説明

フェノキシアルキルエステルを含む化粧用および皮膚用製剤

【課題】活性成分に関して良好な溶解性を有する皮膚軟化剤の提供。
【解決手段】次式(I)


で示されるフェノキシアルキルエステルの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用、皮膚用または医薬品製剤を調製するための、C6〜C12アルキルおよびシクロアルキルカルボン酸のフェノキシアルキルエステルの使用に関する。フェノキシアルキルエステルは、良好な感覚特性を製剤に与え、活性成分、特に有機UV光防護フィルタおよびデオドラントまたは制汗剤活性成分に関する非常に良好な溶解特性を特徴とする。
【背景技術】
【0002】
スキンケアおよびヘアケア用の化粧品エマルジョンの分野では、消費者によって数多くの要求がなされており、意図される用途を決定する清浄およびケアの効果とは別に、最も高い可能性の皮膚科学的適合性、良好な再脂肪化特性、エレガントな外観、最適な感覚的印象、および保存安定性などの、多様なパラメータに重点が置かれている。
【0003】
ヒトの皮膚および毛髪の清浄およびケアに使用される調製物は、一般に、多数の表面活性物質と別に、脂質および水性の相を含む。脂質相/皮膚軟化剤としては、例えば、炭化水素、エステル油、ならびに植物および動物の油/脂肪/蝋も使用される。感覚特性および最適な皮膚科学的適合性に関する市場の高い要求を満足させるために、新しい皮膚軟化剤および乳化剤が、絶え間なく開発され試験され続けている。
【0004】
さらに、特に天然および人工光源の紫外線部分(UV−A 320〜390nm;UV−B 280〜320nm;UV−C 100または200〜280nm)は、比較的大量であると、ヒトの皮膚にダメージをもたらすことが知られている。
【0005】
UV−A放射線は、主に皮膚の老化(表皮の薄化、および結合組織の変性、色素障害)をもたらすのに対し、UV−BおよびUV−Cは、日焼けおよび皮膚癌をもたらす。
【0006】
しかし、特に近年変化してきたレジャー時の行動、例えば外に長時間滞在すること、特に「健康的な日焼け」を実現するための広範囲に及ぶ日光浴は、医学的知見というバックグラウンドに反して、色素形成を通じた皮膚の自然な保護メカニズムおよび角質層の肥厚化を通じた日光慣れに欠けていることを認めており、このことが強力なUV放射線に対する適正な保護の必要性をはるか前面に押し出している。これは、南極のオゾン層の減少および希薄化と、それに伴う地表でのUV−AおよびUV−B放射線の強度の増大とに関する議論によって、著しく強化された。
【0007】
これは、近年の、日焼け防止指数(SPF)が高い製品の回転率の上昇から明らかである。これらは主に、競合物(サンミルク、サンオイル)と比べると依然として古典的な日焼け止めであり、その主に意図される用途は日光浴である。だが、昼夜を隔てずに用いられるクリーム、コンディショナー、ローション(ハイドロ、リポ)ゲル、(リップ)スティックおよびスプレーなどの顔、身体および毛髪用のいわゆるケア製品、医薬品製剤、ならびに、それほどではないが、主に油および液体、クリーム状または軟膏状/ペースト状のW/OおよびO/Wエマルジョンの形で市販されている装飾用化粧品が、増加しつつある。
【0008】
光防護因子LSFまたはSPFは、製品の日光による日焼けを防止する能力を表す係数である。したがって、因子が60の光防護は、日焼けが起こるまで、因子30の製品の2倍の長さの時間、防護を行い、因子20の製品の3倍の長さの時間、防護する。
【0009】
これらの比較的高い光防護因子は、ほとんどの場合、製剤中のUV光防護フィルタの濃度を高めることによって、もたらされる。
【0010】
1995年以来、光防護因子は、同じ国際標準(COLIPA)に従って測定されており、異なる製造業者の製品同士の比較が可能である。
【0011】
広範囲に及ぶ頻度の高い用途の場合、高濃度フィルタ(製剤の約3〜30重量%)をグラム単位の量で皮膚に塗布することは無視できない。しかし、このような量のフィルタ物質は、均質かつ安定な手法で、製剤に溶解し、かつ組み込んでおかなければならない。
【0012】
これらの物質を溶解するために、フィルタ物質に良好な溶解力を有する油状成分が、しばしば使用される。したがって、とりわけ、特定のエステル油が使用される。使用される一の化合物種は、脂肪族安息香酸エステルである。この化合物種の典型的な代表例は、UV光防護フィルタ用の溶媒として特にしばしば使用される、化合物C12〜C15アルキルベンゾエートである。
【0013】
UV−B放射線から保護するために、数多くの化合物が知られており;これらはほとんどが、3−ベンジリデンカンファー、4−アミノ安息香酸、ケイ皮酸、サリチル酸、ベンゾフェノン、および2−フェニル−ベンズイミダゾールの誘導体でもある。
【0014】
また、約320nm〜約400nmの間の範囲、いわゆるUV−A領域では、その放射線がダメージを引き起こす可能性もあるので、利用可能なフィルタ物質を有することが重要である。このように、UV−A放射線は、結合組織の弾性でコラーゲン状の線維にダメージをもたらして皮膚の老化を早期に引き起こすこと、ならびに数多くの光毒性および光アレルギー反応の原因と見なされることが判明した。UV−B放射線の有害な影響は、UV−A放射線によって増強される可能性がある。
【0015】
UV−Bフィルタは、トリス(2−エチルヘキシル)4,4’,4”−(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリイミノ)トリスベンゾエートであり、その同義として、2,4,6−トリス[アニリノ(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)]−1,3,5−トリアジン(INCI名:エチルヘキシルトリアゾン)である。このUV−Bフィルタ物質は、UVINUL(登録商標)T150という商標名でBASF AGから販売されており、良好なUV吸収特性および良好な光安定性を特徴とする。
【0016】
このUV−Bフィルタの主な欠点は、脂質への溶解性が乏しいことである。例えば、パルミチン酸イソプロピル、ジカプリリルエーテル、イソヘキサデカン、ブチレングリコールジカプリレート/ジカプレートなどの通常用いられる溶媒は、このフィルタを最大でも約10重量%溶解することができ、この値は、最終製剤中に溶解した、したがって活性のあるUV光防護フィルタ物質約1〜1.5重量%に相当するものである。
【0017】
DE2519433は、土壌菌類阻害剤として使用される2−フェノキシエチルエステルについて述べている。
【0018】
さらに、フェノキシエチルエステルは、the journals Plasticheskie Massy(1974)、第5巻、第58〜60頁、およびAzerbaidzhanskii Khimicheskii Zhurnal(1968)、第6巻、第122〜123頁において、PVCの潜在的な可塑剤であるとされる。
【0019】
フェノキシエチルイソ酪酸エステル(略称: PEIB、CAS No.103−60−6)は、香料および食品添加物として使用され、FEMA No.2873を有する。この化合物は、米国食品医薬品局(FDA)からGRAS(全体的に安全と認識される)の地位を得ており、したがって、食品分野で安全性の承認を受けている。
【0020】
フェノキシアルキルエステルの調製は、当業者に知られている方法によって行われる。このエステルは、例えばフェノキシアルキルアルコールを、C6〜C12アルキルおよびシクロアルキルカルボン酸を用いてエステル化することによって調製することができる。前記調製は、フェノキシアルキルアルコールを、C6〜C12アルキルおよびシクロアルキルカルボン酸エステル、特にメチル、エチル、またはイソプロピルエステルを用いてエステル交換することによって、同様に行うことができる。
【0021】
フェノキシアルキルアルコールの例は、2−フェノキシエタノールおよびフェノキシプロパノールである。市販のフェノキシプロパノールは、1−フェノキシ−2−プロパノール(CAS No.770−35−4)と2−フェノキシ−1−プロパノール(CAS No.4169−04−4)との混合物であることが多い。
【0022】
C6〜C12アルキルおよびシクロアルキルカルボン酸の例は、カプロン酸(ヘキサン酸)、シクロペンタンカルボン酸、2−メチルペンタン酸、ヘプタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、カプリル酸(オクタン酸)、2−エチルヘキサン酸、ソルビン酸、ペラルゴン酸(ノナン酸)、イソノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、カプリン酸、2−プロピルヘプタン酸、イソデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸(ドデカン酸)、2−ブチルオクタン酸、またはこれらのカルボン酸の混合物である。
【0023】
エステル交換は、100〜300℃の温度で、触媒と共に、または触媒なしで実施することができる。適切な触媒は、特に、ルイス酸またはブレンステッド酸である。特に好ましい触媒は、例えばパラ−トルエンスルホン酸などのスルホン酸、例えばシュウ酸スズ、酸化スズ、二酢酸ジブチルスズ、酸化ジブチルスズまたはラウリン酸ジブチルスズなどのスズ化合物、ならびに、例えばチタン酸テトラプロピル、チタン酸テトライソプロピルまたはチタン酸テトラブチルなどのチタン化合物である。
【0024】
エステル化またはエステル交換によって得られた生成物の匂いは、容易に揮発する構成成分を除去することによって、即ち通常は、蒸留、水蒸気ストリッピングまたは気体ストリッピングおよび脱臭に関する他の方法によって、必要に応じ改善することができる。このため、前記生成物は、50〜200℃および0〜1013mbarで処理される。例えばEP1585801に記載されている吸着剤も、匂いを改善するのに使用することができる。
【0025】
色は同様に、適切な場合には、過酸化水素、亜塩素酸ナトリウム、次亜リン酸での処理、および当業者に知られているその他の方法を通じて、改善することができる。その例は、とりわけUS2005/0008586に記載されている。
【0026】
本発明によれば、「C6〜C12アルキルおよびシクロアルキルカルボン酸」という用語は、6以上12以下の炭素数を有する全てのカルボン酸を包含する。脂肪族、飽和、モノおよびポリ不飽和、直鎖状、分岐状および環状のカルボン酸も共に包含される。その例は、カプロン酸、シクロペンタンカルボン酸、2−メチルペンタン酸、ヘプタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ソルビン酸、イソノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、カプリン酸、2−プロピルヘプタン酸、イソデカン酸、ウンデカン酸、ウンデシレン酸、2−ブチルオクタン酸である。
【0027】
本発明によれば、「誘導体」という用語は、基本的な化学構造に対して、同じ構造要素を有するが異なる置換基を保持している、構造的に密接に関連した誘導体を意味すると理解すべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的は、色、匂いおよび皮膚感触などの良好な感覚特性の他に、活性物質、特に、例えばトリアジンなどの有機UV光防護フィルタ、さらにはデオドラントおよび制汗剤の活性成分に関しても良好な溶解性を有する、皮膚軟化剤を提供することであった。
【0029】
明示されていない別の目的は、以下の説明、実施例、さらには特許請求の範囲の文脈からも生じる。
【課題を解決するための手段】
【0030】
驚くべきことに、C6〜C12アルキルおよびシクロアルキルカルボン酸のフェノキシアルキルエステルは、これらの要件を満たすことがわかった。
【0031】
本発明は、化粧用、皮膚用または医薬品製剤を調製するための、C6〜C12アルキルおよびシクロアルキルカルボン酸のフェノキシアルキルエステルの使用を提供する。
【0032】
本発明はさらに、C6〜C12アルキルおよびシクロアルキルカルボン酸のフェノキシアルキルエステルを含む、化粧用、皮膚用または医薬品製剤を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
C6〜C12アルキルおよびシクロアルキルカルボン酸のフェノキシアルキルエステルの、本発明による使用と、C6〜C12アルキルおよびシクロアルキルカルボン酸の本発明によるフェノキシアルキルエステルを含む製剤とについて、本発明をこれらの実施形態に如何様にも限定することなく、例として以下に記載する。範囲、一般式、または化合物の種類が以下に示される場合、これらは、明確に記載されている化合物の対応する範囲または群だけではなく、個々の値(範囲)または化合物を除去することによって得ることができる化合物の全ての部分範囲および部分群も包含するものとする。文献が本発明の記載の文脈に引用される場合、その意図は、当該文献の内容が全体として本発明の開示の一部を形成することである。本発明の文脈において、例えば、異なる単位を数回有することができる有機変性ポリシロキサンなどの化合物が記載される場合、これらはその化合物において、ランダムな分布で(ランダムオリゴマー)、または配列されて(ブロックオリゴマー)、生じてよい。そのような化合物における単位数に関する詳細は、対応する化合物の全てを平均した平均値を意味すると理解すべきである。他に指示のない限り、記載されるパーセント(%)の全ては、質量パーセントである。
【0034】
使用されるC6〜C12アルキルおよびシクロアルキルカルボン酸のフェノキシアルキルエステルは、以下の文章において、一般式(I)の少なくとも1種の物質である。
【0035】
【化1】


