説明

ピリジン−2−オン化合物およびそれらのドーパミンD3受容体調節剤としての使用

本発明は、一般式(I)の新規なピリジン−2−オン化合物


[式中、Aは、4〜6員炭化水素鎖を表し、その鎖は置換基として1もしくは2個のメチル基を有することができ、1個もしくは2個の炭素原子が酸素、カルボニル基または硫黄によって置き換わっていても良く、その炭化水素鎖は二重結合または三重結合を有していても良く;R、R、RおよびRは特許請求の範囲および説明で引用の意味を有する。]に関するものである。本発明はさらに、化合物Iの互変異体、化合物Iの生理学的に許容される塩および化合物Iの互変異体の生理学的に許容される塩に関するものでもある。本発明はさらに、ドーパミンD受容体拮抗薬もしくは作働薬の影響に応答する疾患を治療するための医薬を製造する上での、一般式(I)の化合物および互変異体の使用、ならびに化合物Iおよび互変異体の生理学的に許容される塩の使用に関するものでもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式Iの新規なピリジン−2−オン化合物に関するものである。これらの化合物は、有用な治療特性を有し、ドーパミンD受容体の調節に応答する障害の治療において特に好適である。
【背景技術】
【0002】
ニューロンは、特にはGタンパク質結合受容体を介してその情報を受け取る。これらの受容体を介して作用を行う物質が多くある。その一つがドーパミンである。ドーパミンおよびそれの神経伝達物質としての生理機能についての所見で確認されているものが、発表されている。ドーパミン作働性伝達物質系の乱れによって、例えば統合失調症、抑鬱症またはパーキンソン病などの中枢神経系の障害が生じる。これらおよび他の障害は、ドーパミン受容体と相互作用する医薬で治療される。
【0003】
1990年までに、ドーパミン受容体の2つのサブタイプ、すなわちDおよびD受容体が薬理的に明瞭に定義された。さらに最近では、第3のサブタイプ、すなわちD受容体が認められており、それは抗精神病薬および抗パーキンソン病薬のいくつかの効果に介在するように思われる(J.C. Schwartz et al., The Dopamine D3 Receptor as a Target for Antipsychotics, in Novel Antipsychotic Drugs, H.Y. Meltzer, Ed. Raven Press, New York 1992, pages 135-144; M. Dooley et al., Drugs and Aging 1998, 12, 495-514, J.N. Joyce, Pharmacology and Therapeutics 2001, 90, p. 231-59 ″The Dopamine D3 Receptor as a Therapeutic Target for Antipsychotic and Antiparkinsonian Drugs″)。
【0004】
ドーパミン受容体は現在、2つのファミリーに分けられており、最初のものはD、DおよびD受容体からなるD群であり、次のものはDおよびD受容体からなるD群である。DおよびD受容体は広範囲に存在するが、対照的にD受容体は位置選択的に発現されるように思われる。従ってそれらの受容体は、辺縁系、中脳辺縁系ドーパミン系の投射領域、特には側坐核で優先的に認められるが、扁桃体などの他の領域でも認められる。この比較的位置選択的な発現のために、D受容体は、副作用の少ない標的と考えられ、選択的Dリガンドが公知の抗精神病薬の特性を有するが、それらのドーパミンD受容体介在による神経系の副作用がないはずであると仮定されている(P. Sokoloff et al., Localization and Function of the D3 Dopamine Receptor, Arzneim. Forsch./Drug Res. 42(1), 224 (1992); P. Sokoloff et al. Molecular Cloning and Characterization of a Novel Dopamine Receptor (D3) as a Target for Neuroleptics, Nature, 347, 146 (1990))。
【0005】
ドーパミンD受容体アフィニティを有するピリジノン化合物が、WO96/02246に開示されている。これら化合物は、D受容体に対して良好なアフィニティを示す。従ってそれらは、中枢神経系の障害の治療に提案される。しかしながら、他の受容体との関係での選択性は満足できるものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明は、選択的ドーパミンD受容体リガンドとして作用する化合物を提供するという目的に基づいたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、下記一般式Iのピリジン−2−オン化合物、化合物Iの互変異体、化合物Iの生理学的に許容される塩、および化合物Iの互変異体の生理学的に許容される塩によって達成される。
【0008】
【化2】

【0009】
式中、
Aは、4〜6員炭化水素鎖であり、それは置換基として1または2個のメチル基を有していても良く、1個もしくは2個の炭素原子が酸素、カルボニル基または硫黄によって置き換わっていても良く、前記炭化水素鎖が二重結合または三重結合を有していても良く;
、Rは互いに独立に、水素、CN、NO、ハロゲン、OR、NR、C(O)NR、O−C(O)NR、SR、SOR、SO、SONR、COOR、O−C(O)R10、COR10、C〜C−アルキル、C〜C−ハロアルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルキニル、C〜C−ハロアルケニル、C〜C−シクロ−アルキル、
互いに独立にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、CN、OH、C〜C−フルオロアルキルまたはハロゲンから選択される1、2または3個の置換基を有していても良い、O、SおよびNから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜6員ヘテロシクリル、
互いに独立にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、OH、CN、C〜C−フルオロアルキルまたはハロゲンから選択される1、2または3個の置換基を有していても良いフェニル、
OR、NR、C(O)NR、O−C(O)NR、SR、SOR、SO、SONR、COOR、O−C(O)R10、COR10、C〜C−シクロアルキル、O、SおよびNから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員ヘテロシクリルおよびフェニル(そのフェニルおよびヘテロシクリルは、互いに独立にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、CN、OH、C〜C−フルオロアルキルまたはハロゲンから選択される1、2または3置換基を有していても良い。)から選択される置換基を有するC〜C−アルキル、
OR、NR、C(O)NR、O−C(O)NR、SR、SOR、SO、SONR、COOR、O−C(O)R10、COR10、C〜C−シクロアルキル、O、SおよびNから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員ヘテロシクリルおよびフェニル(そしてそのフェニルおよびヘテロシクリルは、互いに独立にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、OH、CN、C〜C−フルオロアルキルまたはハロゲンから選択される1、2または3置換基を有していても良い。)から選択される置換基を有するC〜C−アルケニルであり;
、Rは互いに独立に、OR、NR、CN、C〜C−アルキル(OH、C〜C−アルコキシ、ハロゲンまたはフェニルによって1回以上置換されていても良く、そして前記フェニルはC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、OH、CN、C〜C−フルオロアルキルもしくはハロゲンから選択される1、2もしくは3個の置換基を有していても良い。)、またはC〜C−アルケニル、C〜C−アルキニル、C〜C−シクロアルキル、C〜C10−ビシクロアルキル、C〜C10−トリシクロアルキル(列記された最後の5個の基は、ハロゲンもしくはC〜C−アルキルによって1回以上置換されていても良い。)、またはハロゲン、CN、C〜C−アルコキシ、O、SおよびNから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員ヘテロシクリルおよびフェニルであり;前記フェニルおよびヘテロシクリルは互いに独立に、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、CN、C〜C−フルオロアルキルおよびハロゲンから選択される1、2または3個の置換基を有していても良く;
、R、R、RおよびR10は互いに独立に、H、C〜C−アルキル[OH、C〜C−アルコキシまたはフェニル(C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、OH、CN、C〜C−フルオロアルキルもしくはハロゲンから選択される1、2または3個の置換基を有していても良い。)によって置換されていても良い。]またはC〜C−ハロアルキルもしくはフェニル(C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、OH、CN、C〜C−フルオロアルキルまたはハロゲンから選択される1、2または3個の置換基を有していても良い。)であり、
は、COR11基であることもでき;
とRが、それらが結合している窒素と一緒に4、5または6員の飽和または不飽和ヘテロシクリルを形成していても良く;その環は、環員としてO、SおよびNR12(R12は水素またはC〜C−アルキルである。)から選択されるさらに別のヘテロ原子を有していても良く、1、2、3または4個のアルキル基によって置換されていても良く;
11は、水素、C〜C−アルキルまたはフェニル(互いに独立にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、CN、C〜C−フルオロアルキルまたはハロゲンから選択される1、2または3個の基によって置換されていても良い。)である。
【0010】
従って本発明は、一般式Iの化合物、それらの互変異体ならびに化合物Iの生理学的に耐容される塩およびIの互変異体の生理学的に許容される塩に関するものである。
【0011】
本発明はさらに、ドーパミンD受容体拮抗薬または作働薬による影響に応答する障害を治療するための医薬組成物を製造する上での一般式Iの化合物および互変異体の使用、ならびに化合物Iおよび互変異体の生理学的に許容される塩の使用に関するものでもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
ドーパミンD受容体拮抗薬または作働薬の影響に応答する障害には、特には中枢神経系の障害および疾患、特には情動障害、神経症性障害、ストレス障害および身体表現性障害および精神病、特には統合失調症および抑鬱症、さらには腎機能障害、特には糖尿病によって引き起こされる腎機能障害などがある(WO00/67847参照)。
【0013】
本発明によれば、上記の適応症は、少なくとも1種類の一般式Iの化合物、Iの互変異体、化合物Iの生理学的に許容される塩またはIの互変異体の塩を用いることによって治療される。式Iの化合物が1以上の不斉中心を有する場合、エナンチオマーの混合物、特にはラセミ体、ジアステレオマーの混合物、互変異体の混合物を用いることも可能であるが、好ましくは個々の実質的に純粋なエナンチオマー、ジアステレオマーおよび互変異体である。
【0014】
