説明

フッ化含浸触媒系およびこれを生じさせる方法

本明細書では、担持触媒系を生じさせる方法、担持触媒系および前記担持触媒系を用いた重合方法を記述する。本方法は一般に無機担体材料を準備しそして前記無機担体材料を担体用溶媒と接触させることで担体溶液を生じさせることを包含する。本方法は更に前記担体溶液を式AlF3−p[式中、XはCl、BrおよびOHより選択され、BはHOであり、pは1から3より選択されそしてqは0から6より選択される]で表されるフッ素含有化合物と接触させて前記フッ素含有化合物を前記無機担体材料の中に含浸させることで中間体を生じさせることも包含する。加うるに、本方法は、前記中間体を乾燥させることでそれから溶媒を除去しそして前記中間体を少なくとも約300℃の温度に加熱することで含浸担体を生じさせ、そして前記含浸担体を式[L]M[A][式中、Lはかさ高い配位子であり、Aは脱離基であり、Mは遷移金属であり、そしてmおよびnは、配位子の総結合価が前記遷移金属の原子価に相当するような数である]で表される遷移金属化合物と接触させることで担持触媒系を生じさせることも包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は一般に担持触媒組成物およびこれを生じさせる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン重合体を生じさせるいろいろな方法は、オレフィン単量体を遷移金属触媒系、例えばメタロセン触媒系などと接触させることでポリオレフィンを生じさせることを包含する。そのような遷移金属触媒系は好ましい特性を有する重合体をもたらし得ることが幅広く認識されてはいるが、その遷移金属触媒は一般に商業的に実行可能な活性を示さない。
【0003】
従って、向上した活性を示す遷移金属触媒系を生じさせる必要性が存在する。
【0004】
要約
本発明の態様は一般に担持触媒系を生じさせる方法を包含する。本方法は一般に無機担体材料を準備しそして前記無機担体材料を担体用溶媒と接触させることで担体溶液を生じさせることを包含する。本方法は更に前記担体溶液を式AlF3−p[式中、XはCl、BrおよびOHより選択され、BはHOであり、pは1から3より選択されそしてqは0から6より選択される]で表されるフッ素含有化合物と接触させて前記フッ素含有化合物を前記無機担体材料の中に含浸させることで中間体を生じさせることも包含する。加うるに、本方法は、前記中間体を乾燥させることでそれから溶媒を除去しそして前記中間体を少なくとも約300℃の温度に加熱することで含浸担体を生じさせ、そして前記含浸担体を式[L]M[A][式中、Lはかさ高い配位子であり、Aは脱離基であり、Mは遷移金属であり、そしてmおよびnは、配位子の総結合価が前記遷移金属の原子価に相当するような数である]で表される遷移金属化合物と接触させることで担持触媒系を生じさせることも包含する。
【0005】
1つ以上の態様におけるフッ素含有化合物は式AlFまたはAlF3HOで表される。
【0006】
1つ以上の態様において、前記担体溶液と前記フッ素含有化合物の接触によって化学結合が生じる結果としてSi−O−Al−FおよびSi−O−Al−O−Al−Fより選択される結合配列を示す中間体が生じる。
【0007】
1つ以上の態様にオレフィン重合方法を含める。このオレフィン重合方法は、本担持触媒系をオレフィン単量体と接触させることでポリオレフィンを生じさせることを包含し、ここで、そのようなポリオレフィンには、エチレン、C以上のアルファオレフィン、C以上の共役ジエン、エチレン−アルファオレフィンの共重合体またはこれらの組み合わせより選択される重合体が含まれる。
【0008】
詳細な説明
序論および定義
ここに詳細な説明を行う。添付請求項の各々で個別の発明を定義するが、それは、侵害の目的で、本請求項に明記するいろいろな要素または制限の相当物を包含すると理解する。以下に“発明”を言及する場合、その文脈に応じて、ある場合には、それら全部が特定の具体的態様のみを言及するものであり得る。他の場合として、“発明”の言及は、必ずしも全部ではないが本請求項の中の1つ以上に示した主題事項を指すものであると理解する。ここに、本発明の各々を以下により詳細(具体的態様、変形および実施例を包含する
)に記述するが、本発明をそのような態様にも変形にも実施例にも限定するものでなく、それらを、本特許に示す情報を入手可能な情報および技術と組み合わせた時に通常の当業者が本発明を製造および使用することができるように含める。
【0009】
本明細書で用いる如きいろいろな用語を以下に示す。ある請求項で用いる用語を以下に定義しない場合、その度合で、関連する技術分野の技術者がその用語に印刷された出版物および出願時に発行されている特許に示されている如く与えた最も幅広い定義をそれに与えるべきである。更に、特に明記しない限り、本明細書に記述する化合物は全部が置換されているか或は置換されていなくてもよく、化合物のリストにそれらの誘導体を包含させる。
【0010】
更に、いろいろな範囲を以下に示す。特に明記しない限り、エンドポイントは代替可能であることを意図すると理解されるべきである。その上、その範囲内に入る如何なる点も本明細書に開示するものであることを意図する。
【0011】
本発明の態様は一般に担持触媒系を生じさせる方法を包含する。
【0012】
触媒系
本担持触媒系は一般に担体材料および遷移金属化合物を含有し、これらを以下により詳細に記述する。一般的には、当該担体材料をフッ素含有化合物と接触させることで前記フッ素含有化合物が染み込んでいる担体を生じさせた後にその含浸担体を遷移金属化合物と接触させて担持触媒系を生じさせることで、本担持触媒系を生じさせる。
【0013】
本明細書で用いる如き“担体材料”は、以下に更に詳細に考察する“フッ素含有化合物”と接触する前の担体材料を指し、それには、1つの態様において、無機担体組成物が含まれる。そのような無機担体組成物には、一般に、当業者に公知の材料、例えばタルク、無機酸化物、粘土および粘土材料、イオン交換を受けた層化合物、ケイソウ土化合物、ゼオライトまたは樹脂状担体材料、例えばポリオレフィンなどが含まれる。具体的な無機酸化物には、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニアおよびこれらの組み合わせなどが含まれる。
【0014】
1つ以上の態様における担体材料にはシリカが含まれる。別の態様における担体材料にはアルミナ−シリカ(これを本明細書では用語シリカ−アルミナと互換的に用いることもあり得る)が含まれる。
【0015】
1つ以上の態様における担体材料は、反応性ヒドロキシル基を有効な数、例えばフッ素含有化合物が担体材料と結合するに充分な数で持ち得る。例えば、当該フッ素含有化合物が担体材料と結合するに必要な数を超える反応性ヒドロキシル基(OH)の数を最小限にしてもよい。1つの態様における担体材料は、例えばOHを1gのSi当たり約0.1ミリモルからOHを1gのSi当たり約5ミリモルまたはOHを1gのSi当たり約0.5ミリモルからOHを1gのSi当たり約4ミリモルまたはOHを1gのSi当たり約1.0ミリモルからOHを1gのSi当たり約3ミリモル含有し得る。
【0016】
本発明の態様は、当該担体材料をフッ素含有化合物と接触させてフッ素含有化合物を前記担体材料の中に含浸させることで中間体を生じさせることを包含する。高い活性(例えば約10,000g/g/時以上)を示す遷移金属触媒を生じさせようとして最近行われた試みには、フッ素塩およびフッ化アンモニウムなどを用いて担体材料にフッ素化を受けさせることが含まれていた。しかしながら、そのような方法を商業的生産に近づけようとすると環境上の懸念が生じた(例えば、そのような方法では結果としてアンモニアが環境に放出される可能性がある)。本発明の態様では、フッ化担体を有害な副生成物の生成無
しに生じさせることを提供する。用語“商業的生産”は、重合体の生産が少なくとも5日間に渡って少なくとも1トン/時であることを指す。例えば、商業的生産には、重合体の生産が約5日間から約2年間の期間に渡って約1トン/時から約5トン/時または約1トン/時から約50トン/時が含まれ得る。
【0017】
本発明のフッ素含有化合物には、アルミニウムおよびフッ素を含有する化合物が含まれる。例えば、1つの態様におけるフッ素含有化合物は一般に式AlF3−p[式中、XはCl、BrおよびOHより選択され、BはH2Oであり、pは1から3より選択されそしてqは0から6より選択される]で表される。1つの態様におけるフッ素含有化合物は三フッ化アルミニウムである。別の態様におけるフッ素含有化合物はAlF3HOである。
【0018】
当該担体材料をフッ素含有化合物と接触させる前に、それを当業者に公知の方法、例えば担体材料種、例えば無機シリカ源またはケイ素有機金属化合物を溶媒(本明細書では以降“担体用溶媒”と呼ぶ)、例えば水、アルコールまたは酸などと化学反応させて担体溶液を生じさせることなどで溶液にしておく。1つ以上の態様では、そのような担体溶液のpHを中性にする。
【0019】
