説明

フラットケーブルコネクタ組立体

【課題】フラットケーブルの挿抜を可能とした上でフラットケーブルが挿入された際に当該フラットケーブルの引き抜き保持力を高め、更に、フラットケーブルと相手側ケーブルとの接続信頼性の高いフラットケーブルコネクタ組立て体を提供する。
【解決手段】フラットケーブルコネクタ組立体1は、フラットケーブル50が挿抜可能なフラットケーブル受容空間23を有する絶縁性のハウジング20と、ハウジング20に収容され、フラットケーブル受容空間23に挿入されたフラットケーブル50の導体51に接触する接触部32及び相手側ケーブル60に接続される接続部35を有する少なくとも1つのコンタクト30とからなるフラットケーブルコネクタ10と、ハウジング20に装着され、パネルPへ係止可能なパネル係止部43を有するホルダ40とを備える。ホルダ40は、フラットケーブル受容空間23に挿入されたフラットケーブル50の切欠き52に係止するホルダラッチ44を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルフラットケーブル(FFC)及びフレキシブル回路基板(FPC)などのフラットケーブルと複数の個別電線等の相手側ケーブルとを電気的に接続するためのフラットケーブルコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のコネクタとして、例えば、図13に示すものが知られている(特許文献1参照)。
図13に示すコネクタ100は、回路基板110が挿抜可能な基板受容空間102を有する絶縁性のハウジング101と、ハウジング101に収容された複数のコンタクト(図示せず)とを具備している。各コンタクトは、基板受容空間102に挿入された回路基板110の導体部に接触する接触部と、複数の個別電線120(相手側ケーブル)に接続される接続部とを有している。回路基板110と複数の個別電線120とはコネクタ100を介して電気的に接続される。
【0003】
また、フラットケーブルと複数の個別電線とを電気的に接続するためのフラットケーブルコネクタ組立体として、例えば、図14に示すもの(特許文献2参照)も知られている。
図14に示すフラットケーブルコネクタ組立体200は、絶縁性のハウジング202及びハウジング202に収容される複数のコンタクト203を有するケーブルコネクタ201と、ハウジング202に装着されるカバー部材204とを備えている。各コンタクト203の一端には各個別電線220が圧着接続され、他端にはフラットケーブル210の導体211が溶接される。カバー部材204は、ハウジング202に装着されて、フラットケーブル210の露出した導体211の部分を覆う。フラットケーブル210と複数の個別電線220とはフラットケーブルコネクタ組立体200を介して電気的に接続される。
【0004】
更に、フラットケーブルと複数の個別電線とを電気的に接続するためのフラットケーブルコネクタとして、例えば、図15に示すもの(特許文献3参照)も知られている。
図15に示すフラットケーブルコネクタ300は、絶縁性のハウジング301と、ハウジング301に取り付けられた複数の接続端子302とを備えている。各接続端子302の一端には、フレキシブル回路基板(FPC)310の導体が接続されている。そして、フラットケーブルコネクタ300のハウジング301には、筐体330に形成された開口部331の周縁に係止される1対の係止部303が設けられている。フラットケーブルコネクタ300は、係止部303が筐体330の開口部331の周縁に係止されることにより、筐体330に取り付けられる。また、ハウジング301には、相手コネクタ受容凹部304が形成され、この相手コネクタ受容凹部304に相手コネクタ320が受容される。相手コネクタ320は、ハウジング321と、ハウジング321内に収容された複数のコンタクト(図示せず)とを備えている。各コンタクトの一端には、各個別電線322が接続されている。そして、相手コネクタ320がハウジング301の相手コネクタ受容凹部304に受容されると、相手コネクタ320のコンクトとフラットケーブルコネクタ300の接続端子302とが接触し、個別電線322とFPC310の導体とが電気的に接続される。なお、FPC310の導体は、筐体330内に配置されている回路配線311に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−216185号公報
【特許文献2】特開2010−251059号公報
【特許文献3】特開2002−271946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これら従来の図13に示したコネクタ100、図14に示したフラットケーブルコネクタ組立体200、及び図15に示したフラットケーブルコネクタ300にあっては、以下の問題点があった。
