フィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法
【課題】 所定形状に切り出して被着体に仮貼り付けされたフィルム状封止接着材の剥離フィルムを、簡単で安価な手段により、確実、且つ迅速に剥離することができるフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を提供する。
【解決手段】 接着剤層2の少なくとも一面に剥離フィルム3/剥離可能に貼り付けられてなるフィルム状封止接着材1が、任意の形状に切り出して被着体10に接着剤層2により仮貼り付けされ、剥離用接着フィルム4の粘着面を、弾性変形可能な加圧ローラ7により剥離フィルム3に押し付けて接着させたのち、加圧ローラ7を、弾性変形した状態を保持しながら、剥離用接着フィルム4が剥離フイルム3の全面に接するように転動させて、剥離フィルム3を剥離用接着フィルム4に接着して接着剤層2から剥離する。
【解決手段】 接着剤層2の少なくとも一面に剥離フィルム3/剥離可能に貼り付けられてなるフィルム状封止接着材1が、任意の形状に切り出して被着体10に接着剤層2により仮貼り付けされ、剥離用接着フィルム4の粘着面を、弾性変形可能な加圧ローラ7により剥離フィルム3に押し付けて接着させたのち、加圧ローラ7を、弾性変形した状態を保持しながら、剥離用接着フィルム4が剥離フイルム3の全面に接するように転動させて、剥離フィルム3を剥離用接着フィルム4に接着して接着剤層2から剥離する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体チップを回路基板上にフィルム状封止接着材を介して接着させる実装工法を実施する際に、接着剤層と剥離フィルムとが貼着されてなるフィルム状封止接着材を、所要の形状に切断して、接着剤層を回路基板に接着したのちに、接着剤層から剥離フィルムを剥離する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、電子回路基板は、あらゆる電気機器に使用されるようになり、その性能も日増しに向上し、回路基板上に用いられる周波数も高くなっており、インピーダンスが低くなるフリップチップ実装は高周波を使用する電子機器に適した実装方法になっている。また、携帯機器の増加から、回路基板にICチップをパッケージ化することなくチップのまま搭載するフリップチップ実装が求められている。
【0003】
近年、種々の被着体を相互に接着するに際しては、接着剤層と剥離フィルムを剥離可能に仮貼付けしてなるフィルム状封止接着材が使用されている。このフィルム状封止接着材は、実装工程の生産性の向上を目的として、所定の幅を有する長尺状の形態として扱われることが多い。したがって、長尺状のフィルム状封止接着材は、接着すべき被着体の形状に対応した長さに切断加工する必要があり、この切断加工に際しては、図12(a)または(b)に示すような手段が採用されている。
【0004】
すなわち、図12(a)の切断加工方法は、接着剤層2と剥離フィルム3とが剥離可能に仮貼着されてなる長尺状のフィルム状封止接着材1が、接着剤層2が下側に位置する配置とした状態で、矢印で示す図の右方へ向け移送されながら、所定位置で移送を停止されて、転写ヘッド44が下降してその下方に突設されたチップ47により剥離フィルム3を介して接着剤層2が受台48上の転写紙部材49に押し付けられることにより、接着剤層2におけるチップ47で押圧された一部分が熱圧着により転写紙部材49上に転写される。これにより、剥離フィルム3は切断されることなく、接着剤層2のみは、所定の間隔で一部分が除去された切断部2aが形成されることにより、所定の長さに切断される。
【0005】
図12(b)の切断加工方法は、接着剤層2と剥離フィルム3とが剥離可能に仮貼着されてなる長尺状のフィルム状封止接着材1が、接着剤層2が下側に位置する配置とした状態で、図の右方へ向け移送されながら、所定位置で移送を停止されて、高温に加熱された切断用ツール50が接着剤層2に押し付けられることにより、接着剤層2の切断用ツール50が押し付けられた一部分が溶断されて、接着剤層2が所定の寸法に切断される。
【0006】
上述のように接着剤層2が所定長さに切断されたフィルム状封止接着材1は、図13(a)に示すように、図の右方に移送されて、接着剤層2における所要の長さに切断された部分が回路基板10の所定位置に達した時点で移送が停止される。上記所定長さの接着剤層2は、これに位置決め状態で対向された貼り付けツール51により回路基板10上に加熱しながら加圧されることにより、仮貼り付けされる。この仮貼り付けは、接着剤層2が硬化反応を起こさず、且つ軟化を起こさせる温度、例えば40〜100℃に設定して加熱することにより行なわれる。つぎに、切断されることなく長尺形状を維持している剥離フィルム3は、図13(b)に示すように、所定間隔に配設された二つのローラ53,54により剥離フィルム3を両側から挟んだ剥離用機構52が接着剤層2に沿って矢印で示すように図の左方に向け移動することにより、接着剤層2から剥離され、そののち、巻き取りリール(図示せず)に巻き取られる。このようなフィルム状封止接着材1を用いた実装工法としては、接着剤層2に導電粒子を混入させた異方性導電フィルムを用いたACF工法が広く実用されるようになってきた(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
ところで、上述の従来のフィルム状封止接着材1の切断加工方法では、生産性の向上を目的として、長尺形状としたフィルム状封止接着材1を、これの長手方向に沿った一方向に向け移送しながら、接着剤層2の一部分を溶断または転写により除去する工程を経て切断するようにしているので、長尺形状の接着剤層2における長手方向に対し直交する幅寸法の大小により適応できる被着体が限定されてしまう。そのため、形状の異なる多品種の被着体に対しタイムリーに対応するためには、長尺形状のフィルム状封止接着材1として、接着すべき被着体の形状に対応した幅寸法を有する多くの種類のものを用意する必要があるため、これら多種類のフィルム状封止接着材1の保管や管理が煩雑となるだけでなく、接着すべき被着体の種類が変わる毎に行うフィルム状封止接着材1の交換作業の頻度が高くなって生産性が低下してしまう。
【0008】
そこで、従来では、比較的大きな形状のフィルム状封止接着材を、被着体に対応した所要形状に剥離フィルムごと切り出して、回路基板などの被着体に仮貼り付けする工法も採用されている。この工法では、被着体に仮貼り付けされた所定形状のフィルム状封止接着材に残存している剥離フィルムを如何に剥離するかが課題となる。従来では、被着体に接着しているフィルム状封止接着材に押え板を当接させた状態で、フィルム状封止接着材の端部に爪を差し込み、その押え板と爪とを用いて剥離フィルムを挟み、挟み込んだ部分を引っ張ることにより、剥離フィルムを剥離する剥離装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3150347号号公報
【特許文献1】特開平7−315682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記剥離装置では、被着体に接着しているフィルム状封止接着材の外表面、すなわち押え板の当接面を基準とし、その基準面から剥離フィルムの厚さ以下の距離だけ下方位置の被着体側に爪を差し込むことによって押え板と爪とで剥離フィルムを挟むようになっているので、剥離フィルムを剥がし終えるまでに比較的時間がかかるだけでなく、剥離フィルムを挟むのに失敗する不具合が発生するおそれがある。また、上記剥離装置は、構成の複雑化に伴って高価なものとなる。
【0010】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、所定形状に切り出して被着体に仮貼り付けされたフィルム状封止接着材の剥離フィルムを、簡単で安価な手段により、確実、且つ迅速に剥離することができるフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法は、接着剤層の少なくとも一面に剥離フィルムが剥離可能に貼り付けられてなるフィルム状封止接着材が、任意の形状に切り出して被着体に前記接着剤層により仮貼り付けされ、剥離用接着フィルムの粘着面を、弾性変形可能な加圧ローラにより前記剥離フィルムに押し付けて接着させたのち、前記加圧ローラを、弾性変形した状態を保持しながら、前記剥離用接着フィルムが前記剥離フィルムの全面に接するように転動させて、前記剥離フィルムを前記剥離用接着フィルムに接着して前記接着剤層から剥離することを特徴としている。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、加圧ローラを、加圧ヘッドにより剥離用接着フィルムを介し剥離フィルムに押し付けて弾性変形させたのち、前記加圧ヘッドをフィルム状封止接着材の表面に沿った方向に移動させて前記加圧ローラを強制的に転動させるようにした。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1または2の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、加圧ローラを、加圧ヘッドにより剥離用接着フィルムを介し剥離フィルムに押し付けて弾性変形させたのち、前記加圧ヘッドと被着体との少なくとも一方を、前記加圧ローラを転動または回転させながら相対移動させるようにした。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3の何れか一項の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、弾性変形可能な加圧ローラとして、筒状のものを用いて、前記加圧ローラにより剥離用接着フィルムを剥離フィルムに押し付けたときに、前記加圧ローラの中空部に冷却用気体を送給して、この冷却用気体によりフィルム状封止接着材を冷却するようにした。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1ないし3の何れか一項の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、加圧ローラにより剥離用接着フィルムを剥離フィルムに押し付るのに先立って、被着体に仮貼り付けされているフィルム状封止接着材を、冷却用気体を吹き付けて冷却するようにした。
【0016】
請求項6に係る発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法は、接着剤層の少なくとも一面に剥離フィルムが剥離可能に貼り付けられてなるフィルム状封止接着材が、任意の形状に切り出して被着体に前記接着剤層により仮貼り付けされ、剥離用接着フィルムの粘着面を、弾性変形可能な円筒状の弾性押圧部が外周面に嵌着されてなる加圧ローラにより前記剥離フィルムに押し付けて接着させたのち、前記加圧ローラを、前記弾性押圧部が弾性変形した状態を保持しながら、前記剥離用接着フィルムが前記剥離フィルムの全面に接するように転動させて、前記剥離フィルムを前記剥離用接着フィルムに接着して前記接着剤層から剥離することを特徴としている。
