説明

ピラジノントロンビン阻害剤

【課題】トロンビン及びそれと関連する血栓性閉鎖の阻害剤の提供。
【解決手段】構造(I)


[式中、Wは水素又は置換基、Aは(II)、(III)、又は(IV)である]を有する化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
トロンビンは、前駆体プロトロンビンの形態で血漿中に存在するセリンプロテアーゼである。トロンビンは、溶液状態の血漿タンパク質、フィブリノーゲンを不溶性のフィブリンへ変換することにより、血液凝固の機序において中心的な役割を果たしている。
【0002】
Edwardsら、J.Amer.Chem.Soc.,(1992)114巻,1854〜63頁は、セリンプロテアーゼ、ヒト白血球エラスターゼ及びブタ膵臓エラスターゼの可逆的阻害剤であるペプチジルa−ケトベンゾオキサゾールを記載している。
【0003】
ヨーロッパ公開第363284号は、基質ペプチドの分解性アミド基の窒素原子が、水素又は置換カルボニルモエティ(moiety)に交換されている、ペプチダーゼ基質の類似体を記載している。
【0004】
オーストラリア公開第86245677号も、フルオロメチレンケトンのような活性化された求電子性ケトンモエティを有するペプチダーゼ阻害剤、又はa−ケトカルボキシ誘導体を記載している。
【0005】
R.J.Brownら、J.Med.Chem.,37巻,1259〜1261頁(1994)は、トリフルオロメチルケトンモエティ及びピリジノンモエティを含有する、経口的に活性のヒト白血球エラスターゼの非ペプチド阻害剤を記載している。
【0006】
H.Mackら、J.Enzyme Inhibition,9巻,73〜86頁(1995)は、中央コア構造としてピリジノンモエティを含有する強固なアミジノ−フェニルアラニントロンビン阻害剤を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第363284号
【特許文献2】オーストラリア国特許出願公開第86245677号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Edwardsら、J.Amer.Chem.Soc.,(1992)114巻,1854〜63頁
【非特許文献2】R.J.Brownら、J.Med.Chem.,37巻,1259〜1261頁(1994)
【非特許文献3】H.Mackら、J.Enzyme Inhibition,9巻,73〜86頁(1995)
【発明の概要】
【0009】
本発明は、哺乳動物における血小板損失の阻害、血小板凝集塊形成の阻害、フィブリン形成の阻害、血栓形成の阻害、及び塞栓形成の阻害のための化合物(薬学的に許容される担体中の本発明の化合物を含む)を含む。これらの化合物は、場合により、抗凝固剤、抗血小板剤、及び血栓溶解剤を含んでいてもよい。化合物は、所望の阻害を達成するため、血液、血液製剤、又は哺乳動物の臓器へ添加されうる。
【0010】
本発明は、哺乳動物における不安定狭心症、難治性アンギナ、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、心房細動、血栓性発作、塞栓性発作、深部静脈血栓症、汎発性血管内凝固症候群、フィブリンの眼内蓄積、及び再疎通血管の再閉塞又は再狭窄を予防又は治療するための化合物(薬学的に許容される担体中の本発明の化合物を含む)も含む。これらの化合物は、場合により、抗凝固剤、抗血小板剤、及び血栓溶解剤を含んでいてもよい。
【0011】
本発明は、本発明の化合物を共有結合又は非共有結合のいずれかにより表面に付着させることにより、哺乳動物における表面の血栓形成性を減少させるための方法も含む。
【0012】
(本発明の詳細な説明及び好ましい実施態様)
本発明の化合物は、トロンビン阻害剤として有用であり、例えば冠状動脈疾患の予防における治療的価値を有し、以下の構造を有するか、又は薬学的に許容されるそれらの塩である。
【0013】
【化1】

[式中、
Wは、
1)水素、
2)炭素環原子及びヘテロ原子環原子を有する、5〜7員単環式又は9〜10員縮合二環式の複素環式の環[環は、飽和であっても又は不飽和であってもよく、かつ
a)N、O、及びSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子[この場合、環は置換されていない]、又は
b)1〜4個のN原子[この場合、環原子のうちの1個以上が、
i)C1−4アルキル、
ii)ヒドロキシ、
iii)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
iv)CONH
v)CHOH、
vi)SONH
vii)ハロゲン、
viii)アミノ、
ix)アリール、
x)C3−7シクロアルキル、
xi)CF
xii)OCF
xiii)N(CH
xiv)−C1−3アルキルアリール、
xv)複素環式の環、
xvi)C1−4アルコキシ
xvii)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは1又は2のいずれかであり、wが1である場合、xは2であり、かつwが2である場合、xは1である]、
xviii)C1−4チオアルコキシ、又は
xix)シアノ
のうちの1個以上で置換されている]
を含有している]、
3)置換されていないか、又は
a)C1−4アルキル、
b)ヒドロキシ、
c)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
d)CONH
e)CHOH、
f)SONH
g)ハロゲン、
h)アミノ、
i)アリール、
j)C3−7シクロアルキル、
k)CF
l)OCF
m)N(CH
n)−C1−3アルキルアリール、
o)複素環式の環、
p)C1−4アルコキシ
q)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは、1又は2のいずれかであり、wが1の場合、xは2であり、かつwが2の場合、xは1である]、
r)C1−4チオアルコキシ、もしくは
s)シアノ
のうちの1個以上で置換されている、5〜7員単環式又は9〜10員縮合二環式の非複素環式の飽和環、
4)置換されていないか、又は
a)C1−4アルキル、
b)ヒドロキシ、
c)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
d)CONH
e)CHOH、
f)SONH
g)ハロゲン、
h)アミノ、
i)アリール、
j)C3−7シクロアルキル、
k)CF
l)OCF
m)N(CH
n)−C1−3アルキルアリール、
o)複素環式の環、
p)C1−4アルコキシ
q)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは、1又は2のいずれかであり、wが1の場合、xは2であり、かつwが2の場合、xは1である]、
r)C1−4チオアルコキシ、もしくは
s)シアノ
のうちの1個以上で置換されている、6員単環式又は9〜10員縮合二環式の非複素環式の非飽和環、
5)CF
6)置換されていないか、ハロゲンもしくはアリールで一置換されているか、又はハロゲンで二置換されている、C3−7シクロアルキル、
7)C7−12二環式アルキル、
8)C10−16三環式アルキル
【0014】
【化2】

[ここで、mは0〜3であり、かつ各R12は同一であっても又は異なっていてもよい]、
【0015】
【化3】

[ここで、pは1〜4である]、
【0016】
【化4】

[ここで、mは0〜3である]、
【0017】
【化5】


【0018】
【化6】

[ここで、mは0又は1である]、
【0019】
【化7】

【0020】
【化8】

[ここで、mは0〜3であり、かつ各R12は同一であっても又は異なっていてもよく、R12置換基は、C3−7シクロアルキルにより表される、それらが結合しているCと共に環を形成していてもよい]、
【0021】
【化9】

[ここで、qは0〜2であり、かつ各R12は同一であっても又は異なっていてもよく、R12置換基は、C3−7シクロアルキルにより表される、それらが結合しているCと共に環を形成していてもよい]、
【0022】
【化10】

[ここで、rは0〜4であり、かつ各Rは同一であっても又は異なっていてもよく、R置換基は、C3−7シクロアルキル、C7−12二環式アルキル、C10−16三環式アルキル、又は5〜7員単環式もしくは9〜10員縮合二環式の複素環式の環(飽和であっても又は不飽和であってもよく、かつN、O、及びSからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含有している)により表される、それらが結合しているCと共に環を形成していてもよい]、
【0023】
【化11】

[ここで、n及びpは独立に1〜4である]、
【0024】
【化12】

[各R12は同一であっても又は異なっていてもよい]、
【0025】
【化13】

及び
【0026】
【化14】

[ここで、tは1〜4であり、かつqは独立に0〜2である]
[Rは、
1)水素、
2)炭素環原子及びヘテロ原子環原子を有する、5〜7員単環式又は9〜10員縮合二環式の複素環式の環[環は、飽和であっても又は不飽和であってもよく、かつ
a)N、O、及びSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子[この場合、環は置換されていない]、又は
b)1〜4個のN原子[この場合、環原子のうちの1個以上が、
i)C1−4アルキル、
ii)ヒドロキシ、
iii)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
iv)CONH
v)CHOH、
vi)SONH
vii)ハロゲン、
viii)アミノ、
ix)アリール、
x)C3−7シクロアルキル、
xi)CF
xiii)OCF
xiii)N(CH
xiv)−C1−3アルキルアリール、
xv)複素環式の環、
xvi)C1−4アルコキシ
xvii)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは1又は2のいずれかであり、wが1である場合、xは2であり、かつwが2である場合、xは1である]、
xviii)C1−4チオアルコキシ、又は
xix)シアノ
のうちの1個以上で置換されている]
を含有している]、
3)置換されていないか、又は
a)C1−4アルキル、
b)ヒドロキシ、
c)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
d)CONH
e)CHOH、
f)SONH
g)ハロゲン、
h)アミノ、
i)アリール、
j)C3−7シクロアルキル、
k)CF
l)OCF
m)N(CH
n)−C1−3アルキルアリール、
o)複素環式の環、
p)C1−4アルコキシ
q)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは、1又は2のいずれかであり、wが1の場合、xは2であり、かつwが2の場合、xは1である]、
r)C1−4チオアルコキシ、もしくは
s)シアノ
のうちの1個以上で置換されている、5〜7員単環式又は9〜10員縮合二環式の非複素環式の飽和環、
4)置換されていないか、又は
a)C1−4アルキル、
b)ヒドロキシ、
c)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
d)CONH
e)CHOH、
f)SONH
g)ハロゲン、
h)アミノ、
i)アリール、
j)C3−7シクロアルキル、
k)CF
l)OCF
m)N(CH
n)−C1−3アルキルアリール、
o)複素環式の環、
p)C1−4アルコキシ
q)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは、1又は2のいずれかであり、wが1の場合、xは2であり、かつwが2の場合、xは1である]、
r)C1−4チオアルコキシ、もしくは
s)シアノ
のうちの1個以上で置換されている、6員単環式又は9〜10員縮合二環式の非複素環式の非飽和環、
5)置換されていないか、又は
a)ヒドロキシ、
b)COOH、
c)ハロゲン、
d)アミノ、
e)アリール、
f)C3−7シクロアルキル、
g)CF
h)N(CH
i)−C1−3アルキルアリール、
j)複素環式の環、
k)C1−4アルコキシ
l)C1−4チオアルコキシ、もしくは
m)シアノ
のうちの1個以上で置換されている、C1−7アルキル、
6)CF
7)置換されていないか、ハロゲンもしくはアリールで一置換されているか、又はハロゲンで二置換されている、C3−7シクロアルキル、
8)C7−12二環式アルキル、又は
9)C10−16三環式アルキル、
からなる群より選択される]
からなる群より選択され、
及びXは、独立に、
1)水素、
2)ハロゲン、
3)シアノ、
4)C1−4アルキルチオ、
5)C1−4アルキルスルフィニル、
6)C1−4アルキルスルホニル、
7)C1−4アルキル、
8)C3−7シクロアルキル、及び
9)トリフルオロメチル
からなる群より選択され、
Aは、
【0027】
【化15】

