説明

フォトリソグラフィーの組成物および方法

【課題】液浸リソグラフィーのための信頼性があり、かつ便利なフォトレジストおよび画像化法を提供する。液浸リソグラフィー処理ならびに非液浸画像化用をはじめとするフォトレジスト上に適用されるオーバーコーティング層組成物を提供する。
【解決手段】基体上のフォトレジスト組成物層、該フォトレジスト層上の、1以上の親水性基を含むコポリマー樹脂を含む有機組成物を含む、コーティングされた基体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液浸リソグラフィー処理用をはじめとする、フォトレジスト組成物の上に適用されるオーバーコーティング層組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは、イメージを基体に転写するために用いられる感光性膜である。フォトレジストのコーティング層が基体上に形成され、フォトレジスト層は次いでフォトマスクを通して活性化放射線源に曝される。フォトマスクは活性化放射線に対して不透明な部分と活性化放射線に対して透明な他の部分を有する。活性化放射線への露光により、フォトレジストコーティングの、光誘起化学的変換に起こり、これによりフォトマスクのパターンがフォトレジストでコーティングされた基体に転写される。露光後、フォトレジストを現像してレリーフイメージを得、これにより基体の選択的加工が可能になる。
【0003】
半導体産業の発展は、ICデバイスの複雑さが平均して2年ごとに倍増することを提示するムーアの法則によって推進されている。このことにより、フィーチャー寸法が絶えず小さくなり続けるので、パターンおよび構造をリソグラフィーで転写することを必要とせざるを得ない。
【0004】
より小さなフィーチャー寸法を達成するための一つ方法は、より短い波長の光を使用することであるが、193nmより下で透明である物質を見つけるのは困難であるので、より多くの光を膜に集中させるため、単に液体を使用することによりレンズの開口数を増大させる液浸リソグラフィーを用いた選択肢がもたらされた。液浸リソグラフィーは、屈折率が比較的高い液体を画像化デバイス(例えば、KrFまたはArFステッパー)の最下表面とウェハまたは他の基体上の最上の表面との間に用いる。
【0005】
液浸鏡検(immersion microscopy)は、空気よりも高い屈折率を有する液体を用いることによりレンズの開口数を増大させる方法として報告されている。改善は数値で表すことができ、最小線幅Wは次のようにして計算される。
W=kλ/NA 式1
(式中、kは分析係数であり、λは光の波長であり、NAは開口数である)。
【0006】
屈折率1を有する空気に関して、開口数の実用限界は0.93である。1より大きな屈折率を有する物質に関しては、1より大きなNAは次の式に基づいて得られる。
NA=nsin(α)=d(2f)式2
NAを代入して、式を次のように簡単にすることができる。
W=kλ/nsin(α) 式3
(式中、nは液浸液の屈折率であり、αはレンズの取り込み角である)。
従って、1.47の屈折率を有する水に関して、193nmでの線幅は、35nmが可能である。
【0007】
液浸リソグラフィー材料を開発するいくつかの試みがなされてきた。米国特許出願公開番号第2005/0239296参照。しかしながら、広範囲に及ぶ、実績のある液浸リソグラフィー系は一般的にはいまだ存在しない。液浸リソグラフィーのための信頼性があり、かつ便利なフォトレジストおよび画像化法が明らかに必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開番号第2005/0239296号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
液浸フォトリソグラフィーのための新規材料および方法が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、本発明者らは、液浸フォトリソグラフィーのための新規組成物(オーバーコーティング組成物)および方法を提供する。本発明者らは、非液浸画像化法において使用するためのフォトレジスト層の上のオーバーコート層を使用できる新規組成物も提供する。
【0011】
好ましい態様において、本発明のオーバーコーティング組成物は、コポリマー(2つの異なる繰り返し単位の合計)を含む。コポリマーは、好ましくは1以上の親水性基、たとえば、ヘテロ原子(N、OまたはS)含有基、例えばエステル、エーテル、アルコール、カルボキシまたはスルホキシを含む。
【0012】
もう一つ別の好ましい態様において、本発明のオーバーコーティング組成物は少なくとも2つの異なる樹脂を含む。好ましくは、樹脂の一方または両方は、1以上の親水性基、たとえば、ヘテロ原子(N、OまたはS)含有基、たとえば、エステル、エーテル、アルコール、カルボキシまたはスルホキシを含む。
【0013】
一具体例において、フッ素置換を有する樹脂を含有しないオーバーコーティング組成物が提供される。
【0014】
もう一つ別の具体例において、フッ素置換を有する樹脂、たとえば、フッ素化アルコール部分、たとえば、ヘキサフルオロプロピルアルコール((CFCHOH)基を含む樹脂を含有するオーバーコーティング組成物が提供される。
【0015】
さらなる具体例において、Si原子を有する樹脂を含有しないオーバーコーティング組成物が提供される。
【0016】
ある好ましい態様において、オーバーコーティング組成物の1以上の樹脂は、3つの異なる繰り返し単位(ターポリマー)、4つの異なる繰り返し単位(テトラポリマー)、5つの異なる繰り返し単位(ペンタポリマー)、またはさらに高次のポリマーを有する。
【0017】
本発明のオーバーコーティング組成物の好ましい樹脂は、前記のような1以上の親水性基を含む繰り返し単位を包含する様々な繰り返し単位を含有することができる。特に好ましい樹脂は極性基、たとえば、エステル、エーテル、カルボキシ、またはスルホニル基を含有する。
【0018】
ある好ましい態様において、コーティング組成物の1以上の樹脂は、リソグラフィー処理の間に反応性である1以上の基、たとえば、酸および熱の存在下で開裂反応を受け得る1以上のフォト酸不安定基、たとえば、酸不安定エステル基(たとえば、t−ブチルアクリレートまたはt−ブチルメタクリレート、アダマンチルアクリレートの重合により得られるようなt−ブチルエステル基)および/またはビニルエーテル化合物の重合により得られるようなアセタール基を含む。
【0019】
本発明の好ましいオーバーコーティング組成物は様々な物質を含むことができ、好ましいオーバーコーティング組成物成分は高分子量物質、たとえば、約500、1000、1500または2000ダルトンを超える分子量を有する物質である。
【0020】
本発明の好ましいオーバーコーティング組成物は、1以上の樹脂に加えて、1以上の酸発生剤化合物、すなわち1以上の熱酸発生剤化合物および/または1以上のフォト酸発生剤化合物をはじめとする1以上の任意の成分を含むことができる。
【0021】
本発明の好ましいオーバーコーティング組成物は任意に1以上の界面活性化合物を含むこともできる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の好ましいオーバーコーティング組成物は、液浸リソグラフィー法により判断した場合に好ましい静的および動的水接触角を示し得ることが判明している。このような水接触角の考察については、Burnettらの、J.Vac.Sci.Techn.B、23(6)、2721−2727ページ(2005年11月/12月)参照。
【0023】
ある態様において、液浸リソグラフィー用途に関して、フォトレジスト組成物層上に適用される、本発明の特に好ましいオーバーコーティング(トップコート層)組成物は、好ましくは、少なくともフォトレジスト層の成分が、液浸リソグラフィー法において用いられる液浸液(例えば水)中に移動するのを抑制する助けをすることができる。理解されるように、液浸リソグラフィー法において、液浸液(たとえば、水またはある種の水性組成物)は露光ツールとオーバーコーティング組成物層との間に位置する。本明細書において言及される場合「液浸液」なる用語は、液浸リソグラフィーを実施するために露光ツールとフォトレジストでコーティングされた基体との間に挿入された流体(たとえば、水)を意味する。
【0024】
本明細書において言及される場合、オーバーコーティング組成物の使用に際して、同じ方法であるが、オーバーコーティング組成物の不在下で処理される同じフォトレジストに対して減少した量の酸または有機物質が液浸液(例えば水)中で検出されるならば、オーバーコーティング層は、フォトレジスト材料が液浸液中に移動するのを抑制していると見なされる。液浸液中のフォトレジスト材料の検出は、フォトレジスト(オーバーコーティングされたオーバーコーティング組成物層の有する、および有さない)の露光前の液浸液と、液浸液を介した露光によるフォトレジスト層の処理後の液浸液との質量分析により行うことができる。好ましくは、オーバーコーティング組成物は、液浸液中に存在するフォトレジスト材料(たとえば、質量分析により検出される酸または有機物質)を、如何なるオーバーコーティング層をも使用しない(すなわち、液浸液がフォトレジスト層と直接接触する)同じフォトレジストと比較して少なくとも10%削減し、さらに好ましくは、オーバーコーティング組成物は、如何なるオーバーコーティング層を使用しない同じフォトレジストと比較して、液浸液中にあるフォトレジスト材料(この場合も、酸または有機物)を少なくとも20、50、または100%削減する。
