説明

フォーカス制御装置及び光学機器

【課題】ハイブリットAF方式のフォーカス制御において、スムーズかつ高速なAF方式の切り換え制御が可能なフォーカス制御装置を提供する。
【解決手段】撮影光学系により形成された被写体の像を光電変換して得られる映像信号TVSの所定周波数成分に応じた第1の信号FVを生成する第1の信号生成手段と、被写体までの距離を検出する距離検出手段230と、撮影光学系のフォーカス制御であって、第1の信号FVに基づく第1の制御および距離に基づく第2の制御を行う制御手段233と、映像信号TVSにおける互いに異なる複数の周波数成分の比に応じた第2の信号IFAを生成する第2の信号生成手段とを有し、制御手段が、第2の信号IFAに基づいて第1および第2の制御のうち一方を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ等のフォーカス制御(焦点調節)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CCDセンサ等の撮像素子からの撮像信号における高周波成分(以下、AF評価値(鮮鋭度)と称す)を抽出し、該AF評価値が最大になるレンズ位置を検出して合焦動作を行う、TTL方式のコントラストAF方式が提唱されている。
【0003】
このコントラストAF方式は、撮像用の撮像素子をそのまま使用することができるため、機械部材等を設ける必要が無く低コストで実現でき、さらに、撮像信号そのもので焦点検出を行うことから、精度が高く、経時変化が無いなどの特徴がある。
【0004】
一方、コントラストAF方式の他に、合焦位置までのデフォーカス量を算出して該合焦位置までレンズ駆動を行うTTL方式の位相差検出AF方式や、三角測距法を用いて被写体までの距離を測定し、合焦動作を行う外測方式の三角測距AF方式のフォーカス制御が知られており、コントラストAF方式のようにAF評価値を抽出するためのスキャン動作を要しないため、コントラストAF方式よりも速い合焦動作が可能である。
【0005】
そして、これらのフォーカス制御方式を組み合わせたハイブリッドAF方式なるフォーカス制御も提唱されている。このハイブリッドAF方式では、例えば、位相差検出AF方式で合焦位置の近傍までレンズを駆動した後、コントラストAF方式でさらに高精度にレンズを合焦位置に駆動する。
【0006】
特許文献1のハイブリットAF方式は、外測方式の三角測距AF方式(パッシブAF方式)とTTL方式のコントラストAF方式とを組み合わせており、この2つのフォーカス制御方式の切り換えを撮影スイッチの操作に基づいて行っている。また、2つのフォーカス制御方式の両方で合焦位置を検出し、2つの合焦位置の測定結果に応じてどちらかの方式を選択する制御が行われている。
【0007】
さらに、特許文献2では、外測方式の三角測距AF方式(アクティブAF方式)により検出された合焦位置に対して所定量だけ前ピン又は後ピンの位置にレンズを駆動した後に、コントラストAF方式によるフォーカス制御に切り替え、切り換えた後にコントラスト検出ができない場合は、再び三角測距AF方式に戻すフォーカス制御が提唱されている。
【0008】
また、特許文献3は三角測距AF方式で合焦位置方向の判別とモータ速度制御を行い、AF評価値が検出されたらコントラストAF方式に切り換えてフォーカス制御を行うものもある。
【特許文献1】特開2001−264622号公報(段落0061〜0066、段落0093〜0096、図5、図10等)
【特許文献2】特開2001−141984号公報(段落0043〜0054、図3等)
【特許文献3】特開平3−81713号公報(3、4頁、図3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述従来例(特許文献2)では、例えばパララックス(視差)により2つのAF方式で異なる被写体に対して焦点検出を行ってしまったり、三角測距AF方式で焦点検出を行った後にコントラストAF方式で十分な焦点検出ができないと、再度三角測距AF方式に切り替わってしまうことから、一時的にハンチングを起こしたり、合焦位置に到達出来ないことがある。
【0010】
また、上述従来例(特許文献3)では、被写体に依存して大幅に変化しやすいAF評価値の値だけで一律に2つのAF方式を切り換えているので、合焦位置から遠く位置で切り替わったり、近くの位置で切り替わったりして、不安定なフォーカス制御となってしまう。
【0011】