[ここで、Y及びYは、独立に、
1)水素、
2)C1−4アルキル、
3)C1−4アルコキシ、
4)FC(CH0−1O−[ここで、u及びvは、1又は2のいずれかであり、uが1の場合、vは2であり、かつuが2の場合、vは1である]、
5)C3−7シクロアルキル、
6)C1−4アルキルチオ、
7)C1−4アルキルスルフィニル、
8)C1−4アルキルスルホニル、
9)ハロゲン、
10)シアノ、及び
11)トリフルオロメチル
からなる群より選択され、かつ
bは0又は1である]であり、
12は、
1)水素、
2)ハロゲン、
3)炭素環原子及びヘテロ原子環原子を有する、5〜7員単環式又は9〜10員縮合二環式の複素環式の環[環は、飽和であっても又は不飽和であってもよく、かつ
a)N、O、及びSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子[この場合、環は置換されていない]、又は
b)1〜4個のN原子[この場合、環原子のうちの1個以上が、
i)C1−4アルキル、
ii)ヒドロキシ、
iii)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
iv)CONH
v)CHOH、
vi)SONH
vii)ハロゲン、
viii)アミノ、
ix)アリール、
x)C3−7シクロアルキル、
xi)CF
xiii)OCF
xiii)N(CH
xiv)−C1−3アルキルアリール、
xv)複素環式の環、
xvi)C1−4アルコキシ、
xvii)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは1又は2のいずれかであり、wが1である場合、xは2であり、かつwが2である場合、xは1である]、
xviii)C1−4チオアルコキシ、及び
xix)シアノ
のうちの1個以上で置換されている]
を含有している]、
4)置換されていないか、又は
a)C1−4アルキル、
b)ヒドロキシ、
c)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
d)CONH
e)CHOH、
f)SONH
g)ハロゲン、
h)アミノ、
i)アリール、
j)C3−7シクロアルキル、
k)CF
l)OCF
m)N(CH
n)−C1−3アルキルアリール、
o)複素環式の環、
p)C1−4アルコキシ
q)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは、1又は2のいずれかであり、wが1の場合、xは2であり、かつwが2の場合、xは1である]、
r)C1−4チオアルコキシ、もしくは
s)シアノ
のうちの1個以上で置換されている、5〜7員単環式又は9〜10員縮合二環式の非複素環式の飽和環、
5)置換されていないか、又は
a)C1−4アルキル、
b)ヒドロキシ、
c)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
d)CONH
e)CHOH、
f)SONH
g)ハロゲン、
h)アミノ、
i)アリール、
j)C3−7シクロアルキル、
k)CF
l)OCF
m)N(CH
n)−C1−3アルキルアリール、
o)複素環式の環、
p)C1−4アルコキシ
q)FHC(CH0−1O−[ここで、w及びxは、1又は2のいずれかであり、wが1の場合、xは2であり、かつwが2の場合、xは1である]、
r)C1−4チオアルコキシ、もしくは
s)シアノ
のうちの1個以上で置換されている、6員単環式又は9もしくは10員縮合二環式の非複素環式の非飽和環、
6)ビフェニル、
7)CF
8)C3−7シクロアルキル、
9)C7−12二環式アルキル、及び
10)C10−16三環式アルキル
からなる群より選択される]
1つの化合物クラスにおいて、Y及びYは、独立に、水素、C1−4アルキル、ハロゲン、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルフィニル、C1−4アルキルスルホニル、及びC1−4アルコキシからなる群より選択される。
【0028】
該化合物クラスのサブクラスにおいて、Y及びYは、独立に、水素、F、CH、SCH、SOCH、SOCH、及びOCHからなる群より選択される。
【0029】
該化合物サブクラスの1つの群において、Aは、
【0030】
【化16】

[ここで、bは0又は1である]
からなる群より選択される
該化合物群の1つの亜群において、Xは水素であり、RはCH、Cl、又はCNであり、かつWはRCFC(R12又はRCHC(R12である。
【0031】
該化合物亜群の1つのファミリーにおいて、R12は水素である。
【0032】
該化合物ファミリーの1つのサブファミリーにおいて、Rは、
1)炭素環原子及びヘテロ原子環原子を有する、5〜7員単環式又は9〜10員縮合二環式の複素環式の環[環は、飽和であっても又は不飽和であってもよく、かつ
a)N、O、及びSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子[この場合、環は置換されていない]、又は
b)1〜4個のN原子[この場合、環原子のうちの1個以上が、
i)C1−4アルキル、
ii)ヒドロキシ、
iii)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
iv)CONH
v)CHOH、
vi)SONH
vii)ハロゲン、
viii)アミノ、
ix)アリール、
x)C3−7シクロアルキル、
xi)CF
xiii)OCF
xiii)N(CH
xiv)−C1−3アルキルアリール、
xv)複素環式の環、
xvi)C1−4アルコキシ
xvii)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは1又は2のいずれかであり、wが1である場合、xは2であり、かつwが2である場合、xは1である]、
xviii)C1−4チオアルコキシ、又は
xix)シアノ
のうちの1個以上で置換されている]
を含有している]、及び
2)置換されていないか、又は
a)C1−4アルキル、
b)ヒドロキシ、
c)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
d)CONH
e)CHOH、
f)SONH
g)ハロゲン、
h)アミノ、
i)アリール、
j)C3−7シクロアルキル、
k)CF
l)OCF
m)N(CH
n)−C1−3アルキルアリール、
o)複素環式の環、
p)C1−4アルコキシ
q)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは、1又は2のいずれかであり、wが1の場合、xは2であり、かつwが2の場合、xは1である]、
r)C1−4チオアルコキシ、もしくは
s)シアノ
のうちの1個以上で置換されている、6員単環式又は9〜10員縮合二環式の非複素環式の非飽和環
からなる群より選択される。
【0033】
該化合物サブファミリーのサブ−サブファミリーにおいて、Rは、ピリジル、メトキシピリジル、又はフェニルである。
【0034】
該ファミリーの例を、以下に挙げる(メチル置換基は、通常、原子に付着した結合として示されることに注意)。本発明の化合物の阻害活性は、1nM以上のKiを示す「**」、又は1nM未満のKiを示す「」により表される。値は、本明細書中の後述のインビトロアッセイに従い決定されたものである。
【0035】
【化17】




【0036】
本発明の化合物は、キラル中心を有し、ラセミ化合物、ラセミ混合物として存在してもよいし、個々のジアステレオマー又は鏡像異性体として存在してもよく、全ての異性体型が本発明に含まれる。本発明の化合物は、多型結晶相を有していてもよく、全ての多型結晶相が本発明に含まれる。
【0037】
本発明は、以下の化合物を含む、本発明の化合物の代謝物も含む。
【0038】
【化18】

【0039】
成分又は式I中に複数の変化要素が出現する場合、各出現における定義は、全ての他の出現における定義から独立している。また、置換基及び/又は変化要素の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0040】
本明細書において登場するいくつかの略語は、以下の通りである。
【0041】
略語
BH 水素化ホウ素(borohydride)
CHCl ジクロロメタン
DAST ジエチルアミノ三フッ化硫黄(diethylaminosulfurtrifluoride)
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
DCE 1,2−ジクロロエタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DPPA アジドリン酸ジフェニル
EDC 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸
EtO ジエチルエーテル
EtN トリエチルアミン
EtOH エタノール
HCl 塩酸
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
HOAT 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
iPrOH 2−プロパノール
LDA リチウムジイソプロピルアミド
LiAlH 水素化アルミニウムリチウム
MeI ヨードメタン
MeOH メタノール
MCPBA m−クロロ過安息香酸
NaBH ホウ水素化ナトリウム
NaN アジ化ナトリウム
NaSMe ナトリウムチオメトキシド(sodium thiomethoxide)
nBuLi n−ブチルリチウム
NCS N−クロロスクシンイミド
NMM M−メチルモルホリン
Pd/C パラジウム活性炭触媒
PhCH トルエン
PhP トリフェニルホスフィン
POBr オキシ臭化リン
TBAF テトラブチルアンモニウムフルオリド
TBSCl tert−ブチルジメチルシリルクロリド
TEA トリエチルアミン
THF テトラヒドロフラン
TMSCN トリメチルシリルシアニド
【0042】
本明細書において使用されるように、特記しない限り、「アルキル」には、明記された数の炭素原子を有する、分岐状及び直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基が含まれるものとする。アルキル基の一般的に使用される略語が、本明細書を通して使用される。例えば、メチルは「Me」又はCHにより表され、エチルは「Et」又はCHCHにより表され、プロピルは「Pr」又はCHCHCHにより表され、ブチルは「Bu」又はCHCHCHCHにより表されうる。「アルコキシ」とは、酸素架橋を介して付着した、示された数の炭素原子の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す。「ハロ」又は「ハロゲン」とは、本明細書において使用されるように、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)、及びヨード(I)を意味し、「対イオン」とは、塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、過塩素酸イオン、硝酸イオン、安息香酸イオン、マレイン酸イオン、硫酸イオン、酒石酸イオン、ヘミ酒石酸(hemitartrate)イオン、ベンゼンスルホン酸イオン等のような、小さい、一価の負の電荷を有する種を表すために使用される。
【0043】
「C3−7シクロアルキル」という用語には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチル等が含まれるものとする。
【0044】
「C7−12二環式アルキル」には、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(ノルボルニル)、ビシクロ[2.2.2]オクチル、1,1,3−トリメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(ボルニル)等が含まれるものとする。
【0045】
「アリール」という用語は、本明細書において使用されるように、特記しない限り、フェニル又はナフチルのような、安定な6〜10員の単環式又は二環式の環系を表す。アリール環は、非置換であってもよいし、C1−4低級アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、又はアミノのうちの1個以上で置換されていてもよい。
【0046】
「アルキルアリール」、例えばC1−3アルキルアリールという用語は、アルキル置換基を有するアリール基を表す。
【0047】
「ビフェニル」という用語は、2個のベンゼン環の環集合、例えば
【0048】
【化19】

を意味する。
【0049】
「複素環式の環」という用語は、本明細書において使用されるように、特記しない限り、安定な5〜7員単環式又は安定な9〜10員縮合二環式の複素環式の環系(その環は、ピペリジニルのように飽和であってもよいし、部分的飽和であってもよいし、又はピリジニルのように不飽和であってもよく、炭素原子とN、O、及びSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子とからなり、窒素及び硫黄ヘテロ原子は、場合により酸化されていてもよく、窒素へテロ原子は、場合により第四級化されていてもよい)を表し、前記定義の複素環式の環のうちのいずれかがベンゼン環と縮合している二環式の基を含む。二環式不飽和環系には、部分的不飽和であってもよいし、完全不飽和であってもよい二環式環系が含まれる。部分的不飽和二環式環系には、例えばシクロペンテノピリジニル基、ベンゾジオキサン基、メチレンジオキシフェニル基が含まれる。特に有用であるのは、1個の酸素もしくは硫黄、1〜4個の窒素原子、又は1もしくは2個の窒素原子と組み合わされた1個の酸素もしくは硫黄を含有する環である。複素環式の環は、安定な構造を作出する、任意のヘテロ原子又は炭素原子において付着していてよい。そのような複素環式の基の例には、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキシピペリジニル、2−オキソピロロジニル(2−oxopyrrolodinyl)、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、ピロリル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、チアジアゾイル(thiadiazoyl)、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、テトラゾール、チエニル、ベンゾチエニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、及びオキサジアゾリルが含まれる。
【0050】
「非複素環式の環」という用語は、本明細書において使用されるように、特記しない限り、シクロヘキシルのように飽和であってもよいし、部分的飽和であってもよいし、又はフェニルのように不飽和であってもよい、炭素環原子を有し、かつヘテロ環原子は有していない、安定な5〜7員単環式又は安定な9〜10員二環式の環系を表す。そのような非複素環式の環の例には、フェニル、ナフチレニル、インデニル、及びシクロヘキシルが含まれる。
【0051】
「シクロオキシゲナーゼ−2の阻害剤」、「シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤」、及び「COX−2阻害剤」には、本明細書において使用されるように、シクロオキシゲナーゼ−1よりもシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害する化合物が包含される。
【0052】
式Iの化合物の薬学的に許容される塩(水溶性もしくは油溶性、又は分散可能な生成物の形態)には、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等に由来するもの、又は例えば無機もしくは有機の酸もしくは塩基から形成された第四級アンモニウム塩のような通常の非毒性の塩が含まれる。酸付加塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンホル酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩(digluconate)、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩(glucoheptanoate)、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩(hemisulfate)、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモエート(pamoate)、ペクチン酸塩、過硫酸鉛、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシラート(tosylate)、及びウンデカン酸塩が含まれる。塩基塩には、アンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩のような有機塩基を含む塩、N−メチル−D−グルカミン、並びにアルギニン、リジン等のようなアミノ酸を含む塩が含まれる。また、塩基性窒素含有基は、メチル、エチル、プロピル、及びブチルの塩化物、臭化物、及びヨウ化物のような低級アルキルハロゲン化物;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル、及び硫酸ジアミルのような硫酸ジアルキル;デシル、ラウリル、ミリスチル、及びステアリルの塩化物、臭化物、及びヨウ化物のような長鎖ハロゲン化物、臭化ベンジル及び臭化フェネチルのようなハロゲン化アラルキル等のような薬剤により第四級化されていてもよい。
【0053】
ピリジルN−オキシドモエティを有する本発明の化合物において、ピリジルN−オキシド部分は、等価な意味を有する
【0054】
【化20】

