説明

ファージ耐性に基づいて選択された食品に質感を加えるための乳酸菌

本発明は、質感を加える特性を伴う菌体、菌体を含むスターター培養物、およびスターター培養物で発酵された乳製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善されたファージ耐性を有する菌体、本菌体を含むスターター培養物、および本スターター培養物で発酵された乳製品に関する。
【背景技術】
【0002】
食品会社は、食品の風味およびテクスチャーを改善するためだけでなくまたこれらの食品の貯蔵寿命を延長するために、多数の菌、特に乳酸菌を使用する。乳業の場合、乳酸菌は、乳の酸性化(発酵により)をもたらすためだけでなく、またそれらが組み込まれた製品に質感を加えるために、集中的に使用される。
【0003】
食品会社で使用される乳酸菌の中で、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ペディオコッカス(Pediococcus)およびビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属が挙げられる。ストレプトコッカスサーモフィラス(Streptococcus thermophilus)種の乳酸菌は、食品の製造、特に発酵製品のために単独または他の菌と組み合わせて集中的に使用される。それらは、特に、ヨーグルトなどの発酵乳の製造のために使用される発酵体の調合物について使用される。それらのいくつかは、発酵製品のテクスチャーの発達について最も有力な役割を果たす。この特性は、ポリサッカライドの生成と密接につながる。ストレプトコッカスサーモフィラスの株中で、質感を加える(texturzing)および質感を加えない(non‐texturzing)株を区別することができる。
【0004】
WO2007095958A1は、質感を加える特性を有するストレプトコッカスサーモフィラス株を開示する。図1では、もっとも質感を加える株CHCC8833(DSM17876)が、約59Paのせん断応力(shear stress)値を有することを見出し得る。
【0005】
産業の要求を満たすために、乳酸菌の新規の質感を加える株、特に、食品に質感を加えるためのストレプトコッカスサーモフィラスを提供することが必要となっている。特に、ラストバチルス種の株と一緒に使用できるストレプトコッカスサーモフィラスの新規の質感を加える株の必要がある。産業の他の要求は、本株が、食品産業で通常見られるバクテリオファージに耐性であることである。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、ストレプトコッカスサーモフィラスおよびラクトバチルスブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)種の乳酸菌の新規の群を提供し、そしてそれは、驚くことに、それが得られた(母)株よりもファージ攻撃に対してより耐性である。さらに、驚くことに、本菌が乳を発酵するために使用されたとき、菌のこの群が、母株よりもより高いせん断応力および/またはゲル剛性を生じることが分かった。
【0007】
ファージ耐性突然変異株が、(本株が、発酵乳に使用されたとき)母株よりもよりテクスチャー、例えば、より高いせん断応力および/またはゲル剛性を生じることは驚きであり、および(また)galk遺伝子について突然変異を含む(野生株と比例して)株のファージ耐性突然変異株が、(本株が、発酵乳に使用されたとき)母株よりもよりテクスチャーを生じることは特に驚きである。
【0008】
上の驚くべき知見に従って、本発明は、母株のファージ耐性突然変異体のためのスクリーニングにより質感を加える乳酸菌株を製造するための方法、例えば、質感を加える乳酸菌(例えば、そのうえ、例えばファージ耐性、実質的なファージ耐性であり、および/または母株と比較して増加したファージ耐性を持つ菌)を製造するための方法であって、以下のステップ:
a)乳酸菌株(母株)を提供すること;および
b)突然変異株が、母株よりもよりファージに対して耐性(例えば、ファージのより多くの種類またはファージのより多くの株)である、母株の突然変異株を分離すること
を含む、方法に関する。
【0009】
さらに、本発明は、S.サーモフィラス株またはラクトバチルスブルガリカス株などの質感を加える乳酸菌株に関し、そしてそれは、母株よりもよりファージに対して、特にCHPC658、CHPC1057、CHPC1089およびCHPC1152ファージの一つに対して耐性であるように改変される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、ストレステック(StressTech)レオメーターで測定したガラクトース陽性株CHCC11342およびガラクトース陽性ファージ耐性突然変異体CHCC11977のせん断応力を示す。せん断応力は、37℃、乳中で終夜生育後、凝固した乳について測定した。
【図2】図2は、ストレステック(StressTech)レオメーターで測定したCHCC10019のファージ耐性突然変異体のせん断応力を示す。
【図3】図3は、ストレステック(StressTech)レオメーターで測定したCHCC12339、CHCC9204のファージ耐性突然変異体のゲル剛性を示す。ゲル剛性は、37℃、乳中で終夜生育後、凝固した乳について測定した。
【図4】図4は、ストレステック(StressTech)レオメーターで測定したCHCC13140、CHCC5086のファージ耐性突然変異体のせん断応力を示す。せん断応力は、37℃、乳中で終夜生育後、凝固した乳について測定した。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第一態様では、本発明は、以下のステップ:
a)乳酸菌株(母株)を提供すること;および
b)突然変異株が、母株よりもよりファージに対して耐性(例えば、ファージのより多い種類またはファージのより多い株)であり、および/またはその突然変異体が、母株が、耐性でない(同じ条件下)ファージに対して耐性である、母株の突然変異株を分離すること
を含む、乳酸菌(例えば、ファージ耐性、実質的なファージ耐性であり、および/または母株と比較して増加したファージ耐性を持ち、または本菌が乳を発酵するために使用されたとき、母株よりもより高いせん断応力および/またはゲル剛性を生じる)を製造するための方法に関する。
【0012】
興味深い態様では、本発明は、以下のステップ:
a)乳酸菌株(母株)を提供すること;および
a1)乳酸菌をファージ、例えば、CHPC658、CHPC1057、CHPC1089およびCHPC1152からなる群から選択されるファージなどの、母株を溶菌できるバクテリオファージに曝露すること、および;
b)突然変異株が、ファージに対して耐性である(または株がファージによって溶菌されない)、母株の突然変異株を分離すること
を含む、乳酸菌(例えば、ファージ耐性、実質的なファージ耐性であり、および/または母株と比較して増加したファージ耐性を持ち、または本菌が乳を発酵するために使用されたとき、母株よりもより高いせん断応力および/またはゲル剛性を生じる)を製造するための方法に関する。
【0013】
また、本発明は、以下のステップ:
a)乳酸菌株(母株)を提供すること;
a1)乳酸菌をファージ、例えば、CHPC658、CHPC1057、CHPC1089およびCHPC1152からなる群から選択されるファージなどの、母株を溶菌できるバクテリオファージに曝露すること;
a2)生育培地中で曝露された菌体をインキュベートすること;および
b)突然変異株が、バクテリオファージにより溶菌されない、母株の突然変異株を分離すること
を含む、方法に関する。
【0014】
本発明の方法は、以下のステップ:
c)母株を、例えばステップa1)の前、間または後で、突然変異すること(例えば、化学薬品処理もしくは放射線処理により、または遺伝子工学的手法を用いて)
を含んでもよい。
【0015】
また、本発明の任意の方法は、以下の方法:
d)本株のgalk遺伝子またはgalk制御配列(例えば、プロモーター)中に、例えば、ステップc)の前、間もしくは後、またはステップa)の前、間もしくは後で、突然変異を導入すること
を含んでもよい。
【0016】
興味深い実施態様では、本発明は、以下のステップ:
‐ 乳酸菌株(母株)を提供すること;
‐ 母株を突然変異すること(例えば、化学薬品処理もしくは放射線処理、または遺伝子工学的手法を用いて);
‐ 結果として得た乳酸菌をファージ、例えば、CHPC658、CHPC1057、CHPC1089およびCHPC1152からなる群から選択されるファージなどの、母株を溶菌できるバクテリオファージなどに曝露すること;
‐ 生育培地中で曝露した菌体をインキュベートすること;および
‐ 突然変異株がバクテリオファージにより溶菌されない、母株の突然変異株を分離すること
を含む。
【0017】
本発明の方法は、突然変異が、‐10領域(プリブノーボックス)中、またはプリブノーボックスおよびリボソーム結合部位の間の領域中などのgalk遺伝子のプロモーター領域に導入されることを惹起してもよい。
【0018】
また、本発明の方法は、母株と比較して増加したガラクトース発酵活性を生じる突然変異体を惹起してもよい。
【0019】
本突然変異は、A、TおよびGからなる群から選択されるヌクレオチドで、野生型プリブノーボックスから下流のTTCAGT配列中のCの置換など、プリブノーボックスおよびgalk遺伝子のリボソーム結合部位の間の領域中で、一またはそれ以上のヌクレオチドの置換を生じてもよい。
【0020】
他の実施態様では、本突然変異は以下の:
‐ A、TおよびGからなる群から選択されるヌクレオチドでの、野生型プリブノーボックスから下流のTTCAGT(配列番号6)配列中のCの置換など、プリブノーボックスおよびgalk遺伝子のリボソーム結合部位の間の領域中での、一またはそれ以上のヌクレオチドの置換;および/または
‐ AおよびTからなる群から独立して選択されるヌクレオチドでの、野生型‐10領域(TACGAT、配列番号7)中での、一またはCおよびGの両方の置換;および/または
‐ AおよびTからなる群から独立して選択されるヌクレオチドでの、野生型‐10領域(TACGAT、配列番号7)中での、Cの置換;および/または
‐ Tで、野生型‐10領域(TACGAT、配列番号7)中での、Cの置換;および/または
‐ ヌクレオチド配列TATGAT(配列番号8)、TATTAT(配列番号9)またはTACTAT(配列番号10)を有する‐10領域
