説明

ピリジルジアミド遷移金属錯体及びその合成と用途

ピリジルジアミド遷移金属錯体がアルケンの重合反応での使用について開示されている。この配位子は、NNNの配置による3座配位子である。一般式は式(I)であり、
Mは第3,4,5,6,7,8,9,10,11又は12族の金属であり、他の可変部は請求項で規定されているとおりである。

【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
本出願は、2008年7月25日に出願のUSSN 12/180,132及び2008年10月15日出願のEP08166619.0に基づく優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ピリジルジアミド遷移金属錯体と中間体及び、特にこのピリジルジアミド錯体を合成する際に特に(これに限定される訳ではない)使用する方法に関する。この遷移金属錯体はアルケンの重合方法の触媒として使用されても良い。
【背景技術】
【0003】
ピリジルアミンは、アルケンの重合反応で使用される有用な遷移金属成分である第4族の錯体を合成するため使用されてきた。例えば、US2002/0142912、US6,900,321、及びUS6,103,657を参照されたい。これらの文献では、この配位子が遷移金属原子に2配位で配位している錯体で使用された。
【0004】
WO2005/095469は、2個の窒素原子(1個はアミド、1個はピリジル)と酸素原子による3座配位子を使用する触媒化合物を示している。
【0005】
US2004/0220050A1とWO2007/067965は、配位子が2個の窒素(1個はアミド、1個はピリジル)と1個の炭素(アリールアニオン)ドナーにより3配位している錯体を開示している。
【0006】
これらの錯体の活性化の重要段階は、触媒前駆体の金属-アリール結合へアルケンが挿入して(Froese, R.D. Jら、J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 7831-7840)5員環と7員環の両キレート環を有する活性な触媒を形成することである。
【0007】
合成される触媒錯体の範囲を広げ、アルケンの重合においてそれらの性能を広げるため、合成ルートを増やすことが依然、求められている。一般的な重合条件下で触媒量当たりに製造されるポリマーの量(一般的に「活性」といわれる)、所定温度で達成される分子量及び分子量分布、立体規則性の点からの高級アルファ-オレフィンの配列に関し、その性能は変わりうる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、3座のNNN配位子を有する新規な遷移金属錯体に関する。後に述べるように、本配位子は中性の配位子前駆体から合成されても良く、又は、錯体中で単離されずに合成されても良い。本発明はまた、一般式(I)を有するピリジルジアミド遷移金属錯体にも関する。

【化1】

ここで、Mは、第3,4,5,6,7,8,9,10,11または12族の金属であり、
Zは、-(R14)pC-C(R15)q-であり、
R14とR15は水素、ヒドロカルビル(好ましくは、アルキル)及び置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、隣接するR14とR15基は結合して芳香族又は、飽和した、置換又は非置換ヒドロカルビル環を形成し、ここで環は5,6,7,8個の環の炭素原子を有し、この環上の置換基は結合して追加の環を形成することが出来、
pは1又は2であり、qは、1又は2である。
R1とR11はヒドロカルビル(例えば、アルキル、アリール)、置換ヒドロカルビル(例えば、ヘテロアリール)及びシリル基からなる群から独立して選択される。R2とR10は、それぞれ、独立して-E(R12)(R13)-であり、Eは炭素、ケイ素またはゲルマニウムであり、各R12とR13は独立して水素、ヒドロカルビル(例.アルキルとアリール)、置換ヒドロカルビル(例.ヘテロアリール)、アルコキシ、シリル、アリーロキシ、ハロゲン及びホスフィノからなる群から独立して選択され、R12とR13は、結合して飽和の、置換された又は非置換のヒドロカルビル環を形成し、この環は4,5,6,7個の環の炭素原子を有し、この環の置換基は結合して追加の環を形成することが出来、又はR12とR13は結合して飽和のヘテロ環、又は飽和の置換ヘテロ環を形成しても良く、この環の置換基は結合して追加の環を形成することができる。
R3、 R4、R5は、独立して水素、ヒドロカルビル(例.アルキル及びアリール)、置換ヒドロカルビル(例.ヘテロアリール)、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン、アミノ及びシリルからなる群から独立して選択される。隣接するR基(R3とR4、及び/又はR4とR5)は結合して置換された又は非置換のヒドロカルビル又はヘテロ環を形成しても良く、この環は5、6、7、または8個の環の原子を有し、この環の置換基が結合して追加の環を形成することができる。
Lはアニオン性の脱離基であり、L基は同一又は異なっても良く、いずれの2個のL基も結合してジアニオン性の脱離基を形成しても良い。
nは0、1、2、3又は4であり、
L’は、中性のルイス塩基であり、そして
wは0、1、2、3または4である。
【0009】
本発明は、さらに、上記の錯体を合成する方法、上記の錯体の中間体を合成する方法、上記の錯体を使用してオレフィンを重合する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、単結晶のX線回折により決定された本発明の遷移金属錯体C3の分子構造の図であり、50%サーマルエリプソイド(50% thermal ellipsoid)により描画されている。共に結晶化されたエーテル分子と水素は、図を明瞭にするため省いている。
【図2】図2は単結晶のX線回折により決定された本発明の遷移金属錯体C7の分子構造の図であり、30%サーマルエリプソイドにより描画されている。共に結晶化されたヘキサン分子と水素原子は、図を明瞭にするため省いている。詳細な説明
【0011】
本明細書は遷移金属錯体について述べている。用語、錯体は、補助配位子が中心の遷移金属原子に配位する分子を述べるときに使用される。この配位子は嵩が大きく遷移金属に安定に結合し、その結果、触媒の使用時、例えば重合反応でその影響を保持する。この配位子は共有結合及び/又は電子供与による配位又は中間的な結合により遷移金属に配位しても良い。遷移金属錯体は、遷移金属からのアニオン性基(脱離基と呼ばれることが多い)を除く結果、カチオンを生じると考えられている活性化剤を用いて、一般的に活性化されて重合又はオリゴマー化を行う。
【0012】
本明細書で使用する場合、周期律表の番号はChemical and Engineering News, 63(5),27(1985)に記載されている新しい表記による。
【0013】
本明細書で使用する場合、Meはメチル、Etはエチル、t-BuとtBuは3級ブチル、iPrとiPrは、イソプロピル、Cyはシクロヘキシル、THF(thfとも呼ばれる)はテトラヒドロフラン、Bnはベンジル、及びPhはフェニルである。
【0014】
用語「置換された」は水素がヘテロ原子又はヒドロカルビル基により置き換えられたことをいう。例えばメチル-シクロペンタジエンはメチル基により置換されている。
【0015】
用語「ヒドロカルビル基(ラジカル)」、「ヒドロカルビル」と「ヒドロカルビル基」は、本文書全体で相互に交換して使用される。同様に、用語「基」、「基(ラジカル)」及び「置換基」も、本文書では相互に交換して使用される。本文書では、「ヒドロカルビル基」はC1-C100基で、線状、分岐鎖又は環状でも良く、環状の場合、芳香族又は非芳香族でも良い。
【0016】
置換ヒドロカルビル基はヒドロカルビル基の1個以上の水素が1個以上の官能基、例えばNR2,、OR、SeR、TeR、PR2、AsR2、SbR2、SR、BR、SiR、GeR、SnR、PbR等により置換された基、または1個以上のヘテロ原子がヒドロカルビル環に挿入された基である。
【0017】
用語「触媒系」は、錯体/活性化剤の対をいうと定義される。「触媒系」が活性化前のそのような対をいうために用いられる場合、これは、活性化剤及び、任意に共活性化剤を伴う活性化されていない触媒錯体(前触媒)をいう。これが、活性化後のそのような対をいうために用いられるときは、これは活性化された錯体と、活性化剤または他の電荷平衡化部分を意味する。遷移金属化合物は前触媒の場合のように、中性であっても良く、または活性化された触媒系におけるように対イオンを伴う荷電した種でもよい。
【0018】
錯体は、本明細書で使用される場合、触媒前駆体、前触媒、触媒、触媒化合物、遷移金属化合物または遷移金属錯体と呼ばれることが多い。これらの語は相互に交換して使用される。活性化剤と共触媒(cocatalyst)はまた相互に交換して使用される。
【0019】
スカベンジャーは不純物を掃去することにより重合を促進するため、普通、加えられる。スカベンジャーの中には活性化剤としても作用するものもあり、共活性化剤と呼ばれてもよい。共活性化剤は、スカベンジャーではないが、活性化した触媒を形成するために活性化剤と併せて使用されてもよい。いくつかの実施態様では、共活性化剤は、遷移金属化合物とあらかじめ混合され、アルキル化された遷移金属化合物を形成することができる。
【0020】
非配位性アニオン(NCA)は、触媒金属カチオンに配位しないか、または金属カチオンに配位するが、弱く配位するに過ぎないアニオンをいうと定義される。この用語、NCAはまた、酸性のカチオン性基と非配位性アニオンを含む、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのような、複数成分からなるNCA-含有活性化剤を含むと定義される。この用語、NCAはまた、触媒と反応し、アニオン性の基を引き抜くことにより活性化された種を形成する、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のような、中性のルイス酸を含むと定義される。NCAは、中性のルイス塩基、例えば、オレフィン性またはアセチレン性の不飽和モノマー、が触媒中心からNCAと置き換わることができるほど弱く配位する。適合性の、弱く配位する錯体を形成できるいずれの金属または半金属も、非配位性アニオンで使用できまたは含まれうる。適した金属は、アルミニウム、金、及び白金を含むがこれらに限定されない。適した半金属はホウ素、アルミニウム、リン、及びケイ素を含むがこれらに限定されない。化学量論量の活性化剤は中性またはイオン性でありえる。用語、イオン性活性化剤と化学量論的活性化剤は相互に交換して使用できる。同様に、用語、中性の化学両論的活性化剤、とルイス酸活性化剤は相互に交換して使用できる。用語、非配位性アニオンは中性の化学量論的活性化剤、イオン性化学量論的活性化剤、イオン性活性化剤、及びルイス酸活性化剤を含む。
【0021】
ポリマーまたはオリゴマーが、オレフィンを含むという場合、ポリマーまたはオリゴマー中にあるオレフィンは、オレフィンの重合またはオリゴマー化された形態である。オリゴマーは2-50個のモノマー単位をもつ組成物であると定義される。ポリマーは51個以上のモノマー単位を持つ組成物であると定義される。
高級α-オレフィンは4個以上の炭素原子をもつα-オレフィンであると定義される。
別に記載がある場合を除き、全ての分子量の単位(例.Mw、Mn、Mz)は、g/molである。
別に記載がある場合を除き、全ての融点(Tm)はDSCの第2融点である。
「環の炭素原子」は、環状構造の一部である炭素原子である。この定義により、ベンジル基は6個の環の炭素原子を有し、パラ-メチルスチレンも6個の環の炭素原子を有する。
【0022】
用語「アリール」または「アリール基」は、6炭素の芳香族環とその置換を受けた誘導体をいい、フェニル、2-メチル-フェニル、キシリル、4-ブロモ-キシリルを含むがこれらに限定されない。同様に、ヘテロアリールは1個の環の炭素原子(または2個または3個の環の炭素原子)がヘテロ原子、好ましくは、N、OまたはSで置換されたアリール基をいう。
【0023】
用語「環の原子」は、環構造の一部である原子をいう。この定義により、ベンジル基は、6個の環の原子を有し、テトラヒドロフランは5個の環の原子を有する。
【0024】
ヘテロ環は、環の水素原子がヘテロ原子で置き換えられたヘテロ原子で置換された環ではなく、環構造中にヘテロ原子を有する環である。例えば、テトラヒドロフランは、ヘテロ環であり、4-N,N-ジメチルアミノ-フェニルはヘテロ原子で置換された環である。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「芳香族化合物」は、芳香族性のヘテロ環配位子と類似の性質と構造(ほぼ平面)をもつが、定義によれば芳香族ではない、ヘテロ環の置換基である擬芳香族ヘテロ環もさす。同様に、用語、芳香族性は、また置換された芳香族化合物もさす。
【0026】
用語「連続的な」は、中断又は停止せずに稼動するシステムをいう。例えば、ポリマーを製造する連続的方法は、反応物が連続的に一以上の反応装置に導入され、ポリマー製品が連続的に取り出される方法である。
【0027】
溶液重合はポリマーが、例えば、不活性な溶媒又はモノマー又はそれらの混合物のような液体の重合媒体に溶解される重合方法をいう。溶液重合は通常は均一である。均一重合は重合製品が重合媒体に溶解されている重合を言う。そのような系は、J. Vladimir Oliveira, C. Dariva and J. C. Pintoの Ind. Eng, Chem. Res. 29,2000,4627が述べているように、濁っていないことが好ましい。
【0028】
バルク重合は、溶媒又は稀釈剤として溶媒を殆ど又は全く使わず、重合されているモノマーと/またはコモノマーが溶媒又は希釈剤として使用される重合方法を言う。少量の不活性な溶媒が触媒とスカベンジャーの担体として使用されても良い。バルク重合系は、25重量%の不活性な溶媒または稀釈剤、好ましくは、10重量%未満、好ましくは1重量%未満、好ましくは0重量%未満の不活性な溶媒または稀釈剤を含む。
【0029】
本発明の第一の面では、一般式(I)をもつピリジルジアミド遷移金属錯体(任意に、アルケンの重合に使用される)が提供される。
【化2】

