説明

フッ素化アミドを含むポリ(メタ)アクリルアミド類およびポリ(メタ)アクリレート類

式Iのいずれかの配列の繰返し単位を有するコポリマーを含む組成物であり、
【化1】


式中、Rfは、少なくとも1個の酸素原子によって任意選択で中断されている約1個〜約20個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であり、X3は酸素またはX1であり、X1はそれぞれ独立して、酸素、窒素、もしくは硫黄、またはそれらの組合せを任意選択で含む、約1個〜約20個の炭素原子を有する2価の有機連結基であり、GはFまたはCF3であり、Aはアミドであり、jは0または正の整数であり、X2は有機連結基であり、YはO、N、またはSであり、YがNである場合、hは0であり、YがOまたはSである場合、hは1であり、ZはH、約1個〜約4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはハロゲン化物であり、BはHまたは
【化2】


であり、ここでRf、X1、X3、G、A、およびjは上記に定義する通りであり、ただしBがHである場合、jは正の整数であることを条件とし、mは正の整数であり、YがOである場合、qは0または正の整数であり、YがNまたはSである場合、qは正の整数であり、YがOである場合、pは0または正の整数であり、YがNまたはSである場合、pは正の整数であり、Wはそれぞれ独立して、様々なコポリマー単位である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
様々な組成物が、基材に表面効果を与える処理剤として有用であると知られている。表面効果としては、水分、汚れ、およびしみに対する撥性、ならびに繊維基材および硬質表面などの他の基材に特に有用な他の効果が挙げられる。このような処理剤の多くは、フッ素化ポリマーまたはコポリマーである。
【0002】
撥性を基材に付与するための処理剤として有用な市販のフッ素化ポリマーの大部分は、所望の撥性をもたらすパーフルオロアルキル鎖中に主に8個以上の炭素を含む。(非特許文献1)では、8個を超える炭素を有するパーフルオロアルキル鎖の場合、Rf基の配向が並列配置維持されているが、6個未満の炭素を有するパーフルオロアルキル鎖の場合、再配向が起こり、接触角などの表面特性を低下させることが教示されている。したがって、より短鎖のパーフルオロアルキルは、これまで商業的に成功していない。
【0003】
特定の表面効果を改善し、フッ素効率を増大させる様々な試み、すなわち同じ性能レベルを実現するのに必要とされる高価なフッ素化ポリマーの量が少なくなり、または同じフッ素レベルでよりよい性能を示すように処理剤の効率または性能を向上させる試みがなされてきた。パーフルオロアルキル基の鎖長を短くし、それによってフッ素の存在している量を減らし、同時にやはり同じまたは優れた表面効果を実現することが望ましい。米国特許公報(特許文献1)は、3〜17個の炭素原子を有するパーフルオロアルキルまたはフッ素化イソアルコキシアルキルを含む撥油剤および撥水剤として有用なフッ素化アクリルアミドモノマーを開示する。ポリマーまたはコポリマーは開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,576,018号明細書
【特許文献2】米国特許第6,054,615号明細書
【特許文献3】米国特許第6,376,705号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】本田(Honda)ら、Macromolecules、2005年、38巻、5699〜5705頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
より低いフッ素レベルを使用しながら、繊維基材および硬質表面基材用のフッ素化ポリマー処理剤の撥性および耐しみ性を大幅に改善するポリマー組成物が必要とされている。本発明はこのような組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式Iのいずれかの配列の繰返し単位を有するコポリマーを含む組成物を含み、
【0008】
【化1】

【0009】
式中、
fは、少なくとも1個の酸素原子によって任意選択で中断されている約1個〜約20個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であり、
3は酸素またはX1であり、
1はそれぞれ独立して、酸素、窒素、もしくは硫黄、またはそれらの組合せを任意選択で含む、約1個〜約20個の炭素原子を有する2価の有機連結基であり、
GはFまたはCF3であり、
Aはアミドであり、
jは0または正の整数であり、
2は有機連結基であり、
YはO、N、またはSであり、
YがNである場合、hは0であり、YがOまたはSである場合、hは1であり、
ZはH、約1個〜約4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはハロゲン化物であり、
BはHまたは
【0010】
【化2】

【0011】
であり、ここで
f、X1、X3、G、A、およびjは上記に定義する通りであり、ただしBがHである場合、jは正の整数であることを条件とし、
mは正の整数であり、
YがOである場合、qは0または正の整数であり、YがNまたはSである場合、qは正の整数であり、
YがOである場合、pは0または正の整数であり、YがNまたはSである場合、pは正の整数であり、
Wはそれぞれ独立して、
【0012】
【化3】

【0013】
または[R1−X1−Y−C(O)−C(Z)−CH2]であり、
ここで
1、Y、およびZは上記に定義する通りであり、
RxはC(O)O(R1)、C(O)N(R22、OC(O)(R1)、SO2(R1)、C6(R35、O(R1)、ハロゲン化物、またはR1であり、
1はそれぞれ独立して、H、Cn2n+1、Cn2n−CH(O)CH2、[CH2CH2O]i4、[Cn2n]N(R42、または[Cn2n]Cn2n+1であり、
nは1〜40であり、
4はHまたはCs2s+1であり、
s=0〜40であり、
i=1〜200であり、
2はそれぞれ独立して、HまたはCt2t+1であり、ここでtは1〜20であり、
3はそれぞれ独立して、H、COOR1、ハロゲン、N(R12、OR1、SO2NHR1、CH=CH2、またはSO3Mであり、ここでR1は上記に定義する通りであり、
MはH、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウムである。
【0014】
本発明は、さらに式2を含む組成物を含み、
【0015】
【化4】

【0016】
式中、
f、X1、X3、G、j、A、Y、X2、h、B、およびZはそれぞれ、上記の式1で定義され、ただし、YがNまたはSである場合、jは正の整数であることを条件とする。
【0017】
本発明は、さらに式3を含む組成物を含み、
【0018】
【化5】

【0019】
式中、
f、X1、X3、G、j、A、B、X2、およびhはそれぞれ、上記の式2で定義され、Eはヒドロキシル、アミン、ハロゲン、およびチオールからなる群から選択され、ただしEがアミンである場合、hは0であり、Eがアミン以外である場合、hは1であることを条件とする。
【0020】
本発明は、さらに撥水性および撥油性を基材に付与する方法であって、前記基材と上記に定義する式1の組成物とを接触させるステップを含む方法を含む。
【0021】
本発明は、さらに上記に定義する式1の組成物が塗布されている基材を含む。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書では、すべての商標は、大文字を使用して記載する。本明細書ではすべての場合、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートの両方を表示するために使用される。用語「(メタ)アクリロイルクロリド」は、アクリロイルクロリドとメタクリロイルクロリドの両方を表示するために使用される。用語「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドまたはメタクリルアミドの両方を表示するために使用される。
【0023】
本発明は、式1のいずれかの配列の繰返し単位を有するコポリマーを含み、
【0024】
【化6】

【0025】
式中、
fは、少なくとも1個の酸素原子によって任意選択で中断されている約1個〜約20個の炭素原子を有する直鎖または分岐のパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であり、
3は酸素またはX1であり、
1はそれぞれ独立して、酸素、窒素、もしくは硫黄、またはそれらの組合せを任意選択で含む、約1個〜約20個の炭素原子を有する2価の有機連結基であり、
GはFまたはCF3であり、
Aはアミドであり、
jは0または正の整数であり、ただし、BがHである場合、jは正の整数であることを条件とし、
2は有機連結基であり、
YはO、N、またはSであり、
YがNである場合、hは0であり、YがOまたはSである場合、hは1であり、
ZはH、約1個〜約4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはハロゲン化物であり、
BはHまたは
【0026】
【化7】

【0027】
であり、ここで
f、X1、X3、G、j、およびAは上記に定義する通りであり、ただしBがHである場合、jは正の整数であることを条件とし、
mは正の整数であり、
YがOである場合、qは0または正の整数であり、YがNまたはSである場合、qは正の整数であり、
YがOである場合、pは0または正の整数であり、YがNまたはSである場合、pは正の整数であり、
Wはそれぞれ独立して、
【0028】
【化8】

