フラットパネルディスプレイ組立装置に用いられるテンプレートマーク登録装置及びプログラム
【課題】FPD基板等を位置合せする基準となるアライメントマークを含んだ画像をテンプレートマークとして登録する作業を、位置合せの際の画像処理に必要な条件を理解していない者でも適正に行えるようにする。
【解決手段】制御部は、アライメントマーク31を撮影した画像が表示されるモニターの画面上に、操作部の操作によってアライメントマーク31をテンプレートマークとして登録枠21を設定するためのグラフィカルユーザインタフェースを表示させる。そして、テンプレートマークとして登録枠21を設定する際の操作ガイダンス24をウィンドウ表示させ、登録枠21内に含まれる画像を構成する画素のうち、最大の輝度を有する画素の輝度が所定の輝度値の範囲内となるように、登録枠21に照射する照明の明るさを指示する操作ガイダンスをモニターの画面上にウィンドウ表示させる。
【解決手段】制御部は、アライメントマーク31を撮影した画像が表示されるモニターの画面上に、操作部の操作によってアライメントマーク31をテンプレートマークとして登録枠21を設定するためのグラフィカルユーザインタフェースを表示させる。そして、テンプレートマークとして登録枠21を設定する際の操作ガイダンス24をウィンドウ表示させ、登録枠21内に含まれる画像を構成する画素のうち、最大の輝度を有する画素の輝度が所定の輝度値の範囲内となるように、登録枠21に照射する照明の明るさを指示する操作ガイダンスをモニターの画面上にウィンドウ表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ組立装置に用いられるテンプレートマーク登録装置及びプログラムに関する。特に、FPD(Flat Panel Display)基板の位置合せを行う基準となるアライメントマークを含んだ画像をテンプレートマークとして登録する作業が適正に行われるように、ガイダンスを行う場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ(例えば液晶パネルや有機ELディスプレイパネル等)の製造時には、FPD基板自体に、FPD基板の位置合せを行う基準となるアライメントマークを付している。FPD基板の電子部品(TAB(Tape Automated Bonding)、COF(Chip on Film)、COG(Chip on Glass)等)の搭載では、FPD基板に付されたアライメントマークを事前にカメラで取り込み、そのアライメントマークをテンプレートマーク(「辞書マーク」と呼ぶ場合もある)として生産時に使われるFPD基板上にある同一マークをカメラで撮影し、テンプレートマークと同じ形のマークを正規化相関等の手法を用いてサーチすることで位置決めを行っている。
【0003】
図12は、アライメントマークの一例を示す図である。FPD基板30の枠体の表側の面の左右の下端付近に、十字状のアライメントマーク31が付されている。
【0004】
フラットパネルディスプレイの製造工程では、アライメントマーク31が付されたFPD基板30を不図示のカメラで撮影する。そして、画像処理により、予め登録したテンプレートマーク(アライメントマークを含んだ領域の画像)と相関値の高い領域をサーチして、FPD基板30に付されたアライメントマーク31の位置を求めている。そして、求めたアライメントマーク31の位置を基準として、FPD基板30を載置したステージを移動させることにより、FPD基板30の位置合せを行っている。
【0005】
位置合せを行う際に用いるテンプレートマークを予め登録する作業は、FPD基板30に付されたアライメントマーク31を撮影した画像を表示した画面上でユーザが行うマウス操作等により行われる。このマウス操作には、テンプレートマークとして登録する領域の大きさや位置等を設定する作業がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−284408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、テンプレートマークの登録作業は、位置合せの際に行われる画像処理に必要な条件(画像の状態や照明の照度等)を理解していない者にとっては難解である。そのため、ユーザが登録作業に熟練していない場合には、テンプレートマークの登録が適正に行われないため、フラットパネルディスプレイの製造工程における不良品の生産や歩留り悪化の原因となることがある。
【0008】
また、FPD基板のアライメントに用いるテンプレートマークを決定する際には、人の感覚で行われたり、一定の点数を付加したりする方法が取られている。しかし、人の感覚では、テンプレートマークを登録する人により差異が生じやすい。また、点数を付加すると、点数が低いときには、どこを変更すればよいのか分かりにくくなり、点数を上げるための対処が不明確となりやすい。また、テンプレートマークの登録が不適切であると、アライメントマークをサーチする際に検出不能である旨のエラーが生じていた。
【0009】
図13は、テンプレートマークの登録が適正に行われなかった場合の一つとして、アライメントマークの大きさに対して、テンプレートマークとして設定した領域(領域を設定するための登録枠のサイズ)が大きすぎた例を示す。
【0010】
図13Aは、登録作業時に、或るアライメントマーク40の大きさに対して、登録枠41のサイズが大きすぎた例を示す。
図13Bは、位置合せの際の画像処理時に、アライメントマーク40が画像視野の端付近に存在していた例を示す。図13Bの場合、登録作業時に登録枠41で囲むことによってテンプレートマークとして登録した領域(図13Bの破線で示す領域41B)の一部が画像視野外となるので、テンプレートマークと相関度の高い領域が見つからず、サーチエラーとなってしまう。
【0011】
同様に、アライメントマークと周囲の領域の輝度が低い場合や、輝度差が小さい場合にも、ノイズ等による外部の影響が強くなりアライメントマークを抽出することが困難となるため、サーチエラーの要因となる場合がある。
【0012】
上述の点に鑑み、位置合せの際に行われる画像処理に必要な条件を理解していない者がテンプレートマークを登録するための操作を行っても、充分な品質でテンプレートマークの登録をすることができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、位置合せの対象物に付されたアライメントマークを撮影した画像のうち、アライメントマークを位置合せに参照するテンプレートマークとして登録する領域を設定する操作を行う操作部と、制御部とを備える。
制御部は、アライメントマークを撮影した画像が表示される表示装置の画面上に、操作部の操作によってアライメントマークをテンプレートマークとして登録する領域を設定するためのGUI(Graphical User Interface)を表示させる。
また、制御部は、テンプレートマークとして登録する領域を設定する際の操作ガイダンスをウィンドウ表示させ、領域内に含まれる画像を構成する画素のうち、最大の輝度を有する画素の輝度が所定の輝度値の範囲内となるように、領域に照射する照明の明るさを指示する操作ガイダンスを表示装置の画面上にウィンドウ表示させる処理を行う。
【0014】
また、本発明は、演算処理装置に、上記のテンプレートマーク識別装置で処理される手順を実行させるために用いるプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、位置合せの際に行われる画像処理に必要な条件を理解していない者でも、アライメントマークの画像が表示される表示装置の画面上にウィンドウ表示される操作ガイダンスに従ってテンプレートマークとして登録する領域を設定することができる。そして、現在設定している領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラムを同じ画面上のウィンドウ表示で確認することにより、アライメントマークを含んだ画像をテンプレートマークとして登録する作業を適正に行える。このため、テンプレートマークを登録する際に一定の条件を明確にすることで、誰でもサーチエラーの起きにくいテンプレートマークを登録できる。また、テンプレートマークの登録に影響されるサーチエラーを低減させ、装置の停止時間を低減することで、生産性の高いフラットパネルディスプレイ組立装置に用いられるテンプレートマーク登録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るテンプレートマーク登録装置の設置例を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るテンプレートマーク登録装置の内部構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る制御部のサーチ処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係るテンプレートマークの登録作業時のモニターの画面の表示レイアウトを示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るアライメントマークのテンプレート登録処理の例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る登録枠の設定例を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る明暗比率の判定処理の例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る輝度ヒストグラムの表示内容の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る画像輝度差の明確化の判定処理の例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態に係る登録枠に取り込まれたアライメントマークの例を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る登録枠内の隙間を検出する検出処理の例を示すフローチャートである。
【図12】アライメントマークの一例を示す説明図である。