Mは、第3,4,5,6,7,8,9,10,11または12族金属(好ましくは、第4族金属、好ましくはTi、ZrまたはHf)である。
Zは-(R14)pC-C(R15)q- であり、
R14とR15は水素、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビル(好ましくは水素とアルキル)からなる群から独立して選択され、隣接するR14とR15基は結合して芳香族または飽和の置換又は非置換ヒドロカルビル環を形成しても良く、この環は5,6,7または8個の環の炭素を有し、かつ、この環の置換基は結合して追加の環を形成でき、
pは1または2、そして
qは1または2である。
R1とR11はヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、及びシリル基(好ましくは、アルキル、アリール、及びシリル基)からなる群から独立して選択される。
R2とR10は、それぞれ、独立して-E(R12)(R13)-であり、Eは炭素、ケイ素、又はゲルマニウムであり、また、各R12とR13は水素、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビル、アルコキシ、シリル、アミノ、アリーロキシ、ハロゲン及びホスフィノ(好ましくは、水素、アルキル、アリール、アルコキシ、シリル、アミノ、アリーロキシ、ヘテロアリール、ハロゲン及びホスフィノ)からなる群から独立して選択され、R12とR13は結合して飽和の、置換又は非置換ヒドロカルビル環を形成しても良く、この環は4、5、6又は7個の環の炭素原子をもち、この環の置換基は結合して追加の環を形成でき、又はR12とR13は結合して飽和のヘテロ環又は飽和置換へテロ環を形成しても良く、この環の置換基は結合して追加の環を形成できる。
R3、R4及びR5は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン、アミノ及びシリル(好ましくは、水素、アルキル、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン、アミノ、シリル及びアリール)からなる群から独立して選択され、隣接するR基(R3とR4、及び/又はR4とR5)は結合して、置換又は非置換のヒドロカルビル又はヘテロ環を形成しても良く、ここでこの環は5,6,7又は8個の環の原子をもち、この環の置換基は結合して追加の環を形成できる。
Lはアニオン性の脱離基であり、ここでLは同一でも異なっても良く、いずれの2個のL基も結合してジアニオン性の脱離基を形成しても良い。
nは0、1、2、3または4であり、
L’は中性のルイス塩基であり、そして
wは0、1、2、3または4である。
【0030】
好ましくは、上記のR基とこの後に述べる他のR基は、30までの、好ましくは30以下の炭素原子を含み、特に2から20個の炭素原子を含む。
【0031】
好ましくは、MはTi、Zr、またはHfであり、及び/又はZはアリール基であって、フェニル環の隣接する炭素で本錯体の他の部分とNR11を結んでいる。また、Eは炭素であり、Zr又はHfによる錯体が特に好ましい。Zはアリールでも良く、この場合、2個の隣接する炭素原子-C-C-はアリール環の一部である。
【0032】
好ましい実施態様では、本発明の錯体は一般式IVのものであり、
【化3】

ここで、R6、R7、R8及びR9は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ及びシリルからなる群から独立して選択され、また隣接するR基(R6とR7、及び/又はR7とR8、及び/又はR8とR9)は、結合して飽和の置換又は非置換のヒドロカルビルまたはヘテロ環を形成しても良く、ここでこの環は5、6、7、8個の環の炭素原子を有し、この環の置換基は結合して追加の環を形成できる。またM、L、L’、w、n、R1、R2、R3、R4、R5、R10及びR11は先に述べたとおりである。
【0033】
好ましい実施態様では、R1とR11は、F、Cl、Br、I、CF3、NO2、アルコキシ、ジアルキルアミノ、アリール及び1から10個の炭素をもつアルキル基を含む2から5個の置換基で種々に置換されたフェニル基群から独立して選択されても良い。
【0034】
好ましい実施態様では、Lはハライド、アルキル、アリール、アルコシキ、アミド、ヒドリド、フェノキシ、ヒドロキシ、シリル、アリル、アルケニル及びアルキニルから選択されても良い。脱離基の選択は、錯体を得るために選択された合成経路に依存し、また、重合反応で後の活性化方法に適するようになるための追加の反応により変えられても良い。例えば、アルキルはN,N-ジメチルアニリニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)-ボレートのような非配位性アニオン又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを用いるときに好ましい。別の実施態様では、2個のL基は結合してジアニオン性の脱離基、例えば、蓚酸イオンを形成しても良い。
【0035】
別の実施態様では、各L’はエーテル、チオエーテル、アミン、ニトリル、イミン、ピリジン及びホスフィンからなる群から独立して選択され、好ましくはエーテルである。
【0036】
本明細書に述べられた錯体は異なる合成経路(全ては三座に配位したピリジルジアミド配位子をもつ錯体を生成する)を経て合成されても良い。ピリジルジアミド遷移金属錯体の構造の例は以下に図1に示されている。
【化4】

【0037】
本発明の第2の面では、上記に示すような第1の面の錯体を合成する種々の方法が提供される。これらの方法のいくつかは、それのみで新規である中間体を使用しても良く、本発明の別の面を形成しても良い。
【0038】
第1の合成法は別に合成された中間体、ピリジルアミド金属錯体のオルト位がメタル化されたアリール基の金属-炭素結合へイミンを形式上挿入することによる。このイミンの挿入により、金属-アミド結合は金属-炭素結合を置き換えることになる。従って、配位子が2個の窒素と1個の炭素供与体により金属に配位された元の金属-配位子錯体(NCC配位子と錯体と呼ばれる)は根本的に変形され、その結果、それは今や3個の窒素原子ドナーで配位する(N、N、N配位子と錯体と呼ばれる)ことになる。炭素-窒素二重結合を含む化合物、例えばイミン、R11N=C(R12)(R13)が金属-アリール結合に挿入され、5員環と7員環のキレート環をもつNNN錯体を形成する。R11、R12とR13は上記のように定義される。中間体ピリジルアミド金属(NNC)錯体はそれ自体触媒的重合活性を有し得る。本発明はこのような中間体の錯体が修飾を受け触媒構造と重合性能の点で新しい可能性に至る性能を与えるものである。
【0039】
例えば、先の図1に示されたNNN錯体C5は「三座N-N-C配位子をもつInt-5の合成」として実施例で述べられた方法でInt-5と呼ばれるHf-含有NNC中間体錯体から始めて合成されても良い。Int-5は米国特許第6,900,321号に開示されたいくつかの錯体の類縁である。
【0040】
NNC中間体ではなく、ピリジルジアミン又はそのアルカリ金属又はアルカリ土類金属誘導体を使用する図1に示されたタイプの錯体を合成する、他のもっと一般的な経路も使用して良い。本発明は、三座NNN配位子を得るため、イミン、カルボジイミド、イソシアネート、イオチオシアネートまたは炭素-窒素二重結合を含む他の反応原料を使用しても良い。三座ピリジルジアミドドナー配位子を与えるイミンの使用は特に興味深い。下の式Vは、NNC錯体と炭素-窒素二重結合をもつ反応原料からNNN錯体を形成する一般的な例を示している。
【化5】

ここで、M、L、L’、w、n、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR11は先に定義したとおりである。
【0041】
第2の合成的アプローチは、適した新規な中性のNNN補助配位子前駆体を合成し、これが次に三座のNNNによる方法で錯体の遷移金属と配位できることである。この経路は中間体としてNNC錯体を使用しない点で最初の合成アプローチと異なっている。このアプローチの一つの選択肢は、中性のピリジルジアミンを適した金属-アミド又は金属-有機分子試薬と反応させることである。本アプローチの別の選択肢では、ピリジルジアミンは、有機-リチウム又は有機-マグネシウム試薬を使用して脱プロトン化され得、次に、このピリジルジアミド種が金属ハロゲン化物と反応できることである。最初の選択肢の一例は「三座N-N-N配位子をもつC7の合成」の表題の実施例に見られる。この具体例はピリジルジアミンL4と金属アミドZr(NMe2)4の反応がNNN錯体C7を形成することを述べている。
【0042】
第2の合成的アプローチで使用する中性のNNN配位子の合成は確立した合成的有機化学の方法といくつかの新規な中間体を用いて種々のやり方で行うことができる。アミンが同一の置換を受けている(つまり、R基はスキーム1の化合物Eにおいて同一である)ピリジルジアミン配位子前駆体を合成するために使用され得る一の一般的合成経路はスキーム1の上の方に示されている。第1段階では、市販の(Sigma-Aldrich)のホウ酸AがアルデヒドCを得るためにSuzuki-タイプ条件でBとカップリングされる。典型的な反応条件は1当量のホウ酸A、0.8から1.2当量の化合物B、1.0から1.4当量のNa2CO3、0.001から0.05当量の適した触媒、例えばPd(PPh3)4、及びほぼ等容量のトルエンと4:1水:メタノールからなる溶媒の二相性の混合物を使用する。
【0043】
このジアルデヒドは他の合成で中間体として使用され得る新規化合物である。このように、本発明は配位子前駆体を合成する新規化合物も与える。このジアルデヒドは一般式
【化6】

