説明

フケ・痒み防止組成物

【解決手段】 (A)植物抽出物、(B)抗菌剤、(C)抗炎症剤及び(D)多価アルコールを含有することを特徴とするフケ・痒み防止組成物。
【効果】 本発明によれば、頭皮の保湿性を高め、且つフケ・痒み防止及び改善効果を有する組成物を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥等によるフケ・痒み防止効果が高い、フケ・痒みを防止し改善する組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フケ・痒みは頭皮の過剰な皮脂が原因とされ、これを改善するために、例えば1−ヒドロキシ−2−ピリドン、イオウ、ジンクピリチオン等のフケ・痒み防止成分を配合した毛髪化粧料が使用されている。これらは、主に皮脂分泌が多い男性のフケ・痒みの抑制に良好な効果を奏していた。
【0003】
一方、フケ・痒みの原因が、頭皮の過剰な皮脂以外に、加齢によるホルモンバランスの乱れや冷暖房完備及びカラーリング等による、頭皮の乾燥から生じる頭皮の荒れも原因であることが報告されている。すなわち、上記理由により荒れて剥離した皮膚が落屑しフケとなり、荒れた頭皮が刺激として痒みを感じるものである。このような頭皮の乾燥から生じる頭皮の荒れが原因のフケ・痒みは、主に女性に多くみられるものである。
【0004】
このように、その原因が異なるフケ・痒みの症状に対して、上記フケ・痒み防止成分を配合した毛髪化粧料を使用しても、フケ・痒みの抑制・防止効果が満足に得られない場合が多い。また、乾燥等でダメージを受けた頭皮は刺激を受けやすく、毛髪化粧料で刺激を感じたり発赤や湿疹等の刺激が生じて、炎症や痒みが発生して、かえってフケ・痒みが悪化するという不具合点があった。以上のように、頭皮の乾燥から生じる荒れを原因とするフケ・痒み防止組成物が望まれていた。
【0005】
【特許文献1】特開昭63−165308号公報
【特許文献2】特開平2−49712号公報
【特許文献3】特開2001−261529号公報
【特許文献4】特開2003−342131号公報
【特許文献5】特開2001−172159号公報
【非特許文献1】「皮膚と美容」、1990年、22(3)、p3673−3726
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、女性に多く見られる乾燥によるフケ・痒みに対し、防止及び改善効果を有するフケ・痒み防止組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、フケ・痒み防止効果の高い抗菌剤、掻いてしまった傷口や刺激による炎症を抑える抗炎症剤、及び保湿性の高い多価アルコールを含有する組成物に、植物抽出物を配合することにより、頭皮の保湿性が高く、且つフケ・痒みの防止及び改善効果が発揮できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
従って、本発明は、
[1].(A)植物抽出物、(B)抗菌剤、(C)抗炎症剤及び(D)多価アルコールを含有することを特徴とするフケ・痒み防止組成物、
[2].炭素数3以下の低級アルコールの含有量が10質量%以下である[1]に記載のフケ・痒み防止組成物、
[3].シャンプー又はリンスである[1]又は[2]に記載のフケ・痒み防止組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、頭皮の保湿性を高め、且つフケ・痒み防止及び改善効果を有する組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において用いられる(A)植物抽出物に用いられる植物としては、カバノキ科、ミカン科、シソ科、ボタン科、ユリ科、シナノキ科、オトギリソウ科、アオイ科、キク科、ムラサキ科、フウロソウ科、セリ科、ウコギ科、リンドウ科、ショウガ科、ダービリア科及びアオサ科から選ばれるものが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0011】
具体的には、シラカバ、サンショウ、タイム、セージ、ラベンダー、ローズマリー、コレウス、ボタンピ、シャクヤク、アロエ、ボダイジュ、セイヨウボダイジュ、オトギリソウ、ウスベニアオイ、タチアオイ、カミツレ、マリーゴールド、コンフリー、ゼラニウム、セイヨウノコギリソウ、ベニバナ、ニンジン、トウキ、オタネニンジン、ゲンチアナ、センブリ、ショウキョウ、アオサ及びダービリアの抽出物から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。この中でも、シラカバ、サンショウ、ローズマリー、コレウス、アロエ、ボダイジュ、オトギリソウ、コンフリー、ニンジン、トウキ、オタネニンジン、ダービリアが好ましく、シラカバ、サンショウ、ローズマリー、ボダイジュ、オトギリソウ、ダービリアがより好ましい。
【0012】
本発明において植物の溶媒抽出物を得る方法に特に制限はなく、通常の抽出溶媒を用いた抽出法が採用される。例えば、植物を粉砕し、水等の親水性有機溶剤、含水親水性有機溶剤、その他有機溶剤等を使用して抽出することができる。このような有機溶剤として具体的には、含水エタノール、含水メタノール、ヘキサン、クロロホルム、シクロヘキサン、ベンゼン、プロピレングリコール、ジクロロメタン、エタノール、アセトン、酢酸エチル等が挙げられ、これらのうち1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0013】
本発明において、上記植物の溶媒抽出物は、その抽出溶媒が水、エタノール、水/エタノール等の非毒性のものである場合は抽出物をそのまま用いてよく、希釈液として用いてもよい。また、上記抽出物を濃縮エキスとしてもよく、凍結乾燥等により乾燥粉末物にしたり、ぺースト状に調製してもよい。
【0014】
(A)植物抽出物の配合量は、フケ・痒み防止組成物全量に対して0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。配合量が少なすぎると配合効果が得られない場合があり、多すぎてもそれ以上の効果は期待できず不経済となる場合がある。
