説明

ピラゾロ[1,5−A]ピリミジンアデノシンA2a受容体アンタゴニスト

構造式(I)を有する化合物が開示され、ここで、各置換基は明細書中で定義される通りである。本発明のなお別の局面は、中枢神経系疾患(例えば、うつ病、認知疾患、および神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、老年痴呆もしくは精神病))および発作を処置する方法に関し、この方法は、少なくとも1つの式Iの化合物を、このような処置の必要な哺乳動物に投与する工程を包含する。本発明は特に、パーキンソン病の処置に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンアデノシンA2a受容体アンタゴニスト、中枢神経系疾患、特にパーキンソン病の処置における該化合物の使用、および該化合物を含む薬学的組成物に関連している。
【背景技術】
【0002】
(背景)
アデノシンは、多数の生理的機能の内因性調節因子として公知である。心臓血管系のレベルでは、アデノシンは、強力な血管拡張薬および心臓抑圧薬(cardiac depressor)である。中枢神経系では、アデノシンは、沈静作用、抗不安作用および鎮痙作用を誘発する。呼吸器系では、アデノシンは、気管支収縮を誘発する。腎臓レベルでは、アデノシンは、低濃度では血管収縮を誘発し、高い投与量では血管拡張を誘発するという、二相作用をもたらす。アデノシンは、脂肪細胞には脂肪分解阻害剤として作用し、血小板には抗凝集剤(antiaggregant)として作用する。
【0003】
アデノシンの作用は、Gタンパク質と共役する受容体のファミリーに属する、種々の膜特異性受容体との相互作用によって媒介される。進歩した分子生物学と組み合わせて、生化学および薬理学の研究により、少なくとも4つのサブタイプのアデノシン受容体:A、A2a、A2bおよびAが確認された。AおよびAは、高い親和性で、アデニレートシクラーゼ酵素の活性を阻害し、A2aおよびA2bは、低い親和性で、同じ酵素の活性を刺激する。アンタゴニストとしてA受容体、A2a受容体、A2b受容体およびA受容体と相互作用し得るアデノシンの類似体もまた、確認されている。
【0004】
2a受容体に対する選択的アンタゴニストは、これらの軽減された副作用レベルがゆえに、薬理学的に重要である。中枢神経系では、A2aアンタゴニストは、抗うつ作用特性を有し得、認知機能を刺激し得る。さらに、データは、A2a受容体が脳幹神経節内に高密度で存在することを示しており、運動制御において重要であることが分かっている。ゆえに、A2aアンタゴニストは神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病におけるような老年痴呆、および器質性由来の精神病)による運動障害を改善し得る。
【0005】
いくつかのキサンチン関連の化合物がA受容体の選択的アンタゴニストであることが見出されており、キサンチンおよび非−キサンチン化合物は、Aに対するA2aの様々な選択性でA2a親和性を有することが分かっている。特定のイミダゾロ−およびピラゾロ−置換のトリアゾロ−ピリミジンアデノシンA2a受容体アンタゴニストは、例えば、特許文献1;特許文献2;特許文献3に以前に開示されている。特定のピラゾロ−置換のトリアゾロ−ピリミジンアデノシンA2a受容体アンタゴニストは、2001年5月24日に出願された特許文献4内に開示されている。特定のイミダゾロ−置換のトリアゾロ−ピリミジンアデノシンA2a受容体アンタゴニストは、2001年10月15日に出願された米国仮特許出願第60/329,567号内に開示されている。特許文献5は、特定のトリアゾロ−トリアジンを抗うつ薬として開示しており;特許文献6および特許文献7は、特定のトリアゾロ−ピリミジンをアデノシンA2a受容体アンタゴニストとして開示しており;特許文献8は、特定のトリアゾロピリジンをアデノシンA2a受容体アンタゴニストとして開示している。
【特許文献1】国際公開第95/01356号パンフレット
【特許文献2】国際公開第97/05138号パンフレット
【特許文献3】国際公開第98/52568号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願第09/207,143号明細書
【特許文献5】米国特許第5,565,460号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第0976753号明細書
【特許文献7】国際公開第99/43678号パンフレット
【特許文献8】国際公開第01/17999号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、構造式I:
【0007】
【化17】

で表される化合物、もしくは薬学的に受容可能なその塩に関連しており、ここで:
Aは、アルキレン、R16−アリーレン、R16−シクロアルキレンもしくはR16−ヘテロアリールジイルであり;
Xは、−C(O)−もしくは−S(O)−であり;
は、アルキルもしくはシクロアルキルであり;
は、水素、ハロもしくは−CNであり;
は、水素もしくはアルキルであり;
は、水素、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、−アルキル−NR1415(−allkyl−NR1415)、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルで置換されたヘテロシクロアルキル、R−アリールアルキルもしくはR−ヘテロアリールアルキルであるか;
もしくはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、5〜7員の環を形成し、この環は−O−、−S−および−N(R17)−からなる群から選択されるさらなるヘテロ原子環を必要に応じて含み、この環はアルキル、ヒドロキシアルキル、R−アリールアルキル、R−ヘテロアリールアルキル、−N(R)−C(O)アルキル、−CO−アルキル、−C(O)NR1011もしくはヘテロシクロアルキルによって必要に応じて置換されるか;
もしくはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、基
【0008】
【化18】

を形成し;
は、アルキル、R12−フェニル、R12−ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロ、モルホリニル、
【0009】
【化19】

であり;
nは、1もしくは2であり;
は、水素、アルキル、ハロ、アルコキシ、−COH、−CO−アルキル、−CF、−CN、−CONR1415、−SO−アルキル、−SONR1415および−NR1415からなる群から独立して選択された1〜3個の置換基であり;
は、水素またはアルキルであり;
10およびR11は、アルキルおよびシクロアルキルからなる群から独立して選択されるか;もしくはR10およびR11はC−Cアルキレン鎖を形成し、それらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員の環を形成し;
12は、水素、アルキル、ハロ、アルコキシ、−COH、−CO−アルキル、−CF、−CN、−CONR1415、−SO−アルキル、−SONR1415および−NR1415からなる群から独立して選択された1〜3個の置換基であり;
13は、H、OH、ヒドロキシアルキルもしくはアルキルであり;
14およびR15は、水素、アルキルおよびシクロアルキルからなる群から独立して選択され;
16は、水素、アルキル、ハロ、OHおよびアルコキシからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基であり;そして
17は、水素、アルキル、シクロアルキルもしくはR−アリールアルキルである。
【0010】
本発明の別の局面は、少なくとも1つの式Iの化合物を治療上有効な量で薬学的に受容可能なキャリア内に含む、薬学的組成物である。
【0011】
本発明のなお別の局面は、中枢神経系疾患(例えば、うつ病、認知疾患、および神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、老年痴呆もしくは精神病))および発作を処置する方法に関し、この方法は、少なくとも1つの式Iの化合物を、このような処置の必要な哺乳動物に投与する工程を包含する。
【0012】
本発明はまた、注意力に関連する障害(例えば、注意欠陥障害(ADD)および注意欠陥過活動性障害(ADHD))の処置にも関連している。本発明はまた、錐体外路性障害(例えば、失調症、静座不能、偽振せん麻痺(pseudoparkinsonism)および遅発性ジスキネジー)の処置もしくは予防、原発性(特発性)失調症の処置、および三環系抗うつ薬、リチウムもしくは鎮痙薬による処置が原因で失調症が現れた患者、もしくはコカインを使用した患者の失調症の処置もしくは予防にも関連しており、この処置もしくは予防は少なくとも1つの式Iの化合物を、このような処置の必要な哺乳動物に投与する工程を包含する。本発明はさらに、異常な運動性障害(例えば、不穏下肢症候群(RLS)もしくは睡眠中の周期性四肢運動(PLMS))の処置に関連しており、この処置は治療上有効な量の少なくとも1つの式Iの化合物を、このような処置の必要な患者に投与する工程を包含する。
【0013】
特に、本発明はパーキンソン病を処置する方法に向けられており、この方法は少なくとも1つの式Iの化合物を、このような処置の必要な哺乳動物に投与する工程を包含する。
【0014】
本発明のなお別の局面は、少なくとも1つの式Iの化合物とパーキンソン病の処置において有用な1つ以上の因子(例えば、ドパミン;ドパミン作用アゴニスト;モノアミンオキシダーゼ阻害薬、タイプB(MAO−B);DOPAデカルボキシラーゼ阻害薬(DCI);もしくはカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤)とを組み合わせてパーキンソン病を処置する方法である。また、請求されているのは、少なくとも1つの式Iの化合物およびパーキンソン病の処置において有用であると公知の1つ以上の因子を薬学的に受容可能なキャリア内に含む、薬学的組成物である。
【0015】
本発明はまた、EPS、失調症、RLSもしくはPLMSを処置する方法も包含しており、この方法は、少なくとも1つの式Iの化合物とRLSもしくはPLMSを処置するのに有用な別の因子(例えば、レボドパ/カルビドパ、レボドパ/ベンセラジド、ドパミンアゴニスト、ベンゾジアゼピン、オピオイド、鎮痙薬もしくは鉄)とを組み合わせて、このような処置の必要な患者に投与する工程を包含する。
【0016】
本発明の組み合わせの投与を包含する方法において、1つ以上の式Iの化合物と1つ以上の他の抗パーキンソン因子は、同時にか、もしくは独立した投薬形態で逐次に投与され得る。同様に、1つ以上の式Iの化合物、およびEPS、失調症、RLSもしくはPLMSの処置において有用な1つ以上の他の因子が、同時にもしくは独立した投薬形態で逐次に投与され得る。ゆえに、請求されているのはまた、パーキンソン病を処置するために組み合わせて使用するための薬学的組成物を単一パッケージ内の別々の容器を含むキットであり、ここで、1つの容器は、有効な量の式Iの化合物を薬学的に受容可能なキャリア内に含む薬学的組成物を含み、そして別の容器は、それぞれが有効な量のパーキンソン病、EPS、失調症、RLSもしくはPLMSの処置において有用な因子を薬学的に受容可能なキャリア内に含む1つ以上の薬学的組成物を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(詳細な説明)
上記の式Iの化合物に関して、好ましい式Iの化合物は、Rがメチルもしくはシクロプロピルである化合物である。
【0018】
Aは、好ましくはR16−アリーレンであり、さらに好ましくはフェニレンである。
【0019】
は、好ましくはR12−フェニル、ピリジル、もしくは
【0020】
【化20】

