説明

ファスナアセンブリ

ファスナアセンブリは、第1および第2端部を有しており、第1端部にボルトヘッド(2)を備え、少なくとも部分的にねじが形成されたボルト(1)と、該ボルト(2)の軸に螺合されるナット(12)と、テンプレート位置合わせピン(30)とを含み、前記ボルトヘッド(2)が、前記テンプレート位置合わせピン(30)の対応する構造(31,32)に対して着脱可能に結合する結合構造(27,28)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファスナアセンブリと、たとえばこのファスナアセンブリを用いる航空機の部品などの構成部品を互いに結合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大型航空機用の翼の製造において、翼の外板パネル(wing skin panels)や、翼桁(spars)、リブ、その他大部分を含む翼の構成部品は、ジグで組み付けられる。このとき、締結用の孔が所定の位置にあけられる。次いで、孔のうちの幾つかにスレーブボルトを挿入し、その反対側に挿入されたドゥエル(dowels)に合わせて翼アセンブリを互いに保持すると同時にさらに孔をあける。その後、ボルトを取り外して構成部品を解体し、例えば、最終的に再度組み付ける前に、実行されるべきバリ取りを可能にしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さらに孔を正しい位置にあけるために、手動式テンプレート装置を用いるか、または、自動ボール盤を用いるのが一般的である。手動式テンプレート装置を使用する場合には、テンプレートは、一つまたはそれ以上のスレーブボルト上に置かれて、スレーブボルトに係合されることによって固定された位置に、正しく保持される。しかしながら、自動ボール盤を使用する場合には、スレーブボルトのヘッドは、自動ボール盤が一つの孔をあけた後に他の孔をあけるべく構成部品上を移動するための可視基準点となる。
【0004】
上述したようにテンプレートを使用する場合には、スレーブボルトのヘッドが構成部品から外側に実質的な長さで突出してテンプレートを物理的に上手く配置することが望ましい。一方、自動ボール盤を採用する場合には、ボルトが構成部品から非常に限られた長さだけ突出して、ボール盤が構成部品の近くでボルト上を移動することができることが望ましい。この二つの相反する要求事項を満たすために、従来では2種類の異なるスレーブボルトを用意する必要があった。
【0005】
本発明の目的は、テンプレートと自動ボール盤の双方に使用するのに適合するファスナアセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、第1および第2端部を有しており、第1端部に位置するボルトヘッドと、
少なくとも部分的にねじが形成された軸部とからなるボルトと、該ボルトの軸に螺合されるナットと、
テンプレート位置合わせピンとを含み、
前記ボルトヘッドが、前記テンプレート位置合わせピンの対応する構成に対して着脱可能に結合する結合構成を備えているファスナアセンブリが提供される。
【0007】
このようなファスナアセンブリを提供することによって、ボルトヘッドに手作業のテンプレートを使用する場合には、テンプレート位置合わせピンをボルトに結合し、また、テンプレート位置合わせピンを使用しないと、ボルトヘッドは自動ボール盤を使用するのに適した大きさとなる。
【0008】
ボルトヘッドの結合構造は、前記テンプレート位置合わせピンの対応するねじ構造と螺合する、少なくとも部分的なねじであることが望ましい。ねじは、着脱可能な結合構造の単純且つ効果的な手法を示している。
【0009】
ボルトヘッドの結合構造は、雌構造であることが望ましく、ボルトヘッドの凹部からなることがより望ましい。凹部は、第1断面の第1外側部分と、第2小断面の第2内側部分とを含むことが望ましい。これらの断面は、円形であることが望ましい。ボルトヘッドの結合構造が少なくとも部分的なねじである場合において、凹部の第2内側部分がねじであることが望ましい。このような場合においては、テンプレート位置合わせピンが凹部の第2内側部分内にねじ込まれる雄ねじ部を有しており、且つ、円形断面の円筒部分が凹部の第1外側部分に締まり嵌めされる平滑な外周面を有していることが望ましい。
