説明

フォトマスク洗浄装置及び方法

【課題】フォトマスクの大型化に伴う撓みによる洗浄ムラを解消した、とくにフォトマスクの中心部付近と外周部において均一な洗浄効果が得られる洗浄ブラシを用いた回転式フォトマスク洗浄装置の提供。
【解決手段】フォトマスクを洗浄する装置であって、少なくともフォトマスク保持部と、フォトマスクを保持しつつ回転させる回転機構と、回転機構制御部と、アームに取り付けられた回転ブラシ部と、回転ブラシ位置制御部を具備していることを特徴とするフォトマスク洗浄装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置用基板、半導体基板及びフォトマスク用基板、光ディスク用基板等に用いられる基板洗浄装置とこれを用いた洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶ディスプレイパネルに用いられるカラーフィルタは、ガラス基板からなる透明基板上に、ブラックマトリックス、赤色フィルタ、緑色フィルタ、青色フィルタをそれぞれ塗布、露光、現像工程にて処理するフォトリソグラフィ工程を経て形成する。
【0003】
露光工程においては、図1に示すようにフォトマスクを用いて必要部分を感光させることによって、所定の部分の硬化形成を行う。
まず、図1(a)のように、ガラス基板(101)上に感光性樹脂層(102)を塗布してその上からフォトマスク(1)を介して露光光(103)を照射して感光性樹脂の所定の部分(104)を硬化させる。次に図1(b)のように、感光性樹脂層(102)の硬化部分(104)以外の感光性樹脂を溶解除去する現像工程を経て基板上にカラーフィルタの樹脂層が作成される。
【0004】
この際使用するフォトマスク(1)が昇華物や埃等の異物により汚れていた場合、露光光が所定の場所に当たらず部分的に硬化不足が生じて、その部分の硬化ムラ等によりカラーフィルタが不良品となってしまうので、これを防止するためにフォトマスクの定期的な洗浄が必要になる。
【0005】
フォトマスクの定期的な洗浄にあたっては、図2に示すような、移載部(105)、スピン洗浄部(106)、検査部(107)からなる洗浄装置を用いることが多い。
スピン洗浄部(106)では基板(108)をスピンさせると同時にブラシ(109)による洗浄が可能となっており、一定の角速度でマスク上を掃引する可動アーム上に取り付けられた洗浄用のブラシ(109)が一定速度で位置を変化させていくことにより、フォトマスク(108)全面を均一にブラッシングを行い、ブラシ(109)を退避させ、フォトマスク(108)を高速でスピンさせることにより乾燥させる手法および装置が一般的である(特許文献1、特許文献2)。
【0006】
通常このようなブラシ式基板洗浄装置では、基板を水平姿勢で回転させ、ノズルから浄液を基板上に供給しながら洗浄ブラシを基板表面の中心部から外周部まで移動させる。
この時、回転している基板の洗浄範囲内に洗浄ブラシを予め設定された一定の速度で移動させている。しかしながら、回転する基板の周方向の速度は基板の中心部から外周部に向かうに従って速くなっている。そのため、基板の表面を洗浄ブラシが等速度で移動すると、基板表面の中心部と外周部とで洗浄程度が異なり、基板の表面を均一に洗浄することができない。
【0007】
特許文献1では、この問題に対して、回転する基板の表面を均一に処理するために、回転する基板の表面上の中心部から外周部の範囲または一方の外周部から中心部を経由して他方の外周部の範囲に洗浄ブラシを移動させて基板の表面を処理する回転式基板処理装置において、洗浄ブラシの移動速度を可変に制御する制御手段を設けた装置が提案されている。
【0008】
たとえば、制御手段により洗浄ブラシの移動速度を基板の中心部から外周部に向かって減少させる場合、回転する基板の周方向の速度が基板の中心部から外周部に向かって速く
なっているので、洗浄ブラシの移動速度を基板の中心部から外周部に向かって減少させることにより洗浄ブラシによる基板表面の単位面積当たりの処理時間を基板の面内で等しくすることができる。
【0009】
特許文献2では、被洗浄体である基板を所定の速度で回転させながら、基板表面に物理的な力を作用させる洗浄ブラシが取り付けられたアームを、基板上の所定の範囲内で複数回走査させ、物理的な力により基板表面の付着物を除去する基板洗浄方法であって、物理的な力を作用させる回数を、基板の中心部付近よりも外周部に対して多くした基板洗浄方法であって基板上を走査する洗浄ブラシの数を、基板の中心部付近よりも外周部に対して多くした基板洗浄方法が提案されており、さらに物理的な力の作用を基板の中心部付近よりも外周部に対して大きくした洗浄方法までもが提案されている。
【0010】
近年基板の大型化に伴い、フォトマスクに関しても大型化が進んでおり、洗浄工程のスピン部等でフォトマスクの端部を保持して回転させる場合に重力によってフォトマスクが撓んでしまうという問題が発生している。撓みの量を軽減させることのみであればフォトマスクの厚みを増大させればよいが、費用の増大や重量の増加、簡便な搬送が困難になる等の問題が新たに発生することを考えると実際には難しい。