当該フッ素含有化合物を前記担体溶液に添加した後、凝縮を実施して三次元の担体網状組織を生じさせる(これをいくつかの態様では“フッ化工程”と呼ぶこともあり得る)。そのフッ素含有化合物を前記担体溶液に添加すると結果として前記担体用溶媒とフッ素含有化合物が前記担体網状組織の孔の中に残存することでゲルが生じる(即ち、前記フッ素含有化合物が前記担体材料の表面に存在するのではなく前記担体網状組織の中に染み込む)。前記フッ素含有化合物を沈澱した担体ゲルにではなく担体溶液に加えることを注目すべきである。
【0020】
1つの特定態様では、当該フッ素含有化合物をシリカ溶液(例えば、無機シリカ源から生じさせた溶液)に加える。別の態様では、シリカ溶液とアルミナ溶液を個別に調製した後、互いに接触させることでアルミナ−シリカ担体溶液を生じさせる。次に、当該フッ素含有化合物を前記アルミナ−シリカ担体溶液に加える。代替態様では、当該フッ素含有化合物をアルミナ溶液に加えた後、シリカ溶液と接触させる。
【0021】
そのようなフッ化工程に、前記担体溶液と当該フッ素含有化合物の接触を例えば室温から約250℃または約150℃から約200℃の温度または約300℃未満の温度で約1時間から約10時間または約1時間から約5時間または約30分から約4時間起こさせることで含浸担体を生じさせることを含めてもよい。本明細書で用いる如き“室温”は、数度の温度差が調査下の現象、例えば調製方法などにとって重要ではないことを意味する。例えば、ある環境における室温には約20℃から約28℃(68°Fから82°F)の温度が含まれ得る一方、他の環境における室温には約50°Fから約90°Fなどの温度が含まれ得る。しかしながら、室温の測定には一般に当該工程の温度を密に監視することは含まれず、従って、そのような記述は本明細書に記述する態様を前以て決めておいた何らかの温度範囲に結び付けることを意図するものでない。
【0022】
前記担体溶液をフッ素含有化合物と接触させると化学結合が生じる結果としてFl−Al−O−SiまたはFl−Al−O−Al−O−Siで表される結合配列を示す中間体が生じる。本明細書で用いる如き用語“結合配列”は元素の配列を指し、ここで、各元素は例えばシグマ結合、供与結合、イオン結合またはこれらの組み合わせなどで互いに連結している。
【0023】
本発明の態様は、更に、前記中間体の乾燥を例えば約200℃未満または約300℃未
満または約20℃から約150℃の温度で少なくとも約1時間または約1時間から約24時間または約1.5時間から約5時間の時間実施することも包含する。前記中間体を加熱すると前記担体材料の孔の中に入っている担体用溶媒は出て行くが、前記フッ素含有化合物はその中に染み込んだままである。
【0024】
本発明の態様は、更に、前記乾燥させた中間体の加熱を例えば少なくとも約200℃または約300℃から約600℃または約400℃から約500℃の温度で少なくとも約1時間または約1時間から約10時間または約1.5時間から約5時間実施することで修飾された化学構造を持ち得る担体(本明細書では“含浸担体”と記述する)を生じさせることも包含する。例えば、前記中間体を加熱することで所望の粒径および組成を有する含浸担体を得る。
【0025】
1つ以上の態様における含浸担体が示す細孔容積は例えば約0.1cc/gから約5cc/gまたは約0.5cc/gから約3.5cc/gまたは約0.5cc/gから約2.0cc/gまたは約1.0cc/gから約1.5cc/gであり得る。
【0026】
1つ以上の態様における含浸担体が示すアルミナ含有量は例えば約0.5重量%から約95重量%または約0.1重量%から約20重量%または約0.1重量%から約50重量%または約1重量%から約25重量%または約7重量%から約15重量%または少なくとも約10重量%であり得る。
【0027】
1つ以上の態様における含浸担体が含有するフッ素含有化合物の量は例えば少なくとも約1重量%または少なくとも約2重量%または少なくとも約5重量%であり得る。
【0028】
1つ以上の態様における含浸担体が示す平均粒径は例えば約5ミクロンから100ミクロンまたは約15ミクロンから約30ミクロンまたは約10ミクロンから100ミクロンまたは約10ミクロンから約30ミクロンであり得る。更に、その含浸担体が示す表面積は例えば50m/gから1,000m/gまたは約80m/gから約800m/gまたは100m/gから400m/gまたは約200m/gから約300m/gまたは約150m/gから約300m/gであり得る。
【0029】
1つ以上の態様における含浸担体が示す粒径はナノ粒子の範囲内である。本明細書で用いる如き用語“ナノ粒子”は、大きさが約100nm未満の粒子を指す。
【0030】
本発明の態様は、一般に、そのような含浸担体を遷移金属化合物と接触させることで担持触媒組成物を生じさせることを包含する。そのような方法は一般に当業者に公知であり、当該遷移金属化合物を不活性な溶媒に仕込むことを包含し得る。この方法を当該遷移金属化合物を不活性溶媒の中に仕込むことに関して以下に考察するが、当該遷移化合物と一緒にしておいた含浸担体を不活性溶媒と一緒にして混合するか或は当該遷移金属化合物と接触させる前の含浸担体を不活性溶媒と一緒にして混合することで担体スラリーを生じさせてもよい。遷移金属触媒担持方法は当該技術分野で一般に公知である[米国特許第5,643,847号、米国特許第6,184,358号および米国特許第6,184,389号(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)を参照]。
【0031】
いろいろな溶媒を不活性溶媒として用いることができるが、その選択する如何なる不活性溶媒も関連した反応温度の全部で液状形態のままであるべきであり、かつ担持触媒組成物を生じさせる目的で用いる材料はその不活性溶媒に少なくともある程度溶解すべきである。
【0032】
適切な不活性溶媒には、置換および非置換脂肪族炭化水素、置換および非置換芳香族炭
化水素および鉱油が含まれる。そのような不活性溶媒には、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1−クロロブタンまたはこれらの組み合わせが含まれ得る。1つの具体的態様では、そのような不活性溶媒にイソヘキサンを含める。別の態様では、その不活性溶媒にトルエンをある量で含有する鉱油を含める。
【0033】
当該遷移金属化合物と含浸担体の接触を約−60℃から約120℃または約−45℃から約100℃の反応温度または約90℃未満の反応温度、例えば約0℃から約50℃または約20℃から約30℃などまたは室温で例えば約10分から約5時間または約30分から約120分などの時間起こさせてもよい。
【0034】
加うるに、フッ素と遷移金属の重量比(F:M)を所望置換度に応じて約1:1の当量から約20:1の当量または約1:1から約15:1の当量まま約1:1から約5:1の当量などにしてもよい。1つの態様では、その担持触媒組成物の遷移金属化合物含有量が約0.1重量%から約5重量%または約0.5重量%から約4重量%または約1重量%から約3重量%になるようにする。
【0035】
前記反応が終了した後、その混合物から不活性溶媒に加え反応副生成物を通常様式、例えば蒸発または濾過などで除去することで無水の担持触媒組成物を得ることができる。例えば、その担持触媒組成物に乾燥を硫酸マグネシウムの存在下で受けさせてもよい。溶媒が炭化水素の場合には、その担持触媒組成物が高純度および高収率で入っている濾液をさらなる処理無しにオレフィンの重合で直接用いてもよい。そのような方法では、その含浸担体と遷移金属化合物の接触を後の重合前(例えば反応槽に入る前)に起こさせる。別法として、その方法に、当該含浸担体と遷移金属の接触をそれをオレフィン単量体と接触させる付近で起こさせることを含めることも可能である(例えば反応槽内で接触)。1つ以上の態様に、触媒調製(当該遷移金属化合物と含浸担体の接触)を触媒の単離無し(例えばインシトゥ)に実施することを含める。
【0036】
1つ以上の態様における遷移金属化合物には、メタロセン触媒、後期遷移金属触媒、ポストメタロセン(post metallocene)触媒またはこれらの組み合わせが含まれる。後期遷移金属触媒は一般に後期遷移金属、例えばニッケル、鉄またはパラジウムなどを含有する遷移金属触媒であるとして特徴づけ可能である。ポストメタロセン触媒は一般にIV、VまたはVI族の金属などを含有する遷移金属触媒であるとして特徴づけ可能である。メタロセン触媒系の簡単な考察を以下に含めるが、決して本発明の範囲をそのような触媒に限定することを意図するものでない。
【0037】
メタロセン触媒は、一般に、1種以上のシクロペンタジエニル(Cp)基(これは置換されているか或は置換されていなくてもよく、各置換基は同じまたは異なってもよい)が組み込まれていてそれが遷移金属に配位している配位化合物であるとして特徴付け可能である。
【0038】
Cp上の置換基は直鎖、分枝または環式ヒドロカルビル基などであり得る。環式ヒドロカルビル基を含有させることでCpを他の隣接環構造物、例えばインデニル、アズレニルおよびフルオレニル基などに変化させることも可能である。そのような隣接環構造物もまたヒドロカルビル基、例えばCからC20ヒドロカルビル基などで置換されているか或は置換されていなくてもよい。