を生じてもよい。
【0021】
本発明の方法で使用される母株は、gal+株であってもよく、好ましい株は、2%ガラクトースを伴うM17(ガラクトースが唯一の糖類として添加された)中で、37度で、16時間インキュベート後、少なくとも1の値、pHを低下でき、少なくとも培地1mlあたり10E4菌量について植菌される。そのような株の例は、ここで以下:
‐ A、TおよびGからなる群から選択されるヌクレオチドでの、野生型プリブノーボックスから下流のTTCAGT(配列番号6)配列中でのCの置換など、プリブノーボックスおよびgalk遺伝子リボソーム結合部位の間の一またはそれ以上のヌクレオチドが置換され;および/または
‐ 野生型‐10領域(TACGAT、配列番号7)中の一またはCおよびGの両方が、AおよびTからなる群から独立して選択されるヌクレオチドで置換され;および/または
‐ 野生型‐10領域(TACGAT,配列番号7)中のCが、AおよびTからなる群から独立して選択されるヌクレオチドで置換され;および/または
‐ 野生型‐10領域(TACGAT,配列番号7)中のCが、Tで置換され;および/または
‐ ‐10領域が、TATGAT(配列番号8)、TATTAT(配列番号9)またはTACTAT(配列番号10)配列を有する
株である。新規のgal+株が、本発明の一部である。
【0022】
本発明の方法は、以下:
c1)母株と比較して増加したファージ耐性をなど、ファージ耐性を有する突然変異株をスクリーニングすること;および
c2)母株と比較して増加したガラクトース分解活性など、Gal+表現型を有する突然変異株をスクリーニングすること
からなる群から選択される一またはそれ以上のさらなるステップ(複数)を含んでもよい。
【0023】
本発明の方法のある実施態様は、以下のステップ:
‐ 乳酸菌株(母株)を提供すること;
‐ 場合により母株を突然変異すること;
‐ 突然変異した母株を、例えば、CHPC658、CHPC1057、CHPC1089およびCHPC1152からなる群から選択されるファージなど、母株を溶菌することができるバクテリオファージに曝露すること;
‐ 場合により、生育培地で曝露された菌体をインキュベートすること;および
‐ 母株と比較して増加したファージ耐性など、ファージ耐性を有する突然変異株をスクリーニングすること;および/または母株と比較して増加したガラクトース分解活性など、Gal+表現型を有する突然変異株をスクリーニングすること
を含む、乳酸菌を製造するための方法に関する。
【0024】
本発明の方法により得られた突然変異株は、自然発生突然変異体、例えば、化学薬品処理または放射線処理を用いて母株の突然変異誘発により得た突然変異体、または遺伝子工学的手法を用いて得た突然変異体でもよい。本発明の興味深い突然変異体は、CHCC6008の突然変異体、特に、gal+およびCHPC1152に対し耐性である突然変異体である。
【0025】
本発明の方法のある実施態様では、突然変異株は、ファージ耐性、実質的なファージ耐性であり、および/または母株と比較して増加したファージ耐性を持ち、およびここで、ファージは、母株を溶菌することができるバクテリオファージ、CHPC658、CHPC1057、CHPC1089およびCHPC1152からなる群から選択される。
【0026】
菌は、ラクトコッカス種、ストレプトコッカス種(例えば、ストレプトコッカスサーモフィラス)、ラクトバチルス種、リューコノストック(Leuconostoc)種、シュードリューコノストック(Pseudoleuconostoc)種、ペディオコッカス種、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)種、エンテロコッカス(Enterococcus)種、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)種、およびビフィドバクテリウム種からなる群から選択される種から選択されることが現在好ましい。
【0027】
本発明の方法の興味深い実施態様では、菌(母株)は、乳に質感を加える能力、エキソポリサッカライドまたはきょう膜ポリサッカライドなどのポリサッカライドを生産する能力、乳中でインキュベートしたとき、粘性を引き起こす能力、乳中でインキュベートしたとき、せん断応力を増加する能力からなる群から選択される一またはそれ以上の特徴を有する株から選択される。
【0028】
他の態様では、本発明は、本発明の方法により得られた乳酸菌または株に関する。
【0029】
さらなる態様では、本発明は、本発明の方法により得られる菌または株など、そしてそれは、例えば、少なくとも乳1mlあたり10E4菌量で植菌され、37℃で12時間生育後、せん断応力として測定され、発酵乳中で、約70Pa(パスカル)超(例えば、73Pa超、77Pa超、79Pa超または80Pa超)の粘度を生じる、乳酸菌または株に関する。発酵乳中で100Paまで、120Paまで、150Paまで、200Paまでさえ粘度を生じる株を得ることができると思われる。得られる粘度の範囲の例は、70‐200Pa、75‐150Pa、78‐120Pa、79‐100Pa、および80‐90Paである。特に、本発明は、S.サーモフィラスの株に関し、そしてそれは、発酵乳中で、79‐100Paの粘度を生じることができる。
【0030】
本発明の株の例は、CHCC11342(DSM22932)、CHCC11977(DSM22935)、CHCC12339(DSM24090)、およびCHCC13140(DSM24023)、並びにこれらの任意の突然変異体およびバリアントからなる群から選択されるストレプトコッカスサーモフィラス種に属する菌株である。さらに、本発明は、本明細書中で言及したすべての新規の株、同様にそれらの突然変異体およびバリアントに関する。特に、本発明は、CHCC11977株、およびそれらの突然変異体に関する。
【0031】
さらなる態様では、本発明は、例えば、少なくとも乳1mlあたり10E4菌量で植菌され、37℃で12時間の生育後、測定され、発酵乳中で約70Pa超(例えば、73Pa超、77Pa超または80Pa超)のせん断応力を生じる、乳酸菌または株に関する。本菌または株は、ストレプトコッカスサーモフィラスまたはラクトバチルスデルブリュキーサブスピーシーズブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)種に属してもよい。
【0032】
本発明はまた、CHCC12813(DSM24074)およびCHCC12841、およびそれらの突然変異体およびバリアントからなる群から選択される株など、Lbデルブリュキーサブスピーシーズブルガリカス種に属する菌株に関する。興味深い株は、例えば、少なくとも乳1mlあたり10E4菌量で植菌され、37℃で、12時間生育後測定され、発酵乳中で、約60Pa超(例えば、65Pa超、69Pa超または72Pa超)のせん断応力を生じるものである。特に、興味深いのは、例えば、少なくとも乳1mlあたり10E4菌量で植菌され、37℃で、12時間生育後、測定され、発酵乳についてせん断応力が、60‐100Paの範囲(例えば、65‐90Pa、69‐85Paまたは72‐80Pa)で生じるものである。
【0033】
本発明のさらなる態様では、例えば、少なくとも乳1mlあたり10E4菌量で植菌され、37℃で12時間生育後、測定され、発酵乳中のゲル剛性を約110Pa超(例えば、115超、120超または125Pa超)生じる、乳酸菌または株または本発明の突然変異体またはバリアントに関する。ゲル剛性は、110‐200Paの範囲内が現在好ましく、120‐190Paまたは125‐180Paの範囲内がより好ましい。菌または株は、ストレプトコッカスサーモフィラスまたはラクトバチルスデルブリュッキーサブスピーシーズ種に属してもよい。特に、本発明は、発酵乳中で125‐175Paのゲル剛性を生じることができる、S.サーモフィラスの株に関する。
【0034】
興味深い実施態様では、本発明は、Lb.デルブリュッキーサブスピーシーズブルガリカス種に属する、乳酸菌または株に関する。この実施態様による興味深い例は、少なくとも乳1mlあたり10E4菌量で植菌され、37℃で12時間生育後、せん断応力として測定され、発酵乳中の粘度を約60Pa超(例えば、65Pa超、69Pa超または72Pa超)生じる、菌または株、および/または、例えば、少なくとも乳1mlあたり10E4菌量で植菌され、37℃で12時間生育後、せん断応力として測定され、発酵乳中の粘度を60‐100Paの範囲で(例えば、65‐90Pa、69‐85Paまたは72‐80Pa)生じる、菌または株である。
【0035】
他の態様では、例えば、菌は、CHCC11977株またはそれらの突然変異体に属し、乳酸菌または株を含む組成物に関する。そのような組成物は、前記菌の少なくとも10exp10CFU(細胞形成単位)を含むことが好ましい。
【0036】
ある実施態様では、組成物は、混合物としてまたはキットのパーツとして(kit‐of‐parts)以下:
‐ ラクトバチルスデルブリュッキーサブスピーシーズブルガリカス(同義語:ラクトバチルスブルガリカス)、L.ジョンソニー(johnsonii)、またはL.ファーメンタム(fermentum)株など、ラクトバチルス種に属する株;および
‐ 本発明の乳酸菌の株、ストレプトコッカスサーモフィラス種に属する株など、例えば、CHCC11342(DSM22932)、CHCC11977(DSM22935)、CHCC12339、およびCHCC13140(DSM24023)、およびこれらの任意の突然変異体およびバリアントからなる群から選択される株、ここでラクトバチルス種に属する株が、ポリサッカライド(ヘテロポリサッカライド、ホモポリサッカライドなど)および/またはフルクトシルトランスフェラーゼ酵素産生ラクトバチルス種に属する株である組成物など
を含んでもよい。
【0037】
本発明の組成物は、ラクトバチルス種の属する株の少なくとも10exp10CFU(細胞形成単位)、および/または少なくともストレプトコッカスサーモフィラス種の属する株の10exp10CFUを含んでもよい。
【0038】
興味深い実施態様では、本発明の組成物は、ポリサッカライド(ホモポリサッカライドなど)および/またはフルクトシルトランスフェラーゼ酵素産生ラクトバチルス種に属する株の少なくとも10exp10CFU(細胞形成単位)、およびストレプトコッカスサーモフィラス種に属する株の少なくとも10exp10CFUを含む。
【0039】
組成物は、スターター培養物として使用可能でもよく、および凍結、凍結乾燥または液体形態でもよい。