であり;さらに好ましくはR12は水素である。RがR13−アザシクロアルキルである場合、好ましくはnは1であり、R13はヒドロキシアルキルであり、さらに好ましくは
【0021】
【化21】

である。Xが−S(O)−であり、Rがピリジルである場合、Rは好ましくは2−ピリジルであり;Xが−C(O)−であり、Rがピリジルである場合、Rは2−、3−もしくは4−ピリジルであり得る。
【0022】
Xが−S(O)−である場合、Rがメチルである場合にはRは好ましくはCN、ClもしくはBrであり、Rがシクロプロピルである場合にはRは好ましくは水素である。
【0023】
Xが−S(O)−である場合には、−NRは好ましくは:
【0024】
【化22】

【0025】
【化23】

からなる群から選択される。
【0026】
Xが−C(O)−である場合、−NRは好ましくは:
【0027】
【化24】

からなる群から選択される。
【0028】
さらに好ましいのは、Xが−S(O)−であり、Aがフェニレンであり、Rがメチルであり、RがBrであり、Rがフェニルもしくは
【0029】
【化25】

であり、−NR
【0030】
【化26】

である、式Iの化合物である。
【0031】
また、さらに好ましいのは、Xが−C(O)−であり、Aがフェニレンであり、Rがシクロプロピルもしくはメチルであり、Rが水素であり、Rがフェニルもしくは
【0032】
【化27】

であり、Rがシクロプロピルである場合には−NR
【0033】
【化28】

であるか、もしくはRがメチルである場合には−NR
【0034】
【化29】

である、式Iの化合物である。
【0035】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、直鎖状であっても分枝状でもあってもよく、そして約1〜約6個の炭素原子をその鎖中に含む、脂肪族炭化水素基を意味する。分枝状とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルもしくはプロピル)が直線状のアルキル鎖に結合していることを意味する。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチルおよびn−ペンチルが挙げられる。
【0036】
アルキレンは、2価のアルキル鎖を意味し、例えば、−CHCH−はエチレンである。
【0037】
アルコキシは、アルキル−O−基を意味し、ここでこのアルキル基は上記で述べたとおりである。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を通してである。
【0038】
ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨードを意味する。
【0039】
アリールは、6〜10個の炭素原子の、単一の芳香族炭素環式環もしくは二環式の縮合炭素環式環を意味し、例えば、フェニルもしくはナフチルである。
【0040】
ヘテロアリールは、2〜5個の炭素原子、およびN、OおよびSからなる群から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子からなる5〜6個の原子の単環のヘテロ芳香族基、もしくは1〜9個の炭素原子、およびN、OおよびSからなる群から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子からなる5〜10個の原子の二環式のヘテロ芳香族基を意味し、但しこの環は隣接する酸素原子および/もしくは硫黄原子を含まない。単環のヘテロアリール基の例は、ピリジル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、フラニル、ピロリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニルおよびトリアゾリルである。二環式のヘテロアリール基は、ナフチリジル(例えば、1,5もしくは1,7)、イミダゾピリジル、ピリドピリミジニルおよび7−アザインドリルである。また、ヘテロアリールの定義に含まれるのは、ベンゾ縮合ヘテロアリール基であり、これは隣接する炭素原子においてフェニル環に縮合した上記で定義したようなヘテロアリール基を含む。ベンゾ縮合ヘテロアリール基の例は、インドリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ベンゾチエニル(すなわち、チオナフテニル)、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリルおよびベンゾフラザニルである。全ての位置異性体が企図される(例えば、2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジル)。全てのヘテロアリール基の環窒素のN−酸化物もまた含まれる。R−およびR12−置換のヘテロアリールは、置換可能な環炭素原子が上記に定義したような置換基を有するような基を意味する。
【0041】
ヘテロアリールジイルは、2つの異なる基に結合したヘテロアリール環を意味する。例えば、本発明の文脈において、Aがヘテロアリールジイルである場合、1つの環員は−NH−に結合し、そして別の環員はXに結合する。例としては、ピリジンジイル環は:
【0042】
【化30】

を示す。
【0043】
アリーレンは、2価のアリール環、すなわち2つの異なる基に結合したアリール環(例えば、フェニレン)を意味する。
【0044】
シクロアルキルは、約3〜約10個の炭素原子を含む、非芳香族の単環式環系もしくは多環式環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約3〜約7個の炭素原子を含む。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリン、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0045】
シクロアルキレンは、2価のシクロアルキル環、すなわち2つの異なる基に結合したシクロアルキル環(例えば、1,4−シクロへキシレン、
【0046】
【化31】

)を意味する。
【0047】
ヘテロシクロアルキルは、2〜5個の炭素原子、ならびにN、SおよびOからなる群から選択される1〜2個のヘテロ原子からなる3〜6員の飽和した環を意味し、但し2つのヘテロ原子は互いに隣接しない。典型的なヘテロシクロアルキル環は、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、アゼチジニル、ピロリジニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルおよびチオモルホリニルである。
【0048】
アザシクロアルキルは、構造:
【0049】
【化32】

によって、Rの定義において示される、5〜6員の環を意味する。
【0050】
式Iの化合物は、塩を形成し得、この塩もまた本発明の範囲内にある。そうでないと述べられていない限り、本明細書中の式Iの化合物への参照は、その塩への参照を含むと理解される。用語「塩」は、本明細書中で使用される場合、無機および/もしくは有機の酸を使って形成される酸塩、ならびに無機および/もしくは有機の塩基を使って形成される塩基性塩を示す。さらに、式Iの化合物が塩基部分(例えば、ピリジンもしくはイミダゾールだが、これらに限定されない)、および酸部分(例えば、カルボン酸だが、これに限定されない)の両方をふくむ場合、両性イオン(「分子内塩」)が形成され得、本明細書中で使用される場合、「塩」の用語にふくまれ得る。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性、生理学上受容可能)塩が望ましいが、他の塩もまた有用である。例えば、媒体中(例えば、塩が沈殿する媒体中または凍結乾燥が続く水性媒体中)で式Iの化合物とある量(例えば、等量)の酸または塩基を反応させることにより、式Iの化合物の塩が形成され得る。
【0051】
典型的な酸付加塩としては、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシラートとしても公知)などが挙げられる。さらに、塩基性の薬学的化合物から一般的に薬学的に有用な塩を形成するために適切であると考えられる酸は、例えばP.Stahlら、 Camille G.(eds.) Handbook of Pharmaceutical Salts. Properties, Selection and Use.(2002) Zurich:Wiley−VCH;S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1) 1−19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996)、Academic Press、New Yorkによって;およびThe Orange Book(Food & Drug Administration、Washington,D.C.ウェブサイトにて)中で議論されている。これらの開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0052】
典型的な塩基性塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)を有する塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミン)、およびアミノ酸を有する塩(例えば、アルギニン、リジン)などが挙げられる。塩基性の窒素含有基は、因子(例えば、低級のハロゲン化アルキル(例えば、メチル、エチル、およびブチルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸のジメチル、ジエチル、およびジブチル)、長鎖のハロゲン化物(例えば、デシル、ラウリル、およびステアリルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、ハロゲン化アラルキル(ベンジルおよびフェネチルの臭化物)、およびその他)によって、四級化され得る。
【0053】
このような酸性塩および塩基性塩はすべて、本発明の範囲内で薬学的に受容可能な塩でることが意図されており、すべての酸および塩基の塩は、本発明の目的のために対応する化合物の遊離した形態と等価であるとみなされる。
【0054】
本発明の一つ以上の化合物は、溶媒和物として存在し得るか、もしくは必要に応じて溶媒和物に変換される。溶媒和物の調製は、一般的に公知である。ゆえに、例えば、M.Cariaら、J.Pharmaceutical Sci.、93(3)、601−611(2004)は、酢酸エチル中のおよび水からの抗真菌性のフルコナゾールの溶媒和物の調製を記載している。溶媒和物、半溶媒和物、水和物などの同様の調製は、E.C.van Tonderら、AAPS PharmSciTech.、5(1)、論説12(2004);およびA.L.Binghamら、Chem.Commun.、603−604(2001)によって記載されている。典型的な非限定的なプロセスは、本発明の化合物を望ましい量の望ましい溶媒(有機もしくは水またはこれらの混合物)に、周囲温度より高い温度で溶解し、そしてその溶液を結晶を形成するのに十分な速度で冷却することを含む。この結晶は、次いで、標準的な方法によって単離される。分析技術(例えば、I.R.分光学)が、結晶中に溶媒和物(もしくは水和物)としてその溶媒(もしくは水)の存在を示す。
【0055】
式Iの化合物、およびそれらの塩、溶媒和物、エステル、およびプロドラッグは、それらの互変異性の形態で(例えば、アミドもしくはイミノエーテルとして)存在し得る。このような互変異性の形態はすべて、本明細書中で、本発明の一部として企図され得る。
【0056】
本化合物(この化合物の塩、溶媒和物、エステル、およびプロドラッグ、ならびにこのプロドラッグの塩、溶媒和物、およびエステルをふくむ)のすべての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(例えば、エナンチオマー形態(不斉炭素がなくても存在し得る)、回転異性体の形態、アトロプ異性体、およびジアステレオマーの形態をふくむ多種の置換基上の不斉炭素のために存在し得るもの)は、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジルといった)と同様に、本発明の範囲内で考察される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば他の異性体を実質的に含まなくてもよいし、または例えばラセミ体として、または他の全てと、もしくは他の選択された異性体と混合されてもよい。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsに定義されているようにS構造またはR構造を有し得る。「塩」、「溶媒和物」、「エステル」、「プロドラッグ」などの用語の使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ体、もしくはプロドラッグの塩、溶媒和物、エステル、およびプロドラッグに等しく適用すると意図される。
【0057】
式Iの化合物ならびに式Iの化合物の塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグの多形形態は、本発明内に含まれると意図される。
【0058】
「患者」は、ヒトおよび動物の両方を含む。
【0059】
「哺乳動物」は、ヒトおよびその他の哺乳類の動物を意味する。
【0060】
化合物の「精製された」、「精製された形態」、もしくは「単離され精製された形態」という用語は、合成プロセス、天然資源、もしくはこれらの組み合わせから単離された後の上記化合物の物理的状態を意味する。ゆえに、化合物の「精製された」、「精製された形態」、もしくは「単離され精製された形態」という用語は、本明細書中に記載のもしくは当業者には周知の精製プロセスから得られた後の、本明細書中に記載のまたは当業者には周知の標準的な分析技術によって特性を明らかにされるに充分な純度を有する、上記化合物の物理的状態を意味する。
【0061】
例えば、
【0062】
【化33】

