説明

フマル酸クエチアピンの調製方法

本発明はクエチアピンおよび薬学的に許容可能な塩の改良された調製方法に関する。本発明はクエチアピンの中間体の改良された調製方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクエチアピンとその薬学的に許容可能な塩の改良された調製方法に関する。本発明はクエチアピンの中間体の改良された調製方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
化学式Iのフマル酸クエチアピン、化学的には2‐[2‐(4‐ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン‐11‐イル‐1‐ピペラジニル)エトキシ]‐フマル酸エタノール(2:1)(塩)またはBis{2‐[2‐(4‐ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン‐11‐イル‐1‐ピペラジニル)エトキシ]エタノール}モノフマレートは、双極性障害(躁うつ病)に関連するうつ病相(エピソード)および双極I型障害に関する急性躁病の両方の治療にリチウムまたはジバルプロックスの単独治療または補助的治療のいずれかとして利用される。これは統合失調症の治療のためにも利用される。
【化1】

【0003】
クエチアピンは例えば米国特許4879288号(以降‘288特許’)で教示されており、その全体内容をここで援用する。クエチアピンの調製方法において一つの重要な中間体は、化学式IIに図示されている11‐クロロジベンゾ[b、f][1,4]チアゼピンである。
【化2】

【0004】
‘288特許’は次のスキームに図示されているフマル酸クエチアピンの調製方法を提供する。
【化3】

【0005】
‘228特許’においてクエチアピンは、極性有機溶媒または非プロトン性溶媒中で11‐ピペラジニルジベンゾ[b,f][1,4]‐チアゼピンまたはその酸添加塩を2‐(2‐クロロエトキシ)エタノールと反応させて調製された。炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムのような無機塩基が反応に使用され、反応はヨウ化ナトリウムなどの促進剤/触媒の存在下で実行された。反応時間は24時間以上であったと報告されている。
【0006】
‘288特許’は、11‐ピペラジニルジベンゾ[b,f][1,4]‐チアゼピンまたはその酸添加塩をピペラジンと反応させ、続いて得られた生成物をクロロエトキシエタノールと反応させることによるクエチアピンの調製方法も提供している。
【0007】
WO2004/076431はクエチアピンの改良された調製方法を提供する。ここでは反応をより短い時間で完了させるため、塩基と相間移動触媒の存在下で、11‐ピペラジニルジベンゾ[b,f][1,4]‐チアゼピンジヒドロクロリドを2‐(2‐クロロエトキシ)エタノールと反応させた。報告された生成量は少ない方で約60%から73%の範囲である。
【0008】
クエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩およびそれらの多形体の調製のためのいくつかの方法が報告されており、例えば、欧州特許EP0282236;チェコ共和国特許CZ0295046およびCZ0295017;国際特許(PCT)公開番号第WO99/06381;WO01/055125;WO2003/078735;WO2005/012274;WO2005/028457;WO2005/028458;WO2005/028459;WO2006/027789;WO2006/001619;WO2006/035293;WO2006/056771;WO2006/056772;WO2006/094549;WO2006/113425;WO2006/117700;WO2006/077602;WO2006/135544;WO2007/004234;WO2007/020011;WO2007/036599;WO2007/048870;WO2007/102074;WO2008/003270;WO2008/121415;WO2008/152434;およびWO2009/004480である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許4879288号
【特許文献2】WO2004/076431
【特許文献3】欧州特許EP0282236
【特許文献4】チェコ共和国特許CZ0295046
【特許文献5】チェコ共和国特許CZ0295017
【特許文献6】WO99/06381
【特許文献7】WO01/055125
【特許文献8】WO2003/078735
【特許文献9】WO2005/012274
【特許文献10】WO2005/028457
【特許文献11】WO2005/028458
【特許文献12】WO2005/028459
【特許文献13】WO2006/027789
【特許文献14】WO2006/001619
【特許文献15】WO2006/035293
【特許文献16】WO2006/056771
【特許文献17】WO2006/056772
【特許文献18】WO2006/094549
【特許文献19】WO2006/113425
【特許文献20】WO2006/117700
【特許文献21】WO2006/077602
【特許文献22】WO2006/135544
【特許文献23】WO2007/004234
【特許文献24】WO2007/020011
【特許文献25】WO2007/036599
【特許文献26】WO2007/048870
【特許文献27】WO2007/102074
【特許文献28】WO2008/003270
【特許文献29】WO2008/121415
【特許文献30】WO2008/152434
【特許文献31】WO2009/004480
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
クエチアピンは重要な治療剤を構成するため、クエチアピンおよびその塩を調製する追加的および改良された方法は薬剤科学にとって重要である。本発明の目的の一つは、産業規模での化合物の合成、精製、単離を可能にするようにクエチアピンを多量および高純度で調製するための方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1態様は、化学式IIの化合物の精製方法を提供する。本方法は、
【化4】

a)化学式IIの化合物を芳香族炭化水素中で溶解させるステップと、
b)オプションでその溶媒を濃縮によって減少させるステップと、
c) 得られた混合物をヘキサンで処理するステップと、
d)化学式IIの純粋な化合物を回収するステップと、
を含んでいる。
【0012】
本発明の実施態様は次の特徴を1以上含むことができる。例えば、芳香族炭化水素はベンゼン、トルエン、キシレン、置換トルエンおよび置換キシレンのうちの1以上を含むことができる。
【0013】
本発明の別な実施態様はクエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法を提供する。本方法は、
a)化学式IIIの化合物をハロゲン化剤で処理し、
【化5】

