説明

ピペリジン誘導体

【課題】
17βHSDtype5の選択的阻害作用に基づく前立腺癌等の新規かつ優れた治療及び/又は予防方法を提供する。
【解決手段】
{1−[(インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジル}アルカノール誘導体が強力な17βHSDtype5選択的阻害活性を有すること、及び、テストステロン減少による副作用を伴わない、前立腺癌等の17βHSDtype5の関与する疾患の治療剤及び/又は予防剤として使用しうることを知見して本発明を完成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピペリジン化合物及び/又はその塩を活性成分として含む医薬又は医薬組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前立腺肥大症(Benign Prostatic Hyperplasia:BPH)は主に50歳以上の高齢男性に出現する排尿障害を伴う疾患であり、加齢と共に発症頻度が増加する。日本におけるBPH患者数は、人口構成の急速な高齢化に伴い、近年増加の一途をたどっている。BPHは、その排尿障害により高齢男性の生活の質を著しく低下させ、また泌尿器診療において最も多く診断・治療されることから医療経済的にも重要な疾患である。
【0003】
BPHに伴う排尿障害の原因として、前立腺の肥大による直接的な尿道圧迫(機械的閉塞)と、交感神経を介した前立腺平滑筋の過剰収縮による尿道内圧の上昇(機能的閉塞)の2つの要因が同時に関与することが明らかになっている。薬物療法はその両方の機序に対応可能であり、機械的閉塞には5α還元酵素阻害薬、機能的閉塞にはα1交感神経遮断薬(α1遮断薬)が主に用いられている。5α還元酵素阻害薬は、5α還元酵素によるテストステロンからより強力なアンドロゲンである5αデヒドロテストステロン(DHT)への変換抑制に基づく抗アンドロゲン作用により、前立腺を退縮させる。しかし退縮するのは前立腺上皮のみであり、薬効発現までに長期間(数週間から数ヶ月)を必要とする。一方α1遮断薬は投与後速やかに薬効が発揮され、安全性にも優れていることから、現在はα1遮断薬がBPH治療の第一選択薬となっている。しかし長期の臨床試験の結果、5α還元酵素阻害薬はα1遮断薬単独の場合に比べて侵襲的治療への移行を有意に遅延させたことなどから(「The New England Journal of Medicine」、2003年、第349巻、p.2387−2398)、近年5α還元酵素阻害薬の有用性が再認識されつつある。
【0004】
前立腺内のDHTは、精巣で産生されて内分泌的に前立腺へ供給されたテストステロンから5α還元酵素により生成されると考えられてきた。しかし近年、前立腺内のDHT及びその前駆体であるテストステロンの約半分は、前立腺の細胞内で副腎由来ステロイドのデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)から合成されていることが報告されている(「Frontier in Neuroendocrinology」、2001年、第22巻、p.185−212)。このような性ホルモン標的臓器の細胞内における性ホルモン産生系はintracrinologyと呼ばれている。
【0005】
5α還元酵素阻害薬では、この前立腺局所におけるテストステロン合成(intracrineなテストステロン合成)を阻害することは困難である。例えば5α還元酵素阻害薬であるフィナステリド(finasteride)投与後のBPH患者において、前立腺内DHT濃度は投与前の約20%に低下したのに対して、前駆体である前立腺内テストステロン濃度は4倍に上昇したという報告がある(「The Journal of Urology」、1999年、第161巻、p.332−337)。つまり5α還元酵素阻害薬は前立腺内DHT濃度抑制効果を有するが、前立腺内テストステロン濃度抑制効果はなく、逆に濃度を上昇させてしまう。テストステロンはDHTの半分程度のアンドロゲン受容体結合活性を有するため、この前立腺局所におけるテストステロン濃度上昇が、フィナステリドのBPHに対する不十分な薬効の一因とも考えられている。
【0006】
前立腺癌においても、外科的去勢術や性腺刺激ホルモン放出ホルモン作動薬による抗アンドロゲン療法が用いられている。これらの抗アンドロゲン療法によっても、前立腺内のテストステロン濃度抑制効果は不十分であることが報告されている。例えば上記の抗アンドロゲン療法を行った前立腺癌患者において、血中テストステロン濃度は治療前の約10%程度に低下したのに対して、前立腺内DHT濃度は半分程度残存していた(「The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism」、1995年、第80巻、p.1066−1071)。これはすなわち前立腺内テストステロン濃度も十分に低下していないことを示唆している。また抗アンドロゲン療法後に再燃した前立腺癌(Hormone Refractory Prostate Cancer)においても、アンドロゲン受容体は核に局在しており、再燃前立腺癌組織のテストステロン濃度と正常前立腺のテストステロン濃度の間には有意な差が見られなかった(「Clinical Cancer Research」、2004年、第10巻、p.440−448)。これらの報告は、再燃前立腺癌治療において既存の治療法では前立腺内テストステロン濃度低下作用はまったく不十分であり、前立腺内テストステロン合成機構、すなわち前立腺のintracrineなテストステロン合成の抑制が前立腺癌治療の新たな標的となりうることを強く示唆している。
【0007】
上記の公知技術より、前立腺のintracrineなテストステロン合成阻害剤は、前立腺内テストステロン濃度低下作用を有し、かつ血中テストステロン濃度低下作用がないことから、(1)前立腺内のテストステロン濃度のみならずDHT濃度も低下させ、(2)精巣由来である血中テストステロン濃度の抑制による副作用を回避出来る、非常に魅力的なBPH治療薬及び/又は前立腺癌治療薬となることが期待される。
【0008】
テストステロンの生合成において、17β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素(17β-hydroxysteroid dehydrogenase:17βHSD)は必須である。17βHSDにはいくつかのサブタイプが存在するが、ヒト前立腺では17βHSDタイプ5(17βHSDtype5)が高発現しており、前立腺癌及び再燃前立腺癌での発現上昇も報告されている(「Steroids」、2004年、第69巻、p.795−801;「Cancer Research」、2006年、第66巻、p.2815−2825)。一方血中のテストステロンは、そのほぼ全てが精巣で17βHSDタイプ3(17βHSDtype3)により生成されており、17βHSDtype3は前立腺を含む他の組織での発現がほとんど見られない(「Nature Genetics」、1994年、第7巻、p.34−39)。したがって前立腺のintracrineなテストステロン合成は17βHSDtype5が担っていると考えられ、17βHSDtype5選択的阻害剤により前立腺のintracrineなテストステロン合成が選択的に抑制されることが期待される。また、乳腺などエストロゲン依存性組織においても17βHSDtype5の寄与は指摘されており、乳癌などエストロゲン依存性疾患においても効果が期待される(「Endocrine Reviews」、2003年、第24巻、p.152−182)。また、アルド−ケトリダクターゼ(AKR)のサブタイプであるAKR1C3(17βHSDtype5の別名)が、Polycyclic Aromatic Hydrocarbon(PAH)を代謝して活性酸素種(ROS)を産生すること(「The Journal of Biological Chemistry」、2002年、第277巻、27号、p.24799−24808)、酸化ストレスに関連するAKR1C3遺伝子の1塩基多型(SNP)が肺癌のリスクと相関すること(「Carcinogenesis」、2004年、第25巻、11号、p.2177−2181)が報告されている。すなわち肺におけるAKR1C3の活性は、PAHからのROSの生成を介して肺癌のリスクを高めることが示唆され、17βHSDtype5の選択的阻害剤は、肺癌に対しても効果が期待される。
【0009】
17βHSDtype5阻害剤としては、ステロイド誘導体(特許文献1)やFlufenamic acid,Indomethacin等のNSAIDs(Non−steroidal Anti−Inflammatory Drugs)(非特許文献1)、桂皮酸誘導体(非特許文献2)等が報告されている。また、作用機序は異なるが、式(A)の化合物を含むインダゾール誘導体がBPHに有効であることも知られている(特許文献2)。
【化1】