【0010】
テンプレート位置合わせピンが、断面円形の円筒本体を含むと共に、第1および第2端部を有しており、この第1端部に結合手段が設けられていることが望ましい。円筒本体は、テンプレートに対して適切な配置面となっていることが望ましい。
【0011】
テンプレート位置合わせピンは、好ましくはピンを貫通して、円筒本体の軸を通り、円筒本体の第2端部の領域に入る孔を備えることができる。
【0012】
ファスナアセンブリは、ボルトの軸を囲み、且つ、ボルトヘッドの裏面を覆うように延びるワッシャをさらに含むことが望ましい。ワッシャは、合成樹脂素材により作成することができ、例えばナイロンなど、ポリアミドとすることができる。
【0013】
好ましくは、ワッシャは、ボルトヘッドの裏面を覆うように延びる裏面部と、この裏面部の前方に延びる外周部と、該外周部から内側に延びてボルトヘッドに係合してワッシャをボルトヘッドに保持する保持部とが形成されていることが望ましい。ワッシャは、弾性変形して、ボルトヘッドの裏面を覆って嵌め込むことができる。ボルトヘッドは、ワッシャの保持部を受けるために、円周方向の溝が形成されている。
【0014】
本発明では、ボルトとナットの配置を広く変化させた構成を採用することができるが、特殊な構成のボルト軸とナットを使用することが、特に好ましい。このように、軸が、第1径の平滑な周面を有する第1軸部と、この第1軸部と同軸で第1径よりも小さな第2径を有する第2軸部とからなり、少なくとも第2軸部の一部が外ねじとなっており、第1軸部がボルトヘッドと第2軸部との間に配置されていることが望ましく、また、ナットが、その第1端部から外側に延び第1径よりも大きな径でボルトの第1軸部の一部を覆って結合する第1ボアと、第2端部において、第2軸部の外ねじと螺合するねじ孔とを含み、該ねじ孔が第1ボアと同軸で導通していることが望ましい。ボルトが平滑な周面を有する第1軸部と、ねじが形成された小さな径を有する第2軸部とを備えていることにより、単一のファスナアセンブリで締め付け機能と位置合わせ機能との双方を提供することができる。これにより、ねじが形成されたスレーブボルトを使用して締め付けるよう構成すると共にドゥエル(dowels)を使用して位置合わせするよう機能する従来の技術と比較して、全ての結合手順がより単純となって、取り扱わなければならない部分の異なる種類の数を低減させる。
【0015】
ボルトヘッドは、第1軸部分の一端にあることが望ましい。第2軸部分は、第1軸部分の端部からボルトの第2端部に延びていることが望ましい。このように、ボルトは、ボルトヘッドと、第1軸部分と、第2軸部分との3つの部分からなることが望ましい。ボルトヘッドと第2軸部分は、アセンブリを締め付けるよう機能するが、第1軸部分は、位置合わせするよう機能する。
【0016】
ボルトヘッドは、たとえば断面の外形が六角形など、断面の外形が非円形であってもよい。ボルトの第1および/または第2端部は、断面がたとえば六角形など、非円形の盲孔を形成することができ、この盲孔は、ボルトの第1および第2軸部分と同軸となっている。このように構成することで、ナットとボルトの締め付けおよび取り外しのときに要求される相対的な回転を容易にする。
【0017】
ナットの第2端部は、閉塞していてもよいが、ナット内のねじ孔がナットの第2端部を貫通していることが好ましい。したがって、ナットをボルトの第2軸部分に充分ねじ込むことが可能となっており、より広い範囲の厚さの製品にファスナアセンブリを採用することができることが可能となっている。
【0018】
ナットの第1ボアは、平滑な孔で、ナットのねじ孔よりも軸方向に長いことが好ましい。ねじ孔の長さは、そのねじ山が充分な締め付け力を与えるのに充分であることが必要なだけであり、しかるに、第1ボアの長さは、ファスナアセンブリを採用することができる製品の厚さの範囲を決定することができ、それゆえ、より長くすることが好ましい。
【0019】
アセンブリには、ナットの第1ボアの周囲の第1端部にワッシャをさらに含めることができる。ワッシャは、ナットの一部分に一体に形成することもできるが、ナットから分離して形成して、ナットに結合されていることが好ましい。ワッシャは、合成樹脂素材により作成することができ、例えばナイロンなど、ポリアミドとすることができる。
