説明

フィルム外装電気デバイス集合体

【課題】電池の異常により放出されたガスが冷却風の供給経路を逆流して不具合が生じるのを防ぐ。
【解決手段】電池モジュール13群の下側には、各電池モジュール13内に収容されたセルケースのガス導出口が接続される一つの排ガス通路16が形成されている。排ガス通路16の一端部は閉鎖され、反対側の端部は電池パック1の外側に排ガス出口17によって解放されている。電池モジュール13群の下側には、冷却通路18が排ガス通路16を囲むように存在している。冷却通路18の電装ボックス15側の端部は冷却風入口19を形成している。この冷却風入口19には逆止弁20が配置されている。電池モジュール13群とこれに隣接する電装ボックス15の上面には冷却通路21が形成され、冷却通路18に対し連通するとともに、電装ボックス15の上側端面にて開口する冷却風出口22と連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケース内に複数のフィルム外装電気デバイスを収容配置したフィルム外装電気デバイス集合体に関し、特にフィルム外装電気デバイス集合体内の冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境問題から電気自動車やハイブリット車に期待が高まり、その電源としての二次電池に関して、小型・軽量化と共に高容量化・高出力化が望まれており、単電池をケース内にて複数個接続した状態の組電池(電池パックとも呼ばれる場合がある。)が用いられている。このような組電池では、各電池を冷却するため、ケース内に車室内からの冷却風を導入するようにしたものが特許文献1にて知られている。
【0003】
この特許文献1の組電池内の冷却構造について図12を参照して説明すると、複数の電池171がケース172内に各電池171間に適当な通風隙間を形成するピッチ間隔で並列された状態で配置されている。また、ケース172内に電池171の列の両側部に冷却風路173、174が形成されるとともに、冷却風路173の一端に開口する冷却風入口175と冷却風路174の他端に開口する冷却風出口176とがケース172に形成されている。
【0004】
そして、このケース172がバッテリボックス(不図示)に収納固定されるとともにバッテリボックスには冷却風入口175に対応する位置にファンが設けられている。このファンから送風された冷却風が冷却風入口175からバッテリボックスのケース内の冷却風路に流れ込み、各電池171間の通風隙間を通り、他の冷却風路を経て冷却風出口から排出されることによって、各電池171が冷却風Wにて冷却されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平13−319697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の組電池を電気自動車やハイブリッド車に搭載する場合には、通常車室内より取り込んだ空気を冷却風としてケース内に導入し、冷却して昇温した冷却風を車外に排出するように構成されるため、電池に異常が発生してケース内にガスが放出されると、ファンが停止している状態ではケース内に放出されたガスが車室内に逆流してしまうという問題があった。
【0007】
また、従来のケース形状の場合、フィルム外装電池のガス排出部を囲むようにガス排出口が形成されているものの、ガス排出口は、ケースを重ねて組電池化した際にフィルム外装電池間にて通風隙間(冷却通路)となる開口部と連通している。このため、電池の異常でガスが発生したとき、ケースに設けられたガス排出口を通じて上記の排ガス通路にガスが速やかに排出されないと、上記の冷却通路である開口部に漏れ出ることがある。この冷却通路は車室内に繋がっているため、ここにガスが侵入すると、ガスが車室内に逆流してしまい、人体へ悪影響を及ぼす恐れがある。
【0008】
また、噴出したガスは噴出直後の温度は300〜400℃にも達し、このまま外部に放出するのは非常に危険である。よって、冷却した後にケース外部に放出することが望まれる。また、ガスが高速、高圧で噴出すると非常に危険である。しかしながら、不慮の故障に対応させるためにのみ冷却機構等を設けるとなると、部品点数の増加および重量増加を招くこととなり、軽量化が求められる電気自動車用には不向きなものとなる。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、電池の異常により放出されたガス(発煙物)が冷却風の供給経路を逆流して不具合の発生を簡単な構造で防止し、また、排出ガスの温度を低下させ、かつガスの噴出速度、圧力を低減させることが可能なフィルム外装電気デバイス集合体(例えば電池パック)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のフィルム外装電気デバイス集合体は、複数のフィルム外装電気デバイスをケース内に配列して収容するとともに、該ケース内に冷却通路を有するフィルム外装電気デバイス集合体において、電装部品を集約して収容する電装ボックスがフィルム外装電気デバイス群に隣接してケース内に配置され、電装ボックス上に冷却通路を有する。