のように、環系内に引かれている線は、表示された線(結合)が置換可能な環の炭素原子のいずれかに結合され得ることを示す。
【0063】
当該分野において周知であるように、そうでないと述べられていない限り、結合の最終末端において部分が何も描かれていない、特定の原子から引かれている結合は、メチル基を意味する。例えば:
【0064】
【化34】

を表す。
【0065】
本明細書中の本文、スキーム、実施例および表中の不充分な原子価を有するいずれの炭素原子ならびにヘテロ原子も、原子価を満たすために充分な数の水素原子を有すると考えられることも注意されるべきである。
【0066】
化合物内の官能基が「保護化」と称される場合、これは、その化合物が反応に供される場合に、保護された位置での望ましくない副反応を妨げるためにその基が修飾された形態であることを意味する。適切な保護基は、当業者によって、ならびに標準的な教科書、例えばT.W.Greeneら、Protective Groups in organic Synthesis(1991)、Wiley、New Yorkの参考によって承認される。
【0067】
いずれの構成成分中もしくは式I中で、1つより多くの変数(例えば、アリール、複素環、R14など)がある場合、それぞれの存在におけるその定義は、その他の存在におけるその定義とは独立する。
【0068】
本明細書中で使用される場合、「組成物」という用語は、特定の成分を特定の量で含む生成物、ならびに特定の成分の特定の量での組み合わせから直接的に、もしくは間接的に生じた生成物を包含することが意図される。
【0069】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で企図される。「プロドラッグ」という用語は、本明細書中で使用される場合、薬物の前駆物質である化合物を意味し、これは被験体への投与の際に、代謝性もしくは化学的プロセスによって化学変換を受けて式Iの化合物あるいはその塩および/もしくは溶媒和物を生じる。プロドラッグに関する議論は、A.C.S.Symposium SeriesのT.Higuchi and V.Stella、Pro-drugs as Novel Delivery Systems(1987)14、およびBioreversible Carriers in Drug Design、(1987)Edward B.Roche,ed.、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press内に提供されており、これらは両方とも本明細書中に参考として援用される。
【0070】
「溶媒和物」は、一つ以上の溶媒分子を有する本発明の化合物の物理的会合を意味する。この物理的会合は、様々な程度のイオン結合および水素結合を含む共有結合を意味する。特定の実例中では、この溶媒和物は単離可能で、例えば一つ以上の溶媒分子が結晶性の固体の結晶格子内に含まれている。「溶媒和物」は、溶液相と単離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例として、エタノラート(ethanolate)、メタノラート(methanolate)などが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0071】
「有効な量」または「治療上有効な量」は、上記に述べた疾患を阻害し、したがって望ましい治療上の、改善的、阻害的、もしくは予防的な効果を生じるのに有効な本発明の化合物または組成物の量を示すことが意味される。
【0072】
式Iの化合物は、当該分野において公知の一般的方法によって調製される。好ましくは、式Iの化合物は、以下の反応スキーム中に示される方法によって調製される。スキームおよびそれに続く実施形態内では、以下の略語が使用される:
Ac アセチル
Boc tert−ブトキシカルボニル
Bu ブチル
CDCl d−クロロホルム
DCE ジクロロエタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMAP 4−N,N−ジメチルアミノピリジン
DMSO d−ジメチルスルホキシド
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
ジオキサン 1,4−ジオキサン
Et エチル
Ether ジエチルエーテル
HATU N−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェート N−オキシド(N−[(dimethylamino)−1H−1,2,3−triazolo[4,5−b]pyridin−1−ylmethylene]−N−methylmethanaminium Hexafluorophosphate N−oxide)
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
Me メチル
NBS N−ブロモスクシンイミド
NCS N−クロロスクシンイミド
NMR 核磁気共鳴分光学
Pd(dppf)Cl・CHCl ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]−パラジウム(II)ジクロロメタン付加物
PS−EDC ポリスチレン1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)
rt 室温(約25℃)
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
TLC 薄層クロマトグラフィー
THF テトラヒドロフラン
NMRのデータが示されている場合、Hスペクトルは、Varian Gemini−400BBもしくはMercury−400BBのいずれかで得られ、MeSiからの低磁場側でのppm(parts per million)として、プロトン数、多重性(s=一重線、d=二重線、t=三重線、m=多重線、br.=広域)、およびカップリング定数(ヘルツ)が、報告される。LCMSデータが示されている場合、分析はApplied Biosystems API−100質量分析器およびShimadzu SCL−10A LCカラム:Altech プラチナ C18、3ミクロン、33mm×7mm ID:勾配流動:0分−10%MeCN、5分−95%MeCN、7分−95%MeCN、7.5分−10%MeCN、9分−停止、を利用して行なわれた。観測された親イオンが与えられる。
【0073】
一般的に、本発明中に記載されている化合物は、タイプ1の塩化物もしくはタイプ2の二塩化物から調製され得る(スキーム1)。タイプ3のアミノピラゾールとタイプ4のケトエステルとの縮合により、タイプ5のピリミドンが生じ、これはPOClでの処理によってタイプ1の塩化物に変換され得る。タイプ2の二塩化物は、同様の方法でタイプ3のアミノピラゾールおよびジエチルマロネート6から調製される。スキーム1において、RであるR7aは、アルキル、R12−フェニル、R12−ヘテロアリールもしくはシクロアルキルである。
【0074】
【化35】

7−アミノ官能性の取り込みは、タイプ1およびタイプ2の塩化物をアミンで処理して、タイプ8およびタイプ9の化合物を得ることによって、直接的に達成され得る(スキーム2)
【0075】
【化36】

タイプ10の化合物は、タイプ11のアニリンによる直接置換によってか、もしくはタイプ12のスルホン酸を通してかのいずれかで調製される(スキーム3)。
【0076】
【化37】

タイプ11の化合物は、市販で入手可能か、もしくはスキーム4に示される方法で合成されるかのいずれかである。塩化スルホニル14をアミンで処理し、続いて酸加水分解することで、タイプ11の化合物を得る。
【0077】
【化38】

タイプ17の塩化物は、カルバメート18として保護され得、そしてパラジウム触媒の交差カップリング反応を通して、タイプ19の化合物に変換され得;脱保護化により、タイプ10aの化合物を得、ここで、R7aはR12−フェニルである(スキーム5)。
【0078】
【化39】

タイプ20(R=Br)の化合物およびタイプ21(R=Cl)の化合物は、タイプ10aの化合物を求電子性のハロゲン化試薬(例えば、NBSもしくはNCS)で処理することで調製され得る(スキーム6)。
【0079】
【化40】

タイプ22の化合物およびタイプ23の化合物は、スキーム7に示すように調製される。タイプ17の化合物は、前述の例の方法と同様の方法でハロゲン化され得、タイプ24の化合物を得る。タイプ17の化合物およびタイプ24の化合物は、アミンで処理され得、タイプ23の化合物およびタイプ22の化合物を得る。スキーム7では、R7bは、必要に応じて置換ピペラジニルであるか、もしくは必要に応じて置換アザシクロアルキルである。
【0080】
【化41】

タイプ25(R=CN)の化合物は、スキーム8に示す方法で合成される。タイプ26のマロノニトリルは、ヒドラジンと縮合され得、タイプ27のピラゾールを生じ、これはタイプ4のケトエステルと縮合され得、タイプ28のピリミドンを生じる。このピリミドンはPOClで処理され、タイプ29の塩化物を生じる。7−Nアミノ官能性は、タイプ29の塩化物をタイプ11のアニリンと反応させることで取り入れられ得る。
【0081】
【化42】

タイプ31の化合物は、標準的アミドカップリング条件下で、アミンによるタイプ33の酸(塩化物1から1もしくは2工程で入手可能)の処理によって調製され得る(スキーム9)。
【0082】
【化43】

タイプ34の化合物は、タイプ31a(R7aはR12−フェニル)の化合物を、求電子性のハロゲン化試薬(例えば、NBS)で処理することで調製され得る(スキーム10)。
【0083】
【化44】

タイプ35の化合物は、タイプ36の化合物をTFAで処理することによって、タイプ37の化合物を生じ、その後、標準的アミド形成を使用して、調製され得る(スキーム11)。
【0084】
【化45】

タイプ38の化合物は、HClの存在下でのアミンR7b−Hによるタイプ35の塩化物の処理によって合成され得る(スキーム12)。
【0085】
【化46】

本明細書中に開示されている発明は、以下の実施例によって例示されるが、これらの実施例は本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。代替の機械的経路および類似構造が当業者には明らかである。
【実施例】
【0086】
(調製1A)
【0087】
【化47】

