説明

ファスナー

【課題】取付孔が丸穴、長孔、方形のいずれの形であってもファスナーが脱落しないようにする。
【解決手段】弾性片13;14が支持部材5の取付孔7に挿入されて、周壁15が支持部材5の板面に接触して当該支持部材5の板面とクリップ1の板面との間に係合部18の挙動を拘束しない空間を確保した状態において、キャップ3がヒンジ4を中心としてクリップ1に被さる方向に閉じられるのに伴って、突起17が貫通孔12から弾性片13;14の間に進入して弾性片13;14を押し広げて、弾性片13;14が取付孔7の周辺部に係合する第1段の係合となり、さらに、キャップ3がヒンジ4を中心としてクリップ1に被さる方向に閉じられるのに伴い、爪34が貫通孔12の周面に接触して係合部18が撓み、爪34が貫通孔12から抜けると、上記係合部18の撓みが復元し、爪34が貫通孔12の周辺部に係合する第2段の係合になるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材に取付部材を固定するファスナーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1で開示されたファスナーは、グロメットとピンとが互いに分離できるように別々のものとして構成され、グロメットが支持部材の取付孔に挿入された後、ピンがグロメットに差し込まれると、ピンの一対の係合部が互いに近づくように撓み、係合部の爪が取付孔を貫通するのに伴い、係合部が互いに離れる方向に広がって、係合部の爪が支持部材における取付孔の周辺部に係合し、ピンの頭部がグロメットの頭部よりも外側に突出した状態になっている。そして、このグロメットよりも外側に突出したピンの頭部がグロメットの頭部の側に押し込まれることにより、係合部が押し込まれたピンの作用により互いに近づくように撓んで係合部の爪が支持部材における取付孔の周辺部から解放される構造である。又、特許文献2で開示された自動車の前部構造は、車幅方向に延びるフロントバンパーレインフォースをラジエーターよりも前側でラジエーターの上下方向の中間位置に配置し、車幅方向に延びる衝撃吸収部材がフロントバンパーレインフォースの前側に取り付けられた構造になっている。又、車幅方向に延びるフロントセットプレートを衝撃吸収部材の周辺に配置し、フロントバンパーフェイフェイシャのグリルから入る空気たる風をフロントセットプレートでラジエーターに導くことが考えられている。その場合、フロントセットプレートをフロントバンパーレインフォースに特許文献1で開示されたような2ピースからなるファスナーで固定することが考えられる。しかしながら、上記ファスナーは丸穴の取付孔に取り付けられるのに適した構造になっているので、取付孔が長孔又は方形であると、ファスナーの長孔にかかっている部分が長孔の中心を回転中心として周方向に回転してファスナーが脱落する可能性があり、にわかに採用しがいものである。上記丸穴とは、取付孔が1つの同じ寸法を半径で中心を回転中心として一周した円形であり、取付孔をその中心の真上から見た場合に丸く見える穴である。又、長孔とは、取付孔をその中心の真上から見た場合に、長円形、楕円形、角丸長方形の何れかに見える穴である。又、方形とは、取付孔をその中心の真上から見た場合に、正方形、長方形、三角形、五角形以上の多角形の何れかに見える穴である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−8249号公報
【特許文献2】特開2008−62815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、取付孔が丸穴、長孔、方形のいずれの形であっても、ファスナーの取付孔にかかっている部分が取付孔の中心を回転中心として周方向に回転しないようにして、ファスナーが脱落しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、支持部材に取付部材を固定するために用いるクリップとキャップと備えるファスナーであって、クリップが基礎部と貫通孔と一対の弾性片とを備え、キャップが蓋部と突起と係合部と備え、クリップの一対の弾性片が支持部材に設けられた取付孔に挿入された状態において、キャップの突起がクリップの貫通孔から一対の弾性片の間に進入されて一対の弾性片を押し広げて、一対の弾性片が支持部材における取付孔の周辺部に係合する第1段の係合となると共に、キャップの爪がキャップにおける貫通孔の周辺部に係合する第2段の係合になること特徴とする。