即ち、図13に示したコネクタ100の場合、図15に示した筐体330のようなパネルに実装することができない。また、コネクタ100の場合、回路基板110が基板受容空間102に挿入されたときに、ハウジング101に設けられたコンタクト(図示せず)の接触力のみによって引抜き保持力が担保されている。このため、回路基板110が容易に離脱してしまうおそれがある。
【0007】
また、図14に示したフラットケーブルコネクタ組立体200の場合も、図15に示した筐体330のようなパネルに実装することができない。また、フラットケーブル210の導体211が各コンタクト203に溶接されているので、フラットケーブル210をフラットケーブルコネクタ組立体200に対して挿抜することができない。
一方、図15に示したフラットケーブルコネクタ300の場合には、フラットケーブルコネクタ300を筐体330に実装することができる。
【0008】
しかしながら、フラットケーブルコネクタ300の場合には、フラットケーブルコネクタ300に対し、FPC310が挿抜可能になっていない。また、個別電線322とFPC310の導体との接続において、1)相手コネクタ320内のコンタクトと個別電線322との接続、2)相手コネクタ302内のコンタクトとフラットケーブルコネクタ300内の接続端子302との接触、及び3)フラットケーブルコネクタ300内の接続端子302とFPC310の導体との接続といった合計3カ所の接続点がある。このため、接続信頼性が高くはない。
【0009】
従って、本発明は、これら従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、パネルに実装可能であると共に、フラットケーブルの挿抜を可能とした上でフラットケーブルが挿入された際に当該フラットケーブルの引き抜き保持力を高め、更に、フラットケーブルと相手側ケーブルとの接続信頼性の高いフラットケーブルコネクタ組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係るフラットケーブルコネクタ組立体は、フラットケーブルが挿抜可能なフラットケーブル受容空間を有する絶縁性のハウジングと、該ハウジングに収容され、前記フラットケーブル受容空間に挿入されたフラットケーブルの導体に接触する接触部及び相手側ケーブルに接続される接続部を有する少なくとも1つのコンタクトとからなるフラットケーブルコネクタと、前記ハウジングに装着され、パネルへ係止可能なパネル係止部を有するホルダとを備え、該ホルダが、前記フラットケーブル受容空間に挿入された前記フラットケーブルの切欠きに係止するホルダラッチを有することを特徴としている。ここで、「フラットケーブル」とは、フレキシブルフラットケーブル(FFC)及びフレキシブル回路基板(FPC)を含む意である。また、「相手側ケーブル」とは、複数の個別電線及び各々が絶縁された複数の電線を一体としたいわゆるリボンケーブルを含む意である。
【0011】
また、本発明のうち請求項2に係るフラットケーブルコネクタ組立体は、請求項1記載のフラットケーブルコネクタ組立体において、前記ホルダが、前記ハウジングとの間に前記相手側ケーブルを保持するケーブル保持部を有することを特徴としている。
更に、本発明のうち請求項3に係るフラットケーブルコネクタ組立体は、請求項1又は2記載のフラットケーブルコネクタ組立体において、前記ハウジングが、左右幅方向及び前後方向に延びると共に、前記フラットケーブル受容空間が、前記ハウジングの前面に開口し後方に延びるよう形成され、前記ホルダは、前記ハウジングの上面を覆う左右幅方向及び前後方向に延びるカバー部を備え、該カバー部の左右幅方向端部には、前記ハウジングにロックされるハウジングロック部が設けられることを特徴としている。
【0012】
また、本発明のうち請求項4に係るフラットケーブルコネクタ組立体は、請求項3に記載のフラットケーブルコネクタ組立体において、前記パネル係止部は、前記カバー部の左右幅方向端部であって前記ハウジングロック部より後側から下方に延びる基部と、該基部から後方に延びる後方延出部と、該後方延出部の後端から斜め前方に延び、先端に前記パネルに係止可能な係止部を有する係止アーム部とを備えることを特徴としている。
【0013】
また、本発明のうち請求項5に係るフラットケーブルコネクタ組立体は、請求項3に記載のフラットケーブルコネクタ組立体において、前記ホルダラッチは、前記パネル係止部の前記基部から前方に延びるラッチアーム部と、該ラッチアーム部の前端に設けられ、前記フラットケーブルの切欠きに係止する係止突部とを備えることを特徴としている。
