説明

フィルム構造体の形成方法及びフィルム構造体

【課題】大面積かつ軽量であり、ナノサイズ程度の微細凹凸も可能な凹凸パターンを有するフィルム構造体及びその形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】モールド3の凹凸パターン4をフィルム10の表面に転写して凹凸パターンを形成するフィルム構造体20の形成方法であって、モールド3の凹凸パターン4又はその近傍、もしくはフィルム10の表面又はその近傍に、選択的に光を吸収する光吸収層5を設け、フィルム10をモールド3と加圧手段2との間に配置し、加圧手段2を加圧した状態で光Lを照射して、モールド2の表面の温度を上昇せしめ、フィルム10の表面に凹凸パターンを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスティックなどより成るフィルム上に、微細構造、特にナノサイズの凹凸構造を比較的大面積にわたって作製するのに好適なフィルム構造体の形成方法及びフィルム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
石英基板やSi基板上に、ナノサイズの凹凸構造を形成するにあたって、ナノサイズのパターンを有するモールド(型)を利用して凹凸構造を転写形成するいわゆるナノインプリント法が近年着目されており、この技術を半導体装置や光学装置、印刷物などへ応用する方法が各種提案されている。
例えば、Si基板上に薄いプラスティック膜を成膜し、プラスティックのガラス転移点以上の温度にこのSi基板を加熱してナノサイズのパターンを有するモールドを高い圧力で押し当て、モールドの反転パターンを転写する方法が提案されている(例えば非特許文献1参照。)。
【0003】
また、Si基板上にプラスティックフィルムを成膜し、ナノサイズのパターンを有するモールドを押し当て、その状態で紫外線レーザを照射しモールドの反転パターンを転写する手法も報告されている(例えば非特許文献2参照。)。
【非特許文献1】S. Y. Chou, P. R. Krauss, and P. J. Renstrom, Applied Physics Letters, Vol.67, No.21, pp3114-3116,(1995)
【非特許文献2】Q.Xia, C.Keimel, H.Ge, Z.Yu, W.Wu, and S.Y.Chou, Applied Physics Letters, Vol.83, No.21, pp4417-4419,(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、特徴のある新規デバイスを提供するという利点を有していたものの、それぞれに課題を残していた。例えば、上記非特許文献1に記載のナノインプリント法は、数nm程度のパターンも転写できる優れた手法であるが、硬い基板上に薄いプラスティックフィルム層を成膜した構成であるため、大面積に適用できない。また、大面積では基板の重量を無視できないという欠点がある。
【0005】
また、上記非特許文献2に記載の方法では、紫外線レーザを短時間照射することでモールドとSi基板の加熱時間を短縮し、モールド(この場合は石英基板)とSi基板の熱膨張率の差を無視できるようにしたことに優位性がある。また、プロセスに要する時間が短縮でき、モールドに石英基板を用いているためSi基板上のパターンとの合わせ精度も取れるという利点もある。
ところが、この方法による場合においても、これを大面積化することは容易ではない。大面積Si基板を用いることは、大面積Si基板の取り扱い、搬送からして困難であり、現在のLSIプロセスでも直径300nm程度のSi基板が限界である。仮に、Si基板から液晶デバイス向けの大型ガラス基板を用いることにしても、大面積になると基板の重量が無視できなくなり、作製したデバイスの重量の大部分をこの基板が占めるようになってしまい種々の制約が生じる点はSi基板の場合と同様である。
【0006】
そこで本発明は、技術的工夫により簡単な工程で上記課題を解決する技術を提供し、大面積かつ軽量であり、ナノサイズ程度の微細凹凸も可能な凹凸パターンを有するフィルム構造体及びその形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明によるフィルム構造体の形成方法は、モールドの凹凸パターンをフィルムの表面に転写して凹凸パターンを形成するフィルム構造体の形成方法であって、モールドの凹凸パターン又はその近傍、もしくはフィルムの表面又はその近傍に、選択的に光を吸収する光吸収層を設け、フィルムをモールドと加圧手段との間に配置し、加圧手段を加圧した状態で光を照射して、モールドの表面の温度を上昇せしめ、フィルムの表面に凹凸パターンを形成することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上述のフィルム構造体の形成方法において、モールドが薄膜モールドとされ、この薄膜モールドをローラーの表面に設けて、ローラー及び加圧手段との間にフィルムを配置して、モールドの凹凸パターンをフィルムの表面に転写形成することを特徴とする。
【0009】
