説明

フォークリフト

【課題】フォークの動作の速度を微調整しやすいようにする。
【解決手段】フォークリフトは、荷役用のフォークを操作するためのリフト操作部4が表示された表示装置と、リフト操作部4に対するタッチ操作を検出するためのタッチセンサ25と、タッチセンサ25からの検出信号を受けて、フォークの動作を制御する制御装置とを備える。リフト操作部4の中央には基準位置40が設定される。オペレータの指70が基準位置40から上方向または下方向に所定のスライド距離だけ移動して離れるまでの操作をストロークスライド操作と設定する。制御装置は、オペレータが基準位置40から上方向または下方向にストロークスライド操作をすると、フォークをリフト動作させ、少なくとも1回のストロークスライド操作が行われる際、ストロークスライド操作における所定時間当たりのスライド距離に応じて、フォークの動作の速度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示手段に表示された油圧操作部をタッチ操作して、フォークを操作するフォークリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフォークリフトでは、図8に示すように、運転室20の前側の操作台21に荷役用のフォークを操作するための油圧操作レバー22が設けられている。この油圧操作レバー22は、フォークを上昇・下降させるためのリフトレバー22aと、フォークを前傾・後傾させるためのティルトレバー22bと、フォークを前進・後進させるためのリーチレバー22cとがある。オペレータが運転室20に搭乗して油圧操作レバー22を傾動すると、油圧装置が駆動し、フォークは油圧操作レバー22の操作量に応じて動作する。
【0003】
図8のフォークリフトで、油圧操作レバー22を操作して、油圧装置を駆動させるためには、油圧操作レバー22の傾動を検出するためにマイクロスイッチを設ける必要がある。しかしながら、マイクロスイッチは消耗品であるため、定期的に調整および交換するといったメンテナンスが必要である。
【0004】
これに対して、特許文献1に記載のフォークリフトでは、機械的な油圧操作レバー22が設けられる代わりに、フォークを操作するためにタッチパネル式のモニタディスプレイが設けられる。モニタディスプレイ上には、リフト操作用のタッチスイッチと、ティルト操作用のタッチスイッチとが表示される。そして、オペレータが指でこれらのタッチスイッチに対して所定のタッチ操作をすると、油圧装置が駆動し、フォークはタッチ操作に応じて動作する。
【0005】
特許文献1のフォークリフトのように、モニタディスプレイを設け、指のタッチ操作でフォークを操作する構成では、図8に示すような機械的な油圧操作レバー22が不要となるため、上記のようなメンテナンスは不要となり、また省スペース化が向上する。さらに、油圧操作レバー22を操作する際に必要だった操作力は不要となり、操作性は向上する。
【0006】
しかしながら、一般的にタッチパネル式のモニタディスプレイに対して指を使って操作を行う場合、細かい操作がしにくいという問題がある。モニタディスプレイ上で指のタッチ操作によってフォークを操作する場合、例えば、フォークを所望の位置に精度よく移動させたり、フォークの動作の速度(リフト速度、ティルト速度、リーチ速度)を所望の速度に精度よく調整したりすることは難しく、微調整を行う操作や直感的な操作を実現しにくい。
【0007】
特許文献1のフォークリフトでは、モニタディスプレイのタッチスイッチにバーが表示されており、オペレータがバーに指を置き、バーを上下動することで、フォークの動作の速度を変えることはできる。しかしながら、フォークの動作の速度を微調整しやすい構成ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平07−242400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、表示手段に表示された油圧操作部に対して所定のタッチ操作をしてフォークを操作するフォークリフトであって、フォークの動作の速度を微調整しやすいフォークリフトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係るフォークリフトは、荷役用のフォークと、フォークを操作するための油圧操作部が表示された表示手段と、表示手段に設けられ、油圧操作部に対するタッチ操作を検出するためのタッチセンサと、タッチセンサからの検出信号を受けて、フォークの動作を制御する制御手段とを備えたフォークリフトであって、