又、本発明は、クリップの基礎部が取付部材に設けられたり、又は、クリップの基礎部には、支持部材の板面に接触して当該支持部材の板面に向かい合うクリップの基礎部の板面と当該支持部材の板面との間にキャップの係合部の挙動を拘束しない空間を確保する周壁が設けられたり、又は、クリップの基礎部とキャップの蓋部とがヒンジで連結され、キャップがヒンジを中心としてクリップに被さる方向に閉じられたり、キャップがヒンジを中心としてクリップから離れる方向に開かれたりするように、キャップがヒンジを中心とする1つの円弧状の移動軌跡を通る閉じる方向と開く方向とに往復運動するようになったり、又は、クリップの基礎部とキャップの蓋部とが連結部材で連結されたり、又は、取付部材が自動車のフロントバンパーフェイフェイシャのグリルから入る空気たる風をラジエーターに導くガイドの役目を有するフロントセットプレートにより構成され、支持部材が上記フロントセットプレートを支持するために車幅方向に延びるフロントバンパーレインフォースにより構成されたりしてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、一対の弾性片による第1段の係合と係合部による第2段の係合とを有し、ファスナーの取り付けと取り外しとが2重規制された構造であるので、取付孔が丸穴、長孔、方形のいずれの形であっても、ファスナーの取付孔にかかっている部分が取付孔の中心を回転中心として周方向に回転するこがなく、ファスナーが脱落しないという効果を奏する。又、基礎部が取付部材に設けられれば、又は、クリップとキャップとがヒンジ又は連結部材で繋がっていれば、例えば、取付部品を支持部材に作業者が手作業で取り付ける場合でも、作業者が片手で取付部品を支えながら、もう片手でファスナーのキャップをクリップに差し込むことができ、取付部品の支持部材への組み付けの作業性が向上するという効果を奏する。又、クリップの基礎部に周壁が設けられ、当該周壁が支持部材の板面に接触して当該支持部材の板面に向かい合うクリップの基礎部の板面と当該支持部材の板面との間にキャップの係合部の挙動を拘束しない空間を確保すれば、取付孔を大きくしなくても係合部を貫通孔の周辺部に係合できるという効果を奏する。又、取付部材が自動車のフロントバンパーフェイフェイシャのグリルから入る空気たる風をラジエーターに導くガイドの役目を有するフロントセットプレートにより構成され、支持部材が上記フロントセットプレートを支持するために車幅方向に延びるフロントバンパーレインフォースにより構成されれば、フロントセットプレートをフロントバンパーレインフォースにファスナーで取り付けても、取付孔が丸穴、長孔、方形のいずれの形であっても、ファスナーの取付孔にかかっている部分が取付孔の中心を回転中心として周方向に回転するこがなく、ファスナーが脱落しないので、安全性が確保できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態に係るファスナーを示す斜視図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】一対の弾性片が取付孔に挿入された状態を示す図1のA−A線断面図に相当する断面図。
【図4】実施の形態に係るファスナーのクリップがフロントバンパーレインフォースに取り付けられた状態を示す斜視図。
【図5】図7のB−B線断面図。
【図6】図7のC−C線断面図。
【図7】実施の形態に係るフロントセットプレートがフロントバンパーレインフォースにファスナーで固定された状態を示す斜視図。
【図8】実施の形態に係るファスナーの用いられた自動車の車体前部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書における「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」の方向は、図8の状態に自動車を置いて矢印Sで示す前側から見た場合に特定される方向である。
【0009】
先ず、図1乃至図7を参照して実施の形態に係るファスナー1について説明し、次に、図8を参照して実施の形態に係るファスナー1の用いられた自動車の前部構造について説明する。
【0010】
