周波数を所定の変更量だけ変更可能に構成したので、何れかの第1局部発振周波数を選択することによって、ビート音の発生を防止もしくは抑制することができる。
請求項6では、
前記第1中間周波部のフィルタの通過帯域は、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されないときの第1中間周波数も、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されたときの第1中間周波数も
通過させ得る通過帯域を有しているので、
前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更して、第1中間周波数が変更されたときでも、通過させることができる。この場合、必要に応じて、後段のフィルタなどで目的の周波数成分のみを選択的に通過させるとよい。
請求項7では、
前記第1中間周波部のフィルタの通過帯域は、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されないときの第1中間周波数を通過させる通過帯域と、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されたときの第1中間周波数を通過させる通過帯域と、
の何れか一方に切り換え可能に構成されているので、
前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更して、第1中間周波数が変更されたときは、連動して、第1中間周波数の通過帯域も切り換えるとよい。
請求項8では、
前記第1中間周波部のフィルタは、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されないときの第1中間周波数を通過させる通過帯域を有する通常時フィルタと、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されたときの第1中間周波数を通過させる通過帯域を有する変更時フィルタの2つのフィルタで構成され、
前記第1局部発振周波数の変更に対応して自動的に切り換え制御されるように構成されているので、
前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更して、第1中間周波数が変更されたとき、自動的に、第1中間周波数の通過帯域も連動して切り換えられるので、優れた操作性が得られる。
請求項9では、
目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差が所定の差以下になったことを検出して、前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更する制御手段を備えているので、
使用者が第1局部発振周波数の変更操作などを行う必要がなく、優れた操作性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る受信機の実施形態のブロック図である。
【図2】実施例1の受信機のブロック図である。
【図3】実施例2の受信機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1のブロック図で示したように、本発明に係る受信機1は、
受信した目的受信周波数を、高周波部2で増幅し、第1周波数変換部3で第1中間周波数に変換し、第1中間周波部4のフィルタ41を通過させて、復調部5で復調し、低周波部6で増幅してスピーカ61等から出力するように構成されたスーパーヘテロダイン方式の受信機である。
【0013】
制御部9は、前記受信機1が所定の機能を実行するように上記各部を制御する。
ビートキャンセルボタン91は、ビート音の発生を防止もしくは抑制する機能を動作させるためのボタンスイッチであり、
このビートキャンセルボタン91を押すと、前記制御部9は、前記第1周波数変換部3を制御して、第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更し得るように構成されている。
なお、前記第1中間周波部4のフィルタ41は、第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更された場合でも、変更されない場合でも、いずれの場合も前記第1周波数変換部3で周波数変換された第1中間周波数を通過し得るように構成されている。
【0014】
以上の構成の受信機1を用いて受信中に目的受信周波数を変更して、目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差が所定の差以下になったときに、