【0017】
請求項7に係る発明は、請求項6の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、加圧ローラを、加圧ヘッドにより剥離用接着フィルムを介し剥離フィルムに押し付けて弾性押圧部を弾性変形させたのち、前記加圧ヘッドをフィルム状封止接着材の表面に沿った方向に移動させて前記加圧ローラを強制的に転動させるようにした。
【0018】
請求項8の発明は、請求項6または7の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、加圧ローラを、加圧ヘッドにより剥離用接着フィルムを介し剥離フィルムに押し付けて弾性押圧部を弾性変形させたのち、前記加圧ヘッドと被着体との少なくとも一方を、前記加圧ローラを転動または回転させながら相対移動させるようにした。
【0019】
請求項9の発明は、請求項6ないし8の何れか一項の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、弾性押圧部で外周面が被覆された加圧ローラとして、筒状のものを用いて、前記加圧ローラにより剥離用接着フィルムを剥離フィルムに押し付けたときに、前記加圧ローラの中空部に冷却用気体を送給して、この冷却用気体により前記弾性押圧部を介しフィルム状封止接着材を冷却するようにした。
【0020】
請求項10の発明は、請求項6ないし8の何れか一項の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、弾性押圧部を備えた加圧ローラにより剥離用接着フィルムを剥離フィルムに押し付るのに先立って、被着体に仮貼り付けされているフィルム状封止接着材を、冷却用気体を吹き付けて冷却するようにした。
【0021】
請求項11に係る発明は、請求項1ないし10の何れか一項の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、剥離用接着フィルムを、剥離フィルムを接着させて剥離したのちに、一方向に移送して巻き取ることにより回収するようにした。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る発明によれば、剥離用接着フィルムを弾性変形が可能な加圧ローラで剥離フィルム上に押し付けたのち、加圧ローラを剥離フィルムの全面に転動させるだけの極めて簡単で安価な手段を用いるにも拘わらず、剥離フィルムを接着剤層から確実、且つ迅速に剥離することができる。また、弾性変形した加圧ローラにより、剥離用接着フィルムと剥離フィルムとの接触面積が拡がるので、剥離用接着フィルムを剥離フィルムに効果的に接着できる。
【0023】
請求項2に係る発明によれば、加圧ローラを、弾性変形させることができる押圧力で剥離用接着フィルムを介しフィルム状封止接着材に押し付けた状態を保持しながら、フィルム状封止接着材の一端から他端まで転動させる手段を、容易、且つ確実に具現化することかできる。
【0024】
請求項3に係る発明によれば、被着体を移動させるようにすれば、加圧ローラを静止状態で強制的に回転されることができるので、加圧ローラおよび加圧ヘッドは単に上下動するだけでよい。さらに、加圧ヘッドおよび被着体を互いに逆方向に移動させるようにすれば、剥離フィルムの剥離に要する時間を短縮することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0025】
請求項4に係る発明によれば、被着体に仮貼り付けされた直後であって軟化状態のフィルム状封止接着材が、加圧ローラの中空部を流動する冷却用気体により冷却されて収縮することから、剥離フィルムが剥離され易い状態となり、剥離フィルムを接着剤層から一層確実、且つさらに迅速に剥離することができる。
【0026】
請求項5に係る発明によれば、剥離用接着フィルムを剥離フィルムに接着させるのに先立って、フィルム状封止接着材が、冷却用気体で冷却されることにより、被着体に接着するための軟化状態から収縮して、剥離フィルムは接着剤層から剥離し易い状態となるから、軟化状態のフィルム状封止接着材を効率的に冷却して剥離フィルムを接着剤層から一層容易に剥離可能な状態とすることができる。
【0027】
請求項6に係る発明によれば、硬質材料により形成した加圧ローラを用いることが可能であり、この加圧ローラにより剥離用接着フィルムをフイルム状封止接着材に押し付けたときに、硬質材料からなる加圧ローラにより弾性押圧部に対し確実に弾性変形させる力を付与することができるとともに、一体物の弾性変形可能な加圧ローラを用いる場合に比較して、剥離用接着フィルムに対し所要の押圧力を付与した状態を保持しながら転動する動作をスムーズに行うことができる利点がある。
【0028】
請求項7に係る発明によれば、加圧ローラを、これの弾性押圧部を弾性変形させることができる押圧力で剥離用接着フィルムを介しフィルム状封止接着材に押し付けた状態を保持しながら、フィルム状封止接着材の一端から他端まで転動させる手段を、容易、且つ確実に具現化することができる。
【0029】
請求項8に係る発明によれば、弾性押圧部で外周面が被覆された加圧ローラを用いる場合においても、被着体を移動させるようにすれば、加圧ローラを静止状態で強制的に回転されることができるので、加圧ローラおよび加圧ヘッドは単に上下動するだけでよい。さらに、加圧ヘッドをおよび被着体を互いに逆方向に移動させるようにすれば、剥離フィルムの剥離に要する時間を短縮することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0030】
請求項9に係る発明によれば、弾性押圧部で外周面が被覆された加圧ローラを用いる場合においても、被着体に仮貼り付けされた直後であって軟化状態のフィルム状封止接着材が、加圧ローラの中空部を流動する冷却用気体により冷却されて収縮することから、剥離フィルムが剥離され易い状態となり、剥離フィルムを接着剤層から一層確実、且つさらに迅速に剥離することができる。
【0031】
請求項10に係る発明によれば、弾性押圧部で外周面が被覆された加圧ローラを用いる場合においても、剥離用接着フィルムを剥離フィルムに接着させるのに先立って、フィルム状封止接着材が、冷却用気体で冷却されることにより、被着体に接着するための軟化状態から収縮して、剥離フィルムは接着剤層から剥離し易い状態となるから、軟化状態のフィルム状封止接着材を効率的に冷却して剥離フィルムを接着剤層から一層容易に剥離可能な状態とすることができる。
【0032】
請求項11に係る発明によれば、剥離用接着フィルムは、剥離フィルムを接着して除外したのちに、巻き取りリールなどに巻き取られて回収されるので、剥離フィルムの剥離工程を簡素化しながらも能率的に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1(a)〜(d)は、本発明の第1の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。図1(a)に示すように、回路基板10におけるICチップなどの電子部品の実装位置には、当該電子部品に対応した形状に切り出されたフィルム状封止接着材1が、保護フィルムを剥がして、それにより露出した接着剤層2を介して接着されている。フィルム状封止接着材1の上方位置には、図の下面側にのみ粘着層が設けられた長尺状の剥離用接着フィルム4が、二つのガイドローラ8,9間に架け渡されて、回路基板10に平行に保持されている。上記剥離用接着フィルム4は、供給リール(図示せず)から繰り出されて、巻き取りリール(図示せず)に巻き取られるようになっているが、両ガイドローラ8,9間の部分は、上方からの押圧力を受けたときに下方に繰り出される程度の軽いテンションを付与した状態で弾性的に保持されている。
【0034】
剥離用接着フィルム4の上方には、弾性変形可能な円筒状の加圧ローラ7が上下動自在、且つ水平移動可能に保持されている。加圧ローラ7または回路基板10は、図1(a)に明示するように、フィルム状封止接着材1の端部の上方に加圧ローラ7が対向する相対位置に位置決めされる。その状態で、図1(b)に示すように、加圧ローラ7が下降して剥離用接着フィルム4の下面の粘着層をフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3上に押し付けて、両者を接着させる。このとき、加圧ローラ7は、比較的大きな押圧力を受けて弾性変形するので、この弾性変形した加圧ローラ7により、剥離用接着フィルム4と剥離フィルム3との接触面積が拡がり、剥離用接着フィルム4が剥離フィルム3に効率的に接着される。
【0035】
つぎに、図1(c)に示すように、加圧ローラ7は、剥離用接着フィルム4を剥離フィルム3に押し付けた状態で回転されながら、回路基板10に沿って水平方向に転動されていく。これにより、剥離フィルム3は、一端側から他端側に向けて剥離用接着フィルム4に接着されていくとともに、加圧ローラ7の移動に伴い一端側から接着剤層2より剥離されていく。
【0036】
図1(d)に示すように、剥離フィルム3の全体が剥離用接着フィルム4に接着された時点で、加圧ローラ7が元の高さ位置まで上昇し、剥離フィルム3が接着された剥離用接着フィルム4は、加圧ローラ7からの押圧力が解除されて、自体に付与されているテンションにより接着剤層2の上方に離間して両ガイドローラ8,9間に張架状態となったのち、巻き取りリールに巻き取られて回収されていく。
【0037】
上記実施の形態では、剥離用接着フィルム4を弾性変形が可能な加圧ローラ7で剥離フィルム3上に押し付けたのち、加圧ローラ7を剥離フィルム3の一端から他端までの間を転動させるだけの極めて簡単で安価な手段を用いるにも拘わらず、剥離フィルム3を接着剤層2から確実、且つ迅速に剥離することができる。また、剥離用接着フィルム4は、剥離フィルム3を接着して除外したのちに、巻き取りリールに巻き取られて回収されるので、この点からも剥離フィルム3の剥離工程を簡素化しながらも能率的に行える。
【0038】
なお、この第1の実施の形態の各工程は、後述する第2ないし第11の実施の形態に対する基本となるものであり、したがって、第2ないし第11の実施の形態では、冗長な説明となるのを避けるために、剥離用接着フィルム4を剥離フィルム3に接着させて剥離する作用についての説明を省略する。
【0039】
図2(a)〜(d)は、本発明の第2の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。同図において、図1と同一若しくは同等のものには同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この実施の形態が第1の実施の形態と相違するのは、図2(b),(c)に示すように、加圧ローラ7を剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けた状態でフィルム状封止接着材1の一端から他端まで転動させるときに、円筒形状の加圧ローラ7の中空部に冷却用気体11を送給することだけである。なお、冷却用気体11としては、空気を用いるのが好ましい。