【0025】
本発明のリソグラフィー系の好ましい画像化波長としては、300nm未満の波長、例えば248nm、および200nm未満の波長、例えば193nmが挙げられる。本発明の特に好ましいフォトレジストは、光活性成分(例えば、1以上のフォト酸発生剤化合物)および次のものから選択される1以上の樹脂を含有することができる。
1)248nmでの画像化に特に好適な化学増幅型ポジ型レジストを提供することができる酸不安定基を含有するフェノール樹脂。この種類の特に好ましい樹脂としては、以下のものが挙げられる。i)ビニルフェノールおよびアルキルアクリレートの重合した単位を含有するポリマー(ここにおいて、重合したアルキルアクリレート単位はフォト酸の存在下で脱保護反応を受けることができる)。フォト酸により誘起される脱保護反応を受けることができるアルキルアクリレートの例としては、例えば、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、および他の非環状アルキルおよびフォト酸誘起反応を受けることができる脂環式アクリレート、例えば、米国特許第6,042,997号および第5,492,793号におけるポリマーが挙げられる。;ii)ビニルフェノール、ヒドロキシまたはカルボキシ環置換基を含有しない、任意に置換されていてもよいビニルフェニル(例えば、スチレン)、およびアルキルアクリレート、例えば前記ポリマーi)に関して記載された脱保護性基の、重合した単位を含有するポリマー、例えば米国特許第6,042,997号に記載されているポリマーなどが挙げられる;およびiii)フォト酸と反応するアセタールまたはケタール部分を含む繰り返し単位、および任意に例えばフェニルまたはフェノール基などの芳香族繰り返し単位を含有するポリマー、かかるポリマーは米国特許第5,929,176号および第6,090,526号に記載されている、並びにi)および/またはii)および/またはiii)の混合物。
2)200nm未満の波長、例えば193nmでの画像化に特に好適な化学増幅型ポジ型レジストを提供することができる、フェニルまたは他の芳香族基を実質的または完全に含まない樹脂。この種類の特に好ましい樹脂としては、以下のものが挙げられる。i)例えば任意に置換されていてもよいノルボルネンなどの非芳香族環状オレフィン(環内二重結合)の重合した単位を含有するポリマー、例えば、米国特許第5,843,624号、および第6,048,664号に記載されているポリマー、ii)アルキルアクリレート単位、例えばt−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、および他の非環状アルキルおよび脂環式アクリレートを含有するポリマー(かかるポリマーは米国特許第6,057,083号、欧州特許出願公開第EP01008913A1号および第EP00930542A1号、および米国係属特許出願番号09/143,462に開示されている)、およびiii)重合した無水物単位、特に重合した無水マレイン酸および/または無水イタコン酸単位を含有するポリマー、例えば、欧州特許出願公開第EP01008913A1号および米国特許第6,048,662号に開示されているもの、ならびにi)および/またはii)および/またはiii)の混合物。
3)ヘテロ原子、特に酸素および/または硫黄を含有する繰り返し単位(ただし無水物以外、すなわちケト環原子を含有しない単位)を含有し、好ましくは実質的にまたは完全に芳香族単位を含まない樹脂。好ましくは複素脂環式単位は樹脂主鎖と縮合し、さらに好ましいのは、樹脂が、縮合炭素脂環式単位、例えばノルボルネン基および/または無水物単位の重合(例えば無水マレイン酸または無水イタコン酸の重合により提供されるもの)により提供される縮合炭素脂環式単位を含む場合である。このような樹脂は、PCT/US01/14914および米国特許出願番号09/567,634に開示されている。
4)フッ素置換を含有する樹脂(フルオロポリマー)、例えばテトラフルオロエチレン、フッ素化芳香族基(例えばフルオロ−スチレン化合物)、ヘキサフルオロアルコール部分を含む化合物などの重合により提供され得るもの。かかる樹脂の例は、例えばPCT/US99/21912に開示されている。
【0026】
本発明はさらに、フォトレジストレリーフイメージを形成し、電子デバイスを製造する方法も提供する。本発明はまた、本発明のオーバーコーティング層組成物単独またはフォトレジスト組成物との組み合わせでコーティングされたマイクロ電子(半導体)ウェハ基体などの基体を含む新規製造物品も提供する。
【0027】
本発明の他の態様は以下の通りである。
【0028】
前述のように、第一の態様において、フォトレジスト組成物の処理法は、
(a)基体上にフォトレジスト組成物を適用し、
(b)該フォトレジスト組成物の上に、本明細書において開示されるオーバーコーティング組成物を適用し(好ましい態様において、オーバーコーティング組成物は、1以上のターポリマーまたは他の高次樹脂を含むことができる)、
(c)フォトレジスト組成物を活性化する放射線にフォトレジスト層を曝すこと
を含む。本発明の特定の具体例において、フォトレジスト層は液浸リソグラフィー法において露光され、ここにおいて液浸液はオーバーコーティングされた組成物層と接触する。
この方法は次のことを含む。
【0029】
本発明の液浸リソグラフィー法において、約1から約2の間の屈折率を有する流体は、好適には露光の間、露光ツールとオーバーコーティング組成物層との間に維持される。本発明のこれらの方法において、様々なフォトレジスト、たとえば、化学増幅型ポジ型フォトレジストおよびネガ型フォトレジストを用いることができる。
【0030】
本発明のこれらの方法のある態様において、フォトレジスト組成物は、オーバーコーティングされるオーバーコーティング組成物の適用前に熱処理されない。さらに、本発明のこれらの方法のある態様において、適用されたフォトレジスト組成物およびオーバーコーティング組成物を有する基体は、適用されたフォトレジスト組成物および適用されたオーバーコーティング組成物の両方から溶媒を除去するために露光前に熱処理される。
【0031】
本発明の方法および系は、たとえば、300nm未満、たとえば248nm、または200nm未満、たとえば193nmの波長を有する放射線などの様々な画像化波長で用いることができる。
【0032】
もう一つ別の具体例において、基体上に1)フォトレジスト組成物のコーティング層と、2)該フォトレジスト組成物層上のオーバーコーティングされた組成物のコーティング層とを有する基体を含む、コーティングされた基体系などのリソグラフィー系が提供され、前記のオーバーコーティングされた組成物は、(i)1以上の親水性基を含む1以上の樹脂を含む。液浸画像化に関して、リソグラフィー系は任意に液浸フォトリソグラフィー露光ツールをさらに含んでもよい。
【0033】
オーバーコーティング組成物
前述のように、本発明の好ましいオーバーコーティング組成物は、コポリマー(2つの異なる繰り返し単位の合計)を含むものを包含する。コポリマーは好ましくは1以上の親水性基、たとえば、ヘテロ原子(N、OまたはS)含有基、たとえば、エステル、エーテル、アルコール、カルボキシまたはスルホキシを含む。
【0034】
もう一つ別の態様において、本発明の好ましいオーバーコーティング組成物は少なくとも2つの異なる樹脂を含む。好ましくは、樹脂の一方または両方は、1以上の親水性基、たとえば、ヘテロ原子(N、OまたはS)含有基、たとえば、エステル、エーテル、アルコール、カルボキシまたはスルホキシを含む。
【0035】
本発明のオーバーコーティング組成物において、重合したアクリレート基、ポリエステル、および他の繰り返し単位および/またはポリマー主鎖構造を含む樹脂、たとえば、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、重合した芳香族(メタ)アクリレート、および重合したビニル芳香族モノマーにより得られるものをはじめとする様々な樹脂を使用することができる。
【0036】
本発明の一態様において、オーバーコーティング組成物のポリマーは、1以上の繰り返し単位を含むことができ、前記繰り返し単位は下記部分の1以上を含む。好ましい系において、これらの部分は、樹脂混合物(すなわち2以上の異なる樹脂)を含む組成物の樹脂において存在する。
(i)ヘテロ置換炭素環式アリール基、たとえば、ヒドロキシナフチル基であって、このような基は米国公開特許出願番号2004/0038150に開示されている。ヘテロ置換炭素環式アリール基とは、炭素環式基が1以上、典型的には、1、2または3の環置換基を有し、環置換基は1以上のヘテロ原子、特に、酸素(たとえば、ヒドロキシルまたはエーテル)あるいは硫黄を含有することを意味する。すなわち、かかる「ヘテロ置換」とは、1以上のヘテロ原子、特に、1または2個の酸素および/または硫黄原子を含有し、炭素環式アリール基の環置換基である部分をさす。ヒドロキシナフチル基または他の類似の用語は、少なくとも1個のヒドロキシ環置換基を有するナフチル基を意味する。ナフチル基は好適には1より多いヒドロキシ基、たとえば、2または3個のヒドロキシ環置換基を有し得るが、ナフチル基が1個のヒドロキシ置換基を含有するのが一般に好ましい。このような樹脂群は、米国公開特許出願番号2004/003815に開示されているビニルヒドロキシナフチルモノマーの重合により得ることができる。
(ii)酸エステル、たとえば、スクシネート基、たとえば、次の構造を有するモノ−2−(メタクリロイル−オキシ)エチルスクシネートなどのビニルまたはアクリレートモノマーの重合により得ることができるもの。
【0037】
【化1】