【図13】アライメントマークに対して登録枠のサイズが大きすぎた例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図11を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るテンプレートマーク登録装置1の設置例を示す。
テンプレートマーク登録装置1は、FPD基板30(図12に例示したようにアライメントマーク31を付したもの)の製造工程に設置されており、不図示のフラットパネルディスプレイ組立装置に用いられる。そして、テンプレートマーク登録装置1は、テンプレートマークの登録作業を行う装置と、FPD基板30の位置合せの際の画像処理を行う装置とに兼用される。
【0018】
テンプレートマーク登録装置1と同じ製造工程には、FPD基板30を撮影するためカメラ10と、モニター11と、FPD基板30を載置してその位置合せを行うためのステージ12とが設置されている。カメラ10の撮像素子には、CCD(Charge Coupled Devices)イメージャ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等が用いられる。
【0019】
図2は、テンプレートマーク登録装置1の構成を示す。
テンプレートマーク登録装置1は、ファームウェアを組み込んだハードウェア装置であり、例えば、コンピュータのような演算処理装置である制御部2と、マウス及びキーボードから成る操作部3と、記憶部4とを備えている。操作部3は、テンプレートマークの登録作業時や位置合せの際の画像処理時に各種操作を行うために用いられる。操作部3は、位置合せの対象物に付されたアライメントマークを撮影した画像のうち、アライメントマークを位置合せに参照するテンプレートマークとして登録する領域を設定する操作を行うために用いられる。記憶部4は、テンプレートマークデータや画像処理時のサーチ結果を記憶するために用いられる。図1及び図2に示すように、カメラ10で撮影したFPD基板30の画像データは、テンプレートマーク登録装置1に送られた後、制御部2を介してモニター11に送られる。
【0020】
本発明の実施の形態は、テンプレートマークの登録作業時の制御部2の処理に特徴を有するが、登録作業時の処理を説明する前提として、FPD基板30の位置合せの際の制御部2の画像処理(アライメントマークのサーチ処理)例を説明する。
【0021】
図3は、制御部2の画像処理として位置合せの際に行われるサーチ処理の例を示す。
操作部3により、サーチ対象となる画像を確定する操作である画像取込み(ステップS1)と、その画像のうちサーチ対象とするエリアを設定する操作(ステップS2)とが行われると、制御部2が、テンプレートマークサーチ処理(ステップS3)を行う。
【0022】
このステップS3のテンプレートマークサーチ処理では、制御部2は、第1段階(1次サーチ)として、サーチエリア内の画像データと、予め登録されて記憶部4に記憶されているテンプレートマークデータとを、間引き処理によって圧縮する(ステップS11)。そして、それらの圧縮画像データ同士のパターンマッチングを行う(ステップS12)ことにより、おおまかなサーチによって複数の検出点を求める。検出点は、例えば、後述する図6に示す四角形の登録枠21の左上の頂点である。
【0023】
続いて制御部2は、第2段階(2次サーチ)として、ステップS12で求めた複数の検出点を候補点として、正規化相関サーチにより、圧縮前のサーチエリア内の画像の候補点の近傍で圧縮前のテンプレートマークを探し(ステップS13)、相関値が予め設定した閾値を超える候補点を、最終的な検出点とする(ステップS14)。このような2段階の処理を行うことにより、最初から非圧縮の画像データ同士でサーチ処理を行う場合よりも、サーチ処理を高速化することができる。
【0024】
ステップS3のテンプレートマークサーチ処理を終えると、制御部2は、検出に成功したか(相関値が閾値を超える候補点が存在していたか)否かを判断し(ステップS4)、成功していた場合にはサーチ結果を記憶部4に格納する(ステップS5)。失敗していればモニター11にエラー表示を行うなどのエラー処理を行って(ステップS6)、サーチ処理を終了する。
【0025】
位置合せの際には、このサーチ処理のステップS5で記憶されたサーチ結果に基づき、図1のステージ12上で、アライメントマーク31の位置を基準としてFPD基板30の位置合せが行われる。
【0026】
次に、テンプレートマークの登録作業時の制御部2の処理について説明する。テンプレートマークの登録作業時に、制御部2は、カメラ10によって撮影されたFPD基板30の画像が表示されるモニター11の画面上に、操作部3の操作によってテンプレートマークとして登録する領域として登録枠21(図4参照)を設定するためのGUIと各種のウィンドウを表示させる。
【0027】
図4は、テンプレートマークの登録作業時のモニター11(図1参照)の画面の表示レイアウトを示す図である。FPD基板30の画像が表示されるモニター11の画面20上に、テンプレートマークとして登録する領域を設定するためのGUIとして、登録枠21と、センターマーク22と、マウスカーソル23とが表示される。なお、図4には、十字状のアライメントマーク31の画像も表示されている。
【0028】
登録枠21は、テンプレートマークとして登録する領域の大きさ及び位置を設定するための枠である。登録枠21は、操作部3中のマウスのドラッグ操作によって枠のサイズの変更及び画面上での位置の移動を行うことができる。
【0029】
センターマーク22は、アライメントマーク31の中心を座標通知点として設定するためのマークである。そして、センターマーク22は、図3のステップS12について説明したようにサーチ処理時に登録枠21の左上の頂点を検出点として求める場合に、検出点に対するアライメントマーク31の中心の位置を通知するオフセット情報の役割を持っている。センターマーク22も、マウス操作によって画面上の位置を移動させることができる。
【0030】
また、モニター11の画面20上には、操作ガイダンス24がウィンドウ表示される。操作ガイダンス24は、マウスのドラッグ操作によって画面上の位置を移動させ、大きさを変えることができる。操作ガイダンス24は、操作部3の操作によってテンプレートマークとして登録する領域を設定する際のガイダンス文を表示する。操作ガイダンス24の表示内容は操作の段階に応じて変化する。
【0031】
ヒストグラム25は、登録枠21で囲まれている領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラムを表示する。制御部2は、登録枠21で囲まれている領域の大きさや位置が変化する毎に、登録枠21で現在囲まれている領域内の画像のヒストグラムのデータを作成する処理を繰り返し、作成したヒストグラムのデータをヒストグラム25に表示させる。このため、ユーザは、登録枠21で現在囲んでいる領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関する輝度ヒストグラムを同じ画面上に表示されるヒストグラム25で確認できる(後述する図8,図9を参照。)。また、位置合せの際に行われる画像処理に必要な条件を理解していない者でも、アライメントマーク31を含んだ画像をテンプレートマークとして登録する作業を適正に行うことができる。
【0032】
図5は、アライメントマーク31のテンプレート登録処理の例を示す。
始めに、制御部2は、ユーザが指定した登録枠21内に位置するアライメントマーク31の画像を取得する(ステップS21)。ステップS21の処理には、入力トリガ待ちモードと、連続取り込みモードがある。ユーザが明示的にアライメントマーク31の画像取得を1枚ずつ指示することを、「入力トリガ待ちモード」と呼び、複数種類あるアライメントマーク31の画像取得を自動化して順に行うことを、「連続取り込みモード」と呼ぶ。
【0033】
ステップS21において、ユーザが、操作部3により、登録枠21の位置を設定することを選択する操作を行った場合を想定する。すると制御部2が、登録枠21の中央付近にアライメントマーク31が収まるように、登録枠21のサイズ及び位置とセンターマーク22の設定を調整することを促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0034】
次に、ユーザが、操作部3により、登録枠21の位置の設定操作を開始する。このとき、制御部2は、登録枠21の中央にアライメントマーク31が入っているかどうか注意を促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0035】
次に、ユーザが、操作部3により、センターマーク22(座標通知点)の位置を設定することを選択する操作を行ったとする。すると制御部2が、アライメントマーク31の中心にセンターマーク22の位置を移動させることを促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0036】
次に、ユーザが、操作部3により、センターマーク22の位置の設定操作を開始する。このとき、制御部2は、アライメントマーク31の中心にセンターマーク22が位置しているかどうかについて注意を促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0037】
次に、ユーザは、登録枠21のサイズ及び位置の設定とセンターマーク22の位置の設定とを完了し、操作部3により、設定内容を確定する操作を行う。このとき、制御部2は、登録枠21内の画像データをテンプレートマークとして記憶部4に記憶させるとともに、登録枠21に対するセンターマーク22の位置情報を記憶部4に記憶させる。
【0038】
そしてユーザが、操作部3により、登録枠21のサイズの設定操作を開始する。このとき、制御部2は、登録枠21のサイズが大きすぎたり小さすぎたりしないように注意を促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。アライメントマーク31の大きさに対して登録枠21のサイズが大きすぎると、サーチ処理時にアライメントマーク31が画像視野の端付近に存在していた場合にサーチエラーとなってしまう。そこで、ガイダンス文を表示することにより、アライメントマーク31の大きさに対して登録枠21のサイズが適正となるように注意を促している。