本発明は、ハイブリットAF方式のフォーカス制御において、スムーズかつ高速なAF方式の切り換え制御が可能なフォーカス制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のフォーカス制御装置は、撮影光学系により形成された被写体の像を光電変換して得られる映像信号の所定周波数成分に応じた第1の信号を生成する第1の信号生成手段と、被写体までの距離を検出する距離検出手段と、撮影光学系のフォーカス制御であって、第1の信号に基づく第1の制御および距離に基づく第2の制御を行う制御手段と、映像信号における互いに異なる複数の周波数成分の比に応じた第2の信号を生成する第2の信号生成手段とを有する。
【0013】
そし、制御手段は、第2の信号に基づいて第1および第2の制御のうち一方を選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、映像信号における複数の周波数成分の比に応じた第2の信号に基づいてハイブリットAFのフォーカス制御方式を切り換えるため、スムーズで高速なフォーカス制御が可能なフォーカス制御装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1のフォーカス制御装置を搭載した撮影装置における構成ブロック図である。
【0017】
本実施例の撮影装置は、カメラ本体301と、カメラ本体301に装着されるレンズユニット201とを有している。なお、本実施例のレンズユニット201はカメラ本体102に着脱可能に構成してもよく、一体型に構成してもよい。また、本実施例の撮影装置としては、動画や静止画を撮影してテープや固体メモリ、光ディスクや磁気ディスク等のさまざまな記憶媒体に記録可能なビデオカメラやデジタルカメラ等が考えられる。
【0018】
レンズユニット201には、光軸方向に移動して撮影光学系の焦点距離を変更可能なズームレンズ211、光軸方向に移動して焦点調節を行うフォーカスレンズ231、被写体の輝度に応じて、像面に入射する光量を調節する光量調節部材(絞り)203が設けられている。また、図示していないが各レンズを複数枚で構成したり、固定レンズ等を設けて撮影光学系を構成してもよい。また、ズームレンズ211は、ズーム回制御回路213を介してズームモータ212により駆動され、フォーカスレンズ231は後述のフォーカス制御回路233を介してフォーカスモータ232により駆動される。
【0019】
241はCCDセンサ、CMOSセンサ等の撮像素子であり、撮像素子241に結像された被写体像は撮像素子241において光電変換され、撮像信号処理回路242で撮像信号TVSとして出力される。この撮像信号TVSはAF信号処理回路234へと入力される。AF信号処理回路234では、コントラストAF(山登り)方式のAF制御のためのFV信号(AF評価値)と、合焦度を表すIFA信号を生成してフォーカス制御回路233へ出力する。
【0020】
一方、外測方式の測距AF検出ユニット230は、測距AF用瞳分割光学系238を通して位相差検出センサ239へ結像された2つの被写体像を、位相差検出センサ239で2像の位相差量を検出することで、三角測距法により被写体までの距離信号Dを算出してフォーカス制御回路233へ入力する。フォーカス制御回路233では、距離信号DとAF評価値FV、及び後述する合焦度IFAに基づいて、フォーカスモータ232を介してフォーカスレンズ231を駆動し、オートフォーカス(AF)制御を行う。
【0021】
ここで、本実施例の測距AF検出ユニット230の動作原理について図8を参照して説明する。
【0022】
401は被写体、404および405はそれぞれ、光電変換センサが並んで配置された位相差検出センサ239であるセンサアレイ(以下ラインセンサ)LおよびRである。ラインセンサL404、ラインセンサR405にはそれぞれAFセンサレンズL402、AFセンサレンズR403が配置されており、被写体401からの光束はそれぞれの光路を通り、ラインセンサL404、R405で検出される。ここでは、これらAFセンサレンズL402、AFセンサレンズR403、ラインセンサL404、ラインセンサR405からなる外測三角測距用センサ群を測距AF検出ユニット230としている。
【0023】
測距AF検出ユニット230から被写体401までの距離lは測距AF検出ユニット230の基線長をB、焦点距離をf、ラインセンサR405を基準とした位相差をxとしたときl=B×f/xで求めることができる。よって、この結果に基づいて距離lまたは位相差xを関数としたフォーカスレンズ231の合焦位置までの繰出し量を求めることができる。そして算出された被写体までの距離lは距離信号Dとしてフォーカス制御回路233に入力されることになる。
【0024】