また、本発明のうち請求項6に係るフラットケーブルコネクタ組立体は、請求項2記載のフラットケーブルコネクタ組立体において、前記ケーブル保持部は、前記カバー部の後端から下方に突出するとともに左右幅方向に沿って延び、下端に前記相手側ケーブルの外形に対応する保持面を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るフラットケーブルコネクタ組立体によれば、ハウジングに装着され、パネルへ係止可能なパネル係止部を有するホルダを備えたので、フラットケーブルコネクタ組立体をパネルに実装可能とすることができる。そして、ハウジングは、フラットケーブルが挿抜可能なフラットケーブル受容空間を有するとともに、ホルダが、フラットケーブル受容空間に挿入されたフラットケーブルの切欠きに係止するホルダラッチを有するので、フラットケーブルをフラットケーブル受容空間に挿抜可能とした上でフラットケーブルの引き抜き保持力を高めることができる。更に、フラットケーブルコネクタは、ハウジングに収容され、フラットケーブル受容空間に挿入されたフラットケーブルの導体に接触する接触部及び相手側ケーブルに接続される接続部を有する少なくとも1つのコンタクトを有するので、フラットケーブルの導体と相手ケーブルとの接続において、1)導体とコンタクトとの接触、及び2)コンタクトと相手ケーブルとの接続といった合計2カ所の接続点で済み、接続信頼性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るフラットケーブルコネクタ組立体を相手側ケーブルの個別電線とともに示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
【図2】図1に示すフラットケーブルコネクタ組立体に用いられるフラットケーブルコネクタの斜視図である。図2においては、相手側ケーブルをともに示してある。
【図3】図1に示すフラットケーブルコネクタ組立体に用いられるフラットケーブルコネクタの斜視図である。
【図4】図3に示すフラットケーブルコネクタに用いられるハウジングの斜視図である。
【図5】図3に示すフラットケーブルコネクタに用いられるコンタクトの斜視図である。
【図6】図1に示すフラットケーブルコネクタ組立体に用いられるホルダを前方斜め上方から見た斜視図である。
【図7】図1に示すフラットケーブルコネクタ組立体に用いられるホルダを後方斜め上方から見た斜視図である。
【図8】図1に示すフラットケーブルコネクタ組立体に用いられるホルダを前方斜め下方から見た斜視図である。
【図9】フラットケーブルと相手側ケーブルとの接続手順を示し、相手側ケーブルに接続したフラットケーブルコネクタ組立体をパネルに取り付けた状態を前側斜め上方から見た斜視図である。
【図10】フラットケーブルと相手側ケーブルとの接続手順を示し、作業が完了した状態を前側斜め上方から見た斜視図である。
【図11】図10に示す作業が完了した状態を後側斜め上方から見た斜視図である。
【図12】フラットケーブルと相手側ケーブルとの接続作業が完了した状態の断面図である。
【図13】従来例の回路基板と複数の個別電線とを電気的に接続するためのコネクタを説明するための図である。
【図14】従来の他の例のフラットケーブルと複数の個別電線とを電気的に接続するためのフラットケーブルコネクタ組立体を説明するための図である。
【図15】従来の別の例のフレキシブル回路基板(FPC)と複数の個別電線とを電気的に接続するためのフラットケーブルコネクタを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るフラットケーブルコネクタ組立体の実施形態を図面を参照して説明する。
図1に示すフラットケーブルコネクタ組立体1は、図9に示すフラットケーブル50と相手側ケーブル60とを電気的に接続するための中継コネクタとして機能するものである。
フラットケーブル50は、フレキシブルフラットケーブル(FFC)であり、図9に示すように、先端において複数の導体51が露出している。フラットケーブル50の左右幅方向両側縁であって先端近傍には、1対の切欠き52が形成されている。なお、フラットケーブル50は、本実施形態においては、フレキシブルフラットケーブル(FFC)であるが、フレキシブル回路基板(FPC)であってもよい。
【0017】
また、相手側ケーブル60は、複数の個別電線Wで構成されている。但し、相手側ケーブル60としては、各々が絶縁された複数の電線を一体としたいわゆるリボンケーブルであってもよい。
