説明

フェンダーサイドプロテクタ

【課題】 シール部材をプロテクタ本体に取付けるためにかかる労力を軽減することの可能な構成とし、工数削減を図る。
【解決手段】 車両の側部車体構造として構成された開閉ドアまわりに適合する枠型形状のサイドアウタパネルに取付けられるフェンダーサイドプロテクタ10であって、サイドアウタパネルの表側壁面形状に合致する所定の板形状を成して形成される合成樹脂製のプロテクタ本体20Aと、プロテクタ本体20Aに対しその周縁に沿って配設されシール機能を果たす所定の周縁形状とされているシール部材30Aと、を有し、シール部材30Aはプロテクタ本体20Aに対しエラストマ樹脂が一体成形されて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンダーサイドプロテクタに関する。詳しくは、例えば車体のサイドアウタパネルを構成するフロントピラーアウタ部に設けられ、車両室内と外部との間での遮音効果を向上させる等の目的で使用されるフェンダーサイドプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等車両の側部車体構造は、乗降用の開閉ドアまわりに適合する形状としてサイドアウタパネルが形成された構成となっている。詳しくは、このサイドアウタパネルは、例えばフロントピラーアウタ部、ルーフレールアウタ部、ロッカ(サイドシルともいう)アウタ部、及びセンターピラーアウタ部が繋ぎ合わされた枠型形状として一体的に形成されている。ここで、後記特許文献1には、サイドアウタパネルの構造の一例が示されている。
ところで、近年の車体構造では、車両室内の外部に対する遮音効果を向上させるべく構造が採り入れられている。具体的には、例えば上記サイドアウタパネルのうち、騒音発生源たるエンジン側部との間位置として配置されるフロントピラーアウタ部には、曲板形状のプロテクタが設けられているものがある。このプロテクタ(以下、フェンダーサイドプロテクタ)は、ポリプロピレンやナイロン等の樹脂成形品として形成されており、フロントピラーアウタ部の表側壁面(乗員から視認される側の壁面)に取付けられる。
詳しくは、上記フェンダーサイドプロテクタは、フロントピラーアウタ部に取付けるためのクリップが所定位置に設けられている。また、フロントピラーアウタ部には、上記クリップを差し込むための取付穴が形成されている。したがって、上記クリップをこの取付穴に差し込むことにより、フェンダーサイドプロテクタをフロントピラーアウタ部に取付けた状態とすることができる。
また、上記フェンダーサイドプロテクタには、フロントピラーアウタ部に対する取付状態にシール性を持たせるためのシール部材が取付けられている。このシール部材は、エプトシーラ等の発泡成形品により形成されており、所定の曲板形状を成して形成されたプロテクタ本体の周縁に沿って貼り合わされることにより、この曲板形状の板面から起立した形状として配設される。したがって、フェンダーサイドプロテクタがフロントピラーアウタ部に取付けられると、上記シール部材が両者間の隙間を補填する形に圧縮変形する。これにより、フェンダーサイドプロテクタの取付状態に一定のシール性を持たせることができる。加えて、フェンダーサイドプロテクタによる防音性能を向上させることができる。
【0003】
【特許文献1】特開平6−219334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、シール部材をフェンダーサイドプロテクタに配設するための取付作業(貼り合わせ作業)が非常に面倒なものであった。
詳しくは、上記フロントピラーアウタ部はその表側壁面形状が乗降用の開閉ドアまわりに適合する複雑形状として形成されていることがあり、この場合には、フェンダーサイドプロテクタのプロテクタ本体も複雑形状として形成されることとなる。一方で、上記シール部材は、複雑形状として形成されたプロテクタ本体の周縁に沿って貼り合わせるために、プロテクタ本体とは別体として長尺形状に形成されている。したがって、上記のように複雑形状を成すプロテクタ本体の周縁に沿ってシール部材を順に貼り合わせていくことは、非常に面倒でかつ労力を要する作業であった。すなわち、作業性が悪いために、多くの作業工数を要するものであった。
【0005】
本発明は、上記した問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、シール部材をプロテクタ本体に取付けるためにかかる労力を軽減することの可能な構成とし、工数削減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のフェンダーサイドプロテクタは次の手段をとる。