【0020】
ワッシャは、ナットの第1端部の端面を覆うように延びる前面部と、前面部の後方に延びる外側円周部と、外側円周部から内側に延びてナットに係合しワッシャを保持する保持部とが形成されていることが好ましい。ワッシャは、弾性変形して、ナットの第1端部の端面を覆って嵌め込むものとすることができる。ナットの第1端部にはフランジを形成することができ、ワッシャはこのフランジを覆って嵌め込むことができる。
【0021】
第1軸部分の径は、公差が0.05mmよりも小さいことが好ましく、さらには公差が0.02mmよりも小さいことが好ましい。このように本発明の好ましい観点を考慮すると、同様の多様なファスナアセンブリが提供され、第1軸部分の実質的な径は、0.10mmよりも小さく、好ましくは0.04mmよりも小さく変化する。
【0022】
ボルトとテンプレート位置合わせピンとナットは、例えば鋼など、金属製とすることができる。
【0023】
ファスナアセンブリのボルトは、それ自体が新規なデザインであり、他のファスナアセンブリから分離することができる。よって、本発明は、上記のように定義されたファスナアセンブリに使用するのに適したボルトをさらに提供する。
【0024】
本発明は、第1および第2端部を有しており、第1端部に位置するボルトヘッドと、少なくとも部分的にねじが形成された軸部とからなり、ボルトヘッドがテンプレート位置合わせピンを着脱可能に受けるのに適応したボルトをさらに提供する。
【0025】
本発明はさらに、製品を互いに結合する方法を提供するもので、方法は次のステップからなる。
製品の孔を位置合わせした状態で互いに保持し、
ファスナアセンブリのボルトを孔に通して孔を位置合わせした状態でボルトとナットを結合し、
テンプレート位置合わせピンをボルトヘッドに結合する。
【0026】
既に説明したように、ボルトは、手作業でのテンプレートの使用にも、自動ボール盤の使用でもいずれの場合でも適用することができる。本発明の方法では、テンプレート位置合わせピンに被せた手作業のテンプレートを使用して製品にさらに孔をあける、さらなるステップからなる。また、本発明の方法は、テンプレート位置合わせピンが外されている状態で、自動ボール盤がボルトヘッドの位置に直接配置されるようになって、自動ボール盤で製品にさらに孔をあける、さらなるステップからなる。
【0027】
本発明の方法は、さらに以下の特徴からなる。
第1径の平滑な周面を有する第1軸部と、該第1軸部と同軸で前記第1径よりも小さな第2径を有する第2軸部とを有しており、少なくとも第2軸部の一部が外ねじとなっており、第1軸部がボルトヘッドと第2軸部との間に配置されており、
第2端部を位置合わせされた孔に通して、第1軸部を孔の中に厳密に嵌め込むようになっているボルトと、
第1端部と第2端部を有しており、第1端部から外側に延び前記第1径よりも大きな径の第1ボアと、第2端部の領域において、第1ボアと同軸で導通しているねじ孔とを含む、ナットとを用意し、
ボルトにナットをねじ込んでボルトの第1軸部分をナットの第1ボアで覆い、ナットのねじ孔を前記ボルトのねじ部分に螺合する。
【0028】
本発明の方法は、さらに、ドリルによって位置合わせされた孔を形成するステップを含むことができる。
【0029】
本発明は、たとえば、孔あけを行っているときなど、製品の一時的な組み立てに適切である。したがって、本発明は、上記に続いて、
ナットをボルトから取り外し、
ボルトを位置合わせされた孔から抜き、
製品を分離し、続いて、
製品を位置合わせされた孔で結合する、
ステップをさらに含むことができる。
【0030】
本発明の方法は、航空機の製造に特に適切であり、互いに結合する製品としては、航空機の構成部品、たとえば製品の一つとして翼のパネルや他の製品ではリブなどである。
【0031】
第1および第2軸部を有するボルトの使用は特に、複合材料あるいは少なくとも一つの製品が複合材料である場合に有効である。このような材料は、特に傷付きやすく損傷する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
具体例によって本発明の実施の形態を添付の図を参照しながら説明する。
【0033】
