説明

ピッキングシステム

【課題】効率良くピッキング作業ができるピッキングシステムを提供する。
【解決手段】ピッキングシステム1は複数のゾーンにて構成した保管棚3を備え、この保管棚3は、複数の保管部2を有する。保管部2からピッキングした物品Wを投入する集品容器Aを保管棚3に沿って搬送する第1集品容器搬送手段6および第2集品容器搬送手段7を設ける。ピッキングシステム1は、第1集品容器搬送手段6および第2集品容器搬送手段7をそれぞれ個別に制御する制御手段36を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率良くピッキング作業ができるピッキングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載されたピッキングシステムが知られている。
【0003】
この従来のピッキングシステムは、物品が保管される複数の保管部を有する保管棚と、保管部からピッキングされた物品が収容される集品容器を保管棚に沿って搬送する第1集品容器搬送手段と、この第1集品容器搬送手段と平行に配設され保管部からピッキングされた物品が収容される集品容器を保管棚に沿って搬送する第2集品容器搬送手段と、第1集品容器搬送手段および第2集品容器搬送手段を同期駆動するように一斉に制御する制御手段とを備えている。
【特許文献1】特開2002−356209号公報(図10等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のピッキングシステムのように、第1集品容器搬送手段および第2集品容器搬送手段、つまり2列の集品容器搬送手段が同期駆動する構成では、一の作業者のピッキング作業が遅れると、その影響により2列の集品容器搬送手段が停止待機状態になるため、他の作業者が手待ち状態になり、ピッキング作業の効率が落ちるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、効率良くピッキング作業ができるピッキングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のピッキングシステムは、物品が保管される複数の保管部を有する保管棚と、前記保管部からピッキングされた物品が収容される集品容器を前記保管棚に沿って搬送する第1集品容器搬送手段と、この第1集品容器搬送手段と平行に配設され、前記保管部からピッキングされた物品が収容される集品容器を前記保管棚に沿って搬送する第2集品容器搬送手段と、前記第1集品容器搬送手段および前記第2集品容器搬送手段をそれぞれ個別に制御する制御手段とを備えるものである。
【0007】
請求項2記載のピッキングシステムは、請求項1記載のピッキングシステムにおいて、第1集品容器搬送手段は、水平状の搬送面を有し、第2集品容器搬送手段は、前記第1集品容器搬送手段のうち保管棚と対向する側とは反対側の部分に近接した状態に配設され、前記第1集品容器搬送手段側に向って下り傾斜状の搬送面を有するものである。
【0008】
請求項3記載のピッキングシステムは、請求項2記載のピッキングシステムにおいて、物品は、保管容器に複数収容された状態で保管部に保管され、前記各保管部に対応して位置する複数の保管側指示手段と、第1集品容器搬送手段上の各集品容器に対応して位置する複数の第1集品容器側指示手段と、第2集品容器搬送手段上の各集品容器に対応して位置する複数の第2集品容器側指示手段と、前記第2集品容器搬送手段の上方にこの第2集品容器搬送手段と平行に配設され、空の保管容器を保管棚に沿って搬送する保管容器搬送手段とを備え、前記第1集品容器側指示手段は、前記第1集品容器搬送手段のうち前記保管棚と対向する側の部分に並設され、前記第2集品容器側指示手段は、前記保管容器搬送手段のうち前記保管棚と対向する側の部分に並設されているものである。
【0009】
請求項4記載のピッキングシステムは、請求項1または2記載のピッキングシステムにおいて、第1集品容器搬送手段上の各集品容器に対応して位置する複数の第1集品容器側指示手段と、第2集品容器搬送手段上の各集品容器に対応して位置する複数の第2集品容器側指示手段と、前記第1集品容器搬送手段上の各集品容器に対応して位置し、前記第1集品容器側指示手段にて指示された集品容器に物品が収容されたか否かを検知する複数の第1検知手段と、前記第2集品容器搬送手段上の各集品容器に対応して位置し、前記第2集品容器側指示手段にて指示された集品容器に物品が収容されたか否かを検知する複数の第2検知手段とを備えるものである。