撮像信号処理回路242から出力された画像信号は、一時的にRAM254に蓄積される。RAM254に蓄積された画像信号は、画像圧縮伸張回路253にて圧縮処理され、画像記録媒体257に記録される。
【0025】
この圧縮、記録処理と並行して、RAM254に蓄積された画像信号は、画像処理回路252にて最適なサイズに縮小・拡大処理し、表示ユニット250の表示部に表示してリアルタイムで撮影画像を撮影者に対してフィードバックする。また、撮影直後には、表示ユニット250に所定時間だけ撮影画像を表示することで、撮影画像の確認を行うことも可能になる。
【0026】
操作スイッチ256は、電源スイッチやズームスイッチ、レリーズスイッチ、表示ユニット(モニタディスプレイ)ON/OFFスイッチ等の複数のスイッチが配設されている。電源スイッチは、撮影装置の電源ON/OFFを行ない、ズームスイッチはズーム駆動の指示を行なう。レリーズスイッチはSW1、SW2の2段式で、レリーズスイッチSW1は撮影スタンバイからの復帰や撮影開始準備の指示(たとえば、オートフォーカスの開始、測光の開始の指示など)を行い、レリーズスイッチSW2では、撮影を行い画像記録媒体257への画像の記録指示を行う。表示ユニットON/OFFスイッチは、表示ユニット250へ撮影状態の画像を表示するか否かの切り替え等を行う。
【0027】
電源管理ユニット258は、これに接続されたバッテリー259の電源状態をチェックしたり、バッテリーを充電したりの電源管理をおこなう。
【0028】
これらの動作に先立って、撮影装置がOFF状態から起動すると、フラッシュメモリ255に格納されていたプログラムがRAM254の一部に読み出され、CPU251はこのRAM254から読み出されたプログラムにしたがって動作を行う。
【0029】
また、撮影装置内の各回路及びユニットは、バス260を介して接続されており、各回路及びユニットはCPU251によって制御されている。
【0030】
図2は、AF信号処理回路234の詳細説明図である。撮像信号処理回路242からの撮像信号TVSは、一つまたは複数の測距ゲート301にて画面内の一部のみの撮像信号を抽出し、バンドパスフィルタ(BPF)302で所定の高周波成分のみを抽出し、検出(検波)部(DET)303でピークホールドや積分等の処理を行うことで、AF評価値FVを出力し、フォーカス制御233へ出力する。
【0031】
そして、測距ゲート301を通過した一方の撮像信号TVSは、バンドパスフィルタ(BPF1)601とバンドパスフィルタ(BPF2)602で、それぞれ所定の高域周波成分のみを抽出し、検出部603、604でピークホールドや積分等の処理を行い、除算部605にてBPF1/BPF2、すなわち撮像信号の周波数成分の比を求めることで、測距枠ごとの合焦度IFAを算出する。なお、BPF1の周波数は、BPF2の周波数よりも高い周波数を抽出するように特性を選定する。また、測距ゲート301が複数の場合は、それに続く回路も複数になり、AF評価値FVや合焦度IFAも複数の信号になり、フォーカス制御233において、複数の信号から条件に応じて選択したり、複数の信号に基づいてフォーカス動作を行う。
【0032】
このようにAF信号処理回路234では、測距ゲート301を通過した撮像信号TVから、バンドパスフィルタ302及び検出部303を第1の信号生成手段として第1の信号(AF評価値)FVを生成するとともに、バンドパスフィルタ601、602、検出部603、604及び除算部605を第2の信号生成手段として第2の信号(合焦度)IFAを生成する。
【0033】
そして、図3に示すようにAF評価値FVは、被写体の種類や撮影条件(被写体輝度、照度、焦点距離等)により大幅に合焦点での値が変化する。図4のAF評価値FV(A)は、一般的な被写体Aを撮影した場合の非合焦(大ボケ)から合焦点までフォーカスレンズ231を動かしたときの信号の変化を表している。一方、AF評価値FV(B)は高コントラスト被写体Bの場合の信号変化で、AF評価値FV(C)は低コントラスト被写体や低照度被写体Cの場合の信号変化である。
【0034】
これに対して合焦度IFAは、被写体A,B,Cのいずれの場合も、合焦点での合焦度IFAはほぼ同じになる。したがって、被写体A、B、C、のいずれの被写体でも閾値TH1と交わる点CP1では、同程度の非合焦状態になるため、点CP1におけるレンズ位置で測距AF検出方式からコントラストAF方式に切り換えることで、同程度の非合焦状態で切り替わる。
【0035】