を有し、R3からR9は先に定義されたとおりである。
【0044】
このジアルデヒドCは、スキーム1が示すように酸触媒の存在下でアリール又はアルキルアミンと反応しジイミンDを形成できる。化合物Dは次に、種々のヒドリド源により還元されてピリジルジアミンEを形成する。使用できる典型的な反応条件は、以下のようである。1モル当量のジアルデヒドCは2.0当量のアミン、0.00から0.05当量の酸触媒、例えばp-トルエンスルホン酸1水和物(Sigma-Aldrich)、トルエン又はベンゼン溶媒と混合され、出発物質のジアルデヒドが0.05乃至1.0Mである混合物を生成する。この混合物は、生成した水を共沸蒸留により除去するためのDean-Starkトラップを備えて還流するまで加熱される。2から48時間後、揮発物の除去によりジイミンDが得られる。このジイミンDは0.3から1.4モル当量のLiALH4とジエチルエーテルやテトラヒドロフランのようなエーテル溶媒中で0.1から1.0MのDの溶液を反応させてジアミンEに還元できる。また、LiALH4の替わりにアルコール中のNaBH4又は他の水素化ホウ素還元剤を使用しても良い。
【0045】
中性NNN配位子の第2の一般的合成経路はスキーム1の下側に示されている。この一般的合成経路はRがR”と等しくない場合のスキーム1の化合物Mのような非対称の置換ピリジルジアミンを合成するために使用できる点で特に広い用途がある。合成はアルデヒドBとアルキル又はアリールアミンの反応によるイミンFの形成から始めても良い。典型的には1モル当量のアルデヒドBは、トルエン又はベンゼン中で1当量のアミンと混合され、アルデヒドBが0.05から1.0Mである溶液を形成する。次に0.001から0.05モル当量の酸触媒、例えばp-トルエンスルホン酸1水和物が加えられ、この混合物は、生成する水を除去するためのDean-Starkトラップを備えて、還流するまで加熱される。生成物Fは次に、有機-リチウム又はグリニア試薬と反応してアミンGを生成できる。または、化合物Fはヒドリド源、例えばLiAlH4と反応してG’に還元されうる。化合物Gは、次にさきに述べた条件と同一のSuzuki反応条件を用いてホウ酸Aとカップリングし化合物Kを与えることが出来る。
【0046】
非対称に置換された配位子前駆体を合成するため使用される中間体はその後にアミノ化を受ける化合物を使用しても良い。従って本発明は、また以下のような新規化合物IXを与える。
【化7】

ここで、R1、R2とR3からR9は先のように定義される。
【0047】
アルデヒドKは次に、1級アミンと反応してイミンJを生成できる。この反応条件は化合物Fの生成について先に述べたものと同一である。化合物Jは、ジエチルエーテル又はテトラヒドロフランのような、エーテル系溶媒中で0.1から1.0MのD溶液を0.3から1.4モル当量のLiAlH4と反応することによりジアミンLへ還元できる。または、アルコール中のNaBH4または他の水素化ホウ素還元剤をLiAlH4の代わりに使用できる。
【0048】
補助配位子の前駆体を合成するさきに述べた反応スキームは、以下のように表される。

スキーム1 2つのピリジルジアミン配位子の合成経路
対称に置換されたアミノ基のための経路
【化8】

非対称に置換されたアミノ基の経路
【化9】

ここで、R、R’、R”は、それぞれ、ヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビルであり、アルキル基が好ましい。
【0049】
これらの合成経路の選択肢は以下の補助配位子前駆体を与え、これらは、適した有機金属又は金属アミド試薬と反応することにより、あるいは、有機リチウム又は有機マグネシウム試薬による脱プロトン化を経て、遷移金属の塩とピリジルジアミド誘導体の反応により、先の図1に示した錯体を形成するためにも使用できる。
【化10】

【0050】
そのため、本発明のさらなる面では、新規であって、先に述べた補助配位子を合成する合成経路のいくつかに有用である種々の補助配位子前駆体又は中間体が、合成できる。この面では、本発明は、一般式(II)をもつ遷移金属錯体を合成する際に使用されるピリジルジアミン化合物を与える。
【化11】

ここでZ、R1からR5、R10とR11は上記に示された意味を持つ。
【0051】
遷移金属錯体自体に関しては、置換のパターンは大きく変化し得、最終的な遷移金属錯体の構造の選択の幅は大きくなる。好ましい錯体については、補助配位子前駆体ではZが一般式(III)に示されるアリール基(R1からR11は、先に示したように独立して選択される)である構造をもっても良い。
【化12】