のような通常の表記を使用して構造的に図示される。
【0055】
変化要素「A」の定義において、変化要素「b」がゼロである場合、Aは、
【0056】
【化21】

である。変化要素「b」が1である場合、Aは、
【0057】
【化22】

である。
【0058】
トロンビン阻害剤−治療的使用−使用法
抗凝固療法は、多様な血栓状態、特に冠状動脈及び脳血管の疾患の治療及び予防のため適用される。この分野の経験者であれば、抗凝固療法を必要とする状況を容易に認識する。「患者」という用語は、本明細書において使用されるように、ヒト、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ラット、及びマウスを含む霊長類のような哺乳動物を意味するために用いられる。
【0059】
トロンビン阻害は、血栓状態を有する個体の抗凝固療法においてのみならず、例えば保存された全血の凝固を防止するため、及び検査又は保存のための他の生物学的試料における凝固を防止するために、血液凝固の阻害が必要とされる全ての場合において有用である。従って、トロンビン阻害剤は、例えば、血管移植片、ステント、整形外科プロテーゼ、心臓プロテーゼ、及び体外循環系からなる群より選択される物質と哺乳動物の血液を接触させる際に、トロンビンを含有しているか、又は含有していると推測され、血液凝固を阻害することが望まれる任意の媒体に添加されるか、又は接触させられ得る。
【0060】
本発明の化合物は、哺乳動物において静脈血栓塞栓症(例えば、剥離した血栓による静脈の閉塞又は閉鎖;剥離した血栓による肺動脈の閉塞又は閉鎖)、心原性血栓塞栓症(例えば、剥離した血栓による心臓の閉塞又は閉鎖)、動脈血栓症(動脈により供給される組織の梗塞を引き起こしうる動脈内の血栓形成)、アテローム硬化症(例えば、不規則的に分布した脂質沈着物を特徴とする動脈硬化症)を治療又は予防するため、及び血液と接触する装置の血液凝固傾向を低下させるため、有用である。
【0061】
本発明の化合物により治療又は予防されうる静脈血栓塞栓症の例には、静脈の閉塞、肺動脈の閉塞(肺塞栓症)、深部静脈血栓症、癌及び癌化学療法と関連した血栓症、プロテインC欠損症、プロテインS欠損症、アンチトロンビンIII欠損症、及び第V因子ライデン(Leiden)のような栓友疾患により遺伝した血栓症、並びに全身性エリテマトーデス(炎症性結合組織疾患)のような後天性栓友疾患に起因する血栓症が含まれる。また、静脈血栓塞栓症に関して、本発明の化合物は、留置カテーテルの開存性を維持するためにも有用である。
【0062】
本発明の化合物により治療又は予防されうる心原性血栓塞栓症の例には、血栓塞栓性発作(剥離した血栓により引き起こされる、脳血液供給の異常と関係した神経学的疾病)、心房細動と関連した心原性血栓塞栓症(心臓の上部の室の筋原繊維の急速で不規則な攣縮)、機械心臓弁のようなプロテーゼ心臓弁と関連した心原性血栓塞栓症、及び心臓疾患と関連した心原性血栓塞栓症が含まれる。
【0063】
動脈血栓症の例には、不安定狭心症(冠状静脈由来の絞窄的胸痛)、心筋梗塞(不十分な血液供給に起因する心筋細胞死)、虚血性心臓疾患(血液供給の(例えば、動脈が狭くなることによる)閉塞による局所的貧血)、経皮経管的冠状動脈形成術の間又はその後の再閉鎖、経皮経管的冠状動脈形成術の後の再狭窄、冠状動脈バイパス移植片の閉塞、及び閉鎖性脳血管疾患が含まれる。また、動脈血栓症に関して、本発明の化合物は、動静脈カニューレにおける開存性を維持するためにも有用である。
【0064】
アテローム硬化症の例には、動脈硬化症が含まれる。
血液と接触する装置の例には、血管移植片、ステント、整形外科プロテーゼ、心臓プロテーゼ、及び体外循環系が含まれる。
【0065】
本発明のトロンビン阻害剤は、錠剤、カプセル(それぞれ、持続的放出性又は徐放性の製剤を含む)、丸剤、粉末、顆粒、エリキシル、チンキ、懸濁液、シロップ、及び乳濁液のような経口形態で投与されうる。同様に、それらは、全て薬学分野の当業者に周知の形態を使用して、静脈内(ボーラス又は点滴)、腹腔内、皮下、又は筋肉内の形態で投与されうる。有効であるが非毒性である量の所望の化合物が、抗凝固剤として使用されうる。フィブリンの眼内蓄積を治療するためには、化合物は、眼内又は局所に投与されてもよいし、経口的又は非経口的に投与されてもよい。
【0066】
トロンビン阻害剤は、活性成分の持続的放出を許容するような様式で製剤化されうる蓄積注射又はインプラント調製物の形態で投与されうる。活性成分は、ペレット又は小型シリンダーへと圧縮され、蓄積注射又はインプラントとして皮下又は筋肉内に移植されうる。インプラントは、生分解性重合体、又は合成シリコン、例えばシラスティック(Silastic)、シリコンゴム、もしくはダウコーニング社(Dow−Corning Corporation)により製造されているその他の重合体のような不活性物質を使用することができる。
【0067】
トロンビン阻害剤は、小さな単膜リポソーム、大きな単膜リポソーム、及び多重膜リポソームのようなリポソーム輸送系の形態でも投与されうる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、又はホスファチジルコリンのような多様なリン脂質から形成されうる。
【0068】
トロンビン阻害剤は、化合物分子がカップリングしている各担体としてのモノクローナル抗体の使用によっても輸送されうる。トロンビン阻害剤は、ターゲティング可能薬物担体(targetable drug carriers)のような可溶性重合体ともカップリングされうる。そのような重合体には、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシ−プロピル−メタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチル−アスパルタミド−フェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド−ポリリジンが含まれうる。さらに、トロンビン阻害剤は、制御された薬物放出を達成するために有用な生分解性重合体のクラス、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸との共重合体、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及び架橋された又は両親媒性のヒドロゲルのブロック共重合体とカップリングされうる。
【0069】
トロンビン阻害剤を利用する投薬計画は、患者の型、種、年齢、体重、性別、及び医学的状態;治療を受ける状態の重度;投与経路;患者の腎臓及び肝臓の機能;並びに使用される特定の化合物又はその塩を含む、多様な要因に従い選択される。通常の技術を有する医師又は獣医師であれば、状態を予防し、対抗し、又はその進行を阻止するために必要な薬物の有効量を、容易に決定し処方することができる。
【0070】
示された効果のために使用される場合、トロンビン阻害剤の経口投薬は、1日当たり体重1kg当たり約0.01mg(mg/kg/日)〜約30mg/kg/日、好ましくは0.025mg/kg/日〜7.5mg/kg/日、より好ましくは0.1mg/kg/日〜2.5mg/kg/日、最も好ましくは0.1mg/kg/日〜0.5mg/kg/日であろう(特記しない限り、活性成分の量は、遊離塩基を基準としている)。例えば、80kgの患者は、約0.8mg/日〜2.4mg/日、好ましくは2mg/日〜600mg/日、より好ましくは8mg/日〜200mg/日、最も好ましくは8mg/日〜40mg/日を受容するであろう。従って、1日1回投与用に適当に調製された医薬品は、0.8mg〜2.4g、好ましくは2mg〜600mg、より好ましくは8mg〜200mg、最も好ましくは8mg〜40mg、例えば8mg、10mg、20mg、及び40mgを含有しているであろう。有利には、トロンビン阻害剤は、1日2回、3回、又は4回の分割された用量で投与されうる。1日2回投与の場合、適当に調製された医薬品は、0.4mg〜1.2g、好ましくは1mg〜300mg、より好ましくは4mg〜100mg、最も好ましくは4mg〜20mg、例えば4mg、5mg、10mg、及び20mgを含有するであろう。
【0071】
静脈内投与の場合、患者は、0.025〜7.5mg/kg/日、好ましくは0.1〜2.5mg/kg/日、より好ましくは0.1〜0.5mg/kg/日を輸送するために十分な量で活性成分を受容するであろう。そのような量は、多数の適当な方法で、例えば、長期間又は1日数回、低濃度の活性成分を大容量で、短期間、例えば1日1回、高濃度の活性成分を低容量で、投与されうる。典型的には、約0.01〜1.0mg/ml、例えば0.1mg/ml、0.3mg/ml、及び0.6mg/mlの濃度の活性成分を含有する通常の静脈内製剤が調製され、患者の体重1kg当たり0.01ml〜患者の体重1kg当たり10.0ml、例えば0.1ml/kg、0.2ml/kg、0.5ml/kgの量で投与されうる。1つの例において、0.5mg/mlの濃度の活性成分を有する静脈内投与用製剤8mlを1日2回受容する80kgの患者は、1日に8mgの活性成分を受容するであろう。グルクロン酸、L−乳酸、酢酸、クエン酸、又は静脈内投与用に許容されるpH域における合理的な緩衝能を有する任意の薬学的に許容される酸/共役塩基が、緩衝剤として使用されうる。選択においては、薬物の溶解度を考慮する必要がある。投与される薬物の溶解度に応じた、適切な緩衝剤及び製剤のpHの選択は、当業者により容易になされうる。
【0072】
化合物は、適当な鼻腔内媒体の局所的使用を介して鼻腔内形態で、又は当業者に周知の経皮的皮膚貼付剤を使用して経皮的経路を介して、投与されてもよい。経皮的輸送系の形態で投与する場合、投薬は、当然、投薬計画を通して間欠的ではなく継続的であろう。
【0073】
トロンビン阻害剤は、典型的には、意図された投与形態、即ち経口錠剤、カプセル、エリキシル、シロップ等に関して適当に選択され、通常の薬学実務と一致した、適当な薬学的な希釈剤、賦形剤、又は担体(本明細書において、集合的に「担体」物質と呼ぶ)と混合された活性成分として投与される。
【0074】
例えば、錠剤又はカプセルの形態の経口投与の場合、活性薬物要素は、ラクトース、デンプン、ショ糖、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール等のような経口の非毒性の薬学的に許容される不活性の担体と組み合わせられ得る。液体形態の経口投与の場合には、経口薬物要素は、エタノール、グリセロール、水等のような任意の経口の非毒性の薬学的に許容される不活性の担体と組み合わせられ得る。さらに、所望又は必要に応じて、適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、及び着色剤も、混合物中に組み込まれうる。適当な結合剤には、デンプン、ゼラチン、グルコース又はベータ−ラクトースのような天然糖、コーン甘味料(corn−sweeteners)、アラビアゴム、トラガカントゴム、又はアルギン酸ナトリウムのような天然及び合成のゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ロウ等が含まれる。これらの投薬形態において使用される滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が含まれる。崩壊剤には、これらに限定されないが、デンプンメチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴム等が含まれる。
【0075】
本発明には、本発明の化合物を含む組成物により患者を治療することを含む、患者における炎症性疾患を治療するための方法も含む。そのような疾患には、これらに限定されないが、腎炎、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、糸球体腎炎、及びサルコイドーシスが含まれる。
【0076】
本発明は、本発明の化合物とNSAID、例えばCOX−2阻害剤とを含む組み合わせにより患者を治療することを含む、患者における炎症性疾患を治療するための方法でもある。そのような疾患には、これらに限定されないが、腎炎、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、糸球体腎炎、脈管炎、及びサルコイドーシスが含まれる。
【0077】
本発明は、治療に有効な量の本発明の化合物を患者へ投与することにより、患者における腎炎、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、糸球体腎炎、及びサルコイドーシス、リウマチ熱、インフルエンザ又はその他のウイルス感染と関連した症状、一般的な風邪、下方背部及び頸部の疼痛、月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫及び挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、慢性関節リウマチ、変形性関節症(degenerative joint diseases)(変形性関節症(osteoarthritis))、痛風、及び強直性脊椎炎を含む関節炎、滑液包炎、熱傷、外科的及び歯科的処置の後の損傷を含む多様な状態の疼痛、発熱、及び炎症を緩解するための方法である。トロンビン阻害剤は、初老期又は老年痴呆、特にアルツハイマー病と関連した痴呆を含む痴呆の治療にも有用である可能性がある。
【0078】
フィブリン形成が顕著である炎症性疾患において、フィブリンが、病理の決定因子である可能性がある。フィブリンは、炎症細胞が移動し接着することができるマトリックスとして機能する(Shermanら、1997 J.Exp.Med.145:76−85;Altieriら、1986 J.Clin.Invest.78:968−976;Wrightら、1983 Proc.Natl.Acad.Sci.85:7734−7738;Altieriら、1993 J.Biol.Chem.268:1847−1853を参照のこと)。フィブリンは、炎症性サイトカインIL−1ベータの発現の増強、及びヒト末梢血単核細胞によるIL−1受容体アンタゴニストの発現の減少も行う(Perez 1995 J.Immunol.154:1879−1887を参照のこと)。抗凝固剤ワルファリン及びヘパリンは、動物における遅延型過敏反応及び実験的腎炎を軽減させる(Jasainら、Immunopathogenesis of Rheumatoid Arthritis G.S.Panayi et al.編,Surrey,UK,Reedbooks,Ltd.and Halpernら、1965 Nature 205:257−259を参照のこと)。アンクロドによる酵素的脱線維素は、動物における実験的腎炎(Naishら、1972 Clin.Sci.42:643−646)、全身性エリテマトーデス(Coleら、1990 Kidney Int.37:29−35)、及び慢性関節リウマチ(Bussoら、1998 J.Clin.Invest.102:41−50を参照のこと)、並びにヒトにおける糸球体腎炎(Kimら、1998 Q.J.Med.69:879−905を参照のこと)の程度を減弱させる。さらに、フィブリンの関節内注射は、フィブリンで免疫感作されたウサギにおいて関節炎を誘導し(Dumondeら、1961 British Journal of Experimental Pathology XLIII:373−383)、マウスにおける抗原誘導関節炎は、滑液フィブリンの線溶が損なわれているウロキナーゼ欠損マウスにおいて増悪化する(Bussoら、1998 J.Clin.Invest.102:41−50を参照のこと)。
【0079】
これらに限定されないが慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、糸球体腎炎、脈管炎、及びサルコイドーシスのようなフィブリン沈着が顕著である疾患において、本発明による本発明の化合物の投与によるフィブリンの定常状態濃度の低下は、これらの疾患と関連した病理的炎症反応を減弱させるであろう。
【0080】
同様に、本発明の化合物は、現在、他の薬剤又は成分と共投与されている調製物における通常のNSAIDの部分的又は完全な代替物として有用であろう。従って、さらなる面において、本発明には、非毒性の治療に有効な量の前記定義のような本発明の化合物と、アセトアミノフェン又はフェナセチンを含む他の疼痛緩解剤;カフェインを含む増強剤;H2アンタゴニスト、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム、シメチコン、フェニレフリン、フェニルプロパノラミン、プソイドフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン、又はレボデスオキシエフェドリンを含む鬱血除去剤;コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン、又はデキストロメトルファンを含む鎮咳剤;利尿剤;鎮静性又は非鎮静性の抗ヒスタミン剤のような1個以上の成分とを含む、前記定義のような炎症性疾患を治療するための薬学的組成物が包含される。さらに、本発明には、場合により上記のような1個以上の成分と共投与される、非毒性の治療に有効な量の本発明の化合物を、そのような治療が必要な患者に投与することを含む、炎症性疾患を治療する方法が包含される。
【0081】
本発明には、治療に有効な量の本発明の化合物と組み合わせられた治療に有効な量のCOX−2阻害剤のようなNSAIDの、哺乳動物、特にヒトへの投与を含む、新規な組み合わせ療法も含まれる。組み合わせ療法は、炎症性疾患を治療するために使用される。
【0082】
COX−2阻害剤のようなNSAIDと組み合わせられた本発明の化合物を含む本発明の薬学的組み合わせには、本発明の化合物とNSAIDの両方を含有する単一の薬学的投薬製剤の投与が含まれ、さらに、それぞれ別々の薬学的投薬製剤中の各活性薬剤の投与も含まれる。別々の投薬製剤が使用される場合には、本発明の化合物及びNSAIDは、本質的に同一の時点で、即ち同時に、又は時間差をおいて別々に、即ち連続的に投与されうる。「本発明の薬学的組み合わせ」とは、これらの計画を全て含むものと理解される。これらの様々な方法での投与は、本発明の化合物及びNSAIDの有益な薬学的効果が実質的に同じ時点で患者により実現される限りにおいて、本発明にとって適当である。そのような有益な効果は、好ましくは、各活性薬物の標的血液レベル濃度が実質的に同じ時点で維持される場合に達成される。本発明の化合物及びNSAIDは、1日1回の投薬スケジュールで同時に共投与されることが好ましい。しかし、1日1回の本発明の化合物及び1日1回、2回、もしくはそれ以上のNSAID、又は1日1回のNSAID及び1日1回、2回、もしくはそれ以上の本発明の化合物のような様々な投薬スケジュールも、本発明に包含される。本発明の化合物及びNSAIDの両方を含む単一経口投薬製剤が、好ましい。単一投薬製剤は、患者に利便性を与えるであろう。
【0083】
本発明は、治療に有効な量の本発明の化合物又は薬学的に許容されるそれらの塩と組み合わせられた、治療に有効な量のNSAID又は薬学的に許容されるそれらの塩と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物も提供する。本発明の組成物の1つの実施態様は、治療に有効な量の本発明の化合物と組み合わせられた、治療に有効な量のCOX−2阻害剤と、薬学的に許容される担体とを含む、経口投与に適した単一組成物である。組成物は、それぞれ活性薬剤のうちの1つを有する別々の投薬形態でも投与されうる。別々の投薬形態で投与される場合、別々の投薬形態は、各活性薬剤の有益な効果が実質的に同一の時点で患者により実現されるよう、投与される。
【0084】
一般的なNSAIDには、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸コリン、サリチルサリチル酸、ジフルニサル、及びサルサレートのようなサリチレート類;インドメタシン及びスリンダクのようなインドール酢酸類;フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾンのようなピラゾール類;トルメチンのようなピロールアルカン酸類;イブプロフェン、フェロプロフェン(feroprofen)、フルルビプロフェン、及びケトプロフェンのようなフェニル酢酸類;メフェナム酸及びメクロフェナム酸塩のようなフェナム酸塩類;ピロキシカムのようなオキシカム類(oxicams);及びナプロキセンのようなナフタレン酢酸類が含まれる。COX−1阻害剤及びCOX−2阻害剤のようなシクロオキシゲナーゼ阻害剤も、NSAIDである。
【0085】
C.Brideau et al,Inflamm.Res.45:68−74(1996)(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたヒト全血COX−1アッセイ及びヒト全血COX−2アッセイを使用して、好ましくは、化合物は、ヒト全血COX−2アッセイにおける約2μM未満のシクロオキシゲナーゼ−2 IC50を有し、さらにヒト全血COX−1アッセイにおける約5μM超のシクロオキシゲナーゼ−1 IC50を有する。また、好ましくは、化合物は、少なくとも10、より好ましくは少なくとも40というシクロオキシゲナーゼ−1阻害に対するシクロオキシゲナーゼ−2阻害の選択性比を有する。得られた選択性は、一般的なNSAIDにより誘導される副作用の発生を減少させる能力の指標となりうる。
【0086】
シクロオキシゲナーゼ−2の阻害剤は、NSAIDの通常の投薬レベルまでの投薬レベルで投与されうる。適当な投薬レベルは、選択されたシクロオキシゲナーゼ−2の阻害剤の抗炎症効果に依存するであろうが、典型的には、適当なレベルは、約0.001〜50mg/kg/日、好ましくは0.005〜30mg/kg/日、特に0.05〜10mg/kg/日であろう。化合物は、1日最大6回、好ましくは1日1〜4回、特に1日1回という計画で投与されうる。
【0087】
NSAIDと組み合わせられた本発明の化合物を利用した投薬計画は、患者の型、種、年齢、体重、性別、及び医学的状態;治療を受ける状態の重度;投与経路;患者の腎臓及び肝臓の機能;並びに使用される特定の化合物又はその塩もしくはエステルを含む、多様な要因に応じて選択される。組み合わせ療法においては2個の異なる活性薬剤が共に使用されるため、各薬剤の効力及びそれらを組み合わせることにより生じる相互作用的効果も考慮しなければならない。状態を予防し、対抗し、又はその進行を阻止するために必要な、治療的に有効又は予防的に有効な投薬量を決定する目的のための、これらの要因の考慮は、十分、通常の技術を有する医師の範囲内である。
【0088】
薬物組み合わせの患者への投与には、自己投与及び他人による患者への投与の両方が含まれる。
【0089】
付加的な活性薬剤は、単一投薬製剤において本発明の化合物と組み合わされて使用されてもよいし、又は同時もしくは連続的投与を可能にする、別々の投薬製剤に含まれて患者へ投与されてもよい。使用されうる付加的な活性薬剤の例には、HMG−CoAシンターゼ阻害剤;スクアレンエポキシダーゼ阻害剤;スクアレンシンセターゼ阻害剤(スクアレンシンターゼ阻害剤としても既知)、アシル−補酵素A:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤;プロブコール;ナイアシン;クロフィブレート、フェノフィブレート(fenofibrate)、及びゲムフィブリゾール(gemfibrizol)のようなフィブレート類(fibrates);コレステロール吸収阻害剤;胆汁酸排泄剤;LDL(低密度リポタンパク質)受容体誘導因子;ビタミンB(ピリドキシンとしても既知)及びHCl塩のようなそれらの薬学的に許容される塩;ビタミンB12(シアノコバラミンとしても既知);β−アドレナリン受容体ブロッカー;葉酸、又はナトリウム塩及びメチルグルカミン塩のような薬学的に許容されるその塩又はエステル;並びにビタミンC及びE及びベータカロテンのような抗酸化ビタミンが含まれる。
【0090】
トロンビン阻害剤は、これらに限定されないがフィブリノーゲン受容体アンタゴニストのような抗血小板剤(例えば、不安定狭心症を治療もしくは予防するため、又は血管形成術後の再閉鎖及び再狭窄を予防するため)、アスピリンのような抗凝固剤、様々な脈管病理の治療において相乗効果を達成するためのプラスミノーゲンアクチベーター又はストレプトキナーゼのような血栓溶解剤、又はアテローム硬化症を治療もしくは予防するための抗コレステロール血症剤を含む脂質低下剤(例えば、ロバスタチン及びシムバスタチンのようなHMG CoAレダクターゼ阻害剤、HMG CoAシンターゼ阻害剤等)と共投与されうる。例えば、冠状動脈疾患に罹患した患者、及び血管形成術を受ける患者は、フィブリノーゲン受容体アンタゴニスト及びトロンビン阻害剤の共投与から利益を得るであろう。また、トロンビン阻害剤は、組織プラスミノーゲンアクチベーターにより媒介される血栓溶解再灌流の効力を増強する。血栓形成後にまずトロンビン阻害剤が投与され、その後、組織プラスミノーゲンアクチベーター又はその他のプラスミノーゲンアクチベーターが投与される。
【0091】
他の適当な抗血小板剤、抗凝固剤、又は血栓溶解剤と組み合わせられた本発明のトロンビン阻害剤の典型的な用量は、患者の治療の必要性によって、付加的な抗血小板剤、抗凝固剤、又は血栓溶解剤の共投与なしに投与されるトロンビン阻害剤の用量と同一である場合もあるし、又は付加的な抗血小板剤、抗凝固剤、又は血栓溶解剤の共投与なしに投与されるトロンビン阻害剤の用量よりも実質的に少ない場合もある。
【0092】
一般構造
【0093】
【化23】