【0011】
また、本発明に係る他のフィルム外装電気デバイス集合体は、複数のフィルム外装電気デバイスをケース内に配列して収容するとともに、該ケース内に冷却通路を有するフィルム外装電気デバイス集合体において、冷却通路の入口からケースの外側への冷却風の流れを規制する規制手段が入口に設けられている。
【0012】
このような構成では、フィルム外装電気デバイスの異常によってフィルム外装電気デバイスから発生したガスは、ガス排出口を通じて排ガス通路に排出され、排ガス出口により車室外へと排出することができる。このとき、排ガス通路に排出されたガスが冷却通路に浸入した場合でも、ケース外側への冷却風の流れを規制する規制手段が冷却風入口に設けられているのでガスは車室内に漏れ出ることはなく、冷却風とともに冷却通路の出口を通じて車室外に導くことができる。
【0013】
また、本発明に係る他のフィルム外装電気デバイス集合体は、複数のフィルム外装電気デバイスをケース内に配列して収容するとともに、該ケース内に冷却通路を有するフィルム外装電気デバイス集合体において、フィルム外装電気デバイスの各々にガスを排出するガス排出口が設けられ、ガス排出口の各々に連通する排ガス通路が冷却通路内に形成され、排ガス通路の、ケースの外側に開放された一端には、流路断面積が拡大された拡大領域が形成されている。
【0014】
この場合、何らかの原因で高温のガスを排出した破損したフィルム外装デバイスとそうでない正常なフィルム外装デバイスとが並列配置されており、排ガス通路はいずれのガス排出口にも対応するように設けられている。そうすると、排出された高温ガスが他の正常なフィルム外装デバイスに対して悪影響を及ぼすことが懸念される。しかしながら、本構成の場合、排ガス通路の他端側、すなわち、解放端側に拡大領域に形成している。つまり、拡大領域までは流路断面積を小さくすることでガス流速を高め、ガスを他端側まで移動させる。これにより、他の正常なフィルム外装デバイスに対して悪影響を及ぼすことなくガスを他端近傍に形成された拡張領域までガスを高速度で移動させることができる。高速移動時においてもガスは排ガス通路の壁面から冷却路へと放熱しながら温度は低下していくが拡大領域においては流速が低減されるとともに管壁面が拡大するので放熱面積が増大し、より好適な放熱特性を得ることができる。これにより排ガス通路の解放端からガス温度が低減された温度のガスが排出されることとなる。さらには、流路断面が変化することにより流れの損失が発生し、ガス流の減速減圧を図ることができる。
【0015】
また、本発明のフィルム外装デバイス集合体の排ガス通路は、その底面がケースの底部カバーに接触しているものであってもよい。この場合、排ガス通路内を流れるガスの熱は排ガス通路の底面および底部カバーを介して外部へと放熱させることができる。
【0016】
また、本発明のフィルム外装デバイス集合体の排ガス通路は、ケースの底部カバーに排ガス通路および冷却通路が一体的に形成されているものであってもよい。この場合、部品点数を少なくすることができるだけでなく、排ガス通路内のガスの熱を冷却通路側のみならず、直接的にケース外部へと放熱することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、フィルム外装電気デバイスの異常時に放出されたガスを確実に排出できるとともに、放出ガスの車室内への逆流を防止できる。また、簡単な構造で排出ガスの温度を低下させ、かつガスの噴出速度を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態によるフィルム外装電気デバイス集合体の外観斜視図である。
【図2】図1のフィルム外装電気デバイス集合体の上部カバーを開けた状態の斜視図である。
【図3】図1のセルケースの斜視図である。
【図4】図3のフィルム外装電池の斜視図である。
【図5】(a)はX−X'線断面図、(b)は図1のY−Y'線断面図である。
【図6】図2の電装ボックス及びこの周辺構造の分解斜視図である。
【図7】図1のフィルム外装電気デバイス集合体の分解斜視図である。
【図8】排ガス通路の平面図および側面図である。
【図9】ニップルが設けられた端面カバー側から見たフィルム外装電気デバイス集合体の分解斜視図である。