【0038】
(iii)フッ素化基を含むフッ素化アルコール、例えばヘキサフルオロプロピルアルコール、たとえば、次の構造を有する、4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−トリフルオロメチル−ブチル−メタクリレートおよび1−シクロヘキシル−3−ヒドロキシ−4,4,4−トリフルオロ−3−(トリフルオロメチル)ブチルメタクリレートなどのビニルまたはアクリレートモノマーの重合により得ることができるもの。
【0039】
【化2】

【0040】
(iv)比較的疎水性の基、たとえば、4、5、6、7、8またはそれ以上の炭素原子を有する基(一般に、35または30個を超える炭素を有する基を用いる必要はない)、たとえば、ビニルまたはアクリレートモノマー、たとえば、オクチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレートの重合により得ることができるもの。
【0041】
ある好ましい系において、コーティング組成物は、少なくとも2つの異なる樹脂を含むことができ、ここにおいて、第一の樹脂は少なくとも2つの異なる繰り返し単位を含み、第二の樹脂は2以下の異なる繰り返し単位を含み、好適にはホモポリマー(1種の繰り返し単位のみを含有する)であり得る。かかる系において、第一および第二樹脂のそれぞれは好適には親水性基、たとえば、エステル、カルボキシ、エーテルおよび/またはアセタール基を含むことができる。好ましい態様において、第一および第二樹脂のそれぞれは好適にはフォト酸不安定基、たとえば、フォト酸不安定エステル、および/またはアセタール基を含むことができる。
【0042】
本発明のコーティング組成物において、さらに追加の異なる樹脂を含むことも好ましく、例えばこの場合、コーティング組成物は1以上のさらなる異なる樹脂を含み、この樹脂は前記の第一および第二樹脂と異なる。
【0043】
本発明の好ましいオーバーコーティング組成物の樹脂は、約400、500、1000、1500または2000ダルトンを超える重量平均分子量を有する。
【0044】
ある好ましい態様において、コーティング組成物の1以上の樹脂は、リソグラフィー処理の間に反応性である1以上の基を含み、たとえば、酸および熱の存在下で開裂反応を受けることができる1以上のフォト酸不安定基、たとえば、酸不安定エステル基(たとえば、t−ブチルエステル基、たとえば、t−ブチルアクリレートまたはt−ブチルメタクリレート、アダマンチルアクリレートの重合により得られるもの)および/またはアセタール基、たとえば、ビニルエーテル化合物の重合により得られるものを含む。
【0045】
ある好ましい系において、本発明のオーバーコーティング組成物は、少なくとも2つの異なる樹脂を含み、ここにおいて、第一の樹脂は1以上のフォト酸不安定基を含み、第一の樹脂と異なる第二の樹脂は、1以上の前記の基(i)〜(iv)(すなわち、ヘテロ置換炭素環式アリール基、たとえば、ヒドロキシナフチル基;酸エステル、たとえば、スクシネート基;フッ素化基を含むフッ素化アルコール;比較的疎水性の基、たとえば、4、5、6、7、8またはそれ以上の炭素原子を有する基)を含む。
【0046】
前述のように、好ましい態様において、オーバーコーティング組成物は、1以上の酸発生剤化合物、たとえば、1以上の熱酸発生剤化合物および/または1以上のフォト酸発生剤化合物を含む。オーバーコーティング組成物における使用に好適なフォト酸発生剤化合物は、フォトレジスト組成物に関して以下で考察され、特に、非イオン性化合物、たとえば、イミドスルホネート、たとえば、以下の式を有する化合物を包含する。
【0047】
【化3】