【0039】
このように、テンプレートマーク登録装置1によれば、ユーザは、アライメントマーク31の画像が表示されるモニター11にウィンドウ表示される操作ガイダンス24に従って登録枠21のサイズ及び位置の設定とセンターマーク22の位置の設定とを行うことができる。
【0040】
次に、制御部2は、最大輝度が適正範囲か否かを確認する(ステップS22)。このとき、制御部2は、テンプレート登録処理の「必要条件」として最大輝度の判断を行う。そして、制御部2は、アライメントマーク31を撮影した画像が表示されるモニター11の画面上に、操作部3の操作によってアライメントマーク31をテンプレートマークとして登録する登録枠21を設定するためのGUIを表示させる。また、テンプレートマークとして登録枠21を設定する際の操作ガイダンスをウィンドウ表示させ、登録枠21内に含まれる画像を構成する画素のうち、最大の輝度を有する画素の輝度が所定の輝度値の範囲内となるように、登録枠21に照射する照明の明るさを指示する操作ガイダンスをモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0041】
最大輝度の判断では、光量のピーク値が規定値以内であることが必要とされる。この処理において、最小輝度と最大輝度の範囲が0〜255の8ビットで規定される場合に、登録枠21内で最も大きな輝度を有する画素を探し、その画素の輝度が、例えば100〜200の範囲内となるように画面全体の光量の調整が促される。そして、制御部2は、ユーザに対し、最大輝度が、規定値(本例では、100)を下回る場合は、光量を上げる指示を行い、最大輝度が、規定値(本例では、200)を上回る場合は、光量を下げる指示を行うガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0042】
制御部2は、ステップS22の処理において、最大輝度が適正範囲外であると判断した場合、照明レベルを調整するためのガイダンス文をモニター11に出力し、このガイダンス文をモニター11に表示させて(ステップS23)、ステップS21に処理を移す。このとき、輝度が過大である場合に、モニター11は、「照明レベルを下げて、再度マークを取得してください」と表示する。一方、輝度が過小である場合に、モニター11は、「照明レベルを上げて、再度マークを取得してください」と表示する。
【0043】
最大輝度が適正範囲内であると判断した場合、制御部2は、明部と暗部にそれぞれ含まれる画素数の比率(以下、「明暗比率」と略記する場合がある。)が適正範囲か否かを確認する(ステップS24)。このとき、制御部2は、登録枠21内に含まれる全画素の輝度を平均した輝度平均値を求め、輝度平均値以上の輝度を有する登録枠21を明部とし、輝度平均値未満の輝度を有する登録枠21を暗部とする。そして、明部及び暗部の画素数の比率が所定の比率となるように、登録枠21に対する明部及び暗部の大きさを指示する操作ガイダンスをモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。なお、輝度平均値を用いて明部と暗部を分けると説明したが、画像処理の閾値を決定する手法として知られる「大津の方法」を用いてもよい。
【0044】
ユーザは、例えばアライメントマーク31と背景部分との濃淡レベルの差が小さすぎる場合は、FPD基板30を照らしている照明装置の照度を高める調整を行う。また背景部分の一部が照明光を反射して濃淡レベルが高くなっている場合は、照明装置の照度を低める調整を行う。このように照明装置を調整することにより、より適切にテンプレートマークの登録作業を行うことができる。
【0045】
明暗比率が適正範囲外である場合、制御部2は、明暗比率が不足していることを示すガイダンス文をモニター11に出力し、このガイダンス文をモニター11に表示させる(ステップS25)。このとき、明部が少ない場合に、モニター11は、「サーチ安定化のために、明るい部分の割合を増やすことを推奨します」と表示する。一方、暗部が少ない場合に、モニター11は、「サーチ安定化のために、暗い部分の割合を増やすことを推奨します」と表示する。
【0046】
明暗比率が適正範囲内である場合、制御部2は、明部と暗部の輝度ヒストグラムのピーク差が適正範囲か否かを確認する(ステップS26)。制御部2は、輝度ヒストグラムにおいて輝度の濃淡レベルに従って、輝度毎に明部及び暗部の画素数を累積し、明部及び暗部におけるそれぞれの累積した輝度のピーク値を求める。そして、明部及び暗部のピーク値の輝度差が所定の範囲内となるように、照明の明るさを指示する操作ガイダンスをモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0047】
輝度ヒストグラムのピーク差が適正範囲でない場合、制御部2は、輝度差が不足していることを示すガイダンス文をモニター11に出力し、このガイダンス文をモニター11に表示させる(ステップS27)。このとき、モニター11は、「輝度差が不足しています。明暗の差が明確な画像で登録することを推奨します」と表示する。
【0048】
輝度ヒストグラムのピーク差が適正範囲内である場合、制御部2は、登録枠21とアライメントマーク31の間に適正量の隙間が存在するか否かを確認する(ステップS28)。このとき、制御部2は、登録枠21の枠とアライメントマーク31の輪郭であって、水平及び/又は垂直方向に最も登録枠21の枠に近い輪郭との隙間に含まれる画素数を求め、隙間の画素数が所定の値より大きくなるように、登録枠21の枠に対するアライメントマーク31の大きさを指示する操作ガイダンスをモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0049】
適正量の隙間が存在しない場合、制御部2は、適正量の隙間が存在しないことを示すガイダンス文をモニター11に出力し、このガイダンス文をモニター11に表示させる(ステップS29)。このとき、モニター11は、「サーチ安定化のため、マークと登録エリアとの隙間を広げることを推奨します」と表示する。このようにして、アライメントマーク31の周囲の隙間をチェックすることにより、アライメントマーク31を適切な位置で取得することができる。
【0050】
そして、制御部2は、アライメントマーク31を登録の可否を判断する(ステップS30)。登録が不可である場合、制御部2は、ステップS21に処理を移す。一方、登録が可である場合、制御部2は、アライメントマーク31をテンプレートマークとして登録し(ステップS31)、テンプレート登録処理を終了する。
【0051】
上述したように、明暗比率の判断、輝度ヒストグラムのピーク差の判断、アライメントマーク31の周囲における適正量の隙間の判断は、テンプレート登録処理の「推奨条件」として行われる。この推奨条件は、あくまで推奨に止まるため、テンプレート登録処理に含めなくてもよい場合がある。また、推奨条件の判断ステップ(ステップS24,S26,S28)において、“NG”である場合に、モニター11がガイダンス文を表示するが、このガイダンス文は、推奨条件の各判断ステップを通過した後、ステップS30においてユーザが登録の可否を判断する際にまとめて表示される。
【0052】
一般に、モジュール組立工程は、FPDパネル製造の下流にあたり、上流工程と比較すると必要精度が若干低い。また、ガラスや偏光板、あるいはPCB(Printed Circuit Board)等の積層貼付材の反りなどのため、搬送誤差が出やすい。そのため、上流工程向けのアライメントマークを再利用しつつ、視野を広げる運用とし、他の部材やACF(Anisotropic Conductive Film)等を避けるなどの運用をした方がよい場合もある。しかし、理想的なテンプレートマークの登録ができない場合もあるので、テンプレートを登録できるようにするための推奨条件を設けている。
【0053】
そして、必要条件と推奨条件とを分けて、個別のFPD基板30が必要条件を満足するまで、アライメントマーク31が含まれる画像の取得を繰り返す。一方、上記ステップS25,S27,S29からのメッセージ(推奨条件)は、登録確認時にまとめて表示されるので、これらの推奨条件が満たされなくとも、アライメントマーク31をテンプレートマークとしての登録を許可することができる。
【0054】
次に、アライメントマーク31のパターン登録時に表示されるガイダンスの判定項目の例について、図6〜図9を参照して説明する。
【0055】
図6は、登録枠21の設定例を示す。
モニター11には、アライメントマーク31が表示され、ユーザは、登録枠21を上下左右に動かして、アライメントマーク31が登録枠21の中心に位置するように操作する。また、ユーザは、モニター11に表示されるアライメントマーク31の拡大又は縮小を行うことにより、適切な大きさのアライメントマーク31が登録枠21の枠内に表示されるようにする。このとき、登録枠21とアライメントマーク31の隙間は、例えば10画素程度離れている状態が望ましい。これは、図3のステップS11の処理において、圧縮処理を行うとしたが、隙間が小さいと、圧縮後に登録枠21とアライメントマーク31の輪郭が接触して、有効なエッジ情報が欠落してしまうためである。
【0056】
図7は、明暗比率の判定処理の例を示す。
ここでは、明部と暗部の画素数比率(面積比)がD%を基準として割り振られる処理、すなわち、テンプレートマークの大きさを判定する処理について説明する。なお、“D%”とは、登録枠21内における明部の面積と暗部の面積の差を示し、明部が“50−D%”、暗部が“50+D%”として定義される。例えばD=30である場合に、明部の面積が20%以上であり、暗部の面積が80%未満であればテンプレートマークとして登録することを許可し、明部の面積が20%未満であり、暗部の面積が80%以上であれば登録を不可とする判断が行われる。仮に画像全てを明部とした場合に位置情報が得られないことから推測されるように、明部と暗部の画素数比率を、50%を中心とした比率に指定することにより、画像の情報量を保つことができる。
【0057】