【0010】
特許文献3では式(B)の化合物を含むN−置換ベンズイミダゾール誘導体がc−Kit癌原遺伝子阻害作用を有し、前立腺癌等に有用であることが示されている。しかしインドリル基の開示はなく、17βHSDtype5阻害作用の記載もない。
【化2】

【0011】
特許文献4では式(C)の化合物を含むベンズイミダゾール誘導体がチロシンキナーゼ調節作用を有し、前立腺癌等に有用であることが示されている。しかしインドリル基の開示はなく、17βHSDtype5阻害作用の記載もない。
【化3】

【0012】
特許文献5では式(D)の化合物を含むインドール誘導体がヒスタミンH4アンタゴニスト作用を有し、炎症に有用であることが示されている。しかし非塩基性である(ピペリジル)アルカノール構造の開示はなく、17βHSDtype5阻害作用、並びにBPH及び前立腺癌等に有効との記載もない。
【化4】

【0013】
特許文献6では式(E)の化合物を含むインドール誘導体がカンナビノイド受容体調節作用を有し、脳血管障害等に有用であることが示されている。しかし17βHSDtype5阻害作用、並びにBPH及び前立腺癌等に有効との記載はない。
【化5】

【0014】
また、上記以外の17βHSDtype5阻害作用を有する化合物として、N-スルホニルインドール誘導体(特許文献7)、ベンゾイミダゾリル安息香酸誘導体(特許文献8)等が報告されている。また、本願の優先日後に公開となった特許文献9では、インドール-2-イルカルボニルピペリジン誘導体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開WO99/046279号パンフレット
【特許文献2】国際公開WO2004/064735号パンフレット
【特許文献3】国際公開WO2005/021531号パンフレット
【特許文献4】国際公開WO2007/056155号パンフレット
【特許文献5】国際公開WO2002/072548号パンフレット
【特許文献6】特開2005−162657号公報
【特許文献7】国際公開WO2007/100066号パンフレット
【特許文献8】国際公開WO2009/014150号パンフレット
【特許文献9】国際公開WO2009/028618号パンフレット
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】「キャンサー・リサーチ(Cancer Research)」、2004年、第64巻、p.1802−1810
【非特許文献2】「モレキュラー・アンド・セルラー・エンドクリノロジー(Molecular and Cellular Endocrinology)」、2006年、第248巻、p.233−235
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の課題は、17βHSDtype5選択的阻害活性を有する医薬、特に前立腺肥大症及び/又は前立腺癌治療剤として有用な化合物の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、17βHSDtype5選択的阻害活性を有する化合物について鋭意検討した結果、{1−[(インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジル}アルカノール誘導体が強力な17βHSDtype5選択的阻害活性を有すること、並びに、テストステロン減少による副作用を伴わない、前立腺肥大症及び前立腺癌等の17βHSDtype5の関与する疾患の治療剤及び/又は予防剤となりうることを知見して本発明を完成した。
【0019】
即ち本発明は、式(I)の化合物又はその塩、及び賦形剤を含有する医薬組成物に関する。
【化6】

式(I)において、
1、R2、及びR3は、同一又は互いに異なって、H又は低級アルキル;
4、R5、R6、R7、及びR8は、同一又は互いに異なって、H、低級アルキル、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、ニトロ、−X−置換されていてもよいシクロアルキル、−X−置換されていてもよいアリール、−X−置換されていてもよいヘテロ環基、
−X−COOR0、−X−CONR1011、−X−CN、−X−OR0、−X−SR0、−X−S(O)−低級アルキル、−X−S(O)2−低級アルキル、−X−NR1011、−X−NR0C(O)R10、−X−NR0C(O)OR10、−X−NR0C(O)NR1011、−X−NR0S(O)210、−X−O−ハロゲノ低級アルキル、−X−O−X−置換されていてもよいシクロアルキル、−X−O−X−置換されていてもよいアリール、−X−O−X−置換されていてもよいヘテロ環基、又は−X−O−低級アルキレン−OR0
あるいはR6とR7が一体となって−O−低級アルキレン−O−;
0は、同一又は互いに異なって、H又は低級アルキル;
10及びR11は、同一又は互いに異なって、H、低級アルキル、ハロゲノ低級アルキル、−X−シクロアルキル、−X−アリール、又は−X−ヘテロ環基;
あるいはR10及びR11がそれらが結合するNと共に置換されていてもよい飽和ヘテロ環基を形成;
Xは、同一又は互いに異なって、結合又は低級アルキレンである。
本明細書中において、上で定義された記号は特に断らない限り同じ意味で用いる。
【0020】
また、本発明は式(I)の化合物又はその塩を含有する17βHSDtype5の関与する疾患の治療及び/又は予防用医薬組成物、即ち、式(I)の化合物又はその塩を含有する17βHSDtype5の関与する疾患の予防剤及び/又は治療剤に関する。
【0021】
また、本発明は17βHSDtype5の関与する疾患を治療及び/又は予防するための医薬組成物を製造するための式(I)の化合物又はその塩の使用に関する。
【0022】
また、本発明は式(I)の化合物又はその塩の有効量を患者に投与することからなる、17βHSDtype5の関与する疾患の治療及び/又は予防方法に関する。
【0023】
また、本発明は式(I)の化合物又はその塩を含有する17βHSDtype5の阻害剤に関する。
【0024】
また、本発明は式(I)の化合物若しくはその塩、及び製薬学的に許容される担体、溶剤、若しくは賦形剤を混合する工程を含む、17βHSDtype5の関与する疾患の予防若しくは治療用医薬組成物を生産する方法に関する。
【0025】
また、本発明は式(I)の化合物又はその塩を含有する医薬組成物、及び、式(I)の化合物又はその塩が、17βHSDtype5の関与する疾患の治療及び/又は予防するために使用され得る又は使用されるべき旨の記載を含むコマーシャルパッケージに関する。
【発明の効果】
【0026】
式(I)の化合物は、17βHSDtype5を選択的に阻害する。したがって式(I)の化合物は、「17βHSDtype5の関与する疾患」、例えば17βHSDtype5の阻害によりアンドロゲン及び/又はエストロゲン合成が抑制されるので、アンドロゲン及び/又はエストロゲンに関連する疾患の予防及び/又は治療剤として使用しうる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明について詳述する。
本明細書中の定義において「アルキル」及び「アルキレン」とは、特に断らない限り、直鎖又は分枝状の炭化水素鎖を意味する。
【0028】
「低級アルキル」とは、炭素数が1乃至6(以下C1-6と表記する)のアルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル基等である。別の態様としてはC1-4アルキルであり、さらに別の態様としてはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチルである。
【0029】
「低級アルキレン」とは、C1-6のアルキレン、例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、プロピレン、メチルメチレン、エチルエチレン、1,2-ジメチルエチレン、1,1,2,2-テトラメチルエチレン基等である。別の態様としてはC1-5アルキレンであり、さらに別の態様としてはメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレンである。
【0030】
「ハロゲン」は、F、Cl、Br、Iを意味する。
【0031】
「ハロゲノ低級アルキル」とは、1個以上のハロゲンで置換された低級アルキルである。別の態様としては1〜5個のハロゲンで置換された低級アルキルであり、さらに別の態様としてはトリフルオロメチルである。
【0032】
「シクロアルキル」とは、C3-10の飽和炭化水素環基であり、架橋を有していてもよい。例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、アダマンチル基等である。別の態様としてはC3-8シクロアルキルであり、さらに別の態様としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルである。
【0033】
「アリール」とは、C6-14の単環乃至三環式芳香族炭化水素環基であり、C5-8シクロアルケンとその二重結合部位で縮合した環基を包含する。例えばフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフタレニル、インデニル、フルオレニル基等である。別の態様としてはフェニル、ナフチルであり、さらに別の態様としてはフェニルである。
【0034】
「ヘテロ環」基とは、i)O、S及びNから選択されるヘテロ原子を1〜4個含有する3〜8員の、別の態様としては5〜7員の単環ヘテロ環、並びに、ii)当該単環ヘテロ環が、単環へテロ環、ベンゼン環、C5-8シクロアルカン及びC5-8シクロアルケンからなる群より選択される1又は2個の環と縮環し形成される、O、S及びNから選択されるヘテロ原子を1〜5個含有する二乃至三環式ヘテロ環、から選択される環基を意味する。環原子であるS又はNが酸化されオキシドやジオキシドを形成してもよく、架橋を有していてもよく、スピロ環を形成していてもよい。
「ヘテロ環」基としては例えばアジリジニル、アゼチジル、ピロリジニル、ピペリジル、アゼパニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、ホモモルホリニル、チオモルホリニル、ピロリル、インドリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリル、キナゾリル、キノキサリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズオキサゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キヌクリジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾフラニル基等が挙げられる。別の態様としては5〜10員の単環乃至二環式へテロ環基である。さらに別の態様としてはピロリジニル、ピペリジル、アゼパニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、ホモモルホリニル、チオモルホリニル、インドリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、ベンズイミダゾリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジベンゾフラニルである。
【0035】
「飽和ヘテロ環」基とは、上記「ヘテロ環」基のうち、環を構成する結合が単結合のみからなるものを意味する。
「飽和ヘテロ環」基としては例えばピロリジニル、ピペリジル、アゼパニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、ホモモルホリニル、チオモルホリニル基等が挙げられる。
【0036】
本明細書において「置換されていてもよい」とは、無置換、又は置換基を1乃至5個有していることを意味する。なお、複数個の置換基を有する場合、それらの置換基は同一であっても、互いに異なっていてもよい。
【0037】
4、R5、R6、R7及びR8の「置換されていてもよいシクロアルキル」、「置換されていてもよいアリール」、又は「置換されていてもよいヘテロ環基」における置換基として、例えば低級アルキル、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、ニトロ、−X−CN、−X−OR0、−X−SR0、−X−S(O)−低級アルキル、−X−S(O)2−低級アルキル、−X−NR1011、−X−NR0C(O)R10、−X−NR0C(O)OR10、−X−NR0C(O)NR1011、−X−NR0S(O)210、−X−O−ハロゲノ低級アルキル、又は−X−O−低級アルキレン−OR0が挙げられ、別の態様として低級アルキル、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、−CN、及び−OR0から選択される基が挙げられ、さらに別の態様としてメチル、エチル、F、Cl、トリフルオロメチル、及びメトキシから選択される基が挙げられる。
【0038】
本明細書において、「シクロアルキル」、「フェニル」、「シクロヘキシル」などは、便宜上一価基として記載してあるが、構造によっては二価基以上の多価基である場合がある。本発明は、それらの構造を包含するものである。二価基の具体的な態様としては、有機化合物命名法に従って、上記環基の接尾辞をジイルに変換したものが対応する。例えば、一価基であるフェニル基に対応する二価基はフェニレンである。
【0039】
「17βHSDtype5選択的阻害」及び「AKR1C3選択的阻害」とは、17βHSDtype3の阻害活性が、ヒト17βHSDtype5(AKR1C3)の阻害活性に対して、IC50値において3倍以上、好ましくは10倍以上、更に好ましくは100倍以上の数値を示すことを意味する。
【0040】
本発明の有効成分である式(I)の化合物のある態様を以下に示す。
(1)式(Ia)の化合物。
【化7】

