説明

ピークパワーモニター装置、およびピークパワーのモニター方法

【課題】
パルス光のピークパワーの状態をリアルタイムにモニターできる、ピークパワーモニター装置およびピークパワーのモニター方法を提供する。
【解決手段】
測定対象であるレーザーパルス光を2つの光に分波する分波器と、分波された2つの光をそれぞれ受ける、第1光検出器および第2光検出器と、信号演算処理器と、出力器と、を有し、前記第1光検出器は1光子吸収を利用して受けた光のエネルギーを第1信号に変換するとともに、前記第2光検出器は2光子吸収を利用して受けた光のエネルギーを第2信号に変換しており、前記信号演算処理器は、前記第2信号を前記第1信号で除した商を求め、前記商より前記パルス光のピークパワーの状態を表す演算機能を有しており、前記パルス光のピークパワーの状態を表す信号を、前記出力器に出力しモニターすることを特徴とするピークパワーモニター装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーパルス光におけるピークパワーの状態を、実質的にリアルタイムにモニターできるピークパワーモニター装置、およびピークパワーのモニター方法に関する。特に、光ファイバーを含むレーザー発生装置に有用な、ピークパワーモニター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザーパルス光の利用に際して、その特性をモニターすることは重要である。特に、レーザーパルス光の特性を、リアルタイムにモニターできることは有用である。レーザーパルス光の特性としては、例えば、パルス光の時間幅やパルス光のピークパワーなどがある。レーザーパルス光において、その時間幅が短かくなると、ピークパワーが大きくなり、そのピークパワーの2乗に比例して、非線形現象が起こりやすくなる。
【0003】
例えば、非線形現象を利用する2光子顕微鏡には、フェムト秒超短パルスの高出力ポンプレーザーが用いられる。このレーザーからの光をファイバーによって導く場合、所定の位置で非線形現象を起こさせるために、当該位置でのパルス光の時間幅が最短になるように、レーザーの発生条件を速やかに調整したい、という要求がある。
【0004】
また、レーザー発生装置の発振器の状態が変化したり、ファイバーを取り替えたりした場合も、パルス光の時間幅が常に最短になるように、ピークパワーをモニターできることは重要である。レーザー発生装置の調整時や分散測定時に、パルス光の時間幅やピークパワーを、リアルタイムにモニターできることは有用である。特に、パルス光のモニター装置を、レーザー発生装置のフィードバック機構と組み合わせれば、効果的である。
【0005】
ここで、レーザー光の一例として、モード同期によるパルス光の発生について、簡単に説明する。
レーザー光のスペクトルは多数の縦モードから構成され、この多数の縦モードは通常レーザーの発振器の中を光が往復する時間の逆数に相当する周波数だけ離れている。多数の縦モードにおける各モードの位相が全く無関係な場合は、レーザー光の出力は時間的に不規則な変動を示す。もし、各モードの位相が揃う、すなわちモード同期の状態になると、短い時間幅のパルス光が、所定の時間間隔で次々と放出されるようになる。このとき、パルス光の時間幅(Δt)は、レーザー光のスペクトル周波数幅(Δν)の逆数(1/Δν)程度まで狭くすることができる。例えば、パルス光がガウス波形の場合、時間幅とスペクトル幅の積は、Δt×Δν=0.44 になる。
【0006】
つぎに、パルス光の時間幅の測定方法について、簡単に説明する。
フェムト秒オーダーのパルス光はその時間幅が非常に短く、例えフォトダイオードとオシロスコープを用いたとしても、それらの時間分解能よりパルス光の時間幅が短いので、直接的に測定することができない。そこで、非線形光学素子を用いた非線形相関法が提案されている。この非線形相関法は、測定するパルス光を2つに分けて、それぞれの光路長に差をつけて、一方のパルス光に遅延を発生させ、それを第2高調波結晶(SHG結晶)に入射させ、発生する第2高調波を用いて、2つのパルス光の重なりを測定する方法である。この測定方法は、マイケルソン干渉計を利用しており、図10に示したオートコリレータ装置で実施できる。
【0007】
図10に示したオートコリレータ装置1000では、測定されるレーザーパルス光600は、まずビームスプリッター301によって2つに分けられる。分けられたパルス光の一方は、そのまま通過して光遅延機構のミラー400によって反射され、その後ビームスプリッター301によってその進路を直角方向に変えられて、非線形光学素子であるSHG結晶700に入射する。分けられたパルス光の他方は、ビームスプリッター301によってその進路を直角方向に変えられ、固定されたミラー500によって反射され、その後ビームスプリッター301を通過して、前述のSHG結晶700に入射する。
【0008】
SHG結晶700に入射したパルス光の一部は、波長変換されて第2高調波を生じる。そして、フィルター800によりパルス光の基本波が除去され、第2高調波のみが光検出器900に入射する。この光検出器からは、パルス光のパワーに応じた出力が得られる。
【0009】
非線形結晶によって発生された第2高調波のパワーは、2つのパルス光の重なり具合い、すなわちそれぞれの光路長の差(遅延距離)に比例している。光路長に差を設けることで遅延の生じた2つのパルス光が重ねられると、その重なりが強いほどパルス光のパワーが強くなる。これら2つのパルス光がSHG結晶に入射すると、そのパワーに応じた第2高調波が発生する。その結果、遅延距離と第2高調波のパワーとの関係が求められる。