【0029】
または[R1−X1−Y−C(O)−CH2Z]であり、
ここで
1、Y、およびZは上記に定義する通りであり、
RxはC(O)O(R1)、C(O)N(R22、OC(O)(R1)、SO2(R1)、C6(R35、O(R1)、ハロゲン化物、またはR1であり、
1はそれぞれ独立して、H、Cn2n+1、Cn2n−CH(O)CH2、[CH2CH2O]i4、[Cn2n]N(R42、または[Cn2n]Cn2n+1であり、
nは1〜40であり、
4はHまたはCs2s+1であり、
s=0〜40であり、
i=1〜200であり、
2はそれぞれ独立して、HまたはCt2t+1であり、ここでtは1〜20であり、
3はそれぞれ独立して、H、COOR1、ハロゲン、N(R12、OR1、SO2NHR1、CH=CH2、またはSO3Mであり、
MはH、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウムである。
【0030】
好ましくは、Rfは約1個〜約18個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物である。より好ましくは、Rfは約1個〜約12個の炭素原子、またはそれらの混合物である。より好ましくは、Rfは約1個〜約6個の炭素原子、またはそれらの混合物である。
【0031】
Aはアミドである。具体的には、Aは−CONR5−または−NR5C(O)−であり、式中、R5はHまたはアルキルである。
【0032】
適切な連結X1としては、例えば直鎖、分岐鎖、または環式のアルキレン、フェニル、アリーレン、アリールアルキレン、スルホニル、スルホキシ、スルホンアミド、カーボンアミド、カルボニルオキシ、ウレタニレン、ウレイレン(−NR5CONR5−、式中、R5はHまたはアルキルである)、およびそれらの組合せ、具体的にはスルホンアミドアルキレンが挙げられる。
【0033】
式1のコポリマーは、フッ素化アミドを含むアクリルモノマー、アルキル(メタ)アクリレートモノマー、および任意選択で他のモノマーの重合によって調製される。式1のコポリマーは、フッ素化(メタ)アクリレートまたは非フッ素化(メタ)アクリレートと式2のフッ素化アミド含有フッ素化アクリルモノマーを反応させることによって調製され、
【0034】
【化9】

【0035】
式中、
f、X1、X3、G、j、A、B、Y、X2、h、およびZはそれぞれ、上記の式1で定義され、ただし、YがNまたはSである場合、jは正の整数であることを条件とする。
【0036】
式1のコポリマーの調製において使用される式2のフッ素化アミド含有アクリルモノマーは、アクリル酸、アクリル酸エステル、またはアクリロイルクロリドと式3のフルオロケミカルを接触させることによって調製され、
【0037】
【化10】