【0048】
式中、Rはカンファー、アダマンタン、アルキル(たとえば、C1−12アルキル)およびパーフルオロアルキル、たとえば、パーフルオロ(C1−12アルキル)、特にパーフルオロオクタンスルホネートおよびパーフルオロノナンスルホネートである。オーバーコーティング組成物における使用に特に好ましいフォト酸発生剤化合物は、N−[(パーフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0049】
イオン性または実質的に中性の熱酸発生剤、たとえば、アンモニウムアレーンスルホネート塩をはじめとする熱酸発生剤化合物も本発明のオーバーコーティング組成物において使用できる。
【0050】
用いられるならば、1以上の酸発生剤をオーバーコーティング組成物において比較的少量で、たとえば、組成物の全乾燥成分(溶媒担体以外のすべての成分)の0.1〜10重量%、たとえば、全乾燥成分の約2重量%で用いることができる。
【0051】
1以上の酸発生剤化合物のこのような使用は、下地レジスト層においてパターン化された現像された画像のリソグラフィー性能、特に解像度に有利に影響を及ぼし得る。
【0052】
本発明のオーバーコーティング組成物のさらに好ましい任意の添加剤は、1以上の界面活性剤であり、これはオーバーコーティングされた組成物の実質的に均一なコーティング層の形成を促進することができる。様々な界面活性剤を用いることができる。典型的な界面活性剤は、両親媒特性を示すことができる。つまり同時に親水性と疎水性の両方であり得る。両親媒性界面活性剤は、水に対して強い親和性を有する親水性頭部基、および有機物親和性であり水をはじく長い疎水性尾部を有する。好適な界面活性剤は、イオン性(すなわち、アニオン性、カチオン性)または非イオン性であり得る。界面活性剤のさらなる例は、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、およびフルオロケミカル界面活性剤を包含する。水性溶液中での使用に好適な非イオン性界面活性剤は、これに限定されないが、オクチルおよびノニルフェノールエトキシレート、たとえば、TRITON(登録商標)X−114、X−102、X−45、X−15およびアルコールエトキシレート、たとえば、BRIJ(登録商標)56(C1633(OCHCH10OH)(ICl)、BRIJ(登録商標)58(C1633(OCHCH)20OH)(ICl)を包含する。界面活性剤のさらなる例は、アルコール(第一および第二アルコール)エトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−co−プロピレングリコール)、またはManufactures Confectioners Publishing Co.(Glen Rock,NJ)出版のMcCutcheon’s Emulsifiers and Detergents、2000年北米版に開示されている他の界面活性剤を包含する。
【0053】
次式の界面活性剤をはじめとするアセチレン系ジオール誘導体である非イオン性界面活性剤も好適である。
【0054】
【化4】