図1に示すように、ファスナー1は、支持部材に取付部材を固定するために用いる留め具としての点ファスナーであり、クリップ2とキャップ3とがヒンジ4で開閉可能に連結された合成樹脂からなる構造になっている。又、支持部材としては自動車のフロントバンパーレインフォース5を例示し、取付部材としてはフロントセットプレート6を例示し、クリップ2がフロントセットプレート6の一部に設けられた態様を例示し、長孔に造形された取付孔7がフロントバンパーレインフォース5の一部に設けられた態様を例示する。
【0011】
クリップ2は基礎部11と貫通孔12と一対の弾性片13;14と周壁15とを備え、キャップ3は蓋部16と突起17と係合部18とを備え、基礎部11の一端部と蓋部16の一端部とが互いにヒンジ4で連結され、キャップ3がヒンジ4の上下方向に延びる中心線を中心としてクリップ2に被さる方向に閉じられたり、キャップ3がヒンジ4を中心としてクリップ2から離れる方向に開かれたりするように、キャップ3がヒンジ4を中心とする1つの円弧状の移動軌跡を通る閉じる方向X1と開く方向X2とに往復運動するようになっている。
【0012】
クリップ2において、基礎部11はフロントセットプレート6の一部に設けられた板状になっている。貫通孔12は、基礎部11の前側に向く一方の板面19と後側に向く他方の板面20とに貫通するように基礎部11に設けられた長方形になっている。キャップ3がヒンジ4を中心としてクリップ2に被さる方向に閉じられる際に、キャップ3の突起17及び係合部18が貫通孔12に進入し得るようになっている。弾性片13;14は、基礎部11の板面20から後側に突出するように、板面20に設けられる。キャップ3がヒンジ4を中心としてクリップ2に被さる方向に閉じられる際に、キャップ3の突起17が貫通孔12から弾性片13;14の間に進入して弾性片13;14を押し広げるように、弾性片13;14はキャップ3のヒンジ4を中心とする1つの円弧状の移動軌跡と当該移動軌跡の半径方向との双方に直交する方向としての例えば上下方向で貫通孔12を間に置いて向かい合っている。
【0013】
図2に示すように、弾性片13;14の上下方向で向かい合う内面21;22は、基礎部11の板面20から弾性片13;14の突出方向に行くに従って徐々に間隔を狭くする斜面として構成される。弾性片13;14が、矢印X3で示すように、フロントバンパーレインフォース5の前側から取付孔7に直線的に挿入される場合に、当該弾性片13;14の上下方向の外面23;24が取付孔7に接触しないようになっている。上記弾性片13;14の内面21;22の造形と上記弾性片13;14の外面23;24の造形とにより、弾性片13;14の各々の上下方向の厚さは、基礎部11の板面20から弾性片13;14の突出方向に行くに従って徐々に厚くなっている。
【0014】
又、弾性片13;14の突出方向の先端部おける上下方向の外面25;26は、弾性片13;14の突出方向に行くに従って徐々に弾性片13;14の内面21;22の方向に向く斜面になっていて、弾性片13;14がフロントバンパーレインフォース5の取付孔7に挿入されやすい構造になっている。この斜面である外面25;26と上記斜面である外面23;24との接続部分が上記弾性片13;14の各々の上下方向の厚さの最も厚い部分を構成する。図2の一点鎖線L1は、ファスナー1及び取付孔7における上下方向の中心線であり、前後方向に延びる一本の直線である。
【0015】
図3に示すように、弾性片13;14がフロントバンパーレインフォース5の取付孔7に挿入され、周壁15がフロントバンパーレインフォース5の前面に接触する。この状態をファスナー1の前側から見た外観は、図4に示すような態様になる。
【0016】
その後、図5に示すように、キャップ3がヒンジ4を中心としてクリップ2に被さる方向に閉じられて、突起17が基礎部11の前側から貫通孔12を経由して弾性片13;14の間に進入されるのに伴って弾性片13;14を上下方向に押し広げ、この押し広げられた弾性片13;14の上下方向の外面23;24の一部が取付孔7に接触して突っ張り、弾性片13;14の各々の上下方向の厚さの最も厚い部分がフロントバンパーレインフォース5の取付孔7よりも上下方向に広がり、弾性片13;14が取付孔7から抜けなくなり、つまり、弾性片13;14がフロントバンパーレインフォース5における取付孔7の周辺部に係合する構造になっている。この弾性片13;14による係合が、ファスナー1における第1段の係合である。
【0017】