【0010】
請求項5記載のピッキングシステムは、請求項1ないし4のいずれか一記載のピッキングシステムにおいて、保管部からピッキングする物品のピッキング数量を指示する数量指示手段と、この数量指示手段にて指示されたピッキング数量の物品が集品容器に収容された後、作業者によってオンされるスイッチ手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、第1集品容器搬送手段および第2集品容器搬送手段がそれぞれ個別に制御されるため、第1集品容器搬送手段および第2集品容器搬送手段のいずれか一方が停止待機状態になっても、いずれか他方に関してはピッキング作業が可能となり、効率良くピッキング作業ができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、第1集品容器搬送手段は水平状の搬送面を有し、第2集品容器搬送手段は第1集品容器搬送手段のうち保管棚と対向する側とは反対側の部分に近接した状態に配設され第1集品容器搬送手段側に向って下り傾斜状の搬送面を有するため、例えば第1集品容器搬送手段および第2集品容器搬送手段が高さの異なる水平状の搬送面を有する構成等に比べて、ピッキングした物品を集品容器に収容しやすく、より一層効率良くピッキング作業ができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、作業者は第1集品容器側指示手段および第2集品容器側指示手段を見やすく、集品容器への収容ミスを防止できる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、指示された集品容器に物品が収容されたか否かを検知する第1検知手段および第2検知手段を備えるため、集品容器への収容ミスをより一層効果的に防止できる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、数量指示手段にて指示されたピッキング数量の物品を集品容器に収容した後、作業者にスイッチ手段をオンさせることにより、例えば1個ピッキング作業と作業形態を分けることで複数個ピッキング作業であることを意識付けできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のピッキングシステムの一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1ないし図4において、1は集品システムであるピッキングシステムで、このピッキングシステム1は、商品である物品Wが保管容器Bに複数収容された状態で保管される複数の保管部2を有する水平方向長手状の保管棚3を備えている。
【0018】
また、ピッキングシステム1は、作業者Xのピッキング作業により保管部2からオーダ情報に基づいてピッキングされた物品Wが投入収容される集品容器Aを保管棚3の長手方向に沿って搬送する第1集品容器搬送手段(第1集品ライン)6と、この第1集品容器搬送手段6と平行に配設され作業者Xのピッキング作業により保管部2からオーダ情報に基づいてピッキングされた物品Wが投入収容される集品容器Aを保管棚3の長手方向に沿って搬送する第2集品容器搬送手段(第2集品ライン)7と、この第2集品容器搬送手段7の上方にこの第2集品容器搬送手段7と平行に配設され空の保管容器Bを保管棚3の長手方向に沿って搬送する保管容器搬送手段8とを備えている。
【0019】
集品容器Aは、例えば保冷容器である出荷容器等で、上面が開口した外形直方体状のものである。保管容器Bは、例えば外形直方体状の段ボール箱等である。
【0020】
保管棚3は複数、例えば13のゾーン(ピッキング領域)にて構成されており、各ゾーンは複数列複数段、例えば5列3段の保管部2にて構成されている。なお、図4では各ゾーンが4列3段の保管部2にて構成された例が示されている。そして、保管棚3と第1集品容器搬送手段6との間の作業者用スペース10には作業者Xが各ゾーンに対応して配置され、1人の作業者Xが1ゾーン(例えば5列3段或いは4列3段の保管部)を担当する。
【0021】