【0011】
特許文献1または特許文献2に提案されている方法に於いては、被洗浄基板(フォトマスク)の中心部と外周部の洗浄の程度を均一化するために、一定速度で回転する基板の上を掃引させる洗浄ブラシの掃引速度を基板中心部付近と基板外周部で変化させるか、洗浄ブラシの配置数を変化させる等の方法で基板上の面積当りの洗浄時間を均一化することを基本としたものであり、洗浄ブラシの基板表面に対する物理的な力が一定とみなされるような場合、たとえば基板の撓みがほとんど生じないような寸法の基板であれば効果的であると思われる。
【0012】
大型基板に従来技術を適用する上での問題点の一つは、前記のような基板の撓みにより、基板の中心部と外周部での高さに差が生じてしまうため、洗浄ブラシが基板表面に均一な圧力で当たらず、部分的な洗浄不良が発生してしまうということである。
【0013】
この他に、洗浄ブラシの一回の定速旋回では基板の中心部と外周部で基板の回転速度が違うことにより、ブラシ接触時間に差が生じるため、中心部と外周部での洗浄ムラが発生してしまうことや、全体を綺麗に洗浄するために外周部へのブラシ接触時間を長くすると、フォトマスク全体の洗浄時間が長くなり、カラーフィルタの生産効率への影響が大きくなるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平11−244796号公報
【特許文献2】特開平9−148295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
フォトマスクの大型化に伴う撓みによる洗浄ムラを解消した、とくに基板の中心部付近と外周部において均一な洗浄効果が得られる洗浄ブラシを用いた回転式フォトマスク洗浄装置の提供。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の請求項1に係る発明は、フォトマスクを洗浄する装置であって、少なくともフォトマスク保持部と、フォトマスクを保持しつつ回転させる回転機構と、回転機構制御部と、アームに取り付けられた回転ブラシ部と、回転ブラシ位置制御部を具備していることを特徴とするフォトマスク洗浄装置である。
【0017】
本発明の請求項2に係る発明は、前記フォトマスク保持部が、フォトマスクを端部で挟み込む構造となっており、フォトマスクの表面及び裏面への接触がない機構となっていることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスク洗浄装置である。
【0018】
本発明の請求項3に係る発明は、前記回転機構制御部が、任意に回転数を制御可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のフォトマスク洗浄装置である。
【0019】
本発明の請求項4に係る発明は、前記回転ブラシ部が回転ブラシ部単体で独立の回転機構を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のフォトマスク洗浄装置である。
【0020】
本発明の請求項5に係る発明は、回転ブラシ部のアームへの取り付け部分はその角度がフォトマスク表面に垂直に追従出来るように可動式となっていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のフォトマスク洗浄装置である。
【0021】
本発明の請求項6に係る発明は、回転ブラシ部に圧力センサが取り付けられており、その圧力センサからのフィードバックにより、フォトマスクとの接触圧を一定に保つ機構を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のフォトマスク洗浄装置である。
【0022】
本発明の請求項7に係る発明は、前記回転ブラシ位置制御部は、前記回転機構により回転させられたフォトマスクの半径に追従する形で角速度が可変する機構となっていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のフォトマスク洗浄装置である。
【0023】
本発明の請求項8に係る発明は、前記回転ブラシ位置制御部は、Z軸方向へも移動可能となっており、前記圧力センサにより捉えたフォトマスク表面に対する回転ブラシ部の圧力が一定となるように制御する機構を具備することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のフォトマスク洗浄装置である。
【0024】
