説明

フィルムコンデンサモジュール

【課題】フィルムコンデンサモジュールを効率良く放熱することにある。
【解決手段】フィルムコンデンサモジュール(1)は、巻芯(3)に金属化フィルム(21,21)が巻回されてなるコンデンサ素子(2)を備えている。フィルムコンデンサモジュール(1)は、コンデンサ素子(2)に電気的に接続されたバスバー(51,52)をさらに備えている。巻芯(3)は、プラス側バスバー(51)に接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻芯に金属化フィルムが巻回されてなるコンデンサ素子を備えたフィルムコンデンサモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より巻芯に金属化フィルムが巻回されてなるコンデンサ素子を備えたフィルムコンデンサモジュールがよく知られている。このようなフィルムコンデンサモジュールにおいては、一般的に、巻芯及び該巻芯に巻回された金属化フィルムが封止樹脂やケーシング等に覆われて気密に構成されている。
【特許文献1】特開昭62−60215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前述のようなフィルムコンデンサモジュールでは、通電時において金属化フィルムが大きく発熱する場合がある。
【0004】
例えば、フィルムコンデンサモジュールの小型化を図るためにフィルムを薄型化すると、厚み当たりの耐電圧を大きくする必要があり、その一手段として蒸着金属の薄型化することが考えられる。こうして、蒸着金属を薄型化すると、蒸着金属を流れる電流による発熱が大きくなり、金属化フィルムの発熱が大きくなる。
【0005】
また、フィルム基材として誘電率が比較的高い材料を用いる場合には、誘電損失も比較的大きくなるので、金属化フィルムの発熱が大きくなる。
【0006】
前述の例に限られず、フィルムコンデンサモジュールでは、その仕様によっては金属化フィルムの発熱が大きくなることがある。その結果、金属化フィルムの熱収縮やコンデンサ素子の耐電圧特性の低下等の不具合を招く虞がある。
【0007】
そこで、特許文献1に係るフィルムコンデンサモジュールにおいては、巻芯をケーシングの外部に露出させて、コンデンサ素子で発生した熱をこの露出した部分から外部に放熱させるように構成している。
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に係るフィルムコンデンサモジュールでは、巻芯をケーシング外部に露出させて外部の空気との接触部分を設けているだけであり、フィルムコンデンサモジュールの放熱を十分に行うことはできない。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フィルムコンデンサモジュールの放熱特性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、巻芯をバスバーに熱的に接合するようにしたものである。
【0011】
具体的には、第1の発明は、巻芯(3)に金属化フィルム(21)が巻回されてなるコンデンサ素子(2)を備えたフィルムコンデンサモジュールが対象である。そして、前記コンデンサ素子(2)に電気的に接続されたバスバー(51)をさらに備え、前記巻芯(3)は、バスバー(51)に熱的に接合されているものとする。ここで、バスバーとは、リード線等と比較して大きな断面積を有する板状の導電体をいう。
【0012】
前記の構成の場合、前記巻芯(3)をバスバー(51)に熱的に接合することによって、前記コンデンサ素子(2)で発生した熱が該巻芯(3)を介してバスバー(51)に伝導し、バスバー(51)中に拡散しながら放熱される。つまり、フィルムコンデンサの熱をバスバー(51)に伝導させることによって、放熱面積を拡大させることができ、フィルムコンデンサの放熱を効率良く行うことができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、前記巻芯(3)は、少なくとも金属製の棒材(31)を含んで構成され、前記金属化フィルム(21)は、前記棒材(31)に巻回されると共に、前記棒材(31)は、バスバー(51)に熱的に接合されているものとする。
【0014】