化学式IIの化合物を得るステップと、
【化6】

b)化学式IIの化合物を芳香族炭化水素中に溶解させるステップと、
c)オプションで溶媒を濃縮によって減少させるステップと、
d)得られた混合物をヘキサンで処理するステップと、
e)化学式IIの純粋な化合物を回収するステップと、
f)化学式IIの純粋な化合物をクエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩に変換させるステップと、
を含んでいる。
【0014】
この実施態様は次の特徴を1以上含むことができる。例えば、ハロゲン化剤はオキシハロゲン化リン(POHal)、五ハロゲン化リン(PHal)、塩化チオニルおよび塩化オキサリルのうちの1以上を含むことができる。芳香族炭化水素はベンゼン、トルエン、キシレン、置換トルエンおよび置換キシレンのうちの1以上を含むことができる。
【0015】
別な特徴では、本発明は化学式IVまたはその塩の調製方法を提供する。
【化7】

【0016】
この方法は化学式IIの化合物またはその塩を、
【化8】

芳香族炭化水素および極性非プロトン性溶媒を含む溶媒の混合物中でピペラジンと反応させるステップを含んでいる。
【0017】
この特徴の実施態様は次の特徴を1以上含んでいる。例えば、芳香族炭化水素はベンゼン、トルエン、キシレン、置換トルエンおよび置換キシレンのうちの1以上を含むことができる。極性非プロトン性溶媒はジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,4‐ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトンおよびアセトニトリルのうちの1以上を含むことができる。芳香族炭化水素および極性非プロトン性溶媒は約1:1の比率で使用される。
【0018】
さらに別な実施態様では、クエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法が提供される。この方法は、
a)化学式IIの化合物またはその塩を、
【化9】

芳香族炭化水素および極性非プロトン性溶媒を含む溶媒の混合物中でピペラジンと反応させて化学式IVの化合物、またはその塩を得るステップと、
【化10】

b)化学式IVの化合物をクエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩に変換させるステップと、
を含んでいる。
【0019】
この実施態様は次の特徴を1以上含んでいる。例えば、芳香族炭化水素はベンゼン、トルエン、キシレン、置換トルエンおよび置換キシレンのうちの1以上を含むことができる。極性非プロトン性溶媒はジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,4‐ジオキサン、テトラヒドロフランおよびアセトン、アセトニトリルのうちの1以上を含むことができる。芳香族炭化水素および極性非プロトン性溶媒は約1:1の比率で使用される。
【0020】
別な一般的な特徴では、本発明はクエチアピンまたはその塩の調製方法を提供する。この方法は、化学式IVの化合物、またはその塩、
【化11】

および化学式Vの2‐(2‐クロロエトキシ)エタノール
【化12】

の溶媒の混合物中でのアルキル化ステップを含んでおり、この混合物は芳香族炭化水素および極性非プロトン性溶媒の混合物または芳香族炭化水素、水および極性非プロトン性溶媒の混合物のいずれかを含んでおり、アルキル化は相間移動触媒の不存在下で実行される。
【0021】
この特徴の実施態様は次の特徴を1以上含むことができる。例えば、芳香族炭化水素はベンゼン、トルエン、キシレン、置換トルエンおよび置換キシレンのうちの1以上を含むことができる。極性非プロトン性溶媒はジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,4‐ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトンおよびアセトニトリルのうちの1以上を含むことができる。
【0022】
別な一般的な特徴では、クエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法が提供される。この方法は、
a)化学式IIIの化合物を
【化13】

ハロゲン化剤で処理して化学式IIの化合物を得るステップと、
【化14】

b)化学式IIの化合物を芳香族炭化水素中に溶解させるステップと、
c)オプションで溶媒を濃縮によって減少させるステップと、
d)得られた物質をヘキサンで処理するステップと、
e)化学式IIの純粋な化合物を回収するステップと、
f)芳香族炭化水素および極性非プロトン性溶媒を含む溶媒の混合物中で化学式IIの化合物またはその塩をピペラジンと反応させ、化学式IVの化合物、またはその塩を得るステップと、
【化15】

g)化学式IVの化合物またはその塩を
【化16】

化学式Vの2‐(2‐クロロエトキシ)エタノールと、
【化17】

芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒の混合物または芳香族炭化水素、水および極性非プロトン性溶媒の混合物のいずれかを含む溶媒の混合物中で相間移動触媒の不存在下でアルキル化させて、クエチアピンを得るステップと、
h)クエチアピンを薬学的に許容可能な塩で処理するステップと、
i)クエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩を単離させるステップと、
を含んでいる。
【0023】
この実施態様は次の特徴を1以上含むことができる。例えば、ハロゲン化剤はオキシハロゲン化リン(POHal)、五ハロゲン化リン(PHal)、塩化チオニルおよび塩化オキサリルのうちの1以上を含むことができる。芳香族炭化水素はベンゼン、トルエン、キシレン、置換トルエンおよび置換キシレンのうちの1以上を含むことができる。極性非プロトン性溶媒はジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,4‐ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトンおよびアセトニトリルのうちの1以上を含むことができる。
【0024】
さらに別な一般的な特徴では、本発明はクエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法を提供する。この方法は、
a)化学式IIIの化合物を
【化18】