【0038】
式中、
f、X1、X3、G、j、A、X2、およびhはそれぞれ、上記の式2で定義され、Eはヒドロキシル、アミン、ハロゲン、およびチオールからなる群から選択され、ただし、Eがアミンである場合、hは0であり、Eがアミン以外である場合、hは1であることを条件とする。Eは、好ましくはヒドロキシルまたはアミンである。
【0039】
好ましい反応条件は約0℃〜約60℃の温度である。適切な溶媒としては、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、アセトン、または酢酸エチルが挙げられる。反応中に形成されるあらゆる酸塩化物を捕捉するための塩基として、第三級アミンが使用される。
【0040】
式3の化合物は、溶媒を使用しまたは使用せずに、パーフッ素化エステル(参照によりそれぞれ本明細書に援用される米国特許公報(特許文献2)および米国特許公報(特許文献3)で報告されている方法に従って調製)とトリアミンまたはジアミンアルコールとを反応させることによって調製される。この反応の条件は、エステルの構造に依存する。α,α−ジフルオロ置換エステルとジアミンとの反応は、約5℃〜約35℃の温度で実施される。この反応の適切な溶媒としては、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、アセトン、CHCl3、CH2Cl2、またはエーテルが挙げられる。α−フッ素置換を含まないエステルとジアミンとの反応は、約90℃〜約160℃、好ましくは約100℃〜約140℃の温度で実施される。この反応には溶媒を使用しないことが好ましいが、適切な溶媒としては、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、または2−メトキシエチルエーテルが挙げられる。
【0041】
式3の化合物は、パーフッ素化アシルフルオリドとジアミンアルコールまたはアミンアルコールの反応によっても調製される。この反応は、約−30℃〜約40℃、好ましくは約5℃〜約25℃の温度で実施される。この反応の適切な溶媒としては、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、アセトン、CHCl3、CH2Cl2、または2−メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテルが挙げられる。
【0042】
次いで、本発明の式2のフッ素化アミド含有フッ素化アクリルモノマーを、フッ素化(メタ)アクリレートまたは非フッ素化(メタ)アクリレートと重合させて、式1のコポリマーを調製する。
【0043】
本発明の式1のコポリマーの調製において使用するのに適した非フッ素化(メタ)アクリレートモノマーは、アルキル基が1〜約20個の炭素原子、またはそれらの混合物、好ましくは約1個〜約18個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖であるアルキル(メタ)アクリレートを含む。C1〜C20アルキル(メタ)アクリレート(鎖状または分岐状)は、例えばアルキル基がメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソアミル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、イソデシル、ラウリル、セチル、またはステアリルであるアルキル(メタ)アクリレートであるが、これらに限定されない。好ましい例は、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、およびステアリルアクリレートである。
【0044】
追加の任意選択のモノマーを、追加の繰返し単位を含む式1のコポリマーを調製するための重合反応において使用することもできる。これらの任意選択のモノマーとしては、N−メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキルオキシ(メタ)アクリレート、フッ素化(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、アクリル酸ステアリル、アミノアルキルメタクリレート塩酸塩、アクリルアミド、アルキルアクリルアミド、酢酸ビニル、ステアリン酸ビニル、アルキルビニルスルホン、スチレン、ビニル安息香酸、アルキルビニルエーテル、無水マレイン酸、塩化ビニリデン、塩化ビニル、およびオレフィンが挙げられる。
【0045】
任意選択のN−メチロールモノマーは、例えばN−メチロールアクリルアミドおよびN−メチロールメタクリルアミドである。任意選択のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、アルキル鎖長が約2〜約4個の炭素原子の範囲であり、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。任意選択のアルキルオキシ(メタ)アクリレート類も、アルキル鎖長が約2〜約4個の炭素原子の範囲であり、ガスクロマトグラフィー/質量分析で確定して1〜約12個のオキシアルキレン単位/分子、好ましくは約4〜約10個のオキシアルキレン単位/分子、最も好ましくは約6〜約8個のオキシアルキレン単位/分子を含む。ポリ(オキシアルキレン)(メタ)アクリレートの具体例は、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレートエチレンオキシドの反応生成物であるが、これに限定されない。9モルのエチレンオキシドとの反応によって、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/9−エチレンオキシド付加物が得られ、6モルのエチレンオキシドとの反応によって、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/6−エチレンオキシド付加物が得られる。他の任意選択の非フッ素化モノマーは、スチレン、無水マレイン酸、およびビニリデンクロリドとすることができる。このような任意選択のモノマーが存在する場合、使用される重合方法は、当業者に知られている従来の重合方法である。
【0046】
本発明の式1のフッ素化コポリマーは、有機溶媒中、(メタ)アクリレートを含む式2のフッ素化アミド含有アクリルモノマーと任意選択の上記モノマーのいずれかの混合物とのラジカル開始重合によって調製される。本発明のフッ素化コポリマーは、撹拌装置ならびに外熱式加熱および冷却装置を装備した適切な反応容器で、上述するモノマーを有機溶媒中で撹拌することによって製造される。ラジカル開始剤が添加され、温度は約40℃〜約60℃に上昇した。重合調節剤または連鎖移動剤を添加して、得られるポリマーの分子量を制御することができる。重合開始剤は、例えば[2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)]である。これらの開始剤は、本願特許出願人から「バゾ(VAZO)」という名前で市販されている。重合調節剤または連鎖移動剤の例は、デシルメルカプタンである。本発明の式1のコポリマーの調製において有用である適切な有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルイソブチルケトン、イソプロパノール、酢酸エチル、およびそれらの混合物が挙げられる。テトラヒドロフランが好ましい。反応は、酸素を排除して、窒素などの不活性ガス下で実施される。溶液は、希釈および基材への塗布のために維持することができる。あるいは、ポリマーは、メタノールを用いて沈殿させることによって単離することができ、次いでテトラヒドロフランなど基材への塗布に適切な溶媒に溶解させる。反応の生成物は、式1のフッ素化アミド含有コポリマーである。
【0047】
式1のフッ素化アミド含有コポリマーは、約25〜約80重量パーセントの式2のフッ素化アミド含有アクリレート、約1〜約40重量パーセントの(メタ)アクリレート、および0〜約75重量パーセントの任意選択のモノマーを使用して製造することができる。
【0048】
次いで、式1の得られたフッ素化アミド含有コポリマーを水に注ぎ込む。回収したポリマーを、基材への最終的な塗布用の溶媒として適した単純なアルコール類、ケトン類、またはテトラヒドロフランを含む群から選択された溶媒(以降、「塗布用溶媒」)に溶解する。基材への塗布用の最終生成物は、式1のフッ素化アミド含有コポリマーの溶液である。
【0049】
本発明は、さらに上記に定義する式2の組成物(式中、Rfは線状である)を含む。この組成物は、上述したようにアクリル酸、アクリル酸エステル、またはアクリロイルクロリドと上記に定義する式3のフルオロケミカル(式中、Rfは線状である)とを接触させることによって調製される。この組成物は、式1の組成物(式中、Rfは線状である)の調製に有用である。
【0050】
本発明は、さらに上記に定義する式3の組成物(式中、Rfは線状である)を含む。この組成物は、上述したようにパーフッ素化エステル(式中、パーフルオロ基は線状である)と、トリアミンまたはジアミンアルコールとを反応させることによって調製される。この組成物は、式2の組成物(式中、Rfは線状である)の調製に有用である。
【0051】
本発明は、さらに撥油性および撥水性を基材に付与する方法であって、本発明の式1のフッ素化アミド含有コポリマー溶液と基材とを接触させるステップを含む方法を含む。適切な基材としては、下記に定義する繊維または硬質表面基材が挙げられる。接触は、従来の技法を使用して実施される。式1のコポリマーは、当業者に知られている広範囲の種々の方法、具体的にはパディング、スプレー塗装、発泡剤を伴う発泡、フレックス−ニップ、ニップ、キスロール、イグゾースション、ベック、かせ、ウインチ、液体射出、オーバーフローフラッド、ベック染色装置でのイグゾースト、または連続染色操作中の連続イグゾーストで、繊維基材に効果的に塗布される。このような方法で、染色済みまたは未染色の基材に塗布される。硬質表面基材の場合、塗布技法としては、例えばブラシ、ローラー、ペイントパッド、マット、スポンジ、コーム、手動ポンプ式ディスペンサー、圧縮空気作動式スプレーガン、電気または静電噴霧器、バックパック式スプレー塗装装置、布、紙、羽毛、鉄筆、ナイフ、および他の従来のアプリケーター道具によるものが挙げられる。コポリマーに塗布する方法として、浸漬を使用する場合、特殊な機器は必要でない。
【0052】
本発明の式1のフッ素化アミド含有コポリマー溶液をそれ自体または他の任意選択の織物仕上げ剤もしくは表面処理剤と組み合わせて、基材に塗布する。このような任意選択の追加の成分としては、追加の表面効果を実現するための処理剤もしくは仕上げ剤、またはこのような処理剤もしくは仕上げ剤と共に一般的に使用される添加剤が挙げられる。このような追加の成分は、表面効果、具体的にはノーアイロン性、アイロンの掛け易さ、防縮性、防しわ性(wrinkle free)、パーマネントプレス、調湿性、柔軟性、強度、すべり防止性、帯電防止性、ほつれ防止性、抗毛玉性、防しみ性、しみ除去性、防汚性、汚れ除去性、撥水性、撥油性、防臭性、抗菌性、日焼け防止性、および類似の効果をもたらす化合物または組成物を含む。1つまたは複数のこのような処理剤または仕上げ剤を、本発明のコポリマーの前、後、または同時に基材に塗布することができる。例えば、繊維基材の場合、合成または綿生地を処理するとき、濡れ剤、具体的には本願特許出願人から入手可能なアルカノール(ALKANOL)6112の使用が望ましいことがある。綿または綿ブレンド生地を処理するとき、耐しわ性樹脂、具体的には米国サウスカロライナ州チェスターのオムノバ・ソリューションズ(Omnova Solutions,Chester,SC)から入手可能なパーマフレッシュ(PERMAFRESH)EFCを使用することができる。
【0053】
このような処理剤または仕上げ剤と共に一般的に使用される他の添加剤、具体的には界面活性剤、pH調整剤、架橋剤、濡れ剤、蝋エクステンダー、および当業者に周知の他の添加剤も存在してよい。適切な界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、および非イオン性が挙げられる。アニオン性界面活性剤、具体的には米国コネティカット州グリニッジのウィト・コーポレーション(Witco Corporation、Greenwich、CT)からデュポノール(DUPONOL)WAQEとして入手可能なラウリルスルホン酸ナトリウムが好ましい。このような仕上げ剤または処理剤としては、例えば加工助剤、発泡剤、潤滑剤、しみ防止剤などが挙げられる。
【0054】
本発明の式1のフッ素化アミド含有コポリマー溶液の塗布速度は、基材気孔率に応じて約10〜約1000g/m2の範囲である。処理済み繊維基材は、通常はフッ素含有量が約0.05重量%〜約1.0重量%である。一般に、より高いフッ素レベルは、より高い撥油性および撥水性をもたらすが、経済的に実現不可能である。フッ素導入は、基材のタイプに応じて最適化されている。
【0055】
所与の基材に最適な撥性処理は、(1)フッ素化コポリマーの特性、(2)基材の表面の特性、(3)表面に塗布するフッ素化コポリマーの量、(4)フッ素化コポリマーの表面に塗布する方法、および多くの他の要因に依存する。一部のフッ素化コポリマー撥性物は、多くの様々な基材でよく機能し、油、水、および広範囲の他の液体に撥性を示す。他のフッ素化コポリマー撥性物は、一部の基材に優れた撥性を示し、またはより高い導入レベルを必要とする。
【0056】
本発明は、本発明の式1のフッ素化アミド含有フッ素化コポリマー溶液で処理した基材をさらに含む。適切な基材としては、繊維または硬質表面基材が挙げられる。繊維基材としては、織繊維および不織繊維、生地、ブレンド生地、テキスタイル、不織布、紙、皮革、およびカーペットが挙げられる。これらは、綿、セルロース、毛、絹、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロン、アラミド、およびアセテート、またはそれらのブレンドを含めて、天然または合成繊維から製造される。「ブレンド生地」は、2つ以上のタイプの繊維で製造された生地を意味する。通常、これらのブレンドは、少なくとも1種の天然繊維と少なくとも1種の合成繊維との組合せであるが、2種以上の天然繊維または2種以上の合成繊維のブレンドも含むことができる。これらの基材は、例えばテキスタイル、衣類、家具、およびカーペットを含めて、広範囲の種々の用途で使用されることが多い。硬質表面基材としては、多孔質および非多孔質鉱物表面、具体的にはガラス、石、メーソンリー、コンクリート、無釉タイル、レンガ、多孔質粘土、および表面多孔性を有する様々な他の基材が挙げられる。このような基材の具体例としては、無釉コンクリート、レンガ、タイル、石(花崗岩および石灰石を含む)、グラウト、モルタル、大理石、石灰石、彫像、記念碑、木材、複合材料、具体的にはテラゾー、ならびに石膏ボードで作製されたものを含めて、壁および天井用パネルが挙げられる。これらは、建物、道路、駐機場、私道、床、暖炉、炉床、調理台の建設、および室内および室外での適用における他の装飾的用途で使用される。本発明の基材は、優れた撥水性および撥油性を有する。
【0057】
1個〜約20個の炭素のパーフルオロアルキル鎖を有する本発明のフッ素化アミド含有コポリマー組成物は、優れた撥水性および撥油性の1つまたは複数を処理済の基材に与えるのに有用である。本発明のフッ素化アミド含有コポリマーは、6個以下の炭素原子を含むより短いパーフルオロアルキル基の使用を可能にするが、従来の市販のアクリレートは、パーフルオロアルキル基が8個未満の炭素原子しか含まない場合、通常は不十分な撥油性および撥水性性能を示す。
【0058】
材料および試験方法
テトラヒドロフラン(THF)およびメタクリル酸ステアリル(SMA)は、米国ミズーリ州セントルイスのシグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO.)から入手した。本明細書の実施例では、テトラヒドロフランを表すためにTHFを使用する。
【0059】
パーフルオロ−2−メチル−3−オキサヘキサノイルフルオリドおよびCF3(OCF2nCO2CH3は、本願特許出願人から入手した。
【0060】
綿生地は、米国デラウェア州ウィルミントンのインビスタ(INVISTA,Wilmington,DE)からのリーバイス綿100%(ミディアムタン)であった。
【0061】
100%ナイロン生地は、米国ノースカロライナ州グリーンズボロのバーリントン・インダストリーズ(Burlington Industries(ITG),Greensboro,NC)から入手した。
【0062】
試験方法1−繊維基材処理
下記の方法で、繊維基材、例えば生地をコポリマー分散液または溶液で処理した。テトラヒドロフラン中で、2000mg/kgのフッ素を含有するコポリマー溶液を調製した。この溶液をピペットで基材に飽和するまで移すことによって、コポリマー溶液を綿およびナイロン基材に塗布した。塗布した後、基材を風乾し、約150℃で約2分間硬化した。基材を室温まで放冷した後、撥油性および撥水性の測定を実施した。
【0063】
試験方法2−撥水性
処理済み基材について、AATCC規格の試験方法No.193−2004、およびテフロン・グローバル・スペシフィケーションズ・アンド・クォリティー・コントロール・テスト(TEFLON Global Specifications and Quality Control Tests)資料集に概説するデュポン・テクニカル・ラボラトリー(DuPont Technical Laboratory)法に従って、撥水性を測定した。試験によって、処理済み基材の水性液体による濡れに対する抵抗性を判定する。様々な表面張力を有する水−アルコール混合物の液滴を基材に載せ、表面濡れの程度を肉眼で判定する。試験によって、耐水性しみ性の大まかな指数が得られる。
【0064】
撥水性試験液体の組成物を表1に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
試験手順:
処理済み基材に、試験液体1を3滴載せる。10秒後、真空吸引によって液滴を除去する。液体浸透または部分吸収(より濃い濡れたしみが基材に出現)が観察されない場合、試験液体2を使用して、試験を繰り返す。試験液体3および連続的により大きい番号の試験液体を使用して、液体浸透(より濃い濡れたしみが基材に出現)が観察されるまで試験を繰り返す。試験結果は、基材に浸透しない最も大きい番号の試験液体である。スコアが高いほど、撥性が高いことが示唆される。
【0067】
試験方法3−撥油性
以下の通り実施されるAATCC規格の試験方法No.118の一変法で、処理済み生地試料の撥油性を試験した。上述するポリマー溶液で生地試料を処理する。次いで、下記の表2で特定される一連の有機液体を、生地試料に滴状塗布する。最も小さい番号の試験液体(撥性評価No.1)で始め、少なくとも5mm離れた3箇所にそれぞれ、1滴(直径約5mmまたは体積0.05mL)を載せる。液滴を30秒間観察する。この時間の終わりに、液滴の周囲で灯心現象がなく、3滴のうちの2滴の形状がまだ球状である場合、次に最も大きい番号の液体を隣接する部位に3滴載せ、同様に30秒間観察する。この手順は、試験液体の1つで、3滴のうちの2滴が、球状から半球状のままであることができなくなり、または濡れもしくは灯心現象が起こるまで続ける。
【0068】
生地の撥油性の評価は、灯心現象が30秒間起こらず、3滴のうちの2滴が球状から半球状のままである試験液体が最も大きい番号である。一般に、評価が5以上の処理済み生地は、良好から優秀と見なされる。評価が1以上の生地は、ある種の用途で使用することができる。
【0069】
以下の通り実施されるAATCC規格の試験方法No.118の一変法で、硬質表面基材の処理済み試料の撥油性を試験した。処理済み基材に、表2の試験油1を3滴載せる。30秒後、真空吸引によって液滴を除去する。液体浸透または部分吸収(より濃い濡れたしみが基材に出現)が観察されない場合、試験油2を使用して、試験を繰り返す。試験油3および連続的により大きい番号の試験油を使用して、液体浸透(より濃い濡れたしみが基材に出現)が観察されるまで試験を繰り返す。試験結果は、基材への液体浸透を示さない最も大きい番号の試験油である。スコアが高いほど、撥性が高いことが示唆される。
【0070】
【表2】