特には互変異体の形態であることができる式Iの化合物は、基RもしくはRのうちの一方もしくは両方がOHまたはNHRであり、Rが上記の意味を有するものである。
【0015】
式Iの化合物および互変異体Iの生理学的に許容される塩、特には生理学的に耐容される酸との酸付加塩を用いることも同様に可能である。好適な生理学的に耐容される有機および無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸塩、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸などのC〜C−アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびトルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、アジピン酸および安息香酸がある。使用可能なさらに別の酸が、文献に記載されている(Fortschritte der Arzneimittelforschung, volume 10, pages 224 et seq., Birkhaeuser Verlag, Basle and Stuttgart, 1966)。
【0016】
この記載および以下の記載でのハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。
【0017】
〜C−アルキル(アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニルなどの基でも同様)は、n〜m個の炭素原子、例えば1〜6個、特には1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基を意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどがある。
【0018】
前記アルキル基は、別の内容が示されていない限り、互いに独立にOH、C〜C−アルコキシ、ハロゲンおよびフェニルから選択される1以上置換基を有することができる。ハロゲン置換基の場合、前記アルキル基は、特には1、2、3または4個のハロゲン原子を有することができ、それら原子は好ましくはαまたはω位の1以上のC原子上にあることができる。この種類の基は、以下においてハロアルキルとも称される。好ましいハロアルキルは、C〜C−フルオロアルキルまたはC〜C−フルオロクロロアルキル、特にはCF、CHF、CFCl、CHF、CHCFである。
【0019】
ヒドロキシ置換アルキルの場合、前記アルキル基は、特には1個のヒドロキシ基を有するものであり、例えばヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエタ−1−イル、2−ヒドロキシプロパ−1−イル、3−ヒドロキシプロパ−1−イル、1−ヒドロキシプロパ−2−イル、2−ヒドロキシブタ−1−イル、3−ヒドロキシブタ−1−イル、4−ヒドロキシブタ−1−イル、1−ヒドロキシブタ−2−イル、1−ヒドロキシブタ−3−イル、2−ヒドロキシブタ−3−イル、1−ヒドロキシ−2−メチルプロパ−3−イル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロパ−3−イルまたは2−ヒドロキシメチルプロパ−2−イル、特には2−ヒドロキシエチルがある。
【0020】
アルコキシ置換アルキルの場合、前記アルキル基は、特には1個のアルコキシ置換基を有する。これらの基は、炭素原子数に応じて、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキルとも称され、例えばメトキシメチル、エタ−キシメチル、2−メトキシエチル、1−メトキシエチル、2−エトキシエチル、1−エトキシエチル、n−プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、n−ブトキシメチル、(1−メチルプロポキシ)メチル、(2−メチルプロポキシ)メチル、CH−OC(CH、2−(メトキシ)エチル、2−(エトキシ)エチル、2−(n−プロポキシ)エチル、2−(1−メチルエトキシ)エチル、2−(n−ブトキシ)エチル、2−(1−メチルプロポキシ)エチル、2−(2−メチルプロポキシ)エチル、2−(1,1−ジメチルエトキシ)エチル、2−(メトキシ)プロピル、2−(エトキシ)プロピル、2−(n−プロポキシ)プロピル、2−(1−メチルエトキシ)プロピル、2−(n−ブトキシ)プロピル、2−(1−メチルプロポキシ)プロピル、2−(2−メチルプロポキシ)プロピル、2−(1,1−ジメチル−エトキシ)プロピル、3−(メトキシ)プロピル、3−(エトキシ)プロピル、3−(n−プロポキシ)プロピル、3−(1−メチル−エトキシ)プロピル、3−(n−ブトキシ)プロピル、3−(1−メチルプロポキシ)プロピル、3−(2−メチルプロポキシ)プロピル、3−(1,1−ジメチルエトキシ)プロピル、2−(メトキシ)ブチル、2−(エトキシ)ブチル、2−(n−プロポキシ)ブチル、2−(1−メチルエトキシ)ブチル、2−(n−ブトキシ)ブチル、2−(1−メチルプロポキシ)ブチル、2−(2−メチルプロポキシ)ブチル、2−(1,1−ジメチルエトキシ)ブチル、3−(メトキシ)ブチル、3−(エトキシ)ブチル、3−(n−プロポキシ)ブチル、3−(1−メチルエトキシ)ブチル、3−(n−ブトキシ)ブチル、3−(1−メチルプロポキシ)ブチル、3−(2−メチルプロポキシ)ブチル、3−(1,1−ジメチルエトキシ)ブチル、4−(メトキシ)ブチル、4−(エトキシ)ブチル、4−(n−プロポキシ)ブチル、4−(1−メチル−エトキシ)ブチル、4−(n−ブトキシ)ブチル、4−(1−メチルプロポキシ)ブチル、4−(2−メチルプロポキシ)ブチルまたは4−(1,1−ジメチルエトキシ)ブチル、好ましくはメトキシメチル、エタ−キシメチル、2−メトキシエチル、2−エタ−キシエチル、2−(メトキシ)プロピル、2−(エトキシ)プロピルまたは3−(メトキシ)プロピル、3−(エトキシ)プロピルがある。
【0021】
シクロアルキルは特には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどのC〜C−シクロアルキルである。ビシクロアルキルは、ビシクロ[2.1.0]フェニル、ビシクロ[2.2.0]ヘキシル、ビシクロ[3.1.0]ヘキシル、ビシクロ[3.2.0]ヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチルなどの4〜10個のC原子を有する二環式炭化水素基である。トリシクロアルキルは、例えばアダマンチルなどの6〜10個の炭素原子を有するトリシクロ脂肪族基である。
【0022】
「アルキレン」という用語は基本的には、好ましくは3〜10個、特には3〜8個の炭素原子を有する直鎖または分岐の基を含むものであり、プロパ−1,2−イレン、プロパ−1,3−イレン、ブタ−1,2−イレン、ブタ−1,3−イレン、ブタ−1,4−イレン、2−メチルプロパ−1,3−イレン、ペンタ−1,2−イレン、ペンタ−1,3−イレン、ペンタ−1,4−イレン、ペンタ−1,5−イレン、ペンタ−2,3−イレン、ペンタ−2,4−イレン、1−メチルブタ−1,4−イレン、2−メチルブタ−1,4−イレン、ヘキサ−1,3−イレン、ヘキサ−2,4−イレン、ヘキサ−1,4−イレン、ヘキサ−1,5−イレン、ヘキサ−1,6−イレンなどがある。C−アルキレンは単結合であり、C−アルキレンはメチレンであり、C−アルキレンは1,1−エチレンまたは1,2−エチレンである。
【0023】
〜C−アルケニルは、2、3、4、5または6個のC原子を有するモノ不飽和の直鎖または分岐炭化水素基であり、ビニル、アリル(2−プロペン−1−イル)、1−プロペン−1−イル、2−プロペン−2−イル、メタリル(2−メチルプロパ−2−エン−1−イル)などがある。C〜C−アルケニルは特には、アリル、1−メチルプロパ−2−エン−1−イル、2−ブテン−1−イル、3−ブテン−1−イルまたはメタリルである。
【0024】
〜C−ハロアルケニルは、全てまたは一部(例えば、1、2、3、4もしくは5個)の水素原子がハロゲン原子、特には塩素またはフッ素によって置き換わっている上記で定義のアルケニル基である。
【0025】
〜C−アルキニルは、三重結合を有する2、3、4、5または6個のC原子を有する炭化水素基であり、例えばプロパルギル(2−プロピン−1−イル)、1−メチルプロパ−2−イン−1−イル、2−ブチン−1−イル、3−ブチン−1−イル、2−ペンチン−1−イル、1−ペンチン−3−イルなどがある。
【0026】
5員または6員ヘテロシクリルは、芳香族ヘテロシクリル(ヘタリールまたはヘテロアリール)および完全飽和もしくは部分不飽和ヘテロシクリル基の両方を含む。ヘテロシクリルは、O、SおよびNから選択される1、2または3個のヘテロ原子、例えば1、2もしくは3個の窒素原子、1もしくは2個の酸素原子、または1個の酸素原子および1もしくは2個の窒素原子、または1個の硫黄原子および1または2個の窒素原子を有する。
【0027】
ヘテロシクリルは、未置換であるか、または通常はC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、OH、CN、NR、C〜C−フルオロアルキルおよびハロゲンから選択される1、2または3個の置換基を有することができる。
【0028】
飽和ヘテロシクリルの例には、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、オキソラニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−および1,4−ジオキサニル、1,3−オキソチオラニル、オキサゾリジニルなどがある。
【0029】
O、SおよびNから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する「5員または6員芳香族ヘテロシクリル基」の例は特には、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、イミダゾリル、ピロリル、ピラゾリル、チエニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリルおよびトリアゾリルである。これらは、1、2または3個の上記置換基を窒素原子上および炭素原子上に有していても良い。その置換基の一つがヒドロキシである場合、その基はカルボニル基との互変異型であることもできる。
【0030】
基Aにおいては、2つの結合部位が、好ましくは1,4位、1,5位または1,6位にある。従って、化合物Iにおいては、2−ピリドン残基が好ましくは4、5または6個の原子の鎖によってピペラジン残基から分離されている。鎖Aにおける1個もしくは2個の炭素原子が、酸素、硫黄またはカルボニル基によって置き換わっていても良い。1個もしくは2個の炭素原子が酸素または硫黄によって置き換わっている場合、これらのヘテロ原子は好ましくは、基Aの末端にはなく、特には互いに隣接していない。Aは二重結合もしくは三重結合および/または1個もしくは2個のメチル基を有することもでき、好ましくは飽和である。基Aの例には、CH−CH−CH−CH、CH−CH=CH−CH、CH−C=C−CH、CH−CH(CH)−CH−CHなどがある。
【0031】
本発明の化合物のドーパミンD受容体リガンドとしての使用を考慮すると、可変要素A、R、R、RおよびRは好ましくは、互いに独立に下記で示した意味を有する。
【0032】
は、ハロゲン、OR、NR、C〜C−アルキル(OH、C〜C−アルコキシまたはハロゲンによって置換されていても良い。)またはO、SおよびNから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する芳香族5員もしくは6員ヘテロシクリル(互いに独立にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、CN、OH、C〜C−フルオロアルキルまたはハロゲンから選択される1、2または3個の置換基を有していても良い。)、ならびに互いに独立にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、OH、CN、C〜C−フルオロアルキルもしくはハロゲンから選択される1、2もしくは3個の置換基を有していても良いフェニルである。