式中、Rは、非分岐状または分岐状の飽和または不飽和C5〜11アルキルまたはシクロアルキル基であり、
およびRは、互いに独立して同一または異なり、水素またはメチルであり、
は、a=1〜5の場合、互いに独立して同一または異なり、H、F、Cl、アルキル、またはフルオロアルキル基、CN、CO、OH、OR、OCR、NR、NO、SOの群から選択され、但し、R〜Rは、互いに独立して同一または異なり、H、アルキル、またはフルオロアルキル基の群から選択される。
【0036】
Aが、その他とは独立して同一または異なり、H、F、アルキル基、CN、OH、ORの群から選択され、但し、前記アルキル基が、特に好ましくはメチルおよびエチルである一般式(I)の物質を使用することが好ましい。
【0037】
さらに、R〜Rが互いに独立して同一または異なり、Hまたはアルキル基であり、但し、前記アルキル基が好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチルであり、特に好ましくはメチルおよびエチルである、一般式(I)の物質を使用することが好ましい。
【0038】
a=1であり、特に好ましくはa=1かつA=Hである一般式(I)の物質を使用することが好ましい。
【0039】
好ましくは、酸の酸基の基OOC−Rは、カプロン酸、シクロペンタンカルボン酸、2−メチルペンタン酸、ヘプタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ソルビン酸、ペラルゴン酸、イソノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、カプリン酸、2−プロピルヘプタン酸、イソデカン酸、ウンデカン酸、ウンデシレン酸、および2−ブチルオクタン酸と、これらのカルボン酸の少なくとも2種を含む混合物との群から選択され、カプリル酸、シクロヘキサンカルボン酸およびペラルゴン酸が特に好ましい。
【0040】
およびRの好ましい組合せは、
=R=H、
=H、R=メチル、
=メチル、R=H、
およびこれらの組合せ、
の群から選択され、R=R=Hが特に好ましい。
【0041】
これらの基は、フェノキシアルキルエステルの合成で使用されるフェノキシアルキルアルコール、例えば2−フェノキシエタノールおよびフェノキシプロパノールなどによって決定される。
【0042】
市販のフェノキシプロパノールは、1−フェノキシ−2−プロパノール(CAS No.770−35−4)と2−フェノキシ−1−プロパノール(CAS No.4169−04−4)との混合物であることが多い。
【0043】
一般式(I)の特に好ましい化合物は、下記の通りである。
【0044】
【化2】