保管棚3は、例えば流動棚等で、枠体11を有し、この枠体11には、物品Wが保管容器Bに複数収容された状態で保管される複数の保管部2が設けられている。各保管部2は、枠体11の後側から前側に向って下り傾斜状に間隔をおいて並設された複数本のフリーローラ12と、これらフリーローラ12上に載置された先頭の保管容器Bと当接するストッパ13とを有している。
【0022】
そして、作業者Xは、先頭の保管容器Bが空になると、空の保管容器Bをフリーローラ12上から保管容器搬送手段8の搬送面8a上に移す。先頭の保管容器Bがフリーローラ12上から取り出されると、後続の保管容器Bはストッパ13に当接するまで自重でフリーローラ12上を移動する。フリーローラ12上への保管容器Bの補充は枠体11の後側から行われる。
【0023】
また、保管棚3の枠体11の前面には、各保管部2に対応して位置し、作業者Xに対して次に取り出すべきつまりピッキングすべき物品Wが保管されている保管部2を指示する複数の保管側指示手段15が設けられている。すなわち各保管部2ごとに保管側指示手段15が設けられている。各保管側指示手段15は、例えば表示器であるLEDランプ等にて構成されている。
【0024】
第1集品容器搬送手段6は、例えば搬送方向寸法である長手方向寸法が保管棚3の長手方向寸法と略同じ1本の第1コンベヤ21にて構成されている。第1コンベヤ21は、コンベヤフレーム22を有し、このコンベヤフレーム22には複数本の搬送ローラ23が回転可能に設けられている。また、第1コンベヤ21は、例えばモータ等の単一駆動源24を有し、この単一駆動源24からの動力で複数本の搬送ローラ23が一斉に同期駆動回転して複数の集品容器Aを搬送する。これら複数本の搬送ローラ23にて水平状の搬送面6aが構成されている。
【0025】
また、第1コンベヤ21のコンベヤフレーム22のうち保管棚3と対向する側の面には、図5に示すように、第1集品容器搬送手段6の搬送面6a上の各集品容器A、つまり第1コンベヤ21の停止時に第1コンベヤ21の搬送ローラ23上の各集品容器Aに対応して位置し、作業者Xに対して保管部2からピッキングした物品Wを投入収容すべき集品容器Aを指示する複数の第1集品容器側指示手段26が設けられている。すなわち搬送面6a上の各集品容器Aごとに第1集品容器側指示手段26が設けられている。各第1集品容器側指示手段26は、保管側指示手段15と同様、例えば表示器であるLEDランプ等にて構成されている。
【0026】
さらに、第1コンベヤ21のコンベヤフレーム22のうち保管棚3と対向する側の面には、図5に示されるように、ピッキングした物品Wを集品容器Aに投入収容した後に、作業者Xが押動操作する完了スイッチ手段30が各ゾーンごとに設けられている。完了スイッチ手段30は、例えば長手方向寸法が1つのゾーンの長手方向寸法と略同じテープスイッチである。
【0027】
第2集品容器搬送手段7は、第1集品容器搬送手段6のうち、保管棚3と対向する側とは反対側の部分に近接した状態に配設されている。すなわち第1集品容器搬送手段6および第2集品容器搬送手段7は、互いに近接して平行に配設されている。そして、第2集品容器搬送手段7は、第1集品容器搬送手段6側に向って下り傾斜状の搬送面7aと、この搬送面7aと直交して位置し搬送面7a上の集品容器Aの側面を支持して集品容器Aを搬送する補助用の搬送面7bとを有している。搬送面7aの幅方向一端である長手方向に沿った下端が、搬送面6aと略同じ高さに位置する。
【0028】
なお、図4および図5に示されるように、第2集品容器搬送手段7は、補助用の搬送面7bを有しない構成でもよい。
【0029】
そして、第2集品容器搬送手段7は、例えば搬送方向寸法である長手方向寸法が保管棚3の長手方向寸法と略同じ1本の第2コンベヤ31にて構成されている。第2コンベヤ31は、コンベヤフレーム32を有し、このコンベヤフレーム32には複数本の搬送ローラ33が回転可能に設けられている。また、第2コンベヤ31は、例えばモータ等の単一駆動源34を有し、この単一駆動源34からの動力で複数本の搬送ローラ33が一斉に同期駆動回転して複数の集品容器Aを補助用の搬送面7bとともに搬送する。これら複数本の搬送ローラ33にて傾斜状の搬送面7aが構成されている。なお、補助用の搬送面7bは、例えばコンベヤフレーム32から上方に向って突出する突出フレーム35に回転可能に設けられたフリーローラ(図示せず)にて構成されている。
【0030】