油圧操作部の中央には基準位置が設定され、オペレータの指が基準位置から上方向または下方向に所定のスライド距離だけ移動して離れるまでの操作をストロークスライド操作と設定して、
制御手段は、オペレータが基準位置から上方向にストロークスライド操作をすると、フォークを第1の方向に動作させ、オペレータが基準位置から下方向にストロークスライド操作をすると、フォークを第2の方向に動作させ、少なくとも1回のストロークスライド操作が行われる際、ストロークスライド操作における所定時間当たりのスライド距離に応じて、フォークの動作の速度を調整することを特徴とする。
【0011】
好ましくは、油圧操作部はリフト操作をするためのもので、第1の方向はフォークが上昇する方向で、第2の方向はフォークが下降する方向である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るフォークリフトは、上述の通り、オペレータの指が油圧操作部の中央の基準位置から上方向または下方向に所定のスライド距離だけ移動して離れるまでの操作をストロークスライド操作と設定する。そして、オペレータが、基準位置から上方向へのストロークスライド操作をするとフォークが第1の方向へ動作し(例えば、リフトアップし)、基準位置から下方向へのストロークスライド操作をするとフォークが第2の方向へ動作する(例えば、リフトダウンする)。
【0013】
そして、制御装置は、少なくとも1回のストロークスライド操作が行われる際、ストロークスライド操作における所定時間当たりのスライド距離に応じて、フォークの動作の速度(例えば、リフト速度)を調整する。したがって、オペレータは、指を素早く動かし続けてストロークスライド操作をし、所定時間当たりのスライド距離を大きくする、または指をゆっくり動かし続けてストロークスライド操作をし、所定時間当たりのスライド距離を小さくすることで、フォークの動作の速度を調整できるようになっている。
【0014】
すなわち、本発明に係るフォークリフトでは、ストロークスライド操作をするオペレータの指の速度によって、フォークの動作の速度を調整できるため、フォークの動作の速度を微調整しやすく、また直感的なフォークの操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るフォークリフトの斜視図である。
【図2】本発明に係るフォークリフトの運転室を示す図である。
【図3】本発明に係るフォークリフトの説明図である。
【図4】表示装置(表示手段)の構成を示す図である。
【図5】表示装置でリフト操作をする様子を示す図である。
【図6】表示装置でリフト操作をする様子を示す図である。
【図7】表示装置でリフト操作をする様子を示す図である。
【図8】従来のフォークリフトの運転室を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明に係るフォークリフト(以下、単にフォークリフトという)について説明する。図1に示すように、フォークリフトはリーチ型フォークリフトであって、車体1の前方に、車体1の両側から前方にのびる一対のストラドルレッグ10と、ストラドルレッグ10に沿って前後に移動可能なキャリッジ11とを備える。フォークリフトは、キャリッジ11に立設された一対のマスト12と、マスト12に沿って昇降可能に設けられたリフトブラケット13と、リフトブラケット13の前方に設けられた荷役用の一対のフォーク14とを備える。
【0017】
フォークリフトは、リフトブラケット13を昇降させるためのリフトシリンダ15を備える。リフトシリンダ15は、油圧シリンダであり、伸縮方向が上下方向となるようにマスト12に起立して設けられる。リフトシリンダ15が伸長すると、リフトブラケット13はマスト12に案内されて上昇し、リフトブラケット13とともにフォーク14も上昇する。一方、リフトシリンダ15が短縮すると、リフトブラケット13はマスト12に案内されて下降し、リフトブラケット13とともにフォーク14も下降する。このように、リフトシリンダ15の伸縮によって、フォーク14のリフト動作が行われる。
【0018】