【0045】
【化3】

【0046】
本発明によれば、化粧用、皮膚用または医薬品製剤、特に日焼け止め剤またはデオドラント/制汗剤を調製するために、一般式(I)の少なくとも1種の物質が使用される。
【0047】
好ましくは、フェノキシアルキルエステルの混合物も使用することができる。
【0048】
化粧用、皮膚用または医薬品製剤は、例えば、
皮膚軟化剤、
乳化剤および界面活性剤、
増粘剤/粘度調節剤/安定化剤、
UV光防護フィルタ、
抗酸化剤およびビタミン、
ヒドロトロープ(またはポリオール)、
固形分および充填剤、
被膜形成剤、
真珠光沢のある添加剤、
デオドラントおよび制汗活性成分、
防虫剤、
セルフタンニング剤、
保存剤、
コンディショナー、
香料、
色素、
生体活性成分、
ケア添加剤、
過脂肪剤、
溶媒
の群から選択された少なくとも1種の追加の成分を含むことができる。
【0049】
使用することができる皮膚軟化剤は、全て化粧用の油であり、特に、2〜44個の炭素原子を有する直鎖状および/または分岐状のモノおよび/またはジカルボン酸と、1〜22個の炭素原子を有する直鎖状および/または分岐状の飽和または不飽和アルコールとの、モノまたはジエステルである。同様に、2〜36個の炭素原子を有する脂肪族二官能性アルコールと、1〜22個の炭素原子を有する一官能性脂肪族カルボン酸とのエステル化生成物を使用することが可能である。例えば、安息香酸のエステル、例えば1〜22個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の飽和または不飽和アルコールの安息香酸エステル、あるいは安息香酸イソステアリルや安息香酸オクチルドデシルなどの、長鎖アリール酸エステルも適切である。さらに、皮膚軟化剤および油成分として適切なモノエステルは、例えば、12〜22個の炭素原子を有する脂肪酸のメチルエステルおよびイソプロピルエステル、例えば、ラウリン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピルなどである。その他の適切なモノエステルは、例えば、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、パルミチン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシルと、テクニカルグレードの脂肪族アルコールカットおよびテクニカルグレードの脂肪族カルボン酸の混合物から得ることが可能なエステル、例えば、12〜22個の炭素原子を有する不飽和脂肪アルコールと12〜22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪酸とのエステルであり、動物および植物脂肪から得られるようなものである。しかし、例えばホホバ油やマッコウクジラ油中に存在するように、天然に生ずるモノエステルおよび/または蝋エステルの混合物も適切である。適切なジカルボン酸エステルは、例えば、アジピン酸ジ−n−ブチル、セバシン酸ジ−n−ブチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、コハク酸ジ(2−ヘキシルデシル)、アゼライン酸ジイソトリデシルである。適切なジオールエステルは、例えば、エチレングリコールジオレエート、エチレングリコールジイソトリデカノエート、プロピレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)、ジイソステアリン酸ブタンジオール、ジカプリル酸/カプリン酸ブタンジオール、およびネオペンチルグリコールジカプリレートである。皮膚軟化剤として使用することができるその他の脂肪酸エステルは、例えば、C12〜15アルキル安息香酸エステル、炭酸ジカプリリル、炭酸ジエチルヘキシルである。同様に使用することができる皮膚軟化剤および油成分は、長鎖トリグリセリド、即ち、グリセロールと3個の酸分子とのトリプルエステルであって、その少なくとも1つが比較的長鎖のものである。例として、脂肪酸トリグリセリドを本明細書に挙げることができ;使用可能であるそのような例は、例えばオリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、ピーナツ油、菜種油、アーモンド油、ゴマ油、アボカド油、ヒマシ油、ココアバター、ヤシ油のみならず、ココナツ油またはパーム核油の液体画分といった天然の植物油、また、例えばサメ肝油、タラ肝油、鯨油、牛脂およびバター脂肪などの動物油、蜜蝋、カルナバヤシ蝋、鯨蝋、ラノリンおよびクロー油などの蝋、牛脂の液体画分、さらにはカプリル/カプリン酸混合物の合成トリグリセリド、テクニカルグレードのオレイン酸のトリグリセリド、イソステアリン酸のトリグリセリド、または皮膚軟化剤および油成分としてのパルミチン酸/オレイン酸混合物から得られるものである。さらに、炭化水素、特に液体パラフィンおよびイソパラフィンも、使用することができる。使用することができる炭化水素の例は、パラフィン油、イソヘキサデカン、ポリデセン、ワセリン、流動パラフィン、スクアラン、セレシンである。さらに、オレイルアルコールやオクチルドデカノールなどの直鎖状または分岐状の脂肪アルコール、およびジカプリリルエーテルなどの脂肪アルコールエーテルを使用することも可能である。適切なシリコーン油およびシリコーンワックスは、例えば、ポリジメチルシロキサン、シクロメチルシロキサン、およびアリールもしくはアルキルもしくはアルコキシ置換ポリメチルシロキサンまたはシクロメチルシロキサンでもある。適切なその他の油体は、例えば6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールをベースにしたGuerbetアルコール、直鎖状C6〜C22脂肪酸と直鎖状C6〜C22脂肪アルコールとのエステル、分岐状C6〜C13カルボン酸と直鎖状C6〜C22脂肪酸アルコールとのエステル、直鎖状C6〜C22脂肪酸と分岐状C8〜C18アルコール、特に2−エチルヘキサノールまたはイソノナノールとのエステル、分岐状C6〜C13カルボン酸と分岐状アルコール、特に2−エチルヘキサノールまたはイソノナノールとのエステル、直鎖状および/または分岐状脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ジメルジオール、またはトリメルトリオールなど)および/またはGuerbetアルコールとのエステル、C6〜C10脂肪酸をベースにしたトリグリセリド、C6〜C18脂肪酸をベースにした液体モノ/ジ/トリグリセリド混合物、C6〜C22脂肪アルコールおよび/またはGuerbetアルコールと芳香族カルボン酸、特に安息香酸とのエステル、植物油、分岐状第1級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖状C6〜C22脂肪アルコールカーボネート、Guerbetカーボネート、安息香酸と直鎖状および/または分岐状C6〜C22アルコールとのエステル(例えば、Finsolv(商標) TN)、ジアルキルエーテル、エポキシド化脂肪酸エステルとポリオールとの開環生成物、シリコーン油、ならびに/あるいは脂肪族またはナフテン系炭化水素である。
【0050】
使用してもよい乳化剤または界面活性剤は、非イオン、陰イオン、陽イオン、または両性界面活性剤である。
【0051】
使用することができる非イオン性乳化剤または界面活性剤は、下記の群の少なくとも1種から得られる化合物である:
8〜22個の炭素原子を有する直鎖状脂肪アルコール、12〜22個の炭素原子を有する脂肪酸、ならびにアルキル基中に8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールへの、エチレンオキシド2〜100モルおよび/またはプロピレンオキシド0〜5モルの付加生成物、
グリセロールへの、エチレンオキシド1〜100モルの付加生成物の、C12/18脂肪酸モノおよびジエステル、
6〜22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪酸の、グリセロールモノおよびジエステルとソルビタンモノおよびジエステルと、それらのエチレンオキシド付加生成物、
アルキル基中に8〜22個の炭素原子を有するアルキルモノおよびオリゴグリコシドと、それらのエチレンオキシド付加生成物、
ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油への、エチレンオキシド2〜200モルの付加生成物、
直鎖状、分岐状、不飽和または飽和C〜C22脂肪酸、リシノール酸および12−ヒドロキシステアリン酸、ならびにグリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えば、セルロース)をベースにした部分エステル、
モノ、ジ、およびトリアルキルホスフェートと、モノ、ジ、および/またはトリ−PEGアルキルホスフェートと、それらの塩、
例えば、PEG/PPG−20/6ジメチコン、PEG/PPG−20/20ジメチコン、ビス−PEG/PPG−20/20ジメチコン、PEG−12またはPEG−14ジメチコン、PEG/PPG−14/4または4/12または20/20または18/18または17/18または15/15などの、ポリシロキサン−ポリエーテルコポリマー(ジメチコンコポリオール)、
ポリシロキサン−ポリアルキル−ポリエーテルコポリマーおよび対応する誘導体、例えば、ラウリルまたはセチルジメチコンコポリオールなど、特にセチルPEG/PPG−10/1ジメチコン(ABIL(登録商標) EM 90(Evonik Goldschmidt GmbH))、
DE1165574に記載されているペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステル、ならびに/または、6〜22個の炭素原子を有する脂肪酸、メチルグルコース、および、例えばグリセロールやポリグリセロールなどのポリオールの混合エステル、
例えばグリセリルステアレートシトレート、グリセリルオレエートシトレートおよびクエン酸ジラウリルなどのクエン酸エステル。
【0052】