工程A:
5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(1g、0.0103mol)をAcOH(7ml)中に懸濁し、3−オキソ−3−フェニルプロピオン酸エチルエステル(1.95ml、1.1等量)を加え、この混合物を還流で3時間熱した。この混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。この残渣をEtOAcと攪拌し、ろ過により固体を収集して、1.83gの2−メチル−5−フェニル−4H−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オンを得た。
【0088】
工程B:
工程Aの生成物(1.83g)をPOCl(8.6ml)中に溶解し、ピリジン(0.43ml)を加え、この混合物を室温で3日間攪拌した。生じた黒色の溶液をEtOで希釈し、ろ過した。このろ液を0℃まで冷却し、水でクエンチし;このクエンチが完了したら、さらに水を加え、有機層を取り除いた。水性層をEtOでさらに抽出し、合わせた有機層をNaHCO(飽和)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして減圧下で濃縮して、1.92gの7−クロロ−2−メチル−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジンを得、これをこれ以上精製することなしに使用した。LCMS:MH=244.1。
【0089】
(調製1B)
【0090】
【化48】

調製1Aで使用した手順と本質的に同じ手順によって、5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルアミンを5−シクロプロピル−2H−ピラゾール−3−イルアミンと置き換えて、7−クロロ−2−シクロプロピル−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジンを調製した。
【0091】
【化49】

(調製1C−1G)
調製1Aで使用した手順と本質的に同じ手順によって、コラム1内の化合物をケト−エステルとして置き換えて、コラム2内の化合物を調製した:
【0092】
【表1】

(調製1H)
【0093】
【化50】

工程A:
(Polish J.Chem.、56(1982)p963内に記載されている手順と類似した手順にしたがって調製した)
3−オキソ−3−(ピリジン−2−イル)プロピオン酸エチルエステル(2g、0.01035mol)および5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(1g、1等量)を、140℃で2時間一緒に熱し;室温まで冷却した後、固体残渣をEtOAcと攪拌し、ろ過により固体を収集して、1.84gの2−メチル−5−ピリジン−2−イル−4H−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オンを得た。
【0094】
工程B:
工程Aの生成物(1.84g)をPOCl(24ml)中に溶解し、0℃まで冷却した。N,N−ジメチルアニリン(3.1ml、3等量)を加え、この混合物を60℃で16時間熱した。この混合物を室温まで冷却し、揮発性物質を除去した。生じた残渣をCHCl中に溶解し、氷上に注ぎ、NaHCO(s)でpH8までにした。このCHCl層を除去し、水で洗浄し、乾燥した(MgSO)。この混合物を減圧下で濃縮し、残渣をクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン−EtOAc/ヘキサン 1:1)にかけ、1.2gの表題の化合物を得た。
【0095】
【化51】

(調製1I−1L)
調製1Hで述べた手順と本質的に同じ手順によって、コラム1および2内の化合物に置き換えて、コラム3内の化合物を合成した。
【0096】
【表2】

(調製1M)
【0097】
【化52】

工程A:
5−シクロプロピル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(2.9g、0.0235mol)をAcOH(18ml)中に懸濁し、3−(2−フルオロフェニル)−3−オキソプロピオン酸エチルエステル(4.67ml、1.1等量)を加えて、この混合物を還流で3時間熱した。この混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAcと攪拌し、ろ過により固体を収集して、2gの2−シクロプロピル−5−(2−フルオロフェニル)−4H−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オンを得た。
【0098】
工程B:
工程Aからの化合物(1g、0.00371mol)をPOCl(12ml)中に溶解し、0℃まで冷却した。N,N−ジメチルアニリン(1.4ml、3等量)を加え、この混合物を80℃で16時間熱した。この混合物を室温まで冷却し、揮発性物質を除去した。生じた残渣をCHCl中に溶解し、氷上に注ぎ、NaHCO(s)でpH8までにした。このCHCl層を除去し、水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン−EtOAc/ヘキサン 1:9)により精製し、0.85gの表題の化合物を得た。LCMS:MH=288.1。
【0099】
(調製2A)
【0100】
【化53】

調製1Aの化合物(1.67g、0.00685mol)をDMF(66ml)中に溶解し、スルファニル酸(1.31g、1.1等量)を加え、続いてカリウムtert−ブトキシド(2.54g、3.3等量)を加えた。16時間の攪拌の後、この混合物を水(500ml)に加え、pH3まで酸性化した。生じた沈殿物をろ過により収集し、一晩乾燥して、2.17gの表題の化合物を得た。
【0101】
【化54】

(調製2B)
【0102】
【化55】

調製1Bの化合物(1.0g、0.0371mol)をDMF(30ml)中に溶解し、スルファニル酸(1.4g、2.2等量)を加え、続いてカリウムtert−ブトキシド(2.74g、6.6等量)を加えた。16時間の攪拌の後、この混合物を水に加え、pH3まで酸性化した。生じた沈殿物をろ過により収集し、一晩乾燥して、1.25gの表題の化合物を得た。
【0103】
【化56】

(調製3A)
【0104】
【化57】

工程A:
ピロリジン(16ml、0.1925mol)をアセトン(40ml)中に溶解し、0℃まで冷却し;4−アセチルアミノベンゼンスルホニルクロリド(15g、0.065mol)を10分にわたって加えた。アセトン(13ml)をさらに加え、この混合物を還流で2時間熱した。室温まで冷却した後、この混合物を水(350ml)に加え、生じた沈殿物をろ過により収集し、この沈殿物を洗浄液がpH7になるまで水で洗浄した。この固体を真空下で乾燥し、8.1gのN−[4−(ピロリジン−1−スルホニル)フェニル]アセトアミドを得た。
【0105】
工程B:
工程Aからの化合物(8.1g)を水(37.5ml)中に懸濁し、濃HCl(19ml)で処理した。この混合物を還流で1時間熱した。室温まで冷却した後、NHOH(23ml)を攪拌しながら加えた。生じた沈殿物をろ過により収集し、洗浄液がpH7になるまで水で洗浄した。この固体を乾燥して、6.0gの4−(ピロリジン−1−スルホニル)フェニルアミンを得た。
【0106】
【化58】

(調製3B)
【0107】
【化59】

工程A:
メチル−(2−ピリジン−2−イルエチル)アミン(8.9ml、0.0643mol)をアセトン(13ml)中に溶解し、0℃まで冷却し、4−アセチルアミノベンゼンスルホニルクロリド(5g、0.0214mol)を10分にわたって加えた。アセトン(5ml)をさらに加え、この混合物を還流で2時間熱した。室温まで冷却した後、この混合物を水に加え、EtOAcで抽出した。この抽出物を乾燥した(MgSO)。この混合物を減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc−MeOH/EtOAc 1:19)による精製から、5.6gのN−{4−[メチル−(2−ピリジン−2−イル−エチル)スルホニル]フェニル}アセトアミドを得た。
【0108】
工程B:
工程Aからの化合物(5.6g)を水(22.4ml)中に懸濁し、濃HCl(13.4ml)で処理し、この混合物を還流で1時間熱した。室温まで冷却した後、NHOH(13.7ml)を攪拌しながら加えた。生じた混合物をCHClで抽出し;この抽出物を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮して、4.8gの4−アミノ−N−メチル−N−(2−ピリジン−2−イルエチル)ベンゼンスルホンアミドを得た。LCMS:MH=292.0。
【0109】
(調製4A)
【0110】
【化60】

工程A:
5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(2g、0.0206mol)をEtOH(60ml)中に溶解し、NaOEt(21重量%の11.58ml溶液、2等量)を加え、続いてジエチルマロネート(3.44ml、1.1等量)を加えた。この混合物を還流で3時間熱した。室温まで冷却した後、沈殿物をろ過により収集し、さらなるEtOHで洗浄し、乾燥して、1.6gの2−メチル−4H−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5,7−ジオンを得た。
【0111】
工程B:
工程Aからの化合物(1.6g)をPOCl(18ml)中に溶解し、0℃まで冷却し、N,N−ジメチルアニリン(3.43ml)を加え、この混合物を115〜120℃で一晩熱した。室温まで冷却した後、減圧下でPOClを除去し、生じた残渣をCHCl中に取り上げ、氷上に注いだ。この氷が融解したら、この混合物をNaHCO(s)で中和して、有機層を単離した。この有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮し、生じた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン−CHCl)によって精製して、0.734gの5,7−ジクロロ−2−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジンを得た。
【0112】
【化61】

(調製4B)
【0113】
【化62】

調製4Aの手順と本質的に同じ手順を使用し、5−シクロプロピル−2H−ピラゾール−3−イルアミンおよびジエチルマロネートを使用して、5,7−ジクロロ−2−シクロプロピルピラゾロ[1,5−a]ピリミジンを得た。
【0114】
【化63】

(調製5A)
【0115】
【化64】

調製4Aの化合物(734mg、0.00364mol)をDMF(16ml)中に溶解し、4−アミノ−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド(800mg、1.1等量)を加え、続いてカリウムtert−ブトキシド(816mg、2等量)を加えた。この混合物を一晩攪拌した。水を加え、この混合物をEtOAcで抽出し、この抽出物を乾燥した(MgSO)。この抽出物を減圧下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン−EtOAc/ヘキサン 35:65)により精製して、900mgの表題の化合物を得た。
【0116】
【化65】

(調製5B)
【0117】
【化66】

調製5Aの手順と本質的に同じ手順を使用し、調製3Aの生成物および調製4Bの生成物を使用して、表題の化合物を調製した。LCMS:MH=418.2。
【0118】
(調製5C)
【0119】
【化67】

調製5Aの生成物(588mg、0.00161mol)をTHF(17.6ml)中に溶解し、NBS(288mg、1等量)を加えた。5分後、TLCはこの反応が完了したことを示し、この混合物を減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン−EtOAc)により精製して、表題の化合物(621mg)を得た。
【0120】
【化68】

調製5A、5Bおよび5Cの化合物も式Iの化合物である。
【0121】
(調製6)
【0122】
【化69】

調製5Aの化合物(746mg、0.00204mol)をジオキサン(10ml)中に溶解し、tert−ブチルジカルボネート(667mg、1.5等量)、その後DMAP(247mg、1等量)を加えた。10分後、ジオキサン(10ml)をさらに加えて、この混合物を一晩攪拌した。NaHCO(飽和)を加え、この混合物をEtOAcで抽出し、この抽出物を乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮して、生じた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン−EtOAc/ヘキサン 1:1)により精製して、0.742gの表題の化合物を得た。LCMS:MH=466.3。
【0123】
(調製7A)
【0124】
【化70】