先ず、本発明の第1の発明は、車両の側部車体構造として構成された開閉ドアまわりに適合する枠型形状のサイドアウタパネルに取付けられるフェンダーサイドプロテクタであって、サイドアウタパネルの表側壁面形状に合致する所定の板形状を成して形成される合成樹脂製のプロテクタ本体と、プロテクタ本体に対しその周縁に沿って配設されシール機能を果たす所定の周縁形状とされているシール部材と、を有し、シール部材はプロテクタ本体に対しエラストマ樹脂が一体成形されて形成されるものである。
ここで、エラストマ樹脂は、ゴムとプラスチックとの中間的機能を発揮する樹脂として周知のものであり、広い硬度範囲で優れた弾性、耐荷重性、機械強度、耐油性、耐薬品性、耐磨耗性等の機械特性を発揮する。
この第1の発明によれば、シール部材は、エラストマ樹脂がプロテクタ本体に対して一体成形されて形成される。詳しくは、シール部材はプロテクタ本体の周縁に沿った所定の周縁形状として形成される。したがって、シール部材をプロテクタ本体に貼り合わせる等の作業が不要となる。詳しくは、複雑形状等の種々の形状に形成されるプロテクタ本体の形状に合わせて、シール部材を、その周縁に沿った所定の周縁位置に位置合わせしながら順に貼り合わせていくという作業が不要となる。
【0007】
次に、本発明の第2の発明は、上述した第1の発明において、シール部材は断面中空形状として形成されるものである。
この第2の発明によれば、シール部材が撓み易くなり、サイドアウタパネルに対する形状追従性が向上する。
【0008】
次に、本発明の第3の発明は、上述した第1または第2の発明において、シール部材は発泡性のエラストマ樹脂より成るものである。
この第3の発明によれば、シール部材が撓み易くなり、サイドアウタパネルに対する形状追従性が向上する。
【0009】
次に、本発明の第4の発明は、車両の側部車体構造として構成された開閉ドアまわりに適合する枠型形状のサイドアウタパネルに取付けられるフェンダーサイドプロテクタであって、サイドアウタパネルの表側壁面形状に合致する所定の板形状を成して形成される合成樹脂製のプロテクタ本体と、プロテクタ本体に対しその周縁に沿って配設されシール機能を果たす所定の周縁形状とされているシール部材と、を有し、シール部材はエラストマ樹脂によりプロテクタ本体の周縁に沿った所定の周縁形状としてプロテクタ本体とは別体に形成されており、所定の周縁形状の内周部にはプロテクタ本体の周縁部位の肉厚部分に嵌合可能とする嵌合スリットが形成されており、プロテクタ本体の周縁部位に対して側方から嵌め込まれて配設される構成であるものである。
ここで、エラストマ樹脂は、ゴムとプラスチックとの中間的機能を発揮する樹脂として周知のものであり、広い硬度範囲で優れた弾性、耐荷重性、機械強度、耐油性、耐薬品性、耐磨耗性等の機械特性を発揮する。
この第4の発明によれば、シール部材の内周部に形成された嵌合スリットをプロテクタ本体の周縁部位に嵌め込むことにより、シール部材がこの周縁部位の肉厚部分に嵌合する。また、シール部材の一部分がプロテクタ本体に嵌め込まれると、その他の部分の嵌め込み作業は比較的容易となる。すなわち、上記その他の部分の嵌め込みを行う際には、エラストマ樹脂の有する機械特性(形状追従性)によって、既に嵌め込まれた部分に形状追従して弾性的に嵌め込み位置に位置決めされる。更に、シール部材が予めプロテクタ本体の周縁に沿った所定の周縁形状として形成されているため、プロテクタ本体が複雑形状等の種々の形状に形成されている場合であっても、より好適に、上記嵌め込み位置への位置決めがなされる。
【0010】
次に、本発明の第5の発明は、上述した第4の発明において、プロテクタ本体の周縁部位及びシール部材の嵌合スリットには嵌め込まれた状態で互いに係合する凹凸形状の係合手段が設けられているものである。
この第5の発明によれば、シール部材がプロテクタ本体の周縁部位に対して側方から嵌め込まれると、プロテクタ本体の周縁部位及びシール部材の嵌合スリットに形成された凹凸形状の係合手段が互いに係合する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述した手段をとることにより、次の効果を得ることができる。
先ず、本発明の第1の発明によれば、プロテクタ本体が複雑形状等の種々の形状に形成される場合であっても、シール部材の取付けにかかる作業工数を、従来の技術に比べて削減することができる。