更に、本発明は、上述のフィルム構造体の形成方法において、フィルムの表面に、少なくとも光吸収層及びフィルム薄膜をこの順に形成し、モールドの凹凸パターンをフィルム薄膜に転写形成して、フィルムの表面のフィルム薄膜に凹凸パターンを形成することを特徴とする。
また、本発明は、上述のフィルム構造体の形成方法において、フィルムの表面と光吸収層との間に材料層を設け、フィルム薄膜に形成した凹凸パターンをマスクとしたエッチングにより光吸収層に凹凸パターンを形成し、光吸収層に形成した凹凸パターンをマスクとしたエッチングにより材料層に凹凸パターンを転写形成することを特徴とする。
【0010】
更に、本発明は、上述のフィルム構造体の形成方法において、凹凸パターンを、モールド上に形成した光吸収層に形成することを特徴とする。
また、本発明は、上述のフィルム構造体の形成方法において、モールドに設ける光吸収層として、Siを用いることを特徴とする。
更に、本発明は、上述のフィルム構造体の形成方法において、光吸収層及びフィルムに照射する光として、エキシマーレーザを用いることを特徴とする。
また、本発明によるフィルム構造体は、フィルム上に、このフィルムとは異なる材料より成る材料層が形成され、この材料層又は材料層上に形成された他の材料層に、凹凸パターンが形成されて成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上述したように、本発明によるフィルム構造体の形成方法においては、モールドの凹凸パターン又はその近傍、もしくはフィルムの表面又はその近傍に、選択的に光を吸収する光吸収層を設け、フィルムをモールドと加圧手段との間に配置し、加圧手段を加圧した状態で光を照射して、モールドの表面の温度を上昇せしめ、フィルムの表面に凹凸パターンを形成することから、フィルム単体に対するナノサイズ程度の凹凸パターンを容易に形成することができる。したがって、大面積への凹凸パターン形成が容易となり、簡単な工程で大面積化が可能となる。
【0012】
また、モールドを薄膜モールドとしてローラーの表面に設けて、このローラー及び加圧手段との間にフィルムを配置して、モールドの凹凸パターンをフィルムの表面に転写形成することによって、より容易に凹凸パターンを有するフィルム構造体の大面積化が容易になる。
【0013】
更に、本発明において、フィルムの表面に少なくとも光吸収層及びフィルム薄膜をこの順に形成し、モールドの凹凸パターンをフィルム薄膜に転写形成して、フィルム表面のフィルム薄膜に凹凸パターンを有するフィルム構造体を形成することによって、簡単な構成により、微細な凹凸パターンを有する比較的大面積のフィルム構造体を容易に得ることができる。
また、このフィルム構造体の形成方法において、フィルムの表面と光吸収層との間に材料層を設け、フィルム薄膜に形成した凹凸パターンをマスクとしたエッチングにより光吸収層に凹凸パターンを形成し、光吸収層に形成した凹凸パターンをマスクとしたエッチングにより材料層に凹凸パターンを転写形成することによって、例えば材料層として、金属や各種光学的特性を有する材料などを用いることによって、回折格子やこれを利用した偏光分離素子などの光学装置などに適用し、その大面積化が可能となる。
【0014】
更に、本発明のフィルム構造体の形成方法において、凹凸パターンを、モールド上に形成した光吸収層に形成する構成とすることによって、フィルム構造体を、光吸収層などを含まない単体材料により構成することができる。
また、本発明のフィルム構造体の形成方法において、モールドに設ける光吸収層として、Siを用いることにより、確実に光吸収による加熱を行うことができる。
更に、上述のフィルム構造体の形成方法において、光吸収層及びフィルムに照射する光として、エキシマーレーザを用いることによって、同様に光吸収による加熱を確実に行うことができる。
また、本発明によるフィルム構造体は、フィルム上に、このフィルムとは異なる材料より成る材料層が形成され、この材料層又は材料層上に形成された他の材料層に、凹凸パターンが形成されて成る構成とすることによって、上述の本発明によるフィルム構造体の形成方法を適用して大面積のフィルム構造体を容易に形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態の例について図面を参照しながら説明する。
図1は、微細構造を有するプラスティックより成るフィルム構造体の形成方法に本発明を適用した場合の一工程を示す概略断面図である。この例においては、使用するモールド3は、石英等より成る基板6の上に、Siより成る光吸収層5を有しており、光吸収層5には例えばナノサイズの凹凸パターン4が作製されて成る。
そしてこのモールド3を、石英等の窓を有する設置台(図示せず)に載置し、次にプラスティックより成るフィルム10をこのモールド3の上に配置して、その上に加圧するための加圧手段2を設置して矢印Fで示すように圧力を加える。この状態で、モールド3の基板6の下方から紫外線レーザ等の光を矢印Lで示すように照射して、モールド3のナノサイズの凹凸パターン4をプラスティックより成るフィルム10に転写する。
【0016】
このような本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の工程図を図2A〜Cに示す。図2Aにおいて、図1と対応する部分には同一符号を付して示す。
