フィルター付き吐出容器
【課題】 ボトルの口部に液剤吐出路を有する栓体を取り付け、吐出路の途中にフィルターと逆止弁とを配設したフィルター付き吐出容器において、浸透力の大きな液剤を収容する場合でも、逆止弁を透過した微量の液剤がフィルターに到達することを未然に防止し、エアロック状態となることを回避する。
【解決手段】 逆止弁23とフィルター25との間に、閉じた状態の逆止弁23を浸透した微量の液剤を貯留する貯留部14を設けて、最初に容器を使用する前の保管時や流通時に閉じた逆止弁23を浸透してきた液剤によってフィルター25が濡れることを防止する。
【解決手段】 逆止弁23とフィルター25との間に、閉じた状態の逆止弁23を浸透した微量の液剤を貯留する貯留部14を設けて、最初に容器を使用する前の保管時や流通時に閉じた逆止弁23を浸透してきた液剤によってフィルター25が濡れることを防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点眼容器などの液剤用容器に好適に用いることができるフィルター付き吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人らは、保存剤を用いることなく無菌環境を維持できる点眼容器の開発を従前から行っており、その成果を下記の特許文献1〜4に開示している。
【特許文献1】特開2004−262470号公報
【特許文献2】特開2003−276719号公報
【特許文献3】特開2002−263166号公報
【特許文献4】特開2002−80055号公報
【0003】
この従来の無菌点眼容器は、スクイズ変形可能な外層の内面に、該外層から剥離可能な内層を積層形成してなるボトルと、該ボトルの口部に設けられ内層の胴部内に収容された内容液を吐出するための吐出路を有する栓体とを備えている。そして、このボトルの吐出路には、逆止弁と親水性フィルターとが設けられており、この逆止弁は、バルブフランジとバルブヘッドとコネクタスリーブとがシリコンゴムなどの弾性材料によって一体成形されたものである。このバルブヘッドは、その中央部に、十字状の切り込みを有するオリフィスが設けられており、コネクタスリーブは、容易に変形し得るように比較的薄肉の柔軟な構造となっている。このため、外層がスクイズ変形され内層の胴部の圧力が増加した際に、逆止弁が、バルブヘッドを下流側へ変位させるように弾性変形するとともにオリフィスが開かれ、内容液剤がフィルターから下流側に流下して、内容液剤が滴下されることになる。また、最初の使用開始前は逆止弁とフィルターとの間の空間には液剤がなく、フィルターは乾燥状態とされており、最初の使用時以降に逆止弁とフィルターとの間の空間が液剤で満たされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボトル内部に収容される点眼剤の中には、添加される合成界面活性剤によって非常に浸透性の高いものがある。その場合、最初の使用開始前の保管時や流通時に、逆止弁のオリフィスが正常に閉じていてもその切り込みを液剤が浸透し、フィルター側に微量の液剤が流出することがあった。
【0005】
しかし、親水性フィルターが吸水すると空気がフィルターを通過できないため、逆止弁とフィルターとの間の空気が閉じこめられた状態、いわゆるエアロック状態となり、実質上滴下を行うことが不可能になる。
【0006】
そこで、本発明は、浸透力の大きな液剤を収容する場合でも、逆止弁を透過した微量の液剤がフィルターに到達することを未然に防止し、エアロック状態となることを回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、次の技術的手段を講じた。
【0008】
即ち、本発明は、液剤を収容する胴部と該胴部から液剤を吐出するための口部とを備えるボトルと、該ボトルの口部に取付けられた栓体とを備え、前記栓体にはボトル胴部内に収容された液剤を吐出するための吐出路が設けられ、前記栓体は、前記吐出路の途中に配設されたフィルターと逆止弁とを備え、前記フィルターは逆止弁よりも吐出下流側に配設されているフィルター付き吐出容器において、前記逆止弁とフィルターとの間に、閉じた状態の逆止弁を浸透した液剤を貯留する貯留部を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
かかる本発明のフィルター付き吐出容器によれば、最初の使用前の保管時や流通時に、胴部内の液剤が閉じた状態の逆止弁を浸透した場合でも、かかる微量の液剤が貯留部に貯留され、フィルターに吸水されることを防止できる。したがって、最初の使用前にフィルターが吸水してエアロック状態となることを回避できる。
【0010】
上記本発明のフィルター付き吐出容器において、前記栓体は、逆止弁とフィルターとの間に配設されたスペーサーをさらに備え、該スペーサーは逆止弁とフィルターとを所定間隔で保持し、前記貯留部はスペーサーに設けられているものとすることができる。これによれば、逆止弁が作動するための空間をスペーサーによって確保しつつ、該スペーサーにより最初の使用前にフィルターが濡れることを防止できる。
【0011】
また、前記貯留部は、逆止弁側に向けて開口する溝からなるものとすることができる。これによれば、閉じた状態の逆止弁を浸透した微量の液剤が容易に貯留部に流入できるとともに、該液剤が貯留部から流出する際にはフィルターとは反対側に流れるため、ボトルの転倒や起立を繰り返してもフィルターが濡れることを防止できる。
【0012】
また、前記逆止弁と前記貯留部との間の吐出路の内周壁には、閉じた状態の逆止弁を浸透した液剤を前記貯留部に案内する案内溝を設けることができる。これによれば、閉じた状態の逆止弁を浸透した液剤が吐出路の内壁面を伝ってフィルター側に流れる際に、該液剤を強制的に貯留部に案内することができ、より確実にフィルターの濡れを防止できる。
【0013】
また、本発明の吐出容器は、前記逆止弁と前記フィルターとの間に配設された放射状の複数のリブをさらに備えることができる。前記貯留部は前記リブに設けることができ、各リブの間に液剤流通孔を形成することができる。これによれば、意図的に吐出容器を使用する際の液剤の円滑な流通を液剤流通孔によって確保することができる。
【0014】