始めに、制御部2は、登録枠21内の全画素の輝度平均値を求める(ステップS61)。次に、制御部2は、登録枠21内の全画素を、輝度平均値を基準として明部と暗部に分類し、明部と暗部に含まれる画素数を数える(ステップS62)。
【0058】
そして、制御部2は、明部と暗部の画素数比率(面積比)を求め、比率がn:m以内であるか否かを判定する(ステップS63)。比率がn:m以内であれば、適切な大きさでアライメントマーク31を取り込めたことが分かる。ここで、明部と暗部の比率が1:1である場合が理想的であるが、上述したように“50±D%”と定め、2:8まで比率を許容することでアライメントマーク31の登録に用いている。
【0059】
例えば、ユーザは、登録枠21で囲んだ領域内でのアライメントマーク31と背景部分との明暗比率が約2:8となることを推奨するガイダンス文が表示されると、輝度ヒストグラムに示される現在のアライメントマーク31,背景部分のそれぞれの画素数を確認しながら登録枠21の範囲を変え、暗部に対して明部の面積を大きくすることができる。
【0060】
図8は、ヒストグラム25に表示される輝度ヒストグラムの表示内容の一例を示す。
登録枠21で囲まれている領域には、横軸に濃淡レベル(モニター11の各画素の8ビットの値によって示される256階調)を表し、縦軸に画素数を表したヒストグラムが表示される。この例では、登録枠21で囲まれている領域内にアライメントマーク31が1つ含まれており、アライメントマーク31の濃淡レベルが背景部分の濃淡レベルよりも高く、かつ、アライメントマーク31の画素数が背景部分の画素数よりも少なくなっている。
【0061】
そして、図6に示す登録枠21によって取り込まれるアライメントマーク31の明部と暗部について画素毎に輝度値を累積し、輝度ヒストグラムとして表現する。そして、明部と暗部における累積した画素が最も多い部分を「ピーク値」として求める。なお、図示は省略しているが、制御部2は、輝度ヒストグラムと同じウィンドウ内に、登録枠21で現在囲まれている領域内の画素の濃淡レベルの最大値及び最小値も表示させる。
【0062】
図9は、画像輝度差の明確化の判定処理の例を示す。
ここでは、明部と暗部のピークの差が明確であるか否かを判定する処理について説明する。
【0063】
始めに、制御部2は、図7に示した処理で求めた輝度平均値より低い輝度と高い輝度の範囲でそれぞれ暗部と明部としてピークを求める(ステップS41)。そして、ピーク間の輝度差がX以上Y未満であることで暗部と明部のピーク差が適正であるか否かを判定する(ステップS42)。本例では、輝度の範囲を0〜255とした場合に、50以上150未満となることが望ましい。このような手順により、暗部と明部のピーク差があれば、カメラ10の熱ノイズや電気ノイズ、テンプレートマーク登録装置1の電気ノイズ等の外乱があったも安定したサーチが可能となる。
【0064】
図10は、登録枠21に取り込まれたアライメントマーク31の例を示す。
図10Aは、登録枠21の水平方向を「h方向」と呼び、制御部2は、h方向に画素を見るものである。なお、登録枠21の垂直方向を「v方向」と呼び、制御部2は、v方向に画素を見る場合もある。
【0065】
図10Bは、登録枠21を小さくして、アライメントマーク31内の画素数と、アライメントマーク31外の画素数を数える例を示す。
このとき、アライメントマーク31の輪郭線に接するまで登録枠21の輪郭を小さくした登録枠21′を規定する。そして、登録枠21′からアライメントマーク31を除いた画素数を数える。そして、登録枠21から登録枠21′を除いた差分領域の輝度と輝度平均値を比較する。この差分領域の輝度が輝度平均値に対して全て高い輝度か又は全て低い輝度である場合に、この差分領域の幅を求め、この幅(隙間)が所定の大きさ以上であるか否かを判断する。
【0066】
本発明の実施の形態では、登録枠21で囲んだ領域内でのアライメントマーク31の画素数と背景部分の画素数との比率が所定の値(一例として約2:1とする)となることを推奨する。例えば、約2:1という画素数の比率は、アライメントマーク31の画素数と背景部分とで二極化している場合における経験的な推奨値である。また、画面20上におけるアライメントマーク31の最小線幅(図4に示す十字状のアライメントマーク31の場合には、画面20の横方向上の左端から右端までの幅)が所定の画素数以上(一例として8画素以上とする)となることを推奨する。8画素以上という最小線幅は、要求されるサーチ速度を満たす圧縮率において、圧縮時にアライメントマーク31の部分の画像が失われない経験的な推奨値である。
【0067】
図11は、登録枠21′内の隙間を検出する検出処理の例を示す。
始めに、制御部2は、登録枠21′内の画素をh方向に1ラインずつ見て(ステップS51)、輝度平均値より低い輝度の画素が連続する画素数を数える(ステップS52)。そして、制御部2は、登録枠21′におけるアライメントマーク31の位置を判定する(ステップS53)。
【0068】
なお、上述した実施の形態では、ファームウェアを組み込んだ専用のハードウェア装置をテンプレートマーク登録装置1として用いているが、別の例として、汎用コンピュータをテンプレートマーク登録装置1として用いてもよい。その場合には、上述した制御部2の処理に相当する処理を実行するためのソフトウェアプログラムを、USBメモリ,光ディスク等の記録媒体あるいはネットワークを介して汎用コンピュータに供給すればよい。
【0069】
また、上述した実施の形態では、テンプレートマーク登録装置1は、テンプレートマークの登録作業を行う装置と、FPD基板30の位置合せの際の画像処理を行う装置とに兼用されるように構成されている。しかし、別の例として、テンプレートマーク登録装置1を、テンプレートマークの登録作業を行う専用の装置として構成してもよい。その場合には、テンプレートマーク登録装置1によって登録したテンプレートマークを、ネットワーク等を介して、位置合せの際の画像処理を行う専用の装置に供給すればよい。
【0070】
また、上述した実施の形態では、製造工程での位置合せのためにFPD基板30に付されたアライメントマーク31を含んだ画像をテンプレートマークとして登録するために、本発明を適用している。しかし本発明は、これに限らず、FPD基板30以外の被製造物に付されたアライメントマーク31や、被検査物に付されたアライメントマーク31といったような、画像処理による位置合せを行う対象となるあらゆる物に付されたアライメントマーク31を含んだ画像をテンプレートマークとして登録するために適用することができる。
【0071】
また、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
1…テンプレートマーク登録装置、2…制御部、3…操作部、4…記憶部、10…カメラ、11…モニター、12…ステージ、20…画面、21,21′…登録枠、22…センターマーク、23…マウスカーソル、24…操作ガイダンス、25…ヒストグラム、30…FPD基板、31,40…アライメントマーク、41…登録枠
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ組立装置に用いられるテンプレートマーク登録装置及びプログラムに関する。特に、FPD(Flat Panel Display)基板の位置合せを行う基準となるアライメントマークを含んだ画像をテンプレートマークとして登録する作業が適正に行われるように、ガイダンスを行う場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ(例えば液晶パネルや有機ELディスプレイパネル等)の製造時には、FPD基板自体に、FPD基板の位置合せを行う基準となるアライメントマークを付している。FPD基板の電子部品(TAB(Tape Automated Bonding)、COF(Chip on Film)、COG(Chip on Glass)等)の搭載では、FPD基板に付されたアライメントマークを事前にカメラで取り込み、そのアライメントマークをテンプレートマーク(「辞書マーク」と呼ぶ場合もある)として生産時に使われるFPD基板上にある同一マークをカメラで撮影し、テンプレートマークと同じ形のマークを正規化相関等の手法を用いてサーチすることで位置決めを行っている。
【0003】
図12は、アライメントマークの一例を示す図である。FPD基板30の枠体の表側の面の左右の下端付近に、十字状のアライメントマーク31が付されている。
【0004】
フラットパネルディスプレイの製造工程では、アライメントマーク31が付されたFPD基板30を不図示のカメラで撮影する。そして、画像処理により、予め登録したテンプレートマーク(アライメントマークを含んだ領域の画像)と相関値の高い領域をサーチして、FPD基板30に付されたアライメントマーク31の位置を求めている。そして、求めたアライメントマーク31の位置を基準として、FPD基板30を載置したステージを移動させることにより、FPD基板30の位置合せを行っている。
【0005】
位置合せを行う際に用いるテンプレートマークを予め登録する作業は、FPD基板30に付されたアライメントマーク31を撮影した画像を表示した画面上でユーザが行うマウス操作等により行われる。このマウス操作には、テンプレートマークとして登録する領域の大きさや位置等を設定する作業がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−284408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、テンプレートマークの登録作業は、位置合せの際に行われる画像処理に必要な条件(画像の状態や照明の照度等)を理解していない者にとっては難解である。そのため、ユーザが登録作業に熟練していない場合には、テンプレートマークの登録が適正に行われないため、フラットパネルディスプレイの製造工程における不良品の生産や歩留り悪化の原因となることがある。
【0008】
また、FPD基板のアライメントに用いるテンプレートマークを決定する際には、人の感覚で行われたり、一定の点数を付加したりする方法が取られている。しかし、人の感覚では、テンプレートマークを登録する人により差異が生じやすい。また、点数を付加すると、点数が低いときには、どこを変更すればよいのか分かりにくくなり、点数を上げるための対処が不明確となりやすい。また、テンプレートマークの登録が不適切であると、アライメントマークをサーチする際に検出不能である旨のエラーが生じていた。