【0033】
は特には、置換されていても良いフェニル、ハロゲン、OH、NR、C〜C−アルコキシおよびC〜C−アルキル(OH、C〜C−アルコキシまたはハロゲンによって置換されていても良い。)から、特に好ましくはフェニル、OH、ハロゲン、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキル、C〜C−フルオロアルキルから、特別にはフェニル、OH、メチル、メトキシおよびトリフルオロメチルから選択される。
【0034】
は、水素、ハロゲン、CN、OR、NR、SRおよびC〜C−アルキル(OH、C〜C−アルコキシもしくはハロゲンによって置換されていても良い。)であり、特には水素である。
【0035】
これらのうちで好ましい化合物Iは、基RまたはRのうちの少なくとも一つが水素と異なるものである。特に、化合物Iは、ピリドン環の3、4または6位に水素とは異なる置換基Rを有する。
【0036】
は、C〜C−アルキル、特には3〜6個のC原子を有する分岐アルキルまたはC〜C−シクロアルキル、特に好ましくは3〜6個のC原子を有する3級アルキル、具体的にはtert−ブチルである。
【0037】
は、C〜C−アルキル、(C〜C−シクロアルキル塩素およびメチルから選択される1または2個の置換基を有していても良い。)およびC〜C−フルオロアルキルである。第1の特に好ましい実施形態では、Rは、C〜C−フルオロアルキルまたはC〜C−アルキル、具体的にはトリフルオロメチルまたはn−プロピル、n−ブチル、イソプロピルまたはtert−ブチルなどのC〜C−アルキルである。Rは非常に好ましくは、n−プロピルまたはトリフルオロメチルである。別の特に好ましい実施形態では、Rは、塩素およびメチルから選択される1または2個の置換基を有するC〜C−シクロアルキルであり、特にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたは1−メチルシクロプロピルである。
【0038】
Aは、置換基としての1もしくは2個のメチル基および/または二重結合を有していても良い4員炭化水素鎖であり、特にはブタン−1,4−ジイル、2−メチルブタン−1,4−ジイル、(R)−2−メチルブタン−1,4−ジイル、(S)−2−メチルブタン−1,4−ジイル、2−メチルブタ−2−エン−1,4−ジイル、3−メチルブタ−2−エン−1,4−ジイルおよび3−メチルブタン−1,4−ジイル、(R)−3−メチルブタン−1,4−ジイル、(S)−3−メチルブタン−1,4−ジイル、特に好ましくはブタン−1,4−ジイルである。
【0039】
さらに、基R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は好ましくは、下記に示した意味を有する。
【0040】
は、H、C〜C−アルキル、CF、CHFまたはフェニルである。ORは、特に好ましくはC〜C−アルコキシ、具体的にはメトキシまたはエタ−キシ、トリフルオロメトキシまたはフェノキシである。
【0041】
は、水素またはアルキルである、
は、水素、C〜C−アルキル、フェニル、ベンジルまたは基C(O)R11である。置換基CONRにおいて、好ましくはRはHまたはC〜C−アルキルであり、好ましくはRはH、C〜C−アルキルまたはCOR11である。CONRは特に好ましくは、CONH、CONHCH、CON(CHまたはC(O)NHC(O)CHである。置換基NRにおいて好ましくは、RはH、C〜C−アルキルまたはフェニル−置換C〜C−アルキルであり、RはH、C〜C−アルキルまたはCOR11である。NRは、特に好ましくはNH、NHCH、N(CH、NH−ベンジルまたはNHCOCHである。置換基SONRにおいて、好ましくはRはHまたはC〜C−アルキルであり、好ましくはRはH、C〜C−アルキルまたはCOR11である。SONRは、特に好ましくはスルファモイルである。上記の基において、RおよびRは、それら結合している窒素原子とともに、飽和5員もしくは6員、好ましくは飽和の窒素ヘテロシクリルを形成していても良く、それはN、SまたはOなどのさらに別のヘテロ原子を有していても良く、1、2、3もしくは4個のアルキル基によって置換されていても良い。そのようなヘテロシクリルの例には、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、4−メチルピペラジニルおよび4−メチルピペリジニルがある。
【0042】
は、H、C〜C−アルキル、フェニルまたはベンジルである。置換基SRにおいて、好ましくはRはH、C〜C−アルキル、フェニルまたはベンジルである。置換基SORにおいて、好ましくはRはフェニルまたはC〜C−アルキルである。置換基SOにおいて、好ましくはRはHまたはC〜C−アルキルである。SOは特に好ましくはメチルスルホニルである。
【0043】
は、HまたはC〜C−アルキルである。COORは特に好ましくは、メトキシカルボニル、エタ−キシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、n−ブタ−キシカルボニルまたはt−ブタ−キシカルボニルなどのC〜C−アルコキシカルボニルである。
【0044】
10は、H、C〜C−アルキルまたはフェニルである。COR10は特に好ましくは、ホルミル、アセチル、プロピオニルまたはベンゾイルである。
【0045】
11は、H、C〜C−アルキルまたはフェニルである。COR11は特に好ましくは、ホルミル、アセチル、プロピオニルまたはベンゾイルである。
【0046】
12は、HまたはC〜C−アルキルである。
【0047】
特に好ましい化合物は、下記に示した式Iaのものである。
【0048】
【化3】

【0049】
式中、R、RおよびRは前述の意味を有し、特には好ましいと言及されているものであり;Rは好ましくは、ピリジノン環の3位、4位もしくは5位に配置されている。本発明に従って好ましい化合物Iの例としては、R、RおよびRが下記表1の一つの行に各場合で言及されている意味を有する一般式Iaの化合物である。
【0050】
【表1】













【0051】
特に好ましい化合物はさらに、下記式Ib、Ic、IdおよびIeのものである。
【0052】
【化4】

【0053】
式中、R、RおよびRは、前述の意味を有し、特には好ましいものと言及されているものであり;Rは好ましくは、ピリジノン環の3位、4位または5位に配置されている。本発明に従って好ましい化合物Iの例には、R、RおよびRが表1の一つの行にそれぞれの場合で言及されている意味を有する一般式Ib、Ic、IdおよびIeの化合物がある。式IdおよびIeでメチル基を有する炭素原子は、S配置とR配置の両方を有していても良い。従って、式IdおよびIeは、同一のSまたはR配置を有する化合物と非ラセミ混合物およびラセミ体の両方を含むものである。
【0054】
本発明の化合物Iは、文献から公知の方法と同様にして製造される。本発明の化合物を得る重要な経路を図式1に示してある。
【0055】
【化5】

【0056】
図式1におけるR、R、R、RおよびAは上記の意味を有する。LおよびLは、求核置換可能な脱離基である。好適な求核置換可能な脱離基の例には、ハロゲン(特には、塩素、臭素またはヨウ素)、アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート(メシレート、トシレートなど)がある。LおよびLは好ましくは、互いに異なっており、反応性において異なっている。例えば、Lは臭素またはヨウ素であり、Lは塩素である。その反応に要求される反応条件は、求核置換には普通である反応条件に相当する。
【0057】
一般式IVの化合物は、文献から(例えば、WO96/02519、WO97/25324、WO99/02503またはこれら刊行物に引用されている文献から)公知であるか、そこに記載の方法によって製造することができる。
【0058】
式IIのピリジノン化合物は、公知であるか、場合によっては市販されているか、または例えば、文献(J. Med. Chem. 16(5), 1973, pp. 524-528;J. Org. Chem., 67, 2002, pp. 4304-4308;Bioorg., Med. Chem. Lett, 12, 2002, pp. 3537-3541)に記載のピリジノン合成についての公知の方法によって製造することができる。
【0059】
=SHである化合物Iでは、そのチオール基を、有機化学の標準的な方法によって他の基Rに変換することが可能である。図式2に、概観を提供している。
【0060】
【化6】

【0061】
これに関する方法は当業者には公知であり、アルキル化によるSHのSRへの変換、SRの相当するSORおよびSO基への酸化、SHの酸化的分解によるOH取得と適宜にそれに続くアルキル化もしくはエステル化による基OR、OC(O)NRまたはOC(O)R10の取得を含む。
【0062】
化合物IおよびRがCl、BrまたはIである式IIの原料におけるハロゲン原子は、例えばスズキ反応、スティルカップリングまたはヘック反応の方法で、例えばPd元素またはPd化合物の存在下に、遷移金属触媒反応で、C−結合有機基Rによって置き換えることができる。特には、スズキ条件下に、相当するハロゲン化合物IまたはII(R=Cl、BrまたはI)をホウ酸塩M[アリールB](Mは、アルカリ金属のカチオン、例えばNaであり、アリールは置換されていても良いフェニルである。)と反応させることで、Rが置換されていても良いフェニル環である化合物IおよびピリドンIIを製造することが可能である(Tetrahedron 1997, 53, 1437-50参照)。ハロピリドンIもしくはIIとホウ酸塩との間のこのスズキ交差カップリングの変法は通常、塩化パラジウム(II)などのホスフィンを含まないPd触媒存在下に、そして塩基存在下に、水系溶媒中で行う。好適な塩基の例には、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物がある。ハロピリドンIIおよび前記ホウ酸塩は文献から公知である。
【0063】
別段の断りがない限り、上記反応は、溶媒中にて、室温から使用される溶媒の沸点の間の温度で行う。使用可能な溶媒の例には、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテルまたはテトラヒドロフランなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、アセトンまたはメチルエチルケトンなどのケトン類;またはメタノール、エタノールまたはブタノールなどのアルコール類がある。
【0064】
その反応に必要な活性化のエネルギーは、マイクロ波によって反応混合物に導入することができる(マイクロ波を用いる反応については、Tetrahedron 2001, 57, pp. 9199 et seq., pp. 9225 et seq.,および全般的には″Microwaves in Organic Synthesis″, Andre Loupy (編者), Wiley-VCH 2002を参照する。)。
【0065】
所望に応じて、反応中に放出されたプロトンを中和するために塩基を存在させることができる。好適な塩基には、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムなどの無機塩基などがあり、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエタ−キシドなどのアルコラート類、水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物類、ブチルリチウムもしくはアルキルマグネシウム化合物などの有機金属化合物またはトリエチルアミンもしくはピリジンなどの有機窒素塩基などもある。後者は同時に、溶媒としても働き得る。
【0066】