前記の構成の場合、金属化フィルム(21)が巻回されると共にバスバー(51)に熱的に接合される巻芯(3)が金属製の棒材(31)で構成されているため、巻芯(3)とバスバー(51)とが接していない又は封止樹脂を介して接している構成と比較して、コンデンサ素子(2)からバスバー(51)までの間の熱抵抗を低減させることができ、コンデンサ素子(2)で発生した熱を金属製の棒材(31)を介してバスバー(51)まで容易に伝導させることができる。尚、金属化フィルム(21)は、棒材(31)に直接巻回される構成であってもよいし、棒材(31)に外挿された樹脂パイプ等を介して間接的に棒材(31)に巻回される構成であってもよい。
【0015】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記バスバー(51)には、放熱部(51c)が設けられているものとする。
【0016】
前記の構成の場合、バスバー(51)に、例えばフィン等の放熱部(51c)が形成されているため、金属化フィルム(21)からバスバー(51)に伝導した熱を、バスバー(51)から容易に放熱することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、前記巻芯(3)をバスバー(51)に熱的に接合することによって、コンデンサ素子(2)の熱がバスバー(51)に伝導するため、放熱面積を拡大させることができ、コンデンサ素子(2)の熱を効率良く放熱することができる。
【0018】
第2の発明によれば、前記巻芯(3)を少なくとも金属製の棒材(31)を含んで構成することによって、コンデンサ素子(2)の熱をバスバー(51)まで容易に伝導させることができる。
【0019】
第3の発明によれば、前記バスバー(51)に放熱部(51c)を設けることによって、コンデンサ素子(2)からバスバー(51)まで伝導してきた熱を容易に放熱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1に係るフィルムコンデンサモジュール(1)は、図1に示すように、複数のコンデンサ素子(2,2,2)と、コンデンサ素子(2,2,2)が巻回される巻芯(3)と、各コンデンサ素子(2)に設けられた2つのメタリコン電極(41,42)と、メタリコン電極(41,…,42,…)に電気的に接続されたバスバー(51,52)と、該コンデンサ素子(2,2,2)、巻芯(3)、メタリコン電極(41,…,42,…)及びバスバー(51,52)とを封止するための封止樹脂(6)とを備えている。
【0022】
前記各コンデンサ素子(2)は、帯状の絶縁フィルムの片面にアルミニウム等の金属箔を蒸着させて形成した金属化フィルム(21,21)を2枚重ね合わせて、前記巻芯(3)に巻回して構成されている。このとき、2枚の金属化フィルム(21,21)は巻芯(3)の軸方向にずらして重ね合わされている。こうすることで、巻回されたコンデンサ素子(2)における巻芯(3)の軸方向の一端部には金属化フィルム(21,21)のうちの一方が、該軸方向の他端部には金属化フィルム(21,21)のうちの他方がはみ出した状態となっている(図示省略)。尚、前記絶縁フィルムは、少なくともポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidine DiFluoride; PVDFともいう)を含んで構成されている。このPVDFは、強誘電性のポリマーであるため、コンデンサ素子(2)を小型化することができる。
【0023】
前記巻芯(3)は、1本の金属製の棒材(31)と、該棒材(31)におけるコンデンサ素子(2)が巻回される部分に設けられた被巻回部(32,32,32)とを有している。
【0024】
前記棒材(31)は、銅(合金)やアルミニウム(合金)からなる金属製である。棒材(31)は、直線状に延びて3つのコンデンサ素子(2,2,2)が巻回される直線部(31a)と、直線部(31a)から屈曲して延びてプラス側バスバー(51)に熱的に接合される接合部(31b)とを有している。接合部(31b)は、はんだ付け、ろう付け又はネジ止め等によってプラス側バスバー(51)に熱的に接合されている。
【0025】