最初に図1を参照すると、ボルトヘッド2と、第1軸部分3と、第2軸部分4とからなるボルト1が示されている。前記軸部分3と4は、断面円形で同軸である。第1軸部分3は、平滑な周面で、ねじが切られた第2軸部分4よりも大きな径を有している。アンダーカット5は、前記軸部分3と4の分岐点となっており、溝6がヘッド2の周囲に形成されている。
【0034】
盲孔7は、第2軸部分4に形成されている。盲孔7は、断面が六角形で、前記軸部分3、4と同軸である。前記盲孔7は、ボルトを回転させるための適当なツールと係合可能な凹部となっている。
【0035】
図1Aはナイロン製のワッシャ8を示したものである。ワッシャ8は、環状の裏面部9と、この裏面部9の周面から後方に延びる外周部10と、この外周部10の前端から内側に延びるリップが形成された保持部11とからなる。ワッシャ8がボルト1に嵌ると、裏面部9がボルトヘッド2の後面を覆い、保持部11がボルトヘッドの周囲の溝6に係合する。理解されるであろうが、ワッシャ8は、その保持部11がボルトヘッド2を通過して溝6に入るように、弾性変形することができるようになっている。
【0036】
ここで図2を参照すると、ナット12とワッシャ13が示されている。ナット12は、円形断面の平滑な孔15が形成された前側部分14と、円形断面のねじ孔17を有する後側部分16とにより構成されている。孔15と17は同軸であり、孔15は実質的に孔17よりも長い。ナットの前側の端部において、前側部分14は一体フランジ(integral flange)18を有している。
【0037】
ワッシャ13は、環状の前面部19と、前面部19の周囲から後側に延びる外側円周部20と、外側円周部20の後端部から内側に延びるリップ状に形成された保持部21とからなる。ワッシャはナイロン製であり、図2に示すようにナットのフランジ18を覆うようにして嵌め込まれるように、弾性変形することができるようになっている。一度嵌め込むと、前面部19はナットの前面を覆うように延びて、ワッシャとして機能する。
【0038】
図3は、図1、1Aと図2のファスナアセンブリを、図3では符号25と26の二つの構成部品を互いに留めるのに使用した状態を示したものである。構成部品は、たとえば翼パネルと航空機の翼のリブとからなるものとすることができる。構成部品25と26は、所望の関係に保持されて、あけられた孔が位置合わせされており、ボルト1は、孔に対して図3に示された位置へ挿入されている。第1軸部分3は、孔の中に厳密に嵌め込まれており、図3に示すように、構成部品25,26を合わせた厚さを通って、他方の側に突き出て、さらに第2軸部分4が他方の側に突き出るのに充分な長さとなっている。(図3ではファスナアセンブリが最大の所望厚さの構成部品に使用されているが、このアセンブリは、第1軸部分3が構成部品26を超えて突出するような、もっと薄い構成部品にも使用することができることは理解されるであろう。)ナット12は、ボルト1に螺合されると、前側部分14が最初にボルト1の突出した端部を超えて、次いで後側部分16がボルトの第2軸部分4に螺合される。ナットの前側部分14の平滑な孔15は、その径がボルトの第1軸部分3の径よりもわずかに大きく(たとえば0.5mm大きい)、したがって、ワッシャ13の前面部19が構成部品26に対して隣接するまで、前側部分14がボルト1に通されることが可能となっている。
【0039】
ナット12を一度締め付けると、ファスナアセンブリは、構成部品25,26を効果的に互いに締め付けた状態に維持し、構成部品の中に第1軸部分3が厳密に嵌め込まれていることによって、両構成部品25,26が位置合わせされた状態を維持する。同時に、第1軸部分3が平滑な周面を有しているので、構成部品25,26の孔が損傷するリスクが少ない。
【0040】
図1と図3を参照すると、ボルトヘッド2は円形断面の第1外側部分27と、同様に円形断面の第2内側部分28とからなる凹部が形成されている。前記内側部分28は、ねじが切られており、前記外側部分27よりも小さい径となっている。
【0041】
図4Aを参照すると、断面が円形の円柱状本体を有するテンプレート位置合わせピン30が示されている。このピン30の第1端部は、ボルトヘッド2に対してピンを着脱可能に結合する結合構造となっている。結合構造は、ボルトヘッド2の凹部の内側部分28内にねじ込むことが可能な雄ねじ部31を含んでいる。雄ねじ部31は、ボルトヘッド2の凹部の外側部分27に締まり嵌めされる突出部分32から突出している。突出部分32の周囲は、環状凹部33がボルトヘッド2の周辺部を受ける大きさで形成されている。