粗生成物は、例えば濾過、蒸留による溶媒除去または反応混合物からの抽出などの従来の方法で単離される。得られる化合物は、例えば溶媒からの再結晶、クロマトグラフィーまたは酸付加塩への変換によって従来のように精製することができる。
【0067】
その酸付加塩は、適宜に、有機溶媒、例えばメタノール、エタノールもしくはプロパノールなどの低分子量アルコール、メチルtert−ブチルエーテルもしくはジイソプロピルエーテルなどのエーテル、アセトンもしくはメチルエチルケトンなどのケトン、または酢酸エチルなどのエステル中の溶液で、適切な酸と遊離塩基を混合することで従来のように製造される。
【0068】
式Iの本発明の化合物は、D受容体、D受容体、α1−および/またはα2−アドレナリン受容体、ムスカリン受容体、ヒスタミン受容体、オピエタ−受容体などの他の受容体、特にはドーパミンD受容体に対するアフィニティが低いことから、D受容体拮抗薬を含む従来の神経遮断薬より副作用が少ない高選択性ドーパミンD受容体リガンドである。
【0069】
本発明の化合物のD受容体に対する高アフィニティは、通常100nM(nmol/L)未満、非常に多くの場合50nM未満、特には10nM未満の非常に低いイン・ビトロでのK値で反映されている。D受容体への結合アフィニティは例えば、受容体結合試験での[125I]−ヨードスルプリドの置換によって求めることができる。
【0070】
本発明に従って特に重要なものは、選択性K(D)/K(D)が好ましくは少なくとも10、非常に多くの場合少なくとも30、特に有利には少なくとも50である化合物である。D、DおよびD受容体に関する受容体結合試験は、例えば[H]SCH23390、[125I]ヨードスルプリドおよび[125I]スピペロンの置換を介して行うことができる。
【0071】
その化合物は、結合プロファイルのため、ドーパミンDリガンドに応答する状態の治療において用いることができる。すなわちその化合物は、ドーパミンD受容体の影響(調節)が臨床状態における改善または疾患の治癒を生じる障害または状態の治療において有効である。そのような状態の例は、中枢神経系の障害または状態である。
【0072】
中枢神経系の障害または状態とは、脊髄または特には脳に影響を与える障害を意味する。本発明による意味において「障害」という用語は、病的な状態または機能と通常見なされ、それ自体が特定の徴候、症状および/または機能不全の形で現れ得る異常を指す。本発明の治療は、個々の障害、すなわち異常または病的状態に対するものであることができるが、それは本発明に従って治療が可能な、適宜に原因的に関連していることでパターンにまとめられる複数の異常、すなわち症候群である可能性もある。
【0073】
本発明に従って治療可能な障害には、特には精神障害および神経障害などがある。それらは特には、急性外因性型の精神病または器質性もしくは外因性の原因である関連する精神病、例えば代謝障害、感染および内分泌疾患に関連するもの;統合失調症および統合失調症型および妄想性障害などの内因性精神病;抑鬱症、躁病および躁鬱状態などの情動障害;および上記の障害の併発した形態;神経症および身体表現性障害、およびストレス関連の障害;解離性障害、例えば意識の欠乏、混濁および分裂および人格障害;幼児期および青年期に始まる行動障害および情緒障害などの注意および覚醒/睡眠行動の障害、例えば小児期の活動亢進、知的欠陥、特には注意力欠如障害、記憶および認識の障害、例えば学習および記憶障害(認知機能障害)、認知症、発作性睡眠および睡眠障害、例えば下肢静止不能症候群;発達障害;不安状態;譫妄;性生活の障害、例えば男性インポテンス;摂食障害、例えば食欲不振または過食症;耽溺,;および他の定義されない精神障害などの器質性障害、症候性障害を含む。
【0074】
本発明に従って治療できる障害には、パーキンソニズムおよび癲癇、特にはそれらに関連する情動障害などもある。
【0075】
耽溺障害には、医薬または薬物などの向精神剤の乱用によって生じる心理的障害および行動的障害、および例えば強迫性賭博などの他の耽溺障害(他のものに分類されない衝動調節障害)などがある。常習性薬物の例には、オピオイド類(例:モルヒネ、ヘロイン、コデイン);コカイン;ニコチン;アルコール;GABAクロライドチャンネル複合体と相互作用する物質、鎮静剤、睡眠薬または精神安定薬、例えばベンゾジアゼピン類;LSD;カンナビノイド類;3,4−メチレンジオキシ−n−メチルアンフェタミン(エクスタシー)などの精神運動興奮薬;メチルフェニデートまたはカフェインなどの他の刺激剤などのアンフェタミンおよびアンフェタミン様物質がある。特別の注意を必要とする常習性薬物は、オピオイド類、コカイン、アンフェタミンまたはアンフェタミン様物質、ニコチンおよびアルコールである。
【0076】
耽溺障害の治療に関しては、特に好ましい式Iの本発明の化合物は、それ自体は向精神効果を持たないものである。それは、本発明に従って用いることができる化合物の投与後に、向精神剤、例えばコカインの自己投与を減らすラットでの試験で認めることもできる。
【0077】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明の化合物は、原因が少なくとも部分的にドーパミンD受容体の異常活性によるものである可能性がある障害の治療において好適である。
【0078】
本発明の別の態様によれば、治療は特には、適切な医学的治療の意味で、好ましくは外因的に加えられたドーパミンD受容体への結合相手(リガンド)の結合によって影響され得る障害に関するものである。
【0079】
本発明の化合物によって治療可能な状態は非常に多くの場合、漸進的進行を特徴とし、すなわち上記の状態が経時的に変化し、重度は通常は大きくなり、適宜に、状態は交互に現れる可能性があるか、他の状態が以前からの既存の状態に加わる。
【0080】
本発明の化合物は、中枢神経系の障害、特には上記の状態に関連する多くの徴候、症状および/または機能不全を治療するのに用いることができる。それには例えば、現実に対する歪んだ関係、通常の社会規範および生活上の要求に従う洞察および能力の欠如、行動上の変化、空腹、睡眠、口渇などの個人的衝動および気分における変化、記憶および関連の障害、人格変化、特には情動不安定、幻覚、自我障害、滅裂、両価性、自閉症、離人症または幻覚、妄想観念、断続言語、連合運動の欠如、小股歩行、胴体および四肢の傾斜姿勢、振戦、仮面様顔貌、単調言語、抑鬱、感情鈍麻、自発性欠如および不決断、連合能力低下、不安、神経興奮、吃音、対人恐怖、パニック障害、依存性関連の禁断症状、誇大症候群、興奮状態および混乱状態、神経不安、運動障害症候群およびチック障害(例:ハンチントン舞踏病)、ジル−ド−ラ−ツレット症候群、眩暈症候群(例:末梢体位性、回転性および前庭性の眩暈)、うつ病、ヒステリー、心気症などがある。
【0081】
本発明による意味での治療には、急性もしくは慢性の徴候、症状および/または機能不全の治療だけでなく、予防的処置(予防)、特には再発もしくは発作の予防も含まれる。治療は対症的であることができ、例えば症状の抑制に向けたものであることができる。それは短期で行うことができ、中期で行うことができ、または例えば維持療法の一環として長期治療であることもできる。
【0082】
本発明の化合物は好ましくは、中枢神経系の障害の治療、特には情動障害;神経障害、ストレス障害および身体表現性障害および精神病の治療、特別には統合失調症および抑鬱の治療において好適である。D受容体に関する高い選択性のため、本発明の化合物は、腎機能障害、特には糖尿病によって引き起こされる腎機能障害の治療にも用いられる(WO00/67847参照)。
【0083】
記載化合物の本発明での使用は、治療の範囲内の方法を含む。それは、治療を受ける個体、好ましくは哺乳動物、特にはヒトまたは農業用動物もしくは家畜に関するものであり、通常は製薬および獣医学分野の実務に従って製剤された有効量の1以上の化合物を投与する。そのような治療が適応であるか否かおよびそれが取る形態は、個々の症例によって決まるものであり、存在する徴候、症状および/または機能不全、ある種の徴候、症状および/または機能不全発症のリスク、ならびに他の因子を考慮する医学的評価(診断)に従うものである。
【0084】
治療は通常、1日1回またはそれ以上、適宜に他の有効成分もしくは有効成分含有薬と一緒もしくは交互に投与することで行って、治療を受ける個体が、好ましくは経口投与で約0.1〜1000mg/kg体重または非経口投与で約0.1〜100mg/kg体重の1日用量の投与を受けるようにする。
【0085】
本発明はまた、個体、好ましくは哺乳動物、特にはヒトまたは農業用動物もしくは家畜の治療用の医薬組成物の製造に関するものでもある。従って、前記リガンドは通常、少なくとも1種類の本発明のリガンドと適宜に別の有効成分とともに製薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物の形態で投与される。それらの組成物は、例えば経口、直腸、経皮、皮下、静脈、筋肉または鼻腔内経路によって投与することができる。
【0086】
好適な医薬製剤の例には、経口粉剤、散布剤、粒剤、錠剤、特にはフィルムコート錠、パステル剤、小袋剤、カシェ剤、糖衣錠、硬および軟ゼラチンカプセルなどのカプセル、坐剤または膣製剤などの固体医薬製剤;軟膏、クリーム、ヒドロゲル、ペーストまたは貼付剤などの半固体医薬製剤;および液剤、乳濁液、特には水中油型乳濁液、懸濁液、例えばローション、注射および注入用製剤、点眼剤および点耳剤などの液体医薬製剤がある。埋め込み投与機器を用いて、本発明の化合物を投与することもできる。さらに、リポソームやミクロスフェアの使用も可能である。
【0087】
この組成物は、本発明の化合物を通常は賦形剤と混合またはそれで希釈することで製造される。賦形剤は、有効成分用の媒体、担体または媒質として働く固体、半固体または液体材料であることができる。
【0088】
好適な賦形剤は、関連する医薬研究書に列記されている。前記製剤はさらに、製薬上許容される担体または潤滑剤;湿展剤;乳化剤および懸濁剤;保存剤;酸化防止剤;抗刺激剤;キレート剤;錠剤コート助剤;乳濁液安定剤;フィルム形成剤;ゲル形成剤;臭気マスク剤;マスク香味剤;樹脂;親水コロイド;溶媒;溶解剤;中和剤;浸透促進剤;顔料;4級アンモニウム化合物;再脂肪剤および過脂肪剤;軟膏、クリームもしくはオイル基剤;シリコーン誘導体;展着助剤;安定剤;滅菌剤;坐剤基剤;結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤もしくはコーティング剤などの錠剤賦形剤;推進剤;乾燥剤;乳白剤;増粘剤;ロウ類;可塑剤;白油などの従来の賦形剤を含むことができる。これに関する配合は、文献(例えば、Fiedler, H.P., Lexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie, Kosmetik and angrenzende Gebietep, 4th edition, Aulendorf: ECV-Editio-Kantor-Verlag, 1996)に記載の専門知識に基づいたものである。
【0089】
下記の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0090】
核磁気共鳴スペクトル特性(NMR)は、百万分の部数単位(ppm)で表現される化学シフト(δ)に関係するものである。H NMRスペクトラムにおけるシフトに関する相対面積は、分子中の特定の機能型における水素原子の数に相当する。多重性に関するシフトの性質は、一重線(s)、広い一重線(s.br.)、二重線(d)、広い二重線(dbr.)、三重線(t)、広い三重線(tbr.)、四重線(q)、五重線(quint.)、多重線(m)として示される。
【0091】
I.製造例
【実施例1】
【0092】
1−(4−{4−[2−tert−ブチル−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]ピペラジン−1−イル}ブチル)−4−メチルピリジン−2(1H)−オン
1.1:1−(4−クロロブチル)−4−メチルピリジン−2(1H)−オン