また、本発明の吐出容器は、前記逆止弁よりも胴部側で口部内に配設された緩衝壁をさらに備えることができる。該緩衝壁には液剤流通孔を形成することができる。これによれば、前記緩衝壁により、そこを通過する液剤の流れを緩衝することができるので、吐出容器を転倒させた際などに胴部内の液剤の圧力が一気に逆止弁に作用することを防止でき、逆止弁からの液剤の漏れを防止できる。
【0015】
また、本発明のフィルター付き吐出容器において、前記栓体は、ボトル口部に液密に嵌合する筒状のベースと、該ベースに液密に外嵌されるとともに頂部に液剤吐出口が設けられたノズルキャップと、前記ベース内に保持された前記逆止弁と、該逆止弁よりも吐出下流側で前記ベースに内嵌された筒状のスペーサーと、前記ノズルキャップの頂部とスペーサーとの間に配設された前記フィルターとを備え、前記スペーサーは前記貯留部を備えるとともに、スペーサーには、開かれた逆止弁を通過した液剤をフィルター側に流通させる液剤流通孔が設けられているものとすることができる。これによれば、組付け容易な構造でありながら、最初の使用前には閉じた逆止弁を浸透した微量の液剤を貯留部に貯留してフィルターの濡れを防止できるとともに、吐出容器を意図的に使用する際にはスペーサーの液剤流通孔によって液剤を円滑にフィルター側に流通させることができる。
【0016】
また、前記スペーサーの内周壁には、閉じた状態の逆止弁を浸透した液剤を前記貯留部に案内する案内溝を設けることができる。これによれば、閉じた状態の逆止弁を浸透した液剤がスペーサーの内壁面を伝ってフィルター側に流れる際に、該液剤を強制的に貯留部に案内することができ、より確実にフィルターの濡れを防止できる。
【0017】
また、前記スペーサーのフィルター側端部には放射状の複数のリブが設けられ、前記貯留部は前記リブに設けられ、各リブの間に前記液剤流通孔が形成されているものとすることができる。
【0018】
また、前記ベースは、前記逆止弁よりも胴部側で口部内に配設された緩衝壁を備え、該緩衝壁には液剤流通孔が形成されており、前記緩衝壁は、そこを通過する液剤の流れを緩衝するものとすることができる。これによれば、前記緩衝壁により、そこを通過する液剤の流れを緩衝することができるので、吐出容器を転倒させた際などに胴部内の液剤の圧力が一気に逆止弁に作用することを防止でき、逆止弁からの液剤の漏れを防止できる。
【0019】
なお、本発明の吐出容器の口部に装着される栓体は、前記ボトル胴部に収容された液剤を外部に吐出するための吐出路を有する。該栓体の前記吐出路を開閉するために該吐出路に装着される逆止弁は、バルブフランジとバルブヘッドとを備えることができ、好ましくは、バルブフランジとバルブヘッドとが、柔軟な構造のバルブスリーブを介して接続されたものとすることができる。前記バルブフランジは、前記吐出路の内周縁をシールする。前記バルブヘッドは、前記バルブフランジの内周縁に、直接又はバルブスリーブ等を介して間接的に接続され、前記袋内部側に予め定められた分与圧力が作用すると前記液剤の流れを許容するように開き且つ前記予め定められた分与圧力が除去されると前記液剤の流れを遮断するように閉じるオリフィスを有するものが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、逆止弁とフィルターとの間に、閉じた状態の逆止弁を浸透した微量の液剤を貯留する貯留部を設けることによって、最初に容器を使用する前の保管時や流通時に閉じた逆止弁を浸透してきた液剤によってフィルターが濡れることを防止し、エアーロック状態が生じることを回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係るフィルター付き吐出容器として、積層剥離ボトルを備える点眼容器10を示している。この点眼容器10は、内外二層構造の積層剥離ボトル11と、該ボトル11の口部11aに装着される栓体12と、保護キャップ13とを備えている。使用者がキャップ13を取り外して積層ボトル11を倒立させて胴部11bを押圧によりスクイズすると、図2に示すように、ボトル11内部の点眼液剤(流体)が栓体12内の吐出流路を通って先端ノズル部15から滴下されるようになっている。
【0022】
上記積層ボトル11は、外層を構成する外層ボトル1(スクイズボトル)と、内層を構成する内層袋2(流体収容袋)との積層構造とされており、その詳細は上記従来公報に開示したものと同様である。外層ボトルは、円筒状の口部と、横断面扁平状の胴部とを有する。外層ボトルは、例えばPETやEVOHなどの合成樹脂材により成形することができ、内層袋は、外層ボトルに対して容易に剥離する性質を有する合成樹脂(例えば、ポリエチレンなどのポリオレフィン)により成形できる。
【0023】
外層ボトルは、図9にも示すように、弾性的にスクイズ変形可能な有底筒状の胴部の上端に、上方に移行するにしたがって徐々に縮径する肩部を介して円筒状の口部が設けられたものである。胴部の周壁は、所定間隔を有して相対向する前後一対の剛性壁部5と、これら剛性壁部5の左右縁部同士を接続する左右の可撓性接続壁部6とから、胴部2の左右幅に比して前後幅が小さい扁平長円状に構成されている。各剛性壁部5(前後壁部)は、正面視において上下に長い長方形状であって、横断面並びに縦断面においてはほぼ平坦状であるが、完全に平坦でなくともよく、若干湾曲していてもよい。各可撓性接続壁部6(左右壁部)は、前後中央部が左右外方に向けて突出する円弧状であって、その曲率半径は、胴部の短径よりも小さくなされている。また、各剛性壁部5は、その上端縁が可撓性上部接続部7を介して肩部に接続されるとともに、その下端縁が可撓性下部接続部8を介して胴部の底部に接続されている。
【0024】
外層ボトルの上記した構成によって、前後の剛性壁部5の上下中央部を2本の指先で押圧することにより、該中央部間の距離が半分程度になるまで前後の剛性壁部5を接近させたとき、剛性壁部5の上下端が前記中央部に追従して移動するように左右の接続壁部6並びに上下の接続部7,8が弾性域内で変形するようになっている。
【0025】