図1及び図5並びに図6に示すように、周壁15は、貫通孔12及び弾性片13;14を囲みかつ基礎部11の板面20に突出する造形になっている。これにより、図6に示すように、弾性片13;14がフロントバンパーレインフォース5の取付孔7に挿入され、周壁15がフロントバンパーレインフォース5の前面に接触されて基礎部11とフロントバンパーレインフォース5との間に係合部18の挙動を拘束しない空間を確保し、キャップ3の係合部18の爪34がフロントバンパーレインフォース5に干渉しないで貫通孔12の周辺部における基礎部11の板面20に係合する構造になっている。具体的には、段落0016で説明した弾性片13;14による第1段の係合が成立し、さらに、キャップ3がヒンジ4を中心としてクリップ2に被さる方向に閉じられるのに伴い、爪34が貫通孔12の周面に接触して、係合部18が突起17に結合された部分を支点として例えば右側から左側に撓み、爪34が貫通孔12を前方から後方に抜けると、係合部18が突起17に結合された部分を支点として例えば左側から右側に移動して元の位置に復元し、爪34が基礎部11の板面20における貫通孔12の周辺部に係合する。この爪34つまり係合部18による係合がファスナー1における第2段の係合である。尚、上記周壁15がフロントバンパーレインフォース5の前面に接触されて基礎部11とフロントバンパーレインフォース5との間に係合部18の挙動を拘束しない空間を確保した場合、基礎部11とフロントバンパーレインフォース5とが互いに平行になっているので、取り付けられた造形の品質感が向上する。
【0018】
即ち、実施の形態では、図5に示す弾性片13;14による第1段の係合と図6に示す係合部18による第2段の係合とを有し、ファスナー1の取り付けと取り外しとが2重規制された構造であるので、ファスナー1を有するフロントセットプレート6をフロントバンパーレインフォース5に取り付けやすくかつフロントバンパーレインフォース5から取り外しやくさらに外れにくいとう利点がある。このファスナー1を有するフロントセットプレート6の一部がフロントバンパーレインフォース5にファスナー1で取り付けられた状態をファスナー1の前側から見た外観は、図7に示すような態様になる。
【0019】
図1に戻り、キャップ3において、蓋部16は板状になっている。突起17は、蓋部16の右側としてのクリップ2の側に位置する一方の板面29に突出して設けられる。突起17における蓋部16の板面29から突出する方向は、キャップ3がヒンジ4を中心とする1つの円弧状の移動軌跡を通る閉じる方向X1と同じ方向である。キャップ3がヒンジ4を中心としてクリップ2に被さる方向に閉じられる際に、突起17がクリップ2の基礎部11に接触しないで貫通孔12から弾性片13;14の間に進入して弾性片13;14を押し広げる構造になっている。蓋部16及び突起17には、凹部30が蓋部16の左側に位置する他方の板面31から突起17の側に窪むように設けられる。凹部30は、突起17の部分で上下方向に開口する溝になっている。
【0020】
図1において、係合部18は、突起17の前面から前方に突出する横片32と、横片32の前部から蓋部16の側に突出する縦片33と、縦片33の前面から前方に突出する爪34とを備える。突起17の前面とは、キャップ3がヒンジ4を中心とする1つの円弧状の移動軌跡の半径方向の外側に位置する面であり、突起17から見てヒンジ4から離れる方向に位置する面であり、蓋部16のヒンジ4の設けられる一端部と対になる他端部の側に位置する面である。縦片33と突起17との間には、隙間35が形成される。縦片33の蓋部16の側に延長する部分は、蓋部16に設けられた溝36を貫通して蓋部16の板面31よりも左側に突出した操作部37になっている。そして、図5に示すように、キャップ3がヒンジ4を中心としてクリップ2に被さる方向に閉じられて、弾性片13;14がフロントバンパーレインフォース5における取付孔7の周辺部に係合した場合に、爪34が図6に示すようにフロントバンパーレインフォース5に干渉しないで貫通孔12の周辺部における基礎部11の板面20に係合する構造になっている。このように係合部18が突起17の前面に設けられていれば、係合部18を突起17から分かれて設けられる構造よりも貫通孔12の大きさが小さくなり、蓋部16が小形になる。
【0021】