ハロゲン化剤で処理して化学式IIの化合物を得るステップと、
【化19】

b)化学式IIの化合物を芳香族炭化水素中に溶解させるステップと、
c)オプションで溶媒を濃縮によって減少させるステップと、
d)芳香族炭化水素および極性非プロトン性溶媒を含む溶媒の混合物中で化学式IIの化合物またはその塩をピペラジンと反応させて化学式IVの化合物またはその塩を得るステップと、
【化20】

e)化学式IVまたはその塩を、
【化21】

化学式Vの2‐(2‐クロロエトキシ)エタノールと、
【化22】

芳香族炭化水素および極性非プロトン性溶媒、または芳香族炭化水素、水および極性非プロトン性溶媒の混合物のいずれかを含む溶媒の混合物中で相間移動触媒の不存在下でアルキル化させて、クエチアピンを得るステップと、
f)クエチアピンを薬学的に許容可能な酸で処理するステップと、
g)クエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩を単離させるステップと、
を含んでおり、全方法はその場(インサイチュー)で実行される。
【0025】
この特徴の実施態様は次の特徴を1以上含むことができる。例えば、ハロゲン化剤はオキシハロゲン化リン(POHal)、五ハロゲン化リン(PHal)、塩化チオニルおよび塩化オキサリルのうちの1以上を含むことができる。芳香族炭化水素はベンゼン、トルエン、キシレン、置換トルエンおよび置換キシレンのうちの1以上を含むことができる。極性非プロトン性溶媒はジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,4‐ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトンおよびアセトニトリルのうちの1以上を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、水の不存在下での化学式IVの化合物の塩酸塩と2‐(2‐クロロエトキシ)エタノールとの反応によって得られたクエチアピンのHPLCクロマトグラムを示している。
【図1a】図1aは、水の不存在下での化学式IVの化合物の塩酸塩と2‐(2‐クロロエトキシ)エタノールとの反応によって得られたクエチアピンのHPLCクロマトグラムのピーク結果を示している。
【図2】図2は、水の存在下での化学式IVの化合物の塩酸塩と2‐(2‐クロロエトキシ)エタノールとの反応によって得られたクエチアピンのHPLCクロマトグラムを示している。
【図2a】図2aは、水の存在下での化学式IVの化合物の塩酸塩と2‐(2‐クロロエトキシ)エタノールとの反応によって得られたクエチアピンのHPLCクロマトグラムのピーク結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
ここで使用される“室温”とは、約18℃から約29℃である。
【0028】
ここで使用される“化学式IIの純粋な化合物”とは、実質的に酸性不純物が存在しない化学式IIの化合物のことである。
【0029】
本発明の特徴の一つは化学式IIの化合物の精製方法を提供である。この方法は、
【化23】

a)化学式IIの化合物を芳香族炭化水素中に溶解させるステップと、
b)オプションで溶媒を濃縮によって減少させるステップと、
c)得られた物質をヘキサンで処理するステップと、
d)化学式IIの純粋な化合物を回収するステップと、
を含んでいる。
【0030】
本発明の別な特徴はクエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法を提供する。この方法は、
a)化学式IIIの化合物を
【化24】

ハロゲン化剤で処理して化学式IIの化合物を得るステップと、
【化25】

b)化学式IIの化合物を芳香族炭化水素中に溶解させるステップと、
c)オプションで溶媒を濃縮によって減少させるステップと、
d)得られた物質をヘキサンで処理するステップと、
e)化学式IIの純粋な化合物を回収するステップと、
f)化学式IIの純粋な化合物をクエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩に変換させるステップと、
を含んでいる。
【0031】
開始化合物であるジベンゾ [b,f][1,4]‐チアゼピン‐11(10H)‐oneは、例えばJ.シュミッツ他のHelv.Chim.Acta,48:336(1965年)で解説されている方法に従った、従来技術で知られた方法によって得られる。ジベンゾ [b,f][1,4]‐チアゼピン‐11(10H)‐oneは塩基の存在下でハロゲン化剤によりハロゲン化される。
【0032】
使用されるハロゲン化剤は、オキシハロゲン化リン(POHal)、五ハロゲン化リン(PHal)、塩化チオニルおよび塩化オキサリルから成る群から選択できる。好適には、例えば約1.2から約15までの、ハロゲン化剤の少々のモル過剰から高いモル過剰までが使用される。
【0033】
使用される塩基はN,N‐ジメチルアニリンおよびトリエチルアミンから成る群から選択できる。
【0034】
反応は高温、好適には反応混合物の還流温度で4時間から10時間の間、さらに好適には約6時間の間実行される。
【0035】
反応の完了後、その反応混合物は約60℃から約75℃の間に冷却され、余剰ハロゲン化剤は回収される。
【0036】
11‐クロロジベンゾ [b,f][1,4]‐チアゼピンは芳香族炭化水素中に溶解される。
【0037】
芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、キシレン、置換トルエンおよび置換キシレンから成る群から選択でき、好適にはトルエンである。
【0038】
追加的ハロゲン化剤を除去するため、水で処理することで追加的な精製が実行できる。
【0039】
オプションで濃縮された溶液にヘキサンが加えられ、化学式IIの純粋な11‐クロロジベンゾ [b,f][1,4]‐チアゼピン‐11が回収される。
【0040】
化学式IIの純粋な化合物の回収ステップは、化学式IIの未精製溶液の濃縮ステップと、化学式IIの化合物の結晶化ステップと、化学式IIの化合物を沈殿させるステップと、化学式IIの未精製化合物またはその任意の組合せの溶液を冷却して化学式IIの純粋な化合物を生成するステップと、を含むことができる。好適には、ヘキサンの追加後、混合物は約65℃から約75℃の間で約1時間から約3時間還流され、その後約−5℃から約5℃まで冷却される。
【0041】
本発明の別な特徴は化学式IVの化合物、またはその塩の調製方法を提供する。この方法は、
【化26】

化学式IIの化合物またはその塩を、
【化27】

芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒から成る溶媒の混合物中でピペラジンと反応させるステップを含んでいる。
【0042】
本発明の別な特徴はクエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法を提供する。この方法は、
a)化学式IIの化合物またはその塩を、
【化28】

芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒から成る溶媒の混合物中でピペラジンと反応させ、化学式IVまたはその塩を得るステップと、
【化29】

b)化学式IVの化合物をクエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩に変換させるステップと、
を含んでいる。
【0043】
芳香族炭化水素中の11‐クロロジベンゾ [b,f][1,4]チアゼピン溶液を芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒から成る溶媒の混合物中のピペラジン溶液に加える。
【0044】
芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエンおよびキシレン、置換トルエンおよび置換キシレンから選択でき、好適にはトルエンである。
【0045】
極性非プロトン性溶媒は、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,4‐ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトンおよびアセトニトリルから成る群から選択でき、好適にはジメチルスルホキシドである。
【0046】
芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒の混合物は約1:0.3から約1:1.5の比率で使用され、好適には1:1の比率で使用される。
【0047】
得られた混合物は約2時間から約20時間、約23℃から約35℃の間で撹拌され、その後水が加えられる。
【0048】
化学式IVの化合物{11‐ピペラジニル‐ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン}を含む有機層は、有機層を濾過して水で洗浄することによって得られる。その後、その有機層は乾燥される。その後、11‐ピペラジニル‐ジベンゾ [b,f][1,4]チアゼピンはその酸追加塩として、好適にはジヒドロクロリド塩として、先ず溶液を極性溶媒、好適にはエタノールで希釈することによって溶媒から単離される。その後、塩酸が塩形成させる化学量論量だけ追加され、沈殿固体物が濾過などの固体回収法によって単離できる。その固体物はエタノールで洗浄され真空下で乾燥される。
【0049】
本発明はクエチアピンまたはその塩の調製方法を提供する。この方法は、
化学式IVの化合物またはその塩、
【化30】

および化学式Vの2‐(2‐クロロエトキシ)エタノールを、
【化31】

溶媒の混合物中でアルキル化するステップを含んでおり、その混合物は芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒の混合物、または芳香族炭化水素、水および極性非プロトン性溶媒の混合物であり、アルキル化は相間移動触媒の不存在下で実行される。
【0050】
本発明のさらに別な特徴は、クエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法を提供し、この方法は、
a)化学式IIIの化合物を
【化32】

ハロゲン化剤で処理して化学式IIの化合物を得るステップと、
【化33】

b)化学式IIの化合物を芳香族炭化水素中に溶解させるステップと、
c)オプションで溶媒を濃縮によって減少させるステップと、
d)得られた物質をヘキサンで処理するステップと、
e)化学式IIの純粋な化合物を回収するステップと、
f)化学式IIの化合物またはその塩を、
【化34】

芳香族炭化水素および極性非プロトン性溶媒から成る溶媒の混合物中で反応させて化学式IVの化合物またはその塩を得るステップと、
【化35】

g)クエチアピンを得るため、化学式IVの化合物、またはその塩を、
【化36】

化学式Vの2‐(2‐クロロエトキシ)エタノールで、
【化37】

溶媒の混合物中にてアルキル化させて、クエチアピンを得るステップと、
を含んでおり、
その混合物は芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒の混合物、または芳香族炭化水素、水および極性非プロトン性溶媒の混合物であり、
アルキル化は相間移動触媒の不存在下で実行され、この方法は、
h)クエチアピンを薬学的に許容可能な酸で処理するステップと、
i)クエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩を単離させるステップと、
をさらに含んでいる。
【0051】
開始化合物であるジベンゾ [b,f][1,4]チアゼピン‐11(10H)‐oneは、例えばJ.シュミッツ他のHelv.Chim.Acta,48:336(1965年)で解説されている方法に従った、従来技術で知られた方法によって得られる。ジベンゾ [b,f][1,4]‐チアゼピン‐11(10H)‐oneは塩基の存在下でハロゲン化剤によってハロゲン化される。
【0052】
使用されるハロゲン化剤は、オキシハロゲン化リン(POHal)、五ハロゲン化リン(PHal)、塩化チオニルおよび塩化オキサリルから成る群から選択できる。好適には、例えば約1.2から約15までの、ハロゲン化剤の少々のモル過剰から高いモル過剰までが使用される。
【0053】
使用される塩基はN,N‐ジメチルアニリンおよびトリエチルアミンから成る群から選択できる。
【0054】
反応は高温で、好適には反応混合物の還流温度で、さらに好適には約50℃から約120℃の間で、4時間から10時間の間、さらに好適には6時間実行される。
【0055】
反応の完了後、その反応混合物は約60℃から約75℃の間に冷却され、余剰ハロゲン化剤が回収される。
【0056】
11‐クロロジベンゾ [b,f][1,4]‐チアゼピンは芳香族炭化水素中に溶解される。
【0057】
追加のハロゲン化剤を除去するため、水で処理することで追加の精製が実行できる。
【0058】
芳香族炭化水素はベンゼン、トルエン、キシレン、置換トルエンおよび置換キシレンから選択できる。
【0059】
オプションで濃縮された溶液にヘキサンが加えられ化学式IIの純粋な化合物11‐クロロジベンゾ [b,f][1,4]チアゼピンが回収される。
【0060】
化学式IIの純粋化合物の回収は、化学式IIの純粋な化合物を生成するため、化学式IIの未精製化合物の溶液の濃縮ステップ、化学式IIの化合物の結晶化ステップ、化学式IIの化合物の沈殿ステップ、化学式IIの未精製化合物の溶液の冷却ステップ、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。
【0061】
好適には、ヘキサンの追加後、その混合物を約65℃から約75℃の間で約1時間から約3時間の間還流させ、その後約−5℃から約5℃まで冷却する。
【0062】
11‐クロロジベンゾ [b,f][1,4]チアゼピン溶液が、芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒から成る溶媒の混合物中のピペラジン溶液に加えられる。
【0063】
芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、およびキシレン、置換トルエンおよび置換キシレンから選択でき、好適にはトルエンである。
【0064】
極性非プロトン性溶媒は、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,4‐ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトンおよびアセトニトリルから成る群から選択でき、好適にはジメチルスルホキシドである。
【0065】
芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒の混合物は約1:0.3から約1:1.5の比率で使用され、好適には1:1の比率で使用される。
【0066】
得られた混合物を約2時間から約20時間、約23℃から約35℃で撹拌され、その後に水が加えられる。
【0067】
化学式IVの化合物{11‐ピペラジニル‐ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン}を含む有機層は、その有機層を濾過し、水で洗浄することによって得られる。その後、その有機層を乾燥される。その後、11‐ピペラジニル‐ジベンゾ [b,f][1,4]チアゼピンは、先ずその溶液を好適にはエタノールである極性溶媒で希釈することで、好適にはジヒドロクロリド塩であるその酸追加塩として溶媒から単離できる。その後塩酸が塩形成させる化学量論量だけ追加され、沈殿固体物が濾過などの固体回収法によって単離される。その固体物はエタノールで洗浄され真空下で乾燥される。
【0068】
11‐ピペラジニル‐ジベンゾ [b,f][1,4]チアゼピンまたはその塩を化学式Vの2‐(2‐クロロエトキシ)エタノールでアルキル化させるステップは、好適には溶媒の混合物中で約90℃から約105度の間で実施され、その混合物は、芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒の混合物、または芳香族炭化水素、水および極性非プロトン性溶媒の混合物であり、アルキル化は相間移動触媒の不存在下で実行される。その反応はアルキル化反応のために、塩基の存在下で、11‐ピペラジニル‐ジベンゾ [b,f][1,4]チアゼピンの塩をその遊離塩基に変換させるよう実行される。
【0069】
化学式IVの化合物またはその塩と2‐(2‐クロロエトキシ)エタノールとの反応中における溶媒の一種としての水の使用は不純物の発生を減少させ、クエチアピンのクロマトグラフィ純度は99.7%以上であることが分かった。
【0070】
反応後、2化学相を得るために水を加えることができる。非極性不純物を除去するため、pHが約5.3から約5.5の間になるまで有機相に酸を加えて撹拌することができる。
【0071】
水性層は組み合わされ、芳香族炭化水素、好適にはトルエンと塩基がpHが約7から約7.5の間になるまで加えられる。
【0072】
クエチアピンをオイルとして得るために、それらの層は分離され、有機層は水で洗浄され、有機層から溶媒が回収され、さらに、酸、好適にはフマル酸で処理されることによって、クエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩、好適にはフマル酸クエチアピンに変換される。
【0073】
本発明によりクエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法がさらに提供される。この方法は、
a)化学式IIIの化合物を
【化38】