陰イオン乳化剤または界面活性剤は、例えばカルボキシレート、スルフェート、スルホネートまたはホスホネート基などの水可溶化陰イオン基と、親油性基とを含有することができる。皮膚適合性陰イオン界面活性剤は、その多数が当業者に知られており、市販されている。本明細書では、これらは、そのアルカリ金属、アンモニウムまたはアルカノールアンモニウム塩の形をとるアルキルスルフェートまたはアルキルホスフェート、そのアルカリ金属またはアンモニウム塩の形をとるアルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルサルコシネート、およびスルホスクシネートおよびアシルグルタメートでよい。
【0053】
陽イオン乳化剤および界面活性剤も、添加することができる。使用することができるものは、特に、第4級アンモニウム化合物であり、特に、8〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの直鎖状および/または分岐状の飽和または不飽和アルキル鎖を備えたものであり、例えば塩化もしくは臭化セチルトリメチルアンモニウムまたは塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムなどのアルキルトリメチルアンモニウムハロゲン化物だけでなく、例えば塩化ジステアリルジメチルアンモニウムなどのジアルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物もある。
【0054】
さらに、例えば塩化パルミトアミドプロピルトリメチルアンモニウムなどのモノアルキルアミドクアットや、対応するジアルキルアミドクアットを使用することができる。
【0055】
さらに、容易に生分解可能な第4級エステル化合物を使用することができ;これらは、モノ、ジ、またはトリエタノールアミンをベースにした4級化脂肪酸エステルであってもよい。さらに、アルキルグアニジニウム塩を、陽イオン乳化剤として添加することができる。
【0056】
穏やかな、即ち特に皮膚適合性のある界面活性剤の、典型的な例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェート、硫酸モノグリセリド、モノおよび/またはジアルキルスルホスクシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタメート、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタイン、ならびに/あるいはタンパク質脂肪酸縮合体であり、後者は例えば、小麦タンパク質をベースにする。
【0057】
さらに、例えばベタイン、アンホアセテートまたはアンホプロピオネートなど、したがって例えばN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネートなど、例えばココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネートおよび2−アルキル−3−カルボキシ−メチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリンであって、それぞれの場合に8〜18個の炭素原子をアルキルまたはアシル基中に有する物質、ならびにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートなどの両性界面活性剤も使用することが可能である。
【0058】
両性界面活性剤の中で、分子中のC8/C18アルキルまたはアシル基とは別に、少なくとも1個の遊離アミノ基と少なくとも1個の−COOHまたは−SOH基とを含有し、かつ内部塩を形成することが可能であるような、表面活性化合物を使用することが可能である。適切な両性界面活性剤の例は、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミノジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸、およびアルキルアミノ酢酸であって、それぞれの場合に8〜18個の炭素原子をアルキル基中に有するものである。両性界面活性剤のその他の例は、N−ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネート、およびC12/18アシルサルコシンである。
【0059】
適切な増粘剤は、例えば、多糖、特にキサンタンガム、グアーガム、寒天、アルギネートおよびチロース、ならびにカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、さらには比較的高い分子量の、脂肪酸のポリエチレングリコールモノおよびジエステル、ポリアクリレート(例えば、Carbopols(商標)またはSynthalens(商標))、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン、例えばエトキシル化脂肪酸グリセリドなどの界面活性剤、例えばペンタエリスリトールやトリメチロールプロパンなどの脂肪酸とポリオールとのエステル、狭い相同分布を有する脂肪アルコールエトキシレートまたはオリゴグルコシド、さらには塩化ナトリウムや塩化アンモニウムなどの電解質である。
【0060】
増粘油相に適した増粘剤は、当業者に知られている全ての増粘剤である。特に、本明細書では、水素化ヒマシ蝋、蜜蝋、またはマイクロワックスなどの蝋が挙げられる。さらに、シリカ、アルミナ、またはシート状シリケート(例えば、ヘクトライト、ラポナイト、サポナイト)などの無機増粘剤も使用することができる。これに関しては、これらの無機油相増粘剤を疎水的に変性させてもよい。油中水エマルジョン、特にアエロシルの増粘化/安定化では、シート状シリケートならびに/あるいは脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムおよび/またはステアリン酸亜鉛、あるいはリシノール酸マグネシウム、リシノール酸アルミニウムおよび/またはリシノール酸亜鉛などを、本明細書で使用することができる。
【0061】
存在してもよい水性界面活性剤系用の粘度調節剤は、例えば、NaCl、ココアミドDEA/MEAやラウレス−3などの低分子量非イオン性界面活性剤、または、PEG−200水素化グリセリルパルメートなどの、ポリマー性、高分子量、結合性の、高度にエトキシル化された脂肪誘導体である。
【0062】
使用することができるUV光防護フィルタは、例えば、紫外線を吸収することができかつ吸収されたエネルギーをより長い波長の放射線の形で、例えば熱の形で再び放つ、有機物質である。UVBフィルタは、油溶性または水溶性でよい。油溶性UVB光防護フィルタの例は:
3−ベンジリデンカンファーおよびその誘導体、例えば3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、
4−アミノ安息香酸誘導体、例えば、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル、および4−(ジメチルアミノ)安息香酸アミルなど、
ケイ皮酸のエステル、例えば4−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、4−メトキシケイ皮酸イソペンチル、2−シアノ−3−フェニルケイ皮酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン)など、
サリチル酸のエステル、例えばサリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸4−イソプロピルベンジル、サリチル酸ホモメンチルなど、
ベンゾフェノンの誘導体、例えば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなど、
ベンザルマロン酸のエステル、例えば4−メトキシベンズマロン酸ジ−2−エチルヘキシルなど、
トリアジン誘導体、例えば2,4,6−トリアニリノ(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジンなど、
オクチルトリアゾンと、EP1180359およびDE2004/02475に記載されているもの、
プロパン−1,3−ジオン、例えば1−(4−t−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンなど、
である。
【0063】
適切な水溶性UVB光防護フィルタは:
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、ならびにそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム、およびグルクアンモニウムの塩、
ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、例えば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、およびその塩など、
3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸および2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデン)−スルホン酸、ならびにそれらの塩など、
である。
【0064】
適切かつ典型的なUVA光防護フィルタは、特に、ベンゾイルメタンの誘導体、例えば1−(4’−t−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)−プロパン−1,3−ジオン、または1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)−プロパン−1,3−ジオンなどである。UV−AおよびUV−Bフィルタも、当然ながら混合物中で使用することができる。
【0065】
特定された可溶性物質の他に、不溶性顔料、即ち細かく分散した金属の酸化物または塩、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリケート(タルク)、硫酸バリウムおよびステアリン酸亜鉛なども、この目的に適している。本明細書の粒子は、100nm未満の平均直径、例えば5〜50nmの間、特に15〜30nmの間の平均直径を有するべきである。これらは、球形を有することができるが、楕円形を有しまたは球形から何らかの手法でずれている形状を有する粒子を使用することも、可能である。比較的新しい種類の光防護フィルタは、例えば50%強度の水性分散液として得ることが可能な、例えば粒度が200nm未満の2,2’−メチレンビス{6−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール}などの微粉化有機顔料である。
