説明

ピッキング設備

【課題】ピッキング設備において、ピッキング台に短時間で荷物を搬送し、仕分け作業の効率化を図る。
【解決手段】自動倉庫から受け渡された荷物をピッキングするピッキング設備であって、前記荷物の搬送を行う搬送装置1と、前記荷物を一時的に保管する一時保管領域5と、前記荷物が載置されるピッキング台3とを備える。上記ピッキング台3が直線状に複数配列され、上記一時保管領域5が、上記ピッキング台3に対して上記搬送装置1の移動領域を挟んで複数配列される一時保管棚5であるという構成を備える。上記ピッキング台3と上記移動領域との間に、上記移動領域への異物の侵入を防止する開閉扉4を備えるという構成を備える。上記ピッキング台3上の荷物を仮置きできる仮置台7を備えるという構成を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキング設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピッキング設備は、自動倉庫等に併設されるものであり、自動倉庫で保管された荷物の仕分け作業を行うための設備である。
このピッキング設備は、自動倉庫から受け渡された荷物を搬送する搬送装置と、荷物をピッキングするためのピッキング台とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−37412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動倉庫においては荷物がパレットに載置されて保管されており、パレットごと荷物の搬送が行われる。ピッキング設備でも同様に荷物がパレットごと搬送され、通常ピッキング台は1つのパレットのみが載置できるように構成されている。
このため、ピッキング台上に載置されたパレット上の全ての荷物が仕分け作業により取り去られない限り、次のパレット(すなわち荷物)をピッキング台に搬送することができない。
【0005】
しかしながら、施設のレイアウト等に起因して、自動倉庫とピッキング設備とは、必ずしも近接して設置されるとは限らず、遠方に配置されることもある。
そして、このように自動倉庫とピッキング設備とが遠方に配置されていると、ピッキング台上に荷物がなくなってから次の荷物を当該ピッキング台まで搬送するのに非常に長い時間を要することとなり、作業効率の悪化を招くこととなる。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ピッキング設備において、ピッキング台に短時間で荷物を搬送し、仕分け作業の効率化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
第1の発明は、自動倉庫から受け渡された荷物をピッキングするピッキング設備であって、上記荷物の搬送を行う搬送装置と、上記荷物を一時的に保管する一時保管領域と、上記荷物が載置されるピッキング台とを備えるという構成を採用する。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記ピッキング台が直線状に複数配列され、上記一時保管領域が、上記ピッキング台に対して上記搬送装置の移動領域を挟んで複数配列される一時保管棚であるという構成を採用する。
【0010】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記ピッキング台と上記移動領域との間に、上記移動領域への異物の侵入を防止する開閉扉を備えるという構成を採用する。
【0011】
第4の発明は、上記第1〜第3いずれかの発明において、上記ピッキング台上の荷物を仮置きできる仮置台を備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、荷物を一時的に保管する一時保管領域を備える。このため、ピッキング台が空く前からピッキング設備内に次の荷物を取り込むことができ、ピッキング台が空いた際には素早く次の荷物をピッキング台に搬送することができる。
したがって、本発明によれば、ピッキング設備において、ピッキング台に短時間で荷物を搬送し、仕分け作業の効率化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態におけるピッキング設備の概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるピッキング設備においてピッキング台が設置されるエリアの拡大図であり、(a)が平面図、(b)が側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係るピッキング設備の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0015】