また、図2に示されるように、第1集品容器搬送手段6である第1コンベヤ21の単一駆動源24および第2集品容器搬送手段7である第2コンベヤ31の単一駆動源34は制御手段36に接続されており、この制御手段36により第1コンベヤ21および第2コンベヤ31がそれぞれ個別に制御される。つまり第1コンベヤ21の駆動および停止と第2コンベヤ31の駆動および停止とがそれぞれ個別に制御される。
【0031】
保管容器搬送手段8は、例えば搬送方向寸法である長手方向寸法が保管棚3の長手方向寸法より長いコンベヤ41にて構成されている。このコンベヤ41は、コンベヤフレーム42を有し、このコンベヤフレーム42には空の保管容器Bを搬送する複数本の搬送ローラ43が回転可能に設けられている。これら複数本の搬送ローラ43にて水平状の搬送面8aが構成されている。また、コンベヤフレーム42の両側から物品落下防止用の突出板44が上方に向って突出している。
【0032】
また、コンベヤ41のコンベヤフレーム42のうち保管棚3と対向する側の面には、第2集品容器搬送手段7の搬送面7a上の各集品容器A、つまり第2コンベヤ31の停止時に第2コンベヤ31の搬送ローラ33上の各集品容器Aに対応して位置し、作業者Xに対して保管部2からピッキングした物品Wを投入収容すべき集品容器Aを指示する複数の第2集品容器側指示手段46が設けられている。すなわち搬送面7a,7b上の各集品容器Aごとに第2集品容器側指示手段46が設けられている。第2集品容器側指示手段46は、搬送面7a,7b上の集品容器Aの真上に位置し、かつ作業者Xの目線の高さ付近に位置する。各第2集品容器側指示手段46は、保管側指示手段15と同様、例えば表示器であるLEDランプ等にて構成されている。
【0033】
また一方、ピッキングシステム1は、図1に示されるように、空の集品容器(集品箱)Aを搬送する容器供給用搬送手段51を備えている。この容器供給用搬送手段51の搬送終端部には、第1分岐搬送手段53の搬送始端部および第2分岐搬送手段54の搬送始端部が接続され、この接続部分には空の集品容器Aを振り分ける振分手段(図示せず)が設けられている。第1分岐搬送手段53の搬送終端部は第1集品容器搬送手段6の搬送始端部に接続され、第2分岐搬送手段54の搬送終端部は第2集品容器搬送手段7の搬送始端部に接続されている。
【0034】
また、第1分岐搬送手段53および第2分岐搬送手段54のそれぞれの搬送途中には、集品容器Aに内袋を掛ける自動袋掛け機56、集品容器Aにラベルを貼り付ける複数台、例えば2台のオートラベラー57、手作業により集品容器Aにラベルを貼り付けるための手貼りラベラー(図示せず)、集品容器Aに貼り付けられたラベルのバーコードを読み取るバーコードリーダー58等が設けられている。
【0035】
なお、2台のオートラベラー57のうちの一方のオートラベラー57は出荷先情報を有するラベルとオーダ情報(商品注文情報)を有するラベルとの両方を貼り付けるものであり、他方のオートラベラー57はオーダ情報を有するラベルのみを貼り付けるものである。また、バーコードリーダー58は、ラベルが集品容器Aに貼り付けられているか否かをチェックするためのものである。
【0036】
さらに、第1集品容器搬送手段6の搬送終端部には、物品Wが収容された集品容器Aを次工程に向けて搬送する第1搬送手段61の搬送始端部が接続されている。第2集品容器搬送手段7の搬送終端部には、物品Wが収容された集品容器Aを次工程に向けて搬送する第2搬送手段62の搬送始端部が接続されている。
【0037】
なお、制御手段36には、保管側指示手段15、第1集品容器側指示手段26、第2集品容器側指示手段46および完了スイッチ手段30等が接続されており、制御手段36は、完了スイッチ手段30からの信号およびオーダ情報等に基づいて各指示手段および各搬送手段等を制御する。
【0038】
次に、ピッキングシステム1の作用等を説明する。
【0039】
空の集品容器Aが容器供給用搬送手段51に投入されると、集品容器Aは、容器供給用搬送手段51にて搬送され、振分手段にて第1分岐搬送手段53および第2分岐搬送手段54に分配される。
【0040】
第1分岐搬送手段53および第2分岐搬送手段54の各搬送途中で、集品容器Aには内袋が掛けられるとともにラベルが貼り付けられる。
【0041】
その後、第1分岐搬送手段53および第2分岐搬送手段54の各搬送終端の付近では集品容器Aが複数個、例えば5個に編成され、編成後の集品容器Aが第1集品容器搬送手段6である第1コンベヤ21と第2集品容器搬送手段7である第2コンベヤ31とに順次搬送供給される。
