説明

ピペリジンGPCR作動薬

式(I):


(I)
の化合物、またはその医薬的に許容される塩はGPCR作動薬であり、糖尿病および肥満症の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はGタンパク質共役受容体(GPCR)アゴニストに関する。特に、本発明は肥満症の治療(例えば、満腹、メタボリックシンドロームの調節剤として)および糖尿病の治療に有用なGPR119のアゴニストに関する。
【背景技術】
【0002】
肥満症は、体の大きさに比して過剰の脂肪組織量が特徴である。臨床的には、体脂肪量は、肥満度指数(BMI;体重(kg)/身長(m)2)、またはウエスト周りで見積もられる。BMIが30より大きく、過体重である医学的結果が評価された場合、ヒトは肥満と考えられる。増加した体重が、特に腹部の体脂肪の結果としての増加した体重が、糖尿病、高血圧症、心臓病、および数多くの他の健康上の合併症、例えば、関節炎、脳卒中、胆汁膀胱疾患、筋肉および呼吸器の問題、腰痛およびある種の癌も含めた増加したリスクに関連しているということは、しばらくは受け入れられた医学的見地である。
【0003】
肥満症治療の薬理的アプローチは、エネルギー摂取と消費のバランスを改善することで脂肪量が減少することに主に関与している。多くの研究のより、エネルギー恒常性の調節に関与する肥満と脳回路網とのリンクがはっきりと立証されている。直接的および間接的証拠により、セロトニン作動性、ドパミン作動性、アドレナリン作動性、コリン作動性、エンドカンナビノイド、オピオイド、およびヒスタミン作動性経路が、多くの神経ペプチド経路(例えば、神経ペプチドYおよびメラノコルチン類)と共に、エネルギー摂取と消費の中枢での制御に関係していることが示唆されている。視床下部の中枢も、体重の維持および肥満度に関連する末梢ホルモン類(例えば、インスリンおよびレプチン)、および脂肪組織由来のペプチド類を検知できる。
【0004】
インスリン依存性I型糖尿病およびインスリン非依存性II型糖尿病に関連する病態生理を狙った薬物は、多くの潜在的な副作用を有し、患者の高い割合において脂質代謝異常および高血糖症には十分に注力していない。治療はしばしば、食餌制限、運動、低血糖剤およびインスリンを用いて個々の患者のニーズに焦点が当てられているが、新規な抗糖尿病剤、特にほとんど副作用を伴わないより許容できる薬剤の継続的な要求がある。
【0005】
同様に、メタボリックシンドローム(シンドロームX)は、人々を冠動脈疾患の高い危険性に陥れ、それは危険因子の集合、例えば、中心性肥満(腹部における過剰な脂肪組織)、耐糖能障害、高トリグリセリドおよび低HDLコレステロール、並びに高血圧の特徴を有する。心筋の虚血および微小血管障害は、未処置のほとんど制御されていないメタボリックシンドロームに関連している確立された羅患である。
新規な抗肥満薬および抗糖尿病薬、特にほとんど副作用を伴わないよく許容される薬剤の継続的な要求がある。
【0006】
GPR119(以前はGPR116と称された)は、ヒトおよびラットの両方の受容体を開示したWO 00/50562でSNORF25として同定されたGPCRであり、米国特許第6,468,756号も、マウスの受容体を開示している(受け入れ番号:AAN95194(ヒト)、AAN95195(ラット)およびANN95196(マウス))。
ヒトにおいて、GPR119は膵臓、小腸、大腸および脂肪組織に発現される。ヒトGPR119受容体の発現プロファイルは、肥満症および糖尿病の治療のターゲットとして潜在的な利用可能性を示唆している。
【0007】
国際特許出願WO 2005/061489、WO 2006/070208およびWO 2006/067532によって、GPR119受容体アゴニストとしてヘテロ環誘導体が開示される。国際特許出願WO 2006/067531、WO 2007/003960、WO 2007/003961、WO 2007/003962およびWO 2007/003964、WO 2007/116230およびWO 2007/116229には、GPR119受容体アゴニストが開示される。
本発明は、糖尿病の治療、および満腹の末梢制御剤として、例えば肥満症およびメタボリックシンドロームの治療に有用なGPR119のアゴニストに関する。
【0008】
(発明の概要)
式(I):
【化1】

(I)
の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、GPR119の作動薬であり、糖尿病および肥満の予防的または治療的処置に有用である。
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式(I):
【化2】

(I)
[式中、
1は、
【化3】

であり、その中で、W、XおよびYのうち1つはNまたはCHであり、かつ残りはCHであり、ここで、存在する該HはR5で置換されていてもよく;並びにTおよびUの一方はOであり、かつ他方はNであり;
2およびR3は独立して、水素、メチルおよびフルオロから選択され;
4は、水素またはメチルであり;
nは、0、1または2であり;
rおよびsは独立して、1および2から選択され、並びに該(CH2r単位のうち1つのCH2基は、CH(OH)、CH(CH3)またはCH(CF3)で適宜置換されていてもよく;
Qは、CHまたはNであり;
5は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、フルオロ、クロロまたはC1-3フルオロアルキルであり;並びに
6はC2-5アルキルである]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩に関する。
【0010】
本発明の一態様において、R1は、
【化4】

である。
本発明のこの態様の一実施形態において、TはOであり、他の実施形態において、UはOである。
Tは、好ましくはOである。
Uは、好ましくはNである。
【0011】
本発明のさらなる態様において、R1は、
【化5】

である。
本発明のこの態様において、WおよびXは、好ましくはCHである。W、XおよびYは、CHであってもよく、より好ましくは、WおよびXはCHであり、YはNである。
【0012】
2およびR3の一方または両方は、好ましくはメチルであり、例えば、R2およびR3の一方はメチルであり、他方は水素である。好ましくは、R2およびR3は、両方が水素ではない。
本発明の一実施形態において、R4は水素であり、別の実施形態において、R4はメチルである。R4は、好ましくは水素である。R4がメチルである場合、形成される立体中心は、好ましくは(R)−配置を有する。
nは、好ましくは1である。
【0013】
nが1である場合、R5は、好ましくは、ピペリジニル窒素への結合点に対しメタ位またはパラ位にあり、より好ましくはパラ位にある。
rおよびsの一方は、好ましくは1であり、他方は2である。
挙げることができる化合物の群は、単位(CH2rの1個のCH2基が、CH(OH)、CH(CH3)またはCH(CF3)で置換されていない化合物である。
挙げることができる化合物のさらなる群は、単位(CH2rの1個のCH2基が、CH(OH)で置換されている化合物である。
【0014】
Qは、好ましくはCHである。
5は、好ましくは、C1〜3アルキル、フルオロ、クロロまたはC1〜3フルオロアルキル、例えば、C1〜3アルキル、フルオロまたはクロロであり、より好ましくは、R5はクロロである。
6は、好ましくはC2〜4アルキル、より好ましくはC2〜3アルキル、特にエチル、n−プロピルまたはイソプロピルである。
【0015】
各変数の好ましい群は一般的には、各変数に個々に上記で挙げられているが、本発明の好ましい化合物には、式(I)におけるいくつかのまたは各々の変数が、好ましい、更に好ましい、または特に挙げられた各変数の群から選択される群が含まれる。したがって、本発明は、好ましい、更に好ましい、または特に挙げられた群のすべての組合せを含む趣旨である。
言及されてもよい本発明の特定の化合物は、実施例に含まれる化合物およびその医薬的に許容される塩である。
【0016】
本明細書で用いられているように、特に断りがなければ、「アルキル」は、直鎖もしくは分枝鎖、またはその組合せであってもよい炭素鎖を意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチルが含まれる。
「フルオロアルキル」とは、一つ以上のフルオロ原子で置換されたアルキル基、例えばCHF2およびCF3をいう。
【0017】
本明細書中に記載されている化合物は、1つ以上の不斉中心を含んでいてもよく、したがって、ジアステレオマーおよび光学異性体を生じうる。本発明には、すべてのかかる可能なジアステレオマー、並びにラセミ体混合物、十分に純度の高い分割されたエナンチオマー、すべての可能な幾何異性体、およびその医薬的に許容される塩が含まれる。上記の式(I)は、いくつかの位置で明確な立体化学を示さずに表されている。本発明には、式(I)のすべての立体異性体およびその医薬的に許容される塩が含まれる。更に、立体異性体並びに単離された特定の立体異性体も含まれる。かかる化合物を製造するのに用いられる合成処置工程の間、または当業者に公知のラセミ化またはエピマー化工程を用いる際、かかる工程の生成物は立体異性体の混合物であり得る。
【0018】
式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩が溶媒和物または多形体で存在する場合、本発明にはいずれの可能な溶媒和物および多形体が含まれる。溶媒和物を形成する溶媒の種類は、医薬的に許容される溶媒である限り特に制限はない。例えば、水、エタノール、プロパノール、アセトンなどが用いられ得る。
【0019】
用語「医薬的に許容される塩」とは、医薬的に許容される無毒性の塩基または酸から調製された塩をいう。塩基から生じる塩には、塩基から生じるもの、例えば、カリウム塩およびナトリウム塩などが含まれる。医薬的に許容される無毒性の酸から生じる塩には、無機酸および有機酸、例えば、塩酸、メタンスルホン酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸などから生じるものが含まれる。
【0020】
式(I)の化合物は医薬用途を意図されているので、十分に純度の高い形体で提供されるのが好ましく、例えば、少なくとも純度60%、より好ましくは少なくとも純度75%、特に好ましくは少なくとも純度98%である(%は重量%である)。
式(I)の化合物を下記のように製造してもよい。PGは保護基を表し、R1、R2、R3およびR4並びにrは上記と同義である。XはOHまたは置換可能な基であり、AkはC1-2アルキルである。
【0021】
4がMeである式(I)の化合物の単一不斉構成単位(Unichiral building block)は、既知の化合物から容易に製造することができる(反応式1)。例えば、化合物(II)(式中、PGはBocである)のエチルエステルが、以前に報告されている(米国特許第6,518,423号)。標準条件下でのけん化および水素化により、式(III)のラセミ化合物が得られる。好適な条件下でのアルケン酸(II)の不斉還元、例えば不斉触媒の存在下での水素化等により、高い鏡像異性体過剰率で式(III)の化合物が得られる。好適な触媒の例は、[Rh(ノルボルナジエン)2]BF4および(S)−1−[(R)−2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセニル]エチルビス(2−メチルフェニル)ホスフィンである。次いで、標準条件下において、例えばTHF等の好適な溶媒中のボランを使用して、式(III)のカルボン酸の還元により、式(IV)の化合物を得ることができる。
反応式1
【化6】