【0052】
合成された錯体は、アルケンの重合反応又はオリゴマー化に使用される触媒用の遷移金属成分として使用されても良い。これらの錯体は、エチレン-オクテン重合反応を含む、エチレン-べースのポリマーまたはプロピレン-ベースのポリマーのようなオレフィン重合の適当な活性化剤と組合わせて使用されても良い。それらはエチレンのオリゴマー化でも活性を有し得、高い活性を有し得る。
【0053】
さらなる実施態様では、R1からR13は30個までで30個以下の炭素原子を含み、特に2から20個の炭素原子を含むことが好ましい。窒素原子上に置換されたR1とR11は6から30個の炭素原子を含むアリール基、特にフェニル基から選択されることが好ましい。R1とR11はアリールまたはアルキル基から選ばれ、R12からR15は、水素、アルキル及びアリール基、例えばフェニルから独立して選ばれることが好ましい。このフェニル基はアルキル基で置換されても良い。このアルキル置換基は直鎖のアルキルでも良く分岐したアルキルを含んでも良い。
【0054】
好ましくは、各R1とR11は置換されたフェニル基であり、アミドの窒素に結合する炭素に隣接する炭素のうち1個又は両方が1個から10個の炭素を含む基により置換されている。いくつかの具体的な例は2-メチルフェニル、2-イソプロピルフェニル、2-エチルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、メシチル、2,6-ジエチルフェニル、及び2,6-ジイソピロピルフェニルを含む群から選択されたR1とR11を含む。
【0055】
好ましくはR2は、Eが炭素である部分から選択され、特にR12は水素であり、R13はアリール基またはベンジル基(好ましくは、フェニル環が、メチレンのようなアルキレン部分を経て炭素原子に結合している)である、-C(R12)(R13)-である。フェニル基は、先に述べたように置換されても良い。好ましくは、R3からR9は水素又は1から4炭素原子のアルキルである。好ましくは、R3からR9のうち0、1又は2個はアルキル置換基である。
【0056】
ピリジルジアミド-金属錯体Iは2個のアミドドナーと1個のピリジルドナーにより3座配位子として中心金属に配位している。中心金属Mは、第3から12族の遷移金属である。触媒として使用するときは、現在の理論に従えば、Mは4価であることが好ましいが、Mが少ない原子価状態であって、活性化剤との接触によりこの触媒系を調製するときにその正規の原子価を回復する化合物を合成することが可能である。好ましくは、ピリジルジアミド配位子に加えて、金属Mはまた、n個のアニオン性配位子(nは1から4である。)にも配位する。アニオン性ドナーは、一般にはハライド又はアルキルである。しかし、例えば蓚酸イオンのように、共有結合で結合してジアニオン性とみなしうる分子を形成する+アニオン含む、広い範囲の他のアニオン性の基があり得る。ある錯体については、3個の中性ルイス塩基(L’)(典型的には、エーテル)までが中心金属に配位し得る可能性がある。好ましい実施態様では、wは0、1、2または3である。
【0057】
重合反応が立体規則性をもつため、及び/又は異性体構造内での重合反応の性質を変化させるためには、Zはアリール基であり、R12はR13と同じではなく、R14はR15と同じではないことが好ましい。好ましくはR2とR10は不斉中心である。そうすると、好都合にもM-N-R10-C-C-C-Nにより形成される7員環のキレート環は、図1と2の固体状態で示されたようなこの大きな環が取るコンフォメーションにより第3の不斉中心を導入する。このことは実験の部で示されているC1のように、多くのNNN錯体について1H-NMRデータにも示されている。従って錯体のジアステレオマーの混合物が入手でき、これらはアルケンをオリゴマー化又は重合するための活性化剤とともに使用されるとき、通常約2のMn/Mwを示す典型的「単一部位」触媒と比べて広い多分散性をもつポリオレフィン製品を与え得る。Eは炭素であることが好ましい。
【0058】
多くの選択肢と合成段階が先に述べられた類似の3座NCC配位子系を有する錯体の合成と関連して述べられている。これらの詳細は既に述べられた広い範囲内での選択と、3座NNCの配置を含む、従来の合成上の選択との違いに焦点が当てられよう。
【0059】
一の好ましい実施態様では、Zはアリールであると定義されその結果、本錯体は式IVに相当し、Eは炭素と定義され、MはZr及び/又はHfと定義され、及びR1とR11は、それぞれ6から20個の炭素を含むアリール基である。
【0060】
ピリジルジアミド錯体の好ましい合成は、中性のピリジルジアミン配位子前駆体と、Zr(NM2)4、Zr(NEt2)4、Hf(NM2)4とHf(NEt2)4を含む金属アミドとの反応である。ピリジルジアミド錯体の別の好ましい合成は中性ピリジルジアミン配位子前駆体と有機リチウム試薬を反応させジリチオピリジルジアミド誘導体を調製し、続いてこの種をZrCl4、HfCl4、ZrCl4(1,2-ジメトキシエタン)、HfCl4(1,2-ジメトキシエタン)、ZrCl4(テトラヒドロフラン)2、HfCl4(テトラヒドロフラン)2、ZrBn2Cl2(OEt2)、HfBn2Cl2(OEt2)を含む、遷移金属錯体の塩と反応させることである。ピリジルジアミド錯体の別の好ましい合成は、中性ピリジルジアミン配位子前駆体と、ZrBn4、ZrBn2Cl2(OEt2)、Zr(CH2SiMe3)4、Zr(CH2CMe3)4、HfBn4、HfBn2Cl2(OEt2)、Hf(CH2SiMe3)4、Hf(CH2CMe3)4を含む有機金属反応体との反応である。
【0061】
別の実施態様では、Zは5員環(例えば、置換又は非置換のシクロペンタジエン、”Cp”)である。ある実施態様では、ZはCp環の一つがR10とピリジン環を結合しているフェロセニル基である。
活性化剤
【0062】
この錯体が合成された後、触媒系が、スラリーまたは気相重合反応で使用するためにそれらを担持することを含む、文献から知られている方法で活性化剤と結合することにより形成されても良い。この触媒系は、溶液重合またはバルク重合(モノマー中に)に加えられても良く、またはその中で生成されても良い。この触媒系は通常先に述べた錯体とアルモキサン又は非配位性アニオンのような活性化剤を含む。活性化は、メチルアルモキサン(MAOと呼ばれる)、及び溶解性を改善するために高級アルキル基を含有する、修飾MAO(MMAOと呼ばれる)等のアルモキサン溶液を用いて行われても良い。特に有用なMAOは、トルエン中の10重量%溶液で、Albemarleから購入することができる。本発明で使用されるこの触媒系はアルモキサン、例えば、メチルアルモキサン、修飾メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソ-ブチルアルモキサン等、から選択される活性化剤を使用する。
【0063】
アルモキサン又は修飾を受けたアルモキサンが使用されるとき、錯体-活性化剤のモル比は約1:3000から10:1、または、1:2000から10:1、または1:1000から10:1、または、1:500から1:1、または1:300から1:1、又は1:200から1:1、または1:100から1:1、または1:50から1:1、または1:10から1:1である。活性化剤がアルモキサン(修飾又は非修飾)であるとき、いくつかの実施態様は、最大、触媒前駆体(金属触媒部位当たり)よりも5000倍モル過剰を活性化剤の量に選ぶ。好ましい最小活性化剤-錯体比は1:1モル比である。
【0064】
活性化は、EP227003 A1とEP277004 A1で述べられた種類の非配位性アニオン(NCAと呼ばれる)を用いて行っても良い。NCAは、イオン対の形で、例えば、[DMAH][NCA]の形で加えられても良く、この場合N,N-ジメチルアニリニウム(DMAH)カチオンは遷移金属錯体の塩基性脱離基と反応し、遷移金属錯体のカチオンと[NCA]が形成される。または、この前駆体のカチオンは、トリチルでも良い。または、この遷移金属錯体は中性のNCA前駆体、例えばB(C6F5)3と反応しても良い。これは錯体からアニオン性の基を引き抜き活性化された種を形成する。有用な活性化剤はN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(つまり、[PhNMe2H]B(C6F5)4)とN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレートを含む(Phはフェニル、Meはメチルである)。
【0065】
加えて、本明細書で有用な好ましい活性化剤は、米国特許第7,247,687号、169列、50行から174列、43行、特に172列、24行から173列、53行に記載されているものを含む。
【0066】
NCA(例えばイオン性又は中性の化学量論的活性化剤)が使用されるとき、錯体-活性化剤のモル比は通常、1:10から1:1、1:10から10:1、1:10から2:1、1:10から3:1、1:10から5:1、1:2から1.2:1、1:2から10:1、1:2から2:1、1:2から3:1、1:2から5:1、1:3から1.2:1、1:3から10:1、1:3から2:1、1:3から3:1、1:3から5:1、1:5から1:1、1:5から10:1、1:5から2:1、1:5から3:1、1:5から5:1、1:1から1:1.2である。
【0067】
または、共活性化剤も本明細書の触媒系で使用されても良い。錯体-共活性化剤のモル比は1:100から100:1、1:75から75:1、1:50から50:1、1:25から25:1、1:15から15:1、1:10から10:1、1:5から5:1、1:2から2:1、1:100から1:1、1:75から1:1、1:50から1:1、1:25から1:1、1:15から1:1、1:10から1:1、1:5から1:1、1:2から1:1、1:10から2:1である。
担持体
【0068】
本明細書で述べられた錯体は他の配位触媒系を担持する有効ないずれの方法によって(活性化剤とともに、又はそれを含まずに)担持されても良く、ここで、有効な、とはこのように調製された触媒が不均一系でオレフィンをオリゴマー化又は重合化するために使用できることをいう。触媒前駆体、活性化剤、共活性化剤(必要な場合)、適した溶媒、及び担持体は、何れかの順序で又は同時に加えられても良い。通常は、錯体と活性化剤は溶媒中で混合されて溶液となりえる。次に担持体が加えられ、この混合物は1分から10時間、撹拌される。総溶媒容量は、担持体の細孔容量より大きくても良く、しかし、いくつかの実施態様は、ゲルまたはスラリーを形成するため必要とされるより少ない総溶媒量に限っている(細孔の容量の約90%から400%、好ましくは100-200%)。撹拌後、通常は周囲温度で10-16時間かけて残留溶媒は真空下で除去される。しかし、より長時間、短時間、より高温、低温も可能である。
【0069】
この錯体は活性化剤なしで担持されても良い。この場合、この活性化剤(及び必要な場合、共活性化剤)は、重合方法の液相へ加えられる。さらに、2以上の異なる錯体が同一の担持体上に置かれても良い。同様に、2以上の活性化剤または活性化剤と共活性化剤が同一の担持体に置かれても良い。
【0070】
適した固体粒子の担持体は、通常、ポリマー性物質又は耐熱性酸化物質からなり、それぞれは、多孔性であることが好ましい。好ましくは、10μmより大きい平均粒子サイズをもついづれの担持体物質も本発明での使用に適している。種々の実施例は、例えば、タルク、無機酸化物、無機塩化物(例えば、塩化マグネシウム、)のような多孔性の担持体物質とポリスチレン、ポリオレフィンまたはポリマー性の化合物のような樹脂性の担持体、または、いずれか他の有機物の担持体物質等を選択している。いくつかの実施態様は、第2、3、4、5、13または14族金属の又は半金属の酸化物等の担持体物質として無機酸化物を選んでいる。いくつかの実施態様はシリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ及びそれらの混合物を含むように触媒担持体物質を選んでいる。他の無機酸化物が、それのみで、又はシリカ、アルミナ、又はシリカ-アルミナと組合わせて使用されても良い。これらは、マグネシア、チタニア、ジルコニア等である。モンモリロナイトと類似の粘土のようなルイス酸性物質もまた担持体として作用し得る。この場合、担持体は、任意に活性化成分として、二重の作用をしうるが、しかし、追加の活性化剤も使用しても良い。
【0071】
担持体物質はいくつの方法によっても前処理を受けても良い。例えば、無機酸化物はか焼されても良く、又はアルキルアルミニウムのような脱水化試薬等により処理を受けも良く、両方の処理を受けても良い。
【0072】
先に述べたように、ポリマー性の担体も本発明に適合する。例えば、WO95/15815と米国特許第5,427,991号の記載を参照されたい。この開示された方法は、特に、このポリマー性担持体が多孔性の粒子からなるときは、本発明の触媒錯体、活性化剤又は触媒系をポリマー性担持体に吸着するため、又は吸収するためにこれらとともに使用されても良く、またはポリマー鎖に結合したあるいはその中の官能基により化学的に結合されても良い。
【0073】
有用な担持体は、通常、10-700 m2/gの表面積、0.1-4.0 cc/gの細孔容量及び10-500μmの平均粒子サイズをもつ。いくつかの実施態様は50-500 m2/gの表面積、0.5-3.5cc/gの細孔容量、または20-200μmの平均粒子サイズを選んでいる。他の実施態様は100-400 m2/g の表面積、0.8-3.0 cc/gの細孔容量、及び30-100μmの平均粒子サイズを選んでいる。有用な担持体は、通常10-1000オングストローム、又は50-500オングストローム、または75-350オングストロームの細孔サイズをもつ。
【0074】
本明細書に述べられた触媒錯体は一般的に固体担持体1グラム当たり10-100マイクロモルの錯体の充填水準で、または固体担持体1グラム当たり20-80マイクロモル、または固体担持体1グラム当たり40-60マイクロモルで担持体に置かれる。しかし、固体錯体の総量が担持体の細孔容量を超えないならば、より多い又は少ない量も使用できる。
重 合
【0075】
発明の触媒錯体は、溶液、スラリー、気相及び高圧重合のようなメタロセン-触媒重合反応を受けることが従来から知られている不飽和モノマーを重合する際に有用である。通常、本明細書に記載された一以上の錯体、一以上の活性化剤及び一以上のモノマーが接触してポリマーを生成する。この錯体は担持されても良く、そのようなものとして、単一の、連続式の又は並列の反応器で行われる、既知の固定床、移動床、流動床、スラリー、溶液、又はバルク操作法で特に有用であろう。
【0076】
連続した、又は並列の一以上の反応器が本発明で使用されても良い。錯体、活性化剤及び必要なときは、共活性化剤が溶液またはスラリーとして、別々に反応器に移送されても良く、反応器に入る直前にライン内で活性化されても良く、又は事前に活性化を受け、活性化された溶液またはスラリーとされ反応器へポンプで送られても良い。重合反応は単一反応器の操作で行われても良く、この場合、モノマー、コモノマー、触媒/活性化剤/共触媒、任意に加えられるスカベンジャー及び任意に加えられる修飾剤が連続的に単一の反応器へ加えられる。または連続式の反応器の操作では、上記の成分は、一連の連結した2以上の反応器のそれぞれへ加えられる。触媒成分は連続する最初の反応器へ加えることができる。また、触媒成分が、一成分が第一の反応へ加えられ、別の成分が他の反応器へ加えられるようにして、両方の反応器に加えられても良い。一の好ましい実施態様では、この錯体はオレフィンの存在下で反応器中で活性化される。
【0077】
特に好ましい実施態様では、重合方法は連続的な方法である。
【0078】
本明細書で使用される重合方法は、通常、一以上のアルケンモノマーを本明細書に記載した錯体(及び、任意に、活性化剤)と接触させることを含む。本発明では、アルケンはマルチ-アルケン(例えば、ジアルケン)と唯一つの二重結合をもつアルケンを含むと定義される。重合反応は均一(溶液又はバルク重合反応)でも良く、不均一(液体稀釈剤中のスラリー、または気相稀釈剤中の気相)でも良い。不均一スラリー重合または気相重合の場合、錯体と活性化剤は担持される。シリカは本明細書で、担持体として有用である。連鎖移動剤(例えば、水素又はジエチル亜鉛)が本発明の実施において使用されても良い。
【0079】
本重合反応法は、好ましくは約30℃から約200℃、好ましくは約60℃から約195℃、好ましくは75℃から190℃の温度を含む条件下で行っても良い。本方法は、0.05から1500Mpaの圧力で行われても良い。好ましい実施態様では、この圧力は1.7MPaと30MPaの間、または別の実施態様では、特に超臨界条件であり、圧力は15Mpaと1500Mpaの間である。
モノマー
【0080】
本明細書で有用なモノマーは2から20個の炭素原子、または、2から12個の炭素原子(好ましくは、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン及びドデセン)をもつオレフィンと任意にポリエン(例えば、ジエン)を含む。特に好ましいモノマーは、エチレン、及びエチレン-プロピレン、エチレン-ヘキセン、エチレン-オクテン、プロピレン-ヘキセン等のようなC2からC10アルファオレフィンの混合物を含む。
【0081】
本明細書で述べられた錯体はまた、エチレン単独の重合に、またはエチレンと1以上の他のオレフィン性の不飽和モノマー、例えばC3からC20α-オレフィン、特にC3からC12 α-オレフィン、と組合わせた重合に特に有効である。同様に、本錯体は、プロピレン単独の重合に、または、プロピレンと1以上のオレフィン性不飽和モノマー、例えば、エチレン、又はC4からC20 α-オレフィン、特にC4からC20α-オレフィンと組合わせた重合に特に有効でもある。好ましいα-オレフィンの例は、エチレン、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、ヘプテン-1、オクテン-1、ノネン-1、デセン-1、ドデセン-1、4−メチルペンテン-1、3-メチルペンテン-1、3,5,5-トリメチルヘキセン-1、及び5-エチルノネン-1を含む。
【0082】
いくつかの実施態様では、モノマー混合物もまた、10重量%まで1以上のジエンも含んでも良く、例えば、モノマーの混合物に基いて、0.00001から1.0重量%、例えば、0.002から0.5重量%、例えば0.003から0.2重量%で含んでも良い。有用なジエンの非限定的な例は、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,5-ヘプタジエン、1,6-ヘプタジエン、6-メチル-1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、7-メチル-1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン及び9-メチル-1,9-デカジエンを含む。
【0083】
プロピレンのように、短鎖の分岐を生じるオレフィンが使用される場合、触媒系は、適当な条件下で立体規則性のポリマー又はポリマー鎖中に立体規則性の配列をもつポリマーを生じえる。
捕捉剤(スカベンジャー)
【0084】
本明細書で記載された錯体を使用する場合、特に錯体が担持体に固定化されている、実施態様では、触媒系は、さらに1以上の捕捉化合物を含む。ここで、用語、捕捉化合物は反応環境から極性の不純物を除去する化合物をいう。これらの不純物は触媒活性と安定性に悪影響を及ぼす。通常、捕捉化合物は、米国特許第5,153,157号、第5,241,025号、及びWO-A-91/09882、WO-A-94/03506、WO-A-93/14132、及びWO95/07941の第13族の有機金属化合物のような有機金属化合物であろう。化合物の例はトリエチルアルミニウム、トリエチルボラン、トリ-イソ-ブチルアルミニウム、メチルアルモキサン、イソ-ブチルアルモキサン及びトリ-n-オクチルアルミニウムを含む。金属又は半金属中心に結合するかさ高い、またはC6-C20線状のヒドロカルビル置換基を有する捕捉化合物は、普通、活性な触媒との有害な相互作用が最小である。例には、トリエチルアルミニウムを含む、しかし、より好ましくは、かさ高い化合物、例えばトリ-イソブチルアルミニウム、トリ-イソプレニルアルミニウム、また、長鎖の線状アルキル置換アルミニウム化合物、例えば、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、またはトリ-n-ドデシルアルミニウムを含む。アルモキサンが活性化剤として使用されるときは、活性化に必要であるより過剰な量が不純物を捕捉し、追加の捕捉化合物は不必要かもしれない。アルモキサンは、また他の活性化剤、例えば、メチルアルモキサン、[Me2HNPh]+[B(pfp)4]またはB(pfp)3(ペルフルオロフェニル = pfp = C6F5)とともに捕捉剤としての量で加えられても良い。
【0085】
好ましい、実施態様では、2以上の錯体は、モノマーの入った同一の反応器中でジエチル亜鉛と組み合わされる。または、モノマーの入った同一の反応器中で、1以上の錯体は別の触媒(例えば、メタロセン)とジエチル亜鉛と組み合わされる。
ポリマー製品
【0086】
本願で製造されるポリマーの分子量は温度、モノマー濃度及び圧力、連鎖停止剤等の存在を含む反応条件により影響を受けるが、本製造法により製造されるホモポリマーとコポリマーは、GPCで決定したとき約1,000から約2,000,000 g/molのMw、又は約30,000から約600,000 g/molのMw、または約100,000から約500,000 g/molのMwを有しても良い。本願で製造される好ましいポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーである。好ましい実施態様では、コモノマーは50モル%、好ましくは0.01から40モル%、好ましくは、1から30モル%、好ましくは5から20モル%で含まれる。
最終用途
【0087】
本願で製造されるポリマーを用いて製造される製品は、例えば、成型製品(例えば、容器とボトル、例えば家庭用容器、産業用化学容器、介護用ボトル、医療用容器、燃料タンク、貯蔵用製品、遊具、シート、パイプ、管類)、フィルム、不織布等を含んでも良い。先に述べた用途のリストは、単に例示であり、限定することを意図していないことが理解されるべきである。
【0088】
別の実施態様では、本発明は、
1. 一般式(I)をもつアルケン重合反応で使用されるピリジルジアミド遷移金属錯体
【化13】