【0010】
そこで、遅延距離を光速度で除すれば、時間と第2高調波のパワーとの関係が求められる。したがって、第2高調波のパワーを、光路長の差の関数として測定することにより、パルス光の時間幅を推定することができる。さらに、推定されたパルス光の時間幅、繰り返し周波数、1パルス当たりのエネルギーおよびパルス光の平均パワーの値から、パルス光のピークパワーを求めることができる。
【0011】
ここで、図10に示した装置における光遅延機構では、ミラーを機械的に移動させる構造を有しているので、ミラーの移動に時間を要する。そのため、この非線形相関法によるパルス光の時間幅やピークパワーの測定には、少なくとも秒オーダーの時間が必要となる。
【0012】
なお、パルス光の時間幅の測定について、本発明者らは、特開平11−173921号公報にて、「オートコリレータ」を提案した。このオートコリレータでは、光検出器としてアバランシェ・フォトダイオードを備えることで、測定感度を高めている。
【0013】
また、特開2010−093243号公報では、レーザー光の平均強度と波長変換されたレーザー光のパワーとを、同時にかつ個別に計測することを特徴とする「光ピークパワー検出装置」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平11−173921号公報
【特許文献2】特開2010−093243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
先に説明した非線形相関法では、パルス光の時間幅やピークパワーの測定に少なくとも秒オーダーの時間が掛かるので、パルス光の時間幅やピークパワーを実質的にリアルタイムにモニターすることは、不可能であった。
【0016】
また、前述の特開2010−093243号公報に開示された「光ピークパワー検出装置」は、「レーザー光の平均強度と、非線形光学素子を通過しあるいは反射したレーザー光のパワーとを、同時かつ個別に計測」している。具体的には、非線形光学素子が、高調波発生光学素子(非線形光学結晶)や非線形吸収素子である。高調波発生光学素子では、レーザー光を通過させることによって波長変換している。さらに、その実施例では、非線形光学結晶を用いている。
【0017】
この非線形光学結晶の設置にあたっては、同結晶における、偏光方向、角度あるいは温度を最適な状態に調整しないと、第2高調波が効率よく発生されず、光検出器から信号を得ることができない。このため、その調整に手間が掛かるといった不具合があった。もし、非線形光学結晶の角度や温度がわずかにでもずれると、変換効率が大きく変わってしまい、測定精度が著しく劣化してしまう。また、測定系の構成の簡素化が困難であった。
【0018】
さらに、前述の特開2010−093243号公報に開示された「光ピークパワー検出装置」にて、ピークパワーをリアルタイムにモニターしようとすれば、以下のような問題がある。
【0019】
例えば、モード同期ファイバーレーザーなどにおいて、ファイバー中の短パルスレーザーの波長や偏光方向は、常に変化している。ピークパワーのモニター中に、波長が変化したり偏光方向が変化したりすると、それらの値が大きく変化してしまう。したがって、非線形光学結晶を使ってピークパワーを、リアルタイムにモニターすることは困難であった。
【0020】
また、前述の特開平11−173921号公報に開示されたオートコリレータでは、マイケルソン干渉計によって干渉させた光を、2光子吸収を利用した検出器にて電気信号に変換している。
【0021】
本発明の目的は、非線形光学素子やマイケルソン干渉計などを必要とせず、簡素な構成にて、パルス光のピークパワーの状態をリアルタイムにモニターできる、ピークパワーモニター装置およびピークパワーのモニター方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者は、鋭意研究した結果、非線形光学素子による第2高調波やマイケルソン干渉計などによる干渉光を用いなくても、前述の目的を達成できることを見いだした。すなわち、本発明によれば、測定対象であるレーザーパルス光を2つの光に分波して、2光子吸収を利用した光検出および1光子吸収を利用した光検出し、それぞれ得られた信号を演算処理することにより、パルス光のピークパワーの状態をリアルタイムにモニターすることができる。
【0023】
本発明によるピークパワーモニター装置は、
測定対象であるレーザーパルス光を2つの光に分波する分波器と、
分波された2つの光をそれぞれ受ける、第1光検出器および第2光検出器と、
信号演算処理器と、
出力器と、を有し、
前記第1光検出器は1光子吸収を利用して受けた光のエネルギーを第1信号に変換するとともに、前記第2光検出器は2光子吸収を利用して受けた光のエネルギーを第2信号に変換しており、
前記信号演算処理器は、前記第2信号を前記第1信号で除して商を求め、前記商より前記パルス光のピークパワーの状態を表す演算機能を有しており、
前記パルス光のピークパワーの状態を表す信号を、前記出力器に出力しモニターすることを特徴とする。
【0024】
前記パルス光のピークパワーの状態は、前記パルス光のピークパワーの変化である。
【0025】
また、前記パルス光のピークパワーの状態は、前記パルス光のピークパワーであり、
前記信号演算処理器は、予め求めておいた、前記パルス光のピークパワーおよび前記商の関係式から、前記パルス光のピークパワーをモニターするとよい。