【0022】
式(V)(式中、R3=Hである)の化合物は既知の化合物である(反応式2、Siegel, M. G. et al. Tetrahedron 1999, 55, 11619-11639)。式(VII)の化合物は、標準条件下で式(V)の化合物から製造することができる。例えば、臭化シアンによる式(V)の化合物の処理、続いて得られたシアナミド(VI)の標準条件下での式(VIII)の化合物との縮合により、式(VII)の化合物が得られる。式(VIII)の化合物は、商業的に入手可能であるか、または周知の技術を使用して、対応するカルボン酸から容易に製造される。
反応式2
【化7】

【0023】
式(I)の化合物は、反応式3に概説されるように製造することができる。式(XI)(式中、QはCHである)の化合物は、例えば光延条件下での式(IX)(式中、X=OHであり、Q=CHである)のフェノールと式(X)のアルコールとの反応により、合成することができる。式(XI)(式中、QはNである)の化合物は、式(X)の化合物のアルコキシドと、式(IX)(式中、X=置換可能な基であり、Q=Nである)の化合物との反応により合成することができる。続いて、当業者に周知の条件を使用した式(XI)の化合物からの保護基の除去、および適切な6員へテロ芳香族ハロゲン化物との反応、または、以下の反応式4に概説されているような化学を使用した、保護されていないピペリジン部分のピペリジンオキサジアゾール部分への変換により、式(XII)の化合物が得られる。当業者に周知の標準条件下での、エステルのけん化、続いてアミド結合形成により、上述のような式(I)の化合物が得られる。
反応式3
【化8】

【0024】
具体的には、R1がオキサジアゾリル(T=O、U=N)であり、R2がMeであり、R3がHである式(I)の化合物は、反応式4に概説されるように製造することができる。例えば、当業者に周知の条件を使用した式(XIII)の化合物からの保護基の除去、続いて臭化シアンとの反応、および続く得られたシアナミド(XIV)の標準条件下での式(XV)の化合物との縮合により、式(XVI)の化合物が得られる。式(XV)の化合物は、商業的に入手可能であるか、または周知の技術を使用して、対応するカルボン酸から容易に製造される。当業者に周知の標準条件下での、エステルのけん化、続いてアミド結合形成により、上述のような式(I)の化合物が得られる。
反応式4
【化9】

【0025】
また、QがCHであり、R1がオキサジアゾリル(T=O、U=N)であり、R2およびR3がMeである式(I)の化合物は、反応式5に概説されるように製造することができる。K2CO3を含むスルホラン中での、式(XVII)の化合物(式(VII)の化合物から容易に製造され得る)と4−ブロモ−3,5−ジメチル−フェノールとの85℃での反応により、式(XVIII)の化合物が得られる。続いて、THF中−78℃でのn−ブチルリチウムとの反応、続くCO2でのクエンチにより、式(IX)の化合物が得られる。続いて、当業者に周知の標準条件下でのアミド結合形成により、上述のような式(I)の化合物が得られる。
反応式5
【化10】

【0026】
また、QがCHであり、R1が6員へテロ芳香族基であり、R2およびR3がMeである式(I)の化合物は、反応式6に概説されるように製造することができる。K2CO3を含むスルホラン中での、式(XX)の化合物(対応するアルコールから容易に製造され得る)と4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノールとの85℃での反応により、式(XXI)の化合物が得られる。続いて、THF中−78℃でのn−ブチルリチウムとの反応、続くCO2でのクエンチにより、式(XXII)の化合物が得られる。好適な条件下での、式(XXII)の化合物と適切な6員へテロ芳香族ハロゲン化物との反応により、式(XXIII)の化合物が得られる。好適な条件の一例は、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エンの存在下でのDMSOにおける標準的置換条件である。続いて、当業者に周知の標準条件下でのアミド結合形成により、上述のような式(I)の化合物が得られる。
反応式6
【化11】