更に、本発明の第2の発明によれば、シール部材によるシール性を向上させることができる。
更に、本発明の第3の発明によれば、シール部材によるシール性を向上させることができる。
更に、本発明の第4の発明によれば、プロテクタ本体が複雑形状等の種々の形状に形成される場合であっても、シール部材の取付けにかかる作業工数を、従来の技術に比べて削減することができる。
更に、本発明の第5の発明によれば、シール部材の嵌め込み状態を好適にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための最良の形態の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0013】
始めに、実施例1のフェンダーサイドプロテクタ10の構成について図1〜図4を用いて説明する。図1はフェンダーサイドプロテクタ10の配置状態を表した概略図、図2はフェンダーサイドプロテクタ10の形状の一例を示す概略平面図、図3はフェンダーサイドプロテクタ10の取付状態を図2のA−A線で切断した断面部分について表した図、図4はシール部材30A及びプロテクタ本体20Aの断面形状を模式的に表した図である。なお、図3は紙面内右方向が車両の前方を示している。
本実施例のフェンダーサイドプロテクタ10は、図1に良く示されるように、自動車のフロントピラーアウタ部F(以下、フロントピラーアウタ部Fについては図1参照)に設けられる。ここで、フロントピラーアウタ部Fは、同図に示されるように、自動車の前側部車体構造において、乗降用の開閉ドアDまわりに適合する枠型形状として形成されたサイドアウタパネルSの一部を構成している。したがって、フロントピラーアウタ部Fは、その表側壁面(乗員から視認される側の壁面)が、上記乗降用の開閉ドアDまわりに適合する複雑形状として形成されている。また、フロントピラーアウタ部Fにはフェンダーサイドプロテクタ10を取付けるための取付穴h(図3参照)が複数箇所に形成されており、この部位に、フェンダーサイドプロテクタ10が取付けられるようになっている。
以下、フェンダーサイドプロテクタ10の構成を詳細に説明する。
【0014】
本実施例のフェンダーサイドプロテクタ10は、例えばポリプロピレンやナイロン等の合成樹脂が曲板形状に成形されて形成されている。詳しくは、図2及び図3に良く示されるように、曲板形状として形成されるプロテクタ本体20Aと、このプロテクタ本体20Aの周縁部位21aに沿った形状として長尺状に形成されてシール機能を果たすシール部材30Aと、を有する。
前者のプロテクタ本体20Aは、図2及び図3でその一例が示されているように、上記フロントピラーアウタ部Fの表側壁面形状(複雑形状)に合わせた形状として形成されている。また、プロテクタ本体20Aの裏面側(図3で示す紙面内右面側)の2箇所位置には、前述したフロントピラーアウタ部Fに形成された取付穴h(図3参照)に差し込むためのクリップ23が設けられている。このクリップ23は、クリップ本体の側面部分が径方向外方に張り出した形状で、かつ、部分的に肉抜きされた形状とされており、内方に弾性変形可能に形成されている。したがって、フェンダーサイドプロテクタ10は、図3に良く示されるように、各クリップ23を上記取付穴hに差し込んで係合させることにより、フロントピラーアウタ部Fに取付けられた状態として保持される。
後者のシール部材30Aは、図2に良く示されるように、プロテクタ本体20Aの周縁部位21aに沿った形状として、このプロテクタ本体20Aに対し一体成形されて形成されている。詳しくは、図3及び図4に良く示されるように、シール部材30Aは、熱可塑性の発泡性を有したエラストマ樹脂がプロテクタ本体20Aに対して2色成形(多色成形)されて形成されている。したがって、シール部材30Aは、プロテクタ本体20Aに対して強い接着強度を有して接着されている。なお、シール部材30Aは、プロテクタ本体20Aの周縁に沿って無端状に一体的に成形したものであってもよく、有端状のものを複数成形したものであってもよい。これにより、シール部材30Aは、プロテクタ本体20Aの周縁部位21aに沿って、この曲板形状の板面から起立した形状として配設される(図3及び図4参照)。なお、図3において、シール部材30Aにつき二点鎖線で示された部分は、シール部材30Aが圧縮変形する前の状態(自由状態)を示している。
【0015】
続いて、本実施例のフェンダーサイドプロテクタ10の使用方法について説明する。