[ここで、W、X、及びRは前記と同義であり、かつAはフルオロピリジルである]を有する化合物は、酸とアミンの間にアミド結合を形成させるために適当な条件下で、
【0094】
【化24】


【0095】
【化25】

と反応させることにより調製されうる。
【0096】
【化26】

のための適当なカルボン酸出発物質は、Sandersonらの国際特許公開第97/40024号、特に29〜58頁及び108〜111頁の、方法1の工程Fまで、及び対応する実施例I、方法2及び対応する実施例III、方法3の工程Eまで、及び対応する実施例V、並びに方法5の工程Eまで、及び対応する実施例LXXXII(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載の以下の手順に従い調製されうる。又は、それらは、3−ブロモ−6−メチルピラジン−2−オン−1−酢酸エチル(化合物「A」として参照される、Sandersonらの国際特許公開第99/11267号、34〜37頁の化合物7−4(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)を使用してW−NHとの縮合反応を行い、続いてけん化により対応する酸を得ることによって調製されうる。
【0097】
次いで、このカルボン酸を、
【0098】
【化27】

と反応させることにより、以下に示すように、
【0099】
【化28】

化合物が形成される。ここで、
【0100】
【化29】

は、例えば、最終生成物を形成させるための2−アミノメチル−3−フルオロピリジン(化合物Bとして参照)及び関連フルオロピリジン誘導体でありうる。2−アミノメチル−3−フルオロピリジンは、以下のようにして調製される。
【0101】
【化30】

【0102】
2−アミノメチル−3−フルオロピリジンの合成は、2−アミノメチル−3−フルオロピリジンBを二塩酸塩として与える、パラジウム炭素を使用した2−シアノ−3−フルオロピリジン(Sakamotoら、Chem.Pharm.Bull.33(2)565−571(1985))の接触還元により開始する。
【0103】
2−アミノメチル−3−フルオロピリジンBと3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−メチルピラジン−2−オン−1−酢酸とのカップリングは、EDC、HOBT、及びトリエチルアミンを使用してDMF中で実施される。水の添加により生成物を沈殿させ、次いでそれをシリカゲルクロマトグラフィにより精製し、淡色の固体として標記化合物を得る。その塩酸塩への変換は、酢酸エチル溶液を2当量の1M HClを含む酢酸エチルで処理し、続いて濾過することにより実施されうる。
【0104】
二塩酸塩としての2−アミノメチル−3−フルオロピリジン(B)
2−シアノ−3−フルオロピリジン6.11g(50.1mmol)を含むエタノール250mL及び濃HCl 12.5mL(150mmol)の攪拌された溶液を、10%パラジウム炭素1.90g上で、40psiで、16h、水素化した。濾過により触媒を除去し、減圧下で溶媒を除去した。得られた固体をアセトニトリルで希釈し濾過して、生成色の固体として標記化合物8.0gを得た。
【0105】
【化31】