目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差の周波数のビート音が発生した場合には、前記第1周波数変換部3における第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更する。
【0015】
前記第1周波数変換部3の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更すると、第1周波数変換部3で周波数変換された第1中間周波数は変更されて、前記目的受信周波数との差は大きくなるか、もしくは小さくなる。
周波数差が大きくなると、目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差によるビート音の周波数は、前記第1局部発振周波数を変更する前の周波数より高くなり、目的受信周波数の信号の聞き取りを邪魔しなくなる場合がある。
周波数差が小さくなると、目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差によるビート音の周波数は、前記第1局部発振周波数を変更する前の周波数より低くなり、目的受信周波数の信号の聞き取りを邪魔しなくなる場合がある。
【0016】
このような第1局部発振周波数の変更により、目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差の周波数のビート音の周波数を、可聴周波数帯域の外に押し出して耳に邪魔にならないように除去することができる。
以上のように、発生するビート音の周波数を変えることができるので、目的受信周波数の信号を聞きやすい方の第1局部発振周波数を選択して受信することができるのである。
【0017】
なお、前記第1局部発振周波数を、通常時の周波数から変更時の周波数へ変更し得る場合、その変更量を可聴周波数帯域幅程度(20KHz)に設定することが好ましい。
【0018】
第1局部発振周波数を変更しない通常時の状態で受信中に、目的受信周波数を徐々に高くして変更した結果、目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差が所定の差以下になった場合には、目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差の周波数のビート音が発生して、目的受信周波数の信号を聞き取りにくくなる場合がある。
この場合には、第1局部発振周波数を所定の変更量(例えば20KHz)だけ高くなるように変更すると、第1中間周波数が前記所定の変更量だけ高くなり、目的受信周波数との差が広がりビート音の周波数は高くなるので、可聴周波数帯域から高い方へ外れるか、聞き取りにくい高い音となり、目的受信周波数の信号が聞き取りやすくなる。
【0019】
第1局部発振周波数を変更しない通常時の状態で受信中に、目的受信周波数を徐々に低くして変更した結果、目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差が所定の差以下になった場合には、目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差の周波数のビート音が発生して、目的受信周波数の信号を聞き取りにくくなる場合がある。
この場合には、第1局部発振周波数を所定の変更量(例えば20KHz)だけ高くなるように変更すると、第1中間周波数が前記所定の変更量だけ高くなり、目的受信周波数との差が狭くなりビート音の周波数は低くなるので、可聴周波数帯域から低い方へ外れるか、聞き取りにくい低い音となり、目的受信周波数の信号が聞き取りやすくなる。
【0020】
いずれの場合でも、ビート音が発生した場合には、第1局部発振周波数を通常時もしくは変更時の何れかに切り換えて、ビート音が邪魔にならない方を選択すればよい。
なお、AMモードなどのように、復調処理において振幅成分に基づいた復調処理を行うような受信モードの場合には、上述したように、第1中間周波数が通常の第1中間周波数から変更されていても問題なく復調できるが、
FMモードなどのように、復調処理において周波数の条件が発生する受信モードの場合には、上述したように、第1中間周波数が通常の第1中間周波数から変更されていると、正常な復調ができなくなる。
そのため、実施例1、2のように第1中間周波部と第2中間周波部とを備えたダブルスーパーヘテロダイン方式とすることによって、第1局部発振周波数と第1中間周波数の変更と同時に、第2局部発振周波数も同様に変更して、第2中間周波数が変更されないように構成し、復調部5で正常に復調できるように構成する。
【実施例1】
【0021】