【0027】
他の式(I)の化合物を、上記に類似する方法で、またはそれ自体知られている方法で製造してもよい。式(I)の化合物の製造についてのさらなる詳細は実施例に見られる。
式(I)の化合物は、別々に、または少なくとも2個、例えば5〜1,000個の化合物で、より好ましくは10〜100個の式(I)の化合物を含む化合物のライブラリーとして製造してもよい。化合物のライブラリーは、当業者に公知の方法を用いて、溶液相または固相化学で、組み合わせられた「分離および混合」アプローチによって、または多様なパラレル合成によって製造してもよい。
【0028】
式(I)の化合物の合成中、中間体化合物中の不安定な官能基、例えば、ヒドロキシ、カルボキシおよびアミノ基は、保護してもよい。保護基は式(I)の化合物の合成のいずれの段階で除去してもよく、または最終の式(I)の化合物に存在してもよい。様々な不安定な官能基が保護され得る方法、および生じた保護された誘導体を除去する方法の包括的な議論は、例えば、書籍[Protective Groups in Organic Chemistry, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, (1991) Wiley-Interscience, New York, 2nd edition]に記載される。
【0029】
いずれの新規な中間体、例えば上記で定義したものは、式(I)の化合物の合成に使用してもよく、そのため、例えば、式(IX)、(XII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XXII)および(XXIII)のいずれか一つの化合物、またはその塩もしくは保護誘導体もまた、本発明の範囲に包含される。
上記の式(I)の化合物の製造方法もまた、本発明のさらなる態様を表す。
上記で述べたように、式(I)の化合物は、GPR119アゴニストとして、例えば、肥満症および糖尿病の治療および/または予防に有用である。そのような用途のために、式(I)の化合物は、医薬組成物の形態で一般的に投与される。
本発明はまた、医薬用途のために、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩も提供する。
【0030】
本発明はまた、医薬的に許容される担体と組み合わせて、式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
好ましくは、該組成物は、医薬的に許容される担体、および式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の無毒性の治療上の有効量からなる。
更に、本発明はまた、医薬的に許容される担体、および無毒性の治療上の有効量の式(I)の化合物もしくはその医薬的に許容される塩を含む、GPR119を調節することで肥満症の予防的または治療的処置となる、例えば満腹を調整することによる疾患の治療用、または糖尿病の治療用医薬組成物も提供する。
【0031】
医薬組成物は他の治療成分または補助剤を適宜含んでいてもよい。いずれの所定の場合、最も適した経路は、特定の宿主、並びに活性成分が投与される症状の性質および重篤さによるが、該組成物には、経口、直腸、局所、および非経口(皮下、筋肉内、および静脈内を含む)投与に適した組成物が含まれる。医薬組成物は、製剤単位で都合よく提供され得、好ましくは医薬分野でよく知られたいずれかの方法で製造されうる。
【0032】
実際、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩は、通常の医薬化合技術に従い、医薬担体との密な混合物に、活性成分として混合され得る。担体は、投与、例えば、経口または(静脈内を含む)非経口のための目的の製剤形によって広く様々に用いられ得る。
【0033】
従って、医薬組成物は、活性成分のあらかじめ定められた量を各々含む、カプセル剤、カシュ剤または錠剤のような経口投与に適した分離した単位として提供されうる。更に、組成物は、散剤として、顆粒剤として、溶液として、懸濁液として、水系液体中、非水系液体として、油/水乳濁液として、または水/油液体乳濁液として提供されうる。上記で述べられた一般的な製剤に加えて、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩は、制御された放出方法および/または送達器具でも投与され得る。組成物はいずれかの薬学的方法で製造されうる。一般的に、かかる方法には、1またはそれ以上の必要な成分を構成する担体と共に活性成分を組み入れる工程を含む。一般的に、組成物は、活性成分を、液体担体もしくは微細に分割された固体担体、または両方と均一に、完全に混合して製造される。生成物は次いで、目的の表示に都合よく形成され得る。
【0034】
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩はまた、1またはそれ以上の他の治療上の活性化合物と組み合わせた医薬組成物も含まれうる。
用いられる医薬担体は、例えば、固体、液体、または気体があり得る。固体担体の例には、乳糖、白土(terra alba)、ショ糖、タルク、ゼラチン、カンテン、パクチン、アラビアガム、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が含まれる。液体担体の例は、糖シロップ、落花生油、オリーブ油、および水である。気体担体の例には、二酸化炭素および窒素が含まれる。
【0035】
経口製剤用の組成物の製造には、いずれの通常の医薬溶媒も用いられ得る。例えば、水、グリコール類、油、アルコール類、香料、保存剤、着色剤などは、懸濁液、エリキシル剤および溶液のような経口液体製剤を形成するのに用いられ得;一方、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような担体は、散剤、カプセル剤および錠剤のような経口固形製剤を形成するのに用いられ得る。投与のし易さから、錠剤およびカプセル剤は固形医薬担体が用いられる好ましい経口製剤である。適宜、錠剤は標準的な水系または非水系技術でコーティングしてもよい。
【0036】
本発明の組成物を含む錠剤は、圧縮成形または成形によって、適宜1またはそれ以上の補助的な成分または補助剤と共に製造され得る。圧縮成形される錠剤は、適当な機械で、活性成分を、適宜、結合剤、滑沢剤、不活性な希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合して、散剤または顆粒剤のような流動性の形態に、圧縮して製造され得る。成形される錠剤は、適当な機械で、湿らされた粉末の化合物の混合物を、不活性な液体希釈剤と共に、成形して製造してもよい。各錠剤は、好ましくは約0.05mg〜約5gの活性成分を含み、各カシュ剤またはカプセル剤は好ましくは約0.05mg〜約5gの活性成分を含む。
【0037】
例えば、ヒトへの経口投与を意図された製剤は、全組成物の約5〜約95%に変化し得る適切で好ましい担体物質の量と化合される、約0.5mg〜約5gの活性剤を含み得る。単位製剤は一般的に、約1mg〜約2gの活性成分、典型的には25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg、または1000mg含まれる。
【0038】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、活性化合物の水溶液または水懸濁液として製造してもよい。適当な界面活性剤には、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースが含まれうる。分散剤はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール中、およびそれの油中の混合物中に製造され得る。更に、保存剤が微生物の有害な成長を防ぐために含まれうる。
【0039】
注射用途に適した本発明の医薬組成物には、無菌水溶液または分散液が含まれる。更に、組成物は、無菌注射溶液または分散液の用時調製製剤用の無菌散剤の形態であり得る。
すべての場合において、最終的な注射用製剤は無菌でなければならず、容易に注入操作ができる効果的な流動性を有さなければならない。医薬組成物は製造および保存条件下安定でなければならず;したがって、好ましくは細菌および真菌のような微生物の汚染の作用に対して保護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、植物油、およびそれらの好ましい混合物を含む溶媒または分散溶媒であり得る。
【0040】
本発明の医薬組成物は、局所的な使用に適した形態、例えば、エアゾール、クリーム、軟膏剤、ローション、散布剤などであり得る。さらに、組成物は、経皮器具の使用に適した形態であり得る。これらの製剤は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を用いて、通常の製造方法を経由して製造してもよい。例として、クリーム剤または軟膏剤は、約5重量%〜約10重量%の化合物と共に親水性物質と水を混合して製造し、目的の濃度を有するクリーム剤または軟膏剤を生成する。
【0041】
本発明の医薬組成物は、担体が固体である直腸投与に適した形態であり得る。好ましくは、混合物が単位用量の坐剤を形成する。適当な担体には、ココアバターや当該技術分野で一般的に用いられる他の物質が含まれる。坐剤は最初、組成物を柔らかくするまたは溶ける担体と混ぜ、続いて鋳型中冷やして成形して、容易に形成され得る。
【0042】
前述の担体成分に加えて、上述の医薬製剤には、必要に応じて、1またはそれ以上の別の担体成分、例えば、希釈剤、緩衝剤、香料、結合剤、界面活性剤、増粘剤、滑沢剤、保存剤(抗酸化剤を含む)などが含まれうる。更に、他の補助剤は、製剤を意図された受給者の血液と等張にするように含まれうる。式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む組成物はまた、粉末または液体濃縮製剤に製造され得る。
【0043】
一般的に、1日あたり0.01mg/kg(体重)〜約150mg/kg(体重)の用量レベルが、上記の症状の治療に有用であり、あるいは1日あたり患者に約0.5mg〜約7gが有用である。例えば、肥満症は、1日あたり体重1kgあたりの化合物が約0.01〜50mgの投与により、あるいは1日あたり患者に約0.5mg〜約3.5gにより効果的に投与され得る。
【0044】
しかしながら、いずれの特定の患者の特定の用量は、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食餌、投与時間、投与経路、排泄時間、薬の組合せおよび治療を受ける特定の疾患の重篤さを含む様々なファクターによることは理解されるところである。
式(I)の化合物は、GPR119による疾患または症状の治療に用いられ得る。
【0045】
したがって、本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与する段階を含む、GPR119による疾患または症状の治療方法も提供する。GPR119による疾患または症状には、肥満症および糖尿病が含まれる。本出願の文言上、肥満症の治療は、例えば、食欲および体重の減少、体重減少の維持による、肥満症および過剰の食物摂取に関連する他の摂食障害のような疾患または症状の治療、並びにリバウンドおよび糖尿病(1型および2型糖尿病、耐糖能障害、インスリン耐性、並びに、神経障害、腎障害、網膜症、白内障、心血管合併症および脂肪代謝異常のような糖尿病性合併症を含む)の予防を包含する意図である。機能性胃腸障害につながる経口摂取された脂肪への異常な感受性を有する患者の治療も意図される。本発明の化合物は、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、耐糖能障害、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル症(low HDL level)および高血圧症のような代謝疾患の治療にも用いられ得る。
【0046】
本発明の化合物は、β細胞の保護、cAMPおよびインスリン分泌の増加、並びに胃内容排出の遅延もまた提供しうるという点において、上述の障害の治療のために異なるメカニズムで作用する化合物に対して利点を提供しうる。
本発明の化合物はまた、骨量の減少の特徴を有する症状、例えば、骨減少症(asosteopenia)、骨粗鬆症、関節リウマチ、骨関節炎、歯周病、歯槽骨減少、骨切り術の骨減少(osteotomy bone loss)、小児突発性骨減少、パジェット病、転移性癌による骨減少、溶骨性病変、脊椎の湾曲および身長の低下の治療に用いられてもよい。
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与する段階を含む、満腹の制御方法も提供する。
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与する段階を含む、肥満症の治療方法も提供する。
【0047】
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与する段階を含む、1型および2型糖尿病(特に、2型糖尿病)を含む糖尿病の治療方法も提供する。
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与する段階を含む、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、耐糖能障害、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル症または高血圧症の治療方法も提供する。
【0048】
本発明はまた、上記で定義された症状の治療に使用される式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩も提供する。
本発明はまた、上記で定義された症状の治療剤の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用も提供する。
本発明の方法の中で、用語「治療(処置)」には、治療的および予防的処置の両方が含まれている。
【0049】
式(I)の化合物は、公知のGPR119アゴニスト類と比較して有利な特性を示し、例えば、該化合物は、改善された効力(potency)もしくは代謝プロファイル、または化合物が医薬品として用いられるための他の有利な特性を示しうる。
式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、単独で投与してもよく、または一つ以上の他の治療上活性な化合物と組み合わせて投与してもよい。他の治療上活性な化合物は、式(I)の化合物と同じ疾患もしくは症状の治療用、または異なる疾患もしくは症状の治療用であってもよい。治療上活性な化合物は、同時に、連続して、または別々に投与してもよい。
【0050】
式(I)の化合物は、肥満症および/または糖尿病の治療のための他の活性化合物、例えば、インスリンおよびインスリン類似化合物、胃リパーゼ阻害剤、膵臓リパーゼ阻害剤、スルホニル尿素および類似化合物、ビグアナイド、α2アゴニスト、グリタゾン、PPAR−γアゴニスト、混合PPAR−α/γアゴニスト、RXRアゴニスト、脂肪酸酸化阻害剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、GLP−1作動薬、例えばGLP−1類似体および模倣薬(mimetics)、β−アゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害剤、脂質低下剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、抗肥満薬、例えば、膵臓リパーゼ阻害剤、MCH−1アンタゴニストおよびCB−1アンタゴニスト(またはインバースアゴニスト)、アミリンアンタゴニスト、リポキシゲナーゼ阻害剤、ソモスタチン(somostatin)類似化合物、グルコキナーゼ活性化剤、グルカゴンアンタゴニスト、インスリン情報伝達アゴニスト、PTP1B阻害剤、糖新生阻害剤、抗脂肪分解剤、GSK阻害剤、ガラニン受容体アゴニスト、摂食障害剤、CCK受容体アゴニスト、レプチン、セロトニン作動性/ドパミン作動性抗肥満薬、再取り込み阻害剤、例えば、シブトラミン、CRFアンタゴニスト、CRF結合タンパク質、サイロミメティック化合物、アルドース還元酵素阻害剤、グルココルチコイド受容体アンタゴニスト、NHE−1阻害剤またはソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤と共に投与してもよい。
【0051】
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および少なくとも1つの他の抗肥満薬の投与からなる組合せ療法も、更なる本発明の態様を表す。
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および他の抗肥満薬を、治療が必要な哺乳動物に投与することを含む、ヒトのような哺乳動物における肥満症の治療方法も提供する。
【0052】
本発明はまた、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および肥満症治療用の別の抗肥満薬の使用を提供する。
本発明はまた、肥満症治療用の別の抗肥満薬と組み合わせた薬物の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用を提供する。
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および他の抗肥満薬は、共に投与、または連続してもしくは分離して投与してもよい。
【0053】
共投与には、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および別の抗肥満薬の両方を含んだ製剤の投与、または各剤の異なる製剤の同時もしくは別々の投与が含まれる。式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および他の抗肥満薬のプロファイルが許容するなら、その2つの薬剤の組合せが好ましい場合がある。
【0054】
本発明はまた、肥満症の治療用の薬物の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および別の抗肥満薬の使用を提供する。
本発明はまた、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および他の抗肥満薬、および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、上述の方法におけるかかる組成物の使用を包含する。
GPR119アゴニストは、中枢性抗肥満薬と組み合わせた特異的な使用である。
【0055】
本発明のこの態様による組合せ両方に用いられる他の抗肥満薬は、好ましくは、CB−1修飾因子、例えば、CB−1アンタゴニストまたはインバースアゴニストである。CB−1修飾因子の例には、SR141716(リミナバン)およびSLV−319((4S)−(−)−3−(4−クロロフェニル)−N−メチル−N−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−カルボキサミド);並びにEP576357、EP656354、WO 03/018060、WO 03/020217、WO 03/020314、WO 03/026647、WO 03/026648、WO 03/027076、WO 03/040105、WO 03/051850、WO 03/051851、WO 03/053431、WO 03/063781、WO 03/075660、WO 03/077847、WO 03/078413、WO 03/082190、WO 03/082191、WO 03/082833、WO 03/084930、WO 03/084943、WO 03/086288、WO 03/087037、WO 03/088968、WO 04/012671、WO 04/013120、WO 04/026301、WO 04/029204、WO 04/034968、WO 04/035566、WO 04/037823 WO 04/052864、WO 04/058145、WO 04/058255、WO 04/060870、WO 04/060888、WO 04/069837、WO 04/069837、WO 04/072076、WO 04/072077、WO 04/078261およびWO 04/108728、並びにその中に開示される引例に開示される化合物が含まれる。
【0056】
GPR119によることが暗示される他の疾患または症状には、WO 00/50562およびUS6,468,756に記載される疾患または症状、例えば、心血管障害、高血圧症、呼吸器障害、妊娠異常、胃腸障害、免疫障害、筋骨格障害、うつ病、恐怖症、不安症、気分障害およびアルツハイマー病が含まれる。
【0057】
これらに限定されないが、本明細書に引用される特許および特許出願に含まれるすべての公開は、十分に述べられた本明細書の引例によって引用されるために、各個々が、特異的に個々に示されるように、引用される。
本発明は、詳述する目的で以下の例に関して記載するが、本発明の範囲を限定する趣旨ではない。
【0058】
(実施例)
物質および方法
特に断りがなければ、カラムクロマトグラフィをSiO2(40−63メッシュ)において実行した。LCMSデータを以下のように得た:
方法A:220nmでのUV検出を用いて、0.1% HCO2Hを含有するH2O−CH3CN溶液で6分間溶離するアトランティス 3μ C18 カラム(3.0×20.0mm、流速=0.85 mL/分)。グラジエント情報:0.0〜0.3分 100% H2O; 0.3〜4.25分: 10% H2O−90% CH3CNまで勾配させ; 4.25〜4.4分: 100% CH3CNまで勾配させ; 4.4〜4.9分: 100% CH3CNで保持し; 4.9〜6.0分: 100% H2Oに戻す。陽(ES+)または陰(ES-)イオンモードでエレクトロスプレーイオン化源を用いて、質量スペクトルを得た;
方法B:215および254nmでのUV検出を用いて、0.1容積%(% v/v) アンモニアを含有するH2O−MeCNグラジエントで12分間溶離するWaters Xterra MS C18、5μm(4.6×50mm、流速 1.5mL/分)。グラジエント情報:0.0〜8.0分: 95% H2O−5% MeCNから5% H2O−95% MeCNまで勾配させ; 8.0〜9.9分: 5% H2O−95% MeCNで保持し; 9.9〜10.0分: 95% H2O−5% MeCNに戻し; 10.0〜12.0分: 95% H2O−5% MeCNで保持する。陽(ES+)または陰(ES-)モードでエレクトロスプレーイオン化源を用いて、質量スペクトルを得た。
【0059】
略語および頭字語: Ac: アセチル; t−Bu: tert−ブチル; DCM: ジクロロメタン; DIAD: アゾジカルボン酸ジイソプロピル; DIPEA: N,N−ジイソプロピルエチルアミン; DMF: ジメチルホルムアミド; EDCI: 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩; Et: エチル; h: 時間; min: 分; HOBt: 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール; HPLC: 高速液体クロマトグラフィ; IH: イソヘキサン; i−Pr: イソプロピル; Me: メチル; Ph: フェニル; RP−HPLC: 逆相高速液体クロマトグラフィ; RT: 保持時間; THF: テトラヒドロフラン。
【0060】
以下の化合物の合成は別の場所に記載している:6−ヒドロキシ−2−メチルニコチン酸エチルエステル:Tetrahedron, 1974, 30, 623-32;4−(3−メタンスルホニルオキシ−プロピル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル:WO98/07703;3−ピペリジン−4−イルプロパン−1−オール:Tetrahedron 1999, 55, 11619-11639;4−(3−ヒドロキシプロピル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:Tetrahedron 1999, 55, 11619-11639;4−{3−[1−(3−tert−ブチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸:WO2008/081205。すべての他の化合物は商業的供給源から入手可能であった。
【0061】
製造例1:4−(3−ヒドロキシプロピル)ピペリジン−1−カルボニトリル
【化12】

