説明

フォイル軸受

【課題】 高い回転精度が得られ、さらなる高速回転化にも対応可能なリーフ型フォイル軸受を提供する。
【解決手段】 フォイル軸受10は、円筒状の外方部材11と、外方部材11の内周に挿入された軸6と、外方部材11の内周面11bと軸6の外周面6aとの間の円周方向の複数個所に配置されたリーフ14とを備える。各リーフ14の前端14aを含む領域が、軸受面14cを有するトップフォイルTfを形成すると共に、各リーフ14の後端14bを含む領域が隣接するリーフのトップフォイルを背後から支持するバックフォイルBfを形成する。各リーフ14の前端14aおよび後端14bの何れか一方または双方を軸方向に対して傾斜させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外方部材の内周面と軸の外周面との間に薄膜状のフォイル部材を介在させたフォイル軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械(例えばガスタービンやターボチャージャ)の主軸は高速で回転駆動される。また、主軸に取り付けられたタービン翼は高温に晒される。そのため、これらの主軸を支持する軸受には、高温・高速回転といった過酷な環境に耐え得ることが要求される。この種の用途の軸受として、油潤滑の転がり軸受や油動圧軸受を使用する場合もあるが、潤滑油などの液体による潤滑が困難な場合、エネルギー効率の観点から潤滑油循環系の補機を別途設けることが困難な場合、あるいは液体のせん断による抵抗が問題になる場合、等の条件下では、これらの軸受の使用は制約を受ける。そこで、そのような条件下での使用に適合する軸受として、空気動圧軸受が着目されている。
【0003】
空気動圧軸受としては、回転側と固定側の双方の軸受面を剛体で構成したものが一般的である。しかしながら、この種の空気動圧軸受では、回転側と固定側の軸受面間に形成されるラジアル軸受隙間の管理が不十分であると、安定限界を超えた際にホワールと呼ばれる自励的な主軸の振れ回りを生じ易い。そのため、使用される回転速度に応じた隙間管理が重要となる。特に、ガスタービンやターボチャージャのように、温度変化の激しい環境では熱膨張の影響でラジアル軸受隙間の幅が変動するため、精度の良い隙間管理は極めて困難となる。
【0004】
ホワールが生じにくく、かつ温度変化の大きい環境下でも隙間管理を容易にできる軸受としてフォイル軸受が知られている。フォイル軸受は、曲げに対して剛性の低い可撓性を有する薄膜(フォイル)で軸受面を構成し、軸受面のたわみを許容することで荷重を支持するものである。通常は、軸受の内周面をトップフォイルと呼ばれる薄板で構成し、その外径側にバックフォイルと呼ばれるばね状の部材を配置してトップフォイルが受ける荷重をバックフォイルで弾性的に支持している。この場合、軸の回転時には、軸の外周面とトップフォイルの内周面との間に空気膜が形成され、軸が非接触支持される。
【0005】
フォイル軸受では、フォイルの可撓性により、軸の回転速度や荷重、周囲温度等の運転条件に応じた適切なラジアル軸受隙間が形成されるため、安定性に優れるという特徴があり、一般的な空気動圧軸受と比較して高速での使用が可能である。また、一般的な動圧軸受のラジアル軸受隙間は軸直径の1/1000のオーダーで管理する必要があり、例えば直径数mm程度の軸では数μm程度のラジアル軸受隙間を常時確保する必要がある。従って、製造時の公差、さらには温度変化が激しい場合の熱膨張まで考慮すると、厳密な隙間管理は困難である。これに対して、フォイル軸受の場合には、数十μm程度のラジアル軸受隙間に管理すれば足り、その製造や隙間管理が容易となる利点を有する。
【0006】
フォイル軸受としては、バックフォイルに設けた切り起こしでトップフォイルを弾性的に支持するもの(特許文献1)、素線を網状に編成した弾性体で軸受フォイルを弾性的に支持するもの(特許文献2)、および、バックフォイルに、外輪内面に接触し周方向に移動しない支持部とトップフォイルからの面圧により弾性的に撓む弾性部とを設けたもの(特許文献3)等が公知である。
【0007】
フォイル軸受の一種として、バックフォイルを設けず、トップフォイルを周方向で分割してリーフフォイルを形成し、リーフフォイルをその一部を重ね合わせながら周方向の複数個所に設け、リーフフォイルの重なり合った部分でばね性を得るリーフ型と呼ばれるものも存在する。このリーフ型のフォイル軸受としては、固定軸受環を周方向で複数の円弧状環部材に分割し、各円弧状環部材の接合端部にフォイルの一端を溶接すると共に、フォイルにレイリーステップを屈曲形成したもの(特許文献4)、リーフをピエゾバイモルフで形成したもの(特許文献5)、リーフフォイルを線膨張率の異なる2種類の金属からなるバイメタルにより形成したもの(特許文献6)、等が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−364643公報
【特許文献2】特開2003−262222号公報
【特許文献3】特開2009−299748号公報
【特許文献4】特公平2−20851号公報
【特許文献5】特開平4−54309号公報
【特許文献6】特開2002−295467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のリーフ型のフォイル軸受では、リーフに形成された軸受面と軸の外周面との間のラジアル軸受隙間はリーフの前端側に向って徐々に縮小する。そのため、軸受隙間での流体圧力はリーフ前端側で高く、リーフ後端側で低くなる。そのため、円周方向では、高圧部と低圧部が交互に出現し、これが軸の回転精度に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0010】
そこで、本発明は、高い回転精度が得られ、さらなる高速回転化にも対応可能なリーフ型フォイル軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、円筒状の外方部材と、外方部材の内周に挿入された軸と、外方部材の内周面と軸の外周面との間の円周方向の複数個所に配置され、周方向に離隔する前端および後端を備え、前端が自由端になったリーフとを有し、各リーフの前端を含む領域が、軸受面を有するトップフォイル部を形成すると共に、各リーフの後端を含む領域が隣接するリーフのトップフォイル部を背後から支持するバックフォイル部を形成し、前記軸受面と対峙するラジアル軸受隙間に生じた流体膜で軸と外方部材の相対回転を支持するフォイル軸受において、各リーフの前端および後端の何れか一方または双方を軸方向に対して傾斜させたことを特徴とする。
【0012】
このように各リーフの前端および後端の何れか一方または双方を軸方向に対して傾斜させれば、ラジアル軸受隙間に軸方向の圧力勾配を形成することができる。そのため、ラジアル軸受隙間における圧力分布を多様化し、軸をより安定して支持することが可能となる。
【0013】
また、軸の外周面と外方部材の内周面との間に、複数のリーフを連結する連結部を備え、かつ複数のリーフと連結部を一体に有するフォイル部材を配置すれば、一枚の帯状フォイルから複数のリーフを有するフォイル部材を製作することができる。従って、従来のように個々のリーフを外方部材に取り付ける場合に比べ、部品の製作コストや組み立てコストを削減することができ、フォイル軸受の低コスト化を図ることができる。