【0040】
したがって、この実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、極めて簡単で安価な手段を用いるにも拘わらず、剥離フィルム3を接着剤層2から確実、且つ迅速に剥離することができる効果を得られるのに加えて、回路基板10に仮貼り付けされた直後であって軟化状態のフィルム状封止接着材1が、加圧ローラ7の中空部を流動する冷却用気体11によっり冷却されて収縮することから、剥離フィルム3が剥離され易い状態となり、剥離フィルム3を接着剤層2から一層確実、且つさらに迅速に剥離することができる。
【0041】
図3(a)〜(d)は、本発明の第3の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。同図において、図1と同一若しくは同等のものには同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この実施の形態が第1の実施の形態と相違するのは、上下動自在、且つ水平移動可能な加圧ヘッド12により、同図(b)に示すように弾性変形が可能な加圧ローラ7を剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けたのち、同図(c)に示すように回路基板10に沿った方向に水平移動することによって加圧ローラ7を強制的に転動させることだけである。
【0042】
したがって、この実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、極めて簡単で安価な手段を用いるにも拘わらず、剥離フィルム3を接着剤層2から確実、且つ迅速に剥離することができる効果を得られるのに加えて、円筒状の加圧ローラ7を、弾性変形させることができる押圧力で剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けた状態を保持しながら、フィルム状封止接着材1の一端から他端まで転動させる手段を、容易、且つ確実に具現化することができる。
【0043】
また、この実施の形態では、図2(c)に2点鎖線矢印で示すように、回路基板10を両ガイドローラ8,9間に沿った方向に移動させるようにすれば、加圧ローラ7を静止状態で強制的に回転されることができるので、加圧ローラ7および加圧ヘッド12は単に上下動するだけでよい。さらに、加圧ヘッド12を図3(c)の矢印方向に移動させるとともに、回路基板10を2点鎖線矢印で示す加圧ヘッド12とは逆方向に移動させるようにすれば、剥離フィルム3の剥離に要する時間を短縮することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0044】
図4(a)〜(d)は、本発明の第4の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。この実施の形態では、第2の実施の形態における円筒状の加圧ローラ7の中空部に冷却用気体11を送給する工程と、第3の実施の形態における加圧ヘッド12により加圧ローラ7を弾性変形する状態に押圧し、且つ強制的に転動させる工程との双方を採用したものである。
【0045】
したがって、この実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、極めて簡単で安価な手段を用いるにも拘わらず、剥離フィルム3を接着剤層2から確実、且つ迅速に剥離することができる効果を得られるのに加えて、加圧ローラ7の中空部を流動する冷却用気体11によって剥離フィルム3を剥離し易い状態とすることができるとともに、円筒状の加圧ローラ7を、弾性変形させることができる押圧力で剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けた状態を保持しながら、フィルム状封止接着材1の一端から他端まで転動させる手段を、容易、且つ確実に具現化することができる利点がある。
【0046】
また、この実施の形態では、図3の実施の形態と同様に、図4(c)に2点鎖線矢印で示すように、回路基板10を両ガイドローラ8,9間に沿った方向に移動させるようにすれば、加圧ローラ7を静止状態で強制的に回転されることができるので、加圧ローラ7および加圧ヘッド12は単に上下動するだけでよい。さらに、加圧ヘッド12を図4(c)の矢印方向に移動させるとともに、回路基板10を2点鎖線矢印で示す加圧ヘッド12とは逆方向に移動させるようにすれば、剥離フィルム3の剥離に要する時間を短縮することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0047】
図5(a)〜(d)は、本発明の第5の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。この実施の形態では、第1ないし第4の実施の形態で用いた円筒状の加圧ローラ7に代えて、シリコンゴムなどの弾性変形可能な材質により円筒状に形成された弾性押圧部14により外周面が被覆された加圧ローラ13を用いたものであり、加圧ローラ13は、金属などの硬質材料により円筒状に形成されている。剥離フィルム3は、第1の実施の形態と同様の工程を経て剥離される。
【0048】
したがって、この実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、極めて簡単で安価な手段を用いるにも拘わらず、剥離フィルム3を接着剤層2から確実、且つ迅速に剥離することができる効果を得られるのに加えて、加圧ローラ13は、硬質材料により形成されていることから、図5(b)に示すように、剥離用接着フィルム4をフイルム状封止接着材1に押し付けたときに、弾性押圧部14に対し確実に弾性変形させる力を付与することができるとともに、一体物の加圧ローラ7を用いる場合に比較して、剥離用接着フィルム4に対し所要の押圧力を付与した状態を保持しながら転動する動作をスムーズに行うことができる利点がある。
【0049】
図6(a)〜(d)は、本発明の第6の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。この実施の形態が第5の実施の形態と相違するのは、図6(b),(c)に示すように、弾性押圧部14を備えた加圧ローラ13を剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けた状態でフィルム状封止接着材1の一端から他端まで転動させるときに、円筒形状の加圧ローラ7の中空部に冷却用気体11を送給することだけである。
【0050】
したがって、この実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、極めて簡単で安価な手段を用いるにも拘わらず、剥離フィルム3を接着剤層2から確実、且つ迅速に剥離することができる効果が得られるとともに、第5の実施の形態と同様に、一体物の加圧ローラ7を用いる場合に比較して剥離用接着フィルム4に対し所要の押圧力を付与した状態を保持しながら転動する動作をスムーズに行うことができる利点があり、さらに、これらの効果に加えて、回路基板10に仮貼り付けされた直後であって軟化状態のフィルム状封止接着材1が、加圧ローラ13の中空部を流動する冷却用気体11により冷却されて収縮することから、剥離フィルム3が剥離され易い状態となり、剥離フィルム3を接着剤層2から一層確実、且つさらに迅速に剥離することができる。
【0051】
図7(a)〜(d)は、本発明の第7の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。この実施の形態が第6の実施の形態と相違するのは、第3の実施の形態で用いたものと同様の上下動自在、且つ水平移動可能な加圧ヘッド12により、同図(b)に示すように、弾性押圧部14により被覆された加圧ローラ13を剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けたのち、同図(c)に示すように回路基板10に沿った方向に水平移動することによって上記加圧ローラ13を強制的に転動させることだけである。
【0052】
したがって、この実施の形態では、第6の実施の形態の上述したと同様の効果が得られるのに加えて、加圧ローラ13を、これの弾性押圧部14を弾性変形させることができる押圧力で剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けた状態を保持しながら、フィルム状封止接着材1の一端から他端まで転動させる手段を、容易、且つ確実に具現化することかてきる。
【0053】
図8(a)〜(d)は、本発明の第8の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。この実施の形態が第7の実施の形態と相違するのは、図8(b),(c)に示すように、弾性押圧部14が被覆された加圧ローラ13を剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けた状態でフィルム状封止接着材1の一端から他端まで転動させるときに、円筒形状の加圧ローラ7の中空部に冷却用気体11を送給することだけである。
【0054】
したがって、この実施の形態では、第7の実施の形態で説明したと同様の効果が得られるのに加えて、回路基板10に仮貼り付けされた直後であって軟化状態のフィルム状封止接着材1が、加圧ローラ13の中空部を流動する冷却用気体11により冷却されて収縮することから、剥離フィルム3が剥離され易い状態となり、剥離フィルム3を接着剤層2から一層確実、且つさらに迅速に剥離することができる。
【0055】
図9(a)〜(e)は、本発明の第9の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。この実施の形態では、第1の実施の形態である図1(a)〜(d)の各工程を実施するのに先立って、図9(a)に示すように、所定形状に切り出して回路基板10に仮貼り付けされたフィルム状封止接着材1に対しブロー装置17から冷却用気体11を吹きつけるようにしたものであり、そののちに図1(a)〜(d)の各構成と同様の、図9(b)〜(e)の各工程を実施する。
【0056】
この実施の形態では、剥離用接着フィルム4を剥離フィルム3に接着させるのに先立って、フィルム状封止接着材1が、ブロー装置17から吹き付けられる冷却用気体11で冷却されることにより、回路基板10に接着するための軟化状態から収縮する。これにより、剥離フィルム3は接着剤層2から剥離し易い状態となる。したがって、この実施の形態では、第2の実施の形態のように円筒状の加圧ローラ7の中空部に冷却用気体11を送給する場合や、第6の実施の形態のように弾性押圧部14で被覆された円筒状の加圧ローラ13の中空部に冷却用気体11を送給する場合に比較して、軟化状態のフィルム状封止接着材1を効率的に冷却して剥離フィルム3を接着剤層2から一層容易に剥離可能な状態とすることができる。