【0040】
さらなる態様では、本発明は、本発明の乳酸菌、本発明の株、または本発明の組成物で乳基質(牛乳など)を発酵することを含む、発酵乳製品を製造するための方法に関する。
【0041】
本方法は、さらに、ラクトバチルス種に属する株で、L.ブルガリカスまたはL.ファーメンタムの株など、例えば、CHCC10019、CHCC10935、またはCHCC3984、並びにこれらの株の任意の突然変異体およびバリアントからなる群から選択される株で、乳基質を発酵することを含んでもよい。例えば、乳基質は、本発明の組成物、株または菌、例えば、ラクトバチルス種に属する株で発酵前、間、後、ストレプトコッカスサーモフィラスに属する株で発酵され、または乳基質は、ポリサッカライド産生ラクトバチルス種に属する株で発酵の間、ストレプトコッカスサーモフィラス種に属する株または菌で発酵される。
【0042】
発酵乳製品を製造するための本発明の方法は、発酵の前、間および/または後、乳基質に、タンパク質を架橋できる酵素、トランスグルタミナーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、キモシン、およびレンネットからなる群から選択される酵素などの酵素を添加することを含んでもよい。
【0043】
さらに他の態様では、本発明は、本発明の上の方法により得られる、発酵乳製品(例えば、ヨーグルトまたはバターミルク)またはチーズ(例えば、フレッシュチーズまたはパスタフィラータ)などの乳製品に関する。発酵乳製品は、例えば、攪拌タイプ製品、飲用製品、またはセットタイプ製品であってもよい。本発明の乳製品は、場合により、フルーツ濃縮物、シロップ、プロバイオティック菌培養物、着色剤、増粘剤、調味料、および保存料からなる群から選択される原料を含んでもよい。
【0044】
従って、本発明は、場合によりフルーツ濃縮物、シロップ、プロバイオティック菌培養物、着色剤、増粘剤、調味料、および保存料からなる群から選択される原料を含み、および/または場合により、攪拌タイプ製品、セットタイプ製品、または飲用製品の形態である、本発明の方法により得られる発酵乳製品に関する。
【0045】
また本発明は、本発明の乳酸菌(例えば、DSM22884などのストレプトコッカスサーモフィラス種に属する株)およびラクトバチルスブルガリカスおよびラクトバチルスファーメンタム(CHCC10019(DSM19252)、CHCC3984(DSM19251)およびCHCC2008(DSM22584))から選択される乳酸菌株で、乳基質(牛乳など)を発酵することで作られた、乳製品に関する。
【0046】
興味深い実施態様では、本発明の乳製品は、例えば乳中で37℃、12時間生育後、せん断応力として測定され、100Pa超(102超または104Pa超など)の粘度/テクスチャーを有する。現在好ましい実施態様では、100Pa超の粘度は、菌体単独の生育により得られるが、より高い粘度値が、スターチ、ゼラチン、カラギナンなどの化合物の添加により得ることができる。
【0047】
他の実施態様では、本発明の乳製品は、せん断応力として測定され、100‐150Paの範囲、または105‐125Paの範囲など、100‐200Paの範囲で粘度/テクスチャーを有する。
【0048】
さらなる実施態様では、本発明の乳製品は、例えば、飲料ヨーグルトなどの、飲用製品である。
【0049】
本発明はまた、CHPC658(DSM23961)、CHPC1057、CHPC1089およびCHPC1152(DSM23994)、並びにそれらの突然変異体およびバリアントからなる群から選択されたバクテリオファージなど、本明細書中で言及された株、例えば、CHCC6008株を溶菌することができる突然変異体およびバリアントなど、本発明の方法で使用可能な新規のバクテリオファージに関する。
【0050】
さらに、本発明は、CHCC11342(DSM22932)、CHCC10019(DSM19252)、CHCC11379(DSM22884)、CHCC11976(DSM22934)からなる群から選択される株など、本発明の方法で母株として使用可能な新規の菌株に関する。
【0051】
本明細書で使用されるように、用語「乳酸菌」は、グラム陽性、微好気性または嫌気性細菌を示し、そしてそれは、主要な産生酸として乳酸、酢酸およびプロピオン酸を含む酸の産生を伴い、糖を発酵する。産業的にもっとも有用な乳酸菌は、ラクトコッカス種、ストレプトコッカス種、ラクトバチルス種、リューコノストック種、シュードリューコノストック種、ペディオコッカス種、ブレビバクテリウム種、エンテロコッカス種、およびプロピオニバクテリウム種を含む「ラクトバチルス目」内に見出される。そのうえ、絶対嫌気性細菌、ビフィドバクテリア、すなわちビフィドバクテリウム種の群に属する乳酸産生菌は、一般的に乳酸菌の群に含まれる。これらは、しばしば食品培養物単独としてまたは他の乳酸菌と組み合わせて使用される。ラクトバチルススピーシーズ種およびストレプトコッカスサーモフィラスの菌を含む乳酸菌は、通常、バルクスターター増殖のための凍結または凍結乾燥培養物として、または発酵乳製品など、乳製品の製造のための発酵容器またはバット内に直接植菌するために意図された、いわゆるダイレクトバットセット(DVS)培養物としてのいずれかで乳業に供給される。そのような培養物は、一般的に「スターター培養物」または「スターター」として称される。
【0052】
用語「乳」は、ウシ、ヒツジ、ヤギ、スイギュウまたはラクダなどの任意の哺乳類を搾乳することにより得られる乳び管の分泌物として理解されるべきである。好ましい実施態様では、乳は、牛乳である。用語「乳」は、また、豆乳などの植物材料で作られたタンパク質/脂肪溶液を含む。
【0053】
用語「乳基質」は、本発明の方法に従って発酵を受けることができる任意の生および/または加工乳原料であってもよい。従って、有用な乳基質は、全または低脂肪乳、スキムミルク、バターミルク、還元乳パウダー、コンデンスミルク、ドライミルク、ホエイ、ホエイパーミエイト、ラクトース、ラクトースの結晶由来の母液、ホエイプロテインコンセントレイト、またはクリームなどの、任意の乳またはタンパク質を含む乳様製品の溶液/懸濁液を含むが、限定されない。明らかに、乳基質は、例えば、実質的に純粋な哺乳類の乳、または還元乳パウダーである、任意の哺乳類に由来してもよい。
【0054】
好ましくは、少なくとも乳基質中のタンパク質の一部は、カゼインまたはホエイタンパク質など、乳中で天然起源のタンパク質である。しかしながら、タンパク質の一部は、乳中で天然起源でないタンパク質であってもよい。
【0055】
用語「乳」は、例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、スイギュウまたはラクダなど、任意の哺乳類を搾乳することにより得られた乳び管の分泌物として理解されるべきである。好ましい実施態様では、乳は牛乳である。
【0056】
発酵前に、乳基質は、当該技術分野で知られた方法によりホモジナイズされおよび殺菌されてもよい。
【0057】
本明細書中で使用されるように「ホモジナイズ」は、可溶性懸濁液またはエマルジョンを得るために激しく混合することを意味する。仮に均質化が、発酵前に行われれば、もはや乳から分離しないように、乳脂肪をより小さいサイズに分解するために行われてもよい。これは、小さなオリフィスを介して高圧で乳を押し出すことにより果たされてもよい。
【0058】
本明細書中で使用されるように「殺菌」は、微生物などの生きている生物の存在を低減または除去するための乳基質の処理を意味する。好ましくは、殺菌は、特定の期間の間特定の温度を維持することにより達成される。特定の温度は、加熱により通常達成される。温度および期間は、有害な細菌など、ある細菌を死滅しまたは不活化するために選択されてもよい。急速冷却ステップが、続いてもよい。
【0059】
本発明の方法における「発酵」は、微生物の作用を介して糖類のアルコールまたは酸への変換を意味する。好ましくは、本発明の方法における発酵は、ラクトースの乳酸への変換を含む。
【0060】
発酵乳製品の製造で使用される発酵プロセスは、周知および当業者が、温度、酸素、微生物(複数)の量および特徴並びに処理時間などの好適な処理条件の選択方法を知るであろう。明らかに、発酵条件は、本発明の達成を支持するために、すなわち、固体または液体形態で乳製品(発酵乳製品)を得るために、選択される。
【0061】
用語「攪拌タイプ製品」は、発酵後機械的な処理を受け、その結果、発酵ステージにおいて形成された凝固物の破壊および液状化をもたらす発酵乳製品を指す。機械的処理は、典型的に、ゲルの攪拌、ポンピング、ろ過またはホモジナイズにより、あるいは他の成分とゲルとを混合することによって得られるが、これに限定されない。攪拌タイプ製品は、典型的に9〜15%の無脂乳固形分を有するが、これに限定されない。
【0062】
用語「セットタイプ製品」は、例えばスターター培養物で植菌され、そして植菌工程の次にパッケージ化され、その次にパッケージ内で発酵された乳に基づく製品を含む。
【0063】
用語「飲用製品」は、例えば「飲用(drinking)ヨーグルト」および類似物のような飲料を含む。用語「飲用ヨーグルト」は、典型的に、ラクトバチルス種およびストレプトコッカスサーモフィラスの組み合わせによる発酵により生産される乳製品をカバーする。飲用ヨーグルトは、典型的に、8%またはそれ以上の無脂乳固形分を有する。さらに、飲用ヨーグルトドリンク用の生培養計数(live culture count)は、典型的に1mlあたり、少なくとも10E6細胞形成単位(CFU)である。
【0064】
本発明によれば「飲用製品」は、酸性化乳基質に基づいた任意の飲用製品を含み、従って発酵乳飲料および液体ヨーグルト飲料を含む。本発明の方法において、酸性化は、微生物での発酵として行われ、場合により、有機酸など(例えば、乳酸、ラクトビオン酸またはGDL)の酸が添加される。
【0065】
本発明による飲用製品は、それらは液体形態でありおよび飲料として消費されるという意味で飲用であり、すなわち、それらはスプーンで食する代わりに飲用のために適している。「液体形態の」は、製品が、物質の流体状態であり、従って流動するために特徴的な待機を示すことを意味する。従って、液体の形状は、そしてそれは、例えば、ヨーグルトまたはプディングなどの柔らかいが、自由に流動しない、例えば、ゲル様物質と反して、通常、それを充填したコンテナにより決定される。本発明による飲用製品は、所望するなら、消費者が、ストローを使用して製品を飲むことを許容する粘度を有してもよい。