前記被巻回部(32)は、樹脂製のパイプであって、棒材(31)の直線部(31a)におけるコンデンサ素子(2)が巻回される部分に外嵌されている。前述の如く、本実施形態に係るフィルムコンデンサモジュール(1)は3つのコンデンサ素子(2,2,2)を備えているため、1本の棒材(31)に3つの被巻回部(32,32,32)が設けられている。各被巻回部(32)は、高熱伝導性接着剤(例えば、菱電化成製の品番「R116-00」等)を介して棒材(31)に取り付けられている。こうすることで、被巻回部(32)と棒材(31)との間の熱抵抗を可及的に低減させることができ、コンデンサ素子(2)から被巻回部(32)に伝導した熱を棒材(31)へ伝導させ易くすることができる。また、被巻回部(32)の軸方向長さは、金属化フィルム(21)の幅よりも大きな寸法となっていて、巻回される金属化フィルム(21,21)が棒材(31)と電気的に接触しないようにしている。
【0026】
尚、被巻回部(32)は、パイプを棒材(31)に外嵌するのではなく、棒材(31)におけるコンデンサ素子(2)が巻回される部分に樹脂を溶着させて形成される樹脂被膜で構成されてもよい。すなわち、被巻回部(32)は、棒材(31)におけるコンデンサ素子(2)が巻回される部分を覆って該コンデンサ素子(2)と棒材(31)とを電気的に絶縁状態にするものであれば任意の構成を採用することができる。また、巻回される金属化フィルム(21,21)の最内周部が金属箔ではなく、絶縁フィルムである場合(例えば、金属化フィルム(21,21)が絶縁フィルムを内側に、金属箔を外側にして巻回される場合)には、金属化フィルム(21,21)の金属箔と棒材(31)とが電気的に接触することがないため、被巻回部(32)を省略して、金属化フィルム(21,21)を棒材(31)に直接、巻回してもよい。
【0027】
前記メタリコン電極(41,42)は、巻芯(3)に巻回されて概略円柱状に形成された各コンデンサ素子(2)における、巻芯(3)の軸方向両端部にそれぞれ設けられている。メタリコン電極(41,42)は、それぞれコンデンサ素子(2)の軸方向各端部に金属を溶射することで形成されていて、該コンデンサ素子(2)の軸方向各端部においてはみ出している方の金属化フィルム(21)の金属箔とそれぞれ電気的に導通している。このとき、巻回されたコンデンサ素子(2)の両端部から前記被巻回部(32)がはみ出しているため、メタリコン電極(41,42)は被巻回部(32)よりも内側には形成されず、該被巻回部(32)を中心とする円環状に形成されている。こうすることで、メタリコン電極(41,42)が棒材(31)と電気的に接触することが防止されている。
【0028】
前記バスバー(51,52)は、外部引出用の端子板であって、銅(合金)板又はアルミニウム(合金)板で形成されている。プラス側バスバー(51)は、本体部(51a)と該本体部(51a)から分岐して各コンデンサ素子(2)のメタリコン電極(41)に電気的に接続される3つの分岐部(51b,51b,51b)とを有している。同様に、マイナス側バスバー(52)は、本体部(52a)と該本体部(52a)から分岐して各コンデンサ素子(2)のメタリコン電極(42)に電気的に接続される3つの分岐部(52b,52b,52b)とを有している。ここで、各コンデンサ素子(2)において前記被巻回部(32)の両端部はメタリコン電極(41,42)よりもはみ出しているため、分岐部(51b,52b)は被巻回部(32)の両端部との干渉を避けるような形状に形成され、分岐部(51b,52b)が棒材(31)と電気的に接触することが防止されている。
【0029】
ここで、前記棒材(31)の接合部(31b)が接合されるプラス側バスバー(51)には、放熱部(51c)が形成されている。詳しくは、放熱部(51c,51c)は、図2に示すように、プラス側バスバー(51)の本体部(51a)の幅方向の両端部から屈曲して立設されている。こうすることで、プラス側バスバー(51)の表面積、即ち、放熱面積を拡大させている。
【0030】
前記封止樹脂(6)は、バスバー(51,52)の本体部(51a,52a)の先端側の部分、即ち、少なくとも放熱部(51c,51c)が外部に露出する状態で、コンデンサ素子(2,2,2)、巻芯(3)、メタリコン電極(41,…,42,…)及びバスバー(51,52)を覆うように封止している。
【0031】