【実施例】
【0071】
実施例1
50mLのフラスコに、2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロノナン酸メチル(9.0g、米国特許公報(特許文献2)の手順に従って調製)および1,3−ジアミノ−2−プロパノール(1.0g)を加えた。得られた混合物を140℃で8時間撹拌させておいた。室温に冷却した後、反応混合物は凝固し、完全な真空状態で8時間乾燥して、固体(8.95g)を得た。生成物は、下記の分析が示す通りN,N’−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロノナノイル)−1,3−ジアミノ−2−プロパノールであった。H NMR(CDCl3)2.52(m,9H),3.36(m,4H),3.80(五重線,J=5Hz,1H),6.36(br s,2H)ppm。F NMR−81.2(tt,J=10,3Hz,6F),−114.9(m,4F),−122.3(m,4F),−123.3(m,4F),−123.9(m,4F),−126.5(m,4F)ppm。この実施例および本明細書中のすべての実施例のHNMRおよびFNMRでは、ppmは周波数シフトの1部/100万部を示す。
【0072】
25mLのフラスコに、上記の手順に従って調製されたN,N’−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロノナノイル)−1,3−ジアミノ−2−プロパノール(6.0g)、トリエチルアミン(1.42g)、およびテトラヒドロフラン(20mL)を加えた。テトラヒドロフラン(3mL)中メタクリロイルクロリド(1.45g)を、約10℃で上記の混合物に滴下した。混合物を室温で15時間撹拌した。混合物を水(40mL)に注ぎ込み、エーテル(2回×100mL)で抽出した。エーテル溶液を水(3回×50mL)、飽和NaCl溶液(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮し、真空乾燥して、6.35gの蝋状生成物を得た。生成物は、N,N’−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロノナノイル)−1,3−ジアミノ−2−プロピルメタクリレートである。
【0073】
N,N’−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロノナノイル)−1,3−ジアミノ−2−プロピルメタクリレート(2.0g)、メタクリル酸ステアリル(0.8g)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(バゾ(VAZO)52)(25mg)、およびテトラヒドロフラン(5mL)の混合物を60℃に15時間加熱した。混合物をメタノール(100mL)に注ぎ込んだ。沈殿したポリマーをメタノール(2回×30mL)で洗浄し、真空乾燥して、ポリマー(1.28g)を得た。これはコポリマーであり、NMRにより約38.7%のFを含有した。
【0074】
試験方法1の手順で、コポリマーの溶液を調製し、綿およびナイロン生地に塗布した。処理済み生地の撥水性および撥油性をそれぞれ、試験方法2および3で試験した。結果を表3に示す。
【0075】
実施例2
100mLのビンに、ジエチレントリアミン(6.64g)および52.6gの2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロノナン酸メチル(米国特許公報(特許文献2)の手順に従って調製)を加えた。得られた混合物を120℃に20時間加熱した。反応混合物を70℃で2時間真空乾燥して、固体(54g)を得た。生成物は、下記の分析が示す通り1,7−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロノナノイル)−1,4,7−トリアザヘプタンである。H NMR(CDCl3):1.66(br s,1H),2.51(m,8H),2.78(t,J=6Hz,4H),3.35(q,J=6Hz,4H),6.20(br s,2H)ppm。F NMR(CDCl3):−81.3(tt,J=10,3Hz,6F),−115.1(m,4F),−122.4(m,4F),−123.4(m,4F),−124.0(m,4F),−126.6(m,4F)ppm。
【0076】
100mLのフラスコに、1,7−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロノナノイル)−1,4,7−トリアザヘプタン(15.7g)、トリエチルアミン(2.49g)、およびテトラヒドロフラン(22mL)を加えた。メタクリロイルクロリド(テトラヒドロフラン(7mL)に溶解した2.58g)を、約10℃で上記の混合物に滴下した。混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を水(200mL)に注ぎ込み、塩化メチレン(250mL)で抽出した。塩化メチレン抽出物を水(3回×50mL)で洗浄した。元の水層をエーテル(200mL)で抽出し、このエーテル抽出物を水(3回×50mL)および飽和NaCl溶液で洗浄した。塩化メチレンと溶液を合わせてNa2SO4で乾燥し、濃縮し、真空乾燥して、固体(14.8g)を得た。生成物は、下記の分析が示す通り1,7−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロノナノイル)−4−メタクリロイル−1,4,7−トリアザヘプタンである。H NMR(CDCl3):1.89(m,3H),2.51(m,8H),3.55(m,8H),4.90(m,1H),5.16(m,1H),6.31(br s,1H),7.51(br s,1H)ppm。F NMR(CDCl3):−81.3(t,J=10Hz,6F),−115.1(m,4F),−122.4(m,4F),−123.4(m,4F),−124.0(m,4F),−126.6(m,4F)ppm。
【0077】
メタクリル酸ステアリル(1.6g)、1,7−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロノナノイル)−4−メタクリロイル−1,4,7−トリアザヘプタン(4.0g)、テトラヒドロフラン(10mL)、および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(45mg)の混合物を60℃に36時間加熱した。混合物をメタノール(100mL)に注ぎ込んだ。沈殿したポリマーをメタノール(2回×30mL)で洗浄し、真空乾燥して、固体(1.85g)を得た。これはコポリマーであり、約9.4%のフッ素を含有した。
【0078】
試験方法1の手順で、コポリマーの溶液を調製し、綿およびナイロン生地に塗布した。処理済み生地の撥水性および撥油性をそれぞれ、試験方法2および3で試験した。結果を表3に示す。
【0079】
実施例3
25mLのビンに、1,3−ジアミノ−2−プロパノール(0.61g)およびテトラヒドロフラン(4mL)を加えた。テトラヒドロフラン(2mL)中3,3,4,4−テトラヒドロパーフルオロオクタン酸エチル(5.0g)(米国特許公報(特許文献3)の手順に従って調製)を約10℃で滴下した。得られた混合物を室温で15時間撹拌させた。反応混合物を濃縮し、真空乾燥して、5.0gの固体を得た。生成物は、下記の分析が示す通りN,N’−ビス(3,3,4,4−テトラヒドロパーフルオロオクタノイル)−1,3−ジアミノ−2−プロパノールである。H NMR(CDCl3)1.53(br s,1H),2.41(m,8H),3.45(m,4H),3.97(五重線,J=5Hz,1H),6.99(br. s,2H)ppm。F NMR−81.5(tt,J=10,3Hz,6F),−107.1(m,4F),−115.1(m,4F),−124.7(m,4F),−126.4(m,4F)ppm。
【0080】
50mLのフラスコに、上記の手順に従って調製されたN,N’−ビス(3,3,4,4−テトラヒドロパーフルオロオクタノイル)−1,3−ジアミノ−2−プロパノール(4.8g)、トリエチルアミン(0.80g)、およびテトラヒドロフラン(20mL)を加えた。テトラヒドロフラン(3mL)中メタクリロイルクロリド(0.82g)を、約10℃で上記の混合物に滴下した。混合物を室温で15時間撹拌した。反応混合物のGC分析は、生成物が生じ、約4%の出発物アルコールが存在することを示唆した。メタクリロイルクロリド(0.1g)およびトリエチルアミン(0.10g)を反応混合物に添加した。得られた混合物を35℃でさらに15時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、真空乾燥して、5.0gの固体を得た。生成物は、下記の分析が示す通りN,N’−ビス(3,3,4,4−テトラヒドロパーフルオロオクタノイル)−1,3−ジアミノ−2−プロピルメタクリレートである。H NMR(テトラヒドロフラン−d8)2.00(m,3H),2.54(m,8H),3.60(m,4H),5.26(m,1H),5.69(m,1H),6.19(m,1H),8.45(br. s,2H)ppm。F NMR−81.5(tt,J=10,3Hz,6F),−106.9(ABq t,J=258,15Hz,4F),−114.7(m,4F),−124.2(m,4F),−126.1(m,4F)ppm。
【0081】
N,N’−ビス(3,3,4,4−テトラヒドロパーフルオロオクタノイル)−1,3−ジアミノ−2−プロピルメタクリレート(2.0g)、メタクリル酸ステアリル(0.80g)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(25mg)、およびテトラヒドロフラン(5mL)の混合物を60℃に15時間加熱した。混合物をメタノール(100mL)に注ぎ込んだ。沈殿したポリマーをメタノール(2回×30mL)で洗浄し、真空乾燥して、白色固体(2.44g)を得た。これはコポリマーであり、NMRにより約44.6%のFを含有した。
【0082】
試験方法1の手順で、コポリマーの溶液を調製し、綿およびナイロン生地に塗布した。処理済み生地の撥水性および撥油性をそれぞれ、試験方法2および3で試験した。結果を表3に示す。
【0083】
実施例4
25mLのビンに、ジエチレントリアミン(0.85g)およびテトラヒドロフラン(4mL)を加えた。テトラヒドロフラン(2mL)中3,3,4,4−テトラヒドロパーフルオロオクタン酸エチル(6.25g、米国特許公報(特許文献3)の手順に従って調製)を約10℃で滴下した。得られた混合物を室温で15時間撹拌させた。反応混合物を濃縮し、真空乾燥して、6.27gの固体を得た。生成物は、下記の分析が示す通り1,7−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロオクタノイル)−1,4,7−トリアザヘプタンである。H NMR(CDCl3)1.55(br s,1H),2.39(m,8H),2.85(t,J=6Hz,4H),3.42(q,J=6Hz,4H),6.80(br. s,2H)ppm。F NMR−81.5(tt,J=10,3Hz,6F),−107.3(t,J=16Hz,4F),−115.2(m,4F),−124.8(m,4F),−126.5(m,4F)ppm。