【0009】
図13は、テンプレートマークの登録が適正に行われなかった場合の一つとして、アライメントマークの大きさに対して、テンプレートマークとして設定した領域(領域を設定するための登録枠のサイズ)が大きすぎた例を示す。
【0010】
図13Aは、登録作業時に、或るアライメントマーク40の大きさに対して、登録枠41のサイズが大きすぎた例を示す。
図13Bは、位置合せの際の画像処理時に、アライメントマーク40が画像視野の端付近に存在していた例を示す。図13Bの場合、登録作業時に登録枠41で囲むことによってテンプレートマークとして登録した領域(図13Bの破線で示す領域41B)の一部が画像視野外となるので、テンプレートマークと相関度の高い領域が見つからず、サーチエラーとなってしまう。
【0011】
同様に、アライメントマークと周囲の領域の輝度が低い場合や、輝度差が小さい場合にも、ノイズ等による外部の影響が強くなりアライメントマークを抽出することが困難となるため、サーチエラーの要因となる場合がある。
【0012】
上述の点に鑑み、位置合せの際に行われる画像処理に必要な条件を理解していない者がテンプレートマークを登録するための操作を行っても、充分な品質でテンプレートマークの登録をすることができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、位置合せの対象物に付されたアライメントマークを撮影した画像のうち、アライメントマークを位置合せに参照するテンプレートマークとして登録する領域を設定する操作を行う操作部と、制御部とを備える。
制御部は、アライメントマークを撮影した画像が表示される表示装置の画面上に、操作部の操作によってアライメントマークをテンプレートマークとして登録する領域を設定するためのGUI(Graphical User Interface)を表示させる。
また、制御部は、テンプレートマークとして登録する領域を設定する際の操作ガイダンスをウィンドウ表示させ、領域内に含まれる画像を構成する画素のうち、最大の輝度を有する画素の輝度が所定の輝度値の範囲内となるように、領域に照射する照明の明るさを指示する操作ガイダンスを表示装置の画面上にウィンドウ表示させる処理を行う。
【0014】
また、本発明は、演算処理装置に、上記のテンプレートマーク識別装置で処理される手順を実行させるために用いるプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、位置合せの際に行われる画像処理に必要な条件を理解していない者でも、アライメントマークの画像が表示される表示装置の画面上にウィンドウ表示される操作ガイダンスに従ってテンプレートマークとして登録する領域を設定することができる。そして、現在設定している領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラムを同じ画面上のウィンドウ表示で確認することにより、アライメントマークを含んだ画像をテンプレートマークとして登録する作業を適正に行える。このため、テンプレートマークを登録する際に一定の条件を明確にすることで、誰でもサーチエラーの起きにくいテンプレートマークを登録できる。また、テンプレートマークの登録に影響されるサーチエラーを低減させ、装置の停止時間を低減することで、生産性の高いフラットパネルディスプレイ組立装置に用いられるテンプレートマーク登録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るテンプレートマーク登録装置の設置例を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るテンプレートマーク登録装置の内部構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る制御部のサーチ処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係るテンプレートマークの登録作業時のモニターの画面の表示レイアウトを示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るアライメントマークのテンプレート登録処理の例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る登録枠の設定例を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る明暗比率の判定処理の例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る輝度ヒストグラムの表示内容の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る画像輝度差の明確化の判定処理の例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態に係る登録枠に取り込まれたアライメントマークの例を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る登録枠内の隙間を検出する検出処理の例を示すフローチャートである。
【図12】アライメントマークの一例を示す説明図である。
【図13】アライメントマークに対して登録枠のサイズが大きすぎた例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図11を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るテンプレートマーク登録装置1の設置例を示す。
テンプレートマーク登録装置1は、FPD基板30(図12に例示したようにアライメントマーク31を付したもの)の製造工程に設置されており、不図示のフラットパネルディスプレイ組立装置に用いられる。そして、テンプレートマーク登録装置1は、テンプレートマークの登録作業を行う装置と、FPD基板30の位置合せの際の画像処理を行う装置とに兼用される。
【0018】
テンプレートマーク登録装置1と同じ製造工程には、FPD基板30を撮影するためカメラ10と、モニター11と、FPD基板30を載置してその位置合せを行うためのステージ12とが設置されている。カメラ10の撮像素子には、CCD(Charge Coupled Devices)イメージャ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等が用いられる。
【0019】
図2は、テンプレートマーク登録装置1の構成を示す。
テンプレートマーク登録装置1は、ファームウェアを組み込んだハードウェア装置であり、例えば、コンピュータのような演算処理装置である制御部2と、マウス及びキーボードから成る操作部3と、記憶部4とを備えている。操作部3は、テンプレートマークの登録作業時や位置合せの際の画像処理時に各種操作を行うために用いられる。操作部3は、位置合せの対象物に付されたアライメントマークを撮影した画像のうち、アライメントマークを位置合せに参照するテンプレートマークとして登録する領域を設定する操作を行うために用いられる。記憶部4は、テンプレートマークデータや画像処理時のサーチ結果を記憶するために用いられる。図1及び図2に示すように、カメラ10で撮影したFPD基板30の画像データは、テンプレートマーク登録装置1に送られた後、制御部2を介してモニター11に送られる。
【0020】
本発明の実施の形態は、テンプレートマークの登録作業時の制御部2の処理に特徴を有するが、登録作業時の処理を説明する前提として、FPD基板30の位置合せの際の制御部2の画像処理(アライメントマークのサーチ処理)例を説明する。
【0021】
図3は、制御部2の画像処理として位置合せの際に行われるサーチ処理の例を示す。
操作部3により、サーチ対象となる画像を確定する操作である画像取込み(ステップS1)と、その画像のうちサーチ対象とするエリアを設定する操作(ステップS2)とが行われると、制御部2が、テンプレートマークサーチ処理(ステップS3)を行う。
【0022】
このステップS3のテンプレートマークサーチ処理では、制御部2は、第1段階(1次サーチ)として、サーチエリア内の画像データと、予め登録されて記憶部4に記憶されているテンプレートマークデータとを、間引き処理によって圧縮する(ステップS11)。そして、それらの圧縮画像データ同士のパターンマッチングを行う(ステップS12)ことにより、おおまかなサーチによって複数の検出点を求める。検出点は、例えば、後述する図6に示す四角形の登録枠21の左上の頂点である。
【0023】
続いて制御部2は、第2段階(2次サーチ)として、ステップS12で求めた複数の検出点を候補点として、正規化相関サーチにより、圧縮前のサーチエリア内の画像の候補点の近傍で圧縮前のテンプレートマークを探し(ステップS13)、相関値が予め設定した閾値を超える候補点を、最終的な検出点とする(ステップS14)。このような2段階の処理を行うことにより、最初から非圧縮の画像データ同士でサーチ処理を行う場合よりも、サーチ処理を高速化することができる。
【0024】
ステップS3のテンプレートマークサーチ処理を終えると、制御部2は、検出に成功したか(相関値が閾値を超える候補点が存在していたか)否かを判断し(ステップS4)、成功していた場合にはサーチ結果を記憶部4に格納する(ステップS5)。失敗していればモニター11にエラー表示を行うなどのエラー処理を行って(ステップS6)、サーチ処理を終了する。
【0025】
位置合せの際には、このサーチ処理のステップS5で記憶されたサーチ結果に基づき、図1のステージ12上で、アライメントマーク31の位置を基準としてFPD基板30の位置合せが行われる。
【0026】
次に、テンプレートマークの登録作業時の制御部2の処理について説明する。テンプレートマークの登録作業時に、制御部2は、カメラ10によって撮影されたFPD基板30の画像が表示されるモニター11の画面上に、操作部3の操作によってテンプレートマークとして登録する領域として登録枠21(図4参照)を設定するためのGUIと各種のウィンドウを表示させる。
【0027】