そして、フラットケーブルコネクタ組立体1は、フラットケーブルコネクタ10と、ホルダ40とで構成されている。
フラットケーブルコネクタ10は、ハウジング20と、複数のコンタクト30とを具備している。
【0018】
ハウジング20は、図1乃至図4に示すように、左右幅方向(図1(B)における左右方向)及び前後方向(図1(A)における上下方向)に延び、前面20a、左右両側面20b、後面20c、上面20d、及び下面20eを有する略直方体形状に形成される。ハウジング20は、絶縁性の樹脂を成形することによって形成される。ハウジング20の左右幅方向両側面20bから幅方向外側に1対の延長部21が突出形成されている。各延長部21の幅方向外壁には、ロック用段部22が形成されている。また、ハウジング20の上下方向下方側には、一方の延長部21から他方の延長部21にかけて左右幅方向に延びるフラットケーブル受容空間23が形成されている。このフラットケーブル受容空間23は、ハウジング20の前面20aに開口し後方に延びるよう形成され、フラットケーブル50が挿抜可能となっている。ハウジング20には、図2乃至図4及び図12に示すように、複数のコンタクト接触部収容キャビティ29が左右幅方向に沿ってフラットケーブル受容空間23に交差するように所定ピッチで形成されている。
【0019】
また、ハウジング20のコンタクト接触部収容キャビティ29よりも上方には、図2乃至図4及び図12に示すように、複数のコンタクト接続部収容キャビティ25が左右幅方向に沿って所定ピッチで形成されている。各コンタクト接続部収容キャビティ25は、ハウジング20の上面20dに開口する。また、隣接するコンタクト接続部収容キャビティ25間は、仕切壁26により仕切られている。また、ハウジング20の後端部であって各コンタクト接続部収容キャビティ25には、相手側ケーブル60を構成する各個別電線Wを保持する保持部27が形成されている。
【0020】
また、1対の延長部21の各々には、図2乃至図4に示すように、各延長部21の上面からフラットケーブル受容空間23に連通する切欠24が形成されている。更に、ハウジング20の下面20eには、図1(B),(C)及び図2乃至図4に示すように、左右幅方向に延びるストッパ壁28が下方に向けて突出形成されている。このストッパ壁28の機能については後述する。
【0021】
次に、各コンタクト30は、図5によく示すように、上下方向に延びる基板部31と、基板部31の前縁(図5における左縁)から前方に延びる接触部32と、基板部31の上端に設けられた接続部35とを備えている。各コンタクト35は、導電性金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成される。各コンタクト30の接触部32は、基板部31の前縁から前方に延びる上下1対の接触アーム32a,32bで構成される。この接触部32は、図12に示すように、ハウジング20のコンタクト接触部収容キャビティ29内に収容される。各接触部32a,32bの先端には、図5に示すように、接触突部33が形成されている。図12に示すように、フラットケーブル50がフラットケーブル受容空間23に挿入された際に、上側の接触突部33は、フラットケーブル50の上面に設けられた導体51に接触する。また、下側の接触突部33は、フラットケーブル50の下面に設けられた導体51に接触するようになっている。
【0022】
また、各コンタクト30の接続部35は、基板部31の上端から折り曲げられ、前後方向に延びる板部34と、板部34の前後両端から立ち上がる1対の圧接部35a,35bとを備えている。この接続部35は、図12に示すように、コンタクト接続部収容キャビティ25内に収容される。各圧接部35a,35bの両側縁には、コンタクト接続部収容キャビティ25内に収容される際に、ハウジング20の仕切壁26に圧入されるバーブ36a,36bが設けられている。そして、圧接部35a,35bには、相手側ケーブル60を構成する個別電線Wが上方から圧接接続される。
【0023】
また、ホルダ40は、図1(A),(B),(C)に示すように、ハウジング20に装着される。このホルダ40は、図1(A),(B),(C)及び図6乃至図8に示すように、ハウジング20の上面20dを覆う左右幅方向及び前後方向に延びるカバー部41を備えている。そして、カバー部41の左右幅方向両端部には、ハウジング20にロックされる1対のハウジングロック部42が設けられている。各ハウジングロック部42は、図1(B)に示すように、ハウジング20のロック用段部22に上方かつ外側からロックし、これにより、ホルダ40はハウジング20に装着される。ホルダ40は、絶縁性の樹脂を成形することによって形成される。
【0024】