【0066】
その他の適切なUV光防護フィルタは、P.FinkelのSOFW−Journal 122,543(1996)の概説に見出すことができる。
【0067】
主なUV光防護フィルタの、前述の2つのグループの他に、UV放射線が皮膚に侵入したときに引き起こされる光化学連鎖反応を妨げる、酸化防止剤タイプの2次的な光防護剤を使用することも可能である。
【0068】
使用することができる酸化防止剤およびビタミンは、例えば、超過酸化物−ジスムターゼ、トコフェロール(ビタミンE)、ソルビン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロールのその他のエーテル、ジブチルヒドロキシトルエン、ならびにアスコルビン酸(ビタミンC)およびその塩、さらにはそれらの誘導体(例えば、マグネシウムアスコルビルホスフェート、ナトリウムアスコルビルホスフェート、ソルビン酸アスコルビル)、脂肪酸のアスコルビルエステル、ブチル化ヒドロキシ安息香酸およびその塩、例えば過酸化水素などの過酸化物、過ホウ酸塩、チオグリコレート、過硫酸塩、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(TROLOX.RTM)、没食子酸およびそのアルキルエステル、尿酸ならびにその塩およびアルキルエステル、ソルビン酸およびその塩、リポ酸、フェルラ酸、アミン(例えば、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、アミノグアニジン)、スルフヒドリル化合物(例えば、グルタチオン)、ジヒドロキシ−フマル酸およびその塩、ピドロ酸グリシン、ピドロ酸アルギニン、ノルジヒドログアイアレチン酸、ビオフラボノイド、クルクミン、リシン、L−メチオニン、プロリン、過酸化物ジスムターゼ、シリマリン、茶抽出物、グレープフルーツの皮/種抽出物、メラニン、ローズマリー抽出物、チオオクタン酸、レスベラトロール、オキシレスベラトロールなどである。
【0069】
流動挙動および付着特性を改善するのに使用することができるヒドロトロープは、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、またはポリオールである。本明細書に適したポリオールは、2〜15個の炭素原子および少なくとも2個のヒドロキシル基を有することができる。典型的な例は:
グリセロールアルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、およびポリエチレングリコールなどであって、平均分子量が100〜1000ダルトンであるもの、
自己縮合度が1.5〜10のテクニカルグレードのオリゴグリセロール混合物、例えば、ジグリセロール含量が40〜50重量%のテクニカルグレードのジグリセロール混合物、特にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトールなどのメチロール化合物、例えばメチルおよびブチルグルコシドなどの特に1〜4個の炭素原子をアルキル基中に有するものである低級アルキルグルコシド、例えばソルビトールまたはマンニトールなどの5〜12個の炭素原子を有する糖アルコール、例えばグルコースまたはスクロースなどの5〜12個の炭素原子を有する糖、例えばグルカミンなどのアミノ糖である。
【0070】
使用することができる固形分は、例えば、酸化鉄顔料、二酸化チタンまたは酸化亜鉛粒子、および「UV防護剤」としてさらに特定されたものである。さらに、例えばナイロン−12、窒化ホウ素、例えばポリアクリレートやポリメチルアクリレート粒子などのポリマー粒子、またはシリコーンエラストマーなどの、特殊な感覚作用をもたらす粒子を使用することも可能である。使用することができる充填剤には、タピオカデンプン、リン酸架橋デンプン、アルミニウムデンプンまたはナトリウムデンプンなどの、デンプンおよびデンプン誘導体、コハク酸オクテニル、および主にUVフィルタ効果も着色効果も発揮しない顔料、例えばAerosils(登録商標)(CAS No.7631−86−9)が含まれる。
【0071】
例えば耐水性を改善するのに使用することができる、被膜形成剤の例は、ポリウレタン、ジメチコン、コポリオール、ポリアクリレート、またはPVP/VAコポリマー(PVP=ポリビニルピロリドン、VA=酢酸ビニル)である。使用することができる脂溶性被膜形成剤は、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)をベースにしたポリマー、ポリビニルピロリドンのコポリマー、PVP/ヘキサデカンコポリマー、またはPVP/エイコセンコポリマーである。
【0072】
使用可能な真珠光沢のある添加剤は、例えば、ジステアリン酸グリコールまたはジステアリン酸PEG−3である。
【0073】
適切なデオドラント活性成分は、例えば、通常の香料成分などの匂い消し、匂い吸収剤、例えば、特許公開明細書DE4009347に記載されているシート状シリケートであり、これらの中でも特に、モンモリロナイト、カオリナイト、イライト、ベイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト、スメクタイトであり、さらには例えばリシノール酸の亜鉛塩である。抗菌剤も同様に、組み込むのに適している。抗菌物質は、例えば、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(Irgasan)、1,6−ジ−(4−クロロフェニルビグアニド)ヘキサン(クロロヘキシジン)、3,4,4’−トリクロロカルボニリド、第4級アンモニウム化合物、丁子油、ハッカ油、タイム油、クエン酸トリエチル、ファルネソール(3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエン−1−オール)、エチルヘキシルグリセリルエーテル、カプリル酸ポリグリセリル−3(TEGO(登録商標) Cosmo P813, Evonik Goldschmidt GmbH)、および特許公開明細書DE19855934、DE3740186、DE3938140、DE4204321、DE4229707、DE4229737、DE4238081、DE4309372、DE4324219、およびEP666732に記載されている、有効な薬剤である。
【0074】
使用してもよい制汗剤活性成分は、収斂薬、例えば、アルミニウムクロロハイドレート(「ACH」)およびアルミニウムジルコニウムグリシン塩(「ZAG」)などの塩基性塩化アルミニウムである。
【0075】
使用してもよい防虫剤は、例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド、1,2−ペンタンジオール、またはInsect Repellent 3535である。
【0076】
使用することができるセルフタンニング剤は、例えば、ジヒドロキシアセトンおよびエリスルロースである。
【0077】
使用することができる保存剤は、例えば、1種または複数種のアルキルパラベンエステルとフェノキシエタノールとの混合物である。アルキルパラベンエステルは、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、および/またはブタンパラベンである。フェノキシエタノールの代わりに、例えばベンジルアルコールやエタノールなどのその他のアルコールを使用することも可能である。さらに、その他の通常の保存剤、例えばソルビン酸または安息香酸、サリチル酸、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、クロロアセトアミド、ジアゾリジニル尿素、DMDMヒダントイン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、メチルイソチアゾリン、クロロメチルイソチアゾリン、エチルヘキシルグリセロール、またはカプリリルグリコールなどを使用することも可能である。
【0078】
使用することができるコンディショニング剤は、例えば、塩化セトリモニウム、塩化ジセチルジモニウム、塩化ベヘントリモニウム、塩化ジステアリルジモニウム、メト硫酸ベヘントリモニウム、塩化ジステアロイルエチルジモニウム、塩化パルミトアミドプロピルトリモニウム、グアールヒドロキシプロピルトリモニウム塩化物、ヒドロキシプロピルグアール、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウム、またはクオタニウム−80などの有機第4級化合物、あるいはそれらのアミン誘導体、例えばアミノプロピルジメチコンまたはステアラミドプロピルジメチルアミンである。
【0079】