【0014】
フォイル部材を有端の円筒状とし、フォイル部材の周方向の一端側を外方部材もしくは軸に取り付けると共に、他端を自由端とし、前記一端から他端に至るフォイル部材の周回方向を、各リーフの後端から前端に向う方向と逆向きにすれば、軸および外方部材のうち、回転側の部材の回転にフォイル部材が引き込まれることがなく、回転側の部材へのフォイル部材の巻き付きを防止することができる。
【0015】
以上の構成を有するフォイル軸受として、例えば半径方向で重なった第一フォイルおよび第二フォイルからなる二重フォイル部を備え、第一フォイルに第一リーフを形成すると共に、第二フォイルに第二リーフを形成し、第一リーフおよび第二リーフを第一フォイルおよび第二フォイルのそれぞれに設けた切り込みで形成し、第一リーフを、前記切り込みで形成した空間を介して隣接する第二リーフの間に挿入したものが考えられる。これにより、第一リーフと第二リーフを半径方向で部分的に重ねてトップフォイルとバックフォイルを形成することが可能となり、各リーフを一体化したフォイル軸受を効率的に製作することが可能となる。また、第一リーフと第二リーフを円周方向交互に配置し、バックフォイルで弾性的に支持されたトップフォイルを各リーフに形成することができる。
【0016】
二重フォイル部は、一つのフォイル部材を軸周りに二回周回させることで形成することができる。この他、二つの円筒状のフォイル部材を半径方向に重ねて二重フォイル部を形成してもよい。また、一つのフォイル部材を折り返して二重に重ねてから、円筒状にローリングさせることにより、あるいは二つのフォイル部材を重ねてから円筒状にローリングさせることにより、二重フォイル部を構成してもよい。
【0017】
フォイル部材は、複数の切り込みを有する帯状フォイルをローリングさせて形成することができる。帯状フォイルには、切り込みにより、連結部を構成する帯状部とリーフを構成する複数の舌片部とを形成する。帯状フォイルの切込みのうち、各舌片部と帯状部とを分断する切り込みの角部をアール形状にしておくことにより、低速回転時の軸との摺動で各リーフ(舌片部)に引張力が作用した際に、角部で生じる応力集中を軽減することができ、各リーフの引張強度を高めることができる。
【0018】
外方部材と軸のどちらか一方を固定側の部材とし、他方を回転側の部材とし、固定側の部材とフォイル部材の摺動部、回転側の部材とフォイル部材の摺動部、およびフォイル部材同士の摺動部のうち、少なくとも二つの摺動部の摩擦係数を異ならせるのが好ましい。この場合、全ての摺動部に被膜を介在させ、あるいは一部の摺動部だけに被膜を介在させる。
【0019】
固定側の部材とフォイル部材の間に摺動部を設けることで、軸受面の変形自由度が増し、振動の減衰効果を高めることができる。この場合、フォイル部材による振動の減衰効果を考えると、この摺動部では、ある程度摩擦係数を大きくするのが望ましい。この摺動部を構成する二つの面のうち、何れか一方または双方に第一被膜を形成すれば、被膜材料を適宜選択することにより、フォイル部材や固定側の部材の材質とは無関係に両者の摺動部で最適な摩擦力を得ることが可能となり、軸受設計の自由度が増す。
【0020】
起動直後や停止直前の低速回転状態では、回転側の部材とフォイル部材の間に摺動部が構成される。この摺動部を構成する二つの面のうち、何れか一方または双方に、表面を低摩擦化する第二被膜を形成することにより、起動直後や停止直前の摩擦トルクを減じて低トルク化を図ることができる。また、軸受面を保護して摺接時における軸受面の摩耗を抑制することができる。
【0021】
第一被膜と第二被膜は、摩擦係数の異なる材料で形成するのが望ましい。第一被膜および第二被膜としては、DLC被膜、チタンアルミナイトライド被膜、二流化モリブデン被膜の何れかを選択することができる。DLC被膜やチタンアルミナイトライド被膜は硬質被膜であるため、これらを使用すれば、低摩擦化に加えて、耐摩耗性の向上による軸受寿命の増大を図ることもできる。
【0022】
以上に述べたフォイル軸受は、ターボ機械におけるロータの支持に使用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ラジアル軸受隙間に軸方向の圧力勾配を形成することができる。そのため、軸の回転精度が向上し、さらなる高速回転化にも対応可能なフォイル軸受を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】マイクロガスタービンの構成を概念的に示す図である。
【図2】上記マイクロガスタービンにおけるロータの支持構造を示す断面図である。
【図3】本発明にかかるフォイル軸受の一実施形態を示す正面図である。
【図4】図1に示すフォイル軸受で使用されるフォイル部材の斜視図である。
【図5】(a)図は内径側から見たフォイル部材の平面展開図であり、(b)図は(a)図の側面図である。
【図6】(a)図は切り込みを形成した帯状フォイルの平面図であり、(b)図は、切り込み形成後に舌片部を折り曲げたフォイルの斜視図である。
【図7】(a)図は図3中の領域Xを拡大して示す断面図であり、(b)図は図3中の領域Yを拡大して示す断面図である。
【図8】本発明にかかるフォイル軸受の他の実施形態を示す正面図である。
【図9】本発明にかかるフォイル軸受の他の実施形態を示す正面図である。
【図10】図9に示すフォイル軸受で使用されるフォイルアセンブリの斜視図である。
【図11】(a)図はフォイルアセンブリの第一フォイル部材を示す斜視図であり、(b)図は第二フォイル部材を示す斜視図である。
【図12】二重フォイル部の他の形成方法を示す平面図で、(a)図は切り込みを形成した帯状フォイル、(b)図は折り畳み後の帯状フォイルを示す。
【図13】二重フォイル部の他の形成方法を示す平面図で、(a)図は切り込みを形成した二つの帯状フォイル、(b)図は互いに重ねた状態の帯状フォイルを示す。
【図14】フォイル軸受の概略構成を示す正面図で、(a)図は摺動力Pの作用方向とフォイル部材の周回方向を同じ向きにした場合を、(b)図は逆向きにした場合を示す。
【図15】本発明にかかるフォイル軸受の他の実施形態を示す斜視図である。
【図16】図15に示すフォイル軸受で使用するフォイル部材の正面図である。
【図17】図16のフィル部材を形成するための帯状フォイルを示す平面図である。
【図18】(a)図〜(g)図は、帯状フォイルに形成した舌片部の他例を示す平面図である。
【図19】(a)図は図18(g)に示す形態の舌片部を有する複列タイプの帯状フォイルの平面図であり、(b)図はその部分拡大図である。
【図20】(a)図は図18(g)に示す形態の舌片部を有する複列タイプの帯状フォイルの平面図であり、(b)図はその部分拡大図である。
【図21】(a)図は本発明にかかるフォイル軸受の他の実施形態を示す斜視図であり、(b)図はこのフォイル軸受で使用するフォイルアセンブリの斜視図である。
【図22】(a)図は本発明にかかるフォイル軸受の他の実施形態を示す斜視図であり、(b)図はこのフォイル軸受で使用するフォイルアセンブリの斜視図である。