工程A:
調製1Bの生成物(0.1g、0.000371mol)をN,N−ジメチルアセトアミド(2ml)中に溶解し、4−アミノ安息香酸tert−ブチルエステル(79mg、1.1等量)を加え、続いてカリウムtert−ブトキシド(91mg、2.2等量)を加えた。この混合物を一晩攪拌した。水を加え、この混合物をEtOAcで抽出し、合わせた抽出物を水、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮した。この残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン−EtOAc 1:4)により精製して、117mgの4−(2−シクロプロピル−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イルアミノ)安息香酸tert−ブチルエステルを得た。LCMS:MH=427.2。
【0125】
工程B:
工程Aからの化合物(117mg)をCHCl(16ml)中に溶解し、水(0.156ml)、その後TFA(1.56ml)を加え、この混合物を一晩攪拌した。減圧下で揮発性物質を完全に除去して、110mgの表題の化合物を得た。LCMS:MH=371.2。
【0126】
(調製7B−7F)
調製7Aに述べた手順と本質的に同じ手順を使用し、コラム1内の塩化物に置き換えて、コラム2内の化合物を調製した。
【0127】
【表3】

(調製7G)
【0128】
【化71】

調製1Mの生成物(250mg、0.000869mol)をDMF(4ml)中に溶解し、p−アミノ安息香酸(131mg、1.1等量)を加え、続いてカリウムtert−ブトキシド(293mg、3当量)を加えた。この混合物を室温で24時間攪拌した。ジオキサン(2等量)中のHClを加え、続いて水を加えた。生じた固体をろ過により収集し、その後、HPLC(C18、MeCN/HO/HCOH 5:95:0.1〜95:5:0.1)により精製して、50mgの表題の化合物を得た。
【0129】
【化72】

(調製8A)
【0130】
【化73】

ヒドラジン一水和物(6.8ml、0.14mol)をEtOH(10ml)中に溶解し、0℃まで冷却した。(1−エトキシエチリデン)マロノニトリル(10g、0.073mol)をゆっくり加え、この混合物を95℃で2時間熱した。室温まで冷却した後、水(20ml)を加え、この混合物を室温で一晩放置した。この混合物を減圧下で濃縮し、生じた残渣をEtOH(6ml)および水(6ml)で処理した。氷/水浴中で10分間冷却した後、生じた沈殿物をろ過により収集し、6.34gの5−アミノ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルを得た。
【0131】
(調製8B)
【0132】
【化74】

調製8Aの生成物(2.0g、0.0164mol)をAcOH(10ml)中に溶解した。ベンゾイル酢酸エチル(3.2ml、0.018mol)を加え、この混合物を還流で4時間熱した。室温まで冷却した後、この反応混合物を減圧下で濃縮し、オフホワイト色の固体を得た。EtOAcを加え、生じた固体をろ過により収集し、2.24gの2−メチル−7−オキソ−5−フェニル−4,7−ジヒドロピラゾロ[1,5a]ピリミジン−3−カルボニトリルを得た。LCMS:MH=251.1。
【0133】
(調製8C)
【0134】
【化75】

調製8Bの生成物(0.6g、0.0024mol)をPOCl(12ml)中に懸濁し、110℃で70分間熱した。室温まで冷却した後、この混合物を減圧下で濃縮し、固体残渣を得、これを氷冷却した水で処理し、その後、この溶液のpHが11〜12になるまでNHOHを加えた。生じた固体をろ過により収集し、水で洗浄して、0.568gの7−クロロ−2−メチル−5−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボニトリルを得た。LCMS:MH=269.1。
【0135】
(調製9A)
【0136】
【化76】

2−(2,6−ジクロロフェニル)エチルアミン(1ml、0.00663mol)およびTEA(1.4ml、1.5等量)をTHF(20ml)中に溶解し、氷−水浴中で冷却した。クロロギ酸エチル(0.95ml、1.5等量)をゆっくり加え、この混合物を室温で2時間攪拌した。NHCl(飽和)を加え、この混合物をEtOAcで抽出し、合わせた抽出物をNHCl(飽和)で洗浄し、乾燥した(MgSO)。有機溶媒を除去し、残渣をEtO(5ml)中に溶解した。この溶液をEtO(15ml)中のLiAlH(530mg、2等量)のスラリー中に−78℃でゆっくり加えた。この混合物を室温までゆっくり温め、一晩攪拌した。この混合物を氷−水浴中で冷却し、水(0.53ml)、15%NaOH(0.53ml)そして水(1.5ml)を順に加えた。この混合物を30分間勢いよく攪拌し、生じたスラリーをろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、1.2gの[2−(2,6−ジクロロフェニル)エチル]メチルアミンを得た。
【0137】
(調製9B−9G)
調製9Aに述べた手順と本質的に同じ手順によって、コラム1内のアミンに置き換えて、コラム2内に示す化合物を調製した。
【0138】
【表4】

(調製10A)
【0139】
【化77】

表題の化合物は、J.Med.Chem.、36、(1993)、p2984−2997内の手順と類似した方法で調製された。
【0140】
ピペラジン(1.42g、0.0165mol)を水(8ml)中に溶解し、1NのHCl(16.5ml、0.0165mol)を加え、この混合物を30分攪拌した。3−クロロメチル−ピリジン塩酸塩(1.35g、0.00823mol)を加え、この混合物を16時間攪拌した。この混合物をEtOAcで抽出し、残った水層をpH10まで塩基性化した。この水層をまずCHClで抽出し、その後CHClで抽出した。このCHCl層を乾燥し、真空下で濃縮して、250mgの表題の化合物を得た。
【0141】
実施例10Aに述べた手順と本質的に同じ手順によって、コラム1内のピリジン塩酸塩に置き換えるだけで、コラム2内に示す化合物を調製した。
【0142】
【表5】

(調製11)
【0143】
【化78】

調製物1M(0.822g、0.00285mol)をN,N−ジメチル−アセトアミド(16ml)中に溶解し、6−アミノニコチン酸メチルエステル(476mg、1.1等量)を加え、この混合物を氷−水浴中で冷却した。t−BuOK(0.707g、2.2等量)を加え、この混合物を室温で一晩攪拌した。NHCl(飽和)を加え、生じた沈殿物を収集して、1.075gの白色固体を得、これを1:1のTHF/CHOH混合物(36ml)中に溶解した。15%NaOH(18ml)を加え、この混合物を150分間攪拌した。この混合物をpH1まで酸性化し、生じた固体を収集して、0.85gの表題の化合物を得た。LCMS MH=390.1。
【0144】
(調製12A)
【0145】
【化79】

表題の化合物は、JP 06172326内の概説されている手順にしたがって調製された。
【0146】
CHOH(10.4ml、0.051mol)中のNaOCHの25%(重量)溶液とトルエン(36ml)との混合物を、EtOAc(45ml)中の2−メトキシカルボニルピラジン(4g、0.0289mol)の溶液を一滴ずつ加えながら、110℃で熱した。この混合物をさらに3時間熱し、その後、室温まで冷却した。ろ過により固体沈殿物を収集した。この固体をNHCl(飽和)中に溶解し、この混合物をEtOAcで抽出した。有機抽出物を乾燥して、真空下で濃縮して、4.3gの表題の化合物を得、これを精製せずに使用した。
【0147】
(調製12B)
【0148】
【化80】

表題の化合物は、Polish Journal of Chemistry、56、(1982)、p963内に記載されている手順と類似した手順にしたがって調製された。
【0149】
工程A
調製物12A(359mg、0.01035mol)と5−シクロプロピル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(245mg、1.05等量)とを一緒に、140℃で1.5時間熱した。室温まで冷却した後、残渣をEtOHと攪拌し、ろ過により生じた固体を収集して、331mgの2−シクロプロピル−5−ピラジン−2−イル−4H−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オンを得た。
【0150】
工程B
工程Aの生成物をPOCl(4ml)中に溶解し、0℃まで冷却した。N,N−ジメチルアニリン(0.5ml、3等量)を加え、この混合物を80℃で16時間熱した。この混合物を室温まで冷却し、揮発性物質を除去した。生じた残渣をCHCl中に溶解し、氷上に注ぎ、NaHCO(s)で中和した。CHCl層を除去し、水で洗浄し、乾燥した(MgSO)。この混合物を減圧下で濃縮し、残渣をクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘキサン 1:1)にかけて、240mgの表題の化合物を得た。LCMS MH=272.0
(調製12C)
【0151】
【化81】

工程A
調製物12B(240mg、0.883mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド(4ml)中に溶解し、4−アミノ安息香酸tert−ブチルエステル(188mg、1.1等量)を加え、続いてt−BuOK(218mg、2.2等量)を加えた。この混合物を一晩攪拌した。NHCl(飽和)を加え、ろ過により固体を収集して、392mgの白色固体を得、これをCHCl(16ml)中に溶解した。水(0.16ml)、その後TFA(2.5ml)を加え、この混合物を一晩攪拌した。減圧下で揮発性物質を完全に除去して、350mgの表題の化合物を得た。LCMS:MH=373.1
(実施例1A)
【0152】
【化82】

調製物1A(100mg、0.410mmol)をDMF(4ml)中に溶解し、4−アミノ−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド(90mg、1.1等量)を加え、続いてカリウムtert−ブトキシド(92mg、2等量)を加えた。この混合物を3時間攪拌し、その時点でTLCは出発物質の完全な消費を示した。NHCl(飽和)を加え、ろ過により生じた固体を収集し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン−EtOAc)によって精製して、45mgの表題の化合物を得た。LCMS:MH=408.1。
【0153】
(実施例1B−1P)
実施例1Aの手順と本質的に同じ手順によって、コラム1内の塩化物およびコラム2内のアニリンに置き換えて、コラム3内に示す実例が調製された。
【0154】
【表6−1】