【0026】
さらに、前記信号演算処理器は、予め測定した前記パルス光のピークパワーで校正した前記関係式によって、前記パルス光のピークパワーをモニターするとよい。
【0027】
また、前記分波器と前記第2光検出器との間に、集光用レンズを設けるとよい。
【0028】
さらに、前記分波器と前記第1光検出器との間に、集光用レンズを設けるとよい。
【0029】
前記第1光検出器および前記2光検出器におけるパルス光の入力強度比を、1:9〜1:999の範囲とするとよい。
【0030】
前記分波器と前記第1光検出器との間に、可変損失器を設けるとよい。
【0031】
前記第1光検出器は、インジウムガリウムヒ素・フォトダイオードであり、
前記第2光検出器は、シリコンを用いたアバランシェ・フォトダイオードであるとよい。
【0032】
前記第2光検出器は、測定対象であるレーザーパルス光の波長より短い波長の光を発振することができるレーザーダイオードであるとよい。
【0033】
前記分波器は、光ファイバーカプラーであるとい。
【0034】
前記分波器は、ビームスプリッターであるとよい。
【0035】
また、本発明によるピークパワーのモニター方法は、
測定対象であるレーザーパルス光を2つの光に分波する工程と、
分波された2つの光をそれぞれ受ける、第1光検出器および第2光検出器にて、前記第1光検出器は1光子吸収を利用して受けた光のエネルギーを第1信号に変換するとともに、前記第2光検出器は2光子吸収を利用して受けた光のエネルギーを第2信号に変換する工程と、
前記第2信号を前記第1信号で除する商を求め、前記商より前記パルス光のピークパワーの状態を表す演算処理工程と、
前記パルス光のピークパワーの状態を表す信号を、前記出力器に出力しモニターする工程と、を有することを特徴とする。
【0036】
なお、この明細書で、実質的にリアルタイムにモニターできるとは、マイクロ秒オーダーないしミリ秒オーダーでモニターできることをいい、具体的な測定時間としては、10ミリ秒以下であることをいう。また、パルス光のピークパワーの状態とは、パルス光のピークパワーそのものや、ピークパワーの変化などをいう。
【発明の効果】
【0037】
本発明によるピークパワーモニター装置およびピークパワーのモニター方法は、前述したような構成により、検出した信号を演算処理するだけで、パルス光のピークパワーの状態、すなわちピークパワーの変化やピークパワーそのものを、確度よくモニターすることができる。また、マイケルソン干渉計などを必要とせず、機械的に移動する構造を有しないので、パルス光のピークパワーの状態を実質的にリアルタイムにモニターすることができる。
【0038】
また、特開2010−093243号公報の「光ピークパワー検出装置」では、非線形光学素子を必要としていた。しかし、本発明によるピークパワーモニター装置では、非線形光学素子を必要としない。このために、非線形光学素子の調整も不要となり、好ましい。
【0039】
例えば、オートコリレータでは、その光学系において、組み立て時に光軸を正確に調整する必要があるだけではなく、動作時にも光軸の精度が維持されなければならず、装置として非常に高価になっていた。また、非線形光学素子を用いた検出装置では、非線形光学素子の調整機構などを必要とする。
これに対して、本発明によるパルス光のモニター装置では、組み立て時に光検出器にパルス光が正確に入射するように調整すれば、動作時には特に調整を必要としない。また、要求される精度もオートコリレータに比べて高くない。さらに、構成要素も少なくてよい。したがって、安価にパルス光のモニター装置を成立させることができる。
【0040】
本発明によるピークパワーモニター装置をレーザー発生装置に組み込むと、発生させたレーザーパルス光のピークパワーの状態を、リアルタイムにモニターすることができるので、レーザーパルス光の発生条件の最適化を速やかに行うことができる。
また、本発明によるパルス光のモニター装置は、コンパクトに構成できるので、フィールドユースにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態であるピークパワーモニター装置の概略構成図である。
【図2】第2光検出器(SiAPD)における集光の様子を示す図である。
【図3】第2光検出器(LD)における集光の様子を示す図である。
【図4】第1光検出器における集光の様子を示す図である。
【図5】パルス光の入力パワーおよび光検出器の出力値の関係を示したグラフである。
【図6】2光子吸収において、一定の入力パワーに対する、パルス光の時間幅とピークパワーとの関係を示すグラフである。
【図7】2光子吸収において、分散可変器によりパルス光の時間幅を変化させた場合のピークパワーの変化を示すグラフである。
【図8】(P2/P1)およびピークパワーの関係を示すグラフである。
【図9】本発明の別実施形態であるピークパワーモニター装置の概略構成図である。
【図10】オートコリレータの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明によるピークパワーモニター装置およびピークパワーのモニター方法は、パルス光のピークパワーの状態を以下のようにしてモニターしている。
【0043】
まず、パルス光を2つの光に分波した後、それぞれ1光子吸収および2光子吸収を利用して、光検出している。1光子吸収を利用した光検出では、その出力値が入射されるパルス光のパワーに対して一次関数的に比例しており、その出力値はパルス光の平均パワーを反映している。一方、2光子吸収を利用した光検出では、その出力値が入射されるパルス光のパワーに対して二次関数的に比例しており、その出力値はパルス光のピークパワーを反映している(図5を参照のこと)。