2−ヒドロキシ−4−メチルピリジン(1.50g、13.75mmol)および炭酸カリウム(1.90g、13.75mmol)のメタノール(13mL)混合物を室温で15分間攪拌し、1−ブロモ−4−クロロブタン(3.54g、20.62mmol)およびスパーテル先端量のヨウ化カリウムをそれに加えた。反応混合物を6時間加熱還流し、室温で12時間攪拌した。水を反応混合物に加え、水系混合物を塩化メチレンで抽出した。有機相の脱水および濾過による乾燥剤除去を行った後に、有機相を減圧下に濃縮した。得られた残留物のシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/CHOH:98:2)によって、1−(4−クロロブチル)−4−メチルピリジン−2(1H)−オン2.0gを得た。
【0093】
H NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm):7.13(1H、d)、6.37(1H、s)、6.02(1H、d)、3.95(2H、t)、3.56(2H、t)、2.17(3H、s)、1.90(2H、5重線)、1.83(2H、5重線)。
【0094】
1.2:1−(4−{4−[2−tert−ブチル−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]ピペラジン−1−イル}ブチル)−4−メチルピリジン−2(1H)−オン
実施例1.1からの1−(4−クロロブチル)−4−メチルピリジン−2(1H)−オン(0.99g、4.96mmol)、2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン(1.36g、4.71mmol;DE19735410に記載の方法に従って製造)およびトリエチルアミン(1.51g、14.87mmol)のジメチルスルホキシド(25mL)溶液を、100℃で5時間攪拌した。水を反応混合物に加え、水系混合物をtert−ブチルメチルエーテルで2回抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で3回、5%クエン酸水溶液で3回抽出した。次に、水相をアルカリ性とし、tert−ブチルメチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機相をNaSOで脱水し、乾燥剤を濾過によって除去した後に濃縮した。得られた油状残留物(1.99g)を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/CHOH:96.5:3.5)によって精製して、標題化合物1.29gを得た。
【0095】
H NMR(500MHz、CDCl)δ(ppm):7.15(1H、d)、6.59(1H、s)、6.34(1H、s)、6.00(1H、d)、3.92(2H、t)、3.70(4H、広いs)、2.50(4H、t)、2.41(2H、t)、2.18(3H、s)、1.80(2H、5重線)、1.57(2H、5重線)、1.33(9H、s)。
【実施例2】
【0096】
1−(4−{4−[2−tert−ブチル−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]ピペラジン−1−イル}ブチル)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2(1H)−オン
2.1:1−(4−クロロブチル)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2(1H)−オン
実施例1.1と同様にして、5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジノール(1.63g、10mmol)を1−ブロモ−4−クロロブタンと反応させることで、標題化合物1.95gを得た。
【0097】
ESI−MS:[M+H]=254.1。
【0098】
2.2:1−(4−{4−[2−tert−ブチル−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]ピペラジン−1−イル}ブチル)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2(1H)−オン
実施例1.2と同様にして、実施例2.1からの1−(4−クロロブチル)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2(1H)−オン(0.65g、2.56mmol)を反応させることで、標題化合物0.39gを得た。
【0099】
H NMR(500MHz、CDCl)δ(ppm):7.66(1H、s)、7.45(1H、d)、6.63(1H、d)、6.58(1H、s)、4.00(2H、t)、3.73(4H、広いs)、2.51(4H、t)、2.43(2H、t)、1.83(2H、5重線)、1.60(2H、5重線)、1.32(9H、s)。
【実施例3】
【0100】
4−(2−tert−ブチル−6−プロピルピリミジン−4−イル)−1−[4−(4−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)ブチル]ピペラジン−1−イウムクロライド
実施例1.2と同様にして、実施例1.1からの1−(4−クロロブチル)−4−メチルピリジン−2(1H)−オン(2.50mmol、0.50g)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−プロピルピリミジン(0.62g、2.38mmol;DE19735410に記載の方法に従って製造)と反応させることで、標題化合物0.74gを得た。
【0101】
ESI−MS:427.5、[M+H]=426.5、213.8。
【実施例4】
【0102】
4−(2−tert−ブチル−6−イソプロピルピリミジン−4−イル)−1−[4−(4−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)ブチル]ピペラジン−1−イウムクロライド
実施例1.2と同様にして、実施例1.1からの1−(4−クロロブチル)−4−メチルピリジン−2(1H)−オン(1.25mmol、0.25g)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−イソプロピルピリミジン(0.31g、1.19mmol;DE19735410に記載の方法に従って製造し)と反応させることで、標題化合物0.38gを得た。
【0103】
ESI−MS:427.4、[M+H]=426.2、213.8。
【実施例5】
【0104】
1−{4−[4−(2−tert−ブチル−6−プロピルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ブチル}−3−メトキシ−1H−ピリジン−2−オン
5.1:1−(4−クロロブチル)−3−メトキシ−1H−ピリジン−2−オン
水素化ナトリウム(20mmol、0.74g、60%品、オイル除去したもの)のN,N−ジメチルホルムアミド(100mL)懸濁液を10℃としたものに、10分間かけて3−メトキシ−1H−ピリジン−2−オン(20mmol、2.00g)のN,N−ジメチルホルムアミド(100mL)溶液を滴下し、混合物を室温で1時間攪拌した。次に、1−ブロモ−4−クロロブタン(20mmol、3.19g)のN,N−ジメチルホルムアミド(40mL)溶液を滴下した。反応混合物を95℃で攪拌した。反応混合物を濃縮した後、残った油状物をジエチルエーテルに懸濁させた。得られた懸濁液を濾過し、濾液を水で3回、次に飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。硫酸ナトリウムでの有機相の脱水を行い、次に乾燥剤を濾過にって除去し、濃縮した。得られた残留物は、O−アルキル化化合物およびN−アルキル化化合物の混合物を含んでいた。残留物のシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/CHOH:0%から2%)によって、標題化合物1.75gを得た。
【0105】
H NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm):6.88(1H、d)、6.60(1H、d)、6.12(1H、t)、4.02(2H、t)、3.81(3H、s)、3.57(1H、t)、3.44(1H、t)、2.02〜1.72(4H、m)。
【0106】
5.2:1−{4−[4−(2−tert−ブチル−6−プロピルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ブチル}−3−メトキシ−1H−ピリジン−2−オン
実施例5.1からの1−(4−クロロブチル)−3−メトキシ−1H−ピリジン−2−オン(0.93mmol、0.20g)、2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−プロピルピリミジン(0.93mmol、0.24g;DE19735410に記載の方法に従って製造)、臭化ナトリウム(4.64mmol、0.48g)、エチルジイソプロピルアミン(9.09mmol、1.17g)およびN−メチルピロリジノン(0.5mL)の混合物を120℃で6時間加熱した。得られた懸濁液を吸引濾過し、濾液を濃縮した。このようにして得られた残留物を酢酸エチル/水に取った。水系混合物を重炭酸ナトリウムでpH5.5に調節し、水系混合物をジエチルエーテルで数回抽出した。有機相を脱水し、乾燥剤を濾過によって除去し、有機相を減圧下に濃縮した。残留物のシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/CHOH(0%から2%)によって、標題化合物0.24gを得た。
【0107】
ESI−MS:[M+H]=442.4、221.6。
【実施例6】
【0108】
1−{4−[4−(2−tert−ブチル−6−トリフルオロメチルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ブチル}−3−メトキシ−1H−ピリジン−2−オン
実施例5.2と同様にして、実施例5.1からの1−(4−クロロブチル)−3−メトキシ−1H−ピリジン−2−オン(0.93mmol、0.20g)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン(0.93mmol、0.27g;DE19735410に記載の方法に従って製造)と反応させることで、標題化合物0.25gを得た。
【0109】
ESI−MS:[M+H]=468.2;
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm):7.27(1H、d)、6.80(1H、d)、6.15(11H、t)、4.66(2H、広いs)、3.90(2H、t)、3.57〜3.36(4H、m)、3.17〜2.95(4H、m)、1.64(4H、対称なm)、1.29(9H、s)。
【実施例7】
【0110】
1−{4−[4−(2−tert−ブチル−6−プロピルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ブチル}−3−メチル−1H−ピリジン−2−オン
7.1:1−(4−クロロブチル)−3−メチル−1H−ピリジン−2−オン
実施例1.1と同様にして、3−メチル−1H−ピリジン−2−オン(17.96mmol、2.00g)を1−ブロモ−4−クロロブタンと反応させることで、標題化合物1.98gを得た。ESI−MS:[M+H]=200.05;
H NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm):7.19(1H、d)、7.13(1H、d)、6.10(1H、t)、3.99(2H、t)、3.58(2H、t)、2.16(3H、s)、2.05〜1.75(4H、m)。
【0111】