【0039】
メタロセン触媒の特定の非限定例は、かさ高い配位子を有するメタロセン化合物であり、これは式:
[L]M[A]
[式中、Lはかさ高い配位子であり、Aは脱離基であり、Mは遷移金属であり、そしてmおよびnは、配位子の総結合価が遷移金属の原子価に相当するような数である]
で一般に表される。例えば、mは1から4であってもよく、そしてnは0から3であってもよい。
【0040】
本明細書および請求項の全体に渡って記述する如きメタロセン触媒化合物の金属原子“M”は、3から12族の原子およびランタニド族の原子からか、或は3から10族の原子からか、或はSc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、IrおよびNiから選択可能である。その金属原子“M”の酸化状態は0から+7の範囲であり得るか、或は+1、+2、+3、+4または+5などである。
【0041】
そのようなかさ高い配位子には一般にシクロペンタジエニル基(Cp)またはこれの誘導体が含まれる。そのCp配位子1種または2種以上が金属原子Mと一緒に少なくとも1種の化学結合を形成することで“メタロセン触媒”がもたらされる。そのCp配位子は、置換/引き抜き反応に対して脱離基ほどには敏感でない点で、当該触媒化合物と結合している脱離基とは異なる。
【0042】
Cp配位子は、13から16族の原子、例えば炭素、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、燐、ゲルマニウム、ホウ素、アルミニウムおよびこれらの組み合わせなどから選択される原子を含有する環1種または2種以上または環系1種または2種以上を含有していてもよく、炭素がその環員の少なくとも50%を構成している。環または環系の非限定例には、シクロペンタジエニル、シクロペンタフェナントレネイル、インデニル、ベンゾインデニル、フルオレニル、テトラヒドロインデニル、オクタヒドロフルオレニル、シクロオクタテトラエニル、シクロペンタシクロドデセン、3,4−ベンゾフルオレニル、9−フェニルフルオレニル、8−H−シクロペント[a]アセナフチレニル、7−H−ジベンゾフルオレニル、インデノ[1,2−9]アントレン、チオフェノインデニル、チオフェノフルオレニル、それらの水添バージョン(例えば4,5,6,7−テトラヒドロインデニルまたは“HInd”)、それらの置換バージョンおよびそれらの複素環式バージョンなどが含まれる。
【0043】
Cpの置換基には、水素基、アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、ヨードプロピル、ブロモヘキシル、ベンジル、フェニル、メチルフェニル、t−ブチルフェニル、クロロベンジル、ジメチルホスフィンおよびメチルフェニルホスフィン)、アルケニル(例えば、3−ブテニル、2−プロペニルおよび5−ヘキセニル)、アルキニル、シクロアルキル(例えば、シクロペンチルおよびシクロヘキシル)、アリール(例えば、トリメチルシリル、トリメチルゲルミル、メチルジエチルシリル、アシル、アロイル、トリス(トリフルオロメチル)シリル、メチルビス(ジフルオロメチル)シリルおよびブロモメチルジメチルゲルミル)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびフェノキシ)、アリールオキシ、アルキルチオール、ジアルキルアミン(例えば、ジメチルアミンおよびジフェニルアミン)、アルキルアミド、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルボモイル、アルキル−およびジアルキル−カルバモイル、アシルオキシ、アシルアミノ、アロイルアミノ、有機半金属基(例えば、ジメチルホウ素)、15族および16族の基(例えば、メチルスルフィドおよびエチルスルフィド)およびこれらの組み合わせなどが含まれ得る。1つの態様では、少なくとも2個の置換基、1つの態様では隣接して位置する2個の置換基が連結して環構造を形成している。
【0044】
各脱離基“A”を独立して選択し、それにはイオン性脱離基、例えばハロゲン(例えば、クロライドおよびフルオライド)、ハイドライド、CからC12アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、フェニル、シクロブチル、シクロヘキシル、ヘプチル、トリ
ル、トリフルオロメチル、メチルフェニル、ジメチルフェニルおよびトリメチルフェニル)、CからC12アルケニル(例えば、CからCフルオロアルケニル)、CからC12アリール(例えばCからC20アルキルアリール)、CからC12アルコキシ(例えば、フェノキシ、メチオキシ、エチオキシ、プロポキシおよびベンゾキシ)、CからC16アリールオキシ、CからC18アルキルアリールオキシおよびCからC12ヘテロ原子含有炭化水素およびそれらの置換誘導体などのいずれも含まれ得る。
【0045】
脱離基の他の非限定例には、アミン、ホスフィン、エーテル、カルボキシレート(例えば、CからCアルキルカルボキシレート、CからC12アリールカルボキシレートおよびCからC18アルキルアリールカルボキシレート)、ジエン、アルケン(例えばテトラメチレン、ペンタメチレン、メチリデン)、炭素原子数が1から20の炭化水素基(例えば、ペンタフルオロフェニル)およびこれらの組み合わせなどが含まれる。1つの態様では、2個以上の脱離基が縮合環もしくは環系の一部を形成している。
【0046】
特定の態様では、LとAが互いに橋渡しされていることで橋状メタロセン触媒を形成していてもよい。橋状メタロセン触媒は、例えば一般式:
XCpCpMA
[式中、Xは構造ブリッジであり、CpおよびCpは各々シクロペンタジエニル基またはこれの誘導体を表し、これらは各々同じまたは異なりかついずれも置換されているか或は置換されていなくてもよく、Mは遷移金属であり、そしてAはアルキル、ヒドロカルビルまたはハロゲン基であり、そしてnは0から4の範囲の整数であり、特定の態様では1または2のいずれかである]
で記述可能である。
【0047】
橋渡し基“X”の非限定例には、13から16族の原子を少なくとも1個、例えばこれらに限定するものでないが、炭素、酸素、窒素、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、ゲルマニウム、錫およびこれらの組み合わせの中の少なくとも1つを含有する二価の炭化水素基が含まれ、かつそのようなヘテロ原子は、また、結合価が中性であることを満足させるように置換されているCからC12アルキルもしくはアリール基であってもよい。そのような橋渡し基はまた上で定義した如き置換基(ハロゲン基を包含)および鉄も含有していてもよい。橋渡し基のより特別な非限定例の代表は、CからCアルキレン、置換CからCアルキレン、酸素、硫黄、RC=、RSi=、−−Si(R)Si(R)−−、RGe=またはRP=[ここで、“=”は2個の化学結合を表し、Rは独立してハイドライド、ヒドロカルビル、ハロカルビル、ヒドロカルビル置換有機半金属、ハロカルビル置換有機半金属、二置換ホウ素原子、二置換15族原子、置換16族原子およびハロゲン基などから選択される]である。1つの態様における橋状メタロセン触媒成分は橋渡し基を2個以上含有する。
【0048】
橋渡し基の他の非限定例には、メチレン、エチレン、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン、ジフェニルメチレン、1,2−ジメチルエチレン、1,2−ジフェニルエチレン、1,1,2,2−テトラメチルエチレン、ジメチルシリル、ジエチルシリル、メチル−エチルシリル、トリフルオロメチルブチルシリル、ビス(トリフルオロメチル)シリル、ジ(n−ブチル)シリル、ジ(n−プロピル)シリル、ジ(i−プロピル)シリル、ジ(n−ヘキシル)シリル、ジシクロヘキシルシリル、ジフェニルシリル、シクロヘキシルフェニルシリル、t−ブチルシクロヘキシルシリル、ジ(t−ブチルフェニル)シリル、ジ(p−トリル)シリル、およびSi原子がGeもしくはC原子に置き換わっている相当する部分、ジメチルシリル、ジエチルシリル、ジメチルゲルミルおよび/またはジエチルゲルミルが含まれる。
【0049】
別の態様における橋渡し基はまた環式であってもよく、4から10個の環員または5か
ら7個の環員などを含有していてもよい。そのような環員は上述した元素および/またはホウ素、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、窒素および酸素などの中の1つ以上から選択可能である。橋渡し部分としてか或はそれの一部として存在させてもよい環構造の非限定例は、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、シクロオクチリデンなどである。そのような環式橋渡し基は飽和もしくは不飽和であってもよくそして/または置換基を1個以上持っていてもよくそして/または他の1個以上の環構造と縮合していてもよい。前記環式橋渡し部分が場合により縮合していてもよい1種以上のCp基は飽和もしくは不飽和であってもよい。その上、そのような環構造自身も縮合していてもよく、例えばナフチル基の場合のように縮合していてもよい。