【0106】
典型的には、液相アミドカップリングが、最終生成物を形成させるために使用されうるが、古典的なメリフィールド(Merrifield)技術による固相合成を代わりに使用してもよい。1個以上の保護基の付加及び除去も、典型的な実務である。
【0107】
変化要素Aに異なる基を有する化合物は、別の市販のアミノ誘導体
【0108】
【化32】

[ここで、Y及びYは前記と同義である]を、
【0109】
【化33】

について、カルボン酸とのカップリングについて記載されたカップリング手順を使用して、カップリングすることにより調製されうる。別のアミノ誘導体、及びアミノ誘導体を調製するための方法は、当業者に既知であり、下記の通りである。
【0110】
【化34】

は市販されている。
【0111】
【化35】

例えば
【0112】
【化36】

【0113】
別記しない限り、NMR決定は全て400MHzの磁場強度を使用してなされた。
【0114】
実施例1
3−フルオロ−2−ピリジルメチル−3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−メチルピラジン−2−オン−1−アセトアミド
【0115】
【化37】


2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミン1−6の合成は、エーテル中で2−ブロモピリジンから2−リチオピリジン(2−lithiopyridine)を生成させ、続いてシュウ酸ジエチルとの反応により2−ピリジルケトエステル1−1を得ることを含む。過剰のジエチルアミノ三フッ化硫黄による処理により、ジフルオロ−2−ピリジル酢酸エチル1−2を得、それを精製することなくホウ水素化ナトリウムを使用して還元する。得られた2,2−ジフルオロ−2−ピリジルエタノール1−3をクロマトグラフィにより精製し、トリフル酸無水物及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジンを塩基として使用して、対応するトリフラート1−4に変換する。次いで、粗トリフラートをDMF中でアジ化ナトリウムで処理し、2,2−ジフルオロ−2−ピリジルエチルアジド1−5を得、それもシリカゲルクロマトグラフィにより精製する。接触水素化によるアジドの還元は、2,2−ジフルオロ−2−ピリジルエチルアミン1−6を与える。
【0116】
トルエン/エタノール中でのこの物質と3−ブロモ−6−メチルピラジン−2−オン−1−酢酸エチルAとの縮合により、3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−メチルピラジン−2−オン−1−酢酸エチル1−7が得られる。次いで、けん化により、中間体3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−メチル−ピラジン−2−オン−1−酢酸1−8が得られる。
【0117】
【化38】

2−アミノメチル−3−フルオロピリジンBと3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−メチルピラジン−2−オン−1−酢酸1−8とのカップリングを、EDC、HOAT、及びN−メチルモルホリンを使用してDMF中で実施する。水の添加により生成物を沈殿させ、次いでそれをシリカゲルクロマトグラフィにより精製し、淡色の固体として標記化合物を得る。その塩酸塩への変換は、酢酸エチル溶液を2当量の1M HClを含む酢酸エチルで処理し、続いて濾過することにより実施されうる。
【0118】
2−ピリジノイルギ酸エチル(1−1)
−78℃、Ar下の、2−ブロモピリジン20mL(210mmol)を含む無水エーテル500mLの攪拌された溶液に、n−ブチルリチウムを含むヘキサンの2.5M溶液85mLをゆっくり流し入れた。冷所で30分間攪拌した後、シュウ酸ジエチル100mL(736mmol)を含む無水エーテル1.0Lの0℃、Ar下の攪拌された溶液に、2個のカニューレにより、5分間かけて、溶液を移した。冷所で2h攪拌した後、反応混合物を飽和NaHCO、水、及び塩水600mLで洗浄した。溶液をMgSO上で乾燥させ、減圧下で溶媒を濃縮し、赤色の油状物質を得、それを1:4〜35:65EtOAc−ヘキサンを使用したSiOクロマトグラフィ(10×15cm)により精製した。生成物含有画分を減圧下で濃縮し、赤色に近い油状物質として1−1を得た。
【0119】
【化39】

【0120】
ジフルオロ−2−ピリジル酢酸エチル(1−2)
2−ピリジノイルギ酸エチル1−1 22g(123mmol)及びジエチルアミノ三フッ化硫黄(DAST)75g(465mmol)の攪拌された溶液を、Ar下で一夜、55℃に加熱した。反応が完全でなかったため、さらに5gのDASTを添加し、反応物をさらに24h加熱した。反応混合物をrtに冷却し、氷1kg、酢酸エチル400mL、及び飽和NaHCO500mLの攪拌された混合物へ極めてゆっくり注入した。添加後、固体NaHCOの添加により混合物を塩基性化した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層を飽和NaHCO、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、減圧下で溶媒を濃縮し、茶色の油状物質として1−2を得た。
【0121】
【化40】

【0122】
2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エタノール(1−3)
0℃の、ジフルオロ−2−ピリジル酢酸エチル1−2 19.5g(97mmol)を含む無水エタノール200mLの攪拌された溶液に、ホウ水素化ナトリウム4.42g(116mmol)を少量ずつに分けて添加した。30分後、飽和NHCl50mLの添加により反応を停止させた。反応混合物を減圧下で濃縮し、残さを酢酸エチル及び飽和NaHCO 500mLに分配させた。有機層を水、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮し、茶色の油状物質を得、それを1:1EtOAc−ヘキサンを使用したSiO(10×17cm)上で精製した。混合された画分を再度クロマトグラフィに供した後、全ての純粋な画分を合わせ、減圧下で濃縮し、ベージュ色の結晶状固体として1−3を得た。
【0123】
【化41】

【0124】
トリフルオロメタンスルホン酸2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチル(1−4)
−78℃、Ar下の、2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エタノール1−3 5g(31.4mmol)及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジン9.69g(47.2mmol)を含む塩化メチレン110mLの攪拌された溶液に、トリフル酸無水物7.93mL(47.2mmol)を滴下した。1h後、反応物をペンタン100mLで希釈し、濾過した。濾液を濃縮し、再度ペンタンで処理し、濾過した。濾液の濃縮により、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジンが混入した茶色の油状物質として1−4を得た。
【0125】
【化42】

【0126】
2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアジド(1−5)
トリフルオロメタンスルホン酸2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチル1−4 5.5gを含むDMF70mLの攪拌された溶液に、Ar下でアジ化ナトリウム6.74g(104mmol)を添加した。混合物を一夜60℃に加熱した。第2のバッチを同様に実施し、rtへの冷却後、両反応物を水600mLに注入し、エーテル500mLで3回抽出した。合わせた抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮し、油状物質を得、それを1:3EtOAc−ヘキサンを使用したSiO(10×6cm)により精製した。生成物含有画分を減圧下で濃縮し、黄色の油状物質として1−5を得た。
【0127】
【化43】

【0128】
2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミン(1−6)
2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアジド1−6 100mgの攪拌された溶液を、バルーンを使用して、10%パラジウム炭素100mg上で、酢酸エチル10mL中で1h水素化した。濾過により触媒を除去し、減圧下で溶媒を除去した。計1.8g(9.7mmol)のアジドをこの手順を使用して還元し、黄色の油状物質として1−6を得た。
【0129】
【化44】

【0130】
3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジルエチルアミノ)−6−メチルピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル(1−7)
2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミン7.13g(45.1mmol)及び3−ブロモ−6−メチルピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル12.4g(45.1mmol)の溶液を、トルエン15mL及びエタノール15mL中で、密封されたチューブ内で一夜125℃に加熱した。反応物を濃縮し、残さを酢酸エチルで希釈し、15%NaHCOで洗浄し、水層を酢酸エチルで3回溶媒相洗浄した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去し、油状物質を得、それを50:50ヘキサン−EtOAcを使用したSiO上でのクロマトグラフィに供し、薄黄色の固体として標記化合物を得た。
【0131】
【化45】

【0132】
3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジルエチルアミノ)−6−メチルピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸(1−8)
3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジルエチルアミノ)−6−メチルピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル9.67g(27.5mmol)を含むメタノール100mLの攪拌された溶液に、水酸化カリウム8.58g(153.0mmol)を含む水20mLを添加した。1h後、溶液を減圧下で濃縮し、残さを水25mLに溶解させた。この溶液を1.3M HClを使用してpH=7に酸性化し、減圧下で濃縮し、塩化カリウム及び標記化合物を含有する黄色の固体を得た。
【0133】
【化46】

【0134】
3−フルオロ−2−ピリジルメチル−3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−メチルピラジン−2−オン−1−アセトアミド(1−9)
3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジルエチルアミノ)−6−メチルピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸1−8 300.1g(0.418mmol)及び2−アミノメチル−3−フルオロピリジンB二塩酸塩99mg(0.501mmol)を含むDMF3mLの攪拌された溶液に、EDC50.0mg(0.26mmol)、HOBT35.0mg(0.26mmol)、トリエチルアミン304mg(3.0mmol)を添加した。1d攪拌した後、揮発性物質を減圧下で除去した。得られた暗色の油状物質を酢酸エチルで希釈し、5%NaHCOで洗浄し、水層を酢酸エチルで3回溶媒相洗浄した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去し、油状物質を得、それを95:5クロロホルム−MeOHを使用したSiO上でのクロマトグラフィに供し、薄黄色の固体として標記化合物を得た。
【0135】
【化47】

【0136】
二塩酸塩への変換は、ジオキサン溶液を2当量の4.0M HClを含むジオキサンで処理し、続いて濃縮することにより実施されうる。
【0137】
【化48】

【0138】
実施例2
下記の合成に従い、化合物1−9のクロロピラジノン誘導体を調製した。
【0139】
【化49】


N−(エチルカルボキシメチル)オキサミン酸エチル(2−1)
エチルグリシン・HCl(38.4g、275mmol)を含む1,2−ジクロロエタン(360mL)の懸濁液に、室温で、トリエチルアミン(77.0mL、550mmol)を添加した。30分間攪拌した後、不均一な混合物を0℃に冷却し、エチルオキサリルクロリド(30.3mL、275mol)を1hかけて滴下した。添加の完了後、冷却槽を除去し、室温で一夜反応物を攪拌した。反応物を水(250mL)で希釈し、層を分離した。水層をジクロロメタン(250mL)で2回溶媒相洗浄した。合わせた有機層を水(250mL)、続いて塩水(250mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濃縮し、油状物質2−1を得、それを直接次の工程に供した。
【0140】
N−(エチルカルボキシメチル)−N’−(2,2−ジメトキシエチル)オキサミド(2−2)
オキサミン酸エステル(84.0g、414mmol)2−1を含む2−プロパノール(500mL)の溶液に、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール(45.7g、435mmol)を一度に添加した。室温で一夜攪拌した後、反応混合物を濃密な橙色の油状物質へと濃縮した。この濃密なスラリーを2−プロパノール(300mL)で希釈し、固体をスパチュラで破砕した。濾過により固体を得、それをさらに2−プロパノールで1回濯いだ。残存した2−プロパノールの除去を、高真空により達成し、明るい橙色の固体2−2(89.8g)を得た。
【0141】
【化50】

【0142】
3−ヒドロキシピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル(2−3)
オキサミド(89.8g、343mmol)2−2、酢酸(400mL)、及び濃HCl(2mL)の溶液を加熱し還流させた。1h後、黒色の反応物を濃密な油状物質へと濃縮し(AcOHの完全な除去を確実にするため高真空を使用した)、それをEtOH(150mL)及びMeOH(150mL)で希釈した。スパチュラで濃密な黒色の油状物質を掻くことにより、生成物の沈殿を誘導した。回転式エバポレーションによりMeOHを除去し、残ったスラリーを濾過し、EtOH(200mL)で濯ぎ、黄褐色の固体を得た。還流EtOH(300mL)からの再結晶化により、オフホワイトの粉末2−3を得た。
【0143】
【化51】

さらに、母液の濃縮により、粗ジオンを得ることができた。
【0144】
3−ブロモピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル(2−4)
ヒドロキシピラジノン(25.0g、126mmol)2−3及びオキシ臭化リン(37.9g、132mmol)を含む1,2−ジクロロエタン(250mL)の溶液を、加熱し還流させた。8h後、反応混合物を飽和NaCO水溶液(250mL)で処理し、1h攪拌した。混合物を水(100mL)及びジクロロメタン(100mL)で希釈し、層を分離し、水層をEtOAc(3×200mL)で溶媒相洗浄した。合わせた有機相を乾燥させ(MgSO)、濃縮し、油状物質を得、それを高真空ライン上で一夜保存し、茶色の固体2−4を得た。
【0145】
【化52】

