説明

フォームテープ

【課題】コロナ処理を介してフォームテープのフォームと粘着層と間の界面接着力を向上させることで、高温で長時間、重量物を保持することができる。
【解決手段】コロナ処理されたフォーム;及び上記フォームの一面又は両面に形成される粘着層;を含むフォームテープを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロナ処理を介してフォームと粘着層と間の界面接着力が向上されたフォームテープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォームテープは、シンク台などの厨房用家具、家財道具の多様な内装材、又は自動車内・外装材の接着用として広く活用されている。特に、主にガラスにコートされた塗装面又はフィルム上に接着され、外形を飾るのに使用されている。
【0003】
一般的に、フォームテープは以下の工程で製作される。まず、フォームを構成し、用途に応じて様々な種類の粘着層を形成した後、これらを積層して製作される。
【0004】
下記文献1には、フォームテープの製造方法及びフォームテープ組成物が開示されている。この製造法において、ウレタンアクリラート、エポキシアクリラート、2−ヒドロキシエチルメタアクリラート、1,6−ヘキサンジオールジアクリラー、ガラスマイクロバルーン、顔料、及び光開始剤の組成物を均一に混合し;ガイドフィルム上に上記組成物を塗布し;その後、紫外線硬化機を通過させてフォームを形成させながら、フォームの一面に粘着テープを積層する;ことによってバンパー用フォームテープが製造される。
【0005】
下記文献2には、内装用フォームテープ及びその製造方法のためのフォームテープが開示されている。上記方法において、内装用フォームテープは、アクリル単量体、ラジカル開始剤、架橋剤及び多孔性フィラーを含む組成物を混合する工程;上記組成物を焼成フィルムにコートする工程;及び上記組成物がコートされた焼成フィルムを紫外線硬化機に通して通過させ、フォーム形成と同時に重合する工程;によって製造される。上記方法は、フォームテープを形成する工程が10〜60Wの紫外線トランスイルミネータと1000〜3000Wの紫外線トランスイルミネータを連続的に通過させることによって遂行されることを特徴としている。
【0006】
しかし、上記特許文献1、2に開示されたフォームテープは以下に示される不都合があった。
【0007】
一般的に、フォームテープは重量物を保持するために使われていることから、強い粘着特性が求められている。
【0008】
しかし、フォームと粘着層と間の接着力がフォームテープに保持された重量物の重量より低い場合、フォームと粘着層と間の界面剥離が引き起こされる。さらに、フォームと粘着層と間の接着力が常温で十分であっても、界面剥離が容易に発生しうるような高温で接着力が低減する可能性がある。
【0009】
さらに、フォームテープが可塑化されたポリ塩化ビニル基板に接着される場合、基板に含まれた可塑剤がフォームテープに浸透し、その機能が低下される問題がある。即ち、たとえ最初は、フォームテープが重量物に耐えていても、時間とともに基板からの可塑剤の浸透によってフォームテープの物性が低下され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国特開第2000−0018221号公報
【特許文献2】韓国特開第2008―0037876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記問題点を解決するために、フォームと粘着層と間にプライマー層が導入され得る。しかし、プライマーの使用はコストを増大し、追加工程を遂行しなければならないため、生産性が低下される短所があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、フォームテープ及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明の一態樣は、コロナ処理されたフォームと粘着層を含むフォームテープを提供することである。
【0014】
本発明の別の態樣は、フォームにコロナ処理する工程;及びフォームに粘着層を形成する工程;と含むフォームテープの製造方法を提供することである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、フォームテープのフォームと粘着層と間の接着力が向上されるので、上記フォームテープは高温で長時間、重量物を保持することができる。
【0016】
また、本発明において、フォームテープはプライマーを用いることなく、単純な製造工程で製造でき、製造コストが低減され得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例に係るフォームテープの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、コロナ処理されたフォーム;及び上記フォームの一面又は両面に形成される粘着層;を含むフォームテープに関する。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施例に係るフォームテープの断面図である。図1に示されるように、上記フォームテープはフォーム層と、フォーム層の両面に形成された粘着層とを含んでいてもよく、また、上記フォームテープはフォーム層とフォーム層の一面に形成された粘着層を含んでいてもよい。
【0021】
本発明において、上記フォーム層はコロナ処理されたフォームである。ここで、用語“コロナ処理されたフォーム”又は“コロナ処理されたフォーム層”とはコロナ処理が行われたフォーム又はフォーム層として使用される。コロナ処理は基材上にコロナ放電を照射することによって処理された基材の表面エネルギーを増大させる表面処理工程である。本発明において、コロナ処理を行う方法は特に制限されないが、高周波発電機、高圧変換機、静止電極などを含む従来のコロナ処理装置を使用して遂行することができる。また、処理が遂行される条件は特に制限されなく、当業者は処理されるフォームの種類などを考慮して、適切な条件を容易に決定することができる。一実施形態では、上記コロナ処理は電流が2〜10Aに、処理速度が1〜10M/分、好ましくは1M〜5M/分、より好ましくは1M〜2M/分に調整された条件下で遂行され得る。コロナ処理条件のコントロールによって、フォーム層と粘着層と間の界面接着力は最適化され得る。