本発明の請求項9に係る発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載のフォトマスク洗浄装置を用いたことを特徴とするフォトマスクの洗浄方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明のフォトマスク洗浄装置によれば、回転ブラシ部分に取り付けられた圧力センサからのフォトマスク表面に対する回転ブラシの圧力のフィードバックと、回転ブラシ部の角度可動式機構により、撓んだ面でも常にブラシ面で洗浄面を捉えることが可能となり、しかもブラシ面は常に一定圧力で洗浄面に接しながら洗浄することが可能になった。
これにより、ブラシの基材面に対する接触が不均一であることにより発生する可能性のある傷の問題および洗浄ムラ等の問題を解消することが出来る。
【0026】
また、回転ブラシ位置制御部により回転ブラシ部のフォトマスク上の掃引速度を可変とすることにより、フォトマスク中心部および外周部でのブラシ接触時間を均一にすることが可能となり、フォトマスクの大型化による洗浄ムラを解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】カラーフィルタのフォトマスクによる露光工程の一例の概略図である。(a)は露光工程を(b)は現像工程を示す。
【図2】フォトマスクの洗浄装置の一例の概略図である。
【図3】本発明のフォトマスク洗浄装置の実施形態例の概略図である。(a)は平面略図を(b)は側面略図を示す。
【図4】フォトマスク撓み時のブラシとフォトマスクの関係を説明する断面概略図である。
【図5】フォトマスク撓み時のブラシとフォトマスクの関係を説明する断面概略図である。(a)はフォトマスクが平坦な場合(b)はフォトマスクが撓んでいる場合を示す。
【図6】フォトマスク洗浄装置でフォトマスクが回転した際の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明のフォトマスク洗浄装置の実施形態の例を図面を参照して説明する。
図3は本発明のフォトマスク洗浄装置の実施形態例の概略図である。(a)は平面略図を(b)は側面略図を示す。
【0029】
本発明のフォトマスク洗浄装置は、フォトマスクを洗浄する装置であって、少なくともフォトマスク保持部(2)と、フォトマスクを保持しつつ回転させるフォトマスク回転機構(3)と、回転機構制御部(4)と、アーム(9)に取り付けられた回転ブラシ部(5)と、回転ブラシ位置制御部(6)を具備しているフォトマスク洗浄装置である。
【0030】
被洗浄基板であるフォトマスク(1)はフォトマスク保持部(2)に保持される。フォトマスク保持部(2)が、フォトマスク(1)を端部で挟み込む構造となっており、フォトマスクの表面及び裏面への保持部の接触がない機構となっている
【0031】
図3(b)に示したようにフォトマスク保持部(2)の端部の厚みはフォトマスクと同じ厚みでもそれより厚くてもよいが、回転ブラシ部(5)との接触面(図の上面)より上への飛び出しは、洗浄時回転ブラシ部と接触して傷つける恐れがあるために好ましくない。
【0032】
回転ブラシ部(5)は回転ブラシ位置制御部(6)によりアーム(9)を介して保持されている。また、回転ブラシ部(5)は回転ブラシ位置制御部(6)を中心として弧を描く形で掃引することが可能となっており、さらに回転ブラシ部(5)単体で自転できる機構となっている。
【0033】
回転ブラシ部(5)のアーム(9)への取り付け部には圧力センサ(8)が設置されており、回転ブラシ位置制御部(6)によりフォトマスク基板方向、すなわちZ軸方向(図の下側)へ回転ブラシ部(5)を押し付けた際に、任意に設定した圧力値と圧力センサ(8)からのフィードバックにより回転ブラシ部(5)の被洗浄基板(1)に対する押し付け力を制御する機構が備わっている。
【0034】
ここでは回転ブラシ部(5)のアーム(9)への取り付け部に圧力センサ(8)を取り付けたが、回転ブラシ部の押し付け圧を判断するのが目的であるので、取り付け位置はとくにこの部分に限定する必要はない。
図示しないが、必要に応じて、回転ブラシ部(5)からは洗浄を行う際に必要な洗浄剤や洗い流す際に必要となる純水等が供給される仕組みとなっていることが望ましい。これらの供給は、別機構により供給可能とすることも可能である。
【0035】
フォトマスク(1)がフォトマスク保持部(2)により端面から保持された状態で、フォトマスク回転機構(3)が回転運動を行いフォトマスクを回転させる。回転ブラシ位置制御部(6)はフォトマスク(1)表面に回転ブラシ部(5)をあらかじめ設定された圧力分押し込むように、アーム(9)を制御して回転ブラシ部(5)を押し付ける。
【0036】
この状態で、アーム(9)を左右へスイングすることにより、回転ブラシ部(5)をフォトマスク(1)表面に接触させてフォトマスク全面の洗浄を行う。
この際アーム(9)を単なるスイング運動すなわち、一定の角速度で移動させるだけだと、フォトマスク(1)の中心部ではフォトマスクの周速度が遅いため、回転ブラシ(5)との接触時間は長くなるが、外周部に至るとフォトマスクの周速度が速くなっているため、回転ブラシ部(5)との接触時間は中心部に比べて短くなってしまう。