【0089】
ここで、Mは、第3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12族金属である。
【0090】
Zは、-(R14)pC-C(R15)q-であり、
R14とR15は、水素、ヒドロカルビル(例えばアルキル)及び置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、隣接するR14とR15基は結合して芳香族又は飽和、置換又は非置換のヒドロカルビル環を形成しても良く、当該環は5,6,7又は8個の環の炭素原子を有し、この環上の置換基は結合して追加の環を形成でき、
pは0、1または2であり、かつ
qは0、1または2である。
【0091】
R1とR11は、ヒドロカルビル(例えばアルキルとアリール)、置換ヒドロカルビル(例えば、ヘテロアリール)とシリル基からなる群から独立して選択される。R2とR10は、ぞれぞれ、独立して、-E(R12)(R13)-であり、Eは、炭素、ケイ素又はゲルマニウムであり、各R12とR13は水素、ヒドロカルビル(例えばアルキル、アリール)、アルコキシ、シリル、アミノ、アリーロキシ、置換ヒドロカルビル(例えばヘテロアリール)、ハロゲン、及びホスフィノからなる群から独立して選択され、R12とR13は結合して、飽和の、置換された又は非置換のヒドロカルビル環を形成しても良く、ここで、当該環は、4、5、6又は7個の環の炭素原子を有し、そしてこの環上の置換基は結合して追加の環を形成することができる。または、R12とR13は結合して飽和のヘテロ環、または飽和の置換されたヘテロ環を形成しても良く、この環上の置換基は結合して追加の環を形成できる。
【0092】
R3、R4、R5は水素、ヒドロカルビル(例えば、アルキルとアリール)、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン、アミノ及びシリルからなる群から独立して選択され、隣接するR基(R3とR4、及び/又はR4とR5)が結合して置換された、又は非置換のヒドロカルビル又はヘテロ環を形成しても良く、当該環は5、6、7または8個の環の原子を有し、この環上の置換基は結合して追加の環を形成できる。
【0093】
Lはアニオン性脱離基であり、L基は同一又は異なっても良く、いずれか2個のL基は結合してジアニオン性の脱離基を形成しても良い。
nは0、1、2、3または4であり、
L’は中性のルイス塩基であり、
wは0、1、2、3または4である。
【0094】
2.MがTi、ZrまたはHf、及び/またはZは3個の隣接する原子の鎖によりNR11を当該錯体の残部と架橋する置換されたアリール基であり、この3個の隣接する原子のうち2個は、置換されたフェニル環の隣接する炭素であり、3個目はこれらの2個の炭素のうち1個と共有結合をしているものである、1の錯体。
【0095】
3.1又は2の錯体であり、Zはアリール基であり、当該錯体は一般式IVの錯体であり、
【化14】

R6、R7、R8及びR9は、水素、ヒドロカルビル(例えば、アルキルとアリール)、置換されたヒドロカルビル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ及びシリルからなる群から独立して選択され、ここで隣接するR基(R6とR7、及び/又はR7とR8及び/又はR8とR9)は結合して飽和の、置換された又は非置換のヒドロカルビル又はヘテロ環を形成しても良く、当該環は、5、6、7または8個の炭素原子を有し、当該環上の置換基は結合して追加の環を形成でき、M、L、L’、w、n、R1、R2、R3、R4、R5、R10及びR11は1で定義したとおりである。
【0096】
4.先の1から3のいずれかの錯体であって、上記R1とR3からR9は及び/またはR11からR15は、30個以下の炭素原子、特に2から20個の炭素原子を含むものである、錯体。
【0097】
5.先の1から4までのいずれかの錯体であって、Eは炭素、R1とR11は、F、Cl、Br、I、CF3、NO2、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ヒドロカルビル(例えば、アルキルとアリール)及び置換ヒドロカルビル(例えばヘテロアリール)(ただし、1個から10個の炭素を持つ基)を含む0から5個の置換基で種々に置換されたフェニル基から独立して選択されるものである、錯体。
【0098】
6.先の1から5までのいずれかの錯体であって、Lは、ハライド、アルキル、アリール、アルコキシ、アミド、ヒドリド、フェノキシ、ヒドロキシ、シリル、アリル、アルケニル及びアルキニルから選択され、L’は、エーテル、チオ-エーテル、アミン、ニトリル、イミン、ピリジン及びホスフィンから選択されるものである、錯体。
【0099】
7.先の1から6のいずれかのピリジルジアミド錯体を合成する方法であって、式Vで示されるような、別に合成された中間体ピリジルアミド金属錯体のオルト位がメタル化されたアリール基の金属-炭素結合にイミンを形式上挿入することを含み、
【化15】

M、L、L’、w、n、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR11は、1と3で定義されているとおりである、方法。
【0100】
8.先の1から6のいずれかの錯体を合成する方法であり、式VIに示すように、ピリジルジアミンと金属-アミド又は金属-有機試薬とを反応することを含み、
【化16】

M、L、L’、Z、w、n、R1、R2、R3、R4、R5、R10及びR11は1で定義されたとおりである、方法。
【0101】
9.先の1から6のいずれかの錯体を合成する方法であって、式VIIに示すように、ピリジルジアミンが有機リチウム又は有機マグネシウム試薬を用いて脱プロトン化され、次にこのピリジルジアミド試薬がハロゲン化金属と反応することを特徴とし、
【化17】

M、L、L’、Z、w、n、R1、R2、R3、R4、R5、R10及びR11は1で定義されたとおりである、方法。
【0102】
10.遷移金属錯体を合成するために使用される、一般式(II)の化合物であるピリジルジアミン化合物であり、
【化18】

ここで、Zは、-(R14)pC-C(R15)q-であり、
R14とR15は水素、ヒドロカルビル(例えばアルキル基)及び置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、隣接するR14とR15基は結合して芳香族または、飽和の、置換されたまたは非置換のヒドロカルビル環を形成し、当該環は5、6、7、または8個の環の炭素原子を有し、当該環上の置換基は結合して追加の環を形成することが出来、
pは、0、1または2であり、かつ
qは0、1または2であり、
R1とR11は、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシリル基からなる群から独立して選択され、
R2とR10はそれぞれ、-E(R12)(R13)-であり、Eは炭素、ケイ素又はゲルマニウムであり、各R12とR13は、それぞれ、水素、ヒドロカルビル(例えば、アルキルとアリール)、置換ヒドロカルビル(例えば、ヘテロアリール)、アルコキシ、シリル、アミノ、アリーロキシ、ハロゲン及びホスフィノからなる群から独立して選択され、R12とR13は結合して、飽和の、置換された又は非置換のヒドロカルビル環を形成しても良く、当該環は、4,5,6または7個の炭素原子を有し、当該環上の置換基は結合して追加の環を形成でき、又は、R12とR13は結合して飽和のヘテロ環、または飽和の置換されたヘテロ環を形成しても良く、当該環上の置換基は結合して追加の環を形成でき、R3、R4及びR5は水素、ヒドロカルビル(例えばアルキル)、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン、アミノ及びシリルからなる群から独立して選択され、隣接するR(R3とR4、及び/又はR4とR5)は結合して置換された、又は非置換のヒドロカルビル又はヘテロ環を形成しても良く、当該環は5,6,7または8個の環の原子を有し、当該環の置換基は結合して追加の環を形成できる、ものである。
【0103】
11. 一般式(III)に示すようにZがアリール基である10の化合物であって、
【化19】

R6、R7、RとR9は水素、ヒドロカルビル(例えばアルキル)、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ及びシリルからなる群から独立して選択され、かつ隣接するR基(R6とR7、及び/又はR7とR8及び/又はR8とR9)は結合して飽和の、置換された又は非置換のヒドロカルビル又はヘテロ環を形成しても良く、ここで当該環は5,6、7または8個の環の炭素原子を有し、当該環の置換基は結合して追加の環を形成でき、R1、R2、R3、R4、R5、R10、R11は1で定義されたものである、化合物。
【0104】
12.一般式VIIIのピリジル誘導体であって、
【化20】

R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、水素、ヒドロカルビル(例えば、アルキル)、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン、アミノ及びシリルからなる群から独立して選択され、及び隣接するR基(R3とR4及び/又はR4とR5、及び/又はR6とR7、及び/又はR7とR8、及び/又はR8とR9)は結合して置換又は非置換のヒドロカルビル又はヘテロ環を形成しても良く、当該環は5,6,7または8個の環の原子を有し、当該環の置換基は結合して追加の環を形成できるものである。
【0105】
13. 一般式(IX)のピリジル誘導体であって、
【化21】