また、本実施例の外層ボトルの前側の剛性壁部5(前壁部)の上下左右における中央部には、外層ボトル胴部と内層袋の胴部との間に外気を導入するための導入孔17が設けられている。この導入孔17は、外層ボトルの内面側から外面側に貫通して形成されており、内層袋には形成されていない。さらに、剛性壁部5の上下左右における中央部には、導入孔17よりも大径の円形状の凹部18が形成されている。この凹部18はボトル内方に窪むように形成されており、直径は5mm程度とされている。前記導入孔17は凹部18内に形成されており、凹部18を指で塞ぐことによって導入孔17を閉塞し得るようになっている。上記導入孔17には逆止弁は設けられておらず常時開口しており、この開口面積はおよそ1mm2〜2mm2程度とされている。内層袋の胴部はフィルム状を呈しており、内容液の減少に伴って容易に収縮変形し得るようになっている。
【0026】
上記栓体12は、ボトル口部に液密に嵌合する筒状のベース21と、該ベース21に液密に外嵌されるとともに頂部に液剤吐出口が設けられたノズルキャップ22と、前記ベース21内に保持された逆止弁23と、該逆止弁23よりも吐出下流側で前記ベース21に内嵌された筒状のスペーサー24と、前記ノズルキャップ22の頂部天板22aとスペーサー24との間に配設された親水性フィルター25とから主構成されている。
【0027】
ベース21は、図11にも示すように、ボトル口部11aにその開口端部から液密に内嵌される第1筒部21aと、ボトル口部11aに外嵌される第2筒部21bと、逆止弁23を内部に保持する第3筒部21cと、スペーサー24を内嵌保持する第4筒部21dとを一体に備えている。第1及び第2筒部21a,21bはボトル口部11aの開口端部よりも下方で内外二重に配設され、第3及び第4筒部21c,21dはボトル口部11aの開口端部よりも上方で内外二重に配設されている。
【0028】
また、ベース21は、逆止弁23よりもボトル胴部11b側で口部11a内に配設された緩衝壁21eを備えている。この緩衝壁21eは、第1筒部21aの下端開口を閉じるように該開口端部に一体形成されており、逆止弁23からボトル内方に離間して配設されている。緩衝壁21eには、比較的開口面積の小さな液剤流通孔26が貫通形成されている。図示実施例では、図10にも示すように、四半円弧状のスリットからなる4つの液剤流通孔26が環状に並んで形成されている。
【0029】
ノズルキャップ22は、略円筒状の部材であってその軸方向先端に頂部天板22aが一体成形されており、頂部天板22aの中央部には液剤吐出口15aが貫通形成されたノズル部15が設けられている。該ノズルキャップ22は、ベース21の第2及び第4筒部21b、21dに外嵌固定されている。ノズルキャップ22の先端部外周は段差を介して小径筒状に形成されており、この小径筒状部外周には保護キャップ13が螺着されるようになっている。
【0030】
ノズルキャップ22の頂部天板22aの内側には、薄板状のフィルター25が配設されている。このフィルター25としては、外気の導入を阻止して細菌類が内部に流入することを阻止するために親水性多孔質平膜を採用するのが好ましいが、本発明はフィルター25としてメンブランフィルター、焼結体フィルター、疎水性多孔質平膜などの適宜のフィルターを使用することもできる。即ち、エアロックが問題とならない構造であっても、使用開始前のフィルターの濡れを防止することで容器の最初の使用開始前にフィルターにおいて細菌類が繁殖することを防止できる効果がある。
【0031】
フィルター25は逆止弁23よりも吐出下流側に配設されており、図示例では頂部天板22aの下面に隣接配置され、ベース21の第4筒部21dに内嵌されたスペーサ24によって保持されている。なお、頂部天板22aの下面には、図12にも示すように、フィルター25の径方向外側から吐出口15aに液剤を流通させる流路を確保するための突起27が複数形成されている。
【0032】
上記逆止弁23は、バルブフランジ23cと、バルブヘッド23bと、コネクタスリーブ23aとがシリコンゴムなどの弾性材料によって一体成形されたものである。
【0033】
バルブフランジ23cは略リング状であって、断面形状は径方向外側に至るほど肉厚が厚くなるような三角形状とされている。このバルブフランジ23cは、スペーサー24とベース21とによって上下から気密且つ液密状に挟持されており、吐出路の内周縁を気密且つ液密状にシールしている。
【0034】
バルブヘッド23bは、平面視円形状であってボトル内方に向けて凸状に湾曲する球面状に成形されており、その中央部には、十字形の切り込みを有するオリフィスが設けられている。このオリフィスは、ヘッド23bの内面に予め定められた分与圧力が作用すると内層袋16内部の液剤の吐出を許容するように開き、その予め定められた分与圧力が除去されると、液剤の流れを遮断するように閉じる。コネクタスリーブ23aは、略円筒状であって、軸方向一端側はバルブフランジ23cの内周縁に一体的に接続され、軸方向他端側はバルブヘッド23bの外周縁に一体的に接続されている。また、コネクタスリーブ23aは容易に変形し得るように比較的薄肉の柔軟な構造となっている。これにより、オリフィスが開くための予め定められた分与圧力よりも小さい所定の圧力がバルブヘッド23b内面に作用すると、オリフィスが閉じた状態を維持したままでバルブヘッド23bが下流側(先端側)へ変位し、その結果、コネクタスリーブ23aは捲れるように弾性変形する。また、上記小さい所定の圧力が除去されると、コネクタスリーブ23aは復元変形し、オリフィスが閉じた状態でバルブヘッド23bが上流側(基端側)へ変位し、その結果、液剤吐出口15aに残存する液剤をフィルター25の上流側へ吸い戻す。なお、この流体の吸い込み力は、上記コネクタスリーブ23aの弾性復元力によって得られるものであってもよく、また、ヘッド23bの内面の負圧によって得られるものであってもよい。
【0035】
上記スペーサー24は、図2〜図8にも示すように、ベース21の第4筒部21dに内嵌合固定される筒状の本体部24aと、該本体部24aの下端(逆止弁側端部)から下方に突設され且つスペーサー24の第3筒部21c内に挿入される筒状の弁支持部24bと、本体部24aの上端(フィルター側端部)に一体的に設けられた放射状の複数のリブ24cとから主構成されている。本実施例では、4つのリブが十字状に設けられている。各リブ24cには、逆止弁側(図において下方)に向けて開口する凹溝からなる液剤貯留部14が形成されいる。また、本体部24aの内周壁には、閉じた状態の逆止弁23を浸透して本体部24aの内周壁面を伝ってフィルター25側に流れる液剤を貯留部14に案内するための案内溝16が設けられている。該案内溝16は、図示例では、貯留部14に至るにしたがって幅狭となる漏斗状乃至谷状に形成されている。