モールド3は、石英等より成る基板6上に例えばナノサイズの凹凸パターン4を有するSiより成る光吸収層5で構成され、この上に例えばプラスティックより成るフィルム10が配置され、その上から加圧手段2が載せられる。この状態で、フィルム10に加圧手段2の上方から矢印Fで示すように圧力を印加し、基板6の下方から紫外線レーザ等の光を矢印Lで示すように照射する。
これにより、紫外線レーザ光Lは選択的にSiより成る光吸収層5に吸収され、加熱される。紫外線レーザ光の強度は、光吸収層5の温度が短時間プラスティックフィルムのガラス転移点以上になり、且つこの光吸収層5の凹凸パターンを崩すことのない程度に調節される。これにより、フィルム10は、極短時間だけ表面層のみがガラス転移点以上の温度になるため、フィルム全体が加熱されて軟化することを回避できる。すなわち、図2Cに示すように、凹凸パターン4の転写を正確に表面層のみに行って、フィルム10上にナノサイズの凹凸パターン4が反転したパターンの転写凹凸パターン14を形成することができる。
そして、フィルム10からモールド3及び加圧手段2を取り除き、目的とするパターンが転写されたフィルム構造体20を得ることができる。
【0017】
また、本発明によるフィルム構造体の形成方法において、ローラーを用いることによって、フィルムへの大量転写を容易に生産性よく行うことが可能となる。図3Aに、モールド3を薄膜モールド8としてローラー9の表面に設けて、このローラー9及び加圧手段1との間にフィルム10を配置して、モールド3の凹凸パターン4をフィルム10の表面に転写形成する場合の一例の工程図を示す。この例においては、例えば円筒形の金属等より成るローラー9の表面に、例えばナノサイズの凹凸パターン4を有する薄膜モールド8を設置した例である。この薄膜モールド8としては、例えばその一例の概略断面図を図3Bに示すように、プラスティックフィルム等より成る基材26の表面付近に、例えば前述のナノインプリント法でナノサイズ程度の凹凸パターンが形成されたSi等より成る光吸収層25を有する薄膜モールド8を用いることができ、これをローラー9に貼り付けることでモールド3を構成する。また、この金属等より成るローラー9に対向して、例えば石英などの光透過性材料より成り、ローラー状に形成される加圧手段11を設置し、両ローラー間に例えば他のロール(図示せず)から引き出したプラスティック等より成るフィルム10を挟んで加圧する。
【0018】
この状態で、加圧手段2の下方から紫外線レーザ光等の光Lを照射する。照射されたレーザ光は、プラスティックフィルムでもほとんど吸収されず、ナノサイズの凹凸パターンが形成されたSi等より成る光吸収層25に選択的に吸収され、この光吸収層25を加熱する。前述の例と同様に、このレーザ光の強度を、Si等より成る光吸収層の温度がナノパターンを溶融して崩さない温度以下でフィルム10のガラス転移点以上になるように調節しておけば、光吸収層25のナノサイズの凹凸パターンを確実にフィルム10に転写することができる。この場合も、レーザ照射時間が極短時間であればフィルム全体がガラス転移点以上の温度になることはなく、フィルム10の表面近傍のみをガラス転移点以上の温度にすることができる。これにより、モールド3のナノサイズ等の凹凸パターン4を、フィルム10の表面に精度良く転写することができる。
【0019】
そして、両ローラーにより加圧し、光を照射している部分のフィルム10への凹凸パターンの転写が終了した後、上部ローラー9と下部ローラー(加圧手段2)及びフィルム10を同速度で動かした。即ち、上部ローラーは矢印bで示すように図3において時計回り、下部ローラーは矢印cで示すように図3において反時計回りに回転させ、フィルム10は矢印aで示すように、図3において左側に移動させる。この状態で、同様に紫外線レーザ等の光Lを照射すると、連続してフィルム10へのナノサイズ程度の凹凸パターンの転写を行うことができ、この工程を繰り返すことにより連続的な転写処理が可能となり、すなわちナノサイズ程度の凹凸パターンを有する大面積のフィルム構造体を容易かつ確実に生産性良く形成することができる。
なお、このようなローラーを用いるフィルム構造体の形成方法において、ローラーに被着する薄膜モールド8としては、上記フィルム状の基材の上に凹凸パターンを有する光吸収層が設けられた構成の他、光吸収層上に、凹凸パターンを有する他の材料より成る材料層が設けられていてもよく、また、凹凸パターンを有する光吸収材料より成る基材を多数枚ローラー表面に被着して薄膜モールドを構成するなど、その他種々の構成を採ることが可能である。
【0020】
図4A〜Cにおいては、本発明による他の実施の形態の例によるフィルム構造体の形成方法の工程図を示す。
この例においては、フィルム上に、このフィルムとは異なる材料より成る材料層が形成され、この材料層又は材料層上に形成された他の材料層に、凹凸パターンが形成されて成るいわば多層構造のフィルム構造体を得る場合を示す。これは、予めフィルムに加工を施す手間を要するが、モールドの作製が容易になり、且つフィルムを更に加工する際に応用が可能となるという利点を有する。
先ず、図4Aに示すように、プラスティック等よりなるフィルム10上に、Si等より成る光吸収層15を成膜し、更にその上層にフィルム10と同じ例えばプラスティック材料、または例えば熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂等より成るフィルム薄膜16を積層する。すなわち、この例においては、光吸収層をモールド側ではなく、フィルム表面近傍に設ける場合を示す。