【0044】
本発明では、2光子吸収を利用して光検出しているので、第2光検出器にて2光子吸収を生じさせる程度のパルス光を入射させる必要がある。このために、2つの光に分波したパルス光のうち、できるだけ多くを第2光検出器に入射するようにするとよい。このために、所定の強度比で2つの光検出器に入射するようにする。さらに、2光子吸収を利用した第2光検出器では、パルス光をレンズで絞り込んでパワー密度を上げたりするとよい。
【0045】
なお、確度よくピークパワーをモニターするためには、2光子吸収を利用した光検出による出力値(P2)と、1光子吸収を利用した光検出による出力値(P1)との差を、できるだけ大きくすることが好ましい。
【0046】
さらに、本発明によるピークパワーモニター装置およびピークパワーのモニター方法では、非線形光学素子やマイケルソン干渉計などを用いないことも特徴のひとつである。
【0047】
ここで、本発明によるピークパワーモニター装置およびピークパワーのモニター方法における測定原理について説明する。
パルス光のピークパワーの状態を確度よくモニターするためには、パルス光における、平均パワーおよびピークパワーをそれぞれ反映した測定値を、確度よく検出する必要がある。また、パルス光が超短パルス光である場合には、前述したように、そのピークパワーの状態をリアルタイムにモニターすることは、容易なことではない。
【0048】
そこで、本発明によるピークパワーモニター装置およびピークパワーのモニター方法では、まずパルス光における、平均パワーおよびピークパワーをそれぞれ反映した測定値を別々に検出している。そのために、測定対象であるレーザーパルス光を分波器に入力して、2つの光に分波している。そして、分波したパルス光のうち一方のパルス光で、1光子吸収を利用した第1光検出器にて平均パワーを反映した測定値を検出し、他方のパルス光で、2光子吸収を利用した第2光検出器にてピークパワーを反映した測定値を検出している。
【0049】
図1は、本発明によるピークパワーモニター装置の概略構成図である。
ピークパワーモニター装置100は、分波器30と、第1光検出器10と、第2光検出器20と、演算処理器40と、出力器50と、を含んで構成される。
【0050】
分波器30は、入力ポート32より入力されたパルス光60が2つの光に分波するように構成される。分波された2つの光は、それぞれ出力ポート33,34から出力される。図1に示した分波器30は、例えば光ファイバーカプラーにて構成されている。なお、分波器では、パルス光が少なくとも2つの光に分波されればよく、3つ以上の光に分波されていてもよい。しかし、モニター用のパルス光の光量は限られることが多いので、2つの光に分波する分波器が好ましい。
【0051】
第1光検出器10は、出力ポート34からパルス光を受けて、受けたパルス光のエネルギーを第1信号11に変換する。図1に示した例では、第1光検出器10の入射側に、集光のためのレンズ12と、所定の波長域の光をカットするためのフィルター13と、を備えている。
【0052】
第2光検出器20は、出力ポート33からパルス光を受けて、受けたパルス光のエネルギーを第2信号21に変換する。図1に示した例では、第2光検出器20の入射側に、集光のためのレンズ22と、所定の波長域の光をカットするためのフィルター23と、を備えている。
【0053】
信号演算処理器40は、第2光検出器からの第2信号値P2を、第1光検出器からの第1信号値P1で除した商(P2/P1)を求めている。さらに、その商よりパルス光のピークパワーの状態を表す演算処理を行い、演算処理された信号41を出力器50に出力して、パルス光の時間幅の状態をモニターしている。
【0054】
商(P2/P1)よりパルス光のピークパワーの状態を表す処理として最も単純な処理は、商そのものを時系列に表示して、パルス光のピークパワーの変化をモニターすることである。
【0055】
信号演算処理器40は、さらにパルス光のピークパワーの状態を表す処理として、予め求めておいた、パルス光のピークパワーおよび商(P2/P1)の関係式(Y=aX+b)を記憶させておき、この関係式を用いて商(P2/P1)の値から、前記パルス光のピークパワーを換算して出力する処理機能を有することが好ましい。
【0056】
加えて、信号演算処理器40は、予め測定した前記パルス光のピークパワーを用いて、関係式を校正する処理機能を有することが好ましい。具体的には、関係式(Y=aX+b)の傾きaおよび定数項bを校正する。そして、校正された関係式を用いてパルス光のピークパワーを換算すると、より確度よくピークパワーを求めることができる。なお、信号演算処理については、後で詳しく説明する。
【0057】
出力器50は、パルス光のピークパワーの状態を表示する表示器51であったり、パルス光のピークパワーの状態を表す処理信号41を出力する信号出力端子(不図示)であったりする。表示器51は、パルス光のピークパワーの状態を、具体的にピークパワーの数値やピークパワーの変化をグラフで表示する液晶表示パネル等である。信号出力端子は、例えば、レーザー発生装置において、発生条件の最適化を行うために、パルス光のピークパワーの状態を表す処理信号41を出力する。
【0058】
さらに、出力器50には、信号出力端子に加えて、レーザー発生装置から発生条件の信号を受け取る信号入力端子を有していてもよい。このような構成にすると、レーザーの発生条件とともに、パルス光のピークパワーを表示器51に表示することも可能となる。