【0066】
本発明による飲用製品は、pH4.6未満、好ましくは4.4未満、より好ましくは4.2未満およびさらにより好ましくは約4または未満を有してもよい。一つの態様では、飲用製品は、3.6未満など、pH3.8未満を有する。
【0067】
本発明による飲用製品は、0‐2%の脂肪含量、好ましくは1.5%未満、1%未満または0.5%未満、より好ましくは0.1%または未満の量を有してもよい。飲用製品は、20%未満の無脂乳固形物、好ましくは8.5%未満、8%未満、7.5%未満、7%未満、6.5%未満または6%未満、およびより好ましくは約5%を有してもよい。
【0068】
本発明による飲用製品は、0.5%‐4%の間のタンパク質含量を有してもよい。一つの好ましい態様では、飲用製品は、1%未満のタンパク質含量を有する。他の好ましい態様では、飲用製品は、2%‐3%の間のタンパク質含量を有する。
【0069】
本発明による飲用製品は、7日超、好ましくは14日超、より好ましくは28日超、3月超などの貯蔵寿命を有してもよい。
【0070】
本発明による飲用製品は、改善された沈降安定性を有してもよい。安定性は、離水のため表面上に集合したホエイの高さを測定することにより、適当な日数の間、飲用製品を保存した後、決定されてもよい。また、遠心分離などにより、加速させた離水後、決定されてもよい。
【0071】
飲用製品、例えば、飲用ヨーグルトのための、発酵後の高せん断処理(例えば、均質化)は、通常、なめらかな、均質なおよび飲用に適した製品を得るために、タンパク質ネットワークを分解することが必要である。ネットワークの分解は、飲用ヨーグルトが、減少された沈降安定性を有し、貯蔵寿命の間、底面にタンパク質の沈降を生じることを伴う。高脂肪レベルおよび高タンパク質含量は、沈降安定性を増加し、一方で、低タンパク質レベル(1‐2.5%)を伴う低脂肪製品(0‐0.5%脂肪)は、通常、タンパク質沈降を避けるために安定剤の添加を必要とする。
【0072】
本明細書で使用されるように、用語「バクテリオファージ」は、当該技術分野で理解されるようにその通常の意味を有し、すなわち一またはそれ以上の細菌に選択的に感染するウィルスである。多くのバクテリオファージは、細菌の特定の属または種または株に固有である。用語「バクテリオファージ」は、用語「ファージ」と同義である。バクテリオファージは、任意の次のウィルスファミリー:コルチコウィルス科、シストウィルス科、イノウィルス科、レビウィルス科、ミクロウィルス科、ミオウィルス科、ポドウィルス科、シホウィルス科、またはテクティウィルス科に属するバクテリオファージを含むが、限定されない。バクテリオファージは、溶菌性のバクテリオファージまたは溶原性のバクテリオファージであってもよい。溶菌性のバクテリオファージは、溶原性の経路に入るよりもむしろ溶菌性のサイクルの完了を通じて溶菌性の経路に続くものである。溶菌性のバクテリオファージは、細胞膜の溶解、細胞の破壊、および他の細胞に感染できる子孫バクテリオファージ粒子の放出に導くためのウィルス複製を起こす。溶原性のバクテリオファージは、本バクテリオファージが休止状態になり、その溶菌性のサイクルの完了前を通じて細胞のゲノムの受動的な部分になる溶原性の経路に入ることができるものである。
【0073】
一つの実施態様では、本発明による乳酸菌は、一もしくはそれ以上のバクテリオファージまたは一もしくはそれ以上のバクテリオファージのセットに耐性であり、他の実施態様では、本発明による乳酸菌は、本発明による寄託された株が耐性である同様のバクテリオファージに耐性である。本文脈では、用語「ファージに強い(Phage robust)」は、用語「ファージ耐性」と互換性があるように使用される。
【0074】
本文脈では、用語「突然変異体」は、例えば、遺伝子工学、放射線および/または化学薬品処理により本発明の株(または母株)由来の株、または由来することができる株として理解されるべきである。突然変異体は、母株と、機能的に同等の突然変異体、例えば、実質的に同じ、または改善された特徴(例えば、テクスチャー、せん断応力、粘度、ゲル剛性、口内での広がり(mouth coating)、フレーバー、後酸性化、酸性化速度、および/またはファージ頑強性に関して)を有する突然変異体であることが好ましい。そのような突然変異体は、本発明の一部である。特に、用語「突然変異体」は、例えばエチルメタンスルホネート(EMS)またはN‐メチル‐N’‐ニトロ‐N‐ニトロソグアニジン(NTG)、UVライトのような化学的変異原との処理を含む、任意の従来使用される突然変異誘発処理に本発明の株をかけることによって得られる株、または自然発生突然変異体を指す。突然変異体は、いくつかの突然変異誘発処理(単一の処理は、スクリーニング/選択ステップに続いて一の突然変異誘発ステップを理解されるべきである)を受けてもよいが、たった20、たった10、またはたった5処理(またはスクリーニング/選択ステップ)が、行われることが現在好ましい。現在好ましい突然変異体は、母株と比較して、細菌ゲノム中のヌクレオチドの5%未満、または1%未満、またはさらに0.1%未満が、他のヌクレオチドと変化または欠失している。本文脈では、用語「バリアント」は、本発明の株と機能的に同等、例えば、実質的に同じ、または改善された特徴(例えば、テクスチャー、せん断応力、粘度、ゲル剛性、口内での広がり、フレーバー、後酸性化、酸性化速度、および/またはファージ頑強性に関して)を有する株として理解されるべきである。そのようなバリアントは、そしてそれは、適当なスクリーニングを使用することで同定でき、そのようなバリアントは、本発明の一部である。
【0075】
本文脈では、「テクスチャー」は、37℃で12時間生育後、せん断応力として測定される。せん断応力およびゲル剛性のためのSI単位は、パスカル(Pa)である。
テクスチャーの解析に使用されるアッセイ:
インキュベーションの翌日、発酵乳は、13℃にされおよびサンプルの均質性まで、穴が開いたディスクを装着したスティックを用いて穏やかに攪拌した。サンプルの流体力学的特性は、C25同軸測定システムを備えたレオメーター(ストレステック(StressTech)、レオロジカ インスツルメンツ(Reologica Instrument)、スウェーデン)で評価した。粘度測定試験は、21ステップで、0.27‐300 1/Sまで変化するせん断速度で行った。せん断速度は、増加しおよびその後、減少し、並びにせん断応力および見かけの粘度の上昇および下降曲線が記録された。遅延および積分時間は、それぞれ、5Sおよび10Sであった。
【0076】
用語「一つの(a)」および「一つの(an)」および「その(the)」の使用並びに本発明に記載する本文脈における(特に、以下の請求項の構成において)同様の指示語は、本明細書において他に示されない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形または複数形の両方をカバーすると解釈される。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含む(containing)」は、他に注意がない限り、非制限用語(すなわち、「含むが、限定されない(including,but not limited to)」を意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の記載は、本明細書において他に示されない限り、その範囲内にある各々別個の値を個々に示す簡略化した方法として有用であることを単に意図し、各々別個の値は、それが個々に本明細書に記載されたように本明細書中に組み込まれる。本明細書に記載されたすべての方法は、本明細書において他に示されない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適当な順序で行われ得る。本明細書において提供される任意の、および全ての例、または例示のための用語(例えば、「など(such as)」)は、本発明をよりよく示すことを単に意図されたものであって、他に記載されない限り、本発明の範囲において限定を課すものではない。本明細書における如何なる用語も、本発明の実施において不可欠である、請求項に記載されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0077】
実施例1:改善されたテクスチャー特性を伴うファージ耐性ストレプトコッカスサーモフィラス株の開発
CHCC11977の開発
母株CHCC11342を、実施例5で記載したように得た。本株は、CHCC6008の突然変異体であり、およびガラクトース発酵S.サーモフィラス株と見なされる。
【0078】
CHCC11977株を、1mlあたり、10E09(10exp9)ファージ粒子を含む0.1mlのCHPC1152ファージと一緒にCHCC11342のM17終夜培養物0.1mlをプレートに蒔き、および37℃で2日間インキュベーション後、M17アガープレートから単離した。CHCC11977と呼ばれる一つの突然変異体を、3回コロニー精製し、およびファージ耐性を確認するファージCHPC1152を使用して、37℃、M17アガープレート上でプラーク試験について再試験した(単一プラークを認めなかった)。
【0079】
突然変異株を、その後、ファージCHPC1152の存在中、37℃で、M17培地でまた試験した。CHCC11977は、液体培養物中でまた、そのファージ耐性を維持し、ここでCHCC11342は、予想通り、CHPC1152により攻撃された。
【0080】
CHCC11977を、母株CHCC11342と比較できる酸性化活性を示すように異なる温度(感染ファージの添加なしで)において乳中でまた試験した。
【0081】
発酵乳中のCHCC11342のテクスチャーの分析
インキュベーションの翌日、発酵乳を13℃にし、およびサンプルの均質性まで穴の開いたディスクを装着したスティックを用いて穏やかに攪拌した。サンプルの流体力学的特性を、C25同軸測定システムを備えたレオメーター(ストレステック(StressTech)、レオロジカ インスツルメンツ(Reologica Instrument)、スウェーデン)で評価した。
【0082】
粘度測定試験を、21ステップで、0.27‐300 1/Sまで変化するせん断速度で行った。せん断速度は、増加し、およびその後減少し、並びにせん断速度および見かけの粘度の上昇および下降曲線を記録した。遅延および積分時間は、それぞれ5Sおよび10Sであった。さらなる分析では、300s‐1のせん断応力を選択した。レオメーターの結果は、CHCC11342が、68.0Paのせん断応力値を伴うCHCC6008と比べて73.0Paのせん断応力を有することを示した、図1参照。