このような構造とするフィルム10に対し、凹凸パターンを有するモールド3を、フィルム薄膜16の上面に配置し、またフィルム10の裏面側から、図4Bに示すように、加圧手段2を配置して矢印Fで示すように加圧した状態で、紫外線レーザ等の光を矢印Lで示すように照射する。最適な照射条件に調整されて照射された光を光吸収層15が選択的に吸収すると、この光吸収層15は加熱され、フィルム薄膜16がガラス転移点以上になることで、このフィルム薄膜16に押圧されたモールド3のナノサイズ等の凹凸パターン4が転写される。
【0021】
その後モールド3を離間して、図4Cに示すように、目的とする例えばナノサイズの転写凹凸パターン14が形成された多層構造のフィルム構造体20を得ることができる。
この場合は、図4Bの工程においてフィルム10を挟んでいるモールド3や圧力手段2が照射する光Lに対し透過性を有する材料であれば、図示の例のようにフィルムの上方からのみでなく、加圧手段2の下方からも光照射が可能である。
なお、この例におけるように、光吸収層をモールドではなくフィルム表面またはその近傍に設ける場合、更に図示しないがモールドの凹凸パターンの近傍に設ける場合、凹凸パターン及びフィルム表面から0〜10μm程度の範囲に光吸収層を設けることによって、確実に光吸収による加熱を行うことができる。
【0022】
図5A〜Cは、図4A〜Cに示す例において、プラスティック等のフィルム10の上にSi等の光吸収層15を成膜するのみの構造とする場合の工程図を示す。光吸収層15の膜厚が適度に薄ければ、図4A〜Cにおいて説明した例と同様に、光を照射することで光吸収層15の直下のフィルム10だけをガラス転移点以上の温度にすることができ、その結果光吸収層15の直下のフィルム10の表面部分にナノサイズ程度の凹凸パターン4を転写することができる。転写の際に、光吸収層15は破断されるが、転写凹凸パターン14の形状等への影響は殆どない。この形成方法による場合は、より簡便な転写が可能となるという利点を有する。
【0023】
図6A〜Dは、図4及び図5に示す例と同様に、フィルムを多層構造とする場合において、フィルム表面にエッチング用マスクを作製するのに好適な例の工程図である。図6Aに示すように、プラスティック等のフィルム10上にAl、Ni等の金属、または他の例えばエッチング処理が可能な材料層17が被着され、この上にSi等より成る光吸収層15、フィルム薄膜16が成膜される。そして、例えば石英より成り、表面に目的とするナノサイズ程度の凹凸パターン4が形成されたモールド3を配置し、図示しないが前述の図4B又は図5Bにおいて説明した工程と同様に、モールド3側から最適な照射条件に調整された光を照射して光吸収層15に選択的に光を吸収させる。これによりフィルム薄膜16がガラス転移点以上になり押し当てられたモールド3の凹凸パターン4が転写される。
【0024】
次に、このフィルム薄膜16をマスク層として、例えばドライエッチング法によってフィルム薄膜16の残膜と光吸収層16及び材料層17に異方性エッチングを行うと、フィルム10上に、Al等の材料層17より成る転写凹凸パターン14を形成することができる。
このように、例えば金属の有無などによる凹凸パターンが形成されたフィルム構造体20を形成することによって、これを例えば回折格子やWire-grid polarizerとして呼ばれる偏光分離デバイスなどの光学部品、またはエッチングマスクなどに適用することが可能であり、かつ大面積の光学部品などを容易に形成することができるという利点を有する。
【0025】
また、以上の例においては、モールドを石英等より成る光透過性の単一材料より構成したが、その他モールドを図7に示すように、多層構造とすることもできる。例えば石英等の光透過性材料より成る基板34の上に、Si等より成る光吸収層35が形成され、その上にNi等の金属材料、または他の材料より成る材料層36が形成され、この材料層36に目的とする凹凸パターン4が形成されたモールド3を用いることも可能である。
また、石英等の基板上にSi等より成る光吸収層を設け、その表面に熱酸化等によりSiO2 層を形成してこのSiO2層に凹凸パターンが形成されたモールドを用いることも可能である。
このようなモールドを用いる場合は、フィルムに光吸収層を設ける必要がなく、また凹凸パターン部分を損傷しにくい材料により構成することによって、パターンの磨耗等が抑制された比較的丈夫なモールドを得ることができ、これにより大面積におけるフィルムへの凹凸パターンの転写を精度良く行うことができる。
【0026】
次に、本発明による具体的な実施例の各例について説明する。
(1)実施例1
この例においては、上述の図1及び図2において説明した形態の例による場合を示す。