使用することができる香料は、天然もしくは合成の匂い物質、またはそれらの混合物である。天然の匂い物質は、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)、幹および葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレン)、実(アニス、コリアンダー、キャラウェイ、ジュニパー)、果物の皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(メース、アンゲリカ、セロリ、カルダモン、コスタス、アイリス、タイム)、針および枝(トウヒ、モミ、マツ、ドワーフパイン)、樹脂およびバルサム(ガルバナム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバナム、オポポナックス)からの抽出物である。動物性原材料、例えばシベットやビーバーなども適している。典型的な合成の匂い物質の化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、および炭化水素タイプの生成物である。エステルタイプの匂い物質の化合物は、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、グリシン酸エチルメチルフェニル、プロピオン酸アリルシクロヘキシル、プロピオン酸スチラリル、およびサリチル酸ベンジルである。エーテルには、例えばベンジルエチルエーテルが含まれ、アルデヒドには、例えば8〜18個の炭素原子を有する直鎖状アルカナール、シトラール、シトロネラル、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロイシトロネラル、イリアル、およびブルゲオナールが含まれ、ケトンには、例えばイオノン、α−イソメチルイオノン、およびメチルセドリルケトンが含まれ、アルコールには、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール、およびテルピネオールが含まれ、炭化水素には、主にテルペンおよびバルサムが含まれる。一緒になって心地よい香りをもたらす種々の匂い物質の混合物を、使用することが可能である。芳香成分として多く使用されている低揮発性の精油、例えばセージ油、カモミール油、クローブ油、メリッサ油、ハッカ油、ケイ皮油、リンデンブロッサム油、ジュニパーベリー油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバナム油、ラボラナム油、およびラバンジン油も、香料として適している。ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアル、ライラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレンフォルテ、アムブロキサン、インドール、ヘジオン、サンデリス、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタール、ラバンジン油、クラリーセージ油、β−ダマスコン、ゼラニウム油バーボン、サリチル酸シクロヘキシル、ベルトフィックスケウアー、イソ−E−スーパー、フィクソリドNP、エベルニル、イラルデインγ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラット、イロチル、およびフロラマットを、単独でまたは混合物として使用することも可能である。
【0080】
使用することができる染料は、化粧品目的で承認されかつ適切な物質であり、例えば、文献「Cosmetic Colourants」of the Dyes Commission of the German Research Society、Verlag Chemie、Weinheim、1984、pp.81〜106に列挙されている。これらの染料は、通常、全混合物に対して0.001〜0.1重量%の濃度で使用される。
【0081】
生体活性成分は、例えば、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、ポリフェノール、デオキシリボ核酸、コエンザイムQ10、レチノール、AHA酸、アミノ酸、ヒアルロン酸、α−ヒドロキシ酸、イソフラボン、ポリグルタミン酸、クレアチン(およびクレアチン誘導体)、グアニジン(およびグアニジン誘導体)、擬似セラミド、精油、ペプチド、タンパク質加水分解物、植物抽出物、ビサボロール、アラントイン、パンテノール、フィタントリオール、イデベノン、甘草抽出物、グリシルリジジンおよびイデベノン、スクレログルカン、β−グルカン、サンタルビン酸、およびビタミン複合体を意味すると理解すべきである。植物抽出物の例は、セイヨウトチノキ抽出物、カモミール抽出物、ローズマリー抽出物、クロフサおよびアカフサスグリ抽出物、カバノキ抽出物、ローズヒップ抽出物、藻抽出物、緑茶抽出物、アロエ抽出物、朝鮮人参抽出物、ギンナン抽出物、グレープフルーツ抽出物、キンセンカ抽出物、カンファー、タイム抽出物、マンゴスチン抽出物、シスタス抽出物、ターミナリアアルジュナ抽出物、オート麦抽出物、オレガノ抽出物、ラズベリー抽出物、ストロベリー抽出物などである。
【0082】
生体活性成分には、いわゆる障壁脂質も含めることができ、その脂質の例は、セラミド、フィトスフィンゴシンおよび誘導体、スフィンゴシンおよび誘導体、スフィンガニンおよび誘導体、擬似セラミド、リン脂質、リゾリン脂質、コレステロールおよび誘導体、コレステリルエステル、遊離脂肪酸、ラノリンおよび誘導体、スクアラン、スクアレン、ならびに関連物質である。
【0083】
本発明の文脈において、生体活性成分には、にきび抑制成分、例えば過酸化ベンジル、フィトスフィンゴシンおよび誘導体、ヒドロキシ安息香酸ナイアシンアミド、ニコチンアルデヒド、レチノールおよび誘導体、サリチル酸および誘導体、シトロネル酸などと、抗セルライト成分、例えばカフェインやテオフィリン、テオブロミン、アミノフィリンなどのキサンチン化合物、カルニチン、カルノシン、サリチロイルフィトスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、サンタルビン酸など、ならびにフケ取り剤、例えばサリチル酸および誘導体、亜鉛ピリチオン、硫化セレン、硫黄、シクロピロキソールアミン、ビフォナゾール、クリムバゾール、オクトピロックス、およびアクチロックスなど、ならびに収斂剤、例えばアルコール、アルミニウム誘導体、没食子酸、サリチル酸ピリドキシン、亜鉛塩、例えば硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、乳酸亜鉛、ジルコニウムクロロハイドレートなども含まれる。コジック酸、アルブチン、ビタミンCおよび誘導体、ヒドロキノン、ターメリック油、クレアチニン、スフィンゴ脂質、ナイアシンアミドなどの漂白剤も、生体活性成分に同様に含めてよい。
【0084】
存在させてもよいケア添加剤は、例えば、エトキシル化グリセロール脂肪酸エステルであって例えばPEG−7グリセロールココエートなど、または、例えばポリクウォタニウム−7やポリグリセロールエステルなどの陽イオンポリマーである。
【0085】
使用することができる過脂肪剤は、例えば、ラノリンおよびレシチンと、ポリエトキシル化またはアシル化ラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドなどの物質である。後者はフォーム安定化剤としても同時に機能する。
【0086】
使用することができる溶媒は、例えば、エタノール、プロパノール、または1,3−プロパンジオールなどの脂肪族アルコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸グリセロールなどの環状カーボネート、酢酸エチル、乳酸エチル、アジピン酸ジメチル、およびアジピン酸ジエチルなどのモノまたはポリカルボン酸のエステル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、炭酸グリセロール、または水である。
【0087】
本発明による使用は、日焼け止め調製物を生成するのに特に適している。
【0088】
したがって本発明は、さらに、少なくとも1種のUV光防護フィルタ物質の溶解性促進剤または溶媒としての、化粧用、皮膚用または医薬品製剤での一般式(I)のC6〜C12アルキルおよびシクロアルキルカルボン酸のフェノキシアルキルエステルの使用を提供する。
【0089】
UB光防護フィルタ物質の溶解性促進剤または溶媒として、一般式(I)のC6〜C12アルキルおよびシクロアルキルカルボン酸のフェノキシアルキルエステルを使用するときは、上述のフェノキシアルキルエステルの群、特に製剤の調製に関して好ましいと記載された群の使用に関して記載されているような、フェノキシアルキルエステルを使用することが好ましい。
【0090】
その結果、好ましく使用される追加の成分は、UV光防護フィルタの物質群でもある。本明細書では、親油性、疎水性のUV光防護フィルタ物質、特にトリアジン誘導体を使用することが好ましい。
【0091】
UV−Bフィルタとして、本明細書では、光防護フィルタ物質2−シアノ−3−フェニルケイ皮酸2−エチルヘキシル、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、ジオクチルブチルアミドトリアゾン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、4−メトキシ−ベンズマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、2,4,6−トリス[アニリノ−(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[5,1−(ジメチルプロピル)−ベンゾオキサゾール−2−イル−(4−フェニル)イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)イミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス{[4−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンおよび2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)−フェノールを使用することが特に好ましい。
【0092】
使用されるUV−Aフィルタは、1−(4’−t−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)プロパン−1,3−ジオンであることが好ましい。
【0093】
特に好ましいUV−Aフィルタは、Parsol(登録商標)1789という名称でGivaudanから、およびEusolex(登録商標)9020という商標名でMerckから販売されている、4−(t−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン(CAS No.70356−09−1)と、DE102004027475によるヒドロキシベンゾフェノンであり、特に好ましくは、BASFからUvinul Aという名称で入手可能な2−(4’−ジエチルアミノ−2’−ヒドロキシベンゾイル)−安息香酸のヘキシルエステル(または、アミノベンゾフェノン)である。
【0094】