【0057】
図10(a)〜(e)は、本発明の第10の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。この実施の形態では、第3の実施の形態である図3(a)〜(d)の各工程を実施するのに先立って、図10(a)に示すように、所定形状に切り出して回路基板10に仮貼り付けされたフィルム状封止接着材1に対しブロー装置17から冷却用気体11を吹きつけるようにしたものであり、そののちに図3(a)〜(d)の各構成と同様の図10(b)〜(e)の各工程を実施する。
【0058】
この実施の形態では、剥離用接着フィルム4を剥離フィルム3に接着させるのに先立って、フィルム状封止接着材1が、ブロー装置17から吹き付けられる冷却用気体11で冷却されることにより、回路基板10に接着するための軟化状態から収縮する。これにより、剥離フィルム3は接着剤層2から剥離し易い状態となる。したがって、この実施の形態では、円筒状の加圧ローラ7を、弾性変形させることができる押圧力で剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けた状態を保持しながら、フィルム状封止接着材1の一端から他端まで転動させる手段を、容易、且つ確実に具現化することができる構成を有するものにおいて、第2の実施の形態のように円筒状の加圧ローラ7の中空部に冷却用気体11を送給する場合や、第6の実施の形態のように弾性押圧部14で被覆された円筒状の加圧ローラ13の中空部に冷却用気体11を送給する場合に比較して、軟化状態のフィルム状封止接着材1を効率的に冷却して剥離フィルム3を接着剤層2から一層容易に剥離可能な状態とすることができる。
【0059】
図11(a)〜(e)は、本発明の第11の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。この実施の形態では、第5の実施の形態である図5(a)〜(d)の各工程を実施するのに先立って、図11(a)に示すように、所定形状に切り出して回路基板10に仮貼り付けされたフィルム状封止接着材1に対しブロー装置17から冷却用気体11を吹きつけるようにしたものであり、そののちに図3(a)〜(d)の各構成と同様の図10(b)〜(e)の各工程を実施する。
【0060】
この実施の形態では、剥離用接着フィルム4を剥離フィルム3に接着させるのに先立って、フィルム状封止接着材1が、ブロー装置17から吹き付けられる冷却用気体11で冷却されることにより、回路基板10に接着されたときの軟化状態から収縮する。これにより、剥離フィルム3は接着剤層2から剥離し易い状態となる。したがって、この実施の形態では、弾性押圧部14で被覆された加圧ローラ13を備えていることにより、一体物の加圧ローラ7を用いる場合に比較して剥離用接着フィルム4に対し所要の押圧力を付与した状態を保持しながら転動する動作をスムーズに行うことができる手段を採用する場合において、第2の実施の形態のように円筒状の加圧ローラ7の中空部に冷却用気体11を送給する場合や、第6の実施の形態のように弾性押圧部14で被覆された円筒状の加圧ローラ13の中空部に冷却用気体11を送給する場合に比較して、軟化状態のフィルム状封止接着材1を効率的に冷却して剥離フィルム3を接着剤層2から一層容易に剥離可能な状態とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法は、接着すべき被着体に対応した形状に剥離フィルムを含めて切り出したフィルム状封止接着材を被着体に仮貼り付けたのちに、残存する剥離フィルムを、簡単で安価な手段により、確実、且つ迅速に剥離することができるので、例えば、ICチップなどの半導体素子を回路基板にフィルム状封止接着材を介し熱圧着接合する実装分野などにおいて、剥離フィルムを剥離する用途に適用すれば、多種の半導体素子のサイズ毎に対応した幅に加工された多種類のフィルム状封止接着材を用意する必要がなくなり、フィルム状封止接着材の在庫管理や実装設備の段取り変更時間などが短縮され、生産性の高い半導体素子の実装を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】(a)〜(d)は本発明の第1の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図2】(a)〜(d)は本発明の第2の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図3】(a)〜(d)は本発明の第3の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図4】(a)〜(d)は本発明の第4の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図5】(a)〜(d)は本発明の第5の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図6】(a)〜(d)は本発明の第6の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図7】(a)〜(d)は本発明の第7の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図8】(a)〜(d)は本発明の第8の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図9】(a)〜(e)は本発明の第9の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図10】(a)〜(e)は本発明の第10の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図11】(a)〜(e)は本発明の第11の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図12】(a),(b)は何れも従来のフィルム状封止接着材を切断加工する工程を示す概略断面図。
【図13】(a),(b)は従来のフィルム状封止接着材の剥離フィルムを剥離する過程を工程順に示した概略断面図。
【符号の説明】
【0063】
1 フイルム状封止接着材
2 接着材層
3 剥離フィルム
4 剥離用接着フィルム
7 加圧ローラ
10 回路基板(被着体)
11 冷却用気体
12 加圧ヘッド
13 加圧ローラ
14 弾性押圧部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体チップを回路基板上にフィルム状封止接着材を介して接着させる実装工法を実施する際に、接着剤層と剥離フィルムとが貼着されてなるフィルム状封止接着材を、所要の形状に切断して、接着剤層を回路基板に接着したのちに、接着剤層から剥離フィルムを剥離する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、電子回路基板は、あらゆる電気機器に使用されるようになり、その性能も日増しに向上し、回路基板上に用いられる周波数も高くなっており、インピーダンスが低くなるフリップチップ実装は高周波を使用する電子機器に適した実装方法になっている。また、携帯機器の増加から、回路基板にICチップをパッケージ化することなくチップのまま搭載するフリップチップ実装が求められている。
【0003】
近年、種々の被着体を相互に接着するに際しては、接着剤層と剥離フィルムを剥離可能に仮貼付けしてなるフィルム状封止接着材が使用されている。このフィルム状封止接着材は、実装工程の生産性の向上を目的として、所定の幅を有する長尺状の形態として扱われることが多い。したがって、長尺状のフィルム状封止接着材は、接着すべき被着体の形状に対応した長さに切断加工する必要があり、この切断加工に際しては、図12(a)または(b)に示すような手段が採用されている。
【0004】
すなわち、図12(a)の切断加工方法は、接着剤層2と剥離フィルム3とが剥離可能に仮貼着されてなる長尺状のフィルム状封止接着材1が、接着剤層2が下側に位置する配置とした状態で、矢印で示す図の右方へ向け移送されながら、所定位置で移送を停止されて、転写ヘッド44が下降してその下方に突設されたチップ47により剥離フィルム3を介して接着剤層2が受台48上の転写紙部材49に押し付けられることにより、接着剤層2におけるチップ47で押圧された一部分が熱圧着により転写紙部材49上に転写される。これにより、剥離フィルム3は切断されることなく、接着剤層2のみは、所定の間隔で一部分が除去された切断部2aが形成されることにより、所定の長さに切断される。
【0005】
図12(b)の切断加工方法は、接着剤層2と剥離フィルム3とが剥離可能に仮貼着されてなる長尺状のフィルム状封止接着材1が、接着剤層2が下側に位置する配置とした状態で、図の右方へ向け移送されながら、所定位置で移送を停止されて、高温に加熱された切断用ツール50が接着剤層2に押し付けられることにより、接着剤層2の切断用ツール50が押し付けられた一部分が溶断されて、接着剤層2が所定の寸法に切断される。
【0006】
上述のように接着剤層2が所定長さに切断されたフィルム状封止接着材1は、図13(a)に示すように、図の右方に移送されて、接着剤層2における所要の長さに切断された部分が回路基板10の所定位置に達した時点で移送が停止される。上記所定長さの接着剤層2は、これに位置決め状態で対向された貼り付けツール51により回路基板10上に加熱しながら加圧されることにより、仮貼り付けされる。この仮貼り付けは、接着剤層2が硬化反応を起こさず、且つ軟化を起こさせる温度、例えば40〜100℃に設定して加熱することにより行なわれる。つぎに、切断されることなく長尺形状を維持している剥離フィルム3は、図13(b)に示すように、所定間隔に配設された二つのローラ53,54により剥離フィルム3を両側から挟んだ剥離用機構52が接着剤層2に沿って矢印で示すように図の左方に向け移動することにより、接着剤層2から剥離され、そののち、巻き取りリール(図示せず)に巻き取られる。このようなフィルム状封止接着材1を用いた実装工法としては、接着剤層2に導電粒子を混入させた異方性導電フィルムを用いたACF工法が広く実用されるようになってきた(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
ところで、上述の従来のフィルム状封止接着材1の切断加工方法では、生産性の向上を目的として、長尺形状としたフィルム状封止接着材1を、これの長手方向に沿った一方向に向け移送しながら、接着剤層2の一部分を溶断または転写により除去する工程を経て切断するようにしているので、長尺形状の接着剤層2における長手方向に対し直交する幅寸法の大小により適応できる被着体が限定されてしまう。そのため、形状の異なる多品種の被着体に対しタイムリーに対応するためには、長尺形状のフィルム状封止接着材1として、接着すべき被着体の形状に対応した幅寸法を有する多くの種類のものを用意する必要があるため、これら多種類のフィルム状封止接着材1の保管や管理が煩雑となるだけでなく、接着すべき被着体の種類が変わる毎に行うフィルム状封止接着材1の交換作業の頻度が高くなって生産性が低下してしまう。