【0055】
式中、式RおよびRは、好適には3〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル鎖であり、RおよびRはHあるいはアルキル鎖、好適には1〜5個の炭素原子を有するアルキル鎖、のいずれかであり、m、n、p、およびqは0〜20の範囲の数である。かかる界面活性剤は、Air Products and Chemicals、Inc.(ペンシルベニア州アレンタウン)からSURFYNOL(登録商標)およびDYNOL(登録商標)の商品名で商業的に入手可能である。
【0056】
本発明のコーティング組成物における使用に好適なさらなる界面活性剤は、他のポリマー化合物、たとえば、トリブロックEO−PO−EOコポリマーPLURONIC(登録商標)25R2、L121、L123、L31、L81、L101およびP123(BASF,Inc)を包含する。
【0057】
1以上の界面活性剤は、比較的少量、たとえば、全固形分(全固形分は、溶媒担体を除くすべての組成物成分である)の重量に対して、5、4、3、2、1または0.5重量%未満で好適に存在し得る。
【0058】
好ましいオーバーコーティング組成物層は、193nmで約1.4以上の屈折率(193nmで約1.47の屈折率が挙げられる)を有する。さらに、ある特定の系に関して、樹脂ブレンドの成分の比率、またはオーバーコーティング組成物の樹脂のいずれかの組成の比率を変えることをはじめとする、オーバーコーティング組成物の樹脂の組成を変えることにより、屈折率を調整することができる。たとえば、オーバーコーティング層組成物中の有機含有量を増大させることにより、層の屈折率を増大させることができる。
【0059】
好ましいオーバーコーティング層組成物は目標露光波長(たとえば、193nmまたは248nm)で液浸液の屈折率とフォトレジストの屈折率の間の屈折率を有する。
【0060】
オーバーコーティング組成物を処方し、キャストするための好ましい溶媒物質は、オーバーコーティング層組成物の成分(たとえば、1以上の樹脂)を溶解または分散させるが、下地フォトレジスト層を明らかには溶解させない任意のものである。さらに詳細には、オーバーコーティング組成物を処方するための好適な溶媒には、これに限定されないが、アルコール、たとえば、イソプロパノール、n−ブタノール、アルキレングリコール、たとえば、プロピレングリコールの1以上が包含される。あるいは、非極性溶媒、たとえば、脂肪族および芳香族炭化水素、たとえば、ドデカン、イソオクタン、メシチレンおよびキシレンを使用することができる。
【0061】
オーバーコーティング組成物を処方し、キャストするための特に好ましい溶媒には、1)ジ(プロピレングリコール)モノメチルエーテル(DPGME)および2)シクロヘキサン、オクタン、デカン、ドデカンおよびその異性体をはじめとするアルカンまたはシクロアルカンが包含される。1)ジ(プロピレングリコール)モノメチルエーテル(DPGME)と、2)シクロヘキサン、オクタン、デカン、ドデカンおよびその異性体をはじめとするアルカンおよび/またはシクロアルカンとの、両方の混合物を含む溶媒組成物の使用が特に好ましい。
【0062】
オーバーコーティングまたは組成物は、1以上の固形成分(たとえば1以上の樹脂)を1以上の極性溶媒中、たとえば、前記のもの、あるいは1以上の非極性溶媒中、たとえば、前記の脂肪族および芳香族炭化水素中に混合するのが特に好ましい場合がある。本発明のオーバーコーティング組成物の調製例についての実施例1参照。
【0063】
複数の樹脂を含むオーバーコーティング組成物において、異なる樹脂が様々な相対量で好適に存在し得る。
【0064】
たとえば、第二の別個の樹脂は、好適には第一の別個の樹脂とほぼ同じ重量で存在してもよいし、あるいは第一樹脂と比較して少ない量で、たとえば、約40、30、20、15、10または5重量%少ない量で存在してもよい。第二の樹脂は第一の樹脂よりも多い量で存在してもよい。
【0065】
フォトレジスト
様々なフォトレジスト組成物を本発明のオーバーコーティング層組成物および方法と組み合わせて使用することができる。
【0066】
前述のように、本発明に従って用いられる好ましいフォトレジストには、ポジ型またはネガ型の化学増幅型フォトレジスト、すなわち、フォト酸により促進される架橋反応を受けて、未露光領域よりもレジストのコーティング層の露光領域を現像液に溶けにくくするネガ型レジスト組成物、および1以上の組成物成分の酸不安定基がフォト酸により促進される脱保護反応を受けて、未露光領域よりもレジストのコーティング層の露光領域を水性現像液に対してより可溶性にするポジ型レジスト組成物が包含される。エステルのカルボキシル酸素と共有結合するターシャリー非環式アルキル炭素(例えばt−ブチル)またはターシャリー脂環式炭素(例えばメチルアダマンチル)を含有するエステル基が多くの場合本発明のリソグラフィー系のフォトレジストにおいて用いられる樹脂の好ましいフォト酸不安定基である。アセタールフォト酸不安定基も好ましい。
【0067】
本発明に従って使用されるフォトレジストは、典型的には樹脂成分および光活性成分を含む。好ましくは、樹脂は、アルカリ水溶液での現像可能性をレジスト組成物に付与する官能基を有する。例えば、極性官能基、例えばヒドロキシルまたはカルボキシレートを含む樹脂バインダーが好ましい。好ましくは、樹脂成分は、レジスト組成物において、レジストを水性アルカリ性溶液で現像可能にするために十分な量で用いられる。
【0068】
200nmより長い波長、例えば248nmでの画像化に対しては、フェノール樹脂が典型的には好ましい。好ましいフェノール樹脂はポリ(ビニルフェノール)であり、これは、触媒の存在下での対応するモノマーのブロック重合、乳化重合または溶液重合により形成することができる。ポリビニルフェノール樹脂の製造に有用なビニルフェノールは、例えば商業的に入手可能なクマリンまたは置換クマリンを加水分解し、続いて得られるヒドロキシ桂皮酸を脱炭酸化することにより調製することができる。有用なビニルフェノールは、対応するヒドロキシアルキルフェノールの脱水により、あるいは置換または非置換ヒドロキシベンズアルデヒドのマロン酸との反応から得られるヒドロキシ桂皮酸の脱炭酸反応によっても調製することができる。かかるビニルフェノールから調製される好ましいポリビニルフェノール樹脂は、約2,000〜約60,000ダルトンの範囲の分子量を有する。
【0069】
200nmより長い波長、例えば248nmでの画像化に対しては、光活性成分と、フェノールおよび非フェノール単位のどちらも含有するコポリマーを含む樹脂成分とを混合物において含む化学増幅型フォトレジストも好ましい。例えば、このようなコポリマーの好ましい基の一つは、実質的に、本質的にまたは完全に、コポリマーの非フェノール単位上のみに酸不安定基を有し、特にアルキルアクリレートフォト酸不安定基を有する(すなわち、フェノール−アルキルアクリレートコポリマーである)。一つの特に好ましいコポリマーバインダーは、次の式の繰り返し単位xおよびyを有する。
【0070】
【化5】