【0015】
本発明の(B)抗菌剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等のカチオン界面活性剤、アクリノール、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等のクロルヘキシジン及びその塩類、ヘキサクロロフェン、ウンデシレン酸、トリクロロカルバニリド、フェノール、レゾルシン、ピリチオン亜鉛、サリチル酸又はその塩、サリチル酸誘導体、ピロクトンオラミン等のヒドロキシピリドン誘導体、ビチオノール、ヒノキチオール、硝酸ミコナゾール、硝酸エコナゾール、クロトリマゾール、ピロルニトリン等が挙げられる。
【0016】
この中でも、ヒドロキシピリドン誘導体が好ましく、例えば下記式(I)で表される1−ヒドロキシ−2−ピリドン系化合物が挙げられる。
【0017】
【化1】

【0018】
上記式中、R1は、1〜17個の炭素原子を有するアルキル基、2〜17個の炭素原子を有するアルケニル基、5〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基、7〜9個の炭素原子を有するビシクロアルキル基、シクロアルキル基が5〜8個の炭素原子を有し、且つアルキル基が1〜4個の炭素原子を有するシクロアルキル−アルキル基(但し、シクロアルキル基は、その水素原子の一部が1〜4個の炭素原子を有するアルキル基によって置換されていてもよい)、6〜14個の炭素原子を有するアリール基、アリール基が6〜14個の炭素原子を有し、且つアルキル基が1〜4個の炭素原子を有するアラルキル基、アリール基が6〜14個の炭素原子を有し、且つアルケニル基が2〜4個の炭素原子を有するアリールアルケニル基、アリール基が6〜14個の炭素原子を有し、且つアルキル基がそれぞれ1〜4個の炭素原子を有するアリールオキシアルキル基もしくはアリールメルカプトアルキル基、ベンズヒドリル基、アルキル基が1〜4個の炭素原子を有するフェニルスルフォニルアルキル基、フリル基又はアルケニル基が2〜4個の炭素原子を有するフリルアルケニル基を表す。但し、上述のアリール基は、その水素原子の一部が1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。R2は、水素原子、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、2〜4個の炭素原子を有するアルケニル基、2〜4個の炭素原子を有するアルキニル基、ハロゲン原子、フェニル基又はベンジル基を表す。Xは、有機塩基、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は2〜4価の陽イオンを表す。
【0019】
上記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、例えば下記化合物及びその塩等を挙げることができる。
1−ヒドロキシ−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−6−メチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4,6−ジメチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−ヘプチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(1−エチルペンチル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−ウンデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−プロペニル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−オクテニル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,2−ジブチル−ビニル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(シクロヘキセニリデン−メチル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−シクロヘキシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(メチル−シクロヘキシル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプチル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−〔2−(ジメチルシクロヘキシル)−プロピル〕−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(4−メチル−フェニル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4―メチル−6−(3−メチル−フェニル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(4−第3ブチル−フェニル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(3−メチル−4−クロル−フェニル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(3,5−ジクロル−フェニル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(3−ブロム−4−クロル−フェニル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(4−メトキシスチリル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−〔1−(4−ニトロフェノキシ)−ブチル〕−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