【0042】
そして、第1集品容器搬送手段6および第2集品容器搬送手段7のうち、集品容器Aが所定位置に先に到着した一方、例えば第1集品容器搬送手段6に関して、作業者Xは指示手段15,26の指示に従ってピッキング作業を開始する。なお、集品容器Aの位置は、図示しない光電センサ或いはエンコーダー等により検出される。
【0043】
すなわち例えば各ゾーンの作業者Xは、自分が担当するゾーンにおける複数の保管側指示手段15中、唯一点灯している保管側指示手段15に対応する1つの保管部2から物品Wを1個だけピッキングし、そのピッキングした1個の物品Wを複数の第1集品容器側指示手段26中、唯一点灯している第1集品容器側指示手段26に対応する1つの集品容器Aに投入し、完了スイッチ手段30を押動操作する。完了スイッチ手段30の操作により、点灯していた指示手段15,26が消え、次の指示手段15,26が点灯し、作業者Xは上記動作を繰り返す。
【0044】
そして、第1集品容器搬送手段6に関して全ゾーンのピッキング作業が完了すると、第1集品容器搬送手段6が駆動し、集品容器Aが搬送される。
【0045】
作業者Xは、第1集品容器搬送手段6にて集品容器Aが搬送されている間に、他方の第2集品容器搬送手段7に関して、指示手段15,46の指示に従って同様のピッキング作業を開始する。すなわち例えば制御手段36は、第1集品容器搬送手段6の駆動時に、指示手段15,46を制御して指示手段15,46に指示を行わせる。
【0046】
なお、同一の保管部2から物品Wを複数個ピッキングする場合、1個目ピッキング時には指示手段15,26,46が例えば赤色に点灯し、2個目ピッキング時には指示手段15,26,46が例えば緑色に点灯する等、指示手段15,26,46の点灯色が交互に変更する構成としてもよい。
【0047】
また、ピッキング数量を指示する数量指示手段71を設け、1個のみのピッキング時(1個ピッキング時)には指示手段15,26,46が例えば赤色に点灯し、複数個ピッキング時には数量指示手段71が数量を表示するとともに指示手段15,26,46が例えば赤色に点滅或いは緑色に点灯する構成でもよい(図6参照)。
【0048】
そして、ピッキングシステム1によれば、第1集品容器搬送手段6および第2集品容器搬送手段7がそれぞれ個別に制御されて各々が単独の集品ラインとして運用されるため、例えば第1集品容器搬送手段6および第2集品容器搬送手段7のいずれか一方が停止待機状態になってもいずれか他方に関してはピッキング作業が可能となり、また例えばいずれか一方による集品容器Aの搬送時にいずれか他方に関してはピッキング作業が可能となり、作業者Xの手待ち時間を削減でき、よって、作業者Xは効率良くピッキング作業ができ、ピッキング効率を向上できる。
【0049】
また、第1集品容器搬送手段6は水平状の搬送面6aを有し、第2集品容器搬送手段7は第1集品容器搬送手段6側に向って下り傾斜状の搬送面7aを有する構成であるから、ピッキングした物品Wを集品容器Aに投入収容しやすく、より一層効率良くピッキング作業ができる。
【0050】
さらに、第1集品容器側指示手段26は第1集品容器搬送手段6のコンベヤフレーム22の保管棚3側の側面に第1集品容器搬送手段6の搬送方向に沿って並設され、第2集品容器側指示手段46は保管容器搬送手段8のコンベヤフレーム42の保管棚3側の側面に保管容器搬送手段8の搬送方向に沿って並設されているため、作業者Xは指示手段26,46を見やすく、集品容器Aへの収容ミスつまり投入ミスを防止できる。
【0051】
次に、本発明のピッキングシステムの他の実施の形態を図7ないし図9を参照して説明する。
【0052】
図7ないし図9に示すピッキングシステム1は、前記一実施の形態のテープスイッチ等の完了スイッチ手段30の代わりに、第1集品容器搬送手段6の停止時にこの第1集品容器搬送手段6上の各集品容器Aに対応して位置し、対応する第1集品容器側指示手段26にて指示された集品容器Aに作業者Xの手作業により物品Wが投入収容されたか否かを検知する複数の第1検知手段81と、第2集品容器搬送手段7の停止時にこの第2集品容器搬送手段7上の各集品容器Aに対応して位置し、対応する第2集品容器側指示手段46にて指示された集品容器Aに作業者Xの手作業により物品Wが投入収容されたか否かを検知する複数の第2検知手段82とを備えている。すなわち各第1集品容器側指示手段26ごとに第1検知手段81が設けられ、各第2集品容器側指示手段46ごとに第2検知手段82が設けられている。