このフィルムコンデンサモジュール(1)の製造方法の一例を説明すると、金属化フィルム(21,21)を被巻回部(32,32,32)に巻回した後、棒材(31)を高熱電導性接着剤を介設させた状態で被巻回部(32)に挿通する。そして、該接着剤が硬化した後に、前記メタリコン電極(41,…,42,…)を溶射し、さらにバスバー(51,52)をメタリコン電極(41,…,42,…)に電気的に接続する。ここで、棒材(31)の接合部(31b)の先端をプラス側バスバー(51)にはんだ付け等によって熱的に接合する。この状態で、コンデンサ素子(2,2,2)、巻芯(3)、メタリコン電極(41,…,42,…)及びバスバー(51,52)を、バスバー(51,52)の本体部(51a,52a)の先端部(放熱部(51c,51c)を含む)が露出するようにして、溶融樹脂内にディップする。その後、溶融樹脂が硬化することで、コンデンサ素子(2,2,2)、巻芯(3)、メタリコン電極(41,…,42,…)及びバスバー(51,52)の周囲に封止樹脂(6)が形成され、フィルムコンデンサモジュール(1)が製造される。
【0032】
このように構成されたフィルムコンデンサモジュール(1)においては、コンデンサ素子(2,2,2)で熱が発生すると、その熱は被巻回部(32,32,32)から棒材(31)に伝導する。棒材(31)へ伝導した熱は、棒材(31)の材質中を伝導して、プラス側バスバー(51)へ伝導する。このように、コンデンサ素子(2,2,2)で発生した熱がプラス側バスバー(51)へ伝導されて放熱される。
【0033】
したがって、本実施形態1によれば、コンデンサ素子(2,2,2)が発する熱を、巻芯(3)を介してプラス側バスバー(51)へ伝導させることができる。ここで、巻芯(3)の設置場所は、コンデンサ素子(2)における最も内方の場所であり、コンデンサ素子(2)から発生した熱がこもりやすい、即ち、比較的高温になり易い場所である。つまり、この高温になり易い場所から巻芯(3)を介して放熱することによって、効率良く放熱することができる。
【0034】
特に、コンデンサ素子(2)は、PVDFを含む絶縁フィルムを用いて金属化フィルム(21)を構成することで小型化を図っているため、コンデンサ素子(2)内に熱がこもり易い。そのため、コンデンサ素子(2,2,2)が発する熱を巻芯(3)を介してプラス側バスバー(51)へ伝導させることが特に有効となる。
【0035】
また、プラス側バスバー(51)は、リード線等と比較して、断面積が大きく且つ表面積も大きいため、熱抵抗が小さく且つ放熱面積が大きく、プラス側バスバー(51)に伝わった熱を容易に放熱することができる。さらに、本実施形態においては、プラス側バスバー(51)を単なる平板状に形成するのではなく、本体部(51a)の幅方向両端部を折り曲げて放熱部(51c,51c)を設けることによって、プラス側バスバー(51)の放熱面積を拡大させ、プラス側バスバー(51)における放熱をさらに容易なものにすることができる。
【0036】
さらに、巻芯(3)を金属製の棒材(31)を含んで構成し、該棒材(31)をプラス側バスバー(51)に熱的に接合することによって、コンデンサ素子(2)の熱をプラス側バスバー(51)に効率良く伝導させることができる。さらにまた、巻芯(3)において、コンデンサ素子(2,2,2)の熱をプラス側バスバー(51)に伝える部材を金属製の棒材(31)で構成することによって、後述するヒートパイプ(231)と比べて、簡易な構成でコンデンサ素子(2,2,2)からプラス側バスバー(51)への熱伝導を実現することができる。
【0037】
さらに、巻芯(3)の被巻回部(32)と棒材(31)との取付を高熱伝導性接着剤によって行うことによって、被巻回部(32)と棒材(31)との間の熱伝導を効率良く行うことができる。
【0038】
《発明の実施形態2》
続いて、本発明の実施形態2に係るフィルムコンデンサモジュール(201)について説明する。このフィルムコンデンサモジュール(201)は、巻芯(203)が、ヒートパイプ(231)を含んで構成されている点で、棒材(31)を含んで構成された実施形態1と異なる。すなわち、巻芯(203)は、少なくともヒートパイプ(231)を含んで構成され、前記金属化フィルム(21)は、前記ヒートパイプ(231)に巻回されると共に、前記ヒートパイプ(231)は、バスバー(51)に熱的に接合されている。そこで、実施形態1と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。