(2)R1がHである化合物。
(3)R1が低級アルキルである化合物。
(4)R1がメチルである化合物。
(5)R2がHである化合物。
(6)R2が低級アルキルである化合物。
(7)R2がメチルである化合物。
(8)R3がHである化合物。
(9)R3が低級アルキルである化合物。
(10)R4がH、低級アルキル、ハロゲン、又は−O−低級アルキルである化合物。
(11)R4がHである化合物。
(12)R4が低級アルキルである化合物。
(13)R4がハロゲンである化合物。
(14)R4が−O−低級アルキルである化合物。
(15)R5がH、低級アルキル、ハロゲン、又は−O−低級アルキルである化合物。
(16)R5がHである化合物。
(17)R5が低級アルキルである化合物。
(18)R5がハロゲンである化合物。
(19)R5が−O−低級アルキルである化合物。
(20)R6がH、低級アルキル、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、ニトロ、シクロアルキル、OH、又は−O−低級アルキルである化合物。
(21)R6が低級アルキル、ハロゲン、又は−O−低級アルキルである化合物。
(22)R6がHである化合物。
(23)R6が低級アルキルである化合物。
(24)R6がハロゲンである化合物。
(25)R6がハロゲノ低級アルキルである化合物。
(26)R6がニトロである化合物。
(27)R6がシクロアルキルである化合物。
(28)R6がOHである化合物。
(29)R6が−O−低級アルキルである化合物。
(30)R7がH、低級アルキル、ハロゲン、又は−O−低級アルキルである化合物。
(31)R7がHである化合物。
(32)R7が低級アルキルである化合物。
(33)R7がハロゲンである化合物。
(34)R7が−O−低級アルキルである化合物。
(35)R8がH、低級アルキル、ハロゲン、又は−O−低級アルキルである化合物。
(36)R8がHである化合物。
(37)R8が低級アルキルである化合物。
(38)R8がハロゲンである化合物。
(39)R8が−O−低級アルキルである化合物。
(40)上記(1)乃至(39)に記載の基のうち二以上の組み合わせである化合物。
【0041】
上記(40)の化合物の具体例として、以下の化合物が挙げられる。
(41)R1及びR3がHである、(1)記載の化合物。
(42)R4、R5、R7、及びR8が、同一又は互いに異なって、H、低級アルキル、ハロゲン、又は−O−低級アルキルであり、R6がH、低級アルキル、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、ニトロ、シクロアルキル、OH、又は−O−低級アルキルである、(41)記載の化合物。
(43)R1及びR2が低級アルキル、並びにR3がHである、(1)記載の化合物。
(44)R4、R5、R7、及びR8が、同一又は互いに異なって、H、低級アルキル、ハロゲン、又は−O−低級アルキルである、(43)記載の化合物。
(45)R6がH、低級アルキル、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、ニトロ、シクロアルキル、OH、又は−O−低級アルキルである、(43)又は(44)記載の化合物。
(46)R6が低級アルキル、ハロゲン、又は−O−低級アルキルである、(43)乃至(45)記載の化合物。
【0042】
本発明の有効成分である式(I)の化合物の別の態様を以下に示す。
(47)R1、R2、R3、及びR4が、同一又は互いに異なって、H又は低級アルキル、R5がH、低級アルキル、ハロゲン、又は−O−低級アルキル、R6がH、低級アルキル、ハロゲン、OH、−O−低級アルキル、−O−低級アルキレン−フェニル、−O−ハロゲノ低級アルキル、ニトロ、アミノ、−アミノ−C(O)−低級アルキル、又はピロリル、R7がH、ハロゲン、OH、又は−O−低級アルキル、あるいはR6とR7が一体となって−O−低級アルキレン−O−、及びR8がH又はハロゲンである、(1)記載の化合物。
(48)R1が低級アルキルである、(47)記載の化合物。
(49)R1がメチルである、(48)記載の化合物。
(50)R2が低級アルキルである、(47)記載の化合物。
(51)R2がメチルである、(50)記載の化合物。
(52)R3がHである、(47)記載の化合物。
(53)R4がHである、(47)記載の化合物。
(54)R5がH、Cl、又はメチルである、(47)記載の化合物。
(55)R6がH、Cl、メチル、メトキシ、又はニトロである、(47)記載の化合物。
(56)R7がHである、(47)記載の化合物。
(57)R8がH又はClである、(47)記載の化合物。
(58)上記(48)乃至(57)に記載の基のうち二以上の組み合わせである化合物。
【0043】
本発明に包含される具体的化合物として、以下の化合物が挙げられる。
2−{1−[(5−メチル−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}エタノール、
1−[1−(1H−インドール−2−イルカルボニル)ピペリジン−4−イル]プロパン−2−オール、
1−[1−(1H−インドール−2−イルカルボニル)ピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパン−2−オール、
2−メチル−1−{1−[(4−メチル−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}プロパン−2−オール、
2−メチル−1−{1−[(5−メチル−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}プロパン−2−オール、
1−{1−[(3,5−ジメチル−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール、
1−{1−[(5−tert−ブチル−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール、
1−{1−[(4−フルオロ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール、
1−{1−[(5−フルオロ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール、
1−{1−[(4−クロロ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール、
1−{1−[(5−クロロ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール、
1−{1−[(5−ブロモ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール、
1−{1−[(7−クロロ−5−フルオロ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール、
2−{[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ピペリジン−1−イル]カルボニル}−1H−インドール−5−オール、
1−{1−[(4−メトキシ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール、
1−{1−[(5−メトキシ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール、
1−{1−[(6−メトキシ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール、
2−メチル−1−(1−{[5−(トリフルオロメトキシ)−1H−インドール−2−イル]カルボニル}ピペリジン−4−イル)プロパン−2−オール、及び
2−メチル−1−{1−[(5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}プロパン−2−オール。
【0044】
式(I)の化合物には、置換基の種類によって互変異性体や幾何異性体が存在しうる。本明細書中、式(I)の化合物が異性体の一形態のみで記載されることがあるが、本発明はそれ以外の異性体も包含し、異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
また、式(I)の化合物には不斉炭素原子や軸不斉を有する場合があり、これに基づく光学異性体が存在しうる。本発明は、式(I)の化合物の光学異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
【0045】
更に、本発明は式(I)の化合物の製薬学的に許容されるプロドラッグも包含する。製薬学的に許容されるプロドラッグとは、加溶媒分解により又は生理学的条件下で、アミノ基、水酸基、カルボキシル等に変換できる基を有する化合物である。プロドラッグを形成する基としては、例えば、Prog. Med., 5, 2157-2161 (1985)や「医薬品の開発」(廣川書店、1990年)第7巻 分子設計163-198に記載の基が挙げられる。
【0046】
また、式(I)の化合物の塩とは、式(I)の化合物の製薬学的に許容される塩であり、置換基の種類によって、酸付加塩又は塩基との塩を形成する場合がある。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リシン、オルニチン等の有機塩基との塩、アセチルロイシン等の各種アミノ酸及びアミノ酸誘導体との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
【0047】
さらに、本発明は式(I)の化合物及びその塩の各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形の物質も包含する。また、本発明は種々の放射性又は非放射性同位体でラベルされた化合物も包含する。
【0048】
(製造法)
式(I)の化合物及びその塩は、その基本骨格あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。その際、官能基の種類によっては、当該官能基を原料乃至中間体の段階で適当な保護基(容易に当該官能基に転化可能な基)に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。このような官能基としては、例えばアミノ基、水酸基、カルボキシル基等であり、それらの保護基としては、例えばグリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1999年)」に記載の保護基等を挙げることができ、これらの反応条件に応じて適宜選択して用いればよい。このような方法では、当該保護基を導入して反応を行ったあと、必要に応じて保護基を除去することにより、所望の化合物を得ることができる。
また、式(I)の化合物のプロドラッグは、上記保護基と同様、原料乃至中間体の段階で特定の基を導入、あるいは得られた式(I)の化合物を用いてさらに反応を行うことで製造できる。反応は通常のエステル化、アミド化、脱水等、当業者により公知の方法を適用することにより行うことができる。
以下、式(I)の化合物の代表的な製造法を説明する。各製法は、当該説明に付した参考文献を参照して行うこともできる。なお、本発明の製造法は以下に示した例には限定されない。
【0049】
【化8】