【0083】
発酵乳中のCHCC11977のテクスチャーの分析
gal陽性ファージ耐性突然変異体について上記のように、発酵乳を取得し、および特性に関するテクスチャーを分析した。
【0084】
レオメーターの結果は、CHCC11977が、CHCC11342と比較して10%さらに改善されたせん断応力を有することを示した(母株CHCC11342における73.0Paと比較してCHCC11977におけるせん断応力値80.0Pa、図1参照)。さらに、ゲル剛性(G*)は、CHCC11342(ゲル剛性104.0Pa)と比較して126.0Paの値を示したファージ耐性突然変異体CHCC11977について、20%増加した。これで、重要なレオロジーパラメーターであるせん断応力およびゲル剛性を、ガラクトース陽性母株からファージ耐性突然変異体を分離することにより、著しく改善することが可能となった。
【0085】
CHCC11342由来のgalkプロモーター領域の配列決定
CHCC11342ガラクトース陽性突然変異体における突然変異の種類を明らかにするために、galk遺伝子の最初(S.サーモフィラス由来のガラクトキナーゼについてコード)をシークエンスした。
【0086】
CHCC11342について、galkプロモーターの領域中の突然変異を同定した(以下の配列を参照)。突然変異は、galk遺伝子の‐10‐プロモーターボックスの3ヌクレオチド下流で、CをAに導くヌクレオチド置換が起こった。
【0087】
【表1】

【0088】
CHCC11342由来のgalk遺伝子のプロモーター領域
CHCC11342のgalkプロモーター領域内の点突然変異を、灰色コードで示した。S.サーモフィラス STIII由来の公開されたgalk配列(ジェンバンク アクセッション番号 AY704368)を、比較のために示した。‐35は‐35‐プロモーターボックス、‐10は‐10‐プロモーターボックス、RBSはリボソーム結合部位である。
【0089】
さらなるファージ耐性突然変異体
ファージ耐性およびガラクトース陽性表現型の間の考えられる関係を明らかにするために、5の追加のファージ耐性突然変異体を、M17ガラクトースアガープレート上、CHCC11342の母株(gal+)であるCHCC6008株(gal−)から分離した。5のファージ耐性突然変異体すべて、CHCC11396、CHCC11397、CHCC11398、CHCC11399、およびCHCC11340(ファージCHPC1152に耐性)は、ガラクトースを発酵することができず、gal+表現型は、直接的にファージ耐性と関係しないことを意味する。他方で、プラークアッセイにより、CHCC11342(gal+)は、ファージCHPC1152にさらに感受性があることを示した。
【0090】
実施例2:改善されたテクスチャー特性を伴うファージ耐性ラクトバチルスデルブリュキーサブスピーシーズブルガリカス株の開発
母株CHCC10019(DSM19252)から、ファージ耐性突然変異体を以下のように分離した。
【0091】
突然変異体を、1mlあたり10E06ファージ粒子を含んでいるCHPC658ファージライセート(溶菌液)0.1mlと一緒にCHCC10019のMRS終夜培養物0.1mlをプレートに蒔き、および37℃で2日間、嫌気性インキュベーション後、10mM CaCl2/10mM MgCl2を含むMRSアガープレートから選択した。30の突然変異体を単離しおよびファージCHPC658に対してクロスストリーキングで試験した。29の突然変異体が、クロスストリーキング試験で耐性を示し、およびその後、37℃、MRSアガープレート上で、3回コロニー精製をした。
【0092】
29突然変異体を、酸性化プロファイルおよびファージ耐性についてマイクロタイタープレートで試験した。2のマイクロタイタープレートを乳で調製し、およびそれぞれのプレートを、それぞれの突然変異体2%で植菌した。一のプレートについて、2%ペプトン塩希釈液(コントロール)を、それぞれのウェルに添加し、および他のマイクロタイタープレートに、1mlあたり10E06ファージ粒子を含む2%CHPC658を添加した。2のプレートを、2日間、37℃でインキュベートし、およびそれぞれのウェルのpHを、12分毎に記録した。すべての突然変異体は、母株CHCC10019と比較してファージ耐性であり、そしてそれは、ファージCHPC658により攻撃された。12の突然変異体を、MRSおよび乳中での酸性化プロファイル(母株と同様)並びに株の粘度に基づいて選択した。
【0093】
発酵乳中のテクスチャー特性についてCHCC10019ファージ耐性突然変異体の分析
乳中で、37℃、終夜で、12の突然変異体および母株CHCC10019をインキュベートしたのち、発酵乳を13℃に調整し、およびそれぞれのサンプルの均質性まで、穴の開いたディスクを装着したスティックを用いて穏やかに攪拌した。サンプルの流体力学的特性を、C25同軸測定システムを備えたレオメーター(ストレステック(StressTech)、レオロジカ インスツルメンツ(Reologica Instrument)、スウェーデン)で評価した。
【0094】
粘度測定試験を、21ステップで、0.27‐300 1/Sまで変化するせん断速度で行った。せん断速度は、増加し、およびその後減少し、並びにせん断速度および見かけの粘度の上昇および下降曲線を記録した。遅延および積分時間は、それぞれ5Sおよび10Sであった。さらなる分析では、300s‐1のせん断応力を選択した。
【0095】
レオロジー測定の結果は、12突然変異体すべて(CHCC12813およびCHCC12841など)が、CHCC10019と比較して、せん断応力として測定した改善された粘度を有することを示した。もっとも高いせん断応力を、CHCC12841(74Pa)について得、ここでCHCC10019は、58.0Paのせん断応力値を有した、図2参照。図では、12のファージ耐性突然変異体についてレオロジーデータを示す。すべての突然変異体は、CHCC10019と比較して、10%‐28%までの範囲でせん断応力について増加を有した。
【0096】
突然変異体を他の株CHCC12813と共培養で生育したときの酸性化活性およびレオロジーデータに基づいて、さらなる適用試験のために単離した突然変異体の最も有望な候補として選択した。
【0097】
本実験は、重要な流体力学的パラメーター菌株のせん断応力が、ファージ耐性突然変異株を単離することにより著しく改善することを示した。
【0098】
実施例3.ストレプトコッカスサーモフィラス株CHCC9204のファージ耐性突然変異体の単離
クリスチャン ハンセン カルチャー コレクション(Chr.Hansen culture collection)で登録されている、母株CHCC9204から、ファージ耐性変異体を単離した。突然変異体を、0.1mlの1mlあたり1×10exp09のファージ粒子を含むファージCHPC1057と一緒にCHCC9204のM17ラクトース終夜培養物0.1mlをプレートに蒔き、および37℃で終夜インキュベーション後、10mM MgCl2/CaCl2を伴うM17‐2%ラクトースアガープレート上で単離した。
【0099】
いくつかの突然変異体の間で、CHCC12339と呼ばれる一の株を、3回コロニー精製し、およびファージ攻撃のためにファージCHPC1057を使用して、37℃で、M17ラクトースアガープレート上でプラーク試験について再試験し、およびファージ耐性を確認した(プラーク試験で単一プラークを観察しなかった)。CHCC12339を、母株と比較できる酸性化活性を示すために、乳中でまた試験した。
【0100】
発酵乳についてファージ耐性突然変異体CHCC12339のテクスチャー特性の分析
突然変異体CHCC12339および母株CHCC9204を37℃、乳中で終夜インキュベートしたのち、発酵乳を、13℃にし、およびそれぞれのサンプルの均質性まで、穴の開いたディスクを装着したスティックを用いて穏やかに攪拌した。それぞれのサンプルの流体力学的特性を、C25同軸測定システムを備えたレオメーター(ストレステック(StressTech)、レオロジカ インスツルメンツ(Reologica Instrument)、スウェーデン)で評価した。
【0101】
粘度測定試験を、21ステップで、0.27‐300 1/Sまで変化するせん断速度で行った。せん断速度は、増加し、およびその後減少し、並びにせん断速度および見かけの粘度の上昇および下降曲線を記録した。遅延および積分時間は、それぞれ5Sおよび10Sであった。さらなる分析では、300s‐1のせん断応力を選択した。
【0102】
レオロジー測定の結果は、突然変異体CHCC12339が、CHCC9204と比較して22%ゲル剛性(G*)の増加を惹起することを示した、図3参照。図では、ファージ耐性突然変異体CHCC12339(78.0Pa)および母株CHCC9204(64.0Pa)のゲル剛性値(G*)を比較する。
【0103】
実施例4.ストレプトコッカスサーモフィラス株CHCC5086のファージ耐性突然変異体の単離
クリスチャン ハンセン カルチャー コレクション(Chr.Hansen culture collection)で登録されている、母株CHCC5086から、ファージ耐性突然変異体を単離した。突然変異体を、0.1mlの1mlあたり1×10exp08のファージ粒子を含むファージCHPC1089と一緒にCHCC5086のM17‐2%ラクトース終夜培養物0.1mlをプレートに蒔きおよび37℃で終夜インキュベーション後、10mM MgCl2/CaCl2を伴うM17‐2%ラクトースアガープレート上で単離した。
【0104】
いくつかの突然変異体の間で、CHCC13140と呼ばれる一の株を、3回コロニー精製し、およびファージ攻撃のためにファージCHPC1089を使用して、37℃で、M17ラクトースアガープレート上でプラーク試験について再試験し、およびファージ耐性を確認した(プラーク試験で単一プラークを観察しなかった)。CHCC13140を、母株と比較できる酸性化活性を示すために、乳中でまた試験した。
【0105】
発酵乳についてファージ耐性突然変異体CHCC13140のテクスチャー特性の分析
突然変異体CHCC13140および母株CHCC5086を、37℃、乳中で終夜インキュベートしたのち、発酵乳を、13℃にし、およびそれぞれのサンプルの均質性まで、穴の開いたディスクを装着したスティックを用いて穏やかに攪拌した。それぞれのサンプルの流体力学的特性を、C25同軸測定システムを備えたレオメーター(ストレステック(StressTech)、レオロジカ インスツルメンツ(Reologica Instrument)、スウェーデン)で評価した。