【0039】
詳しくは、フィルムコンデンサモジュール(201)は、図3に示すように、複数のコンデンサ素子(2,2,2)と、コンデンサ素子(2,2,2)が巻回される巻芯(203)と、各コンデンサ素子(2)に設けられた2つのメタリコン電極(41,42)と、メタリコン電極(41,…,42,…)に電気的に接続されたバスバー(51,52)と、該コンデンサ素子(2,2,2)、巻芯(203)、メタリコン電極(41,…,42,…)及びバスバー(51,52)とを封止するための封止樹脂(6)とを備えており、基本的な構成は、実施形態1に係るフィルムコンデンサモジュール(1)と同様である。
【0040】
そして、前記巻芯(203)は、実施形態1に係る巻芯(3)と異なり、1本のヒートパイプ(231)と、該ヒートパイプ(231)におけるコンデンサ素子(2)が巻回される部分に設けられた被巻回部(32)とを有している。
【0041】
前記ヒートパイプ(231)は、金属製の中空状の棒部材で構成されていて、その中空部に作動流体が密封されている。このヒートパイプ(231)は、該作動流体の相変態と移動とにより熱の移送を行う。勿論、ヒートパイプ(231)を構成する棒部材による熱伝導によっても熱は移動するが、ヒートパイプ(231)は主に作動流体によって熱を移送する。ヒートパイプ(231)は、直線状に延びて3つのコンデンサ素子(2,2,2)が巻回される直線部(231a)と、直線部(231a)から屈曲して延びてプラス側バスバー(51)に熱的に接合される接合部(231b)とを有している。接合部(231b)は、はんだ付け、ろう付け又はネジ止め等によってプラス側バスバー(51)に熱的に接合されている。
【0042】
つまり、実施形態2においては、コンデンサ素子(2,2,2)で熱が発生すると、その熱は被巻回部(32,32,32)からヒートパイプ(231)に伝導し、ヒートパイプ(231)内部の液層状態の作動流体を蒸発させる。蒸発した作動流体は対流によって接合部(231b)へ移動する。接合部(231b)の先端部では、プラス側バスバー(51)に放熱されるため、気相状態となっていた作動流体が冷却されて再び液層状態に戻る。このように、作動流体の相変態や移動によってコンデンサ素子(2,2,2)で発生した熱がプラス側バスバー(51)に放熱される。
【0043】
したがって、実施形態2によれば、実施形態1と同様に、コンデンサ素子(2,2,2)が発する熱を、巻芯(203)を介してプラス側バスバー(51)へ伝導させることができる。ここで、巻芯(203)の設置場所は、コンデンサ素子(2)における最も内方の場所であり、コンデンサ素子(2)から発生した熱がこもりやすい、即ち、比較的高温になり易い場所である。つまり、この高温になり易い場所から巻芯(203)を介して放熱することによって、効率良く放熱することができる。
【0044】
また、プラス側バスバー(51)は、リード線等と比較して、断面積が大きく且つ表面積も大きいため、熱抵抗が小さく、プラス側バスバー(51)に伝わった熱を容易に放熱することができる。さらに、本実施形態においては、プラス側バスバー(51)を単なる平板状に形成するのではなく、本体部(51a)の幅方向両端部を折り曲げて放熱部(51c,51c)を設けることによって、プラス側バスバー(51)の放熱面積を拡大させ、プラス側バスバー(51)における放熱をさらに容易なものにすることができる。
【0045】
さらに、巻芯(203)をヒートパイプ(231)を含んで構成し、該ヒートパイプ(231)をプラス側バスバー(51)に熱的に接合することによって、巻芯(203)とバスバー(51)とが接していない又は封止樹脂を介して接している構成と比較して、コンデンサ素子(2)からバスバー(51)までの間の熱抵抗を低減させることができ、コンデンサ素子(2)で発生した熱をヒートパイプ(231)を介してバスバー(51)まで効率良く伝導させることができる。
【0046】
さらに、巻芯(203)の被巻回部(32)と棒材(231)との取付を高熱伝導性接着剤によって行うことによって、被巻回部(32)と棒材(231)との間の熱伝導を効率良く行うことができる。
【0047】
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態1,2について、以下のような構成としてもよい。