【0036】
スペーサー24の各リブの間の空間は逆止弁23側からフィルター25側に液剤を流通させるための液剤流通孔17となされている。而して、ボトル胴部11bの内層袋2の内部と容器外部とを連通させる栓体12の吐出路が、上記したベース21の液剤流通孔26、ベースの第1筒部21aの内部空間、スペーサ本体24aの内部空間、スペーサー24の液剤流通孔17、ノズルキャップ12の上端空洞部及び液剤吐出口15aによって構成されている。
【0037】
本発明は、上記実施例に示した構造に限定されるものではなく、請求の範囲に記載した技術的思想に包含される範囲で適宜の変更を行うことができる。例えば、緩衝壁は、ベースとは別にボトル口部に取り付けられた部材に設けてもよく、また、ボトル口部に一体的に形成してもよい。また、貯留部は、そこに流入した液剤が実質的に再流出しないような空洞部であっても良い。また、ボトルは単層構造であっても良い。また、逆止弁は上記実施例のような吸引弁に限定されるものではなく、先端ノズルの液剤吐出口の液剤を吸引する作用をもたないものであってよい。また、緩衝壁は、逆止弁に当接していてもよいし、逆止弁から離間して設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例に係るフィルター付き吐出容器の口部構造を示す拡大断面図である。
【図2】同容器のスペーサーの平面図である。
【図3】同容器のスペーサーの正面図である。
【図4】同容器のスペーサーの底面図である。
【図5】図2のA−A線断面図である。
【図6】図2のB−B線断面図である。
【図7】図2のC−C線断面図である。
【図8】同スペーサーの斜視図である。
【図9】同容器のボトルの斜視図である。
【図10】同容器のベースの底面図である。
【図11】同容器のベースの正面図である。
【図12】同容器のノズルキャップの底面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、点眼容器などの液剤用容器に好適に用いることができるフィルター付き吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人らは、保存剤を用いることなく無菌環境を維持できる点眼容器の開発を従前から行っており、その成果を下記の特許文献1〜4に開示している。
【特許文献1】特開2004−262470号公報
【特許文献2】特開2003−276719号公報
【特許文献3】特開2002−263166号公報
【特許文献4】特開2002−80055号公報
【0003】
この従来の無菌点眼容器は、スクイズ変形可能な外層の内面に、該外層から剥離可能な内層を積層形成してなるボトルと、該ボトルの口部に設けられ内層の胴部内に収容された内容液を吐出するための吐出路を有する栓体とを備えている。そして、このボトルの吐出路には、逆止弁と親水性フィルターとが設けられており、この逆止弁は、バルブフランジとバルブヘッドとコネクタスリーブとがシリコンゴムなどの弾性材料によって一体成形されたものである。このバルブヘッドは、その中央部に、十字状の切り込みを有するオリフィスが設けられており、コネクタスリーブは、容易に変形し得るように比較的薄肉の柔軟な構造となっている。このため、外層がスクイズ変形され内層の胴部の圧力が増加した際に、逆止弁が、バルブヘッドを下流側へ変位させるように弾性変形するとともにオリフィスが開かれ、内容液剤がフィルターから下流側に流下して、内容液剤が滴下されることになる。また、最初の使用開始前は逆止弁とフィルターとの間の空間には液剤がなく、フィルターは乾燥状態とされており、最初の使用時以降に逆止弁とフィルターとの間の空間が液剤で満たされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボトル内部に収容される点眼剤の中には、添加される合成界面活性剤によって非常に浸透性の高いものがある。その場合、最初の使用開始前の保管時や流通時に、逆止弁のオリフィスが正常に閉じていてもその切り込みを液剤が浸透し、フィルター側に微量の液剤が流出することがあった。
【0005】
しかし、親水性フィルターが吸水すると空気がフィルターを通過できないため、逆止弁とフィルターとの間の空気が閉じこめられた状態、いわゆるエアロック状態となり、実質上滴下を行うことが不可能になる。
【0006】
そこで、本発明は、浸透力の大きな液剤を収容する場合でも、逆止弁を透過した微量の液剤がフィルターに到達することを未然に防止し、エアロック状態となることを回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、次の技術的手段を講じた。
【0008】
即ち、本発明は、液剤を収容する胴部と該胴部から液剤を吐出するための口部とを備えるボトルと、該ボトルの口部に取付けられた栓体とを備え、前記栓体にはボトル胴部内に収容された液剤を吐出するための吐出路が設けられ、前記栓体は、前記吐出路の途中に配設されたフィルターと逆止弁とを備え、前記フィルターは逆止弁よりも吐出下流側に配設されているフィルター付き吐出容器において、前記逆止弁とフィルターとの間に、閉じた状態の逆止弁を浸透した液剤を貯留する貯留部を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
かかる本発明のフィルター付き吐出容器によれば、最初の使用前の保管時や流通時に、胴部内の液剤が閉じた状態の逆止弁を浸透した場合でも、かかる微量の液剤が貯留部に貯留され、フィルターに吸水されることを防止できる。したがって、最初の使用前にフィルターが吸水してエアロック状態となることを回避できる。
【0010】