ハロゲン化剤で処理して化学式IIの化合物を得るステップと、
【化39】

b)化学式IIの化合物を芳香族炭化水素中に溶解させるステップと、
c)オプションで溶媒を濃縮によって減少させるステップと、
d)化学式IIの化合物、またはその塩を、芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒から成る溶媒の混合物中で反応させて化学式IVの化合物、またはその塩を得るステップと、
【化40】

e)クエチアピンを得るため、化学式IVの化合物、またはその塩を、
【化41】

化学式Vの2‐(2‐クロロエトキシ)エタノールで、
【化42】

溶媒の混合物中にてアルキル化させて、クエチアピンを得るステップと、
を含んでおり、
その混合物は、芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒の混合物、または芳香族炭化水素、水および極性非プロトン性溶媒の混合物であり、アルキル化は相間移動触媒の不存在下で実行され、この方法は、
f)クエチアピンを薬学的に許容可能な酸で処理するステップと、
g)クエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩を単離するステップと、
をさらに含んでおり、全方法はその場(インサイチュー)で実行される。
【0074】
本発明について特定の実施例で説明したが、当業者にとってそれらの変更は可能であり、それらは本発明の範囲内に含まれる。
【実施例1】
【0075】
実施例1:11‐クロロ‐ジベンゾ[B,F][1,4]チアゼピンの調製
ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン‐11(10H)one(1.0Kg)、オキシクロリドリン(6.15L),N,N‐ジメチルアニリン(0.33Kg)が室温の窒素下で入れられ、還流させるために100℃±5℃で6時間加熱された。その混合物を65℃から70℃に冷却され、真空下にて65℃から70℃でオキシクロリドリンが完全に回収された。
【0076】
トルエン(2L)が入れられ、真空下で65℃から70℃で完全に回収された。残留物は室温に冷却され、トルエン(13L)が加えられて撹拌により溶解された。その溶液は0℃から10℃に冷却したDI水(4.35L)に追加され、0℃から10℃で30分間強力撹拌された。その有機層は0℃から10℃で分離され、0℃から10℃に冷却されたDI水(1.75L)で2回洗浄された。無水硫酸ナトリウム(1.0Kg)が有機層に入れられ、0℃から10℃で15分間撹拌された。その固体物は0℃から10℃で濾過によって除去され、0℃から10℃にてトルエンで洗浄された。その濾過物は真空下にて55℃±5℃で濃縮され、2L未満の量が残された。その残余物は室温に冷却され、その残余物にヘキサン(4.0L)が室温で加えられた。その混合物は67℃から69℃で30分間還流され、その後0℃から5℃に冷却され、0℃から5℃で30分間撹拌された。その固体物は0℃から5℃で濾過され、トルエン(0.66L)とヘキサン(1.32L)の混合物により0℃から5℃で洗浄され、湿気含有率がNMT0.5%になるまで真空下にて35℃から40℃で乾燥されて標題の化合物が得られた。
生成量;0.85Kg
【実施例2】
【0077】
実施例2:11‐ピペラジニル‐ジベンゾ[B,F][1,4]チアゼピン,ジヒドロクロリドの調製
ジメチルスルホキシド(3.0L)、ピペラジン(2.45Kg)およびトルエン(3.0L)が室温にて窒素下にて入れられ、その混合物は50℃から60℃に加熱され、固体物が溶解するまで50℃から60℃で撹拌され、25℃から30℃に冷却された。それに、トルエン(6.0L)中の11‐クロロジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン(1.0Kg)溶液が25℃から30℃で入れられ、25℃から30℃で3時間撹拌され、完了までモニターされた。その反応混合物はDI水(45L)に25℃から30℃でゆっくりと入れられ、25℃から30℃で30分間撹拌された。それらの層は室温で分離され、有機層は室温にてDI水(3×3.0L)で洗浄された。その溶媒は真空下にて50℃から55℃で有機層から回収されてオイルが得られた。エタノール(5L)がその残余物に入れられ、溶解させるため室温で撹拌された。濃縮塩酸(0.72L)が25℃から30℃でゆっくりと加えられ、固体物が沈殿するまで撹拌された。沈殿後、その混合物は25℃から30℃で撹拌され、0℃から5℃に冷却され、0℃から5℃で1時間撹拌された。その固体物は濾過され、0℃から5℃にてエタノール(1L)で洗浄された。その固体物は予め冷却したエタノール(5L)に0℃から5℃にて加えられ、0℃から5℃で15分間撹拌された。その固体物は0℃から5℃で濾過され、エタノール(1L)にて0℃から5℃で洗浄された。その湿性ケーキは窒素雰囲気下にて室温で取り出され、真空下にて55℃から60℃で湿気含有率がNMT5,0%になるまで乾燥されて標題の化合物が得られた。
【実施例3】
【0078】
実施例3:フマル酸クエチアピンの調製
ジメチルスルホキシド(3L)、11‐ピペラジニル‐ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン,ジヒドロクロリド(1.0Kg)、重炭酸ナトリウム(1.368Kg)および水(0.6L)が入れられ、室温で10分間撹拌された。2‐クロロエトキシエタノール(0.44Kg)、トルエン(3L)およびヨウ化ナトリウム(0.0065Kg)がその混合物に入れられ、95℃から100℃で還流させるため加熱された。反応の完了後、その混合物は25℃から30℃に冷却された。水(45L)とトルエン(5L)の混合物がその反応混合物に25℃から30℃で入れられ、25℃から30℃で30分間撹拌された。それらの層は分離され、有機層は5℃から10℃で冷却された。0.5N塩酸(〜2.4‐2.7L)がpH5.4±0.1になるまで5℃から10℃でゆっくりと入れられ、5℃から10℃で30分間撹拌された。それらの層は分離され、トルエン(3L)が水性層に5℃から10℃で入れられ、5℃から10℃で15分間撹拌された。それらの層は分離され、トルエンが(3L)が5℃から10℃でその水性層に入れられ、5℃から10℃で15分間撹拌された。それらの層は分離され、水性層は別のフラスコに入れられた。
【0079】