【0084】
25mLのフラスコに、1,7−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロオクタノイル)−1,4,7−トリアザヘプタン(3g)、トリエチルアミン(0.49g)、およびテトラヒドロフラン(5mL)を加えた。テトラヒドロフラン(2mL)中メタクリロイルクロリド(0.50g)を、約10℃で上記の混合物に滴下した。混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を水(40mL)に注ぎ込み、塩化メチレン(50mL)で抽出した。有機層を水(2回×30mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮し、真空乾燥して、蝋状生成物(3.3g)を得た。生成物は、下記の分析が示す通り1,7−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロオクタノイル)−4−メタクリロイル−1,4,7−トリアザヘプタンである。H NMR(CDCl3)1.93(s,3H),2.38(m,8H),3.57(m,4H),3.62(m,4H),5.01(m,1H),5.22(m,1H),6.23(br. s,2H)ppm。F NMR−81.5(tt,J=10,3Hz,6F),−107.3(m,4F),−115.2(m,4F),−124.7(m,4F),−126.5(m,4F)ppm。
【0085】
1,7−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロオクタノイル)−4−メタクリロイル−1,4,7−トリアザヘプタン(2.0g)、メタクリル酸ステアリル(0.8g)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(25mg)、およびテトラヒドロフラン(3mL)の混合物を60℃に15時間加熱した。混合物をメタノール(100mL)に注ぎ込んだ。沈殿したポリマーをメタノール(2回×30mL)で洗浄し、真空乾燥して、白色固体(0.85g)を得た。これはコポリマーであり、NMRにより約5.1%のFを含有した。
【0086】
試験方法1の手順で、コポリマーの溶液を調製し、綿およびナイロン生地に塗布した。処理済み生地の撥水性および撥油性をそれぞれ、試験方法2および3で試験した。結果を表3に示す。
【0087】
実施例5
25mLのビンに、1,3−ジアミノ−2−プロパノール(0.5g)およびテトラヒドロフラン(2mL)を加えた。テトラヒドロフラン(2mL)中3,3,4,4−テトラヒドロパーフルオロデカン酸エチル(5.45g)(米国特許公報(特許文献3)の手順に従って調製)を約15℃で滴下した。得られた混合物を室温で3時間、次いで50℃で2時間撹拌させた。反応混合物を濃縮し、真空乾燥して、5.08gの白色固体を得た(収率:約96%)。生成物は、下記の分析が示す通りN,N’−ビス(3,3,4,4−テトラヒドロパーフルオロデカノイル)−1,3−ジアミノ−2−プロパノールである。H NMR 2.49(m,8H),2.78(br s,1H),3.37(m,4H),3.95(五重線,J=6Hz,1H),8.07(br s,2H)ppm。F NMR−82.2(tt,J=10,3Hz,6F),−107.9(m,4F),−115.3(m,4F),−122.9(m,4F),−123.8(m,4F),−124.2(m,4F),−127.2(m,4F)ppm。
【0088】
25mLのフラスコに、N,N’−ビス(3,3,4,4−テトラヒドロパーフルオロデカノイル)−1,3−ジアミノ−2−プロパノール(2.0g)、トリエチルアミン(0.33g)、およびテトラヒドロフラン(3mL)を加えた。テトラヒドロフラン(3mL)中メタクリロイルクロリド(0.33g)を約10℃で滴下した。得られた混合物を室温で15時間撹拌させた。得られた固体を濾別し、約50mLの塩化メチレンで洗浄した。次いで、濾液および洗液を合わせて約25mLの水に注ぎ込んだ。有機層を単離し、再び水(2回×30mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮し、終夜真空乾燥して、固体(2.03g)を得た。生成物は、下記の分析が示す通りN,N’−ビス(3,3,4,4−テトラヒドロパーフルオロデカノイル)−1,3−ジアミノ−2−プロピルメタクリレートである。F NMR(アセトン−d6)−82.2(tt,J=10,3Hz,6F),−107.8(ABq m,J=255Hz,4F),−122.9(m,4F),−123.8(m,4F),−124.2(m,4F),−127.2(m,4F)ppm。H NMR(アセトン−d6)1.89(m,3H),2.47(m,8H),3.36(m,4H),5.22(m,1H),5.62(m,1H),6.08(m,1H),8.39(br s,2H)ppm。
【0089】
N,N’−ビス(3,3,4,4−テトラヒドロパーフルオロデカノイル)−1,3−ジアミノ−2−プロピルメタクリレート(2.0g)、メタクリル酸ステアリル(1.2g)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(25mg)、およびテトラヒドロフラン(10mL)の混合物を60℃で15時間加熱した。反応混合物をメタノール(80mL)に注ぎ込んだ。ポリマーは沈殿した。これをメタノール(20mL)で洗浄し、次いで真空乾燥して、白色固体(2.36g)を得た。これはコポリマーであり、NMRにより約34%のFを含有した。
【0090】
試験方法1の手順で、コポリマーの溶液を調製し、綿およびナイロン生地に塗布した。処理済み生地の撥水性および撥油性をそれぞれ、試験方法2および3で試験した。結果を表3に示す。
【0091】
実施例6
25mLのビンに、ジエチレントリアミン(1.1g)およびテトラヒドロフラン(5mL)を加えた。テトラヒドロフラン(4mL)中3,3,4,4−テトラヒドロパーフルオロデカン酸エチル(10g、米国特許公報(特許文献3)の手順に従って調製)を約15℃で滴下した。得られた混合物を室温で15時間撹拌させた。反応混合物を濃縮し、真空乾燥して、10gの固体を得た。生成物は、下記の分析が示す通り1,7−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロデカノイル)−1,4,7−トリアザヘプタンである。H NMR(CDCl3)1.28(br s,1H),2.39(m,8H),2.85(t,J=5Hz,4H),3.42(q,J=5Hz,4H),6.79(br. s,2H)ppm。F NMR−81.3(tt,J=10,3Hz,6F),−107.4(t,J=16Hz,4F),−115.0(m,4F),−122.4(m,4F),−123.3(m,4F),−123.8(m,4F),−126.6(m,4F)ppm。
【0092】
25mLのフラスコに、1,7−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロデカノイル)−1,4,7−トリアザヘプタン(5g)、トリエチルアミン(0.64g)、およびテトラヒドロフラン(15mL)を加えた。テトラヒドロフラン(3mL)中メタクリロイルクロリド(0.67g)を、約10℃で上記の混合物に滴下した。混合物を室温で15時間撹拌した。反応混合物を水(50mL)に注ぎ込み、塩化メチレン(100mL)で抽出した。有機層を水(2回×50mL)で洗浄した。第2回目の洗浄中に、有機層はゲル状になった。ゲルを単離し、風乾して、4.9gの固体を得た。生成物は、下記の分析が示す通り1,7−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロデカノイル)−4−メタクリロイル−1,4,7−トリアザヘプタンである。H NMR(THF−d8)2.00(m,3H),2.52(m,8H),3.55(m,4H),3.67(m,4H),5.12(m,1H),5.23(m,1H),8.41(br s,2H)ppm。F NMR(THF−d8)−81.5(tt,J=10Hz,6F),−107.2(m,4F),−114.8(m,4F),−122.2(m,4F),−123.1(m,4F),−123.6(m,4F),−126.5(m,4F)ppm。
【0093】
1,7−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロデカノイル)−4−メタクリロイル−1,4,7−トリアザヘプタン(2.0g)、メタクリル酸ステアリル(0.8g)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(25mg)、およびテトラヒドロフラン(3mL)の混合物を60℃に24時間加熱した。反応混合物をメタノール(100mL)に注ぎ込んだ。沈殿したポリマーをメタノール(2回×30mL)で洗浄し、真空乾燥して、白色固体(0.81g)を得た。これはコポリマーであり、NMRにより約5.6%のFを含有した。
【0094】
試験方法1の手順で、コポリマーの溶液を調製し、綿およびナイロン生地に塗布した。処理済み生地の撥水性および撥油性をそれぞれ、試験方法2および3で試験した。結果を表3に示す。
【0095】
実施例7
N,N’−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロノナノイル)−1,3−ジアミノ−2−プロピルアクリレート(2.0g)、メタクリル酸ステアリル(0.8g)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(35mg)、およびテトラヒドロフラン(5mL)の混合物を60℃に15時間加熱した。混合物をメタノール(100mL)に注ぎ込んだ。沈殿したポリマーをメタノール(2回×20mL)で洗浄し、真空乾燥して、固体(2.48g)を得た。これはコポリマーであり、NMRにより約32.7%のFを含有した。
【0096】
試験方法1の手順で、コポリマーの溶液を調製し、綿およびナイロン生地に塗布した。処理済み生地の撥水性および撥油性をそれぞれ、試験方法2および3で試験した。結果を表3に示す。
【0097】
実施例8