【0059】
さらに、本発明におけるピークパワーモニター装置およびピークパワーのモニター方法では、パルス光における、平均パワーおよびピークパワーの比率を確度よく検出するために、平均パワーおよびピークパワーが所定の関係にある状態でモニターするとよい。
【0060】
前述したように、第2光検出器では、2光子吸収を利用してパルス光のピークパワーを反映した測定値をモニターしており、その出力値はパルス光のピークパワーに対して二次関数的に比例している。2光子吸収を利用した光検出では、受けるパルス光のパワー密度が高いほど、効率のよい検出が実現できる。
【0061】
そこで、第2光検出器では、受光面におけるパワー密度を高めるために、入射させるパルス光を数μm2の範囲に絞り込むとよい。このために、集光用レンズを備えていることよい。第2光検出器における集光の様子を図2に示す。分波器からのパルス光は、出力ポート33であるファイバーの端部から出射され、コリメートレンズ24によって平行光とされる。そして、集光用レンズ22によって第2光検出器20の受光面に集光される。この集光用レンズとしては、0.1以上の開口数を有していることが好ましい。集光用レンズとしては、球面レンズや組み合わせた球面レンズを始め、非球面レンズ、GRINレンズでもよい。
【0062】
さらに、第2光検出器では、受光面のパワー密度を高めるために、入射させるパルス光がある程度以上のパワーであることが好ましい。具体的には、用いる光検出器にもよるが、例えばアバランシェ・フォトダイオードでは、0.01〜10mWであることが好ましい。
【0063】
加えて、第2光検出器では、フィルター23を備えているとよい。このフィルターとしては、1光子の光しか透過しないように、所定の波長より短い波長の光をカットする特性を有していると好ましい。
【0064】
この2光子吸収を利用した第2光検出器としては、アバランシェ・フォトダイオード(以下、SiAPDともいう)やシリコン・フォトダイオードを採用することができる。SiAPDでは、非線形効果を利用して光検出しているので、光信号から電気信号への変換速度が比較的速い。そのため、光通信等で使われるような時間変化を持つ超短パルス光列であっても、その変化を確度よくモニターすることができる。
【0065】
このSiAPDとしては、1光子吸収に対して感度がなく、2光子吸収に対して感度の高い材料で構成されているとよい。具体的な当該材料として、Si結晶を用いるとよい。Si結晶を用いたSiAPDは、アバランシェ増倍と呼ばれる現象を利用して感度を高めているので、本発明によるピークパワーモニター装置に好適に採用できる。さらに、SiAPDには適切な電気的バイアスを掛けるとよい。
【0066】
また、第2光検出器として、測定対象であるパルス光の波長よりも短い波長で発振することができるレーザーダイオード(LD)のような、導波路型の半導体を採用することもできる。この半導体は、そのバンドギャップが測定対象であるパルス光の波長に対応するエネルギレベルより広いため、1光子吸収に対しては感度がなく、2光子吸収に対して感度を有するので、好ましい。
【0067】
第2光検出器として、導波路型半導体202を用いた例における集光の様子を図3に示す。なお、その他の符号は図2と同様である。このような導波路型半導体では、その構造上、入射した光が導波路内に集中することとなる。導波路内に入射した光は、導波路内を全反射を繰り返して伝搬して、集光された状態で受光面に入射し、効率よく2光子吸収が実現されるので、好ましい。
【0068】
つぎに、第1光検出器では、1光子吸収を利用してパルス光の平均パワーを反映した測定値を検出しており、その出力値はパルス光の平均パワーに対して一次関数的に比例している。そこで、光検出器の受光面には、パルス光を漏れなく入射させることが好ましい。第1光検出器における集光の様子を図4に示す。分波器からのパルス光は、出力ポート34であるファイバーの端部から出射され、レンズ12によって第1光検出器10の受光面の全面に亘って入射するように集光される。なお、第1光検出器10の前には、必要に応じて、所定の波長より短い波長の光をカットする特性を有するフィルター13を設けるとよい。
【0069】
入射させるパルス光のパワーは、用いる光検出器の特性にもよるが、少なくとも1μWが好ましい。この第1光検出器としては、インジウムガリウムヒ素・フォトダイオード(InGaAsPD)を用いることができる。このほか、赤外フォトマルチプラアイヤー、ゲルマニウム・フォトダイオード、PbS光導電素子などを挙げることができる。
【0070】
図5は、パルス光の入力パワーおよび光検出器の出力パワーの関係を、概念的に示したグラフである。前述したように、2光子吸収を利用した第2光検出器では、その出力パワーがパルス光の入力パワーの2乗に比例している。一方、1光子吸収を利用した第1光検出器では、出力パワーがパルス光の入力パワーに正比例している。なお、この図では、簡単のためにノイズレベルを無視している。
【0071】
第2光検出器では、その出力パワーがパルス光のパワーの2乗に比例しているので、パルス光のピークパワーの状態を確度よくモニターするためには、第2光検出器の出力パワーができるだけ大きくなるようにするとよい。そのために、第1検出器ではノイズレベルを超える範囲で、できるだけ小さくなるように、第2光検出器ではできるだけ大きくなるようにするとよい。こうして、第2光検出器の出力パワーと、第1検出器の出力パワーとの差を、できるだけ大きくなるようにする。