【0037】
このようにアームのスイング運動を定速でおこなうと中心部は洗浄出来るが、外周部では洗浄不十分となってしまうというようにフォトマスクの内側と外側で洗浄ムラを生じる可能性がある。
【0038】
本発明のフォトマスク洗浄装置では、アーム(9)のスイング速度(角速度)が可変出来る機構となっており、図6にフォトマスク上のブラシ部位置とアーム移動の角速度の関係の説明図を示したように、中心部の洗浄範囲ではスイング速度(角速度)を速めに、外周部では遅くすることにより、フォトマスクがブラシと接触している時間を同等にすることにより均一で効率よく洗浄を行うことが可能となる。
【0039】
図6の(a)にはこの説明のために洗浄時の平面略図を、図6の(b)にはフォトマスクの回転時における回転ブラシ部(5)のフォトマスク回転中心からの距離(r)に対応する角速度(ω)の例を示した。
【0040】
このようにアーム(9)のスイング速度(角速度)が可変出来る機構とすることによって、半径(r)に対するあらかじめプログラミングされたスイング速度による追従だけでなく、所望の任意の半径部分でスイング速度(角速度)が変更できる機構とすることで、フォトマスク(1)の一部が特に汚れている場合など、必要に応じてその部分を重点的に洗浄することが可能となる。
【0041】
基板(フォトマスク)の大型化に伴い、フォトマスクの保持をフォトマスクのサイドでの挟み込みによる支持で行う場合にフォトマスクの撓みが増大してくる。これを模式的に示したのが図4である。
【0042】
図4に示すように、フォトマスク(1)の保持を両端面のフォトマスク保持部で挟み込んで行っている場合には、回転ブラシ部(5)の接触面(図の下面)の高さ方向の位置はフォトマスク(1)の外周部では洗浄面に接触するが中心部では離れてしまう。逆に回転ブラシ部(5)の高さをフォトマスク中心部で合わせると外周部では押し込み量が大きくなってしまい、フォトマスクに傷をつける可能性がある。
【0043】
本発明のフォトマスク洗浄装置においては、回転ブラシ部(5)に圧力センサ(8)を設置し、あらかじめ決めた圧力の設定値と圧力センサ(8)からのフィードバック値を一定に保つ形で、回転ブラシ位置制御部(6)に備えられたZ軸方向の動作機構によってZ軸方向の押し付け、開放を行っていく。
これによって、フォトマスク(1)の撓みによって生じる回転ブラシ部(5)の接触時の圧力の変動を抑えてマスクの中心部から外周部まで全面を均一な状態で洗浄することが可能になる。
【0044】
図5に撓んだ際のブラシ部と基板(フォトマスク)の当たり方(角度)について模式的に示した。
図5(a)はフォトマスク(1)が撓みのない状態で水平に置かれたときのフォトマスクの洗浄される表面に対する回転ブラシ部(5)の接触の状態を示した断面略図である。
【0045】
フォトマスク(1)の表面に対してブラシ部回転機構(7)により回転する回転ブラシ部(5)の回転軸(10)は垂直となっており、回転ブラシが回転しているときも回転ブラシ(5)の表面が均一に被洗浄表面に当たっている。
【0046】
これに対して、図5(b)はフォトマスク(1)が撓んだ状態で置かれたときの水平から傾斜した状態の領域(たとえば図4のフォトマスクの外周側)でのフォトマスク(1)の洗浄される表面に対する回転ブラシ部(5)の接触の状態を示した断面略図である。
【0047】
図5(b)の左側の図では回転ブラシ部(5)の回転軸(10)はフォトマスク(1)の水平な表面に対して垂直になるように固定されており、水平から傾斜した状態の領域に対しては垂直よりも角度を持った状態で接触してしまうために回転ブラシ(5)の表面の角の部分のみが被洗浄表面に当たって均一な洗浄が出来ない。
【0048】
これに対して、図5(b)の右側の図に示した本発明のフォトマスク洗浄装置では、
回転ブラシ部(5)とアームの取り付け部分の角度は自由可動する形となっているため、回転軸(10)はフォトマスク(1)の傾斜した表面に対して追従して常に垂直になるように動くことが出来る。その結果、撓みのある状態のフォトマスク(1)に対しても回転ブラシ(5)の表面の前部の面が被洗浄表面に当たって均一な洗浄が出来るようになる。
【0049】
上記の回転ブラシ部(5)の被洗浄表面への追従の動きに対する抵抗を減少させるために本発明のフォトマスク洗浄装置においては回転ブラシ部(5)をブラシ部回転機構(7)によって個別に独立回転させる機構を採用している。
これによって、回転ブラシ部(5)とアームの取り付け部分の角度が抵抗なく自由に変動することが出来るので、回転軸(10)のフォトマスク(1)の傾斜した表面に対して追従する動きがより滑らかになっている。
【0050】