先ず、フェンダーサイドプロテクタ10のプロテクタ本体20Aを、フロントピラーアウタ部Fの表側壁面の位置に位置合わせして、各クリップ23を取付穴hに差し込む。これにより、フェンダーサイドプロテクタ10がフロントピラーアウタ部Fに取付けられた状態として保持される。このとき、プロテクタ本体20Aの周縁部位21aにおいて起立した形状として配設されたシール部材30Aは、上記取付状態のフェンダーサイドプロテクタ10とフロントピラーアウタ部Fとの間で、両者の隙間を補填する形に圧縮変形する。詳しくは、シール部材30Aは、発泡性のエラストマ樹脂により成形されているため、圧縮変形し易い(撓み易い)状態とされており、フロントピラーアウタ部Fの形状に合わせた良好な形状追従性を示す。これにより、フェンダーサイドプロテクタ10の取付状態に一定のシール性を持たせることができる。加えて、フェンダーサイドプロテクタ10による防音性能を向上させることができる。
【0016】
このように、本実施例のフェンダーサイドプロテクタ10によれば、シール部材30Aをプロテクタ本体20Aに対して一体成形して形成するため、別途の貼り合わせ作業が不要となる。特に、プロテクタ本体20Aが複雑形状として形成される場合には、その複雑形状の周縁に沿ってシール部材30Aを位置合わせしながら順に貼り合わせていくという面倒な作業が不要となる。したがって、シール部材30Aの取付けにかかる作業工数を、従来の技術に比べて削減することができる。また、本実施例のようにシール部材30Aを2色成形により形成することにより、プロテクタ本体20Aとの接着強度を高めた状態として配設することができる。
更に、シール部材30Aは、エラストマ樹脂による成形品であるため、使用時において良好なシール機能を発揮することができる。また、このエラストマ樹脂は発泡性を有しているため、シール部材30Aが撓み易くなって、フロントピラーアウタ部Fの形状に合わせた良好な形状追従性を示す。したがって、シール部材30Aによるシール性を向上させることができる。
【実施例2】
【0017】
続いて、本発明の実施例2のフェンダーサイドプロテクタ11について、図5を用いて説明する。図5はフェンダーサイドプロテクタ11のシール部材30B及びプロテクタ本体20Bの断面形状を模式的に表した図である。
なお、本実施例では、実施例1のフェンダーサイドプロテクタ11と同様の構成及び作用を奏する箇所については説明を省略し、相異する構成について詳しく説明することとする。
【0018】
すなわち、本実施例のフェンダーサイドプロテクタ11は、図5に良く示されるように、プロテクタ本体20Bに一体成形されて形成されるシール部材30Bが、断面に中空部位31bを有する断面中空形状として形成されている。詳しくは、シール部材30Bは、いわゆるガスアシスト射出成形法により形成されている。すなわち、溶融状態のエラストマ樹脂の射出充填完了直後に、キャビティ内にN2ガス等の不活性ガスを封入し、この圧力によって射出成形時における型締圧力をアシストすることにより、内部に中空部位31bを形成するものである。なお、この成形法については周知の技術であるため、詳細な説明を省略する。
次に、フェンダーサイドプロテクタ11の使用方法について説明する。すなわち、プロテクタ本体20Bの周縁部位21bにおいて起立した形状として配設されたシール部材30Bは、取付状態のフェンダーサイドプロテクタ11とフロントピラーアウタ部Fとの間で、両者の隙間を補填する形に圧縮変形する。このとき、エラストマ樹脂により成形されて中空部位31bを有するシール部材30Bは、圧縮変形し易い(撓み易い)状態とされており、フロントピラーアウタ部Fの形状に合わせた良好な形状追従性を示す。これにより、フェンダーサイドプロテクタ11の取付状態に一定のシール性を持たせることができる。加えて、フェンダーサイドプロテクタ11による防音性能を向上させることができる。
【0019】
このように、本実施例のフェンダーサイドプロテクタ11によれば、シール部材30Bは、エラストマ樹脂が中空部位31bを有する断面中空形状として形成されているため、全体が撓み易くなって、フロントピラーアウタ部Fの形状に合わせた良好な形状追従性を示す。したがって、シール部材30Bによるシール性を向上させることができる。
【実施例3】
【0020】
続いて、本発明の実施例3のフェンダーサイドプロテクタ12について、図6を用いて説明する。図6はフェンダーサイドプロテクタ12のシール部材30C及びプロテクタ本体20Cの断面形状を模式的に表した図である。