【0008】
そこで、従来では、比較的大きな形状のフィルム状封止接着材を、被着体に対応した所要形状に剥離フィルムごと切り出して、回路基板などの被着体に仮貼り付けする工法も採用されている。この工法では、被着体に仮貼り付けされた所定形状のフィルム状封止接着材に残存している剥離フィルムを如何に剥離するかが課題となる。従来では、被着体に接着しているフィルム状封止接着材に押え板を当接させた状態で、フィルム状封止接着材の端部に爪を差し込み、その押え板と爪とを用いて剥離フィルムを挟み、挟み込んだ部分を引っ張ることにより、剥離フィルムを剥離する剥離装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3150347号号公報
【特許文献1】特開平7−315682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記剥離装置では、被着体に接着しているフィルム状封止接着材の外表面、すなわち押え板の当接面を基準とし、その基準面から剥離フィルムの厚さ以下の距離だけ下方位置の被着体側に爪を差し込むことによって押え板と爪とで剥離フィルムを挟むようになっているので、剥離フィルムを剥がし終えるまでに比較的時間がかかるだけでなく、剥離フィルムを挟むのに失敗する不具合が発生するおそれがある。また、上記剥離装置は、構成の複雑化に伴って高価なものとなる。
【0010】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、所定形状に切り出して被着体に仮貼り付けされたフィルム状封止接着材の剥離フィルムを、簡単で安価な手段により、確実、且つ迅速に剥離することができるフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法は、接着剤層の少なくとも一面に剥離フィルムが剥離可能に貼り付けられてなるフィルム状封止接着材が、任意の形状に切り出して被着体に前記接着剤層により仮貼り付けされ、剥離用接着フィルムの粘着面を、弾性変形可能な加圧ローラにより前記剥離フィルムに押し付けて接着させたのち、前記加圧ローラを、弾性変形した状態を保持しながら、前記剥離用接着フィルムが前記剥離フィルムの全面に接するように転動させて、前記剥離フィルムを前記剥離用接着フィルムに接着して前記接着剤層から剥離することを特徴としている。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、加圧ローラを、加圧ヘッドにより剥離用接着フィルムを介し剥離フィルムに押し付けて弾性変形させたのち、前記加圧ヘッドをフィルム状封止接着材の表面に沿った方向に移動させて前記加圧ローラを強制的に転動させるようにした。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1または2の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、加圧ローラを、加圧ヘッドにより剥離用接着フィルムを介し剥離フィルムに押し付けて弾性変形させたのち、前記加圧ヘッドと被着体との少なくとも一方を、前記加圧ローラを転動または回転させながら相対移動させるようにした。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3の何れか一項の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、弾性変形可能な加圧ローラとして、筒状のものを用いて、前記加圧ローラにより剥離用接着フィルムを剥離フィルムに押し付けたときに、前記加圧ローラの中空部に冷却用気体を送給して、この冷却用気体によりフィルム状封止接着材を冷却するようにした。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1ないし3の何れか一項の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、加圧ローラにより剥離用接着フィルムを剥離フィルムに押し付るのに先立って、被着体に仮貼り付けされているフィルム状封止接着材を、冷却用気体を吹き付けて冷却するようにした。
【0016】
請求項6に係る発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法は、接着剤層の少なくとも一面に剥離フィルムが剥離可能に貼り付けられてなるフィルム状封止接着材が、任意の形状に切り出して被着体に前記接着剤層により仮貼り付けされ、剥離用接着フィルムの粘着面を、弾性変形可能な円筒状の弾性押圧部が外周面に嵌着されてなる加圧ローラにより前記剥離フィルムに押し付けて接着させたのち、前記加圧ローラを、前記弾性押圧部が弾性変形した状態を保持しながら、前記剥離用接着フィルムが前記剥離フィルムの全面に接するように転動させて、前記剥離フィルムを前記剥離用接着フィルムに接着して前記接着剤層から剥離することを特徴としている。
【0017】
請求項7に係る発明は、請求項6の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、加圧ローラを、加圧ヘッドにより剥離用接着フィルムを介し剥離フィルムに押し付けて弾性押圧部を弾性変形させたのち、前記加圧ヘッドをフィルム状封止接着材の表面に沿った方向に移動させて前記加圧ローラを強制的に転動させるようにした。
【0018】
請求項8の発明は、請求項6または7の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、加圧ローラを、加圧ヘッドにより剥離用接着フィルムを介し剥離フィルムに押し付けて弾性押圧部を弾性変形させたのち、前記加圧ヘッドと被着体との少なくとも一方を、前記加圧ローラを転動または回転させながら相対移動させるようにした。
【0019】
請求項9の発明は、請求項6ないし8の何れか一項の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、弾性押圧部で外周面が被覆された加圧ローラとして、筒状のものを用いて、前記加圧ローラにより剥離用接着フィルムを剥離フィルムに押し付けたときに、前記加圧ローラの中空部に冷却用気体を送給して、この冷却用気体により前記弾性押圧部を介しフィルム状封止接着材を冷却するようにした。
【0020】
請求項10の発明は、請求項6ないし8の何れか一項の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、弾性押圧部を備えた加圧ローラにより剥離用接着フィルムを剥離フィルムに押し付るのに先立って、被着体に仮貼り付けされているフィルム状封止接着材を、冷却用気体を吹き付けて冷却するようにした。
【0021】
請求項11に係る発明は、請求項1ないし10の何れか一項の発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法において、剥離用接着フィルムを、剥離フィルムを接着させて剥離したのちに、一方向に移送して巻き取ることにより回収するようにした。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る発明によれば、剥離用接着フィルムを弾性変形が可能な加圧ローラで剥離フィルム上に押し付けたのち、加圧ローラを剥離フィルムの全面に転動させるだけの極めて簡単で安価な手段を用いるにも拘わらず、剥離フィルムを接着剤層から確実、且つ迅速に剥離することができる。また、弾性変形した加圧ローラにより、剥離用接着フィルムと剥離フィルムとの接触面積が拡がるので、剥離用接着フィルムを剥離フィルムに効果的に接着できる。
【0023】
請求項2に係る発明によれば、加圧ローラを、弾性変形させることができる押圧力で剥離用接着フィルムを介しフィルム状封止接着材に押し付けた状態を保持しながら、フィルム状封止接着材の一端から他端まで転動させる手段を、容易、且つ確実に具現化することかできる。
【0024】
請求項3に係る発明によれば、被着体を移動させるようにすれば、加圧ローラを静止状態で強制的に回転されることができるので、加圧ローラおよび加圧ヘッドは単に上下動するだけでよい。さらに、加圧ヘッドおよび被着体を互いに逆方向に移動させるようにすれば、剥離フィルムの剥離に要する時間を短縮することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0025】
請求項4に係る発明によれば、被着体に仮貼り付けされた直後であって軟化状態のフィルム状封止接着材が、加圧ローラの中空部を流動する冷却用気体により冷却されて収縮することから、剥離フィルムが剥離され易い状態となり、剥離フィルムを接着剤層から一層確実、且つさらに迅速に剥離することができる。
【0026】
請求項5に係る発明によれば、剥離用接着フィルムを剥離フィルムに接着させるのに先立って、フィルム状封止接着材が、冷却用気体で冷却されることにより、被着体に接着するための軟化状態から収縮して、剥離フィルムは接着剤層から剥離し易い状態となるから、軟化状態のフィルム状封止接着材を効率的に冷却して剥離フィルムを接着剤層から一層容易に剥離可能な状態とすることができる。
【0027】
請求項6に係る発明によれば、硬質材料により形成した加圧ローラを用いることが可能であり、この加圧ローラにより剥離用接着フィルムをフイルム状封止接着材に押し付けたときに、硬質材料からなる加圧ローラにより弾性押圧部に対し確実に弾性変形させる力を付与することができるとともに、一体物の弾性変形可能な加圧ローラを用いる場合に比較して、剥離用接着フィルムに対し所要の押圧力を付与した状態を保持しながら転動する動作をスムーズに行うことができる利点がある。
【0028】
請求項7に係る発明によれば、加圧ローラを、これの弾性押圧部を弾性変形させることができる押圧力で剥離用接着フィルムを介しフィルム状封止接着材に押し付けた状態を保持しながら、フィルム状封止接着材の一端から他端まで転動させる手段を、容易、且つ確実に具現化することができる。
【0029】
請求項8に係る発明によれば、弾性押圧部で外周面が被覆された加圧ローラを用いる場合においても、被着体を移動させるようにすれば、加圧ローラを静止状態で強制的に回転されることができるので、加圧ローラおよび加圧ヘッドは単に上下動するだけでよい。さらに、加圧ヘッドをおよび被着体を互いに逆方向に移動させるようにすれば、剥離フィルムの剥離に要する時間を短縮することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0030】