7.2:1−{4−[4−(2−tert−ブチル−6−プロピルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ブチル}−3−メチル−1H−ピリジン−2−オン
実施例5.2と同様にして、実施例7.1からの1−(4−クロロブチル)−3−メチル−1H−ピリジン−2−オン(1.00mmol、0.20g)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−プロピルピリミジン(1.00mmol、0.26g;DE19735410に記載の方法に従って製造)反応させることで、標題化合物0.19gを得た。
【0112】
ESI−MS:[M+H]=426.4、213.8。
【実施例8】
【0113】
塩酸塩としての4−(2−tert−ブチル−6−プロピルピリミジン−4−イル)−1−[4−(4−クロロ−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)ブチル]−ピペラジン
8.1:4−クロロ−1−(4−クロロブチル)−1H−ピリジン−2−オン
実施例1.1と同様にして、4−クロロピリジン−2−オール(1.54mmol、0.20g)を1−ブロモ−4−クロロブタンと反応させることで、標題化合物0.20gを得た。
【0114】
H NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm):7.20(1H、d)、6.60(1H、s)、6.20(1H、d)、3.94(2H、t)、3.58(2H、t)、1.90(2H、5重線)、1.81(2H、5重線)。
【0115】
8.2:4−(2−tert−ブチル−6−プロピルピリミジン−4−イル)−1−[4−(4−クロロ−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)ブチル]−ピペラジン塩酸塩
実施例5.2と同様にして、実施例8.1からの4−クロロ−1−(4−クロロブチル)−1H−ピリジン−2−オン(0.45mmol、0.10g)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−プロピルピリミジン(0.43mmol、0.11g;DE19735410に記載の方法に従って製造)と反応させることで、標題化合物0.16gを得た。
【0116】
ESI−MS:448.2、446.3、224.6、223.6;
H NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm):7.20(1H、d)、6.60(1H、s)、6.18(1H、d)、6.12(1H、s)、3.95(2H、t)、3.60(4H、広いs)、2.60〜2.33(8H、2.53(2H、t)、2.40(2H、t)を含むm)、1.83〜1.49(6H、m)、1.33(9H、s)、0.97(3H、t)。
【実施例9】
【0117】
塩酸塩としての4−(2−tert−ブチル−6−トリフルオロメチルピリミジン−4−イル)−1−[4−(4−クロロ−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)ブチル]ピペラジン
実施例5.2と同様にして、実施例8.1からの4−クロロ−1−(4−クロロブチル)−1H−ピリジン−2−オン(0.45mmol、0.10g)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン(0.43mmol、0.11g;DE19735410に記載の方法に従って製造)と反応させることで、標題化合物0.12gを得た。
【0118】
ESI−MS:474.2、472.2、237.4、236.6;
H NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm):7.20(1H、d)、6.60(1H、s)、6.58(1H、s)、6.19(1H、d)、3.94(2H、t)、3.68(4H、広いs)、2.47(2H、t)、2.39(2H、t)、1.77(2H、5重線)、1.65(2H+HO、5重線)、1.33(9H、s)。
【実施例10】
【0119】
1−{4−[4−(2−tert−ブチル−6−プロピルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ブチル)−4−ヒドロキシ−1H−ピリジン−2−オン
10.1:1−(4−クロロブチル)−4−ヒドロキシ−1H−ピリジン−2−オン
実施例1.1と同様にして、4−ヒドロキシ−1H−ピリジン−2−オン(18.00mmol、2.00g)を1−ブロモ−4−クロロブタンと反応させることで、標題化合物1.30gを得た。
【0120】
10.2:1−{4−[4−(2−tert−ブチル−6−プロピルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ブチル}−4−ヒドロキシ−1H−ピリジン−2−オン
実施例5.2と同様にして、実施例10.1からの1−(4−クロロブチル)−4−ヒドロキシ−1H−ピリジン−2−オン(2.48mmol、0.50g)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−プロピルピリミジン(2.48mmol、0.65g;DE19735410に記載の方法に従って製造)と反応させることで、標題化合物0.40gを得た。
【0121】
ESI−MS:[M+H]=428.4、214.6;
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm):11.93(1H、広いs)、7.17(1H、d)、6.12(1H、s)、5.95(1H、d)、5.87(1H、s)、3.97(2H、t)、3.62(4H、広いs)、2.63〜2.36(8H、m)、1.81(2H、5重線)、1.66(4H+HO、5重線)、1.33(9H、s)、0.96(3H、t)。
【実施例11】
【0122】
1−{4−[4−(2−tert−ブチル−6−トリフルオロメチルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ブチル}−3−メチル−1H−ピリジン−2−オン
実施例5.2と同様にして、実施例7.1からの1−(4−クロロブチル)−3−メチル−1Hピリジン−2−オン(1.50mmol、0.30g)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン(1.53mmol、0.44g;DE19735410に記載の方法に従って製造)と反応させることで、標題化合物0.34gを得た。
【0123】
ESI−MS:[M+H]=452.2、226.6;
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm):7.50(1H、d)、7.27(1H、d)、7.03(1H、s)、6.11(1H、t)、3.87(2H、t)、3.68(4H、広いs)、2.57〜2.35(6H、2.36(2H、t)を含むm)、1.98(3H、s)、1.62(2H、5重線)、1.43(2H、5重線)、1.25(9H、s)。
【実施例12】
【0124】
1−{4−[4−(2−tert−ブチル−6−トリフルオロメチルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ブチル}−4−ヒドロキシ−1H−ピリジン−2−オン
実施例5.2と同様にして、実施例10.1からの1−(4−クロロブチル)−4−ヒドロキシ−1H−ピリジン−2−オン(1.24mmol、0.25g)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン(1.24mmol、0.36g;DE19735410に記載の方法に従って製造)と反応させることで、標題化合物0.30gを得た。
【0125】
ESI−MS:[M+H]=454.2、227.6;
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm):12.04(1H、広いs)、7.17(1H、d)、6.58(1H、s)、5.95(1H、d)、5.86(1H、s)、3.99(2H、t)、3.71(4H、広いs)、2.52(4H、広いs)、2.43(2H、t)、1.82(2H、5重線)、1.77〜1.51(2H+HO、m)、1.35(9H、s)。
【実施例13】
【0126】
1−{4−[4−(2−tert−ブチル−6−トリフルオロメチルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ブチル}−3−トリフルオロメチル−1H−ピリジン−2−オン
13.1:1−(4−クロロブチル)−3−トリフルオロメチル−1H−ピリジン−2−オン
実施例1.1と同様にして、3−トリフルオロメチル−1H−ピリジン−2−オン(6.13mmol、1.00g)を1−ブロモ−4−クロロブタンと反応させることで、標題化合物1.10gを得た。ESI−MS(N−アルキル):[M+H]=254.1;
H NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm):7.73(1H、d)、7.47(1H、d)、6.24(1H、t)、4.03(2H、t)、3.60(2H、t)、1.95(2H、q)、1.82(2H、q)。
【0127】
ESI−MS(O−アルキル):[M+Na]=276.1、256.1、[M+H]=254.1。
【0128】
13.2:1−{4−[4−(2−tert−ブチル−6−トリフルオロメチルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ブチル}−3−トリフルオロメチル−1H−ピリジン−2−オン
実施例5.2と同様にして、実施例13.1からの1−(4−クロロブチル)−3−トリフルオロメチル−1H−ピリジン−2−オン(0.59mmol、0.15g)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン(0.59mmol、0.17g;DE19735410に記載の方法に従って製造)と反応させることで、標題化合物0.17gを得た。
【0129】
ESI−MS:[M+H]=506.2、253.6;
H NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm):7.75(1H、d)、7.50(1H、d)、6.68(1H、s)、6.22(1H、t)、4.01(2H、t)、3.68(4H、広いs)、2.51(4H、広いs)、2.43(2H、t)、1.84(2H、5重線)、1.72〜1.46(2H+HO、広いs)、1.33(9H、s)。
【実施例14】
【0130】
1−{4−[4−(2−tert−ブチル−6−プロピルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ブチル}−3−トリフルオロメチル−1H−ピリジン−2−オン
実施例5.2と同様にして、実施例13.1からの1−(4−クロロブチル)−3−トリフルオロメチル−1H−ピリジン−2−オン(0.59mmol、0.15g)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−プロピルピリミジン(0.59mmol、0.16g;DE19735410に記載の方法に従って製造)と反応させることで、標題化合物0.15gを得た。
【0131】
ESI−MS:[M+H]=480.2、240.6;
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm):8.04(1H、d)、7.91(1H、d)、6.43(1H、s)、6.35(1H、t)、3.97(2H、t)、3.57(4H、広いs)、2.56〜2.27(6H、2.33(2H、t)を含むm)、1.74〜1.55(4H、m)、1.45(2H、5重線)、1.25(9H、s)、0.90(3H、t)。
【実施例15】
【0132】