【0022】
本発明で使用可能なフォームの種類は特に制限されないが、当該技術分野で使用される従来のフォームはいずれも適用することができる。例えば、エチレンなどのアクリル化合物、ウレタン化合物及びオレフィン化合物からなる群から選択された少なくとも1つを含む混合物を重合して製造されるフォームが挙げられる。他の実施形態では、上記特許文献1又は2に開示されたフォームを用いてもよい。
【0023】
ここで、使用可能な粘着層の種類は特に制限されないが、当該技術分野で使用される従来のフォームはいずれも適用することができる。粘着剤の例は、紫外線硬化型粘着剤と熱硬化型粘着剤が挙げられる。
【0024】
一実施形態では、粘着層はアクリル共重合体を含む粘着組成物の硬化生成物であってもよい。他の実施形態では、アクリル共重合体は(メタ)アクリル酸エステル単量体と(メタ)アクリル酸を含む単量体混合物のポリマーであってもよい。
【0025】
本発明で使用可能な(メタ)アクリル酸単量体は特に制限されない。例えば、炭素数1〜14のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリラートが挙げられる。そのような単量体の例は、特に制限されないが、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n−プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、t−ブチル(メタ)アクリラート、sec−ブチル(メタ)アクリラート、ペンチル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、2−エチルブチル(メタ)アクリラート、n−オクチル(メタ)アクリラート、イソオクチル(メタ)アクリラート、イソノニル(メタ)アクリラート、ラウリル(メタ)アクリラート及びテトラデシル(メタ)アクリラートからなる群から選択された1つ以上が挙げられる。
【0026】
一実施形態では、(メタ)アクリル酸エステル単量体と(メタ)アクリル酸の重量比は8:1〜9.5:1であってもよい。即ち、単量体混合物は(メタ)アクリル酸100重量部に対して、(メタ)アクリル酸エステル単量体800〜950重量部を含んでいてもよい。混合物での単量体含量のコントロールによって、フォーム層と粘着層と間の接着力が最大化され得る。
【0027】
上記共重合体の製造方法は特に制限されない。例えば、溶液重合法、光重合法、バルク重合法、懸濁重合法、又はエマルション重合法などの一般的な方法によって製造することができる。
【0028】
粘着組成物は、さらに、共重合体と反応し、粘着剤に架橋構造を与えることができる架橋剤を含んでいてもよい。
【0029】
本発明で使用可能な具体的な架橋剤は特に制限されないが、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物及金属キレート化合物を含んでいてもよい。
【0030】
上記イソシアネート化合物の例は、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及びトリメチロールプロパンなどのポリオールと上述のいずれか一つとの反応物が挙げられ、エポキシ化合物の例は、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジルエチレンジアミン及びグリセリンジグリシジルエーテルが挙げられ、アジリジン化合物の例は、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)及びトリ−1−アジリジニルホスフィンオキシドが挙げられる。また、金属キレート化合物の例は、アルミニウム、鉄、亜鉛、スズ、チタン、アンチモン、マグネシウム及び/又はバナジウムなどの多価金属がアセチルアセトン又はアセト酢酸エチルにキレートされる化合物を含む。本発明では、一つ以上の上述したものを単独又は混合物で使用してもよい。
【0031】
架橋剤は共重合体100重量部に対して、0.01〜10重量部の量で含まれていてもよく、好ましくは、0.01〜0.5重量部である。上記含量が0.01未満のときは粘着性が低くなり、10重量部を超えると耐久性が劣る。
【0032】
一実施形態では、上記粘着組成物は、本発明の効果に影響を与えない範囲内で、さらにエポキシ樹脂、硬化剤、UV安定化剤、酸化防止剤、着色剤、補強剤、充填剤、脱泡剤、界面活性剤、可塑剤を含んでいてもよい。
【0033】
また、本発明は、フォームにコロナ処理を行ってコロナ処理されたフォームを製造する工程;及びコロナ処理されたフォーム層に粘着層を形成する工程;を含むフォームテープの製造方法に関する。
【0034】
本発明において、コロナ処理されたフォームの製造方法は特に制限されない。上記コロナ処理されたフォームは従来方法で製造されたフォームを従来のコロナ処理装置を用いてコロナ処理を行って製造することができる。コロナ処理は高周波放電を介してターゲットの湿潤性を向上させる方法である。コロナ処理は、ターゲットに2電極間の高周波高電圧を加えることによって生成された、コロナを放射して製造することができる。本発明では、コロナ放電処理の遂行方法は特に制限されなく、一般的に当業界で用いられている方法は制限なく用いることができる。一実施形態では、コロナ処理のための電流は2〜10Aの範囲で制御されていてもよく、処理速度は1〜2M/分の範囲内で制御されていてもよい。
【0035】