【0050】
1つの態様において、そのようなメタロセン触媒にはCpFlu型触媒(例えば、配位子がCpフルオレニル配位子構造を包含するメタロセン触媒)が含まれ、それらは下記の式:
X(CpR)(FlR
[式中、Cpはシクロペンタジエニル基またはこれの誘導体であり、Flはフルオレニル基であり、XはCpとFlの間に位置する構造ブリッジであり、RはCp上の任意の置換基であり、nは1または2であり、Rは、炭素と結合しているCp上に位置する任意の置換基であり、それはそのイプソ位の炭素に直接隣接して位置し、mは1または2であり、そして各Rは任意であり、同じまたは異なってもよくかつCからC20ヒドロカルビルから選択可能である]
で表される。1つの態様では、少なくとも1個のRがフルオレニル基上の2または7位のいずれかに置換基として存在しそして他の少なくとも1個のRがフルオレニル基上の相対する2または7位に置換基として存在し、そしてpは2または4である。
【0051】
更に別の面において、そのようなメタロセン触媒には橋状の一配位子メタロセン化合物(例えばモノシクロペンタジエニル触媒成分)が含まれる。このような態様におけるメタロセン触媒は橋状の“半サンドイッチ型”メタロセン触媒である。本発明の更に別の面において、そのような少なくとも1種のメタロセン触媒成分は橋状ではない“半サンドイッチ型”メタロセンである(米国特許第6,069,213、米国特許第5,026,798、米国特許第5,703,187、米国特許第5,747,406、米国特許第5,026,798および米国特許第6,069,213(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)を参照)。
【0052】
本明細書の記述に一致するメタロセン触媒成分の非限定例には、例えばシクロペンタジエニルジルコニウムA、インデニルジルコニウムA、(1−メチルインデニル)ジルコニウムA、(2−メチルインデニル)ジルコニウムA、(1−プロピルインデニル)ジルコニウムA、(2−プロピルインデニル)ジルコニウムA、(1−ブチルインデニル)ジルコニウムA、(2−ブチルインデニル)ジルコニウムA、メチルシクロペンタジエニルジルコニウムA、テトラヒドロインデニルジルコニウムA、ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムA、シクロペンタジエニルジルコニウムA、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタンA、テトラメチルシクロペンチルチタンA、(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルシクロペンタジエニルインデニルジルコニウムA、ジメチルシリル(2−メチルインデニル)(フルオレニル)ジルコニウムA、ジフェニルシリル(1,2,3,4−テトラ
メチルシクロペンタジエニル)(3−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルゲルミル(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)(3−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジフェニルメチリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムA、ジフェニルメチリデンシクロペンタジエニルインデニルジルコニウムA、イソプロピリデンビスシクロペンタジエニルジルコニウムA、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムA、イソプロピリデン(3−メチルシクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムA、エチレンビス(9−フルオレニル)ジルコニウムA、エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムA、エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムA、エチレンビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムA、エチレンビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムA、エチレンビス(2−プロピル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムA、エチレンビス(2−イソプロピル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムA、エチレンビス(2−ブチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムA、エチレンビス(2−イソブチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムA、ジフェニル(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムA、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(9−フルオレニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(1−インデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(2−プロピルインデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(2−ブチルインデニル)ジルコニウムA、ジフェニルシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムA、ジフェニルシリルビス(2−プロピルインデニル)ジルコニウムA、ジフェニルシリルビス(2−ブチルインデニル)ジルコニウムA、ジメチルゲルミルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビステトラヒドロインデニルジルコニウムA、ジメチルシリルビステトラメチルシクロペンタジエニルジルコニウムA、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムA、ジフェニルシリル(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムA、ジフェニルシリルビスインデニルジルコニウムA、シクロトリメチレンシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロペンタジエニルジルコニウムA、シクロテトラメチレンシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロペンタジエニルジルコニウムA、シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウムA、シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、シクロトリメチレンシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムA、シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、シクロトリメチレンシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(N−t−ブチルアミド)チタンA、ビスシクロペンタジエニルクロムA、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムA、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ビス(n−ドデシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ビスエチルシクロペンタジエニルジルコニウムA、ビスイソブチルシクロペンタジエニルジルコニウムA、ビスイソプロピルシクロペンタジエニルジルコニウムA、ビスメチルシクロペンタジエニルジルコニウムA、ビスオクチルシクロペンタジエニルジルコニウムA、ビス(n−ペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ビストリメチルシリルシクロペンタ