ここで、R1は、ヒドロカルビル(例えば、アルキルとアリール)、置換ヒドロカルビル(ヘテロアリール)、及びシリル基からなる群から独立して選択され、
R2は-E(R12)(R13)-であり、Eは炭素、ケイ素又はゲルマニウムであり、各R12とR13は、水素、ヒドロカルビル(例えばアルキルとアリール)、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、シリル、アミノ、ハロゲン及びホスフィノからなる群から独立して選択され、
R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、水素、ヒドロカルビル(例えばアルキルとアリール)、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン、アミノ及びシリルからなる群から独立して選択され、隣接するR基(R3とR4、及び/又はR4とR5、及び/又はR6とR7、及び/又はR7とR8、及び/又はR8とR9)は結合して置換又は非置換のヒドロカルビル又はヘテロ環を形成し、当該環は5、6、7または8個の環の原子を有し、当該環の置換基は結合して追加の環を形成できる。
【0106】
14.1から6のいずれかの錯体とアルモキサン又は非配位性アニオンのような活性化剤又は共触媒を含む触媒系。
【0107】
15.アルケンモノマーを14の触媒と接触させることを含むポリアルケンを合成する重合方法。
【発明を実施するための形態】
【0108】
実施例
配位子前駆体の合成の実施例
N-N2座配位子前駆体Int-1の合成(本発明によらない)
Int-1(下記構造)は3座配位子N-N-C配位子をもつ錯体に使用される中間体である。2-フェニル-6-ピリジンカルボキシアルデヒド(4.08g、22.3mmol)と2,6-ジイソプロピルアニリン(3.95g、22.3mmol)はベンゼン(125ml)と混合された。次に、p-トルエンスルホン酸1水和物(0.010g、0.05mmol)が加えられた(下記の反応スキームの触媒量の酸)。この混合物は、Dean-Starkトラップを備え4時間加熱して還流された。40-50℃における減圧下での揮発性物質の除去によりピリジルイミンInt-1が、黄色の結晶性固体として得られた。収量:7.35g、96.2%。1HNMR(250MHz、C6D6):δ 8.69(1H,s)、8.34(1H,d)、8.14(2H,d)、7.2-7.4(8H, m)、3.27(2H, sept)、1.25(12H,d) 一般的な反応スキームは以下に示されている。
【化22】

【0109】
N-N 二座配位子前駆体 Int-2の合成(本発明によらない)
Int-2(下記構造)は3座N-N-C配位子をもつ錯体を合成するために使用される中間体である。テトラヒドロフラン(10mL)が2,6-ジイソプロピルアニリン(0.454g、2.56mmol)と3オングストロームの分子篩(約15mL)へ加えられた。次に、固体の2-フェニル-6-ピリジンカルボキシアルデヒド(0.469g、2.56mmol)とp-トルエンスルホン酸1水和物(0.004g、0.02mmol)が加えられた(下記反応スキームの触媒量の酸)。この混合物は、密封されたフラスコで65℃まで加熱された。一夜加熱後、この混合物は冷却され、固体のLiAlH4(0.243g、6.40mmol)が10分かけて少量ずつ加えられた。この混合物は20分間撹拌され、水が注意深く加えられた。有機物がEt2O(30mL)へ抽出されMgSO4で乾燥された。揮発性物質を留去して非常に淡い黄色の油としてピリジルアミンInt-2が得られた。収量:0.86g、98% 1HNMR(250MHz、C6D6):δ8.11(2H、d)、7.32-7.04(8H、m)、6.74(1H、d)、4.75(1H、br)、4.28(2H、s)、3.66(2H、sept)、1.26(12H、d)
一般的な反応スキームは下記に示されている。
【化23】

【0110】
遷移金属錯体の合成例
三座のN-C-C配位子を有するint-3の合成(本発明によらない)
Int-3(以下の構造)はN-N-N錯体を合成するための中間体として使用される。ZrBn2Cl2(OEt)2(0.532g、1.27mmol)のベンゼン(5mL)溶液がInt-2(0.438g、1.27mmol)のベンゼン溶液(5mL)に30分かけて滴下された。オレンジ色の溶液を70℃まで、2時間と45分加熱した。次に黒い溶液は周囲温度(約23℃)まで冷却された。この溶液はろ過を受けEt2O(1ml)が加えられた。6mLまで濃縮され結晶性の沈殿が形成された。翌日、追加のEt2O(10mL)が加えられた。次に濃い色の結晶性固体はガラス濾板に集められ、Et2O(10mL)で洗浄され、次いで減圧下で乾燥されて灰色の固体として生成物を得た。収量 40g、54%
1HNMR(250MHz、CD2Cl2):δ:8.00-7.68(4H、 m)、7.37-7.15(6H、m)、5.15(2H、m)、3.60(4H、q)、3.46(1H、sept)、1.35(6H、d)、1.16(6H、d)、1.08(6H、t)
【化24】

【0111】
3座N-N-C配位子を有するInt-4の合成(本発明によらない)
Int-4(下記構造)はN-N-N錯体を合成する中間体として使用される。ジエチルエーテル(15mL)がZrBn2Cl2(OEt2) (0.217g、0.519mmol)に加えられ濁った黄色い溶液を生成した。-68℃でイミンInt-1(0.178g、0.519mmol)のEt2O(4mL)の溶液が滴下された。この混合物は、数時間かけてゆっくりと加温され周囲温度(約23℃)とされた。一夜撹拌した後、濃い色の溶液が生じた。揮発物を蒸発により除き、固体をペンタンに懸濁した。灰色の固体がガラス濾板に集められ、ペンタンで洗浄され、次いで減圧下で乾燥された。収量0.24g、61% 1HNMR(250MHz、C6D6):δ8.22(1H、d)、6.5-7.3 (約14H、m)、5.88(1H、d)、4.93(1H、dd)、4.32(1H、sept)、3.48(1H、dd)、3.32(4H)、2.8-2.1(2H、m)、1.64(3H、d)、1.32(3H、d)、1.28(3H、d)、1.21(3H、d)、1.03(6H、t)
【化25】

【0112】
3座N-N-C配位子を有するInt-5の合成(本発明によらない)
Int-5(下記構造)がN-N-N錯体を合成するための中間体として使用される。ベンゼン(4mL)がInt-2(0.281g、0.815mmol)とHfBn2Cl2(OEt2)1.5(0.442g、0.815mmol)の混合物へ加えられた。このオレンジ色の溶液は75分間60℃まで加熱された。揮発性物質を次に蒸発させほぼ乾燥させた。追加のベンゼン(5mL)が次いで加えられ、懸濁固体がガラス濾板上で集められ、ベンゼン(5mL)で洗浄され、減圧下で乾燥された。収量0.467g、86.0%
1HNMR (250MHz, CD2Cl2):δ8.00(1H、t)、7.94(1H、d)、7.81(2H、d)、7.40-7.15(6H、m)、5.40(2H、s)、3.66(4H、q)、3.50(2H、sept)、1.33(6H、d)、1.17(6H、d)、1.04(6H、t)
【化26】

【0113】
3座N-N-C配位子を有するInt-6の合成(本発明によらない)
Int-6(下記構造)は、N-N-N錯体を合成する中間体として使用される。ベンゼン(10mL)がHfBn2Cl2(OEt2)1.5(0.585g、1.08mmol)とイミンInt-1(0.371g、1.08mmol)に加えられ濃い色の溶液を生成した。この混合物は、65℃まで14時間加熱され、次に蒸発を受け残留物を得た。Et2O(15mL)が加えられ、懸濁された生成物はガラス濾板上で収集され、Et2O(5mL)で洗浄され、減圧下で乾燥された。NMRデータは約1.45当量のエーテルが配位し、及び/又は共結晶化されていることを示した。収量:0.65g、1HNMR(250 MHz、CD2Cl2):δ7.99(1H、d)、7.80(2H、t)、7.69(1H,t)、7.50-7.20(8H、m)、6.98-6.92(2H、m)、6.21(1H、d)、5.09(1H、dd)、3.98(1H、sept)、3.52(5.8H、q)、3.33(1H、dd)、2.91(1H、sept)、2.72(1H、dd)、1.43(3H、d)、1.28(3H、d)、1.19-1.10(6H、m)
【化27】