【0146】
3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジルエチルアミノ)ピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル(2−5)
2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミン4.80g(30.4mmol)、トリエチルアミン4.24mL(30.4mmol)、及び3−ブロモピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル2−4 7.93g(30.4mmol)の溶液を、トルエン12mL及びエタノール4mL中で、密封されたチューブ内で一夜120℃に加熱した。反応物を濃縮し、残さをジクロロメタン及び飽和NaHCO水溶液に分配させた。水層をジクロロメタンで4回溶媒相洗浄した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去し、油状物質を得、それを60:40〜40:60ヘキサン−EtOAcを使用したSiO上でのクロマトグラフィに供し、黄色の固体として2−5を得た。
【0147】
【化53】

【0148】
3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジルエチルアミノ)−6−クロロピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル(2−6)
3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジルエチルアミノ)ピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル2−5 6.81g(20.1mmol)及びN−クロロスクシニミド2.42g(18.1mmol)を含む1,2−ジクロロエタン100mLの攪拌された溶液を、加熱し還流させた。さらに、1h後及び1.5h後に、それぞれ242mg(1.18mmol)及び75mg(0.56mmol)のNCSを反応混合物に添加した。計2.5h後、溶液を室温に冷却し、ジクロロメタン(150mL)及び飽和NaHCO水溶液(200mL)に分配させた。層を分離し、水相をジクロロメタン(2×200mL)で溶媒相洗浄した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、溶液を10mLの容量にまで濃縮した。この液体をSiOカラムへ直接担持させ、65:35〜55:45ヘキサン−EtOAcで溶出させ、黄色の固体として2−6を得た。
【0149】
【化54】

【0150】
3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジルエチルアミノ)−6−クロロピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸(2−7)
3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジルエチルアミノ)−6−クロロピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル2−6 7.27g(19.5mmol)を含むメタノール200mLの攪拌された溶液に、1M水酸化カリウム水溶液39mL(39.0mmol)を添加した。3h後、濃HClを使用して溶液をpH=7に酸性化し、減圧下で濃縮し(PhCHとの共沸混合物)、塩化カリウム及び2−7を含有する白色の固体を得た。
【0151】
【化55】

【0152】
3−フルオロ−2−ピリジルメチル−3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−クロロピラジン−2−オン−1−アセトアミド(2−8)
3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジルエチルアミノ)−6−クロロピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸2−7 330mg(0.536mmol)及び2−アミノメチル−3−フルオロピリジン二塩酸塩160mg(0.805mmol)を含むDMF2mLの攪拌された溶液に、EDC128mg(0.67mmol)、HOAT91mg(0.67mmol)、及びトリエチルアミン0.30mL(2.1mmol)を添加した。一夜攪拌した後、2−アミノメチル−3−フルオロピリジン二塩酸塩80mg、EDC128mg、HOAT91mg、及びトリエチルアミン0.08mL(2.1mmol)を添加した。反応物をさらに24h攪拌し、揮発性物質を真空で除去した。残さを飽和NaHCO水溶液(10mL)及び水(15mL)で希釈し、濾過し、黄褐色の固体を得た。この物質を、1:99〜5:95MeOH−CHClを使用したSiO上でのクロマトグラフィに供し、黄色の固体2−8を得た。
【0153】
【化56】

2−8は、2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチル)アミノ]−6−クロロ−2−オキソヒドロピラジニル}−N−{(3−フルオロ(2−ピリジル)メチル}−アセトアミドとも呼ばれる。塩酸塩への変換は、生成物を酢酸エチル(2mL)で希釈し、1.5M HClを含む酢酸エチル5mLで処理し、続いて濾過することにより実施されうる。
【0154】
【化57】

【0155】
実施例3
下記の合成に従い、化合物2−7のチオ誘導体、スルホニル誘導体、及びスルフィニル誘導体を調製した。
【0156】
【化58】


2−シアノ−3−メチルチオピリジン(3−1)
2−シアノ−3−フルオロピリジン1.00g(8.19mmol)及びナトリウムチオメトキシド0.631g(9.01mmol)を含むDMF8mLの攪拌された溶液を室温で1h攪拌した。反応混合物を水(80mL)で希釈し、5分間攪拌した。得られた固体を濾過し、高真空ライン上で乾燥させ、オフホワイトの固体として3−1を得た。
【0157】
【化59】

【0158】
2−アミノメチル−3−メチルチオピリジン二塩酸塩(3−2)
2−シアノ−3−メチルチオピリジン3−1 659mg(4.39mmol)を含むメタノール25mL及び6M HCl水溶液5mLの攪拌された溶液を、10%パラジウム炭素659mg上で55psiで5h水素化した。濾過により触媒を除去し、減圧下で溶媒を濃縮した。得られた物質をメタノールで希釈し、濃縮し(2×)、オフホワイトの固体として3−2を得た。
【0159】
【化60】

【0160】
3−メチルチオ−2−ピリジルメチル−3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−クロロピラジン−2−オン−1−アセトアミド(3−3)
3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジルエチルアミノ)−6−クロロピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸2−7 545mg(0.886mmol)及び2−アミノメチル−3−メチルチオピリジン二塩酸塩3−2 144mg(0.930mmol)を含むDMF9mLの攪拌された溶液に、EDC178mg(0.930mmol)、HOBT126mg(0.930mmol)、及びNMM179mg(1.77mmol)を添加した。一夜攪拌した後、反応物をEtOAc及び10%NaHCO水溶液に分配させ、不溶性物質を濾過にて除去した。有機相を水、塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮した。この残さ及び濾過された固体を合わせ、1:99〜5:95MeOH−CHClを使用したSiO上でのクロマトグラフィに供した。この物質をメタノール5mLに溶解させ、HCl飽和エタノール3滴を添加した。濃縮により、明るい黄色の固体として3−3を得た。
【0161】
【化61】

【0162】
3−メチルスルホニル−2−ピリジルメチル−3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−クロロピラジン−2−オン−1−アセトアミド(3−4)
3−メチルチオ−2−ピリジルメチル−3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−クロロピラジン−2−オン−1−アセトアミド(15mg、0.031mmol)3−3をメタノール2.5mLに懸濁させ、MCPBA(50〜60%、21.5mg、0.062mmol)で処理した。3h攪拌した後、さらに1当量のMCPBA(50〜60%、10.75mg、0.031mmol)を添加した。反応物を一夜攪拌し、溶液が中性になるまで飽和NaHCO水溶液を添加した。この混合物を濃縮し、残さをEtOAc及び水に分配させた。有機相を水、塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮した。この物質を1:99〜3:97MeOH−CHClを使用したSiO上でのクロマトグラフィに供し、3−4を得た。
【0163】
【化62】

【0164】
[R,S]3−メチルスルフィニル−2−ピリジルメチル−3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−クロロピラジン−2−オン−1−アセトアミド(3−5)
3−メチルチオ−2−ピリジルメチル−3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−クロロピラジン−2−オン−1−アセトアミド(50mg、0.104mmol)3−3をメタノール8mLに懸濁させ、MCPBA(50〜60%、35.9mg、0.104mmol)で処理した。1h攪拌した後、溶液が中性になるまで飽和NaHCO水溶液を添加した。次いで、この混合物をHPLCにより精製し、無色の固体として3−5を得た。
【0165】
【化63】

キラルパック(Chiralpak)ADカラム上で鏡像異性体を分離し、1:1 2−プロパノール:ヘキサン/0.1%ジエチルアミン(無色の固体として先に溶出する鏡像異性体を得るため)、続いて7:3 2−プロパノール:ヘキサン/0.1%ジエチルアミン(無色の固体として後に溶出する鏡像異性体を得るため)で溶出させた。
【0166】
実施例4
3−フルオロ−2−ピリジルメチル−3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−シアノピラジン−2−オン−1−アセトアミド塩酸塩(4−7)の調製
【0167】
【化64】

工程A:6−ホルミル−3−ヒドロキシピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル(4−1)
ヒドロキシピラジノン(5.0g、23.6mmol)及び酸化セレン(IV)(2.62g、23.6mmol)を含む1,4−ジオキサン(100mL)の懸濁液を24h加熱し還流させた。暗色の反応混合物を冷却し、MeOHと共にセライト(Celite)のパッドで濾過した。残さの濃縮及び3:97〜10:90MeOH:CHClを用いたSiOカラム上での精製により、橙色の油状物質として4−1を得た。
【0168】
【化65】

【0169】
【化66】

【0170】
工程B:6−ホルムオキシミル(formoximyl)−3−ヒドロキシピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル(4−2)
ホルミルピラジノン4−1(5.43g、24.0mmol)及び塩酸ヒドロキシルアミン(1.67g、24.0mmol)を含むエタノール(100mL)の懸濁液に、ピリジン(1.90mL、24.0mmol)を添加した。2h還流させた後、反応混合物を冷却し、濃縮した。この粗固体をエタノール(100mL)から再結晶化し、固体として4−2を得た。濾液の濃縮及び水(50mL)での粉砕により、さらなる生成物が得られた。
【0171】
【化67】

【0172】
【化68】

【0173】
工程C:6−シアノ−3−ヒドロキシピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル(4−3)
ヒドロキシピラジノン4−2(2.70g、11.2mmol)及び重合体結合トリフェニルホスフィン(樹脂1g当たり1.55mmol:15.1g、23.5mmol)を含む1,2−ジクロロエタン(90mL)及び四塩化炭素(9mL)のスラリーを1.5h加熱し還流させた。反応混合物を冷却し、濾過し、樹脂を1:1MeOH:CHCl(200mL)で濯いだ。濾液の濃縮により、黄褐色の固体として4−3が得られた。
【0174】
【化69】

【0175】
【化70】

【0176】
工程D:3−クロロ−6−シアノピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル(4−4)
ヒドロキシピラジノン4−3(450mg、2.02mmol)及び塩化アンモニウム(237mg、4.44mmol)を含むオキシ塩化リン(2mL)の懸濁液を1.5h加熱し還流させた。反応混合物を冷却し、回転式エバポレーションにより揮発性物質を除去した。残さを水でクエンチし(quenched)、混合物が塩基性になるまで固体NaCOを添加した。この水性混合物をジクロロメタン(3×)で抽出し、合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、濃縮し、琥珀色の油状物質として4−4を得た。
【0177】
【化71】

【0178】
【化72】

【0179】
工程E:3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−シアノピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル(4−5)
2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミン1−6 0.300g(1.9mmol)、トリエチルアミン0.35mL(2.5mmol)及び3−クロロ−6−シアノピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル4−4 0.42g(1.75mmol)の混合物を含むトルエン3mL及びエタノール0.5mLを、1h、60℃に加熱した。反応物を濃縮し、残さをジクロロメタン及び飽和NaHCO水溶液に分配させた。水相をジクロロメタン(2×)で溶媒相洗浄し、乾燥させ、濃縮した。25〜50%EtOH/ヘキサンを使用したシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィにより、黄褐色の粉末として4−5を得た。
【0180】
【化73】

【0181】
【化74】

【0182】
工程F:3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−シアノピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸(4−6)
3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−シアノピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸エチル4−5 0.38g(1.06mmol)を含むジメトキシエタン(10mL)の攪拌された溶液に、水酸化リチウム溶液(1.0M水溶液)1.6mLを添加した。1h後、1M HClを使用して溶液を中和した。減圧下での濃縮(PhCHとの共沸混合物)により、塩化リチウム及び4−6を含有するオフホワイトの固体が得られ、それを直接次の工程に供した。
【0183】
工程G:3−フルオロ−2−ピリジルメチル3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−シアノピラジン−2−オン−1−アセトアミド塩酸塩(4−7)
3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−シアノピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸4−6 0.080mmol及び2−アミノメチル−3−フルオロピリジン二塩酸塩24mg(0.12mmol)を含むDMF 1mLの攪拌された溶液に、EDC23mg(0.12mmol)、HOAT16mg(0.12mmol)、及びトリエチルアミン0.056mL(0.40mmol)を添加した。24h攪拌した後、2−アミノメチル−3−フルオロピリジン二塩酸塩20mg、EDC25mg、トリエチルアミン0.050mLを添加した。反応物をさらに72h攪拌し、揮発性物質を真空で除去した。残さを飽和NaHCO(5mL)及び水(5mL)で希釈し、濾過し、黄褐色の固体を得た。この物質を2:98〜4:96MeOH−CHClを使用したSiO上でのクロマトグラフィに供し、黄色の固体4−7を得た。
【0184】
【化75】

【0185】
実施例5
3−フルオロ−4−メチル−2−ピリジルメチル3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−クロロピラジン−2−オン−1−アセトアミド(5−5)の調製
【0186】
【化76】

3−フルオロ−4−メチルピリジン(5−1)
−78℃のLDA(5.5mmol)の攪拌された溶液に、3−フルオロピリジン(486mg、5.0mmol)を滴下した。−78℃で4h攪拌した後、ヨウ化メチル(0.343mL、5.5mmol)を滴下した。−78℃で2h攪拌した後、飽和NHCl水溶液20mLの添加により反応を停止させた。この混合物をEtOAc(3×25mL)で抽出し、合わせた有機相を乾燥させ、濃縮し、黄色の固体として生成物5−1を得た。
【0187】
【化77】