フマル酸塩としての4−(2−tert−ブチル−6−プロピルピリミジン−4−イル)−1−[4−(2−オキソ−4−トリフルオロメチル−2H−ピリジン−1−イル)ブチル]ピペラジン
15.1:1−(4−クロロブチル)−4−トリフルオロメチル−1H−ピリジン−2−オン
実施例1.1からの製造方法と同様にして、4−トリフルオロメチル−1H−ピリジン−2−オン(3.07mmol、0.50g)を1−ブロモ−4−クロロブタンと反応させることで、標題化合物を収量0.45gで得た。
【0133】
15.2:フマル酸塩としての4−(2−tert−ブチル−6−プロピルピリミジン−4−イル)−1−[4−(2−オキソ−4−トリフルオロメチル−2H−ピリジン−1−イル)ブチル]−ピペラジン
実施例5.2からの製造方法と同様にして、1−(4−クロロブチル)−4−トリフルオロメチル−1H−ピリジン−2−オン(0.63mmol、0.16g)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−プロピルピリミジン(0.60mmol、0.16g、DE19735410に従って製造)と反応させることで、標題化合物を収量0.24gで得た。ESI−MS:[M+H]=480.25,240.65;
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm):7.96(1H、d)、6.76(1H、s)、6.47(1H、m)、6.44(1H、s)、3.96(2H、t)、3.56(4H、s)、2.58〜2.23(8H、m)、1.74〜1.38(6H、m)、1.25(9H、s)、0.89(3H、t)。
【実施例16】
【0134】
フマル酸塩としての4−(2−tert−ブチル−6−トリフルオロメチルピリミジン−4−イル)−1−[4−(2−オキソ−4−トリフルオロメチル−2H−ピリジン−1−イル)ブチル]ピペラジン
実施例1.2での製造方法と同様にして、1−(4−クロロブチル)−4−トリフルオロメチル−1H−ピリジン−2−オン(0.63mmol、0.16g)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−トリフルオロメチルピリミジン(0.60mmol、0.17g、DE19735410に従って製造)と反応させることで、標題化合物を収量0.12gで得た。
【0135】
ESI−MS:[M+Na]=528.2、507.2、[M+H]=506.1、253.6。
【実施例17】
【0136】
フマル酸塩としての4−(2−tert−ブチル−6−プロピルピリミジン−4−イル)−1−[4−(5−クロロ−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)ブチル]−ピペラジン
17.1:5−クロロ−1−(4−クロロブチル)−1H−ピリジン−2−オン
実施例1.1と同様にして、5−クロロ−1H−ピリジン−2−オン(15.44mmol、2.00g)を1−ブロモ−4−クロロブタンと反応させることで、標題化合物1.63gを得た。ESI−MS:[M+H]=221.9、220.9、219.9。
【0137】
17.2:フマル酸塩としての4−(2−tert−ブチル−6−プロピルピリミジン−4−イル)−1−[4−(5−クロロ−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)ブチル]−ピペラジン
実施例1.2からの方法と同様にして、5−クロロ−1−(4−クロロブチル)−1H−ピリジン−2−オン(0.91mmol、0.20g)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−プロピルピリミジン(0.82mmol、0.21g、DE19735410に従って製造)と反応させることで、0.35g収量で得た。
【0138】
ESI−MS:448.2、[M+H]=446.3、244.4、223.6;
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm):7.96(1H、d)、7.46(1H、dd)、6.46〜6.35(2H、m)、3.86(2H、t)、3.58(4H、広いs)、2.45(6H、広いs)、1.63(4H、6重線)、1.43(2H、5重線)、1.24(9H、s)、0.90(3H、t)。
【実施例18】
【0139】
フマル酸塩としての4−(2−tert−ブチル−6−トリフルオロメチルピリミジン−4−イル)−1−[4−(5−クロロ−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)ブチル]ピペラジン
実施例1.2からの方法と同様にして、5−クロロ−1−(4−クロロブチル)−1H−ピリジン−2−オン(0.91mmol、0.20g)および2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−トリフルオロメチルピリミジン(0.82mmol、0.24g、DE19735410に従って製造)を反応させることで、標題化合物を収量0.23gで得た。
【0140】
ESI−MS:474.1、[M+H]=472.1、237.4、236.6;
H NMR(500MHz、DMSO−d)δ(ppm):7.97(1H、s)、7.44(1H、d)、7.04(1H、s)、6.41(1H、d)、3.86(2H、t)、3.70(4H、広いs)、2.44(4H、対称なm)、2.34(2H、t)、1.65(2H、5重線)、1.44(2H、5重線)、1.28(9H、s)。
【実施例19】
【0141】
1−{4−[4−(2−tert−ブチル−6−トリフルオロメチルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ブチル}−4−フェニル−1H−ピリジン−2−オン
19.1:1−(4−クロロブチル)−4−フェニル−1H−ピリジン−2−オン
実施例1.1と同様にして、4−フェニル−1H−ピリジン−2−オン(0.41mmol、71.0mg、文献(Tetrahedron 1997, 53, pp.14437-50)に従って4−クロロ−1H−ピリジン−2−オンから製造)を1−ブロモ−4−クロロブタンと反応させることで、標題化合物34mgを得た。ESI−MS:202.1、[M+H]=200.1。
【0142】
19.2:1−{4−[4−(2−tert−ブチル−6−トリフルオロメチルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ブチル}−4−フェニル−1H−ピリジン−2−オン
実施例1.2からの方法と同様にして、1−(4−クロロブチル)−4−フェニル−1H−ピリジン−2−オン(0.13mmol、34.0mg)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イルトリフルオロメチルピリミジン(0.13mmol、37.5mg、DE19735410に従って製造)と反応させることで、標題化合物を収量12mgで得た。
【0143】
ESI−MS:[M+Na]=536.2、515.2、[M+H]=514.2、257.6;
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm):7.77(1H、d)、7.72(2H、d)、7.53〜7.41(3H、m)、7.03(1H、広いs)、6.66(1H、s)、6.58(1H、d)、3.93(2H、t)、3.70(4H、広いs)、2.41(4H、広いs)、2.33(2H、m)、1.68(2H、5重線)、1.48(2H、m)、1.27(9H、s)。
【実施例20】
【0144】
フマル酸塩としての4−(2−tert−ブチル−6−プロピルピリミジン−4−イル)−1−[4−(6−メチル−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)ブチル]−ピペラジン
20.1:1−(4−クロロブチル)−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン
実施例1.1と同様にして、6−メチル−1H−ピリジン−2−オン(18.33mmol、2.00g)を1−ブロモ−4−クロロブタンと反応させることで、標題化合物0.40gを得た。ESI−MS:202.1、[M+H]=200.1。
【0145】
20.2:フマル酸塩としての4−(2−tert−ブチル−6−プロピルピリミジン−4−イル)−1−[4−(6−メチル−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−ブチル]−ピペラジン
実施例1.2からの方法と同様にして、1−(4−クロロブチル)−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン(0.75mmol、0.15mg)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−プロピルピリミジン(0.67mmol、0.18g、DE19735410に従って製造)と反応させることで、標題化合物を収量0.18gで得た。
【0146】
ESI−MS:427.4、[M+H]=426.4、213.6;
H NMR(500MHz、DMSO−d)δ(ppm):7.24(1H、対称なm)、6.43(1H、s)、6.21(1H、d)、6.06(1H、d)、3.96(2H、t)、3.59(4H、広いs)、2.47(8H、m)、2.37(3H、s)、1.66〜1.49(6H、m)、1.27(9H、s)、0.90(3H、t)。
【実施例21】
【0147】
フマル酸塩としての4−(2−tert−ブチル−6−トリフルオロメチルピリミジン−4−イル)−1−[4−(6−メチル−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)ブチル]ピペラジン
実施例1.2からの方法と同様にして、1−(4−クロロブチル)−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン(0.75mmol、0.15mg)を2−tert−ブチル−4−ピペラジン−1−イル−6−トリフルオロメチルピリミジン(0.68mmol、0.19g、DE19735410に従って製造)と反応させることで、標題化合物を収量0.24gで得た。
【0148】
ESI−MS:[M+H]=452.2、226.6;
H NMR(500MHz、DMSO−d)δ(ppm):7.23(1H、対称なm)、7.03(1H、s)、6.21(1H、d)、6.08(11H、d)、3.96(2H、t)、3.72(4H、広いs)、2.46(4H、m)、2.41〜2.34(5H、m)、1.59(2H、5重線)、1.52(2H、5重線)、1.28(9H、s)。
【0149】
II.医薬投与製剤の例
錠剤
下記組成の錠剤を、従来の方法で打錠機で圧縮する。
【0150】
実施例2の物質40mg
コーンスターチ120mg
ゼラチン13.5mg
乳糖45mg
エアロジル(Aerosil;登録商標)(超顕微鏡的に微細な分布での化学的に純粋なシリカ)2.25mg
ジャガイモデンプン(6%強度のペーストとして)6.75mg。
【0151】
糖衣錠
実施例2の物質20mg
コア組成物60mg
糖衣組成物70mg。
【0152】
コア組成物は、コーンスターチ9部、乳糖3部、ビニルピロリドン/酢酸ビニル60:40コポリマー1部からなる。糖衣組成物は、ショ糖5部、コーンスターチ2部、炭酸カルシウム2部およびタルク1部からなる。このようにして製造された糖衣錠には次に、腸溶コーティングを施す。
【0153】
III.生物学的検討−受容体結合試験
被験物質を、メタノール/Chremophor(登録商標)(BASF−AG)またはジメチルスルホキシドに溶かし、水で希釈して所望濃度とした。
【0154】
III.1.ドーパミンD受容体
混合物(0.250mL)は、安定に発現されたヒトドーパミンD受容体、0.1nM[125I]−ヨードスルプリドおよびインキュベーション緩衝液を加えた(全結合)、または別の試験物質(阻害プロット)もしくは1μMスピペロン(非特異的結合)を加えたHEK−293細胞約10個からの膜からなるものである。3連の混合物について行った。