【0053】
第1検知手段81は、例えば検知光を投光する投光部81aおよびこの投光部81aからの検知光を受光する受光部81bを有する光電センサ等にて構成されている。また、第2検知手段82は、第1検知手段81と同様、例えば検知光を投光する投光部82aおよびこの投光部82aからの検知光を受光する受光部82bを有する光電センサ等にて構成されている。
【0054】
第1集品容器搬送手段6である第1コンベヤ21は、コンベヤフレーム22から上方に向って突出する突出フレーム83を有し、この突出フレーム83の上端部には、第1検知手段81の投光部81aおよび第1集品容器側指示手段26が設けられている。
【0055】
また、第2集品容器搬送手段7である第2コンベヤ31は、コンベヤフレーム32から上方に向って突出する突出フレーム35を有し、この突出フレーム35の上端部には、第1検知手段81の受光部81bおよび第2検知手段82の投光部82aが設けられている。
【0056】
さらに、保管容器搬送手段8であるコンベヤ41のコンベヤフレーム42には、第2検知手段82の受光部82bおよび第2集品容器側指示手段46が設けられている。
【0057】
そして、第1検知手段81の投光部81aから投光された検知光は、第1集品容器搬送手段6の搬送面6a上に載置された集品容器Aの上面開口の上方近傍位置を通って受光部81bにて受光される。そして、第1集品容器側指示手段26の指示に基づき、作業者Xが指示された集品容器Aに物品Wを投入収容する際には、投光部81aからの検知光が作業者Xの手によって一時的に遮光され、その結果、第1検知手段81により、第1集品容器側指示手段26にて指示された集品容器Aに物品Wが投入収容されたことが検知される。
【0058】
こうして第1検知手段81によって指示手段26にて指示された集品容器Aに物品Wが投入収容されたことが検知されると、制御手段36の制御に基づき、点灯していた指示手段15,26が消え、次の指示手段15,26が点灯する。全ゾーンのピッキング作業が完了すれば第1集品容器搬送手段6が駆動して集品容器Aが搬出される。
【0059】
同様に、第2検知手段82の投光部82aから投光された検知光は、第2集品容器搬送手段7の搬送面7a,7b上に載置された集品容器Aの上面開口の上方近傍位置を通って受光部82bにて受光される。そして、第2集品容器側指示手段46の指示に基づき、作業者Xが指示された集品容器Aに物品Wを投入収容する際には、投光部82aからの検知光が作業者Xの手によって一時的に遮光され、その結果、第2検知手段82により、第2集品容器側指示手段46にて指示された集品容器Aに物品Wが投入収容されたことが検知される。
【0060】
こうして第2検知手段82によって指示手段46にて指示された集品容器Aに物品Wが投入収容されたことが検知されると、制御手段36の制御に基づき、点灯していた指示手段15,46が消え、次の指示手段15,46が点灯する。全ゾーンのピッキング作業が完了すれば第2集品容器搬送手段7が駆動して集品容器Aが搬出される。
【0061】
なお、制御手段36は、検知手段81,82の検知により指示されていない集品容器Aに物品Wが投入収容されたと判断した場合には、例えばブザー等の報知手段により投入ミスを作業者Xに知らせる。
【0062】
また、このピッキングシステム1は、図8に示されるように、一の保管部2から同じ物品Wを連続してピッキングする複数個ピッキング時つまり1行ピック時に、作業者Xに対してその一の保管部2からピッキングする物品Wのピッキング数量を指示する複数の数量指示手段71を備えている。また、このピッキングシステム1は、保管棚3にこの保管棚3の前面側上部に沿って略水平状態に取り付けられ、各数量指示手段71に対応して位置し、対応する数量指示手段71にて指示されたピッキング数量の物品Wが集品容器Aに投入収容された後、作業者Xによって引き操作されてオンされる複数個ピッキング作業確認用の複数のスイッチ手段であるロープスイッチ85を備えている。すなわち、各ゾーンごとに数量指示手段71およびロープスイッチ85が設けられている。
【0063】
数量指示手段71は、前面にピッキング数量を表示する表示画面71aを有し、保管棚3の枠体11の前側上部に取り付けられている。