N,N’−ビス(2,2,3,3−テトラヒドロパーフルオロノナノイル)−1,3−ジアミノ−2−プロピルメタクリレート(1.8g)、スチレン(0.88g)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(25mg)、およびテトラヒドロフラン(5mL)の混合物を60℃に15時間加熱した。混合物をメタノール(100mL)に注ぎ込んだ。沈殿したポリマーをメタノール(2回×30mL)で洗浄し、真空乾燥して、固体(1.56g)を得た。これはコポリマーであり、NMRにより約38%のFを含有した。
【0098】
試験方法1の手順で、コポリマーの溶液を調製し、綿およびナイロン生地に塗布した。処理済み生地の撥水性および撥油性をそれぞれ、試験方法2および3で試験した。結果を表3に示す。
【0099】
実施例9
25mLのフラスコに、1,3−ジアミノ−2−プロパノール(1.5g)およびTHF(5mL)を加えた。THF(5mL)中CF3(OCF2nCO2Me(n:2〜5、14.5g)を約10℃で滴下した。得られた混合物を室温で15時間撹拌させた。反応混合物を濃縮し、真空乾燥して、H NMR(CDCl3)1.55(br s,1H),3.41(m,4H),4.02(五重線,J=5Hz,1H),6.95(br. s,2H)ppmの粘性油13.5gを得た。生成物は、N,N’−ビス(ポリオキサパーフルオロアシル)−1,3−ジアミノ−2−プロパノールである。
【0100】
25−mLのフラスコに、N,N’−ビス(ポリオキサパーフルオロアシル)−1,3−ジアミノ−2−プロパノール(5.5g、E110448−72)、Et3N(0.82g)、およびTHF(15mL)を加えた。メタクリロイルクロリド(3mLのテトラヒドロフラン中0.84g)を、約10℃で上記の混合物に滴下した。混合物を室温で15時間撹拌した。反応混合物のGC分析は、生成物が生じたことを示唆した。混合物を水(40mL)に注ぎ込み、エーテル(100mL)で抽出した。エーテル溶液を水(3回×30mL)、NaCl(飽和、10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮し、真空乾燥して、5.7gの非常に粘性の油を得た。生成物は、N,N’−ビス(ポリオキサパーフルオロアシル)−1,3−ジアミノ−2−プロピルメタクリレートである。
【0101】
N,N’−ビス(ポリオキサパーフルオロアシル)−1,3−ジアミノ−2−プロピルメタクリレート(2.0g)、メタクリル酸ステアリル(0.80g)、バゾ(VAZO)52(25mg)、およびTHF(5mL)の混合物を60℃に15時間加熱した。混合物をメタノール(100mL)に注ぎ込んだ。沈殿したポリマーをメタノール(2回×30mL)で洗浄し、真空乾燥して、白色固体(1.01g)を得た。これはコポリマーであり、NMRにより約23.7%のFを含有した。
【0102】
試験方法1の手順で、コポリマーの溶液を調製し、綿およびナイロン生地に塗布した。処理済み生地の撥水性および撥油性をそれぞれ、試験方法2および3で試験した。結果を表3に示す。
【0103】
実施例10
100mLのフラスコに、エタノールアミン(2.0g)およびTHF(20mL)を加えた。CF3(OCF2nCO2Me(n:2〜5、10g)を上記の混合物に室温で滴下した。わずかに発熱性の反応が観察された。混合物を室温で1時間撹拌した。混合物のGC分析は、所望のアミドが生じたことを示唆した。反応混合物を室温で終夜撹拌させた。反応混合物を水(150mL)に注ぎ込み、CH2Cl2(100mL)で抽出した。抽出物を水(3回×50mL)で洗浄し、濃縮し、真空乾燥して、H NMR(CDCl3)1.77(br s,1H),3.54(q,J=5Hz,2H),3.92(t,J=5Hz,2H),6.74(br s,1H)ppmの油(9.5g)を得た。生成物は、N−(ポリオキサパーフルオロアシル)−2−アミノエタノールである。
【0104】
100mLのフラスコに、トリエチルアミン(3.0g)、THF(60mL)、およびN−(ポリオキサパーフルオロアシル)−2−アミノエタノール(9.1g)を加えた。メタクリロイルクロリド(THF20mL中3.1g)を、10℃で上記の混合物に滴下した。混合物を室温で3時間撹拌した。固体を濾別し、濾過液を水(150mL)に注ぎ込み、CH2Cl2(2回×100mL)で抽出した。抽出物を水(3回×50mL)で洗浄し、濃縮し、真空乾燥して、油(10.3g)を得た。これは、N−(ポリオキサパーフルオロアシル)−2−アミノエチルメタクリレートである。
【0105】
ドライボックス中で、25mLのフラスコに、バゾ(VAZO)52(25mg)、THF(5mL)、メタクリル酸ステアリル(1.0g)、およびN−(ポリオキサパーフルオロアシル)−2−アミノエチルメタクリレート(2.0g)を加えた。混合物を60℃に15時間加熱した。反応混合物は非常に粘性になった。これをMeOH(50mL)に注ぎ込んだ。沈殿したポリマーをメタノール(2回×20mL)で洗浄し、真空乾燥して、固体(2.5g)を得た。これはコポリマーであり、NMRにより約23.5%のFを含有した。
【0106】
試験方法1の手順で、コポリマーの溶液を調製し、綿およびナイロン生地に塗布した。処理済み生地の撥水性および撥油性をそれぞれ、試験方法2および3で試験した。結果を表3に示す。
【0107】
実施例11
エタノールアミン(13g、28ミリモル)およびエーテル(30mL)の混合物を15℃に冷却した。パーフルオロ−2−メチル−3−オキサヘキサノイルフルオリド(エーテル50mL中33g)を滴下して、反応温度を25℃未満に保った。添加した後、反応混合物を室温で1時間撹拌した。固体を濾別し、濾液を塩酸(0.5N、30mL)、水(2回×30mL)、炭酸水素ナトリウム溶液(0.5N、20mL)、水(30mL)、および塩化ナトリウム溶液(飽和、20mL)で洗浄した。次いで、濃縮し、室温で終夜真空乾燥して、白色固体35gを得た(収率:95%)。H NMR(CDCl3)1.67(br s,1H),3.57(m,2H),3.80(t,J=5Hz,2H),6.91(br s,1H)ppm。F NMR(CDCl3)−81.2(dm,J=148Hz,1F),−81.7(t,J=7Hz,3F),−82.7(d,J=3Hz,3F),−85.2(dm,J=148Hz,1F),−130.1(s,2F),−133.2(m,1F)ppm。生成物は、N−(パーフルオロ−2−メチル−3−オキサヘキサノイル)−2−アミノエタノールである。
【0108】
250mLのフラスコに、トリエチルアミン(8.2g)、THF(80mL)、およびN−(パーフルオロ−2−メチル−3−オキソ−ヘキサノイル)−2−アミノエタノール(25g)を加えた。メタクリロイルクロリド(テトラヒドロフラン20mL中8.44g)を、5℃で上記の混合物に滴下した。混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を水(200mL)に注ぎ込むと、2層となった。水相(上層)を塩化メチレン(5回×50mL)で抽出した。塩化メチレン抽出物と元の有機層を合わせて水(6回×60mL)で洗浄し、希塩酸(0.5N)で中和し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、真空乾燥して、油のN−(パーフルオロ−2−メチル−3−オキサヘキサノイル)−2−アミノエチルメタクリレート(27.06g)を得た(収率:92%)。H NMR(CDCl3)1.94(m,3H),3.72(m,2H),4.33(m,2H),5.63(m,1H),6.12(m,1H),6.88(br s,1H)ppm。F NMR(CDCl3)−81.2(dm,J=148Hz,1F),−81.7(t,J=7Hz,3F),−82.7(d,J=3Hz,3F),−85.2(dm,J=148Hz,1F),−130.1(s,2F),−133.4(m,1F)ppm。
【0109】
ドライボックス中で、バゾ(VAZO)52(47mg)、THF(5mL)、メタクリル酸ステアリル(1.91g)、およびN−(パーフルオロ−2−メチル−3−オキサヘキサノイル)−2−アミノエチルメタクリレート(2.48g)の混合物を60℃に17時間加熱した。反応混合物をメタノール(60mL)に注ぎ込み、沈殿したポリマーをメタノールで洗浄し、真空乾燥して、固体3.72gを得た。これは、N−(パーフルオロ−2−メチル−3−オキサヘキサノイル)−2−アミノエチルメタクリレートとメタクリル酸ステアリルのコポリマーであり、22%のFを含有した。試験方法1の手順で、コポリマーの溶液を調製し、綿およびナイロン生地に塗布した。処理済み生地の撥水性および撥油性をそれぞれ、試験方法2および3で試験した。結果を表3に示す。
【0110】
比較例A
窒素雰囲気中で、20mLのバイアルに、米国フロリダ州アラチュアのシンクエスト・フルオロケミカルズ(SynQuest Fluorochemicals,Alachua,FL)から入手した1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルアクリレート(2.0g)、メタクリル酸ステアリル(1.2g)、テトラヒドロフラン(8mL)、および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(23mg)を加えた。反応物を60℃で21時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物をメタノール(100mL)に注ぎ込んだ。沈殿したポリマーをメタノール(20mL)で洗浄し、真空乾燥して、ポリマー(2.56g)を得た。
【0111】
試験方法1の手順で、コポリマーの溶液を調製し、綿およびナイロン生地に塗布した。処理済み生地の撥水性および撥油性をそれぞれ、試験方法2および3で試験した。結果を表3に示す。
【0112】
比較例B
250mLのフラスコに、米国フロリダ州アラチュアのシンクエスト・フルオロケミカルズ(SynQuest Fluorochemicals,Alachua,FL)から入手した1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアクリレート(20.4g)、メタクリル酸ステアリル(13.5g)、1−ドデカンチオール(0.2g)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル、(バゾ(VAZO)67、0.4g)、およびテトラヒドロフラン(100mL)を加えた。フラスコを18℃に冷却し、窒素を30分間流した。75℃の油浴を使用して、反応混合物を66℃で14.5時間加熱した。反応混合物(115.4g)が得られた。その固形分を、下記の手順で確定した。反応溶液の試料(1.82g)を80℃で真空乾燥して、固体0.56gを得た。
【0113】
試験方法1の手順で、コポリマーの溶液を調製し、綿およびナイロン生地に塗布した。処理済み生地の撥水性および撥油性をそれぞれ、試験方法2および3で試験した。結果を表3に示す。
【0114】
【表3】