なお、本実施例では、実施例1または実施例2のフェンダーサイドプロテクタ10,11と同様の構成及び作用を奏する箇所については説明を省略し、相異する構成については詳しく説明することとする。
【0021】
本実施例のフェンダーサイドプロテクタ12は、図6に良く示されるように、曲板形状として形成されるプロテクタ本体20Cと、このプロテクタ本体20Cの周縁部位21cに沿った形状として長尺状に形成されるシール部材30C(発泡性を有したエラストマ樹脂により成形されている)と、が別体として形成されている。以下、上記各部の構成について詳細に説明する。
前者のプロテクタ本体20Cには、図6に良く示されているように、その周縁部位21cの表面及び裏面に、シール部材30Cの凸部分33cに係合可能な凹部分22cが形成されている。ここで、凸部分33c及び凹部分22cが本発明の係合手段に相当する。
後者のシール部材30Cは、図6に良く示されるように、プロテクタ本体20Cの周縁部位21cに沿った形状として、プロテクタ本体20Cとは別体として予め成形されて形成されている。また、シール部材30Cの内周部には、プロテクタ本体20Cの周縁部位21cの肉厚部分に嵌合可能となる嵌合スリット32cが形成されている。更に、この嵌合スリット32c内には、前述したプロテクタ本体20Cの周縁部位21cに形成された凹部分22cに係合可能な凸部分33cが形成されている。したがって、シール部材30Cの内周部に形成された嵌合スリット32cをプロテクタ本体20Cの周縁部位21cに嵌め込むことにより、シール部材30Cがこの周縁部位21cの肉厚部分に嵌合する(図6で示される2点鎖線部分を参照)。また、このとき、プロテクタ本体20Cの周縁部位21cに形成された凹部分22cとシール部材30Cの嵌合スリット32cに形成された凸部分33cとが互いに係合する。
また、上記のようにしてシール部材30Cの一部分がプロテクタ本体20Cに嵌め込まれると、その他の部分の嵌め込み作業は比較的容易に行える。すなわち、シール部材30Cの一部分が嵌め込まれた状態となると、この部分に隣接する部分(図6で示す紙面の手前方向或いは奥手方向に隣接する部分)は、エラストマ樹脂の有する機械特性(形状追従性)によって、上記嵌め込まれた部分に追従して弾性的に嵌め込み位置に位置決めされる。更に、シール部材30Cが予めプロテクタ本体20Cの周縁に沿った所定の周縁形状として形成されているため、嵌め込みを行う際には、上記嵌め込み位置への位置決めがなされる。したがって、プロテクタ本体20Cが複雑形状等の種々の形状に形成されている場合であっても、シール部材30Cの嵌め込む部分を、プロテクタ本体20Cに向けて側方から力を加えるのみで嵌め込みが行える。これにより、シール部材30Cの嵌合スリット32cがプロテクタ本体20Cの周縁部位21cの肉厚部分に嵌合する。詳しくは、嵌合スリット32cに形成された凸部分33cと、周縁部位21cに形成された凹部分22cと、が互いに係合した嵌合状態となる。
【0022】
次に、フェンダーサイドプロテクタ12の使用方法について説明する。すなわち、プロテクタ本体20Cの周縁部位21cにおいて起立した形状として配設されたシール部材30Cは、取付状態のフェンダーサイドプロテクタ12とフロントピラーアウタ部Fとの間で、両者の隙間を補填する形に圧縮変形する。このとき、発泡性を有したエラストマ樹脂により成形されたシール部材30Cは、圧縮変形し易い(撓み易い)状態とされており、フロントピラーアウタ部Fの形状に合わせた良好な形状追従性を示す。これにより、フェンダーサイドプロテクタ12の取付状態に一定のシール性を持たせることができる。加えて、フェンダーサイドプロテクタ12による防音性能を向上させることができる。
【0023】
このように、本実施例のフェンダーサイドプロテクタ12によれば、プロテクタ本体20Cが複雑形状等の種々の形状に形成される場合であっても、シール部材30Cを簡単に取付けることができる。したがって、従来のように、複雑形状に形成されたプロテクタ本体20Cの周縁に沿ってシール部材30Cを位置合わせしながら順に貼り合わせていくという面倒な作業が不要となる。すなわち、シール部材30Cの取付けにかかる作業工数を、従来の技術に比べて削減することができる。
更に、プロテクタ本体20Cの周縁部位21cとシール部材30Cの嵌合スリット32cとを凹凸形状の係合手段により互いに係合させた状態として嵌合させることができる。したがって、シール部材30Cの嵌め込み状態を好適にすることができる。
【0024】