【図23】過給機の構成を概念的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1に、ターボ機械の一例としてマイクロガスタービンと呼ばれるガスタービン装置の構成を概念的に示す。このマイクロガスタービンは、翼列を形成したタービン1および圧縮機2と、発電機3と、燃焼器4と、再生器5とを主に備える。タービン1、圧縮機2、および発電機3には、水平方向に延びる共通の軸6が設けられ、この軸6と、タービン1および圧縮機2とで一体回転可能のロータが構成される。吸気口7から吸入された空気は、圧縮機2で圧縮され、再生器5で加熱された上で燃焼器4に送り込まれる。この圧縮空気に燃料を混合して燃焼させ、高温、高圧のガスでタービン1を回転させる。タービン1の回転力が軸6を介して発電機3に伝達され、発電機3が回転することにより発電し、この電力がインバータ8を介して出力される。タービン1を回転させた後のガスは比較的高温であるため、このガスを再生器5に送り込んで燃焼前の圧縮空気との間で熱交換を行うことで、燃焼後のガスの熱を再利用する。再生器5で熱交換を終えたガスは、排熱回収装置9を通ってから排ガスとして排出される。
【0027】
図2に、上記マイクロガスタービンにおけるロータの支持構造の一例を示す。この支持構造では、軸方向の2箇所にラジアル軸受10が配置され、軸6のフランジ部6bの軸方向両側にスラスト軸受20、20が配置される。このラジアル軸受10およびスラスト軸受20により、軸6がラジアル方向及び両スラスト方向に回転自在に支持されている。
【0028】
この支持構造において、タービン1と圧縮機2の間の領域は、高温、高圧のガスで回転されるタービン1に隣接しているために高温雰囲気となる。この高温雰囲気では、潤滑油やグリース等からなる潤滑剤が変質・蒸発してしまうため、これらの潤滑剤を使用する通常の軸受(転がり軸受等)を適用することは難しい。そのため、この種の支持構造で使用される軸受10、20としては、空気動圧軸受、特にフォイル軸受が適合する。
【0029】
以下、上記マイクロガスタービン用のラジアル軸受10に適合するリーフ型のフォイル軸受10の構成を図面に基づいて説明する。
【0030】
このリーフ型フォイル軸受10は、図3に示すように、図示しないハウジングの内周に固定される円筒状の外方部材11と、外方部材11の内周に挿入された軸6と、外方部材11の内周面と軸6の外周面との間に介在させた円筒状のフォイル部材13とで構成される。
【0031】
フォイル部材13は、有端円筒状の形態をなし、円周方向の複数個所に複数のリーフ14を有する。フォイル部材13の両端13b、13cは、円周方向のほぼ同位置にあり、一端13bは取り付け部13aを介して外方部材11に取り付けられる。フォイル部材13の他端13cは自由端を構成する。
【0032】
フォイル部材13には、その略全周にわたって、フォイルを半径方向に二重に重ねた二重フォイル部Wが形成される。この実施形態のフォイル軸受では、図3および図4に示すように、フォイル部材13を軸6の周囲で二回周回させることにより、一つのフォイル部材13で二重フォイル部Wを形成している。二重フォイル部Wのうち、外側のフォイルF1(第一フォイル)を部分的に内径側に立ち上げることにより、第一リーフ141が形成され、内側のフォイルF2(第二フォイル)を部分的に内径側に立ち上げることにより、第二リーフ142が形成される。第一リーフ141および第二リーフ142は、円周方向で等ピッチに配置されている。
【0033】
各リーフ14は、周方向に離隔した前端14aと後端14bとを有する。前端14aは、後端14bよりも軸6の回転方向(図3の矢印方向)に先行した位置にある。各リーフ14の前端14aは自由端を構成し、後端14bは固定端を構成している。
【0034】
各リーフ14は、前端14a側のトップフォイル部Tfと、後端14b側のバックフォイル部Bfとを有する。トップフォイル部Tfは回転方向先行側に隣接する他のリーフ14のバックフォイル部Bfの上(内径側)に重なっており、このバックフォイル部Bfによってトップフォイル部Tfが弾性的に支持されている。トップフォイル部Tfの内周面で軸受面14cが形成され、この軸受面14cと軸6の外周面6aとの間に回転方向に縮小する楔状のラジアル軸受隙間Cが形成される。
【0035】
フォイル部材13は、ばね性に富み、かつ加工性のよい金属、例えば鋼材料や銅合金からなる厚さ20μm〜200μm程度の帯状フォイルで形成される。本実施形態のように流体膜として空気を用いる空気動圧軸受では、雰囲気に潤滑油が存在しないため、油による防錆効果は期待できない。鋼材料や銅合金の代表例として、炭素鋼や黄銅を挙げることができるが、一般的な炭素鋼では錆による腐食が発生し易く、黄銅では加工ひずみによる置き割れを生じることがある(黄銅中のZnの含有量が多いほどこの傾向が強まる)。そのため、帯状フォイルとしては、ステンレス鋼もしくは青銅製のものを使用するのが好ましい。
【0036】
以下、図4に示すフォイル部材13の製作手順を説明する。なお、以下の製作手順で述べる「軸方向」、「半径方向」、および「周方向」の用語は、製作後のフォイル部材13を外方部材11の内周に組み込んだ状態での軸方向、半径方向、および周方向を意味する。具体的には、素材である帯状フォイル30の長辺に沿う方向が「周方向」となり、帯状フォイル30を含む平面で長辺と直交する方向が「軸方向」となり、帯状フォイル30の厚さ方向が「半径方向」となる。
【0037】
図6(a)に示すように、上記に例示した金属からなる帯状フォイル30を準備し、軸方向一方側の側縁部の複数個所に、ワイヤカット加工やプレス加工により適宜の間隔でV字型の切り込み38を形成する。この切り込み38は、軸方向に対して傾斜した傾斜切り込み38aと、各傾斜切り込み38aの終端につながり、かつ傾斜切り込み38aよりも幅広に形成された切欠き状の周方向切り込み38bとからなる。傾斜切り込み38aは互いに平行とし、各傾斜切り込み38aと、これに連続する周方向切り込み38bとの間の角度θは鋭角とする。この切り込み38により、帯状フォイル30に、周方向に延びる帯状部36と、帯状部36の軸方向一方側の複数個所に配列されたフラップ状の舌片部34とが形成される。帯状部36には、軸方向に僅かに突出した複数の接続部37が周方向等ピッチに形成されており、この接続部37により各舌片部34が帯状部36に一体に保持されている。各舌片部34の周方向で対向する二辺のうち、周方向切り込み38bの開口側に位置する辺が前端14aを構成し、その反対側の辺が後端14bを構成する。
【0038】
次に、図6(b)に示すように、各舌片部34の前端側を傾斜切り込み38aと平行の折り曲げ線(図6(a)に破線で示す)で同じ方向に折り曲げる。その後、折り曲げた各舌片34を半径方向の内側にして、帯状フォイル30を図中の矢印で示す向きに湾曲させ、二重の渦巻き状にローリングさせる。二巻き目のフォイルをローリングさせる際には、一巻き目のフォイルの隣接する舌片部34の間に二巻き目の舌片部34を挿入する。この二巻き目の舌片部34の挿入は、折り曲げにより舌片部34間に形成された空間35を介して行う。各舌片部34を折り曲げ線で折り曲げたのは、一巻き目の舌片部34間への二巻き目の舌片部34の導入をスムーズに行うためであり、特に必要がなければ各舌片部34の折り曲げ作業は省略することができる。
【0039】