【0115】
表3のデータから、実施例は先行技術と類似またはそれより良好であることが実証された。綿の場合、実施例3および4は、4個の炭素を有するパーフルオロアルキル鎖長を有し、したがってこれは、撥水性の下限を表すが、優れた撥油性をもたらした。ナイロンの場合、比較例Bはパーフルオロアルキル鎖中に8個の炭素を有し、撥水性について4個または6個の炭素を有する本発明の実施例は類似していた。ナイロンの場合、撥油性について本発明の実施例は優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
fは、少なくとも1個の酸素原子によって任意選択で中断されている約1個〜約20個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であり、
3は酸素またはX1であり、
1はそれぞれ独立して、酸素、窒素、もしくは硫黄、またはそれらの組合せを任意選択で含む、約1個〜約20個の炭素原子を有する2価の有機連結基であり、
GはFまたはCF3であり、
Aはアミドであり、
jは0または正の整数であり、
2は有機連結基であり、
YはO、N、またはSであり、
YがNである場合、hは0であり、YがOまたはSである場合、hは1であり、
ZはH、約1個〜約4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはハロゲン化物であり、
BはHまたは
【化2】

であり、ここで
f、X1、X3、G、A、およびjは上記に定義する通りであり、ただしBがHである場合、jは正の整数であることを条件とし、
mは正の整数であり、
YがOである場合、qは0または正の整数であり、YがNまたはSである場合、qは正の整数であり、
YがOである場合、pは0または正の整数であり、YがNまたはSである場合、pは正の整数であり、
Wはそれぞれ独立して、
【化3】