(4−シアノフェノキシメチル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(フェニルスルホニルメチル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−〔1−(4−クロルフェニルスルホニル)−ブチル〕−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−ベンジル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4−ジメチルベンジル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(第3ブチル−ベンジル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2−クロル−ベンジル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(4−クロルベンジル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,5−ジクロル−ベンジル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(4−ブロム−ベンジル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(フェノキシメチル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(3−メチルフェノキシ−メチル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(4−第2ブチルフェノキシ−メチル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,5−トリクロルフェノキシ−メチル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(4−ブロムフェノキシ−メチル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(4−クロルフェニルメルカプト−メチル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(4−メチルフェニルメルカプト−メチル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2−ナフチル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−ベンズヒドリル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−フリル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(フリルビニル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−スチリル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(フェニルブタジエニル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−フェニル−6−メチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4,6−ジフェニル−2−ピリドン等を挙げることができる。
【0020】
上記化合物は、塩として用いることもでき、例えば有機アミンとの塩として好適に使用することができる。具体的には、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチル−n−プロパノール、ジメチルアミノプロパノール、2−アミノ−2−メチル−プロパンジオール、トリ−イソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、モルホリン、ピペリジン、シクロヘキシルアミン、トリブチルアミン、ドデシルアミン、N,N−ジメチル−ドデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、N−エチルベンジルアミン、ジメチルステアリルアミン、N−メチル−モルホリン、N−メチルピペラジン、4−メチルシクロヘキシルアミン、N−ヒドロキシエチル−モルホリン等が挙げられる。
【0021】
また、上記化合物は無機イオンとの塩であってもよく、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩及びマグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等を用いることができる。さらに、亜鉛塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩等の2〜4価の陽イオンとの塩も用いることができる。
【0022】
上記式(I)の1−ヒドロキシ−2−ピリドン系化合物としては、特に下記式で示されるピロクトンオラミンが好ましく使用される。
【0023】
【化2】

【0024】
(B)抗菌剤の配合量は、フケ・痒み防止組成物全量に対して0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。
【0025】