厚さ0.7mmの合成石英より成る基板6の上に、スパッター法により常温でa−Si(アモルファスシリコン)を厚さ200nm成膜し、500℃にてN2 ガス中で保持することにより膜中の不純物ガスを除去し、紫外線照射時の安定化を図った光吸収層5を形成してモールド3を構成した。この場合、例えば電子線リソグラフィにより、すなわち電子線レジストを塗布して所定のパターンの電子線を描画した後、現像及び残留するレジストをマスクとするRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)等のエッチングを施すか、既にあるモールド用いてナノインプリントを利用したリソグラフィによって、マスクをパターニング後RIEでエッチングして、モールド3表面への凹凸パターン4の作製行うことができる。この実施例の凹凸パターンは、ピッチ200nm、ライン幅100nm、深さ100nmのラインアンドスペースパターンであった。モールド3の表面には、図示されていない離型剤を塗布した。この離型剤は、転写後のモールドとフィルムの剥離を容易にするものである。
【0027】
先ず、このモールドを、石英製の保持台に載置した。次に、厚さ120μmのPMMA(polymethylmethacrylate:ポリメチルメタクリレート)より成るフィルムを上記モールド上に載せ、更にその上に加圧のためのSUSより成る加圧手段を載せた。この状態で、加圧手段上から3MPaの圧力をPMMAフィルムに印加し保持した。温度は、常温のままであった。
【0028】
続いて、波長308nmの紫外線パルスレーザであるXeClエキシマーレーザのパルス幅を30nsに設定し、石英製保持台を通してモールドの下側から照射した。この時の、レーザ光の照射エネルギー密度は、モールドのSiより成る光吸収層部分で170mJ/cm2 であった。
【0029】
照射されたレーザ光は、モールドのSi光吸収層で選択的に吸収され、光吸収層の温度を極めて短時間上昇させる。この温度上昇時間は、照射エネルギー密度にも依存するが、典型的には1μs以下である。この時、モールドの光吸収層に接しているPMMAフィルムも熱伝導にて加熱されるが、光吸収層の昇温時間が極めて短時間であるため、PMMAフィルムの極めて表面のみがガラス転移点以上(約100℃)に加熱された。照射エネルギー密度は、光吸収層のパターンを崩さない程度以下で、PMMAフィルムのガラス転移点以上になる部分の膜厚が最適になるように選ばれた。
【0030】
ガラス転移点以上に加熱されたPMMAフィルムはモールドの光吸収層に押し当てられて圧力をかけられているため、モールドの光吸収層の凹凸パターン中に流動し、凹凸パターンを充填するように成形された。その結果、PMMAフィルムは、表面にモールドの凹凸パターンの反転された転写凹凸パターンが形成され、PMMAフィルムからモールドや加圧手段を取り除くとナノサイズの凹凸パターンが転写されたフィルム構造体が得られた。完成したPMMAフィルムの凹凸パターンは、ピッチ200nm、ライン幅100nm、深さ100nmのラインアンドスペースパターンであった。
【0031】
上記転写プロセスが良好に行われたのは、PMMAフィルム全体が加熱されず、表面近傍のみがガラス転移点以上になったためである。これに対し、全体が加熱されてガラス転移点以上になるようなプロセスだと、フィルム全体に歪みが生じてパターンの寸法や配置が崩れることになる。したがって、全体的に加熱されないように、光の照射時間、光吸収層の光吸収率及び厚さ等を適切に選定することが望ましい。
【0032】
また、本発明は上述の実施例1に限定されるものではなく、この例において、凹凸パターン等の寸法、フィルム及び各層の材料、プロセス条件等は本発明の主旨を逸脱しない限りにおいて変更が可能である。例えば、加圧手段を石英などの紫外線に対して透明な材質にすれば、紫外線レーザの照射を加圧手段の上方から行うことも可能である。モールドと圧力手段の位置関係は上下反転していても可能である。モールドの位置を変えてレーザ照射を繰り返せば、大面積にナノサイズの凹凸パターン構造を作製することも可能である。また、紫外線を選択的に吸収する層には、Si以外にもCやSiGeなどを用いることも可能である。フィルム材もPMMA以外のPET(polyethylene terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)等の各種のフィルムを使用することが可能である。モールドの光吸収層に、照射光に対して透明な保護層を設置することも有用である。転写性を損なわない組み合わせであれば、上述のエキシマーレーザの他、ハロゲンランプなどを短時間照射する手法も可能である。
【0033】
次に、ロールフィルムに本発明を適用した例について説明する。
(2)実施例2
この例においては、図3において説明した例によりフィルム構造体を形成した。大量且つ迅速にナノサイズ程度の凹凸パターン構造を転写するためには、ロールフィルムへ転写できることが重要である。この例においては、モールド3として、直径50cmの円筒形SUSより成るローラーの表面にSi製の薄膜モールド8を設置して構成した。このSi製凹凸パターンは、一辺が50mmの正方形、厚さ50μmのSi基板上に電子線リソグラフィによってマスクパターンを形成し、RIEによりエッチングを行ったものである。このナノパターンは、ピッチ200nm、ライン幅100nm、深さ100nmのラインアンドスペースパターンであった。Si製薄膜モールド8のローラー9への取り付けは、シリコーンゴム系の接着剤を用いて貼り付けることで行った。ローラー9のフィルム10と接触する位置に、このSi製薄膜モールド8を隙間無く複数枚貼り付けることで、繋ぎ目のある構造ではあるが連続したパターン転写が可能なモールドとなった。モールド表面には、転写後のモールド3とフィルム10の剥離を容易にする離型剤を塗布した。