【0188】
3−フルオロ−4−メチルピリジン−N−オキシド(5−2)
3−フルオロ−4−メチルピリジン5−1 3.17g(28.6mmol)を含むジクロロメタン35mLの攪拌された溶液に、NaHCO(57.5mmol、HO10mL中)を添加した。この混合物を0℃に冷却し、MCPBA9.85g(57.1mmol)を15分間かけて3回に分けて添加した。反応物を一夜かけて室温に戻した。二相混合物の層を分離し、水相をクロロホルム(3×100mL)で洗浄した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去し、油状物質を得、それを95:5DCM−MeOHを使用したSiO上でのクロマトグラフィに供し、白色の固体として5−2を得た。
【0189】
【化78】

【0190】
2−シアノ−3−フルオロ−4−メチルピリジン(5−3)
3−フルオロ−4−メチルピリジンN−オキシド5−2 0.95g(7.48mmol)を含むアセトニトリル20mLの攪拌された溶液に、トリエチルアミン1.14g(11.2mmol)、続いてトリメチルシリルシアニド1.48g(15.0mmol)を添加した。この反応混合物を48h加熱し還流させ、その後、溶液を減圧下で濃縮した。暗色の残さをCHClに溶解させ、飽和NaHCO水溶液で洗浄し、水層をクロロホルム(4×)で溶媒相洗浄した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去し、油状物質を得、それを75:25ヘキサン−EtOAcを使用したSiO上でのクロマトグラフィに供し、黄色の油状物質として5−3を得た。
【0191】
【化79】

【0192】
2−アミノメチル−3−フルオロ−4−メチルピリジン二塩酸塩(5−4)
2−シアノ−3−フルオロ−4−メチルピリジン5−3 332mg(2.44mmol)を含むエタノール15mL及び濃HCl0.61mL(7.32mmol)の攪拌された溶液を、10%パラジウム炭素175mg上で55psiで16h水素化した。濾過により触媒を除去し、減圧下で溶媒を除去し、黄色の固体として5−4を得た。
【0193】
【化80】

【0194】
3−フルオロ−4−メチルピリジルメチル3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−クロロピラジン−2−オン−1−アセトアミド(5−5)
3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−クロロピラジン(1H)−2−オン−1−酢酸2−7 80mg(0.197mmol、残留KCl)及び2−アミノメチル−3−フルオロ−4−メチルピリジン二塩酸塩5−4 63mg(0.296mmol)を含むDMF1mLの攪拌された溶液に、EDC77mg(0.40mmol)、HOAT54mg(0.40mmol)、及びTEA0.13mL(0.89mmol)を添加した。一夜攪拌した後、真空で揮発性物質を除去した。残さを飽和NaHCO水溶液で希釈し、濾過し、水で濯ぎ、茶色の固体を得た。この物質を2〜4%MeOH:DCMを使用したフラッシュクロマトグラフィに供し、白色の固体として標記化合物を得た。HCl塩への変換は、遊離塩基をMeOH(5mL)で希釈し、2.5M HCl(2mL)で処理し、固体5−5へと濃縮することにより達成された。
【0195】
【化81】

【0196】
トロンビン阻害剤の投与にとって適当な典型的な錠剤コアは、これらに限定されないが、以下の量の標準的な成分を含む。
【0197】
【表1】

マンニトール、微晶質セルロース、及びステアリン酸マグネシウムは、他の薬学的に許容される賦形剤と置換されうる。
【0198】
以下の合成法が、本発明の化合物を調製するため使用されうる。
【0199】
プロテイナーゼ阻害を決定するためのインビトロアッセイ
ヒトα−トロンビン及びヒトトリプシンのアッセイは、S.D.LewisらによるThrombosis Reserch,Issue No.70,173頁(1993)に本質的に記載されているような方法により実施された。
【0200】
アッセイは、0.05Mトリス緩衝液pH7.4、0.15M NaCl、0.1%PEG中で25℃で実施した。トリプシンアッセイは、1mM CaClも含有していた。p−ニトロアニリド(pna)基質の加水分解速度を決定するアッセイにおいては、時間依存的なp−ニトロアニリンの出現を測定するため(405nm)、サーモマックス(Thermomax)96穴プレートリーダーを使用した。ヒトα−トロンビン(K=125μM)及びウシトリプシン(K=125μM)のアッセイには、sar−PR−pnaを使用した。p−ニトロアニリド基質濃度は、吸光係数8270cm−1−1を使用して、342nmにおける吸光度の測定から決定した。
【0201】
トロンビン阻害度が高かった強力な阻害剤(K<10nM)によるいくつかの研究においては、より高感度の活性アッセイを使用した。このアッセイにおいては、蛍光原性基質Z−GPR−afc(K=27μM)のトロンビンにより触媒される加水分解の速度を、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリンの生成と関連した500nmにおける蛍光(400nmにおける励起)の増加から決定した。Z−GPR−afcのストック溶液の濃度は、トロンビンによるストック溶液の一部の完全な加水分解により生成した7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリンの380nmにおける吸光度の測定から決定した。
【0202】
活性アッセイは、基質のストック溶液を、酵素、又は阻害剤で平衡化された酵素を含有する溶液で、最終濃度≦0.1Kとなるよう少なくとも10倍希釈することにより実施した。酵素と阻害剤との平衡化を達成するために必要な時間は、対照実験において決定した。阻害剤の非存在下(V)又は存在下(V)における生成物形成の初速度を測定した。阻害が競合的であり、かつユニティ(unity)が無視可能であると仮定すると、比較されたK/[S]、[I]/e、及び[I]/e(ここで、[S]、[I]、及びeは、それぞれ基質、阻害剤、及び酵素の総濃度を表す)、阻害剤の酵素からの解離の平衡係数(K)を、式Iに示された[I]に対するV/Vの依存性から得ることができる。
/V=1+[I]/K (1)
【0203】
このアッセイにより示された活性は、本発明の化合物が、不安定狭心症、難治性アンギナ、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、心房細動、血栓性発作、塞栓性発作、深部静脈血栓症、汎発性血管内凝固症候群、及び再疎通血管の再閉塞又は再狭窄に罹患した患者における様々な状態を治療するために治療的に有用であることを示している。
【0204】
前記アッセイを使用して測定された、1nM以上のKiを示す「**」、又は1nM未満のKiを示す「」により表される本発明の化合物の阻害活性は、既に示されている。
【0205】
実施例6
錠剤調製
以下の活性化合物をそれぞれ8mg、10mg、20mg、及び40mg含有する錠剤は、以下の例示のようにして調製される(組成物A〜C)。活性Iは、1−9(3−フルオロ−2−ピリジルメチル−3−(2,2−ジフルオロ−2−[2−ピリジル)エチルアミノ)−6−メチルピラジン−2−オン−1−アセトアミド)を含む化合物、化合物2−8(3−フルオロ−2−ピリジルメチル−3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−クロロピラジン−2−オン−1−アセトアミド)、3−5([R,S]3−メチルスルフィニル−2−ピリジルメチル−3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−クロロピラジン−2−オン−1−アセトアミド)、4−7(3−フルオロ−2−ピリジルメチル−3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−シアノピラジン−2−オン−1−アセトアミド塩酸塩)、及び5−5(3−フルオロ−4−メチル−2−ピリジルメチル3−(2,2−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)エチルアミノ)−6−シアノピラジン−2−オン−1−アセトアミド)からなる群より選択される。示された量は、遊離塩基の量である。
【0206】
【表2】

【0207】
活性化合物、セルロースの全部、及びコーンスターチの一部を混合し、10%コーンスターチペーストへと造粒する。得られた顆粒を篩過し、乾燥させ、残りのコーンスターチ及びステアリン酸マグネシウムと混和する。次いで、得られた顆粒を活性成分を1錠当たりそれぞれ25.0mg、50.0mg、及び100.0mg含有する錠剤へと圧縮する。
【0208】
実施例7
錠剤調製
【0209】
【表3】

表中、例えば、活性Iを2mg含有する錠剤は、マンニトール98.5mg、微晶質セルロース98.5mg、及びステアリン酸マグネシウム1mgを含む。2mg、10mg、及び50mgの錠剤に、極わずかな重量の増加を与える、水性ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び二酸化チタンの水性分散剤によるフィルムコーティングを施した。
【0210】
直接圧縮による錠剤調製
活性I、マンニトール、及び微晶質セルロースを指定されたサイズ(一般的には250〜750μm)のメッシュスクリーンで篩過し、適当なブレンダーで合わせた。続いて、得られる乾燥粉末混和物中に薬物が均一に分布するまで、混合物を混和した(典型的には、15〜30分間)。ステアリン酸マグネシウムを篩過し、ブレンダーに添加し、その後、さらなる混合(典型的には、2〜10分間)の後、圧縮前錠剤混和物を得た。次いで、許容される崩壊時間を有する適当な物理的強度の錠剤を得るために十分な、典型的には0.5〜2.5メートルトン(metric tons)の範囲の力を加え、圧縮前錠剤混和物を成形した(明細は、圧縮される錠剤のサイズ及び効力により異なるであろう)。2mg、10mg、及び50mgの効力の場合には、錠剤を脱塵し(dedusted)、水溶性重合体及び顔料の水性分散剤によるフィルムコーティングを施した。
【0211】
乾式造粒による錠剤調製
別法としては、乾燥粉末混和物を、穏和な力で成形し、再粉砕して、指定された特定のサイズの顆粒を得る。次いで、顆粒をステアリン酸マグネシウムと混合し、前述のようにして打錠する。
【0212】
実施例8
静脈内投与用製剤
活性Iの静脈内投与用製剤を、一般的な静脈内投与用製剤化法に従い調製した。
【0213】
要素 推定される範囲
活性I 0.12〜0.61mg
D−グルクロン酸 0.5〜5mg
マンニトールNF 50〜53mg
1N水酸化ナトリウム pH3.9〜4.1とするために十分な量
注射用水 10mLとするために十分な量
【0214】
【表4】

【0215】
L−乳酸、酢酸、クエン酸のようなその他の様々な緩衝酸、又は静脈内投与用に許容されるpH範囲における合理的な緩衝能を有する任意の薬学的に許容される酸/共役塩基が、グルクロン酸の代わりに使用されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式
【化1】

[式中、
Wは、
1)水素、
2)炭素環原子及びヘテロ原子環原子を有する、5〜7員単環式又は9〜10員縮合二環式の複素環式の環[環は、飽和であっても又は不飽和であってもよく、かつ
a)N、O、及びSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子[この場合、環は置換されていない]、又は
b)1〜4個のN原子[この場合、環原子のうちの1個以上が、
i)C1−4アルキル、
ii)ヒドロキシ、
iii)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
iv)CONH
v)CHOH、
vi)SONH
vii)ハロゲン、
viii)アミノ、
ix)アリール、
x)C3−7シクロアルキル、
xi)CF
xiii)OCF
xiii)N(CH
xiv)−C1−3アルキルアリール、
xv)複素環式の環、
xvi)C1−4アルコキシ
xvii)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは1又は2のいずれかであり、wが1である場合、xは2であり、かつwが2である場合、xは1である]、
xviii)C1−4チオアルコキシ、又は
xix)シアノ
のうちの1個以上で置換されている]
を含有している]、
3)置換されていないか、又は
a)C1−4アルキル、
b)ヒドロキシ、
c)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
d)CONH
e)CHOH、
f)SONH
g)ハロゲン、
h)アミノ、
i)アリール、
j)C3−7シクロアルキル、
k)CF
l)OCF
m)N(CH
n)−C1−3アルキルアリール、
o)複素環式の環、
p)C1−4アルコキシ
q)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは、1又は2のいずれかであり、wが1の場合、xは2であり、かつwが2の場合、xは1である]、
r)C1−4チオアルコキシ、もしくは
s)シアノ
のうちの1個以上で置換されている、5〜7員単環式又は9〜10員縮合二環式の非複素環式の飽和環、
4)置換されていないか、又は
a)C1−4アルキル、
b)ヒドロキシ、
c)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
d)CONH
e)CHOH、
f)SONH
g)ハロゲン、
h)アミノ、
i)アリール、
j)C3−7シクロアルキル、
k)CF
l)OCF
m)N(CH
n)−C1−3アルキルアリール、
o)複素環式の環、
p)C1−4アルコキシ
q)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは、1又は2のいずれかであり、wが1の場合、xは2であり、かつwが2の場合、xは1である]、
r)C1−4チオアルコキシ、もしくは
s)シアノ
のうちの1個以上で置換されている、6員単環式又は9〜10員縮合二環式の非複素環式の非飽和環、
5)CF
6)置換されていないか、ハロゲンもしくはアリールで一置換されているか、又はハロゲンで二置換されている、C3−7シクロアルキル、
7)C7−12二環式アルキル、
8)C10−16三環式アルキル
【化2】