ジエニルジルコニウムA、ビス(1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ビス(1−エチル−2−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ビス(1−エチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ビスペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムA、ビスペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムA、ビス(1−プロピル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ビス(1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ビス(1−イソブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ビス(1−プロピル−3−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ビス(1,3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムA、ビスインデニルジルコニウムA、ビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムA、シクロペンタジエニルインデニルジルコニウムA、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムA、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムA、ビス(n−ペンチルシクロペンタジエニル)ハフニウムA、(n−プロピルシクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムA、ビス[(2−トリメチルシリルエチル)シクロペンタジエニル]ハフニウムA、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムA、ビス(2−n−プロピルインデニル)ハフニウムA、ビス(2−n−ブチルインデニル)ハフニウムA、ジメチルシリルビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムA、ジメチルシリルビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムA、ビス(9−n−プロピルフルオレニル)ハフニウムA、ビス(9−n−ブチルフルオレニル)ハフニウムA、(9−n−プロピルフルオレニル)(2−n−プロピルインデニル)ハフニウムA、ビス(1−n−プロピル−2−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムA、(n−プロピルシクロペンタジエニル)(1−n−プロピル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムA、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロプロピルアミドチタンA、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロブチルアミドチタンA、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロペンチルアミドチタンA、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロヘキシルアミドチタンA、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロヘプチルアミドチタンA、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロオクチルアミドチタンA、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロノニルアミドチタンA、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロデシルアミドチタンA、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロウンデシルアミドチタンA、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロドデシルアミドチタンA、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル(s−ブチルアミド)チタンA、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクチルアミド)チタンA、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−デシルアミド)チタンA、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクタデシルアミド)チタンA、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2’,4’,5’−ジメチルシクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(2−トリメチルシリル−4−t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−インデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(2,4,7−トリメチルインデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(ベンゾ[e]インデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(2−メチルベンゾ[e]インデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(ベンゾ[f]インデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(2−メチルベンゾ[f]インデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(3−メチルベンゾ[f]インデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(シクロペンタ[cd]インデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、ジメチルシリルビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムA、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−インデニル)ジルコニウムA、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムA、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−3−メチルフルオレニル)ジルコニウムA、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−4−メチルフルオレニル)ジルコニウムA、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムA、イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムA、イソプロピリデン(ジメチルシクロペンタジエニルフルオレニル)ジルコニウムA、イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムA、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムA、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−インデニル)ジルコニウムA、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムA、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−3−メチルフルオレニル)ジルコニウムA、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−4−メチルフルオレニル)ジルコニウムA、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニルオクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムA、ジフェニルメチレン(メチルシクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムA、ジフェニルメチレン(ジメチルシクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムA、ジフェニルメチレン(テトラメチルシクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムA、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムA、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニルインデニル)ジルコニウムA、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムA、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル−3−メチルフルオレニル)ジルコニウムA、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル−4−メチルフルオレニル)ジルコニウムA、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニルオクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムA、シクロヘキシリデン(メチルシクロペンタジエニルフルオレニル)ジルコニウムA、シクロヘキシリデン(ジメチルシクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムA、シクロヘキシリデン(テトラメチルシクロペンタジエニルフルオレニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル−インデニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(シクロペントジエニル−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル−3−メチルフルオレニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル−4−メチルフルオレニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル−オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(メチルシクロペンタンジエニル−フルオレニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(ジメチルシクロペンタジエニルフルオレニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニルフルオレニル)ジルコニウムA、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムA、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−インデニル)ジルコニウムA、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムA、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニルフルオレニル)ジルコニウムA、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムA、ジメチルシリル(シクロペンタジエニルフルオレニル)ジルコニウムA、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロプロピルアミドチタンA、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロブチルアミドチタンA、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロペンチルアミドチタンA、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロヘキシルアミドチタンA、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロヘプチルアミドチタンA、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロオクチルアミドチタンA、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロノニルアミドチタンA、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロデシルアミドチタンA、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロウンデシルアミドチタンA、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロドデシルアミドチタンA、メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(s−ブチルアミド)チタンA、メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクチルアミド)チタンA、メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−デシルアミド)チタンA、メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクタデシルアミド)チタンA、ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロプロピルアミドチタンA、ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロブチルアミドチタンA、ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロペンチルアミドチタンA、ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロヘキシルアミドチタンA、ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロヘプチルアミドチタンA、ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロオクチルアミドチタンA、ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロノニルアミドチタンA、ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロデシルアミドチタンA、ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロウンデシルアミドチタンA、ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロドデシルアミドチタンA、ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(s−ブチルアミド)チタンA、ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクチルアミド)チタンA、ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−デシルアミド)チタンAおよびジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクタデシルアミド)チタンAが含まれる。
【0053】
1つ以上の態様における遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル配位子、インデニル配位子、フルオレニル配位子、テトラヒドロインデニル配位子、CpFlu型触媒、アルキル、アリール、アミドまたはこれらの組み合わせを含有する。1つ以上の態様における遷移金属化合物は、遷移金属の二塩化物、ジメチルまたは水化物を含有する。1つの具体的態様における遷移金属化合物は、rac−ジメチルシラニルビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを含有する。
【0054】
1つ以上の態様に、更に、前記含浸担体を複数の触媒化合物(例えば二元金属触媒)と接触させることを含めることも可能である。本明細書で用いる如き用語“二元金属触媒”は、少なくとも2種類の異なる触媒化合物を含有する組成物、混合物または系のいずれかを意味する。その二元金属触媒が担持二元金属触媒であるように各触媒化合物を単一の担体粒子上に存在させてもよい。しかしながら、用語“二元金属触媒”にはまた幅広い意味で当該触媒の中の一方が一集団の担体粒子上に存在しかつ別の触媒が別の集団の担体粒子上に存在する系または混合物も含まれる。そのような複数の触媒成分には、その触媒成分の中の少なくとも1種に本明細書に記述する如き遷移金属化合物が含まれる限り、当業者