【0048】
すなわち、前記実施形態1,2はコンデンサ素子(2)を3つ備えているが、これに限られるものではない。例えば、1つでもよく、2つあるいは4つ以上であってもよい。
【0049】
また、フィルムコンデンサモジュールは前記の構成に限られるものではなく、巻芯に金属化フィルムを巻回して構成されるフィルムコンデンサモジュールであれば、任意の構成のフィルムコンデンサモジュールを採用することができる。
【0050】
さらに、実施形態1,2では、プラス側バスバー(51)の本体部(51a)の幅方向両端部を折り曲げて2つの放熱部(51c,51c)を構成していたが、これに限られるものではない。例えば、図4に示すように、本体部(51a)の幅方向中央部において該本体部(51a)を折り曲げて立設させた放熱部(351c)を設けたプラス側バスバー(351)を採用してもよいし、本体部(51a)の幅方向中央部に別体の放熱部(451c)を立設させて状態で溶接等によって接合させたプラス側バスバー(451)を採用してもよい。あるいは、本体部(51a)を、該本体部(51a)を屈曲させて立設させた放熱部(551c,551c,…)が本体部(51a)の長手方向に複数並ぶように構成したプラス側バスバー(551)を採用してもよい。また、図示は省略するが、該放熱部(551c,551c,…)を、別体で構成して本体部(51a)に溶接等によって接合させてもよい。
【0051】
さらに、実施形態1,2では、巻芯(3(203))を、プラス側バスバー(51)に熱的に接合しているが、これに限られず、マイナス側バスバー(52)に熱的に接続してもよい。かかる場合には、マイナス側バスバー(52)に前記放熱部を設けることが好ましい。
【0052】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上説明したように、本発明は、巻芯に金属化フィルムが巻回されてなるコンデンサ素子を備えたフィルムコンデンサモジュールにおける効率的な放熱について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態1に係るフィルムコンデンサモジュールの模式的な断面図である。
【図2】バスバーの横断面図である。
【図3】実施形態2に係るフィルムコンデンサモジュールの模式的な断面図である。
【図4】その他の実施形態に係るバスバーの横断面図である。
【図5】その他の実施形態に係る別のバスバーの横断面図である。
【図6】その他の実施形態に係るさらに別のバスバーの縦断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1,201 フィルムコンデンサモジュール
2 コンデンサ素子
21 金属化フィルム
3,203 巻芯
31 棒材
231 ヒートパイプ
51,52 バスバー
51c 放熱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯(3)に金属化フィルム(21)が巻回されてなるコンデンサ素子(2)を備えたフィルムコンデンサモジュールであって、
前記コンデンサ素子(2)に電気的に接続されたバスバー(51)をさらに備え、
前記巻芯(3)は、バスバー(51)に熱的に接合されていることを特徴とするフィルムコンデンサモジュール。
【請求項2】
請求項1において、
前記巻芯(3)は、少なくとも金属製の棒材(31)を含んで構成され、
前記金属化フィルム(21)は、前記棒材(31)に巻回されると共に、
前記棒材(31)は、バスバー(51)に熱的に接合されていることを特徴とするフィルムコンデンサモジュール。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記バスバー(51)には、放熱部(51c)が設けられていることを特徴とするフィルムコンデンサモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−311252(P2008−311252A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154738(P2007−154738)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】