図4は、テンプレートマークの登録作業時のモニター11(図1参照)の画面の表示レイアウトを示す図である。FPD基板30の画像が表示されるモニター11の画面20上に、テンプレートマークとして登録する領域を設定するためのGUIとして、登録枠21と、センターマーク22と、マウスカーソル23とが表示される。なお、図4には、十字状のアライメントマーク31の画像も表示されている。
【0028】
登録枠21は、テンプレートマークとして登録する領域の大きさ及び位置を設定するための枠である。登録枠21は、操作部3中のマウスのドラッグ操作によって枠のサイズの変更及び画面上での位置の移動を行うことができる。
【0029】
センターマーク22は、アライメントマーク31の中心を座標通知点として設定するためのマークである。そして、センターマーク22は、図3のステップS12について説明したようにサーチ処理時に登録枠21の左上の頂点を検出点として求める場合に、検出点に対するアライメントマーク31の中心の位置を通知するオフセット情報の役割を持っている。センターマーク22も、マウス操作によって画面上の位置を移動させることができる。
【0030】
また、モニター11の画面20上には、操作ガイダンス24がウィンドウ表示される。操作ガイダンス24は、マウスのドラッグ操作によって画面上の位置を移動させ、大きさを変えることができる。操作ガイダンス24は、操作部3の操作によってテンプレートマークとして登録する領域を設定する際のガイダンス文を表示する。操作ガイダンス24の表示内容は操作の段階に応じて変化する。
【0031】
ヒストグラム25は、登録枠21で囲まれている領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラムを表示する。制御部2は、登録枠21で囲まれている領域の大きさや位置が変化する毎に、登録枠21で現在囲まれている領域内の画像のヒストグラムのデータを作成する処理を繰り返し、作成したヒストグラムのデータをヒストグラム25に表示させる。このため、ユーザは、登録枠21で現在囲んでいる領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関する輝度ヒストグラムを同じ画面上に表示されるヒストグラム25で確認できる(後述する図8,図9を参照。)。また、位置合せの際に行われる画像処理に必要な条件を理解していない者でも、アライメントマーク31を含んだ画像をテンプレートマークとして登録する作業を適正に行うことができる。
【0032】
図5は、アライメントマーク31のテンプレート登録処理の例を示す。
始めに、制御部2は、ユーザが指定した登録枠21内に位置するアライメントマーク31の画像を取得する(ステップS21)。ステップS21の処理には、入力トリガ待ちモードと、連続取り込みモードがある。ユーザが明示的にアライメントマーク31の画像取得を1枚ずつ指示することを、「入力トリガ待ちモード」と呼び、複数種類あるアライメントマーク31の画像取得を自動化して順に行うことを、「連続取り込みモード」と呼ぶ。
【0033】
ステップS21において、ユーザが、操作部3により、登録枠21の位置を設定することを選択する操作を行った場合を想定する。すると制御部2が、登録枠21の中央付近にアライメントマーク31が収まるように、登録枠21のサイズ及び位置とセンターマーク22の設定を調整することを促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0034】
次に、ユーザが、操作部3により、登録枠21の位置の設定操作を開始する。このとき、制御部2は、登録枠21の中央にアライメントマーク31が入っているかどうか注意を促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0035】
次に、ユーザが、操作部3により、センターマーク22(座標通知点)の位置を設定することを選択する操作を行ったとする。すると制御部2が、アライメントマーク31の中心にセンターマーク22の位置を移動させることを促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0036】
次に、ユーザが、操作部3により、センターマーク22の位置の設定操作を開始する。このとき、制御部2は、アライメントマーク31の中心にセンターマーク22が位置しているかどうかについて注意を促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0037】
次に、ユーザは、登録枠21のサイズ及び位置の設定とセンターマーク22の位置の設定とを完了し、操作部3により、設定内容を確定する操作を行う。このとき、制御部2は、登録枠21内の画像データをテンプレートマークとして記憶部4に記憶させるとともに、登録枠21に対するセンターマーク22の位置情報を記憶部4に記憶させる。
【0038】
そしてユーザが、操作部3により、登録枠21のサイズの設定操作を開始する。このとき、制御部2は、登録枠21のサイズが大きすぎたり小さすぎたりしないように注意を促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。アライメントマーク31の大きさに対して登録枠21のサイズが大きすぎると、サーチ処理時にアライメントマーク31が画像視野の端付近に存在していた場合にサーチエラーとなってしまう。そこで、ガイダンス文を表示することにより、アライメントマーク31の大きさに対して登録枠21のサイズが適正となるように注意を促している。
【0039】
このように、テンプレートマーク登録装置1によれば、ユーザは、アライメントマーク31の画像が表示されるモニター11にウィンドウ表示される操作ガイダンス24に従って登録枠21のサイズ及び位置の設定とセンターマーク22の位置の設定とを行うことができる。
【0040】
次に、制御部2は、最大輝度が適正範囲か否かを確認する(ステップS22)。このとき、制御部2は、テンプレート登録処理の「必要条件」として最大輝度の判断を行う。そして、制御部2は、アライメントマーク31を撮影した画像が表示されるモニター11の画面上に、操作部3の操作によってアライメントマーク31をテンプレートマークとして登録する登録枠21を設定するためのGUIを表示させる。また、テンプレートマークとして登録枠21を設定する際の操作ガイダンスをウィンドウ表示させ、登録枠21内に含まれる画像を構成する画素のうち、最大の輝度を有する画素の輝度が所定の輝度値の範囲内となるように、登録枠21に照射する照明の明るさを指示する操作ガイダンスをモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0041】
最大輝度の判断では、光量のピーク値が規定値以内であることが必要とされる。この処理において、最小輝度と最大輝度の範囲が0〜255の8ビットで規定される場合に、登録枠21内で最も大きな輝度を有する画素を探し、その画素の輝度が、例えば100〜200の範囲内となるように画面全体の光量の調整が促される。そして、制御部2は、ユーザに対し、最大輝度が、規定値(本例では、100)を下回る場合は、光量を上げる指示を行い、最大輝度が、規定値(本例では、200)を上回る場合は、光量を下げる指示を行うガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0042】
制御部2は、ステップS22の処理において、最大輝度が適正範囲外であると判断した場合、照明レベルを調整するためのガイダンス文をモニター11に出力し、このガイダンス文をモニター11に表示させて(ステップS23)、ステップS21に処理を移す。このとき、輝度が過大である場合に、モニター11は、「照明レベルを下げて、再度マークを取得してください」と表示する。一方、輝度が過小である場合に、モニター11は、「照明レベルを上げて、再度マークを取得してください」と表示する。
【0043】
最大輝度が適正範囲内であると判断した場合、制御部2は、明部と暗部にそれぞれ含まれる画素数の比率(以下、「明暗比率」と略記する場合がある。)が適正範囲か否かを確認する(ステップS24)。このとき、制御部2は、登録枠21内に含まれる全画素の輝度を平均した輝度平均値を求め、輝度平均値以上の輝度を有する登録枠21を明部とし、輝度平均値未満の輝度を有する登録枠21を暗部とする。そして、明部及び暗部の画素数の比率が所定の比率となるように、登録枠21に対する明部及び暗部の大きさを指示する操作ガイダンスをモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。なお、輝度平均値を用いて明部と暗部を分けると説明したが、画像処理の閾値を決定する手法として知られる「大津の方法」を用いてもよい。
【0044】
ユーザは、例えばアライメントマーク31と背景部分との濃淡レベルの差が小さすぎる場合は、FPD基板30を照らしている照明装置の照度を高める調整を行う。また背景部分の一部が照明光を反射して濃淡レベルが高くなっている場合は、照明装置の照度を低める調整を行う。このように照明装置を調整することにより、より適切にテンプレートマークの登録作業を行うことができる。
【0045】
明暗比率が適正範囲外である場合、制御部2は、明暗比率が不足していることを示すガイダンス文をモニター11に出力し、このガイダンス文をモニター11に表示させる(ステップS25)。このとき、明部が少ない場合に、モニター11は、「サーチ安定化のために、明るい部分の割合を増やすことを推奨します」と表示する。一方、暗部が少ない場合に、モニター11は、「サーチ安定化のために、暗い部分の割合を増やすことを推奨します」と表示する。
【0046】
明暗比率が適正範囲内である場合、制御部2は、明部と暗部の輝度ヒストグラムのピーク差が適正範囲か否かを確認する(ステップS26)。制御部2は、輝度ヒストグラムにおいて輝度の濃淡レベルに従って、輝度毎に明部及び暗部の画素数を累積し、明部及び暗部におけるそれぞれの累積した輝度のピーク値を求める。そして、明部及び暗部のピーク値の輝度差が所定の範囲内となるように、照明の明るさを指示する操作ガイダンスをモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0047】