トルエン層は組み合わされ、真空下にて55℃から60℃で完全に濃縮された。その残余物に、トルエン(1.3L)が入れられ、0℃から5℃に冷却された。塩酸0.5N(0.4Lから0.7L)はpHが5.4±0.1になるまで5℃から10℃でゆっくりと入れられ、5℃から10℃で撹拌された。それらの層は分離された。
【0080】
それら水性層は組み合わされ、トルエン(5L)がその水性層に25℃から30℃で入れられた。10%水性重炭酸ナトリウム溶液(2.4Lから2.7L)が25℃から30℃でpHが7から7.5になるまで入れられた。その混合物は25℃から30℃で30分間撹拌され、それらの層は分離された。その有機層は水(0.25L)にて室温で15分間洗浄された。それらの層は分離され、その有機層から溶媒が真空下にて50℃から55℃で回収された。エタノール(12L)がその残余物に25℃から55℃で入れられ、45℃から50℃に加熱された。フマル酸(0.19Kg)が45℃から50℃で入れられ、固体物の沈殿が観察されるまで撹拌された。その混合物は還流させるために78℃から80℃で加熱され、78℃から80℃で60分間還流され、2時間かけて30℃から35℃に冷却された。これはさらに5℃から10℃に冷却され、5℃から10℃で1時間撹拌された。その固体物は5℃から10℃で濾過され、5℃から10℃でエタノール(2L)により洗浄された。その固体物はフラスコに入れられ、エタノール(4L)が加えられて5℃から10℃で30分間撹拌された。その固体物は濾過され、エタノール(2L)で5℃から10℃で洗浄され、真空下にて50℃から55℃で乾燥されて標題の化合物が得られた。
生成量:0.84Kg
【実施例4】
【0081】
実施例4:フマル酸クエチアピンの調製
ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン‐11‐(10H)one(50g)、オキシクロリドリン(143ml)、N,N‐ジメチルアニリン(16.5g)が室温で入れられ、還流させるために105℃から110℃で6時間加熱された。その混合物は65℃から70℃に冷却され、オキシクロリドリンが真空下にて65℃から70℃で完全に回収された。トルエン(100ml)が入れられ、真空下にて65℃から70℃で完全に回収された。その残余物は室温に冷却され、トルエン(650ml)が入れられて撹拌され、溶解された。その溶液は冷却された0℃から10℃のDI水(217.5ml)に0℃から10℃で30分間強力撹拌しながら加えられた。その有機層は0℃から10℃で分離され、冷却された0℃から10℃のDI水(87ml)で2回洗浄された。無水硫酸ナトリウム(50g)が有機層に入れられ、0℃から10℃で15分間撹拌された。その固体物が濾過によって0℃から10℃で除去され、その濾過物は真空下にて55℃±5℃で濃縮され、300ml未満の量を残して11‐クロロジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン溶液がトルエン中に得られた。
【0082】
ジメチルスルホキシド(150ml)、ピペラジン(132g)およびトルエン(150ml)が室温にて窒素下で入れられ、その混合物は50℃から60℃に加熱され、固体物が溶解するまで50℃から60℃で撹拌され、25℃から30℃に冷却された。それにトルエン中の前述の11‐クロロジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン溶液が25℃から30℃で入れられ、25℃から30℃で3時間撹拌され、完了までモニターされた。その反応混合物はDI水(2250ml)に25℃から30℃でゆっくりと入れられ、25℃から30℃で撹拌された。それらの層は室温で分離され、その有機層は室温でDI水(3×3.0L)により洗浄された。その溶媒は真空下にて50℃から55℃で有機層から回収された。ジメチルスルホキシド(192ml)、トルエン(192ml)、2‐クロロエトキシエタノール(35.11g)、重炭酸ナトリウム(73g)、ヨウ化ナトリウム(0.5g)および水(38.4ml)が残余物に常温で入れられ、還流させるために95℃から100℃で加熱された。
【0083】
反応の完了後、その混合物は25℃から30℃に冷却された。水(2880ml)とトルエン(320ml)の混合物がその反応混合物に25℃から30℃で入れられ、25℃から30℃で30分間撹拌された。それらの層は分離され、その有機層は5℃から10℃に冷却された。0.5N塩酸(255ml)が5℃から10℃でpHが5.4±0.1になるまでゆっくりと入れられ、5℃から10℃で撹拌された。それらの層は分離され、トルエン(192ml)が水性層に5℃から10℃で入れられ、5℃から10℃で15分間撹拌された。それらの層は分離され、トルエン(3L)が5℃から10℃で水性層に入れられ、5℃から10℃で15分間撹拌された。それらの層は分離され、その水性層は別のフラスコに入れられた。それらトルエン層は組み合わされ、真空下にて50℃から55℃で濃縮され、95mlの量を残した。
【0084】
その残余物に、塩酸0.5Nが5℃から10℃でpHが5.4±0.1になるまでゆっくりと加えられ、5℃から10℃で15分間撹拌された。それらの層は分離された。それらの水性層は組み合わされ、トルエン(320ml)が水性層に25℃から30℃で入れられた。10%水性重炭酸ナトリウム溶液(400ml)が25℃から30℃でpHが7から7.5になるまで入れられた。その混合物は25℃から30℃で30分間撹拌され、それらの層は分離された。その有機層は室温で水(15ml)によって洗浄された。それらの層は分離され、真空下にて有機層から溶媒が50℃から55℃で回収された。
【0085】
エタノール(768ml)が残余物に25℃から55℃で入れられ、45℃から50℃に加熱された。フマル酸(15.11g)が45℃から50℃で入れられ、固体物の沈殿が観察されるまで撹拌された。その混合物は還流させるために78℃から80℃で加熱され、78℃から80℃で60分間還流され、2時間かけて30℃から35℃に冷却され、室温で1時間撹拌された。その固体物は濾過され、エタノール(128ml)で洗浄された。その固体物はフラスコに入れられ、エタノール(256ml)が加えられ、室温で30分間撹拌された。その固体物は濾過され、エタノール(128ml)で洗浄され、真空下にて50℃から55℃で乾燥されて標題の化合物が得られた。
生成量:64.4g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式IIの化合物の精製方法であって、
【化1】