または[R1−X1−Y−C(O)−C(Z)−CH2]であり、
ここで
1、Y、およびZは上記に定義する通りであり、
RxはC(O)O(R1)、C(O)N(R22、OC(O)(R1)、SO2(R1)、C6(R35、O(R1)、ハロゲン化物、またはR1であり、
1はそれぞれ独立して、H、Cn2n+1、Cn2n−CH(O)CH2、[CH2CH2O]i4、[Cn2n]N(R42、または[Cn2n]Cn2n+1であり、
nは1〜40であり、
4はHまたはCs2s+1であり、
s=0〜40であり、
i=1〜200であり、
2はそれぞれ独立して、HまたはCt2t+1であり、ここでtは1〜20であり、
3はそれぞれ独立して、H、COOR1、ハロゲン、N(R12、OR1、SO2NHR1、CH=CH2、またはSO3Mであり、ここでR1は上記に定義する通りであり、
MはH、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウムである)
のいずれかの配列の繰返し単位を有するコポリマーを含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
式2:
【化4】

(式中、
fは、少なくとも1個の酸素原子によって任意選択で中断されている約1個〜約20個の炭素原子を有する線状パーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であり、
3は酸素またはX1であり、
1はそれぞれ独立して、酸素、窒素、もしくは硫黄、またはそれらの組合せを任意選択で含む、約1個〜約20個の炭素原子を有する2価の有機連結基であり、
GはFまたはCF3であり、
Aはアミドであり、
jは0または正の整数であり、ただし、YがNである場合、jは正の整数であることを条件とし、
2は有機連結基であり、
YはO、N、またはSであり、
YがNである場合、hは0であり、YがOまたはSである場合、hは1であり、
ZはH、約1個〜約4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはハロゲン化物であり、
BはHまたは
【化5】

であり、ここで
f、X1、X3、G、A、およびjは上記に定義する通りである)
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項3】
式3:
【化6】

(式中、
fは、少なくとも1個の酸素原子によって任意選択で中断されている約1個〜約20個の炭素原子を有する線状パーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であり、
3は酸素またはX1であり、
1はそれぞれ独立して、酸素、窒素、もしくは硫黄、またはそれらの組合せを任意選択で含む、約1個〜約20個の炭素原子を有する2価の有機連結基であり、
GはFまたはCF3であり、
Aはアミドであり、
jは0または正の整数であり、ただし、YがNである場合、jは正の整数であることを条件とし、
2は有機連結基であり、
YはO、N、またはSであり、
YがNである場合、hは0であり、YがOまたはSである場合、hは1であり、
ZはH、約1個〜約4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはハロゲン化物であり、
BはHまたは
【化7】

であり、ここで
f、X1、X3、G、A、およびjは上記に定義する通りであり、Eはヒドロキシル、アミン、ハロゲン、およびチオールからなる群から選択され、ただしEがアミンである場合、hは0であり、Eがアミン以外である場合、hは1であることを条件とする)
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項4】
fが、式F((CF2CF2nを有するパーフルオロアルキル基であって、nは2〜約20であるもの、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1、2、または3に記載の組成物。
【請求項5】
nが3または6であることを特徴とする請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
1が、直鎖、分岐鎖、または環式のアルキレン、フェニル、アリーレン、アラルキレン、スルホニル、スルホキシ、スルホンアミド、カーボンアミド、カルボニルオキシ、ウレタニレン、ウレイレン、およびそれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする請求項1、2、または3に記載の組成物。
【請求項7】
2がR5Cであり、R5はHまたはC1〜C4アルキルであることを特徴とする請求項1、2、または3に記載の組成物。
【請求項8】
Wが、
【化8】

であり、RxはC(O)O(R1)、C(O)N(R22、C6(R35、またはハロゲン化物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
水性分散液または溶液の形であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
A)ノーアイロン性、アイロンの掛け易さ、防縮性、防しわ性(wrinkle free)、パーマネントプレス、調湿性、柔軟性、強度、すべり防止性、帯電防止性、ほつれ防止性、抗毛玉性、防しみ性、しみ除去性、防汚性、汚れ除去性、撥水性、撥油性、防臭性、抗菌性、または日焼け防止性である表面効果をもたらす作用剤、
B)界面活性剤、酸化防止剤、光堅牢剤、色堅牢剤、水、pH調整剤、架橋剤、濡れ剤、エクステンダー、発泡剤、加工助剤、潤滑剤、ブロックトイソシアネート、および非フッ素化エクステンダー、または
C)それらの組合せ
の少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
任意選択のモノマーに由来する繰返し単位をさらに含み、前記モノマーは、N−メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキルオキシ(メタ)アクリレート、フッ素化(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、アクリル酸ステアリル、アミノアルキルメタクリレート塩酸塩、アクリルアミド、アルキルアクリルアミド、酢酸ビニル、ステアリン酸ビニル、アルキルビニルスルホン、スチレン、ビニル安息香酸、アルキルビニルエーテル、無水マレイン酸、塩化ビニリデン、塩化ビニル、およびオレフィンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
撥水性および撥油性を基材に付与する方法であって、前記基材と請求項1、10、または11に記載の組成物とを接触させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1、10、または11に記載の組成物が塗布されていることを特徴とする基材。

【公表番号】特表2010−500449(P2010−500449A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523839(P2009−523839)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/017674
【国際公開番号】WO2008/021153
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】