以上の手順により、図4に示すフォイル部材13が製作される。図4では、理解の容易化のため、図6に示す帯状フォイル30の各角部A〜Nに対応する領域に、同じ符号A〜Nを付している。このフォイル部材13においては、二巻き目のフォイル部材13が外径側の第一フォイルF1となり、第一フォイルF1に形成された各舌片部34で第一リーフ141が構成される。また、一巻き目のフォイル部材13が内径側の第二フォイルF2となり、第二フォイルF2に形成された各舌片部34で第二リーフ142が形成される。第一リーフ141は、フォイル部材13の両端部13b、13c付近を除き、第二フォイルF2の開口部35を通って隣接する第二リーフ142の間に突出している。そのため、フォイル部材13の両端部13b、13c付近を除き、第一リーフ141と第二リーフ142が円周方向交互に配置される。帯状フォイル30の帯状部36は連結部15を構成し、この連結部15により各リーフ14が弾性変形可能に一体に保持される。
【0040】
以上の手順で製作したフォイル部材13は、外方部材1の内径側に配置した状態で、その一端13bを外方部材11に取り付けることにより、外方部材11に固定される。例えば上述したフォイル部材13の製作工程で、帯状フォイル30の一端部に外径方向に起立する取り付け部13a(図6(a)(b)参照)を形成し、この取り付け部13aを外方部材11の内周に形成した嵌合溝11aに嵌合固定することで、フォイル部材13を外方部材11に固定することができる。嵌合溝11aへの取り付け部13aの固定方法は任意で、接着や溶接で固定することもできる。その後、フォイル部材13の内周に軸6を挿入することで、図3に示すフォイル軸受10が得られる。
【0041】
以上の構成において、楔状のラジアル軸受隙間Cの縮小方向に軸6を回転させると、各リーフ14の軸受面14cと軸6の外周面6aとの間に空気膜が形成される。これにより、軸6の周囲の円周方向複数個所に楔状のラジアル軸受隙間Cが形成され、軸6がフォイル部材13に対して非接触の状態でラジアル方向に回転自在に支持される。なお、実際のラジアル軸受隙間Cの幅は数十μm程度の微小なものであるが、図3ではその幅を誇張して描いている。また、フォイル部材13が有する可撓性により、各リーフ14の軸受面14cが荷重や軸6の回転速度、周囲温度等の運転条件に応じて任意に変形するため、ラジアル軸受隙間Cは運転条件に応じた適切幅に自動調整される。そのため、高温・高速回転といった過酷な条件下でも、ラジアル軸受隙間を最適幅に管理することができ、軸6を安定して支持することが可能となる。
【0042】
図5(a)に、フォイル軸受10の内径側から見たフォイル部材13の展開図を示し、図5(b)に、図5(a)の展開図を図面下側(帯状部36の軸方向反対側)から見た側面図を示す。両図において、第一フォイルF1は無模様で表され、第二フォイルF2は散点模様で表されている。図示のように、第一リーフ141および第二リーフ142の前端14aおよび後端14bは、軸方向(図面上下方向)に対して傾斜した状態にある。傾斜方向は各リーフ141,142で同じであり、かつ各前端14aおよび後端14bは全て平行になっている。第一フォイルF1および第二フォイルF2の各帯状部36は半径方向で重なった状態にある。
【0043】
図5(b)に示すように、軸6の回転中は、ラジアル軸受隙間Cに生じる圧力で各リーフ14のバックフォイル部Bfが外方部材11の内周面11bに押し付けられる。この時、隣接するリーフ14は、バックフォイル部Bfの後端14bに倣って変形するため、各リーフ14が波形に変形し、各リーフ14のトップフォイル部Tfとバックフォイル部Bfの境界部に半径方向(図面上下方向)の段差が形成される。この段差は後端14bの形状に倣って軸方向に対して傾斜しているため、軸6の回転中のラジアル軸受隙間Cには、この段差に沿った傾斜方向の空気流が生じる。
【0044】
このように各リーフ14の前端14aを傾斜状態とすることで、回転中のラジアル軸受隙間Cにおける高圧部が各リーフ14の前端14aに沿って形成される。これにより、周方向で楔状のラジアル軸受隙間Cに軸方向の圧力勾配を形成することができ、さらに前端14a付近の高圧部を周方向に連続して分布させることができる。これにより、軸6の支持を安定化させることができる。これに対し、従来のように、各リーフ14の前端14aを軸方向と平行に形成した場合、軸方向の圧力勾配は生じず、かつ高圧部の分布が周方向で間欠的となるため、軸6に振動等を生じ易く、さらなる高速回転化が困難となる。
【0045】
また、各リーフ14の後端14bも同方向に傾斜させることで、上記のようにトップフォイルTfとバックフォイルBf間の傾斜状境界部で傾斜方向の空気流を発生させることができる。図5(a)に示す形態の後端14bおよびこれと鏡対称の後端を軸方向に並べ、かつこれらの後端を傾斜空気流が合流するような向きに配置すれば、ラジアル軸受隙間Cでの圧力を高めて負荷容量を向上させることができる。この効果は、軸受面14cを複列にする他、図22(a)(b)に示すように、軸受面14cを単列にした場合でも得ることができる。
【0046】
上記の構成においては、図5に示すように、隣接するリーフ14のうち、回転方向前側のリーフ14の最後端と、回転方向後側のリーフ14の最前端とを、周方向の一部領域αでオーバーラップさせておけば、軸受面14cの全周にわたって切れ目なく連続して高圧部を分布させることができるので、より一層軸6を安定的に支持することができる。
【0047】
また、本発明にかかるフォイル軸受では、各リーフ14を連結部15で連結し、各リーフ14と連結部15をフォイル部材13で一体形成しているので、フォイル部材13は、一枚の帯状フォイル30から製作することができる。また、フォイル部材13の一カ所を外方部材11に取り付けるだけでフォイル軸受10を組み立てることができる。従って、従来のように個々のリーフを外方部材に取り付ける場合に比べ、部品の製作コストや組み立てコストを削減することができ、フォイル軸受の低コスト化を図ることができる。
【0048】
さらに、第一リーフ141を、第二フォイルF2の開口部35を通して隣接する第二リーフ142の間に導入しているので、各リーフ14の前端14a側を、回転方向先行側に隣接する他のリーフの後端14b側と半径方でオーバーラップさせ、トップフォイルTfの背後をバックフォイルBfで弾性的に支持することが可能となる。フォイル部材を一回だけ周回させ、その円周方向複数個所を切り起こしてリーフを形成するだけでは(図11(a)もしくは図11(b)に示す形態に相当する)、リーフ14同士のオーバーラップを形成することができず、フォイル軸受として機能させることができない。
【0049】
フォイル軸受10では、軸6の停止直前や起動直後の低速回転時に、各リーフ14の軸受面14cや軸6の外周面6aに表面粗さ以上の厚さの空気膜を形成することが困難となる。そのため、各リーフ14の軸受面14cと軸6の外周面6aとの間で金属接触を生じ、トルクの増大を招く。この時の摩擦力を減じてトルク低減を図るため、各軸受面14cと、軸受面14cと摺動する部材の表面(本実施形態では軸6の外周面6a)のどちらか一方または双方に、表面を低摩擦化する被膜17(第二被膜)を形成するのが望ましい。一例として、図7(a)は各リーフ4の軸受面14cに第二被膜17を形成した場合を示している。この第二被膜17としては、例えばDLC膜、チタンアルミナイトライド膜、あるいは二硫化モリブデン膜を使用することができる。DLC膜、チタンやアルミナイトライド膜はCVDやPVDで形成することができ、二硫化モリブデン膜はスプレーで簡単に形成することができる。特にDLC膜やチタンアルミナイトライド膜は硬質であるので、これらで被膜を形成することにより、軸受面14cの耐摩耗性をも向上させることができ、軸受寿命を増大させることができる。
【0050】
また、軸受の運転中は、ラジアル軸受隙間に形成された空気膜の影響でフォイル部材13が全体的に拡径して二重フォイル部Wの外側の第一フォイルF1が外方部材1の内周面11bに押し付けられ、両者間で円周方向の微小摺動が生じる。図7(b)に示すように、この摺動部、すなわち二重フォイル部Wの第一フォイルF1の外周面と、これに接触する外方部材1の内周面11bとの何れか一方または双方に被膜16(第一被膜)を形成することにより(図面では第一フォイルF1の外周面に第一被膜16を形成した場合を例示する)、この摺動部での耐摩耗性の向上を図ることができる。
【0051】
なお、振動の減衰作用を向上させるためには、この摺動部である程度大きい摩擦力が必要となる場合もあり、第一被膜16にはそれほど低摩擦性は要求されない。従って、第一被膜16としては、二流化モリブデン膜よりも摩擦係数は大きいが耐摩耗性に優れるDLC膜やチタンアルミナイトライド膜を使用するのが好ましい。例えば軸受面14cに形成する第二被膜17として二流化モリブデン膜を使用する一方で、フォイル部材13と外方部材11の摺動部に形成する第一被膜16としてチタンアルミナイトライドやDLC膜等を使用し、両被膜16,17の摩擦係数を異ならせることで、低トルク化と振動の減衰性の向上とを両立することが可能となる。
【0052】
また、軸受の運転中は、フォイル部材13同士(特にリーフ14同士)が摺動するので、この摺動部を構成する二つの面の一方または双方に被膜を形成することで、軸受面の変形自由度が増し、振動の減衰効果を高めることができる。
【0053】
以上に述べた三種類の摺動部(固定側の外方部材11とフォイル部材13の摺動部、回転側の軸6フォイル部材13の摺動部、およびフォイル部材13同士の摺動部)のうち、任意に選択した少なくとも二種類の摺動部の摩擦係数を異ならせることにより、フォイル軸受の諸特性(耐摩耗性、振動減衰性等)を使用条件に応じて最適化することが可能となる。異なる摩擦係数は、各摺動部に形成する被膜の種類を異ならせる他、一部の摺動部だけに被膜を形成して残りの摺動部では被膜を形成しないようにすることでも得ることができる。
【0054】
以上の説明では、軸6を回転側部材とし、外方部材11を固定側部材とした場合を例示したが、これとは逆に軸6を固定側部材とし、外方部材11を回転側部材とした場合にも図3の構成をそのまま適用することもできる。但し、この場合はフォイル部材13が回転側部材となるので、遠心力によるフォイル部材13全体の変形を考慮してフォイル部材13の設計を行う必要がある。
【0055】
また、図3では、フォイル部材13を外方部材1に固定した場合を例示したが、フォイル13は軸6に固定することもできる。図8は、その一例で、フォイル部材13の一端の取り付け部13aを内径側に突出させ、これを軸6に設けた嵌合溝6bに嵌合固定した場合を示す。取り付け部13aはこれ以外にも接着や溶接で軸6に固定してもよい。
【0056】
図8に示す実施形態のフォイル軸受10では、図3および図4に示す実施形態と同様に、一つのフォイル部材13を二回周回させることで、二つのフォイルF1,F2を半径方向で重ねた二重フォイル部Wが形成される。二重フォイル部Wの外側の第一フォイルF1に設けた舌片部34で前端14aを自由端とした第一リーフ141が形成され、内側の第二フォイルF2に設けた舌片部34で前端14aを自由端とした第二リーフ142が形成される。
【0057】
軸受面14cは、各リーフ14(第一リーフ141および第二リーフ142)の外周面に形成され、この軸受面14cと外方部材11の内周面11bとの間に楔状のラジアル軸受隙間Cが形成される。軸受の運転中は、ラジアル軸受隙間Cに形成された空気膜の影響でフォイル部材13が全体に縮径し、二重フォイル部Wの内側の第二フォイルF2が軸6の外周面6aに押し付けられて両者間に円周方向の微小摺動が生じる。そのため、この摺動部を形成する第二フォイルF2の内周面および軸6の外周面6aの何れか一方または双方に、図7(b)に示す第一被膜16を形成する。各軸受面14c、および軸受面14cと摺動する外方部材11の内周面11bの何れか一方または双方に図7(a)に示す第二被膜17を形成することもできる。
【0058】
図8では外方部材11を回転側としているが、外方部材11を固定側としてもよい。但し、外方部材11を固定側とすると、フォイル部材13が回転側となるので、フォイル部材13の設計時には遠心力による第一リーフ141や第二リーフ142の変形を考慮する必要がある。
【0059】
以上に説明した各実施形態では、一枚のフォイル部材13を軸周りに2回周回させることで二重フォイル部Wを形成しているが、二重フォイル部Wの形成方法は以上に限定されない。例えば図9〜図11に示す実施形態のように、円筒状にローリングさせた二つのフォイル部材13を同軸に嵌合させることで二重フォイル部Wを形成することもできる。以下、この構成を詳述する。
【0060】
図9に示すリーフ型フォイル軸受10では、外方部材11の内周面11bと軸6の外周面6aとの間に、二つの円筒状のフォイル部材131,132からなるフォイルアセンブリが配置される。第一フォイル部材131および第2フォイル部材132は、図3および図4に示すフォイル部材13と同様に、金属製の帯状フォイル30への切り込み38の形成(図6(a)参照)、舌片部34の折り曲げ(同図(b)参照)、および帯状フォイル30のローリング、という一連の工程を経てそれぞれ製作される。両フォイル部材131、132は同一形状をなし、何れも一端に取り付け部13aが形成されている。帯状フォイル30をローリングさせる際の巻数は一回とし、両端部13b,13cを円周方向で略同位置に配置する。
【0061】
以上の工程を経ることで図11(a)に示す第一フォイル部材131、および図11(b)に示す第二フォイル部材132が得られる。第一フォイル部材131の舌片部34が第一リーフ141を構成し、第二フォイル部材132の舌片部34が第二リーフ142を構成する。また、両フォイル部材131,132において、帯状フォイル30の帯状部36により連結部15が形成される。第一フォイル部材131は、各第一リーフ141と連結部15を一体に備え、第二フォイル部材132は、各第二リーフ142と連結部15を一体に備えている。
【0062】
図10に示すフォイルアセンブリは、第一フォイル部材131と第二フォイル部材132の間の円周方向位相を一方のフォイル部材のリーフピッチの1/2分だけずらせた状態で、第二フォイル部材132を第一フォイル部材131の内周に嵌合させることで製作される。この時、第一フォイル部材131の第一リーフ141を、第二フォイル部材132の開口部35を通して隣接する第二リーフ142の間に導入することにより、第一リーフ141と第二リーフ142を円周方向交互に配置することができる。半径方向に重なり合った第一フォイル部材131および第二フォイル部材132で二重フォイル部Wが構成される。また、各リーフ14の軸受面14cを有する領域がトップフォイルTfとなり、それ以外の領域で隣接するリーフのトップフォイルTfと重なった領域がバックフォイルBfとなる。各リーフ14の前端14aおよび後端14bは、図3および図4に示す実施形態と同様に、軸方向に対して傾斜している。