【図10】端面カバーに設けられたニップルと排ガス通路との位置関係を示す側面図である。
【図11】排ガス通路が一体的に形成された底部カバーの一例の斜視図である。
【図12】従来の組電池内の冷却構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施形態によるフィルム外装電気デバイス集合体の外観斜視図、図2は図1のフィルム外装電気デバイス集合体の上部カバーを開けた状態の斜視図である。図3は図2のセルケースの斜視図である。
【0021】
本実施形態のフィルム外装電気デバイスは、図1及び2に示すように、上部カバー11aと底部カバー11bで構成された直方体状のケース11内に、複数のセルケース12を積層させて収容配置した複数のデバイスモジュールである電池モジュール13をセルケース12の積層方向と同方向に並列配置するとともに、一端側においてヒューズやリレー類などの電装部品を収納する電装ボックス15を電池モジュール13に隣接配置した電池パック1である。
【0022】
本実施形態では電池パック1の各電池モジュール13は8個、各電池モジュール13内に収容したセルケース12は12個用いられている。
【0023】
各セルケース12はフィルム外装電気デバイスであるフィルム外装電池14の外周面を両側から挟んで保持するものであり、セルケース12を積層した状態でフィルム外装電池14が互いに適当な隙間が開くような形状になっている(図3)。
【0024】
ここで、フィルム外装電池14の構成を説明する。図4は本実施形態のフィルム外装電池の斜視図である。
【0025】
フィルム外装電池14は、図4に示すように、不図示の正極側活電極、負極側活電極、および電解液を有する発電要素141と、アルミニウムなどの金属フィルムと熱融着性の樹脂フィルムを重ね合わせて形成したラミネートフィルム142とを熱融着部142aの4辺で熱融着して密封した構造を有している。
【0026】
フィルム外装電池14の発電要素141は、不図示のセパレータを介して積層された正極側活電極と負極側活電極とからなる積層型であってもよいし、あるいは、帯状の正極側活電極と負極側活電極とをセパレータを介して重ねこれを捲回した後、扁平状に圧縮することによって正極側活電極と負極側活電極とが交互に積層された構造の捲回型であってもよい。
【0027】
また、発電要素141としては、正極、負極および電解質を含むものであれば、通常の電池に用いられる任意の発電要素が適用可能である。一般的なリチウムイオン二次電池における発電要素は、リチウム・マンガン複合酸化物、コバルト酸リチウム等の正極活物質をアルミニウム箔などの両面に塗布した正極板と、リチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料を銅箔などの両面に塗布した負極板とを、セパレータを介して対向させ、それにリチウム塩を含む電解液を含浸させて形成される。発電要素141としては、この他に、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウムメタル一次電池あるいは二次電池、リチウムポリマー電池等、他の種類の化学電池の発電要素が挙げられる。さらに、本発明は、電気二重層キャパシタなどのキャパシタや電解コンデンサなどに例示されるキャパシタ要素のような、電気エネルギを内部に蓄積し化学反応または物理反応でガスが発生しうる電気デバイス要素を外装フィルムで封止した電気デバイスにも適用可能である。
【0028】
フィルム外装電池14の短手方向の熱融着部142aからは、正極側活電極に接続された正極用電極端子143および負極側活電極に接続された負極用電極端子144がそれぞれ対向して延出している。正極用電極端子143としてはアルミニウムが多く用いられ、また、負極用電極端子144としては銅またはニッケルがその電気的特性により多く用いられている。
【0029】
フィルム外装電池14の長手方向2辺の熱融着部142aのうち1辺の中央部には、フィルム外装電池14の異常時に内部に発生したガスを排出するためのガス排出部145が設けられている。
【0030】
図3に示されるように、フィルム外装電池14を保持するセルケース12にはフィルム外装電池14から放出されたガスを導出するガス導出口121が設けられており、その位置は上記フィルム外装電池14のガス排出部145に対応している。なお、ケース11内においてはセルケース12がガス導出口121を底部カバー11b側に向けて並べられ、そのガス導出口121が、底部カバー11b側に形成された排ガス通路(図5の符号16参照)に接続されるようになっている。
【0031】
次に、電池パック1内の冷却構造について説明する。
【0032】