【0106】
粘度測定試験を、21ステップで、0.27‐300 1/Sまで変化するせん断速度で行った。せん断速度は、増加し、およびその後減少し、並びにせん断速度および見かけの粘度の上昇および下降曲線を記録した。遅延および積分時間は、それぞれ5Sおよび10Sであった。さらなる分析では、300s‐1のせん断応力を選択した。
【0107】
レオロジー測定の結果は、突然変異体CHCC13140が、CHCC5086と比較して14%せん断応力の増加を惹起することを示した、図4参照。図では、ファージ耐性突然変異体CHCC13140(せん断応力33.0Pa)および母株CHCC5086(28.0Pa)についてのせん断応力データを比較した。
【0108】
実施例5.ストレプトコッカス株のガラクトース陽性突然変異体の調製
gal+株を得るための一般的な方法
突然変異体単離の前に、母株(例えば、CHCC6008)を、2%ガラクトースを伴うM17アガープレート(M17‐galプレート)上にストリークした。CHCC6008は、唯一の糖類としてガラクトースで生育せず、および従って母株を、gal−であるとみなした。母株の終夜培養物を、その後、M17‐galプレート上に蒔き、およびいくつかのコロニーを、37℃で2日間生育後、単離できた。いくつかの突然変異体を、M17‐galプレート上で精製し、および唯一の糖類として2%ガラクトースを含むM17培地で再試験した。突然変異体を、例えば遺伝子工学、放射線および/または化学薬品処理により得てもよく、または突然変異体は、自然発生突然変異体でもよい。
【0109】
培地1mlあたり少なくとも10E4菌量で植菌し、2%ガラクトースを伴うM17(唯一の糖類としてガラクトースを添加)において37℃で16時間インキュベーション後、少なくとも1.0の値で、pHが低下したとき、突然変異体を、ガラクトース陽性とみなした。
【0110】
CHCC6008は、M17‐gal培地で有意により低いpHとならなかったが、精製した突然変異体の一つ、CHCC11342は、37℃で16時間後、pH5.4に達し、および従って、CHCC6008のガラクトース発酵(gal+)突然変異体とみなした。
【0111】
ガラクトース発酵株の単離
突然変異体を、S.サーモフィラス株CHCC6008のガラクトース発酵突然変異体として単離した(=ST6008、DSM18111)。CHCC6008細胞を、突然変異体単離ステップの前に、任意の変異原性の化合物およびUV光のいずれでも突然変異誘発していない。単離した株は、従ってCHCC6008の自然発生ガラクトース陽性突然変異体と似ている。
【0112】
突然変異体単離の前に、CHCC6008を、2%ガラクトースを伴うM17アガープレート(M17‐galプレート)上でストリークした。CHCC6008は、唯一の糖類源としてガラクトースで生育しなかった。
【0113】
CHCC6008の終夜培養物を、その後、M17‐galプレートに蒔き、およびいくつかのコロニーを、37℃で2日間生育後、単離できた。いくつかの突然変異体は、M17‐galプレート上で精製し、および唯一の糖類として2%ガラクトースを含むM17培地上で再試験した。
【0114】
CHCC6008は、M17‐gal培地で有意により低いpHとならなかったが、精製した突然変異体の一つ、CHCC11379は、37℃で10時間後、pH5.3に達し、および従って、CHCC6008由来のガラクトース発酵突然変異体とみなした。CHCC11342株およびCHCC11976株を、同様に単離した。
【0115】
遺伝子工学による突然変異体の単離
ガラクトース陽性突然変異を、部位特異的突然変異誘発により、また産生できる。galk‐10プロモーターボックス内の突然変異したヌクレオチドを担っているオリゴヌクレオチドを、PCRにより、特定のDNAフラグメントを増幅するために使用した。所望する突然変異を担っているPCRフラグメントを、ベクタープラスミドにクローン化し、およびS.サーモフィラス標的株内に形質転換し、および突然変異を、染色体内に統合し、および組み換えにより、野生型galkプロモーター領域を交換した。上のように、株の単離を行った。
【0116】
発酵乳についてテクスチャーの分析
インキュベーションの翌日、発酵乳を13℃にし、およびそれぞれのサンプルの均質性まで、穴の開いたディスクを装着したスティックを用いて穏やかに攪拌した。サンプルの流体力学的特性を、C25同軸測定システムを備えたレオメーター(ストレステック(StressTech)、レオロジカ インスツルメンツ(Reologica Instrument)、スウェーデン)で評価した。
【0117】
粘度測定試験を、21ステップで、0.27‐300 1/Sまで変化するせん断速度で行った。せん断速度は、増加し、およびその後減少し、並びにせん断速度および見かけの粘度の上昇および下降曲線を記録した。遅延および積分時間は、それぞれ5Sおよび10Sであった。さらなる分析では、300s‐1のせん断応力を選択した。レオメーターの結果は、CHCC11379が、CHCC6008と比較して10%改善したせん断応力(母株CHCC6008について67.5Paと比較して、CHCC11379についてせん断応力値74.0Pa(パスカル))を有することを示した。
【0118】
乳におけるテクスチャーの分析
他の実施態様では、CHCC11379を、S.サーモフィラス由来の株を、ラクトバチルスデルブリュッキーサブスピーシーズブルガリカス由来の株と一緒に43℃、脱脂粉乳中で共培養したヨーグルト培養物の一部として使用した。ヨーグルトの製造で唯一の相違が、野生型CHCC6008の代わりにCHCC11379の使用であるとき、せん断応力は、また10%増加した(CHCC6008を含むヨーグルト培養物において94.7Paと比較してCHCC11379を含むヨーグルト培養物において105.0Pa)。
【0119】
CHCC11379由来のgalkプロモーター領域の配列決定
CHCC11379gal陽性突然変異体における突然変異の種類を明らかにするために、galk遺伝子の最初(S.サーモフィラス由来のガラクトキナーゼについてコード)をシークエンスした。galkプロモーターの領域における突然変異であるCHCC11379について、同定した(以下を参照)。それぞれの突然変異は、母株6008と比較してより強いプロモーター活性をおそらくもたらすであろう、このことは観察されたgal‐陽性表現型を説明する。これは、‐10‐プロモーターボックスのためのコンセンサス配列が、「TATAAT」であり、およびCHCC6008(「TACGAT」)における‐10ボックス(領域)のヌクレオチド3の突然変異が、CHCC11379(「TATGAT」)で、コンセンサス配列とより高い相同性をもたらす事実に基づく。
【0120】
【表2】

【0121】
CHCC11379由来のgalk遺伝子のプロモーター領域
CHCC11379のgalkプロモーター内の点突然変異を、灰色コードで示す。公開されたS.サーモフィラスST111由来のgalk配列(ジェンバンク アクセッション番号 AY704368)を、比較のために示す。‐35は‐35‐プロモーターボックス、‐10は‐10‐プロモーターボックス、RBSはリボソーム結合部位である。
【0122】
本発明の好ましい実施態様は、本明細書において記載され、本発明を実施するための本発明者の知る最良の形態(best mode)を含む。それらの好ましい実施態様のバリエーションは、先の記載を読んだ場合において、当業者にとって明らかとなり得る。本発明者は、適当にそのようなバリエーションを使用することができることを当業者に期待し、そして本発明者は、当該発明が本明細書において具体的に記載されたものとは別の方法で行われることを意図している。したがって、本発明は、ここに添付された特許請求の範囲中に記載された対象の全ての改良および均等物を、適用法によって許される限り含む。さらに、その全ての可能なバリエーションにおける、上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書において他に示されない限り、または文脈に明らかに矛盾しない限り含まれる。
【0123】
寄託およびエキスパートソリューション
ストレプトコッカスサーモフィラスCHCC11977およびCHCC11342株は、ドイツ国際寄託機関(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)、所在地(Inhoffenstr.7B、D−38124 Braunschweig)に、それぞれアクセッション番号DSM22935およびDSM22932の下、2009年9月8日に寄託された。CHCC6008は、DSMZにアクセッション番号DSM18111の下、2006年3月29日に寄託された。
【0124】
バクテリオファージCHPC658、CHPC1057およびCHPC1152は、DSMZに2010年8月27日に寄託され、および寄託番号DSM23961、DSM23962、およびDSM23994をそれぞれ与えられた。
【0125】
DSMZへのさらなる寄託:
CHCC10019(DSM19252)およびCHCC3984(DSM19251):寄託日2007年4月3日、
CHCC2008(DSM22584)およびCHCC5086(DSM22587):寄託日2009年3月19日、
CHCC11379(DSM22884):寄託日2009年8月26日、
CHCC11976(DSM22934):寄託日2009年9月8日;
CHCC13140(DSM24023)、CHCC12813(DSM24074)、およびCHPC1089(DSM24022):寄託日2010年9月29日;
CHCC12339(DSM24090):寄託日2010年10月14日。
ストレプトコッカスサーモフィラスCHCC5086(DSM22587):寄託日2009年5月19日。
CHCC9204(DSM19243):寄託日2007年5月29日。
【0126】
寄託は、特許手続の目的のため微生物の寄託の国際的な承認によるブタベスト条約に従ってなされた。出願人は、寄託された微生物のサンプルが、出願人により承認された専門家にのみ利用可能にされるべきであることを要求する。
【0127】
参考文献
Appl.Envron.Microbiol.71,7,p.3659‐67(2005);