上記本発明のフィルター付き吐出容器において、前記栓体は、逆止弁とフィルターとの間に配設されたスペーサーをさらに備え、該スペーサーは逆止弁とフィルターとを所定間隔で保持し、前記貯留部はスペーサーに設けられているものとすることができる。これによれば、逆止弁が作動するための空間をスペーサーによって確保しつつ、該スペーサーにより最初の使用前にフィルターが濡れることを防止できる。
【0011】
また、前記貯留部は、逆止弁側に向けて開口する溝からなるものとすることができる。これによれば、閉じた状態の逆止弁を浸透した微量の液剤が容易に貯留部に流入できるとともに、該液剤が貯留部から流出する際にはフィルターとは反対側に流れるため、ボトルの転倒や起立を繰り返してもフィルターが濡れることを防止できる。
【0012】
また、前記逆止弁と前記貯留部との間の吐出路の内周壁には、閉じた状態の逆止弁を浸透した液剤を前記貯留部に案内する案内溝を設けることができる。これによれば、閉じた状態の逆止弁を浸透した液剤が吐出路の内壁面を伝ってフィルター側に流れる際に、該液剤を強制的に貯留部に案内することができ、より確実にフィルターの濡れを防止できる。
【0013】
また、本発明の吐出容器は、前記逆止弁と前記フィルターとの間に配設された放射状の複数のリブをさらに備えることができる。前記貯留部は前記リブに設けることができ、各リブの間に液剤流通孔を形成することができる。これによれば、意図的に吐出容器を使用する際の液剤の円滑な流通を液剤流通孔によって確保することができる。
【0014】
また、本発明の吐出容器は、前記逆止弁よりも胴部側で口部内に配設された緩衝壁をさらに備えることができる。該緩衝壁には液剤流通孔を形成することができる。これによれば、前記緩衝壁により、そこを通過する液剤の流れを緩衝することができるので、吐出容器を転倒させた際などに胴部内の液剤の圧力が一気に逆止弁に作用することを防止でき、逆止弁からの液剤の漏れを防止できる。
【0015】
また、本発明のフィルター付き吐出容器において、前記栓体は、ボトル口部に液密に嵌合する筒状のベースと、該ベースに液密に外嵌されるとともに頂部に液剤吐出口が設けられたノズルキャップと、前記ベース内に保持された前記逆止弁と、該逆止弁よりも吐出下流側で前記ベースに内嵌された筒状のスペーサーと、前記ノズルキャップの頂部とスペーサーとの間に配設された前記フィルターとを備え、前記スペーサーは前記貯留部を備えるとともに、スペーサーには、開かれた逆止弁を通過した液剤をフィルター側に流通させる液剤流通孔が設けられているものとすることができる。これによれば、組付け容易な構造でありながら、最初の使用前には閉じた逆止弁を浸透した微量の液剤を貯留部に貯留してフィルターの濡れを防止できるとともに、吐出容器を意図的に使用する際にはスペーサーの液剤流通孔によって液剤を円滑にフィルター側に流通させることができる。
【0016】
また、前記スペーサーの内周壁には、閉じた状態の逆止弁を浸透した液剤を前記貯留部に案内する案内溝を設けることができる。これによれば、閉じた状態の逆止弁を浸透した液剤がスペーサーの内壁面を伝ってフィルター側に流れる際に、該液剤を強制的に貯留部に案内することができ、より確実にフィルターの濡れを防止できる。
【0017】
また、前記スペーサーのフィルター側端部には放射状の複数のリブが設けられ、前記貯留部は前記リブに設けられ、各リブの間に前記液剤流通孔が形成されているものとすることができる。
【0018】
また、前記ベースは、前記逆止弁よりも胴部側で口部内に配設された緩衝壁を備え、該緩衝壁には液剤流通孔が形成されており、前記緩衝壁は、そこを通過する液剤の流れを緩衝するものとすることができる。これによれば、前記緩衝壁により、そこを通過する液剤の流れを緩衝することができるので、吐出容器を転倒させた際などに胴部内の液剤の圧力が一気に逆止弁に作用することを防止でき、逆止弁からの液剤の漏れを防止できる。
【0019】
なお、本発明の吐出容器の口部に装着される栓体は、前記ボトル胴部に収容された液剤を外部に吐出するための吐出路を有する。該栓体の前記吐出路を開閉するために該吐出路に装着される逆止弁は、バルブフランジとバルブヘッドとを備えることができ、好ましくは、バルブフランジとバルブヘッドとが、柔軟な構造のバルブスリーブを介して接続されたものとすることができる。前記バルブフランジは、前記吐出路の内周縁をシールする。前記バルブヘッドは、前記バルブフランジの内周縁に、直接又はバルブスリーブ等を介して間接的に接続され、前記袋内部側に予め定められた分与圧力が作用すると前記液剤の流れを許容するように開き且つ前記予め定められた分与圧力が除去されると前記液剤の流れを遮断するように閉じるオリフィスを有するものが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、逆止弁とフィルターとの間に、閉じた状態の逆止弁を浸透した微量の液剤を貯留する貯留部を設けることによって、最初に容器を使用する前の保管時や流通時に閉じた逆止弁を浸透してきた液剤によってフィルターが濡れることを防止し、エアーロック状態が生じることを回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係るフィルター付き吐出容器として、積層剥離ボトルを備える点眼容器10を示している。この点眼容器10は、内外二層構造の積層剥離ボトル11と、該ボトル11の口部11aに装着される栓体12と、保護キャップ13とを備えている。使用者がキャップ13を取り外して積層ボトル11を倒立させて胴部11bを押圧によりスクイズすると、図2に示すように、ボトル11内部の点眼液剤(流体)が栓体12内の吐出流路を通って先端ノズル部15から滴下されるようになっている。
【0022】
上記積層ボトル11は、外層を構成する外層ボトル1(スクイズボトル)と、内層を構成する内層袋2(流体収容袋)との積層構造とされており、その詳細は上記従来公報に開示したものと同様である。外層ボトルは、円筒状の口部と、横断面扁平状の胴部とを有する。外層ボトルは、例えばPETやEVOHなどの合成樹脂材により成形することができ、内層袋は、外層ボトルに対して容易に剥離する性質を有する合成樹脂(例えば、ポリエチレンなどのポリオレフィン)により成形できる。
【0023】