a)化学式IIの化合物を芳香族炭化水素中で溶解させるステップと、
b)オプションで前記溶媒を濃縮によって減少させるステップと、
c) 得られた混合物をヘキサンで処理するステップと、
d)化学式IIの純粋な化合物を回収するステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記芳香族炭化水素はベンゼン、トルエン、キシレン、置換トルエンおよび置換キシレンのうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記芳香族炭化水素はトルエンを含むことを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
クエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法であって、
a)化学式IIIの化合物を
【化2】

ハロゲン化剤で処理して、化学式IIの化合物を得るステップと、
【化3】

b)化学式IIの化合物を芳香族炭化水素中に溶解させるステップと、
c)オプションで前記溶媒を濃縮によって減少させるステップと、
d)得られた物質をヘキサンで処理するステップと、
e)化学式IIの純粋な化合物を回収するステップと、
f)化学式IIの純粋な化合物をクエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩に変換させるステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項5】
前記ハロゲン化剤はオキシハロゲン化リン(POHal)、五ハロゲン化リン(PHal)、塩化チオニルおよび塩化オキサリルのうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記芳香族炭化水素はベンゼン、トルエン、キシレン、置換トルエンおよび置換キシレンのうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記芳香族炭化水素はトルエンを含むことを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
化学式IVの化合物またはその塩の調製方法であって、
【化4】

化学式IIの化合物またはその塩を
【化5】

芳香族炭化水素および極性非プロトン性溶媒を含む溶媒の混合物中でピペラジンと反応させるステップを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項9】
前記芳香族炭化水素はベンゼン、トルエン、キシレン、置換トルエンおよび置換キシレンのうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記芳香族炭化水素はトルエンを含むことを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記極性非プロトン性溶媒はジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,4‐ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトンおよびアセトニトリルのうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記極性非プロトン性溶媒はジメチルスルホキシドを含むことを特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記芳香族炭化水素および前記極性非プロトン性溶媒は約1:1の比率で使用されることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項14】
クエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法であって、
a)化学式IIの化合物またはその塩を
【化6】

