説明

ファイバレーザ加工機の加工ヘッド

【課題】光制御部の光学要素をコンタミから保護することのできるファイバレーザ加工機の加工ヘッドを提供することを目的とする。
【解決手段】ファイバレーザ加工機の加工ヘッド10であって、ヘッド本体11と、ヘッド本体内に収容され、伝送用光ファイバ1から出射されたレーザ光を集光制御するレンズ鏡筒ユニット20と、このレンズ鏡筒ユニットで集光されたレーザ光を被加工材に向けて出射するノズル50と、ヘッド本体内に設けられ、レーザ光と共にノズルから噴射されるアシストガスが流通するアシストガス流路30と、を備え、アシストガス流路の途中のレンズ鏡筒ユニットの保護ウインドウ26とノズル50との間に、ノズルよりヘッド本体内に侵入したダストの保護ウインドウ側への進行を阻止するトラップ機構45が設けられている。トラップ機構は、局部的に流速を速める絞り部45b、45eと、ダストを捕捉可能な滞留捕捉部45fとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバレーザ加工機の加工ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のレーザ加工機では、レーザ光源として炭酸ガスレーザ発振器(発振波長10.6μm)を使用し、発振器で発生させたレーザ光を伝送用ミラーで集光レンズまで伝送し、集光レンズで高エネルギ密度に集光したレーザ光を加工点に照射すると共に、同時に加工点にアシストガスを噴射して溶融物を除去しながら加工するのが一般的であった。
【0003】
この炭酸ガスレーザ発振器を用いたレーザ加工機は、伝送するレーザ光の光軸径が大きいため、ミラーの使用に加えて、使用するレンズ径が大きくなり、その結果、加工ヘッドも大きなものとならざるを得なかった。従って、レーザ加工機の生産性を上げるために加工ヘッドの移動速度を高速化しようとすると、駆動に大きなエネルギーが必要であった。
【0004】
一方、レーザ光源として、炭酸ガスレーザ発振器の代わりに、固体レーザ発振器の代表であるYAGレーザ発振器(発振波長1μm帯)を用いたレーザ加工機も知られている。
【0005】
また、最近では、YAGレーザ発振器よりも光品質に優れると共に発振効率も高いファイバレーザ発振器(発振波長1μm帯)をレーザ光源として用いたレーザ加工機が、産業用、特に板金加工用(切断または溶接等)に使用されてきている。この種のファイバレーザ加工機の例は、特許文献1などにおいて知られている。
【0006】
この1μm帯のレーザ光を使用したファイバレーザ加工機は、レーザ光の光軸径が小さいため、光伝送に光ファイバを使用することができると共に、加工ヘッドの小型化が実現できる利点がある。
【0007】
図10は、ファイバレーザ発振器をレーザ光源としたレーザ加工機の一例を示している。
【0008】
レーザ加工機に隣接して設置されたファイバレーザ発振器で形成されたレーザ光は、伝送用光ファイバ(プロセスファイバ)501を介して加工ヘッド500のコリメータレンズ511に伝送される。加工ヘッド500のヘッド本体510の上部には、伝送用光ファイバ501の端部を接続するファイバコネクタ502が設けられ、コリメータレンズ511の焦点に伝送用光ファイバ501の出射端が位置している。
【0009】
ヘッド本体510の内部には、レーザ光の入側(上側)から出側(下側)に向かって順に、伝送用光ファイバ501からの発散光をコリメート(平行光にする)するコリメータレンズ511、および、その平行光を1点に集光する集光レンズ512が配置されており、集光レンズ512の下側に、集光レンズ512で集光されたレーザ光を被加工材W(ワーク)に向けて出射するノズル550が設けられている。
【0010】
また、ノズル550の内側には、アシストガス供給管561から導入されたアシストガスをノズル550の先端から噴射するアシストガス流路562が設けられている。また、集光レンズ512は光軸方向に移動可能に設けられており、焦点軸送り機構520により集光レンズ512の位置を制御することにより、ノズル550から出射するレーザ光の焦点の位置を変え、集光直径を変えることができるようになっている。例えば、図11に示すように、集光レンズ512の位置を寸法Bだけ動かすことにより、焦点Pの位置も寸法Bだけ動かすことができる。
【0011】