さらに好ましいUVフィルタ物質は、いわゆる広帯域フィルタ、即ちUV−A放射線とUV−B放射線も共に吸収する、フィルタ物質でもある。この群の中では、CIBA−Chemikalien GmbHからTinosorb(登録商標)Mという商標名で入手可能な2,2’−メチレン−ビス(6−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール、およびドロメトリゾールトリシロキサンというINCI名の2−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−4−メチル−6−[2−メチル−3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル]フェノール(CAS No.:155633−54−8)を使用することが好ましい。
【0095】
UV光防護フィルタの使用量は、製剤に対して好ましくは0.01〜15%、好ましくは0.05〜10%、特に好ましくは0.1〜5%である。
【0096】
2種以上の異なるUVフィルタの組合せを使用することが、好ましい。
【0097】
さらに好ましく使用される追加の成分は、組成物の耐水性を改善するための、したがってUV防護性能も増大させるための、被膜形成剤の群である。好ましく使用される被膜形成剤は、ポリウレタン、ジメチコン、コポリオール、ポリアクリレート、PVP/VAコポリマー(PVP=ポリビニルピロリドン、VA=酢酸ビニル)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドンのコポリマー、PVP/ヘキサデカンコポリマー、またはPVP/エイコサンコポリマーである。
【0098】
本発明による使用は、特に、デオドラント/制汗調製物を生成するのにも同様に適している。
【0099】
本発明はさらに、少なくとも1種のデオドラントまたは制汗活性成分の溶解性促進剤または溶媒としての、化粧用、皮膚用または医薬品製剤での一般式(I)のC6〜C12アルキルおよびシクロアルキルカルボン酸のフェノキシアルキルエステルの使用も提供する。
【0100】
デオドラントまたは制汗活性成分の溶解性促進剤または溶媒として、一般式(I)のC6〜C12アルキルおよびシクロアルキルカルボン酸のフェノキシアルキルエステルを使用する場合、上述のフェノキシアルキルエステルの群、特に製剤の調製にとって好ましいと記載されている群の使用に関して記載されている、フェノキシアルキルエステルを使用することが好ましい。
【0101】
その結果、さらに好ましく使用される追加の成分は、デオドラントおよび制汗活性成分の群である。この群からは、収斂剤、特に好ましくはアルミニウム塩、亜鉛塩、またはアルミニウム−ジルコニウム錯体を使用することが好ましい。
【0102】
本発明はさらに、一般式(I)の物質を含む、化粧用、皮膚用または医薬品製剤を提供する。
【0103】
本発明による化粧用、皮膚用または医薬品製剤は、好ましくは、上述のフェノキシアルキルエステルの群、特に、製剤の調製に好ましいと既に記載され、かつ溶解性促進剤としても使用される群の使用を通じて得られる。化粧用、皮膚用または医薬品製剤は、溶解性促進剤として使用するために上述のように好ましく使用される、その他の追加の成分を含むことも同様に好ましい。
【0104】
本発明による製剤は、例えば、スキンケア製品、フェイスケア製品、ヘッドケア製品、ボディケア製品、インティメイトケア製品、フットケア製品、ヘアケア製品、ネイルケア製品、デンタルケア製品、またはマウスケア製品として使用することができる。
【0105】
本発明による製剤は、例えば、エマルジョン、懸濁液、溶液、クリーム、軟膏、ペースト、ゲル、油、粉末、エアロゾル、スティック、スプレー、フォーム、クレンジング製品、メイクアップもしくは日焼け止め調製物、またはフェイストナーの形で使用することができる。
【0106】
好ましくは、化粧用、皮膚用または医薬品製剤は、一般式(I)の少なくとも1種の物質を0.1〜60重量%、好ましくは1〜25重量%、特に好ましくは3〜15重量%含む。
【0107】
特に好ましい化粧用、皮膚用または医薬品製剤は、
(a)一般式(I)の少なくとも1種の物質を0.1〜60重量%、
(b)界面活性剤および/または乳化剤および/または共乳化剤を0.1〜20重量%、
(c)他の油体を0.1〜40重量%、および
(d)水を0〜98重量%
を含み、成分(a)、(b)、(c)、および(d)の重量%は、合計で100重量%になる。
【0108】
本発明を、例示として以下の実施例で記載するが、本願の記載全体および特許請求の範囲から生じる本発明の適用範囲を、実施例で特定される実施形態に限定しようとするものではない。
【実施例】
【0109】
(実施例1)
2−フェノキシエチルオクタン酸エステルの調製
2−フェノキシエタノール96.8g(0.70モル)およびカプリル酸112.2g(0.78モル)を、パラ−トルエンスルホン酸1.1gと共に、150〜160℃で6時間、水分離器上で加熱した。過剰な酸を真空中で留去し、反応混合物を冷却した。触媒を、水酸化カリウム溶液で中和し、次いで生成物を漂白し、過酸化水素で脱臭した。濾過の後、無臭の油176.5gが得られる:OHV<1;AV=0.1;色(APHA)=52ハーゼン。
【0110】
(実施例2)
2−フェノキシエチルオクタン酸エステルの調製
2−フェノキシエタノール193.7g(1.40モル)およびカプリル酸206.3g(1.43モル)を、TEGOKAT(登録商標)188(酸化スズ(II);全組成物に対して0.1重量%)0.4gと共に、220℃で5時間、水分離器上で加熱した。過剰な酸を真空中で留去し、反応混合物を冷却した。生成物を中和し、水酸化カリウム溶液で脱臭した。0.8gのTEGO(登録商標)TINEX Pを添加した後、生成物を濾過し、無臭の油362.8gが得られた:OHV<1.2;AV=0.1;色(APHA)=56ハーゼン。
【0111】
(実施例3)
2−フェノキシエチル−2−エチルヘキサン酸エステルの調製
2−フェノキシエタノール96.8g(0.70モル)および2−エチルヘキサン酸103.2g(0.72モル)を、パラ−トルエンスルホン酸1.0gと共に、150〜160℃で8時間、水分離器上で加熱した。反応混合物を冷却し、触媒を、水酸化カリウム溶液で中和した。次いで生成物を漂白し、過酸化水素で脱臭した。濾過の後、無臭の油175.0gが得られた:OHV<1;AV=0.2;色(APHA)=40ハーゼン。
【0112】
(実施例4)
2−フェノキシエチルシクロヘキサンカルボン酸エステルの調製
2−フェノキシエタノール111.6g(0.81モル)およびシクロヘキサンカルボン酸104.5g(0.81モル)を、パラ−トルエンスルホン酸1.0gと共に、150〜160℃で6時間、水分離器上で加熱した。反応混合物を冷却し、水酸化カリウム溶液で中和した。次いで生成物を脱臭した。濾過の後、無臭の油192.5gが得られた:OHV<1;AV=0.2;色(APHA)=70ハーゼン。
【0113】
(実施例5)
2−フェノキシエチル−2−ブチルオクタン酸エステルの調製
2−フェノキシエタノール81.7g(0.59モル)および2−ブチルオクサン酸(ISOCARB(登録商標)12、Sasol)118.3g(0.59モル)を、パラ−トルエンスルホン酸0.9gと共に、150〜160℃で6時間、水分離器上で加熱する。反応混合物を冷却し、水酸化カリウム溶液で中和する。次いで生成物を漂白し、過酸化水素で脱臭する。濾過の後、無臭の油185.3gが得られる:OHV<1;AV=0.2;色(APHA)=74ハーゼン。
【0114】
(実施例6)
1−フェノキシ−2−プロピルオクタン酸エステルの調製
フェノキシプロパノール(Bayer)106.3g(0.70モル)およびカプリル酸103.7g(0.72モル)を、パラ−トルエンスルホン酸1.1gと共に、150〜160℃で6時間、水分離器上で加熱した。反応混合物を冷却し、水酸化カリウム溶液で中和した。次いで生成物を漂白し、過酸化水素で脱臭した。濾過の後、無臭の油191.0gが得られた:OHV<1;AV=0.1;色(APHA)=85ハーゼン。
【0115】
(実施例7)
1−フェノキシ−2−プロピルシクロヘキサンカルボン酸エステルの調製
フェノキシプロパノール(Bayer)106.3g(0.70モル)およびシクロヘキサンカルボン酸89.7g(0.70モル)を、パラ−トルエンスルホン酸1.0gと共に、150〜160℃で8時間、水分離器上で加熱した。反応混合物を冷却し、水酸化カリウム溶液で中和した。次いで生成物を漂白し、過酸化水素で脱臭した。濾過の後、無臭の油179.9gが得られた:OHV<1.1;AV=0.1;色(APHA)=62ハーゼン。
【0116】
(実施例8)
UV光保護フィルタの溶解力
フェノキシアルキルエステル中の、結晶性UV光防護フィルタの溶解力を試験するために、4種の代表的なUV−Aおよび/またはUV−B光防護フィルタを、例として選択した。これらは、ベンゾフェノン−3(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、BP-3)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(BMDM)、オクチルトリアゾン(2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン、EHT)、およびベモトリジノール(ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、BEMT)であった。
【0117】
これら化合物に関する従来のエステル油の溶解力は、ほとんどの場合、満足のいくものではない。UV光防護フィルタ物質に関して良好な溶解力を有する化合物は、既に言及されており、したがって日焼け止め製剤の成分として広く確立されている、Tegosoft(登録商標)TNである。
【0118】
これら3種のUV光防護フィルタの溶解力を決定するために、いずれの場合にも、本発明による化合物のうち1種のある量(50g)を、最初に導入し、22℃に加熱した。UV光防護フィルタ1重量%を添加し、この量が完全にかつ均質に溶解するまで、この混合物を撹拌した。この操作を、UV光防護フィルタが最大限溶解可能な量を超えるまで、繰り返した。比較的高い濃度の場合に完全に溶解するには、数時間にわたる長時間の撹拌が、しばしば必要とされる。
【0119】
最大濃度がこのように凡そ決定された場合、この最大濃度を中心とした濃度範囲を細かく決定するために、より少ない初期重量のUV光防護フィルタを使用してこの手順を繰り返した。
【0120】
使用した基準は、化合物Tegosoft(登録商標)TN(C12〜15アルキルベンゾエート)であった。
【0121】
【表1】