一方、極めて低コントラストの被写体や極めて低照度の被写体Dでは、合焦点における合焦度IFAのレベルも低くなる。このような場合には、コントラストAF方式でフォーカス制御するのは困難になるので、測距AF検出方式のAF制御のみで焦点検出を行い合焦動作を行う。
【0036】
次に、フォーカス制御装置の処理手順について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0037】
S501から開始して、S502では、まず、AF制御の状態(方式)を表すAFMODEに1を代入する。S503では、撮像信号処理回路242による撮像信号処理、AF信号処理回路234によるAF信号処理、位相差検出センサ239による位相差検出処理を同期して行う。
【0038】
S504では、AF信号処理回路234からAF評価値のFV信号と合焦度のIFA信号を取得し、位相差検出センサ239から距離信号Dを取得する。S505では、AFMODEにしたがって、S511、S521、S531へ分岐する。最初はAFMODEが1(測距AF検出方式)なので、S511へ進む。S511では、S504で取得した距離信号Dと、現在のフォーカスレンズ231の位置に基づいてレンズ駆動方向と速度を決定する。つまりは、距離信号Dの位置にレンズが近づく方向に、距離が離れている場合は高速で、距離が近い場合は低速になるように方向と速度を決定する。
【0039】
もし、距離信号Dと現在のレンズ位置が一致したならば、レンズ駆動速度は停止の決定をする。S512では、S504で取得した合焦度IFAのレベルを閾値TH1と比較する。合焦度IFAのレベルが閾値TH1よりも小さいときはS541へ進み、大きいときは、合焦近傍に位置しているので、S513でAFMODEに2を代入して、S541へ進む。S541では、決定されたモータ速度と方向でレンズを駆動し、S503へと進み以後、撮像素子241の読み出し周期(撮像信号処理周期)に同期して繰り返す。
【0040】
次に、S505にて、AFMODEが2の場合は、S521へ分岐する。S521では、S504で取得したAF評価値FVが増加しているか減少しているかの判断を行う(撮像素子241の前回の読み出し結果との増減比較なので、図4中に記述していないが、前回のAF評価値FVを保持している)。もしS521でAF評価値FVが増加している場合はS541へ進み、増加していない場合はS522へ進む。S522では、レンズ駆動方向を逆転してS523でAF評価値FVのピーク(最大値)を通過した後の減少かどうかの判別を行う。
【0041】
S523でピークを通過していない判断をした場合はS541へすすみ、ピークを通過した判断をした場合はS524へと進む。S524では、AFMODEに3を代入する。S505でAFMODEが3の判定をした場合は、S531へ進む。S531では、AF評価値FVのピーク位置へとレンズを戻し停止する(合焦点で停止)。S532では、AF評価値FVのピーク位置でのAF評価値FVが変化したかどうか(AF評価値の最大値が変化したかどうか)の監視を行うと同時に、合焦位置における距離信号Dが変化したかどうかの監視も行う。変化していない場合はS541へすすみ、変化した場合は、S533でAFMODEに1を代入してS541へ進む(測距AF検出の再起動)。
【0042】
このように本実施例では、撮像信号TVSに基づいて合焦度IFAを検出し、合焦度IFAに基づいて外部測距AF方式からコントラストAF方式へと切り換える。
【0043】
特に2つのAF方式の切り替えポイントとして、映像信号の周波数成分の比に応じた合焦度を使用しているため、測距AF検出方式からコントラストAF方式によるAF制御に切り換えの際、同程度の非合焦状態で切り替えが行われる。
【0044】
よって、最適な切換ポイントで2つのAF方式を切り換えと高精度の合焦点の検出が可能となり、スムーズで高速なフォーカス制御が可能なフォーカス制御装置及び光学機器、撮影装置を実現できる。
【0045】
さらに、撮像素子241の読み出しタイミングに同期させて測距AF方式の検出を行うことで、コントラストAF方式とのタイミングを的確に合わせることが可能になり、最適なタイミングでAF方式を切り換えて、スムーズで高速なフォーカス制御ができる。
【実施例2】
【0046】
図5に本発明の実施例2を示す。本実施例は上記実施例1の合焦度IFAの算出処理において、より精度が高い合焦度IFAを算出している。図5はAF信号処理回路235の詳細説明図である。
【0047】
撮像信号処理回路242からの撮像信号TVSは、一つまたは複数の測距ゲート301にて画面内の一部のみの撮像信号を抽出し、実施例1と同様にバンドパスフィルタ(BPF)302で所定の高周波成分のみを抽出し、検出(検波)部(DET)303でピークホールドや積分等の処理を行うことで、AF評価値FVを出力し、フォーカス制御233へ出力する。