図5(a)は上記の排ガス通路を通るように図1のX−X'線に沿って切断した断面図であり、図5(b)は図1又は図5(a)のY−Y'線に沿ってセルケース間を切断した断面図である。なお、図5(a)では、セルケース12を省略してある。
【0033】
図5(a)を参照すると、8個の電池モジュール13がフィルム外装電池14の積層方向と同方向に並んで配置され、電池パック1の一端側において電装ボックス15が電池モジュール13に隣接配置されている。8個並んだ電池モジュール13群の下側には、各電池モジュール13内に収容されたセルケース12のガス導出口121を繋ぐ一つの排ガス通路16が形成されている。排ガス通路16の電装ボックス15側の端部は閉鎖されており、反対側の端部は電池パック1の外側に排ガス出口17によって開放されている。この排ガス出口17はホースなどで車室外へと案内されている。
【0034】
さらに、電池モジュール13群の下側には、ケース11の底部カバー11bに電池モジュール13を組み付けることによって形成された冷却通路18が排ガス通路16を囲むように存在している。なお、排ガス通路16は冷却通路18に対しては完全に区画されている。また、冷却通路18の電装ボックス15側の端部は、車室内より取り込んだ空気を冷却風としてケース11内に導入するための冷却風入口19を形成している。この冷却風入口19には、冷却通路18からケース11外へと冷却風が逆流することを防止する逆止弁20が配置されている。
【0035】
複数の並んだ電池モジュール13群とこれに隣接する電装ボックス15の上面は電池パック長手方向に連続した窪み部を形成しており(図2参照)、これらの上面に上部カバー11aを組み付けた際に冷却通路21が形成されるようになっている。この冷却通路21は電池モジュール13の下側の冷却通路18に対しフィルム外装電池14間の隙間を介して連通するとともに、電装ボックス15の上側端面にて開口する冷却風出口22と連通している。
【0036】
図5中矢印で示すように電装ボックス15の冷却風入口19からケース内に入った冷却風は、逆止弁20を通ってケース下側の冷却通路18に流れ込み、各電池モジュール13のフィルム外装電池14間の隙間を通り、ケース上側の冷却通路21を経て冷却風出口22から車室外へと排出され、これにより各フィルム外装電池14が冷却される。このとき、冷却風が電装ボックス15の底面を通ってケース下側の冷却通路18に導入されるとともに、ケース上側の冷却通路21が電装ボックス15の上面に沿って形成されているため、電装ボックス15内のヒューズやリレー類についても冷却できる。
【0037】
また、仮にフィルム外装電池14の異常によってフィルム外装電池14のガス排出部145からガスが発生したとしても、そのガスはセルケース12のガス導出口121を通じて排ガス通路16に排出され、排ガス出口17により車室外へと排出される。このとき、排ガス通路16に排出されたガスが冷却通路18に浸入した場合でも、冷却風入口19に逆止弁20が設けられているのでガスは車室内に漏れ出ることはなく、冷却風とともに冷却風出口22を通じて車室外に導くことができる。
【0038】
次に、電装ボックスについて説明する。図6は図2の電装ボックス及びこの周辺構造の分解斜視図である。
【0039】
図6に示すように、電池モジュール13に隣接配置される電装ボックス15の内部にはメインリレー、ヒューズ、電流センサなどの電装部品23が集約して収納される。電装ボックス15の材質は電装部品23との電気的な絶縁を図るために樹脂を使用している。樹脂を使用することで、上述したような冷却風入口19の形成や、電装ボックス15の上面となる上蓋15aに冷却通路21の窪みを形成することが成型によって容易である。さらに、電池モジュール13と隣接するように電装ボックス15を配置したことで、電池モジュール13と電装ボックス15の上面どうしを連続させて冷却通路21を形成することが可能である。また、複数の電池モジュール13群の一端に電装ボックス15を配置して一体化したことにより、電池パック1の組み立て作業性が向上する。
【0040】
次に、フィルム外装電気デバイス集合体の分解斜視図を図7に示す。なお、図7は、図1の矢印A方向から見た斜視図であり、また、電装ボックス15は省略している。
【0041】
並列配置された電池モジュール13はモジュール保持体71によって両側面で保持され、ゴムシート70を介して底部カバー11b上に搭載される。
【0042】
電池モジュール13と底部カバー11bとの間であってセルケース12に形成されたガス導出口121に対応する位置には排ガス通路16が配置されている。図8(a)に排ガス通路の平面図、図8(b)にその側面図を示す。
【0043】