NaHCO3(35.2g、0.42mol)のH2Oスラリー溶液(70mL)を、0℃で、3−ピペリジン−4−イルプロパン−1−オール(20.0g、0.14mol)のDCM撹拌溶液に加えた。BrCN(17.8g、0.17mol)のDCM溶液(19mL)を1分間反応液に加え、次いで0℃で0.5時間撹拌し続けた。反応液を次いで20℃で2時間撹拌し、次いで飽和NaHCO3水および食塩水で洗浄した。DCM溶液を乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮して、油を得て、それを少量のDCMに溶解し、次いでEtOAcで溶離しながら、SiO2パッドを通して濾過した。濾液を減圧濃縮して、標題の化合物を得た:
m/z (ES+) = 169.1 [M + H]+ (方法A).
【0062】
製造例2:3−[1−(3−イソプロピル[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロパン−1−オール
【化13】

ZnCl2(1M Et2O溶液、145mL、145mmol)を、4−(3−ヒドロキシプロピル)ピペリジン−1−カルボニトリル(製造例1、20.3g、121mmol)およびN−ヒドロキシイソブチルアミジン(14.8g、145mmol)のEtOAc(290mL)およびTHF(270mL)撹拌溶液に20分かけて加えた。2時間後、形成されていた白色沈澱を集め、THF−EtOAc(1:1、50mL)で洗浄した。この沈澱をEtOH(550mL)およびHCl(12M、70mL)に溶解し、次いで溶液を16時間70℃に加熱しながら撹拌した。EtOHを減圧留去し、次いで残渣をH2Oで希釈し、固体のNaHCO3でpH 7に調整した。混合物をEtOAc(3×)で抽出し、次いで抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、次いで乾燥(MgSO4)した。濾過および溶媒の除去によって、標題の化合物を得た:
m/z (ES+) = 254.1 [M + H]+ (方法A).
【0063】
製造例3:2−フルオロ−4−{3−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}安息香酸
【化14】

DIAD(20.2mL、102.8mmol)を、2−フルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸メチル(13.43g、79.1mmol)、3−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロパン−1−オール(製造例2、20.00g、79.1mmol)、およびPPh3(24.85g、95.0mmol)の無水THF撹拌溶液に加えた。30分後、溶媒を減圧留去し、次いで残渣をIH−Et2Oでトリチュレートした。生成した固形物を濾過し、Et2Oで洗浄した。洗浄液および濾液を合わせて、減圧濃縮し、次いで残渣をカラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、1:4)で精製して、2−フルオロ−4−{3−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}安息香酸メチルを得た。この化合物をLiOHH2O(33.2g、791mmol)のMeOH(400mL)およびH2O(100mL)溶液とともに16時間撹拌した。MeOHを減圧蒸発させ、次いで残渣をNaOH(2M)とEt2Oの間で分液した。水相をpH 2に酸性化し、次いでEtOAcで抽出した。有機抽出物を乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮し、EtOAcから再結晶して、標題の化合物を得た:
δH (CDCl3) 1.26-1.40 (m, 8H), 1.46-1.62 (m, 3H), 1.81-1.93 (m, 4H), 2.95 (sept, 1H), 3.02-3.12 (m, 2H), 4.03 (t, 2H), 4.16-4.22 (m, 2H), 6.67 (dd, 1H), 6.78 (dd, 1H), 8.01 (t, 1H); m/z (ES+) = 392.0 [M + H]+ (方法A).
【0064】
製造例4:4−{3−[1−(3−イソプロピル[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸
【化15】