【0048】
一方、測距ゲート301を通過した撮像信号TVSは、ローパスフィルタ304で高域周波成分が除去され、ライン最大値部(Line Max)305で、水平1ラインの最大値を検出し、ライン最小値部(Line Min)306では、水平1ラインの最小値を検出する。水平1ラインの最大値と最小値との差分(最大値−最小値)を加算部307で算出し、ピークホールド部308で、測距ゲート301内のすべてのラインの最大値−最小値のピーク値MMを検出する。これは、ほぼ測距ゲート301内のコントラストの最大値に相当する。
【0049】
そして、測距ゲート301ごとに、除算部309でAF評価値FVをピーク値MMで除することで、測距枠ごとの合焦度IFAを高精度で算出する。測距ゲート301が複数の場合は、それに続く回路も複数になり、AF評価値FV及び合焦度IFAも複数の信号になり、フォーカス制御回路233において、複数の信号から条件に応じて選択したり、複数の信号に基づいてオートフォーカス動作を行う。
【0050】
したがって、本実施例のAF信号処理回路235は、測距ゲート301を通過した撮像信号TVから、バンドパスフィルタ302及び検出部303を第1の信号生成手段として第1の信号(AF評価値)FVを生成するとともに、ローパスフィルタ304、ライン最大値部305、ライン最小値部306、加算部307、ピークホールド部308及び除算部309を第2の信号生成手段として第2の信号(合焦度)IFAを生成している。
【0051】
そして、撮像信号TVSの水平1ラインの最大値と最小値との差分を算出し、この差分(ピーク値MM)に基づいてAF評価値FVを正規化(除算)した値を合焦度IFAとして算出しているので、上記実施例1の効果に加え、さらに高精度のフォーカス制御が可能となる。
【実施例3】
【0052】
図6、図7に本発明の実施例3を示す。本発明の実施例3は上記実施例1の合焦度信号IFAをAF評価値FVから生成している。
【0053】
図6に示すように、被写体Aの非合焦(大ボケ)から合焦点にかけての変化はFV(A)である。本実施例では、このFV(A)の変化量に基づいて合焦度IFAを算出している。
【0054】
具体的には、合焦点におけるFV(A)の変化量はAF評価値FVのピーク(図6のFV(A)の頂点)となるため0になる。よって、FV(A)を微分したFV(A)’は合焦点において0になるように変化する。
【0055】
さらにFV(A)’の微分をとったもの(F(A)の変化量の変化)が、FV(A)’’であり、交点CP2、合焦点においてFV(A)’’は0になる。すなわち、交点CP2ではF(A)の変化量の変化が0になるため、点CP2におけるレンズ位置で測距AF検出方式からコントラストAF方式に切り換えることで、同程度の非合焦状態で切り替えが行われる。
【0056】
このようにFV(A)’’が点CP2で0になる特性を利用して、点CP2までは外部測距AF方式で、点CP2から合焦点まではコントラストAF方式を用いてAF制御を行うように切り換える。つまり、AF評価値FVの変化量の変化(FV(A)’’の符号+、−)を合焦度信号IFAとして用いる。
【0057】
したがって、図7に示すようにS612においてFV(A)’’の符号を判断し、符号が「+」の場合は、S541に進み、外部測距AFによるフォーカス制御を行い、符号が「−」の場合はコントラストAFに切り替えるべくS513に進んでAFMODEに2を代入し、S541に進む。その他のステップの処理は上記実施例1と同様であるため省略する。
【0058】
したがって、本実施例では閾値を用いずに合焦度IFAの符号(極性)の変化により、外部測距AFからコントラストAFの切り替えポイントを判断しているため、上記実施例1の効果に加え、2つのAF方式をより高精度で切り替えることができるとともに、回路構成が容易となり、フォーカス制御の処理速度が向上する。
【0059】
以上、上記実施例ではパッシブ方式の測距AF方式を用いて説明しているが、TTL方式の位相差検出方式や被写体に投光した赤外線を受光することで三角測距の原理から被写体の距離を求める赤外AF方式を採用してもよく、撮像信号TVSに基づくコントラストAF方式と他の測距・位相差AF方式の組合わせにおいて制限されることは無い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例1におけるフォーカス制御装置を搭載した撮影装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施例1におけるフォーカス制御装置の回路ブロック図である。