輝度ヒストグラムのピーク差が適正範囲でない場合、制御部2は、輝度差が不足していることを示すガイダンス文をモニター11に出力し、このガイダンス文をモニター11に表示させる(ステップS27)。このとき、モニター11は、「輝度差が不足しています。明暗の差が明確な画像で登録することを推奨します」と表示する。
【0048】
輝度ヒストグラムのピーク差が適正範囲内である場合、制御部2は、登録枠21とアライメントマーク31の間に適正量の隙間が存在するか否かを確認する(ステップS28)。このとき、制御部2は、登録枠21の枠とアライメントマーク31の輪郭であって、水平及び/又は垂直方向に最も登録枠21の枠に近い輪郭との隙間に含まれる画素数を求め、隙間の画素数が所定の値より大きくなるように、登録枠21の枠に対するアライメントマーク31の大きさを指示する操作ガイダンスをモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0049】
適正量の隙間が存在しない場合、制御部2は、適正量の隙間が存在しないことを示すガイダンス文をモニター11に出力し、このガイダンス文をモニター11に表示させる(ステップS29)。このとき、モニター11は、「サーチ安定化のため、マークと登録エリアとの隙間を広げることを推奨します」と表示する。このようにして、アライメントマーク31の周囲の隙間をチェックすることにより、アライメントマーク31を適切な位置で取得することができる。
【0050】
そして、制御部2は、アライメントマーク31を登録の可否を判断する(ステップS30)。登録が不可である場合、制御部2は、ステップS21に処理を移す。一方、登録が可である場合、制御部2は、アライメントマーク31をテンプレートマークとして登録し(ステップS31)、テンプレート登録処理を終了する。
【0051】
上述したように、明暗比率の判断、輝度ヒストグラムのピーク差の判断、アライメントマーク31の周囲における適正量の隙間の判断は、テンプレート登録処理の「推奨条件」として行われる。この推奨条件は、あくまで推奨に止まるため、テンプレート登録処理に含めなくてもよい場合がある。また、推奨条件の判断ステップ(ステップS24,S26,S28)において、“NG”である場合に、モニター11がガイダンス文を表示するが、このガイダンス文は、推奨条件の各判断ステップを通過した後、ステップS30においてユーザが登録の可否を判断する際にまとめて表示される。
【0052】
一般に、モジュール組立工程は、FPDパネル製造の下流にあたり、上流工程と比較すると必要精度が若干低い。また、ガラスや偏光板、あるいはPCB(Printed Circuit Board)等の積層貼付材の反りなどのため、搬送誤差が出やすい。そのため、上流工程向けのアライメントマークを再利用しつつ、視野を広げる運用とし、他の部材やACF(Anisotropic Conductive Film)等を避けるなどの運用をした方がよい場合もある。しかし、理想的なテンプレートマークの登録ができない場合もあるので、テンプレートを登録できるようにするための推奨条件を設けている。
【0053】
そして、必要条件と推奨条件とを分けて、個別のFPD基板30が必要条件を満足するまで、アライメントマーク31が含まれる画像の取得を繰り返す。一方、上記ステップS25,S27,S29からのメッセージ(推奨条件)は、登録確認時にまとめて表示されるので、これらの推奨条件が満たされなくとも、アライメントマーク31をテンプレートマークとしての登録を許可することができる。
【0054】
次に、アライメントマーク31のパターン登録時に表示されるガイダンスの判定項目の例について、図6〜図9を参照して説明する。
【0055】
図6は、登録枠21の設定例を示す。
モニター11には、アライメントマーク31が表示され、ユーザは、登録枠21を上下左右に動かして、アライメントマーク31が登録枠21の中心に位置するように操作する。また、ユーザは、モニター11に表示されるアライメントマーク31の拡大又は縮小を行うことにより、適切な大きさのアライメントマーク31が登録枠21の枠内に表示されるようにする。このとき、登録枠21とアライメントマーク31の隙間は、例えば10画素程度離れている状態が望ましい。これは、図3のステップS11の処理において、圧縮処理を行うとしたが、隙間が小さいと、圧縮後に登録枠21とアライメントマーク31の輪郭が接触して、有効なエッジ情報が欠落してしまうためである。
【0056】
図7は、明暗比率の判定処理の例を示す。
ここでは、明部と暗部の画素数比率(面積比)がD%を基準として割り振られる処理、すなわち、テンプレートマークの大きさを判定する処理について説明する。なお、“D%”とは、登録枠21内における明部の面積と暗部の面積の差を示し、明部が“50−D%”、暗部が“50+D%”として定義される。例えばD=30である場合に、明部の面積が20%以上であり、暗部の面積が80%未満であればテンプレートマークとして登録することを許可し、明部の面積が20%未満であり、暗部の面積が80%以上であれば登録を不可とする判断が行われる。仮に画像全てを明部とした場合に位置情報が得られないことから推測されるように、明部と暗部の画素数比率を、50%を中心とした比率に指定することにより、画像の情報量を保つことができる。
【0057】
始めに、制御部2は、登録枠21内の全画素の輝度平均値を求める(ステップS61)。次に、制御部2は、登録枠21内の全画素を、輝度平均値を基準として明部と暗部に分類し、明部と暗部に含まれる画素数を数える(ステップS62)。
【0058】
そして、制御部2は、明部と暗部の画素数比率(面積比)を求め、比率がn:m以内であるか否かを判定する(ステップS63)。比率がn:m以内であれば、適切な大きさでアライメントマーク31を取り込めたことが分かる。ここで、明部と暗部の比率が1:1である場合が理想的であるが、上述したように“50±D%”と定め、2:8まで比率を許容することでアライメントマーク31の登録に用いている。
【0059】
例えば、ユーザは、登録枠21で囲んだ領域内でのアライメントマーク31と背景部分との明暗比率が約2:8となることを推奨するガイダンス文が表示されると、輝度ヒストグラムに示される現在のアライメントマーク31,背景部分のそれぞれの画素数を確認しながら登録枠21の範囲を変え、暗部に対して明部の面積を大きくすることができる。
【0060】
図8は、ヒストグラム25に表示される輝度ヒストグラムの表示内容の一例を示す。
登録枠21で囲まれている領域には、横軸に濃淡レベル(モニター11の各画素の8ビットの値によって示される256階調)を表し、縦軸に画素数を表したヒストグラムが表示される。この例では、登録枠21で囲まれている領域内にアライメントマーク31が1つ含まれており、アライメントマーク31の濃淡レベルが背景部分の濃淡レベルよりも高く、かつ、アライメントマーク31の画素数が背景部分の画素数よりも少なくなっている。
【0061】
そして、図6に示す登録枠21によって取り込まれるアライメントマーク31の明部と暗部について画素毎に輝度値を累積し、輝度ヒストグラムとして表現する。そして、明部と暗部における累積した画素が最も多い部分を「ピーク値」として求める。なお、図示は省略しているが、制御部2は、輝度ヒストグラムと同じウィンドウ内に、登録枠21で現在囲まれている領域内の画素の濃淡レベルの最大値及び最小値も表示させる。
【0062】
図9は、画像輝度差の明確化の判定処理の例を示す。
ここでは、明部と暗部のピークの差が明確であるか否かを判定する処理について説明する。
【0063】
始めに、制御部2は、図7に示した処理で求めた輝度平均値より低い輝度と高い輝度の範囲でそれぞれ暗部と明部としてピークを求める(ステップS41)。そして、ピーク間の輝度差がX以上Y未満であることで暗部と明部のピーク差が適正であるか否かを判定する(ステップS42)。本例では、輝度の範囲を0〜255とした場合に、50以上150未満となることが望ましい。このような手順により、暗部と明部のピーク差があれば、カメラ10の熱ノイズや電気ノイズ、テンプレートマーク登録装置1の電気ノイズ等の外乱があったも安定したサーチが可能となる。
【0064】
図10は、登録枠21に取り込まれたアライメントマーク31の例を示す。
図10Aは、登録枠21の水平方向を「h方向」と呼び、制御部2は、h方向に画素を見るものである。なお、登録枠21の垂直方向を「v方向」と呼び、制御部2は、v方向に画素を見る場合もある。
【0065】
図10Bは、登録枠21を小さくして、アライメントマーク31内の画素数と、アライメントマーク31外の画素数を数える例を示す。
このとき、アライメントマーク31の輪郭線に接するまで登録枠21の輪郭を小さくした登録枠21′を規定する。そして、登録枠21′からアライメントマーク31を除いた画素数を数える。そして、登録枠21から登録枠21′を除いた差分領域の輝度と輝度平均値を比較する。この差分領域の輝度が輝度平均値に対して全て高い輝度か又は全て低い輝度である場合に、この差分領域の幅を求め、この幅(隙間)が所定の大きさ以上であるか否かを判断する。
【0066】
本発明の実施の形態では、登録枠21で囲んだ領域内でのアライメントマーク31の画素数と背景部分の画素数との比率が所定の値(一例として約2:1とする)となることを推奨する。例えば、約2:1という画素数の比率は、アライメントマーク31の画素数と背景部分とで二極化している場合における経験的な推奨値である。また、画面20上におけるアライメントマーク31の最小線幅(図4に示す十字状のアライメントマーク31の場合には、画面20の横方向上の左端から右端までの幅)が所定の画素数以上(一例として8画素以上とする)となることを推奨する。8画素以上という最小線幅は、要求されるサーチ速度を満たす圧縮率において、圧縮時にアライメントマーク31の部分の画像が失われない経験的な推奨値である。
【0067】
図11は、登録枠21′内の隙間を検出する検出処理の例を示す。
始めに、制御部2は、登録枠21′内の画素をh方向に1ラインずつ見て(ステップS51)、輝度平均値より低い輝度の画素が連続する画素数を数える(ステップS52)。そして、制御部2は、登録枠21′におけるアライメントマーク31の位置を判定する(ステップS53)。