製造例3に概説したものに類似する手順を用いて、4−ヒドロキシ−2−メチル安息香酸メチルエステルを、3−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロパン−1−オール(製造例2)と光延縮合させ、続いてけん化することによって、標題の化合物を合成した:
δH (CDCl3) 1.26-1.40 (m, 7H), 1.46-1.62 (m, 4H), 1.81-1.92 (m, 4H), 2.64 (s, 3H), 2.94 (sept, 1H), 3.02-3.13 (m, 2H), 4.04 (t, 2H), 4.15-4.21 (m, 2H), 6.78-6.81 (m, 2H), 8.07 (d, 1H).
【0065】
製造例5:メタンスルホン酸 3−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロピルエステル
【化16】

塩化メタンスルホニル(1.64mL、21.2mmol)のDCM溶液(5mL)を、0℃で、3−[1−(3−イソプロピル[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロパン−1−オール(製造例2、4.46g、17.6mmol)およびNEt3(4.9mL、35.3mmol)のDCM溶液(35mL)に滴下して加えた。反応混合物を周囲温度で0.5時間撹拌し、次いでEtOAc(250mL)とHCl(0.5M、150mL)の間で分液した。有機層を分離し、H2O、飽和NaHCO3水溶液および食塩水で洗浄し、次いで乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮して、標題の化合物を得た:
RT = 3.32 分; m/z (ES+) = 332.08 [M + H]+ (方法A).
【0066】
製造例6:4−[3−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノキシ)プロピル]−1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン
【化17】

4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノール(607mg、302μmol)およびK2CO3(1.25g、906μmol)を、メタンスルホン酸 3−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロピルエステル(製造例5、1.00g、302μmol)のスルホラン溶液(10mL)に加え、生じた溶液を16時間85℃で加熱した。反応混合物をEt2O(75mL)およびH2O(75mL)で希釈し、有機層を、H2O、NaOH(2M、2×)および食塩水で洗浄し、次いで乾燥(MgSO4)した。濾過、溶媒の除去およびカラムクロマトグラフィによる精製(EtOAc−IH、22:3)によって、標題の化合物を得た:
RT = 4.96 分; m/z (ES+) = 436.22 [M + H]+ (方法A).
【0067】
製造例7:4−{3−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2,6−ジメチル安息香酸
【化18】

1.6M n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.72mL、2.75mmol)の無水THF溶液(1.2mL)に、アルゴン下−78℃で、4−[3−(4−ブロモ−3,5−ジメチル−フェノキシ)プロピル]−1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン(製造例6、600mg、1.38mmol)の無水THF溶液(1.8mL)を加えた。反応混合物を−78℃で50分間撹拌し、次いでそれを周囲温度に加温しながら(〜0.5時間)、CO2ガスを反応混合液に通してバブリングした。反応混合物をH2Oでクエンチし、EtOAcで希釈した。水相をHCl(2M)でpH 1に酸性化し、EtOAc(2×)で抽出し、次いで有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)した。濾過、溶媒の除去およびカラムクロマトグラフィによる精製(EtOAc−IH−AcOH、30:69.7:0.3)によって、標題の化合物を得た:
RT = 3.84 分; m/z (ES+) = 402.42 [M + H]+ (方法A).
【0068】
製造例8:4−[3−(4−メトキシカルボニル−3−メチルフェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化19】

DIAD(8.00mL、40.9mmol)を、周囲温度で、4−ヒドロキシ−2−メチル−安息香酸メチルエステル(6.00g、37.4mmol)、4−(3−ヒドロキシプロピル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(8.25g、34.0mmol)およびPPh3(10.71g、40.9mmol)の無水THF撹拌溶液(60mL)に加えた。7.5時間撹拌した後、溶媒を減圧留去し、残渣をEtOAcに溶解し、NaOH(2M、2×)および食塩水で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO4)し、減圧濃縮し、残渣をIH−Et2Oでトリチュレートした。生成した固形物を濾過し、Et2Oで洗浄した。洗浄液および濾液を合わせて、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、1:9)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 4.48 分; m/z (ES+) = 392.3 [M + H]+ (方法A).
【0069】
製造例9:4−[3−(1−シアノピペリジン−4−イル)プロポキシ]−2−メチル安息香酸メチルエステル
【化20】

4M HClのジオキサン溶液(7.7mL)を、周囲温度で、4−[3−(4−メトキシカルボニル−3−メチルフェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造例8、4.00g、10.2mmol)のジオキサン撹拌溶液(10mL)に加えた。3時間後、混合物をEt2Oで希釈し、形成した固形生成物を濾過で集め、Et2Oで洗浄して、2−メチル−4−(3−ピペリジン−4−イルプロポキシ)−安息香酸メチルエステル塩酸塩を得た:
RT = 2.65 分; m/z (ES+) = 292.4 [M + H]+.
この化合物(10.77g、32.9mmol)のDCM撹拌溶液(140mL)に、0℃で、NaHCO3(8.30g、98.7mmol)のH2Oスラリー溶液(100mL)を加え、生じた混合物を、BrCN(4.18g、39.5mmol)のDCM溶液(22mL)で処理した。反応混合物を周囲温度で3時間撹拌し、次いでH2OとDCMの間で分液した。有機相を分離し、乾燥(MgSO4)した。濾過および溶媒の蒸発によって、標題の化合物を得た:
RT = 3.87 分; m/z (ES+) = 317.20 [M + H]+ (方法A).
【0070】
製造例10:4−{3−[1−(3−エチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル−安息香酸メチルエステル
【化21】

ZnCl2(1M Et2O溶液、20.2mL、20.22mmol)を、4−[3−(1−シアノピペリジン−4−イル)プロポキシ]−2−メチル安息香酸メチルエステル(製造例9、5.34g、16.9mmol)およびN−ヒドロキシプロピオンアミジン(1.78g、20.2mmol)のEtOAc撹拌溶液(85mL)にゆっくりと加え、生じた溶液を60℃で16時間撹拌した。反応液を周囲温度に冷却し、形成されていた白色沈澱を集め、EtOAcで洗浄した。この沈澱をMeOH(80mL)およびHCl(12M、8mL)に溶解し、次いで溶液を65℃で5時間撹拌した。MeOHを減圧留去し、残渣を飽和NaHCO3水溶液でpH 7に調整した。混合物をEtOAc(3×)で抽出し、次いで抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)した。濾過、溶媒の除去およびカラムクロマトグラフィによる精製(IH−EtOAc、3:1)によって、標題の化合物を得た:
RT = 4.15 分; m/z (ES+) = 388.21 [M + H]+ (方法A).
【0071】
製造例11:4−{3−[1−(3−エチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル−安息香酸
【化22】

LiOHH2O(3.60g、85.7mmol)および4−{3−[1−(3−エチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸メチルエステル(製造例10、3.32g、8.57mmol)のMeOH(100mL)およびH2O(10mL)混合溶液を72時間50℃で加熱した。MeOHを減圧留去し、次いで残渣をHCl(2M)でpH 1に酸性化し、次いでEtOAc(3×)で抽出した。有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮して、標題の化合物を得た:
RT = 2.85 分; m/z (ES+) = 374.16 [M + H]+ (方法A).
【0072】
製造例12:6−{3−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチルニコチン酸エチルエステル
【化23】

製造例3に概説したものに類似する光延手順を用いて、標題の化合物を6−ヒドロキシ−2−メチルニコチン酸エチルエステル(5.00g、27.59mmol)および3−[1−(3−イソプロピル[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロパン−1−オール(7.00g、27.59mmol)から合成した:
RT = 4.64 分; m/z (ES+) = 417.19 [M + H]+ (方法A).
【0073】
製造例13:6−{3−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチルニコチン酸
【化24】

製造例11に概説したものに類似する加水分解手順を用いて、標題の化合物を6−{3−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチルニコチン酸エチルエステル(製造例12、7.45g、17.89mmol)から合成した:
RT = 4.07 分; m/z (ES+) = 389.14 [M + H]+ (方法A).
【0074】
製造例14:4−{3−[1−(5−エチルピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸メチルエステル
【化25】