【0063】
このフォイルアセンブリは、例えば両フォイル部材131、132の各取り付け部13aを外方部材11の内周に形成した嵌合溝11aに嵌合固定することにより、外方部材に取り付けられる。図9に示すように、互いに重ねた二つの取り付け部13aを共通の嵌合溝11aに固定する他、図示は省略するが、外方部材11の内周に二つの嵌合溝11aを形成し、一方の嵌合溝11aに第一フォイル部材131の取り付け部13aを固定し、他方の嵌合溝11aに第二フォイル部材132の取り付け部13aを固定するようにしてもよい。
【0064】
フォイルアセンブリの内周に挿入した軸6を楔状ラジアル軸受隙間Cの縮小方向に回転させると、各リーフ14(第一リーフ141および第二リーフ142)の軸受面14cと軸6の外周面6aとの間に空気膜が形成され、軸6の周囲の円周方向複数個所に楔状のラジアル軸受隙間Cが形成される。このように、軸6を回転側部材とし、外方部材11を固定側部材とする他、これとは逆に軸6を固定側部材とし、外方部材11を回転側部材としてもよい。また、図8に示す実施形態と同様に、フォイルアセンブリを軸6に取り付けてもよい。
【0065】
このリーフ型フォイル軸受は、二つのフォイル部材131、132を製作し、それぞれの一カ所を外方部材11に取り付けるだけで組み立てることができるので、従来のように個々のリーフを外方部材に取り付ける場合に比べ、部品の製作コストや組み立てコストを削減することができ、フォイル軸受の低コスト化を図ることができる。その他の作用効果も図3および図4に示す実施形態と共通する。
【0066】
二重フォイル部Wの他の形成方法を図12(a)(b)および図13(a)(b)に示す。
【0067】
このうち、図12(a)(b)は、一枚の帯状フォイル30を折り畳んで二重に重ね、その後ローリングさせて円筒状にすることで、二重フォイル部Wを有するフォイル部材13を形成するものである。帯状フォイル30は、図12(a)に示すように、二重フォイル部Wの第一フォイルF1を構成する第一部301(無模様で表す)と、第二フォイルF2を構成する第二部302(散点模様で表す)とで構成される。第一部301と第二部302は周方向に並んでいて、両部301,302は一体形成されている。第一部301および第二部302には、それぞれ傾斜切り込み38aおよび周方向切り込み38bを形成することで舌片部341,342が形成される。第一部301の傾斜切り込み38aと第二部302の傾斜切り込み38aとは傾斜方向が逆向きになっている。そのために第一部301の舌片部341と第二部302の舌片部342とでは、前端14aの傾斜方向が逆向きとなっており、後端14bの傾斜方向も逆向きになっている。
【0068】
次いで、図12(b)に示すように、帯状フォイル30を第一部301と第二部302の境界線で折り曲げて二重に重ねる。この折り曲げにより、第一部301の舌片部341の前端14aと第二部302の舌片部342の前端14aとが平行となり、同様に舌片部341の後端14bと舌片部342の後端14bも平行となる。その後、第一部301の舌片部341を第二部302の隣接する舌片部342の間に挿入する。これにより、第一部301の舌片部341と第二部302の舌片部342とが交互に配列される。その後、この帯状部材30を、第一部301が外径側となるように円筒状にローリングさせることで、二重フォイル部Wを有するフォイル部材13が得られる。
【0069】
この場合、第一部301の舌片部341が第一リーフ141を構成すると共に、第二部302の舌片部342が第二リーフ142を構成し、かつ各リーフ141,142の前端14aおよび後端(図示せず)が軸方向に対して傾斜した状態となるので、上記各実施形態と同様の効果が得られる。図12(a)(b)では、リーフ14の総数を奇数とし、第一部301と第二部302のどちらか一方に奇数の舌片部を設け、他方に偶数の舌片部を設けた場合を例示しているが、リーフ14の総数は偶数でもよい。この場合、第一部301と第二部302には同数の舌片部が設けられる。
【0070】
図13(a)(b)は、図12(a)(b)に示す帯状フォイル30の第一部301および第二部302を別部材301,302として製作し、二つの帯状フォイル301,302を重ねてから円筒状にローリングさせることで、二つのフォイル部材131,132からなる二重フォイル部Wを形成する方法である。その他の構成および作用効果は図12(a)(b)に示す実施形態と共通するので、重複説明を省略する。
【0071】
以上に述べた各実施形態のフォイル軸受では、図14(a)(b)に概略図示するように、各リーフ14は、起動時や停止持の回転側の部材(図面では軸部材6)との摺動により、リーフ14の後端14bからリーフ前端14aに向う方向の摺動力Pを受ける。なお、図14(a)(b)は、理解の容易化を図るため、フォイル部材13を1回だけ周回させた場合を示している。
【0072】
本発明のように、各リーフ14と連結部15が一体となった構成では、各リーフ14に作用する摺動力Pが同じフォイル部材13に作用する。この場合、図14(a)に示すように、フォイル部材13の取り付け側の一端13bから自由端となる他端13cに向う周回方向Qが摺動力Pの作用方向と同方向であると、フォイル部材13が軸6の回転に巻き込まれ、軸受の使用条件や設計条件によっては、軸6の外周面6aにフォイル部材13が巻き付くおそれがある。
【0073】
これに対し、図14(b)に示すように、フォイル部材13の周回方向Qが摺動力Pの作用方向と逆向きであれば、フォイル部材13が軸の回転に巻き込まれることはなく、軸6の外周面6aへの巻きつきを防止することができる。そのため、各リーフ14の後端14bから前端14aに向う方向Pと、フォイル部材13の一端13bから他端13cに向う周回方向Qとは逆向きに形成するのが望ましい。
【0074】
図15および図16に、軸受面14cを軸方向の二箇所に形成した複列タイプのフォイル軸受を示す。この複列タイプのフォイル軸受においては、図17に示すように、帯状フォイル30部の軸方向両側に傾斜切り込み38aおよび周方向切り込み38bを形成することで、帯状部36の軸方向両側に舌片部34を形成する。この帯状フォイル30を図6(a)に示す帯状フォイル30と同様の手順でローリングさせて円筒状に形成し、外方部材11の内周に取り付けることで、図15に示すように、軸方向両側に第一リーフ141および第二リーフ142からなるリーフ列を軸方向両側に配置することで、複列の軸受面14cを構成したフォイル軸受が得られる。
【0075】
この複列のフォイル軸受は、複列の軸受面14cを有するために、一つの軸受でモーメント荷重を支持することができる。この場合、一つの軸受10でモーメント荷重を支持することができるため、分離した軸受でモーメント荷重を支持する場合に比べ、部品点数を削減することができる。また、一つの軸受内に二つの軸受面14cがあるため、互いの中心がずれにくく、軸6の回転精度を向上させることができる。
【0076】