芳香族炭化水素および極性非プロトン性溶媒を含む溶媒中でピペラジンと反応させて、化学式IVの化合物またはその塩を得るステップと、
【化7】

b)化学式IVの化合物をクエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩に変換させるステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記芳香族炭化水素はベンゼン、トルエン、キシレン、置換トルエンおよび置換キシレンのうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記芳香族炭化水素はトルエンを含むことを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記極性非プロトン性溶媒は、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,4‐ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトンおよびアセトニトリルのうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記極性非プロトン性溶媒はジメチルスルホキシドを含むことを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記芳香族炭化水素および前記極性非プロトン性溶媒は約1:1の比率で使用されることを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項20】
クエチアピンまたは塩の調製方法であって、
化学式IVの化合物またはその塩、
【化8】

および化学式Vの2‐(2‐クロロエトキシ)エタノール
【化9】

を溶媒の混合物中でアルキル化させるステップを含んでおり、
前記混合物は芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒の混合物または芳香族炭化水素、水および極性非プロトン性溶媒の混合物のいずれかを含んでおり、
前記アルキル化は相間移動触媒の不存在下で実行されることを特徴とする方法。
【請求項21】
前記芳香族炭化水素はベンゼン、トルエン、キシレン、置換トルエンおよび置換キシレンのうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記芳香族炭化水素はトルエンを含むことを特徴とする、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記極性非プロトン性溶媒はジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,4‐ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトンおよびアセトニトリルのうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記極性非プロトン性溶媒はジメチルスルホキシドを含むことを特徴とする、請求項21記載の方法。
【請求項25】
25.クエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法であって、
a)化学式IIIの化合物を
【化10】

ハロゲン化剤で処理して、化学式IIの化合物を得るステップと、
【化11】

b)化学式IIの化合物を芳香族炭化水素中に溶解させるステップと、
c)オプションで前記溶媒を濃縮によって減少させるステップと、
d)得られた物質をヘキサンで処理するステップと、
e)化学式IIの純粋な化合物を回収するステップと、
f)化学式IIの化合物またはその塩を芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒を含む溶媒の混合物中でピペラジンと反応させて、化学式IVの化合物またはその塩を得るステップと、
【化12】

g)化学式IVの化合物またはその塩を、
【化13】

化学式Vの2‐(2‐クロロエトキシ)エタノール
【化14】

と溶媒の混合物中でアルキル化させて、クエチアピンを得るステップと
を含んでおり、
前記混合物は芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒の混合物または芳香族炭化水素、水および極性非プロトン性溶媒の混合物のいずれかを含んでおり、前記アルキル化は相間移動触媒の不存在下で実行され、
h)クエチアピンを薬学的に許容可能な酸で処理するステップと、
i)クエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩を単離するステップと、
をさらに含んでいることを特徴とする方法。
【請求項26】
前記ハロゲン化剤はオキシハロゲン化リン(POHal)、五ハロゲン化リン(PHal)、塩化チオニルおよび塩化オキサリルのうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記芳香族炭化水素はベンゼン、トルエン、キシレン、置換トルエンおよび置換キシレンのうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記芳香族炭化水素はトルエンを含むことを特徴とする、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記極性非プロトン性溶媒はジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,4‐ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトンおよびアセトニトリルのうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項25記載の方法。
【請求項30】
前記極性非プロトン性溶媒はジメチルスルホキシドを含むことを特徴とする、請求項29記載の方法。
【請求項31】
クエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法であって、
a)化学式IIIの化合物を
【化15】

ハロゲン化剤で処理して、化学式IIの化合物を得るステップと、
【化16】

b)化学式IIの化合物を芳香族炭化水素中に溶解させるステップと、
c)オプションで前記溶媒を濃縮によって減少させるステップと、
d)化学式IIの化合物またはその塩を芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒を含む溶媒の混合物中でピペラジンと反応させて、化学式IVの化合物またはその塩を得るステップと、
【化17】

e)化学式IVの化合物またはその塩を
【化18】

化学式Vの2‐(2‐クロロエトキシ)エタノールと
【化19】

溶媒の混合物中でアルキル化させて、クエチアピンを得るステップと、
を含んでおり、
前記混合物は芳香族炭化水素と極性非プロトン性溶媒の混合物または芳香族炭化水素、水および極性非プロトン性溶媒の混合物のいずれかを含んでおり、
前記アルキル化は相間移動触媒の不存在下で実行され、
f)クエチアピンを薬学的に許容可能な酸で処理するステップと、
g)クエチアピンまたはその薬学的に許容可能な塩を単離するステップと、
をさらに含んでおり、
全方法はその場(インサイチュー)で実行されることを特徴とする方法。
【請求項32】
前記ハロゲン化剤はオキシハロゲン化リン(POHal)、五ハロゲン化リン(PHal)、塩化チオニルおよび塩化オキサリルのうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記芳香族炭化水素はベンゼン、トルエン、キシレン、置換トルエンおよび置換キシレンのうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記芳香族炭化水素はトルエンを含むことを特徴とする、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記極性非プロトン性溶媒はジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,4‐ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトンおよびアセトニトリルのうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項31記載の方法。
【請求項36】
前記極性非プロトン性溶媒はジメチルスルホキシドを含むことを特徴とする、請求項35記載の方法。

【図1】
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【図1a】
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【図2】
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【図2a】
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【公表番号】特表2012−519683(P2012−519683A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552565(P2011−552565)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050948
【国際公開番号】WO2010/100623
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(597084113)ランバクシー ラボラトリーズ リミテッド (32)
【Fターム(参考)】