【0114】
配位子L4の合成(本発明による)
トルエン(15mL)がInt-5(0.0881g、0.132mmol)とPhCH=N(2,5-Me2-C6H3)(0.0277g、0.132mmol)に加えられた。懸濁液は90℃まで加温されて透明な淡い黄色の溶液となった。16時間後、揮発性物質を蒸発させ、残留物はEt2O(10mL)に溶解された。水(10mL)が次に加えられた。有機層が分離され、MgSO4で乾燥され、溶媒は蒸発されて粘性の高い油としてジアミン生成物が得られた。1HNMR(250MHz、C6D6):δ7.55-6.80(16H、m)、6.62(1H、s)、6.49(2H、m)、4.26(2H、v br)、4.22(2H、s)、3.45(2H、sept)、2.03(3H、s)、1.89(3H、s)、1.20(6H,、d)、1.17(6H、d)
【0115】
3座N-N-N配位子をもつC1の合成(本発明による)
Int-3(0.101g、0.175mmol)のCH2Cl2(6ml)溶液がPhCH=NPh(0.0317g、0.175mmol)に加えられた。このバイアルは密封され、15.5時間50℃まで加熱された。揮発性物質が除去され残留物を得、これはEt2O(5mL)で抽出され、ろ過された。この溶液を1mLまで濃縮し黄色の結晶性塊としてきれいな生成物を得た。収量:0.089g、69% 1HNMRデータは、結晶生成物は4:1のコンフォーメーショナルジアステレオマーの混合物であり、0.75当量の共結晶化Et2Oを有することを示している。1HNMR(250MHz、C6D6):δ7.3-6.6(重なったアリール)、6.45(1.25H、br d)、6.14(0.25H、d)、5.67(1H、s)、5.39(0.22H、s)、4.68(0.44H、ABカルテット、Δν=186Hz、J=20Hz)、4.39(2H、ABカルテット、Δν=160Hz、J=20Hz)、3.75-3.60(1.4H、m)、3.26(3H、q、Et2O) 、2.30(1H、sept)、1.57(1.62H、dd)、1.50-1.44(3.86H、m)、1.33(3.31H、d)、1.11(5.59H、t)、0.96(6.28H、d)
【0116】
3座N-N-N配位子をもつC2の合成(本発明による)
Int-5(0.105g、0.158mmol)とPhCH=NPh(0.0332g、0.183mmol)のCH2Cl2(4ml)溶液を調製する。バイアルは密封され、18時間60℃に加熱された。揮発性物質が除去され、残留物を得、Et2O(10mL)に溶解された。この溶液を2mLまで濃縮し、一夜放置により過剰のイミンが結晶化された。母液をデカントで得た。これにペンタン(4mL)が加えられ淡い黄色の固体として生成物が沈殿した。この固体を単離し減圧下で乾燥した。収量:0.085g、65% 1HNMRデータは、生成物がコンフォーメーショナルジアステレオマーの2:1の混合物として単離され、少量のエーテル(0.1当量)とペンタン(0.7当量)が含まれていることを示す。NMRスペクトルが複雑なので、選んだ(メチリデンとメチン)の共鳴のみを示す。1HNMR(250MHz、CD2Cl2):δ多い方のジアステレオマー:5.71(1H、s)、4.63(2H、ABカルテット、Δν=97Hz、J=20Hz)、3.31(1H、sept)、1.95(1H、sept);少ない方のジアステレオマー:5.89(1H、s)、5.03(2H、ABカルテット、Δν=221Hz、J=20Hz)、3.93(1H、sept)、3.31(1H、sept)
【0117】
3座N-N-N配位子をもつC3の合成(本発明による)
Int-3(0.101g、0.175mmol)のCH2Cl2(6mL)溶液がPhCH=NiPr(0.0269g、0.182mmol)に加えられた。バイアルは密封され、50℃まで15.5時間加熱された。揮発性物質が除去され黄色―橙色の固体が得られ、これはEt2O(5mL)で抽出され、ろ過された。この溶液を1mLまで濃縮し黄色の結晶としてきれいな生成物が得られた。収量:0.079g、65%。1HNMRデータは結晶化した生成物が殆ど(>90%)単一のコンフォーメーショナルジアステレオマーであり、0.61当量の共結晶化Et2Oを有することを示している。NMRスペクトルが複雑であるため、選択した(メチリデンとメチン)の共鳴のみを示す。1HNMR(250MHz、C6D6):δ5.33(1H、sept)、5.32(1H、s)、4.75(2H、ABカルテット、Δν=152Hz、J=21Hz)、4.19(1H、sept)、3.76(1H、sept)
【0118】
3座N-N-N配位子をもつC4の合成(本発明による)
CH2Cl2(4mL)がInt-3(0.089g、0.15mmol)とPhCH=N(2,5-Me2-C6H3)(0.032g、0.15mmol)に加えられた。バイアルは密封され一夜65℃まで加熱された。揮発物を蒸発させ、残留物がEt2O(5mL)で抽出され、ろ過された。この溶液を1.5mLまで濃縮し、一夜で結晶性の固体として生成物C4を得た。収量0.018g、16% 1HNMRデータは生成物がコンフォメーショナルジアステレオマーの複雑な混合物であることを示す。単離された生成物と水との反応によりジアミンL4(1HNMRスペクトル分析による)がきれいに得られた。
【0119】
3座N-N-N配位子をもつC5の合成(本発明による)
トルエン(7mL)とPhCH=N(2,5-Me2-C6H3)(0.0821g、0.392mmol)を混合し透明な黄色溶液を調製した。次にこの溶液は固体のInt-5(0.261g、0.392mmol)に加えられた。この混合物は一夜90℃まで加熱された。反応混合物の一部(約3分の1)がろ過を受け蒸発され白色の固体としてC5が得られた。収量0.114g、36.3% C5のCD2Cl2溶液の1HNMRデータは、生成物がコンフォメーショナルジアステレオマーの複雑な混合物であることを示す。トルエン溶液の残りは水(4mL)で反応が停止された。有機物がEt2O(10mL)で抽出され、分離されMgSO4で乾燥された。ろ過し、揮発物を蒸発させた後ジアミンL4(1HNMRによる)を粘性の強い残留物として得た。収量0.131g、60.3%
【0120】
3座N-N-N配位子をもつC7の合成(本発明による)
配位子L4(79.5mg、0.144mmol)のトルエン(3mL)溶液が固体Zr(NMe2)4(38.4mg、0.144mmol)に加えられ黄色の溶液となった。バイアルが密封され1時間120℃まで加熱された。揮発物を除き、結晶性の残留物を得た。これはトルエン(0.5mL)とヘキサン(4mL)の混合物から結晶化され、無色の結晶として生成物が得られた。収量:70mg、67% 1HNMRは、単一のコンフォーメーショナルジアステレオマーが含まれていることを示す。1HNMR(250MHz、CD2Cl2):δ7.5-6.6(18H)、5.24(1H、s)、4.93(2H、ABカルテット、Δν=146Hz、J=20Hz)、3.91(1H、sept)、3.53(1H、sept)、2.44(3H、s)、2.19(6H、s)、2.09(3H、s)、1.88(6H、s)、1.50(3H、d)、1.4-0.8(18H、重なったマルチプレットと数分子の共結晶化したヘキサン)生成物の同定は単一結晶X-線回折で確認された。
【0121】
塩-メタセシスによるN-N-N配位子(本発明による)をもつC8の合成
ベンゼン(4mL)が錯体C1(111mg、0.147mmol)に加えられ、懸濁液を生成した。次に、Me2Mg(0.94mL、0.163mmol)のEt2O溶液が2-3分かけて滴下された。30分後に揮発物を蒸発させ、残留物がベンゼン(4mL)で抽出された。この溶液はろ過され、減圧下で蒸発を受け、泡状の生成物が得られた。収量:93mg、98% 1HNMRデータは、生成物がコンフォメーショナルジアステレオマーの3:2の混合物であることを示す。スペクトルが複雑であるため、各ジアステレオマーについて、スペクトルは選択された共鳴のみが表されている。1HNMR(250MHz、C6D6):δ含量の多いジアステレオマー:5.79(1H、s)、4.99(2H、ABカルテット、Δν=155Hz、J=20Hz)、0.64(3H、s、Zr-Me)、-0.06(3H、s、Zr-Me);含量の少ないジアステレオマー:5.79(1H、s)、4.89(2H、ABカルテット、Δν=134Hz、J=20Hz)、0.23(3H、s、Zr-Me)、-0.16(3H、s、Zr-Me)
【0122】
重合反応例
一般的な重合反応の手順
米国特許第6,306,658号、米国特許第6,455,316号、米国特許第6,489,168号、WO00/09225及びMurphyら、J.Am.Chem.Soc., 2003, 125, 4306-4317ページ(各刊行物は米国向けに引用により本明細書に十分に組み入れられる)に一般的に記載されているように、エチレン/1-オクテンの共重合反応は並列の加圧反応器で実施された。予め秤量された挿入用のガラスのバイアルと使い捨ての撹拌パドルが反応装置(48個の個別の反応容器を含む)の各反応容器に取り付けられた。この反応装置は、次に閉じられ、各容器はそれぞれ設定温度(普通、50と110℃の間)にまで加熱され、1.38Mpa(200psi)のエチレンの予め設定された圧力にまで加圧された。1-オクテン(100マイクロリットル、637マイクロモル)がバルブを通して各反応器へ注入され、次いで十分な量のトルエンが加えられ、その後の追加を含めて、総反応容量は5mLになった。トルエン中のトリn-オクチルアルミニウム(100マイクロリットル、トルエン中10mM、1マイクロモル)(使用する場合には)が、共触媒/スカベンジャーとして作用するように加えられた。ピリジルアミド触媒Int-3は、本発明によるものではない。触媒C1、C3及びC8は本発明による。
【0123】
反応容器の内容物は次に800rpmで撹拌された。トルエン中の活性化溶液(1.0当量の0.40mMのジメチルアニリニウムテトラキス-ペンタフルオリフェニルボレート(dmah-NCA)又は、トルエン中の100-1000モル当量のメチルアルモキサン(MAO))が次に500マイクロリットルのトルエンと共に反応器へ注入され、続いて触媒のトルエン溶液(トルエン中0.40mM、20-40ナノモルの触媒)とさらにトルエン(500マイクロリットル)が加えられた。当量は触媒錯体中の遷移金属のモル数に対するモル当量に基づき決定される。
【0124】
この反応は、20psiのエチレンが反応により吸収されるまで続けられた(エチレンの圧力は、コンピュータの制御により予め設定された水準で各反応器の中で維持された)。この時点で、反応は圧縮空気で反応器を加圧することにより停止された。重合反応の後、ポリマー生成物と溶媒を含む挿入用ガラスバイアルが加圧セルと不活性気体雰囲気のグローブボックスから取り出され、揮発成分が、高い温度と減圧で、Genevac HT-12遠心分離機とGenevac VC3000D真空エバポレーターを使用して取り除かれた。このバイアルは次に、秤量されポリマー生成物の収量が決定された。得られたポリマーはRapid GPC(下記参照)により分析され分子量が決定され、FT-IR(下記参照)により分析されコモノマーの組み入れが決定され、DSC(下記参照)により融点が決定された。
【0125】
GPCによる種々の分子量に関連する値を決定するために、米国特許第6,491,816号、米国特許第6,491,823号、米国特許第6,475,391号、米国特許第6,461,515号、米国特許第6,436,292号、米国特許第6,406,632号、米国特許第6,175,409号、米国特許第6,454,947号、米国特許第6,260,407号、米国特許第6,294,388号(これらの各刊行物は、米国向けに引用により本明細書に全て組み入れられる。)に一般的に述べられているようにして、高温サイズ排除クロマトグラフィーが、自動”Rapid GPC”システムを用いて行われた。この装置は一連の3本の30 cm x 7.5 mm線形カラムであり、それぞれはPLゲル 10um、MixBを含んでいる。このGPCシステムは580-3,390,000 g/molの範囲のポリスチレン標準品を用いて校正された。このシステムは、溶出速度2.0mL/分、165℃のオーブン温度で稼動された。1,2,4-トリクロロベンゼンが溶出液として使用された。このポリマーのサンプルは1,2,4-トリクロロベンゼンに0.1-0.9 mg/mLの濃度で溶解された。250μLのポリマー溶液がこのシステムに注入された。溶出液中のポリマーの濃度は蒸発型光散乱検出器を用いてモニターされた。得られた分子量は線状ポリスチレン標準品との相対値である。
【0126】
示差走査熱量測定(DSC)がポリマーの融点を決定するためにTA-Q100装置で行われた。サンプルが220℃で15分間、予め焼きなましされ、次に一夜かけて室温にまで冷却された。このサンプルは、次に220℃まで100℃/分の速度で加熱され、50℃/分の速度で冷却された。融点は、加熱中に決定された。ポリマーに取り込まれた1-オクテンとエチレンの比率(重量%)は、反射モード(reflection mode)で Bruker Equinox 55 + IR の迅速FT-IR 分光分析により決定された。サンプルは蒸着技術により薄いフィルム形に調製された。1-オクテンの重量パーセントは1378と4322cm-1のピーク高さの比率から得られた。本法は、一組の既知の範囲の重量% 1-オクテン含有率の範囲内のエチレン/1-オクテンコポリマーを用いて校正された。
【0127】
実施例1.Int-3とClを用いたエチレンと1-オクテン混合物の重合反応
重合反応は上記のように、並列の加圧反応装置で行われたが、具体的には以下のようである。MAO活性化剤(触媒当たり1000当量)が1重量%のトルエン溶液として加えられた。触媒濃度は0.00800mM(40ナノモルの触媒が使用された)であった。トリアルキルアルミニウム捕捉剤は使用されなかった。データは表1に示されている。触媒C1はPhCH=NPhとInt-3の反応により形成される。示されたデータはC1が50と100℃の間の温度でInt-3よりもエチレン-オクテンコポリマーの形成に対し高い活性を有していることを示している。このC1触媒は、また(Int-3よりも)小さいMw/Mnをもつ低分子量のポリマーを形成する。触媒Int-3は本発明にはよらない。触媒C1は本発明による。
【表1】

【0128】
実施例2:Int-3とC3を用いたエチレンと1-オクテンの重合反応
重合反応は先に述べたように並列の加圧反応器で行われたが、具体的には以下のようである。MAO活性化剤(触媒1当量当たり1000当量)が1重量%のトルエン溶液として加えられた。触媒濃度は、0.00800mM(40ナノモルの触媒が使用された)であった。トリアルキルアルミニウムは使用されなかった。データは、表2に示されている。触媒C3はPhCH=NiPrと触媒Int-3の反応により形成された。このデータはC3が50℃でInt-3よりもエチレン-オクテンコポリマーの形成について高い活性を有し、より高い温度では活性が低いことを示している。触媒Int-3は本発明によるものではない。触媒C3は本発明による。
【表2】

【0129】
実施例3:C8を用いたエチレンと1-オクテンの重合反応
重合反応は先に述べたように並列の加圧反応器で行われたが、具体的には以下のようである。イソヘキサンが溶媒として使用された。N,N-ジメチルアニリニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(dmah-NCAとして略される)活性化剤(触媒1当量当たり1.0当量)が20mMトルエン溶液として加えられた。触媒濃度は、0.00400mMであった(20nanomolの触媒が使用された)。トリ-n-オクチルアルミニウム(イソヘキサンの0.100mLの0.010M溶液)がスカベンジャーとして使用された。データが表3に示されている。記載されたデータは、非配位性アニオン活性化剤dmah-NCAを伴うC8はエチレン、1-オクテン混合物の重合反応の活性な触媒であることを示す。
【表3】