請求項9に係る発明によれば、弾性押圧部で外周面が被覆された加圧ローラを用いる場合においても、被着体に仮貼り付けされた直後であって軟化状態のフィルム状封止接着材が、加圧ローラの中空部を流動する冷却用気体により冷却されて収縮することから、剥離フィルムが剥離され易い状態となり、剥離フィルムを接着剤層から一層確実、且つさらに迅速に剥離することができる。
【0031】
請求項10に係る発明によれば、弾性押圧部で外周面が被覆された加圧ローラを用いる場合においても、剥離用接着フィルムを剥離フィルムに接着させるのに先立って、フィルム状封止接着材が、冷却用気体で冷却されることにより、被着体に接着するための軟化状態から収縮して、剥離フィルムは接着剤層から剥離し易い状態となるから、軟化状態のフィルム状封止接着材を効率的に冷却して剥離フィルムを接着剤層から一層容易に剥離可能な状態とすることができる。
【0032】
請求項11に係る発明によれば、剥離用接着フィルムは、剥離フィルムを接着して除外したのちに、巻き取りリールなどに巻き取られて回収されるので、剥離フィルムの剥離工程を簡素化しながらも能率的に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1(a)〜(d)は、本発明の第1の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。図1(a)に示すように、回路基板10におけるICチップなどの電子部品の実装位置には、当該電子部品に対応した形状に切り出されたフィルム状封止接着材1が、保護フィルムを剥がして、それにより露出した接着剤層2を介して接着されている。フィルム状封止接着材1の上方位置には、図の下面側にのみ粘着層が設けられた長尺状の剥離用接着フィルム4が、二つのガイドローラ8,9間に架け渡されて、回路基板10に平行に保持されている。上記剥離用接着フィルム4は、供給リール(図示せず)から繰り出されて、巻き取りリール(図示せず)に巻き取られるようになっているが、両ガイドローラ8,9間の部分は、上方からの押圧力を受けたときに下方に繰り出される程度の軽いテンションを付与した状態で弾性的に保持されている。
【0034】
剥離用接着フィルム4の上方には、弾性変形可能な円筒状の加圧ローラ7が上下動自在、且つ水平移動可能に保持されている。加圧ローラ7または回路基板10は、図1(a)に明示するように、フィルム状封止接着材1の端部の上方に加圧ローラ7が対向する相対位置に位置決めされる。その状態で、図1(b)に示すように、加圧ローラ7が下降して剥離用接着フィルム4の下面の粘着層をフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3上に押し付けて、両者を接着させる。このとき、加圧ローラ7は、比較的大きな押圧力を受けて弾性変形するので、この弾性変形した加圧ローラ7により、剥離用接着フィルム4と剥離フィルム3との接触面積が拡がり、剥離用接着フィルム4が剥離フィルム3に効率的に接着される。
【0035】
つぎに、図1(c)に示すように、加圧ローラ7は、剥離用接着フィルム4を剥離フィルム3に押し付けた状態で回転されながら、回路基板10に沿って水平方向に転動されていく。これにより、剥離フィルム3は、一端側から他端側に向けて剥離用接着フィルム4に接着されていくとともに、加圧ローラ7の移動に伴い一端側から接着剤層2より剥離されていく。
【0036】
図1(d)に示すように、剥離フィルム3の全体が剥離用接着フィルム4に接着された時点で、加圧ローラ7が元の高さ位置まで上昇し、剥離フィルム3が接着された剥離用接着フィルム4は、加圧ローラ7からの押圧力が解除されて、自体に付与されているテンションにより接着剤層2の上方に離間して両ガイドローラ8,9間に張架状態となったのち、巻き取りリールに巻き取られて回収されていく。
【0037】
上記実施の形態では、剥離用接着フィルム4を弾性変形が可能な加圧ローラ7で剥離フィルム3上に押し付けたのち、加圧ローラ7を剥離フィルム3の一端から他端までの間を転動させるだけの極めて簡単で安価な手段を用いるにも拘わらず、剥離フィルム3を接着剤層2から確実、且つ迅速に剥離することができる。また、剥離用接着フィルム4は、剥離フィルム3を接着して除外したのちに、巻き取りリールに巻き取られて回収されるので、この点からも剥離フィルム3の剥離工程を簡素化しながらも能率的に行える。
【0038】
なお、この第1の実施の形態の各工程は、後述する第2ないし第11の実施の形態に対する基本となるものであり、したがって、第2ないし第11の実施の形態では、冗長な説明となるのを避けるために、剥離用接着フィルム4を剥離フィルム3に接着させて剥離する作用についての説明を省略する。
【0039】
図2(a)〜(d)は、本発明の第2の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。同図において、図1と同一若しくは同等のものには同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この実施の形態が第1の実施の形態と相違するのは、図2(b),(c)に示すように、加圧ローラ7を剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けた状態でフィルム状封止接着材1の一端から他端まで転動させるときに、円筒形状の加圧ローラ7の中空部に冷却用気体11を送給することだけである。なお、冷却用気体11としては、空気を用いるのが好ましい。
【0040】
したがって、この実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、極めて簡単で安価な手段を用いるにも拘わらず、剥離フィルム3を接着剤層2から確実、且つ迅速に剥離することができる効果を得られるのに加えて、回路基板10に仮貼り付けされた直後であって軟化状態のフィルム状封止接着材1が、加圧ローラ7の中空部を流動する冷却用気体11によっり冷却されて収縮することから、剥離フィルム3が剥離され易い状態となり、剥離フィルム3を接着剤層2から一層確実、且つさらに迅速に剥離することができる。
【0041】
図3(a)〜(d)は、本発明の第3の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。同図において、図1と同一若しくは同等のものには同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この実施の形態が第1の実施の形態と相違するのは、上下動自在、且つ水平移動可能な加圧ヘッド12により、同図(b)に示すように弾性変形が可能な加圧ローラ7を剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けたのち、同図(c)に示すように回路基板10に沿った方向に水平移動することによって加圧ローラ7を強制的に転動させることだけである。
【0042】
したがって、この実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、極めて簡単で安価な手段を用いるにも拘わらず、剥離フィルム3を接着剤層2から確実、且つ迅速に剥離することができる効果を得られるのに加えて、円筒状の加圧ローラ7を、弾性変形させることができる押圧力で剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けた状態を保持しながら、フィルム状封止接着材1の一端から他端まで転動させる手段を、容易、且つ確実に具現化することができる。
【0043】
また、この実施の形態では、図2(c)に2点鎖線矢印で示すように、回路基板10を両ガイドローラ8,9間に沿った方向に移動させるようにすれば、加圧ローラ7を静止状態で強制的に回転されることができるので、加圧ローラ7および加圧ヘッド12は単に上下動するだけでよい。さらに、加圧ヘッド12を図3(c)の矢印方向に移動させるとともに、回路基板10を2点鎖線矢印で示す加圧ヘッド12とは逆方向に移動させるようにすれば、剥離フィルム3の剥離に要する時間を短縮することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0044】
図4(a)〜(d)は、本発明の第4の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。この実施の形態では、第2の実施の形態における円筒状の加圧ローラ7の中空部に冷却用気体11を送給する工程と、第3の実施の形態における加圧ヘッド12により加圧ローラ7を弾性変形する状態に押圧し、且つ強制的に転動させる工程との双方を採用したものである。
【0045】
したがって、この実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、極めて簡単で安価な手段を用いるにも拘わらず、剥離フィルム3を接着剤層2から確実、且つ迅速に剥離することができる効果を得られるのに加えて、加圧ローラ7の中空部を流動する冷却用気体11によって剥離フィルム3を剥離し易い状態とすることができるとともに、円筒状の加圧ローラ7を、弾性変形させることができる押圧力で剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けた状態を保持しながら、フィルム状封止接着材1の一端から他端まで転動させる手段を、容易、且つ確実に具現化することができる利点がある。
【0046】
また、この実施の形態では、図3の実施の形態と同様に、図4(c)に2点鎖線矢印で示すように、回路基板10を両ガイドローラ8,9間に沿った方向に移動させるようにすれば、加圧ローラ7を静止状態で強制的に回転されることができるので、加圧ローラ7および加圧ヘッド12は単に上下動するだけでよい。さらに、加圧ヘッド12を図4(c)の矢印方向に移動させるとともに、回路基板10を2点鎖線矢印で示す加圧ヘッド12とは逆方向に移動させるようにすれば、剥離フィルム3の剥離に要する時間を短縮することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0047】
図5(a)〜(d)は、本発明の第5の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。この実施の形態では、第1ないし第4の実施の形態で用いた円筒状の加圧ローラ7に代えて、シリコンゴムなどの弾性変形可能な材質により円筒状に形成された弾性押圧部14により外周面が被覆された加圧ローラ13を用いたものであり、加圧ローラ13は、金属などの硬質材料により円筒状に形成されている。剥離フィルム3は、第1の実施の形態と同様の工程を経て剥離される。
【0048】
したがって、この実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、極めて簡単で安価な手段を用いるにも拘わらず、剥離フィルム3を接着剤層2から確実、且つ迅速に剥離することができる効果を得られるのに加えて、加圧ローラ13は、硬質材料により形成されていることから、図5(b)に示すように、剥離用接着フィルム4をフイルム状封止接着材1に押し付けたときに、弾性押圧部14に対し確実に弾性変形させる力を付与することができるとともに、一体物の加圧ローラ7を用いる場合に比較して、剥離用接着フィルム4に対し所要の押圧力を付与した状態を保持しながら転動する動作をスムーズに行うことができる利点がある。