また、ホルダ40は、図6乃至図8及び図11に示すように、パネルPへ係止可能な1対のパネル係止部43を備えている。パネルPは、事務機器や電子機器などフラットケーブルコネクタ組立体1が用いられる機器の筐体の一部をなすものである。1対のパネル係止部43は、カバー部41の左右幅方向両端部に設けられる。各パネル係止部43は、カバー部41の左右幅方向端部であってハウジング係止部42より後側から下方に延びる基部43aを備えている。また、各パネル係止部43は、基部43aから後方に延びる後方延出部43bと、後方延出部43bの後端から外方且つ前方に斜めに延び、先端にパネルPに係止可能な係止部43dを有する係止アーム部43cとを備えている。係止部43dは、図11に示すように、フラットケーブルコネクタ組立体1をパネルPに取り付ける際に、パネルPに形成された開口P1の周縁近傍に係止される。係止部43dは、開口P1の大きさに合わせて複数の位置で係止できるよう、複数の段部を有している。
【0025】
また、ホルダ40は、図6、図8及び図10に示すように、フラットケーブル受容空間23に挿入されたフラットケーブル50の切欠き52に係止する1対のホルダラッチ44を有している。各ホルダラッチ44は、パネル係止部43の基部43aから前方に延びるラッチアーム部44aと、ラッチアーム部44aの先端部に設けられた係止突部44bとを備えている。ホルダ40をハウジング20に装着すると、図1(B)に示すように、係止突部44bは、ハウジング20に形成された切欠24を通過してフラットケーブル受容空間23内に突出する。そして、係止突部43bは、フラットケーブル受容空間23に挿入されたフラットケーブル50の切欠き52に係止する。
【0026】
更に、ホルダ40は、図6乃至図8、図11及び図12に示すように、ハウジング20との間に相手側ケーブル60を保持するケーブル保持部45を備えている。このケーブル保持部45は、カバー部41の後端から下方に突出するとともに左右幅方向に沿って延びる。ケーブル保持部45の下端には、相手側ケーブル60を構成する複数の個別電線Wの外形に対応する複数の湾曲した保持面45aが形成されている。
また、ホルダ40のカバー部41の上面には、図1(A),(B),(C)、図6、図7、及び図12に示すように、左右幅方向に延びるストッパ壁46が上方に向けて突出形成されている。このストッパ壁46の前後方向の位置は、図12に示すように、ハウジング20の下面20eに設けられたストッパ壁28と同一の位置である。
【0027】
次に、フラットケーブルコネクタ組立体1の組立て方法及びフラットケーブル50と相手側ケーブル60との接続方法について、図1、図2、及び図9乃至図12を参照して説明する。
先ず、フラットケーブルコネクタ10をパネルPの後側(図9におけるパネルPの右側)に位置させた状態で、図2に示すように、相手側ケーブル60を構成する複数の個別電線Wを複数のコンタクト30の接続部35に圧接接続する。これにより、各個別電線Wの端部は、各コンタクト30の接続部35に接続された状態でコンタクト接続部収容キャビティ25内に収容されるとともに保持部27により保持される。
【0028】
次いで、複数の個別電線Wを接続したフラットケーブルコネクタ10をパネルPの後側から開口P1を通過させてパネルPの前側(図9におけるパネルPの左側)に位置させる。
そして、図1(A),(B),(C)に示すように、ホルダ40をフラットケーブルコネクタ10の上方からフラットケーブルコネクタ10に装着する。この装着に際しては、ホルダ40の各ハウジングロック部42がハウジング20のロック用段部22に上方かつ外側からロックする。ホルダ40をフラットケーブルコネクタ10に装着すると、ハウジング20の上面20d(コンタクト接続部収容キャビティ25の上面)はカバー部41により覆われ、フラットケーブルコネクタ組立体1が完成する。この際に、ホルダ40のケーブル保持部45は上方からハウジング20との間で複数の個別電線Wを保持する。具体的には、ケーブル保持部45の複数の保持面45aのそれぞれが複数の個別電線Wのそれぞれの外形を上方から保持する。これにより、保持部27による個別電線Wの保持力を補強し、個別電線Wが上方へ引き抜かれるのを確実に防止することができる。また、ホルダ40のケーブル保持部45は個別電線Wに対してストレインリリーフとして機能する。
【0029】
次いで、図9に示すように、フラットケーブルコネクタ組立体1をパネルPの後側(図9におけるパネルPの右側)に向けて引く。すると、フラットケーブルコネクタ10の後部及びパネル係止部43を含むホルダ40の後部がパネルPの開口P1を通過するとともに、図12に示すように、ハウジング20のストッパ壁28及びホルダ40のストッパ壁46がパネルPの前面に当接する。そして、ホルダ40のパネル係止部43がパネルPの後側(図9におけるパネルPの右側、図11参照)においてパネルPに係止される。これにより、フラットケーブルコネクタ組立体1は、パネルPに対して前後方向の移動が規制され、パネルPに装着される。