4M HClのジオキサン溶液(7.7mL)を、周囲温度で、4−[3−(4−メトキシカルボニル−3−メチルフェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造例8、4.00g、10.2mmol)のジオキサン撹拌溶液(10mL)に加えた。3時間後、混合物をEt2Oで希釈し、形成した固形生成物を濾過で集め、Et2Oで洗浄して、2−メチル−4−(3−ピペリジン−4−イルプロポキシ)−安息香酸メチルエステル塩酸塩を得た:
RT = 2.65 分; m/z (ES+) = 292.4 [M + H]+ (方法A).
この化合物(1.27g、3.89mmol)のDMSO撹拌溶液(12mL)に、2−クロロ−5−エチル−ピリミジン(555mg、3.89mmol)およびDBU(1.25mL、8.54mmol)を加え、生じた溶液を16時間100℃で撹拌した。反応混合物をH2Oで希釈し、EtOAc(2×)で抽出し、次いで有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、次いで乾燥(MgSO4)した。濾過、溶媒の減圧留去およびカラムクロマトグラフィによる精製(EtOAc−IH、1:19)によって、標題の化合物を得た:
RT = 4.51 分; m/z (ES+) = 398.83 [M + H]+ (方法A).
【0075】
製造例16:4−{3−[1−(5−エチルピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸
【化26】

製造例11に概説したものに類似する加水分解手順を用いて、標題の化合物を4−{3−[1−(5−エチルピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸メチルエステル(製造例15)から合成した:
RT = 3.80 分; m/z (ES+) = 384.34 [M + H]+ (方法A).
【0076】
製造例17:4−[3−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化27】

4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノール(13.75g、68.4mmol)およびK2CO3(18.90g、136.8mmol)を、4−(3−メタンスルホニルオキシプロピル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(21.98g、68.4mmol)のスルホラン溶液(260mL)に加え、生じた溶液を4時間85℃で加熱した。反応混合物をEt2O(500mL)およびH2O(500mL)で希釈し、有機層を、H2O(4×)、NaOH(2M、2×)および食塩水で洗浄し、次いで乾燥(MgSO4)した。濾過、溶媒の除去およびカラムクロマトグラフィによる精製(DCM)によって、標題の化合物を得た:
RT = 4.94 分; m/z (ES+) = 426.20 [M + H]+ (方法A).
【0077】
製造例18:4−[3−(4−カルボキシ−3,5−ジメチルフェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化28】

1.6M n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(20.64mL、51.6mmol)の無水THF溶液(23mL)に、アルゴン下−78℃で、4−[3−(4−ブロモ−3,5−ジメチル−フェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造例17、11.00g、25.8mmol)の無水THF溶液(34mL)を加えた。反応混合物を−78℃で50分間撹拌し、次いでそれを周囲温度に加温しながら(〜0.5時間)、CO2ガスを反応混合液に通してバブリングした。反応混合物をH2Oでクエンチし、EtOAcで希釈した。有機層をNaOH(2M、2×)で抽出し、塩基性抽出物を合わせて、水層と混合した。水相をHCl(2M)でpH 1に酸性化し、EtOAc(3×)で抽出し、次いで有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)した。濾過、溶媒の除去およびカラムクロマトグラフィによる精製((EtOAc−IH、3:7))によって、標題の化合物を得た:
RT = 3.93 分; m/z (ES+) = 392.23 [M + H]+ (方法A).
【0078】
製造例19:2,6−ジメチル−4−(3−ピペリジン−4−イルプロポキシ)安息香酸塩酸塩
【化29】

4M HClのジオキサン溶液(21.95mL)を、周囲温度で、4−[3−(4−カルボキシ−3,5−ジメチルフェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造例18、4.91g、12.5mmol)のジオキサン撹拌溶液(20mL)に加えた。2.5時間後、形成されていた固形生成物を濾過で集め、Et2Oで洗浄し、標題の化合物を得た:
RT = 2.50 分; m/z (ES+) = 291.40 [M + H]+ (方法A).
【0079】
製造例20:4−{3−[1−(5−クロロピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2,6−ジメチル−安息香酸
【化30】

2,6−ジメチル−4−(3−ピペリジン−4−イルプロポキシ)安息香酸塩酸塩(製造例19、600mg、1.83mmol)のDMSO溶液(850μl)に、2,5−ジクロロピリミジン(327mg、2.20mmol)、DBU(960μl、6.41mmol)およびH2O(6滴)を加えた。生じた懸濁液をマイクロ波中の封管内で3時間130℃で加熱した。反応混合物をH2Oで希釈し、HCl(2M)でpH 5に酸性化し、EtOAc(3×)で抽出し、次いで有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、次いで乾燥(MgSO4)した。濾過、溶媒の減圧留去およびカラムクロマトグラフィによる精製(EtOAc−IH、2:3〜3:2)によって、標題の化合物を得た:
RT = 4.20 分; m/z (ES+) = 404.16 [M + H]+ (方法A).
【0080】
製造例21: 4−[3−(4−カルボキシ−3−メチルフェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化31】

4−[3−(4−メトキシカルボニル−3−メチルフェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造例8、6.00g、15.3mmol)のMeOH(200mL)およびH2O(20mL)溶液に、LiOHH2O(6.43g、153.3mmol)を加え、生じた混合物を40℃で16時間撹拌した。MeOHを減圧蒸発させ、次いで残渣をH2O(200mL)に溶解し、EtOAcで洗浄し、HCl(2M)でpH 4に酸性化し、次いでEtOAc(2×)で抽出した。有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮して、標題の化合物を得た。
RT = 4.06 分; m/z (ES+) = 378.22 [M + H]+ (方法A).
【0081】
製造例22:2−メチル−4−(3−ピペリジン−4−イルプロポキシ)安息香酸塩酸塩
【化32】

4−[3−(4−カルボキシ−3−メチルフェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造例21)、11.82g、37.7mmol)および4M HClのジオキサン混合溶液(150mL)を周囲温度で1時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、トルエン(2×)と共沸させ、標題の化合物を得た:
RT = 2.37 分; m/z (ES+) = 278.17 [M + H]+ (方法A).
【0082】
製造例23:4−[3−(5'−クロロ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2']ビピリジニル−4−イル)プロポキシ]−2−メチル安息香酸
【化33】

2−メチル−4−(3−ピペリジン−4−イルプロポキシ)安息香酸塩酸塩(製造例22、574mg、1.83mmol)のDMSO溶液(850μl)に、5−クロロ−2−フルオロピリジン(288mg、2.20mmol)、DBU(960μl、6.41mmol)およびH2O(6滴)を加えた。生じた懸濁液をマイクロ波中の封管内で3時間130℃で加熱した。反応混合物をH2Oで希釈し、HCl(2M)でpH 5に酸性化し、EtOAc(3×)で抽出し、次いで有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、次いで乾燥(MgSO4)した。濾過、溶媒の減圧留去およびカラムクロマトグラフィによる精製(EtOAc−IH、2:3〜3:2)によって、標題の化合物を得た:
RT = 3.87 分; m/z (ES+) = 403.11 [M + H]+ (方法A).
【0083】
製造例24:3−[1−(3−イソプロピル[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロパン−1−オール
【化34】

製造例2に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を製造した:
m/z (ES+) = 268.2 [M + H]+ (方法A).
【0084】
製造例25:メタンスルホン酸 3−[1−(3−tert−ブチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]−プロピルエステル
【化35】

製造例5に概説したものに類似する方法を利用して、標題の化合物を合成した:
m/z (ES+) = 346.1 [M + H]+ (方法A).
【0085】
製造例26:6−{3−[1−(3−tert−ブチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル−ニコチン酸
【化36】

製造例6に詳細に説明したものに類似する方法を用いるが、ブタノンを溶媒として用いて、メタンスルホン酸 3−[1−(3−tert−ブチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロピルエステル(製造例25)を6−ヒドロキシ−2−メチルニコチン酸エチルエステルと縮合させた。製造例11に概説したものに類似する方法を用いて、生成物を加水分解して、標題の化合物を得た:
RT = 4.15 分; m/z (ES+) = 403.20 [M + H]+ (方法A).
【0086】
製造例27:4−{3−[1−(5−クロロピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸メチルエステル
【化37】

4M HClのジオキサン溶液(7.7mL)を、周囲温度で、4−[3−(4−メトキシカルボニル−3−メチルフェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造例8、4.00g、10.2mmol)のジオキサン撹拌溶液(10mL)に加えた。3時間後、混合物をEt2Oで希釈し、形成した固形生成物を濾過で集め、Et2Oで洗浄して、2−メチル−4−(3−ピペリジン−4−イルプロポキシ)−安息香酸メチルエステル塩酸塩を得た:
RT = 2.65 分; m/z (ES+) = 292.4 [M + H]+ (方法A).
この化合物(1.27g、3.89mmol)のDMSO撹拌溶液(12mL)に、2,5−ジクロロ−ピリミジン(580mg、3.89mmol)およびDBU(1.25mL、8.54mmol)を加え、生じた溶液を100℃で16時間撹拌した。反応混合物をH2Oで希釈し、EtOAc(2×)で抽出し、次いで有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、次いで乾燥(MgSO4)した。濾過、溶媒の減圧留去およびカラムクロマトグラフィによる精製(EtOAc−IH、1:19)によって、標題の化合物を得た:
RT = 4.80 分; m/z (ES+) = 404.15 [M + H]+ (方法A).
【0087】
製造例28:4−{3−[1−(5−クロロピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸
【化38】