【0068】
なお、上述した実施の形態では、ファームウェアを組み込んだ専用のハードウェア装置をテンプレートマーク登録装置1として用いているが、別の例として、汎用コンピュータをテンプレートマーク登録装置1として用いてもよい。その場合には、上述した制御部2の処理に相当する処理を実行するためのソフトウェアプログラムを、USBメモリ,光ディスク等の記録媒体あるいはネットワークを介して汎用コンピュータに供給すればよい。
【0069】
また、上述した実施の形態では、テンプレートマーク登録装置1は、テンプレートマークの登録作業を行う装置と、FPD基板30の位置合せの際の画像処理を行う装置とに兼用されるように構成されている。しかし、別の例として、テンプレートマーク登録装置1を、テンプレートマークの登録作業を行う専用の装置として構成してもよい。その場合には、テンプレートマーク登録装置1によって登録したテンプレートマークを、ネットワーク等を介して、位置合せの際の画像処理を行う専用の装置に供給すればよい。
【0070】
また、上述した実施の形態では、製造工程での位置合せのためにFPD基板30に付されたアライメントマーク31を含んだ画像をテンプレートマークとして登録するために、本発明を適用している。しかし本発明は、これに限らず、FPD基板30以外の被製造物に付されたアライメントマーク31や、被検査物に付されたアライメントマーク31といったような、画像処理による位置合せを行う対象となるあらゆる物に付されたアライメントマーク31を含んだ画像をテンプレートマークとして登録するために適用することができる。
【0071】
また、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
1…テンプレートマーク登録装置、2…制御部、3…操作部、4…記憶部、10…カメラ、11…モニター、12…ステージ、20…画面、21,21′…登録枠、22…センターマーク、23…マウスカーソル、24…操作ガイダンス、25…ヒストグラム、30…FPD基板、31,40…アライメントマーク、41…登録枠
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置合せの対象物に付されたアライメントマークを撮影した画像のうち、前記アライメントマークを前記対象物の位置合せのために参照するテンプレートマークとして登録する領域を設定する操作を行う操作部と、
前記アライメントマークを撮影した画像が表示される表示装置の画面上に、前記操作部の操作によって前記アライメントマークを前記テンプレートマークとして登録する領域を設定するためのグラフィカルユーザインタフェースを表示させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記テンプレートマークとして登録する領域を設定する際の操作ガイダンスをウィンドウ表示させる処理と、
前記領域内に含まれる画像を構成する画素のうち、最大の輝度を有する画素の輝度が所定の輝度値の範囲内となるように、前記領域に照射する照明の明るさを指示する操作ガイダンスを前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる処理と、を行う
フラットパネルディスプレイ組立装置に用いられるテンプレートマーク登録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記領域内に含まれる明部及び暗部の画素数の比率が所定の比率となるように、前記領域に対する前記明部及び暗部の大きさを指示する操作ガイダンスを前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる
請求項1記載のフラットパネルディスプレイ組立装置に用いられるテンプレートマーク登録装置。
【請求項3】
前記制御部は、輝度ヒストグラムにおいて、輝度毎に前記明部及び暗部の画素数を累積し、前記明部及び暗部におけるそれぞれの累積した輝度のピーク値を求め、前記明部及び暗部のピーク値の輝度差が所定の範囲内となるように、前記照明の明るさを指示する操作ガイダンスを前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる
請求項2記載のフラットパネルディスプレイ組立装置に用いられるテンプレートマーク登録装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記領域の枠と前記アライメントマークの輪郭であって、水平及び/又は垂直方向に最も前記領域の枠に近い前記輪郭との隙間に含まれる画素数を求め、前記隙間の画素数が所定の値より大きくなるように、前記領域の枠に対する前記アライメントマークの大きさを指示する操作ガイダンスを前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる
請求項1〜3のいずれか1項に記載のフラットパネルディスプレイ組立装置に用いられるテンプレートマーク登録装置。
【請求項5】
演算処理装置に、
位置合せの対象物に付されたアライメントマークを撮影した画像のうち、前記アライメントマークを前記対象物の位置合せのために参照するテンプレートマークとして登録する領域を設定するためのグラフィカルユーザインタフェースを表示させる手順と、
前記アライメントマークを撮影した画像が表示される表示装置の画面上に、操作部の操作によって前記アライメントマークを前記テンプレートマークとして登録する領域を設定するためのグラフィカルユーザインタフェースを表示させる手順と、
前記テンプレートマークとして登録する領域を設定する際の操作ガイダンスをウィンドウ表示させる手順と、
前記領域内に含まれる画像を構成する画素のうち、最大の輝度を有する画素の輝度が所定の輝度値の範囲内となるように、前記領域に照射する照明の明るさを指示する操作ガイダンスを前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる手順と、を実行させる
プログラム。
【請求項1】
位置合せの対象物に付されたアライメントマークを撮影した画像のうち、前記アライメントマークを前記対象物の位置合せのために参照するテンプレートマークとして登録する領域を設定する操作を行う操作部と、
前記アライメントマークを撮影した画像が表示される表示装置の画面上に、前記操作部の操作によって前記アライメントマークを前記テンプレートマークとして登録する領域を設定するためのグラフィカルユーザインタフェースを表示させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記テンプレートマークとして登録する領域を設定する際の操作ガイダンスをウィンドウ表示させる処理と、
前記領域内に含まれる画像を構成する画素のうち、最大の輝度を有する画素の輝度が所定の輝度値の範囲内となるように、前記領域に照射する照明の明るさを指示する操作ガイダンスを前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる処理と、を行う
フラットパネルディスプレイ組立装置に用いられるテンプレートマーク登録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記領域内に含まれる明部及び暗部の画素数の比率が所定の比率となるように、前記領域に対する前記明部及び暗部の大きさを指示する操作ガイダンスを前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる
請求項1記載のフラットパネルディスプレイ組立装置に用いられるテンプレートマーク登録装置。
【請求項3】
前記制御部は、輝度ヒストグラムにおいて、輝度毎に前記明部及び暗部の画素数を累積し、前記明部及び暗部におけるそれぞれの累積した輝度のピーク値を求め、前記明部及び暗部のピーク値の輝度差が所定の範囲内となるように、前記照明の明るさを指示する操作ガイダンスを前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる
請求項2記載のフラットパネルディスプレイ組立装置に用いられるテンプレートマーク登録装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記領域の枠と前記アライメントマークの輪郭であって、水平及び/又は垂直方向に最も前記領域の枠に近い前記輪郭との隙間に含まれる画素数を求め、前記隙間の画素数が所定の値より大きくなるように、前記領域の枠に対する前記アライメントマークの大きさを指示する操作ガイダンスを前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる
請求項1〜3のいずれか1項に記載のフラットパネルディスプレイ組立装置に用いられるテンプレートマーク登録装置。
【請求項5】
演算処理装置に、
位置合せの対象物に付されたアライメントマークを撮影した画像のうち、前記アライメントマークを前記対象物の位置合せのために参照するテンプレートマークとして登録する領域を設定するためのグラフィカルユーザインタフェースを表示させる手順と、
前記アライメントマークを撮影した画像が表示される表示装置の画面上に、操作部の操作によって前記アライメントマークを前記テンプレートマークとして登録する領域を設定するためのグラフィカルユーザインタフェースを表示させる手順と、
前記テンプレートマークとして登録する領域を設定する際の操作ガイダンスをウィンドウ表示させる手順と、
前記領域内に含まれる画像を構成する画素のうち、最大の輝度を有する画素の輝度が所定の輝度値の範囲内となるように、前記領域に照射する照明の明るさを指示する操作ガイダンスを前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる手順と、を実行させる
プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−137714(P2012−137714A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291690(P2010−291690)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]