に公知の触媒成分のいずれも含まれ得る。
【0055】
場合により、前記含浸担体、遷移金属化合物、触媒系またはこれらの組み合わせを重合前もしくは重合中に1種以上の捕捉用化合物と接触させることも可能である。用語“捕捉用化合物”は、これに不純物(例えば極性のある不純物)をその後に行う重合反応の環境から除去するに有効な化合物を包含させることを意味する。不純物は不注意に重合反応成分のいずれかと一緒、特に溶媒、単量体および触媒供給材料と一緒に入り込んで、触媒の活性および安定性に悪影響を及ぼす可能性がある。そのような不純物は結果として例えば触媒活性の低下または消失さえもたらし得る。そのような極性のある不純物または触媒毒には、水、酸素および金属不純物などが含まれ得る。
【0056】
そのような捕捉用化合物には、上述したアルミニウム含有化合物の過剰分が含まれ得るか、或はそれは公知の追加的有機金属化合物、例えば13族の有機金属化合物などであり得る。例えば、そのような捕捉用化合物には、トリエチルアルミニウム(TMA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBAl)、メチルアルモキサン(MAO)、イソブチルアルミノキサンおよびトリ−n−オクチルアルミニウムが含まれ得る。1つの特定態様における捕捉用化合物はTIBAlである。
【0057】
1つの態様では、重合中に用いる捕捉用化合物の量を活性を向上させるに有効な最小限の量にし、そしてもし供給材料および重合用媒体から不純物が充分に除去されている可能性がある場合には使用を完全に回避する。
【0058】
以下の実施例に示すように、前記含浸担体と遷移金属化合物を本明細書に記述する方法で接触させると予想外にアルキル化工程(例えば触媒成分と有機金属化合物、例えばMAOなどの接触)無しに活性を示す担持触媒組成物がもたらされる。その上、そのような方法ではフッ素化工程の結果として環境の中に放出される副生成物の量が他のフッ素化方法の場合のそれに比べて少なくなると予測する。
【0059】
重合工程
本明細書の他のどこかに示すように、触媒系を用いてポリオレフィン組成物を生じさせる。前記触媒系を調製した後、その組成物を用いていろいろな工程を上述した如くかつ/または当業者に公知の如く実施してもよい。この重合工程で用いる装置、工程条件、反応体、添加剤および他の材料は所定工程で生じさせる重合体に望まれる組成および特性に応じて多様である。そのような工程には、液相、気相、スラリー相、バルク相、高圧工程またはこれらの組み合わせなどが含まれ得る(米国特許第5,525,678、米国特許第6,420,580、米国特許第6,380,328、米国特許第6,359,072、米国特許第6,346,586、米国特許第6,340,730、米国特許第6,339,134、米国特許第6,300,436、米国特許第6,274,684、米国特許第6,271,323、米国特許第6,248,845、米国特許第6,245,868、米国特許第6,245,705、米国特許第6,242,545、米国特許第6,211,105、米国特許第6,207,606、米国特許第6,180,735および米国特許第6,147,173(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)を参照)。
【0060】
特定の態様では、上述した工程に一般に1種以上のオレフィン単量体を重合させて重合体を生じさせることを包含させる。そのようなオレフィン単量体には、CからC30オレフィン単量体、またはCからC12オレフィン単量体(例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテンおよびデセン)などが含まれ得る。単量体には、エチレン系不飽和単量体、CからC18ジオレフィン、共役もしくは非共役ジエン、ポリエン、ビニル単量体および環式オレフィンなどが含まれ得る。他の
単量体の非限定例には、ノルボルネン、ノボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエンおよびシクロペンテンなどが含まれ得る。生じさせる重合体には、ホモ重合体、共重合体または三元重合体などが含まれ得る。
【0061】
溶液方法の例が米国特許第4,271,060、米国特許第5,001,205、米国特許第5,236,998および米国特許第5,589,555(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0062】
気相重合工程の一例には連続循環系が含まれ、その場合には、循環する気体流れ(他に再循環流れまたは流動媒体としても知られる)を反応槽内で重合熱によって加熱する。前記反応槽の外部に位置させた冷却装置によって、そのサイクルの別の部分の中を循環する気体流れを用いてその熱を除去する。1種以上の単量体が入っている循環する気体流れを触媒存在下の流動床に通して反応条件下で連続的に循環させてもよい。その循環する気体流れを一般に前記流動床から取り出して前記反応槽に再循環させて戻す。それと同時に重合体生成物を前記反応槽から取り出してもよく、そして重合した単量体の代わりに新鮮な単量体を添加してもよい。気相工程における反応槽の圧力は約100psigから約500psig、または約200psigから約400psig、または約250psigから約350psigなどに及んで多様であり得る。気相工程における反応槽の温度は約30℃から約120℃、または約60℃から約115℃、または約70℃から約110℃、または約70℃から約95℃などに及んで多様であり得る(例えば、米国特許第4,543,399、米国特許第4,588,790、米国特許第5,028,670、米国特許第5,317,036、米国特許第5,352,749、米国特許第5,405,922、米国特許第5,436,304、米国特許第5,456,471、米国特許第5,462,999、米国特許第5,616,661、米国特許第5,627,242、米国特許第5,665,818、米国特許第5,677,375および米国特許第5,668,228(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)を参照)。
【0063】
スラリー相工程は、一般に、固体粒子状重合体が液状の重合用媒体に入っている懸濁液を生じさせてそれに単量体および場合により水素と一緒に触媒を添加することを包含する。その懸濁液(希釈剤を入れておいてもよい)を断続的または連続的に前記反応槽から取り出し、揮発性成分を重合体から分離しそして場合により蒸留を実施した後に前記反応槽に再循環させてもよい。その重合用媒体に入れて用いる液化希釈剤には、CからCアルカン(例えばヘキサンまたはイソブタン)などが含まれ得る。その用いる媒体は一般に重合条件下で液体でありかつ比較的不活性である。バルク相工程では液状媒体もまた反応体(例えば単量体)であることを除いてバルク相工程はスラリー工程と同様である。しかしながら、ある工程はバルク工程、スラリー工程またはバルクスラリー工程などであり得る。
【0064】
特定の態様では、スラリー工程またはバルク工程を1基以上のループ反応槽内で連続的に実施してもよい。当該触媒をスラリーまたは自由流れする乾燥した粉末として反応槽ループ(これ自身を成長する重合体粒子が希釈剤の中に入っている循環するスラリーで満たしておいてもよい)に規則的に注入することなどを行ってもよい。場合により、水素を工程に添加することで、例えば結果としてもたらされる重合体の分子量調節などを行ってもよい。そのループ反応槽を約27バールから約50バール、または約35バールから約45バールの圧力および約38℃から約121℃の温度などに維持してもよい。当業者に公知の方法のいずれか、例えば二重ジャケット付きパイプまたは熱交換器などを用いて反応熱をループ壁に通して除去してもよい。
【0065】
別法として、他の種類の重合工程を用いることも可能であり、例えば撹拌型反応槽を直
列、並列またはこれらの組み合わせなどで用いることも可能である。重合体を反応槽から取り出した後、重合体回収装置に送ることでさらなる処理、例えば添加剤の添加および/または押出し加工などを実施してもよい。
【0066】
重合体生成物
本明細書に記述する方法を用いて生じさせる重合体(およびこれらの混合物)には、これらに限定するものでないが、線状低密度ポリエチレン、エラストマー、プラストマー、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリプロピレン共重合体などが含まれ得る。
【0067】
1つ以上の態様における重合体にはシンジオタクテックポリプロピレンが含まれる。CpFlu型触媒を含有する担持触媒組成物を用いてシンジオタクテックポリプロピレンを生じさせることができる。
【0068】