【0050】
式(I)の化合物は、化合物(II)と化合物(III)との反応により得ることができる。
【0051】
反応は、化合物(II)と化合物(III)とを等量若しくは一方を過剰量用い、縮合剤の存在下、反応に不活性な溶媒中、冷却下から加熱下、好ましくは-20℃〜60℃において、通常0.1時間乃至5日間撹拌することによって行われる。
【0052】
ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定はされないが、例えばベンゼン、トルエン若しくはキシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン若しくはクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、アセトニトリル又は水、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0053】
縮合剤としては、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド又はその塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1,1’−カルボニルジイミダゾール、ジフェニルリン酸アジド、オキシ塩化リン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。添加剤(例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等)を用いることが反応に好ましい場合がある。トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン若しくはN−メチルモルホリン等の有機塩基、又は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム若しくは水酸化カリウム等の無機塩基の存在下に反応させるのが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。
【0054】
また、カルボン酸化合物(II)を反応性誘導体へ変換した後に化合物(III)と反応させる方法も用いることができる。カルボン酸の反応性誘導体の例としては、オキシ塩化リン、塩化チオニル等のハロゲン化剤と反応して得られる酸ハロゲン化物、クロロギ酸イソブチル等と反応して得られる混合酸無水物、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等と縮合して得られる活性エステル等が挙げられる。これらの反応性誘導体と化合物(III)との反応は、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類等の反応に不活性な溶媒中、冷却下〜加熱下、好ましくは、-20℃〜60℃で行うことができる。
【0055】
式(I)の化合物における基R1乃至R8上の種々の置換基は、式(I)の化合物を原料として、後述の参考例記載の反応、当業者にとって自明である反応、又はこれらの変法を用いることにより、他の官能基へと容易に変換することができる。例えば、O−アルキル化、N−アルキル化、還元、加水分解、アミド化等、当業者が通常採用し得る工程を任意に組み合わせて行うことができる。以下に例を示す。
【0056】
アミノ基を有する式(I)の化合物は、ニトロ基の還元反応、例えば日本化学会編、「第4版 実験化学講座(第26巻)」、丸善、1992年に記載の方法を参照して製造できる。
アミド基を有する式(I)の化合物は、アミノ基のアシル化反応、例えば日本化学会編、「第4版 実験化学講座(第22巻)」、丸善、1992年;「第5版 実験化学講座(第16巻)」、丸善、2005年;又は「Compendium of Organic Synthetic Methods」、第1巻〜第3巻に記載の方法を参照して製造できる。
o−ジヒドロキシフェニル基を有する式(I)の化合物は、1,3−ジオキソラン環の開裂反応、例えばJournal of Medicinal Chemistry 2001, 44, 1794-1801に記載の方法を参照して製造できる。
ピロリル基で置換されたフェニル基を有する式(I)の化合物は、ピロール環形成反応、例えばTetrahedron Letters 1993, 34, 1929-1930に記載の方法を参照して製造できる。
【0057】
(原料化合物の製造)
原料化合物(II)は、Fischerのインドール合成反応、例えばロビンソン(Robinson)著、「The Fischer Indole Synthesis(1982年)」に記載の方法を参照して製造できる。3級アルコールを有する原料化合物(III)は、エステル等のカルボン酸誘導体とグリニャール試薬との反応、例えばSynthesis 1983, 12, 1030-1031に記載の方法を参照して製造できる。
【実施例】
【0058】
本発明化合物の優れたヒト17βHSDtype5の選択的阻害活性は、以下の1乃至3に示す試験方法により確認された。詳細な試験手順は、Maniatis,T.ら、Molecular Cloning−A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory,NY(1982)等を参考にすることができる。また、下記1及び2に記載のヒト17βHSDtype5及びtype3をコードする遺伝子及びヒト17βHSDtype5及びtype3は、Molecular Endocrinology 1997, 11(13), 1971-1984に記載の方法によっても得ることができる。
【0059】
実施例1.ヒト17βHSDtype5をコードする遺伝子の単離及び酵素精製
本発明の薬理試験に用いるヒト17βHSDtype5をコードする全長cDNAは、ヒト肺癌由来細胞株のA549細胞由来のcDNAをテンプレートとしてPCR法により取得した。得られたcDNAの塩基配列はジデオキシターミネーター法により解析し、公知のヒト17βHSDtype5配列(GenBank accession No.NM_003739)と合致したクローンを選択した。これらを含むプラスミドにて、大腸菌BL21を形質転換させた後に大量培養し、当該蛋白質をGSTrapFFカラム(アマシャム社製)とPreScissionProtease(アマシャム社製)を用いて精製した。精製法はGSTrapFFカラムに添付された説明書に従った。
【0060】
実施例2.ヒト17βHSDtype3をコードする遺伝子の単離及び酵素精製
本発明の薬理試験に用いるヒト17βHSDtype3をコードする全長cDNAは、ヒト精巣由来のcDNAをテンプレートとしてPCR法により取得した。得られたcDNAの塩基配列はジデオキシターミネーター法により解析し、公知のヒト17βHSDtype3配列(GenBank accession No.BC034281)と合致したクローンを選択した。その後これらを含むプラスミドにてヒト胎児腎由来細胞株の293細胞を形質転換させ、24時間後に細胞を回収した。次に回収した細胞を5%グリセロールを含むリン酸緩衝液(100mm−dish1枚当たり500μlの5%グリセロールを含むリン酸緩衝液(pH7.4,200mM))中で破砕し、遠心分離(16000rpm,5min,4℃)後その上清を酵素源とした。
【0061】
実施例3.ヒト17βHSDtype5及びtype3の酵素活性の測定
酵素活性の測定は、Trevor M.Penningら、Biochem.J.,351,67−77,(2000)を参考にして行った。具体的には、100mMリン酸カリウムバッファー(pH6.0)を用いて、(1)最終濃度が10μg/mlとなる量の上記1.で精製した酵素、(2)最終濃度が300nMとなる量のアンドロステンジオン、(3)最終濃度が200μMとなるNADPH、及び(4)試験物質とを混和して室温にて2時間反応後、産生されたテストステロン量をDELFIA(登録商標)Testosterone Reagents R050−201(パーキンエルマー社製)を用いて測定した。測定法は添付の説明書に従った。酵素未添加時のテストステロン量を0%、化合物未添加時のテストステロン産生量を100%として、化合物添加時におけるテストステロン産生の減少量を相対値として求めた。次いで、IC50値をロジスティック(Logistic)回帰法により算出した。
【0062】
また、より生体に近いin vitroモデルとして、上記酵素活性はヒト17βHSDtype5等を発現させた細胞を用いて測定することもできる。
【0063】
また、ヒト前立腺癌由来細胞株のLNCaP細胞からヒト17βHSDtype5発現LNCaP細胞を作製し、本発明化合物の細胞増殖阻害活性を評価した。
【0064】
実施例4.ヒト17βHSDtype5発現LNCaP細胞の作製
上記1.で選択したクローンを含むプラスミドにてヒト前立腺癌由来細胞株のLNCaP細胞を形質転換させ、安定発現細胞株を得た。
【0065】
実施例5.ヒト17βHSDtype5発現LNCaP細胞を用いた細胞増殖能の測定
上記4.で得られた形質転換細胞を96穴プレートに9000細胞/穴になるように播種して一晩培養した後、試験化合物とともに最終濃度10nMとなるようにアンドロステンジオンを添加して7日間培養した。培養後に細胞数をCellTiter−Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assay(プロメガ社)を用いて測定した。CellTiter−Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assayは、細胞内ATP量をルシフェラーゼによる発光強度でモニターすることにより細胞数を測定する試薬である。なお実験操作は添付の説明書に従った。アンドロステンジオン未添加時の細胞数を増殖0%、アンドロステンジオン添加、試験化合物未添加時の細胞数を増殖100%として、試験化合物添加時における細胞増殖抑制活性を相対値として求めた。次いで、IC50値をロジスティック(Logistic)回帰法により算出した。
【0066】
本発明の有効成分である参考例化合物のヒト17βHSDtype5及びtype3の阻害活性のIC50値、並びにヒト17βHSDtype5発現LNCaP細胞を用いた細胞増殖抑制活性のIC50値を表1に示す。Exは後記参考例番号を示す。
【0067】
【表1】