【0034】
この金属製ローラー9に対向して直径30cmの石英製ローラーより成る加圧手段2を設置し、両ローラー間にロールから引き出したPMMAより成るフィルム10を挟んで加圧した。PMMAフィルム10の厚さは120μm、幅は30cmであった。また、印加された圧力は3MPaであった。各ローラーの温度は、常温であった。
【0035】
この状態で、波長308nmの紫外線パルスレーザであるXeClエキシマーレーザのパルス幅を30nsに設定し、図示されていない石英製保持台を通してモールドの下側から照射した。この時の、レーザ光Lの照射エネルギー密度はモールドのSi層部分で200mJ/cm2 であった。照射されたレーザ光は、フィルム10でもほとんど吸収されず、ナノ構造が形成されたSi製薄膜モールド8に選択的に吸収され、この薄膜モールド層8を加熱した。レーザ光の強度は、薄膜モールドの温度が、そのナノパターンを溶融して崩さない温度以下であり、且つPMMAフィルムのガラス転移点(約100℃)以上になるように調節した。
【0036】
この結果、レーザ照射時間が極短時間であるためフィルム10全体がガラス転移点以上の温度になることはなく、フィルム10の表面近傍のみをガラス転移点以上の温度にすることができた。これにより、モールド3のナノパターンの反転した転写凹凸パターンを正確にフィルム10に形成することができた。この部分のフィルム10へのナノパターンの転写が終了した後、上部ローラー9と下部ローラーの加圧手段2及びフィルム10を同速度で動かした。即ち、上部ローラー9は時計回り、下部ローラーの加圧手段2は反時計回りに回転させ、フィルム10は図の左側に移動させた。フィルム10のパターン転写が完了した部分の移動が終了した後、同様に紫外線レーザ光Lを照射すると連続してプラスティックフィルムへのナノパターンの転写を行える。この工程を繰り返すことにより連続的な転写処理が可能となった。
【0037】
なお、この場合においても上記実施例に限定されるものではなく、ローラーや加圧手段、光吸収層、フィルムなどの寸法、材料及びプロセス条件等は本発明の主旨を逸脱しない限りにおいて変更が可能である。例えば、紫外線を選択的に吸収する光吸収層として、上述のSi以外の例えばCやSiGeなどを用いることも可能である。フィルムの材料も、上述のPMMAの他、PETなど各種樹脂等より成るフィルム材料が使用可能である。また、モールドの光吸収層に、照射光に対して透明な保護層を設置することも有用である。
【0038】
次に、フィルムに光吸収層を設けて多層構造のフィルムとして実施例について説明する。
(3)実施例3
この例においては、前述の図4A〜Cにおいて説明した構成の多層構造プラスティックを用いた。この例においては、厚さ120μmのPMMAより成るフィルム10上に、スパッター法を用いて常温で成膜した厚さ100nmのSiより成る光吸収層15を成膜して、更にその上に厚さ200nmのPMMAより成るフィルム薄膜16を積層した。フィルム薄膜16の積層は、フィルムを80℃に加熱した状態でスプレー噴霧法で行った。
【0039】
そして、この多層構造のフィルムに対するナノサイズの凹凸パターンの転写は、前述の図4Bにおいて説明した方法を用いた。すなわち、モールド3にはSi等の光吸収層を設けず、直接石英基板にRIE法により凹凸パターン4を作製して用いた。この凹凸パターンは、ピッチ200nm、ライン幅100nm、深さ100nmのラインアンドスペースパターンであった。そして、上記フィルムをSUS製圧力板より成る圧力手段2と、凹凸パターンを有するモールド3で挟み、3MPaの圧力を印加した。フィルム薄膜16は、モールド3の凹凸パターン4に直接接触するように配置した。この状態で、モールド3側からフィルム10に向けて波長308nmの紫外線パルスレーザであるXeClエキシマーレーザのパルス幅を30nsに設定して、光Lを照射した。照射されたレーザ光は、フィルム10の光吸収層15で選択的に吸収された。レーザ光のエネルギー密度は、光吸収層15部分で、150mJ/cm2 であった。
【0040】
選択的に光が吸収すると光吸収層15は適温に加熱され、フィルム薄膜16がガラス転移点(約100℃)以上になることで、このフィルム薄膜16側に押し当ててあったモールド3の凹凸パターン4が良好に転写された。なお、この場合、フィルム10を挟んでいる圧力手段2が透明であれば、圧力手段2側からも光照射が可能である。
【0041】
次に、前述の図5A〜Cにおいて説明した、フィルム上に凹凸パターンを有する光吸収層を設けた実施例について説明する。
(4)実施例4
この例においては、厚さ120μmのPMMAフィルム10上に、スパッター法により常温で厚さ100nmのSiより成る光吸収層15を成膜してモールド3の凹凸パターン4を転写した。この場合においてもモールド3にはSi等の光吸収層を設けず、直接石英基板にRIE法で凹凸パターンを作製して用いた。この凹凸パターン4は、ピッチ200nm、ライン幅100nm、深さ100nmのラインアンドスペースパターンであった。次に、このフィルム10を光吸収層側をモールド3の凹凸パターンに接触させた状態で、SUS製圧力手段2とモールド3で挟み、3MPaの圧力を印加した。