本発明の(C)抗炎症剤としては、例えば、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸グリセリン、グリチルレチン酸ピリドキシン等のグリチルレチン酸系化合物、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム塩、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸メチル等のグリチルリチン酸系化合物、ヒノキチオール、アラントイン、アルミニウム・クロロヒドロキシアラントイネート、イクタモール、グアイアズレン、l−メントール、アルニカ、カミツレ、オウバク、セイノヨウトチノミ、イヌザンショウ、シコン、トウキ等の生薬エキス、ケトプロフェン、インドメタシン、ブフェキサマック、イブプロフェン、ピロキシカム、アルクロフェナク、スプロフェン、ケトチフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ロキソプロフェン、チアプロフェン酸、カルプロフェン、ベノキサプロフェン、フェンブフェン、ジクロフェナック、フェノプロフェン、イブフェナック、ジフェンヒドラミン、ピメプロフェン、ベンダザック、テノキシカム、アセメタシン、メチアジン酸、プロチジン酸、スリンダク、プラノプロフェン、フェンチアザク、ジフルニサル、チアプロフェン酸、オキサプロジン、ジクロフェナックナトリウム、オキシフェンブタゾン、ピロキシカム、フェルビナク、ブフェキサマク、トルフェナム酸、フルフェナム酸、フェナセチンフェニルブタゾン、トルメチンナトリウム、メフェナム酸、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、サリチル酸ナトリウム等の非ステロイド系抗炎症剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン等のステロイド系抗炎症剤等が挙げられる。
【0026】
この中でも、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルリチン酸誘導体及びその塩、グリチルレチン酸及びその塩、グリチルレチン酸誘導体及びその塩、ヒノキチオール、アラントイン、l−メントール並びにグアイアズレンが好ましい。特に、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム塩、グリチルリチン酸モノアンモニウム、ヒノキチオール、アラントイン、l−メントールが好適に使用される。
【0027】
(C)抗炎症剤の配合量は、フケ・痒み防止組成物全量に対して0.005〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜20質量%であり、さらに好ましくは0.05〜10質量%であり、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
【0028】
本発明の(D)多価アルコールとしては、グリセリン、セスキグリセリン、ポリグリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ヘキサントリオールや、ソルビトール、グルコース、マルトース、マンニトール、エリスリトール、キシリトール等の糖アルコール等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0029】
これらの中で、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール、ポリグリセリン、ポリエチレングリコールが好ましく、特に、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコールが好ましい。
【0030】
(D)多価アルコールの配合量は、フケ・痒み防止組成物全量に対して0.1〜60質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜50質量%であり、さらに好ましくは0.5〜40質量%であり、特に好ましくは1〜30質量%である。
【0031】
本発明のフケ・痒み防止組成物は、頭皮の乾燥を防ぐ点から、炭素数3以下の低級アルコールの含有量を10質量%以下、特に5質量%以下にすることが好ましい。さらに、水性組成物であることが好ましい。なお、水性組成物とは、水を溶媒又は分散媒として用い、溶液、乳化物、ゲル、ペーストに調製したものをいう。
【0032】
本発明のフケ・痒み防止組成物には、さらにその組成物の形態等に応じて、適宜成分を配合することができる。成分としては、粘稠剤、非イオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤等の界面活性剤、他の薬物、pH調整剤、香料等が挙げられる。
【0033】
粘稠剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロース、クロスカルメロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、部分α化澱粉等の加工澱粉、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、クロスポピドン、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、グアーガム、ローカストビーンガム、プルラン、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0034】
粘稠剤の配合量は組成物の設定粘度により適宜選択されるが、フケ・痒み防止組成物全量に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましい。配合量が0.01質量%未満であると、粘度が低く塗布時に液ダレする場合がある一方、5質量%を超えると、固くなり過ぎ塗布し難い場合がある。
【0035】
非イオン性界面活性剤としては、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステルであって、それぞれ脂肪酸残基の炭素数が12〜18、平均エステル化度が1.1〜2.5、好ましくは1.2〜1.9のものが使用できる。この糖又は糖アルコールの脂肪酸エステルとしては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、マルトトリイトール脂肪酸エステル、マルトテトライトール脂肪酸エステル、マルトペンタイトール脂肪酸エステル、マルトヘキサイトール脂肪酸エステル、マルトヘプタイトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステル等が挙げられる。また、非イオン界面活性剤としては、この他に、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、脂肪酸エタノールアミド等が挙げられる。