外層ボトルは、図9にも示すように、弾性的にスクイズ変形可能な有底筒状の胴部の上端に、上方に移行するにしたがって徐々に縮径する肩部を介して円筒状の口部が設けられたものである。胴部の周壁は、所定間隔を有して相対向する前後一対の剛性壁部5と、これら剛性壁部5の左右縁部同士を接続する左右の可撓性接続壁部6とから、胴部2の左右幅に比して前後幅が小さい扁平長円状に構成されている。各剛性壁部5(前後壁部)は、正面視において上下に長い長方形状であって、横断面並びに縦断面においてはほぼ平坦状であるが、完全に平坦でなくともよく、若干湾曲していてもよい。各可撓性接続壁部6(左右壁部)は、前後中央部が左右外方に向けて突出する円弧状であって、その曲率半径は、胴部の短径よりも小さくなされている。また、各剛性壁部5は、その上端縁が可撓性上部接続部7を介して肩部に接続されるとともに、その下端縁が可撓性下部接続部8を介して胴部の底部に接続されている。
【0024】
外層ボトルの上記した構成によって、前後の剛性壁部5の上下中央部を2本の指先で押圧することにより、該中央部間の距離が半分程度になるまで前後の剛性壁部5を接近させたとき、剛性壁部5の上下端が前記中央部に追従して移動するように左右の接続壁部6並びに上下の接続部7,8が弾性域内で変形するようになっている。
【0025】
また、本実施例の外層ボトルの前側の剛性壁部5(前壁部)の上下左右における中央部には、外層ボトル胴部と内層袋の胴部との間に外気を導入するための導入孔17が設けられている。この導入孔17は、外層ボトルの内面側から外面側に貫通して形成されており、内層袋には形成されていない。さらに、剛性壁部5の上下左右における中央部には、導入孔17よりも大径の円形状の凹部18が形成されている。この凹部18はボトル内方に窪むように形成されており、直径は5mm程度とされている。前記導入孔17は凹部18内に形成されており、凹部18を指で塞ぐことによって導入孔17を閉塞し得るようになっている。上記導入孔17には逆止弁は設けられておらず常時開口しており、この開口面積はおよそ1mm2〜2mm2程度とされている。内層袋の胴部はフィルム状を呈しており、内容液の減少に伴って容易に収縮変形し得るようになっている。
【0026】
上記栓体12は、ボトル口部に液密に嵌合する筒状のベース21と、該ベース21に液密に外嵌されるとともに頂部に液剤吐出口が設けられたノズルキャップ22と、前記ベース21内に保持された逆止弁23と、該逆止弁23よりも吐出下流側で前記ベース21に内嵌された筒状のスペーサー24と、前記ノズルキャップ22の頂部天板22aとスペーサー24との間に配設された親水性フィルター25とから主構成されている。
【0027】
ベース21は、図11にも示すように、ボトル口部11aにその開口端部から液密に内嵌される第1筒部21aと、ボトル口部11aに外嵌される第2筒部21bと、逆止弁23を内部に保持する第3筒部21cと、スペーサー24を内嵌保持する第4筒部21dとを一体に備えている。第1及び第2筒部21a,21bはボトル口部11aの開口端部よりも下方で内外二重に配設され、第3及び第4筒部21c,21dはボトル口部11aの開口端部よりも上方で内外二重に配設されている。
【0028】
また、ベース21は、逆止弁23よりもボトル胴部11b側で口部11a内に配設された緩衝壁21eを備えている。この緩衝壁21eは、第1筒部21aの下端開口を閉じるように該開口端部に一体形成されており、逆止弁23からボトル内方に離間して配設されている。緩衝壁21eには、比較的開口面積の小さな液剤流通孔26が貫通形成されている。図示実施例では、図10にも示すように、四半円弧状のスリットからなる4つの液剤流通孔26が環状に並んで形成されている。
【0029】
ノズルキャップ22は、略円筒状の部材であってその軸方向先端に頂部天板22aが一体成形されており、頂部天板22aの中央部には液剤吐出口15aが貫通形成されたノズル部15が設けられている。該ノズルキャップ22は、ベース21の第2及び第4筒部21b、21dに外嵌固定されている。ノズルキャップ22の先端部外周は段差を介して小径筒状に形成されており、この小径筒状部外周には保護キャップ13が螺着されるようになっている。
【0030】
ノズルキャップ22の頂部天板22aの内側には、薄板状のフィルター25が配設されている。このフィルター25としては、外気の導入を阻止して細菌類が内部に流入することを阻止するために親水性多孔質平膜を採用するのが好ましいが、本発明はフィルター25としてメンブランフィルター、焼結体フィルター、疎水性多孔質平膜などの適宜のフィルターを使用することもできる。即ち、エアロックが問題とならない構造であっても、使用開始前のフィルターの濡れを防止することで容器の最初の使用開始前にフィルターにおいて細菌類が繁殖することを防止できる効果がある。
【0031】
フィルター25は逆止弁23よりも吐出下流側に配設されており、図示例では頂部天板22aの下面に隣接配置され、ベース21の第4筒部21dに内嵌されたスペーサ24によって保持されている。なお、頂部天板22aの下面には、図12にも示すように、フィルター25の径方向外側から吐出口15aに液剤を流通させる流路を確保するための突起27が複数形成されている。
【0032】
上記逆止弁23は、バルブフランジ23cと、バルブヘッド23bと、コネクタスリーブ23aとがシリコンゴムなどの弾性材料によって一体成形されたものである。
【0033】
バルブフランジ23cは略リング状であって、断面形状は径方向外側に至るほど肉厚が厚くなるような三角形状とされている。このバルブフランジ23cは、スペーサー24とベース21とによって上下から気密且つ液密状に挟持されており、吐出路の内周縁を気密且つ液密状にシールしている。
【0034】