【0042】
そして、モールド3側からフィルム10に向けて波長308nmの紫外線パルスレーザであるXeClエキシマーレーザのパルス幅を30nsに設定し光Lを照射した。照射されたレーザ光は、フィルム10の光吸収層15で選択的に吸収された。レーザ光のエネルギー密度は、光吸収層15部分で、150mJ/cmであった。最適に調整されたレーザエネルギーは、選択的に吸収された光吸収層15を加熱し、この光吸収層15自体をガラス転移点(約100℃)以上の温度に極短時間保持した。
【0043】
その結果、モールド3の凹凸パターン3がフィルム10上の光吸収層15に良好に転写された。転写に際して光吸収層15は変形或いは破断されるが、極めて薄い層であるので、ナノサイズの凹凸パターンへの影響はなかった。転写後の光吸収層15は、その後のPMMAフィルムの用途に応じて残してもよく、CF4 ガスを用いたドライエッチングにより下層のフィルム表面に凹凸パターンを転写して、光吸収層は除去してもよい。このようにして凹凸パターンを有するフィルム構造体を形成する方法は、簡便な転写という意味で利点がある構造である。また、この場合においても圧力手段2が透明であれば、加圧手段2側からも光照射が可能である。
【0044】
次に、前述の図6A〜Dにおいて説明した、フィルム上に材料層を介して光吸収層を設けてフィルム構造体を形成する実施例について説明する。
(5)実施例5
この例には、フィルム表面にエッチング用マスクを作製するのに好適な実施例である。先ず、厚さ120μmのPMMAより成るフィルム10の上に、スパッター法で常温成膜により厚さ100nmのAlより成る材料層17、厚さ100nmのSiより成る光吸収層15を形成し、その上にスプレー塗布法により厚さ200nmのPMMAより成るフィルム薄膜16を成膜した。
そしてこの上に配置するモールド3として、表面にRIE法によってナノサイズの凹凸パターン4を形成したモールド3を用意した。この凹凸パターン4は、ピッチ200nm、ライン幅100nm、深さ100nmのラインアンドスペースパターンであった。次に、フィルム10を、フィルム薄膜16側をモールド3の凹凸パターン4に接触させて、SUS製の圧力手段2とモールド3で挟み、3MPaの圧力を印加した。
【0045】
この状態で、モールド3側からフィルム10に向けて波長308nmの紫外線パルスレーザであるXeClエキシマーレーザのパルス幅を30nsに設定し光Lを照射した。照射されたレーザ光は、フィルム10の光吸収層15で選択的に吸収された。レーザ光のエネルギー密度は、光吸収層15部分で、150mJ/cm2 であった。最適に調整されたレーザエネルギーは、選択的に吸収された光吸収層15を加熱し、フィルム薄膜16の光吸収層15近傍付近のみをガラス転移点(約100℃)以上の温度に極短時間保持した。
【0046】
その結果、モールド3の凹凸パターン4がフィルム薄膜16に良好に転写された。次に、O2 ガスを用いたRIE法によりフィルム薄膜16に形成された転写凹凸パターン14を保持して異方性エッチングを行い、フィルム薄膜より成るマスクパターンを形成した。このPMMAパターンをエッチングマスクにして、CF4 ガスを用いたRIE法で光吸収層15をエッチングした。続いて、光吸収層15、ないしはフィルム薄膜16が残っている場合はフィルム薄膜16及び光吸収層15をエッチングマスクとして、Cl2 ガスを用いたRIE法によって、Alより成る材料層17をエッチングした。その後、マスクに用いた光吸収層、もしくはフィルム薄膜及び光吸収層を、必要に応じてO2 ガス或いはCF4 ガスのプラズマ照射で除去した。これにより、フィルム10上に、ピッチ200nm、ライン幅100nm、高さ100nmのAlより成るラインアンドスペースパターンを作製できた。これは、例えば回折格子や、偏光分離デバイスとして用いることができる。また、形成された比較的大面積のフィルム構造体を更にリソグラフィ用のマスクとして用いるなど、各種利用方法が期待できる。
【0047】
以上説明したように、本発明によるフィルム構造体の形成方法、またこれにより形成されたフィルム構造体は、従来は得られなかった比較的大面積にわたるナノサイズ程度の微小な凹凸パターンを形成することが容易となり、これを利用して光学部品など各種のデバイスへの応用が可能となる。
なお、本発明は、上述の実施の形態の例及び実施例に何ら限定されるものではなく、各部の材料構成、寸法、プロセス条件等は本発明の主旨を逸脱しない限りにおいて変更が可能であり、例えば前述の図4及び図6において説明した例において、フィルム薄膜として液状の紫外線硬化樹脂を用いるなど、また図3において説明した例において、ローラー近傍に液状薄膜材料を塗布するノズルを設けるなど、更には、各例において、図面中に示されない保護層などを設けることもでき、その他フィルム材料、フィルム薄膜材料、材料層として各種材料を用いるなど、種々の変形、変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の一工程図である。