【0036】
アニオン界面活性剤としては、N−パルミトイルメチルタウリンナトリウム、N−ラウロイル−β−アラニンナトリウム、N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニントリエタノールアミン、ラウロイルサルコシンナトリウム、N−長鎖アシル塩基性アミノ酸ナトリウム等が用いられる。
【0037】
両性界面活性剤としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシルエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン等のベタイン型界面活性剤、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンが挙げられる。
【0038】
カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩、グアニジノ基を有する化合物等が挙げられる。
【0039】
界面活性剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。界面活性剤の配合量は、フケ・痒み防止組成物全量に対して、通常0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜3質量%である。
【0040】
抗炎症剤以外の薬物として、鎮痒剤、抗ヒスタミン剤、血行促進剤、ビタミン類、ムコ多糖類、アミノ酸類等の薬物を適宜用いることができる。
【0041】
鎮痒剤としては、クロタミトン等が挙げられる。抗ヒスタミン剤としては、ジフェンヒドラミン及びその塩、クロルフェニラミン及びその塩等が挙げられる。血行促進剤としては、ノニル酸ワニリルアミド、カプサイシン、トウガラシ、酢酸トフェロール等が挙げられる。角質軟化剤としては、尿素、グリセリン等が挙げられる。ビタミン類としては、アスコルビン酸、塩酸ピリドキシン等の水溶性ビタミン類、パルミチン酸、レチノール、ビタミンA油等の油溶性ビタミン類等が挙げられる。ムコ多糖類としては、ヘパリン類似物質やコンドロイチン硫酸ナトリム等が挙げられる。酸性アミノ酸としては、グリシン、アラニン等の中性アミノ酸、トリプトファン、フェニルアラニン等の芳香性アミノ酸、ヒスチジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。これらの薬物成分は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、各薬物の適切な配合量を用いることができる。
【0042】
本発明のフケ・痒み防止組成物は、pH3〜8、より好ましくはpH4〜7に調整するとよい。pH3〜8に調整するには、pH調整剤を用いるのが好ましい。pH調整剤としては、例えば、塩酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸、乳酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノルールアミン等の各種アミン類、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリム等のリン酸塩、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等の有機塩類等が挙げられる。pH調整剤の配合量は、設定pHにより適宜選択することができる。
【0043】
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、ユーカリ油、ジャスミン油、ラベンダー油、レモン油、オレンジ油、ライム油、マンダリン油、ローズ油等の植物性香料、モノテルペン類、ジテルペン類、セスキテルペン類等の合成香料等が挙げられる。具体的には、ボルネオール、ゲラニオール、リナロール、シトロネロール、ネロール、リモネン、ピネン、カンフェン、シトラール、シトロネラール、シネオール、クルクメン、ヒノキ酸、フィトール等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。香料の配合量は、フケ・痒み防止組成物全量に対して0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。配合量が、0.001質量%未満であると清涼感が弱い場合がある一方、10質量%を超えると刺激が発現する場合がある。
【0044】
本発明のフケ・痒み防止組成物の調製方法は、上記成分を水等の適当な溶媒又は分散媒を用いて、溶液、乳化物、ゲル、ペーストに調製する方法が挙げられる。
【0045】
また、フケ・痒み防止組成物を調製する装置としては、剪断力と全体混合できる複数の撹拌羽根、例えば、プロペラ、タービン、ディスパー等を備えた撹拌装置が挙げられる。具体的には、アジホモミキサー、逆流ミキサー、ハイブロッドミキサー等が挙げられる。
【0046】
本発明のフケ・痒み防止組成物の具体的な製剤としては、シャンプーやリンス、トリートメント剤、ヘアパック剤等の洗い流す製剤、ヘアトニック、ローション、ムース、乳液、軟膏、クリーム等の塗布剤が挙げられる。フケ・痒み防止組成物としては、洗い流す製剤とすることが好ましく、この中でもシャンプー、リンスが好ましい。
【0047】
剤型は、特に限定されるものではなく、液体、ジェル、ペースト、スプレー、フォーム、固体状(粉末を含む)等にすることができる。これらの剤型に合わせて、各々適する容器、例えばポンプ容器、チューブ、フォーマー容器、スプレー容器、エアゾール容器等に収容される。
【0048】