バルブヘッド23bは、平面視円形状であってボトル内方に向けて凸状に湾曲する球面状に成形されており、その中央部には、十字形の切り込みを有するオリフィスが設けられている。このオリフィスは、ヘッド23bの内面に予め定められた分与圧力が作用すると内層袋16内部の液剤の吐出を許容するように開き、その予め定められた分与圧力が除去されると、液剤の流れを遮断するように閉じる。コネクタスリーブ23aは、略円筒状であって、軸方向一端側はバルブフランジ23cの内周縁に一体的に接続され、軸方向他端側はバルブヘッド23bの外周縁に一体的に接続されている。また、コネクタスリーブ23aは容易に変形し得るように比較的薄肉の柔軟な構造となっている。これにより、オリフィスが開くための予め定められた分与圧力よりも小さい所定の圧力がバルブヘッド23b内面に作用すると、オリフィスが閉じた状態を維持したままでバルブヘッド23bが下流側(先端側)へ変位し、その結果、コネクタスリーブ23aは捲れるように弾性変形する。また、上記小さい所定の圧力が除去されると、コネクタスリーブ23aは復元変形し、オリフィスが閉じた状態でバルブヘッド23bが上流側(基端側)へ変位し、その結果、液剤吐出口15aに残存する液剤をフィルター25の上流側へ吸い戻す。なお、この流体の吸い込み力は、上記コネクタスリーブ23aの弾性復元力によって得られるものであってもよく、また、ヘッド23bの内面の負圧によって得られるものであってもよい。
【0035】
上記スペーサー24は、図2〜図8にも示すように、ベース21の第4筒部21dに内嵌合固定される筒状の本体部24aと、該本体部24aの下端(逆止弁側端部)から下方に突設され且つスペーサー24の第3筒部21c内に挿入される筒状の弁支持部24bと、本体部24aの上端(フィルター側端部)に一体的に設けられた放射状の複数のリブ24cとから主構成されている。本実施例では、4つのリブが十字状に設けられている。各リブ24cには、逆止弁側(図において下方)に向けて開口する凹溝からなる液剤貯留部14が形成されいる。また、本体部24aの内周壁には、閉じた状態の逆止弁23を浸透して本体部24aの内周壁面を伝ってフィルター25側に流れる液剤を貯留部14に案内するための案内溝16が設けられている。該案内溝16は、図示例では、貯留部14に至るにしたがって幅狭となる漏斗状乃至谷状に形成されている。
【0036】
スペーサー24の各リブの間の空間は逆止弁23側からフィルター25側に液剤を流通させるための液剤流通孔17となされている。而して、ボトル胴部11bの内層袋2の内部と容器外部とを連通させる栓体12の吐出路が、上記したベース21の液剤流通孔26、ベースの第1筒部21aの内部空間、スペーサ本体24aの内部空間、スペーサー24の液剤流通孔17、ノズルキャップ12の上端空洞部及び液剤吐出口15aによって構成されている。
【0037】
本発明は、上記実施例に示した構造に限定されるものではなく、請求の範囲に記載した技術的思想に包含される範囲で適宜の変更を行うことができる。例えば、緩衝壁は、ベースとは別にボトル口部に取り付けられた部材に設けてもよく、また、ボトル口部に一体的に形成してもよい。また、貯留部は、そこに流入した液剤が実質的に再流出しないような空洞部であっても良い。また、ボトルは単層構造であっても良い。また、逆止弁は上記実施例のような吸引弁に限定されるものではなく、先端ノズルの液剤吐出口の液剤を吸引する作用をもたないものであってよい。また、緩衝壁は、逆止弁に当接していてもよいし、逆止弁から離間して設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例に係るフィルター付き吐出容器の口部構造を示す拡大断面図である。
【図2】同容器のスペーサーの平面図である。
【図3】同容器のスペーサーの正面図である。
【図4】同容器のスペーサーの底面図である。
【図5】図2のA−A線断面図である。
【図6】図2のB−B線断面図である。
【図7】図2のC−C線断面図である。
【図8】同スペーサーの斜視図である。
【図9】同容器のボトルの斜視図である。
【図10】同容器のベースの底面図である。
【図11】同容器のベースの正面図である。
【図12】同容器のノズルキャップの底面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液剤を収容する胴部と該胴部から液剤を吐出するための口部とを備えるボトルと、該ボトルの口部に取付けられた栓体とを備え、前記栓体にはボトル胴部内に収容された液剤を吐出するための吐出路が設けられ、前記栓体は、前記吐出路の途中に配設されたフィルターと逆止弁とを備え、前記フィルターは逆止弁よりも吐出下流側に配設されているフィルター付き吐出容器において、
前記逆止弁とフィルターとの間に、閉じた状態の逆止弁を浸透した液剤を貯留する貯留部を設けたことを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルター付き吐出容器において、前記栓体は、逆止弁とフィルターとの間に配設されたスペーサーをさらに備え、該スペーサーは逆止弁とフィルターとを所定間隔で保持し、前記貯留部はスペーサーに設けられていることを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフィルター付き吐出容器において、前記貯留部は、逆止弁側に向けて開口する溝からなることを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項4】
請求項1,2又は3に記載のフィルター付き吐出容器において、前記逆止弁と前記貯留部との間の吐出路の内周壁には、閉じた状態の逆止弁を浸透した液剤を前記貯留部に案内する案内溝が設けられていることを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルター付き吐出容器において、前記逆止弁と前記フィルターとの間に配設された放射状の複数のリブをさらに備え、前記貯留部は前記リブに設けられ、各リブの間に液剤流通孔が形成されていることを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルター付き吐出容器において、前記逆止弁よりも胴部側で口部内に配設された緩衝壁をさらに備え、該緩衝壁には液剤流通孔が形成されており、前記緩衝壁は、そこを通過する液剤の流れを緩衝することを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項7】