排ガス通路16は、ガス導出口121から導出されたガスを電池パック1外へと排出するための通路であり、一枚の板金で形成されている。フランジ部53を備えた断面がコ字形状の長尺部材である。すなわち、排ガス通路16は、底面52の両側から立ち上がった側面52と、一端から立ち上がった奥壁面55と、これら側面52および奥壁面55を折り曲げて形成したフランジ部53とを有し、奥壁面55に対する他端側には開口部56が形成され、フランジ部53には、セルケース12に取り付けるための取付孔54が所定の間隔を空けて複数形成されている。また、開口部56近傍の底面52はテーパ形状に広がった拡張領域57が形成されている。本実施形態では側面52間の間隔が奥壁面55から開口部56まで等間隔とし、拡張領域57の底面52を傾斜させることで拡張領域57を形成した例を示している。
【0044】
排ガス通路16は、電装ボックス15と反対側に取り付けられる端面カバー11c側に開口部56が位置するようにし、かつセルケース12のガス導出口121に対応するようにしてセルケース12に取り付けられる。取り付けは取付孔54を用いてネジ止めにより行う。なお、セルケース12に対する排ガス通路16の固定は接着剤を用いて接着固定するものであってもよい。また、本実施形態では、フランジ部53とセルケース12との隙間からガスが冷却通路18側へと漏洩しないようにするため、フランジ部53にシール材を塗布している。
【0045】
開口部56における排ガス通路16の高さ寸法は図9、図10(a)および図10(b)に示す端面カバー11cに取り付けられたニップル60の口径よりも大きい。すなわち、ガス導出口121から排出されたガスが排ガス通路16を通り、開口部56を介してニップル60内へと流れ込むようにしている。本実施形態ではニップル60が2本並列して設けられている。開口部56の流路断面形状は概ね矩形であるのに対し、ニップル60は円形のものを用い、流路断面形状が急激に変化するようにし、管路抵抗が増大する構成としている。さらに、ニップル60は不図示のホースあるいはパイプに接続されている。
【0046】
セルケース12のガス導出口121から排出されたガスは排ガス通路16内を図5(a)中破線で示す方向に流れる。図5(a)は排ガス出口17(ニップル60)から最も離れた位置のガス導出口121からガスが排出された例を示している。ガス導出口121から導出されたガスは300〜400℃の高温ガスであり、外部に排出する場合、安全のため冷却し、温度を低下させてから排出する必要がある。本実施形態の排ガス通路16は、図10(a)および図10(b)に示すように冷却通路18内に配置されていること、また、金属板からなることより、ガス温度を好適に低下させることができる。また、排ガス通路16はセルケース12等の熱による損傷を最小限にするため、高温のガスをできるだけ迅速に外部に排出することが望ましい。よって、排ガス通路16内のガス流速を高めるべく、排ガス通路16の流路断面積はある程度小さくしておくことが好ましい。
【0047】
一方、流速が過度に上昇すると、冷却通路18内を流れる冷却風との熱交換に要する時間が短すぎることとなり、ガス温度を下げることができない。そこで本実施形態では奥壁面55から拡張領域57までは流路断面積を小さくして流速を高めることで排出ガスをニップル60近傍まで短時間で移動させ、拡張領域57にて流路断面積を拡大して流速を低減させることで熱交換のための時間を稼ぎ、温度を低下させたガスをニップル60に接続されたパイプ内へと流し込ませる構成としている。
【0048】
また、ガスが矩形断面の排ガス通路16から円形断面のニップル60内へと流れ込む際、急激な断面形状の変化による圧力損失を生じることで流速および圧力が低下した後、外部に排出される。これにより高速、高圧のガスが外部に噴出するのを防止することができる。さらには本実施形態は上述したようにニップル60に不図示のパイプやホースを接続するため、ガスはこれら管内でさらに減速、減圧されてから大気中に放出されることとなる。
【0049】
なお、排ガス通路16を流れるガスの熱が排ガス通路16を介して冷却通路18を流れる冷却風の温度を上昇させることとなるが、排ガス通路16内をガスが通過する状況においてはフィルム外装電池14が破損した状況にあり、それ以降フィルム外装電気デバイス集合体を機能させる必要はないので通常の使用における冷却の問題はない。
【0050】
また、本実施形態ではガスが排ガス通路16外に漏洩しないようにするため、フランジ部53にシール材を塗布するものであってもよい。この他、接着剤を用いて接着固定するものであってもよい。
【0051】