【0122】
上記の値から明らかなように、本発明による化合物の溶解力は、Tegosoft(登録商標)TNよりも著しく良好である。
【0123】
(実施例9)
化粧用製剤
本発明による一般式(I)の化合物は、水中油または油中水エマルジョンで使用することができる。
【0124】
製剤の例は、例えば、化粧品エマルジョンとして使用されるカプリル酸2−フェノキシエチルの能力を、例として示すのに役立つものであり、本発明の対象を限定するものではない。
【0125】
他に指示しない限り、単位%で表した定量的データの全ては、重量%によるものである。調製および均質化ステップは、通常の方法によって行われる。
【0126】
製剤例A:
O/W日焼け止めローション
【0127】
【表2】

【0128】
製剤例B:
O/W日焼け止めスプレー
【0129】
【表3】

【0130】
製剤例C:
O/W日焼け止めクリーム
【0131】
【表4】

【0132】
製剤例D:
ライトW/Oサンスクリーンローション
【0133】
【表5】

【0134】
製剤例E:
W/Oサンスクリーンローション
【0135】
【表6】

【0136】
製剤例F:
制汗スティック
【0137】
【表7】

【0138】
製剤例G:
24時間AP/Deoスティック
【0139】
【表8】

【0140】
製剤例H:
PEG−フリーO/W制汗ローション
【0141】
【表9】

【0142】
製剤例J:
脱臭O/Wハンドおよびフットクリーム
【0143】
【表10】

【0144】
製剤例K:
O/W制汗ロールオン
【0145】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧用、皮膚用または医薬品製剤を調製するための、一般式(I)のフェノキシアルキルエステルの使用
【化1】


(式中、Rは、非分岐状または分岐状の飽和または不飽和C5〜11アルキルまたはシクロアルキル基であり、
およびRは、互いに独立して同一または異なり、水素またはメチルであり、
は、a=1〜5の場合、互いに独立して同一または異なり、H、F、Cl、アルキル、またはフルオロアルキル基、CN、CO、OH、OR、OCR、NR、NO、SOの群から選択され、但し、R〜Rは、互いに独立して同一または異なり、H、アルキル、またはフルオロアルキル基の群から選択される)。
【請求項2】
酸の酸基である基OOC−Rが、
カプロン酸、シクロペンタンカルボン酸、2−メチルペンタン酸、ヘプタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ソルビン酸、ペラルゴン酸、イソノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、カプリン酸、2−プロピルヘプタン酸、イソデカン酸、ウンデカン酸、ウンデシレン酸、および2−ブチルオクタン酸、ならびにこれらのカルボン酸の少なくとも2種を含む混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
およびRが、
=R=H、
=H、R=メチル、
=メチル、R=H、
およびこれらの組合せ、の群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記フェノキシアルキルエステルが、2−フェノキシエチルヘキサン酸エステル、2−フェノキシエチルヘプタン酸エステル、2−フェノキシエチルオクタン酸エステル、2−フェノキシエチル−2−エチルヘキサン酸エステル、2−フェノキシエチルソルビン酸エステル、2−フェノキシエチルペラルゴン酸エステル、2−フェノキシエチルシクロペンタンカルボン酸エステル、2−フェノキシエチルシクロヘキサンカルボン酸エステル、2−フェノキシエチルイソノナン酸エステル、2−フェノキシエチル−3,5,5−トリメチルヘキサン酸エステル、2−フェノキシエチルイソデカン酸エステル、2−フェノキシエチルウンデカン酸エステル、2−フェノキシエチル−2−ブチルオクタン酸エステル、1−フェノキシ−2−プロピルオクタン酸エステル、1−フェノキシ−2−プロピル−2−エチルヘキサン酸エステル、1−フェノキシ−2−プロピルペラルゴン酸エステル、1−フェノキシ−2−プロピルシクロヘキサンカルボン酸エステル、1−フェノキシ−2−プロピルイソノナン酸エステル、1−フェノキシ−2−プロピル−3,5,5−トリメチルヘキサン酸エステル、1−フェノキシ−2−プロピル−イソデカン酸エステル、または1−フェノキシ−2−プロピル−2−ブチルオクタン酸エステルであることを特徴とする、請求項1〜3の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項5】
前記製剤がサンスクリーン調製物であることを特徴とする、請求項1〜4の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項6】
式(I)の少なくとも1種の物質が、少なくとも1種のUV光防護フィルタ物質の、溶解性促進剤または溶媒として使用されることを特徴とする、請求項1〜5の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項7】
前記UV光防護フィルタ物質の少なくとも1種がトリアジン誘導体であることを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記UV光防護フィルタ物質の少なくとも1種が、
2−シアノ−3−フェニルケイ皮酸2−エチルヘキシル、
2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
ジオクチルブチルアミドトリアゾン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、
2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
4−メトキシ−ベンズマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、
2,4,6−トリス[アニリノ(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)]−1,3,5−トリアジン、
2,4−ビス[5,1−(ジメチルプロピル)−ベンゾオキサゾール−2−イル−(4−フェニル)−イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)−イミノ−1,3,5−トリアジン、
2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンおよび
2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)−フェノール、
を含む化合物の群から選択されることを特徴とする、請求項5または6に記載の使用。
【請求項9】
前記製剤が、デオドラント/制汗調製物であることを特徴とする、請求項1〜4の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項10】
式(I)の少なくとも1種の物質が、少なくとも1種のデオドラントまたは制汗活性成分の、溶解性促進剤または溶媒として使用されることを特徴とする、請求項1〜9の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項11】
アルミニウム塩、亜鉛塩、またはアルミニウム−ジルコニウム錯体が、デオドラントまたは制汗活性成分として使用されることを特徴とする、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
一般式(I)の少なくとも1種の物質を含む、化粧用、皮膚用または医薬品製剤。
【請求項13】
(a)一般式(I)の少なくとも1種の物質を0.1〜60重量%、
(b)界面活性剤および/または乳化剤および/または共乳化剤を0.1〜20重量%、
(c)他の油体を0.1〜40重量%、
(d)水を0〜98重量%、
を含み、成分(a)、(b)、(c)、および(d)の重量%は、合計で100重量%になることを特徴とする、請求項12に記載の化粧用、皮膚用または医薬品製剤。

【公開番号】特開2010−70553(P2010−70553A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−212605(P2009−212605)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】