また、図15に示すように、軸方向両側の各リーフ14の前端14aを、軸方向中央側ほど回転方向に先行するように傾斜させた場合、軸6の回転中はトップフォイルTfとバックフォイルBfの間の傾斜状境界部にガイドされて軸方向中央側に向けて空気流が生じる。そのため、軸受の軸方向両側からの空気の逃げを防止することができ、ラジアル軸受隙間Cで生じる圧力を高めて負荷容量を向上させることができる。
【0077】
以上の説明では、複列タイプのフォイル軸受として、図4に示すように一枚のフォイル部材13を軸周りに二回周回させることで二重フォイル部Wを形成する場合を例示したが、二重フォイル部Wの形成方法は任意であり、図9〜図11(a)(b)に示す実施形態、図12(a)(b)に示す実施形態、あるいは図13(a)(b)に示す実施形態で用いる帯状フォイルを図17に示す帯状フォイル30に準じた形状に置き換えて、各実施形態の製作手順を経ることでも複列型のフォイル軸受を製作することができる。
【0078】
図17に示す複列型のフォイル軸受用の帯状フォイル30における各舌片部34の他の形状例を図18(a)〜(g)に示す。
【0079】
このうち、図18(a)は、各舌片部34の周方向長さを、軸方向中央部側よりも軸受両端側で短くしたものである。一般に舌片部34では、舌片部の周方向幅が小さいほど舌片部34の剛性が高まるため、舌片部の周方向長さを変化させれば、各舌片部34に軸方向の剛性差を形成することができる。図18(a)に示す構成であれば、各舌片部34の軸方向両端側が高剛性化される。この場合、高剛性部分では軸受面14cの変形が生じにくくなるため、軸方向の支持スパンを拡大することができ、特に軸6がコニカルに振れ回るような事態を抑制することができる。
【0080】
図18(b)は、舌片部34の軸方向両側に返し344を設けたものである。前述のように、軸6の回転中はラジアル軸受隙間Cに傾斜方向の空気流が発生するが、このように返し344を設けることで、軸受外部に逃げる空気流を少なくすることができ、ラジアル軸受隙間Cで生じる圧力を高めて軸受の負荷容量を増大させることができる。
【0081】
図18(c)は、各舌片部34の後端14bの一箇所もしくは複数個所にスリット345を形成したものである。これにより、各リーフ14のバックフォイルBfとなる部分のばね性を軸方向で変化させて、軸方向でバックフォイルBfのばね性に勾配をつけることができる。これにより、軸受設計の多様化が図られる。特に軸受端でのばね性を強化する(スリット345からフォイル端までの軸方向距離を大きくする)ことで、軸6がコニカルに振れ回る事態を抑制することができる。
【0082】
図18(d)は、各舌片部34の前端14aを、凹凸を有する非直線形状としたものである。これにより、前端14a付近でフォイルが重なり合う周方向長さを変化させることができ、各リーフ14の前端14aの高さを調整することが可能となる。そのため、軸受面14cにおける周方向の勾配を調節して軸受設計の多様化を図ることができる。
【0083】
図18(e)は、各舌片部34の前端14aおよび後端14bをスパイラル状に形成したものである。これにより、ラジアル軸受隙間Cで生じる傾斜方向の空気流の流量を増大させ、高圧部での圧力を高めて負荷容量を増大させることができる。
【0084】
図18(f)は、各舌片部34の前端14aをジグザグに形成したものである。これにより、前端14aよりも後方の空間で二次流れを積極的に形成することが可能となり、負荷容量を増大させることができる。この効果は、後端14bの形状とは無関係に、少なくとも前端14aをジグザグに形成することで得ることができる。そのため、帯状フォイル30に形成した切り込み38aで前端14aと後端14bを分離することに関係して、後端14bが前端14aと対応したジグザグ状に形成されていても構わない。
【0085】
図18(g)は、各舌片部34の前端14aおよび後端14bをヘリングボーン形状にしたものである。この場合、軸6の回転中に気流が各舌片部34の屈曲部分に集まるため、軸方向に離隔した二箇所に高圧部Pが形成される。そのため、特に軸6がコニカルに振れ回る事態を抑制することができる。
【0086】
なお、以上の図18(a)〜(g)に関連する説明では、複列タイプのフォイル軸受で使用する帯状フォイル30を例示しているが、特に問題なければ、図3および図4等に示す実施形態のような単列タイプのフォイル軸受10で使用する帯状フォイル30についても、各舌片部34を図18(a)〜(g)と同じ形状に形成することができる。
【0087】
図19(a)は、図18(g)に示す形態の舌片部34を有する複列タイプの帯状フォイル30の平面図であり、同図(b)はその部分拡大図である。図19(a)(b)に示すように、帯状フォイル30の舌片部34と帯状部36とを分断する周方向切り込み38bは、互いに平行な第一端縁381および第二端縁382と、この二つの端縁381,382を接続する第三端縁383とで構成されている。ここで第一端縁381は帯状部36の端縁であり、第二端縁382は舌片部34の端縁であり、第三端縁383は接続部37の端縁である。
【0088】
上記のとおりフォイル軸受の高速回転中は、軸6と各リーフ14との間に空気膜が形成されていて両者は非接触状態となる。その一方で、起動時や停止時の低速回転中は、フォイル部材13の各リーフ14が軸6の外周面と摺動し、各リーフ14に軸6の回転方向に向けて引張力が作用する。図19(b)に示すように、第二端縁382と第三端縁383の間の角部385、および第一端縁381と第三端縁383の間の角部386がエッジになっていると、引張力による応力集中が生じやすく、フォイル部材13が破損する要因となる。この応力集中は、傾斜切り込み38aの終端と、これにつながる周方向切り込み38bの第一端縁381との間の角部387でも同様に問題となる。
【0089】
この対策として、図20(a)(b)に示すように、各角部385,386,387をアール形状に形成するのが望ましい。これにより、各角部385,386,387で生じる応力集中を軽減して各舌片部34(リーフ14)の引張強度を高めることができ、フォイル部材13の耐久性を向上させることができる。各角部385,386,387の全てをアール形状にする他、特に応力集中を生じやすい鋭角の角部386だけをアール形状にし、他の角部385,387はエッジにすることもできる。
【0090】
なお、以上に説明した応力集中対策としての周方向切り込み38bのアール形状は、図6、図12(a)、図13(a)(b)、図17、および図18(a)〜(f)に示す帯状フォイル30の各実施形態にも適用することが可能である。
【0091】
以上の説明では、複数のリーフ14を連結部15で連結することで一体化し、一つのフォイル部材13で複数のリーフ14を形成する場合を説明したが、図21(a)(b)および図22(a)(b)に示すように、各リーフ14をそれぞれ独立したフォイル部材13で形成する場合にも本発明を適用することができる。この場合、各フォイル部材13の後端14bにそれぞれを外方部材11に取り付けるための取り付け部13aが形成される。各フォイル部材13の取り付け部13aを外方部材11に固定することで、円周方向の複数個所にリーフ14が形成される。
【0092】