【図2】Aは本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の一工程図である。Bは本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の一工程図である。Cは本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の一工程図である。
【図3】本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の一工程図である。
【図4】Aは本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の一工程図である。Bは本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の一工程図である。Cは本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の一工程図である。
【図5】Aは本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の一工程図である。Bは本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の一工程図である。Cは本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の一工程図である。
【図6】Aは本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の一工程図である。Bは本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の一工程図である。Cは本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の一工程図である。Dは本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の一工程図である。
【図7】本発明によるフィルム構造体の形成方法の一例の一工程図である。
【符号の説明】
【0049】
2.加圧手段、3.モールド、4.凹凸パターン、5.光吸収層、6.基板、8.薄膜モールド、9.ローラー、10.フィルム、14.転写凹凸パターン、15.光吸収層、16.フィルム薄膜、17.材料層、20.フィルム構造体、25.光吸収層、26.基材、34.基板、35.光吸収層、36.材料層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モールドの凹凸パターンをフィルムの表面に転写して凹凸パターンを形成するフィルム構造体の形成方法であって、
上記モールドの上記凹凸パターン又はその近傍、もしくは上記フィルムの表面又はその近傍に、選択的に光を吸収する光吸収層を設け、
上記フィルムを上記モールドと加圧手段との間に配置し、上記加圧手段を加圧した状態で光を照射して、上記モールドの表面の温度を上昇せしめ、上記フィルムの表面に上記凹凸パターンを形成する
ことを特徴とするフィルム構造体の形成方法。
【請求項2】
上記モールドが薄膜モールドとされ、上記薄膜モールドをローラーの表面に設けて、
上記ローラー及び上記加圧手段との間に上記フィルムを配置して、上記モールドの凹凸パターンを上記フィルムの表面に転写形成する
ことを特徴とする請求項1記載のフィルムのパターン形成方法。
【請求項3】
上記フィルムの表面に、少なくとも上記光吸収層及びフィルム薄膜をこの順に形成し、
上記モールドの上記凹凸パターンを上記フィルム薄膜に転写形成して、上記フィルムの表面の上記フィルム薄膜に上記凹凸パターンを形成する
ことを特徴とする請求項1記載のフィルム構造体の形成方法。
【請求項4】
上記フィルムの表面と上記光吸収層との間に材料層を設け、
上記フィルム薄膜に形成した凹凸パターンをマスクとしたエッチングにより上記光吸収層に凹凸パターンを形成し、
上記光吸収層に形成した凹凸パターンをマスクとしたエッチングにより上記材料層に上記凹凸パターンを転写形成する
ことを特徴とする請求項3記載のフィルム構造体の形成方法。
【請求項5】
上記凹凸パターンを、上記モールド上に形成した上記光吸収層に形成する
ことを特徴とする請求項1記載のフィルム構造体の形成方法。
【請求項6】
上記凹凸パターンを、上記モールド上に形成した上記光吸収層に形成する
ことを特徴とする請求項2記載のフィルム構造体の形成方法。
【請求項7】
上記モールドに設ける光吸収層として、Siを用いる
ことを特徴とする請求項1記載のフィルム構造体の形成方法。
【請求項8】
上記光吸収層及び上記フィルムに照射する光として、エキシマーレーザを用いる
ことを特徴とする請求項1記載のフィルム構造体の形成方法。
【請求項9】
フィルム上に、該フィルムとは異なる材料より成る材料層が形成され、上記材料層又は上記材料層上に形成された他の材料層に、凹凸パターンが形成されて成る
ことを特徴とするフィルム構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−1050(P2006−1050A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177321(P2004−177321)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】