【0155】
【表6−2】

【0156】
【表6−3】

【0157】
【表6−4】

(実施例2A)
【0158】
【化83】

調製物2A(100mg、0.263mmol)をPOCl(4ml)中に懸濁し、N,N−ジメチルアニリン(33μL、1等量)を加え、この混合物を60℃で3時間熱した。室温まで冷却した後、この混合物を減圧下で濃縮し、ジオキサン(3ml)中に懸濁し、ピペリジン(0.5ml、過剰)を加えた。30分後、TLCは出発物質の完全な消費を示した。水を加え、この混合物をCHClおよびEtOAcで抽出した。合わせた抽出物を乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮し、生じた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン−EtOAc)によって精製して、93mgの表題の化合物を得た。LCMS:MH=448.1。
【0159】
(実施例2B−2K)
実施例2Aで述べた手順と本質的に同じ手順によって、コラム1内のベンゼンスルホン酸およびコラム2内のアミンに置き換えて、コラム3内に示す実例が調製された。コラム2のアミンの非常に過剰な使用が実用的でない場合、過剰なDIPEAとともに3等量のアミンが使用された(表示されている)。
【0160】
【表7−1】

【0161】
【表7−2】

【0162】
【表7−3】

(実施例3A)
【0163】
【化84】

実例2D(50mg、0.1mmol)をTHF(2ml)中に溶解し、NBS(18mg、1等量)を加え、この混合物を5分間攪拌した。この混合物を減圧下で濃縮した。生じた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc)、その後、HPLC(C18、MeCN/HO/HCOH 5:95:0.1〜95:5:0.1)により精製して、28mgの表題の化合物を得た。LCMS:MH=585.1。
【0164】
(実施例3B−3G)
実施例3Aで述べた手順と本質的に同じ手順によって、コラム1内の化合物に置き換えて、コラム2内の実例が調製された。
【0165】
【表8−1】

【0166】
【表8−2】

(実施例4)
【0167】
【化85】

実例1A(98mg、0.24mmol)をMeCN(3ml)中に溶解した。NBS(41mg、0.95等量)を加え、この混合物を45分間攪拌した。減圧下での濃縮、続いてフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/CHCl、5:95)によって、97mgの表題の化合物を得た。LCMS:MH=486.3。
【0168】
(実施例5A)
【0169】
【化86】

工程A:
調製物6(100mg、0.215mmol)ジオキサン中に溶解し、2−トリフルオロメチル−ベンゼンボロン酸(61mg、1.5等量)、KPO(137mg、3等量)およびPd(dppf)Cl・CHCl(17mg、0.1等量)を加え、この混合物を60℃で一晩熱した。室温まで冷却した後、水を加え、この混合物をEtOAcで抽出し;この抽出物を乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮し、生じた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン−1:1 EtOAc/ヘキサン)によって精製し、107mgの(4−ジメチルスルファモイルフェニル)−[2−メチル−5−(2−トリフルオロメチルフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステルを得た(LCMS:MH=576.1)。
【0170】
工程B:
工程Aからの化合物(107mg)をCHCl(5ml)中に溶解し;水(0.05ml)およびTFA(0.5ml)を加え、この混合物を一晩攪拌した。この混合物をNaHCO(飽和)で中和し、その後、CHClで抽出した。この抽出物を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン−EtOAc/ヘキサン 3:1)によって精製して、66mgの表題の化合物を得た。LCMS:MH=476.1。
【0171】
(実施例5B−5D)
実施例5Aで述べた手順と本質的に同じ手順によって、コラム1内のベンゼン−ボロン酸に置き換えて、コラム2内の実例が調製された。
【0172】
【表9】

(実施例6A)
【0173】
【化87】

調製物5C(110mg、0.23mmol)をEtOH(2.5ml)中に懸濁し、(R)−(−)−2−ピロリジンメタノール(0.188ml、8等量)を加え、続いてジオキサン(356ml、6等量)中の4MのHClを加えた。この混合物を5時間熱し、この時点で質量分析は完全な変換を示した。水を加え、ろ過によって生じた沈殿物を収集して、54mgの表題の化合物を得た。LCMS:MH=511.3。
【0174】
(実施例6B−6P)
実施例6Aで述べた手順と本質的に同じ手順によって、コラム1内のアミンおよびコラム2内の塩化物に置き換えて、コラム3内の実例が調製された。表中に示した例において、EtOHおよびTHFの混合物が主要な反応溶媒として使用された。
【0175】
【表10−1】

【0176】
【表10−2】

【0177】
【表10−3】

(実施例7)
【0178】
【化88】

実例1I(200mg、0.461mmol)をTHF(3ml)中に溶解し、NCS(59mg、0.95等量)を加え、この混合物を3時間攪拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をまずフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン/EtOAc 3:1)によって、その後HPLC(C18、MeCN/HO/HCOH 5:95:0.1〜95:5:0.1)によって精製して、55mgの表題の化合物を得た。LCMS:MH=468.1。
【0179】
(実施例8A)
【0180】
【化89】

調製物7A(30mg、0.081mmol)を、N,N−ジメチルアセトアミド(2ml)中に溶解し、シクロプロピルアミン(0.011ml、2等量)を加え、続いてDIPEA(0.028ml、2等量)およびHATU(61mg、2等量)を加えた。この混合物を5時間攪拌し、この時点でTLCは新たな化合物を示した。水を加え、この混合物をEtOAcで抽出し、この抽出物をNaHCO(飽和)、ブライン、NHCl(飽和)、ブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。この混合物を減圧下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO;ヘキサン−EtOAc)によって精製して、30mgの表題の化合物を得た。LCMS:MH=410.2。
【0181】
(実施例8B−8JJJ)
実施例8Aで述べた手順と本質的に同じ手順によって、コラム1内のアミンおよびコラム2内の酸に置き換えて、コラム3内に示す実例が調製された。
【0182】
【表11−1】

【0183】
【表11−2】

【0184】
【表11−3】

【0185】
【表11−4】

【0186】
【表11−5】

【0187】
【表11−6】

【0188】
【表11−7】

【0189】
【表11−8】

【0190】
【表11−9】

【0191】
【表11−10】

【0192】
【表11−11】

【0193】
【表11−12】

【0194】
【表11−13】

【0195】
【表11−14】

【0196】
【表11−15】

(実施例9)
【0197】
【化90】

工程A:
p−アミノ安息香酸(1g、0.0073mol)をDMF(15ml)中に溶解し、メチル−(2−ピリジン−2−イル−エチル)アミン(5ml、5等量)を加え、続いてDIPEA(1.91ml、1.5等量)およびHATU(4.1g、1.5等量)を加えた。3時間の攪拌の後、TLCは出発物質の完全な消費を示した。水を加え、この混合物をCHClで抽出し、有機抽出物をNaHCO(飽和)、NHCl(飽和)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc−EtOAc/MeOH 95:5)によって精製して、1.43gの4−アミノ−N−メチル−N−(2−ピリジン−2−イルエチル)ベンズアミドを得た。
【0198】
工程B:
調製物1B(100mg、0.371mmol)および工程Aの生成物(142mg、1.5等量)をDMF(2ml)中に溶解し、カリウムtert−ブトキシド(91mg、2.2等量)を加え、この混合物を一晩攪拌した。水を加え、この混合物をEtOAcで抽出し、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン−EtOAc)によって精製して、56mgの表題の化合物を得た。LCMS:MH=489.3。
【0199】
(実施例10A−10D)
実施例6Aで述べた手順と本質的に同じ手順によって、コラム1内のアミンおよびコラム2内の塩化物に置き換えて、コラム3内の実例が調製された。全ての例において、EtOHとTHFの1:1の混合物が主要な反応溶媒として使用された。
【0200】
【表12】

(実施例11A)
【0201】
【化91】

調製物7F(10mg、0.029mmol)およびHOBT(5.9mg、1.5等量)をDMF/THF/MeCN(0.5ml/0.2ml/0.3ml)中に溶解した。PS−EDC樹脂(61mg、3等量)を加え、続いて2等量のベンジルアミンを加えた。この混合物を一晩振とうした。ろ過により樹脂を除去し、ろ液をamberlyst A−26樹脂(68mg)で2時間処理した。ろ過によりこの樹脂を除去し、溶液を濃縮して、4.4mgの表題の化合物を得た。LCMS:MH=434.1。
【0202】
(実施例11B−11R)
実施例11Aの手順と本質的に同じ手順を使用して、コラム1内のアミンに置き換えて、コラム2内の化合物が合成された。
【0203】
【表13−1】

【0204】
【表13−2】

【0205】
【表13−3】

【0206】
【表13−4】

【0207】
【表13−5】

【0208】
【表13−6】

(実施例12)
【0209】
【化92】

表題の化合物は、実施例3Aで述べた手順と本質的に同じ手順によって調製された。LCMS:MH=541.3。
【0210】
(実施例13A)
【0211】
【化93】

調製物8C(100mg、0.372mmol)、4−アミノ−N,N−ジメチルベンゼン−スルホンアミド(104.4mg、1.4等量)およびHCl(0.112ml、1.2等量ジオキサン中4.0M)を、EtOH中に溶解し、封をした試験管内で100℃で20時間熱した。室温まで冷却した後、この反応をMeOH(5ml)中の7MのNHでクエンチした。この反応混合物を減圧下で濃縮し、固体残渣を得、MeOHを加え、生じた沈殿物をろ過により収集して、111mgの表題の化合物を得た。LCMS:MH=433.1。
【0212】
(実施例13B)
実施例13Aで述べた手順と本質的に同じ手順によって、コラム1内のアニリンに置き換えて、コラム2内の実例が合成された。
【0213】
【表14】