この種のレーザ加工機の加工ヘッド500においては、伝送用光ファイバ501の出射端から広がるレーザ光をできるだけ短焦点のコリメートレンズ511で平行光に変換することにより、集光レンズ512に向かう平行ビーム径(光軸径)を小さくすることができ、平行ビーム径とレンズ径を小さくすることにより、全体としての熱容量を小さくできて、熱レンズ効果を小さくすることができる。また、小型のレンズを使用することにより、加工ヘッド500の小型化が可能になり、加工ヘッド500を高速で動かすためのエネルギー消費が小さく済むようになる等の利点が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−226473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、レンズを小型化すると、今度はレンズの単位面積あたりのパワー密度が大幅に上がり、レンズの耐熱衝撃性や耐久性の点で問題が出てくる。また、レーザ加工機の加工ヘッドは、その加工原理が金属を溶融してアシストガスにて吹き飛ばすというものである関係上、金属粉やヒュームが飛び交う大変に耐コンタミ性の問われる光学環境である。つまり、高いパワー密度のレーザ光をコンタミ性の高い環境で制御しなればならないという課題がある。
【0014】
そのため、最悪の場合はレンズの焼損等の不具合を発生する可能性がある。特にファイバレーザ加工機は焦点距離が短いので、加工ヘッドと被加工材の距離が近く、加工によって生じるコンタミ(主にダスト)がノズル内に侵入しやすい。例えば、ピアッシング時(材料の切断スタート孔を開ける時)などに、吹き返し等によってノズルから侵入したダストが集光レンズに付着すると、高いパワー密度であるがゆえに、レンズの焼損等の問題を引き起こすおそれが大きい。
【0015】
本発明は、上記事情を考慮し、光制御部の光学要素をコンタミから保護することのできるファイバレーザ加工機の加工ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、伝送用光ファイバから出射されたレーザ光を被加工材に対して集光照射するファイバレーザ加工機の加工ヘッドであって、ヘッド本体と、このヘッド本体内に収容されて、前記伝送用光ファイバから出射されたレーザ光を集光制御する光制御部と、この光制御部で集光されたレーザ光を被加工材に向けて出射するノズルと、前記ヘッド本体内に設けられ、前記レーザ光と共に前記ノズルから噴射されるアシストガスが流通するアシストガス流路と、を備え、前記光制御部が、ハウジングの光軸方向の両端に保護ウインドウを有し、該保護ウインドウによって密閉されたハウジング内の空間に光学要素であるレンズを配置した密封構造式レンズ鏡筒ユニットとして構成されていることを特徴としている。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1に記載のファイバレーザ加工機の加工ヘッドであって、前記密封構造式レンズ鏡筒ユニットのハウジングが光軸方向に移動可能に設けられており、前記ハウジングの位置をアクチュエータによって制御することにより、前記ノズルから出射されるレーザ光の焦点位置を調整することを特徴としている。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1に記載のファイバレーザ加工機の加工ヘッドであって、前記密封構造式レンズ鏡筒ユニットのハウジングの外周またはハウジングの周壁内部に前記アシストガス流路の一部が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、光学要素であるレンズを、保護ウインドウによって密閉されたハウジング内の空間に配置していることにより、コンタミ(主にダスト)からレンズを保護することができる。従って、高いパワー密度に伴うコンタミ付着によるレンズの焼損のおそれを解消することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、ハウジングごと密封構造式レンズ鏡筒ユニットを動かすことにより、コンタミからレンズを保護するための高い密閉性能を維持しながら、ノズルから出射されるレーザ光の焦点位置を調整することができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、密封構造式レンズ鏡筒ユニットのハウジングをアシストガスで冷却することができるので、レンズからハウジングに伝達された熱を冷却して、熱レンズ効果を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態の加工ヘッドの全体構成を示す断面図である。
【図2】同加工ヘッドの主要部の構成を示す断面図である。
【図3】同加工ヘッド内におけるアシストガスの流れを矢印で示す斜視断面図である。
【図4】同加工ヘッドに装備されている密封構造式レンズ鏡筒ユニットの斜視断面図である。
【図5】同レンズ鏡筒ユニットの外観斜視図である。
【図6】前記加工ヘッド内におけるアシストガスの流れを示す拡大断面図である。
【図7】前記レンズ鏡筒ユニットのコリメートレンズの焦点位置を伝送用ファイバの出射端に位置させているときの集光レンズによる集光点の位置(a)と、前記レンズ鏡筒ユニットのコリメートレンズの焦点位置を伝送用ファイバの出射端に近づけるように動かしたときの集光レンズによる集光点の位置(b)の変化を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態の加工ヘッドの主要部の構成を示す断面図である。