【0064】
また、ロープスイッチ85は、例えばばね等の付勢体、この付勢体にて引張方向に付勢されて略水平状態となって位置するロープ、およびこのロープの引き操作によりオンしその引き操作の解除によりオフするスイッチ等にて構成されている。また、ロープスイッチ85は、対応するゾーンの作業者用スペース10の任意位置から作業者Xがオン可能なものである。
【0065】
そして、複数個ピッキング時には、数量指示手段71が複数であるピッキング数量を表示するとともに、保管側指示手段15が例えば赤色に点滅する。作業者Xは、その保管側指示手段15にて指示された保管部2から物品Wを1個ずつピッキングし、1個ピッキングする毎に指示手段26,46にて指示された集品容器Aに投入収容する。なお、作業者Xが数量指示手段71にて指示されたピッキング数量の物品Wつまり複数個の物品Wを保管部2からまとめてピッキングして集品容器Aに投入収容するようにしてもよい。
【0066】
次いで、作業者Xは、数量指示手段71にて指示されたピッキング数量の物品Wの投入収容終了後、対応するロープスイッチ85を下方に向けて引き下げ操作してロープスイッチ85をオンさせる。
【0067】
すると、制御手段36は、検知手段81,82が指示された集品容器Aに物品Wが投入収容されたことを検知しかつロープスイッチ85がオンしたことを条件として、指示手段15,26,46を制御して次のピッキング指示を出す。全ゾーンのピッキング作業が完了した場合には集品容器Aを搬出させる。なお、このピッキングシステム1のその他の構成は前記一実施の形態の構成と同じである。
【0068】
そして、このようなピッキングシステム1によれば、上記一実施の形態の作用効果に加え、指示された集品容器Aに物品Wが投入収容されたか否かを検知する第1検知手段81および第2検知手段82を備えるため、集品容器Aへの収容ミスつまり作業者Xによる投入作業のミスをより一層効果的に防止できる。
【0069】
また、数量指示手段71にて指示されたピッキング数量の物品Wを集品容器Aに投入収容した後、作業者Xにロープスイッチ85をオンさせることにより、例えば1個ピッキング作業と作業形態を分けることで作業者Xに対して複数個ピッキング作業であることを意識付けでき、また各数量指示手段71ごとにボタンスイッチ等を設けた構成等に比べて、ロープスイッチ85は作業者Xにとって操作が容易で、より一層効率良くピッキング作業ができる。
【0070】
なお、例えば完了スイッチ手段30および検知手段81,82の両方を備えた構成でもよい。
【0071】
また、検知手段81,82の投光部81a,82aおよび受光部81b,82bが突出フレーム35,83等に取り付けられた構成には限定されず、その取付方法は任意であり、例えば上方から吊下げた吊下げフレーム等に取り付けた構成等でもよい。
【0072】
また、スイッチ手段は、ロープスイッチ85以外に、ボタンスイッチ等や、例えばロープスイッチ85と同様、対応するゾーンの作業者用スペース10の任意位置から作業者Xがオンさせることができる光電センサ(エリアセンサ)等でもよい。
【0073】
さらに、上記いずれの実施の形態においても、集品容器Aを搬送する2列の集品容器搬送手段6,7を備えた構成について説明したが、例えばそれぞれ別駆動で個別に制御される3列以上の集品容器搬送手段を備えた構成でもよい。
【0074】
また、第1集品容器搬送手段6が全ゾーンに対して1つの第1コンベヤ21にて構成され、第2集品容器搬送手段7が全ゾーンに対して1つの第2コンベヤ31にて構成されたものには限定されず、例えば両集品容器搬送手段6,7が各ゾーンごとに対応しそれぞれ別駆動で個別に制御される複数の分割コンベヤにて構成されたものでもよい。すなわち各集品ラインは、全ゾーン単位で制御される構成か、各ゾーン単位で制御される構成かを問わない。
【0075】
さらに、第2集品容器搬送手段7は、駆動回転する搬送ローラ33にて構成された搬送面7aと、従動回転するフリーローラにて構成された搬送面7bとを有する構成には限定されず、例えば駆動回転する搬送ローラ33にて構成された搬送面7aのみを有する構成、駆動回転する搬送ベルトにて構成された搬送面7aのみを有する構成、従動回転する従動ローラにて構成された搬送面7aと駆動回転する駆動ローラにて構成された搬送面7bとを有する構成等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施の形態に係るピッキングシステムの概略平面図である。