図6に示すように、爪34が貫通孔12の周辺部における基礎部11の板面20に係合した状態において、人が操作部37を矢印X4で示すように右方向から左方向に押すと、縦片33が横片32と突起17との結合された部分を支点として右側から左側に撓み、爪34が右側から左側に移動して貫通孔12の周面よりも中心の側に移動し、段落0017で説明した係合部18による第2段の係合が解放され、キャップ3がヒンジ4を中心としてクリップ2から離れる方向に開かれる。これにより、ファスナー1が取り外しやすい。尚、図1に示すように、蓋部16に設けられた溝36は、蓋部16の左右方向及び前方に開口した形状になっているが、蓋部16の前方が塞がった左右方向に開口する貫通孔でもよい。又、クリップ2の基礎部11には、支持部材としてのフロントバンパーレインフォース5の前面たる板面に接触して当該フロントバンパーレインフォース5の前面に向かい合うクリップ2の基礎部11の板面20と当該フロントバンパーレインフォース5の前面との間にキャップ3の係合部18の挙動を拘束しない空間を確保する周壁15が設けられているので、取付孔7を大きくしなくても、係合部18を貫通孔12の周辺部に係合できる。周壁15は、貫通孔12や弾性片13;14を取り巻く方向に連続している必要はなく、スリットや溝等で貫通孔12や弾性片13;14を取り巻く方向に複数個に分割された造形でもよい。そのように分割された造形であっても、分割された複数個の周壁15がクリップ2の基礎部11とフロントバンパーレインフォース5とが互いに平行に対向するような間隔を確保するように考慮すればよい。
【0022】
図8を参照し、フロントセットプレート6をフロントバンパーレインフォース5にファスナー1で固定した自動車の前部構造について説明する。図8では、自動車の前部構造を前側から見た場合におけるフロントセットプレート6をフロントバンパーレインフォース5にファスナー1で固定した左側の部分は、フロントバンパーフェイシャ41及びアッパーグリル42並びにロアーグリル43で覆われて見えないので、図示が省かれている。この図示が省かれた部分は、自動車に乗車した人から見ると、左側の部分になる。
【0023】
フロントセットプレート6は、図外のフロントランプブラケットとフロントバンパーレインフォース5に、実施の形態に係るファスナー1及び図外の公知のファスナー1クで固定され、ラジエーター44よりも前側に配置される。フロントセットプレート6の役目は、アッパーグリル42から入る空気たる風をラジエーター44に導くガイドである。フロントバンパーレインフォース5は、フロントセットプレート6よりも前側に配置され、車幅方向に延びる骨格を構成する。フロントバンパーレインフォース5の車幅方向の両端部が、車体前部の左右の側部で前後に延びるフロントサイドフレーム45の前部に個別に固定されたクラッシュカン46に固定される。
【0024】
フロントバンパーレインフォース5よりも前側には、車幅方向に延びる衝撃吸収部材47が配置される。衝撃吸収部材47の車幅方向の両端部は、フロントバンパーレインフォース5に固定される。衝撃吸収部材47は、実施の形態に係るファスナー1の周辺部を逃がす形状になっている。ラジエーター44は、ラジエーターシュラウド48に取り付けられる。ラジエーターシュラウド48は、フロントバンパーレインフォース5に固定される。フロントバンパー49は、フロントバンパーフェイシャ41、フロントバンパーレインフォース5、衝撃吸収部材47などからなる。フロントバンパーフェイシャ41は、車体から出た図外のブラケットや図外のフロントフェンダーやラジエーターシュラウド48、図外のアンダーカバー、図外のスプラッシュシールドなどに取付けられ、主には車体から出た図外のブラケットと図外のフェンダーとで支持される。50はボンネットを示す。
【0025】
尚、支持部材をフロントバンパーレインフォース5以外の部材とし、取付部材をフロントセットプレート6以外の部材としてもよい。取付孔7は長孔以外の丸穴又は方形であってもよい。又、ヒンジ4に置換し、クリップ2の基礎部11とキャップ3の蓋部16とを紐又はチェーン又はリング等の連結部材で連結してもよい。又、クリップ2の基礎部11を取付部材に設けることなく取付部材から分かれた構造でもよい。上記のように、クリップ2の基礎部11とキャップ3の蓋部16とが連結部材で連結された構造、又は、クリップ2の基礎部11が取付部材から分かれた構造である場合、突起17を貫通孔12から取付孔7に直線的に挿入してもよい。又、リップ2の基礎部11が取付部材から分かれた構造である場合、貫通孔7に相当する貫通孔が取付部材に設けられ、この取付部材が支持部材に重ね合わされる場合に、上記取付部材に設けられた貫通孔7に相当する貫通孔と支持部材に設けられた取付孔7とが重ね合わされた状態において、突起17が上記取付部材に設けられた貫通孔7に相当する貫通孔から支持部材に設けられた取付孔7に挿入される。又、貫通孔12は、方形以外の長孔でもよい。