回転ブラシ部(5)が個別に回転しているので、洗浄時にフォトマスク(1)の表面をブラッシングすると同時に、回転ブラシ部(5)の取り付け部分が自由可動するため、アーム(9)からかかる力によるZ軸方向への押し込みがあっても、回転ブラシ部(5)の毛部分が折れ曲がってしまうということが回避できる。さらに、回転ブラシ部(5)を回転することにより、力を分散させブラシ面でしっかりとフォトマスク(1)面を捉えることが可能となっている。この際ブラシ可動角度は被洗浄対象物(今回の場合はフォトマスク)に追従すればよく、機構など特に限定するものではない。
【0051】
本発明のフォトマスク洗浄装置を用いることによって、上述のように回転ブラシ部をブラシ位置制御部によって、Z方向(被洗浄基板の厚み方向)へ押し付けることにより撓んだ基板であっても、全面に均一に回転ブラシ部を接触させることが可能となり、洗浄ムラを解消することが出来る。
【0052】
また、回転ブラシ部を備えたアームのスイング速度が可変となることで、回転運動している被洗浄基板の中心部と外周部でのブラシ接触時間を均一にすることが可能となり、スイング速度が一定の場合に比べ、無駄な洗浄を行わずに、各点最適な洗浄時間を選択することが可能となることにより、洗浄ムラの解消および洗浄効率の向上に貢献する。
【0053】
回転ブラシ部が独立回転運動、取り付け部での可動機構、圧力センサを備えていることにより、撓んだフォトマスクであっても、ブラシ面全体でフォトマスクを捉えることが出来、洗浄の際のブラシ押し当て圧力も一定となることから、撓んだ部分の洗浄不足等の問題を解消することが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1…フォトマスク
101…ガラス基板
102…感光性樹脂層
103…露光光
104…硬化部分
105…移載部
106…スピン洗浄部
107…検査部
108…基板
109…ブラシ
110…基板の移載搬出
2…フォトマスク保持部
3…フォトマスク回転機構
4…回転機構制御部
5…回転ブラシ部
6…回転ブラシ位置制御部
7…ブラシ部回転機構
8…圧力センサ
9…アーム
10…ブラシ回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトマスクを洗浄する装置であって、少なくともフォトマスク保持部と、フォトマスクを保持しつつ回転させる回転機構と、回転機構制御部と、アームに取り付けられた回転ブラシ部と、回転ブラシ位置制御部を具備していることを特徴とするフォトマスク洗浄装置。
【請求項2】
前記フォトマスク保持部が、フォトマスクを端部で挟み込む構造となっており、フォトマスクの表面及び裏面への接触がない機構となっていることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスク洗浄装置。
【請求項3】
前記回転機構制御部が、任意に回転数を制御可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のフォトマスク洗浄装置。
【請求項4】
前記回転ブラシ部が回転ブラシ部単体で独立の回転機構を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のフォトマスク洗浄装置。
【請求項5】
前記回転ブラシ部のアームへの取り付け部分はその角度がフォトマスク表面に垂直に追従出来るように可動式となっていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のフォトマスク洗浄装置。
【請求項6】
前記回転ブラシ部に圧力センサが取り付けられており、その圧力センサからのフィードバックにより、フォトマスクとの接触圧を一定に保つ機構を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のフォトマスク洗浄装置。
【請求項7】
前記回転ブラシ位置制御部は、前記回転機構により回転させられたフォトマスクの半径に追従する形で角速度が可変する機構となっていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のフォトマスク洗浄装置。
【請求項8】
前記回転ブラシ位置制御部は、Z軸方向へも移動可能となっており、前記圧力センサにより捉えたフォトマスク表面に対する回転ブラシ部の圧力が一定となるように制御する機構を具備することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のフォトマスク洗浄装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のフォトマスク洗浄装置を用いたことを特徴とするフォトマスクの洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−123090(P2011−123090A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278262(P2009−278262)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】