【0049】
図6(a)〜(d)は、本発明の第6の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。この実施の形態が第5の実施の形態と相違するのは、図6(b),(c)に示すように、弾性押圧部14を備えた加圧ローラ13を剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けた状態でフィルム状封止接着材1の一端から他端まで転動させるときに、円筒形状の加圧ローラ7の中空部に冷却用気体11を送給することだけである。
【0050】
したがって、この実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、極めて簡単で安価な手段を用いるにも拘わらず、剥離フィルム3を接着剤層2から確実、且つ迅速に剥離することができる効果が得られるとともに、第5の実施の形態と同様に、一体物の加圧ローラ7を用いる場合に比較して剥離用接着フィルム4に対し所要の押圧力を付与した状態を保持しながら転動する動作をスムーズに行うことができる利点があり、さらに、これらの効果に加えて、回路基板10に仮貼り付けされた直後であって軟化状態のフィルム状封止接着材1が、加圧ローラ13の中空部を流動する冷却用気体11により冷却されて収縮することから、剥離フィルム3が剥離され易い状態となり、剥離フィルム3を接着剤層2から一層確実、且つさらに迅速に剥離することができる。
【0051】
図7(a)〜(d)は、本発明の第7の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。この実施の形態が第6の実施の形態と相違するのは、第3の実施の形態で用いたものと同様の上下動自在、且つ水平移動可能な加圧ヘッド12により、同図(b)に示すように、弾性押圧部14により被覆された加圧ローラ13を剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けたのち、同図(c)に示すように回路基板10に沿った方向に水平移動することによって上記加圧ローラ13を強制的に転動させることだけである。
【0052】
したがって、この実施の形態では、第6の実施の形態の上述したと同様の効果が得られるのに加えて、加圧ローラ13を、これの弾性押圧部14を弾性変形させることができる押圧力で剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けた状態を保持しながら、フィルム状封止接着材1の一端から他端まで転動させる手段を、容易、且つ確実に具現化することかてきる。
【0053】
図8(a)〜(d)は、本発明の第8の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。この実施の形態が第7の実施の形態と相違するのは、図8(b),(c)に示すように、弾性押圧部14が被覆された加圧ローラ13を剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けた状態でフィルム状封止接着材1の一端から他端まで転動させるときに、円筒形状の加圧ローラ7の中空部に冷却用気体11を送給することだけである。
【0054】
したがって、この実施の形態では、第7の実施の形態で説明したと同様の効果が得られるのに加えて、回路基板10に仮貼り付けされた直後であって軟化状態のフィルム状封止接着材1が、加圧ローラ13の中空部を流動する冷却用気体11により冷却されて収縮することから、剥離フィルム3が剥離され易い状態となり、剥離フィルム3を接着剤層2から一層確実、且つさらに迅速に剥離することができる。
【0055】
図9(a)〜(e)は、本発明の第9の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。この実施の形態では、第1の実施の形態である図1(a)〜(d)の各工程を実施するのに先立って、図9(a)に示すように、所定形状に切り出して回路基板10に仮貼り付けされたフィルム状封止接着材1に対しブロー装置17から冷却用気体11を吹きつけるようにしたものであり、そののちに図1(a)〜(d)の各構成と同様の、図9(b)〜(e)の各工程を実施する。
【0056】
この実施の形態では、剥離用接着フィルム4を剥離フィルム3に接着させるのに先立って、フィルム状封止接着材1が、ブロー装置17から吹き付けられる冷却用気体11で冷却されることにより、回路基板10に接着するための軟化状態から収縮する。これにより、剥離フィルム3は接着剤層2から剥離し易い状態となる。したがって、この実施の形態では、第2の実施の形態のように円筒状の加圧ローラ7の中空部に冷却用気体11を送給する場合や、第6の実施の形態のように弾性押圧部14で被覆された円筒状の加圧ローラ13の中空部に冷却用気体11を送給する場合に比較して、軟化状態のフィルム状封止接着材1を効率的に冷却して剥離フィルム3を接着剤層2から一層容易に剥離可能な状態とすることができる。
【0057】
図10(a)〜(e)は、本発明の第10の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。この実施の形態では、第3の実施の形態である図3(a)〜(d)の各工程を実施するのに先立って、図10(a)に示すように、所定形状に切り出して回路基板10に仮貼り付けされたフィルム状封止接着材1に対しブロー装置17から冷却用気体11を吹きつけるようにしたものであり、そののちに図3(a)〜(d)の各構成と同様の図10(b)〜(e)の各工程を実施する。
【0058】
この実施の形態では、剥離用接着フィルム4を剥離フィルム3に接着させるのに先立って、フィルム状封止接着材1が、ブロー装置17から吹き付けられる冷却用気体11で冷却されることにより、回路基板10に接着するための軟化状態から収縮する。これにより、剥離フィルム3は接着剤層2から剥離し易い状態となる。したがって、この実施の形態では、円筒状の加圧ローラ7を、弾性変形させることができる押圧力で剥離用接着フィルム4を介しフィルム状封止接着材1に押し付けた状態を保持しながら、フィルム状封止接着材1の一端から他端まで転動させる手段を、容易、且つ確実に具現化することができる構成を有するものにおいて、第2の実施の形態のように円筒状の加圧ローラ7の中空部に冷却用気体11を送給する場合や、第6の実施の形態のように弾性押圧部14で被覆された円筒状の加圧ローラ13の中空部に冷却用気体11を送給する場合に比較して、軟化状態のフィルム状封止接着材1を効率的に冷却して剥離フィルム3を接着剤層2から一層容易に剥離可能な状態とすることができる。
【0059】
図11(a)〜(e)は、本発明の第11の実施の形態に係るフィルム状封止接着材1の剥離フィルム3の剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図である。この実施の形態では、第5の実施の形態である図5(a)〜(d)の各工程を実施するのに先立って、図11(a)に示すように、所定形状に切り出して回路基板10に仮貼り付けされたフィルム状封止接着材1に対しブロー装置17から冷却用気体11を吹きつけるようにしたものであり、そののちに図3(a)〜(d)の各構成と同様の図10(b)〜(e)の各工程を実施する。
【0060】
この実施の形態では、剥離用接着フィルム4を剥離フィルム3に接着させるのに先立って、フィルム状封止接着材1が、ブロー装置17から吹き付けられる冷却用気体11で冷却されることにより、回路基板10に接着されたときの軟化状態から収縮する。これにより、剥離フィルム3は接着剤層2から剥離し易い状態となる。したがって、この実施の形態では、弾性押圧部14で被覆された加圧ローラ13を備えていることにより、一体物の加圧ローラ7を用いる場合に比較して剥離用接着フィルム4に対し所要の押圧力を付与した状態を保持しながら転動する動作をスムーズに行うことができる手段を採用する場合において、第2の実施の形態のように円筒状の加圧ローラ7の中空部に冷却用気体11を送給する場合や、第6の実施の形態のように弾性押圧部14で被覆された円筒状の加圧ローラ13の中空部に冷却用気体11を送給する場合に比較して、軟化状態のフィルム状封止接着材1を効率的に冷却して剥離フィルム3を接着剤層2から一層容易に剥離可能な状態とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法は、接着すべき被着体に対応した形状に剥離フィルムを含めて切り出したフィルム状封止接着材を被着体に仮貼り付けたのちに、残存する剥離フィルムを、簡単で安価な手段により、確実、且つ迅速に剥離することができるので、例えば、ICチップなどの半導体素子を回路基板にフィルム状封止接着材を介し熱圧着接合する実装分野などにおいて、剥離フィルムを剥離する用途に適用すれば、多種の半導体素子のサイズ毎に対応した幅に加工された多種類のフィルム状封止接着材を用意する必要がなくなり、フィルム状封止接着材の在庫管理や実装設備の段取り変更時間などが短縮され、生産性の高い半導体素子の実装を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】(a)〜(d)は本発明の第1の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図2】(a)〜(d)は本発明の第2の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図3】(a)〜(d)は本発明の第3の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図4】(a)〜(d)は本発明の第4の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図5】(a)〜(d)は本発明の第5の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図6】(a)〜(d)は本発明の第6の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図7】(a)〜(d)は本発明の第7の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図8】(a)〜(d)は本発明の第8の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図9】(a)〜(e)は本発明の第9の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図10】(a)〜(e)は本発明の第10の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図11】(a)〜(e)は本発明の第11の実施の形態に係るフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法を具現化した剥離過程を工程順に示した概略断面図。