【0026】
又、周壁15は除去することも考えられる。周壁15が除去された場合、図6において、取付部材としてのフロントバンパーレインフォース5に重なって接触するので、クリップ2の基礎部11が係合部18の爪34が貫通孔12の周辺部又は取付孔7の周辺部に係合させることが可能である。爪34が貫通孔12の周辺部に係合するようにするには、図6に示す取付孔7を右側に大きくして、爪34がフロントバンパーレインフォース5に接触しないように、つまり、取付孔7が爪34を逃げるようにすればよい。又、爪34が取付孔7の周辺部に係合するようにするには、爪34の位置を図6に示す位置よりもフロントバンパーレインフォース5の後面の側に移動させて、爪34がフロントバンパーレインフォース5の後面の取付孔7の周辺部に係合するようにすればよい。
【符号の説明】
【0027】
1はファスナー、2はクリップ、3はキャップ、4はヒンジ、5はフロントバンパーレインフォース、6はフロントセットプレート、7は取付孔、8乃至10は欠番、11は基礎部、12は貫通孔、13;14は弾性片、15は周壁、16は蓋部、17は突起、18は係合部、19;20は板面、21;22は内面、23乃至26は外面、27;28は欠番、29は板面、30は凹部、31は板面、32は横片、33は縦片、34は爪、35は隙間、37は操作部、38乃至40は欠番、41はフロントバンパーフェイシャ、42はアッパーグリル、43はロアーグリル、44はラジエーター、45はフロントサイドフレーム、46はクラッシュカン、47は衝撃吸収部材、48ラジエーターシュラウド、49はフロントバンパー、50はボンネット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材に取付部材を固定するために用いるクリップとキャップと備えるファスナーであって、クリップが基礎部と貫通孔と一対の弾性片とを備え、キャップが蓋部と突起と係合部と備え、クリップの一対の弾性片が支持部材に設けられた取付孔に挿入された状態において、キャップの突起がクリップの貫通孔から一対の弾性片の間に進入されて一対の弾性片を押し広げて、一対の弾性片が支持部材における取付孔の周辺部に係合する第1段の係合となると共に、キャップの爪がキャップにおける貫通孔の周辺部に係合する第2段の係合になること特徴とするファスナー。
【請求項2】
クリップの基礎部が取付部材に設けられたことを特徴とする請求項1記載のファスナー。
【請求項3】
クリップの基礎部には、支持部材の板面に接触して当該支持部材の板面に向かい合うクリップの基礎部の板面と当該支持部材の板面との間にキャップの係合部の挙動を拘束しない空間を確保する周壁が設けられたことを特徴とする請求項1記載のファスナー。
【請求項4】
クリップの基礎部とキャップの蓋部とがヒンジで連結され、キャップがヒンジを中心としてクリップに被さる方向に閉じられたり、キャップがヒンジを中心としてクリップから離れる方向に開かれたりするように、キャップがヒンジを中心とする1つの円弧状の移動軌跡を通る閉じる方向と開く方向とに往復運動することを特徴とする請求項1記載のファスナー。
【請求項5】
クリップの基礎部とキャップの蓋部とが連結部材で連結されたことを特徴とする請求項1記載のファスナー。
【請求項6】
取付部材が自動車のフロントバンパーフェイフェイシャのグリルから入る空気たる風をラジエーターに導くガイドの役目を有するフロントセットプレートにより構成され、支持部材が上記フロントセットプレートを支持するために車幅方向に延びるフロントバンパーレインフォースにより構成されたこと特徴とする請求項1に記載のファスナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−64459(P2013−64459A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204246(P2011−204246)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000138244)株式会社モルテン (105)
【Fターム(参考)】