リフトブラケット13は、車体1の左右方向に設けられたシャフト16と、上端がシャフト16に回動可能に支持されたティルトブラケット17とを備える。左右一対のフォーク14は、後面にティルトブラケット17が当接した状態でシャフト16に支持される。さらに、フォークリフトは、ティルトブラケット17を前後に揺動するためのティルトシリンダ18を備える。ティルトシリンダ18は、油圧シリンダであり、そのロッド部がティルトブラケット17の後面に接触するようにリフトブラケット13に支持される。ティルトシリンダ18が伸長すると、ティルトブラケット17およびフォーク14がシャフト16を中心として前方に回動し、フォーク14は後傾する。一方、ティルトシリンダ18が短縮すると、ティルトブラケット17およびフォーク14がシャフト16を中心として後方に回動し、フォーク14は前傾する。このように、ティルトシリンダ18の伸縮によって、フォーク14のティルト動作が行われる。
【0019】
フォークリフトは、キャリッジ11を車体1の前後方向に移動させるためのリーチシリンダ19を備える。リーチシリンダ19は、油圧シリンダであり、伸縮方向が車体1の前後方向となるように、車体1とキャリッジ11との間に設けられる。リーチシリンダ19が伸長すると、キャリッジ11はストラドルレッグ10に案内されて前進し、マスト12と一体的にフォーク14が前進(リーチアウト)する。一方、リーチシリンダ19が短縮すると、キャリッジ11はストラドルレッグ10に案内されて後進し、マスト12と一体的にフォーク14が後進(リーチイン)する。このように、リーチシリンダ19の伸縮によって、フォーク14のリーチ動作が行われる。
【0020】
図1および図2に示すように、車体1の後部には、オペレータが搭乗するための運転室20が形成される。車体1の上部で、運転室20の前方には、フォークリフトを操作するための操作台21が形成される。
【0021】
フォークリフトは、オペレータのタッチ操作でフォーク14を操作するための表示装置2(表示手段)を備える。さらに、フォークリフトは、オペレータの表示装置2上でのタッチ操作による入力を受けて、上記したフォーク14の動作を制御するためのMPUなどからなる制御装置3(制御手段)を備える。制御装置3は、フォーク14の動作を制御するだけでなく、フォークリフトの走行制御など様々な制御を行う。表示装置2は操作台21上に設けられ、制御装置3は車体1の内部に設けられる。
【0022】
表示装置2は、タッチパネル式である。表示装置2は、図3に示すように、情報を表示するためのディスプレイ24と、オペレータのタッチ操作を検出するためのタッチセンサ25とを備える。タッチセンサ25はディスプレイ24全体に貼り付けられ、ディスプレイ24へのタップ操作、ダブルタップ操作、スライド操作、フリック操作(ディスプレイ24をタッチして軽くはじく操作)などといった様々なタッチ操作を検出し、またタッチ操作の操作位置、操作方向、操作速度、スライド距離などを検出可能である。タッチセンサ25からの検出信号はデコーダ26を介して制御装置3へ出力される。
【0023】
表示装置2と制御装置3との間の通信方式は、RS232C、CAN、USBなどの有線通信、またはWi-Fiなどの無線LANなどによる無線通信である。通信方式が無線通信の場合、表示装置2および制御装置3に通信機器27が設けられる。そして、無線通信の場合、表示装置2を操作台21の所定の位置に設置する必要はなく、車体1の任意の位置に配置することができる。また、オペレータは表示装置2を携帯しながらフォーク14を操作できる。これにより、オペレータは、自由な操作姿勢でフォーク14の操作が可能となる。
【0024】
フォークリフトは、フォーク14の揚高を連続的に検出するリフト揚高検出センサ30と、フォーク14のティルト角度を連続的に検出するティルト検出センサ31と、フォーク14のリーチ距離を連続的に検出するリーチ検出センサ32とを備える。
【0025】
また、フォークリフトは、上記の各油圧シリンダ15、18、19を伸縮させるための油圧モータ34と、油圧モータ34の出力を制御するためのモータドライバ33と、油圧モータ34の回転を検出するための回転検出エンコーダ35とを備える。制御装置3は、タッチ操作によるタッチセンサ25からの検出信号を受けると、モータドライバ33を介して油圧モータ34を駆動させる。油圧モータ34が駆動することで油圧シリンダ15、18、19は動作し、検出センサ30、31、32はフォーク14の位置(揚高、ティルト角度、リーチ距離)を検出し、フォーク14の動作がタッチ操作に対応するように制御される。
【0026】