これらのアデノシンA2a受容体アンタゴニスト活性がゆえに、本発明の化合物は、うつ病、認知機能疾患および神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病におけるような老年痴呆、精神病、注意欠陥障害、EPS、失調症、RLSおよびPLMS)の処置において有用である。特に、本発明の化合物は、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病)による運動障害を改善し得る。
【0214】
式Iの化合物と組み合わせて投与され得る、パーキンソン病の処置において有用であることで公知の他の因子としては:L−DOPA;ドパミン作用アゴニスト(例えば、キンピロール(quinpirole)、ロピニロール、プラミペキソール、ペルゴリドおよびブロモクリプチン);MAO−B阻害剤(例えば、デプレニルおよびセレギリン);DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤(例えば、カルビドパおよびベンセラジド);およびCOMT阻害剤(例えば、トルカポンおよびエンタカポン)が挙げられる。
【0215】
本発明のアデノシンA2aアンタゴニストはまた、EPSを引き起こすことが公知の抗精神病薬、および失調症を引き起こすことで公知の三環系抗うつ薬と一緒に投与され得もする。
【0216】
アデノシンA2a受容体アンタゴニストによって処置されるEPSを引き起こし、そしてアデノシンA2a受容体アンタゴニストとの組み合わせで使用される、抗精神病薬としては、典型的および非典型的な抗精神病性因子が挙げられる。典型的な抗精神病因子としては、ロキサピン、ハロペリドール、クロルプロマジン、プロクロルペラジンおよびチオチキセンが挙げられる。非典型的な抗精神病薬としては、クロザピン、オランザピン、ロキサピン、クエチアピン、ジプラシドンおよびリスペリドンが挙げられる。
【0217】
アデノシンA2a受容体アンタゴニストで処置される失調症を引き起こす三環系抗うつ薬としては、ペルフェナジン、アミトリプチリン、デシプラミン、ドキセピン、トリミプラミンおよびプロトリプチリンが挙げられる。失調症を引き起こし得るが、ERLSもしくはPLMSを処置する際には有用でもある鎮痙薬としては、カルバマゼピンおよびガバペンチンが挙げられる。
【0218】
RLSおよびPLMSを処置する際に有用なドパミンアゴニストとしては、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロール(ropinerole)、フェノルドパムおよびカルベルゴリンが挙げられる。
【0219】
PRLSおよびPLMSを処置する際に有用なオピオイドとしては、コデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、プロポキシフェンおよびトラマドールが挙げられる。
【0220】
PRLSおよびPLMSを処置する際に有用なベンゾジアゼピンとしては、クロナゼパム、トリアゾラムおよびテマゼパムが挙げられる。
【0221】
抗精神病薬、三環系抗うつ薬、鎮痙薬、ドパミンアゴニスト、オピオイドおよびベンゾジアゼピンは、市販されており、文献(例えば、The Physicians’Desk Reference(Montvale:Medical Economics Co.,Inc.、2001))内に記載されている。
【0222】
1〜3個、好ましくは1個の他の因子が、式Iの化合物と組み合わせて使用され得る。
【0223】
2a受容体活性を測定するために、本発明の化合物の薬学的活性は、以下のインビトロおよびインビボアッセイによって決定された。
【0224】
ヒトアデノシンA2aおよびA受容体の競合的結合アッセイのプロトコル
膜の供給源:
2a:ヒトA2aアデノシン受容体の膜、カタログ#RB−HA2a、Receptor Biology,Inc.、Beltsville、MD。膜希釈緩衝液中に17μg/100μlまで希釈する(以下を参照)。
【0225】
アッセイ緩衝液:
膜希釈緩衝液:Dulbeccoのリン酸緩衝化生理食塩水(Gibco/BRL)+10mM MgCl
化合物希釈緩衝液:Dulbeccoのリン酸緩衝化生理食塩水(Gibco/BRL)+1.6mg/mlのメチルセルロースおよび16%DMSOで補完された10mM MgCl。日々新たに調製。
【0226】
リガンド:
2a:[3H]−SCH 58261、注文合成、AmershamPharmacia Biotech、Piscataway、NJ。膜希釈緩衝液中に1nMでストックを調製する。最終アッセイ濃度は0.5nMである。
【0227】
:[3H]−DPCPX、AmershamPharmacia Biotech、Piscataway、NJ。膜希釈緩衝液中に2nMでストックを調製する。最終アッセイ濃度は1nMである。
【0228】
非特異的結合:
2a:非特異的結合を決定するために、100nMのCGS 15923(RBI、Natick、MA)を加える。使用ストックを化合物希釈緩衝液中に400nMで調製する。
【0229】
:非特異的結合を決定するために、100μMのNECA(RBI、Natick、MA)を加える。使用ストックを化合物希釈緩衝液中に400μMで調製する。
【0230】
化合物希釈:
化合物の1mMのストック溶液を100%DMSO中に調製する。化合物希釈緩衝液中に希釈する。3μM〜30pMの範囲の10種の濃度でテストする。4×最終濃度で化合物希釈緩衝液中に使用溶液を調製する。
【0231】
アッセイ手順:
深いウェルの96ウェルプレートでアッセイを行なう。総アッセイ容量は200μlである。50μlの化合物希釈緩衝液(総リガンド結合)もしくは50μlのCGS 15923希釈標準溶液(working solution)(A2a非特異的結合)もしくは50μlのNECA希釈標準溶液(A非特異的結合)もしくは50μlの薬物希釈標準溶液を加える。50μlのリガンドストック(A2aに対して[3H]−SCH 58261、Aに対して[3H]−DPCPX)を加える。適切な受容体を含む100μlの希釈した膜を加える。混合する。室温で90分間インキュベートする。Packard GF/Bフィルタープレート上のBrandelセルハーベスターを使用して収集する。45μlのMicroscint 20(Packard)を加え、Packard TopCount Microscintillation Counterを使用して計数する。反復曲線あてはめプログラム(Excel)を使用して変位曲線をあてはめて、IC50値を決定する。Cheng−Prusoff式を使用してKi値を決定する。
【0232】
ラットにおけるハロペリドール誘発性カタレプシー
175〜200gの体重の雄性Sprague−Dawleyラット(Charles River、Calco、Italy)を使用する。動物を垂直グリッドテスト(vertical grid test)で試験する90分前に、ドパミン受容体アンタゴニストのハロペリドールの皮下投与(1mg/kg、sc)により、カタレプシー状態が誘発される。このテストのために、ベンチテーブルに対して約70度の角度で置かれた25×43のプレキシガラスケージの針金網の蓋上にこのラットを置く。ラットは、全ての4本の足が外転され伸ばされた状態でグリッド上に置く(「カエル型姿勢」)。このような通常でない姿勢を使用することはカタレプシーに関する本テストの特異性にとって必須である。足を配置してから、最初に1本の足を完全に移動するまでの時間の長さ(適当な潜伏時間)が、最大で120秒測定される。
【0233】
動物に評点をつける1時間および4時間前に、評価される選択的A2aアデノシンアンタゴニストを、1mg/kgと10mg/kgとの間の用量範囲で、経口投与する。
【0234】
ラットの中前脳束の6−OHDA損傷
全ての実験において、275〜300gの体重の成体の雄性Sprague−Dowleyラット(Charles River、Calco、Como、Italy)を使用する。このラットを、食物および水は自由に摂取でき、管理された温度下で、12時間の明/暗のサイクルで、ケージ1つ当たり4つのグループで収容する。手術の前日に、水のみを自由にさせ、一晩断食させる。
【0235】
Ungerstedtら、Brian Research、24(1970)、p.485−493、およびUngerstedt、Eur.J.Pharmacol.、5(1968)、p.107−110に記載されている方法にしたがって、多少の変更とともに、中前脳束の片側性6−ヒドロキシドパミン(6−OHDA)損傷を行なう。簡便に述べると、この動物を抱水クローラル(400mg/kg、ip)で麻酔し、ノルアドレナリン作用末端による毒素の取り込みを遮断するために、6−OHDA注入の30分前にデシプラミン(10mpk、ip)で処置する。その後、この動物を定位枠に置く。頭蓋上の皮をむき、Pellegrinoらの図解書(Pellegrino L.J.、Pellegrino A.S.およびCushman A.J.、A Stereotaxic Atlas of the Rat Brain、1979、New York:Plenum Press)にしたがって、定位の位置(ブレグマより−2.2後方(AP)、ブレグマより+1.5外側(ML)、硬膜より7.8前方(DV))を取る。その後、バーホールを頭蓋内の損傷部分上に開け、Hamilton注射器に取り付けた針をMFBの左側に降ろす。その後、8μgの6−OHDA−HClを4μlの生理食塩水中に0.05%のアスコルビン酸を抗酸化剤として一緒に溶解し、注入ポンプを使用して1μl/1分の一定の流動速度で注入する。さらに5分経った後、この針をはずし、手術創傷を閉じ、この動物を回復するまで2週間放置する。
【0236】
損傷の2週間後、このラットに、L−DOPA(50mg/kg、ip)+ベンセラジド(25mg/kg、ip)を投与し、自動ロータメーターによって2時間のテスト時間中に測定される完全な反対側への回転数を基に選択する(プライミングテスト)。2時間中に少なくとも200回の完全回転をみせないラットは、本研究には含まれない。
【0237】
選択されたラットに、プライミングテストの3日後に試験薬物を与える(最大ドパミン受容体過敏性)。閾値下の用量のL−DOPA(4mpk、ip)+ベンセラジド(4mpk、ip)の注入および回転挙動の評価の前の異なる時点(すなわち、1時間、6時間、12時間)に、新たなA2a受容体アンタゴニストを、0.1mg/kgと3mg/kgとの間の範囲の用量レベルで、経口投与する。
【0238】
上記のテスト手順を使用して、本発明の好ましい、かつ/もしくは代表的な化合物に関する以下の結果が得られた。
【0239】
本発明の化合物に関する結合アッセイの結果は、約0.1nM〜約1800nMのA2aのKi値を示し、好ましい化合物は0.1nMと100nMとの間のKi値を示した。
【0240】
選択性は、A1受容体のKiをA2a受容体のKiで除算することによって決定される。本発明の化合物は、約1〜約1600の範囲の選択性を有する。好ましいのは、この選択性が>100である化合物である。
【0241】
好ましい化合物は、ラットの抗カタレプシー活性に関してテストした際に、適当な潜伏時間の約20〜40%減少を示した。
【0242】
1〜3個、好ましくは1個の式Iの化合物が本発明の方法で投与され得る。
【0243】
本発明によって記載されている化合物から薬学的組成物を調製するための、不活性の薬学的に受容可能なキャリアは、固体もしくは液体のいずれかであり得る。固体形態の調製物としては、粉末、錠剤、分散可能な顆粒、カプセル、カシェ剤および坐剤が挙げられる。粉末および錠剤は、約5〜約70%の活性成分からなり得る。適切な固体キャリアは、当該分野で公知である(例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース)。錠剤、粉末、カシェ剤およびカプセルは、経口投与に適した固体の投薬形態として使用され得る。
【0244】
坐剤の調製のためには、低い融点のろう(例えば、脂肪酸グリセリドもしくはカカオ脂の混合物)をまず融解し、そこへ攪拌によって活性成分を均一に分散する。次に、溶解した均一な混合物を手ごろなサイズの型に流し込み、冷却し、それによって凝固させる。
【0245】
液体形態の調製物としては、溶液、懸濁液、エマルジョンが挙げられる。例としては、非経口の注射のための水または水−プロピレングリコール溶液が挙げられ得る。
【0246】
液体形態の調製物としては、鼻腔内投与のための液体もまた挙げられ得る。
【0247】
吸入に適したエアロゾルの調製物としては、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、圧縮不活性ガス)と組み合わせられ得る溶液および粉末状の固体が挙げられ得る。
【0248】
また、経口もしくは非経口いずれかの投与のために使用直前に液体形態の調製物に変換されることが意図された固体形態の調製物も挙げられる。このような液体形態としては、溶液、懸濁液、およびエマルジョンが挙げられる。
【0249】
本発明の化合物はまた、経皮的にも送達され得る。この経皮的な組成物は、クリーム、ローション、エアロゾル、および/もしくはエマルジョンの形態をとり得、この目的のために当該分野で慣習的であるように、マトリックスもしくは貯蔵タイプの経皮パッチにふくまれ得る。
【0250】
好ましくは、この化合物は経口投与される。
【0251】
好ましくは、この薬学的調製物は、単位投薬形態である。このような形態では、この調製物は、適切な量の活性成分をふくむ用量単位(例えば、望ましい目的に達するための有効な量)に細分される。
【0252】
調製物の用量単位の式Iの活性化合物の量は、具体的な用途に従って、変わり得るか、もしくは約0.1mg〜1000mgに調整され得、さらに好ましくは約1mg〜300mgに調整され得る。
【0253】
実際に使用される用量は、患者の条件および処置される状態の重症度に依存して変わり得る。個々の状態に対する適切な用量の決定は、当該分野の範囲内である。一般的に、処置は、この化合物の最適用量よりも少ない少量の用量から開始する。その後、この投薬は、この状況下で最適な効果に達するまで小さい増分で増加する。便宜上、1日の総日用量は細分され得、所望される場合は、1日の間に部分的に投与され得る。
【0254】
本発明の化合物および薬学的に受容可能なその塩の投与の量および頻度は、患者の年齢、状態、および大きさ、ならびに処置される症状の重症度といった要素を考慮して、主治医の判断に従って調節される。一般的に推奨される式Iの化合物の投薬レジメンは、中枢神経系疾患(例えば、パーキンソン病もしくは他の疾患)もしくは上記に記載した状態の軽減を提供するための、2〜4分割した用量での1日に10mg〜2000mg、好ましくは1日に10mg〜1000mgの経口投与である。
【0255】
パーキンソン病の処置において使用される他の因子の用量および投薬レジメンは、承認された用量およびパッケージ内に挿入されている投薬レジメンを考慮し、患者の年齢、性別および状態ならびにその疾患の重症度を考慮して、主治医によって決定される。式Iの化合物と、パーキンソン病、EPS、失調症、RLSもしくはPLMSを処置するのに有用な他の因子との組み合わせが投与される際、単一療法として投与される成分の用量とくらべてより低い用量の成分が有効であることが予想される。組み合わせて投与された際、式Iの化合物およびパーキンソン病、EPS、失調症、RLSもしくはPLMSを処置するためのその他の因子は、同時にもしくは逐次的に投与され得る。これは、組み合わせの成分が異なる服用スケジュール(例えば、一方の成分は毎日投与され、他方の成分は6時間ごとに投与される)で好ましく与えられる場合に、もしくは好ましい薬学的組成物が異なる(例えば、一方は好ましくは錠剤であり、一方はカプセルである)場合に、特に有用である。ゆえに、別の投薬形態を含むキットが有利である。
【0256】
本発明は、上記の特定の実施形態と関連して記載されているが、それらの多数の代案、改変、および変更が当業者にとって明白となる。全てのこういった代案、改変、および変更は、本発明の意図および範囲内であることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I
【化1】