【0072】
具体的には、第1光検出器および第2光検出器におけるパルス光の入力強度比が、1:9〜1:999の範囲となるようにするとよい。
例えば、分波器が光ファイバーカプラーにて構成される場合に、このような強度比とするためには、第1光検出器の前に可変損失器を配置する構成とすればよい。
また、分波器がビームスプリッターにて構成される場合に、このような強度比とするためには、第1光検出器の前に可変損失器を配置する構成とすればよい。ビームスプリッターがハーフミラー型の場合、ハーフミラーの透過率を調整するか、反射率可変部分反射ミラーで構成すればよい。
【0073】
このような構成にすることによって、ピークパワーモニター装置において、第1光検出器および第2光検出器は、それぞれ入力に対して適切な感度効率を有した状態とすることができる。
【0074】
以上の説明では、第1光検出器の前に可変損失器を配置するなどして、第1光検出器に入射されるパルス光のパワーを制限していた。例えば、パルス光の繰り返し周波数が小さい場合には、第2光検出器に入射されるパルス光のパワーが大きくなりすぎる虞もある。この場合は、第2光検出器の前に可変損失器を配置するなどしてもよい。
【0075】
一般に、パルス光の時間幅が短くなると、パルス光のピークパワーは増大する関係がある。図6は、2光子吸収を利用した光検出器において、入射するパルス光のパワーを一定とし、パルス光の時間幅を可変分散装置によって変化させ、時間幅およびピークパワーの関係を示すグラフである。グラフから、パルス光の時間幅が短くなるにつれて、ピークパワーが急激に増大することが分かる。
【0076】
また、2光子吸収を利用した光検出器において、同様に、パルス光の時間幅の可変時間とピークパワーとの関係のグラフを、図7に示す。グラフから、パルス光の時間幅が特定の時間付近で、ピークパワーが急激に増大することが分かる。
【0077】
具体的に、パルス光のピークパワーの状態をモニターするには、以下のようにするとよい。
まず予め、入射するパルス光の入力パワーと、平均パワーおよびピークパワーとの関係を、それぞれ調べておく。
【0078】
入射するパルス光の入力パワーは、レーザー発生装置の設定や、分波器の分配比、可変損失器の損失割合などから知ることができる。また、パルス光の繰り返し周波数は、光検出器の信号をオシロスコープで観測することにより測定できる。
【0079】
パルス光の平均パワーは、パワーメーターで規格化された1光子光検出器にて求めることができる。パルス光の時間幅は、オートコリレータにて測定できる。パルス光のピークパワーは、1光子光検出器の出力を、オートコリレータで測定した時間幅と繰り返し周波数の積で除することにより、算出することができる。
【0080】
そこで、繰り返し周波数と平均パワーと時間幅とが予め分かっているレーザー発生装置において、ピークパワーが極大となる状態を保ちつつ、パルス光の入力パワーおよびピークパワーの関係式を求めておく。なお、パルス光のピークパワーが極大となることと、パルス光の時間幅が極小になることとは、実質的に等価である。
【0081】
ここでもし、パルス光の時間幅が広がると、ピークパワーは低下するのだが、関係式が分かっていると、パルス光の時間幅が広がり具合から、ピークパワーの低下量を確度よく推定することができる。
【0082】
パワーメーターで測定したパルス光の平均パワー(P1)を、オシロスコープで測定した繰り返し周波数で除すると、1パルス当たりのエネルギーが求められる。この1パルス当たりのエネルギーを、オートコリレータで測定した時間幅で除すれば、パルス光のピークパワー(P2)が求められる。
【0083】
そうすると、オートコリレータにより測定した時間幅と、算出したピークパワー(P2)を平均パワー(P1)で除した商(P2/P1)の値との間における、関係式が求められる。なお、オートコリレータでは、時間を要するが、パルス光の時間幅を正確に測定することができる。
【0084】
ここで、商(P2/P1)が変化した場合、パルス光のピークパワーは、この関係式を保って変化することとなる。具体例として、平均パワー(P1):2mW、繰り返し周波数:50MHzの場合、1パルスエネルギー:40pJ、時間幅を0.3psとすると、ピークパワー(P2):0.13kWとなる。このとき、(P2/P1)を縦軸とし、パルス光のピークパワーを横軸として、両対数グラフとしたのが図8である。
【0085】
図8から明らかなように、(P2/P1)およびパルス光のピークパワーは直線関係を示しており、一次関数の関係式(Y=aX+b)が求められる。ここで商(P2/P1)が変化すると、パルス光のピークパワーはこの一次関数の関係式で表される直線上を変化することとなる。
【0086】
ここで、関係式を求める方法について説明する。あるレーザー発生装置で発生条件を適宜変更しながら、本発明のピークパワーモニター装置にて((P2/P1)=X)を測定し、パワーメーターとオシロスコープとオートコリレータそれぞれの測定からパルス光のピークパワー(Y)を算出する。こうして得られた複数組の測定値(X,Y)を、関係式(Y=aX+b)に代入すると、傾きaおよび定数項bが求められる。その結果、関係式(Y=aX+b)を定めることができる。
【0087】
こうして得られた関係式をXについて解くと、ピークパワーを求める式(X=(Y−b)/a)が得られる。具体的には、このピークパワーを求める式に測定した(P2/P1)を代入して、パルス光のピークパワーを算出することができる。