【図9】同加工ヘッド内におけるアシストガスの流れを矢印で示す拡大断面図である。
【図10】従来のファイバレーザ加工機の加工ヘッドの概略構成を示す断面図である。
【図11】同加工ヘッドにおいて、集光レンズを光軸方向に動かしたときの集光点の位置の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図1は第1実施形態の加工ヘッドの全体構成を示す断面図、図2は同加工ヘッドの主要部の構成を示す断面図、図3は同加工ヘッド内におけるアシストガスの流れを矢印で示す斜視断面図、図4は同加工ヘッドに装備されている密封構造式レンズ鏡筒ユニットの斜視断面図、図5は同レンズ鏡筒ユニットの外観斜視図、図6は前記加工ヘッド内におけるアシストガスの流れを示す拡大断面図である。
【0025】
この実施形態の加工ヘッド10は、小型化を図りながらレーザ加工機全体の省エネ化を図ることのできる波長1μm帯のファイバレーザ加工機の加工ヘッドであって、特にレンズの耐コンタミ性を高めたものである。
【0026】
図1〜図3に示すように、この加工ヘッド10は、伝送用光ファイバ1から出射されたレーザ光を被加工材に対して集光照射して加工を進めるもので、ヘッド本体11と、ヘッド本体11の中央貫通孔12内に収容され、伝送用光ファイバ1から出射されたレーザ光を集光制御する光制御部としての密封構造式レンズ鏡筒ユニット(以下、簡略化して「レンズ鏡筒ユニット」と言う)20と、このレンズ鏡筒ユニット20で集光されたレーザ光を被加工材に向けて出射するノズル50と、ヘッド本体11内に設けられ、レーザ光と共にノズル50から噴射されるアシストガスが流通するアシストガス流路30と、を備えている。なお、伝送用光ファイバ1は、ファイバコネクタ2を介してヘッド本体11の中央貫通孔12の上部に接続されている。
【0027】
レンズ鏡筒ユニット20は、図2、図4および図5に示すように、略円筒形状の鏡筒ハウジング21と、この鏡筒ハウジング21の貫通孔22の光軸方向の両端に嵌め込まれた透明ガラス製の上部保護ウインドウ25および下部保護ウインドウ26と、上部保護ウインドウ25および下部保護ウインドウ26によって密閉された鏡筒ハウジング21内の空間の上下両端に配置された光学要素としてのコリメートレンズ23および集光レンズ24と、を有するものである。
【0028】
上部保護ウインドウ25および下部保護ウインドウ26は、コリメートレンズ23および集光レンズ24を鏡筒ハウジング21の貫通孔22の上部と下部に嵌め込んだ上で、スペーサ27、28を介して同貫通孔22内に嵌め込まれており、コリメートレンズ23および集光レンズ24が収容された空間は、スペーサ27、28に装着したOリング29によって完全密封され、外部からのコンタミ(主にダスト)の進入が阻止されている。また、保護ウインドウ25、26は、鏡筒ハウジング21の両端に嵌合された固定リング38によって、スペーサ27、28に押し付けられている。
【0029】
また、このレンズ鏡筒ユニット20のハウジング21の外周またはハウジング21の周壁内部にはアシストガス流路30の一部が形成されている。即ち、ハウジング21には、アシストガス流路30の一部を構成する空間31、35や孔32、34、あるいは、外周の縦溝33aや凹部33b(外周流路)などが設けられており、これらの要素は、図1および図2に示すように、ヘッド本体11の上部のガス流通空間14を介してアシストガス供給管15に連通している。そして、アシストガス供給管15から導入されたアシストガスが、レンズ鏡筒ユニット20のハウジング21の主に外周部を通り、ノズル50のノズル孔51から加工点に向けて噴射されるようになっている。このため、アシストガスは、ハウジング21を冷却する作用を果たす。
【0030】
レンズ鏡筒ユニット20は、上下方向に光軸を向けて取り付けられており、そのレンズ鏡筒ユニット20の下部保護ウインドウ26とノズル50との間のアシストガス流路30の途中には、ノズル孔51よりヘッド本体11内に侵入したダストのレンズ鏡筒ユニット20への進行、特に下部保護ウインドウ26への進行を阻止するトラップ機構45が設けられている。
【0031】
このトラップ機構45は、光軸について回転対称形状に形成されたトラップ部材47を、ヘッド本体11の貫通孔12の下端に嵌合させた口金40に装着することにより構成されており、図6に拡大して示すように、アシストガスの流速を局部的に速める絞り部45b、45eと、アシストガスが滞留することでダストを捕捉可能な滞留捕捉部45fとを有している。なお、口金40は、第1〜第3の口金41〜43を外周側から順番に嵌合させることで構成されており、最内周側の口金43の下端にノズル50が装着され、中間の口金42にトラップ部材47が装着されている。