次に、表示装置2の具体的な表示内容について説明する。表示装置2のディスプレイ24には、図4に示すように、フォーク14を操作するための油圧操作部4、5、6が複数表示される。油圧操作部4、5、6は、左から順に、リフト操作をするためのリフト操作部4、ティルト操作をするためのティルト操作部5、リーチ操作をするためのリーチ操作部6である。
【0027】
油圧操作部4、5、6は縦長矩形状である。油圧操作部4、5、6は、その中央に設定された基準位置40、50、60と、基準位置40、50、60の上側に設定された上部領域41、51、61と、基準位置40、50、60の下側に設定された下部領域42、52、62とで構成される。
【0028】
このフォークリフトでは、オペレータの指70が基準位置40、50、60から上部領域41、51、61へ向かって上方向に(図5(a)、(b)参照)、または基準位置40、50、60から下部領域41、51、61へ向かって下方向に(図6(a)、(b)参照)、所定のスライド距離だけ移動して離れるまでの操作をストロークスライド操作と設定する。オペレータが油圧操作部4、5、6のいずれかに対して、ストロークスライド操作をすると、タッチセンサ25は当該ストロークスライド操作を検出し、制御装置3はタッチセンサ25の検出信号に基づき、フォーク14を第1の方向(リフトアップ、前傾、リーチアウト)または第2の方向(リフトダウン、後傾、リーチイン)へ動作させる。以下、リフト操作部4を例にして、フォーク14を昇降させる具体的な操作について説明する。
【0029】
オペレータが、図5(a)、(b)に示すように、指70でリフト操作部4の基準位置40から上方向にストロークスライド操作をしたとする。すると、タッチセンサ25は当該ストロークスライド操作を検出し、これにより制御装置3はリフトシリンダ15を伸長させ、フォーク14を上昇させる。すなわち、リフト操作部4の基準位置40から上方向にストロークスライド操作をすると、フォーク14は上昇する。
【0030】
そして、図5(c)に示すように、オペレータが指70を動かし続け、基準位置40から上方向へのストロークスライド操作を繰り返し行っている間は、制御装置3はフォーク14を上昇させ続ける。
【0031】
一方、オペレータが、図6(a)、(b)に示すように、指70でリフト操作部4の基準位置40から下方向にストロークスライド操作をしたとする。すると、タッチセンサ25が当該ストロークスライド操作を検出し、これにより制御装置3はリフトシリンダ15を短縮させ、フォーク14を下降させる。すなわち、リフト操作部4の基準位置40から下方向にストロークスライド操作をすると、フォーク14は下降する。
【0032】
そして、図6(c)に示すように、オペレータが指70を動かし続け、基準位置40から下方向へのストロークスライド操作を繰り返し行っている間は、制御装置3はフォーク14を下降させ続ける。
【0033】
このように、リフト操作部4において、オペレータが指70で基準位置40から上方向または下方向にストロークスライド操作をすることで、リフト動作が行われる。そして、オペレータが指70を動かし続け、ストロークスライド操作を繰り返し連続的に行っている間は、フォーク14はリフト動作をし続ける。
【0034】
上記のように少なくとも1回のストロークスライド操作が行われ、フォーク14がリフト動作をする際、制御装置3は、フォーク14のリフト速度を、ストロークスライド操作における所定時間当たりのスライド距離に応じて調整する。
【0035】
制御装置3は、タッチセンサ25からの検出信号によって、所定時間毎に、ストロークスライド操作における当該所定時間当たりのスライド距離を算出する。ここで、オペレータが所定時間当たりに複数回のストロークスライド操作を行った場合には、各ストロークスライド操作において指70をスライドさせた距離の合計が所定時間当たりのスライド距離となる。例えば、図5(c)または図6(c)の矢印で示されるように3回のストロークスライド操作を、所定時間に行ったとすれば、矢印3つ分の距離が所定時間当たりのスライド距離となる。
【0036】
そして、制御装置3は、所定時間毎に算出する当該所定時間当たりのスライド距離によってリフト速度を調整していく。制御装置3は、リフト速度を算出した所定時間当たりのスライド距離に比例させて、フォーク14をリフト動作させる。すなわち、制御装置3は、算出した所定時間当たりのスライド距離が大きければ、リフト速度を大きくし、算出した所定時間当たりのスライド距離が小さければ、リフト速度を小さくする。