フォーマー容器を使用する場合は、泡形成性の点から、フケ・痒み防止組成物の5℃における粘度を、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくはしくは、50mPa・s以下に調整するとよい。フォーマー容器は、ポンプ式でも、スクイーズ式でも特に限定されないが、泡形成性の点から、内容物を通過させて泡を形成させる100メッシュ以上、好ましくは200メッシュ以上の多孔体を2枚以上設置することが好ましい。
【実施例】
【0049】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%を示す。
[実施例1〜12、比較例1〜4]
表1,2に示す組成のフケ・痒み防止用のシャンプーを下記方法で調製した。適量の水に界面活性剤、抗炎症剤及び安息香酸ナトリウムを加えて撹拌溶解した。別に塩化−O−[2−ヒロドキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースの水溶液、多価アルコール、抗菌剤及び植物抽出物を溶解したものを加え、撹拌溶解し、pH調整剤(クエン酸)を添加して約5.8に調整した。これをポリエステル製ボトルに充填しシャンプーを得た。得られたフケ・痒み防止用のシャンプーについて、下記の手順でフケ・痒みの防止・改善を評価し、頭皮の水分量を測定した。結果を表1,2に併記する。
【0050】
1.フケ・痒みの防止・改善評価
<方法>頭皮が乾燥してフケ・痒みを感じる女性20名をパネラーとした。サンプルを通常方法(1回/日,7日間)で使用したときの試験開始前後のフケ・痒みについて官能評価し、下記評価基準に基づいて評価した。
<評価基準>
◎:20名中15名以上に改善を認めた
○:20名中10〜14名に改善を認めた
△:20名中5〜9名に改善を認めた
×:20名中0〜4名に改善を認めた
2.頭皮の水分
フケ・痒み防止評価と同様にサンプルを使用したときの試験開始前後の頭皮の水分を、SKICON−200(IBS社)を用いて測定し平均値を算出した。なお、測定装置は、皮膚中の水分に応じ電気伝導度を測定するものである。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
[実施例13]
下記組成のリンスを常法に基づいて調製した。
組成 質量(%)
ピロクトンオラミン 0.3
ピリチオン亜鉛 0.7
l−メント−ル 0.3
プロピレングリコール 5.0
ダービリアエキス 0.5
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 1.0
ステアリルアルコール 2.5
ジメチルシリコン10万cst 2.0
ジメチルシリコーン30cst 1.0
パルミチン酸セチル 0.5
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.3
ヒドロキシエチルセルロース 0.2
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(25E.O.) 0.1
ヤシ油脂肪酸ソルビタン 0.3
モノステアリン酸ソルビタン 0.3
リン酸 適量(pH4.0)
香料 0.3
精製水 残部
合計 100.0
【0054】
[実施例14]
下記組成のトリートメントを常法に基づいて調製した。
組成 質量(%)
ピロクトンオラミン 0.3
グリチルレチン酸 0.2
ボダイジュエキス 0.1
ポリグリセリン(平均重合度6) 0.2
4−グアニジノブチルラウロアミド酢酸塩 0.8
N−アルキルオキシヒドロキシプロピル−L−アルギニン塩酸塩 1.0
ジラウリン酸ペンタグリセリル 0.5
ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド 0.3
ジメチルシリコーン100万cst/25℃ 1.0
ジメチルシリコーン10万cst/25℃ 1.0
ジメチルシリコーン50cst/25℃ 0.3
グリシン 0.7
セタノール 0.5
ベヘニルアルコール 1.8
オレイルアルコール 0.3
オレイン酸 0.2
イソステアリン酸 0.2
トリメチルグリシン 0.2
アルギニン 0.3
システイン 0.3
モノステアリン酸グリセリル 0.1
モノラウリン酸ソルビタン 0.1
グリコール酸 0.2
リン酸 適量
パラオキシ安息香酸メチル 適量
パラオキシ安息香酸プロピル 適量
香料 適量
精製水 残部
合計 100.0
【0055】
[実施例15]
下記組成のクレンジング剤を常法に基づいて調製した。
組成 質量(%)
ピロクトンオラミン 0.5
ヒノキチオール 0.1
アロエエキス 0.2
プロピレングリコール 2.0
ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 10.0
α−オレフィンスルホン酸ナトリウム 5.0
脂肪酸ジエタノールアミド 5.0
アルキルアミドプロピルベタイン 5.0
ジメチルシロキサン 3.0
カチオン化セルロース 0.5
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
ジンクピリチオン 0.05
マンネンロウ抽出物 0.3
香料 適量
精製水 残部
合計 100.0
【0056】
実施例13〜15で得られたリンス等について、実施例と同様にフケ・痒み防止・改善を評価し、頭皮の水分量を測定した。結果を表3に示す。実施例13〜15についても優れたフケ・痒み防止効果が認められた。
【0057】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)植物抽出物、(B)抗菌剤、(C)抗炎症剤及び(D)多価アルコールを含有することを特徴とするフケ・痒み防止組成物。
【請求項2】
炭素数3以下の低級アルコールの含有量が10質量%以下である請求項1に記載のフケ・痒み防止組成物。
【請求項3】
シャンプー又はリンスである請求項1又は2に記載のフケ・痒み防止組成物。

【公開番号】特開2006−45127(P2006−45127A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228910(P2004−228910)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】