【0042】
テンプレート位置合わせピン30の他端は、そのピンの径に沿った横方向の通し孔34を備えている。この通し孔34は、ピン30をボルトヘッド2に締め付け、または取り外すための工具を受けることが可能となっている。
【0043】
図4Bは、同様の構成のテンプレート位置合わせピンを示したものであるが、図4Aに示したピンとは異なる寸法となっている。両図には、対応する部分に対して同じ参照番号が使用されている。
【0044】
構成部品25,26を本発明のファスナアセンブリによって互いに締め付けると、そして通常では、他のファスナアセンブリでも同様であるが、数多くの他の孔を構成部品25,26にあけることが可能となる。これらの他の孔は自動ボール盤を使用して、あるいは、テンプレートの補助で手作業により、孔あけされる。自動ボール盤を使用する場合には、位置合わせピン30は、使用されず、またボルトヘッド2に既に螺合されているときにはボルトヘッドから外される。自動ボール盤は、ボルトヘッドの幾何学的形状を検知することによってボルトヘッド2の位置にアクセスするための、たとえばカメラなど、視覚センサを含んでいる。図に示されているように、ボルトヘッドは外側面取り部と外側凹部を有している。リング形状が形成されていることで、カメラで検知して、ファスナアセンブリの軸の位置を確認することが可能となっている。テンプレートを使用する手作業の場合には、ボルトヘッドに位置合わせピン30を螺合し、孔に嵌合されている位置合わせピンにテンプレートの孔を嵌めて、所望する位置にテンプレートを位置決めする。
【0045】
孔があけられると、ファスナアセンブリ(および他のアセンブリ)は取り外し、ボルトを取り去って、構成部品25,26を最終的に再び組み付ける前にバリ取りすることができる。各ファスナアセンブリの締め付けと取り外しは、手作業あるいは自動で行うことが可能である。
【0046】
ボルト1の第1および第2軸部分を比較的長くすることによって、且つ、ナットの孔15を比較的長くすることによって、同じボルト1を複数の構成部品の厚さの範囲に使用することができる。その結果、単一のファスナアセンブリが任意の径のすべての孔への使用に適合することができる。もちろん、径の異なる孔には、異なるファスナアセンブリが必要となるが、ボルトヘッド2は異なるサイズの数に限られるだけであり、同じサイズのボルトヘッドを孔の径の一つ以上に使用することができる。これらの特徴は、自動送り出し装置によってボルトの取り扱いが容易となる。
【0047】
特定の実施の形態を参照して本発明を述ると共に図示してきたが、ここに説明しなかった多くの異なる変形例を本発明に加えることが当業者によって認められるであろう。上述した説明において、公知の明らかな好適であるまたは予知可能な等価物を有する完全体や要素を述べたが、このような等価物は、ここで説明されたもののように、本発明に組み入れられる。本発明の真の範囲を決定するためには、特許請求の範囲を参照すべきであり、いかなる相当物も包含されるように解釈されるべきである。好ましく、有利で、利便な、あるいは同様のものとして記載された本発明の統一体や特徴が選択的であり、本発明の特許請求の範囲を制限するものではないことは、読者に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】ファスナアセンブリのボルトの側面図である。
【図1A】図1のボルトに嵌めるワッシャの断面図である。
【図2】ファスナアセンブリのナットとワッシャの断面図である。
【図3】二つの構成部品を互いに締め付けている状態のファスナアセンブリの断面図である。
【図4A】テンプレート位置合わせピンの第1形態の側面図である。
【図4B】テンプレート位置合わせピンの第2形態の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2端部を有しており、第1端部に位置するボルトヘッドと、少なくとも部分的にねじが形成された軸部とからなるボルトと、
該ボルトの軸に螺合されるナットと、