【0037】
なお、オペレータが、所定時間当たりのスライド距離を大きくするためには以下のようにすればよい。オペレータが指70を素早く動かして、所定時間当たりのストロークスライド操作の回数を増やすことで、所定時間当たりのスライド距離を大きくできる。また、オペレータは、所定時間当たりのストロークスライド操作の回数を増やさなくても、指70を素早く動かして、一回のストロークスライド操作において指70を大きくスライドさせる(例えば、基準位置40から上部領域41の上端まで指70をスライドさせる)ことでも、所定時間当たりのスライド距離を大きくできる。反対に、オペレータが指70をゆっくりと動かしてストロークスライド操作をすれば、所定時間当たりのスライド距離を小さくできる。
【0038】
上記の構成によれば、例えば、オペレータが指70の動きを一定にしてストロークスライド操作を繰り返し行えば、所定時間毎に算出される所定時間当たりのスライド距離は変化せず一定であるため、フォーク14は一定のリフト速度でリフト動作をする。オペレータが指70の動きを徐々に早くしながらストロークスライド操作を繰り返し行えば、所定時間毎に算出される所定時間当たりのスライド距離は次第に大きくなっていくため、フォーク14はリフト速度が徐々に大きくなるようにリフト動作をする。また、オペレータが指70の動きを徐々に遅くしながらストロークスライド操作を繰り返し行えば、所定時間毎に算出される所定時間当たりのスライド距離は次第に小さくなっていくため、フォーク14はリフト速度が徐々に小さくなるようにリフト動作をする。
【0039】
オペレータが指70を動かすのを止めて、ストロークスライド操作を止めると、算出される所定時間当たりのスライド距離は0になるため、フォーク14のリフト動作は停止する。
【0040】
上記から明らかなように、このフォークリフトでは、ストロークスライド操作をする指70の速度が、リフト速度に比例する構成になっている。したがって、オペレータはストロークスライド操作をする指70の速度を調整することで、リフト速度を所望の速度に自在に変化させることができるので、リフト速度の微調整がしやすく、また直感的な操作が可能となる。
【0041】
ティルト操作部5も、リフト操作部4と同様の構成を備える。タッチセンサ25がティルト操作部5の基準位置50から上方向へのストロークスライド操作を検出すると、制御装置3はティルトシリンダ18を短縮させ、フォーク14を前傾する方向にティルトさせる。一方、タッチセンサ25が基準位置50から下方向へのストロークスライド操作を検出すると、制御装置3はティルトシリンダ18を伸長させ、フォーク14を後傾する方向にティルトさせる。
【0042】
すなわち、ティルト操作部5では、オペレータが指70で基準位置50から上方向にストロークスライド操作をすると、フォークは前傾する方向にティルトし、基準位置50から下方向にストロークスライド操作をすると、フォーク14は後傾する方向にティルトする。そして、オペレータが指70を動かし続け、ストロークスライド操作を繰り返し連続的に行っている間だけ、フォーク14はティルト動作をし続ける。
【0043】
そして、リフト速度の場合と同様に、少なくとも一回のストロークスライド操作が行われ、フォーク14がティルト動作をする際、制御装置3は、ストロークスライド操作における所定時間当たりのスライド距離に応じて、ティルト速度を調整する。
【0044】
リーチ操作部6も、リフト操作部4と同様の構成を備える。タッチセンサ25がリーチ操作部6の基準位置60から上方向へのストロークスライド操作を検出すると、制御装置3はリーチシリンダ19を伸長させ、フォーク14をリーチアウトさせる。一方、タッチセンサ25が基準位置60から下方向へのストロークスライド操作を検出すると、制御装置3はリーチシリンダ19を短縮させ、フォーク14をリーチインさせる。
【0045】
すなわち、リーチ操作部6では、オペレータが指70で基準位置60から上方向にストロークスライド操作をすると、フォーク14はリーチアウトし、基準位置60から下方向にストロークスライド操作をすると、フォーク14はリーチインする。そして、オペレータが指70を動かし続け、ストロークスライド操作を繰り返し連続的に行っている間だけ、フォーク14はリーチ動作をし続ける。
【0046】
そして、リフト速度の場合と同様に、少なくとも一回のストロークスライド操作が行われ、フォーク14がリーチ動作をする際、制御装置3は、ストロークスライド操作における所定時間当たりのスライド距離に応じて、リーチ速度を調整する。