以上、本発明の実施形態を3つの実施例について説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。
すなわち、実施例1〜実施例3では、シール部材を撓ませ易くして形状追従性を向上させるために、シール部材の材質を発泡性のエラストマ樹脂としたり(実施例1及び実施例3)、断面中空形状に形成したり(実施例2)したものを示したが、その他にも、例えば断面に部分的な刳り貫きを設けるなどの剛性を低下させる手段によって、シール部材を撓ませ易くしてもよい。
また、フェンダーサイドプロテクタは、フロントピラーアウタ部に取付けられるものを示したが、使用目的に合わせて、その他のサイドアウタパネルを構成する部位に取付けられるものであっても構わない。
また、シール部材は曲板形状として形成されたプロテクタ本体に配設されるものを示したが、平板状のプロテクタ本体に配設されても良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1のフェンダーサイドプロテクタの配置状態を表した概略図である。
【図2】フェンダーサイドプロテクタの形状の一例を示す概略平面図である。
【図3】フェンダーサイドプロテクタの取付状態を図2のA−A線で切断した断面部分について表した図である。
【図4】シール部材及びプロテクタ本体の断面形状を模式的に表した図である。
【図5】実施例2のフェンダーサイドプロテクタのシール部材及びプロテクタ本体の断面形状を模式的に表した図である。
【図6】実施例3のフェンダーサイドプロテクタのシール部材及びプロテクタ本体の断面形状を模式的に表した図である。
【符号の説明】
【0026】
10,11,12 フェンダーサイドプロテクタ
20A,20B,20C プロテクタ本体
21a,21b,21c 周縁部位
22c 凹部分
23 クリップ
30A,30B,30C シール部材
31b 中空部位
32c 嵌合スリット
33c 凸部分
S サイドアウタパネル
F フロントピラーアウタ部
h 取付穴
D 乗降用の開閉ドア


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側部車体構造として構成された開閉ドアまわりに適合する枠型形状のサイドアウタパネルに取付けられるフェンダーサイドプロテクタであって、
前記サイドアウタパネルの表側壁面形状に合致する所定の板形状を成して形成される合成樹脂製のプロテクタ本体と、該プロテクタ本体に対しその周縁に沿って配設されシール機能を果たす所定の周縁形状とされているシール部材と、を有し、
該シール部材は前記プロテクタ本体に対しエラストマ樹脂が一体成形されて形成されることを特徴とするフェンダーサイドプロテクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のフェンダーサイドプロテクタであって、
前記シール部材は断面中空形状として形成されることを特徴とするフェンダーサイドプロテクタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のフェンダーサイドプロテクタであって、
前記シール部材は発泡性のエラストマ樹脂より成ることを特徴とするフェンダーサイドプロテクタ。
【請求項4】
車両の側部車体構造として構成された開閉ドアまわりに適合する枠型形状のサイドアウタパネルに取付けられるフェンダーサイドプロテクタであって、
前記サイドアウタパネルの表側壁面形状に合致する所定の板形状を成して形成される合成樹脂製のプロテクタ本体と、該プロテクタ本体に対しその周縁に沿って配設されシール機能を果たす所定の周縁形状とされているシール部材と、を有し、
該シール部材はエラストマ樹脂により前記プロテクタ本体の周縁に沿った所定の周縁形状として該プロテクタ本体とは別体に形成されており、該所定の周縁形状の内周部には前記プロテクタ本体の周縁部位の肉厚部分に嵌合可能とする嵌合スリットが形成されており、該プロテクタ本体の周縁部位に対して側方から嵌め込まれて配設される構成であることを特徴とするフェンダーサイドプロテクタ。
【請求項5】
請求項4に記載のフェンダーサイドプロテクタであって、
前記プロテクタ本体の周縁部位及び前記シール部材の嵌合スリットには前記嵌め込まれた状態で互いに係合する凹凸形状の係合手段が設けられていることを特徴とするフェンダーサイドプロテクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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