請求項1に記載のフィルター付き吐出容器において、前記栓体は、ボトル口部に液密に嵌合する筒状のベースと、該ベースに液密に外嵌されるとともに頂部に液剤吐出口が設けられたノズルキャップと、前記ベース内に保持された前記逆止弁と、該逆止弁よりも吐出下流側で前記ベースに内嵌された筒状のスペーサーと、前記ノズルキャップの頂部とスペーサーとの間に配設された前記フィルターとを備え、前記スペーサーは前記貯留部を備えるとともに、スペーサーには、開かれた逆止弁を通過した液剤をフィルター側に流通させる液剤流通孔が設けられていることを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項8】
請求項7に記載のフィルター付き吐出容器において、前記スペーサーの内周壁には、閉じた状態の逆止弁を浸透した液剤を前記貯留部に案内する案内溝が設けられていることを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のフィルター付き吐出容器において、前記スペーサーのフィルター側端部には放射状の複数のリブが設けられ、前記貯留部は前記リブに設けられ、各リブの間に前記液剤流通孔が形成されていることを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項10】
請求項7,8又は9に記載のフィルター付き吐出容器において、前記ベースは、前記逆止弁よりも胴部側で口部内に配設された緩衝壁を備え、該緩衝壁には液剤流通孔が形成されており、前記緩衝壁は、そこを通過する液剤の流れを緩衝することを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項1】
液剤を収容する胴部と該胴部から液剤を吐出するための口部とを備えるボトルと、該ボトルの口部に取付けられた栓体とを備え、前記栓体にはボトル胴部内に収容された液剤を吐出するための吐出路が設けられ、前記栓体は、前記吐出路の途中に配設されたフィルターと逆止弁とを備え、前記フィルターは逆止弁よりも吐出下流側に配設されているフィルター付き吐出容器において、
前記逆止弁とフィルターとの間に、閉じた状態の逆止弁を浸透した液剤を貯留する貯留部を設けたことを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルター付き吐出容器において、前記栓体は、逆止弁とフィルターとの間に配設されたスペーサーをさらに備え、該スペーサーは逆止弁とフィルターとを所定間隔で保持し、前記貯留部はスペーサーに設けられていることを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフィルター付き吐出容器において、前記貯留部は、逆止弁側に向けて開口する溝からなることを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項4】
請求項1,2又は3に記載のフィルター付き吐出容器において、前記逆止弁と前記貯留部との間の吐出路の内周壁には、閉じた状態の逆止弁を浸透した液剤を前記貯留部に案内する案内溝が設けられていることを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルター付き吐出容器において、前記逆止弁と前記フィルターとの間に配設された放射状の複数のリブをさらに備え、前記貯留部は前記リブに設けられ、各リブの間に液剤流通孔が形成されていることを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルター付き吐出容器において、前記逆止弁よりも胴部側で口部内に配設された緩衝壁をさらに備え、該緩衝壁には液剤流通孔が形成されており、前記緩衝壁は、そこを通過する液剤の流れを緩衝することを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項7】
請求項1に記載のフィルター付き吐出容器において、前記栓体は、ボトル口部に液密に嵌合する筒状のベースと、該ベースに液密に外嵌されるとともに頂部に液剤吐出口が設けられたノズルキャップと、前記ベース内に保持された前記逆止弁と、該逆止弁よりも吐出下流側で前記ベースに内嵌された筒状のスペーサーと、前記ノズルキャップの頂部とスペーサーとの間に配設された前記フィルターとを備え、前記スペーサーは前記貯留部を備えるとともに、スペーサーには、開かれた逆止弁を通過した液剤をフィルター側に流通させる液剤流通孔が設けられていることを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項8】
請求項7に記載のフィルター付き吐出容器において、前記スペーサーの内周壁には、閉じた状態の逆止弁を浸透した液剤を前記貯留部に案内する案内溝が設けられていることを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のフィルター付き吐出容器において、前記スペーサーのフィルター側端部には放射状の複数のリブが設けられ、前記貯留部は前記リブに設けられ、各リブの間に前記液剤流通孔が形成されていることを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【請求項10】
請求項7,8又は9に記載のフィルター付き吐出容器において、前記ベースは、前記逆止弁よりも胴部側で口部内に配設された緩衝壁を備え、該緩衝壁には液剤流通孔が形成されており、前記緩衝壁は、そこを通過する液剤の流れを緩衝することを特徴とするフィルター付き吐出容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−291326(P2009−291326A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−146209(P2008−146209)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000206185)大成化工株式会社 (83)
【出願人】(391009523)株式会社日本点眼薬研究所 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000206185)大成化工株式会社 (83)
【出願人】(391009523)株式会社日本点眼薬研究所 (13)
【Fターム(参考)】
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