図1は、本実施形態のピッキング設備Sの概略構成を示す平面図である。
本実施形態のピッキング設備は、作業者による荷物の仕分け作業のために、自動倉庫からパレットに載置された状態で搬送されてくる荷物をピッキング台まで搬送するものである。
そして、本実施形態のピッキング設備Sは、図1に示すように、トラバーサ1(搬送装置)と、軌道2と、ピッキング台3と、開閉扉4と、一時保管棚5(一時保管領域)と、侵入防止柵6と、仮置台7と、受取部8と、回収部9と、制御装置10とを備えている。
【0016】
トラバーサ1は、ピッキング設備Sにおいて、荷物が載置されたパレット(以下、実パレットと称する)と、荷物が載置されていないパレット(以下、空パレットと称する)とを搬送するものであり、実パレットの搬送を行うことによって荷物の搬送を行う。
なお、本実施形態においてトラバーサ1は、実パレットと空パレットとの両方を一度に搭載可能に構成されている。
【0017】
軌道2は、トラバーサ1が走行するものであり、本実施形態のピッキング設備Sにおいては、直線状に敷設されている。そして、この軌道2によって、トラバーサ1の移動領域が規定されている。
【0018】
ピッキング台3は、トラバーサ1が搬送する実パレットを載置する台であり、直線状に複数配列されている。そして、本実施形態のピッキング設備Sにおいては、作業者によってピッキング台3に搬送されてくる荷物の仕分け作業が行われる。
【0019】
図2は、ピッキング台3が設置されるエリアの拡大図であり、(a)が平面図、(b)が側面図である。
この図に示すように、このピッキング台3は、軌道2の片側(図1における軌道2の下側)において当該軌道2に沿って、複数配列されている。そして、本実施形態においては、ピッキング台3同士の間には、作業者が入り込むことができるスペースS1が確保されている。
【0020】
開閉扉4は、ピッキング台3と軌道2(トラバーサ1の移動領域)との間に設置され、例えば、作業者が取りこぼした荷物等の異物が、ピッキング台3からトラバーサ1の移動領域へ侵入することを防止するものである。
なお、図2に示すように、開閉扉4は、ピッキング台3と軌道2との間の全領域に亘って形成されており、ピッキング台3に対向する領域のみが開閉可能に構成されている。そして、開閉扉4は、制御装置10の制御の下、トラバーサ1とピッキング台3との間でパレットの受渡しが行われる際に、ピッキング台3に対向する領域を開口する。
【0021】
一時保管棚5は、ピッキング設備Sに取り込んだ荷物を一時的に保管するものであり、ピッキング台3に対して軌道2(トラバーサ1の移動領域)を挟んで複数配列されている。そして、一時保管棚5同士は近接して配置されている。このため、一時保管棚5は、ピッキング台3よりも多数配置されている。
なお、各一時保管棚には、荷物の有無を検出するための検出センサが設置されており、当該検出センサは、制御装置10と電気的に接続されている。
【0022】
侵入防止柵6は、一時保管棚5の設置領域及びトラバーサ1の移動領域に異物が侵入することを防止するためのものであり、図2に示すように、一時保管棚5の軌道2と反対側の全領域に設けられている。
【0023】
仮置台7は、ピッキング台3に残る荷物を一時的に仮置きするためのものであり、作業者の作業エリア内に設置されている。通常、自動倉庫から搬送される実パレットには、多数の荷物が載置されており、パレット上の荷物は仕分けられることにより徐々に減少する。そして、仮置台7にはパレット上において少数となった荷物が仕分けされる前に仮置きされる。
なお、図1及び図2に示すように、仮置台7は、各ピッキング台3に対して1つずつ設けられている。
【0024】
図1に戻り、受取部8は、自動倉庫から荷物をパレットごと受け取るものである。すなわち、受取部8は、自動倉庫から実パレットを受け取る。
回収部9は、ピッキング台3からトラバーサ1によって回収された空パレットを纏めて載置するものである。
【0025】
制御装置10は、本実施形態のピッキング設備Sの動作を統括するものであり、トラバーサ1、開閉扉4、受取部8及び回収部9等と電気的に接続され、また自動倉庫の制御装置に対しても電気的に接続されている。