また、本実施形態では、上述したように、フランジ部53とセルケース12との隙間からガスが冷却通路18側へと漏洩しないようにするためフランジ部53にシール材を塗布しているが、仮にガスが冷却通路18側へと漏洩した場合であっても高温のガスが冷却ファンを損傷することはない。すなわち、本実施形態は図示していないが、冷却ファンは逆止弁20の外部に設けられ、冷却風を逆止弁20を介して冷却通路18内へと押込む方式であるため、冷却ファンから遠ざかる方へと高温のガスは流れることとなり、よって高温のガスが冷却ファンに当たることで損傷するといったことはない。
【0052】
なお、本実施形態の排ガス通路16は図10(a)および図10(b)に示すように、底部カバー11bと間隔を空けて設置されているが、これに限定されるものではない。すなわち、排ガス通路16の底面51と底部カバー11bとを接触させることで、ガスの熱を冷却通路18内を流れる冷却風に放熱するだけでなく底部カバー11bに伝熱させて底部カバー11bから外気に放熱させるものであってもよい。この場合、拡大領域57に対応する底部カバー11bの部分は拡大領域57に合せた逃げ、あるいは拡大領域57に沿った形状としておく。
【0053】
さらに、底部カバーに排ガス通路を一体的に設ける構成としてもよい。すなわち、図11に示す底部カバー11b1には冷却通路18の間に排ガス通路16が一体的に形成されている。この構成の場合、ガスの熱が外気に直接的に放熱されるとともに部品点数を少なくすることができる。
【0054】
本実施形態で示した拡大領域57は流路断面積が除々に拡大するものを一例に説明したが、拡大領域57で急激に流路断面が拡大するように段差形状とするものであってもよい。さらに、拡大領域57内に、例えば突起物を設けてもよい。すなわち、急激に管路形状を変化させる、あるいは突起物の存在によりガス流に渦を発生させて流速を低減させるとともに通路壁に接触するガスの量を増大させ放熱特性を向上させるような構造としてもよい。
【0055】
また、排ガス通路16の外側に公知のフィンを設けてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 電池パック(フィルム外装電気デバイス集合体)
11 ケース
11a 上部カバー
11b 底部カバー
11c 端面カバー
12 セルケース
121 ガス導出口
13 電池モジュール(デバイスモジュール)
14 フィルム外装電池(フィルム外装電気デバイス)
141 発電要素
142 ラミネートフィルム
143 正極用電極端子
144 負極用電極端子
145 ガス排出部
15 電装ボックス
15a 上蓋
16 排ガス通路
17 排ガス出口
18、21 冷却通路
19 冷却風入口
20 逆止弁
22 冷却風出口
23 電装部品
51 底面
52 側面
52 底面
53 フランジ部
54 取付孔
55 奥壁面
56 開口部
57 拡張領域
60 ニップル
70 ゴムシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフィルム外装電気デバイスをケース内に配列して収容するとともに、該ケース内に冷却通路を有するフィルム外装電気デバイス集合体において、
電装部品を集約して収容する電装ボックスがフィルム外装電気デバイス群に隣接して前記ケース内に配置され、前記電装ボックス上に前記冷却通路を有するフィルム外装電気デバイス集合体。
【請求項2】
複数のフィルム外装電気デバイスをケース内に配列して収容するとともに、該ケース内に冷却通路を有するフィルム外装電気デバイス集合体において、
前記冷却通路の入口から前記ケースの外側への冷却風の流れを規制する規制手段が前記入口に設けられているフィルム外装電気デバイス集合体。
【請求項3】
前記規制手段が逆止弁である請求項2に記載のフィルム外装電気デバイス集合体。
【請求項4】
複数のフィルム外装電気デバイスをケース内に配列して収容するとともに、該ケース内に冷却通路を有するフィルム外装電気デバイス集合体において、
前記フィルム外装電気デバイスの各々にガスを排出するガス排出口が設けられ、該ガス排出口の各々に連通する排ガス通路が前記冷却通路内に形成され、前記排ガス通路の、前記ケースの外側に開放された一端には、流路断面積が拡大された拡大領域が形成されているフィルム外装電気デバイス集合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−104499(P2012−104499A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−2243(P2012−2243)
【出願日】平成24年1月10日(2012.1.10)
【分割の表示】特願2005−204359(P2005−204359)の分割
【原出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】