テンプレート位置合わせピンとを含み、
前記ボルトヘッドが、前記テンプレート位置合わせピンの対応する構成に対して着脱可能に結合する結合構造を備えているファスナアセンブリ。
【請求項2】
前記ボルトヘッドの結合構造が、前記テンプレート位置合わせピンの対応する構成と螺合する、少なくとも部分的なねじである請求項1に記載のファスナアセンブリ。
【請求項3】
前記ボルトヘッドの結合構造が、凹部からなる請求項1または2に記載のファスナアセンブリ。
【請求項4】
前記凹部が、第1断面の第1外側部分と、第2小断面の第2内側部分とを含む請求項3に記載のファスナアセンブリ。
【請求項5】
前記断面が円形である請求項4に記載のファスナアセンブリ。
【請求項6】
前記凹部の第2内側部分が、少なくとも部分的にねじが切られている請求項5に記載のファスナアセンブリ。
【請求項7】
前記テンプレート位置合わせピンが、断面円形の円筒本体を含むと共に、第1および第2端部を有しており、該第1端部に前記結合構造が設けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載のファスナアセンブリ。
【請求項8】
ボルトの軸の周りに、前記ボルトヘッドの裏面を覆うように延びるワッシャをさらに含む請求項1〜7のいずれか1項に記載のファスナアセンブリ。
【請求項9】
前記ワッシャは、ボルトヘッドの裏面を覆うように延びる裏面部と、該裏面部の前方に延びる外周部と、該外周部から内側に延びてボルトヘッドに係合してワッシャをボルトヘッドに保持する保持部とが形成されている請求項8に記載のファスナアセンブリ。
【請求項10】
軸が、第1径の平滑な外周面を有する第1軸部と、該第1軸部と同軸で前記第1径よりも小さな第2径を有する第2軸部とからなり、少なくとも第2軸部の一部が外ねじとなっており、第1軸部がボルトヘッドと第2軸部との間に配置されており、
ナットが、その第1端部から外側に延び前記第1径よりも大きな径でボルトの第1軸部の一部を覆って結合する第1ボアと、第2端部において、第2軸部の外ねじと螺合するねじ孔とを含み、該ねじ孔が第1ボアと同軸で導通している、請求項1〜9のいずれか1項に記載のファスナアセンブリ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のファスナアセンブリに使用されるボルト。
【請求項12】
第1および第2端部を有しており、第1端部に位置するボルトヘッドと、少なくとも部分的にねじ部が形成された軸部とからなり、ボルトヘッドがテンプレート位置合わせピンを着脱可能に受け入れるのに適応したボルト。
【請求項13】
製品を互いに結合する方法であって、
製品の孔を位置合わせした状態で互いに保持し、
請求項1〜10のいずれか1項に記載のファスナアセンブリを用意し、
ファスナアセンブリのボルトを位置合わせされた孔に通してナットを結合し、テンプレート位置合わせピンをボルトヘッドに結合する、各ステップからなる方法。
【請求項14】
さらに続いて、ナットをボルトから取り外し、
ボルトを位置合わせされた孔から抜き、
製品を分離させ、次いで孔を位置合わせして製品を再結合する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
互いに結合される製品が、航空機の構成部品である請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
互いに結合されるべき構成部品の少なくとも一つは、複合材料である請求項13〜15のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2009−519138(P2009−519138A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545091(P2008−545091)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004690
【国際公開番号】WO2007/068937
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(302053010)エアバス・ユ―ケ―・リミテッド (54)
【Fターム(参考)】