【図2】同上ピッキングシステムの部分側面図である。
【図3】同上ピッキングシステムの部分平面図である。
【図4】同上ピッキングシステムの部分斜視図である。
【図5】同上ピッキングシステムの集品容器側指示手段を示す図である。
【図6】数量指示手段を設けた例の動作説明図である。
【図7】本発明の他の実施の形態に係るピッキングシステムの部分側面図である。
【図8】同上ピッキングシステムの部分斜視図である。
【図9】同上ピッキングシステムの部分平面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 ピッキングシステム
2 保管部
3 保管棚
6 第1集品容器搬送手段
6a 搬送面
7 第2集品容器搬送手段
7a 搬送面
8 保管容器搬送手段
15 保管側指示手段
26 第1集品容器側指示手段
36 制御手段
46 第2集品容器側指示手段
71 数量指示手段
81 第1検知手段
82 第2検知手段
85 スイッチ手段であるロープスイッチ
W 物品
A 集品容器
B 保管容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が保管される複数の保管部を有する保管棚と、
前記保管部からピッキングされた物品が収容される集品容器を前記保管棚に沿って搬送する第1集品容器搬送手段と、
この第1集品容器搬送手段と平行に配設され、前記保管部からピッキングされた物品が収容される集品容器を前記保管棚に沿って搬送する第2集品容器搬送手段と、
前記第1集品容器搬送手段および前記第2集品容器搬送手段をそれぞれ個別に制御する制御手段と
を備えることを特徴とするピッキングシステム。
【請求項2】
第1集品容器搬送手段は、水平状の搬送面を有し、
第2集品容器搬送手段は、前記第1集品容器搬送手段のうち保管棚と対向する側とは反対側の部分に近接した状態に配設され、前記第1集品容器搬送手段側に向って下り傾斜状の搬送面を有する
ことを特徴とする請求項1記載のピッキングシステム。
【請求項3】
物品は、保管容器に複数収容された状態で保管部に保管され、
前記各保管部に対応して位置する複数の保管側指示手段と、
第1集品容器搬送手段上の各集品容器に対応して位置する複数の第1集品容器側指示手段と、
第2集品容器搬送手段上の各集品容器に対応して位置する複数の第2集品容器側指示手段と、
前記第2集品容器搬送手段の上方にこの第2集品容器搬送手段と平行に配設され、空の保管容器を保管棚に沿って搬送する保管容器搬送手段とを備え、
前記第1集品容器側指示手段は、前記第1集品容器搬送手段のうち前記保管棚と対向する側の部分に並設され、
前記第2集品容器側指示手段は、前記保管容器搬送手段のうち前記保管棚と対向する側の部分に並設されている
ことを特徴とする請求項2記載のピッキングシステム。
【請求項4】
第1集品容器搬送手段上の各集品容器に対応して位置する複数の第1集品容器側指示手段と、
第2集品容器搬送手段上の各集品容器に対応して位置する複数の第2集品容器側指示手段と、
前記第1集品容器搬送手段上の各集品容器に対応して位置し、前記第1集品容器側指示手段にて指示された集品容器に物品が収容されたか否かを検知する複数の第1検知手段と、
前記第2集品容器搬送手段上の各集品容器に対応して位置し、前記第2集品容器側指示手段にて指示された集品容器に物品が収容されたか否かを検知する複数の第2検知手段とを備える
ことを特徴とする請求項1または2記載のピッキングシステム。
【請求項5】
保管部からピッキングする物品のピッキング数量を指示する数量指示手段と、
この数量指示手段にて指示されたピッキング数量の物品が集品容器に収容された後、作業者によってオンされるスイッチ手段とを備える
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載のピッキングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−1152(P2010−1152A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175446(P2008−175446)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】