【0068】
続いて、ヒト前立腺癌由来細胞株であるCWR22R(「Cancer Research」、1996年、第56巻、p.3042−3046)を移植したマウスを作製し、本発明化合物の腫瘍内テストステロン産生抑制活性を評価した。
【0069】
実施例6.CWR22R担癌マウスにおける腫瘍内テストステロン産生抑制
以下に記載のマトリゲルとして、BDマトリゲル(登録商標)フェノールレッドフリー 356237(ベクトン・ディッキンソン社製)を使用した。
CWR22R皮下担癌ヌードマウスからCWR22R腫瘍を摘出した。摘出した腫瘍を細分化して一片5mm程度の腫瘍片にした。腫瘍片を20%血清含有RPMI1640培地で2回洗浄した後に、0.1%プロテアーゼ、20%血清含有RPMI1640培地中で約20分間撹拌した。上清を回収して、遠心分離により細胞を回収した。これを必要に応じて繰り返し、回収した細胞を併せて細胞液とした。細胞数を測定したのち、細胞液を2×107個/mLとなるように調整した。さらに細胞液とマトリゲルを等量混合して最終的に1×107個/mLとなるように調整した。精巣を摘出した雄性ヌードマウスの背部皮下に、上記方法で調製した細胞マトリゲル混合液0.1mLを1箇所に注射することにより移植した。移植後に腫瘍体積が100mm3以上になった時点で、腫瘍体積を元に群分けを行い以下の実験を行った。
CWR22R皮下担癌マウスに試験物質を経口投与した。1時間後、すなわち解剖の1時間前に、アンドロステンジオンを1ng/100mm3腫瘍となるように腫瘍内へ投与した。アンドロステンジオン投与液の組成は0.000075% DMF / 0.00005% ポリソルベート80 / 9.999875% saline / 90% マトリゲルで行った。解剖して腫瘍摘出を行い、腫瘍重量を測定後凍結保存した。またバックグラウンド値測定用として、試験物質投与用の溶媒のみを経口投与したマウスの腫瘍を摘出したのち、氷冷下でアンドロステンジオン投与液を添加して速やかに凍結保存した。
凍結保存された腫瘍サンプルに0.2M Na-K phosphate buffer(pH7.4)を加え、氷冷下でホモジナイザー(ポリトロン)で腫瘍破砕液(homogenate)を作製した。腫瘍破砕液に6倍容量のtert-butyl methyl etherを加えて遠心分離(3000 rpm, 5 min)したのち、上清を別の試験管へ移し、ヒートブロックで40℃に保温しながら窒素ガスにより溶媒を留去した。試験管へ2%BSA入り10mM Tris-Clバッファー(pH7.4)を添加混合して抽出物とし、DELFIA(登録商標)Testosterone Reagents R050−201(パーキンエルマー社製)を用いてテストステロン濃度を測定した。
阻害率は以下の式により算出した。
阻害率(%)=100×(試験物質投与溶媒投与群テストステロン濃度平均値−試験物質投与群テストステロン濃度平均値)/(試験物質投与溶媒投与群テストステロン濃度平均値−バックグラウンドテストステロン濃度平均値)
【0070】
本発明の有効成分である参考例化合物のCWR22R担癌マウスにおける腫瘍内テストステロン産生抑制率(%)を表2に示す。Exは後記参考例番号、Inhは後記参考例化合物3mg/kg投与時のテストステロン産生抑制率を示す。
【0071】
【表2】