【0130】
C1、C2、C3とC5を使用したプロピレンの重合反応
本重合反応は上記のエチレン-オクテン重合反応に類似の方法で並列の加圧反応器で行われた。しかし、具体的には以下のとおりである。イソヘキサンが溶媒として使用された。プロピレン(1.0mL)が1-オクテンの代わりに使用された。総容量は5.10mLであった。MAO活性化剤(触媒当量当たり700当量)が1重量%トルエン溶液として加えられた。触媒濃度は0.01600mM(80ナノモルの触媒が使用された)であった。トリアルキルアルミニウムスカベンジャーは使用されなかった。反応は20分間進行した。データは表4に示されている。示されたデータによれば、MAO活性化剤を伴うピリジルジアミド錯体C1、C2、C3及びC5はプロピレンの重合反応の活性な触媒である。
【表4】

【0131】
本明細書に記載された全ての文書は、いずれの優先権に関する文書及び/又は試験手順を含め、引用により本文と齟齬がない範囲内で本明細書に組み入れられる。先の一般的な記述と具体的態様から明らかなように、発明の形態が説明されたが、種々の修飾を発明の本質と範囲から逸脱せずに行うことができる。従って、本発明をそれらによって限定する意図はない。同様に、用語comprisingはオーストラリアの法については用語includingと同義語である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)をもつアルケン重合反応で使用されるピリジルジアミド遷移金属錯体であり
【化28】

ここで、Mは、第3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12族金属であり、
Zは、-(R14)pC-C(R15)q-であり、
R14とR15は、水素、ヒドロカルビル(例えばアルキル)及び置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、隣接するR14とR15基は結合して芳香族又は飽和の、置換又は非置換のヒドロカルビル環を形成しても良く、当該環は5,6,7又は8個の環の炭素原子を有し、この環上の置換基は結合して追加の環を形成でき、
pは0、1または2であり、かつ
qは0、1または2であり、
R1とR11は、ヒドロカルビル(例えばアルキルとアリール)、置換ヒドロカルビル(例えば、ヘテロアリール)とシリル基からなる群から独立して選択され、R2とR10は、ぞれぞれ、独立して、-E(R12)(R13)-であり、Eは、炭素、ケイ素又はゲルマニウムであり、各R12とR13は水素、ヒドロカルビル(例えばアルキル、アリール)、アルコキシ、シリル、アミノ、アリーロキシ、置換ヒドロカルビル(例えばヘテロアリール)、ハロゲン、及びホスフィノからなる群から独立して選択され、R12とR13は結合して、飽和の、置換された又は非置換のヒドロカルビル環を形成しても良く、ここで、当該環は、4、5、6又は7個の環の炭素原子を有し、そしてこの環上の置換基は結合して追加の環を形成することができ、または、R12とR13は結合して飽和のヘテロ環、または飽和の置換されたヘテロ環を形成しても良く、この環上の置換基は結合して追加の環を形成でき、
R3、R4、R5は水素、ヒドロカルビル(例えば、アルキルとアリール)、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン、アミノ及びシリルからなる群から独立して選択され、隣接するR基(R3とR4、及び/又はR4とR5)が結合して置換された、又は非置換のヒドロカルビル又はヘテロ環を形成しても良く、当該環は5、6、7または8個の環の原子を有し、この環上の置換基は結合して追加の環を形成でき、
Lはアニオン性脱離基であり、L基は同一又は異なっても良く、いずれか2個のL基は結合してジアニオン性の脱離基を形成しても良い。
nは0、1、2、3または4であり、
L’は中性のルイス塩基であり、
wは0、1、2、3または4である、ピリジルジアミド遷移金属錯体。
【請求項2】
MがTi、ZrまたはHfであり、及び/またはZは3個の隣接する原子の鎖によりNR11を当該錯体の残部と架橋する置換されたアリール基であり、この3個の隣接する原子うち2個は、置換されたフェニル環の隣接する炭素であり、3個目はこれらの2個の炭素のうち1個と共有結合をしているものである、請求項1の錯体。
【請求項3】
請求項1又は2の錯体であり、Zはアリール基であり、当該錯体は一般式IVの錯体であり、
【化29】

R6、R7、R8及びR9は、水素、ヒドロカルビル(例えば、アルキルとアリール)、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ及びシリルからなる群から独立して選択され、対になった位置にあり、ここで隣接するR基(R6とR7、及び/又はR7とR8及び/又はR8とR9)は結合して飽和の、置換された又は非置換のヒドロカルビル又はヘテロ環を形成しても良く、当該環は、5、6、7または8個の炭素原子を有し、当該環上の置換基は結合して追加の環を形成でき、M、L、L’、w、n、R1、R2、R3、R4、R5、R10及びR11は請求項1で定義したとおりである、錯体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの請求項の錯体であって、上記R1とR3からR9は及び/またはR11からR15は、30個以下の炭素原子、特に2から20個の炭素原子を含むものである、錯体。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかの請求項の錯体であって、Eは炭素であり、R1とR11は、F、Cl、Br、I、CF3、NO2、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ヒドロカルビル(例えば、アルキルとアリール)及び置換ヒドロカルビル(例えばヘテロアリール)(ただし、1個から10個の炭素を持つ基)を含む0から5個の置換基で種々に置換されたフェニル基から独立して選択されるものである、錯体。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれかの請求項の錯体であって、Lは、ハライド、アルキル、アリール、アルコキシ、アミド、ヒドリド、フェノキシ、ヒドロキシ、シリル、アリル、アルケニル及びアルキニルから選択され、L’は、エーテル、チオ-エーテル、アミン、ニトリル、イミン、ピリジン及びホスフィンから選択されるものである、錯体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかの請求項のピリジルジアミド錯体を合成する方法であって、式Vで示されるような、別に合成された中間体ピリジルアミド金属錯体のオルト位がメタル化されたアリール基の金属-炭素結合にイミンを形式上挿入することを含み、
【化30】

M、L、L’、w、n、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR11は、請求項1と3で定義されているとおりである、方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかの請求項の錯体を合成する方法であり、式VIに示すように、ピリジルジアミンと金属-アミド又は金属-有機試薬とを反応することを含み、
【化31】

M、L、L’、Z、w、n、R1、R2、R3、R4、R5、R10及びR11は、請求項1で定義されたとおりである、方法。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか請求項の錯体を合成する方法であって、式VIIに示すように、ピリジルジアミンが有機リチウム又は有機マグネシウム試薬を用いて脱プロトン化され、次にこのピリジルジアミド試薬がハロゲン化金属と反応することを特徴とし、
【化32】

M、L、L’、Z、w、n、R1、R2、R3、R4、R5、R10及びR11は、請求項1で定義されたとおりである、方法。
【請求項10】
遷移金属錯体を合成するために使用される、一般式(II)の化合物であるピリジルジアミン化合物であり、
【化33】

ここで、Zは、-(R14)pC-C(R15)q-であり、
R14とR15は水素、ヒドロカルビル(例えばアルキル基)及び置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、隣接するR14とR15基は結合して芳香族または、飽和の、置換または非置換のヒドロカルビル環を形成し、当該環は5、6、7、または8個の環の炭素原子を有し、当該環上の置換基は結合して追加の環を形成することが出来、
pは、0、1または2であり、かつ
qは0、1または2であり、
R1とR11は、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシリル基からなる群から独立して選択され、R2とR10はそれぞれ独立して、-E(R12)(R13)-であり、Eは炭素、ケイ素又はゲルマニウムであり、各R12とR13は水素、ヒドロカルビル(例えば、アルキルとアリール)、置換ヒドロカルビル(例えば、ヘテロアリール)、アルコキシ、シリル、アミノ、アリーロキシ、ハロゲン及びホスフィノからなる群から独立して選択され、R12とR13は結合して、飽和の、置換又は非置換のヒドロカルビル環を形成しても良く、当該環は、4,5,6または7個の環の炭素原子を有し、当該環上の置換基は結合して追加の環を形成でき、又は、R12とR13は結合して飽和のヘテロ環、または飽和の置換されたヘテロ環を形成しても良く、当該環上の置換基は結合して追加の環を形成でき、R3、R4及びR5は水素、ヒドロカルビル(例えばアルキル)、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン、アミノ及びシリルからなる群から独立して選択され、隣接するR基(R3とR4、及び/又はR4とR5)は結合して置換、又は非置換のヒドロカルビル又はヘテロ環を形成しても良く、当該環は5,6,7または8個の環の原子を有し、当該環の置換基は結合して追加の環を形成できるものである、
ピリジルジアミン化合物。
【請求項11】
一般式(III)に示すようにZがアリール基である請求項10の化合物であって、
【化34】

R6、R7、RとR9は水素、ヒドロカルビル(例えばアルキル)、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ及びシリルからなる群から独立して選択され、かつ隣接するR基(R6とR7、及び/又はR7とR8及び/又はR8とR9)は結合して飽和の、置換又は非置換のヒドロカルビル又はヘテロ環を形成しても良く、ここで当該環は5,6、7または8個の環の炭素原子を有し、当該環の置換基は結合して追加の環を形成でき、R1、R2、R3、R4、R5、R10、R11は、請求項1で定義されたものである、化合物。
【請求項12】
一般式VIIIのピリジル誘導体であって、
【化35】

R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、水素、ヒドロカルビル(例えば、アルキル)、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン、アミノ及びシリルからなる群から独立して選択され、及び隣接するR基(R3とR4及び/又はR4とR5、及び/又はR6とR7、及び/又はR7とR8、及び/又はR8とR9)は結合して置換又は非置換のヒドロカルビル又はヘテロ環を形成しても良く、当該環は5,6,7または8個の環の原子を有し、当該環の置換基は結合して追加の環を形成できるものである、ピリジル誘導体。
【請求項13】
一般式(IX)のピリジル誘導体であって、
【化36】

ここで、R1は、ヒドロカルビル(例えば、アルキルとアリール)、置換ヒドロカルビル(ヘテロアリール)、及びシリル基からなる群から独立して選択され、
R2は-E(R12)(R13)-であり、Eは炭素、ケイ素又はゲルマニウムであり、各R12とR13は、水素、ヒドロカルビル(例えばアルキルとアリール)、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、シリル、アミノ、ハロゲン及びホスフィノからなる群から独立して選択され、
R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、水素、ヒドロカルビル(例えばアルキルとアリール)、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン、アミノ及びシリルからなる群から独立して選択され、隣接するR基(R3とR4、及び/又はR4とR5、及び/又はR6とR7、及び/又はR7とR8、及び/又はR8とR9)は結合して置換又は非置換のヒドロカルビル又はヘテロ環を形成し、当該環は5、6、7または8個の環の原子を有し、当該環の置換基は結合して追加の環を形成できるものである、ピリジル誘導体。
【請求項14】
請求項1から6のいずれかの請求項の錯体と、アルモキサン又は非配位性アニオンのような活性化剤又は共触媒を含む触媒系。
【請求項15】
アルケンモノマーを請求項14の触媒と接触させることを含むポリアルケンを合成する重合方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−529051(P2011−529051A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520062(P2011−520062)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/046911
【国際公開番号】WO2010/011435
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】