図2のブロック図で示したように、本発明の実施例1に係る受信機10は、ダブルスーパーヘテロダイン方式の受信機であり、受信した目的受信周波数を、高周波部12で増幅し、第1周波数変換部13で第1中間周波数に変換し、第1中間周波部14のフィルタにて選択的に通過させて、第2周波数変換部17で第2中間周波数に変換し、第2中間周波部18のフィルタ181にて選択的に通過させて、図示は省略したが、図1の構成と同様に、復調し、低周波増幅してスピーカから出力するように構成されている。
なお、前記第1周波数部14は、中心周波数が所定の変更量だけ異なる2つの帯域フィルタ141、142と、制御部19からの制御信号に基づいて何れか一方のフィルタに切り換える切り換えスイッチ143とを備えている。
【0022】
前記受信機10は、ビートキャンセルボタン191を押すことによって、制御部19からの制御信号で、第1局部発振周波数を通常時の周波数から変更時の第1局部発振周波数に変更するとともに、第1中間周波部14のフィルタを、通常時のフィルタ141から変更時のフィルタ142に切り換え、さらに、第2局部発振周波数も通常時の周波数から変更時の第2局部発振周波数に変更するように構成されている。
【0023】
上記構成の受信機10において、
通常時の第1中間周波1stIFは266.70MHz、
第2中間周波2ndIFは19.65MHz、に設定されている。
このとき、目的受信周波数rFと、通常時の第1局部発振周波数1stLoとの関係は、
1stLo=rF+1stIF
となっている。
【0024】
次に、本発明によらない従来の受信機において、
目的受信周波数rFを266.68MHzから266.74MHzまで20KHzずつ順次変更する場合の第1局部発振周波数1stLoと、第1中間周波数1stIFと、第2局部発振周波数2ndLoと、第2中間周波数2ndIFとの具体的な周波数を、表1に例示して、ビート音の発生状況を説明する。
【0025】
【表1】

【0026】
表1に示されているように、
目的受信周波数は266.70MHz以外の場合には、第1局部発振周波数1stIF(=266.70MHz)とは大きく異なる周波数であるので、耳障りなビート音は発生しないので、何ら不都合はない。
しかし、表1の2番目のデータにあるように、266.70MHzの信号を受信しようとして目的受信周波数rFを266.70MHzに設定すると、第1中間周波数1stIFも同じく266.70MHzであるため、両周波数は同じ周波数となる。しかし、両周波数には、実際には若干の相対的な誤差があるため、その誤差が例えば500Hzであると、その周波数のビート音が発生する。この例のように500Hzのビート音は、可聴周波数帯域に含まれるので、目的受信周波数の信号を受信するときに耳障りな音となって目的受信周波数の信号が聞き取り難くなる。
なお、前記従来の受信機では、第2中間周波部の第2中間周波数が19.65MHzとなるように第2周波数変換部の第2局部発振周波数が設定されている。
【0027】
次に、本発明に係る受信機において、
目的受信周波数rFを266.68MHzから266.74MHzまで20KHzずつ順次変更する場合の第1局部発振周波数1stLoと、第1中間周波数1stIFと、第2局部発振周波数2ndLoと、第2中間周波数2ndIFとの具体的な周波数を、表2に例示して、本発明によるビート音の除去作用を説明する。
【0028】
【表2】

【0029】
表2に示されているように、
目的受信周波数は266.70MHz以外の場合には、第1局部発振周波数1stIF(=266.70MHz)とは大きく異なる周波数であるので、従来の受信機の場合と同様に、耳障りなビート音は発生しないので、何ら不都合はない。
しかし、表1の2番目のデータにあるように、266.70MHzの信号を受信しようとして目的受信周波数rFを266.70MHzに設定すると、第1中間周波数1stIFも同じく266.70MHzであるため、従来の受信機と同様にビート音が発生してしまう。
【0030】
そこで、本発明に係る受信機では、第1局部発振周波数1stLoと極めて近い周波数を受信する場合、目的受信周波数rFと第1局部発振周波数1stLoとの差が所定の周波数差(例えば15KHz)以下の場合には耳障りなビート音が発生しやすいので、ビートキャンセルボタン191を押すことによって、第1中間周波数を通常時の第1中間周波数1stIFより所定の変更量dIFだけ高い変更時の第1中間周波数1stIFSiftに変更できるように構成されている。すなわち、ビートキャンセルボタン191を押すことによって、第1局部発振周波数を、通常時の第1局部発振周波数1stLoより所定の変更量dIFだけ高い変更時の第1局部発振周波数1stLoSiftに変更する。
このとき、以下の関係となっている。