【0072】
上記試験結果から明らかなように、式(I)の化合物はヒト17βHSDtype3阻害活性をほとんど有さず、選択的なヒト17βHSDtype5阻害活性を有する。また式(I)の化合物はヒト17βHSDtype5発現LNCaP細胞において細胞増殖阻害活性を示し、CWR22R担癌マウスにおいて腫瘍内テストステロン産生抑制活性を示した。
【0073】
したがって式(I)の化合物は、17βHSDtype5の関与する疾患の予防及び/又は治療剤として使用しうる。例えば17βHSDtype5の阻害によりアンドロゲン及び/又はエストロゲン合成が抑制されるので、アンドロゲン及び/又はエストロゲンに関連する疾患の予防及び/又は治療剤として使用しうる。
【0074】
アンドロゲン及び/又はエストロゲンに関連する疾患としては、前立腺癌、前立腺肥大、アクネ、脂漏症、多毛症、禿頭症、脱毛症、性早熟症、副腎肥大、多嚢胞性卵巣症候群、乳癌、子宮内膜症及び平滑筋腫等が挙げられる。また、肺癌等の酸化ストレスに関連する疾患も挙げられる。
【0075】
また、前立腺のintracrineなアンドロゲン合成は17βHSDtype5が担っていると考えられることから、17βHSDtype5選択的阻害剤により前立腺のintracrineなアンドロゲン合成が選択的に抑制されることが期待される。したがって式(I)の化合物は、特に前立腺においてアンドロゲンに関連する疾患、即ち前立腺癌、前立腺肥大症の予防及び/又は治療剤として使用しうる。
【0076】
また上記試験結果から明らかなように、式(I)の化合物はヒト17βHSDtype3阻害活性が非常に弱いことから、精巣におけるヒト17βHSDtype3由来のテストステロン生合成への影響を与えることなく、17βHSDtype5選択的阻害作用により前立腺のintracrineなテストステロン合成を選択的に抑制することが期待できる。即ち式(I)の化合物は血中テストステロン濃度に対して影響を及ぼさないことから、血中テストステロン濃度の抑制による性機能障害などの副作用を伴わない前立腺肥大症や前立腺癌の治療及び/又は予防に使用しうる。
【0077】
さらに、上記医薬組成物と、上記効果を述べた記載を含むコマーシャルパッケージも有用である。
【0078】
式(I)の化合物又はその塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する製剤は、当分野において通常用いられている薬剤用担体、賦形剤等を用いて通常使用されている方法によって調製することができる。
【0079】
投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は、関節内、静脈内、筋肉内等の注射剤、坐剤、点眼剤、眼軟膏、経皮用液剤、軟膏剤、経皮用貼付剤、経粘膜液剤、経粘膜貼付剤、吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
【0080】
本発明による経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1種又は2種以上の有効成分を、少なくとも1種の不活性な賦形剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、及び/又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤やカルボキシメチルスターチナトリウム等のような崩壊剤、安定化剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
【0081】
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水又はエタノールを含む。当該液体組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
【0082】
非経口投与のための注射剤は、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤又は乳濁剤を含有する。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水又は生理食塩液が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール又はオリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、又はポリソルベート80(局方名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、又は溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解又は懸濁して使用することもできる。
【0083】
外用剤としては、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等を包含する。一般に用いられる軟膏基剤、ローション基剤、水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤等を含有する。例えば、軟膏又はローション基剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、白色ワセリン、サラシミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウロマクロゴール、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0084】
吸入剤や経鼻剤等の経粘膜剤は固体、液体又は半固体状のものが用いられ、従来公知の方法に従って製造することができる。例えば公知の賦形剤や、更に、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、滑沢剤、安定剤や増粘剤等が適宜添加されていてもよい。投与は、適当な吸入又は吹送のためのデバイスを使用することができる。例えば、計量投与吸入デバイス等の公知のデバイスや噴霧器を使用して、化合物を単独で又は処方された混合物の粉末として、もしくは医薬的に許容し得る担体と組み合わせて溶液又は懸濁液として投与することができる。乾燥粉末吸入器等は、単回又は多数回の投与用のものであってもよく、乾燥粉末又は粉末含有カプセルを利用することができる。あるいは、適当な駆出剤、例えば、クロロフルオロアルカン、ヒドロフルオロアルカン又は二酸化炭素等の好適な気体を使用した加圧エアゾールスプレー等の形態であってもよい。
【0085】
通常経口投与の場合、1日の投与量は、体重当たり約0.001〜100 mg/kg、好ましくは0.1〜30 mg/kg、更に好ましくは0.1〜10 mg/kgが適当であり、これを1回であるいは2乃至4回に分けて投与する。静脈内投与される場合は、1日の投与量は、体重当たり約0.0001〜10 mg/kgが適当で、1日1回乃至複数回に分けて投与する。また、経粘膜剤としては、体重当たり約0.001〜100 mg/kgを1日1回乃至複数回に分けて投与する。投与量は症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。
【0086】
式(I)の化合物は、前述の式(I)の化合物が有効と考えられる疾患の種々の治療又は予防剤と併用することができる。当該併用は、同時投与、あるいは別個に連続して、もしくは所望の時間間隔をおいて投与してもよい。同時投与製剤は、配合剤であっても別個に製剤化されていてもよい。
【0087】
以下、本発明の有効成分である式(I)の化合物の製造法を参考例として記載する。また式(I)の化合物の原料として用いた化合物中、新規化合物の製法を製造例として記載する。なお、式(I)の化合物の製造法は、以下に示される具体的参考例の製法のみに限定されるものではなく、これらの製造法の組み合わせ、あるいは公知の製法によっても製造し得る。
【0088】
以下の参考例は、本発明をより詳細に説明することを目的とし、本発明が下記参考例に限定されるものではない。本発明は参考例により十分に説明されているが、当業者にとり種々の変更や修飾が当然であろうことは理解される。したがって、その様な変更や修飾が本発明の範囲を逸脱するものでない限り、それらは本発明に含まれるものである。
【0089】
また、製造例、参考例、及び後記表中以下の略号を用いる。
Ex:参考例番号、REx:製造例番号、No:化合物番号、mp:融点、Data:物理化学的データ(FAB+:FAB-MS(M+H)+、FAB-:FAB-MS(M-H)-、ESI+:ESI-MS(M+H)+、ESI-:ESI-MS(M-H)-、API+:API-ES-MS(M+H)+、EI:EI-MS(M)+、CI:CI-MS(M+H)+、NMR-DMSOd6:DMSO-d6中の1H NMRにおけるピークのδ(ppm))、Str:構造式、Syn(REx):同様の方法で製造した製造例番号、Syn(Ex):同様の方法で製造した参考例番号、DME:ジメトキシエタン、DMF:N,N-ジメチルホルムアミド、DMSO:ジメチルスルホキシド、THF:テトラヒドロフラン、4M HCl/EtOAc:4mol / l 塩化水素酢酸エチル溶液、MeCN:アセトニトリル、MeOH:メタノール、tBuOH:tert-ブチルアルコール、RT:HPLCでの保持時間(分)。
【0090】
製造例1
ピペリジン-4-イル酢酸エチル 5 gのジオキサン50 ml及び水50 ml溶液に、0℃にて炭酸水素ナトリウム 3 gを加えた後、クロロギ酸ベンジル 4.6 mlを滴下し、室温にて3日間攪拌した。反応液を減圧下半量まで濃縮した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮して、ベンジル 4-(2-エトキシ-2-オキソエチル)ピペリジン-1-カルボシレート 8.9 gを無色油状物として得た。
【0091】
製造例2
ベンジル 4-(2-エトキシ-2-オキソエチル)ピペリジン-1-カルボシレート 8.9 gのTHF 100 ml溶液に、0℃にて1.4 Mメチルマグネシウムブロミドのトルエン-THF溶液 46 mlを加え、室温にて3時間攪拌した。反応液に1 M塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を併せて飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮して、ベンジル 4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ピペリジン-1-カルボキシレート 8.5 gを無色油状物として得た。
【0092】
製造例3
ベンジル 4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ピペリジン-1-カルボキシレート 8.5 gのメタノール 120 ml溶液に、10%パラジウム炭素500 mgを加え、水素雰囲気下、室温にて1日間攪拌した。不溶物をセライトを用いて濾去し、濾液を減圧下濃縮して、2-メチル-1-(ピペリジン-4-イル)-2-プロパノール 5.6 gを白色固体として得た。
【0093】
製造例4
エチル 7-クロロ-5-フルオロ-1H-インドール-2-カルボキシレート250 mgのメタノール2 ml溶液に、1 M水酸化ナトリウム水溶液5 mlを加え、室温にて3時間攪拌した。反応液に1 M塩酸を加えて酸性としたのち、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後減圧濃縮して、7-クロロ-5-フルオロ-1H-インドール-2-カルボン酸210 mgを白色固体として得た。
【0094】
製造例5
tert-ブチル 4-(2-オキソエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート 250 mgのTHF 5 ml溶液に、1.4Mメチルマグネシウムブロミドのトルエン-THF溶液1.2 mlを加え、室温にて2時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム:メタノール = 1:0-10:1]にて精製し、tert-ブチル 4-(2-ヒドロキシプロピル)ピペリジン-1-カルボキシレート 236 mgを無色油状物として得た。
各製造例化合物の構造式、製法及び物理化学的データを表に示す。
【0095】
【表3】