【図12】(a),(b)は何れも従来のフィルム状封止接着材を切断加工する工程を示す概略断面図。
【図13】(a),(b)は従来のフィルム状封止接着材の剥離フィルムを剥離する過程を工程順に示した概略断面図。
【符号の説明】
【0063】
1 フイルム状封止接着材
2 接着材層
3 剥離フィルム
4 剥離用接着フィルム
7 加圧ローラ
10 回路基板(被着体)
11 冷却用気体
12 加圧ヘッド
13 加圧ローラ
14 弾性押圧部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤層の少なくとも一面に剥離フィルムが剥離可能に貼り付けられてなるフィルム状封止接着材が、任意の形状に切り出して被着体に前記接着剤層により仮貼り付けされ、
剥離用接着フィルムの粘着面を、弾性変形可能な加圧ローラにより前記剥離フィルムに押し付けて接着させたのち、前記加圧ローラを、弾性変形した状態を保持しながら、前記剥離用接着フィルムが前記剥離フィルムの全面に接するように転動させて、前記剥離フィルムを前記剥離用接着フィルムに接着して前記接着剤層から剥離することを特徴とするフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項2】
加圧ローラを、加圧ヘッドにより剥離用接着フィルムを介し剥離フィルムに押し付けて弾性変形させたのち、前記加圧ヘッドをフィルム状封止接着材の表面に沿った方向に移動させて前記加圧ローラを強制的に転動させるようにした請求項1に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項3】
加圧ローラを、加圧ヘッドにより剥離用接着フィルムを介し剥離フィルムに押し付けて弾性変形させたのち、前記加圧ヘッドと被着体との少なくとも一方を、前記加圧ローラを転動または回転させながら相対移動させるようにした請求項1または2に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項4】
弾性変形可能な加圧ローラとして、筒状のものを用いて、前記加圧ローラにより剥離用接着フィルムを剥離フィルムに押し付けたときに、前記加圧ローラの中空部に冷却用気体を送給して、この冷却用気体によりフィルム状封止接着材を冷却するようにした請求項1ないし3の何れか一項に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項5】
加圧ローラにより剥離用接着フィルムを剥離フィルムに押し付るのに先立って、被着体に仮貼り付けされているフィルム状封止接着材を、冷却用気体を吹き付けて冷却するようにした請求項1ないし3の何れか一項に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項6】
接着剤層の少なくとも一面に剥離フィルムが剥離可能に貼り付けられてなるフィルム状封止接着材が、任意の形状に切り出して被着体に前記接着剤層により仮貼り付けされ、
剥離用接着フィルムの粘着面を、弾性変形可能な円筒状の弾性押圧部が外周面に嵌着されてなる加圧ローラにより前記剥離フィルムに押し付けて接着させたのち、前記加圧ローラを、前記弾性押圧部が弾性変形した状態を保持しながら、前記剥離用接着フィルムが前記剥離フィルムの全面に接するように転動させて、前記剥離フィルムを前記剥離用接着フィルムに接着して前記接着剤層から剥離することを特徴とするフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項7】
加圧ローラを、加圧ヘッドにより剥離用接着フィルムを介し剥離フィルムに押し付けて弾性押圧部を弾性変形させたのち、前記加圧ヘッドをフィルム状封止接着材の表面に沿った方向に移動させて前記加圧ローラを強制的に転動させるようにした請求項6に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項8】
加圧ローラを、加圧ヘッドにより剥離用接着フィルムを介し剥離フィルムに押し付けて弾性押圧部を弾性変形させたのち、前記加圧ヘッドと被着体との少なくとも一方を、前記加圧ローラを転動または回転させながら相対移動させるようにした請求項6または7に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項9】
弾性押圧部で外周面が被覆された加圧ローラとして、筒状のものを用いて、前記加圧ローラにより剥離用接着フィルムを剥離フィルムに押し付けたときに、前記加圧ローラの中空部に冷却用気体を送給して、この冷却用気体により前記弾性押圧部を介しフィルム状封止接着材を冷却するようにした請求項6ないし8の何れか一項に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項10】
弾性押圧部を備えた加圧ローラにより剥離用接着フィルムを剥離フィルムに押し付るのに先立って、被着体に仮貼り付けされているフィルム状封止接着材を、冷却用気体を吹き付けて冷却するようにした請求項6ないし8の何れか一項に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項11】
剥離用接着フィルムを、剥離フィルムを接着させて剥離したのちに、一方向に移送して巻き取ることにより回収するようにした請求項1ないし10の何れか一項に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項1】
接着剤層の少なくとも一面に剥離フィルムが剥離可能に貼り付けられてなるフィルム状封止接着材が、任意の形状に切り出して被着体に前記接着剤層により仮貼り付けされ、
剥離用接着フィルムの粘着面を、弾性変形可能な加圧ローラにより前記剥離フィルムに押し付けて接着させたのち、前記加圧ローラを、弾性変形した状態を保持しながら、前記剥離用接着フィルムが前記剥離フィルムの全面に接するように転動させて、前記剥離フィルムを前記剥離用接着フィルムに接着して前記接着剤層から剥離することを特徴とするフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項2】
加圧ローラを、加圧ヘッドにより剥離用接着フィルムを介し剥離フィルムに押し付けて弾性変形させたのち、前記加圧ヘッドをフィルム状封止接着材の表面に沿った方向に移動させて前記加圧ローラを強制的に転動させるようにした請求項1に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項3】
加圧ローラを、加圧ヘッドにより剥離用接着フィルムを介し剥離フィルムに押し付けて弾性変形させたのち、前記加圧ヘッドと被着体との少なくとも一方を、前記加圧ローラを転動または回転させながら相対移動させるようにした請求項1または2に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項4】
弾性変形可能な加圧ローラとして、筒状のものを用いて、前記加圧ローラにより剥離用接着フィルムを剥離フィルムに押し付けたときに、前記加圧ローラの中空部に冷却用気体を送給して、この冷却用気体によりフィルム状封止接着材を冷却するようにした請求項1ないし3の何れか一項に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項5】
加圧ローラにより剥離用接着フィルムを剥離フィルムに押し付るのに先立って、被着体に仮貼り付けされているフィルム状封止接着材を、冷却用気体を吹き付けて冷却するようにした請求項1ないし3の何れか一項に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項6】
接着剤層の少なくとも一面に剥離フィルムが剥離可能に貼り付けられてなるフィルム状封止接着材が、任意の形状に切り出して被着体に前記接着剤層により仮貼り付けされ、
剥離用接着フィルムの粘着面を、弾性変形可能な円筒状の弾性押圧部が外周面に嵌着されてなる加圧ローラにより前記剥離フィルムに押し付けて接着させたのち、前記加圧ローラを、前記弾性押圧部が弾性変形した状態を保持しながら、前記剥離用接着フィルムが前記剥離フィルムの全面に接するように転動させて、前記剥離フィルムを前記剥離用接着フィルムに接着して前記接着剤層から剥離することを特徴とするフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項7】
加圧ローラを、加圧ヘッドにより剥離用接着フィルムを介し剥離フィルムに押し付けて弾性押圧部を弾性変形させたのち、前記加圧ヘッドをフィルム状封止接着材の表面に沿った方向に移動させて前記加圧ローラを強制的に転動させるようにした請求項6に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項8】
加圧ローラを、加圧ヘッドにより剥離用接着フィルムを介し剥離フィルムに押し付けて弾性押圧部を弾性変形させたのち、前記加圧ヘッドと被着体との少なくとも一方を、前記加圧ローラを転動または回転させながら相対移動させるようにした請求項6または7に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項9】
弾性押圧部で外周面が被覆された加圧ローラとして、筒状のものを用いて、前記加圧ローラにより剥離用接着フィルムを剥離フィルムに押し付けたときに、前記加圧ローラの中空部に冷却用気体を送給して、この冷却用気体により前記弾性押圧部を介しフィルム状封止接着材を冷却するようにした請求項6ないし8の何れか一項に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項10】
弾性押圧部を備えた加圧ローラにより剥離用接着フィルムを剥離フィルムに押し付るのに先立って、被着体に仮貼り付けされているフィルム状封止接着材を、冷却用気体を吹き付けて冷却するようにした請求項6ないし8の何れか一項に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【請求項11】
剥離用接着フィルムを、剥離フィルムを接着させて剥離したのちに、一方向に移送して巻き取ることにより回収するようにした請求項1ないし10の何れか一項に記載のフィルム状封止接着材の剥離フィルムの剥離方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−160376(P2006−160376A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−349448(P2004−349448)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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