一実施形態では、コロナ処理されたフォーム層はさらにプラズマ処理を行うことができる。コロナ処理されたフォームにプラズマ処理を行うことで、フォーム層と粘着層と間の接着力がさらに増大され得る。プラズマ処理のための具体的な方法又は条件は特に制限されなく、当業者が処理されるフォームの種類などを考慮して、容易に決定することができる。
【0036】
また、コロナ処理されたフォーム層に粘着層を形成する方法は特に制限されない。一実施形態では、粘着層を形成するための工程は、粘着層を形成する工程;及びコロナ処理されたフォーム層に粘着層を積層する工程;が含まれていてもよい。
【0037】
上記で、粘着層を形成する方法は特に制限されなく、例えば、バーコーターなどで上記フォーム層に粘着組成物をコートし、硬化する方法であってもよく、または、剥離基材の表面に粘着組成物をコートし、乾燥した後、形成された粘着層をフォーム層に転写する工程であってもよい。
【0038】
以下、典型的な具体例を詳細する。下記具体例は本発明の技術思想の理解を容易にするために説明されたが、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0039】
実施例1
フォーム層の製造
2−エチルヘキシルアクリラート89重量部とアクリル酸11部とを含む混合物を、1Lのガラス反応器で熱重合させ、粘度3500cPのシロップを得た。その後、得られたシロップ100重量部に対して、光開始剤としてイルガキュア−651(a,a−メトキシ−a−ヒドロキシアセトフェノン)0.5重量部、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリラート(HDDA)0.35重量部を混合した後、十分に撹拌した。次に、ガラスバブル5重量部、シリカ2重量部を混合し、十分に均一になるまで撹拌した。この混合物を真空ポンプを利用して減圧脱泡した。その後、マイクロバーを利用して、膜厚0.4mmのフォーム層を製造した。
【0040】
粘着層の製造
2−エチルヘキシルアクリラート90部とアクリル酸10部とを含む混合物を、1Lのガラス反応器で溶液重合させ、重量平均分子量が約1500000、固形粉が21%のシロップを製造した。製造されたシロップ100重量部に対して、アジリジン系硬化剤0.01重量部を加え、十分に撹拌した後、100℃オーブンで3分間乾燥させ、膜厚50μmの粘着層を製造した。その後、50℃オーブンで48時間、十分にエイジング(aging)工程を行った。
【0041】
フォームテープの製造
従来のコロナ処理装置を用いて上記で製造されたフォーム層にコロナ処理を行った。電流は6A、処理速度2M/分 の条件であった。その後、コロナ処理した後、製造された粘着層と積層した。その後、製造されたフォームテープを50℃オーブンでサンプルを入れ、24時間、エイジング工程を行った。
【0042】
比較例1
コロナ処理を行っていないことを除いて、実施例1と同様の方法によってフォームテープを製造した。
【0043】
実験結果
上記実施例1と比較例1を対象にし、高温粘着力の測定試験を行った。その結果を表1に示した。
【0044】
表1に示されるように、実施例1が比較例1に比べ、界面分離が殆ど生じないことがわかった。
【0045】
【表1】

【0046】
実験方法
上記実施例1及び比較例1から得られたフォームテープを、0.5インチ×0.5インチの大きさで切断し、SUSとSUSとの間にフォームテープを積層して試片を作った後、1Kg重量を、接着された領域上に15分間放置した後、重量を除去し、室温でさらに24時間放置した。その後、試片を80℃オーブンに10分間放置した後、1Kgの錘をぶら下げ、フォームテープとSUSと間の剥離が発生するまでの保持時間を確認した。また、フォーム層と粘着層と間の界面剥離が発生するか否かを確認した。保持時間は5回テストし、その平均値を記録した。
【符号の説明】
【0047】
1 フォーム層
2 粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナ処理されたフォーム;及び
上記フォームの一面又は両面に形成される粘着層;
を含むフォームテープ。
【請求項2】
上記コロナ処理されたフォーム層は、電流2〜10A、処理速度1〜10M/分の条件でフォーム層にコロナ処理を行って形成される請求項1に記載のフォームテープ。
【請求項3】
コロナ処理されたフォーム層は、フォーム層にコロナ処理とプラズマ処理を連続して行って形成される請求項1に記載のフォームテープ。
【請求項4】
上記フォーム層は、アクリル化合物、ウレタン化合物及びオレフィン化合物からなる群から選択された少なくとも1種を含む混合物を重合して形成される請求項2に記載のフォームテープ。
【請求項5】
上記粘着層は、アクリル共重合体を含む粘着組成物の硬化生成物を含む請求項1に記載のフォームテープ。
【請求項6】
上記アクリル共重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体と(メタ)アクリル酸を含む単量体混合物のポリマーである請求項5に記載のフォームテープ。
【請求項7】
上記単量体混合物は、(メタ)アクリル酸100重量部に対して、(メタ)アクリル酸エステル単量体を800〜950重量部で含む請求項6に記載のフォームテープ。
【請求項8】
フォームにコロナ処理し、コロナ処理されたフォームを形成する工程;及び
上記コロナ処理されたフォームの1面又は両面に粘着層を形成する工程;
を含むフォームテープの製造方法。
【請求項9】
さらに、上記コロナ処理されたフォームにプラズマ処理する請求項8に記載のフォームテープの製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−95722(P2010−95722A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−238237(P2009−238237)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(509286787)エルジー・ハウシス・リミテッド (49)
【Fターム(参考)】