LiOHH2O(308mg、7.33mmol)および4−{3−[1−(5−クロロピリミジン−2−イル)−ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸メチルエステル(製造例27、1.41g、3.49mmol)のTHF(48mL)およびH2O(4.8mL)混合溶液を96時間65℃で加熱した。THFを減圧留去し、残渣をNaOH(2M)とEtOAcの間で分液した。水相をHCl(12M)でpH 1に酸性化し、次いでEtOAc(2×)で抽出した。有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮して、標題の化合物を得た:
RT = 4.27 分; m/z (ES+) = 390.15 [M + H]+ (方法A).
【0088】
製造例29:4−[3−(5'−クロロ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2']ビピリジニル−4−イル)プロポキシ]−2,6−ジメチル安息香酸
【化39】

製造例20に概説したものに類似する手順を用いて、2,6−ジメチル−4−(3−ピペリジン−4−イルプロポキシ)安息香酸塩酸塩(製造例19)を5−クロロ−2−フルオロピリジンと縮合させて、標題の化合物を得た:
RT = 3.87 分; m/z (ES+) = 403.11 [M + H]+ (方法A).
【0089】
実施例1:4−{3−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル−N−(テトラヒドロピラン−4−イル)ベンズアミド
【化40】

HOBtH2O(46.0mg、338μmol)およびEDCI(65.0mg、338μmol)を、4−{3−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸(製造例4、100mg、260μmol)のTHF撹拌溶液(5mL)に加えた。15分後、テトラヒドロピラン−4−イルアミン(53.0mg、520μmol)を加え、生じた混合物を周囲温度で16時間撹拌した。THFを減圧留去し、残渣をEtOAcとNaOH(2M)の間で分液した。有機相を分離し、NaOH(2M)、HCl(1M)および食塩水で洗浄し、次いで乾燥(MgSO4)した。濾過および溶媒の蒸発によって、標題の化合物を得た:
RT = 3.69 分; m/z (ES+) = 471.28 [M + H]+ (方法A).
【0090】
実施例1に概説したものに類似する手順を用いて、適当な酸を適当なアミンと縮合させることによって、表1に列挙されるアミドを合成した。
表1
【表1】









【0091】
ラセミ体のtrans−4−アミノテトラヒドロフラン−3−オールを用いて合成した以下:13/14、15/16、20/21、22/23、24/25、および26/27のラセミ対を除いて、すべての化合物を単一のエナンチオマーとして製造した。これらのラセミ対を、分取キラルHPLCによって個々のエナンチオマーに分離してもよい。例えば、IH:MeOH:EtOH(3:1:1)の溶離液で、流速13mL/分、および250nmでのUV検出で、ダイセル Chiralpack IA カラム(250×20mm、5μm)を用いた分取キラルHPLCの後、化合物13および14をエナンチオマー的に純粋な形態で単離した。単離したエナンチオマーは、12.3および14.6分の保持時間を有していた。
【0092】
本発明の化合物の生物活性を、以下のアッセイ系で試験してもよい:
酵母レポーターアッセイ
酵母細胞に基づくレポーターアッセイは、先に文献に記載されている(例えば、Miret J. J.ら, 2002, J. Biol. Chem., 277:6881-6887;Campbell R.M.ら, 1999, Bioorg. Med. Chem. Lett., 9:2413-2418;King K.ら, 1990, Science, 250:121-123;WO 99/14344;WO 00/12704;およびUS 6,100,042を参照)。簡単に言えば、内在性酵母G−アルファ(GPA1)が欠失され、複数の技術を用いて作成されるG−タンパク質キメラで置換されているように、酵母細胞は改変されている。また、内在性酵母GPCRであるSte3は欠失されて、最適な哺乳類GPCRの非相同的発現を可能にしている。酵母において、真核細胞で保存される(例えば、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ経路)フェロモンシグナル伝達経路の要素は、Fus1の発現を促進する。Fus1プロモーター(Fus1p)の制御下でβ−ガラクトシダーゼ(LacZ)を置換することによってシステムが開発されており、それによって受容体の活性化が酵素の読み取りにつながる。
【0093】
酵母細胞は、Agatepらに記載された酢酸リチウム法の適応によって形質転換された(Agatep, R.ら, 1998, Transformation of Saccharomyces cerevisiae by the lithium acetate/single-stranded carrier DNA/polyethylene glycol (LiAc/ss-DNA/PEG) protocol. Technical Tips Online, Trends Journals, Elsevier)。簡単に言えば、酵母細胞を酵母トリプトンプレート(yeast tryptone plate)(YT)上で終夜培養した。キャリアの一本鎖DNA(10μg)、2つのFus1p−LacZレポータープラスミド(URA選択マーカーを有するものとTRPを有するもの、それぞれ2μg)、酵母発現ベクター(2μg 複製起点)におけるGPR119(ヒトまたはマウス受容体)(2μg)、並びに酢酸リチウム/ポリエチレングリコール/TE緩衝液を、エッペンドルフチューブの中にピペットで移した。受容体を含む酵母発現プラスミド/受容体を含まない対照酵母発現プラスミドは、LEUマーカーを有する。酵母細胞をこの混合物の中に播種し、反応は30℃で60分間進行する。酵母細胞に、次いで42℃で15分間熱ショックを与えた。次いで細胞を洗浄し、選択プレート上に広げた。選択プレートは、LEU、URAおよびTRPのない合成酵母培地(SD−LUT)である。30℃で2〜3日間インキュベートした後、選択プレート上で生育するコロニーを、次いでLacZアッセイにおいて試験した。
【0094】
β−ガラクトシダーゼについての蛍光定量的酵素アッセイを行うために、ヒトまたはマウスGPR119受容体を有する酵母細胞を、液体SD−LUT培地中で不飽和濃度まで終夜培養した(すなわち、細胞はまだ分裂しており、まだ定常期に達していなかった)。これらを、調製してすぐの培地中に最適アッセイ濃度まで希釈して、酵母細胞(90μl)を96ウェルブラックポリスチレンプレート(コースター(Costar))に加える。化合物(DMSOに溶解し、10× 濃度まで10% DMSO溶液に希釈した)をプレートに加え、プレートを30℃で4時間置いた。4時間後、β−ガラクトシダーゼの基質を各ウェルに加えた。これらの実験において、フルオレセイン ジ(β−D−ガラクトピラノシド)(FDG)、すなわちフルオレセインを放出する酵素の基質を用い、これは蛍光定量的読み取りを可能にする。1ウェルあたり20μlの500μM FDG/2.5% トリトンX100を加えた(細胞を透過性にするために界面活性剤が必要であった)。60分間の基質による細胞のインキュベーション後、1ウェルあたり20μlの1M 炭酸ナトリウムを加えて反応を終了し、蛍光シグナルを増強した。次いでプレートを蛍光光度計において485/535nmで読み取った。
【0095】
本発明の化合物によって、背景シグナル(すなわち、化合物なしで1% DMSOの存在下で得られるシグナル)の少なくとも〜1.5倍のシグナルで、蛍光シグナルにおける増加が得られる。少なくとも5倍の増加を与える本発明の化合物が好ましい。
【0096】
cAMPアッセイ
組換えヒトGPR119を発現する安定な細胞株を確立し、この細胞株を用いて、環状AMP(cAMP)の細胞内濃度における本発明の化合物の効果を調査してもよい。細胞単層をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、刺激用緩衝液(stimulation buffer)における様々な濃度の化合物に1% DMSOを加えたもので、37℃で30分間刺激する。次いで細胞を溶解し、パーキンエルマー アルファスクリーン(AlphaScreen)(登録商標)(増幅ルミネッセンス近接ホモジニアスアッセイ(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay))cAMPキットを用いて、cAMP量を決定する。緩衝液およびアッセイ条件は、製造業者のプロトコールに記載されているようにする。
【0097】
インビボフィード試験(In vivo feeding study)
体重並びに餌および水の摂取における本発明の化合物の効果は、逆相照明(reverse-phase lighting)上に維持した自由にフィードされる雄のスプラーグドーリーラットにおいて試験されうる。試験化合物および対照化合物を適当な投与経路(例えば腹腔内または経口)で投与し、測定を次の24時間かけて行う。21±4℃の温度、55±20% 湿度で、金属グリッドの床を有するポリプロピレンケージの中に、ラットを個々に入れる。ケージパッドを有するポリプロピレントレイを各ケージの下において、いずれのこぼれた餌も検出する。動物を逆相明暗サイクル(09.30〜17.30の8時間は電気を消す)上に維持し、その時間、部屋を赤色光で照した。動物は、二週間の順化期間に、標準的な粉末状のラットの餌および生水を自由に得ることができる。餌を、アルミニウム蓋を有するガラスフィード瓶(feeding jar)の中に入れる。各蓋は、その中に3〜4cmのウェルを有しており、餌を得ることができた。暗期開始時に動物、フィード瓶および採水瓶の重さ(0.1gの位まで)を量る。続いて、本発明の化合物を動物に投与する1、2、4、6および24時間後に、フィード瓶および採水瓶の重さを量り、ベヒクル処置したコントロールと比較して、ベースラインでの処置群間のいずれの有意差も測定する。
【0098】
膵ベータ細胞(HIT−T15)のインビトロモデルにおける本発明の化合物の抗糖尿病効果
細胞培養
HIT−T15細胞(60継代)はATCCから入手され、10% ウシ胎児血清および30nM 亜セレン酸ナトリウムを補充したRPMI1640培地中で培養された。全ての実験は、文献に従って70継代未満での細胞で行われ、その文献には、81超の継代数でこの細胞株の変化した特性が記載されている(Zhang HJ, Walseth TF, Robertson RP. Insulin secretion and cAMP metabolism in HIT cells. ReciProcal and serial passage-dependent relationships. Diabetes. 1989 Jan;38(1):44-8)。
【0099】
cAMPアッセイ
HIT−T15細胞を、96ウェルプレートにおいて、100,000細胞/0.1ml/ウェルで、標準的な培地中に蒔き(プレートし)、24時間培養し、次いで培地を廃棄した。細胞を、100μl 刺激用緩衝液(ハンクス緩衝塩類溶液(Hanks buffered salt solution)、5mM ヘペス、0.5mM IBMX、0.1% BSA、pH 7.4)を用いて、室温で15分間インキュベートした。これを廃棄し、0.5% DMSOの存在下、刺激用緩衝液中、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30μMの範囲にわたる化合物希釈液と取り替えた。細胞を室温で30分間インキュベートした。次いで1ウェルあたり75μl 溶解緩衝液(5mM ヘペス、0.3% ツイーン−20(Tween-20)、0.1% BSA、pH 7.4)を加え、プレートを900rpmで20分間振とうした。粒子状物質を遠心分離によって3000rpmで5分間除去し、次いでサンプルを384ウェルプレートに移したものを2つ作成し、パーキンエルマー アルファスクリーンcAMPアッセイキットの指示書に従って処理した。簡単に言えば、最終的な反応成分の濃度がキットの説明書に記載されたものと同じになるように、サンプル(8μl)、アクセプタービーズ混合物(acceptor bead mix)(5μl)および検出混合物(detection mix)(12μl)を含む反応物(25μl)を用意した。反応を室温で150分間インキュベートし、プレートをパッカード融合装置(Packard Fusion instrument)を用いて読み取った。cAMPについての測定を、公知のcAMP量(0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、100、300、1000nM)の検量線と比較して、測定値を絶対cAMP量に変換した。データをXLfit 3 ソフトウェアを用いて解析した。
【0100】
本発明の代表的な化合物は、10μM未満のEC50でcAMPを増大させることが分かった。cAMPアッセイにおいて1μM未満のEC50を示す化合物が好ましい。
【0101】
インスリン分泌アッセイ
HIT−T15細胞を、12ウェルプレートにおいて、106細胞/1ml/ウェルで、標準的な培地中に蒔き(プレートし)、3日間培養し、次いで培地を廃棄した。NaCl(119mM)、KCl(4.74mM)、CaCl2(2.54mM)、MgSO4(1.19mM)、KH2PO4(1.19mM)、NaHCO3(25mM)、pH 7.4でのヘペス(10mM)および0.1% ウシ血清アルブミンを含有する補充したクレブス・リンガー緩衝液(KRB)で、細胞を洗浄した(×2)。細胞を、37℃で30分間、KRB(1ml)でインキュベートし、次いでそれを廃棄した。これに続いて30分間、KRBで第2のインキュベーションを行い、それを回収し、各ウェルの基礎インスリン分泌量を測定するのに用いた。次いで化合物の希釈液(0、0.1、0.3、1、3、10μM)を、グルコース(5.6mM)で補充したKRB(1ml)に加えて、ウェルを2つ作成した。37℃で30分のインキュベーション後、インスリン量の決定のため、サンプルを取り除いた。メルコディア(Mercodia) ラット インスリン ELISAキットを用い、製造者の指示書に従って、公知のインスリン濃度の検量線を用いてインスリンの測定を行った。各ウェルについて、インスリン量は、グルコース不存在下でのプレインキュベーションからの基礎分泌量を差し引くことによって訂正された。データをXLfit 3 ソフトウェアを用いて解析した。
【0102】
本発明の代表的な化合物は、10μM未満のEC50で、インスリン分泌を増加させることが分かった。インスリン分泌アッセイにおいて1μM未満のEC50を示す化合物が好ましい。
【0103】
経口グルコース耐性試験
本発明の化合物が経口グルコース(Glc)耐性に及ぼす効果を雄スプレーグドーリーラットで評価した。Glcを投与する16時間前に食物を断ち、試験中はずっと絶食を維持した。試験中、ラットには水を自由に摂取させた。動物の尾に切開を施し、Glc負荷を投与する60分前の基礎Glcレベルを測定するために、血液(1滴)を採取した。次に、ラットを体重測定して、試験化合物または賦形剤(20%ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン水溶液)を経口投与し、その45分後に、追加血液試料の採取と、Glc負荷(2g kg-1p.o.)による処置を行った。次に、Gcl投与の5、15、30、60、120、および180分後に、尾の切開端から血液試料を採取した。血中グルコースレベルは、市販のグルコース計(LifescanのOneTouch(登録商標)Ultra(商標))を使って、収集直後に測定した。代表的な本発明の化合物は、≦10mg kg-1の用量で、Glcエクスカーション(Glc excursion)を統計的に減少させた。
【0104】
経口グルコース(Glc)耐性についての本発明の化合物の効果はまた、雄のC57Bl/6または雄のob/obマウスにおいても評価されうる。Glcの投与の5時間前に餌を引き上げ、本研究の間、引き上げたままにする。マウスは本研究の間、自由に水を得られる。Glc負荷の投与の45分前に基礎Glc量を測定するために、動物の尾に切れ目を入れ、次いで血液(20μL)を除去する。次いでマウスの重さを量り、試験化合物またはベヒクル(20% ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン水溶液または25%ゲルーシア(Gelucire) 44/14水溶液)を経口投与し、30分後に別の血液サンプル(20μL)を除去し、Glc負荷(2〜5g kg-1 経口)で処置する。次いで血液サンプル(20μL)を、Glc投与の25、50、80、120、および180分後に採る。Glc量の測定用血液サンプル(20μL)を、尾の切れ目の先(cut tip)から使い捨てのマイクロピペット(デイド・ダイアグノスティクス社(Dade Diagnostics Inc.)、プエルトリコ)の中に取り、サンプルを溶血試薬(480μL)に加える。次いで希釈して溶血した血液アリコート(20μL)の一対を、96ウェルアッセイプレートにおいてトリンダーズ グルコース試薬(Trinders glucose reagent)(シグマ 酵素(トリンダー(Trinder))比色法)(180μL)に加える。混合した後、サンプルを室温で30分間放置し、次いでGlcスタンダード(シグマ グルコース/尿素 窒素 複合標準セット(glucose/urea nitrogen combined standard set))に対して読み取る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(I)
[式中、
1は、
【化2】