このように、予め測定したパルス光のピークパワーを用いて、関係式を校正しておくと、パルス光のピークパワーを確度よく算出し、モニターすることができる。
【0088】
以上説明した信号演算処理は、ソフトウエアによって実現することができる。このソフトウエアは、以下のようなステップを含んでプログラミングされるとよい。
(S1)予め求めておいた関係式(Y=aX+b)の傾きaおよび定数項bを、定数として記憶しておく。
(S2)第2光検出器および第1検出器からの出力信号をA/D変換し、デジタル信号を取り込み、変数として記憶する。
(S3)(P2/P1)を算出し、時間幅を求める式(X=(Y−b)/a)に代入して、時間幅を算出する。
(S4)算出されたピークパワーの値を出力器に出力する。
以下、(S2)〜(S4)を順次繰り返す。
【0089】
以上では、ソフトウエアにて信号演算処理を実行する例を説明したが、これに限られることなく、ハードウエアでも同様の信号演算処理が可能である。
【0090】
また、以上の説明では、関係式(Y=aX+b)の傾きaおよび定数項bを、オートコリレータにて正確に測定した数値を用いて求めているので、パルス光のピークパワーを確度よくモニターすることができる。しかし、パルス光のピークパワーの変化を見るだけであれば、このようにしなくても、モニターすることが可能である。
【0091】
なお、特開2010−093243号公報の「光ピークパワー検出装置」では、非線形光学素子にレーザー光を通過あるいは反射させて、波長変換している。そして、波長変換された第2高調波から第2信号を検出し、基本波ビームから第1信号を検出している。さらに、光検出器として、2光子吸収を利用した光検出器を用いることは、何ら記載されていない。
【0092】
これに対して、本発明によるピークパワーモニター装置では、非線形光学素子を用いていない。そして、2光子吸収を利用して第2信号を、1光子吸収を利用して第1信号を検出している。
このように、特開2010−093243号公報の「光ピークパワー検出装置」と本発明によるピークパワーモニター装置とでは、光検出器にて検出するレーザー光(パルス光)が相違している。
【0093】
本発明によるピークパワーモニター装置の演算処理器では、第2光検出器の出力値(P2)を第1光検出器の出力値(P1)で除した商により、パルス光のピークパワーの状態をモニターしている。このように、本発明によるパルス光のモニター装置では、電気的な信号の演算処理を行うだけで、パルス光の状態をモニターすることができ、機械的に移動するような機構を必要としない。
【0094】
例えば、従来のオートコリレータでは、パルス光の時間幅の測定に少なくとも秒オーダーの時間を要しており、その結果、パルス光のピークパワーの測定にも秒オーダーの時間を要していた。しかし、本発明によるピークパワーモニター装置を用いると、マイクロ秒オーダーの時間でモニターすることができ、実質的にリアルタイムにモニターが可能となる。
【0095】
図1に示したピークパワーモニター装置では、分波器として光ファイバーカプラーを用いた例であった。図10に、分波器としてビームスプリッターを用いたピークパワーモニター装置の例を示す。なお符号は、図1と同一の構成要素には同じ符号を付している。
【0096】
モニターされるパルス光60は、コリメータレンズに入射されてコリメートされ、ビームスプリッター31により分波される。分波されたパルス光は、それぞれ第1光検出器10と第2光検出器20に入射される。第1光検出器からの第1信号11と、第2光検出器からの第2信号21とは、それぞれ信号演算処理器40に入力され、前述と同様の演算処理された信号41が出力器50に出力され、パルス光のピークパワーの状態をモニターすることができる。
【0097】
このように、本発明によるピークパワーモニター装置およびピークパワーのモニター方法は、従来のオートコリレータのように、機械的に移動する構造を有しておらず、電気的な信号を演算処理するだけで、パルス光のピークパワーの状態をモニターすることができる。したがって、測定時間がマイクロ秒オーダーと短いので、パルス光のピークパワーの状態を実質的にリアルタイムにモニターすることができる。
【0098】
以上説明したように、本発明によるピークパワーモニター装置およびピークパワーのモニター方法は、非線形光学素子を用いることなく構成されているので、非線形光学素子の調整を必要としない。さらに、マイケルソン干渉計などを必要としないので、測定系の構成を簡素化できる特徴を有している。
【0099】
以上説明してきたピークパワーモニター装置は、レーザー発生装置と組み合わせることが好ましい。
本発明によるピークパワーモニター装置の組み合わされたレーザー発生装置は、レーザーの発生条件の変更をリアルタイムにモニターすることができるので、最適なレーザー発生条件を容易に求めることができる。
【0100】
さらに、ピークパワーモニター装置の出力器およびレーザー発生装置の制御部が接続されていると、レーザー発生条件とパルス光のピークパワーとを関連づけて、出力表示することもできる。したがって、最適なレーザー発生条件が速やかに得られるので、好ましい。
【0101】
例えば、モード同期ファイバーレーザー発生装置では、ファイバー中の短パルスレーザーの波長や偏光方向が常に変化している。このような光ファイバーを含むレーザー発生装置に対して、本発明を適用すると、最適なレーザー発生条件が速やかに得られるので、特に有用である。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明によるピークパワーモニター装置は、レーザー発生装置におけるピークパワーのフィードバック用モニターとして用いることができる。また、レーザー装置や、短時間パルス光学系の分散の変化に伴う時間変化による、ピークパワーの変化を実質的にリアルタイムに観測でき、分散補償装置のフィードバックモニターとして最適である。