International Journal of Food Microbiology 113(2007)195‐200;
Applied And Environmental Microbiology,Feb.2002,p.784‐790;
J Dairy Sci 92:477‐482(2009)
WO2008/040734A1、WO2007/025097A2、US7241610B2、WO2007/144770A2、WO2004/085607A、WO2008/148561A、WO11000879A、WO11000883A、WO10023178A
本特許書類にあるすべての参照は、それらのすべてについて参照により、これによって本明細書中に取り込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸菌(例えば、前記菌が、発酵乳のために使用されたとき、前記母株よりも、より高いせん断応力および/またはゲル剛性を生じる)の製造方法であって、以下のステップ:
a)乳酸菌株(母株)を提供すること;および
b)前記母株よりもよりファージに対して耐性(例えば、ファージのより多くの種類またはファージのより多くの株)である、前記母株の突然変異株を分離すること
を含む、方法。
【請求項2】
以下のステップ:
a1)ステップa)の後、CHPC658(DSM23961)、CHPC1057(DSM23962)、CHPC1089(DSM24022)およびCHPC1152(DSM23994)、並びにそれらの突然変異体およびバリアントをからなる群から選択されるファージなどの、例えば、前記母株を溶菌できるバクテリオファージで、前記乳酸菌をバクテリオファージに曝露すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下のステップ:
a)乳酸菌(前記母株)を提供すること;
a1)CHPC658、CHPC1057、CHPC1089およびCHPC1152、並びにそれらの突然変異体およびバリアントからなる群から選択されるファージなどの、例えば、前記母株を溶菌できるバクテリオファージで、前記乳酸菌をバクテリオファージに曝露すること
a2)生育培地で前記曝露した菌体をインキュベートすること;および
b)突然変異株が、前記バクテリオファージにより溶菌されない、前記母株の突然変異株を単離すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
以下のステップ:
c)例えば、ステップa1)の前、間および/または後、またはステップa)の後、前記母株を(例えば、化学薬品処理もしくは放射線処理により、または遺伝子工学的手法を用いて)突然変異すること
を含む、請求項1‐3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
以下のステップ:
d)例えば、ステップc)の前、間および/または後、またはステップa1)の前、間および/または後、前記株のgalk遺伝子またはgalk制御配列(例えば、プロモーター)中に(例えば、化学薬品処理もしくは放射線処理により、または遺伝子工学的手法を用いて)突然変異を導入すること
を含む、請求項1‐4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
以下のステップ:
‐ 乳酸菌(前記母株)を提供すること;
‐ 前記母株を(例えば、化学薬品処理もしくは放射線処理、または遺伝子工学的手法を用いて)突然変異すること;
‐ CHPC658、CHPC1057、CHPC1089およびCHPC1152、並びにそれらの突然変異体およびバリアントからなる群から選択されるファージなどの、例えば、前記母株を溶菌できるバクテリオファージで、前記乳酸菌をバクテリオファージに曝露すること
‐ 生育培地で前記曝露した菌体をインキュベートすること;および
‐ 突然変異株が、前記バクテリオファージにより溶菌されない、前記母株の突然変異株を単離すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記突然変異が、galk遺伝子のプロモーター領域中に導入される、請求項1‐6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記突然変異が、galk遺伝子の‐10領域(プリブノーボックス)中に、または前記プリブノーボックスおよびリボソーム結合部位の間の領域中に導入される、請求項1‐7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記突然変異が、前記母株と比較して増加したガラクトース発酵活性を生じる、請求項1‐8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記突然変異が:
‐ A,TおよびGからなる群から選択されるヌクレオチドでの、前記野生型プリブノーボックスから下流のTTCAGT(配列番号6)配列中のCの置換など、前記galk遺伝子の前記プリブノーボックスおよび前記リボソーム結合部位の間の前記領域中の一またはそれ以上のヌクレオチドの置換;および/または
‐ AおよびTからなる群から独立して選択されるヌクレオチドでの、前記野生型‐10領域(TACGAT、配列番号7)中のCおよびGの一または両方の置換;および/または
‐ AおよびTからなる群から独立して選択されるヌクレオチドでの、前記野生型‐10領域(TACGAT、配列番号7)中のCの置換;および/または
‐ Tで前記野生型‐10領域(TACGAT、配列番号7)中のCの置換;および/または
‐ ヌクレオチド配列TATGAT(配列番号8)、TATTAT(配列番号9)またはTACTAT(配列番号10)を有する‐10領域
を生じる、請求項1‐9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
c1)前記母株と比較して増加したファージ耐性などの、ファージ耐性を有する突然変異株をスクリーニングすること;および
c2)前記母株と比較して増加したガラクトース分解活性などの、Gal+表現型を有する突然変異株をスクリーニングすること
からなる群から選択される一またはそれ以上のステップ(複数)を含む、請求項1‐10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記突然変異株が、自然発生突然変異体、例えば、化学薬品処理もしくは放射線処理を用いて前記母株の突然変異誘発により得られた突然変異体、または遺伝子工学的手法を用いて得られた突然変異体である、請求項1‐11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記突然変異株が、ファージ耐性、実質的にファージ耐性、および/または前記母株と比較して増加したファージ耐性を持ち、およびここで前記ファージが、前記母株を溶菌できるバクテリオファージ、CHPC658、CHPC1057、CHPC1089およびCHPC1152、並びにそれらの突然変異体およびバリアントからなる群から選択される、請求項1‐12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記菌(前記母株)が、ラクトコッカス(Lactococcus)種、ストレプトコッカス(Streptococcus)種(例えば、ストレプトコッカスサーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス(Lactobacillus)種、リューコノストック(Leuconostoc)種、シュードリューコノストック(Pseudoleuconostoc)種、ペディオコッカス(Pediococcus)種、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)種、エンテロコッカス(Enterococcus)種、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)種、およびビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)種からなる群から選択される種から選択される、請求項1‐13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記菌(前記母株)が、乳に質感を加える能力、エキソポリサッカライドまたはきょう膜ポリサッカライドなどの、ポリサッカライドを産生する能力、乳をインキュベートしたときに、粘度を与える能力、および乳をインキュベートしたときに、せん断応力を増加する能力からなる群から選択される、一またはそれ以上の特徴を有する株から選択される、請求項1‐14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1‐15のいずれか一項に記載の方法により得られる、乳酸菌または株。
【請求項17】
例えば、少なくとも乳1mlあたり10E4の菌量で植菌され、37℃で12時間生育後測定され、発酵乳中でせん断応力を、約70Pa超(73Pa超、77Pa超または80Pa超など)生じる、請求項16に記載の乳酸菌または株。
【請求項18】
ストレプトコッカスサーモフィラスまたはラクトバチルスデルブリュッキーサブスピーシーズブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus)種に属する、請求項16または17に記載の菌または株。
【請求項19】
CHCC11342(DSM22932)、CHCC11977(DSM22935)、CHCC12339(DSM24090)、およびCHCC13140(DSM24023)、並びに、例えば、少なくとも乳1mlあたり10E4の菌量で植菌され、37℃で12時間生育後測定され、発酵乳中で、せん断応力を、約70Pa超(73Pa超、77Pa超または80Pa超など)生じる突然変異体およびバリアントなどの、任意のこれらの突然変異体およびバリアントからなる群から選択される、ストレプトコッカスサーモフィラス種に属する菌株。
【請求項20】
CHCC12813(DSM24074)およびCHCC12841、並びにそれらの突然変異体およびバリアントからなる群から選択される、ラクトバチルスデルブリュキーサブスピーシーズブルガリカス種に属する菌株。
【請求項21】
例えば、少なくとも乳1mlあたり10E4の菌量で植菌され、37℃で12時間生育後測定され、発酵乳中で、せん断応力を、約60Pa超(65Pa超、69Pa超または72Pa超など)生じる、請求項20に記載の菌または株。