【0047】
なお、図5および図6では、1本の指によってリフト操作を行っているが、例えば図7に示すように、2本の指(人差指70、親指71)を用いてリフト操作を行う構成でもよい。フォーク14の上昇は、図7(a)に示されるように、オペレータが親指71でリフト操作部4の基準位置40をタッチした状態で、人差指70で基準位置40から上部領域41に向かって上方向にストロークスライド操作をすることで行われる。そして、オペレータが親指71で基準位置40をタッチせずに、人差指70でストロークスライド操作をした場合、当該ストロークスライド操作は無効とされ、フォーク14は上昇しない。オペレータが親指71で基準位置40をタッチした状態で、人差指70でストロークスライド操作を繰り返し連続的に行っている間だけ、フォーク14は上昇し続ける。
【0048】
フォーク14の下降は、図7(b)に示されるように、オペレータが人差指70で基準位置40をタッチした状態で、親指71で基準位置40から下部領域42に向かって下方向にストロークスライド操作をすることで行われる。そして、オペレータが人差指70で基準位置40をタッチせずに、親指71でストロークスライド操作をした場合、当該ストロークスライド操作は無効とされ、フォーク14は下降しない。オペレータが人差指70で基準位置40をタッチした状態で、親指71でストロークスライド操作を繰り返し連続的に行っている間だけ、フォーク14は下降し続ける。
【0049】
このように、一方の指で基準位置40をタッチした状態で、他方の指でストロークスライド操作をしなければ、リフト動作は行われない。一方の指で基準位置40をタッチせずに、他方の指でストロークスライド操作を行っても、当該ストロークスライド操作は無効とされ、制御装置3は、フォーク14のリフト動作、および所定時間当たりのスライド距離の算出の際、当該ストロークスライド操作を考慮しない。
【0050】
このように、図7の構成では、2本の指70、71を用いなければ、フォーク14を操作できないようになっている。これにより、オペレータが誤って油圧操作部4、5、6に指を触れてしまうことで、意思に反してフォーク14を動作させてしまうような誤動作を防止できる。
【符号の説明】
【0051】
14 フォーク
2 表示装置(表示手段)
24 ディスプレイ
25 タッチセンサ
3 制御装置(制御手段)
4、5、6 油圧操作部(リフト操作部、ティルト操作部、リーチ操作部)
40、50、60 基準位置
70 指(人差指)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷役用のフォークと、前記フォークを操作するための油圧操作部が表示された表示手段と、前記表示手段に設けられ、前記油圧操作部に対するタッチ操作を検出するためのタッチセンサと、前記タッチセンサからの検出信号を受けて、前記フォークの動作を制御する制御手段とを備えたフォークリフトであって、
前記油圧操作部の中央には基準位置が設定され、オペレータの指が前記基準位置から上方向または下方向に所定のスライド距離だけ移動して離れるまでの操作をストロークスライド操作と設定して、
前記制御手段は、
オペレータが前記基準位置から上方向に前記ストロークスライド操作をすると、前記フォークを第1の方向に動作させ、
オペレータが前記基準位置から下方向に前記ストロークスライド操作をすると、前記フォークを第2の方向に動作させ、
少なくとも1回の前記ストロークスライド操作が行われる際、前記ストロークスライド操作における所定時間当たりの前記スライド距離に応じて、前記フォークの動作の速度を調整することを特徴とするフォークリフト。
【請求項2】
前記油圧操作部はリフト操作をするためのもので、前記第1の方向は前記フォークが上昇する方向で、前記第2の方向は前記フォークが下降する方向であることを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−254839(P2012−254839A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127836(P2011−127836)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000232807)日本輸送機株式会社 (320)
【Fターム(参考)】