【0071】
式中、ヒドロキシル基はコポリマー全体にわたってオルト、メタまたはパラ位のいずれかで存在し、R’は1〜約18個の炭素原子、さらに典型的には1〜約6〜8個の炭素原子を有する置換または非置換アルキルである。tert−ブチルが一般に好ましいR’基である。R’基は任意に、例えば1以上のハロゲン(特にF、ClまたはBr)、C1−8アルコキシ、C2−8アルケニルなどで置換されていてもよい。単位xおよびyはコポリマーにおいて規則的に交互になっていてもよいし、またはポリマー全体にわたって不規則に散在していてもよい。このようなコポリマーは容易に形成することができる。例えば、前記式の樹脂について、ビニルフェノールおよび置換または非置換アルキルアクリレート、例えばt−ブチルアクリレートなどを当該分野において知られているようなフリーラジカル条件下で縮合することができる。アクリレートの置換エステル部分、すなわち、R’−O−C(=O)−部分は、樹脂の酸不安定基としての働きをし、前記樹脂を含有するフォトレジストのコーティング層が露光されるとフォト酸により誘起される開裂を受ける。好ましくは、コポリマーは、約3以下の分子量分布、さらに好ましくは約2以下の分子量分布で、約8,000〜約50,000、さらに好ましくは約15,000〜約30,000のMwを有する。非フェノール樹脂、例えばアルキルアクリレート、たとえばt−ブチルアクリレートまたはt−ブチルメタクリレートと、ビニル脂環式化合物、例えばビニルノルボルナニルまたはビニルシクロへキサノール化合物とのコポリマーも本発明の組成物において樹脂バインダーとして用いることができる。このようなコポリマーも、かかるフリーラジカル重合または他の公知の手段により調製することができ、好適には約8,000〜約50,000のMw、および約3以下の分子量分布を有する。
【0072】
本発明のポジ型の化学増幅型フォトレジストにおいて用いられる酸不安定脱保護性基を有する他の好ましい樹脂は、Shipley Companyの欧州特許出願公開第0829766A2号(アセタールを有する樹脂およびケタール樹脂)およびShipley Companyの欧州特許出願公開第EP0783136A2号((1)スチレン;(2)ヒドロキシスチレン;および(3)酸不安定基、特にアルキルアクリレート酸不安定基、たとえばt−ブチルアクリレートまたはt−ブチルメタクリレート;の単位を含むターポリマーおよび他のコポリマー)に開示されている。一般に、様々な酸不安定基を有する樹脂、例えば酸感受性エステル、カーボネート、エーテル、イミドなどが好適である。ポリマー主鎖と一体になっている酸不安定基を有する樹脂も用いることができるが、より典型的には、フォト酸不安定基はポリマー主鎖からペンダントしている。
【0073】
200nm未満の波長、例えば193nmでの画像化に対して、好ましくは、実質的、本質的または完全にフェニルまたは他の芳香族基を含まない1以上のポリマーを含有するフォトレジストが用いられる。例えば、200nm未満の画像化に対して、好ましいフォトレジストポリマーは、約5モル%未満の芳香族基、さらに好ましくは約1または2モル%未満の芳香族基、さらに好ましくは約0.1、0.02、0.04および0.08モル%未満の芳香族基、さらに一層好ましくは約0.01モル%未満の芳香族基を含有する。特に好ましいポリマーは芳香族基を全く含まない。芳香族基は、200nm未満の放射線をよく吸収し得るので、かかる短い波長の放射線で画像化されるフォトレジストにおいて用いられるポリマーには望ましくない。
【0074】
芳香族基を実質的または完全に含まず、本発明のPAGを用いて処方して、200nm未満での画像化のためのフォトレジストを提供することができる好適なポリマーは欧州特許出願公開第EP930542A1号および米国特許第6,692,888号および第6,680,159号(すべてShipley Company)に開示されている。
【0075】
芳香族基を実質的または完全に含まない好適なポリマーは、アクリレート単位、例えば、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、エチルフェンキルアクリレート、エチルフェンキルメタクリレートなどの重合により提供され得るようなフォト酸不安定アクリレート単位;例えばノルボルネン化合物または環内炭素−炭素二重結合を有する他の脂環式化合物の重合により提供され得るような縮合非芳香族脂環式基;並びに、例えば無水マレイン酸および/または無水イタコン酸の重合により提供され得るような無水物等を好適に含有する。
【0076】
本発明の好ましいネガ型組成物は、酸にさらされると硬化、架橋または硬質化する物質、および本発明の光活性成分の混合物を含む。特に好ましいネガ型組成物は、樹脂バインダー、例えばフェノール樹脂、架橋剤成分および本発明の光活性成分を含む。このような組成物およびその使用は、欧州特許出願公開第0164248号および第0232972号および米国特許第5,128,232(Thackerayら)に開示されている。樹脂バインダー成分として用いられる好ましいフェノール樹脂は、ノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)、例えば、前記のようなものを包含する。好ましい架橋剤は、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミンベースの物質および尿素ベースの物質をはじめとするアミンベースの物質を包含する。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が一般に最も好ましい。このような架橋剤は商業的に入手可能であり、例えば、当該メラミン樹脂は、Cytec IndustriesによりCymel300、301および303の商品名で販売されている。グリコールウリル樹脂は、Cytec IndustriesによりCyme1170、1171、1172の商品名で販売されており、尿素ベースの樹脂はBeetle60、65および80の商品名で販売されており、ベンゾグアナミン樹脂はCymel1123および1125の商品名で販売されている。
【0077】
200nm未満の波長、たとえば193nmでの画像化について、好ましいネガ型フォトレジストは国際公開第WO03077029号(Shipley Company)に開示されている。
【0078】
本発明に従う有用なレジストの樹脂成分は典型的にはレジストの露光されたコーティング層を例えば水性アルカリ性溶液で現像可能にするために十分な量において用いられる。さらに詳細には、樹脂バインダーは、好適にはレジストの全固形分の50〜約90重量%で含まれる。光活性成分は、レジストのコーティング層において潜像の生成を可能にするために十分な量で存在するべきである。さらに詳細には、光活性成分は、好適にはレジストの全固形分の約1〜40重量%の量で存在する。典型的には、光活性成分の量が少ないほど、化学増幅型レジストには好適である。
【0079】
本発明のレジスト組成物は、活性放射線への露光によりレジストのコーティング層において潜像を生成させるために十分な量において好適に用いられるフォト酸発生剤(すなわち「PAG」)も含む。193nmおよび248nmでの画像化に好ましいPAGとしては、例えば次式の化合物などのイミドスルホネートが挙げられる。
【0080】
【化6】

【0081】
式中、Rはカンファー、アダマンタン、アルキル(例えばC1−12アルキル)およびパーフルオロアルキル、例えばパーフルオロ(C1−12アルキル)、特にパーフルオロオクタンスルホネートおよびパーフルオロノナンスルホネートなどである。特に好ましいPAGは、N−〔(パーフルオロオクタンスルホニル)オキシ〕−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0082】
スルホネート化合物、特にスルホネート塩も好適なPAGである。193nmおよび248nmでの画像化に関して好適な2種の薬剤は、次のPAG1および2である。
【0083】
【化7】