1stLoSift=rF+1stIF+dIF
=rF+1stIFSift
【0031】
ビートキャンセルボタン191を押すことによって、制御部19から第1周波数変換部へ信号が伝達され、第1周波数変換部においては、第1局部発振周波数を、通常時の第1局部発振周波数1stLoより所定の変更量dIFだけ高い変更時の第1局部発振周波数1stLoSiftに変更するように構成されている。
なお、第1中間周波数がこのように通常時の周波数と異なる周波数に変更されると、通常時の中間周波用のフィルタの通過帯域から外れてしまうので、第1中間周波部のフィルタを通常時のフィルタ141から変更時のフィルタ142に切り換える。
このフィルタの切り換えは、制御部19からの制御信号によって前記切り換えスイッチ143を切り換えることによって、ビートキャンセルボタン191の操作と連動して自動的に行われる。
【0032】
以上のようにして、変更時の第1中間周波数1stIFSiftに切り換えることによって、変更時の第1中間周波数と目的受信周波数との周波数差が大きくなるので、第1中間周波部での耳障りなビート音の発生は防止もしくは抑制することができるのである。
表2に基づいた具体例では、
目的受信周波数rFを266.70MHzに設定しても、
第1中間周波数は変更時の第1中間周波数1stIFSift=266.72MHzになるため、ここでの従来の受信機のような耳障りなビート音は発生しない。
【0033】
目的受信周波数を更に変更して266.70MHz以外の周波数に設定する場合には、
前記ビートキャンセルボタン191を解除すると、
表2の3行目以降のデータのように、前記変更時の第1局部発振周波数を前記通常時の第1局部発振周波数に戻すことにより、第1中間周波数は、通常時の第1中間周波数(=266.70MHz)に復帰する。
これらの場合も、当然、目的受信周波数と第1中間周波数とが近づくことによる耳障りなビート音は発生しない。
【0034】
次に、ビート音の発生とは直接には関係しないが、第2周波数変換部17と第2中間周波部18について説明する。
第2周波数変換部17においては、第1中間周波数が、通常時の第1中間周波数1stIFであっても、変更時の第1中間周波数1stIFSiftに変更された場合でも、第2中間周波数2ndIF(=19.65MHz)になるように、
第2局部発振周波数が変更可能に構成されている。
すなわち、第1局部発振周波数が、通常時の第1局部発振周波数1stLoから変更時の第1局部発振周波数1stLoSiftに変更された場合には、第2局部発振周波数も、通常時の第2局部発振周波数2ndLoから変更時の第2局部発振周波数2ndLoSiftへ変更されるように、制御部19によって連動制御される。
このような第1周波数変換部と第2周波数変換部の連動制御によって、第2中間周波数は、通常時の第2中間周波数2ndIFのままとなる。
【0035】
表2を参照しながら具体的な数値例で説明すると、例えば、目的受信周波数が第1中間周波数と異なって266.68MHzの場合には、第1局部発振周波数も、第1中間周波数も、第2局部発振周波数も通常時の周波数のままで動作させるので、第1局部発振周波数=533.38MHz、第1中間周波数=266.70MHz、第2局部発振周波数=247.05MHz、第2中間周波数=19.65MHzとなる。
しかし、目的受信周波数が第1中間周波数と同じ266.70MHzの場合には、ビート音の発生を防ぐもしくは抑制するために、ビートキャンセルボタン191を押すことによって、第1局部発振周波数も、第1中間周波数も、第2局部発振周波数も通常時の周波数から変更時の周波数に変更される。すなわち、第1局部発振周波数=533.42MHz、第1中間周波数=266.72MHz、第2局部発振周波数=247.07MHzとなり、第2中間周波数=19.65MHzとなる。
【0036】
目的受信周波数が、再び第1中間周波数と異なる周波数となると、ビートキャンセルボタン191を解除することによって、第1局部発振周波数も、第1中間周波数も、第2局部発振周波数も通常時の周波数に戻って動作させるので、第1中間周波数=266.70MHz、第2局部発振周波数=247.05MHz、第2中間周波数=19.65MHzとなる。
【実施例2】
【0037】
図3に示した実施例2の受信機20は、第1中間周波数と同じ周波数の目的受信周波数を受信する場合に、第1局部発振周波数を変更する点は実施例1と同様であるが、第1中間周波用のフィルタを切り換えずに、その通過帯域を所定量だけシフトする点が実施例1とは異なる。
実施例2の受信機20は、図3に示したように、