なお、後の動作説明において詳説するが、本実施形態のピッキング設備Sにおいて制御装置10は、ピッキング台3が空く以前に、次に当該ピッキング台3に載置される荷物を、空いている一時保管棚5のなかで当該ピッキング台3の最も近くのものに対して予め保管するように制御を行う。
また、例えば、制御装置10は、一時保管棚5に保管された荷物の種類や、ピッキング台3に搬送する荷物の種類を、予めあるいは操作部から入力される指令に基づいて記憶しており、この記憶データに基づいて本実施形態のピッキング設備Sの動作を制御する。
【0026】
また、作業者による作業エリアには、制御装置10に対して指令を出すための操作部や制御装置10からの指示を可視化する表示部等のマンマシンインターフェイスが設けられている。このマンマシンインターフェイスは、例えば、ピッキング台3ごとに設けられ、仮置台7の近くに配設される。
【0027】
次に、このように構成された本実施形態のピッキング設備Sの動作について説明する。なお、本動作は、制御装置10の制御の下に行われる。また、自動倉庫には、複数の種類の荷物が保管されているものとする。
【0028】
まず、作業者が操作部を操作することによって、新たな荷物をピッキング台3に搬送するべく指令を出すと、制御装置10は、当該ピッキング台3に搬送すべき種類の荷物が、一時保管棚5に保管されていないかを判定する。
具体的には、制御装置10は、これまでの制御データや各一時保管棚5に設置された検出センサの出力に基づいて、ピッキング台3に搬送すべき種類の荷物が、一時保管棚5に保管されていないかを判定する。
【0029】
ここで、制御装置10は、一時保管棚5に搬送すべき種類の荷物が存在していない場合には、自動倉庫に対して当該種類の荷物を出庫するように指令を出し、受取部8に当該荷物が供給されるのを待つ。
そして、受取部8に荷物が供給されると、制御装置10はトラバーサ1及び開閉扉4を制御することによって、受取部8からピッキング台3まで荷物を搬送する。
【0030】
一方、制御装置10は、ピッキング台3に搬送すべき種類の荷物が一時保管棚5に存在する場合には、トラバーサ1を制御することによって一時保管棚5に保管された荷物をピッキング台3に搬送する。
なお、一時保管棚5において、該当する種類の荷物が複数存在する場合には、制御装置10は、荷物を搬送するピッキング台3の最も近くに存在する荷物をピッキング台3に搬送することによって搬送時間の短縮化を図る。
【0031】
そして、制御装置10は、トラバーサ1を制御することによって、ピッキング台3への荷物の搬送と同時にピッキング台3上の空パレットを回収して回収部9に搬送する。そして、ピッキング台3への荷物の搬送及び空パレットの回収が完了すると、制御装置10は、空いている一時保管棚5が存在するかを判定し、一時保管棚5へ荷物を搬送可能であるかどうかを判定する。
【0032】
制御装置10は、一時保管棚5に荷物を搬送可能である場合には、優先順位の高い荷物を自動倉庫から受け取り、一時保管棚5に保管する。
なお、例えば制御装置10は、直近でピッキング台3に搬送した荷物を優先順位の高い荷物と判定したり、また交換頻度の高い荷物を優先順位の高い荷物と判定する。
ここで、制御装置10は、一時保管棚5が複数空いている場合には、これから保管する荷物が次に搬送されるピッキング台3に最も近い位置に保管されるように保管する一時保管棚5を選択する。
【0033】
本実施形態のピッキング設備Sは、上述の動作を繰り返すことによって、各ピッキング台3に、要求される種類の荷物を搬送する。
【0034】
そして、このような本実施形態のピッキング設備Sによれば、荷物を一時的に保管する一時保管棚5を備える。このため、ピッキング台3が空く前からピッキング設備S内に次の荷物を取り込むことができ、ピッキング台3が空いた際には素早く次の荷物をピッキング台3に搬送することができる。
したがって、本実施形態のピッキング設備Sによれば、ピッキング台3に短時間で荷物を搬送し、仕分け作業の効率化を図ることが可能となる。
【0035】
また、本実施形態のピッキング設備Sでは、ピッキング台3に対して素早く荷物を供給できることから、ピッキング台3において予め多数の荷物をストックしておく必要がなく、従来のピッキング設備よりもピッキング台3の数を減少させることができる。
このため、従来のピッキング設備と比較してピッキング台3同士の間を広く空けて配列することができる。そして、具体的には、本実施形態のピッキング設備においてピッキング台3同士の間には、作業者が入り込むことができるスペースS1が確保されている。