【符号の説明】
【0103】
100 ピークパワーモニター装置
30 分波器(光ファイバーカプラー)
31 ビームスプリッター
32 入力ポート
33,34 出力ポート
10 第1光検出器(InGaAsPD)
11 第1信号
12 集光用レンズ
13 フィルター
20 第2光検出器(SiAPD)
22 集光用レンズ
23 フィルター
24 コリメータレンズ
202 導波路型半導体(LD)
40 演算処理器
50 出力器
51 表示器
60 パルス光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象であるレーザーパルス光を2つの光に分波する分波器と、
分波された2つの光をそれぞれ受ける、第1光検出器および第2光検出器と、
信号演算処理器と、
出力器と、を有し、
前記第1光検出器は1光子吸収を利用して受けた光のエネルギーを第1信号に変換するとともに、前記第2光検出器は2光子吸収を利用して受けた光のエネルギーを第2信号に変換しており、
前記信号演算処理器は、前記第2信号を前記第1信号で除した商を求め、前記商より前記パルス光のピークパワーの状態を表す演算機能を有しており、
前記パルス光のピークパワーの状態を表す信号を、前記出力器に出力しモニターすることを特徴とするピークパワーモニター装置。
【請求項2】
請求項1に記載のピークパワーモニター装置において、
前記パルス光のピークパワーの状態は、前記パルス光のピークパワーの変化であるピークパワーモニター装置。
【請求項3】
請求項1に記載のピークパワーモニター装置において、
前記パルス光のピークパワーの状態は、前記パルス光のピークパワーであり、
前記信号演算処理器は、予め求めておいた、前記パルス光のピークパワーおよび前記商の関係式から、前記パルス光のピークパワーをモニターするピークパワーモニター装置。
【請求項4】
請求項3に記載のピークパワーモニター装置において、
前記信号演算処理器は、予め測定した前記パルス光のピークパワーを用いて校正した前記関係式によって、前記パルス光のピークパワーをモニターするピークパワーモニター装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のピークパワーモニター装置において、
前記分波器と前記第2光検出器との間に、集光用レンズを設けたピークパワーモニター装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載のピークパワーモニター装置において、
前記分波器と前記第1光検出器との間に、集光用レンズを設けたピークパワーモニター装置。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載のピークパワーモニター装置において、
前記第1光検出器および前記2光検出器におけるパルス光の入力強度比を、1:9〜1:999の範囲としたピークパワーモニター装置。
【請求項8】
請求項1から4のいずれかに記載のピークパワーモニター装置において、
前記分波器と前記第1光検出器との間に、可変損失器を設けたピークパワーモニター装置。
【請求項9】
請求項1から4のいずれかに記載のピークパワーモニター装置において、
前記第1光検出器は、インジウムガリウムヒ素・フォトダイオードであり、
前記第2光検出器は、シリコンを用いたアバランシェ・フォトダイオードであるピークパワーモニター装置。
【請求項10】
請求項1から4のいずれかに記載のピークパワーモニター装置において、
前記第2光検出器は、測定対象であるレーザーパルス光の波長より短い波長の光を放出することができるレーザーダイオードであるピークパワーモニター装置。
【請求項11】
請求項1から4のいずれかに記載のピークパワーモニター装置において、
前記分波器は、光ファイバーカプラーであるピークパワーモニター装置。
【請求項12】
請求項1から4のいずれかに記載のピークパワーモニター装置において、
前記分波器は、ビームスプリッターであるピークパワーモニター装置。
【請求項13】
測定対象であるレーザーパルス光を2つの光に分波する工程と、
分波された2つの光をそれぞれ受ける、第1光検出器および第2光検出器にて、前記第1光検出器は1光子吸収を利用して受けた光のエネルギーを第1信号に変換するとともに、前記第2光検出器は2光子吸収を利用して受けた光のエネルギーを第2信号に変換する工程と、
前記第2信号を前記第1信号で除する商を求め、前記商より前記パルス光のピークパワーの状態を表す演算処理工程と、
前記パルス光のピークパワーの状態を表す信号を、前記出力器に出力しモニターする工程と、を有することを特徴とするピークパワーのモニター方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−132704(P2012−132704A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282974(P2010−282974)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(502226380)株式会社オプトハブ (14)
【Fターム(参考)】