【0032】
トラップ機構45を構成するトラップ部材47は、中央円筒部45aと、その上端の外鍔状に形成されたフランジ部45cとを有し、中央円筒部45aには、ノズル50に向かって径小となるテーパ貫通孔が形成され、そのテーパ貫通孔の最下端が1つの絞り部45aとなっている。また、テーパ貫通孔の内周には複数段の環状凹部が形成され、これら環状凹部により滞留捕捉部45fが構成されている。また、フランジ部45cには、光軸方向に貫通する多数の小孔45dが円周方向に沿って配列されており、これら小孔45dを流通するアシストガスが、中央円筒部45aの外周と口金40(43)の内周との間に確保された絞り部45eを通ることにより、その通過部分で流速が大幅にアップするように構成されている。
【0033】
また、この加工ヘッド10においては、レンズ鏡筒ユニット20のハウジング21が光軸方向(図2中矢印Y方向)に移動可能に設けられており、ハウジング21の位置をアクチュエータ80によって制御することにより、ノズル50から出射されるレーザ光の焦点位置を調整することができるようになっている。この場合、レンズ鏡筒ユニット20全体を動かすので、コリメートレンズ23と集光レンズ24の両方を一緒に移動させることになる。
【0034】
その移動のために、アクチュエータ80とレンズ鏡筒ユニット20のハウジング21との間には、アクチュエータ80により回転させられるネジ軸81と、ネジ軸81の回転により上下方向(光軸方向)に移動するナット部材82と、ナット部材82の動きをハウジング21に突設したブラケット86に伝達する連結竿85と、が設けられている。
【0035】
また、ヘッド本体11には、連結竿85のスライドするOリング89付きのスライド孔18と、ブラケット86が移動する空間16とが確保されている。
【0036】
初期の状態においては、図1に示すように、伝送用光ファイバ1の出射端がコリメートレンズ23の焦点距離f1の位置にあり、ノズル50の先端の加工点が集光レンズ24の焦点距離f2の位置にある。また、コリメートレンズ23から集光レンズ24までの間が平行光が伝送される区間Hとなる。
【0037】
図7に示すように、コリメートレンズ23が集光レンズ24と共に移動するため、(a)の初期位置から(b)のようにレンズ鏡筒ユニット20を伝送用光ファイバ1の出射端に近づけると、平行光であったものが広がることになり、集光レンズ24の集光位置が焦点f2の位置より遠くになる。反対にレンズ鏡筒ユニット20を伝送用光ファイバ1の出射端から遠ざけると、集光位置が焦点f2の位置より近くになる。
【0038】
次に作用を説明する。
【0039】
この加工ヘッド10の場合、光学要素であるレンズ23、24を、保護ウインドウ25、26によって密閉されたハウジング21内の空間に配置していることにより、コンタミ(主にダスト)からレンズ23、24を保護することができる。従って、高いパワー密度に伴うコンタミ付着によるレンズ23、24の焼損のおそれを解消することができる。
【0040】
また、ハウジング21ごとレンズ鏡筒ユニット20を動かすことにより、コンタミからレンズ23、24を保護するための高い密閉性能を維持しながら、ノズル50から出射されるレーザ光の焦点位置を調整することができる。
【0041】
また、レンズ鏡筒ユニット20のハウジング21をアシストガスで冷却することができるので、レンズ23、24からハウジング21に伝達された熱を冷却して、熱レンズ効果を抑えることができる。
【0042】
また、ヘッド本体11内のアシストガス流路30の途中にトラップ機構45を設けているので、ノズル50よりヘッド本体11内に侵入したダストのレンズ鏡筒ユニット20への進行を阻止することができる。従って、レンズ鏡筒ユニット20の特に集光レンズ24へのダストの付着を回避することができて、レンズ23、24の焼損を防止することができる。因みに、ファイバレーザ加工機の加工ヘッドは、小型で焦点距離が短く、被加工材との距離が近くなるため、ピアッシング(孔開け)時のアシストガスの吹き返し等により発生するダストが、ノズル50からヘッド本体11内に侵入して、ヘッド本体11内で浮遊しやすいという問題があるが、そのダストの浮遊による悪影響を防ぐことができる。
【0043】
また、絞り部45b、45eによって、アシストガスの流れ(図6中矢印F)の速度が速められた部分が「高速流の壁(マッハ数の高い部分)」を作るので、その高速流の壁によってダストのレンズ鏡筒ユニット20への進行を阻止することができ、ヘッド本体11内でのダストの浮遊を防ぐことができる。なお、中心にはレンズ24により集光されたレーザが通過するが、ガスの流れに影響は与えない。
【0044】