1つの態様における重合体にはイソタクティックポリプロピレンが含まれる。ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライドを遷移金属化合物として含有する担持触媒組成物を用いてイソタクティックポリプロピレンを生じさせることができる。
【0069】
1つの態様における重合体には二頂分子量分布を示す重合体が含まれる。複数の遷移金属化合物を含有する担持触媒組成物を用いて二頂分子量分布を示す重合体を生じさせることができる。
【0070】
1つ以上の態様における重合体は狭い分子量分布を示す(例えば約2から約4の分子量分布)。別の態様における重合体は幅広い分子量分布を示す(例えば約4から約25の分子量分布)。
【0071】
生成物の用途
本重合体およびこれらの混合物は当業者に公知の用途、例えば成形操作(例えばフィルム、シート、パイプおよび繊維の押出し加工および共押出し加工ばかりでなくブロー成形、射出成形および回転式成形)で用いるに有用である。フィルムには、押出し加工もしくは共押出し加工または積層で生じさせたブローン、配向もしくはキャストフィルムが含まれ、それらは収縮性フィルム、食品包装用フィルム、伸縮性フィルム、シーリングフィルム、配向フィルム、スナック包装、丈夫な袋、買物袋、焼いた食品および冷凍食品の包装、医学用包装、産業用ライナーおよび膜、例えば食品に接触する用途および食品に接触しない用途の膜などとして用いるに有用である。繊維には、スリットフィルム、モノフィラメント、溶融紡糸、溶液紡糸および溶融ブローン操作の繊維が含まれ、それらは袋、バッグ、ロープ、撚り糸、カーペット裏地、カーペット用ヤーン、フィルター、おむつ布、医学用衣類およびジオテキスタイルなどを製造する目的で織りもしくは不織形態で用いられる。押出し加工品には、医学用配管、ワイヤーおよびケーブルの被覆材、シート、熱成形シート、ジオメンブレンおよび池用ライナーなどが含まれる。鋳込み品には、瓶、タンク、大型の中空品、硬質の食品容器および玩具などの形態の単層もしくは多層構造物が含まれる。
【0072】
前記は本発明の態様に向けたものであるが、それの基本的範囲から逸脱することなく本発明の他のさらなる態様を考案することができ、それの範囲を以下の請求項で決定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担持触媒系を生じさせる方法であって、
無機担体材料を準備し、
前記無機担体材料を担体用溶媒と接触させることで担体溶液を生じさせ、
前記担体溶液を式AlF3−p[式中、XはCl、BrおよびOHより選択され、BはHOであり、pは1から3より選択されそしてqは0から6より選択される]で表されるフッ素含有化合物と接触させて前記フッ素含有化合物を前記無機担体材料の中に含浸させることで中間体を生じさせ、
前記中間体を乾燥させることでそれから溶媒を除去しそして前記中間体を少なくとも約300℃の温度に加熱することで含浸担体を生じさせ、そして
前記含浸担体を式[L]M[A][式中、Lはかさ高い配位子であり、Aは脱離基であり、Mは遷移金属であり、そしてmおよびnは、配位子の総結合価が前記遷移金属の原子価に相当するような数である]で表される遷移金属化合物と接触させることで担持触媒系を生じさせる、
ことを含んで成る方法。
【請求項2】
前記無機担体材料をシリカ、アルミナおよびこれらの組み合わせより選択する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記担体溶液と前記フッ素含有化合物の接触によって化学結合が生じる結果としてSi−O−Al−FおよびSi−O−Al−O−Al−Fより選択される結合配列を示す中間体が生じる請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記フッ素含有化合物がAlFを含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記担体溶液が中性のpHを示す請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記無機担体材料がアルミナ源およびシリカ源を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記担体溶液がシリカ担体溶液およびアルミナ担体溶液を含んで成り、前記シリカ担体溶液およびアルミナ担体溶液を独立して調製しそして次に一緒に混合した後に前記フッ素含有化合物と接触させる請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記担体溶液がシリカ担体溶液およびアルミナ担体溶液を含んで成りかつ前記フッ素含有化合物を前記アルミナ担体溶液と接触させた後に前記シリカ担体溶液と接触させる請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記無機担体材料がシリカ源を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記担体溶液がシリカ担体溶液を含んで成りかつ前記シリカ担体溶液を独立して調製しそして一緒に混合した後に前記フッ素含有化合物と接触させる請求項9記載の方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法で生じさせた担持メタロセン触媒組成物。
【請求項12】
更に前記担持触媒系をオレフィン単量体と接触させることでポリオレフィンを生じさせることも含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項13】
更に前記担持触媒系をオレフィン単量体と接触させることでポリオレフィンを生じさせることも含んで成りかつ前記ポリオレフィンがエチレン、C以上のアルファオレフィン
、C以上の共役ジエン、エチレン−アルファオレフィンの共重合体またはこれらの組み合わせより選択される重合体を含んで成る請求項12記載の方法。
【請求項14】
更に前記担持触媒系をプロピレン単量体と接触させることでイソタクティックポリプロピレンを生じさせることも含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項15】
オレフィン重合方法であって、
無機担体材料を準備し、
前記無機担体材料を担体用溶媒と接触させることで担体溶液を生じさせ、
前記担体溶液を式AlF3−p[式中、XはCl、BrおよびOHより選択され、BはHOであり、pは1から3より選択されそしてqは0から6より選択される]で表されるフッ素含有化合物と接触させて前記フッ素含有化合物を前記無機担体材料の中に含浸させることで中間体を生じさせ、
前記中間体を乾燥させることでそれから溶媒を除去しそして前記中間体を少なくとも約300℃の温度に加熱することで含浸担体を生じさせ、
前記含浸担体を式[L]M[A][式中、Lはかさ高い配位子であり、Aは脱離基であり、Mは遷移金属であり、そしてmおよびnは、配位子の総結合価が前記遷移金属の原子価に相当するような数である]で表される遷移金属化合物と接触させることで担持触媒系を生じさせ、そして
前記担持触媒系をオレフィン単量体と接触させることで、エチレン、C以上のアルファオレフィン、C以上の共役ジエン、エチレン−アルファオレフィンの共重合体またはこれらの組み合わせより選択される重合体を含んで成るポリオレフィンを生じさせる、
ことを含んで成る方法。
【請求項16】
前記遷移金属化合物を前記含浸担体とインシトゥで接触させる請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記担持触媒系をアンモニアの生成無しに生じさせる請求項15記載の方法。
【請求項18】
担持触媒系を生じさせる方法であって、
シリカ源を含んで成る無機担体材料を準備し、
前記無機担体材料を溶媒と接触させることで担体溶液を生じさせ、
前記担体溶液を式AlFまたはAlF3HOで表されるフッ素含有化合物と接触させるが、前記担体溶液と前記フッ素含有化合物の接触によって化学結合が生じる結果としてSi−O−Al−FおよびSi−O−Al−O−Al−Fより選択される結合配列を示す中間体が生じ、
前記中間体を乾燥させることでそれから溶媒を除去しそして前記中間体を少なくとも約300℃の温度に加熱することで含浸担体を生じさせ、そして
前記含浸担体を式[L]M[A][式中、Lはかさ高い配位子であり、Aは脱離基であり、Mは遷移金属であり、そしてmおよびnは、配位子の総結合価が前記遷移金属の原子価に相当するような数である]で表される遷移金属化合物と接触させることで担持触媒系を生じさせる、
ことを含んで成る方法。

【公表番号】特表2011−516696(P2011−516696A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504240(P2011−504240)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/040470
【国際公開番号】WO2009/146167
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】