であり、その中で、W、XおよびYのうち1つはNまたはCHであり、かつ残りはCHであり、ここで、存在する該HはR5で置換されていてもよく;並びにTおよびUの一方はOであり、かつ他方はNであり;
2およびR3は独立して、水素、メチルおよびフルオロから選択され;
4は、水素またはメチルであり;
nは、0、1または2であり;
rおよびsは独立して、1および2から選択され、並びに該(CH2r単位のうち1つのCH2基は、CH(OH)、CH(CH3)またはCH(CF3)で適宜置換されていてもよく;
Qは、CHまたはNであり;
5は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、フルオロ、クロロまたはC1-3フルオロアルキルであり;並びに
6はC2-5アルキルである]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
1が、
【化3】

である、請求項1の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
TがOであり、かつUがNである、請求項2の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
6がC2-3アルキルである、請求項2もしくは3の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
1が、
【化4】

である、請求項1の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
WおよびXがCHである、請求項5の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
WおよびXがCHであり、かつYがNである、請求項6の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
nが1である、請求項5〜7のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
5が、該ピペリジニル窒素への結合点に対してメタまたはパラ位である、請求項8の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
2およびR3の一方がメチルであり、かつ他方が水素である、請求項1〜9のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
rおよびsの一方が1であり、かつ他方が2である、請求項1〜10のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
QがCHである、請求項1〜11のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項13】
4が水素である、請求項1〜12のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項14】
実施例1〜28のいずれか一つに定義される式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩、並びに医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩の有効量を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、GPR119が役割を果たす疾患または症状の治療方法。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩の有効量を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、満腹の調節方法。
【請求項18】
請求項1〜14のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩の有効量を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、肥満症の治療方法。
【請求項19】
請求項1〜14のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩の有効量を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、糖尿病の治療方法。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩の有効量を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、耐糖能障害、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベルまたは高血圧症の治療方法。
【請求項21】
薬剤として使用するための、請求項1〜14のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項22】
請求項16〜20のいずれか一つで定義される疾患または症状の治療剤または予防剤の製造における、請求項1〜14のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩の使用。
【請求項23】
請求項16〜20のいずれか一つで定義される疾患または症状の治療または予防に使用するための、請求項1〜14のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。

【公表番号】特表2011−527332(P2011−527332A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517246(P2011−517246)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050826
【国際公開番号】WO2010/004344
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(504326837)プロシディオン・リミテッド (53)
【氏名又は名称原語表記】Prosidion Limited
【Fターム(参考)】