【0030】
ここで、パネル係止部43の動作について説明する。フラットケーブルコネクタ組立体1がパネルPの前側にあるときには、パネル係止部43の係止アーム部43cはオリジナルの状態でホルダ40の左右幅方向外側に向けて広がっている。この際、1対の係止部43d間の幅は、パネルPの開口P1の幅より若干大きい。そして、パネル係止部43がパネルPの開口P1を通過するときに、係止アーム部43cは一旦左右幅方向内側に向けて撓み、1対の係止部43dがパネルPの開口P1内縁に沿って進む。パネル係止部43がパネルPの開口P1を通過すると、係止アーム部43cは左右幅方向外側に向けて広がり、元のオリジナルの状態にほぼ戻る。すると、1対の係止部43d間の幅は元の大きさにほぼ戻り、1対の係止部43dはパネルPの開口P1の周縁近傍に係止される。
【0031】
このように、本実施形態におけるフラットケーブルコネクタ組立体1にあっては、ハウジング20に装着される、パネルPへ係止可能なパネル係止部43を有するホルダ40を備えたので、パネルPに実装可能とすることができる。パネル係止部43をハウジング20に設けると、ハウジング20の形状が複雑となり、ハウジング20の材質によってはパネル係止部43を形成し難い場合がある。一方、パネル係止部43をハウジング20とは別体のホルダ40に設けることにより、そのような不都合はない。
【0032】
フラットケーブルコネクタ組立体1をパネルPに装着した後、図10及び図12に示すように、プラットケーブル50の導体51側の端部をハウジング20のフラットケーブル受容空間23内に挿入する。すると、各コンタクト30の上側の接触突部33がフラットケーブル50の上面に設けられた導体51に接触し、下側の接触突部33がフラットケーブル50の下面に設けられた導体51に接触する。ここで、相手側ケーブル60を構成する複数の個別電線Wのそれぞれは各コンタクト30の接続部35に接続されている。従って、導体51と個別電線Wとの接続において、1)導体51とコンタクト30との接触、及び2)コンタクト30と電線Wとの接続といった合計2カ所の接続点で済み、接続信頼性を高くすることができる。
【0033】
また、フラットケーブル50の導体51側の端部をハウジング20のフラットケーブル受容空間23内に挿入すると、図10に示すように、ホルダラッチ44の係止突部44bがフラットケーブル50の切欠き52に係止する。これにより、フラットケーブル50をラットケーブル受容空間23に挿抜可能とした上でフラットケーブル50の引き抜き保持力を高めることができる。
【0034】
ここで、ホルダラッチ44の動作について説明すると、フラットケーブル50がフラットケーブル受容空間23内に挿入されていないときには、ホルダラッチ44のラッチアーム部44aはオリジナルの位置にある。そして、フラットケーブル50がフラットケーブル受容空間23内に挿入されたときに、ラッチアーム部44aはフラットケーブル50に沿って上方に撓む。フラットケーブル50の挿入が完了すると、ラッチアーム部44aは元の位置に復元し、係止突部44bがフラットケーブル50の切欠き52に係止する。
【0035】
なお、フラットケーブル50はフラットケーブル受容空間23に対して挿抜可能であり、フラットケーブル50がフラットケーブル受容空間23に挿入された状態でフラットケーブル50を引き抜くことにより、フラットケーブル受容空間23から抜去することができる。このとき、ホルダラッチ44は上述と逆の動作をする。
【0036】
また、フラットケーブルコネクタ組立体1をパネルPから取り外す際には、パネルPの開口P1の周縁近傍に係止された1対の係止部43dの係止状態を解くように、それぞれの係止アーム部43cを左右幅方向内側に向けて変位させる。そして、フラットケーブルコネクタ組立体1をパネルPの前方に向けて移動させて開口P1を通過させればよい。
更に、ホルダ40は、各ハウジングロック部42を外側に広げてロック用段部22とのロック状態を解き、上方に移動させることにより、ハウジング20から取り外すことができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、フラットケーブル50と相手側ケーブル60との接続に際しては、フラットケーブル50をフラットケーブルコネクタ組立体1のフラットケーブル受容空間23内に挿入してフラットケーブル50と相手側ケーブル60とを接続し、その後、フラットケーブルコネクタ組立体1をパネルPに装着するようにしてもよい。