【0155】
インキュベーション緩衝液は、50mM Tris、120mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl、2mM MgClおよび0.1%ウシ血清アルブミン、10μMキノロン、0.1%アスコルビン酸(毎日新鮮なものを調製)を含むものとした。緩衝液は、HClによってpH7.4に調節した。
【0156】
III.2.ドーパミンD2L受容体
混合物(1mL)は、安定に発現されたヒトドーパミンD2L受容体および0.01nM[125I]−ヨードスピペロンおよびインキュベーション緩衝液を加えた(全結合)、または別の試験物質(阻害プロット)もしくは1μMハロペリドール(非特異的結合)を加えたHEK−293細胞約10個からの膜からなるものであった。3連の混合物について行った。
【0157】
インキュベーション緩衝液は、50mM Tris、120mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl、2mM MgClおよび0.1%ウシ血清アルブミンを含むものとした。緩衝液は、HClによってpH7.4に調節した。
【0158】
III.3.測定および評価
25℃で60分間インキュベーション後、混合物を減圧下に、細胞ハーベスターを用いてワットマン(Whatman)GF/Bガラスファイバーフィルターで濾過した。フィルターを、フィルター移動システムによってシンチレーションバイアル中に移動させた。ウルティマ・ゴールド(Ultima Gold;登録商標)(パッカード(Packard))4mLを加えた後、サンプルを1時間振盪し、放射能をβ−カウンタでカウントした(パッカード)、トリカーブ(Tricarb)2000または2200A)。装置自体のプログラムの助けを得て、標準クエンチシリーズによって、cp値をdpmに変換した。
【0159】
阻害プロットの評価を、ムンソンらの報告(Munson and Rodbard)に記載の「LIGAND」プログラムと同様の統計解析システム(SAS)を用いる反復非線形回帰解析によって行った。
【0160】
これらのアッセイで、本発明の化合物は、D受容体に対して非常に良好なアフィニティを示し(<100nM、非常に多くの場合<50nMおよび特には>10nM)、D受容体に選択的に結合する。
【0161】
結合アッセイの結果を下記表2に示した。
【0162】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iのピリジン−2−オン化合物、
【化1】

[式中、
Aは、4から6員炭化水素鎖(置換基として1または2個のメチル基を有していても良く、内1個もしくは2個の炭素原子が酸素、カルボニル基または硫黄によって置き換わっていても良い。)であり、前記炭化水素鎖が二重結合または三重結合を有していても良く;
、Rは互いに独立に、水素、CN、NO、ハロゲン、OR、NR、C(O)NR、O−C(O)NR、SR、SOR、SO、SONR、COOR、O−C(O)R10、COR10、C〜C−アルキル、C〜C−ハロアルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルキニル、C〜C−ハロアルケニル、C〜C−シクロ−アルキル、
互いに独立にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、CN、OH、C〜C−フルオロアルキルまたはハロゲンから選択される1、2または3個の置換基を有していても良い、O、SおよびNから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4から6員ヘテロシクリル、
互いに独立にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、OH、CN、C〜C−フルオロアルキルまたはハロゲンから選択される1、2または3個の置換基を有していても良いフェニル、
OR、NR、C(O)NR、O−C(O)NR、SR、SOR、SO、SONR、COOR、O−C(O)R10、COR10、C〜C−シクロアルキル、O、SおよびNから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員ヘテロシクリルおよびフェニル(ここでフェニルおよびヘテロシクリルは、互いに独立にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、CN、OH、C〜C−フルオロアルキルまたはハロゲンから選択される1、2または3個の置換基を有していても良い。)から選択される置換基を有するC〜C−アルキル、
OR、NR、C(O)NR、O−C(O)NR、SR、SOR、SO、SONR、COOR、O−C(O)R10、COR10、C〜C−シクロアルキル、O、SおよびNから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員ヘテロシクリルおよびフェニル(ここでフェニルおよびヘテロシクリルは、同様に互いに独立にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、OH、CN、C〜C−フルオロアルキルまたはハロゲンから選択される1、2または3個の置換基を有していても良い。)から選択される置換基を有するC〜C−アルケニルであり;
、Rは互いに独立に、OR、NR、CN、C〜C−アルキル(OH、C〜C−アルコキシ、ハロゲンまたはフェニルによって1回以上置換されていても良く、前記フェニルは同様にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、OH、CN、C〜C−フルオロアルキルもしくはハロゲンから選択される1、2もしくは3個の置換基を有していても良い。)、またはC〜C−アルケニル、C〜C−アルキニル、C〜C−シクロアルキル、C〜C10−ビシクロアルキル、C〜C10−トリシクロアルキル(列記された最後の5個の基は、ハロゲンもしくはC〜C−アルキルによって1回以上置換されていても良い。)、またはハロゲン、CN、C〜C−アルコキシ、O、SおよびNから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員ヘテロシクリルおよびフェニルであり、ここで前記フェニルおよびヘテロシクリルは互いに独立に、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、CN、C〜C−フルオロアルキルおよびハロゲンから選択される1、2または3個の置換基を有していても良く;
、R、R、RおよびR10は互いに独立に、H、C〜C−アルキル[OH、C〜C−アルコキシまたはフェニル(C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、OH、CN、C〜C−フルオロアルキルもしくはハロゲンから選択される1、2または3個の置換基を有していても良い。)によって置換されていても良い。]、またはC〜C−ハロアルキルもしくはフェニル(C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、OH、CN、C〜C−フルオロアルキルまたはハロゲンから選択される1、2または3個の置換基を有していても良い。)であり、ここで
は、COR11基であることもでき;
とRが、それらが結合している窒素と一緒に4、5または6員の飽和または不飽和ヘテロシクリル、(環員としてO、SおよびNR12(R12は水素またはC〜C−アルキルである。)から選択されるさらに別のヘテロ原子を有していても良く、および1、2、3または4個のアルキル基によって置換されていても良い。)を形成していても良く;および
11は、水素、C〜C−アルキルまたはフェニル(互いに独立にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、CN、C〜C−フルオロアルキルまたはハロゲンから選択される1、2または3個の基によって置換されていても良い。)である。]
および化合物Iの互変異体、化合物Iの生理学的に許容される塩、および化合物Iの互変異体の生理学的に許容される塩。
【請求項2】
がC〜C−アルキルであり;Rが、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル(塩素およびメチルから選択される1個もしくは2個の置換基を有していても良い)およびC〜C−フルオロアルキルから選択される請求項1に記載のピリジン−2−オン化合物。
【請求項3】
が、3、4もしくは5個のC原子を有する分岐アルキルまたはC〜C−シクロアルキルである請求項2に記載のピリジン−2−オン化合物。
【請求項4】
がトリフルオロメチルまたはC〜C−アルキルである請求項2または3に記載のピリジン−2−オン化合物。
【請求項5】
がシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたは1−メチルシクロプロピルである請求項2または3に記載のピリジン−2−オン化合物。
【請求項6】
基RまたはRのうちの少なくとも一方が水素以外である請求項1から5のいずれか1項に記載のピリジン−2−オン化合物。
【請求項7】
が、ハロゲン、OR、NR、C〜C−アルキル(OH、C〜C−アルコキシまたはハロゲンによって置換されていても良い。)またはO、SおよびNから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を有する芳香族5員もしくは6員ヘテロシクリル(互いに独立にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、CN、OH、C〜C−フルオロアルキルまたはハロゲンから選択される1、2もしくは3個の置換基を有していても良い。)ならびに互いに独立にC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、NR、OH、CN、C〜C−フルオロアルキルまたはハロゲンから選択される1、2もしくは3個の置換基を有していても良いフェニルから選択される請求項6に記載のピリジン−2−オン化合物。
【請求項8】
がフェニル、OH、塩素、メチル、メトキシおよびトリフルオロメチルから選択される請求項7に記載のピリジン−2−オン化合物。
【請求項9】
が水素である請求項1から8のいずれか1項に記載のピリジン−2−オン化合物。
【請求項10】
Aがブタン−1,4−ジイルである請求項1から9のいずれか1項に記載のピリジン−2−オン化合物。
【請求項11】
生理学的に許容される担体および/または賦形剤と組み合わせても良い、少なくとも1種類の請求項1から10のいずれか1項に記載の化合物および/または該化合物の塩を含む医薬組成物。
【請求項12】
ドーパミンD受容体リガンドによる影響に応答する障害の治療用の医薬組成物を製造する上での、請求項1から10のいずれか1項に記載の化合物および該化合物の薬理上許容される塩の使用。
【請求項13】
中枢神経系障害の治療用の医薬組成物を製造する上での、請求項1から10のいずれか1項に記載の化合物および該化合物の薬理上許容される塩の使用。
【請求項14】
統合失調症および/または抑鬱症を治療するための請求項13に記載の使用。

【公表番号】特表2008−501663(P2008−501663A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513871(P2007−513871)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006001
【国際公開番号】WO2005/118571
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(502104228)アボット ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー (89)
【Fターム(参考)】