[ここで、mは0〜3であり、かつ各R12は同一であっても又は異なっていてもよい]、
【化3】

[ここで、pは1〜4である]、
【化4】

[ここで、mは0〜3である]、
【化5】

【化6】

[ここで、mは0又は1である]、
【化7】

【化8】

[ここで、mは0〜3であり、かつ各R12は同一であっても又は異なっていてもよく、R12置換基は、C3−7シクロアルキルにより表される、それらが結合しているCと共に環を形成していてもよい]、
【化9】

[ここで、qは0〜2であり、かつ各R12は同一であっても又は異なっていてもよく、R12置換基は、C3−7シクロアルキルにより表される、それらが結合しているCと共に環を形成していてもよい]、
【化10】

[ここで、rは0〜4であり、かつ各Rは同一であっても又は異なっていてもよく、R置換基は、C3−7シクロアルキル、C7−12二環式アルキル、C10−16三環式アルキル、又は5〜7員単環式もしくは9〜10員縮合二環式の複素環式の環(飽和であっても又は不飽和であってもよく、かつN、O、及びSからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含有している)、により表される、それらが結合しているCと共に環を形成していてもよい]、
【化11】

[ここで、n及びpは独立に1〜4である]、
【化12】

[各R12は同一であっても又は異なっていてもよい]、
【化13】

、及び
【化14】

[ここで、tは1〜4であり、かつqは独立に0〜2である]
[Rは、
1)水素、
2)炭素環原子及びヘテロ原子環原子を有する、5〜7員単環式又は9〜10員縮合二環式の複素環式の環[環は、飽和であっても又は不飽和であってもよく、かつ
a)N、O、及びSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子[この場合、環は置換されていない]、又は
b)1〜4個のN原子[この場合、環原子のうちの1個以上が、
i)C1−4アルキル、
ii)ヒドロキシ、
iii)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
iv)CONH
v)CHOH、
vi)SONH
vii)ハロゲン、
viii)アミノ、
ix)アリール、
x)C3−7シクロアルキル、
xi)CF
xiii)OCF
xiii)N(CH
xiv)−C1−3アルキルアリール、
xv)複素環式の環、
xvi)C1−4アルコキシ
xvii)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは1又は2のいずれかであり、wが1である場合、xは2であり、かつwが2である場合、xは1である]、
xviii)C1−4チオアルコキシ、又は
xix)シアノ
のうちの1個以上で置換されている]
を含有している]、
3)置換されていないか、又は
a)C1−4アルキル、
b)ヒドロキシ、
c)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
d)CONH
e)CHOH、
f)SONH
g)ハロゲン、
h)アミノ、
i)アリール、
j)C3−7シクロアルキル、
k)CF
l)OCF
m)N(CH
n)−C1−3アルキルアリール、
o)複素環式の環、
p)C1−4アルコキシ
q)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは、1又は2のいずれかであり、wが1の場合、xは2であり、かつwが2の場合、xは1である]、
r)C1−4チオアルコキシ、もしくは
s)シアノ
のうちの1個以上で置換されている、5〜7員単環式又は9〜10員縮合二環式の非複素環式の飽和環、
4)置換されていないか、又は
a)C1−4アルキル、
b)ヒドロキシ、
c)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
d)CONH
e)CHOH、
f)SONH
g)ハロゲン、
h)アミノ、
i)アリール、
j)C3−7シクロアルキル、
k)CF
l)OCF
m)N(CH
n)−C1−3アルキルアリール、
o)複素環式の環、
p)C1−4アルコキシ
q)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは、1又は2のいずれかであり、wが1の場合、xは2であり、かつwが2の場合、xは1である]、
r)C1−4チオアルコキシ、もしくは
s)シアノ
のうちの1個以上で置換されている、6員単環式又は9〜10員縮合二環式の非複素環式の非飽和環、
5)置換されていないか、又は
a)ヒドロキシ、
b)COOH、
c)ハロゲン、
d)アミノ、
e)アリール、
f)C3−7シクロアルキル、
g)CF
h)N(CH
i)−C1−3アルキルアリール、
j)複素環式の環、
k)C1−4アルコキシ
l)C1−4チオアルコキシ、もしくは
m)シアノ
のうちの1個以上で置換されている、C1−7アルキル、
6)CF
7)置換されていないか、ハロゲンもしくはアリールで一置換されているか、又はハロゲンで二置換されている、C3−7シクロアルキル、
8)C7−12二環式アルキル、又は
9)C10−16三環式アルキル、
からなる群より選択される]
からなる群より選択され、
及びXは、独立に、
1)水素、
2)ハロゲン、
3)シアノ、
4)C1−4アルキルチオ、
5)C1−4アルキルスルフィニル、
6)C1−4アルキルスルホニル、
7)C1−4アルキル、
8)C3−7シクロアルキル、及び
9)トリフルオロメチル
からなる群より選択され、
Aは、
【化15】

[ここで、Y及びYは、独立に、
1)水素、
2)C1−4アルキル、
3)C1−4アルコキシ、
4)FC(CH0−1O−[ここで、u及びvは、1又は2のいずれかであり、uが1の場合、vは2であり、かつuが2の場合、vは1である]、
5)C3−7シクロアルキル、
6)C1−4アルキルチオ、
7)C1−4アルキルスルフィニル、
8)C1−4アルキルスルホニル、
9)ハロゲン、
10)シアノ、及び
11)トリフルオロメチル
からなる群より選択され、かつ
bは0又は1である]であり、
12は、
1)水素、
2)ハロゲン、
3)炭素環原子及びヘテロ原子環原子を有する、5〜7員単環式又は9〜10員縮合二環式の複素環式の環[環は、飽和であっても又は不飽和であってもよく、かつ
a)N、O、及びSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子[この場合、環は置換されていない]、又は
b)1〜4個のN原子[この場合、環原子のうちの1個以上が、
i)C1−4アルキル、
ii)ヒドロキシ、
iii)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
iv)CONH
v)CHOH、
vi)SONH
vii)ハロゲン、
viii)アミノ、
ix)アリール、
x)C3−7シクロアルキル、
xi)CF
xiii)OCF
xiii)N(CH
xiv)−C1−3アルキルアリール、
xv)複素環式の環、
xvi)C1−4アルコキシ、
xvii)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは1又は2のいずれかであり、wが1である場合、xは2であり、かつwが2である場合、xは1である]、
xviii)C1−4チオアルコキシ、及び
xix)シアノ
のうちの1個以上で置換されている]
を含有している]、
4)置換されていないか、又は
a)C1−4アルキル、
b)ヒドロキシ、
c)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
d)CONH
e)CHOH、
f)SONH
g)ハロゲン、
h)アミノ、
i)アリール、
j)C3−7シクロアルキル、
k)CF
l)OCF
m)N(CH
n)−C1−3アルキルアリール、
o)複素環式の環、
p)C1−4アルコキシ
q)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは、1又は2のいずれかであり、wが1の場合、xは2であり、かつwが2の場合、xは1である]、
r)C1−4チオアルコキシ、もしくは
s)シアノ
のうちの1個以上で置換されている、5〜7員単環式又は9〜10員縮合二環式の非複素環式の飽和環、
5)置換されていないか、又は
a)C1−4アルキル、
b)ヒドロキシ、
c)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
d)CONH
e)CHOH、
f)SONH
g)ハロゲン、
h)アミノ、
i)アリール、
j)C3−7シクロアルキル、
k)CF
l)OCF
m)N(CH
n)−C1−3アルキルアリール、
o)複素環式の環、
p)C1−4アルコキシ
q)FHC(CH0−1O−[ここで、w及びxは、1又は2のいずれかであり、wが1の場合、xは2であり、かつwが2の場合、xは1である]、
r)C1−4チオアルコキシ、もしくは
s)シアノ
のうちの1個以上で置換されている、6員単環式又は9もしくは10員縮合二環式の非複素環式の非飽和環、
6)ビフェニル、
7)CF
8)C3−7シクロアルキル、
9)C7−12二環式アルキル、及び
10)C10−16三環式アルキル
からなる群より選択される]を有する化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項2】
及びYが、独立に、水素、C1−4アルキル、ハロゲン、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルフィニル、C1−4アルキルスルホニル、及びC1−4アルコキシからなる群より選択される、請求項1の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項3】
及びYが、独立に、水素、F、CH、SCH、SOCH、SOCH、及びOCHからなる群より選択される、請求項2の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項4】
Aが、
【化16】

[ここで、bは0又は1である]
からなる群より選択される、請求項3の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項5】
Xが水素であり、RがCH、Cl、又はCNであり、かつWがRCFC(R12又はRCHC(R12である、請求項4の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項6】
12が水素である、請求項5の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項7】
が、
1)炭素環原子及びヘテロ原子環原子を有する、5〜7員単環式又は9〜10員縮合二環式の複素環式の環[環は、飽和であっても又は不飽和であってもよく、かつ
a)N、O、及びSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子[この場合、環は置換されていない]、又は
b)1〜4個のN原子[この場合、環原子のうちの1個以上が、
i)C1−4アルキル、
ii)ヒドロキシ、
iii)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
iv)CONH
v)CHOH、
vi)SONH
vii)ハロゲン、
viii)アミノ、
ix)アリール、
x)C3−7シクロアルキル、
xi)CF
xiii)OCF
xiii)N(CH
xiv)−C1−3アルキルアリール、
xv)複素環式の環、
xvi)C1−4アルコキシ
xvii)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは1又は2のいずれかであり、wが1である場合、xは2であり、かつwが2である場合、xは1である]、
xviii)C1−4チオアルコキシ、又は
xix)シアノ
のうちの1個以上で置換されている]
を含有している]、及び
2)置換されていないか、又は
a)C1−4アルキル、
b)ヒドロキシ、
c)COOR’[ここで、R’は水素又はC1−4アルキルである]、
d)CONH
e)CHOH、
f)SONH
g)ハロゲン、
h)アミノ、
i)アリール、
j)C3−7シクロアルキル、
k)CF
l)OCF
m)N(CH
n)−C1−3アルキルアリール、
o)複素環式の環、
p)C1−4アルコキシ
q)FC(CH0−1O−[ここで、w及びxは、1又は2のいずれかであり、wが1の場合、xは2であり、かつwが2の場合、xは1である]、
r)C1−4チオアルコキシ、もしくは
s)シアノ
のうちの1個以上で置換されている、6員単環式又は9〜10員縮合二環式の非複素環式の非飽和環
からなる群より選択される、請求項6の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項8】
が、ピリジル、メトキシピリジル、又はフェニルである、請求項7の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項9】
【化17】






からなる群より選択される、請求項8の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項10】
【化18】

である、請求項9の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項11】
【化19】

である、請求項9の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項12】
【化20】

である、請求項9の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項13】
【化21】

である、請求項9の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項14】
【化22】

である、請求項9の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項15】
請求項1の化合物と薬学的に許容される担体とを含む経口投与用薬学的組成物。
【請求項16】
請求項1の化合物と薬学的に許容される担体とを含む静脈内投与用薬学的組成物。
【請求項17】
請求項15の組成物を血中に添加することを含む、血中のトロンビンを阻害するための方法。
【請求項18】
請求項15の組成物を血中に添加することを含む、血中の血小板凝集塊の形成を阻害するための方法。
【請求項19】
請求項15の組成物を血中に添加することを含む、血中の血栓形成を阻害するための方法。
【請求項20】
請求項1の化合物をフィブリノーゲン受容体アンタゴニストと共に血中に添加することを含む、血中の血栓形成を阻害するための方法。
【請求項21】
哺乳動物におけるトロンビンの阻害、血栓形成の阻害、血栓形成の治療、又は血栓形成の予防のための薬剤の製造における、請求項1の化合物又は薬学的に許容されるそれらの塩の使用。
【請求項22】
請求項15の組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において静脈血栓塞栓症及び肺塞栓症を治療又は予防するための方法。
【請求項23】
請求項15の組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において深部静脈血栓症を治療又は予防するための方法。
【請求項24】
請求項15の組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において心原性血栓塞栓症を治療又は予防するための方法。
【請求項25】
請求項15の組成物を哺乳動物に投与することを含む、ヒト及びその他の哺乳動物において血栓塞栓性発作を治療又は予防するための方法。
【請求項26】
請求項15の組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において癌及び癌化学療法と関連した血栓症を治療又は予防するための方法。
【請求項27】
請求項15の組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において不安定狭心症を治療又は予防するための方法。

【公開番号】特開2010−150275(P2010−150275A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−38280(P2010−38280)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【分割の表示】特願2001−502417(P2001−502417)の分割
【原出願日】平成12年6月1日(2000.6.1)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】