この結果、ピッキング台3の奥側(軌道2側)に位置する荷物を作業者が容易に取り上げることができ、作業効率がさらに向上することとなる。
【0036】
また、本実施形態のピッキング設備Sにおいては、ピッキング台3が直線状に複数配列され、一時保管棚5は、ピッキング台3に対してトラバーサ1の移動領域を挟んで複数配列されている。
つまり、トラバーサ1から見て前後にピッキング台3と一時保管棚5とが設置されており、一時保管棚5からピッキング台3までの荷物の移動距離を短くし、荷物の受渡し時間を短縮することが可能となる。
【0037】
また、本実施形態のピッキング設備Sは、上記ピッキング台3とトラバーサ1の移動領域との間に、トラバーサ1の移動領域への異物の侵入を防止する開閉扉4を備えている。
このため、トラバーサ1の移動領域に異物が侵入することを防止し、異物の侵入によってピッキング設備Sの稼動が停止する虞が低減する。
【0038】
また、本実施形態のピッキング設備Sにおいては、ピッキング台3上の荷物を仮置きできる仮置台7を備えている。
このため、ピッキング台3上の荷物が少なくなった場合には、作業者が残った荷物を仮置台7に移動させてピッキング台3上の荷物をなくすことが可能となる。このため、先に搬送された全ての荷物の仕分け作業が完了する前に、次の荷物をピッキング台3に搬送することが可能となり、作業効率をさらに向上させることが可能となる。
【0039】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態においては、本発明の一時保管領域として、一段の一時保管棚5を用いる構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一時保管領域として台や、多段棚を用いることも可能である。
なお、一時保管領域として多段棚を用いる場合には、フォーク装置を大きく昇降させることが可能なスタッカクレーンをトラバーサに換えて備える構成を採用することも可能である。
【0041】
また、開閉扉4は、自身に駆動源を持たず、トラバーサ1の駆動により開閉するように構成することも可能である。
また、各一時保管棚5に荷物の有無を検出するための検出センサ設置することなく、これまでの制御データから荷物の有無を判断しても良い。
また、仮置台7は、ピッキング台3に対して1つずつ設けることなく、複数のピッキング台で共有しても良い。
【0042】
また、例えば、上記実施形態において、荷物として仕分け作業用に用いられる空パレットを複数積層されたものをピッキング台3に供給しても良い。
なお、より作業効率を高めるためには、空パレットが供給されるピッキング台3の両側のピッキング台3には、空パレットに最も多く仕分けられる荷物が供給されることが好ましい。
【符号の説明】
【0043】
S……ピッキング設備、1……トラバーサ(搬送装置)、2……軌道、3……ピッキング台、4……開閉扉、5……一時保管棚(一時保管領域)、6……侵入防止柵、7……仮置台、8……受取部、9……回収部、10……制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動倉庫から受け渡された荷物をピッキングするピッキング設備であって、
前記荷物の搬送を行う搬送装置と、
前記荷物を一時的に保管する一時保管領域と、
前記荷物が載置されるピッキング台と
を備えることを特徴とするピッキング設備。
【請求項2】
前記ピッキング台が直線状に複数配列され、
前記一時保管領域は、前記ピッキング台に対して前記搬送装置の移動領域を挟んで複数配列される一時保管棚である
ことを特徴とする請求項1記載のピッキング設備。
【請求項3】
前記ピッキング台と前記移動領域との間に、前記移動領域への異物の侵入を防止する開閉扉を備えることを特徴とする請求項2記載のピッキング設備。
【請求項4】
前記ピッキング台上の荷物を仮置きできる仮置台を備えることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のピッキング設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−111248(P2011−111248A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266668(P2009−266668)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】