【0096】
参考例1
5-クロロインドール-2-カルボン酸 370 mg及び2-メチル-1-(ピペリジン-4-イル)-2-プロパノール300 mgのDMF 8 ml溶液に、1-エチル-3-(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 360mg及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール 250 mgを加え、室温にて1日間攪拌した。反応液に0.5 M塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を0.5 M水酸化ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム:メタノール = 1:0-10:1]にて精製し、ジイソプロピルエーテルから結晶化して、1−{1−[(5−クロロ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール 268 mgを白色結晶として得た。
【0097】
参考例24
5-メチルインドール-2-カルボン酸 1800 mg及び2-メチル-1-(ピペリジン-4-イル)-2-プロパノール1500 mgのDMF 25 ml溶液に、1-エチル-3-(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 2100 mg及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール 1500 mgを加え、室温にて1日間攪拌した。反応液に0.5 M塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を0.5 M水酸化ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム:メタノール = 1:0-10:1]にて精製し、酢酸エチル/ジイソプロピルエーテルの混液から結晶化して、2−メチル−1−{1−[(5−メチル−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}プロパン−2−オール 2140 mgを白色結晶として得た。
【0098】
参考例25
5-メトキシインドール-2-カルボン酸 478 mg及び2-メチル-1-(ピペリジン-4-イル)-2-プロパノール432 mgのDMF 8 ml溶液に、1-エチル-3-(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 575 mg及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール 169 mgを加え、室温にて1日間攪拌した。反応液に0.2M塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を0.2 M水酸化ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム:メタノール = 1:0-24:1]にて精製し、酢酸エチル/ジイソプロピルエーテルの混液から結晶化して、1−{1−[(5−メトキシ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール 683 mgを白色結晶として得た。
【0099】
参考例26
5H-[1,3]ジオキソロ[4,5-f]インドール-6-カルボン酸 150 mgのジクロロメタン 3 ml溶液に、0℃にて1 M三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液 1.5 mlを加え、室温にて8時間攪拌した。反応液に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を併せて飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。得られた白色固体のDMF 3 ml溶液中に、2-メチル-1-(ピペリジン-4-イル)-2-プロパノール 140 mg、1-エチル-3-(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 150 mg及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール 105 mgを加え、室温にて1日間攪拌した。反応液に0.5M塩酸を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を0.5 M水酸化ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム:メタノール = 1:0-10:1]にて精製し、酢酸エチル-ヘキサンを用いて固化して、2-{[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ピペリジン-1-イル]カルボニル}-1H-インドール-5,6-ジオール 42 mgを白色固体として得た。
【0100】
参考例27
2−メチル−1−{1−[(5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}プロパン−2−オール 838 mgのメタノール 15 ml溶液に、10%パラジウム炭素 80 mgを加え、水素雰囲気下室温で1日間攪拌した。不溶物をセライトを用いて濾去し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム:メタノール = 1:0-10:1]にて精製し、ヘキサン-酢酸エチルを用いて固化して、1-{1-[(5-アミノ-1H-インドール-2-イル)カルボニル]ピペリジン-4-イル}−2−メチルプロパン−2−オール 576 mgを淡褐色固体として得た。
【0101】
参考例28
1-{1-[(5-アミノ-1H-インドール-2-イル)カルボニル]ピペリジン-4-イル}−2−メチルプロパン−2−オール 105 mgのジオキサン 2 ml及びTHF 2 ml溶液に、無水酢酸 32 μlを加え、室温にて2時間攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム:メタノール = 1:0-10:1]にて精製し、酢酸エチル-ヘキサンを用いて固化して、N-(2-{[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ピペリジン-1-イル]カルボニル}-1H-インドール-5-イル)アセトアミド 110 mgを白色固体として得た。
【0102】
参考例29
1-{1-[(5-アミノ-1H-インドール-2-イル)カルボニル]ピペリジン-4-イル}−2−メチルプロパン−2−オール 127 mgのメタノール 3 ml溶液に、2,5-ジメトキシテトラヒドロフラン 90 μl及び酢酸 1 mlを加え、60℃にて1日間攪拌した。反応液に1 M 塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム:メタノール = 1:0-10:1]にて精製した後、酢酸エチル-ヘキサンから固化して、2-メチル-1-(1-{[5-(1H-ピロール-1-イル)-1H-インドール-2-イル]カルボニル}ピペリジン-4-イル)プロパン−2−オール 30 mgを白色固体として得た。
【0103】
参考例30
tert-ブチル 4-(2-ヒドロキシプロピル)ピペリジン-1-カルボキシレート 233 mgの酢酸エチル 4 ml溶液に、4 M HCl/EtOAc 3 mlを加え、室温にて2時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、4-(2-ヒドロキシプロピル)ピペリジン塩酸塩を得た。この4-(2-ヒドロキシプロピル)ピペリジン塩酸塩及びインドール-2-カルボン酸 155 mgのDMF 5 ml溶液に、トリエチルアミン 0.15 ml、1-エチル-3-(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 190 mg及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール 130 mgを加え、室温にて1日間攪拌した。反応液に0.5 M塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を0.5 M水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム:メタノール = 1:0-10:1]にて精製し、ジイソプロピルエーテルを用いて固化して、1-[1-(1H-インドール-2-イルカルボニル)ピペリジン-4-イル]プロパン−2−オール 49 mgを白色固体として得た。
【0104】
参考例31
インドール-2-カルボン酸 500 mg及びピペリジン-3-イル酢酸エチル 530 mgのDMF 8 ml溶液に、1-エチル-3-(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 610 mg及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール 430 mgを加え、室温にて2時間攪拌した。反応液に0.5 M塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を0.5 M水酸化ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後減圧下濃縮して、[1-(1H-インドール-2-イルカルボニル)ピペリジン-3-イル]酢酸エチル 519 mgを得た。この[1-(1H-インドール-2-イルカルボニル)ピペリジン-3-イル]酢酸エチル 392 mgのTHF 7 ml溶液に、水素化ホウ素リチウム 30 mgを加え、室温にて1日間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ヘキサン:酢酸エチル = 1:0-2:1]にて精製し、ジイソプロピルエーテルから結晶化して、2-[1-(1H-インドール-2-イルカルボニル)ピペリジン-3-イル]エタノール 92 mgを白色固体として得た。
【0105】
参考例32
4−ピペリジンエタノール 4.1mg、5−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸 5.3mg、及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール 4.0mgのDMF 0.6ml溶液に、室温にてPS-カルボジイミド(PS-Carbodiimide:アルゴノートテクノロジー社) 100mgを加え終夜撹拌した。反応液にMP-カルボナート(MP-Carbonate:アルゴノートテクノロジー社) 50mg及びPS-イソシアナート(PS-Isocyanate:アルゴノートテクノロジー社)50mgを室温にて加え2時間攪拌し、不溶物を濾過した。濾液を減圧下濃縮し2−{1−[(5−フルオロ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}エタノール8.8mgを得た。
【0106】
ここで、RTを求めるために行ったHPLCの条件を以下に示す。
カラム:Wakosil−II 5C18AR(登録商標)(粒径:5μm、内径:2.0mm、長さ:30mm)
【0107】
【表4】