ダブルスーパーヘテロダイン方式の受信機であり、受信した目的受信周波数を、高周波部22で増幅し、第1周波数変換部23で第1中間周波数に変換し、第1中間周波部24のフィルタ241にて選択的に通過させて、第2周波数変換部27で第2中間周波数に変換し、第2中間周波部28のフィルタ281にて選択的に通過させて、図示は省略したが、図1の構成と同様に、復調し、低周波増幅してスピーカから出力するように構成されている。
【0038】
前記受信機20は、ビートキャンセルボタン291を押すことによって、制御部29からの制御信号で、第1局部発振周波数を通常時の周波数から変更時の第1局部発振周波数に変更するとともに、第1中間周波部24のフィルタ241の中心周波数を、通常時の周波数から変更時の周波数へシフトし、さらに、第2局部発振周波数も通常時の周波数から変更時の第2局部発振周波数に変更するように構成されている。
【0039】
この受信機20では、中間周波用のフィルタ241は1つであり、第1中間周波数と同じ周波数の目的受信周波数を受信する場合には、ビートキャンセルボタン291を押すことによって、制御部29からの制御信号によって、実施例1と同様に、第1局部発振周波数を通常時の周波数1stLoから変更時の周波数1stLoSiftに、所定の変更量だけ変更する。そして、第1中間周波用のフィルタを切り換える代わりに、第1中間周波用のフィルタの通常時の通過帯域の中心周波数1stIFを前記変更量と同じ周波数だけシフトさせた変更時の第1中間周波数1stIFSiftとする。
【0040】
具体的な例では、実施例1と同様に、表2の1番、3番、4番のように、目的受信周波数が第1中間周波数と異なる場合には、第1局部発振周波数も、第1中間周波数も、第2局部発振周波数も通常時の周波数とする。
しかし、表2の2番の例のように、目的受信周波数rFが第1中間周波数1stIFと同じ周波数266.70MHzになる場合には、通常時の第1中間周波数1stIF=266.70MHzと、通常時の第1局部発振周波数1stLo=533.40MHzとに代えて、第1中間周波数を、通常時から所定の変更量だけ変更された変更時の第1中間周波数1stIF=266.72MHzとするために、第1局部発振周波数も前記所定の変更量だけ変更された変更時の第1局部発振周波数1stLoSift=533.42MHzとする。このとき、第1中間周波用のフィルタの通過帯域の中心周波数を前記変更量と同じ周波数だけシフトさせた変更時の第1中間周波数1stIFSift=266.72MHzとする。
【0041】
このように、通常時の第1中間周波数を同じ周波数の目的受信周波数を受信する場合には、第1中間周波数を変更時の第1中間周波数に変更して受信するので、ビート音の発生は防止もしくは抑制されるのである。
【0042】
以上の説明では、使用者がビートキャンセルボタンを操作するように構成した例を説明したが、目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差が所定の差以下になったことを検出して、前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ自動的に変更する制御手段を備えてもよい。
この場合、制御部9、19、29は、使用者によって設定された目的受信周波数と、受信機1、10、20に予め設定されている第1中間周波数とを比較して、目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差が所定の差以下になったことを検出すると、第1局部発振周波数を通常時の第1局部発振周波数1stLoから所定の変更量だけシフトさせた変更時の第1局部発振周波数1stLoSiftとするように制御する。
この時、第1局部発振周波数の変更と共に、第1中間周波用のフィルタの通過帯域の中心周波数を通常時の中心周波数1stIFから前記変更量と同じ周波数だけ変更させた変更時の第1中間周波数1stIFSiftとするように制御する。
また、FMモードなどのように、復調処理において周波数条件が発生する受信モードの場合には、第1局部発振周波数と第1中間周波数の変更と共に、第2局部発振周波数も前記変更量と同じ周波数だけ変更させる。
制御部9、19、29は、受信機1、10、20の動作を制御するCPUなどにより構成することができる。
このように構成することによって、ビートキャンセルボタンを操作する手間が省けるという効果が得られる。
【0043】
以上の説明においては、所定の変更量を20KHzとし、通常時の周波数より20KHz高い周波数を変更時の周波数としたが、前記変更量は20KHzに限定されるものではないことは当然である。