【請求項22】
例えば、少なくとも乳1mlあたり10E4の菌量で植菌され、37℃で12時間生育後測定され、発酵乳中で、せん断応力を、60‐100Paの範囲(65‐90Pa、69‐85Paまたは72‐80Pa)生じる、請求項20または21に記載の菌または株。
【請求項23】
CHCC11342(DSM22932)、CHCC11977(DSM22935)、CHCC12339、CHCC13140(DSM24023)、CHCC12813、および任意のこれらの突然変異体およびバリアントからなる群から選択される株に属する菌などの、請求項16‐22のいずれか一項に記載の乳酸菌または株を含む組成物。
【請求項24】
‐ ラクトバチルス種に属する株;および
‐ CHCC11342(DSM22932)、CHCC11977(DSM22935)、CHCC12339、およびCHCC13140(DSM24023)、並びに任意のこれらの突然変異体およびバリアントからなる群から選択される株などの、例えば、前記S.サーモフィラス種に属する、請求項16‐22のいずれか一項に記載の株または乳酸菌
を、混合物としてまたはキットのパーツ(kit‐of‐parts)のいずれかとして含む、組成物。
【請求項25】
‐ 前記S.サーモフィラス種に属する株;および
‐ 前記ラクトバチルスデルブリュキーサブスピーシーズブルガリカス種に属する株など、前記ラクトバチルス種に属する、請求項16‐22のいずれか一項に記載の株または乳酸菌
を、混合物としてまたはキットのパーツのいずれかとして含む、組成物。
【請求項26】
‐ CHCC11342(DSM22932)、CHCC11977(DSM22935)、CHCC12339、およびCHCC13140(DSM24023)、並びに任意のこれらの突然変異体およびバリアントからなる群から選択される株などの、前記S.サーモフィラス種に属する、請求項16‐22のいずれか一項に記載の株または乳酸菌;および
‐ 前記ラクトバチルスデルブリュキーサブスピーシーズブルガリカス種に属する株などの、前記ラクトバチルス種に属する、請求項16‐22に記載の株または乳酸菌
を混合物としてまたはキットのパーツとしてのどちらかで含む、組成物。
【請求項27】
ラクトバチルス種に属する前記株が、ポリサッカライド(ヘテロポリサッカライド、ホモポリサッカライドなど)および/またはフルクトシルトランスフェラーゼ酵素を産生するラクトバチルス種である、請求項23‐26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
少なくとも10exp10CFU(細胞形成単位)のラクトバチルス種に属する株、および/または少なくとも10exp10CFUの前記ストレプトコッカスサーモフィラス種に属する株を含む、請求項23‐27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
少なくとも10exp10CFU(細胞形成単位)のポリサッカライド(ホモポリサッカライドなど)および/またはフルクトシルトランスフェラーゼ酵素を産生するラクトバチルス種に属する株、および少なくとも10exp10CFUの前記ストレプトコッカスサーモフィラス種に属する株を含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
スターター培養物として使用でき、および凍結、凍結乾燥または液体形態である、請求項23‐29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
請求項16‐22のいずれか一項に記載の乳酸菌、請求項16‐22のいずれか一項に記載の株、または請求項23‐30のいずれか一項に記載の組成物で乳基質を発酵することを含む、発酵乳製品の製造方法。
【請求項32】
例えば、CHCC10019(DSM19252)、CHCC2008(DSM22584)、またはCHCC3984(DSM19251)、並びに任意のこれらの株の突然変異体およびバリアントからなる群から選択される株、ラクトバチルスデルブリュキーサブスピーシーズブルガリカス、L.ジョンソニー(johnsonii)またはL.ファーメンタム(fermentum)の株などの、ラクトバチルス種に属する株で前記乳基質を発酵することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
乳基質を、ラクトバチルス種に属する株で発酵前、間、または後、前記ストレプトコッカスサーモフィラス種に属する株などの、請求項16‐30のいずれか一項に記載の組成物、株または菌で発酵する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
乳基質を、ポリサッカライドを産生するラクトバチルス種に属する株で前記発酵の間、前記ストレプトコッカスサーモフィラス種に属する株または菌で発酵する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記発酵の前、間および/または後、乳基質に酵素、タンパク質を架橋できる酵素、トランスグルタミナーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、キモシン、およびレンネットからなる群から選択される酵素などを添加することを含む、請求項31‐34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記発酵の前、間および/または後、乳基質に酵素、タンパク質を架橋できる酵素、トランスグルタミナーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、キモシン、およびレンネットからなる群から選択される酵素などを添加することを含む、請求項31‐34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
請求項31‐36のいずれか一項に記載の方法により得られる、発酵乳製品(例えば、ヨーグルトまたはバターミルク)またはチーズ(例えば、フレッシュチーズまたはパスタフィラータ)などの、乳製品。
【請求項38】
フルーツ濃縮物、シロップ、プロバイオティック菌培養物、着色剤、増粘剤、調味料、および保存料からなる群から選択される原料を場合により含み、および/または場合により、攪拌タイプ製品、セットタイプ製品、または飲用製品の形態である、請求項37に記載の乳製品。
【請求項39】
フルーツ濃縮物、シロップ、プロバイオティック菌培養物、着色剤、増粘剤、調味料、および保存料からなる群から選択される原料を場合により含み、および/または場合により、攪拌タイプ製品、セットタイプ製品、または飲用製品の形態である、請求項31‐36のいずれか一項に記載の方法により得られる乳製品(発酵乳製品など)。
【請求項40】
本発明の乳酸菌(例えば、DSM22935などの、前記ストレプトコッカスサーモフィラス種に属する株)で乳基質(牛乳など)を発酵することにより作られる、請求項37‐39のいずれか一項に記載の乳製品。
【請求項41】
せん断応力として測定され、100Pa超の粘度を有する、請求項37‐40のいずれか一項に記載の乳製品。
【請求項42】
せん断応力として測定され、100‐150Paの範囲、または105‐125Paの範囲などの、100‐200Paの範囲で粘度を有する、請求項37‐41のいずれか一項に記載の乳製品。
【請求項43】
CHPC658(DSM23961)、CHPC1057(DSM23962)、CHPC1089(DSM24022)およびCHPC1152(DSM23994)、並びに前記母ファージとして同じ株を溶菌できる突然変異体およびバリアントなどの、それらの突然変異体およびバリアントからなる群から選択される、バクテリオファージ。
【請求項44】
CHPC658並びに前記CHCC10019(DSM19252)株を溶菌できる突然変異体およびバリアント、および/または前記CHCC12813株を溶菌できない突然変異体およびバリアントなどの、それらの突然変異体およびバリアントからなる群から選択される、請求項43に記載のバクテリオファージ。
【請求項45】
CHPC1152並びに前記CHCC6008および/または前記CHCC11342株を溶菌できる突然変異体およびバリアント、および/または前記CHCC11977株を溶菌できない突然変異体およびバリアントなどの、それらの突然変異体およびバリアントからなる群から選択される、請求項43または44に記載のバクテリオファージ。
【請求項46】
CHPC1057並びに前記CHCC9204株を溶菌できる突然変異体およびバリアント、および/または前記CHCC12339株を溶菌できない突然変異体およびバリアントなどの、それらの突然変異体およびバリアントからなる群から選択される、請求項43‐45のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項47】
CHPC1089並びに前記CHCC5086株を溶菌できる突然変異体およびバリアント、および/または前記CHCC13140株を溶菌できない突然変異体およびバリアントなどの、それらの突然変異体およびバリアントからなる群から選択される、請求項43‐46のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項48】
CHCC11342(DSM22932)、CHCC10019(DSM19252)、CHCC11379(DSM22884)、CHCC11976(DSM22934)、CHCC9204(DSM19242)、CHCC5086(DSM22587)、およびそれらの突然変異体からなる群から選択される、請求項1‐15のいずれか一項に記載の方法で母株として使用できる、菌株。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−517785(P2013−517785A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550466(P2012−550466)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051239
【国際公開番号】WO2011/092300
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(503260310)セーホーエル.ハンセン アクティーゼルスカブ (23)
【Fターム(参考)】