で表される組成物、もしくは薬学的に受容可能なその塩であって、ここで:
Aは、アルキレン、R16−アリーレン、R16−シクロアルキレンもしくはR16−ヘテロアリールジイルであり;
Xは、−C(O)−もしくは−S(O)−であり;
は、アルキルもしくはシクロアルキルであり;
は、水素、ハロもしくは−CNであり;
は、水素もしくはアルキルであり;
は、水素、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、−アルキル−NR1415、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルで置換されたヘテロシクロアルキル、R−アリールアルキルもしくはR−ヘテロアリールアルキルであるか;
またはRおよびRは、該RおよびRが結合している窒素と一緒になって、5〜7員の環を形成し、該環は−O−、−S−および−N(R17)−からなる群から選択されるさらなるヘテロ原子環員を必要に応じて含み、該環はアルキル、ヒドロキシアルキル、R−アリールアルキル、R−ヘテロアリールアルキル、−N(R)−C(O)アルキル、−CO−アルキル、−C(O)NR1011もしくはヘテロシクロアルキルによって必要に応じて置換されるか;
またはRおよびRは、該RおよびRが結合している窒素と一緒になって、基
【化2】

を形成し;
は、アルキル、R12−フェニル、R12−ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロ、モルホリニル、
【化3】

であり;
nは、1もしくは2であり;
は、水素、アルキル、ハロ、アルコキシ、−COH、−CO−アルキル、−CF、−CN、−CONR1415、−SO−アルキル、−SONR1415および−NR1415からなる群から独立して選択された1〜3個の置換基であり;
は、水素またはアルキルであり;
10およびR11は、アルキルおよびシクロアルキルからなる群から独立して選択されるか;またはR10およびR11はC−Cアルキレン鎖を形成し、該R10およびR11が結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員の環を形成し;
12は、水素、アルキル、ハロ、アルコキシ、−COH、−CO−アルキル、−CF、−CN、−CONR1415、−SO−アルキル、−SONR1415および−NR1415からなる群から独立して選択された1〜3個の置換基であり;
13は、H、OH、ヒドロキシアルキルもしくはアルキルであり;
14およびR15は、水素、アルキルおよびシクロアルキルからなる群から独立して選択され;
16は、水素、アルキル、ハロ、OHおよびアルコキシからなる群から独立して選択された1〜3個の置換基であり;そして
17は、水素、アルキル、シクロアルキルもしくはR−アリールアルキルである、化合物もしくは薬学的に受容可能なその塩。
【請求項2】
がメチルもしくはシクロプロピルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
AがR16−アリーレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Aがフェニレンである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
がR12−フェニル、ピリジルもしくは
【化4】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】

【化5】

である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Xが−S(O)−であり、Rが2−ピリジルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Xが−C(O)−であり、Rが2−ピリジル、3−ピリジルもしくは4−ピリジルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Xが−S(O)−であり、Rがメチルであり、RがCN、ClもしくはBrである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Xが−S(O)−であり、Rがシクロプロピルであり、RがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Xが−S(O)−であり、−NR
【化6】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
Xが−C(O)−であり、−NR
【化7】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
Xが−S(O)−であり、Aがフェニレンであり、Rがメチルであり、RがBrであり、Rがフェニルもしくは
【化8】

であり、−NR
【化9】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
Xが−C(O)−であり、Aがフェニレンであり、Rがシクロプロピルであり、Rが水素であり、Rがフェニルもしくは
【化10】

であり、−NR
【化11】

もしくは
【化12】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
Xが−C(O)−であり、Aがフェニレンであり、Rがメチルであり、Rが水素であり、Rがフェニルもしくは
【化13】

であり、−NR
【化14】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
【化15】

【化16】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を薬学的に受容可能なキャリア内に含む、薬学的組成物。
【請求項18】
中枢神経系疾患もしくは発作を処置する方法であって、該方法は有効な量の式Iの化合物を、このような処置の必要な哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
【請求項19】
うつ病、認知疾患もしくは神経変性疾患を処置するための、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
パーキンソン病、老年痴呆、精神病、注意欠陥障害、錐体外路性障害、失調症、不穏下肢症候群もしくは睡眠中の周期性四肢運動を処置するための、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
治療上有効な量の請求項1に記載の化合物と、パーキンソン病を処置する際に有用な1〜3個の他の因子との組み合わせを薬学的に受容可能なキャリア内に含む、薬学的組成物。
【請求項22】
パーキンソン病を処置する方法であって、該方法は、このような処置の必要な哺乳動物に、治療上有効な量の請求項1に記載の化合物とパーキンソン病を処置する際に有用な1〜3種の他の因子との組み合わせを投与する工程を包含する、方法。
【請求項23】
前記他の因子が、L−DOPA、ドパミンアゴニスト、MAO−B阻害剤、DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤およびCOMT阻害剤からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
キットであって、該キットはパーキンソン病を処置するために組み合わせて使用するための薬学的組成物を単一のパッケージ内の別々の容器内に含み、ここで、1つの容器は、有効な量の式Iの化合物を薬学的に受容可能なキャリア内に含む薬学的組成物を含み、そして別の容器は、それぞれがパーキンソン病の処置に有用な有効な量の因子を薬学的に受容可能なキャリア内に含む1つ以上の薬学的組成物を含む、キット。

【公表番号】特表2008−524330(P2008−524330A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548334(P2007−548334)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/045658
【国際公開番号】WO2006/068954
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】