また、アシストガス流路30の途中にアシストガスの滞留する部分(流れの淀み点である滞留捕捉部45f)を作ることにより、たとえダストが侵入して来ても、その部分でダストを確実に捕捉することができ、それ以上の上部(レンズ鏡筒ユニット20)へのダストの侵入を有効に阻止することができる。なお、ポケット形状の滞留捕捉部45fにより捕捉したダストは、加工の合間のガス空吹きなどにより外部へ放出させることができる。
【0045】
図8は本発明の第2実施形態の加工ヘッドの主要部の構成を示す断面図、図9は同加工ヘッド内におけるアシストガスの流れを矢印で示す拡大断面図である。
【0046】
上記第1実施形態の加工ヘッド10では、レンズ鏡筒ユニット20内のコリメートレンズ23と集光レンズ24が別の光学部品として設けられている場合を示したが、この第2実施形態の加工ヘッド110では、レンズ鏡筒ユニット120内のコリメートレンズと集光レンズが一体の単一レンズ123として設けられている。
【0047】
レンズ鏡筒ユニット120のハウジング121の貫通孔122には単一レンズ123が嵌め込まれ、その単一レンズ123の上下両側に透明ガラス製の保護ウインドウ125、126が配置されている。そして、両保護ウインドウ125、126によって画成された密閉空間内に単一レンズ123が収容されている。単一レンズ123や保護ウインドウ125、126は、固定リング131、132やスペーサ124によって固定されており、保護ウインドウ125、126と貫通孔122の受面との間には、単一レンズ123の収容空間を密封するOリング129が介装されている。その他の構成は、第1実施形態の加工ヘッドと同様である。
【0048】
この第2実施形態の加工ヘッド110においても、第1実施形態の加工ヘッド10と同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態のように単一レンズ123に置き換えた場合は、レンズ鏡筒ユニット120の軸方向長さをより小さくできるようになり、加工ヘッド110の長さを抑制できる利点が得られる。
【0049】
なお、上記実施形態では、回転対称のトラップ部材47を用いた場合の例を示したが、孔開き円板状のもので代替することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1 伝送用ファイバ
10 加工ヘッド
11 ヘッド本体
12 貫通孔
20 密封構造式レンズ鏡筒ユニット
21 鏡筒ハウジング
22 貫通孔
23 コリメートレンズ
24 集光レンズ
25 保護ウインドウ
26 保護ウインドウ
29 Oリング
30 アシストガス流路
33 外周流路
45 トラップ機構
45b 絞り部
45c フランジ部
45e 絞り部
45f 滞留捕捉部
50 ノズル
80 アクチュエータ
120 レンズ鏡筒ユニット
121 鏡筒ハウジング
122 貫通孔
123 単一レンズ
124 スペーサ
125 保護ウインドウ
126 保護ウインドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送用光ファイバから出射されたレーザ光を被加工材に対して集光照射するファイバレーザ加工機の加工ヘッドであって、
ヘッド本体と、このヘッド本体内に収容されて、前記伝送用光ファイバから出射されたレーザ光を集光制御する光制御部と、この光制御部で集光されたレーザ光を被加工材に向けて出射するノズルと、前記ヘッド本体内に設けられ、前記レーザ光と共に前記ノズルから噴射されるアシストガスが流通するアシストガス流路と、を備え、
前記光制御部が、ハウジングの光軸方向の両端に保護ウインドウを有し、該保護ウインドウによって密閉されたハウジング内の空間に光学要素であるレンズを配置した密封構造式レンズ鏡筒ユニットとして構成されていることを特徴とするファイバレーザ加工機の加工ヘッド。
【請求項2】
前記密封構造式レンズ鏡筒ユニットのハウジングが光軸方向に移動可能に設けられており、前記ハウジングの位置をアクチュエータによって制御することにより、前記ノズルから出射されるレーザ光の焦点位置を調整することを特徴とする請求項1に記載のファイバレーザ加工機の加工ヘッド。
【請求項3】
前記密封構造式レンズ鏡筒ユニットのハウジングの外周またはハウジングの周壁内部に前記アシストガス流路の一部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のファイバレーザ加工機の加工ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−24810(P2012−24810A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165800(P2010−165800)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(390014672)株式会社アマダ (548)
【Fターム(参考)】