【0084】
かかるスルホネート化合物は、前記PAG1の合成を詳細に記載している欧州特許出願番号96118111.2(公開番号0783136)に開示されているようにして調製することができる。
【0085】
上で示したカンファースルホネート基以外のアニオンと複合体形成する前記の2種のヨードニウム化合物も好適である。特に、好ましいアニオンとしては、式RSO(式中、Rはアダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)およびパーフルオロアルキル、例えばパーフルオロ(C1−12アルキル)、特にパーフルオロオクタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネートなどである)のアニオンが挙げられる。
【0086】
知られている他のPAGも本発明に従って用いられるフォトレジストにおいて用いることができる。特に193nmでの画像化について、一般に好ましいのは、向上した透明性を提供するために、芳香族基を含有しないPAG、例えば前記イミドスルホネートである。
【0087】
本発明のレジストの好ましい任意の添加剤は、添加される塩基、特にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、またはテトラブチルアンモニウムラクテートであり、これは現像されたレジストレリーフイメージの解像度を向上させることができる。193nmで画像化されたレジストに関して、好ましい添加される塩基は、ヒンダードアミン、たとえば、ジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンである。添加される塩基は好適には比較的少量、たとえば全固形分に対して約0.03〜5重量%で用いられる。
【0088】
本発明に従って用いられるフォトレジストは他の任意の物質も含有することができる。たとえば、他の任意の添加剤としては、抗ストリエーション剤(anti−striation agent)、可塑剤、速度向上剤などが挙げられる。比較的高濃度、例えばレジストの乾燥成分の合計重量の約5〜30重量パーセントの量で存在することができる充填剤および染料を除いては、このような任意の添加剤は、典型的にはフォトレジスト組成物中において低濃度で存在する。
【0089】
本発明のネガ型フォトレジストは典型的には架橋成分を、好ましくは独立したレジスト成分として含有する。アミン系架橋剤、たとえばメラミン(例えばCymelメラミン樹脂)などが多くの場合に好ましい。
【0090】
本発明に従って用いられるフォトレジストは一般に公知手順にしたがって調製される。例えば、本発明のレジストは、好適な溶媒、例えばグリコールエーテル、例えば2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;ラクテート、例えばエチルラクテートまたはメチルラクテート(エチルラクテートが好ましい);プロピオネート、特にメチルプロピオネート、エチルプロピオネートおよびエチルエトキシプロピオネート;セロソルブエステル、例えばメチルセロソルブアセテート;芳香族炭化水素、例えばトルエンまたはキシレン;あるいはケトン、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノン中にフォトレジストの成分を溶解させることによりコーティング組成物として調製することができる。典型的には、フォトレジストの固形分はフォトレジスト組成物の合計重量の5〜35重量%の間で変化する。かかる溶媒の混合物も好適である。
【0091】
リソグラフィー処理
液状フォトレジスト組成物を、例えばスピニング、ディッピング、ローラーコーティングまたは他の通常のコーティング技術により基体へ適用することができる。スピンコーティングの場合、コーティング溶液の固形分を調節して、用いられる具体的なスピニング装置、溶液の粘度、スピナーの速度およびスピニングに許容される時間に基づいて所望の膜厚を提供することができる。
【0092】
本発明に従って用いられるフォトレジスト組成物は、好適にはフォトレジストを用いたコーティングを含むプロセスにおいて通常用いられる基体に適用される。例えば、組成物は、マイクロプロセッサおよび他の集積回路部品を製造するために、シリコンウェハ、または二酸化珪素でコーティングされたシリコンウェハ上に適用することができる。アルミニウム−酸化アルミニウム、ヒ化ガリウム、セラミック、石英、銅、ガラス基体なども好適に用いられる。フォトレジストは反射防止層、特に有機反射防止層上に好適に適用してもよい。
【0093】
本発明のオーバーコーティング組成物は任意の好適な方法によりフォトレジスト組成物の上に適用することができ、スピンコーティングが好ましい。
【0094】
フォトレジストを表面上にコーティングした後、好ましくはフォトレジストコーティングが粘着性でなくなるまで加熱することにより乾燥させて、溶媒を除去してもよいし、あるいは前述のように、オーバーコーティング層組成物が適用された後にフォトレジスト層を乾燥させてもよく、フォトレジスト組成物およびオーバーコーティング組成物層の両方からの溶媒が一つの熱処理工程において実質的に除去される。
【0095】
オーバーコーティング組成物層を有するフォトレジスト層を次いでフォトレジストの光活性成分を活性化するパターン化された放射線に露光する。
【0096】
液浸リソグラフィー系において、露光ツール(特に映写レンズ)と、フォトレジストコートされた基体との間の空間は、液浸液、例えば水または例えば液体の屈折率を向上させることができる硫酸セシウムなどの1以上の添加剤と混合された水で満たされている。好ましくは、液浸液(例えば、水)は気泡を防止するために処理される。例えば、水を脱気して、ナノバブルを防止することができる。
【0097】
本明細書において言及する「液浸露光」または他の類似した用語は、露光が、露光ツールとコーティングされたフォトレジスト組成物層との間に置かれたかかる流体層(例えば、水、または添加剤を有する水)を用いて行われることを示す。
【0098】
露光工程(流体が介在する液浸であるか、またはこのような流体が介在しない非液浸であるかを問わない)の過程において、フォトレジスト組成物層を、露光ツールおよびフォトレジスト組成物の成分に応じて露光エネルギーが典型的には約1〜100mJ/cmの範囲であるパターン化された活性化放射線に曝す。本明細書においてフォトレジストを活性化する放射線にフォトレジスト組成物を曝す(露光する)とは、放射線が、例えば光活性成分の反応を引き起こす(例えばフォト酸発生剤化合物からフォト酸を生成する)ことなどにより、フォトレジストにおいて潜像を形成できることを示す。
【0099】
前述のように、フォトレジスト組成物は短い露光波長、特に300nm未満および200nm未満の露光波長(248nmおよび193nmならびにEUVおよび157nmが特に好ましい露光波長である)により好ましくは光活性化される。
【0100】
露光後、組成物の膜層は好ましくは約70℃〜約160℃の範囲の温度でベークされる。その後、膜を、好ましくは水性現像液、例えば第四級アンモニウム水酸化物溶液、たとえば水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液;様々なアミン溶液、好ましくは0.26N水酸化テトラメチルアンモニウム溶液、例えばエチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、またはメチルジエチルアミン;アルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたはトリエタノールアミン;環状アミン、例えばピロール、ピリジンなどで処理することにより現像する。一般に、現像は当該分野において認知されている手順にしたがう。
【0101】
基体上のフォトレジストコーティングを現像した後、例えば、当該分野において知られている手順に従って、レジストのない基体領域を化学的にエッチングするかまたはメッキすることにより、現像された基体をレジストのない領域上で選択的に処理することができる。マイクロ電子基体の製造、例えば二酸化珪素ウェハの製造に関して、好適なエッチング剤としては、ガスエッチング剤、例えばハロゲンプラズマエッチング剤、例えば塩素またはフッ素ベースのエッチング剤、例えばプラズマ流として適用されるClまたはCF/CHFエッチング剤が挙げられる。このような処理後、処理された基体からレジストを公知ストリッピング手段を用いて除去することができる。
【0102】
以下の非制限的実施例により本発明を説明する。
【実施例】
【0103】
実施例1:オーバーコーティング組成物調製およびコーティング。
以下の成分を全組成物重量基準で以下の量において混合することにより、本発明のコーティング組成物を調製した。
【0104】
【表1】

【0105】
シリコンウェハ基体に適用された、乾燥されたフォトレジスト層上に、この組成物をスピンコーティングした。レジストに関してフィルムの厚さの損失は観察されなかった。コーティング品質は良好で、適用されたコーティング層全体にわたってコーティング層の厚さのばらつきは1%未満であった。
【0106】
実施例2:オーバーコーティング組成物調製およびコーティング。
以下の成分を全組成物重量基準で以下の量において混合することにより、本発明のさらなるコーティング組成物を調製した。
【0107】
【表2】

【0108】
この組成物を、シリコンウェハ基体に適用された、乾燥されたフォトレジスト層上にスピンコーティングした。コーティング品質は良好で、適用されたコーティング層全体にわたってコーティング層の厚さのばらつきは1%未満であった。
【0109】
実施例3:組成物調製およびリソグラフィー処理
以下の成分を全組成物重量基準で以下の量において混合することにより、本発明のさらなるコーティング組成物を調製した。
【0110】
【表3】

【0111】
この組成物を、シリコンウェハ基体に適用された、乾燥されたフォトレジスト層上にスピンコーティングした。コーティング品質は良好で、適用されたコーティング層全体にわたってコーティング層の厚さのばらつきは1%未満であった。フィルムの屈折率は193nmの波長で1.63であった。
【0112】
実施例4:オーバコーティング組成物調製およびリソグラフィー処理
以下の成分を全組成物重量基準で以下の量において混合することにより、本発明のさらなるコーティング組成物を調製した。
【0113】
【表4】