要するに、第1中間周波数と同じ周波数の信号を目的受信周波数として受信する場合には、ビート音の発生を防ぐために、第1中間周波数を通常時とは異なる周波数に変更し、そのためには第1局部発振周波数を通常時とは異なる周波数に変更し、第1中間周波部におけるフィルタの通過帯域を前記変更量だけ異なるフィルタに切り換える(実施例1)か、もしくは、前記変更量だけシフトする(実施例2)などの構成を備えることが必要となる。ダブルスーパーヘテロダイン方式の場合には、第1中間周波数が変更されると、第2局部発振周波数が通常時のままであると、第2中間周波数が通常時の周波数と異なるものとなるので、第1中間周波数の変更に連動して第2中間周波数も変更するか、もしくは実施例2のように、第2局部発振周波数を変更することによって、第2中間周波数が変わらないように構成することが必要となる。
なお、第1中間周波数を変更する量(変更量)は、目的受信周波数と第1中間周波数との差が、可聴周波数帯域幅以上の差となるように設定することが望ましい。
【0044】
FMモードなどのように、復調処理において周波数条件が発生する受信モードの場合として、実施例1および実施例2では、ダブルスーパーヘテロダイン方式の受信機について説明したが、ダブルスーパーヘテロダイン方式に限らず、トリプルスーパーヘテロダイン方式など、少なくとも2つの周波数変換部を備え、周波数変換を2回以上行う方式に適用することも可能である。この場合、第2周波数変換部以降のいずれか1つもしくは複数の周波数変換部において、通常時の中間周波数となるように構成すれば、復調処理が問題なく行える。
つまり、第1中間周波数に近い周波数の目的受信周波数を受信するときには、第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更すると共に、第2周波数変換部以降の何れか1つの周波数変換部の局部発振周波数の変更量、または、何れか複数の周波数変換部の局部発振周波数の変更量の合計が、前記所定の変更量と同じになるように変更することによって、第2中間周波数以降の何れかの中間周波数が通常時の周波数から変更されないように構成すれば良いのである。
【符号の説明】
【0045】
1 受信機
2 高周波部
3 第1周波数変換部
4 第1中間周波部
41 フィルタ
5 復調部
6 低周波部
61 スピーカ
9 制御部
91 ビートキャンセルボタン
【0046】
10 受信機
12 高周波部
13 第1周波数変換部
14 第1中間周波部
141 フィルタ
142 フィルタ
143 切り換えスイッチ
17 第2周波数変換部
18 第2中間周波部
181 フィルタ
19 制御部
191 ビートキャンセルボタン
【0047】
20 受信機
22 高周波部
23 第1周波数変換部
24 第1中間周波部
241 フィルタ
27 第2周波数変換部
28 第2中間周波部
281 フィルタ
29 制御部
291 ビートキャンセルボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した目的受信周波数を、第1周波数変換部で第1中間周波数に変換し、第1中間周波部のフィルタを通過させて処理するように構成されたスーパーヘテロダイン方式の受信機において、目的受信周波数が第1中間周波数に近いときに発生するビート音を除去するビート音の除去方法であって、
第1中間周波数に近い周波数の目的受信周波数を受信するときには、
前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更することによって、第1中間周波数の方を前記目的受信周波数から離れた周波数に変更するとともに、
前記第1中間周波部のフィルタの通過帯域を、周波数変換された第1中間周波数を通過し得るように変更することを特徴とするビート音の除去方法。
【請求項2】
少なくとも2つの周波数変換部と前記周波数変換部で変換された中間周波数を通過させるフィルタを備え、受信した目的受信周波数を、前記周波数変換部で中間周波数に周波数変換した後、前記フィルタを通過させ、前記少なくとも2つの周波数変換部と前記フィルタの全てを通して処理するように構成されたヘテロダイン方式の受信機において、目的受信周波数が第1中間周波数に近いときに発生するビート音を除去するビート音の除去方法であって、
第1中間周波数に近い周波数の目的受信周波数を受信するときには、
第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更することによって、第1中間周波数の方を前記目的受信周波数から離れた周波数に変更するとともに、
第1中間周波部のフィルタの通過帯域を、周波数変換された第1中間周波数を通過し得るように変更し、
第2周波数変換部以降の何れか1つの周波数変換部の局部発振周波数の変更量、または、何れか複数の周波数変換部の局部発振周波数の変更量の合計が、前記所定の変更量と同じになるように変更することによって、第2中間周波数以降の何れかの中間周波数が通常時の周波数から変更されないように構成したことを特徴とするビート音の除去方法。