【図3】本発明の実施例1におけるフォーカス制御装置の動作説明図である。
【図4】本発明の実施例1におけるフォーカス制御装置のフローチャートある。
【図5】本発明の実施例2におけるフォーカス制御装置の回路ブロック図である。
【図6】本発明の実施例3におけるフォーカス制御装置の動作説明図である。
【図7】本発明の実施例3におけるフォーカス制御装置のフローチャートある。
【図8】本発明の実施例1の測距AF検出の動作原理図である。
【符号の説明】
【0061】
230 測距AF検出ユニット(距離検出手段)
233 フォーカス制御回路(制御手段)
FV AF評価値(第1の信号)
IFA 合焦度(第2の信号)
TVS 撮像信号(映像信号)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系により形成された被写体の像を光電変換して得られる映像信号の所定周波数成分に応じた第1の信号を生成する第1の信号生成手段と、
被写体までの距離を検出する距離検出手段と、
前記撮影光学系のフォーカス制御であって、前記第1の信号に基づく第1の制御および前記距離に基づく第2の制御を行う制御手段と、
前記映像信号における互いに異なる複数の周波数成分の比に応じた第2の信号を生成する第2の信号生成手段とを有し、
前記制御手段は、前記第2の信号に基づいて前記第1および第2の制御のうち一方を選択することを特徴とするフォーカス制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第2の信号が所定値より大きい場合は前記第1の制御を行い、前記第2の信号が前記所定値より小さい場合は前記第2の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載のフォーカス制御装置。
【請求項3】
撮影光学系により形成された被写体の像を光電変換して得られる映像信号の所定周波数成分に応じた第1の信号を生成する第1の信号生成手段と、
被写体までの距離を検出する距離検出手段と、
前記撮影光学系のフォーカス制御であって、前記第1の信号に基づく第1の制御および前記距離に基づく第2の制御を行う制御手段と、
前記第1の信号と前記映像信号における第1の値および第2の値の差分値とに基づいて第2の信号を生成する第2の信号生成手段とを有し、
前記制御手段は、前記第2の信号に基づいて前記第1および第2の制御のうち一方を選択することを特徴とするフォーカス制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2の信号が所定値より大きい場合は前記第1の制御を行い、前記第2の信号が前記所定値より小さい場合は前記第2の制御を行うことを特徴とする請求項3に記載のフォーカス制御装置。
【請求項5】
撮影光学系により形成された被写体の像を光電変換して得られる映像信号の所定周波数成分に応じた第1の信号を生成する第1の信号生成手段と、
被写体までの距離を検出する距離検出手段と、
前記撮影光学系のフォーカス制御であって、前記第1の信号に基づく第1の制御および前記距離に基づく第2の制御を行う制御手段と、
前記第1の信号の変化量の変化を示す第2の信号を生成する第2の信号生成手段とを有し、
前記制御手段は、前記第2の信号に基づいて前記第1および第2の制御のうち一方を選択することを特徴とするフォーカス制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第2の信号の符号が負の場合は前記第1の制御を行い、前記第2の信号の符号が正の場合は前記第2の制御を行うことを特徴とする請求項3に記載のフォーカス制御装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のフォーカス制御装置を有することを特徴とする光学機器。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1つに記載のフォーカス制御装置と、
前記被写体像を光電変換する撮像素子とを有することを特徴とする撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−3428(P2006−3428A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177183(P2004−177183)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】