【0114】
この組成物を、シリコンウェハ基体に適用された、乾燥されたフォトレジスト層上にスピンコーティングした。コーティング品質は良好で、適用されたコーティング層全体にわたってコーティング層の厚さのばらつきは1%未満であった。フィルムの屈折率は193nmの波長で1.63であった。
【0115】
実施例5:オーバーコーティング組成物調製およびリソグラフィー処理
以下の成分を全組成物重量基準で以下の量において混合することにより、本発明のさらなるコーティング組成物を調製した。
【0116】
【表5】

【0117】
この組成物を、シリコンウェハ基体に適用された、乾燥されたフォトレジスト層上にスピンコーティングした。コーティング品質は良好で、適用されたコーティング層全体にわたってコーティング層の厚さのばらつきは1%未満であった。フィルムの屈折率は193nmの波長で1.63であった。
【0118】
実施例6:オーバーコーティング組成物調製およびリソグラフィー処理
以下の成分を全組成物重量基準で以下の量において混合することにより、本発明のさらなるコーティング組成物を調製した。
【0119】
【表6】

【0120】
この組成物を、シリコンウェハ基体に適用された、乾燥されたフォトレジスト層上にスピンコーティングした。コーティング品質は良好で、適用されたコーティング層全体にわたってコーティング層の厚さのばらつきは1%未満であった。フィルムの屈折率は193nmの波長で1.63であった。
【0121】
実施例7:オーバーコーティング組成物調製およびリソグラフィー処理
以下の成分を全組成物重量基準で以下の量において混合することにより、本発明のさらなるコーティング組成物を調製した。
【0122】
【表7】

【0123】
この組成物を、シリコンウェハ基体に適用された、乾燥されたフォトレジスト層上にスピンコーティングした。コーティング品質は良好で、適用されたコーティング層全体にわたってコーティング層の厚さのばらつきは1%未満であった。フィルムの屈折率は193nmの波長で1.64であった。
【0124】
実施例8〜44:さらなる樹脂系
さらなる樹脂系を調製し評価した。詳細には、前記実施例1〜5のコポリマーを置き換えることにより、交互コポリマーを評価した。さらなるコポリマー、溶液安定性およびコーティング品質を以下の表1に記載する。
【0125】
【表8】

【0126】
【表9】

【0127】
実施例45〜89:さらなる複数の樹脂系
前記実施例3〜5において第二ポリマー(より小さな重量成分)を置き換えることにより交互コポリマーを評価した。新しい追加の試験されたポリマー、溶液安定性およびコーティング品質を表2に記載する。
【0128】
【表10】

【0129】
【表11】

【0130】
【表12】

【0131】
実施例90:界面活性剤評価
前記実施例5のコーティング成分中のSurfynol440を置換することにより交互界面活性剤および表面修飾剤を評価した。溶液安定性およびコーティング品質を以下の表3に記載した。
【0132】
【表13】

【0133】
実施例91:水接触角評価
組成物において使用した特定の樹脂を記載した以下の表4において特定された実施例の組成を有するコーティング組成物について水接触角を評価した。Burnettら、J.Vac.Sci.Techn.B、23(6)、2721〜2727ページ(2005年11月/12月)に開示された手順に全体的に従って、数種の水接触角:静的、後退、前進および滑動を評価した。結果を以下の表4に記載する。
【0134】
【表14】

【0135】
実施例92:液浸リソグラフィー
脱保護−メタクリレートベースの193nmポジ型フォトレジストのコーティング層がすでに堆積されているシリコンウェハ上に、実施例1のコーティング組成物をスピンコーティングする。次いで193nmの波長を有するパターン化された放射線を用いてフォトレジストを液浸リソグラフィー系において画像化する。
【0136】
実施例93:欠陥削減
193nm化学増幅型ポジ型フォトレジストをシリコンウェハ基体上にスピンコーティングし、コーティングされたウェハを真空ホットプレート上でソフトベークして、溶媒を除去した。
【0137】
1つのレジストコーティングされたウェハについて、実施例1において開示された種類のコーティング組成物をスピンコーティングした。別のレジストコーティングされたウェハについて、オーバーコーティング組成物を適用しなかった。
【0138】
両方のウェハをパターン化された193nm放射線に露光し、露光後ベークし、次いで水性アルカリ性現像液で現像した。該実施例5において開示された種類の組成物でコーティングされたウェハは、コーティングされていないウェハよりも、より少ない現像後欠陥(認識可能な残留物)を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上のフォトレジスト組成物層、
該フォトレジスト層上の、1以上の親水性基を含むコポリマー樹脂を含む有機組成物
を含む、コーティングされた基体。
【請求項2】
基体上のフォトレジスト組成物層;
該フォトレジスト層上の、(i)第一樹脂および(ii)第一樹脂と異なる第二樹脂を含み、第一および第二樹脂の少なくとも1つが1以上の親水性基を含む、有機組成物;
を含むコーティングされた基体。
【請求項3】
フォトレジスト層上の組成物の樹脂が、フォト酸不安定基を含む、請求項1または2記載の基体。
【請求項4】
フォトレジスト層上の組成物の樹脂が、1以上のエステル、アセタール、エーテル、ヒドロキシルまたはカルボキシ基を含む、請求項1から3のいずれか1項記載の基体。
【請求項5】
フォトレジスト層上の組成物が1以上の酸発生剤化合物を含む、請求項1から4のいずれか1項記載の基体。
【請求項6】
(a)基体上にフォトレジスト組成物を適用し、
(b)1以上の親水性基を含むコポリマー樹脂を含む有機組成物を該フォトレジスト組成物上に適用し、
(c)該フォトレジスト組成物を活性化する放射線にフォトレジスト層を曝すこと
を含む、フォトレジスト組成物を処理する方法。
【請求項7】
(a)基体上にフォトレジスト組成物を適用し、
(b)該フォトレジスト組成物上に、(i)第一樹脂および(ii)第一樹脂と異なる第二樹脂を含み、第一および第二樹脂の少なくとも1つが1以上の親水性基を含む有機組成物を適用し、
(c)フォトレジスト組成物を活性化する放射線にフォトレジスト層を曝すこと
を含むフォトレジスト組成物を処理する方法。
【請求項8】
フォトレジストが液浸露光され、かつ基体がマイクロ電子ウェハ基体である請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
193nmの波長を有する放射線にフォトレジストが曝される請求項6から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
下地フォトレジスト組成物層とともに使用されるコーティング組成物であって、
(a)1以上の酸発生剤化合物、
(b)(i)第一樹脂および(ii)第一樹脂と異なる第二樹脂(第一および第二樹脂の少なくとも1つが1以上の親水性基を含む)
を含むコーティング組成物。

【公開番号】特開2012−128447(P2012−128447A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−28459(P2012−28459)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【分割の表示】特願2007−58383(P2007−58383)の分割
【原出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】