【請求項3】
受信した目的受信周波数を、第1周波数変換部で第1中間周波数に変換し、第1中間周波部のフィルタを通過させて処理するように構成されたスーパーヘテロダイン方式の受信機において、
目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差が所定の差以下になったときに、前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更し得るように構成するとともに、
前記第1中間周波部のフィルタは、周波数変換された第1中間周波数を通過し得るように構成することによって、
目的受信周波数が第1中間周波数に近いときに発生するビート音を除去するように構成したことを特徴とする受信機。
【請求項4】
少なくとも2つの周波数変換部と前記周波数変換部で変換された中間周波数を通過させるフィルタを備え、受信した目的受信周波数を、前記周波数変換部で中間周波数に周波数変換した後、前記フィルタを通過させ、前記少なくとも2つの周波数変換部と前記フィルタの全てを通して処理するように構成されたヘテロダイン方式の受信機において、
目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差が所定の差以下になったときに、前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更し得るように構成し、
前記第1中間周波部のフィルタは、周波数変換された第1中間周波数を通過し得るように構成し、
第2周波数変換部以降の何れか1つの周波数変換部の局部発振周波数の変更量、または、何れか複数の周波数変換部の局部発振周波数の変更量の合計が、前記所定の変更量と同じになるように変更し得るように構成することによって、
目的受信周波数が第1中間周波数に近いときに発生するビート音を除去するように構成したことを特徴とする受信機。
【請求項5】
前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を、所定の周波数差の少なくとも2つの高い方の局部発振周波数と低い方の局部発振周波数の何れか一方に切り換えることによって、第1局部発振周波数の周波数を所定の変更量だけ変更し得るように構成したことを特徴とする請求項3または4の何れか1項に記載の受信機。
【請求項6】
前記第1中間周波部のフィルタの通過帯域は、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されないときの第1中間周波数も、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されたときの第1中間周波数も、
通過させ得る通過帯域を有していることを特徴とする請求項3または4の何れか1項に記載の受信機。
【請求項7】
前記第1中間周波部のフィルタの通過帯域は、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されないときの第1中間周波数を通過させる通過帯域と、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されたときの第1中間周波数を通過させる通過帯域と、
の何れか一方に切り換え可能に構成されていることを特徴とする請求項3または4の何れか1項に記載の受信機。
【請求項8】
前記第1中間周波部のフィルタは、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されないときの第1中間周波数を通過させる通過帯域を有する通常時フィルタと、
前記第1局部発振周波数が所定の変更量だけ変更されたときの第1中間周波数を通過させる通過帯域を有する変更時フィルタの2つのフィルタで構成され、
前記2つのフィルタは切り換え可能に構成されていることを特徴とする請求項3または4の何れか1項に記載の受信機。
【請求項9】
目的受信周波数と第1中間周波数との周波数差が所定の差以下になったことを検出して、前記第1周波数変換部の第1局部発振周波数を所定の変更量だけ変更する制御手段を備えたことを特徴とする請求項3乃至8の何れか1項に記載の受信機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−135432(P2011−135432A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294270(P2009−294270)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】