移動相:Asol 5mMトリフルオロ酢酸水溶液、Bsol メタノール
流速:1.2ml/min
検出波長:254nm
カラム温度:35.0℃
注入量:5μl
【0108】
上記記載の参考例の方法と同様にして、後記表に示す参考例48までの化合物を製造した。各参考例化合物の製造法及び構造を表5、6、9、及び10に、物理化学的データを表7、8、及び11にそれぞれ示す。
【0109】
また、表12に本発明の別の化合物の構造を示す。これらは、上記の製造法や参考例に記載の方法及び当業者にとって自明である方法、又はこれらの変法を用いることにより、容易に合成することができる。

【0110】
【表5】

【0111】
【表6】

【0112】
【表7】

【0113】
【表8】

【0114】
【表9】

【0115】
【表10】

【0116】
【表11】

【0117】
【表12】

【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明医薬の有効成分である化合物は、17βHSDtype5の選択的阻害作用と、これに基づく良好な薬理作用を有することから、本発明の医薬組成物は、17βHSDtype5の関与する疾患、特に前立腺癌、前立腺肥大、アクネ、脂漏症、多毛症、禿頭症、脱毛症、性早熟症、副腎肥大、多嚢胞性卵巣症候群、乳癌、肺癌、子宮内膜症又は平滑筋腫等の治療及び/又は予防剤として使用しうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又はその塩、及び製薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物。
【化9】

[式中、
1、R2、及びR3は、同一又は互いに異なって、H又は低級アルキル;
4、R5、R6、R7、及びR8は、同一又は互いに異なって、H、低級アルキル、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、ニトロ、−X−置換されていてもよいシクロアルキル、−X−置換されていてもよいアリール、−X−置換されていてもよいヘテロ環基、−X−COOR0、−X−CONR1011、−X−CN、−X−OR0、−X−SR0、−X−S(O)−低級アルキル、−X−S(O)2−低級アルキル、−X−NR1011、−X−NR0C(O)R10、−X−NR0C(O)OR10、−X−NR0C(O)NR1011、−X−NR0S(O)210、−X−O−ハロゲノ低級アルキル、−X−O−X−置換されていてもよいシクロアルキル、−X−O−X−置換されていてもよいアリール、−X−O−X−置換されていてもよいヘテロ環基、又は−X−O−低級アルキレン−OR0
あるいはR6とR7が一体となって−O−低級アルキレン−O−;
0は、同一又は互いに異なって、H又は低級アルキル;
10及びR11は、同一又は互いに異なって、H、低級アルキル、ハロゲノ低級アルキル、−X−シクロアルキル、−X−アリール、又は−X−ヘテロ環基;
あるいはR10及びR11がそれらが結合するNと共に置換されていてもよい飽和ヘテロ環基を形成;
Xは、同一又は互いに異なって、結合又は低級アルキレンである。]
【請求項2】
式(Ia)の化合物又はその塩、及び製薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物。
【化10】

[式中、各記号の意味は請求項1と同じである。]
【請求項3】
1及びR3がHである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
4、R5、R7、及びR8が、同一又は互いに異なって、H、低級アルキル、ハロゲン、又は−O−低級アルキルであり、R6がH、低級アルキル、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、ニトロ、シクロアルキル、OH、又は−O−低級アルキルである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
1及びR2が低級アルキル、並びにR3がHである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
4、R5、R7、及びR8が、同一又は互いに異なって、H、低級アルキル、ハロゲン、又は−O−低級アルキルである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
6がH、低級アルキル、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、ニトロ、シクロアルキル、OH、又は−O−低級アルキルである、請求項5又は6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
6が低級アルキル、ハロゲン、又は−O−低級アルキルである、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
1−[1−(1H−インドール−2−イルカルボニル)ピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパン−2−オール;
2−メチル−1−{1−[(4−メチル−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}プロパン−2−オール;
2−メチル−1−{1−[(5−メチル−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}プロパン−2−オール;
1−{1−[(3,5−ジメチル−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール;
1−{1−[(5−tert−ブチル−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール;
1−{1−[(4−フルオロ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール;
1−{1−[(5−フルオロ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール;
1−{1−[(4−クロロ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール;
1−{1−[(5−クロロ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール;
1−{1−[(5−ブロモ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール;
1−{1−[(7−クロロ−5−フルオロ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール;
2−{[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ピペリジン−1−イル]カルボニル}−1H−インドール−5−オール;
1−{1−[(4−メトキシ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール;
1−{1−[(5−メトキシ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール;
1−{1−[(6−メトキシ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパン−2−オール;
2−メチル−1−(1−{[5−(トリフルオロメトキシ)−1H−インドール−2−イル]カルボニル}ピペリジン−4−イル)プロパン−2−オール;及び
2−メチル−1−{1−[(5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}プロパン−2−オール;
から選択される化合物又はその塩、及び製薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物又はその塩を含有する17βHSDtype5の関与する疾患の予防用若しくは治療剤。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物又はその塩を含有する前立腺癌の予防用若しくは治療剤。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物又はその塩を含有する17βHSDtype5の阻害剤。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物又はその塩を含有する医薬組成物、及び、請求項1に記載の化合物又はその塩が、前立腺癌を治療及び/又は予防するために使用され得る又は使用されるべき旨の記載を含むコマーシャルパッケージ。

【公開番号】特開2010−222350(P2010−222350A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39619(P2010−39619)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【Fターム(参考)】