【0038】
また、パネル係止部43は、ホルダ40に設けられていれば良く、必ずしもカバー部41の左右幅方向端部かつハウジングロック部42より後側に設けられる必要はない。例えば、パネル係止部43は、ホルダ40の前側に設けられ、係止アーム43cが後方へ延びてもよい。また、パネル係止部43は、パネルPに係止できればよく、必ずしも、基部43aと、基部43aから後方に延びる後方延出部43bと、後方延出部43bの後端から斜め前方に延び、先端にパネルPに係止可能な係止部43dを有する係止アーム部43cとを備えていなくてもよい。
【0039】
更に、ホルダラッチ44は、フラットケーブル受容空間23に挿入されたフラットケーブル50の切欠き52に係止する形状であれば良く、必ずしも、パネル係止部43の基部43aから前方に延びるラッチアーム部44aと、ラッチアーム部44aの前端に設けられ、フラットケーブル50の切欠き52に係止する係止突部44bとを備えていなくてもよい。
また、各コンタクト30の接続部35には各個別電線Wが圧接接続されるようになっているが、各個別電線Wが圧着等の他の接続手段により接続されるようにしても良い。
【符号の説明】
【0040】
1 フラットケーブルコネクタ組立体
10 フラットケーブルコネクタ
20 ハウジング
23 フラットケーブル受容空間
30 コンタクト
32 接触部
35 接続部
40 ホルダ
41 カバー部
42 ハウジングロック部
43 パネル係止部
43a 基部
43b 後方延出部
43c 係止アーム部
43d 係止部
44 ホルダラッチ
44a ラッチアーム部
44b 係止突部
45 ケーブル保持部
45a 保持面
50 フラットケーブル
51 導体
52 切欠き
60 相手側ケーブル
P パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットケーブルが挿抜可能なフラットケーブル受容空間を有する絶縁性のハウジングと、該ハウジングに収容され、前記フラットケーブル受容空間に挿入されたフラットケーブルの導体に接触する接触部及び相手側ケーブルに接続される接続部を有する少なくとも1つのコンタクトとからなるフラットケーブルコネクタと、
前記ハウジングに装着され、パネルへ係止可能なパネル係止部を有するホルダとを備え、
該ホルダが、前記フラットケーブル受容空間に挿入された前記フラットケーブルの切欠きに係止するホルダラッチを有することを特徴とするフラットケーブルコネクタ組立体。
【請求項2】
前記ホルダが、前記ハウジングとの間に前記相手側ケーブルを保持するケーブル保持部を有することを特徴とする請求項1記載のフラットケーブルコネクタ組立体。
【請求項3】
前記ハウジングが、左右幅方向及び前後方向に延びると共に、前記フラットケーブル受容空間が、前記ハウジングの前面に開口し後方に延びるよう形成され、前記ホルダは、前記ハウジングの上面を覆う左右幅方向及び前後方向に延びるカバー部を備え、該カバー部の左右幅方向端部には、前記ハウジングにロックされるハウジングロック部が設けられることを特徴とする請求項1又は2記載のフラットケーブルコネクタ組立体。
【請求項4】
前記パネル係止部は、前記カバー部の左右幅方向端部であって前記ハウジングロック部より後側から下方に延びる基部と、該基部から後方に延びる後方延出部と、該後方延出部の後端から斜め前方に延び、先端に前記パネルに係止可能な係止部を有する係止アーム部とを備えることを特徴とする請求項3記載のフラットケーブルコネクタ組立体。
【請求項5】
前記ホルダラッチは、前記パネル係止部の前記基部から前方に延びるラッチアーム部と、該ラッチアーム部の前端に設けられ、前記フラットケーブルの切欠きに係止する係止突部とを備えることを特徴とする請求項3記載のフラットケーブルコネクタ組立体。
【請求項6】
前記ケーブル保持部は、前記カバー部の後端から下方に突出するとともに左右幅方向に沿って延び、下端に前記相手側ケーブルの外形に対応する保持面を有することを特徴とする請求項2記載のフラットケーブルコネクタ組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−150987(P2012−150987A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8859(P2011−8859)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000227995)タイコエレクトロニクスジャパン合同会社 (340)
【Fターム(参考)】