この実施形態においても、各リーフ14の前端14aを軸方向に対して傾斜させることで、ラジアル軸受隙間Cに軸方向の圧力勾配を発生させ、さらにラジアル軸受隙間Cの高圧部を円周方向で連続して分布させて、軸6の回転の安定化を図ることができる。また、後端14bも同様に傾斜させることで、トップフォイルTfとバックフォイルBfの境界部に傾斜状の段部を形成し、この段部に沿って傾斜空気流が流れるように構成することもできる。
【0093】
図21(a)(b)では、前端14aおよび後端14bの傾斜方向を一方向に限定することで、圧力勾配を当該方向に高めるようにしている。これに対し、図22(a)(b)は、傾斜方向を逆にした二種類の傾斜部分14a1,14a2で前端14aをV字状に形成し、同様に後端14bを傾斜方向を逆にした二種類の傾斜部分14b1,14b2でV字状に形成した場合を例示している。これにより、軸受面14cの軸方向中央部に向けて圧力が高くなる圧力勾配を形成することができる。また、後端14bの形状に沿ったトップフォイルTfとバックフォイルBfの境界部で生じる傾斜空気流が軸受面14cの軸方向中央部分で合流するため、負荷容量を高めることができる。図22(a)(b)に示すV字状の前端14aおよび後端14bは、図3、図8、図10、図12、および図15に示す各実施形態のフォイル部材13,131,132にも同様に適用することができる。
【0094】
本発明にかかるフォイル軸受10の適用対象は、上述したマイクロガスタービンに限られず、他のターボ機械、例えば過給機のロータを支持する軸受としても使用することができる。過給機は、図23に示すように、エンジン53で生じた排気ガスでタービン51を駆動し、その駆動力で圧縮機52を回転させて吸入エアを圧縮し、エンジン53のトルクアップや効率改善を図るものである。タービン51、圧縮機52、および軸6でロータが構成され、軸6を支持するラジアル軸受10として、上記各実施形態のフォイル軸受10を使用することができる。
【0095】
本発明にかかるフォイル軸受は、マイクロタービンや過給機に限らず、潤滑油などの液体による潤滑が困難である、エネルギー効率の観点から潤滑油循環系の補機を別途設けることが困難である、あるいは液体のせん断による抵抗が問題になる等の制限下で使用される自動車等の車両用軸受、さらには産業機器用の軸受として広く使用することが可能である。
【0096】
本発明は、以上に述べた実施形態に限定されることはなく、種々の変形が可能である。例えば、以上の説明では、各リーフ14の前端14aと後端14bの双方を軸方向に対して傾斜させた場合を例示したが、前端14aと後端14bのうち、どちらか一方だけを傾斜させて他方を軸方向と平行に形成しても構わない。また、全てのリーフ14および連結部15を一枚のフォイル部材13で形成した場合を例示したが、必ずしも全てのリーフ14を一枚のフォイル部材13で製作する必要はない。例えば、2つのリーフ14とこれらを連結する連結部15を一枚のフォイル部材13で形成し、複数のフォイル部材13を周方向につないで円筒形にすることで、各リーフ14を形成するようにしてもよい。
【0097】
また、以上に説明した各フォイル軸受は、圧力発生流体として空気を使用した空気動圧軸受であるが、これに限らず圧力発生流体として潤滑油を使用した油動圧軸受としても使用することができる。さらに、軸6と外方部材11のどちらか一方を回転側の部材、他方を固定側の部材として用いる場合を例示したが、双方の部材を、速度差を持つ回転側の部材として使用することもできる。
【符号の説明】
【0098】
6 軸
6a 外周面
10 フォイル軸受
11 外方部材
11a 嵌合溝
11b 内周面
13 フォイル部材
13a 取り付け部
13b 一端
13c 他端
14 リーフ
14a 前端
14b 後端
14c 軸受面
15 連結部
16 第一被膜
17 第二被膜
30 帯状フォイル
34 舌片部
36 帯状部
37 接続部
38 切り込み
38a 傾斜切り込み
38b 周方向切り込み
131 フォイル部材
132 フォイル部材
385,386,387 角部
F1 第一フォイル
F2 第二フォイル
141 第一リーフ
142 第二リーフ
Tf トップフォイル
Bf バックフォイル
C ラジアル軸受隙間
P 摺動力
Q 周回方向
W 二重フォイル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の外方部材と、外方部材の内周に挿入された軸と、外方部材の内周面と軸の外周面との間の円周方向の複数個所に配置され、周方向に離隔する前端および後端を備え、前端が自由端になったリーフとを有し、各リーフの前端を含む領域が、軸受面を有するトップフォイル部を形成すると共に、各リーフの後端を含む領域が隣接するリーフのトップフォイル部を背後から支持するバックフォイル部を形成し、前記軸受面と対峙するラジアル軸受隙間に生じた流体膜で軸と外方部材の相対回転を支持するフォイル軸受において、
各リーフの前端および後端の何れか一方または双方を軸方向に対して傾斜させたことを特徴とするフォイル軸受。
【請求項2】
軸の外周面と外方部材の内周面との間に、複数のリーフを連結する連結部を備え、かつ複数のリーフと連結部を一体に有するフォイル部材を配置した請求項1に記載のフォイル軸受。
【請求項3】
フォイル部材が有端の円筒状をなし、フォイル部材の周方向の一端側を外方部材もしくは軸に取り付けると共に、他端を自由端とし、前記一端から他端に至るフォイル部材の周回方向を、各リーフの後端から前端に向う方向と逆向きにした請求項2に記載のフォイル軸受。
【請求項4】
半径方向で重なった第一フォイルおよび第二フォイルからなる二重フォイル部を備え、第一フォイルに第一リーフを形成すると共に、第二フォイルに第二リーフを形成し、第一リーフおよび第二リーフを第一フォイルおよび第二フォイルのそれぞれに設けた切り込みで形成し、第一リーフを、前記切り込みで形成した空間を介して隣接する第二リーフの間に挿入した請求項2または3に記載のフォイル軸受。
【請求項5】
フォイル部材が、複数の切り込みを有する帯状フォイルをローリングさせて形成され、帯状フォイルに、前記切り込みにより、連結部を構成する帯状部とリーフを構成する複数の舌片部とを形成した請求項2〜4何れか1項に記載のフォイル軸受。
【請求項6】
帯状フォイルの切込みのうち、各舌片部と帯状部とを分断する切り込みの角部をアール形状にした請求項5に記載のフォイル軸受。
【請求項7】
外方部材と軸のどちらか一方を固定側の部材とし、他方を回転側の部材とし、固定側の部材とフォイル部材の摺動部、回転側の部材とフォイル部材の摺動部、およびフォイル部材同士の摺動部のうち、少なくとも二つの摺動部の摩擦係数を異ならせた請求項2〜6何れか1項に記載のフォイル軸受。
【請求項8】
全ての摺動部に被膜を介在させ、あるいは一部の摺動部だけに被膜を介在させた請求項7に記載のフォイル軸受。
【請求項9】
ロータの支持に請求項1〜8何れか1項に記載のフォイル軸受を使用したターボ機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−79719(P2013−79719A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−204320(P2012−204320)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】